JP2004078098A - 階調画像の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、2色以上の色が重なった場合の印刷物の色調を再現する光量設定を、特定の関係に基づいて設定することにより、多色刷りの印刷物に容易にかつ高精度に対応できる階調画像の形成方法を提供することにある。
【解決手段】n種の異なる色を表現できる画像形成材料を用いた階調画像の形成方法において、色調Oと色調Uとが上下に重なった部分で、下部の色調Uの単独の発色濃度をU1、U2、U3、・・・、Un、上部の色調Oの単独の発色濃度をO1、O2、O3、・・・、Onとした時、該色調Uと該色調Oを重ねた時の各発色濃度(D1、D2、D3、・・・、Dn)が、下記の関係式のいずれも満たしていることを特徴とする階調画像の形成方法。D1=O1+a1×U1、D2=O2+a2×U2、D3=O3+a3×U3、・・・、Dn=On+an×Un
【選択図】 なし
【解決手段】n種の異なる色を表現できる画像形成材料を用いた階調画像の形成方法において、色調Oと色調Uとが上下に重なった部分で、下部の色調Uの単独の発色濃度をU1、U2、U3、・・・、Un、上部の色調Oの単独の発色濃度をO1、O2、O3、・・・、Onとした時、該色調Uと該色調Oを重ねた時の各発色濃度(D1、D2、D3、・・・、Dn)が、下記の関係式のいずれも満たしていることを特徴とする階調画像の形成方法。D1=O1+a1×U1、D2=O2+a2×U2、D3=O3+a3×U3、・・・、Dn=On+an×Un
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷物の仕上がりを事前に確認するプルーフに関するものであり、詳しくは、プルーフ画像の形成方法に関するものであり、更に、ハロゲン化銀感光材料、詳しくはハロゲン化銀カラー感光材料(以下、単に感光材料という)を用いた面積階調画像によるデジタルカラープルーフに関し、更に詳しくは、プロセスカラーの組み合わせからなる色調以外の任意の色を表現できる階調画像の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀感光材料は、高感度であること、色再現性に優れていること、連続処理に適していることから今日盛んに用いられている。こうした特徴からハロゲン化銀感光材料は、写真の分野のみではなく、印刷の分野でも、印刷の途中の段階で仕上がりの印刷物の状態をチェックするためのいわゆるプルーフの分野で広く用いられるようになってきている。
【0003】
プルーフの分野では、コンピュータ上で編集された画像を印刷用フィルムに出力し、現像済みのフィルムを適宜交換しつつ分解露光することによってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各画像を形成させ、最終印刷物の画像をカラー印画紙上に形成させることにより、最終印刷物のレイアウトや色の適否を判断することが行われていた。
【0004】
最近では、コンピュータ上で編集された画像を直接印刷版に出力する方式が徐々に普及してきており、このような場合にはコンピュータ上のデータからフィルムを介することなく直接カラー画像を得ることが望まれていた。
【0005】
このような目的には、昇華型・溶融熱転写方式や電子写真方式、インクジェット方式等種々の方式の応用が試みられてきたが、高画質な画像が得られる方式では費用がかかり生産性が劣るという欠点があり、費用が少なくてすみ生産性に優れた方式では画質が劣るという欠点があった。ハロゲン化銀感光材料を用いたシステムでは、優れた鮮鋭性等から、正確な網点画像が形成できるなど高画質な画像形成が可能であり、一方で上述したように連続した処理が可能であることや、複数の色画像形成ユニットに同時に画像を書き込むことができることから高い生産性を実現することが可能であった。
【0006】
近年、印刷の分野でいわゆるデジタル化が進みコンピュータ内のデータから直接画像を得る要求が強まっているが前記したような理由によって、ハロゲン化銀感光材料がこの分野で有利に使われ始めている。
【0007】
また、印刷物においては、プロセスインキでは表現できない色や特殊な印刷効果を狙って、特色インキを使った印刷が行われる場合がある。
【0008】
ハロゲン化銀感光材料を用いてデジタルデータに基づき面積階調画像を形成するシステムでは、露光時の分解露光量を任意に変化させることにより、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の濃度を変化させて、この3色の濃度成分の発色比で決められる一定の色域の中で、任意の色調を再現することが可能である。すなわち、プロセスインキのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の組み合わせで表現可能な白を除く15色以外に、ほぼ無限に近い色調表現が可能であるため前述の特色に近似した色調を再現することが可能である。
【0009】
プロセスインキの組み合わせで表現される色調および特色等の任意の色調をハロゲン化銀感光材料を用いて再現するためには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の濃度成分を調整して組み合わせる必要がある。
【0010】
図1は、各基準色と特色との重なりを示すカラーチャート構成で、「のせ」画像の一例を示す模式図である。
【0011】
図1のa)において、1−1で示すように、プロセスインキのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の重なりの組み合わせで表現可能な色は、白を除く15色に固定されている。これらについては予め光量の設定をしておけば良いのに対して、さらに特色版が1色追加された場合には、白を除いて合計31色の組み合わせの色が生じる。一般的に、Y、M、C、Kのプロセスインキにn種の特色が追加された場合(16×2n−1)色分のY、M、Cの濃度成分比を構成するための光量設定が必要となる。また、特色は、状況によって様々な色が用いられるため、それぞれのケースにおいて予め光量設定を用意するのは非常に困難である。図1の(a)において、1−2は特色を2版(n=2)追加した63色の重なりの色の状態を表した。また、図2は、特色の重なり部分の下部の色を省略したいわゆる「ぬき」の画像を表した模式図である。
【0012】
図1と図2のそれぞれの実画像(b)を比較した場合、図2の(b)では特色版の下の画像が完全にマスクされて絵柄の確認が出来ないのに対し、図1の(b)では各インキの重なりの違いによる色調を詳細に設定することにより、画像の確認が容易となり、印刷物との整合性がより取れた画像となる。
【0013】
以上説明したように、目標とする印刷物の色版の数が増えるに伴い、プルーフとして再現する色の光量設定数が急激に増大するという課題があった。
【0014】
しかしながら、ハロゲン化銀感光材料を用いてデジタルデータに基づき面積階調画像を形成するシステムでは、露光時の分解露光の光量を、実際には印刷物の色を全色測定して、適正な光量設定をするには多大な労力を必要とする。
【0015】
また、印刷物における各色版の重なり部の色調は、印刷インキの性質(透明度)や、印刷用紙または他のインキ上への、インキ転写量によって様々に変化するという問題を抱えている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、2色以上の色が重なった場合の印刷物の色調を再現する光量設定を、特定の関係に基づいて設定することにより、多色刷りの印刷物に容易にかつ高精度に対応できる階調画像の形成方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記の構成により達成された。
【0018】
1.波長の異なる光源を用い、それぞれn種のエネルギー強度を変化させて画像露光を行い、発色現像処理後にn種の異なる色が組み合わされて、任意の色調を表現できる画像形成材料を用いた階調画像の形成方法において、目標とする印刷物の色調Oと色調Uとが上下に重なった部分で、下地となるインキの色調Uを単独で表現するに要するエネルギー量で露光したときに得られる各発色濃度をU1、U2、U3、・・・、Unとし、上に重ねられるインキの色調Oを単独で表現するに要するエネルギー量で露光したときに得られる各発色濃度をO1、O2、O3、・・・、Onとした時、該色調Uと該色調Oを重ねた時の各発色濃度(D1、D2、D3、・・・、Dn)が、下記の関係式のいずれも満たしていることを特徴とする階調画像の形成方法。
【0019】
D1=O1+a1×U1
D2=O2+a2×U2
D3=O3+a3×U3
:
:
:
Dn=On+an×Un
ただし、a1、a2、a3・・・anは独立した透明度係数で、いずれも0よりも大きく1よりも小さい。また、nは2以上の整数を表す。
【0020】
2.支持体上に少なくともシアン、マゼンタ、イエローを発色可能なハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料を、デジタルデータに基づいて波長の異なる3種以上の光源を用いて、任意に光量を変化させて画像露光を行った後、発色現像処理する階調画像の形成方法において、目標とする印刷物の色調Oと色調Uとが上下に重なった部分で、下地となるインキの色調Uを単独で表現するに要するエネルギー量で露光したときに得られる各発色濃度をUy、Um、Ucとし、上に重ねられるインキの色調Oを単独で表現するに要するエネルギー量で露光したときに得られる各発色濃度をOy、Om、Ocとした時、該色調Uと該色調Oを重ねた時の各発色濃度(Dy、Dm、Dc)が、下記の関係式のいずれも満たしていることを特徴とする階調画像の形成方法。
【0021】
Dy=Oy+ay×Uy<My
Dm=Om+am×Um<Mm
Dc=Oc+ac×Uc<Mc
ただし、ay、am、acはそれぞれ独立した透明度係数で、いずれも0よりも大きく1よりも小さい。また、My、Mm、Mcは、イエロー、マゼンタ、シアンの各最大発色濃度(Dmax)を表す。
【0022】
3.前記Oy、Om、Ocと前記My、Mm、Mcで、Oy/My、Om/Mm、Oc/Mcの値が1/4未満のときの透明度係数をそれぞれay(low)、am(low)、ac(low)とし、Oy/My、Om/Mm、Oc/Mcの値が1/4以上、3/4以下のときの透明度係数をぞれぞれay(mid)、am(mid)、ac(mid)とし、Oy/My、Om/Mm、Oc/Mcの値が3/4を超えるときの透明度係数をay(hi)、am(hi)、ac(hi)としたとき、下記の関係式のいずれも満たしていることを特徴とする前記2項に記載の階調画像の形成方法。
【0023】
ay(low)<ay(mid) かつay(mid)>ay(hi)
am(low)<am(mid) かつam(mid)>am(hi)
ac(low)<ac(mid) かつac(mid)>ac(hi)
以下、発明の詳細について説明する。なお、本願においては、支持体上にシアン、マゼンタ、イエローの発色可能な各ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料を例に、説明を行う。
【0024】
通常、印刷物の2色以上が重なった色調を、ハロゲン化銀感光材料の発色で良好に再現させるためには、2色のそれぞれ単独の色を再現させるのに要するY、M、Cの各濃度成分の単純な和では再現することはできない。また、ハロゲン化銀感光材料では、最大発色濃度には限界があり、その最大発色濃度が得られる光量以上の露光を与えても、濃度上昇の寄与は望めない。そのため、印刷インキの重なった色に近似した発色を再現させるためには、一定の規則に沿った光量制御が必要となる。
【0025】
図3は、重ねられる色版の色調を再現するためのイエロー、マゼンタ、シアンの各濃度成分のうち、イエロー成分の発色濃度Oyと、下地となる色版の濃度成分が付加される度合いを決める透明度係数ayとの関係を表す一例である。
【0026】
ayは濃度成分Oyによって異なり、Oyの中間濃度領域で大きく、低濃度および高濃度領域で小さい設定にすることが好ましい。
【0027】
Oyの濃度成分が少ない低濃度領域である場合、下地となるUyの付加される濃度成分量が比較的小さくても、色調差としての判別が容易なのに対して、Oyの濃度成分が中間付近の場合は、Uyの付加される濃度成分量を高めたほうが近似性をより高められる。また、Oyの濃度成分がイエローの最大濃度に近づくにつれて、Uyの付加可能な濃度成分量に限界が生じる。
【0028】
上記理由により、ay(mid)はay(low)およびay(hi)よりも高い値に設定されることで、よりプルーフとしての再現精度を高めることができる。
【0029】
また、ayの値の絶対量は、印刷物において上に重ねられるインキ自体の透明性や転写量によって変化するので、それに合わせて全体量を適宜調整されることが好ましい。
【0030】
図3は、上に凸の放物曲線に設定しているが、このようにOyとayについて、ある一定の関数の関係を持たせることで、Oyの値からRyの値が一義的に決定するため、複数色の濃度成分(露光光量)を決定するのに好都合である。上記の関係を満たしていれば、直線の組み合わせや、複合的な曲線でも良く、図3に限定されない。また、マゼンタ及びシアンについても同様である。
【0031】
本発明において、印刷物における3色以上のインキの重なり部の光量の設定に関しては、印刷順に最初に重なった2色を表現する濃度成分から再現される色を1色と考え、これを繰り返すことにより最終的な濃度成分を設定することができる。
【0032】
ここでいう濃度とは、分光条件としてはステータスA、ステータスTなど何れであってもよいが、印刷画像の評価に用いられるステータスTが好ましい。幾何条件もJIS Z 8722−2000、5.3.1照明及び受光の幾何学的条件で規定される条件a〜条件dの何れの条件を用いてもよいが、条件bが好ましい。
【0033】
CIELAB色空間とは、CIE 1976(L*a*b*色空間)を指し、その座標の求め方については、JIS Z 8729−1994 に記載されている。この色の測定においては、JIS Z 8722−2000 5.3.1照明及び受光の幾何学的条件で規定される条件a〜条件dの何れの条件を用いてもよいが、条件bが好ましい。また、分光測色法については、5.2分光測光器に記載されている第1種、第2種分光測色器を用いても良いし、これに準じた分光測色器を用いてよい。
【0034】
本発明において、画像データ中の白とは、特に印刷において通常用いられるシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックおよび他の任意の色版について網点を画素の集合として形成したデジタルデータにおいて、全ての色版が存在しないデータである画素により構成される画像の部分をいう。
【0035】
本発明において、画像形成層のそれぞれを単独に発色させて得られた値とは、濃度の値、例えば、ブルーの画素を形成するためにシアンおよびマゼンタの画像形成層を該画像形成層に対応する、例えば、波長が互いに異なる2つのレーザーまたは発光ダイオードなどを露光光源とする露光装置を用いて露光する場合に与えるのと同じ露光量を、光源の波長ごとに異なる画素に与えた場合、各光源に対応する画像形成層が発色して得られた値のことをいう。
【0036】
次いで、本発明に係るハロゲン化銀感光材料の詳細について、説明する。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤としては、95モル%以上が塩化銀からなるハロゲン化銀乳剤が好ましく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものが用いられる。中でも、塩化銀を95モル%以上含有する塩臭化銀、中でも臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤が好ましく用いられ、また、表面近傍に沃化銀を0.05〜0.5モル%含有する塩沃化銀も好ましく用いられる。臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤の、高濃度に臭化銀を含有する部分は、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけのいわゆるエピタキシー接合した領域を形成していてもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表面の結晶粒子の頂点に形成されることが特に好ましい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよい。
【0037】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤には重金属イオンを含有させるのが有利である。これによっていわゆる相反則不軌が改良され、高照度露光での減感が防止されたりシャドー側での軟調化が防止されることが期待される。このような目的に用いることのできる重金属イオンとしては、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。これらの金属イオンは、塩や、錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子としてシアン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、カルボニル、アンモニア、1,2,4−トリアゾール等を挙げることができる。中でも、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。ハロゲン化銀乳剤に重金属イオンを含有させるためには、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所で添加すればよい。前述の条件を満たすハロゲン化銀乳剤を得るには、重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に溶解して粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続的に添加することができる。また、あらかじめこれらの重金属化合物を含有するハロゲン化銀微粒子を形成しておいて、これを添加することによって調製することもできる。前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10−9モル以上、1×10−2モル以下がより好ましく、特に1×10−8モル以上5×10−5モル以下が好ましい。
【0038】
本発明に用いられる粒子の形状は、任意のものを用いることができる。好ましい一つの例は、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21、39(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子をつくり、これを用いることもできる。さらに、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
【0039】
本発明に用いられる粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加することが特に好ましい。
【0040】
本発明に用いられる粒子の粒径は、特に制限はないが、迅速処理性及び感度など、他の写真性能などを考慮すると好ましくは、0.1〜1.2μm、更に好ましくは、0.2〜1.0μmの範囲である。
【0041】
この粒径は、粒子の投影面積か直径近似値を使ってこれを測定することができる。粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積としてかなり正確にこれを表すことができる。
【0042】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径の分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは、変動係数が0.15以下の単分散乳剤を2種以上同一層に添加することである。ここで変動係数とは、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0043】
変動係数=S/R
(ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、調製方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
【0044】
本発明に用いられる乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。本発明に係るハロゲン化銀粒子は、一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を作った後で成長させてもよい。種粒子を作る方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0045】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に同時混合法の一形式として、特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0046】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許第2,921,164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。
【0047】
更に、必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0048】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることができる。カルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることができるが、イオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としてはチオ硫酸塩、トリエチルチオ尿素、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。
【0049】
イオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変えることが好ましいが、ハロゲン化銀1モル当たり5×10−10〜5×10−5モルの範囲、好ましくは5×10−8〜3×10−5モルの範囲が好ましい。
【0050】
金増感剤としては、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10−4モル〜1×10−8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10−5モル〜1×10−8モルである。
【0051】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
【0052】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることができる。こうした目的に用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、特開2000−267235の8ページ右欄32〜36行目に記載の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下に化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−5〜5×10−4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6〜1×10−2モル程度の量が好ましく、1×10−5〜5×10−3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6〜1×10−1モル程度の量が好ましく、1×10−5〜1×10−2モルがより好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層以外の層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1m2当り1×10−9〜1×10−3モル程度の量が好ましい。
【0053】
本発明に用いられる感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号記載の染料が好ましく用いられる。
【0054】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち、最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に、少なくとも1層の耐拡散性化合物で着色された親水性コロイド層を有することが好ましい。着色物質としては、染料またはそれ以外の有機、無機の着色物質を用いることができる。
【0055】
本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち、最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に、少なくとも1層の着色された親水性コロイド層を有することが好ましく、該層には、白色顔料を含有していてもよい。例えば、ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、硫酸バリウム、ステアリン酸バリウム、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン等を用いることができるが、種々の理由から、中でも二酸化チタンが好ましい。白色顔料は、処理液が浸透できるような、例えば、ゼラチン等の親水性コロイドの水溶液バインダー中に分散される。白色顔料の塗布付量は、好ましくは0.1〜50g/m2の範囲であり、更に好ましくは0.2〜5g/m2の範囲である。
【0056】
支持体と、支持体から最も近いハロゲン化銀乳剤層との間には、白色顔料含有層の他に、必要に応じて、下塗り層、あるいは任意の位置に中間層等の非感光性親水性コロイド層を設けることができる。
【0057】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料中に、蛍光増白剤を添加することで白地性をより改良でき好ましい。蛍光増白剤は、紫外線を吸収して可視光の蛍光を発することのできる化合物であれば、特に制限はないが、分子中に少なくとも1個以上のスルホン酸基を有するジアミノスチルベン系化合物であり、これらの化合物には、増感色素の感光材料の系外への溶出を促進する効果もあり好ましい。他の好ましい一つの形態は、蛍光増白効果を有する固体微粒子化合物である。
【0058】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0059】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号の28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。
【0060】
これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。また、これらの色素の添加方法としては、水またはメタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水と混和性の有機溶媒に溶解し、溶液として添加してもよいし、増感色素を密度が1.0g/mlより大きい水混和性溶媒の溶液または、乳化物、懸濁液として添加してもよい。
【0061】
増感色素の分散方法としては、高速撹拌型分散機を用いて水系中に機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法以外に、特開昭58−105141号に記載のようにpH6〜8、60〜80℃の条件下で水系中において機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法、特公昭60−6496号に記載の表面張力を3.8×10−2N/m以下に抑える界面活性剤の存在下に分散する方法、特開昭50−80826号に記載の実質的に水を含まず、pKaが5を上回らない酸に溶解し、該溶解液を水性液に添加分散し、この分散物をハロゲン化銀乳剤に添加する方法等を用いることができる。
【0062】
分散に用いる分散媒としては水が好ましいが、少量の有機溶媒を含ませて溶解性を調整したり、ゼラチン等の親水性コロイドを添加して分散液の安定性を高めることもできる。
【0063】
分散液を調製するのに用いることのできる分散装置としては、例えば、特開平4−125631号公報の第1図に記載の高速撹拌型分散機の他、ボールミル、サンドミル、超音波分散機等を挙げることができる。
【0064】
また、これらの分散装置を用いるに当たって、特開平4−125632号に記載のように、あらかじめ乾式粉砕などの前処理を施した後、湿式分散を行う等の方法をとってもよい。
【0065】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることができるが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
【0066】
本発明に係る感光材料に用いられるマゼンタカプラーとしては、特開平6−95283号7ページ右欄記載の一般式[M−1]で示される化合物が、発色色素の分光吸収特性がよく好ましい。好ましい化合物の具体例としては、同号8ページ〜11ページに記載の化合物M−1〜M−19を挙げることができる。更に、他の具体例としては、欧州公開特許第273,712号の6〜21頁に記載されている化合物M−1〜M−61及び同第235,913号の36〜92頁に記載されている化合物1〜223の中の上述の代表的具体例以外のものを挙げることができる。
【0067】
該マゼンタカプラーは、他の種類のマゼンタカプラーと併用することもでき、通常、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−3〜1モル、好ましくは1×10−2〜8×10−1モルの範囲で用いることができる。
【0068】
本発明に係る感光材料において、形成されるマゼンタ画像の分光吸収のλmaxは530〜560nmであることが好ましく、またλL0.2は、580〜635nmであることが好ましい。λL0.2とは、マゼンタ画像の分光吸光度曲線上において、最大吸光度が1.0を示す波長よりも長波で、吸光度が0.2を示す波長をいう。
【0069】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料のマゼンタ画像形成層には、マゼンタカプラーに加えてイエローカプラーが含有されることが好ましい。これらのカプラーのpKaの差は2以内であることが好ましく、更に好ましくは1.5以内である。本発明のマゼンタ画像形成性層に含有させる好ましいイエローカプラーは、特開平6−95283号の12ページ右欄に記載の一般式[Y−Ia]で表されるカプラーである。同公報の一般式[Y−1]で表されるカプラーのうち、特に好ましいものは、一般式[M−1]で表されるマゼンタカプラーと組み合わせる場合、組み合わせる一般式[M−1]で表されるカプラーのpKaより3以上低くないpKa値より3以上低くないpKa値を有するカプラーである。
【0070】
該イエローカプラーとして具体的な化合物例は、特開平6−95283号12〜13ページ記載の化合物Y−1及びY−2の他、特開平2−139542号の13ページから17ページ記載の化合物(Y−1)〜(Y−58)を好ましく使用することができるが、もちろんこれらに限定されることはない。
【0071】
本発明に係る感光材料に用いられるシアンカプラーとしては、以下に示す一般式(1)〜(4)で表される化合物が好ましい。
【0072】
【化1】
【0073】
上記一般式(1)において、Arはアリール基または複素環基を表す。Arで表されるアリール基としては、フェニル基またはナフチル基を挙げることができる。Arで表される複素環基としては5〜7員ものが好ましく、具体的には2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−ピロリル基、1−テトラゾニル基等を挙げることができる。
【0074】
Arで表されるアリール基、複素環基はさらに置換基を有してもよく、これらの置換基としては特に制限はないが、代表例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基を挙げることができる。
【0075】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等を挙げることができる。アルキニル基としては、ビニル、アリル、オレイル、シクロヘキセニル基等が挙げられる。アルケニル基としては、プロパルギル、1−ペンチニル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基を挙げることができる。複素環基としては、5〜7員のものが好ましく、具体的には2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−ピロリル基、1−テトラゾリジニル基等を挙げることができる。Arとして好ましくはフェニル基が挙げられる。
【0076】
一般式(1)において、R1はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基を表す。R1で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等を挙げることができる。アルキニル基としては、ビニル、アリル、オレイル、シクロヘキセニル基等が挙げられる。アルケニル基としては、プロパルギル、1−ペンチニル基等が挙げられる。
【0077】
R1で表されるアリール基、R1で表される複素環基としては、前記Arで表される基と同義の基で表すことができる。
【0078】
R1で表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基はさらに置換基を有してもよく、これらの置換基としては特に限定されないが、代表例としては、例えば、アルキル、アリール、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル等の各基が挙げられるが、この他に、ハロゲン原子、シクロアルケニル、アルキニル、複素環、スルホニル、スルフィニル、ホスホニル、アシル、カルバモイル、スルファモイル、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、シロキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、カルバモイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、複素環チオ、チオウレイド、カルボキシ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、スルホ等の各基、スピロ化合物残基、有橋炭化水素化合物残基等も挙げられる。
【0079】
一般式(1)において、L1は2価の連結基を表し、好ましくはアルキレン基、アリーレン基であり、nは0または1を表し、好ましくは0である。
【0080】
一般式(1)において、Cpは、下記一般式(5)または(6)で表されるシアンカプラー残基である。
【0081】
【化2】
【0082】
上記一般式(5)または一般式(6)において、Xは発色現像主薬の酸化体と反応して脱離する基を表す。
【0083】
Xの表す発色現像主薬の酸化体との反応により離脱しうる原子、基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、弗素原子等)、アルキレンオキシ、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニル、アルキルオキザリルオキシ、アルコキシオキザリルオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、複素環チオ、アルキルオキシチオカルボニルチオ、アシルアミノ、スルホンアミド、各々窒素原子で結合した含窒素複素環、アルキルオキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、カルボキシル等の各基が挙げられるが、これらの中で、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基である。
【0084】
一般式(5)または一般式(6)において、RMは一価の置換基を表す。RMの表す一価の置換基としては、特に制限はないが、代表例としては、アルキル、アリール、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル等の各基が挙げられるが、この他にハロゲン原子、シクロアルケニル、アルキニル、複素環、スルホニル、スルフィニル、ホスホニル、アシル、カルバモイル、スルファモイル、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、シロキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、カルバモイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、複素環チオ、チオウレイド、カルボキシ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、スルホ等の各基及びスピロ化合物残基、有橋炭化水素化合物残基等が挙げられる。
【0085】
次に、一般式(2)で表されるシアンカプラーについて詳細に説明する。
【0086】
【化3】
【0087】
一般式(2)において、R2、R3は、各々アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表し、これらの代表例としては、一般式(1)におけるR1と同様の基を例として挙げることができる。一般式(2)において、R2、R3は好ましくはアルキル基、アリール基である。
【0088】
一般式(2)において、R4は好ましくはアルキル基、アリール基であり、より好ましくはアルキル基であり、無置換アルキル基が最も好ましい。
【0089】
一般式(2)において、L2は2価の連結基を表し、好ましくはアルキレン基、アリーレン基であり、nは0または1を表し、好ましくは0である。
【0090】
次に、一般式(3)で表されるシアンカプラーについて説明する。
【0091】
【化4】
【0092】
一般式(3)において、R5は炭素数5以上の無置換アルキル基、無置換アルケニル基、無置換アルキニル基を表し、分岐であっても直鎖であってもよく、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、1,1,3−トリメチルブチル基、オレイル基、シクロヘキセニル基、アダマンチル基を挙げることができる。
【0093】
一般式(3)において、R6及びR7はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表し、R6及びR7の表すアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基および複素環基の代表例としては、一般式(1)におけるR1と同様の基を挙げることができる。一般式(3)において、R6は好ましくは水素原子、アルキル基であり、より好ましくは水素原子である。一般式(3)において、R7は好ましくはアルキル基、アリール基である。
【0094】
一般式(3)において、J1は好ましくは−NR11−である。R11は一般式(1)におけるR1と同義である。
【0095】
一般式(3)において、L3は2価の連結基を表し、好ましくはアルキレン基、アリーレン基である。
【0096】
一般式(3)において、nは0または1を表し、好ましくは0である。
次に、一般式(4)で表されるシアンカプラーについて詳細に説明する。
【0097】
【化5】
【0098】
一般式(4)において、R8、R9、及びR10は各々、上記一般式(1)のR1と同義であり、L4は、上記一般式(1)のL1と同義であり、Wは、上記一般式(3)のJ1と同義である。
【0099】
一般式(4)において、Cpはカプラー残基を表すが、好ましく用いられるのは、下記一般式(7)で表されるカプラー残基である。
【0100】
【化6】
【0101】
一般式(7)において、Xで表される基は、上記一般式(5)、(6)におけるXと同様の基が挙げられるが、中でもアシルオキシ基が好ましい。
【0102】
次に、本発明の前記一般式(7)で表されるカプラー残基について詳細に説明する。
【0103】
一般式(7)において、RMで表される基は、前記一般式(5)または(6)におけるRMと同様の基を挙げることができ、RMとして好ましくはフェニル基である。
【0104】
一般式(7)において、EWGで表される基はハメットの置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基を表し、具体的には、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、フェニルスルホニル基、ペンタフルオロフェニルスルホニル基、スルフィニル基(例えば、t−ブチルスルフィニル基、トリフルオロメチルスルフィニル基)、β,β−ジシアノビニル基、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロオクチル基等)、ホルミル基、カルボキシル基、カルボニル基(例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、アルキルオキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等)、1−テトラゾリル基、5−クロル−1−テトラゾリル基、カルバモイル基(例えば、ドデシルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えば、フェニルスルファモイル基等)等が挙げられる。
【0105】
一般式(7)においけるEWGで表される基として好ましくは、シアノ基、ニトロ基が挙げられる。
【0106】
次に、本発明で好ましく用いられる前記一般式(1)〜(4)で表されるカプラーの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0107】
【化7】
【0108】
【化8】
【0109】
【化9】
【0110】
【化10】
【0111】
【化11】
【0112】
上記の各シアンカプラーは、特開平8−171185号、同8−311360号、同8−339060号、同9−281672号に記載の方法に準じて合成することができる。
【0113】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料においては、イエロー画像形成層中に含有されるイエローカプラーとしては、公知のアシルアセトアニリド系カプラー等を好ましく用いることができる。
【0114】
該イエローカプラーの具体例としては、例えば特開平3−241345号の5頁〜9頁に記載の化合物、Y−I−1〜Y−I−55で示される化合物、もしくは特開平3−209466号の11〜14頁に記載の化合物、Y−1〜Y−30で示される化合物も好ましく使用することができる。更に特開平6−95283号21ページ記載の一般式〔Y−I〕で表されるカプラー等も挙げることができる。
【0115】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料により形成されるイエロー画像の分光吸収のλmaxは425nm以上であることが好ましく、λL0.2は515nm以下であることが好ましい。
【0116】
該イエロー色画像の分光吸収のλL0.2とは、特開平6−95283号21ページ右欄1行〜24行に記載の内容で定義される値であり、イエロー色素画像の分光吸収特性で長波側の不要吸収の大きさを表す。
【0117】
該イエローカプラーは通常ハロゲン化銀乳剤層において、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−3〜1モル、好ましくは1×10−2〜8×10−1モルの範囲で用いることができる。
【0118】
本発明に係る感光材料に用いられるカプラーは、通常ハロゲン化銀1モル当り1×10−3〜1モル、好ましくは1×10−2〜8×10−1モルの範囲で用いることができる。
【0119】
本発明に係る感光材料としては、例えば、ネガフィルム及びポジフィルム並びにカラー印画紙、カラープルーフ等のカラー写真感光材料に用いられる。
【0120】
本発明に係る感光材料には、各種添加剤を用いることができる。例えば、リサーチ・ディスクロージャー(ResearchDisclosure)176巻、22〜31頁(1978年12月)に記載されている如き、通常、感光材料に用いられる色カブリ防止剤、色素画像安定化剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、マット剤、界面活性剤等の各種添加剤を用いることができる。
【0121】
詳しくは、マゼンタ色画像、シアン色画像及びイエロー色画像の分光吸収特性を調整するために、色調調整作用を有する化合物を添加することが好ましい。このための化合物としては、特開平6−95283号22ページ記載の一般式[HBS−I]に記載されるリン酸エステル系化合物、[HBS−II]で示されるホスフィンオキサイド系化合物が好ましく、より好ましくは同号22ページ記載の一般式[HBS−II]で示される化合物である。また、特開平4−265975号の5ページに記載の(a−i)〜(a−x)を代表とする高級アルコール系化合物を挙げることができる。
【0122】
前記のマゼンタ、シアン、イエローの各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することができる。好ましい化合物としては、特開平2−66541号の3ページに記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物、特開昭64−90445号記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が、特にマゼンタ色素用として好ましい。また特開平1−196049号記載の一般式I′で示される化合物および特開平5−11417号記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0123】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料に用いられる前記カプラー、ステイン防止剤やその他の有機化合物を添加するのに、水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。ステイン防止剤等を溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリオクチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類が好ましく用いられる。また、高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また2種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0124】
本発明に係る感光材料に用いられる写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には、特開昭64−26854号記載のA−1〜A−11が挙げられる。また、アルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、および塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
【0125】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して、色濁りを防止したりまたハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良することが好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は特開平4−133056号記載の一般式IIで示される化合物であり、同号13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
【0126】
本発明に係る感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0127】
本発明に係る感光材料には、油溶性染料や顔料を含有すると白地性が改良され好ましい。油溶性染料の代表的具体例は、特開平2−842号の8〜9ページに記載の化合物1〜27が挙げられる。
【0128】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて他のゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0129】
これらバインダーの硬膜剤としては、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。特開昭61−249054号、同61−245153号記載の化合物を使用することが好ましい。また、写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐためコロイド層中に特開平3−157646号記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加することが好ましい。また、感光材料または処理後の試料の表面の物性を改良するため、保護層に特開平6−118543号や特開平2−73250号記載の滑り剤やマット剤を添加することが好ましい。
【0130】
本発明に係る感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
【0131】
紙の表面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体は、通常、50〜300g/m2の質量を有する表面の平滑なものが用いられるが、プルーフ画像を得る目的に対しては、取り扱いの感覚を印刷用紙に近づけるため、130g/m2以下の原紙が好ましく用いられ、さらに70〜120g/m2の原紙が好ましく用いられる。本発明に用いられる支持体としては、ランダムな凹凸を有するものであっても平滑なものであっても好ましく用いることができる。
【0132】
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
【0133】
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13質量%以上が好ましく、さらには15質量%が好ましい。
【0134】
本発明において、紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
【0135】
本発明に用いられる両面に耐水性樹脂層を有する紙支持体の樹脂層は、1層であってもよいし、複数層からなってもよい。複数層とし、乳剤層と接する方に白色顔料を高濃度で含有させると鮮鋭性の向上が大きく、プルーフ用画像を形成するのに好ましい。
【0136】
また、支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、更には0.12μm以下であることが、光沢性に優れた効果を発揮することができ好ましい。
【0137】
本発明に用いられる感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0138】
ハロゲン化銀乳剤を用いた写真感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
【0139】
本発明に用いられる露光装置の露光光源は、公知のものをいずれも好ましく用いることができるが、レーザーまたは発光ダイオード(以下LEDと表す)がより好ましく用いられる。
【0140】
レーザーとしては半導体レーザー(以下、LDと表す)がコンパクトであること、光源の寿命が長いことから好ましく用いられる。また、LDはDVD、音楽用CDの光ピックアップ、POSシステム用バーコードスキャナ等の用途や光通信等の用途に用いられており、安価であり、かつ比較的高出力のものが得られるという長所を有している。LDの具体的な例としては、アルミニウム・ガリウム・インジウム・ヒ素(650nm)、インジウム・ガリウム・リン(〜700nm)、ガリウム・ヒ素・リン(610〜900nm)、ガリウム・アルミニウム・ヒ素(760〜850nm)等を挙げることができる。最近では、青光を発振するレーザーも開発されているが、現状では、610nmよりも長波の光源としてLDを用いるのが有利である。
【0141】
SHG素子を有するレーザー光源としては、LD、YAGレーザーから発振される光をSHG素子により半分の波長の光に変換して放出させるものであり、可視光が得られることから適当な光源がない緑〜青の領域の光源として用いられる。この種の光源の例としては、YAGレーザーにSHG素子を組み合わせたもの(532nm)等がある。
【0142】
ガスレーザーとしては、ヘリウム・カドミウムレーザー(約442nm)、アルゴンイオンレーザー(約514nm)、ヘリウムネオンレーザー(約544nm、633nm)等が挙げられる。
【0143】
LEDとしては、LDと同様の組成をもつものが知られているが、青〜赤外まで種々のものが実用化されている。
【0144】
本発明に用いられる露光光源としては、各レーザーを単独で用いてもよいし、これらを組合せ、マルチビームとして用いてもよい。LDの場合には、例えば10個のLDを並べることにより10本の光束からなるビームが得られる。一方、ヘリウムネオンレーザーのような場合、レーザーから発した光をビームセパレーターで例えば10本の光束に分割する。
【0145】
露光用光源の強度変化は、LD、LEDのような場合には、個々の素子に流れる電流値を変化させる直接変調を行うことができる。LDの場合には、AOM(音響光学変調子)のような素子を用いて強度を変化させてもよい。ガスレーザーの場合には、AOM、EOM(電気光学変調子)等のデバイスを用いるのが一般である。
【0146】
光源にLEDを用いる場合には、光量が弱ければ、複数の素子で同一の画素を重複して露光する方法を用いてもよい。
【0147】
本発明において、面積階調画像という言葉を用いているが、これは画像上の濃淡を個々の画素の色の濃淡で表現するのではなく、特定の濃度に発色した部分の面積の大小で表現するものであり、網点と同義と考えてよい。
【0148】
レーザー光源の場合には、ビーム径は25μm以下であることが好ましく、6〜22μmがより好ましい。6μmより小さいと画質的には好ましいが、調整が困難であったり、処理速度が低下したりする。一方、25μmより大きいとムラが大きくなり、画像の鮮鋭性も劣化する。ビーム径を最適化することによってムラのない高精細の画像の書き込みを高速で行うことができる。
【0149】
このような光で画像を描くには、ハロゲン化銀感光材料上を光束が走査する必要があるが、感光材料を円筒状のドラムに巻き付けこれを高速に回転しながら回転方向に直角な方向に光束を動かす円筒外面走査方式をとってもよく、円筒状の窪みにハロゲン化銀感光材料を密着させて露光する円筒内面走査方式も好ましく用いることができる。多面体ミラーを高速で回転させこれによって搬送されるハロゲン化銀感光材料を搬送方向に対して直角に光束を移動して露光する平面走査方式をとってもよい。高画質であり、かつ大きな画像を得るには円筒外面走査方式がより好ましく用いられる。
【0150】
円筒外面走査方式での露光を行うには、ハロゲン化銀感光材料は正確に円筒状のドラムに密着されなければならない。これが的確に行われるためには、正確に位置合わせされて搬送される必要がある。本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料は露光する側の面が外側に巻かれたものがより的確に位置合わせでき、好ましく用いることができる。同様な観点から、本発明に係るハロゲン化銀感光材料に用いられる支持体は適正な剛度があり、テーバー剛度で0.8〜4.0が好ましい。
【0151】
ドラム径は、露光するハロゲン化銀感光材料の大きさに適合させて任意に設定することができる。ドラムの回転数も任意に設定できるがレーザー光のビーム径、エネルギー強度、書き込みパターンや感光材料の感度などにより適当な回転数を選択することができる。生産性の観点からは、より高速な回転で走査露光できる方が好ましいが、具体的には1分間に200〜3000回転が好ましく用いられる。
【0152】
ドラムへのハロゲン化銀感光材料の固定方法は、機械的な手段によって固定させてもよいし、ドラム表面に吸引できる微小な穴を感光材料の大きさに応じて多数設けておき、感光材料を吸引して密着させることもできる。感光材料をドラムにできるだけ密着させることが画像ムラ等のトラブルを防ぐには重要である。
【0153】
本発明に係る感光材料は、当業界公知の発色現像処理を行なうことにより画像を形成することができる。発色現像後、漂白処理、定着処理を施される。漂白処理は定着処理と同時に行なってもよい。定着処理の後は、通常は水洗処理が行なわれる。また水洗処理の代替えとして安定化処理を行なってもよいし、両者を併用してもよい。
【0154】
本発明に係る感光材料は、親水性コロイド層中に発色現像主薬そのものを、あるいはそのプレカーサーとして含有し、アルカリ性の活性化浴により処理することもできる。
【0155】
本発明で用いられる現像主薬としては、芳香族一級アミン現像主薬が好ましく、公知の化合物を用いることができる。これらの化合物の例として下記の化合物を挙げることができる。
【0156】
CD−1)N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
CD−2)2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
CD−3)2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリルアミノ)トルエン
CD−4)4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−5)2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−6)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エチル)−アニリン
CD−7)N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニルエチル)メタンスルホンアミド
CD−8)N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
CD−9)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチルアニリン
CD−10)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシエチル)アニリン
CD−11)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γ−ヒドロキシプロピル)アニリン
本発明においては、上記現像主薬を含む発色現像液を、任意のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0157】
本発明において、発色現像の処理温度は、35℃以上、70℃以下が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からはあまり高くない方が好ましく、37℃以上60℃以下で処理することが好ましい。発色現像時間は、従来一般には3分30秒程度で行われているが、本発明では40秒以内が好ましく、さらに25秒以内の範囲で行うことがさらに好ましい。
【0158】
発色現像液には、前記の発色現像主薬に加えて、既知の現像液成分化合物を添加することができる。通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イオン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キレート剤などが用いられる。
【0159】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料は、発色現像後、漂白処理及び定着処理を施される。漂白処理は定着処理と同時に行なってもよい。定着処理の後は、通常は水洗処理が行なわれる。また、水洗処理の代替として、安定化処理を行なってもよい。
【0160】
本発明のハロゲン化銀感光材料の現像処理に用いる現像処理装置としては、処理槽に配置されたローラーに感光材料をはさんで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給するとともに感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。大量に処理する場合には、自動現像機を用いてランニング処理されるのが通常だが、この際、補充液の補充量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであり、公開技報94−16935に記載の方法が最も好ましい。
【0161】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0162】
実施例1
《ハロゲン化銀感光材料試料No.101の作製》
片面に高密度ポリエチレンを、もう一方の面にアナターゼ型酸化チタンを15質量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチレンをラミネートした、平米当たりの質量が115gのポリエチレンラミネート紙反射支持体(テーバー剛度=3.5、PY値=2.7μm)上に、下記に示す層構成の各層を酸化チタンを含有するポリエチレン層の側に塗設し、更に裏面側にはゼラチン6.00g/m2、シリカマット剤0.65g/m2を塗設した多層ハロゲン化銀感光材料である試料101を作製した。
【0163】
カプラーは高沸点溶媒に溶解して超音波分散し、分散物として添加したが、この時、界面活性剤として(SU−1)を用いた。又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。また各層に(F−1)を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0164】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム塩
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ((1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル)ハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノンと2,5−ジ−secテトラデシルハイドロキノンと2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノンの質量比1:1:2の混合物
SO−1:トリオクチルホスフィンオキサイド
SO−2:ジ(i−デシル)フタレート
SO−3:オレイルアルコール
SO−4:トリクレジルホスフェート
SO−5:(4−ドデシルベンゼン)−p−トルエンスルホンアミド
PVP:ポリビニルピロリドン
【0165】
【化12】
【0166】
【化13】
【0167】
上記試料101の作製に用いた各ハロゲン化銀乳剤の調製方法を、以下に示す。
【0168】
(青感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に下記(A液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ同時添加し、更に下記(C液)及び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0169】
(A液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200ml
(B液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(C液)
塩化ナトリウム 102.7g
ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 4×10−8モル
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 2×10−5モル
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 600ml
(D液)
硝酸銀 300g
水を加えて 600ml
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−101を得た。
【0170】
上記EMP−101に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、青感性ハロゲン化銀乳剤Em−B101を得た。
【0171】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤(STAB−1) 3×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−2) 3×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−3) 3×10−4モル/モルAgX
増感色素(BS−1) 4×10−4モル/モルAgX
増感色素(BS−2) 1×10−4モル/モルAgX
臭化カリウム 0.2g/モルAgX
次いで、EMP−101の調製において、(A液)と(B液)の添加時間および(C液)と(D液)の添加時間を変更した以外は同様にして、平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−102を得た。
【0172】
次いで、Em−B101の調製において、EMP−101に代えてEMP−102を用いた以外同様にしてEm−B102を調製し、Em−B101と102の1:1の混合物を青感性ハロゲン化銀乳剤として使用した。
【0173】
(緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
上記EMP−101の調製において、(A液)及び(B液)、(C液)及び(D液)の添加時間を変更した以外は同様にして平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤EMP−103を得た。
【0174】
上記EMP−103に対し、下記化合物を用い55℃にて最適に化学増感を行い、緑感性ハロゲン化銀乳剤Em−G101を得た。
【0175】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤(STAB−1) 3×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−2) 3×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−3) 3×10−4モル/モルAgX
増感色素(GS−1) 2×10−4モル/モルAgX
増感色素(GS−2) 2×10−4モル/モルAgX
塩化ナトリウム 0.5g/モルAgX
次いで、上記EMP−103の調製において、(A液)と(B液)の添加時間および(C液)と(D液)の添加時間を変更した以外はEMP−103と同様にして平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤EMP−104を得た。
【0176】
上記Em−G101の調製において、EMP−103に代えてEMP−104を用いた以外同様にしてEm−G102を調製し、Em−G101と102の1:1の混合物を緑感性ハロゲン化銀乳剤として使用した。
【0177】
(赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
前記EMP−103に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、赤感性ハロゲン化銀乳剤Em−R101を得た。
【0178】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤(STAB−1) 2×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−2) 2×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−3) 2×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−4) 1×10−4モル/モルAgX
増感色素(RS−1) 1×10−4モル/モルAgX
増感色素(RS−2) 1×10−4モル/モルAgX
強色増感剤(SS−1) 2×10−4モル/モルAgX
次に、上記Em−R101の調製において、下記化合物を用いて60℃にて最適に化学増感を行い、赤感性ハロゲン化銀乳剤Em−R102を得た。
【0179】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤(STAB−1) 2×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−2) 2×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−3) 2×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−4) 1×10−4モル/モルAgX
増感色素(RS−1) 2×10−4モル/モルAgX
増感色素(RS−2) 2×10−4モル/モルAgX
強色増感剤(SS−1) 2×10−4モル/モルAgX
STAB−1:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾールSTAB−3:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−4:p−トルエンチオスルホン酸
上記調製したEm−R101、Em−R102の1:1混合物を赤感性ハロゲン化銀乳剤として使用した。
【0180】
【化14】
【0181】
【化15】
【0182】
【化16】
【0183】
《露光処理》
〔光源〕
光源としてBlueのLED(Light emitting diode)を主走査方向に5個並べ露光のタイミングを少しずつ遅延させることによって同じ場所を5個のLEDで露光出来るように調整した。また、副走査方向にも20個のLEDを並べ隣接する20画素分の露光が1度に出来る露光ヘッドを準備した。Green、Redも同様にLEDを組み合わせて露光ヘッドを準備した。各ビームの径は約10μmで、この間隔でビームを配列し、副走査のピッチは約200μmとした。
【0184】
〔露光〕
前記作製した多層ハロゲン化銀感光材料である試料101を用いて、上記の露光ヘッドにより、出力データとして図1に記載のデジタルデータを露光した。各色の露光量は、得られる発色が印刷物に最も近付くように露光量を調整して行い、下記の現像処理を行った。
【0185】
次いで、現像処理済み試料のBlue、Green、Redの各光量を変化させたときに発色するイエロー、シアン、マゼンタの濃度を測定し、光量−発色濃度の関係を得た。Blue、Green、Redの各最大光量で発色するイエロー、シアン、マゼンタの最大濃度はそれぞれ1.38、1.94、2.16であった。なお、濃度の測定は、(三菱製紙株式会社)特菱アート110kgを2枚重ねで机上に敷いた上に測定資料を置き、エックスライト社製528型濃度計を用いシアン、マゼンタ、イエロー濃度を測定し、得られた結果を表1に示す。分光特性はステータスTを用いた。
【0186】
表1に記載の様にイエロー、マゼンタ、シアンの発色濃度を変化させて、各印刷インキの重なり色を表現させた。
【0187】
〈現像処理〉
現像処理条件は、下記の通りである。
【0188】
処理工程 処理温度 時間 補充量
発色現像 37.0±0.3℃ 120秒 200ml/m2
漂白定着 37.0±0.5℃ 90秒 150ml/m2
安定化 30〜34℃ 60秒 400ml/m2
乾燥 60〜80℃ 30秒
(発色現像液開始液及び補充液) 開始液 補充液
トリエチレンジアミン 3.0g 4.0g
ジエチレングリコール 6.0g 8.0g
臭化カリウム 0.15g 0.2g
塩化カリウム 3.5g 0.2g
亜硫酸カリウム 0.3g 0.4g
N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)
−4−アミノアニリン硫酸塩 3.0g 4.0g
N,N−ジスルホエチルヒドロキシルアミン 15.0g 20.0g
トリエタノールアミン 6.0g 8.0g
ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 1.5g 2.0g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベン
ジスルホン酸誘導体) 1.5g 2.0g
炭酸カリウム 30g 40g
水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.2に、補充液はpH=10.5に調整する。
【0189】
(漂白定着液タンク液及び補充液)
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g
ジエチレントリアミン五酢酸 3g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=5.0に調整する。
【0190】
(安定化液タンク液及び補充液)
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
硫酸亜鉛 0.5g
硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g
PVP(ポリビニルピロリドン) 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整する。
【0191】
〔目標印刷物の作成〕
図1と同一データの印刷物を、下記印刷条件で、特色2版を含む計6版で作成したものを目標印刷物として予め用意した。
【0192】
〈印刷条件〉
プロセスインキ:大日本インキ化学工業(株) GEOS−G
特色インキ色S1:PANTONE 315C(青色)
特色インキ色S2:PANTONE 876C(金色)
刷り順:K→C→M→Y→S1→S2
印刷機:ローランド R704
用紙:三菱製紙株式会社の特菱アート 110kg/四六判版 KPGサーマルCTPプレート TP−R
スクリーン:175線 チェーンドット
目標濃度値(DIN−NB):Y=1.1、M=1.5、C=1.5、K=1.8
目標ドットゲイン:17%(50%部)
【0193】
【表1】
【0194】
なお、表1に記載の各色の略称の詳細は、以下の通りである。
Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、B(ブルー)、G(グリーン)、R(レッド)、K(ブラック)、Gy(グレー)、W(白)、S1(特色1)、S2(特色2)
次に、下記透明度係数と表1の濃度成分値から、各S1とS2の重なり色のYMC濃度成分を算出し、得られた結果を表2に示す。
【0195】
S1:透明度係数関係式
Y成分ay1=40−((Oy1−60)/12)2
M成分am1=40−((Om1−75)/15)2
C成分ac1=40−((Oc1−80)/16)2
S2:透明度係数関係式
Y成分ay2=20−(((Oy2−60)/12)2)/2
M成分am2=20−(((Om2−75)/15)2)/2
C成分ac2=20−(((Oc2−80)/16)2)/2
上記のS1、S2の各透明度係数関係式を図4に示した。
【0196】
上記、関係式より
ay1=0.380、ay2=0.191
am1=0.280、am2=0.200
ac1=0.017、ac2=0.172
に設定した。
【0197】
次いで、表1に記載の各色を構成するYMCの濃度成分の値と、上記のS1およびS2を構成する濃度成分と透明度係数の関係式からS1、S2の重なり色の濃度成分を計算し、得られた結果を表2に示す。
【0198】
【表2】
【0199】
実施例2
実施例1において、S2の特色インキをpantone 663(薄紫白色)の色調に変更した以外は同様にして行った。
【0200】
実施例1に記載の方法により得られたS1、S2の各透明度係数は、
ay1=0.380、ay2=0.075
am1=0.280、am2=0.112
ac1=0.017、ac2=0.104
に設定した。
【0201】
次いで、表1に記載の各色を構成するYMCの濃度成分の値と、上記のS1およびS2を構成する濃度成分と透明度係数の関係式からS1、S2の重なり色の濃度成分を計算し、得られた結果を表3に示す。
【0202】
【表3】
【0203】
実施例3
上記実施例2において、S2の透明度係数を実施例1に記載の値を用いた以外は同様にして行い、得られた計算後の値を表4に示した。
【0204】
【表4】
【0205】
比較例1
実施例1において、特色版の重なり部の光量を、S1、S2の透明度係数を0にした場合、すなわち表5に記載のように、全てS1及びS2の光量を同一条件で行った以外は同様にして画像を形成した。
【0206】
【表5】
【0207】
《形成画像の評価》
以上のようにして作成した画像を、前記作成した目標印刷物と目視による比較観察を行い、下記の基準に則り、画像の重なり部の印刷物再現性、画像部の印刷物近似性及びベタパッチ部の色近似性について評価を行い、得られた結果を表6に示す。
【0208】
評価基準:目視で標準光源下で印刷物と目視比較
◎:目標の印刷物に対し、非常に近似した色再現である
○:目標の印刷物に対し、ほぼ良好な色再現である
△:プルーフとしての再現性が、やや乏しい
×:印刷物の品質を再現できていない
【0209】
【表6】
【0210】
表6より明らかなように、実施例1は比較例1に対して、特色インキの下の重なり色を再現できており、目標の印刷物に対し良好な近似性を示した。また、実施例2においては、特色インキの濃度成分が低いものを使用した際でも、請求項3で規定する設定を取ることにより、良好な近似性を維持することができた。
【0211】
【発明の効果】
本発明により、2色以上の色が重なった場合の印刷物の色調を再現する光量設定を、特定の関係に基づいて設定することにより、多色刷りの印刷物に容易にかつ高精度に対応できる階調画像の形成方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】各基準色と特色との重なりを示すカラーチャート構成で、「のせ」画像の一例を示す模式図である。
【図2】各基準色と特色との重なりを示すカラーチャート構成で、下部の色を省略した「ぬき」画像の一例を表した模式図である。
【図3】イエロー成分の発色濃度Oyと、下地となる色版の濃度成分が付加される度合いを決める透明度係数ayとの関係の一例を表す図である。
【図4】特色S1と特色S2の各透明度係数関係式を表す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷物の仕上がりを事前に確認するプルーフに関するものであり、詳しくは、プルーフ画像の形成方法に関するものであり、更に、ハロゲン化銀感光材料、詳しくはハロゲン化銀カラー感光材料(以下、単に感光材料という)を用いた面積階調画像によるデジタルカラープルーフに関し、更に詳しくは、プロセスカラーの組み合わせからなる色調以外の任意の色を表現できる階調画像の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀感光材料は、高感度であること、色再現性に優れていること、連続処理に適していることから今日盛んに用いられている。こうした特徴からハロゲン化銀感光材料は、写真の分野のみではなく、印刷の分野でも、印刷の途中の段階で仕上がりの印刷物の状態をチェックするためのいわゆるプルーフの分野で広く用いられるようになってきている。
【0003】
プルーフの分野では、コンピュータ上で編集された画像を印刷用フィルムに出力し、現像済みのフィルムを適宜交換しつつ分解露光することによってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各画像を形成させ、最終印刷物の画像をカラー印画紙上に形成させることにより、最終印刷物のレイアウトや色の適否を判断することが行われていた。
【0004】
最近では、コンピュータ上で編集された画像を直接印刷版に出力する方式が徐々に普及してきており、このような場合にはコンピュータ上のデータからフィルムを介することなく直接カラー画像を得ることが望まれていた。
【0005】
このような目的には、昇華型・溶融熱転写方式や電子写真方式、インクジェット方式等種々の方式の応用が試みられてきたが、高画質な画像が得られる方式では費用がかかり生産性が劣るという欠点があり、費用が少なくてすみ生産性に優れた方式では画質が劣るという欠点があった。ハロゲン化銀感光材料を用いたシステムでは、優れた鮮鋭性等から、正確な網点画像が形成できるなど高画質な画像形成が可能であり、一方で上述したように連続した処理が可能であることや、複数の色画像形成ユニットに同時に画像を書き込むことができることから高い生産性を実現することが可能であった。
【0006】
近年、印刷の分野でいわゆるデジタル化が進みコンピュータ内のデータから直接画像を得る要求が強まっているが前記したような理由によって、ハロゲン化銀感光材料がこの分野で有利に使われ始めている。
【0007】
また、印刷物においては、プロセスインキでは表現できない色や特殊な印刷効果を狙って、特色インキを使った印刷が行われる場合がある。
【0008】
ハロゲン化銀感光材料を用いてデジタルデータに基づき面積階調画像を形成するシステムでは、露光時の分解露光量を任意に変化させることにより、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の濃度を変化させて、この3色の濃度成分の発色比で決められる一定の色域の中で、任意の色調を再現することが可能である。すなわち、プロセスインキのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の組み合わせで表現可能な白を除く15色以外に、ほぼ無限に近い色調表現が可能であるため前述の特色に近似した色調を再現することが可能である。
【0009】
プロセスインキの組み合わせで表現される色調および特色等の任意の色調をハロゲン化銀感光材料を用いて再現するためには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の濃度成分を調整して組み合わせる必要がある。
【0010】
図1は、各基準色と特色との重なりを示すカラーチャート構成で、「のせ」画像の一例を示す模式図である。
【0011】
図1のa)において、1−1で示すように、プロセスインキのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の重なりの組み合わせで表現可能な色は、白を除く15色に固定されている。これらについては予め光量の設定をしておけば良いのに対して、さらに特色版が1色追加された場合には、白を除いて合計31色の組み合わせの色が生じる。一般的に、Y、M、C、Kのプロセスインキにn種の特色が追加された場合(16×2n−1)色分のY、M、Cの濃度成分比を構成するための光量設定が必要となる。また、特色は、状況によって様々な色が用いられるため、それぞれのケースにおいて予め光量設定を用意するのは非常に困難である。図1の(a)において、1−2は特色を2版(n=2)追加した63色の重なりの色の状態を表した。また、図2は、特色の重なり部分の下部の色を省略したいわゆる「ぬき」の画像を表した模式図である。
【0012】
図1と図2のそれぞれの実画像(b)を比較した場合、図2の(b)では特色版の下の画像が完全にマスクされて絵柄の確認が出来ないのに対し、図1の(b)では各インキの重なりの違いによる色調を詳細に設定することにより、画像の確認が容易となり、印刷物との整合性がより取れた画像となる。
【0013】
以上説明したように、目標とする印刷物の色版の数が増えるに伴い、プルーフとして再現する色の光量設定数が急激に増大するという課題があった。
【0014】
しかしながら、ハロゲン化銀感光材料を用いてデジタルデータに基づき面積階調画像を形成するシステムでは、露光時の分解露光の光量を、実際には印刷物の色を全色測定して、適正な光量設定をするには多大な労力を必要とする。
【0015】
また、印刷物における各色版の重なり部の色調は、印刷インキの性質(透明度)や、印刷用紙または他のインキ上への、インキ転写量によって様々に変化するという問題を抱えている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、2色以上の色が重なった場合の印刷物の色調を再現する光量設定を、特定の関係に基づいて設定することにより、多色刷りの印刷物に容易にかつ高精度に対応できる階調画像の形成方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記の構成により達成された。
【0018】
1.波長の異なる光源を用い、それぞれn種のエネルギー強度を変化させて画像露光を行い、発色現像処理後にn種の異なる色が組み合わされて、任意の色調を表現できる画像形成材料を用いた階調画像の形成方法において、目標とする印刷物の色調Oと色調Uとが上下に重なった部分で、下地となるインキの色調Uを単独で表現するに要するエネルギー量で露光したときに得られる各発色濃度をU1、U2、U3、・・・、Unとし、上に重ねられるインキの色調Oを単独で表現するに要するエネルギー量で露光したときに得られる各発色濃度をO1、O2、O3、・・・、Onとした時、該色調Uと該色調Oを重ねた時の各発色濃度(D1、D2、D3、・・・、Dn)が、下記の関係式のいずれも満たしていることを特徴とする階調画像の形成方法。
【0019】
D1=O1+a1×U1
D2=O2+a2×U2
D3=O3+a3×U3
:
:
:
Dn=On+an×Un
ただし、a1、a2、a3・・・anは独立した透明度係数で、いずれも0よりも大きく1よりも小さい。また、nは2以上の整数を表す。
【0020】
2.支持体上に少なくともシアン、マゼンタ、イエローを発色可能なハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料を、デジタルデータに基づいて波長の異なる3種以上の光源を用いて、任意に光量を変化させて画像露光を行った後、発色現像処理する階調画像の形成方法において、目標とする印刷物の色調Oと色調Uとが上下に重なった部分で、下地となるインキの色調Uを単独で表現するに要するエネルギー量で露光したときに得られる各発色濃度をUy、Um、Ucとし、上に重ねられるインキの色調Oを単独で表現するに要するエネルギー量で露光したときに得られる各発色濃度をOy、Om、Ocとした時、該色調Uと該色調Oを重ねた時の各発色濃度(Dy、Dm、Dc)が、下記の関係式のいずれも満たしていることを特徴とする階調画像の形成方法。
【0021】
Dy=Oy+ay×Uy<My
Dm=Om+am×Um<Mm
Dc=Oc+ac×Uc<Mc
ただし、ay、am、acはそれぞれ独立した透明度係数で、いずれも0よりも大きく1よりも小さい。また、My、Mm、Mcは、イエロー、マゼンタ、シアンの各最大発色濃度(Dmax)を表す。
【0022】
3.前記Oy、Om、Ocと前記My、Mm、Mcで、Oy/My、Om/Mm、Oc/Mcの値が1/4未満のときの透明度係数をそれぞれay(low)、am(low)、ac(low)とし、Oy/My、Om/Mm、Oc/Mcの値が1/4以上、3/4以下のときの透明度係数をぞれぞれay(mid)、am(mid)、ac(mid)とし、Oy/My、Om/Mm、Oc/Mcの値が3/4を超えるときの透明度係数をay(hi)、am(hi)、ac(hi)としたとき、下記の関係式のいずれも満たしていることを特徴とする前記2項に記載の階調画像の形成方法。
【0023】
ay(low)<ay(mid) かつay(mid)>ay(hi)
am(low)<am(mid) かつam(mid)>am(hi)
ac(low)<ac(mid) かつac(mid)>ac(hi)
以下、発明の詳細について説明する。なお、本願においては、支持体上にシアン、マゼンタ、イエローの発色可能な各ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料を例に、説明を行う。
【0024】
通常、印刷物の2色以上が重なった色調を、ハロゲン化銀感光材料の発色で良好に再現させるためには、2色のそれぞれ単独の色を再現させるのに要するY、M、Cの各濃度成分の単純な和では再現することはできない。また、ハロゲン化銀感光材料では、最大発色濃度には限界があり、その最大発色濃度が得られる光量以上の露光を与えても、濃度上昇の寄与は望めない。そのため、印刷インキの重なった色に近似した発色を再現させるためには、一定の規則に沿った光量制御が必要となる。
【0025】
図3は、重ねられる色版の色調を再現するためのイエロー、マゼンタ、シアンの各濃度成分のうち、イエロー成分の発色濃度Oyと、下地となる色版の濃度成分が付加される度合いを決める透明度係数ayとの関係を表す一例である。
【0026】
ayは濃度成分Oyによって異なり、Oyの中間濃度領域で大きく、低濃度および高濃度領域で小さい設定にすることが好ましい。
【0027】
Oyの濃度成分が少ない低濃度領域である場合、下地となるUyの付加される濃度成分量が比較的小さくても、色調差としての判別が容易なのに対して、Oyの濃度成分が中間付近の場合は、Uyの付加される濃度成分量を高めたほうが近似性をより高められる。また、Oyの濃度成分がイエローの最大濃度に近づくにつれて、Uyの付加可能な濃度成分量に限界が生じる。
【0028】
上記理由により、ay(mid)はay(low)およびay(hi)よりも高い値に設定されることで、よりプルーフとしての再現精度を高めることができる。
【0029】
また、ayの値の絶対量は、印刷物において上に重ねられるインキ自体の透明性や転写量によって変化するので、それに合わせて全体量を適宜調整されることが好ましい。
【0030】
図3は、上に凸の放物曲線に設定しているが、このようにOyとayについて、ある一定の関数の関係を持たせることで、Oyの値からRyの値が一義的に決定するため、複数色の濃度成分(露光光量)を決定するのに好都合である。上記の関係を満たしていれば、直線の組み合わせや、複合的な曲線でも良く、図3に限定されない。また、マゼンタ及びシアンについても同様である。
【0031】
本発明において、印刷物における3色以上のインキの重なり部の光量の設定に関しては、印刷順に最初に重なった2色を表現する濃度成分から再現される色を1色と考え、これを繰り返すことにより最終的な濃度成分を設定することができる。
【0032】
ここでいう濃度とは、分光条件としてはステータスA、ステータスTなど何れであってもよいが、印刷画像の評価に用いられるステータスTが好ましい。幾何条件もJIS Z 8722−2000、5.3.1照明及び受光の幾何学的条件で規定される条件a〜条件dの何れの条件を用いてもよいが、条件bが好ましい。
【0033】
CIELAB色空間とは、CIE 1976(L*a*b*色空間)を指し、その座標の求め方については、JIS Z 8729−1994 に記載されている。この色の測定においては、JIS Z 8722−2000 5.3.1照明及び受光の幾何学的条件で規定される条件a〜条件dの何れの条件を用いてもよいが、条件bが好ましい。また、分光測色法については、5.2分光測光器に記載されている第1種、第2種分光測色器を用いても良いし、これに準じた分光測色器を用いてよい。
【0034】
本発明において、画像データ中の白とは、特に印刷において通常用いられるシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックおよび他の任意の色版について網点を画素の集合として形成したデジタルデータにおいて、全ての色版が存在しないデータである画素により構成される画像の部分をいう。
【0035】
本発明において、画像形成層のそれぞれを単独に発色させて得られた値とは、濃度の値、例えば、ブルーの画素を形成するためにシアンおよびマゼンタの画像形成層を該画像形成層に対応する、例えば、波長が互いに異なる2つのレーザーまたは発光ダイオードなどを露光光源とする露光装置を用いて露光する場合に与えるのと同じ露光量を、光源の波長ごとに異なる画素に与えた場合、各光源に対応する画像形成層が発色して得られた値のことをいう。
【0036】
次いで、本発明に係るハロゲン化銀感光材料の詳細について、説明する。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤としては、95モル%以上が塩化銀からなるハロゲン化銀乳剤が好ましく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものが用いられる。中でも、塩化銀を95モル%以上含有する塩臭化銀、中でも臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤が好ましく用いられ、また、表面近傍に沃化銀を0.05〜0.5モル%含有する塩沃化銀も好ましく用いられる。臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤の、高濃度に臭化銀を含有する部分は、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけのいわゆるエピタキシー接合した領域を形成していてもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表面の結晶粒子の頂点に形成されることが特に好ましい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよい。
【0037】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤には重金属イオンを含有させるのが有利である。これによっていわゆる相反則不軌が改良され、高照度露光での減感が防止されたりシャドー側での軟調化が防止されることが期待される。このような目的に用いることのできる重金属イオンとしては、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。これらの金属イオンは、塩や、錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子としてシアン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、カルボニル、アンモニア、1,2,4−トリアゾール等を挙げることができる。中でも、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。ハロゲン化銀乳剤に重金属イオンを含有させるためには、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所で添加すればよい。前述の条件を満たすハロゲン化銀乳剤を得るには、重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に溶解して粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続的に添加することができる。また、あらかじめこれらの重金属化合物を含有するハロゲン化銀微粒子を形成しておいて、これを添加することによって調製することもできる。前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10−9モル以上、1×10−2モル以下がより好ましく、特に1×10−8モル以上5×10−5モル以下が好ましい。
【0038】
本発明に用いられる粒子の形状は、任意のものを用いることができる。好ましい一つの例は、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21、39(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子をつくり、これを用いることもできる。さらに、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
【0039】
本発明に用いられる粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加することが特に好ましい。
【0040】
本発明に用いられる粒子の粒径は、特に制限はないが、迅速処理性及び感度など、他の写真性能などを考慮すると好ましくは、0.1〜1.2μm、更に好ましくは、0.2〜1.0μmの範囲である。
【0041】
この粒径は、粒子の投影面積か直径近似値を使ってこれを測定することができる。粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積としてかなり正確にこれを表すことができる。
【0042】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径の分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは、変動係数が0.15以下の単分散乳剤を2種以上同一層に添加することである。ここで変動係数とは、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0043】
変動係数=S/R
(ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、調製方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
【0044】
本発明に用いられる乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。本発明に係るハロゲン化銀粒子は、一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を作った後で成長させてもよい。種粒子を作る方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0045】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に同時混合法の一形式として、特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0046】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許第2,921,164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。
【0047】
更に、必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0048】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることができる。カルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることができるが、イオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としてはチオ硫酸塩、トリエチルチオ尿素、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。
【0049】
イオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変えることが好ましいが、ハロゲン化銀1モル当たり5×10−10〜5×10−5モルの範囲、好ましくは5×10−8〜3×10−5モルの範囲が好ましい。
【0050】
金増感剤としては、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10−4モル〜1×10−8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10−5モル〜1×10−8モルである。
【0051】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
【0052】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることができる。こうした目的に用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、特開2000−267235の8ページ右欄32〜36行目に記載の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下に化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−5〜5×10−4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6〜1×10−2モル程度の量が好ましく、1×10−5〜5×10−3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6〜1×10−1モル程度の量が好ましく、1×10−5〜1×10−2モルがより好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層以外の層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1m2当り1×10−9〜1×10−3モル程度の量が好ましい。
【0053】
本発明に用いられる感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号記載の染料が好ましく用いられる。
【0054】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち、最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に、少なくとも1層の耐拡散性化合物で着色された親水性コロイド層を有することが好ましい。着色物質としては、染料またはそれ以外の有機、無機の着色物質を用いることができる。
【0055】
本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち、最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に、少なくとも1層の着色された親水性コロイド層を有することが好ましく、該層には、白色顔料を含有していてもよい。例えば、ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、硫酸バリウム、ステアリン酸バリウム、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン等を用いることができるが、種々の理由から、中でも二酸化チタンが好ましい。白色顔料は、処理液が浸透できるような、例えば、ゼラチン等の親水性コロイドの水溶液バインダー中に分散される。白色顔料の塗布付量は、好ましくは0.1〜50g/m2の範囲であり、更に好ましくは0.2〜5g/m2の範囲である。
【0056】
支持体と、支持体から最も近いハロゲン化銀乳剤層との間には、白色顔料含有層の他に、必要に応じて、下塗り層、あるいは任意の位置に中間層等の非感光性親水性コロイド層を設けることができる。
【0057】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料中に、蛍光増白剤を添加することで白地性をより改良でき好ましい。蛍光増白剤は、紫外線を吸収して可視光の蛍光を発することのできる化合物であれば、特に制限はないが、分子中に少なくとも1個以上のスルホン酸基を有するジアミノスチルベン系化合物であり、これらの化合物には、増感色素の感光材料の系外への溶出を促進する効果もあり好ましい。他の好ましい一つの形態は、蛍光増白効果を有する固体微粒子化合物である。
【0058】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0059】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号の28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。
【0060】
これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。また、これらの色素の添加方法としては、水またはメタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水と混和性の有機溶媒に溶解し、溶液として添加してもよいし、増感色素を密度が1.0g/mlより大きい水混和性溶媒の溶液または、乳化物、懸濁液として添加してもよい。
【0061】
増感色素の分散方法としては、高速撹拌型分散機を用いて水系中に機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法以外に、特開昭58−105141号に記載のようにpH6〜8、60〜80℃の条件下で水系中において機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法、特公昭60−6496号に記載の表面張力を3.8×10−2N/m以下に抑える界面活性剤の存在下に分散する方法、特開昭50−80826号に記載の実質的に水を含まず、pKaが5を上回らない酸に溶解し、該溶解液を水性液に添加分散し、この分散物をハロゲン化銀乳剤に添加する方法等を用いることができる。
【0062】
分散に用いる分散媒としては水が好ましいが、少量の有機溶媒を含ませて溶解性を調整したり、ゼラチン等の親水性コロイドを添加して分散液の安定性を高めることもできる。
【0063】
分散液を調製するのに用いることのできる分散装置としては、例えば、特開平4−125631号公報の第1図に記載の高速撹拌型分散機の他、ボールミル、サンドミル、超音波分散機等を挙げることができる。
【0064】
また、これらの分散装置を用いるに当たって、特開平4−125632号に記載のように、あらかじめ乾式粉砕などの前処理を施した後、湿式分散を行う等の方法をとってもよい。
【0065】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることができるが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
【0066】
本発明に係る感光材料に用いられるマゼンタカプラーとしては、特開平6−95283号7ページ右欄記載の一般式[M−1]で示される化合物が、発色色素の分光吸収特性がよく好ましい。好ましい化合物の具体例としては、同号8ページ〜11ページに記載の化合物M−1〜M−19を挙げることができる。更に、他の具体例としては、欧州公開特許第273,712号の6〜21頁に記載されている化合物M−1〜M−61及び同第235,913号の36〜92頁に記載されている化合物1〜223の中の上述の代表的具体例以外のものを挙げることができる。
【0067】
該マゼンタカプラーは、他の種類のマゼンタカプラーと併用することもでき、通常、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−3〜1モル、好ましくは1×10−2〜8×10−1モルの範囲で用いることができる。
【0068】
本発明に係る感光材料において、形成されるマゼンタ画像の分光吸収のλmaxは530〜560nmであることが好ましく、またλL0.2は、580〜635nmであることが好ましい。λL0.2とは、マゼンタ画像の分光吸光度曲線上において、最大吸光度が1.0を示す波長よりも長波で、吸光度が0.2を示す波長をいう。
【0069】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料のマゼンタ画像形成層には、マゼンタカプラーに加えてイエローカプラーが含有されることが好ましい。これらのカプラーのpKaの差は2以内であることが好ましく、更に好ましくは1.5以内である。本発明のマゼンタ画像形成性層に含有させる好ましいイエローカプラーは、特開平6−95283号の12ページ右欄に記載の一般式[Y−Ia]で表されるカプラーである。同公報の一般式[Y−1]で表されるカプラーのうち、特に好ましいものは、一般式[M−1]で表されるマゼンタカプラーと組み合わせる場合、組み合わせる一般式[M−1]で表されるカプラーのpKaより3以上低くないpKa値より3以上低くないpKa値を有するカプラーである。
【0070】
該イエローカプラーとして具体的な化合物例は、特開平6−95283号12〜13ページ記載の化合物Y−1及びY−2の他、特開平2−139542号の13ページから17ページ記載の化合物(Y−1)〜(Y−58)を好ましく使用することができるが、もちろんこれらに限定されることはない。
【0071】
本発明に係る感光材料に用いられるシアンカプラーとしては、以下に示す一般式(1)〜(4)で表される化合物が好ましい。
【0072】
【化1】
【0073】
上記一般式(1)において、Arはアリール基または複素環基を表す。Arで表されるアリール基としては、フェニル基またはナフチル基を挙げることができる。Arで表される複素環基としては5〜7員ものが好ましく、具体的には2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−ピロリル基、1−テトラゾニル基等を挙げることができる。
【0074】
Arで表されるアリール基、複素環基はさらに置換基を有してもよく、これらの置換基としては特に制限はないが、代表例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基を挙げることができる。
【0075】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等を挙げることができる。アルキニル基としては、ビニル、アリル、オレイル、シクロヘキセニル基等が挙げられる。アルケニル基としては、プロパルギル、1−ペンチニル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基を挙げることができる。複素環基としては、5〜7員のものが好ましく、具体的には2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−ピロリル基、1−テトラゾリジニル基等を挙げることができる。Arとして好ましくはフェニル基が挙げられる。
【0076】
一般式(1)において、R1はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基を表す。R1で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等を挙げることができる。アルキニル基としては、ビニル、アリル、オレイル、シクロヘキセニル基等が挙げられる。アルケニル基としては、プロパルギル、1−ペンチニル基等が挙げられる。
【0077】
R1で表されるアリール基、R1で表される複素環基としては、前記Arで表される基と同義の基で表すことができる。
【0078】
R1で表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基はさらに置換基を有してもよく、これらの置換基としては特に限定されないが、代表例としては、例えば、アルキル、アリール、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル等の各基が挙げられるが、この他に、ハロゲン原子、シクロアルケニル、アルキニル、複素環、スルホニル、スルフィニル、ホスホニル、アシル、カルバモイル、スルファモイル、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、シロキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、カルバモイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、複素環チオ、チオウレイド、カルボキシ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、スルホ等の各基、スピロ化合物残基、有橋炭化水素化合物残基等も挙げられる。
【0079】
一般式(1)において、L1は2価の連結基を表し、好ましくはアルキレン基、アリーレン基であり、nは0または1を表し、好ましくは0である。
【0080】
一般式(1)において、Cpは、下記一般式(5)または(6)で表されるシアンカプラー残基である。
【0081】
【化2】
【0082】
上記一般式(5)または一般式(6)において、Xは発色現像主薬の酸化体と反応して脱離する基を表す。
【0083】
Xの表す発色現像主薬の酸化体との反応により離脱しうる原子、基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、弗素原子等)、アルキレンオキシ、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニル、アルキルオキザリルオキシ、アルコキシオキザリルオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、複素環チオ、アルキルオキシチオカルボニルチオ、アシルアミノ、スルホンアミド、各々窒素原子で結合した含窒素複素環、アルキルオキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、カルボキシル等の各基が挙げられるが、これらの中で、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基である。
【0084】
一般式(5)または一般式(6)において、RMは一価の置換基を表す。RMの表す一価の置換基としては、特に制限はないが、代表例としては、アルキル、アリール、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル等の各基が挙げられるが、この他にハロゲン原子、シクロアルケニル、アルキニル、複素環、スルホニル、スルフィニル、ホスホニル、アシル、カルバモイル、スルファモイル、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、シロキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、カルバモイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、複素環チオ、チオウレイド、カルボキシ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、スルホ等の各基及びスピロ化合物残基、有橋炭化水素化合物残基等が挙げられる。
【0085】
次に、一般式(2)で表されるシアンカプラーについて詳細に説明する。
【0086】
【化3】
【0087】
一般式(2)において、R2、R3は、各々アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表し、これらの代表例としては、一般式(1)におけるR1と同様の基を例として挙げることができる。一般式(2)において、R2、R3は好ましくはアルキル基、アリール基である。
【0088】
一般式(2)において、R4は好ましくはアルキル基、アリール基であり、より好ましくはアルキル基であり、無置換アルキル基が最も好ましい。
【0089】
一般式(2)において、L2は2価の連結基を表し、好ましくはアルキレン基、アリーレン基であり、nは0または1を表し、好ましくは0である。
【0090】
次に、一般式(3)で表されるシアンカプラーについて説明する。
【0091】
【化4】
【0092】
一般式(3)において、R5は炭素数5以上の無置換アルキル基、無置換アルケニル基、無置換アルキニル基を表し、分岐であっても直鎖であってもよく、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、1,1,3−トリメチルブチル基、オレイル基、シクロヘキセニル基、アダマンチル基を挙げることができる。
【0093】
一般式(3)において、R6及びR7はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表し、R6及びR7の表すアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基および複素環基の代表例としては、一般式(1)におけるR1と同様の基を挙げることができる。一般式(3)において、R6は好ましくは水素原子、アルキル基であり、より好ましくは水素原子である。一般式(3)において、R7は好ましくはアルキル基、アリール基である。
【0094】
一般式(3)において、J1は好ましくは−NR11−である。R11は一般式(1)におけるR1と同義である。
【0095】
一般式(3)において、L3は2価の連結基を表し、好ましくはアルキレン基、アリーレン基である。
【0096】
一般式(3)において、nは0または1を表し、好ましくは0である。
次に、一般式(4)で表されるシアンカプラーについて詳細に説明する。
【0097】
【化5】
【0098】
一般式(4)において、R8、R9、及びR10は各々、上記一般式(1)のR1と同義であり、L4は、上記一般式(1)のL1と同義であり、Wは、上記一般式(3)のJ1と同義である。
【0099】
一般式(4)において、Cpはカプラー残基を表すが、好ましく用いられるのは、下記一般式(7)で表されるカプラー残基である。
【0100】
【化6】
【0101】
一般式(7)において、Xで表される基は、上記一般式(5)、(6)におけるXと同様の基が挙げられるが、中でもアシルオキシ基が好ましい。
【0102】
次に、本発明の前記一般式(7)で表されるカプラー残基について詳細に説明する。
【0103】
一般式(7)において、RMで表される基は、前記一般式(5)または(6)におけるRMと同様の基を挙げることができ、RMとして好ましくはフェニル基である。
【0104】
一般式(7)において、EWGで表される基はハメットの置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基を表し、具体的には、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、フェニルスルホニル基、ペンタフルオロフェニルスルホニル基、スルフィニル基(例えば、t−ブチルスルフィニル基、トリフルオロメチルスルフィニル基)、β,β−ジシアノビニル基、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロオクチル基等)、ホルミル基、カルボキシル基、カルボニル基(例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、アルキルオキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等)、1−テトラゾリル基、5−クロル−1−テトラゾリル基、カルバモイル基(例えば、ドデシルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えば、フェニルスルファモイル基等)等が挙げられる。
【0105】
一般式(7)においけるEWGで表される基として好ましくは、シアノ基、ニトロ基が挙げられる。
【0106】
次に、本発明で好ましく用いられる前記一般式(1)〜(4)で表されるカプラーの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0107】
【化7】
【0108】
【化8】
【0109】
【化9】
【0110】
【化10】
【0111】
【化11】
【0112】
上記の各シアンカプラーは、特開平8−171185号、同8−311360号、同8−339060号、同9−281672号に記載の方法に準じて合成することができる。
【0113】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料においては、イエロー画像形成層中に含有されるイエローカプラーとしては、公知のアシルアセトアニリド系カプラー等を好ましく用いることができる。
【0114】
該イエローカプラーの具体例としては、例えば特開平3−241345号の5頁〜9頁に記載の化合物、Y−I−1〜Y−I−55で示される化合物、もしくは特開平3−209466号の11〜14頁に記載の化合物、Y−1〜Y−30で示される化合物も好ましく使用することができる。更に特開平6−95283号21ページ記載の一般式〔Y−I〕で表されるカプラー等も挙げることができる。
【0115】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料により形成されるイエロー画像の分光吸収のλmaxは425nm以上であることが好ましく、λL0.2は515nm以下であることが好ましい。
【0116】
該イエロー色画像の分光吸収のλL0.2とは、特開平6−95283号21ページ右欄1行〜24行に記載の内容で定義される値であり、イエロー色素画像の分光吸収特性で長波側の不要吸収の大きさを表す。
【0117】
該イエローカプラーは通常ハロゲン化銀乳剤層において、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−3〜1モル、好ましくは1×10−2〜8×10−1モルの範囲で用いることができる。
【0118】
本発明に係る感光材料に用いられるカプラーは、通常ハロゲン化銀1モル当り1×10−3〜1モル、好ましくは1×10−2〜8×10−1モルの範囲で用いることができる。
【0119】
本発明に係る感光材料としては、例えば、ネガフィルム及びポジフィルム並びにカラー印画紙、カラープルーフ等のカラー写真感光材料に用いられる。
【0120】
本発明に係る感光材料には、各種添加剤を用いることができる。例えば、リサーチ・ディスクロージャー(ResearchDisclosure)176巻、22〜31頁(1978年12月)に記載されている如き、通常、感光材料に用いられる色カブリ防止剤、色素画像安定化剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、マット剤、界面活性剤等の各種添加剤を用いることができる。
【0121】
詳しくは、マゼンタ色画像、シアン色画像及びイエロー色画像の分光吸収特性を調整するために、色調調整作用を有する化合物を添加することが好ましい。このための化合物としては、特開平6−95283号22ページ記載の一般式[HBS−I]に記載されるリン酸エステル系化合物、[HBS−II]で示されるホスフィンオキサイド系化合物が好ましく、より好ましくは同号22ページ記載の一般式[HBS−II]で示される化合物である。また、特開平4−265975号の5ページに記載の(a−i)〜(a−x)を代表とする高級アルコール系化合物を挙げることができる。
【0122】
前記のマゼンタ、シアン、イエローの各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することができる。好ましい化合物としては、特開平2−66541号の3ページに記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物、特開昭64−90445号記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が、特にマゼンタ色素用として好ましい。また特開平1−196049号記載の一般式I′で示される化合物および特開平5−11417号記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0123】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料に用いられる前記カプラー、ステイン防止剤やその他の有機化合物を添加するのに、水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。ステイン防止剤等を溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリオクチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類が好ましく用いられる。また、高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また2種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0124】
本発明に係る感光材料に用いられる写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には、特開昭64−26854号記載のA−1〜A−11が挙げられる。また、アルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、および塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
【0125】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して、色濁りを防止したりまたハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良することが好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は特開平4−133056号記載の一般式IIで示される化合物であり、同号13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
【0126】
本発明に係る感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0127】
本発明に係る感光材料には、油溶性染料や顔料を含有すると白地性が改良され好ましい。油溶性染料の代表的具体例は、特開平2−842号の8〜9ページに記載の化合物1〜27が挙げられる。
【0128】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて他のゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0129】
これらバインダーの硬膜剤としては、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。特開昭61−249054号、同61−245153号記載の化合物を使用することが好ましい。また、写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐためコロイド層中に特開平3−157646号記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加することが好ましい。また、感光材料または処理後の試料の表面の物性を改良するため、保護層に特開平6−118543号や特開平2−73250号記載の滑り剤やマット剤を添加することが好ましい。
【0130】
本発明に係る感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
【0131】
紙の表面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体は、通常、50〜300g/m2の質量を有する表面の平滑なものが用いられるが、プルーフ画像を得る目的に対しては、取り扱いの感覚を印刷用紙に近づけるため、130g/m2以下の原紙が好ましく用いられ、さらに70〜120g/m2の原紙が好ましく用いられる。本発明に用いられる支持体としては、ランダムな凹凸を有するものであっても平滑なものであっても好ましく用いることができる。
【0132】
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
【0133】
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13質量%以上が好ましく、さらには15質量%が好ましい。
【0134】
本発明において、紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
【0135】
本発明に用いられる両面に耐水性樹脂層を有する紙支持体の樹脂層は、1層であってもよいし、複数層からなってもよい。複数層とし、乳剤層と接する方に白色顔料を高濃度で含有させると鮮鋭性の向上が大きく、プルーフ用画像を形成するのに好ましい。
【0136】
また、支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、更には0.12μm以下であることが、光沢性に優れた効果を発揮することができ好ましい。
【0137】
本発明に用いられる感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0138】
ハロゲン化銀乳剤を用いた写真感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
【0139】
本発明に用いられる露光装置の露光光源は、公知のものをいずれも好ましく用いることができるが、レーザーまたは発光ダイオード(以下LEDと表す)がより好ましく用いられる。
【0140】
レーザーとしては半導体レーザー(以下、LDと表す)がコンパクトであること、光源の寿命が長いことから好ましく用いられる。また、LDはDVD、音楽用CDの光ピックアップ、POSシステム用バーコードスキャナ等の用途や光通信等の用途に用いられており、安価であり、かつ比較的高出力のものが得られるという長所を有している。LDの具体的な例としては、アルミニウム・ガリウム・インジウム・ヒ素(650nm)、インジウム・ガリウム・リン(〜700nm)、ガリウム・ヒ素・リン(610〜900nm)、ガリウム・アルミニウム・ヒ素(760〜850nm)等を挙げることができる。最近では、青光を発振するレーザーも開発されているが、現状では、610nmよりも長波の光源としてLDを用いるのが有利である。
【0141】
SHG素子を有するレーザー光源としては、LD、YAGレーザーから発振される光をSHG素子により半分の波長の光に変換して放出させるものであり、可視光が得られることから適当な光源がない緑〜青の領域の光源として用いられる。この種の光源の例としては、YAGレーザーにSHG素子を組み合わせたもの(532nm)等がある。
【0142】
ガスレーザーとしては、ヘリウム・カドミウムレーザー(約442nm)、アルゴンイオンレーザー(約514nm)、ヘリウムネオンレーザー(約544nm、633nm)等が挙げられる。
【0143】
LEDとしては、LDと同様の組成をもつものが知られているが、青〜赤外まで種々のものが実用化されている。
【0144】
本発明に用いられる露光光源としては、各レーザーを単独で用いてもよいし、これらを組合せ、マルチビームとして用いてもよい。LDの場合には、例えば10個のLDを並べることにより10本の光束からなるビームが得られる。一方、ヘリウムネオンレーザーのような場合、レーザーから発した光をビームセパレーターで例えば10本の光束に分割する。
【0145】
露光用光源の強度変化は、LD、LEDのような場合には、個々の素子に流れる電流値を変化させる直接変調を行うことができる。LDの場合には、AOM(音響光学変調子)のような素子を用いて強度を変化させてもよい。ガスレーザーの場合には、AOM、EOM(電気光学変調子)等のデバイスを用いるのが一般である。
【0146】
光源にLEDを用いる場合には、光量が弱ければ、複数の素子で同一の画素を重複して露光する方法を用いてもよい。
【0147】
本発明において、面積階調画像という言葉を用いているが、これは画像上の濃淡を個々の画素の色の濃淡で表現するのではなく、特定の濃度に発色した部分の面積の大小で表現するものであり、網点と同義と考えてよい。
【0148】
レーザー光源の場合には、ビーム径は25μm以下であることが好ましく、6〜22μmがより好ましい。6μmより小さいと画質的には好ましいが、調整が困難であったり、処理速度が低下したりする。一方、25μmより大きいとムラが大きくなり、画像の鮮鋭性も劣化する。ビーム径を最適化することによってムラのない高精細の画像の書き込みを高速で行うことができる。
【0149】
このような光で画像を描くには、ハロゲン化銀感光材料上を光束が走査する必要があるが、感光材料を円筒状のドラムに巻き付けこれを高速に回転しながら回転方向に直角な方向に光束を動かす円筒外面走査方式をとってもよく、円筒状の窪みにハロゲン化銀感光材料を密着させて露光する円筒内面走査方式も好ましく用いることができる。多面体ミラーを高速で回転させこれによって搬送されるハロゲン化銀感光材料を搬送方向に対して直角に光束を移動して露光する平面走査方式をとってもよい。高画質であり、かつ大きな画像を得るには円筒外面走査方式がより好ましく用いられる。
【0150】
円筒外面走査方式での露光を行うには、ハロゲン化銀感光材料は正確に円筒状のドラムに密着されなければならない。これが的確に行われるためには、正確に位置合わせされて搬送される必要がある。本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料は露光する側の面が外側に巻かれたものがより的確に位置合わせでき、好ましく用いることができる。同様な観点から、本発明に係るハロゲン化銀感光材料に用いられる支持体は適正な剛度があり、テーバー剛度で0.8〜4.0が好ましい。
【0151】
ドラム径は、露光するハロゲン化銀感光材料の大きさに適合させて任意に設定することができる。ドラムの回転数も任意に設定できるがレーザー光のビーム径、エネルギー強度、書き込みパターンや感光材料の感度などにより適当な回転数を選択することができる。生産性の観点からは、より高速な回転で走査露光できる方が好ましいが、具体的には1分間に200〜3000回転が好ましく用いられる。
【0152】
ドラムへのハロゲン化銀感光材料の固定方法は、機械的な手段によって固定させてもよいし、ドラム表面に吸引できる微小な穴を感光材料の大きさに応じて多数設けておき、感光材料を吸引して密着させることもできる。感光材料をドラムにできるだけ密着させることが画像ムラ等のトラブルを防ぐには重要である。
【0153】
本発明に係る感光材料は、当業界公知の発色現像処理を行なうことにより画像を形成することができる。発色現像後、漂白処理、定着処理を施される。漂白処理は定着処理と同時に行なってもよい。定着処理の後は、通常は水洗処理が行なわれる。また水洗処理の代替えとして安定化処理を行なってもよいし、両者を併用してもよい。
【0154】
本発明に係る感光材料は、親水性コロイド層中に発色現像主薬そのものを、あるいはそのプレカーサーとして含有し、アルカリ性の活性化浴により処理することもできる。
【0155】
本発明で用いられる現像主薬としては、芳香族一級アミン現像主薬が好ましく、公知の化合物を用いることができる。これらの化合物の例として下記の化合物を挙げることができる。
【0156】
CD−1)N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
CD−2)2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
CD−3)2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリルアミノ)トルエン
CD−4)4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−5)2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−6)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エチル)−アニリン
CD−7)N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニルエチル)メタンスルホンアミド
CD−8)N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
CD−9)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチルアニリン
CD−10)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシエチル)アニリン
CD−11)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γ−ヒドロキシプロピル)アニリン
本発明においては、上記現像主薬を含む発色現像液を、任意のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0157】
本発明において、発色現像の処理温度は、35℃以上、70℃以下が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からはあまり高くない方が好ましく、37℃以上60℃以下で処理することが好ましい。発色現像時間は、従来一般には3分30秒程度で行われているが、本発明では40秒以内が好ましく、さらに25秒以内の範囲で行うことがさらに好ましい。
【0158】
発色現像液には、前記の発色現像主薬に加えて、既知の現像液成分化合物を添加することができる。通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イオン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キレート剤などが用いられる。
【0159】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料は、発色現像後、漂白処理及び定着処理を施される。漂白処理は定着処理と同時に行なってもよい。定着処理の後は、通常は水洗処理が行なわれる。また、水洗処理の代替として、安定化処理を行なってもよい。
【0160】
本発明のハロゲン化銀感光材料の現像処理に用いる現像処理装置としては、処理槽に配置されたローラーに感光材料をはさんで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給するとともに感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。大量に処理する場合には、自動現像機を用いてランニング処理されるのが通常だが、この際、補充液の補充量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであり、公開技報94−16935に記載の方法が最も好ましい。
【0161】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0162】
実施例1
《ハロゲン化銀感光材料試料No.101の作製》
片面に高密度ポリエチレンを、もう一方の面にアナターゼ型酸化チタンを15質量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチレンをラミネートした、平米当たりの質量が115gのポリエチレンラミネート紙反射支持体(テーバー剛度=3.5、PY値=2.7μm)上に、下記に示す層構成の各層を酸化チタンを含有するポリエチレン層の側に塗設し、更に裏面側にはゼラチン6.00g/m2、シリカマット剤0.65g/m2を塗設した多層ハロゲン化銀感光材料である試料101を作製した。
【0163】
カプラーは高沸点溶媒に溶解して超音波分散し、分散物として添加したが、この時、界面活性剤として(SU−1)を用いた。又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。また各層に(F−1)を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0164】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム塩
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ((1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル)ハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノンと2,5−ジ−secテトラデシルハイドロキノンと2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノンの質量比1:1:2の混合物
SO−1:トリオクチルホスフィンオキサイド
SO−2:ジ(i−デシル)フタレート
SO−3:オレイルアルコール
SO−4:トリクレジルホスフェート
SO−5:(4−ドデシルベンゼン)−p−トルエンスルホンアミド
PVP:ポリビニルピロリドン
【0165】
【化12】
【0166】
【化13】
【0167】
上記試料101の作製に用いた各ハロゲン化銀乳剤の調製方法を、以下に示す。
【0168】
(青感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に下記(A液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ同時添加し、更に下記(C液)及び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0169】
(A液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200ml
(B液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(C液)
塩化ナトリウム 102.7g
ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 4×10−8モル
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 2×10−5モル
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 600ml
(D液)
硝酸銀 300g
水を加えて 600ml
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−101を得た。
【0170】
上記EMP−101に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、青感性ハロゲン化銀乳剤Em−B101を得た。
【0171】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤(STAB−1) 3×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−2) 3×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−3) 3×10−4モル/モルAgX
増感色素(BS−1) 4×10−4モル/モルAgX
増感色素(BS−2) 1×10−4モル/モルAgX
臭化カリウム 0.2g/モルAgX
次いで、EMP−101の調製において、(A液)と(B液)の添加時間および(C液)と(D液)の添加時間を変更した以外は同様にして、平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−102を得た。
【0172】
次いで、Em−B101の調製において、EMP−101に代えてEMP−102を用いた以外同様にしてEm−B102を調製し、Em−B101と102の1:1の混合物を青感性ハロゲン化銀乳剤として使用した。
【0173】
(緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
上記EMP−101の調製において、(A液)及び(B液)、(C液)及び(D液)の添加時間を変更した以外は同様にして平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤EMP−103を得た。
【0174】
上記EMP−103に対し、下記化合物を用い55℃にて最適に化学増感を行い、緑感性ハロゲン化銀乳剤Em−G101を得た。
【0175】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤(STAB−1) 3×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−2) 3×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−3) 3×10−4モル/モルAgX
増感色素(GS−1) 2×10−4モル/モルAgX
増感色素(GS−2) 2×10−4モル/モルAgX
塩化ナトリウム 0.5g/モルAgX
次いで、上記EMP−103の調製において、(A液)と(B液)の添加時間および(C液)と(D液)の添加時間を変更した以外はEMP−103と同様にして平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤EMP−104を得た。
【0176】
上記Em−G101の調製において、EMP−103に代えてEMP−104を用いた以外同様にしてEm−G102を調製し、Em−G101と102の1:1の混合物を緑感性ハロゲン化銀乳剤として使用した。
【0177】
(赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製)
前記EMP−103に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、赤感性ハロゲン化銀乳剤Em−R101を得た。
【0178】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤(STAB−1) 2×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−2) 2×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−3) 2×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−4) 1×10−4モル/モルAgX
増感色素(RS−1) 1×10−4モル/モルAgX
増感色素(RS−2) 1×10−4モル/モルAgX
強色増感剤(SS−1) 2×10−4モル/モルAgX
次に、上記Em−R101の調製において、下記化合物を用いて60℃にて最適に化学増感を行い、赤感性ハロゲン化銀乳剤Em−R102を得た。
【0179】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤(STAB−1) 2×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−2) 2×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−3) 2×10−4モル/モルAgX
安定剤(STAB−4) 1×10−4モル/モルAgX
増感色素(RS−1) 2×10−4モル/モルAgX
増感色素(RS−2) 2×10−4モル/モルAgX
強色増感剤(SS−1) 2×10−4モル/モルAgX
STAB−1:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾールSTAB−3:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−4:p−トルエンチオスルホン酸
上記調製したEm−R101、Em−R102の1:1混合物を赤感性ハロゲン化銀乳剤として使用した。
【0180】
【化14】
【0181】
【化15】
【0182】
【化16】
【0183】
《露光処理》
〔光源〕
光源としてBlueのLED(Light emitting diode)を主走査方向に5個並べ露光のタイミングを少しずつ遅延させることによって同じ場所を5個のLEDで露光出来るように調整した。また、副走査方向にも20個のLEDを並べ隣接する20画素分の露光が1度に出来る露光ヘッドを準備した。Green、Redも同様にLEDを組み合わせて露光ヘッドを準備した。各ビームの径は約10μmで、この間隔でビームを配列し、副走査のピッチは約200μmとした。
【0184】
〔露光〕
前記作製した多層ハロゲン化銀感光材料である試料101を用いて、上記の露光ヘッドにより、出力データとして図1に記載のデジタルデータを露光した。各色の露光量は、得られる発色が印刷物に最も近付くように露光量を調整して行い、下記の現像処理を行った。
【0185】
次いで、現像処理済み試料のBlue、Green、Redの各光量を変化させたときに発色するイエロー、シアン、マゼンタの濃度を測定し、光量−発色濃度の関係を得た。Blue、Green、Redの各最大光量で発色するイエロー、シアン、マゼンタの最大濃度はそれぞれ1.38、1.94、2.16であった。なお、濃度の測定は、(三菱製紙株式会社)特菱アート110kgを2枚重ねで机上に敷いた上に測定資料を置き、エックスライト社製528型濃度計を用いシアン、マゼンタ、イエロー濃度を測定し、得られた結果を表1に示す。分光特性はステータスTを用いた。
【0186】
表1に記載の様にイエロー、マゼンタ、シアンの発色濃度を変化させて、各印刷インキの重なり色を表現させた。
【0187】
〈現像処理〉
現像処理条件は、下記の通りである。
【0188】
処理工程 処理温度 時間 補充量
発色現像 37.0±0.3℃ 120秒 200ml/m2
漂白定着 37.0±0.5℃ 90秒 150ml/m2
安定化 30〜34℃ 60秒 400ml/m2
乾燥 60〜80℃ 30秒
(発色現像液開始液及び補充液) 開始液 補充液
トリエチレンジアミン 3.0g 4.0g
ジエチレングリコール 6.0g 8.0g
臭化カリウム 0.15g 0.2g
塩化カリウム 3.5g 0.2g
亜硫酸カリウム 0.3g 0.4g
N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)
−4−アミノアニリン硫酸塩 3.0g 4.0g
N,N−ジスルホエチルヒドロキシルアミン 15.0g 20.0g
トリエタノールアミン 6.0g 8.0g
ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 1.5g 2.0g
蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベン
ジスルホン酸誘導体) 1.5g 2.0g
炭酸カリウム 30g 40g
水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.2に、補充液はpH=10.5に調整する。
【0189】
(漂白定着液タンク液及び補充液)
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g
ジエチレントリアミン五酢酸 3g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=5.0に調整する。
【0190】
(安定化液タンク液及び補充液)
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
硫酸亜鉛 0.5g
硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g
PVP(ポリビニルピロリドン) 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整する。
【0191】
〔目標印刷物の作成〕
図1と同一データの印刷物を、下記印刷条件で、特色2版を含む計6版で作成したものを目標印刷物として予め用意した。
【0192】
〈印刷条件〉
プロセスインキ:大日本インキ化学工業(株) GEOS−G
特色インキ色S1:PANTONE 315C(青色)
特色インキ色S2:PANTONE 876C(金色)
刷り順:K→C→M→Y→S1→S2
印刷機:ローランド R704
用紙:三菱製紙株式会社の特菱アート 110kg/四六判版 KPGサーマルCTPプレート TP−R
スクリーン:175線 チェーンドット
目標濃度値(DIN−NB):Y=1.1、M=1.5、C=1.5、K=1.8
目標ドットゲイン:17%(50%部)
【0193】
【表1】
【0194】
なお、表1に記載の各色の略称の詳細は、以下の通りである。
Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、B(ブルー)、G(グリーン)、R(レッド)、K(ブラック)、Gy(グレー)、W(白)、S1(特色1)、S2(特色2)
次に、下記透明度係数と表1の濃度成分値から、各S1とS2の重なり色のYMC濃度成分を算出し、得られた結果を表2に示す。
【0195】
S1:透明度係数関係式
Y成分ay1=40−((Oy1−60)/12)2
M成分am1=40−((Om1−75)/15)2
C成分ac1=40−((Oc1−80)/16)2
S2:透明度係数関係式
Y成分ay2=20−(((Oy2−60)/12)2)/2
M成分am2=20−(((Om2−75)/15)2)/2
C成分ac2=20−(((Oc2−80)/16)2)/2
上記のS1、S2の各透明度係数関係式を図4に示した。
【0196】
上記、関係式より
ay1=0.380、ay2=0.191
am1=0.280、am2=0.200
ac1=0.017、ac2=0.172
に設定した。
【0197】
次いで、表1に記載の各色を構成するYMCの濃度成分の値と、上記のS1およびS2を構成する濃度成分と透明度係数の関係式からS1、S2の重なり色の濃度成分を計算し、得られた結果を表2に示す。
【0198】
【表2】
【0199】
実施例2
実施例1において、S2の特色インキをpantone 663(薄紫白色)の色調に変更した以外は同様にして行った。
【0200】
実施例1に記載の方法により得られたS1、S2の各透明度係数は、
ay1=0.380、ay2=0.075
am1=0.280、am2=0.112
ac1=0.017、ac2=0.104
に設定した。
【0201】
次いで、表1に記載の各色を構成するYMCの濃度成分の値と、上記のS1およびS2を構成する濃度成分と透明度係数の関係式からS1、S2の重なり色の濃度成分を計算し、得られた結果を表3に示す。
【0202】
【表3】
【0203】
実施例3
上記実施例2において、S2の透明度係数を実施例1に記載の値を用いた以外は同様にして行い、得られた計算後の値を表4に示した。
【0204】
【表4】
【0205】
比較例1
実施例1において、特色版の重なり部の光量を、S1、S2の透明度係数を0にした場合、すなわち表5に記載のように、全てS1及びS2の光量を同一条件で行った以外は同様にして画像を形成した。
【0206】
【表5】
【0207】
《形成画像の評価》
以上のようにして作成した画像を、前記作成した目標印刷物と目視による比較観察を行い、下記の基準に則り、画像の重なり部の印刷物再現性、画像部の印刷物近似性及びベタパッチ部の色近似性について評価を行い、得られた結果を表6に示す。
【0208】
評価基準:目視で標準光源下で印刷物と目視比較
◎:目標の印刷物に対し、非常に近似した色再現である
○:目標の印刷物に対し、ほぼ良好な色再現である
△:プルーフとしての再現性が、やや乏しい
×:印刷物の品質を再現できていない
【0209】
【表6】
【0210】
表6より明らかなように、実施例1は比較例1に対して、特色インキの下の重なり色を再現できており、目標の印刷物に対し良好な近似性を示した。また、実施例2においては、特色インキの濃度成分が低いものを使用した際でも、請求項3で規定する設定を取ることにより、良好な近似性を維持することができた。
【0211】
【発明の効果】
本発明により、2色以上の色が重なった場合の印刷物の色調を再現する光量設定を、特定の関係に基づいて設定することにより、多色刷りの印刷物に容易にかつ高精度に対応できる階調画像の形成方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】各基準色と特色との重なりを示すカラーチャート構成で、「のせ」画像の一例を示す模式図である。
【図2】各基準色と特色との重なりを示すカラーチャート構成で、下部の色を省略した「ぬき」画像の一例を表した模式図である。
【図3】イエロー成分の発色濃度Oyと、下地となる色版の濃度成分が付加される度合いを決める透明度係数ayとの関係の一例を表す図である。
【図4】特色S1と特色S2の各透明度係数関係式を表す図である。
Claims (3)
- 波長の異なる光源を用い、それぞれn種のエネルギー強度を変化させて画像露光を行い、発色現像処理後にn種の異なる色が組み合わされて、任意の色調を表現できる画像形成材料を用いた階調画像の形成方法において、目標とする印刷物の色調Oと色調Uとが上下に重なった部分で、下地となるインキの色調Uを単独で表現するに要するエネルギー量で露光したときに得られる各発色濃度をU1、U2、U3、・・・、Unとし、上に重ねられるインキの色調Oを単独で表現するに要するエネルギー量で露光したときに得られる各発色濃度をO1、O2、O3、・・・、Onとした時、該色調Uと該色調Oを重ねた時の各発色濃度(D1、D2、D3、・・・、Dn)が、下記の関係式のいずれも満たしていることを特徴とする階調画像の形成方法。
D1=O1+a1×U1
D2=O2+a2×U2
D3=O3+a3×U3
:
:
:
Dn=On+an×Un
ただし、a1、a2、a3・・・anは独立した透明度係数で、いずれも0よりも大きく1よりも小さい。また、nは2以上の整数を表す。 - 支持体上に少なくともシアン、マゼンタ、イエローを発色可能なハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料を、デジタルデータに基づいて波長の異なる3種以上の光源を用いて、任意に光量を変化させて画像露光を行った後、発色現像処理する階調画像の形成方法において、目標とする印刷物の色調Oと色調Uとが上下に重なった部分で、下地となるインキの色調Uを単独で表現するに要するエネルギー量で露光したときに得られる各発色濃度をUy、Um、Ucとし、上に重ねられるインキの色調Oを単独で表現するに要するエネルギー量で露光したときに得られる各発色濃度をOy、Om、Ocとした時、該色調Uと該色調Oを重ねた時の各発色濃度(Dy、Dm、Dc)が、下記の関係式のいずれも満たしていることを特徴とする階調画像の形成方法。
Dy=Oy+ay×Uy<My
Dm=Om+am×Um<Mm
Dc=Oc+ac×Uc<Mc
ただし、ay、am、acはそれぞれ独立した透明度係数で、いずれも0よりも大きく1よりも小さい。また、My、Mm、Mcは、イエロー、マゼンタ、シアンの各最大発色濃度(Dmax)を表す。 - 前記Oy、Om、Ocと前記My、Mm、Mcで、Oy/My、Om/Mm、Oc/Mcの値が1/4未満のときの透明度係数をそれぞれay(low)、am(low)、ac(low)とし、Oy/My、Om/Mm、Oc/Mcの値が1/4以上、3/4以下のときの透明度係数をぞれぞれay(mid)、am(mid)、ac(mid)とし、Oy/My、Om/Mm、Oc/Mcの値が3/4を超えるときの透明度係数をay(hi)、am(hi)、ac(hi)としたとき、下記の関係式のいずれも満たしていることを特徴とする請求項2に記載の階調画像の形成方法。
ay(low)<ay(mid) かつay(mid)>ay(hi)
am(low)<am(mid) かつam(mid)>am(hi)
ac(low)<ac(mid) かつac(mid)>ac(hi)
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