JP2004079091A - 記録装置および方法 - Google Patents

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河原 裕幸
Shiro Morotomi
諸冨 司郎
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Abstract

【課題】記録媒体に記録された楽曲についての情報を音声情報で得られるようにし、操作性を向上する。
【解決手段】記録媒体にオーディオデータであるメインデータを記録すると共に、外部から曲名やアーチスト名等の音声信号を入力し、メインデータに関連づけて、サブデータとして記録する。メインデータがトラックインフォメーションテーブルで管理され、サブデータはトラックサブインフォメーションテーブルで管理される。音声の付加情報を聞きながら、ユーザは、所望の楽曲の選択が行える。メインデータとサブデータとは独立しており、メインデータの再生モードとサブデータの再生モードとを完全に切り換えることができる。また、メインデータの編集、書き換えと、サブデータの編集、書き換えとを独立して行える。
【選択図】    図34

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディジタルオーディオ信号を記録媒体に記録する記録装置および記録方法に関するもので、特に、付加情報を直感的に得ることができるようにしたものに係わる。
【0002】
【従来の技術】
大容量の記録メディアを備え、多数の楽曲のオーディオデータを記録できるようにしたシステムが登場してきている。例えば、記録メディアとしてHDD(Hard Disk Drive)を備え、このHDDに例えばMP3(MPEG1 Audio Layer−3)で圧縮したオーディオデータを記録するようにしたシステムでは、HDDとして数Gバイトのものを搭載しており、何百もの楽曲を記録できるようにしたものが登場してきている。
【0003】
また、ディジタルオーディオデータを記録再生するための記録媒体として、カートリッジに収納された直径64mmの光磁気ディスクであるミニディスク(MD)が広く普及している。このような、現行のMDとの互換性を確保しつつ、記録容量を増大させることができるようにしたものが提案されている。このような新規のMDシステムでは、何百もの楽曲を記録できる。
【0004】
このように、記録媒体に記録された複数のディジタルオーディオデータの中から所望の楽曲のデータを検索する場合、従来では、記録媒体に記録された楽曲のリストをディスプレイ上に文字情報で表示し、このリストの中から所望の楽曲をユーザが選択するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このように、多数の楽曲が記録された記録されるようなシステムでは、ユーザは、何百曲もあるリストの中から、目的の曲を探し出さなくてはならず、ユーザにとって使い勝手がよくない。
【0006】
また、従来のような楽曲の管理方法においては、ユーザが、アルバムや曲のタイトルをしっかりと記憶していることを前提としており、ユーザがアルバムや曲のタイトルをうろ覚えであったり、知らなかったりした場合、ユーザは、目的の曲を検索するまでに、長時間要したり、探し出すことができないことがあるという問題がある。
【0007】
また、文字情報により複数の曲を管理する場合、新たに曲を記録するときに、アルバムや曲のタイトルを取得する必要がある。予めアルバムや曲のタイトルが音楽データに付されていたり、インターネットを介して供給されている場合、そこからタイトルを取得して、タイトルを登録することができるが、アルバムや曲のタイトルが音楽データに付されていなかったり、インターネットを介して供給されていない場合、ユーザは、操作部を操作して、タイトルを手入力しなければならず、ユーザに負担を強いるという問題がある。
【0008】
また、携帯型のオーディオ機器は、車内や歩きながら使用されることが多い。文字情報による検索では、ディスプレイに表示される文字を見なければならず、自動車を運転しながらの操作や、歩きながらの操作は困難である。
【0009】
さらに、自分の好みの楽曲を集めて、オリジナルのアルバムを作成したいというユーザの嗜好がある。このとき、タイトルやアーチストなどの曲の紹介をした後に音楽が再生できれば、ユーザがディスクジョッキをしているような楽しみができる。曲の紹介の音声は、ディジタルオーディオデータの各曲間に入れることは可能であるが、ディジタルオーディオデータの各曲間に音声情報を入れると、オーディオデータに影響を与えることになり、編集作業が困難である。
【0010】
したがって、この発明の目的は、記録媒体に記録された楽曲についての情報を文字情報によらずに得ることができ、車内や歩きながらでも楽曲の検索が容易に行え、操作性が向上されるようにした記録装置および方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、記録媒体にメインデータを記録する記録手段と、
外部から入力される音声信号をサブデータに変換する変換手段と、
記録手段が記録媒体にメインデータを記録するときに、外部から入力される音声信号を変換手段がサブデータに変換すると共に、メインデータに関連づけて記録媒体に当該サブデータが記録されるように制御する制御手段とを備え、
サブデータは、メインデータを管理するメイン管理データとは異なるサブ管理データにより管理されていることを特徴とする記録装置である。
【0012】
この発明は、記録媒体にメインデータを記録すると共に、
記録媒体にメインデータを記録するときに、外部から音声信号を入力し、
外部から入力される音声信号をサブデータに変換すると共に、メインデータに関連づけて記録媒体に当該サブデータを記録し、
サブデータを、メインデータを管理するメイン管理データとは異なるサブ管理データにより管理するようにしたことを特徴とする記録方法である。
【0013】
メインとなるオーディオデータは、オーディオデータファイルに記録され、付加情報となる音声データは、オーディオサブデータファイルに記録される。そして、メインデータがトラックインフォメーションテーブルで管理されるのに対して、サブデータはトラックサブインフォメーションテーブルで管理されている。このため、メインデータとサブデータとは独立しており、メインデータの再生モードとサブデータの再生モードとを完全に切り換えることができる。また、メインデータの編集、書き換えと、サブデータの編集、書き換えとを独立して行える。
【0014】
このオーディオサブデータファイルには、曲名、アーチスト名などの付加情報がユーザにより音声で記録される。この音声の付加情報は、オーディオデータをダウンロードするときに記録される。この音声の付加情報を聞きながら、ユーザは、所望の楽曲の選択が行える。また、この音声の付加情報を使って、ディスクジョッキー風の再生が可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
1.記録方式の概要
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。この発明が適用された記録再生装置では、MD(ミニディスク)システムで使用されているディスクと同様あるいはMDシステムで使用されているディスクに準拠した光磁気記録のディスクを記録媒体として用い、現行のパーソナルコンピュータとの親和性が図れるように、ファイル管理システムとしてFAT(File Allocation Table)システムを使って、オーディオデータのようなコンテンツデータを記録再生するようにしている。また、現行のMDシステムに対して、エラー訂正方式や変調方式を改善することにより、データの記録容量の増大を図るとともに、データの信頼性を高めるようにしている。更に、コンテンツデータを暗号化するとともに、不正コピーを防止して、コンテンツデータの著作権の保護が図れるようにしている。
【0016】
記録再生のフォーマットとしては、現行のMDシステムで用いられているディスクと全く同様のディスクを用いるようにした次世代MD1の仕様と、現行のMDシステムで用いられているディスクと外形は同様であるが、磁気超解像度(MSR)技術を使うことにより、線記録方向の記録密度を上げて、記録容量をより増大した次世代MD2の仕様とが提案されている。
【0017】
現行のMDシステムでは、カートリッジに収納された直径64mmの光磁気ディスクが記録媒体として用いられている。ディスクの厚みは1.2mmであり、その中央に11mmの径のセンターホールが設けられている。カートリッジの形状は、長さ68mm、幅72mm、厚さ5mmである。
【0018】
次世代MD1の仕様でも次世代MD2の仕様でも、これらディスクの形状やカートリッジの形状は、全て同じである。リードイン領域の開始位置についても、次世代MD1の仕様および次世代MD2の仕様のディスクも、29mmから始まり、現行のMDシステムで使用されているディスクと同様である。
【0019】
トラックピッチについては、次世代MD2では、1.2μmから1.3μm(例えば1.25μm)とすることが検討されている。これに対して、現行のMDシステムのディスクを流用する次世代MD1では、トラックピッチは1.6μmとされている。ビット長は、次世代MD1が0.44μm/ビットとされ、次世代MD2が0.16μm/ビットとされる。冗長度は、次世代MD1および次世代MD2ともに、20.50%である。
【0020】
次世代MD2の仕様のディスクでは、磁気超解像技術を使うことにより、線密度方向の記録容量を向上するようにしている。磁気超解像技術は、所定の温度になると、切断層が磁気的にニュートラルな状態になり、再生層に転写されていた磁壁が移動することで、微少なマークがビームスポットの中で大きく見えるようになることを利用したものである。
【0021】
すなわち、次世代MD2の仕様のディスクでは、透明基板上に、少なくとも情報を記録する記録層となる磁性層と、切断層と、情報再生用の磁性層とが積層される。切断層は、交換結合力調整用層となる。所定の温度になると、切断層が磁気的にニュートラルな状態になり、記録層に転写されていた磁壁が再生用の磁性層に転写される。これにより、微少なマークがビームスポットの中に見えるようになる。なお、記録時には、レーザパルス磁界変調技術を使うことで、微少なマークを生成することができる。
【0022】
また、次世代MD2の仕様のディスクでは、デトラックマージン、ランドからのクロストーク、ウォブル信号のクロストーク、フォーカスの漏れを改善するために、グルーブを深くし、グルーブの傾斜を鋭くしている。次世代MD2の仕様のディスクでは、グルーブの深さは例えば160nmから180nmであり、グルーブの傾斜は例えば60度から70度であり、グルーブの幅は例えば600nmから700nmである。
【0023】
また、光学的の仕様については、次世代MD1の仕様では、レーザ波長λが780nmとされ、光学ヘッドの対物レンズの開口率NAが0.45とされている。次世代MD2の仕様も同様に、レーザ波長λが780nmとされ、光学ヘッドの開口率NAが0.45とされている。
【0024】
記録方式としては、次世代MD1の仕様も次世代MD2の仕様も、グルーブ記録方式が採用されている。つまり、グルーブ(ディスクの盤面上の溝)をトラックとして記録再生に用いるようにしている。
【0025】
エラー訂正符号化方式としては、現行のMDシステムでは、ACIRC(Advanced Cross Interleave Reed−Solomon Code) による畳み込み符号が用いられていたが、次世代MD1および次世代MD2の仕様では、RS−LDC(Reed Solomon−Long Distance Code)とBIS(Burst Indicator Subcode)とを組み合わせたブロック完結型の符号が用いられている。ブロック完結型のエラー訂正符号を採用することにより、リンキングセクタが不要になる。LDCとBISとを組み合わせたエラー訂正方式では、バーストエラーが発生したときに、BISによりエラーロケーションが検出できる。このエラーロケーションを使って、LDCコードにより、イレージャ訂正を行うことができる。
【0026】
アドレス方式としては、シングルスパイラルによるグルーブを形成したうえで、このグルーブの両側に対してアドレス情報としてのウォブルを形成したウォブルドグルーブ方式が採用されている。このようなアドレス方式は、ADIP(Address in Pregroove)と呼ばれている。現行のMDシステムと、次世代MD1および次世代MD2の仕様では、線密度が異なると共に、現行のMDシステムでは、エラー訂正符号として、ACIRCと呼ばれる畳み込み符号が用いられているのに対して、次世代MD1および次世代MD2の仕様では、LDCとBISとを組み合わせたブロック完結型の符号が用いられているため、冗長度が異なり、ADIPとデータとの相対的な位置関係が変わっている。そこで、現行のMDシステムのディスクを流用する次世代MD1の仕様では、ADIP信号の扱いを、現行のMDシステムのときとは異なるようにしている。また、次世代MD2の仕様では、次世代MD2の仕様により合致するように、ADIP信号の仕様に変更を加えている。
【0027】
変調方式については、現行のMDシステムでは、EFM(8 to 14 Modulation)が用いられているのに対して、次世代MD1および次世代MD2の仕様では、RLL(1,7)PP(RLL;Run Length Limited ,PP;Parity Preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))(以下、1−7pp変調と称する)が採用されている。また、データの検出方式は、次世代MD1ではパーシャルレスポンスPR(1,2,1)MLを用い、次世代MD2ではパーシャルレスポンスPR(1,−1)MLを用いたビタビ復号方式とされている。
【0028】
また、ディスク駆動方式はCLV(Constant Linear Verocity)またはZCAV(Zone Constant Angular Verocity)で、その標準線速度は、次世代MD1の仕様では、2.4m/秒とされ、次世代MD2の仕様では、1.98m/秒とされる。なお、現行のMDシステムの仕様では、60分ディスクで1.2m/秒、74分ディスクで1.4m/秒とされている。
【0029】
現行のMDシステムで用いられるディスクをそのまま流用する次世代MD1の仕様では、ディスク1枚当たりのデータ総記録容量は約300Mバイト(80分ディスクを用いた場合)になる。変調方式がEFMから1−7pp変調とされることで、ウィンドウマージンが0.5から0.666となり、この点で、1.33倍の高密度化が実現できる。また、エラー訂正方式として、ACIRC方式からBISとLDCを組み合わせたものとしたことで、データ効率が上がり、この点で、1.48倍の高密度化が実現できる。総合的には、全く同様のディスクを使って、現行のMDシステムに比べて、約2倍のデータ容量が実現されたことになる。
【0030】
磁気超解像度を利用した次世代MD2の仕様のディスクでは、更に線密度方向の高密度化が図られ、データ総記録容量は、約1Gバイトになる。
【0031】
データレートは標準線速度にて、次世代MD1では4.4Mビット/秒であり、次世代MD2では、9.8Mビット/秒である。
【0032】
2.ディスクについて
図1は、次世代MD1のディスクの構成を示すものである。次世代MD1のディスクは、現行のMDシステムのディスクをそのまま流用したものである。すなわち、ディスクは、透明のポリカーボネート基板上に、誘電体膜と、磁性膜と、誘電体膜と、反射膜とを積層して構成される。更に、その上に、保護膜が積層される。
【0033】
次世代MD1のディスクでは、図1に示すように、ディスクの内周のリードイン領域に、P−TOC(プリマスタードTOC(Table Of Contents))領域が設けられる。ここは、物理的な構造としては、プリマスタード領域となる。すなわち、エンボスピットにより、コントロール情報等がP−TOC情報として記録されている。
【0034】
P−TOC領域が設けられるリードイン領域の外周は、レコーダブル領域(光磁気記録可能な領域)とされ、記録トラックの案内溝としてグルーブが形成された記録再生可能領域となっている。このレコーダブル領域の内周には、U−TOC(ユーザTOC)が設けられる。
【0035】
U−TOCは、現行のMDシステムでディスクの管理情報を記録するために用いられているU−TOCと同様の構成のものである。U−TOCは、現行のMDシステムにおいて、トラック(オーディオトラック/データトラック)の曲順、記録、消去などに応じて書き換えられる管理情報であり、各トラック(トラックを構成するパーツ)について、開始位置、終了位置や、モードを管理するものである。
【0036】
U−TOCの外周に、アラートトラックが設けられる。アラートトラックは、このディスクが次世代MD1方式で使用され、現行のMDシステムのプレーヤでは再生できないことを示す警告音が記録された警告トラックである。
【0037】
図2は、図1に示す次世代MD1の仕様のディスクのレコーダブル領域の構成を示すものである。図2に示すように、レコーダブル領域の先頭(内周側)には、U−TOCおよびアラートトラックが設けられる。U−TOCおよびアラートトラックが含まれる領域は、現行のMDシステムのプレーヤでも再生できるように、EFMでデータが変調されて記録される。EFM変調でデータが変調されて記録される領域の外周に、次世代MD1方式の1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域が設けられる。EFMでデータが変調されて記録される領域と、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域との間は所定の距離の間だけ離間されており、ガードバンドが設けられている。このようなガードバンドが設けられるため、現行のMDプレーヤに次世代MD1の仕様のディスクが装着されて、不具合が発生されることが防止される。
【0038】
1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域の先頭(内周側)には、DDT(Disc Description Table)領域と、リザーブトラックが設けられる。DDT領域には、物理的に欠陥のある領域に対する交替処理をするために設けられる。DDT領域には、さらに、ユニークID(UID)が記録される。UIDは、記録媒体毎に固有の識別コードであって、例えば所定に発生された乱数に基づく。リザーブトラックは、コンテンツの保護を図るための情報が格納される。リザーブトラックは、コンテンツの保護を図るための情報が格納される。
【0039】
更に、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域には、FAT(File Allocation Table)領域が設けられる。FAT領域は、FATシステムでデータを管理するための領域である。FATシステムは、汎用のパーソナルコンピュータで使用されているFATシステムに準拠したデータ管理を行うものである。FATシステムは、ルートにあるファイルやディレクトリのエントリポイントを示すディレクトリと、FATクラスタの連結情報が記述されたFATテーブルとを用いて、FATチェーンによりファイル管理を行うものである。
【0040】
次世代MD1の仕様のディスクにおいては、U−TOC領域には、アラートトラックの開始位置の情報と、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域の開始位置の情報が記録される。
【0041】
現行のMDシステムのプレーヤに、次世代MD1のディスクが装着されると、U−TOC領域が読み取られ、U−TOCの情報から、アラートトラックの位置が分かり、アラートトラックがアクセスされ、アラートトラックの再生が開始される。アラートトラックには、このディスクが次世代MD1方式で使用され、現行のMDシステムのプレーヤでは再生できないことを示す警告音が記録されている。この警告音から、このディスクが現行のMDシステムのプレーヤでは使用できないことが知らされる。
【0042】
なお、警告音としては、「このプレーヤでは使用できません」というような言語による警告とすることができる。勿論、ブザー音とするようにしても良い。
【0043】
次世代MD1に準拠したプレーヤに、次世代MD1のディスクが装着されると、U−TOC領域が読み取られ、U−TOCの情報から、1−7pp変調でデータが記録された領域の開始位置が分かり、DDT、リザーブトラック、FAT領域が読み取られる。1−7pp変調のデータの領域では、U−TOCを使わずに、FATシステムを使ってデータの管理が行われる。
【0044】
図3は、次世代MD2のディスクを示すものである。ディスクは、透明のポリカーボネート基板上に、誘電体膜と、磁性膜と、誘電体膜と、反射膜とを積層して構成される。更に、その上に、保護膜が積層される。
【0045】
次世代MD2のディスクでは、図3Aに示すように、ディスクの内周のリードイン領域には、ADIP信号により、コントロール情報が記録されている。次世代MD2のディスクには、リードイン領域にはエンボスピットによるP−TOCは設けられておらず、その代わりに、ADIP信号によるコントロール情報が用いられる。リードイン領域の外周からレコーダブル領域が開始され、記録トラックの案内溝としてグルーブが形成された記録再生可能領域となっている。このレコーダブル領域には、1−7pp変調で、データが変調されて記録される。
【0046】
次世代MD2の仕様のディスクでは、図3Bに示すように、磁性膜として、情報を記録する記録層となる磁性層101と、切断層102と、情報再生用の磁性層103とが積層されたものが用いられる。切断層102は、交換結合力調整用層となる。所定の温度になると、切断層102が磁気的にニュートラルな状態になり、記録層101に転写されていた磁壁が再生用の磁性層103に転写される。これにより、記録層101では微少なマークが再生用の磁性層103のビームスポットの中に拡大されて見えるようになる。
【0047】
次世代MD1であるか次世代MD2であるかは、例えば、リードインの情報から判断できる。すなわち、リードインにエンボスピットによるP−TOCが検出されれば、現行のMDまたは次世代MD1のディスクであると判断できる。リードインにADIP信号によるコントロール情報が検出され、エンボスピットによるP−TOCが検出されなければ、次世代MD1であると判断できる。なお、次世代MD1と次世代MD2との判別は、このような方法に限定されるものではない。オントラックのときとオフトラックのときとのトラッキングエラー信号の位相から判別することも可能である。勿論、ディスク識別用の検出孔等を設けるようにしても良い。
【0048】
図4は、次世代MD2の仕様のディスクのレコーダブル領域の構成を示すものである。図4に示すように、レコーダブル領域では全て1−7pp変調でデータが変調されて記録され、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域の先頭(内周側)には、DDT領域と、リザーブトラックが設けられる。DDT領域には、物理的に欠陥のある領域に対する交替領域を管理するための交替領域管理データの記録領域として設けられる。さらに、DDT領域には、上述したUIDが記録される。リザーブトラックは、コンテンツの保護を図るための情報が格納される。
【0049】
更に、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域には、FAT領域が設けられる。FAT領域は、FATシステムでデータを管理するための領域である。FATシステムは、汎用のパーソナルコンピュータで使用されているFATシステムに準拠したデータ管理を行うものである。
【0050】
次世代MD2のディスクにおいては、U−TOC領域は設けられていない。次世代MD2に準拠したプレーヤに、次世代MD2のディスクが装着されると、所定の位置にあるDDT、リザーブトラック、FAT領域が読み取られ、FATシステムを使ってデータの管理が行われる。
【0051】
なお、次世代MD1および次世代MD2のディスクでは、時間のかかる初期化作業は不要とされる。すなわち、次世代MD1および次世代MD2の仕様のディスクでは、DDTやリザーブトラック、FATテーブル等の最低限のテーブルの作成以外に、初期化作業は不要で、未使用のディスクからレコーダブル領域の記録再生を直接行うことが可能である。
【0052】
3.信号フォーマット
次に、次世代MD1および次世代MD2のシステムの信号フォーマットについて説明する。現行のMDシステムでは、エラー訂正方式として、畳み込み符号であるACIRCが用いられており、サブコードブロックのデータ量に対応する2352バイトからなるセクタを記録再生のアクセス単位としている。畳み込み符号の場合には、エラー訂正符号化系列が複数のセクタに跨るため、データを書き換える際には、隣接するセクタ間に、リンキングセクタを用意する必要がある。アドレス方式としては、シングルスパイラルによるグルーブを形成したうえで、このグルーブの両側に対してアドレス情報としてのウォブルを形成したウォブルドグルーブ方式であるADIPが使われている。現行のMDシステムでは、2352バイトからなるセクタをアクセスするのに最適なように、ADIP信号が配列されている。
【0053】
これに対して、次世代MD1および次世代MD2のシステムの仕様では、LDCとBISとを組み合わせたブロック完結型の符号が用いられ、64Kバイトを記録再生のアクセス単位としている。ブロック完結型の符号では、リンキングセクタは不要である。そこで、現行のMDシステムのディスクを流用する次世代MD1のシステムの仕様では、ADIP信号の扱いを、新たな記録方式に対応するように、変更するようにしている。また、次世代MD2のシステムの仕様では、次世代MD2の仕様により合致するように、ADIP信号の仕様に変更を加えている。
【0054】
図5、図6、および図7は、次世代MD1および次世代MD2のシステムで使用されるエラー訂正方式を説明するためのものである。次世代MD1および次世代MD2のシステムでは、図5に示すようなLDCによるエラー訂正符号化方式と、図6および図7に示すようなBIS方式とが組み合わされている。
【0055】
図5は、LDCによるエラー訂正符号化の符号化ブロックの構成を示すものである。図5に示すように、各エラー訂正符号化セクタのデータに対して、4バイトのエラー検出コードEDCが付加され、水平方向に304バイト、垂直方向に216バイトのエラー訂正符号化ブロックに、データが二次元配列される。各エラー訂正符号化セクタは、2Kバイトのデータからなる。図5に示すように、水平方向に304バイト、垂直方向に216バイトからなるエラー訂正符号化ブロックには、2Kバイトからなるエラー訂正符号化セクタが32セクタ分配置される。このように、水平方向に304バイト、垂直方向に216バイトに二次元配列された32個のエラー訂正符号化セクタのエラー訂正符号化ブロックのデータに対して、垂直方向に、32ビットのエラー訂正用のリード・ソロモンコードのパリティが付加される。
【0056】
図6および図7は、BISの構成を示すものである。図6に示すように、38バイトのデータ毎に、1バイトのBISが挿入され、(38×4=152バイト)のデータと、3バイトのBISデータと、2.5バイトのフレームシンクとの合計157.5バイトが1フレームとされる。
【0057】
図7に示すように、このように構成されるフレームを496フレーム集めて、BISのブロックが構成される。BISデータ(3×496=1488バイト)には、576バイトのユーザコントロールデータと、144バイトのアドレスユニットナンバと、768バイトのエラー訂正コードが含められる。
【0058】
このように、BISデータには、1488バイトのデータに対して768バイトのエラー訂正コードが付加されているので、強力にエラー訂正を行うことができる。このBISコードを38バイト毎に埋め込んでおくことにより、バーストエラーが発生したときに、エラーロケーションが検出できる。このエラーロケーションを使って、LDCコードにより、イレージャ訂正を行うことができる。
【0059】
ADIP信号は、図8に示すように、シングルスパイラルのグルーブの両側に対してウォブルを形成することで記録される。すなわち、ADIP信号は、アドレスデータをFM変調して、グルーブのウォブルとして記録される。
【0060】
図9は、次世代MD1の場合のADIP信号のセクタフォーマットを示すものである。
【0061】
図9に示すように、ADIP信号の1セクタ(ADIPセクタ)は、4ビットのシンクと、8ビットのADIPクラスタナンバの上位ビットと、8ビットのADIPクラスタナンバの下位ビットと、8ビットのADIPセクタナンバと、14ビットのエラー検出コードCRCとからなる。
【0062】
シンクは、ADIPセクタの先頭を検出するための所定パターンの信号である。従来のMDシステムでは、畳み込み符号を使っているため、リンキングセクタが必要になる。リンキング用のセクタナンバは、負の値を持ったセクタナンバで、「FCh」、「FDh」、「FEh」、「FFh」(hは16進数を示す)のセクタナンバのものである。次世代MD1では、現行のMDシステムのディスクを流用するため、このADIPセクタのフォーマットは、現行のMDシステムのものと同様である。
【0063】
次世代MD1のシステムでは、図10に示すように、ADIPセクタナンバ「FCh」から「FFh」および「0Fh」から「1Fh」までの36セクタで、ADIPクラスタが構成される。そして、図10に示すように、1つのADIPクラスタに、2つのレコーディングブロック(64Kバイト)のデータを配置するようにしている。
【0064】
図11は、次世代MD2の場合のADIPセクタの構成を示すものである。次世代MD2の仕様では、ADIPセクタが16セクタで、ADIPセクタが構成される。したがって、ADIPのセクタナンバは、4ビットで表現できる。また、次世代MDでは、ブロック完結のエラー訂正符号が用いられているため、リンキングセクタは不要である。
【0065】
次世代MD2のADIPセクタは、図11に示すように、4ビットのシンクと、4ビットのADIPクラスタナンバの上位ビットと、8ビットのADIPクラスタナンバの中位ビットと、4ビットのADIPクラスタナンバの下位ビットと、4ビットのADIPセクタナンバと、18ビットのエラー訂正用のパリティとからなる。
【0066】
シンクは、ADIPセクタの先頭を検出するための所定パターンの信号である。ADIPクラスタナンバとしては、上位4ビット、中位8ビット、下位4ビットの16ビット分が記述される。16個のADIPセクタでADIPクラスタが構成されるため、ADIPセクタのセクタナンバは4ビットとされている。現行のMDシステムでは14ビットのエラー検出コードであるが、18ビットのエラー訂正用のパリティとなっている。そして、次世代MD2の仕様では、図12に示すように、1つのADIPクラスタに、1レコーディングブロック(64Kバイト)のデータが配置される。
【0067】
図13は、次世代MD1の場合のADIPクラスタとBISのフレームとの関係を示すものである。
【0068】
図10に示したように、次世代MD1の仕様では、ADIPセクタ「FC」〜「FF」およびADIPセクタ「00」〜「1F」の36セクタで、1つのADIPクラスタが構成される。記録再生の単位となる1レコーディングブロック(64Kバイト)のデータは、1つのADIPクラスタに、2つ分配置される。
【0069】
図13に示すように、1つのADIPセクタは、前半の18セクタと、後半の18セクタとに分けられる。
【0070】
記録再生の単位となる1レコーディングブロックのデータは、496フレームからなるBISのブロックに配置される。このBISのブロックに相当する496フレーム分のデータのフレーム(フレーム「10」からフレーム「505」)の前に、10フレーム分のプリアンブル(フレーム「0」からフレーム「9」)が付加され、また、このデータのフレームの後に、6フレーム分のポストアンブルのフレーム(フレーム506からフレーム511)が付加され、合計、512フレーム分のデータが、ADIPセクタ「FCh」からADIPセクタ「0Dh」のADIPクラスタの前半に配置されるとともに、ADIPセクタ「0Eh」からADIPセクタ「1Fh」のADIPクラスタの後半に配置される。データフレームの前のプリアンブルのフレームと、データの後ろのポストアンブルのフレームは、隣接するレコーディングブロックとのリンキング時にデータを保護するのに用いられる。プリアンブルは、データ用PLLの引き込み、信号振幅制御、信号オフセット制御などにも用いられる。
【0071】
レコーディングブロックのデータを記録再生する際の物理アドレスは、ADIPクラスタと、そのクラスタの前半か後半かにより指定される。記録再生時に物理アドレスが指定されると、ADIP信号からADIPセクタが読み取られ、ADIPセクタの再生信号から、ADIPクラスタナンバとADIPセクタナンバが読み取られ、ADIPクラスタの前半と後半とが判別される。
【0072】
図14は、次世代MD2の仕様の場合のADIPクラスタとBISのフレームとの関係を示すものである。図12に示したように、次世代MD2の仕様では、ADIPセクタが16セクタで、1つのADIPクラスタが構成される。1つのADIPクラスタに、1レコーディングブロック(64Kバイト)のデータが配置される。
【0073】
図14に示すように、記録再生の単位となる1レコーディングブロック(64Kバイト)のデータは、496フレームからなるBISのブロックに配置される。このBISのブロックに相当する496フレーム分のデータのフレーム(フレーム「10」からフレーム「505」)の前に、10フレーム分のプリアンブル(フレーム「0」からフレーム「9」)が付加され、また、このデータのフレームの後に、6フレーム分のポストアンブルのフレーム(フレーム506からフレーム511)が付加され、合計、512フレーム分のデータが、ADIPセクタ「0h」からADIPセクタ「Fh」からなるADIPクラスタに配置される。
【0074】
データフレームの前のプリアンブルのフレームと、データの後ろのポストアンブルのフレームは、隣接するレコーディングブロックとのリンキング時にデータを保護するのに用いられる。プリアンブルは、データ用PLLの引き込み、信号振幅制御、信号オフセット制御などにも用いられる。
【0075】
レコーディングブロックのデータを記録再生する際の物理アドレスは、ADIPクラスタで指定される。記録再生時に物理アドレスが指定されると、ADIP信号からADIPセクタが読み取られ、ADIPセクタの再生信号から、ADIPクラスタナンバが読み取られる。
【0076】
ところで、このようなディスクでは、記録再生を開始するときに、レーザパワーの制御等を行うために、各種のコントロール情報が必要である。次世代MD1の仕様のディスクでは、図1に示したように、リードイン領域にP−TOCが設けられており、このP−TOCから、各種のコントロール情報が取得される。
【0077】
次世代MD2の仕様のディスクには、エンボスピットによるP−TOCは設けられず、コントロール情報がリードイン領域のADIP信号により記録される。また、次世代MD2の仕様のディスクでは、磁気超解像度の技術が使われるため、レーザのパワーコントロールが重要である。次世代MD2の仕様のディスクでは、リードイン領域とリードアウト領域には、パワーコントロール調整用のキャリブレーション領域が設けられる。
【0078】
すなわち、図15は、次世代MD2の仕様のディスクのリードインおよびリードアウトの構成を示すものである。図15に示すように、ディスクのリードインおよびリードアウト領域には、レーザビームのパワーコントロール領域として、パワーキャリブレーション領域が設けられる。
【0079】
また、リードイン領域には、ADIPによるコントロール情報を記録したコントロール領域が設けられる。ADIPによるコントロール情報の記録とは、ADIPクラスタナンバの下位ビットとして割り当てられている領域を使って、ディスクのコントロール情報を記述するものである。
【0080】
すなわち、ADIPクラスタナンバは、レコーダブル領域の開始位置から始まっており、リードイン領域では負の値になっている。図15に示すように、次世代MD2のADIPセクタは、4ビットのシンクと、8ビットのADIPクラスタナンバの上位ビットと、8ビットのコントロールデータ(ADIPクラスタナンバの下位ビット)と、4ビットのADIPセクタナンバと、18ビットのエラー訂正用のパリティとからなる。ADIPクラスタナンバの下位ビットとして割り当てられている8ビットに、図15に示すように、ディスクタイプや、磁気位相、強度、読み出しパワー等のコントロール情報が記述される。
【0081】
なお、ADIPクラスタの上位ビットは、そのまま残されているので、現在位置は、ある程度の精度で知ることができる。また、ADIPセクタ「0」と、ADIPセクタ「8」は、ADIPクラスタナンバの下位8ビットを残しておくことにより、所定間隔で、ADIPクラスタを正確に知ることができる。
【0082】
ADIP信号によるコントロール情報の記録については、本願出願人が先に提案した特願2001−123535号の明細書中に詳細に記載してある。
【0083】
4.記録再生装置の構成
次に、図16、図17により、次世代MD1および次世代MD2の仕様のディスクに対応するディスクドライブ装置(記録再生装置)の構成を説明する。
【0084】
図16には、ディスクドライブ装置1が、例えばパーソナルコンピュータ100と接続可能なものとして示している。
【0085】
ディスクドライブ装置1は、メディアドライブ部2、メモリ転送コントローラ3、クラスタバッファメモリ4、補助メモリ5、USB(Universal Serial Bus)インターフェース6,8、USBハブ7、システムコントローラ9、オーディオ処理部10を備えている。
【0086】
メディアドライブ部2は、装填されたディスク90に対する記録/再生を行う。ディスク90は、次世代MD1のディスク、次世代MD2のディスク、または現行のMDのディスクである。メディアドライブ部2の内部構成は図17で後述する。
【0087】
メモリ転送コントローラ3は、メディアドライブ部2からの再生データやメディアドライブ部2に供給する記録データについての受け渡しの制御を行う。
【0088】
クラスタバッファメモリ4は、メモリ転送コントローラ3の制御に基づいて、メディアドライブ部2によってディスク90のデータトラックからレコーディングブロック単位で読み出されたデータのバッファリングを行う。
【0089】
補助メモリ5は、メモリ転送コントローラ3の制御に基づいて、メディアドライブ部2によってディスク90から読み出された各種管理情報や特殊情報を記憶する。
【0090】
システムコントローラ9は、ディスクドライブ装置1内の全体の制御を行うと共に、接続されたパーソナルコンピュータ100との間の通信制御を行う。
【0091】
すなわち、システムコントローラ9は、USBインターフェース8、USBハブ7を介して接続されたパーソナルコンピュータ100との間で通信可能とされ、書込要求、読出要求等のコマンドの受信やステイタス情報その他の必要情報の送信などを行う。
【0092】
システムコントローラ9は、例えばディスク90がメディアドライブ部2に装填されることに応じて、ディスク90からの管理情報等の読出をメディアドライブ部2に指示し、メモリ転送コントローラ3によって読み出した管理情報等を補助メモリ5に格納させる。
【0093】
パーソナルコンピュータ100からのあるFATセクタの読出要求があった場合は、システムコントローラ9はメディアドライブ部2に、そのFATセクタを含むレコーディングブロックの読み出しを実行させる。読み出されたレコーディングブロックのデータはメモリ転送コントローラ3によってクラスタバッファメモリ4に書き込まれる。
【0094】
システムコントローラ9はクラスタバッファメモリ4に書き込まれているレコーディングブロックのデータから、要求されたFATセクタのデータを読み出させ、USBインターフェース6、USBハブ7を介してパーソナルコンピュータ100に送信させる制御を行う。
【0095】
パーソナルコンピュータ100からのあるFATセクタの書き込み要求があった場合は、システムコントローラ9はメディアドライブ部2に、まずそのFATセクタを含むレコーディングブロックの読み出しを実行させる。読み出されたレコーディングブロックはメモリ転送コントローラ3によってクラスタバッファメモリ4に書き込まれる。
【0096】
システムコントローラ9は、パーソナルコンピュータ100からのFATセクタのデータ(記録データ)をUSBインターフェース6を介してメモリ転送コントローラ3に供給させ、クラスタバッファメモリ4上で、該当するFATセクタのデータの書き換えを実行させる。
【0097】
システムコントローラ9は、メモリ転送コントローラ3に指示して、必要なFATセクタが書き換えられた状態でクラスタバッファメモリ4に記憶されているレコーディングブロックのデータを、記録データとしてメディアドライブ部2に転送させる。メディアドライブ部2では、そのレコーディングブロックの記録データを変調してディスク90に書き込む。
【0098】
システムコントローラ9に対して、スイッチ50が接続される。このスイッチ50は、ディスクドライブ装置1の動作モードを次世代MD1システムおよび現行MDシステムの何れかに設定する。すなわち、ディスクドライブ装置1では、現行のMDシステムによるディスク90に対して、現行のMDシステムのフォーマットと、次世代MD1システムのフォーマットの両方で、オーディオデータの記録を行うことができる。このスイッチ50により、ユーザに対してディスクドライブ装置1本体の動作モードを明示的に示すことができる。
【0099】
ディスクドライブ装置1に対して、例えばLCD(Liquid Crystal Display)からなるディスプレイ51が設けられる。ディスプレイ51は、テキストデータや簡単なアイコンなどの表示が可能とされ、システムコントローラ9から供給される表示制御信号に基づき、このディスクドライブ装置1の状態に関する情報や、ユーザに対するメッセージなどを表示する。
【0100】
オーディオ処理部10は、入力系として、例えばライン入力回路/マイクロホン入力回路等のアナログ音声信号入力部、A/D変換器や、ディジタルオーディオデータ入力部を備える。また、オーディオ処理部10はATRAC圧縮エンコーダ/デコーダや、圧縮データのバッファメモリを備える。更に、オーディオ処理部10は、出力系として、ディジタルオーディオデータ出力部や、D/A変換器およびライン出力回路/ヘッドホン出力回路等のアナログ音声信号出力部を備える。
【0101】
ディスク90が現行のMDのディスクの場合には、ディスク90に対してオーディオトラックが記録されるときに、オーディオ処理部10にディジタルオーディオデータ(またはアナログ音声信号)が入力される。入力されたリニアPCMディジタルオーディオデータ、あるいはアナログ音声信号で入力されA/D変換器で変換されて得られたリニアPCMオーディオデータは、ATRAC圧縮エンコードされ、バッファメモリに蓄積される。そして所定タイミング(ADIPクラスタ相当のデータ単位)でバッファメモリから読み出されてメディアドライブ部2に転送される。メディアドライブ部2では、転送されてくる圧縮データを、EFMで変調してディスク90にオーディオトラックとして書き込みを行う。
【0102】
ディスク90が現行のMDシステムのディスクの場合には、ディスク90のオーディオトラックが再生されるときには、メディアドライブ部2は再生データをATRAC圧縮データ状態に復調して、メモリ転送コントローラ3を介してオーディオ処理部10に転送する。オーディオ処理部10は、ATRAC圧縮デコードを行ってリニアPCMオーディオデータとし、ディジタルオーディオデータ出力部から出力する。あるいはD/A変換器によりアナログ音声信号としてライン出力/ヘッドホン出力を行う。
【0103】
なお、パーソナルコンピュータ100との接続はUSBでなく、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394等の他の外部インターフェースが用いられても良い。
【0104】
記録再生データ管理は、FATシステムを使って行われ、レコーディングブロックとFATセクタとの変換については、本願出願人が先に提案した特願2001−289380号の明細書中に詳細に記載してある。
【0105】
続いて、データトラックおよびオーディオトラックの両方について記録再生を行う機能を有するものとしてのメディアドライブ部2の構成を図17を参照して説明する。
【0106】
図17は、メディアドライブ部2の構成を示すものである。メディアドライブ部2は、現行のMDシステムのディスクと、次世代MD1のディスクと、次世代MD2のディスクとが装填されるターンテーブルを有しており。メディアドライブ部2では、ターンテーブルに装填されたディスク90をスピンドルモータ29によってCLV方式で回転駆動させる。このディスク90に対しては記録/再生時に光学ヘッド19によってレーザ光が照射される。
【0107】
光学ヘッド19は、記録時には記録トラックをキュリー温度まで加熱するための高レベルのレーザ出力を行い、また再生時には磁気カー効果により反射光からデータを検出するための比較的低レベルのレーザ出力を行う。このため、光学ヘッド19には、ここでは詳しい図示は省略するがレーザ出力手段としてのレーザダイオード、偏光ビームスプリッタや対物レンズ等からなる光学系、および反射光を検出するためのディテクタが搭載されている。光学ヘッド19に備えられる対物レンズとしては、例えば2軸機構によってディスク半径方向およびディスクに接離する方向に変位可能に保持されている。
【0108】
また、ディスク90を挟んで光学ヘッド19と対向する位置には磁気ヘッド18が配置されている。磁気ヘッド18は記録データによって変調された磁界をディスク90に印加する動作を行う。また、図示しないが光学ヘッド19全体および磁気ヘッド18をディスク半径方向に移動させためスレッドモータおよびスレッド機構が備えられている。
【0109】
光学ヘッド19および磁気ヘッド18は、次世代MD2のディスクの場合には、パルス駆動磁界変調を行うことで、微少なマークを形成することができる。現行MDのディスクや、次世代MD1のディスクの場合には、DC発光の磁界変調方式とされる。
【0110】
このメディアドライブ部2では、光学ヘッド19、磁気ヘッド18による記録再生ヘッド系、スピンドルモータ29によるディスク回転駆動系のほかに、記録処理系、再生処理系、サーボ系等が設けられる。
【0111】
なお、ディスク90としては、現行のMD仕様のディスクと、次世代MD1の仕様のディスクと、次世代MD2の仕様のディスクとが装着される可能性がある。これらのディスクにより、線速度が異なっている。スピンドルモータ29は、これら線速度の異なる複数種類のディスクに対応する回転速度で回転させることが可能である。ターンテーブルに装填されたディスク90は、現行のMD仕様のディスクの線速度と、次世代MD1の仕様のディスクの線速度と、次世代MD2の仕様のディスクの線速度とに対応して回転される。
【0112】
記録処理系では、現行のMDシステムのディスクの場合に、オーディオトラックの記録時に、ACIRCでエラー訂正符号化を行い、EFMで変調してデータを記録する部位と、次世代MD1または次世代MD2の場合に、BISとLDCを組み合わせた方式でエラー訂正符号化を行い、1−7pp変調で変調して記録する部位が設けられる。
【0113】
再生処理系では、現行のMDシステムのディスクの再生時に、EFMの復調とACIRCによるエラー訂正処理と、次世代MD1または次世代MD2システムのディスクの再生時に、パーシャルレスポンスおよびビタビ復号を用いたデータ検出に基づく1−7復調と、BISとLDCによるエラー訂正処理とを行う部位が設けられる。
【0114】
また、現行のMDシステムや次世代MD1のADIP信号よるアドレスをデコードする部位と、次世代MD2のADIP信号をデコードする部位とが設けられる。
【0115】
光学ヘッド19のディスク90に対するレーザ照射によりその反射光として検出された情報(フォトディテクタによりレーザ反射光を検出して得られる光電流)は、RFアンプ21に供給される。
【0116】
RFアンプ21では入力された検出情報に対して電流−電圧変換、増幅、マトリクス演算等を行い、再生情報としての再生RF信号、トラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE、グルーブ情報(ディスク90にトラックのウォブリングにより記録されているADIP情報)等を抽出する。
【0117】
現行のMDシステムのディスクを再生するときには、RFアンプで得られた再生RF信号は、EFM復調部24およびACIRCデコーダ25で処理される。すなわち再生RF信号は、EFM復調部24で2値化されてEFM信号列とされた後、EFM復調され、更にACIRCデコーダ25で誤り訂正およびデインターリーブ処理される。すなわちこの時点でATRAC圧縮データの状態となる。
【0118】
そして現行のMDシステムのディスクの再生時には、セレクタ26はB接点側が選択されており、その復調されたATRAC圧縮データがディスク90からの再生データとして出力される。
【0119】
一方、次世代MD1または次世代MD2のディスクを再生するときには、RFアンプで得られた再生RF信号は、RLL(1−7)PP復調部22およびRS−LDCデコーダ25で処理される。すなわち再生RF信号は、RLL(1−7)PP復調部22において、PR(1,2,1)MLまたはPR(1,−1)MLおよびビタビ復号を用いたデータ検出によりRLL(1−7)符号列としての再生データを得、このRLL(1−7)符号列に対してRLL(1−7)復調処理が行われる。そして更にRS−LDCデコーダ23で誤り訂正およびデインターリーブ処理される。
【0120】
そして次世代MD1または次世代MD2のディスクの再生時には、セレクタ26はA接点側が選択されており、その復調されたデータがディスク90からの再生データとして出力される。
【0121】
RFアンプ21から出力されるトラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FEはサーボ回路27に供給され、グルーブ情報はADIP復調部30に供給される。
【0122】
ADIP復調部30は、グルーブ情報に対してバンドパスフィルタにより帯域制限してウォブル成分を抽出した後、FM復調、バイフェーズ復調を行ってADIP信号を復調する。復調されたADIP信号は、アドレスデコーダ32およびアドレスデコーダ33に供給される。
【0123】
現行のMDシステムのディスクまたは次世代MD1のシステムのディスクでは、図9に示したように、ADIPセクタナンバが8ビットになっている。これに対して、次世代MD2のシステムのディスクでは、図11に示したように、ADIPセクタナンバが4ビットになっている。アドレスデコーダ32は、現行のMDまたは次世代MD1のADIPアドレスをデコードする。アドレスデコーダ33は、次世代MD2のアドレスをデコードする。
【0124】
アドレスデコーダ32および33でデコードされたADIPアドレスは、ドライブコントローラ31に供給される。ドライブコントローラ31ではADIPアドレスに基づいて、所要の制御処理を実行する。またグルーブ情報はスピンドルサーボ制御のためにサーボ回路27に供給される。
【0125】
サーボ回路27は、例えばグルーブ情報に対して再生クロック(デコード時のPLL系クロック)との位相誤差を積分して得られる誤差信号に基づき、CLVまたはCAVサーボ制御のためのスピンドルエラー信号を生成する。
【0126】
またサーボ回路27は、スピンドルエラー信号や、RFアンプ21から供給されたトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号、あるいはドライブコントローラ31からのトラックジャンプ指令、アクセス指令等に基づいて各種サーボ制御信号(トラッキング制御信号、フォーカス制御信号、スレッド制御信号、スピンドル制御信号等)を生成し、モータドライバ28に対して出力する。すなわち上記サーボエラー信号や指令に対して位相補償処理、ゲイン処理、目標値設定処理等の必要処理を行って各種サーボ制御信号を生成する。
【0127】
モータドライバ28では、サーボ回路27から供給されたサーボ制御信号に基づいて所要のサーボドライブ信号を生成する。ここでのサーボドライブ信号としては、二軸機構を駆動する二軸ドライブ信号(フォーカス方向、トラッキング方向の2種)、スレッド機構を駆動するスレッドモータ駆動信号、スピンドルモータ29を駆動するスピンドルモータ駆動信号となる。このようなサーボドライブ信号により、ディスク90に対するフォーカス制御、トラッキング制御、およびスピンドルモータ29に対するCLVまたはCAV制御が行われることになる。
【0128】
現行のMDシステムのディスクでオーディオデータを記録するときには、セレクタ16がB接点に接続され、したがってACIRCエンコーダ14およびEFM変調部15が機能することになる。この場合、オーディオ処理部10からの圧縮データはACIRCエンコーダ14でインターリーブおよびエラー訂正コード付加が行われた後、EFM変調部15でEFM変調が行われる。
【0129】
そしてEFM変調データがセレクタ16を介して磁気ヘッドドライバ17に供給され、磁気ヘッド18がディスク90に対してEFM変調データに基づいた磁界印加を行うことでオーディオトラックの記録が行われる。
【0130】
次世代MD1または次世代MD2のディスクにデータを記録するときには、セレクタ16がA接点に接続され、したがってRS−LDCエンコーダ12およびRLL(1−7)PP変調部13が機能することになる。この場合、メモリ転送コントローラ3からの高密度データはRS−LDCエンコーダ12でインターリーブおよびRS−LDC方式のエラー訂正コード付加が行われた後、RLL(1−7)PP変調部13でRLL(1−7)変調が行われる。
【0131】
そしてRLL(1−7)符号列としての記録データがセレクタ16を介して磁気ヘッドドライバ17に供給され、磁気ヘッド18がディスク90に対して変調データに基づいた磁界印加を行うことでデータトラックの記録が行われる。
【0132】
レーザドライバ/APC20は、上記のような再生時および記録時においてレーザダイオードにレーザ発光動作を実行させるが、いわゆるAPC(Automatic Lazer Power Control)動作も行う。
【0133】
すなわち、図示していないが、光学ヘッド19内にはレーザパワーモニタ用のディテクタが設けられ、そのモニタ信号がレーザドライバ/APC20にフィードバックされる。レーザドライバ/APC20は、モニタ信号として得られる現在のレーザパワーを、設定されているレーザパワーと比較して、その誤差分をレーザ駆動信号に反映させることで、レーザダイオードから出力されるレーザパワーが、設定値で安定するように制御している。
【0134】
なお、レーザパワーとしては、再生レーザパワー、記録レーザパワーとしての値がドライブコントローラ31によって、レーザドライバ/APC20内部のレジスタにセットされる。
【0135】
ドライブコントローラ31は、システムコントローラ9からの指示に基づいて、以上の各動作(アクセス、各種サーボ、データ書込、データ読出の各動作)が実行されるように制御を行う。
【0136】
なお、図17において一点鎖線で囲ったA部、B部は、例えば1チップの回路部として構成できる。
【0137】
5.次世代MD1および次世代MD2によるディスクの初期化処理について
次世代MD1および次世代MD2によるディスクには、上述したように、FAT外にUID(ユニークID)が記録され、この記録されたUIDを用いてセキュリティ管理がなされる。次世代MD1および次世代MD2に対応したディスクは、原則的には、ディスク上の所定位置、例えばリードイン領域にUIDが予め記録されて出荷される。UIDが予め記録される位置は、リードイン領域に限られない。例えば、ディスクの初期化後にUIDが書き込まれる位置が固定的であれば、その位置に予め記録しておくこともできる。
【0138】
一方、次世代MD1によるディスクは、現行のMDシステムによるディスクを用いることが可能とされている。そのため、UIDが記録されずに既に出回っている、多数の現行のMDシステムによるディスクが次世代MD1のディスクとして使用されることになる。
【0139】
そこで、このような、UIDが記録されずに出回ってしまった現行のMDシステムによるディスクに対しては、規格にて守られたエリアを設け、当該ディスクの初期化時にそのエリアにディスクドライブ装置1において乱数信号を記録し、これを当該ディスクのUIDとして用いる。また、ユーザがこのUIDが記録されたエリアにアクセスすることは、規格により禁止する。なお、UIDは、乱数信号に限定されない。例えば、メーカーコード、機器コード、機器シリアル番号および乱数を組み合わせて、UIDとして用いることができる。さらに、メーカーコード、機器コードおよび機器シリアル番号の何れかまたは複数と、乱数とを組み合わせて、UIDとして用いることもできる。
【0140】
図18は、次世代MD1によるディスクの一例の初期化処理を示すフローチャートである。最初のステップS100で、ディスク上の所定位置がアクセスされ、UIDが記録されているかどうかが確認される。UIDが記録されていると判断されれば、そのUIDが読み出され、例えば補助メモリ5に一時的に記憶される。
【0141】
ステップS100でアクセスされる位置は、例えばリードイン領域のような、次世代MD1システムによるフォーマットのFAT領域外である。当該ディスク90が、例えば過去に初期化されたことがあるディスクのように、既にDDTが設けられていれば、その領域をアクセスするようにしてもよい。なお、このステップS100の処理は、省略することが可能である。
【0142】
次に、ステップS101で、U−TOCがEFM変調により記録される。このとき、U−TOCに対して、アラートトラックと、上述の図2におけるDDT以降のトラック、すなわち1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域とを確保する情報が書き込まれる。次のステップS102で、ステップS101でU−TOCにより確保された領域に対して、アラートトラックがEFM変調により記録される。そして、ステップS103で、DDTが1−7pp変調により記録される。
【0143】
ステップS104では、UIDがFAT外の領域、例えばDDT内に記録される。上述のステップS100で、UIDがディスク上の所定位置から読み出され補助メモリ5に記憶されている場合、そのUIDが記録される。また、上述のステップS100で、ディスク上の所定位置にUIDが記録されていないと判断されていた場合、または、上述のステップS100が省略された場合には、乱数信号に基づきUIDが生成され、この生成されたUIDが記録される。UIDの生成は、例えばシステムコントローラ9によりなされ、生成されたUIDがメモリ転送コントローラ3を介してメディアドライブ2に供給され、ディスク90に記録される。
【0144】
次に、ステップS105で、FATなどのデータが、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域に対して記録される。すなわち、UIDの記録される領域は、FAT外の領域になる。また、上述したように、次世代MD1においては、FATで管理されるべきレコーダブル領域の初期化は、必ずしも必要ではない。
【0145】
図19は、次世代MD2によるディスクの一例の初期化処理を示すフローチャートである。最初のステップS110で、予めUIDが書き込まれている所定位置、例えばリードイン領域や、当該ディスク90が過去に初期化されたことがあるディスクであれば、過去の初期化の際に設けられたDDTなどがアクセスされ、UIDが記録されているかどうかが確認される。UIDが記録されていると判断されれば、そのUIDが読み出され、例えば補助メモリ5に一時的に記憶される。なお、UIDの記録位置は、フォーマット上で固定的に決められているので、ディスク上の他の管理情報を参照することなく、直接的にアクセス可能とされる。これは、上述の図18を用いて説明した処理にも適用することができる。
【0146】
次のステップS111で、DDTが1−7pp変調で記録される。次に、ステップS112で、UIDがFAT外の領域、例えばDDTに記録される。このとき記録されるUIDは、上述のステップS110でディスク上の所定位置から読み出され補助メモリ5に記憶されたUIDが用いられる。ここで、上述のステップS110で、ディスク上の所定位置にUIDが記録されていないと判断されていた場合には、乱数信号に基づきUIDが生成され、この生成されたUIDが記録される。UIDの生成は、例えばシステムコントローラ9によりなされ、生成されたUIDがメモリ転送コントローラ3を介してメディアドライブ2に供給され、ディスク90に記録される。
【0147】
そして、ステップS113で、FATなどが記録される。すなわち、UIDの記録される領域は、FAT外の領域になる。また、上述したように、次世代MD2においては、FATで管理されるべきレコーダブル領域の初期化は、行われない。
【0148】
6.音楽データの管理方式について
前述したように、この発明が適用された次世代MD1および次世代MD2のシステムでは、FATシステムでデータが管理される。また、記録されるオーディオデータは、所望の圧縮方式で圧縮され、著作者の権利の保護のために、暗号化される。オーディオデータの圧縮方式としては、例えば、ATRAC3、ATRAC5等を用いることが考えられている。勿論、MP3(MPEG1 Audio Layer−3 )やAAC(MPEG2 Advanced Audio Coding )等、それ以外の圧縮方式を用いることも可能である。また、オーディオデータばかりでなく、静止画データや動画データを扱うことも可能である。勿論、FATシステムを使っているので、汎用のデータの記録再生を行うこともできる。
【0149】
このような次世代MD1および次世代MD2の仕様のディスクにオーディオデータを記録再生するときの管理方式について説明する。
【0150】
次世代MD1のシステムや次世代MD2のシステムでは、長時間で高音質の音楽データが再生できるようにしたことから、1枚のディスクで管理される楽曲の数も、膨大になっている。また、FATシステムを使って管理することで、コンピュータとの親和性が図られている。このことは、使い勝手の向上が図れるというメリットがある反面、音楽データが違法にコピーされてしまい、著作権者の保護が図られなくなる可能性がある。この発明が適用された管理システムでは、このような点に配慮が配られている。
【0151】
図20は、オーディオデータの管理方式の例である。図20に示すように、この管理方式では、ディスク上には、トラックインデックスファイルと、オーディオデータファイルと、オーディオサブデータファイルが生成される。トラックインデックスファイル、オーディオデータファイル、およびオーディオサブデータファイルは、FATシステムで管理されるファイルである。
【0152】
オーディオデータファイルはメインデータのオーディオデータを記録するもので、図21に示すように、複数の音楽データが1つのファイルとして納められたものであり、FATシステムでオーディオデータファイルを見ると、巨大なファイルに見える。オーディオデータファイルは、その内部がパートとして区切られ、オーディオデータは、パートの集合として扱われる。各パートがオーディオブロックとして示されている。オーディオデータファイルに記録されるオーディオデータは、通常、著作権の保護のために、暗号化される。
【0153】
オーディオサブデータファイルはサブデータを記録するもので、例えばユーザにより音声入力された、各楽曲に関連する音声情報のファイルである。オーディオサブデータファイルは、図22に示すように、各トラックに対応する音声情報のデータからなる。また、各音声情報のデータのバックアップ情報が設けられる。ユーザにより外部から入力された音声情報は、例えばATRAC3で圧縮され、圧縮オーディオデータの形態で記録される。なお、圧縮方式としては、ATRAC3に限らず、ATRACやATRAC5、MP3、AAC等、何を用いても良い。また、オーディオサブデータファイルの音声情報は、高音質は要求されないので、オーディオデータファイルに記録されるメインのオーディオデータの圧縮率に比べて、高い圧縮率とすることができる。また、その圧縮率は固定とでき、暗号化は不要である。
【0154】
トラックインデックスファイルは、オーディオデータファイルに納められた音楽データを管理するための各種の情報が記述されたファイルである。トラックインデックスファイルは、図23に示すように、プレイオーダテーブルと、プログラムドプレイオーダテーブルと、グループインフォメーションテーブルと、トラックインフォメーションテーブルと、パートインフォメーションテーブルと、ネームテーブルと、トラックサブインフォメーションテーブルからなる。
【0155】
プレイオーダテーブルは、デフォルトで定義された再生順序を示すテーブルである。プレイオーダテーブルは、図24に示すように、各トラックナンバ(曲番)についてのトラックインフォメーションテーブルのトラックデスクリプタへのリンク先を示す情報INF1、INF2、…が格納されている。トラックナンバは、例えば「1」から始まる連続したナンバである。
【0156】
プログラムドプレイオーダテーブルは、再生手順を各ユーザが定義したテーブルである。プログラムドプレイオーダテーブルには、図25に示すように、各トラックナンバについてのトラックデスクリプタへのリンク先の情報トラック情報PINF1、PINF2、…が記述されている。
【0157】
グループインフォメーションテーブルには、図26に示すように、グループに関する情報が記述されている。グループは、連続したトラックナンバを持つ1 つ以上のトラックの集合、または連続したプログラムドトラックナンバを持つ1 つ以上のトラックの集合である。グループインフォメーションテーブルは、図26Aに示すように、各グループのグループデスクリプタで記述されている。グループデスクリプタには、図26Bに示すように、そのグループが開始されるトラックナンバと、終了トラックのナンバと、グループネームと、フラグが記述される。
【0158】
トラックインフォメーションテーブルは、図27に示すように、各曲に関する情報が記述される。トラックインフォメーションテーブルは、図27Aに示すように、各トラック毎(各曲毎)のトラックデスクリプタからなる。各トラックデスクリプタには、図27Bに示すように、符号化方式、著作権管理情報、コンテンツの復号鍵情報、その楽曲が開始するエントリとなるパートナンバへのポインタ情報、アーチストネーム、タイトルネーム、元曲順情報、録音時間情報等が記述されている。アーチストネーム、タイトルネームは、ネームそのものではなく、ネームテーブルへのポインタ情報が記述されている。符号化方式は、コーデックの方式を示すもので、復号情報となる。
【0159】
パートインフォメーションテーブルは、図28に示すように、パートナンバから実際の楽曲の位置をアクセスするポインタが記述されている。パートインフォメーションテーブルは、図28Aに示すように、各パート毎のパートデスクリプタからなる。パートとは、1トラック(楽曲)の全部、または1トラックを分割した各パートである。パートデスクリプタのエントリは、トラックインフォメーションテーブルにより指し示される。各パートデスクリプタは、図28Bに示すように、オーディオデータファイル上のそのパートの先頭のアドレスと、そのパートの終了のアドレスと、そのパートに続くパートへのリンク先とが記述される。
【0160】
なお、パートナンバのポインタ情報、ネームテーブルのポインタ情報、オーディオファイルの位置を示すポインタ情報として用いるアドレスとしては、ファイルのバイトオフセット、FATのクラスタナンバ、記録媒体として用いられるディスクの物理アドレス等を用いることができる。
【0161】
ネームテーブルは、ネームの実体となる文字を表すためのテーブルである。ネームテーブルは、図29Aに示すように、複数のネームスロットからなる。各ネームスロットは、ネームを示す各ポインタからリンクされて呼び出される。ネームを呼び出すポインタは、トラックインフォメーションテーブルのアーチストネームやタイトルネーム、グループインフォメーションテーブルのグループネーム等がある。また、各ネームスロットは、複数から呼び出されることが可能である。各ネームスロットは、図29Bに示すように、文字情報であるネームデータと、この文字情報の属性であるネームタイプと、リンク先とからなる。1つのネームスロットで収まらないような長いネームは、複数のネームスロットに分割して記述することが可能である。そして、1つのネームスロットで収まらない場合には、それに続くネームが記述されたネームスロットへのリンク先が記述される。
【0162】
トラックサブインフォメーションテーブルは、図30に示すように、オーディオサブデータファイルに記録された各曲に関連する音声情報のデータの記録位置が記述される。各曲に関連する音声情報は、曲名やアーチスト名等、ユーザにより外部から音声入力された楽曲についての音声情報である。トラックサブインフォメーションテーブルは、図30Aに示すように、各トラック毎(各曲毎)のトラックサブインフォメーションデスクリプタからなる。トラックサブインフォメーションデスクリプタには、図30Bに示すように、トラックサブオーディオファイルに記録されるその楽曲についての音声情報およびバックアップ情報の開始位置と終了位置とが記述される。
【0163】
すなわち、各トラックに関連する音声情報は、オーディオサブデータファイル上のSF−Fromで示される位置からSF−Toで示す位置に渡って記録される。また、この音声情報のバックアップ情報が、オーディオサブデータファイル上のBK−Fromで示される位置からBK−Toで示す位置に渡って記録される。なお、サブデータとして記録する音声情報は、暗号化する必要はなく、また、固定のレートで圧縮することが可能であると共に、複数トラックに渡って記録する必要がないので、トラックサブインフォメーションテーブルを記述するデスクリプタには、符号化方式、著作権管理情報、コンテンツの復号鍵情報等は不要である。
【0164】
この発明が適用されたシステムにおけるオーディオデータの管理方式の例では、図31に示すように、プレイオーダテーブル(図24)により、再生するトラックナンバが指定されると、トラックインフォメーションテーブルのリンク先のトラックデスクリプタ(図27)が読み出され、このトラックデスクリプタから、符号化方式、著作権管理情報、コンテンツの復号鍵情報、その楽曲が開始するパートナンバへのポインタ情報、アーチストネームおよびタイトルネームのポインタ、元曲順情報、録音時間情報等が読み出される。
【0165】
トラックインフォメーションテーブルから読み出されたパートナンバの情報から、パートインフォメーションテーブル(図28)にリンクされ、このパートインフォメーションテーブルから、そのトラック(楽曲)の開始位置に対応するパートの位置のオーディオデータファイルがアクセスされる。オーディオデータファイルのパートインフォメーションテーブルで指定される位置のパートのデータがアクセスされたら、その位置から、オーディオデータの再生が開始される。このとき、トラックインフォメーションテーブルのトラックデスクリプタから読み出された符号化方式に基づいて復号化が行われる。オーディオデータが暗号化されている場合には、トラックデスクリプタから読み出された鍵情報が使われる。
【0166】
そのパートに続くパートがある場合には、そのパートのリンク先がパートデスクリプタが記述されており、このリンク先にしたがってって、パートデスクリプタが順に読み出される。このパートデスクリプタのリンク先を辿っていき、オーディオディデータファイル上で、そのパートデスクリプタで指定される位置にあるパートのオーディオデータを再生していくことで、所望のトラック(楽曲)のオーディオディオデータが再生できる。
【0167】
また、トラックインフォメーションテーブルから読み出されたアーチストネームやタイトルネームのポインタにより指し示される位置にあるネームテーブルのネームスロット(図29)が呼び出され、その位置にあるネームスロットから、ネームデータが読み出される。
【0168】
なお、前述したように、ネームテーブルのネームスロットは、複数参照が可能である。例えば、同一のアーチストの楽曲を複数記録するような場合がある。この場合、図32に示すように、複数のトラックインフォメーションテーブルからアーチストネームとして同一のネームテーブルが参照される。図32の例では、トラックデスクリプタ「1」とトラックデスクリプタ「2」とトラックデスクリプタ「4」は、全て同一のアーチスト「DEF BAND」の楽曲であり、アーチストネームとして同一のネームスロットを参照している。また、トラックデスクリプタ「3」とトラックデスクリプタ「5」とトラックデスクリプタ「6」は、全て同位置のアーチスト「GHQ GIRLS」の楽曲であり、アーチストネームとして同一のネームスロットを参照している。このように、ネームテーブルのネームスロットを、複数のポインタから参照可能にしておくと、ネームテーブルの容量を節約できる。
【0169】
これとともに、例えば、同一のアーチストネームの情報を表示するのに、こののネームテーブルへのリンクが利用できる。例えば、アーチスト名が「DEF BAND」の楽曲の一覧を表示したいような場合には、「DEF BAND」のネームスロットのアドレスを参照しているトラックデスクリプタが辿られる。この例では、「DEF BAND」のネームスロットのアドレスを参照しているトラックデスクリプタを辿ることにより、トラックデスクリプタ「1」とトラックデスクリプタ「2」とトラックデスクリプタ「4」の情報が得られる。これにより、このディスクに納められている楽曲の中で、アーチスト名が「DEF BAND」の楽曲の一覧が表示できる。なお、ネームテーブルは複数参照が可能とされるため、ネームテーブルからトラックインフォメーションテーブルを逆に辿るリンクは設けられていない。
【0170】
7.サブデータとしての音声情報の機能
図20に示したように、このシステムでは、オーディオデータファイルとは別に、オーディオサブデータファイルが設けられており、このオーディオサブデータファイルに、サブデータとして各楽曲についての音声情報を記録することができる。このオーディオサブデータファイルに記録される音声情報を用いて、所望の楽曲を検索することができる。
【0171】
例えば、図33に示すように、オーディオデータファイルに各楽曲のオーディオデータが記録されているとする。この場合、オーディオサブデータファイルには、トラック番号「0」の楽曲に対応する音声情報として、「1番目の曲は、ABC STARSが歌うラブソングXYZです」というような音声情報が記録され、トラック番号「1」の楽曲に対応する音声情報として、「2番目の曲は、DEF BANDが歌う幸せの歌です」というような音声情報が記録され、トラック番号「2」の楽曲に対応する音声情報として、「3番目の曲は、DEF BANDが歌う恋の歌です」というような音声情報が記録される。
【0172】
このような音声情報は、例えば、楽曲をサーバとなるパーソナルコンピュータからダウンロードするときに、ユーザにより音声入力される。
【0173】
図34は、ダウンロード時の音声入力の処理を示すフローチャートである。図34において、楽曲のオーディオデータをダウンロードするか否かが判断され(ステップS201)、楽曲をダウンロードする場合には、ダウンロードする楽曲が指定される(ステップS202)。なお、楽曲の指定としては、複数曲が指定可能である。指定された楽曲のオーディオデータがサーバとなるパーソナルコンピュータから楽曲のオーディオデータが転送される(ステップS203)。転送されてきたオーディオデータは、オーディオトラックファイルに記録される(ステップS204)。
【0174】
オーディオデータの転送が終了されると、付加情報となる音声情報が入力される(ステップS205)。音声入力を行う場合には、ユーザは、マイクロホンに向かって、その楽曲に関連する音声を入力する。外部から入力された音声データは、オーディオサブデータファイルに記録される(ステップS206)。
【0175】
音声入力が終了されたら、ダウンロードを終了するか否かが判断される(ステップS207)。次の楽曲をダウンロードする場合には、次の楽曲に進められ(ステップS208)、ステップS203にリターンされる。ステップS203からステップS208を繰り返していくことで、楽曲が一つずつダウンロードされてオーディオデータファイルに記録されていくと共に、オーディオサブデータファイルに、各トラック毎に外部から入力された音声情報が記録されていく。ステップS207でダウンロードを終了すると判断されたら、トラックインフォメーションテーブルが生成され(ステップS209)、トラックサブインフォメーションテーブルが生成され(ステップS210)、処理が終了される。
【0176】
なお、音声情報の入力は、図16に示したオーディオ処理部10において、入力系として設けられている、ライン入力回路/マイクロホン入力回路等のアナログ音声信号入力部や、A/D変換器や、ディジタルオーディオデータ入力部を使って行うことができる。また、音声情報の圧縮処理や伸長処理は、オーディオデータと同様に、オーディオ処理部10におけるATRAC圧縮エンコーダ/デコーダや、圧縮データのバッファメモリにより行える。
【0177】
図35は、サブデータの音声情報を聞きながら、所望の楽曲をサーチする場合の処理を示すフローチャートである。図35において、音声ディレクトリが要求されると(ステップS221)、トラック番号nが例えば「0」に初期化され(ステップS222)、最初に、トラック番号「0」の音声情報がオーディオサブデータファイルから読み出され(ステップS223)、このトラック番号「0」の音声情報が再生される(ステップS224)。
【0178】
ユーザは、再生される音声情報を聴いて、再生をするか否かを判断する。再生する場合には、再生キーを押す。これにより、再生要求が発生される。
【0179】
再生要求が出されたか否かが判断され(ステップS225)、再生要求が出されていなければ、最後の楽曲か否かが判断され(ステップS226)、最後の楽曲でなければ、トラック番号がインクリメントされ(ステップS227)、ステップS223にリターンされる。
【0180】
ステップS223からステップS227を繰り返していくことにより、トラック番号「0」から順に、サブデータの音声情報が再生されていく。
【0181】
例えば、図33に示したように、各楽曲に関する音声情報がオーディオデータファイルに記録されているとすると、ステップS223からステップS227を繰り返していくことにより、「1番目の曲は、ABC STARSが歌うラブソングXYZです」、「2番目の曲は、DEF BANDが歌う幸せの歌です」、「3番目の曲は、DEF BANDが歌う恋の歌です」というような音声情報が連続して再生される。ユーザは、この音声情報を聞きながら、自分の聴きたい楽曲を検索する。そして、自分の聴きたい楽曲が見つかると、再生キーを押す。これにより、再生要求が発生される。
【0182】
ステップS225で、再生要求が発生されたと判断されると、そのトラックnのオーディオデータがオーディオデータファイルから読み出され(ステップS228)、読み出されたオーディオデータが再生される(ステップS229)。
【0183】
例えば、「2番目の曲は、DEF BANDが歌う幸せの歌です」という音声情報が再生されたところで、再生キーが押されると、トラック番号「1」のアーチストが「DEF BAND」の「幸せの歌」が再生される。
【0184】
ステップS223からステップS227を繰り返していく間に、ステップS225で再生要求が出されずに、ステップS226で最後の楽曲であると判断されたら、それで処理が終了される。
【0185】
また、このような音声情報を使うと、音楽の再生の前に、その楽曲の紹介をする音声が流れるようなディスクジョッキー風の再生が可能である。図36は、音声情報を使ってディスクジョッキー風の再生をする場合のフローチャートである。
【0186】
図36において、DJ再生要求が出されると(ステップS251)、再生する楽曲が指定される(ステップS252)。なお、楽曲の指定としては、全曲指定や、何曲目から何曲目というような複数曲が指定可能である。
【0187】
楽曲が指定されると、対応するトラック番号のサブデータの音声情報がオーディオサブデータファイルから読み出され(ステップS253)、この音声情報が再生される(ステップS254)。それから、対応するメインデータの楽曲のオーディオデータがオーディオデータファイルから読み出され(ステップS255)、このオーディオデータが再生される(ステップS256)。
【0188】
そして、再生終了か否かが判断され、再生終了でなければ、次の楽曲に進められ(ステップS258)、ステップS253にリターンされる。
【0189】
次の楽曲では、同様に、サブデータの音声情報がオーディオサブデータファイルから読み出され(ステップS253)、この音声情報が再生される(ステップS254)、それから、その楽曲のオーディオデータがオーディオサブデータファイルから読み出され(ステップS255)、このオーディオデータが再生される(ステップS256)。
【0190】
例えば、図33に示したように、各楽曲に関する音声情報がオーディオデータファイルに記録されているとすると、DJ再生を行うと、ステップS253からステップS258を繰り返していくことにより、「1番目の曲は、ABC STARSが歌うラブソングXYZです」という音声情報が再生された後に、その楽曲の再生が開始され、次に、「2番目の曲は、DEF BANDが歌う幸せの歌です」という音声情報が再生された後に、その楽曲の再生が開始され、「3番目の曲は、DEF BANDが歌う恋の歌です」というような音声情報が再生された後に、その楽曲の再生が開始されるようになり、DJ風の再生が可能になる。
【0191】
ステップS257で、再生終了と判断されると、それで処理が終了される。
【0192】
また、前述したように、このシステムでは、オーディオデータファイルとは別に、オーディオサブデータファイルが設けられている。このため、楽曲となるオーディオデータに全く変更を加えず、サブデータの音声情報のみ、編集や書き換えを行える。特に、DJ風再生を行う場合に、サブデータのみの編集は有用な機能である。
【0193】
図37は、サブデータの音声情報の書き換え処理を示すフローチャートである。図37において、音声情報を書き換え要求が出されると(ステップS271)、音声情報を書き換える楽曲が指定される(ステップS272)。なお、楽曲の指定としては、全曲指定や、何曲目から何曲目というような複数曲が指定可能である。
【0194】
楽曲が指定されると、ユーザにより外部の音声情報が入力され(ステップS273)、その音声情報が対応するトラックのオーディオサブデータファイルに記録される(ステップS274)。そして、それまで記録されていた音声情報がバックアップ領域に移される(ステップS275)。
【0195】
そして、書き換え終了か否かが判断され、書き換え終了でなければ、ステップS273にリターンされ、次のトラック番号の音声情報の書き換え処理が行われる。ステップS276で書き換え終了であると判断されると、それで処理が終了される。
【0196】
このように、この例では、オーディオデータファイルに記録されるメインデータと、オーディオサブデータファイルに記録されるサブデータは、圧縮されたオーディオデータの形態で記録される点に関しては同じであるが、別々に扱われる。そして、メインデータがトラックインフォメーションテーブルで管理されるのに対して、サブデータはトラックサブインフォメーションテーブルで管理されているため、メインデータとサブデータとは独立しており、メインデータの再生モードとサブデータの再生モードとを完全に切り換えることができる。また、メインデータの編集、書き換えと、サブデータの編集、書き換えとを独立して行える。
【0197】
また、上述の例では、入力された音声を音声情報としてオーディオサブデータファイルに記録しているが、入力された音声信号をテキスト情報に変換し、文字情報としてオーディオサブデータファイルに記録するようにしても良い。
【0198】
【発明の効果】
この発明によれば、メインとなるオーディオデータは、オーディオデータファイルに記録され、付加情報となる音声データは、オーディオサブデータファイルに記録される。そして、メインデータがトラックインフォメーションテーブルで管理されるのに対して、サブデータはトラックサブインフォメーションテーブルで管理されている。このため、メインデータとサブデータとは独立しており、メインデータの再生モードとサブデータの再生モードとを完全に切り換えることができる。また、メインデータの編集、書き換えと、サブデータの編集、書き換えとを独立して行える。
【0199】
このオーディオサブデータファイルには、曲名、アーチスト名などの付加情報がユーザにより音声で記録される。この音声の付加情報は、オーディオデータをダウンロードするときに記録される。この音声の付加情報を聞きながら、ユーザは、所望の楽曲の選択が行える。また、この音声の付加情報を使って、ディスクジョッキー風の再生が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】次世代MD1システムの仕様のディスクの説明に用いる図である。
【図2】次世代MD1システムの仕様のディスクの記録領域の説明に用いる図である。
【図3】次世代MD2システムの仕様のディスクの説明に用いる図である。
【図4】次世代MD2システムの仕様のディスクの記録領域の説明に用いる図である。
【図5】次世代MD1および次世代MD2のエラー訂正符号化処理の説明に用いる図である。
【図6】次世代MD1および次世代MD2のエラー訂正符号化処理の説明に用いる図である。
【図7】次世代MD1および次世代MD2のエラー訂正符号化処理の説明に用いる図である。
【図8】ウォブルを用いたアドレス信号の生成の説明に用いる斜視図である。
【図9】現行のMDシステムおよび次世代MD1システムのADIP信号の説明に用いる図である。
【図10】現行のMDシステムおよび次世代MD1システムのADIP信号の説明に用いる図である。
【図11】次世代MD2システムのADIP信号の説明に用いる図である。
【図12】次世代MD2システムのADIP信号の説明に用いる図である。
【図13】現行のMDシステムおよび次世代MD1システムでのADIP信号とフレームとの関係を示す図である。
【図14】次世代MD1システムでのADIP信号とフレームとの関係を示す図である。
【図15】次世代MD2システムでのコントロール信号の説明に用いる図である。
【図16】ディスクドライブ装置のブロック図である。
【図17】メディアドライブ部の構成を示すブロック図である。
【図18】次世代MD1によるディスクの一例の初期化処理を示すフローチャートである。
【図19】次世代MD2によるディスクの一例の初期化処理を示すフローチャートである。
【図20】オーディオデータの管理方式の一例の説明に用いる図である。
【図21】オーディオデータの管理方式の一例によるオーディオデータファイルの説明に用いる図である。
【図22】オーディオデータの管理方式の一例によるオーディオサブデータファイルの説明に用いる図である。
【図23】オーディオデータの管理方式の一例によるトラックインデックスファイルの説明に用いる図である。
【図24】オーディオデータの管理方式の一例によるプレイオーダテーブルの説明に用いる図である。
【図25】オーディオデータの管理方式の一例によるプログラムドプレイオーダテーブルの説明に用いる図である。
【図26】オーディオデータの管理方式の一例によるグループインフォメーションテーブルの説明に用いる図である。
【図27】オーディオデータの管理方式の一例によるトラックインフォメーションテーブルの説明に用いる図である。
【図28】オーディオデータの管理方式の一例によるパーツインフォメーションテーブルの説明に用いる図である。
【図29】オーディオデータの管理方式の一例によるネームテーブルの説明に用いる図である。
【図30】オーディオデータの管理方式の一例によるトラックサブインフォメーションテーブルの説明に用いる図である。
【図31】オーディオデータの管理方式の一例の処理を説明するための図である。
【図32】ネームテーブルのネームスロットが複数参照可能であることを説明するための図である。
【図33】オーディオデータとして記録される楽曲の管理の説明に用いる略線図である。
【図34】音声情報の記録処理の説明に用いるフローチャートである。
【図35】音声情報を使った楽曲の検索の説明に用いるフローチャートである。
【図36】音声情報を使った再生処理の説明に用いるフローチャートである。
【図37】音声情報の編集、書き換え処理の説明に用いるフローチャートである。
【符号の説明】
1・・・ディスクドライブ装置、2・・・メディアドライブ部、3・・・メモリ転送コントローラ、4・・・クラスタバッファメモリ、5・・・補助メモリ、6,8・・・USBインターフェイス、7・・・USBハブ、10・・・オーディオ処理部、12・・・RS−LDCエンコーダ、13・・・1−7pp変調部、14・・・ACIRCエンコーダ、15・・・EFM変調部、16・・・セレクタ、17・・・磁気ヘッドドライバ、18・・・磁気ヘッド、19・・・光学ヘッド、22・・・1−7復調部、23・・・RS−LDCデコーダ、23・・・EFM変調部、24・・・ACIRCデコーダ、26・・・セレクタ、30・・・ADIP復調部、32,33・・・アドレスデコーダ、50・・・スイッチ、51・・・ディスプレイ、54・・・蓋部、55・・・本体部、70・・・次世代MD1システム、71・・・現行MDシステム、90・・・ディスク、100・・・パーソナルコンピュータ

Claims (18)

  1. 記録媒体にメインデータを記録する記録手段と、
    外部から入力される音声信号をサブデータに変換する変換手段と、
    上記記録手段が上記記録媒体にメインデータを記録するときに、上記外部から入力される音声信号を上記変換手段がサブデータに変換すると共に、上記メインデータに関連づけて上記記録媒体に当該サブデータが記録されるように制御する制御手段とを備え、
    上記サブデータは、上記メインデータを管理するメイン管理データとは異なるサブ管理データにより管理されていることを特徴とする記録装置。
  2. 上記メインデータは楽曲データである請求項1に記載の記録装置。
  3. 上記メインデータは楽曲データであり、上記サブデータは、上記楽曲データに関連する音声データである請求項1に記載の記録装置。
  4. 上記メインデータの楽曲データおよび上記サブデータの音声データは圧縮されたオーディオデータの形態で記録され、上記サブデータの音声データの圧縮率は、上記メインデータの楽曲データの圧縮率より大きくするようにした請求項3に記載の記録装置。
  5. 上記メインデータは楽曲データであり、上記サブデータは、上記楽曲データに関連する音声信号をテキスト変換した文字データである請求項1に記載の記録装置。
  6. 上記記録媒体に記録されているメインデータの再生と、上記サブデータの再生とが切り換え可能とされた請求項1に記載の記録装置。
  7. 上記記録媒体に記録されているメインのデータと、上記サブデータとが独立して編集、書き換え可能とされた請求項1に記載の記録装置。
  8. 上記サブデータを再生して、所望のメインデータをサーチするようにした請求項1に記載の記録装置。
  9. 上記サブデータを再生した後に、上記サブデータと対応するメインデータを再生するようにした請求項1に記載の記録装置。
  10. 記録媒体にメインデータを記録すると共に、
    上記記録媒体にメインデータを記録するときに、外部から音声信号を入力し、
    上記外部から入力される音声信号をサブデータに変換すると共に、上記メインデータに関連づけて上記記録媒体に当該サブデータを記録し、
    上記サブデータを、上記メインデータを管理するメイン管理データとは異なるサブ管理データにより管理するようにしたことを特徴とする記録方法。
  11. 上記メインデータは楽曲データである請求項10に記載の記録方法。
  12. 上記メインデータは楽曲データであり、上記サブデータは、上記楽曲データに関連する音声データである請求項10に記載の記録方法。
  13. 上記メインデータの楽曲データおよび上記サブデータの音声データは圧縮されたオーディオデータの形態で記録され、上記サブデータの音声データの圧縮率は、上記メインデータの楽曲データの圧縮率より大きくするようにした請求項12に記載の記録方法。
  14. 上記メインデータは楽曲データであり、上記サブデータは、上記楽曲データに関連する音声信号をテキスト変換した文字データである請求項10に記載の記録方法。
  15. 上記記録媒体に記録されているメインデータの再生と、上記サブデータの再生とが切り換え可能とされた請求項10に記載の記録方法。
  16. 上記記録媒体に記録されているメインのデータと、上記サブデータとが独立して編集、書き換え可能とされた請求項10に記載の記録方法。
  17. 上記サブデータを再生して、所望のメインデータをサーチするようにした請求項10に記載の記録方法。
  18. 上記サブデータを再生した後に、上記サブデータと対応するメインデータを再生するようにした請求項10に記載の記録方法。
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