JP2004077858A - 導波路すかし - Google Patents

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Ikutake Yagi
八木 生剛
Hiroshi Yoshikawa
吉川 博
Takashi Kurihara
栗原 隆
Kaneyuki Imai
今井 欽之
Yoshiaki Kurokawa
黒川 義昭
Katsuhiro Endo
遠藤 勝博
Takanari Tanabe
田辺 隆也
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Abstract

【課題】曲げられることを前提とした紙ベースの偽造防止対象物に対して、個人認証が可能な偽造防止技術を提供するにある。
【解決手段】平面型光導波路14,15,16内に微細な凹凸によるホログラム32が作り込まれた導波路ホログラムにおいて、該平面導波路14,15,16を、導波路面に平行な面を持ち、かつ、光透過率の異なる2種類の不透明なシート11,19で挟み、該不透明なシートのうち、光透過率の高いシート11において、該平面導波路14,15,16に接する面若しくはシート内に画像12が書き込まれていることを特徴とする。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導波路すかしに関する。詳しくは、偽造防止を目的とするものであって、紙幣におけるすかしやマイクロ文字、クレジットカードにおけるホログラム等と同様の役割を果たす。また、パスポート、免許証、保険証、各種会員証等、個人認証が必要な対象への貼り付けに好適な、偽造防止技術である。同様に、商品輸送の際の梱包シールとして用い、商品抜き取りなどの犯罪に対処することも適用範囲である。
【0002】
【従来の技術】
偽造防止の手段として、すかし、マイクロ文字、ホログラム、特殊インク等が用いられてきた。
最近では、半導体技術の進歩によりICカードの普及も進んでいる。
それぞれ、用途に合わせて組み合わせられ、偽造防止効果を高めている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、偽造団の技術も年々進歩しているので、偽造防止技術には常に最新の技術を取り込んで、偽造団よりも高い技術水準を保っておかなければならないという宿命を背負っている。
ICカード技術は、暗号技術と組み合わせることで、非常に高い偽造防止レベルを保証するが、剛性が高いために、曲げられることがある商品券やギフト券への適用は困難である。
一方、すかし、マイクロ文字、ホログラムは、曲げに対して耐性があるため、紙幣や商品券に適用されている。
【0004】
これらは偽造を避けたいものに、印刷工場にて作り込まれるものであるから、個人認証用途に、個々に固有の認識番号を付与するのは困難である。
以上述べたように、曲げられることを前提とした紙ベースの偽造防止対象物に対して、個人認証が可能な偽造防止技術は、現実的ではなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の請求項1に係る導波路すかしは、平面型光導波路内に微細な凹凸によるホログラムが作り込まれた導波路ホログラムにおいて、該平面導波路を、導波路面に平行な面を持ち、かつ、光透過率の異なる2種類の不透明なシートで挟み、該不透明なシートのうち、光透過率の高いシートにおいて、該平面導波路に接する面若しくはシート内に画像が書き込まれていることを特徴とする。
【0006】
上記課題を解決する本発明の請求項2に係る導波路すかしは、請求項1において、前記不透明なシートのうち、光透過率の低いシートにおいて、該平面導波路に接する面に光を反射する層が設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決する本発明の請求項3に係る導波路すかしは、請求項1又は2において、前記導波路ホログラムのホログラムが作り込まれたコアがクラッドを挟んで積層されていることを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決する本発明の請求項4に係る導波路すかしは、請求項3において、前記積層されたコアに作り込まれているホログラムの凹凸ピッチがコアによってそれぞれ異なることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記問題を解決するために、導波路ホログラフィーの技術を用いる。
導波路ホログラムは、サブミクロンのピッチでホログラムを作り込むという超微細加工技術、及び、導波路化技術という2種類の高度技術を必要とするため、偽造に対する困難性は非常に高い。
また、導波路は高分子の薄いシートで作られるために、柔軟性に富み、曲げに対する耐性がある。
【0010】
しかしながら、安価に導波路ホログラムを作製する為には、正当な工場において、微細加工された原盤からホログラム転写することによって、同一の導波路ホログラムを量産することが必須である。
従って、導波路ホログラフィー技術だけでは、個人認証に適用するのは実用的でない。
そこで、個人認証用には、通常の印刷技術を用い、印刷された文字や写真を可視化するために、導波路ホログラムを照明に利用する。
【0011】
図1に示すように、クラッド14、コア15及びクラッド16なる構造を持つ平面型導波路には、後述するような導波路ホログラムが作り込まれており、その表面に接着層13を介して半透明シート11が接着され、この半透明シート11には個人認証用に印刷された印刷面12が導波路側に配置される一方、その反対側である被添付シート111との間には、裏面からの透過光を遮蔽する不透明シート19が配置され接着層17を介して接着される(請求項1)。
【0012】
このような構造であれば、平面型導波路に光が入射されない限り、印刷面12に何が印刷されているか見ることは不可能である。
即ち、印刷面12に何が描かれているかを確認するためには、平面型導波路のコア15に導波光112を入射する。
導波光112は、導波路ホログラムによって、矢印で示されるように回折されて照明光113となり、導波路から印刷面12を透過し外部に透過光114として放出される。
この照明光112が、印刷面12の情報を有する透過光114となり、目115で見ることが可能となる。
【0013】
導波路ホログラムは、導波面の両側に等しい回折を生じるために、印刷面12のない被添付シート111側に回折された光は、そのままでは無駄に消費されてしまう。
そこで、不透明シート11の導波路側に、反射膜18を形成する(請求項2)。
反射膜18は、被添付シート111側に回折された光を反射させて、印刷面12を読みとるための照明光113として寄与させるために、視認性が高くなる利点がある。
また、図4に示すように、導波路を積層化することにより、各層からの照明パターンを変更することが可能であり、どの導波層に導波光414を導波させるかによって、すかし見ることのできるパターンを選択することが可能となる(請求項3)。
このような導波路の積層化は、偽造困難性を高める効果がある。
【0014】
導波路が積層された場合、認証手段として様々なバリエーションが可能となる。
例えば、各コア層に刻み込まれたホログラムの凹凸ピッチが異なる場合、使用波長の選択が可能となる(請求項4)。
例えば、クラッドの屈折率を1.5、コアの屈折率を1.52とした場合、図4に示すように、2層のコア45,47に刻まれたホログラムの凹凸ピッチを、それぞれ0.52μm、及び0.27μmとする。
【0015】
使用波長をλ=780m、λ=410nmの2種類としたとき、λをコア45に、λをコア47に入射すると、それぞれ回折光は導波路に対して垂直に回折され、導波路外に放出される。
ところが、λをコア47に入射すると、回折光はクラッドの表面で全反対され、照明光として導波路外に放出されることはない。
一方、λをコア45に入射すると、2次の回折光は、ほぼ真上におきるが、同時に1次と3次の回折が起き、干渉効果のために縞模様ができ、λをコア47に入射した時とは異なる照明光となる。
【0016】
従って、印刷面に2種類のインクα,βを用い、インクαは赤を吸収し、インクβは青を吸収するものとすると、λをコア45に入射するとインクαの情報のみが、λをコア47に入射するとインクβの情報のみが表示される。
逆に、λをコア47に入射しても何も見えず、λをコア45に入射するとインクβの情報が、コア47に入れたときとは違って見えることになる。
【0017】
〔実施形態1〕
本発明の第一の実施形態を図2に示す。この実施形態は、反射層のない構造に係るものである。
図2において、21は半透明シート、22印刷面、23,27,29は接着層、24,26はクラッド、25はコア、28は不透明シート、210は被添付シートである。
本実施形態は、図1において、反射層18が無いものを用いた場合であるが、導波路すかしとして有効に機能する。
【0018】
ここでは、目215で見ることを前提とし、使用光の波長は可視光の660nmを用いる。
コア25の屈折率を1.52、厚みを3μmとし、それを挟み込むクラッド24,26の屈折率を1.50、厚みを10μmとする。
従って、導波路の厚みは23μmであり、導波路はマルチモードとなる。
コア25表面には、1cm×1cmの広さで、440nmピッチの一様なグレーティングを形成しておく。
グレーティング形成には、原盤からの転写を用いるものとする。
【0019】
グレーティングの概要を図3に示す。
図3に示すように、上部クラッド31と下部クラッド33にコア32が挟まれて積層され、導波光35の方向に周期(Λ)0.44μmで、高さ(H)0.2μmの凹凸を刻んでおく。この凹凸がホログラム34である。
図2に戻って、波長660nmの光に対して、透過率が10%の半透明シート21の表面である印刷面22に赤を吸収するインクでID番号を印刷する。
【0020】
一方、不透明シート28の可視光に対する透過率を0.01%以下とし、実質上、目215には、不透明シート28を透過する光は届かないようにしておく。一方、目215の側からの照明に対し、半透明シート21の表面からの反射を10%とすると、印刷面22での情報を含んだ光の強度は、シートの往復と、クラッド24表面や不透明シート28表面は良好な反射層ではないから、表面反射光に対し、1/100以下に減衰している。
【0021】
従って、外部からの照明では印刷面22の情報を読みとることは不可能である。
ところが、導波路に660nmの導波光212を導波させると、ホログラム34が描かれた場所で光が回折して照明光213となり、導波面に対しほぼ垂直に透過光214として放出される。
この透過光214が印刷面22を横切り、半透明シート21によって1/10に減衰されて外部に出てくる。
この場合、外部照明の場合と異なり、表面反射等のノイズ光がないから、回折光強度が弱くて信号光が弱くなっても、暗い場所で観察すれば、印刷面の情報を読み取ることが可能である。
【0022】
ちなみに、本実施形態の構成では、回折効率は導波路の片側に7%程度となるので、導波光強度を10mWとすると、信号光強度は0.7mW/cm程度となる。
この強度は、600ルクス程度の明るさであるが、読書に最適な明るさとされる700ルクスと同程度の明るさであり、一般的な照明下で信号光を認識できることを意味している。
【0023】
〔実施形態2〕
本発明の第二の実施形態を図1に示す。実施形態1とは不透明シート19に反射層18が付加されていることが異なる。
図1において、11は半透明シート、12は印刷面、13,17,110は接着層、14,16はクラッド、15はコア、18は反射層、19は不透明シート、111は被添付シートである。
【0024】
反射層18の反射率には90%程度を要求する。
この場合、目115側からの照明を行った場合、印刷面12の情報をもつ信号光強度は、照明光強度の約1%の強度を持つ事になる。
印刷に使用するインクとして可視光の全ての波長に亘って等しく吸収する黒インクを用いた場合には、ノイズである表面反射光との強度比は約10:1となり、かすかに判読できるレベルとなる。
【0025】
従って、導波光112の波長に対して吸収率の高い材質が好ましく、この場合、赤色を良く吸収するインクが良い。
吸収スペクトルがシャープであればあるほど、外部照射光では判読が難しくなり、例えば、50nm程度の吸収幅であれば、白色照明光に対し、ノイズ:信号=100:1程度になるから、より不可視性が高くなる。
一方、実施形態1と同様に660mの導波光112を導波させた場合には、1.4mW/cmの光強度の信号光強度が得られ、白昼の太陽光下でも判読が可能となるほどの強度が得られる。
【0026】
〔実施形態3〕
本発明の第三の実施形態を図4及び図5に示す。
図4において、41は半透明シート、42は印刷面、43,49,411は接着層、44,46,48はクラッド、45,47はコア、410は反射層、412は不透明シート、413は被添付シートである。
実施形態2との違いはコアが積層されている点であり、図4に示すように、コア45とコア47が作り込まれている。その他の構成は実施態様2と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【0027】
また、実施形態2では、印刷面の直下に存在するコア45に印刷領域と同じか、それ以上のサイズのホログラムが描かれているが、本実施形態では、必ずしも印刷面42を全て覆うようにホログラムが作り込まれている必要はない。
図5は導波路面の上方から見た平面図であり、印刷面53である正方形状の印刷領域の内側に、コア45に作り込まれた星型のホログラム54と、コア47に作り込まれている六角形のホログラム55が含まれている。
【0028】
外部照射光によって何とか判別できるかもしれない印刷面42(53)の情報は、印刷面42(53)に描かれた全ての情報であるが、導波光414による再生では、コア45に入射した場合には星形のホログラム54のみが、コア47に入射した場合には六角形のホログラム55のみが視認できるようになる。
従って、外部照射光による覗き見で印刷面53の情報が判ったとしても、導波路面のホログラム領域の情報が無ければ、どのように再生されるかは判らない。
従って、偽造防止効果が高くなる。
【0029】
〔実施形態4〕
本発明の第三の実施形態を図4及び図6に示す。
実施形態2との違いは、導波路が積層され、図4に示すように、コア45とコア47に作り込まれているホログラムの凹凸ピッチが異なる点である。
コア45には0.52μmピッチで、コア47には0.27μmピッチでホログラムが描かれている。その他の構成は、実施態様2と同様であり同様な作用効果を奏する。
【0030】
ホログラムが描かれている領域は印刷面61の印刷領域サイズと同じでよい。印刷面61には、図6に示すように、2種類のインクで像が描かれており、赤色を吸収するインクαで象62を、青紫色を吸収するインクβでコウモリ63を印刷している。画像はお互いに離れていても、重なり合っていても良い。
【0031】
この実施形態の場合、コア45には780mの光を入射し、コア47には410nmの光を入射するのが正式な使い方である。
前者の場合、象62の像がすかし見える。後者の場合にはコウモリ63のシルエットがすかし見える。
ここでは、象62とコウモリ63で例示したが、実際の認証では顔写真や、ID番号を印刷する。
印刷は、パソコンのプリンタで行い、工場から送られてきた平面型導波路であるシールに、接着力の強い接着剤である接着層43にて接着する。
【0032】
このように説明したように、本発明は、垂直方向に回折光を発生するグレーティング(回折格子、ホログラム)を設けた平面型光導波路に透かし情報を印刷したシートを張り付けたものであり、そのため、ICカード並の偽造困難性を有し、折り曲げ可能であって、かつ、安価な認証シール、偽造防止シールを提供することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上、実施例に基づいて具体的に説明したように、本発明によれば、導波路ホログラムによる回折を照明として利用するようにしたので、ICカード並の偽造困難性を有し、折り曲げ可能で、安価な認証手段を実現した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導波路すかしの基本構造を示す横断面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る導波路すかしの構造を示す横断面図である。
【図3】本発明の実施形態の全てに共通な導波路ホログラムの横断面図である。
【図4】本発明の実施形態3,4に係る導波路すかしの構造を示す横断面図である。
【図5】本発明の実施形態3に係る導波路を上方から見た平面図である。
【図6】本発明の実施形態4に係る印刷面の印刷手法を示す平面図である。
【符号の説明】
11,21,41 半透明シート
12,22,42,53,61 印刷面
13,17,110,23,27,29,43,49,411 接着層
14,16,24,26,44,46,48 クラッド
15,25,45,47 コア
18,410 反射層
19,28,412 不透明シート
111,210,413 被添付シート
112,212,414,52 導波光
113,213,415 回折光(照明光)
114,214,416 透過光
115,215,417 目
51 導波路
54 星型ホログラム
55 六角形ホログラム
62 象
63 コウモリ

Claims (4)

  1. 平面型光導波路内に微細な凹凸によるホログラムが作り込まれた導波路ホログラムにおいて、該平面導波路を、導波路面に平行な面を持ち、かつ、光透過率の異なる2種類の不透明なシートで挟み、該不透明なシートのうち、光透過率の高いシートにおいて、該平面導波路に接する面若しくはシート内に画像が書き込まれていることを特徴とする導波路すかし。
  2. 請求項1において、前記不透明なシートのうち、光透過率の低いシートにおいて、該平面導波路に接する面に光を反射する層が設けられていることを特徴とする導波路すかし。
  3. 請求項1又は2において、前記導波路ホログラムのホログラムが作り込まれたコアがクラッドを挟んで積層されていることを特徴とする導波路すかし。
  4. 請求項3において、前記積層されたコアに作り込まれているホログラムの凹凸ピッチがコアによってそれぞれ異なることを特徴とする導波路すかし。
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