JP2004081296A - 白血球除去方法および装置 - Google Patents

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Hirohisa Tsubouchi
壺内 博久
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Abstract

【課題】出口側容器とフィルター要素との密着を防止し、血液の流れが良く、濾過性能に優れる、白血球除去方法および装置を提供する。
【解決手段】白血球除去フィルター周囲を減圧することによりフィルターを変形させ、少なくとも血液流出口側のフィルター容器内表面とフィルター要素との間に空間を形成させ、重力により血液中の白血球除去を行うことを特徴とする血液の濾過方法である。更に濾過終了後、フィルター周囲を大気圧以上に加圧してフィルター内に残存している血液を回収する方法である。フィルター周囲を減圧して空間を形成させるために、フィルターを減圧および加圧できる密閉容器内に収納し、大気圧以下に減圧した。またフィルター周囲を加圧する方法は、密閉容器内を大気圧以上に加圧した。この方法を用いて濾過した結果、流れが均一化され、フィルター要素の有効利用率が高まった。その結果、血液処理時間の短縮および白血球除去能が高くなった。またフィルター周囲を加圧して、残存している血液を回収することにより、血液回収量を多くすることができた。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液から白血球などの好ましくない成分を除去するための血液の濾過方法および装置に関する。特に輸血用の全血製剤、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤などから輸血副作用の原因となる微小凝集物や白血球などを除去する目的で用いられる、精密で使い捨て用途の白血球除去フィルターを用いる血液の濾過方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ドナーから採血された全血は、全血のまま輸血に用いられることは少なく、赤血球成分、血小板成分、血漿成分などの各成分に分離され、貯蔵した後に輸血されるのが一般的である。またこれらの血液製剤に含まれる微小凝集物や白血球などが種々の輸血副作用の原因となることから、輸血の前にこれらの好ましくない成分を除去してから輸血する機会が増えている。近年は特に白血球除去の必要性が広く認識され、欧州では全ての輸血用血液製剤に白血球除去処理を施し、その後に輸血に用いることを法制化している国もある。
【0003】
血液製剤から白血球を除去する為の方法としては、血液製剤を白血球除去フィルターで処理するのが最も一般的である。従来、この白血球除去フィルターによる血液製剤の処理は、輸血操作を行う際にベッドサイドで行われることが多かったが、近年では白血球除去製剤の品質管理、及び白血球除去処理有効性向上などの目的のために、血液センターに於いて保存前に白血球除去が行われることが一般的になりつつある。
【0004】
ドナーから採血し、複数の血液成分に分離し、各血液成分を貯蔵するために、典型的には2つから4つの可撓性のバッグとこれらを接続する回路、抗凝固剤、赤血球保存液、採血針等から構成される採血分離セットが以前より使われている。上記の「保存前白血球除去」に好適に使用されるものとして、これらの採血分離セットに白血球除去フィルターを組み込んだシステムが広く使われており、「クローズドシステム」または「一体型システム」などの名称で呼ばれている。これらは、特開平1−320064号公報、WO92/20428等に開示されている。
【0005】
このような白血球除去フィルターとして、血液流入口と血液流出口とを有する可撓性容器に、血液流入口側と血液流出口側とを隔てるシート状フィルター要素を内蔵してなるフィルターが一般的に用いられている。
可撓性容器とシート状フィルター要素を溶着する方法としては、フィルター要素を一旦シート状の可撓性フレームに溶着した後に、該フレームをハウジング材と溶着したもの(EP0526678、特開平11−216179号公報)、可撓性容器を直接フィルター要素に溶着させたもの(特開平7−267871号公報、WO95/17236)とがある。以下、前者をフレーム溶着型、後者を容器溶着型ということがある。
【0006】
通常これらの白血球除去フィルターで血液を処理する際は、フィルターの血液入口側に回路を介して接続されている、処理されるべき血液製剤が入ったバッグの血液製剤をフィルターに通し、フィルターの血液出口側に回路を介して接続された回収バッグに濾過後の血液製剤を収容する。濾過の最中にはフィルター要素の抵抗によって圧力損失が生じ、フィルター入口側の空間は陽圧となる。可撓性容器からなるフィルターの場合、容器が可撓性であるが故、この陽圧によって容器は風船状に膨らむ。また、通常フィルターよりも低い位置に、血液フィルターで処理された後の血液を収納するためのバッグを置くが、血液が下流側の流路を移動することによって、フィルターの出口側は陰圧となる傾向を示し、可撓性容器がフィルター要素に密着しやすくなる。つまり、可撓性容器を用いたフィルターでは、フィルター要素は出口側容器と密着する傾向が強く、その為に血液の流れが阻害されて十分な流速が得られない問題のあることが以前から指摘されていた。
【0007】
この問題に対して、これまでに種々の解決策が提案されており、フィルター要素と出口側容器との間に連接棒と呼ばれる軟質塩ビチューブを挿入して密着を防ぐ方法(EP0526678)、軟質容器内面に高低差0.2〜2mmの凹凸をつけて密着を防ぐ方法(特開平11−216179号公報)、ニットファイバー製のスクリーン等を挿入する方法(WO95/17236)等がその代表的なものである。
しかしながら、特開平11−216179号公報で述べられている様に、連接棒やスクリーンを挿入する方法は別部材を挿入することによって容器の溶着不良を起こす危険がある他、製造工程が複雑になる、余分な材料を用いることによって製造コストが増えるなどの問題があった。更には、連接棒を用いる方法は、密着防止効果の及ぶ範囲が連接棒の近傍に限られる恐れがあり、効果に疑問が残るものである。
【0008】
また、特開平11−216179号公報で開示された方法は、連接棒やスクリーンを挿入する方法の問題点に対する解決策として提案されたものの、容器材料とフィルター要素とを直接溶着しようとする場合には、容器内面の凹凸が溶着不良を起こす、耐圧剥離性を低下させるなどの恐れがあり、フレーム溶着型のフィルターにその適用が限定されるものであった。更には、連接棒や軟質容器内面に高低差0.2〜2mmの凹凸をつけて密着を防ぐ方法、ニットファイバー製のスクリーン等を挿入する方法は、結果的にフィルター内のデッドボリューム増大に繋がるために、血液濾過後にフィルター内に残る血液量が多くなり、大切な血液の回収量が低下してしまう恐れもある。
【0009】
これらの例は、いずれもフィルター出口側に生じる陰圧によってもたらされる不具合、即ち出口側容器とフィルター要素との密着を如何にして緩和するか、換言すれば、密着しようとする容器とフィルター要素との間に、血液の通り道になり得る空間を残すために、どの様なスペーサーを配置して密着を阻害するか、との観点で研究されてきたものであり、血液回収量低下、容器の溶着不良、製造工程が複雑になる、余分な材料を用いることによって製造コストが増えるなど、必ずしも満足すべきものではなかった。
【0010】
一方、可撓性フィルターを変形させて血液を採血および濾過するための装置が特開平7−194693号公報に記載されている。この装置は、密閉できる容器内部を真空にして、手術中あるいは手術後に、血液の塊、骨の破片などを含有する汚染された血液を吸引により容器内部へ吸い込み濾過するためのもの、すなわちフィルター周囲を減圧にして可撓性フィルターの容積を増加させることにより、フィルターに血液を導入する装置に過ぎない。従って、重力濾過に際してフィルター有効濾過面積が減少することについては全く考慮されていなかった。
【0011】
このように、可撓性フィルターを用いて血液を重力濾過する際に直面する前記の問題について、簡便に解決する方法はこれまでに知られていなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、可撓性フィルターの出口側容器とフィルター要素との間にこれらの密着を阻害する為のスペーサーを配置することなく、出口側容器とフィルター要素との密着を防ぎ、これによってフィルター要素全体を有効利用することができる、白血球除去方法および装置を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決するために、可撓性容器の出口側を陽圧にする方法(特願2001−116216)、及び可撓性容器に外力を加えて変形することによってフィルター要素と出口側容器との密着を防止する方法(特願2002−47281)をすでに開発して特許出願した。本発明者らは、さらに、血液流出口側の容器内表面とシート状フィルター要素と間に、ある一定の空間を持たせることに着目して鋭意検討を重ねた結果、フィルター外部に減圧のための手段を用いて出口側容器とフィルター要素の密着を防ぐことにより、血液の流れを阻害することなく、スムーズに流れることを見出し、本発明をなすに至った。
【0014】
すなわち本発明は、上方に設置した濾過前血液貯留バッグに接続される血液流入口と下方に設置した濾過後血液回収バッグに接続される血液流出口とを有する可撓性容器に、容器内を血液流入口側と血液流出口側とに隔てるシート状フィルター要素を内蔵してなる白血球除去フィルターを用いて、重力濾過によって血液から白血球を除去する方法において、白血球除去フィルターを密閉容器内にセットし、白血球除去フィルター周囲を大気圧未満に減圧してフィルター本体を変形させ、少なくとも血液流出口側の容器内表面とフィルター要素との間に空間を形成させて濾過を行うことを特徴とする白血球除去方法および白血球除去装置であり、さらに、血液濾過終了後には白血球除去フィルター周囲を大気圧以上に加圧してフィルター内に残存している血液を回収することを特徴とする白血球除去方法および白血球除去装置である。
【0015】
本発明の方法および装置で出口側容器とフィルター要素との密着を防ぐことによって、両者の間に液体が流れる空間を確保することが可能になり、良好な流速を得ることができるだけでなく、その結果、フィルター要素全面が有効に利用され、偏流を防止することができる。さらに、本発明によると、処理速度も向上することができ、意外なことに減圧しない場合に比べて白血球除去能も向上する。
【0016】
【発明の実施形態】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明でいう血液などの液体に含まれる好ましくない成分とは、白血球、血小板、微細凝集塊、ウィルス、細菌、プリオン、病原物質のうち、少なくとも1つ以上の成分である。なお、本発明でいう血液とは、全血あるいは成分分離された血液製剤も含めて指すものである。
【0017】
密閉容器内にフィルターを収納し、密閉容器内を大気圧以下に減圧する場合、密閉容器の形状として、減圧により膨らんだフィルターを収納できる大きさの密閉容器とし、フィルターを出し入れしやすい構造にする。更に密閉容器外部よりフィルターの膨らみ状態が確認できる覗き窓や、圧力ゲージを備えた密閉容器であることが好ましい。減圧の程度は、フィルター出口側容器とフィルター要素との密着を防ぎ、両者の間に血液が流れる空間が確保できる減圧がよい。減圧が強すぎた場合、フィルターが膨らみすぎて破壊してしまう恐れがある。よって適正な減圧として、大気圧未満から−760mmHgまでが好ましく、更に好ましくは大気圧未満から−500mmHgまでが好ましい。従来技術である特開平7−194693においては、300μ程度のメッシュを有するフィルターを用いて、血液の塊,骨の破片などを含有する血液を吸引濾過するものであるが、恐らく760mmHg以上の減圧を負荷しているものと推測される。本発明においては、そのような過度の減圧は不要である。
【0018】
フィルターの変形によって形成される空間とは、濾液流出口側の容器内表面とフィルター要素との隙間のことである。隙間の幅は、最低部分で0.1mm以上あれば液体の流れを確保する上で十分であるが、必要以上に大きくしてもフィルターの容量をいたずらに増やすだけなので、上限は可撓性容器が膨らむ限界の大きさとし、下限のみ0.1mm以上の空間になるようにする。
特開平7−194693の図1は、使い捨て可能な可撓性袋が大きく膨らんでいる様に見受けられる。本発明においては、そこまで膨らます必要はない。
また、濾過効率を考慮すると、フィルターの変形によって容器内面がフィルター要素に密着しない割合は、血液流出口側フィルター要素の濾過面積の70%以上であることが好ましく、もっとも好ましくは全面である。
【0019】
以上の方法を用いて、少なくとも血液流出口側の容器内表面とフィルター要素との間に空間を形成すれば、血液流出口側の容器内表面がフィルター要素に貼り付くようなことが無く、両者の間に血液の流れる空間を確保することが可能になり、良好な流速を得ることができる。また、血液流出口側の容器内表面が密着することによってフィルター要素の一部に実質的な血液の流れが生じない状態、即ちフィルター要素の一部が有効利用されず、偏流が発生するのを防ぐことができ、この偏流を防いだことによってフィルター要素を実質的に最大限有効活用することが可能となり、処理時間が短縮し、処理速度が向上したものと考えられる。
【0020】
更に濾過終了後、白血球除去フィルターの周囲を加圧してフィルター内に残存している血液を回収する際、密閉容器内を大気圧以上に加圧する。加圧の程度は、フィルター内に残存している血液を回収できる圧力が好ましく、そのために必要な圧力は、フィルターの強度や回路の変形などを考慮して下限は大気圧以上、上限は3800mmHgまで、好ましくは760mmHgまでとする。密閉容器内を加圧する時、上方に設置した濾過前血液貯留バッグから血液流入口までの間の回路を、クランプ、鉗子、クリップ、コック、逆流防止弁などを用いて回路を閉鎖し、フィルター内に残存している血液が、血液流入口側回路や濾過前血液貯留バッグに逆戻りしないようにする。
【0021】
次に、本発明の実施態様について、図面を引用してさらに詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
図1は、血液を重力濾過する方法の一例を示す模式図である。濾過前血液貯留バッグ(a)と可撓性容器を用いた白血球除去フィルター(c)の血液入口は上流側流路(b)によって接続され、白血球除去フィルター(c)は濾過前血液貯留バッグ(a)からぶら下がっている。上流側流路(b)と、白血球除去フィルター(c)の間には、クランプ(h)が取り付けられている。白血球除去フィルター(c)の濾液流出口には濾過後血液回収バッグ(e)が下流側流路(d)に接続されている。なお、濾過後血液回収バッグ(e)は床面に水平になるように設置されていても構わない。白血球除去フィルター(c)から濾過後血液回収バッグ(e)までの距離が下流側落差である。血液は前記血液貯留バッグ(a)から血液回収バッグ(e)へ全落差によって重力濾過される。密閉容器(f)は、膨らんだフィルター全体が収納可能な大きさとする。密閉容器の材質は、プラスチック、金属、ガラスなどの材質により製作された容器であり、通気孔(g)を介して減圧および加圧が可能なポンプ、シリンジ、アスピレーター、コンプレッサーなどに接続されている。密閉容器に接続された通気孔部分、上流側流路部分、下流側流路部分は、接続部分が樹脂やゴムなどの材料によりシールされて、密閉容器内の圧力変化に対して減圧または加圧状態を保持できる構造とする。密閉容器外部より白血球除去フィルターが出し入れしやすいように開閉式の扉がついているものが好ましい。また、密閉容器内のフィルターの膨らみ変化を確認するために、密閉容器に覗き窓が付いており、更には密閉容器内の圧力変化を確認するための圧力ゲージを設置していることが好ましい。
【0022】
フィルターの血液流入口、血液流出口、可撓性容器の形成材料としては、可撓性の熱可塑性樹脂が使用され、具体的には、軟質塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニル−ウレタン共重合体、ポリ塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸メチル共重合体、および上記ポリマーと可塑剤とからなる軟質ポリ塩化ビニル変性体)、スチレン−ブタジエンースチレン共重合体またはその水添物、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体またはその水添物の熱可塑性エラストマー、および熱可塑性エラストマーとポリオレフィン、エチレン−エチルアクリレートなどの軟化剤との混合物、ポリウレタン(ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレンとポリエチレンもしくはポリブテンの混合物)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミドが挙げられる。好ましくは、軟質塩化ビニル系樹脂、スチレンーエチレンーブチレンースチレン共重合体およびこれらを主成分とする熱可塑性エラストマーである。なお、血液流入口、血液流出口の形成材料としては、硬質樹脂を用いても良い。硬質樹脂としては、硬質もしくは半硬質塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂などが使用できる。
【0023】
フィルター要素としては、繊維の直径が0.01μmから20μmの不織布が用いられており、繊維の素材としては、合成繊維、再生セルロースのような半合成繊維、綿のような天然繊維、無機繊維などからなるものが使用される。中でも合成繊維、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリルなどの繊維が好ましく用いられる。
フィルター要素は、血液適合性や選択分離性を改善する目的から特定のポリマーをコーティングしてあってもよい。コーティング用コート剤としては、非イオン性親水基を含む一種以上のモノマーと塩基性含窒素官能基を有する一種以上のモノマーを表面グラフト重合させるか、あるいはこれらのモノマーを共重合させるか、もしくは別々に合成しておき、ポリマーをブレンドしたものを用いることができる。
【0024】
これらの可撓性容器やフィルター要素の固着は、接着剤を用いない融着が好ましい。溶着はヒートシールによる外部加熱溶着、高周波ウェルダ−、超音波ウェルダーによる内部加熱溶着でも良い。また溶着の方法は、上記部材をすべて同時に融着しても、分けて行っても良い。
【0025】
図2−aおよび図2−bは、密閉容器(f)の一例を示す模式図である。密閉容器は、膨らんだフィルター全体が収納可能な大きさとする。密閉容器の材質は、プラスチック、金属、ガラスなどの材質により製作された容器であり、通気孔(g)を介して減圧および加圧が可能なポンプ、シリンジ、アスピレーター、コンプレッサーなどに接続されている。密閉容器に接続された通気孔、上流側流路部分(i)、下流側流路部分(j)は、接続部分が樹脂やゴムなどの材料によりシールされており、密閉容器内の圧力変化に対して減圧または加圧状態を保持できる構造とする。密閉容器は、外部よりフィルターが出し入れしやすいように開閉式の扉が付いているものが好ましい。また、密閉容器内のフィルターの膨らみ変化を確認するために、密閉容器に覗き窓が付いており、更には、密閉容器内の圧力変化を確認するために、圧力ゲージを設置していることが好ましい。
【0026】
密閉容器に白血球除去フィルターを装着する方法の1例として、密閉容器にある開閉式の蓋を開けて、容器内部に白血球除去フィルターを装着し、白血球除去フィルターに取り付けられている上流側回路(b)と下流側回路(d)を密閉容器の上流側流路部分(i)、下流側流路部分(j)に組み込み、蓋を閉める。密閉容器の通気孔をポンプ、シリンジ、アスピレーターに接続する。
密閉容器内を減圧し、減圧状態を保持した後に、クランプ(h)を開放して、濾過前血液貯留バッグ(a)より白血球除去フィルターに血液を流しての濾過を行う。濾過終了後にクランプ(h)を閉じる。
【0027】
フィルター内残存血液回収を行う場合、密閉容器の通気孔を介して減圧状態を解除し、密閉容器内を加圧する。加圧する手段としては、ポンプ、コンプレッサー、シリンジなどによる加圧が挙げられ、加圧中の白血球除去フィルターのつぶれ具合や、回路のつぶれ具合を見ながら圧力を適宜調整する。好ましい圧力は大気圧以上、760mmHgまでの範囲である。加圧状態を保持し、白血球除去フィルター内に残存している血液を濾過後血液回収バッグ(e)に回収して、血液回収量をアップする。
【0028】
図2−aは、密閉容器(f)中のフィルター位置が、床面に対して垂直に使用するのが好ましいように設計したもの、図2−bは、密閉容器(f)中のフィルター位置が、床面に対して水平に使用するのが好ましいように設計したものであるが、これにより限定されるものではない。
【0029】
以上のように、フィルター外部より減圧によりフィルターを変形させ、少なくとも血液流出口側の容器内表面とフィルター要素との間に空間を形成させた状態で、血液を濾過すれば、形成された空間によって流れが均一化され、フィルター要素の有効利用率が高まり、血液処理時間が短縮される。
そして、本発明においては、血液濾過後に密閉容器内を大気圧以上にすれば、白血球除去フィルター内に残存している血液は、容易にフィルターから回収できる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
可撓性容器形成部材として、軟質ポリ塩化ビニルシートを用いた。この部材に、軟質ポリ塩化ビニルにより成型した血液流入口および血液流出口を、おのおの高周波ウェルダーを用いて溶着した。このようにして作製した可撓性容器にポリエチレンテレフタレート繊維不織布よりなるシート状フィルター要素を挟みこみ、容器とフィルター要素の周縁部を高周波ウェルダーにより溶着してフィルターを得た。
このフィルターの血液流入口側と濾過前血液貯留バッグを、長さ50cmの上流側流路により接続した。フィルターから濾過前液体貯留バッグまでの距離を上流側落差とした。フィルターの血液流出口側と濾過後血液回収バッグを長さ70cmの下流側流路に接続した。その濾過後回収バッグは床面に水平になるように設置した。フィルターから濾過後回収バッグまでの距離を下流側落差とした。上流側落差及び、下流側落差を合計した全落差を120cmに固定した。
【0031】
次に、血液流入口および血液流出口を取り付けたフィルター本体を、図2−aに示す密閉容器内に入れ、フィルター本体が実質的に垂直位置になるように配置した。フィルターの血液流入口側回路および血液流出口側回路を、密閉容器の上流側流路部分と下流側流路部分に組み込み、密閉容器外部から空気の出入りがないようにした。この密閉容器に真空ポンプを接続し、ゲージ圧が−500mmHgになるように減圧してフィルターを膨らませた。フィルターの膨らみ測定方法については、別に用意した内部が観察できるガラス付き大型真空乾燥機(yamato VacuumDryingOvenDP41)を使用した。あらかじめフィルターに、厚み測定用のノギスを接着テープで固定し、フィルターのポート部分には詮をして、真空乾燥機内をゲージ圧で、−500mmHgに減圧した。その時のフィルター厚み変化をノギスにより測定した。フィルター厚み変化は、次式により求めた。
フィルター厚み変化(cm)=
{拡張後のフィルターの厚み(cm)}−{拡張前のフィルター厚み(cm)}
評価用被濾過液体は、粘度8.7mPas(25℃)に調製したポリビニルピロリドン(分子量39万)水溶液に、書道用朱液をポリビニルピロリドン水溶液に対して微量添加して、濾過前血液貯留バッグに注入した。この被濾過液体587.1gを、室温にて重力を用いてフィルターに流した。フィルターに該被濾過液を流した後、耐圧容器内を大気圧に戻して該被濾過液を回収した。該被濾過液587.1gを濾過するのに要した時間と、そのときの回収量を測定し、その値から処理速度(g/min)を算出した。
処理速度(g/min)
={被濾過液体を回収した重さ(g)}/{被濾過液体を濾過するのに要した時間(min)}
評価用被濾過液体をフィルターに流した後、そのフィルターを回路より切り離した。フィルターを解体し、フィルター要素を取り出し、そのフィルター要素1枚1枚を液体流入側から濾液流出側に順に並べて、フィルター要素に着色されている書道用朱液の濃淡を定性的に検査した。そのときの検査結果を次のように示した。
偏流あり=濾液流出口付近のみ、書道用朱液によって着色され、その部分に被濾過液体が集中して流れたと思われる状態。
偏流なし=濾液流出側まで、フィルター全面が書道用朱液によって、ある程度均一に着色されている状態。
【0032】
【実施例2】
密閉容器内にフィルターをセットして、密閉容器に接続したポンプのゲージ圧が−500mmHgになるように減圧して、フィルターを膨らませた。被濾過液体を室温にて重力を用いてフィルターに流した後、密閉容器内を加圧して500mmHgにしてフィルター内に残存している該被濾過液を回収した。密閉容器内を加圧した以外は、実施例1と同じ条件で行った。
【0033】
【比較例1】
密閉容器を用いなかった以外は、実施例1と同じ操作、評価を行った。
【0034】
以上の結果を表1に示した。
表1から分かるように、実施例1、2は、比較例1のフィルターと比べて該被濾過液体の処理時間が短縮した。実施例2の場合、濾過終了後に密閉容器内を加圧することにより、該被濾過液体の回収量が多くなった。
また、該被濾過液体を処理した後にフィルターを解体して、書道用朱液の濃淡を定性的に検査した結果、実施例1、2のフィルターは偏流が見られなかった。
これらの結果から、減圧容器内を大気圧以下にしてフィルターを膨らませたことにより、濾液流出口側の容器内表面とシート状フィルター要素との間に空間が形成され、フィルター要素の広い部分が有効利用されたものと思われた。
【0035】
【実施例3】
実施例3では、実施例1と同じフィルターおよび密閉容器を用いて、流体を牛血にすることによりフィルターの流れ性を評価した。被濾過液体として、抗凝固保存液CPDを添加した牛の全血を20℃一晩保存した。その後、微小凝集物を取り除いたCPD添加牛血を濾過前液体貯留バッグに注入した。この濾過前液体貯留バックに注入した被濾過液体587.1gを、室温にて重力を用いて実施例、比較例のフィルター流した。このフィルター処理後の処理血に溶血液を添加し、遠心濃縮後、核染色液を添加した。この処理血をNageotte計算板に流し込み、蛍光顕微鏡を用いて白血球濃度を測定した。次式により、白血球除去率を求めた。
白血球除去率(−Log)
=−Log{(フィルター処理後の白血球濃度×処理後の回収量)/(フィルター処理前の白血球濃度×処理前量)}
【0036】
【実施例4】
実施例4では、実施例2と同じフィルターおよび密閉容器を用いて、流体を牛血にすることによりフィルターの流れ性を評価した。被濾過液体として、抗凝固保存液CPDを添加した牛の全血を20℃一晩保存した。その後、微小凝集物を取り除いたCPD添加牛血を濾過前液体貯留バッグに注入した。次に密閉容器内にフィルターをセットして、密閉容器に接続したポンプのゲージ圧が−500mmHgになるように減圧して、フィルターを膨らませた。濾過前液体貯留バックに注入した被濾過液体587.1gを室温にて重力を用いてフィルターに流した。被濾過液体をフィルターに流し、その流れが止まった後に上流側流路にあるクランプを閉め、密閉容器内を加圧して500mmHgにしてフィルター内に残存している該被濾過液を回収した。密閉容器内を加圧した以外は、実施例3と同じ条件で行った。
【0037】
【比較例2】
比較例2では、比較例1と同じフィルターを用いて、流体を牛血にすることによりフィルターの流れ性を評価した。被濾過液体として、抗凝固保存液CPDを添加した牛の全血を20℃一晩保存した。その後、微小凝集物を取り除いたCPD添加牛血を濾過前液体貯留バッグに注入した。被濾過液体を牛血にした以外は、比較例1と同じ操作、評価を行った。
【0038】
以上の結果を表2に示した。
通常使用構成のフィルターである比較例2に比べて、出口部分を拡張して隙間を持たせた実施例3、4においては、フィルター要素の濾過部が実質的に有効利用され、いずれの場合にも濾過液流速が速くなり、白血球除去能も高くなった。この理由については、フィルター要素全体がより有効利用され、その結果流速が速くなり、かつ白血球除去能も高くなったものと考えられた。
【0039】
【表1】
Figure 2004081296
【0040】
【表2】
Figure 2004081296
【0041】
【発明の効果】
濾液流出口側の容器内表面とフィルター要素との間に空間を形成させて濾過を行うことにより、濾過液体の流れが均一化され、フィルター要素の有効利用率か高まり、液体処理時間が短縮される。その結果高い処理速度および白血球除去能を達成することができる。また、濾液流出口側容器とフィルター要素との密着を阻害するスペーサーを配置することなしに、フィルター要素を有効に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の濾過方法の模式図を示す。
【図2】密閉容器にフィルターを入れ、容器内を減圧にし、フィルターを変形させた本発明の方法および装置を説明する模式図である。
【符号の説明】
a 濾過前血液貯留バッグ
b 上流側流路
c 可撓性容器からなるフィルター
d 下流側流路
e 濾過後血液回収バッグ
f 密閉容器
g 密閉容器とポンプ、コンプレッサー、アスピレーター、シリンジなどへの接続するための通気孔
h クランプ、鉗子、コック、逆流防止弁など
i 上流側流路部分
j 下流側流路部分
k ポート

Claims (6)

  1. 上方に設置した濾過前血液貯留バッグに接続される血液流入口と下方に設置した濾過後血液回収バッグに接続される血液流出口とを有する可撓性容器に、容器内を血液流入口側と血液流出口側とに隔てるシート状フィルター要素を内蔵してなる白血球除去フィルターを用い、重力濾過によって血液から白血球を除去する方法において、白血球除去フィルターを密閉容器内にセットし、白血球除去フィルター周囲を大気圧未満に減圧してフィルター本体を変形させ、少なくとも血液流出口側の容器内表面とフィルター要素との間に空間を形成させて濾過を行うことを特徴とする白血球除去方法。
  2. シート状フィルター要素がポリエチレンテレフタレート繊維またはポリプロピレン繊維からなる不織布を含む請求項1に記載の白血球除去方法。
  3. さらに、血液濾過終了後に白血球除去フィルター周囲を大気圧以上に加圧してフィルター内に残存している血液を回収することを特徴とする請求項1または2に記載の白血球除去方法。
  4. 重力濾過による白血球除去装置において、上方に設置した濾過前血液貯留バッグに接続される血液流入口と下方に設置した濾過後血液回収バッグに接続される血液流出口を有する可撓性容器に、容器内を血液流入側と血液流出側とに隔てるシート状フィルター要素を内蔵してなる白血球除去フィルター、該白血球除去フィルターを収納する減圧手段に接続された耐圧容器、及び減圧手段を含むことを特徴とする白血球除去装置。
  5. シート状フィルター要素がポリエチレンテレフタレート繊維またはポリプロピレン繊維からなる不織布を含む請求項4に記載の白血球除去装置。
  6. 耐圧容器に接続された加圧手段をさらに含むことを特徴とする請求項4または5に記載の白血球除去装置。
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