JP2004082234A - 内径加工用工具及びスローアウェイチップ - Google Patents

内径加工用工具及びスローアウェイチップ Download PDF

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Tomoyoshi Sakamoto
坂本 知良
Toshimitsu Furuki
古木 俊充
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Abstract

【課題】チップの着脱を容易にするとともにチップの取付剛性を高く保つ。
【解決手段】チップ取付座15に形成された互いに相対向する第一,第二チップ拘束面16,17を軸線O方向に沿う凹V状にする。チップ本体21の上下面23,24を軸線O方向に沿う凸V状にする。チップ本体21の下面24に、軸線O方向で離間する2つの突出面26,26を形成して、第二チップ拘束面17と接触させる。チップ本体21の上面23に、軸線O方向で、2つの突出面26,26同士の間に位置する1つの突出面25を形成して、第一チップ拘束面16を接触させる。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークの内径加工、例えばボーリング,溝入れ,ねじ切り等に用いられる内径加工用工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の内径加工用工具としては、特開平11−277309号公報に開示されているようなものが知られている。
このような内径加工用工具は、長尺状のホルダーの先端部に形成されたチップポケットに、切刃稜を有する小径棒状部を備えたスローアウェイチップ(以下、チップと称する)の平板状基部が、その平板状基部を貫通する固定用ボルトによって固定されるとともに、平板状基部の側面がチップポケットのチップ座面から屹立する2つの壁面によって位置決めされているものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような内径加工用工具においては、チップの着脱を行うのにチップの平板状基部を貫通する固定用ボルトを抜き取る必要があり、チップの着脱に大きな手間がかかっていた。
しかも、チップの平板状基部の側面がチップ座面から屹立する2つの壁面によって位置決めされていることから、チップポケットの形状とチップの平板状基部の形状にわずかにでも差異が生じていると、チップの取付剛性が低下してしまい、切削加工の際に受ける力、とくに平板状基部と平行かつホルダー長手方向に直交する方向から受ける力によって、チップのがたつきが生じやすくなり、刃先位置精度の低下を招いてしまう。
【0004】
なお、チップの取付剛性を高める工夫として、特開2000−71113号公報に開示されているように、セットボルトを用いて平板状基部の側面を押圧するものもあるが、このような内径加工用工具においても、固定用ボルトを完全に抜き取らなければ、チップの着脱を行うことができないという問題は解消できず、しかも、セットボルトを用いることから、部品数が増加して、その操作性が悪化してしまっていた。
【0005】
また、チップの着脱の容易化を狙ったものに、特開2000−246515号公報に開示されているような内径加工用工具があるが、チップ本体の上面に形成された斜面をクランプねじの頭部によって押圧することでチップのホルダへの固定を行うために、チップ本体とクランプボルトとの接触が点接触になりやすく、チップの取付剛性が劣るという問題が残ってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、チップの着脱が容易で、かつ、チップの取付剛性が高い切削工具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明による内径加工用工具は、軸線方向に沿って延在するシャンクの先端部に、互いに相対向する一対のチップ拘束面を有するチップ取付座が形成されるとともに、このチップ取付座には、切刃が形成された略棒状の突き出しを備えたチップ本体を有するチップがその突き出しを前記シャンクから前記軸線方向の先端側に突出させるように装着されていて、クランプ手段によって前記一対のチップ拘束面が互いに近づく方向に接近させられることにより、これら一対のチップ拘束面が前記チップ本体の上下面を押圧固定する内径加工用工具であって、前記一対のチップ拘束面は、それぞれ前記軸線方向に沿う凸V状あるいは凹V状をなしているとともに、前記チップ本体の上下面は、前記一対のチップ拘束面にそれぞれ噛み合い可能な凹V状あるいは凸V状をなしていて、これら一対のチップ拘束面とチップ本体の上下面とがそれぞれ噛み合ってできる2つの噛み合い部分のうちの一方は、前記軸線方向で離間する2つの接触面を有しているとともに、他方は、前記軸線方向で前記2つの接触面の間に位置する少なくとも1つの接触面を有していることを特徴とするものである。
このような構成とすると、チップをチップ取付座に装着したときには、凸V状あるいは凹V状をなす一対のチップ拘束面と、これに対応するような形状に形成されたチップ本体の上下面とがそれぞれ互いに噛み合うことになる。そして、この噛み合い状態では、2つの噛み合い部分のうちの一方が、軸線方向で離間する2つの接触面を有しているとともに、他方が、これら2つの接触面同士の間に配置される少なくとも1つの接触面を有しているから、軸線方向での位置が異なる例えば3つの接触面でチップ本体を固定することが可能となり、チップ本体の上下面や一対のチップ拘束面に多少の加工誤差が生じていたとしても、チップのチップ取付座への押圧固定を確実に行って、このチップの取付剛性を高めることができる。
また、一対のチップ拘束面とチップ本体の上下面とが、シャンクの軸線方向に沿った凸V状あるいは凹V状となっていることから、切削加工の際に、シャンクの軸線方向に交差する方向から受ける力に対しても、強固な剛性を発揮することができる。
しかも、クランプ手段によるクランプをわずかに緩めて、一対のチップ拘束面がチップ本体の上下面を押圧している力を弱めるだけで、このチップ本体をチップ取付座から軸線方向の先端側へ抜き出すことが可能となるので、チップの着脱を容易に行うことができる。
【0008】
また、前記チップ本体の上下面のうちの一方には、前記軸線方向で離間する2つの突出面が一段突出するように形成されているとともに、他方には、前記軸線方向で前記2つの突出面の間に位置する少なくとも1つの突出面が一段突出するように形成されていることによって、これらの突出面が前記一対のチップ拘束面と接触する前記接触面をなしていることが好ましく、このような構成とすると、チップが超硬合金等の圧粉体を焼結することなどによって製造されることを考慮したときに、上記のような接触面を有する内径加工用工具を容易に製造することが可能となる。
このとき、前記軸線方向で最も後端側に位置する前記突出面が、前記チップ本体の後端よりも、前記軸線方向の先端側へ所定距離を介して配置されていることが好ましく、このような構成とすると、チップ本体について、軸線方向の最も後端側に位置する突出面よりも後端側の部分は、突出面が形成されていない分だけその厚みが薄くなるので、チップ本体をチップ取付座に対して軸線方向の後端側へ向けて挿入しやすくすることができる。
【0009】
また、本発明によるチップは、本発明の内径加工用工具に装着されるチップであって、切刃が形成された略棒状の突き出しを備えたチップ本体を有し、前記チップ本体の上下面は、それぞれ前記チップ本体の長手方向に沿う凸V状あるいは凹V状をなしていることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照しながら説明する。
図1は本実施形態による内径加工用工具の上面図、図2は同内径加工用工具の側面図、図3は同内径加工用工具の先端面図である。また、図4は同内径加工用工具に装着されるチップの上面図、図5は同チップの側面図、図6は同チップの先端面図である。
【0011】
本実施形態による内径加工用工具10は、図1〜図3に示すように、軸線O方向に沿って延在し、軸線Oを中心とした略四角柱状をなすシャンク11を有しており、その先端部11Aは、シャンク11の後端側部分から傾斜面11Bを経て軸線Oに直交する厚み方向(図2及び図3における上下方向)の上方側に張り出したような肉厚形状となっている。
また、シャンク11の先端面11Eから基端側に向けてシャンク11の上下面と平行に、傾斜面11Bに近接する位置までスリット12が切り込まれていることによって、シャンク11の先端部11Aが上下に2分されている。
【0012】
この2分されたシャンク11の先端部11Aにおいては、スリット12の上方側に位置する先端部11Aが第一チップ拘束部13とされ、下方側に位置する先端部11Aが第二チップ拘束部14とされている。
これらのうちの第一チップ拘束部13は、スリット12がシャンク11の傾斜面11Bに近接する位置まで切り込まれているために、後端側の付け根部分が肉薄となって、この肉薄となった部分を支点として第二チップ拘束部14側に近づく方向に弾性変形可能となっている。
【0013】
そして、シャンク11の先端部11Aには、後述するチップ20を装着するためのチップ取付座15が、シャンク11の先端面11E及び一の側面11Cに開口するとともにスリット12と連通するようにしてシャンク11の先端部11Aが軸線O方向に沿って切り欠かれることによって形成されており、このチップ取付座15における軸線O方向での長さはスリット12よりも短くなるように設定されている。
【0014】
チップ取付座15は、シャンク11の一の側面11Cと同じ側を向く壁面15Aと、チップ20が装着されるときにチップ本体21の後端面21Bが当接させられて位置決めが行われる軸線O方向の先端側を向く底面15Bと、上下方向(厚み方向)で互いに相対向する第一,第二チップ拘束面16,17とによって構成されている。
また、シャンク11の一の側面11Cと同じ側を向く壁面15Aにスリット12が開口しているために、上記の第一チップ拘束面16は、スリット12の上方側に位置する第一チップ拘束部13に形成されるとともに、上記の第二チップ拘束面17は、スリット12の下方側に位置する第二チップ拘束部14に形成された状態となっている。
【0015】
ここで、第一チップ拘束部13に形成された第一チップ拘束面16は、2つの平坦な壁面16A、16Aから構成されており、これら壁面16A,16A同士の交差部分が軸線O方向に沿って延びることによって、この第一チップ拘束面16がシャンク11の軸線O方向に沿う凹V状をなしている。つまり、軸線Oに直交する断面視で、第一チップ拘束面16の断面形状が、その第一チップ拘束面16の幅方向(図1における上下方向、図3における左右方向)において略中央側に向かうにしたがい漸次上方側に凹んでいくような凹V字型をなしているのである。
なお、この第一チップ拘束面16における壁面16A,16A同士の交差部分には、一段凹むようにしてぬすみ部16Bが形成されている。
【0016】
これに対して、第二チップ拘束部14に形成された第二チップ拘束面17も、2つの平坦な壁面17A,17Aから構成されて、軸線O方向に沿う凹V状をなすとともに、壁面17A,17A同士の交差部分にはぬすみ部17Bが形成されていることによって、第一チップ拘束面16と同様の形状をなしている。
また、チップ取付座15の底面15Bにおける上方側及び下方側には、それぞれシャンク11の幅方向(図1における上下方向、図3における左右方向)に沿ってぬすみ穴15C,15Cが形成されている。
【0017】
さらに、シャンク11の先端部11Aには、上記の第一,第二チップ拘束面16,17と連通しないようにシャンク11の他の側面11D側寄りの位置に、シャンク11の厚み方向に貫通するクランプ孔18が設けられており、このクランプ孔18にクランプボルト19を螺合させて締め付けることによって、クランプボルト19の頭部19Aが第一チップ拘束部13を押圧し、第一チップ拘束部13が第二チップ拘束部14に近づく方向に弾性変形させられるのである。
【0018】
すなわち、第一チップ拘束部13に形成された第一チップ拘束面16と、第二チップ拘束部14に形成された第二チップ拘束面17とが、クランプ手段としてのクランプボルト19によって互いに近づく方向に弾性変形させられることで、これら第一チップ拘束面16と第二チップ拘束面17との間に挿入されるチップ20のチップ本体21を押圧固定することになる。
【0019】
一方、このようなチップ取付座15に装着されるチップ20は、図4〜図6に示すように、略角柱状をなすチップ本体21と、このチップ本体21の長手方向Pに沿ってチップ本体21から先端側へ突出する略丸棒状の突き出し22とから構成されている。
【0020】
チップ本体21の上面23は、2つの平坦な壁面23A,23A(後述するが、実際には段差が付けられている)から構成されており、これら壁面23A,23A同士の交差部分が長手方向Pに沿って延びることによって、この上面23がチップ本体21の長手方向Pに沿う凸V状をなしている。つまり、長手方向Pに直交する断面視で、上面23の断面形状が、その上面23の幅方向(図4における上下方向、図6における左右方向)において略中央側に向かうにしたがい漸次上方側に凸となっていくような凸V字型をなしているのであり、上面23が上述した第一チップ拘束面16に噛み合い可能な形状となっている。
なお、この上面23における壁面23A,23A同士の交差部分には、上述した第一チップ拘束面16に対応して、一段凸となる凸部23Bが形成されている。
【0021】
これに対して、チップ本体21の下面24も、2つの平坦な壁面24A,24A(後述するが、実際には段差が付けられている)から構成されて、長手方向Pに沿う凸V状をなすとともに、壁面24A,24A同士の交差部分には凸部24Bが形成されていることによって、上面23と同様の形状をなしている。これにより、下面24も上述した第二チップ拘束面16に噛み合い可能な形状となっている。
なお、このとき、上面23を構成する2つの平坦な壁面23A,23Aがなす狭角θ、及び、下面24を構成する2つの平坦な壁面24A,24Aがなす狭角θは、90゜〜150゜の範囲に設定されるのが好ましい。
【0022】
また、チップ本体21の上面23を構成する2つの平坦な壁面23A,23Aにはそれぞれ、上面23における長手方向Pの中央部よりも先端側寄りに位置する一部分を除いて、所定深さaで一段深くなるように逃げが与えられており、この逃げの与えられていない一部分が他の部分よりも一段突出した突出面25となっている。
この突出面25は、長手方向Pに沿う凸V状をなす上面23における逃げが与えられていない一部分であることから、上面23と同じく平坦な壁面23A,23Aから構成されて、チップ本体21の長手方向Pに沿う凸V状をなしている。
【0023】
これに対して、チップ本体21の下面24を構成する2つの平坦な壁面24A,24Aにはそれぞれ、下面24における長手方向Pの先端に位置する一部分と、チップ本体21の後端面21Bよりも長手方向Pの先端側へ所定距離を介して位置する一部分とを除いて、所定深さaで一段深くなるように逃げが与えられており、この逃げが与えられていない2つの一部分が他の部分よりも突出した突出面26,26となっている。
これら突出面26,26は、長手方向Pに沿う凸V状をなす下面24における逃げが与えられていない一部分であることから、下面24と同じく平坦な壁面24A,24Aから構成されて、チップ本体21の長手方向Pに沿う凸V状をなしている。
【0024】
このとき、上記のチップ本体21の上面23に形成された1つの突出面25と、チップ本体21の下面24に形成された2つの突出面26,26との位置関係は、長手方向Pにおいて、上面23に形成された突出面25が、下面24に形成された突出面26,26の間に位置しており、本実施形態では、長手方向Pにおいて、突出面25が突出面26,26同士の間の略中央部に位置している。
さらに、チップ本体21には、その上面23及び下面24と、後端面21Bとの交差部分が、平坦面で斜めに切り欠かれることによって面取り面27,27が形成されている。
【0025】
また、チップ本体21の長手方向Pに沿ってチップ本体21から長手方向Pの先端側に突出している略丸棒状の突き出し22の先端には、チップ本体21の上面23と同じ側を向くすくい面28が形成されるとともに、このすくい面28の稜線部分にチップ本体21の側面21Aよりも外側に突出するような切刃29が形成されている。
【0026】
そして、チップ20をシャンク11に形成されたチップ取付座15に装着する際には、まず、チップ本体21の長手方向Pとシャンク11の軸線O方向とを平行にしながら、チップ20をチップ取付座15に対して軸線O方向の後端側へ向かって挿入していく。
そのまま、チップ本体21の後端面21Bがチップ取付座15の底面15Bに当接するまで、チップ20をチップ取付座15に挿入することにより、チップ本体21の上面23と第一チップ拘束面16とを対向配置させて互いに噛み合わせ、かつ、チップ本体21の下面24と第二チップ拘束面17とを対向配置させて互いに噛み合わせた状態とする。
【0027】
次に、クランプボルト19を締め付けることにより、クランプボルト19の頭部19Aで第一チップ拘束部13を押圧して、第一チップ拘束面16を第二チップ拘束面17側に近づく方向に弾性変形させる。
これにより、チップ本体21の上面23及び下面24がそれぞれ第一チップ拘束面16及び第二チップ拘束面17によって押圧固定されるのであるが、チップ本体21の上下面23,24には、上記の突出面25,26,26が形成されていることから、これら上下面23,24と第一,第二拘束面16,17とは、突出面25,26,26で互いに面接触して密着することになる。
【0028】
このチップ20がシャンク11に装着された状態では、チップ本体21の長手方向Pとシャンク11の軸線O方向とが平行となっており、また、チップ本体21における下面24と第二チップ拘束面17とが噛み合ってできる噛み合い部分が、軸線O方向で離間する2つの接触面(突出面26,26と第二チップ拘束面17との接触面)を有しているとともに、チップ本体21における上面23と第一チップ拘束面16とが噛み合ってできる噛み合い部分が、軸線O方向で、上記の2つの接触面同士の間の略中央部に位置する1つの接触面(突出面25と第一チップ拘束面16との接触面)を有している。
【0029】
このとき、図3に示すように、第一チップ拘束面16を構成する壁面16A,16Aが、それぞれ壁面16A,16Aに直交する向きに押圧する力Xを、チップ本体21の上面23における突出面25を構成する壁面23A,23Aにそれぞれ作用させ、さらに、第二チップ拘束面17を構成する壁面17A,17Aも、それぞれ壁面17A,17Aに直交する向きに押圧する力Yを、チップ本体21の下面24における突出面26,26を構成する壁面24A,24A,24A,24Aにそれぞれ作用させている。
【0030】
このようにしてチップ20が装着された内径加工用工具10は、シャンク11の先端側に突出しているチップ20の突き出し22を、軸線回りに回転されるワークの内周面に挿入することにより、この突き出し22の先端に形成されてシャンク11の一の側面11Cから外側に突出した状態となっている切刃29で、例えば溝入れ加工を施していく。
【0031】
上記のような構成とされた本実施形態の内径加工用工具10によれば、チップ取付座15の第一,第二チップ拘束面16,17が凹V状をなすとともに、これら第一,第二チップ拘束面16,17によって押圧固定されるチップ本体21の上下面23,24が凸V状をなしているために、これらが互いに噛み合った状態とすることができる。
【0032】
そして、これら2つの噛み合い部分のうち、第二チップ拘束面17とチップ本体21の下面24との噛み合い部分が、軸線O方向で離間する2つのV字状の接触面(凹V字状をなす第二チップ拘束面17と凸V字状をなす突出面26,26との接触面)を有しているとともに、第一チップ拘束面16とチップ本体21の上面23との噛み合い部分が、軸線O方向で、上記の2つの接触面同士の間に位置する1つの接触面(凹V字状をなす第一チップ拘束面16と凸V字状をなす突出面25との接触面)を有しているため、軸線O方向での位置が互いに異なる3つの接触面でチップ本体21が押圧固定されることとなる。
【0033】
これにより、チップ本体21の上下面23,24や、第一,第二チップ拘束面16,17の加工精度を厳密に管理せずとも、チップ20のチップ取付座15への押圧固定を確実に行うことが可能となり、チップ20の取付剛性が高まって、その刃先位置精度を良好に保つことができる。
【0034】
ここで、本実施形態による内径加工用工具10では、クランプ手段としてのクランプボルト19によって、第一チップ拘束面16を有する第一チップ拘束部13が、第二チップ拘束面17を有する第一チップ拘束部14側に向かって弾性変形させられるようになっている。
このため、本実施形態では、弾性変形させられる第一チップ拘束部13に形成された第一チップ拘束面16と噛み合うチップ本体21の上面23に、突出面25を1つだけ形成することによって、これらの密着状態を確実にしながらも、弾性変形しない方の第二チップ拘束部14に形成された第二チップ拘束面17と噛み合うチップ本体21の下面24に、2つの突出面26,26を形成することによって、上記のような3つの接触面を得るようにしている。
【0035】
なお、チップ本体21の上下面23,24とチップ取付座15の第一,第二チップ拘束面16,17とは、詳述すれば3つの接触面を有しているというよりも、チップ本体21の上面23に形成された1つの突出面25が2つの壁面23A,23Aから構成されるとともに、下面24に形成された2つの突出面26,26がそれぞれ2つの壁面24A,24Aから構成されているために、6つの接触面を有していることになる。
【0036】
また、チップ本体21の上下面23,24とチップ取付座15の第一,第二チップ拘束面16,17との3つの接触面は、チップ本体21の上下面23,24に形成された突出面25,26,26によって構成されていることから、チップ20が超硬合金等の圧粉体を焼結することなどによって製造されることを考慮したときに、上記のような3つの接触面を有する内径加工用工具10を容易に製造することが可能となる。
【0037】
さらに、チップ本体21の上下面23,24と第一,第二チップ拘束面16,17とが軸線O方向に沿った凸V状,凹V状に形成されて、互いに噛み合っていることから、切削加工の際に、軸線Oに交差する方向から受ける力に対しても、とくに強固な剛性を発揮することができ、チップ20の固定状態を損ねることがない。
【0038】
しかも、クランプボルト19によるチップ拘束部13のクランプをわずかに緩めて、第一,第二チップ拘束面16,17がチップ本体21の上下面23,24を押圧する力を弱めるだけで、クランプボルト19を抜き取らずとも、チップ本体21を軸線O方向の先端側へ向かって抜き出すことが可能となるので、容易にチップ20の着脱を行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0039】
そして、チップ本体21の上下面23,24に形成された突出面25,26,26のうち、軸線O方向(長手方向P)の最も後端側に位置する突出面26が、チップ本体21の後端面21Bよりも所定距離を介して軸線O方向の先端側に配置されていて、この突出面26よりも軸線O方向の後端側の部分のチップ本体21の厚みが一段薄くなっていることから、チップ20の装着の際に、チップ本体21をチップ取付座15に対して軸線O方向の後端側に向かって挿入しやすくすることができる。
【0040】
なお、本実施形態においては、チップ本体21の上下面23,24に形成された3つの突出面25,26,26と、第一,第二チップ拘束面16,17とが互いに面接触した状態となっているが、これに限定されることなく、厳密に面接触でなくともチップ本体21を押圧固定することは可能である。
【0041】
例えば、図7(a)に示すように、チップ本体21の上下面23,24の突出面25,26,26を構成する壁面23A,23A,24A,24Aにおいてチップ本体21の側面21A,21A側に位置する部分のみが、第一,第二チップ拘束面16,17と接触している状態でもよいし、図7(b)に示すように、チップ本体21の上下面23,24の突出面25,26,26を構成する壁面23A,23A,24A,24Aにおいて、それら壁面23A,23A同士,壁面24A,24A同士の交差部分付近(凸部23B,24B付近)のみが、第一,第二チップ拘束面16,17と接触している状態でもよいし、さらには、図7(c)に示すように、チップ本体21の上面23の突出面25を構成する壁面23A,23Aにおいてチップ本体21の側面21A,21A側に位置する部分のみが、第一チップ拘束面16と接触し、かつ、下面24の突出面26,26を構成する壁面24A,24Aにおいて、それら壁面24A,24A同士の交差部分付近(凸部24B付近)のみが、第二チップ拘束面17と接触しているような状態であってもよい。
【0042】
また、本実施形態においては、第一,第二チップ拘束面16,17を軸線O方向に沿う凹V状に形成し、これに対応するチップ本体21の上下面23,24を軸線O方向に沿う凸V状に形成したが、これに限定されることなく、例えば、図8(a)に示すように、チップ本体21の上面23を凹V状、かつ下面24を凸V状としたり、図8(b)に示すように、チップ本体21の上面23を凸V状、かつ下面24を凹V状としたり、さらに、図8(c)に示すように、チップ本体21の上面23及び下面24をともに凹V状として、それぞれ、これら上下面23,24に対応するような形状の第一,第二チップ拘束面16,17が形成されたシャンク11を有する内径加工用工具を用いたとしても、上述した本発明による効果を何の遜色もなく奏することができる。
【0043】
また、本実施形態においては、チップ本体21の上面23に形成された突出面25を1つのみとしているが、これに限定されることはなく、下面24に形成された2つの突出面26,26に対して、軸線O方向でこれら突出面26,26同士の間に位置するのであれば、上面23に複数の突出面25を形成するようにしてもよい。
【0044】
また、本実施形態においては、溝入れ加工用の内径加工用工具10について説明したが、他の内径加工に用いられる内径加工用工具に本発明が適用されてもよく、例えば、ボーリング加工用の内径加工用工具や、ねじ切り加工用の内径加工用工具に適用されていてもよい。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、凸V状あるいは凹V状をなす一対のチップ拘束面と、これに対応する形状のチップ本体の上下面とがそれぞれ互いに噛み合うことによってできる噛み合い部分のうちの一方が、軸線方向で離間する2つの接触面を有しているとともに、他方が、軸線方向でこれら2つの接触面同士の間に配置される少なくとも1つの接触面を有していることから、軸線方向での位置が異なる例えば3つの接触面でチップ本体を固定することが可能となる。これにより、チップ本体の上下面や一対のチップ拘束面に多少の加工誤差が生じていたとしても、チップのチップ取付座への押圧固定を確実に行って、このチップの取付剛性を高めることができ、刃先位置精度を良好に保つことができる。
また、一対のチップ拘束面とチップ本体の上下面とが、シャンクの軸線方向に沿った凸V状あるいは凹V状となっていることから、切削加工の際に、シャンクの軸線方向に交差する方向から受ける力に対しても、強固な剛性を発揮することができて、チップの固定状態を損ねるようなことがない。
さらには、クランプ手段によるクランプをわずかに緩めて、一対のチップ拘束面がチップ本体の上下面を押圧している力を弱めるだけで、チップ本体をチップ取付座から軸線方向の先端側へ抜き出すことが可能となるので、チップの着脱を容易に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態による内径加工用工具を示す上面図である。
【図2】本実施形態による内径加工用工具を示す側面図である。
【図3】本実施形態による内径加工用工具を示す先端面図である。
【図4】本実施形態による内径加工用工具に装着されるチップの上面図である。
【図5】本実施形態による内径加工用工具に装着されるチップの側面図である。
【図6】本実施形態による内径加工用工具に装着されるチップの先端面図である。
【図7】(a)〜(c)は、本実施形態による内径加工用工具にチップを装着した状態の変形例を示す先端面図である。
【図8】(a)〜(c)は、本実施形態による内径加工用工具に装着されるチップの上面及び下面の変形例を示す先端面図である。
【符号の説明】
10 内径加工用工具
11 シャンク
11A 先端部
12 スリット
15 チップ取付座
16 第一チップ拘束面
17 第二チップ拘束面
20 チップ
21 チップ本体
22 突き出し
23 上面
24 下面
25 突出面
26 突出面
O シャンクの軸線
P チップ本体の長手方向

Claims (4)

  1. 軸線方向に沿って延在するシャンクの先端部に、互いに相対向する一対のチップ拘束面を有するチップ取付座が形成されるとともに、このチップ取付座には、切刃が形成された略棒状の突き出しを備えたチップ本体を有するスローアウェイチップがその突き出しを前記シャンクから前記軸線方向の先端側に突出させるように装着されていて、クランプ手段によって前記一対のチップ拘束面が互いに近づく方向に接近させられることにより、これら一対のチップ拘束面が前記チップ本体の上下面を押圧固定する内径加工用工具であって、
    前記一対のチップ拘束面は、それぞれ前記軸線方向に沿う凸V状あるいは凹V状をなしているとともに、前記チップ本体の上下面は、前記一対のチップ拘束面にそれぞれ噛み合い可能な凹V状あるいは凸V状をなしていて、
    これら一対のチップ拘束面とチップ本体の上下面とがそれぞれ噛み合ってできる2つの噛み合い部分のうちの一方は、前記軸線方向で離間する2つの接触面を有しているとともに、他方は、前記軸線方向で前記2つの接触面の間に位置する少なくとも1つの接触面を有していることを特徴とする内径加工用工具。
  2. 請求項1に記載の内径加工用工具において、
    前記チップ本体の上下面のうちの一方には、前記軸線方向で離間する2つの突出面が一段突出するように形成されているとともに、他方には、前記軸線方向で前記2つの突出面の間に位置する少なくとも1つの突出面が一段突出するように形成されていることによって、これらの突出面が前記一対のチップ拘束面と接触する前記接触面をなしていることを特徴とする内径加工用工具。
  3. 請求項2に記載の内径加工用工具において、
    前記軸線方向で最も後端側に位置する前記突出面が、前記チップ本体の後端よりも、前記軸線方向の先端側へ所定距離を介して配置されていることを特徴とする内径加工用工具。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の内径加工用工具に装着されるスローアウェイチップであって、
    切刃が形成された略棒状の突き出しを備えたチップ本体を有し、
    前記チップ本体の上下面は、それぞれ前記チップ本体の長手方向に沿う凸V状あるいは凹V状をなしていることを特徴とするスローアウェイチップ。
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