JP2004077224A - 観測装置及び故障検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測することができる観測装置及び観測方法、被測定集積回路の故障検出を効率良く行うことができる故障検出装置及び故障検出方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる観測装置では、タイミング発生手段2が、テスト信号の印加周期毎にタイミング信号を発生させると、サンプリング手段3が、タイミング信号に基づいて電源電流の電流観測信号をサンプリングしてデータ格納手段5に格納する。そして、データ数調整手段6が、データ数が整数の累乗となるようにサンプリングデータのデータ数を調整し、このデータ数を調整されたサンプリングデータにフーリエ変換を施して周波数スペクトルを観測する。また、本発明にかかる故障検査装置は、このような観測装置を用いて電源電流の周波数スペクトルを解析して被試験集積回路の故障を検査する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明にかかる観測装置では、タイミング発生手段2が、テスト信号の印加周期毎にタイミング信号を発生させると、サンプリング手段3が、タイミング信号に基づいて電源電流の電流観測信号をサンプリングしてデータ格納手段5に格納する。そして、データ数調整手段6が、データ数が整数の累乗となるようにサンプリングデータのデータ数を調整し、このデータ数を調整されたサンプリングデータにフーリエ変換を施して周波数スペクトルを観測する。また、本発明にかかる故障検査装置は、このような観測装置を用いて電源電流の周波数スペクトルを解析して被試験集積回路の故障を検査する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電源電流の周波数スペクトルを観測する観測装置及び観測方法、電源電流の周波数スペクトルを解析することにより前記被試験集積回路の故障を検査する故障検査装置及び故障検査方法、並びにこれらをコンピュータに対して実現するプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体集積回路に流れる電源電流の周波数解析により、半導体集積回路の故障検出を行う技術が提案されている。この技術においては、半導体集積回路に故障が存在したときに流れる異常電源電流のパワースペクトルを観測し、半導体集積回路の故障を検出する。
【0003】
半導体集積回路に故障が存在するときの異常電源電流の観測方法では、被測定集積回路(DUT:Device Under Test)である半導体集積回路に一連のテスト信号を連続的に間断なく繰返し印加し、そのとき被測定集積回路に流れる電源電流の周波数スペクトルを観測して故障検出を行う。このとき、観測した電源電流の周波数スペクトルと予め定められた周波数スペクトルとを比較することにより、被測定集積回路である半導体集積回路に流れる異常電源電流を検出し、被測定集積回路の故障を検出している。
【0004】
このような半導体集積回路の故障検出を行う従来の故障検査装置及び故障検査方法について図12及び図13を用いて説明する(例えば、特許3085284号公報参照)。図12に示すように、従来の故障検査装置は、制御手段1001、タイミング発生手段1002、サンプリング手段1003、演算手段1004、及びデータ格納手段1005を含む。
【0005】
タイミング発生手段1002は、一定の周期ごとにタイミング信号を発生させる。制御手段1001は、このタイミング信号に基づき電流観測信号のデータのサンプリングする開始合図とサンプリングの終了合図を生成させる。サンプリング手段1003は、サンプリング開始合図の受信により電流観測信号のサンプリングを開始させ、それとともにサンプリング終了合図の受信により電流観測信号のサンプリングを終了させる。また、サンプリングしたサンプリングデータは、逐次、データ格納手段5に送信されて記憶される。
【0006】
制御手段1001は、サンプリング終了合図を生成した後、演算命令を生成して演算手段1004に送信する。演算手段1004は、制御手段1001から演算命令を受信すると、データ格納手段1005からサンプリングデータを読み出し、読み出した離散フーリエ変換(DFT)を実行して結果を出力する。
【0007】
図13は、電源電流の周波数スペクトルの観測時に行う処理フローを示すフローチャートである。図13に示すように、従来例の電源電流の周波数スペクトルを観測して故障を検出する故障検査方法について説明する。タイミング発生手段1002は、予め定められた周期すなわちテスト信号の印加周期でタイミング信号を生成する(S1101)。制御手段1001は、このタイミング信号をタイミング発生手段1002から受けると、電源電流の電流観測信号をサンプリングするサンプリング開始合図を生成させる。このサンプリングの開始合図によって、サンプリング手段1003は、電流観測信号のサンプリングを開始する(S1102)。このとき、サンプリングは予め定められた一定の間隔で行われる。また、サンプリングしたサンプリングデータは、逐次、データ格納手段5に送られて記憶保持される。
【0008】
制御手段1001は、電流観測信号をサンプリングすると、電流観測信号のサンプリングの終了合図を生成させる。このサンプリングの終了合図により、サンプリング手段1003は、電流観測信号のサンプリングを終了する(S1103)。制御手段1001は、サンプリングの終了合図を生成した後、演算命令を演算手段1004に対して送る。演算手段1004は、電流観測信号をサンプリングしたデータをデータ格納手段1005から読み出し、フーリエ変換(DFT)演算を実行する(S1105)。この演算手段1004が実行した演算結果は、電流観測信号の各周波数成分の大きさであり、これを結果として出力する(S1106)。
【0009】
しかしながら、このような従来の電源電流の周波数スペクトルを観測して故障を検査する故障検査方法では、サンプリングデータのデータ数が電流観測時間とサンプリング周期で決まる不定数である。つまり、サンプリング周期をサンプリングレートで割った数がサンプリングデータのデータ数となる。
【0010】
さらに、フーリエ変換演算に離散フーリエ変換(DFT)を使用する場合、必要な演算回数は、サンプリングデータのデータ数をNとするとNの2乗になる(例えば、社団法人電子通信学会編、辻井重男著、「伝送回路」コロナ社、昭和58年初版発行、p26参照。)。そのため、サンプリングデータ数であるNが多くなると、フーリエ変換を行う演算実行時間はNの2乗倍に比例して長くなる。
【0011】
このように、電流観測信号とサンプリング周期とによりサンプリングデータ数が決まり、かつサンプリングデータのデータ数の増加に伴ってフーリエ変換の実行時間が2乗倍に比例して長くなるため、サンプリングデータのデータ数が多くなると、フーリエ変換の演算実行時間が膨大に長くなる。これにより、電源電流の周波数スペクトルを観測するのに必要な時間が長くなり、電源電流の周波数スペクトル観測を効率良く行うことができない。
【0012】
またさらに、演算手段1004は離散フーリエ変換(DFT)又は高速フーリエ変換(FFT)により演算を実行する。離散フーリエ変換(DFT)により演算実行する場合には、フーリエ変換の演算実行時間が長くなるという問題がある。また、特許文献1には不定数データに対する高速フーリエ変換(FFT)の具体的な実行手順が明示されていないが、高速フーリエ変換(FFT)により演算実行する場合には、サンプリングデータのデータ数は2の累乗だけ必要である。そのため、従来の故障検査装置では、サンプリングデータのデータ数が2の累乗となるまでサンプリングを行う必要があり、電源電流の周波数スペクトルを効率良くサンプリングすることができない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の観測装置及び観測方法、故障検出装置及び故障検出方法、並びにプログラムでは、サンプリングのデータ数が電流観測時間とサンプリング周期で決まるため、電源電流の周波数スペクトルの観測を効率良く行うことができず、被測定集積回路の故障検出を効率良く行うことができないという問題点があった。
【0014】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測することができる観測装置及び観測方法、被測定集積回路の故障検出を効率良く行うことができる故障検出装置及び故障検出方法、並びにこれらをコンピュータに対して実現させるプログラムを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる観測装置は、被試験集積回路に対して印加するテスト信号に応じて前記被試験集積回路に流れる電源電流を測定する電流観測信号に基づいて当該電源電流の周波数スペクトルを観測する観測装置であって、前記電流観測信号をサンプリングするサンプリング手段(例えば、発明の実施の形態におけるサンプリング手段3)と、該サンプリング手段がサンプリングしたサンプリングデータを格納するデータ格納手段(例えば、発明の実施の形態におけるデータ格納手段5)と、該データ格納手段に格納されたサンプリングデータのデータ数を調整するデータ数調整手段(例えば、発明の実施の形態におけるデータ数調整手段6)と、該データ数調整手段に対して、前記データ数が所定の整数の累乗となるように調整するように制御する制御手段(例えば、発明の実施の形態における制御手段1)と、基準となる整数である基数の累乗個あるデータを前記基数個の集合毎に分解した後に前記集合毎にデータを演算する第一演算処理と、該第一演算処理による前記集合毎の演算結果に基づいて前記分解前のデータを演算する第二演算処理とを有する演算処理により、前記データ数調整手段によりデータ数が調整されたサンプリングデータを繰り返し前記所定の整数個の集合毎に分解して演算し、前記周波数スペクトルを生成する演算手段(例えば、発明の実施の形態における演算手段4)とを備えたものである。このような構成により、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測することができる。
【0016】
さらに、本発明にかかる観測装置では、前記データ数調整手段は、前記サンプリングデータからデータを間引く又は前記サンプリングデータにデータを挿入することにより前記データ数を調整することができる。これにより、サンプリングの周期やサンプリングレートに関わらず、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測することができる。
【0017】
さらにまた、本発明にかかる観測装置では、前記データ数調整手段は、前記データ格納手段に格納されたサンプリングの格納アドレスに基づいて前記サンプリングデータからデータを間引く又は前記サンプリングデータにデータを挿入することができる。これにより、迅速にサンプリングデータのデータ数を調整することができる。
【0018】
また、本発明にかかる観測装置では、前記データ数調整手段は、前記調整されたサンプリングデータのデータ数に基づいて、サンプリングデータの前記間引き又は前記挿入を選択することができる。これにより、より迅速にサンプリングデータのデータ数を調整することができる。
【0019】
好ましくは、本発明にかかる観測装置では、前記演算処理は、前記所定の整数が2である高速フーリエ変換である。これにより、電源電流の周波数スペクトルを高速に生成することができる。
【0020】
本発明にかかる故障検査装置は、被試験集積回路に対して印加するテスト信号に応じて前記被試験集積回路に流れる電源電流を測定する電流観測信号に基づいて当該電源電流の周波数スペクトルを観測し、該周波数スペクトルを解析して前記被試験集積回路の故障を検査する故障検査装置であって、前記電流観測信号をサンプリングするサンプリング手段(例えば、発明の実施の形態におけるサンプリングユニット45)と、該サンプリング手段がサンプリングしたサンプリングデータを格納するデータ格納手段(例えば、発明の実施の形態におけるデータ格納ユニット46)と、該データ格納手段に格納されたサンプリングデータのデータ数を調整するデータ数調整手段(例えば、発明の実施の形態におけるデータ調整ユニット47)と、該データ数調整手段に対して、前記データ数が所定の整数の累乗となるように調整するように制御する制御手段(例えば、発明の実施の形態における制御ユニット43)と、基準となる整数である基数の累乗個あるデータを前記基数個の集合毎に分解した後に前記集合毎にデータを演算する第一演算処理と、該第一演算処理による前記集合毎の演算結果に基づいて前記分解前のデータを演算する第二演算処理とを有する演算処理により、前記データ数調整手段によりデータ数が調整されたサンプリングデータを繰り返し前記所定の整数個の集合毎に分解して演算し、前記周波数スペクトルを生成する演算手段(例えば、発明の実施の形態における演算ユニット48)と、該演算手段から前記周波数スペクトルを入力され、該入力された周波数スペクトルを解析する周波数スペクトル解析手段(例えば、発明の実施の形態におけるLSIテスタ37)とを備えたものである。このような構成により、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測して故障を検査することができる。
【0021】
本発明にかかる観測方法は、被試験集積回路に対して印加するテスト信号に応じて前記被試験集積回路に流れる電源電流を測定する電流観測信号に基づいて当該電源電流の周波数スペクトルを観測する観測方法であって、前記電流観測信号をサンプリングするステップと、該サンプリングされたサンプリングデータを格納するステップと、該格納されたサンプリングデータのデータ数が所定の整数の累乗となるように前記データ数を調整するステップと、基準となる整数である基数の累乗個あるデータを前記基数個の集合毎に分解した後に前記集合毎にデータを演算する第一演算処理と、該第一演算処理による前記集合毎の演算結果に基づいて前記分解前のデータを演算する第二演算処理とを有する演算処理により、前記データ数が調整されたサンプリングデータを繰り返し前記所定の整数個の集合毎に分解して演算し、前記周波数スペクトルを生成するステップとを備えたものである。このような方法により、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測することができる。
【0022】
さらに、本発明にかかる観測方法では、前記サンプリングデータからデータを間引く又は前記サンプリングデータにデータを挿入することにより前記データ数を調整することができる。これにより、サンプリングの周期やサンプリングレートに関わらず、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測することができる。
【0023】
さらにまた、本発明にかかる観測方法では、前記格納されたサンプリングの格納アドレスに基づいて前記サンプリングデータからデータを間引く又は前記サンプリングデータにデータを挿入することができる。これにより、迅速にサンプリングデータのデータ数を調整することができる。
【0024】
また、本発明にかかる観測方法では、前記調整されたサンプリングデータのデータ数に基づいて、前記サンプリングデータの前記間引き又は前記挿入を選択する。これにより、より迅速にサンプリングデータのデータ数を調整することができる。
【0025】
好ましくは、本発明にかかる観測装置は、前記演算処理は、前記所定の整数が2である高速フーリエ変換である。これにより、電源電流の周波数スペクトルを高速に生成することができる。
【0026】
本発明にかかる故障検査方法は、被試験集積回路に対して印加するテスト信号に応じて前記被試験集積回路に流れる電源電流を測定する電流観測信号に基づいて当該電源電流の周波数スペクトルを観測し、該周波数スペクトルを解析して前記被試験集積回路の故障を検査する故障検査方法であって、前記電流観測信号をサンプリングするステップと、該サンプリングされたサンプリングデータを格納するステップと、該格納されたサンプリングデータのデータ数が所定の整数の累乗となるように前記データ数を調整するステップと、基準となる整数である基数の累乗個あるデータを前記基数個の集合毎に分解した後に前記集合毎にデータを演算する第一演算処理と、該第一演算処理による前記集合毎の演算結果に基づいて前記分解前のデータを演算する第二演算処理とを有する演算処理により、前記データ数が調整されたサンプリングデータを繰り返し前記所定の整数個の集合毎に分解して演算し、前記周波数スペクトルを生成するステップと、該演算して生成された周波数スペクトルを解析するステップとを備えたものである。このような方法により、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測して故障を検査することができる。
【0027】
本発明にかかるプログラムは、被試験集積回路に対して印加するテスト信号に応じて前記被試験集積回路に流れる電源電流を測定する電流観測信号に基づいて当該電源電流の周波数スペクトルを観測することをコンピュータに対して実現するプログラムであって、前記電流観測信号をサンプリングするステップと、該サンプリングされたサンプリングデータを格納するステップと、該格納されたサンプリングデータのデータ数が所定の整数の累乗となるように前記データ数を調整するステップと、基準となる整数である基数の累乗個あるデータを前記基数個の集合毎に分解した後に前記集合毎にデータを演算する第一演算処理と、該第一演算処理による前記集合毎の演算結果に基づいて前記分解前のデータを演算する第二演算処理とを有する演算処理により、前記データ数が調整されたサンプリングデータを繰り返し前記所定の整数個の集合毎に分解して演算し、前記周波数スペクトルを生成するステップとをコンピュータに対して実現するものである。このような構成により、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0029】
本発明の実施の形態において、発明の実施の形態1ではサンプリングしたサンプリングデータからデータを間引いてデータの数を2の累乗個に調整する場合について説明し、発明の実施の形態2ではサンプリングしたサンプリングデータにデータを挿入してデータの数を2の累乗個に調整する場合について説明する。さらに、発明の実施の形態3ではサンプリングしたサンプリングデータからのデータの間引き又はサンプリングデータへのデータの挿入を選択してデータの数を2の累乗個に調整する場合について説明する。
【0030】
発明の実施の形態1.
発明の実施の形態1(以下、実施形態1と略す)では、サンプリングしたサンプリングデータからデータを間引いてデータの数を2の累乗個に調整する電源電流の周波数スペクトルの観測装置について説明する。また、実施形態1における観測装置は、被測定集積回路の電源電流について特定の周波数及びその高調波成分の大きさを高速フーリエ変換(FFT)によって演算実行して高速に求める。
【0031】
まず、図1を用いて、実施形態1における観測装置の構成について説明する。図1は、観測装置の一構成例を示すブロック図である。図1に示すように、観測装置は、主たる要素として、タイミング発生手段2、サンプリング手段3、データ格納手段5、データ数調整手段6、演算手段4、制御手段1から構成される。
【0032】
タイミング発生手段2は、一定の周期ごとにタイミング信号を発生させる機能を有する。タイミング発生手段2が発生させたタイミング信号は、制御手段1に対して出力される。サンプリング手段3は、タイミング発生手段2の発生させるタイミング信号に基づき、電源電流の電流観測信号のデータサンプリングを行う機能を有する。さらに、サンプリング手段3は、タイミング信号に基づき、電流観測信号のサンプリングを終了させる機能を有する。サンプリング手段3がサンプリングしたサンプリングデータは、データ格納手段5に対して出力される。
【0033】
データ格納手段5は、サンプリング手段3がサンプリングしたサンプリングデータをサンプリング手段3により入力されて記憶保存する機能を有する。データ数調整手段6は、制御手段1からの動作命令に従って、データ格納手段5に格納された任意個数のデータを高速フーリエ変換(FFT)により演算実行可能な2の累乗のデータ数に調整する機能を有する。そして、2の累乗のデータ数に調整されたデータは、データ数調整手段6から演算手段4に対して出力される。演算手段4は、データ数調整手段6によりデータ数を調整されたサンプリングデータに基づき高速フーリエ変換(FFT)による演算を実行する機能を有し、特定の周波数及びその高調波の大きさ等を求める機能を有する。
【0034】
制御手段1は、装置全体の動作制御を司る機能を備える。制御手段1は、タイミング発生手段2からタイミング信号を入力され、このタイミング信号に基づき、サンプリング手段3に対して電源電流の電流観測信号のデータサンプリングを開始させる。さらに、制御手段1は、タイミング発生手段2により入力されたタイミング信号に基づき、サンプリング手段3に対して電流観測信号のサンプリングを終了させる。そして、制御手段1は、データ数調整手段6に対して動作命令を入力し、データを高速フーリエ変換(FFT)による演算実行可能な2の累乗のデータ数に調整させる。また、制御手段1は、演算手段4に対して演算命令を入力し、高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換の演算を実行させる。
【0035】
実施形態1の観測装置では、コンピュータ上で実行されるプログラム制御により、前述のような各機能を実現するように構成することができる。この場合、各機能を実行するプログラムを予め記憶媒体に記憶しておき、コンピュータでこれらのプログラムをロードして機能を実行することができる。また、各機能を実行するコンピュータ等のハードウェア資源により分散的に処理する構成としても良いし、単一のコンピュータ等により物理的に単一に構成しても良い。
【0036】
次に、図2及び図3を用いて、実施形態1における観測装置の動作の概略について説明する。図2は実施形態1の観測装置の一処理フローを示すチャート図であり、図3は実施形態1の観測装置の動作を示すタイミング図及び概略模式図である。なお、図3(d)及び図3(e)における横軸は、時間と格納手段5におけるメモリ空間でのメモリアドレスとを示す。
【0037】
タイミング発生手段2はタイミング信号を発生させる(図2のステップS101)。図3(a)に示すように、タイミング発生手段2は、予め決められた周期Tごとにタイミング信号を発生させ、制御手段1に対して出力する。図3(b)に示すように、タイミング信号を入力された制御手段1は、サンプリング手段3に対してサンプリング開始合図を出力する。サンプリング開始合図を入力されたサンプリング手段3は、図3(c)に示すように、サンプリング開始合図により、電流観測信号を予め定められたサンプリングレートでサンプリングを開始する(図2のステップS102)。
【0038】
そして、タイミング発生手段2は、周期Tの後、サンプリング信号を発生させる。ここで、このサンプリング信号は、図3(a)に示すように、サンプリング開始合図を示すサンプリング信号の次のタイミング信号となっている。この次のサンプリング信号を入力された制御手段1は、図3(b)に示すように、サンプリング手段3にサンプリング終了合図を出力する。図3(c)に示すように、サンプリング終了合図を入力されたサンプリング手段3は、サンプリング終了合図により、電流観測信号のサンプリングを終了する(図2のステップS103)。
【0039】
図3(d)に示すように、サンプリング手段3によりサンプリングされたサンプリングデータは、データ格納手段5に対して出力され、一時的にデータ格納手段5に格納保存される。このとき、サンプリングデータは、格納アドレス”0”を先頭アドレスとして昇順に格納されている。また、格納されるサンプリングデータのデータ数は、タイミング信号の発生周期Tとサンプリングレートtで決まり、データ数=T/t(剰余切り捨て)となっている。
【0040】
データ格納手段5にサンプリングデータが一時的に格納されると、制御手段1はデータ数調整手段6に対して、データ数の調整を行わせるための動作命令であるデータ数調整指示を出力する。これにより、データ数調整手段6は、データ格納手段5に格納されるサンプリングデータのデータ数を調整する(図2のステップS104)。このとき、データ数調整手段6は、高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換の演算を実行する際に2の累乗個のデータが必要であるため、データ数が2の累乗個となるように調整が行われる。
【0041】
実施形態1における観測装置では、図3(e)に示すように、データ数調整手段6は、データ格納手段5に格納されたデータからデータを間引くことにより、データ数の調整を行う。例えば、サンプリングされたデータ数をN(不定数)とすると、データ数調整手段6は、データを間引くことにより、データ数Nを超えない最大の2の累乗となる数(ここで、この数をMaとする)にデータ数を調整する。そして、データ数調整手段6は、サンプリングデータのデータ数を調整すると、データ数調整されたサンプリングデータを演算手段4に対して出力する。
【0042】
データ数調整手段6がサンプリングデータのデータ数を調整すると、制御手段1は演算手段4に対して、演算処理を行わせるための動作命令である演算開始指示を出力する。これにより、演算手段4は、データ数が調整された後のサンプリングデータを読み込んで高速フーリエ変換(FFT)の演算を実行する(図2のステップS105)。その後、演算手段4は、当該観測装置の表示部等に演算結果を出力する(図2のステップS106)。
【0043】
さらに、図4及び図5を用いて、実施形態1における観測装置の動作の詳細について説明する。図4は実施形態1の観測装置が行うデータ間引きの一処理フローを示すフローチャートであり、図5は実施形態1の観測装置が行うデータ間引きの一処理例を示すブロック図である。
【0044】
図2及び図3に示すように、実施形態1の観測装置では、データ調整手段6により、サンデータ格納手段5に格納されたプリングデータからいくつかのデータを間引いてサンプリングデータのデータ数の調整が行われる。このとき、サンプリングデータは、2の累乗個となるように間引きされる。
【0045】
図4を用いて、サンプリングデータが2の累乗個となるように間引きする処理について説明する。サンプリング手段3によりサンプリングされたサンプリングデータは、データ格納手段5に先頭アドレス”0”(以下、” ”内の数字は2進表示とする)から昇順に格納される。このデータ格納手段5に格納されるデータ数をNとすると、最大格納アドレスはN−1となる。ここで、N−1の2進表示桁数をP(=log2(N−1)、ただし小数点以下は切り上げ)とする(図4のステップS111)。
【0046】
データ格納手段5に格納されたサンプリングデータについて、データ数調整手段6は、まず、最大格納アドレスの全桁の値が”1”つまり最大格納アドレスが”11・・・1(P個の1)”であるか否かを判断する(図4のステップS112)。ここで、最大格納アドレスの全桁の値が”1”であるとき、データ数Nは既に2の累乗であるため、当該サンプリングデータの間引きは実施する必要がない(図4のステップS120)。
【0047】
最大格納アドレスの全桁の値が”1”でなければ、データ数Nを超えない最大の2の累乗数Maをデータ調整数に設定する。それとともに、データ数調整手段6が着目する着目桁数Rと、データを選択するために設定する選択数Lをともに”0”に初期化する(図4のステップS113)。
【0048】
着目桁数Rの初期値は0であるので、最初にLSB(Least Significant Bit:最下位ビット)寄りの1からR+1=0+1=1ビット目、つまりデータの最下位1ビット目に着目する。そのデータの最下位1ビットの値が2R−1=20−1=0であることを選択条件としてアドレスを先頭番地側から選択する。すなわち、この選択条件を基に、データ格納手段5に先頭”0”から昇順に格納されるサンプリングデータを、先頭”0”の昇順に選択する。そして、アドレスを一つ選択する度にLに1を加算する(図4のステップS114)。
【0049】
着目桁数Rと選択数Lとに着目してサンプリングデータを選択した後、Lの加算が行われ、その度に選択数Lとデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maとを比較する。選択数Lがデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maと値が異なれば、選択条件を満たす次のアドレスを選択する(図4のステップS115)。ここで、図4においては、選択数Lに1が加算されるごとに増えるが、選択数Lの初期値が0であり、データ数Nを超えない最大の2の累乗数Maが自然数であるため、選択数Lとデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maとの値が異なるとき、LはMaより小さくなっている。
【0050】
このように順次選択し、着目桁の選択条件を満たすアドレスを全て選択完了したら(図4のステップS117)、着目桁を1桁増やし、新たにR=R+1とする(図4のステップS118)。アドレスの選択が完了していなければ(図4のステップS117)、図4のステップS114に戻り、全てにアドレスを選択するまで各着目桁の選択条件に基づいて順次選択を行う。例えば、初期の着目桁数Rは0なので、着目桁を1桁増やして新たにR=R+1とすると、次の着目桁数はR=1となる。これにより、着目ビットをLSB寄りの1からR+1=1+1=2ビット目となり、その値が2R−1=21−1=”01”であることを選択条件とし先頭番地側からアドレスの選択する。
【0051】
着目桁数Rを順次1づつ加算しながら、図4のS114からS118に至る処理を着目桁数RがN−1の2進表示桁数Pと等しくならない限り続ける(図4のステップS119)。このような処理を続けると、L=Maとなる時がある。L=Maとなった時、2の累乗個のデータが選択されたので未選択のデータを間引、2の累乗であるMa個のデータを得る調整が完了する(図4のステップS116)。
【0052】
図5を用いて、図4に示すようなデータの間引きの一処理例について具体的に説明する。図5においては、図5(a)に示すように、データ格納手段5のアドレス”0000”からアドレス”1000”にデータが格納されている。すなわち、図5においては、データ格納手段5に格納されるサンプリングデータの格納データ数NはN=9となり、図5(b)に示すようにN−1の2進表示桁数PをP=4とする(図4のステップS111)。ここで、図5においては、最大格納アドレス”1000”の全桁の値が”1”でないので、データ数Nを超えない最大の2の累乗数Maがデータ調整数に設定される(図4のステップS112)。図5(b)に示すように、データ数N=9により、データ数Nを超えない最大の2の累乗数MaをMa=8(2の3乗)に設定する。それとともに、着目桁数Rとデータ選択数Lをともに0に初期化する(図4のステップS113)。
【0053】
図5(c)に示すように、データ格納手段5に格納されたサンプリングデータについて、着目桁数Rの初期値は0であるので、アドレスのLSB寄りの1ビット目からR+1=1ビット目、すなわちLSBに着目する。LSBが2R−1=20−1=”0”であるアドレスのデータを低番地側(”0000”側)から選択し、アドレスを一つ選択したらLに1を加算する。図5において、LSBが”0”であるアドレスは、”0000”、”0010”、”0100”、”0110”、”1000”である。これらのアドレスに格納されたデータが順に選択され、同時にLが1〜5に順次1加算されてカウントアップする(図4のステップS114)。
【0054】
そして、選択数Lとデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maとを比較する(図4のステップS115)。図5(c)に示すように、選択数L=5、データ数Nを超えない最大の2の累乗数Ma=8であり、選択数Lとデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maとは異なる。
【0055】
データ格納手段5のアドレスのLSB寄りにある1からR+1=1ビット目(LSB)に着目してデータの選択を完了する(図4のステップS117)。この時点で着目桁数RはR=0でP(=4)より小さいので、図5(d)に示すように、着目桁数Rに1を加算してR=1とする。そして、データ格納手段5に格納されたデータについて、アドレスのLSB寄りの1からR+1=2ビット目に着目する。LSB寄りの1から2ビット目が2R−1=21−1=”01”であるアドレスのデータを低番地側から選択し、アドレスを一つ選択したらLに1を加算する。図5において、LSBよりの1から2ビット目が”01”であるアドレスは、”0001”、”0101”である。これらのアドレスに格納されたデータが順に選択され、同時にLが6〜7に順次1加算されてカウントアップする(図4のステップS114)。
【0056】
そして、選択数Lとデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maとを比較する(図4のステップS115)。図5(d)に示すように、選択数L=7、データ数Nを超えない最大の2の累乗数Ma=8であり、選択数Lとデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maとは異なる。
【0057】
データ格納手段5のアドレスでLSB寄りの1からR+1=2ビット目に着目してデータの選択を完了する(図4のステップS117)。この時点で着目桁数RはR=1でP(=4)より小さいので、図5(e)に示すように、着目桁数Rに1を加算してR=2とする。そして、データ格納手段5に格納されたデータについて、アドレスのLSB寄りの1からR+1=3ビット目に着目する。LSB寄りの1から3ビット目が2R−1=22−1=”011”であるアドレスのデータを低番地側から選択し、アドレスを一つ選択したらLを1加算する。図5において、LSBから1から3ビット目が”011”であるアドレスは、”0011”である。
【0058】
そして、選択数Lとデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maとを比較する(図4のステップS115)。図5(e)に示すように、選択数L=8、データ数Nを超えない最大の2の累乗数Ma=8であるので、選択数Lとデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maとが等しくなる。つまり、このアドレス”0011”に格納されたサンプリングデータを選択すると、選択数LがL=8となるので、L=Maとなり2の累乗である8個のデータを選択し終わる(図4のステップS119)。それとともに、図5(f)に示すように、ここまでの処理で未選択のアドレス”0111”は間引きされ、データの間引き処理が完了する(図5のステップS116)。
【0059】
以上のように、実施形態1における観測装置は、サンプリング手段3によりサンプリングして得られたサンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数Nを超えない最大の2の累乗Maに調整する。一般に、データ数Nは、タイミング信号の発生周期Tとサンプリングレートtとから決まる(N=T/t:剰余切り捨て)ため、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測するためにタイミング信号の発生周期Tを小さくしたりサンプリングレートtを大きくしたりするとするとデータ数Nが減少する。これに対して、サンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数Nを超えない最大の2の累乗Maに調整することにより、タイミング信号の発生周期Tやサンプリングレートtに関わらず、フーリエ変換の演算を効率良く実行することが可能となる。
【0060】
さらに、実施形態1の観測装置では、サンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数Nを超えない最大の2の累乗Maに調整するため、高速フーリエ変換(FFT)を用いてフーリエ変換の演算を実行することが可能となる。一般に、サンプリングデータのデータ数をm(m:任意の2の累乗である数)とすると、離散フーリエ変換(DFT)を用いた演算回数がm2オーダであるのに対して、高速フーリエ変換(FFT)を用いた場合の演算回数がlog2mオーダとなる。実施形態1の観測装置では、データ数をMaに調整しているので、高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換の演算実行が可能である。そのため、実施形態1の観測装置では、フーリエ変換演算回数を(Ma/2)log2Maの演算回数にすることができ、(Ma/2)log2Ma<N2であるため電流観測信号の周波数スペクトル観測を高速化できる。これにより、実施形態1の観測装置では、高速フーリエ変換(FFT)により演算実行するため、離散フーリエ変換(DFT)により演算実行するのに比べて演算回数を大幅に低減することができる。そして、このような高速フーリエ変換(FFT)の高速な演算実行により、高速で効率の良い電源電流の周波数スペクトル観測を実現することができる。
【0061】
また、実施形態1の観測装置では、データ数調整手段6がデータ数Nを超えない最大の2の累乗Maにデータ数Nを調整する際、新たにサンプリングデータを選択して削除する演算処理を行うことなく、サンプリングデータが格納されたデータ格納手段5におけるメモリ空間のアドレスに基づいてデータの調整を行う。そのため、データ数を調整するために演算を行うことなく、データ数を効率良く調整することができ、高速フーリエ変換(FFT)をより一層効率良く演算実行することが可能である。またさらに、実施形態1の観測装置においては、データ数調整手段6は、データ格納手段5に格納されたサンプリングデータを間引きすることによりデータ数を調整するため、データ格納手段5から間引きされるサンプリングデータを削除して簡便且つ効率良くデータ数の調整を行うことができる。
【0062】
特に、実施形態1の観測装置では、調整後のデータ数であるMaを、データ数Nを超えない最大の2の累乗に調整するため、調整前のデータ数Nが多数ある場合でフーリエ変換を施して演算実行するのにデータ数を減少させる必要がある場合に有効である。このような場合に、データ数Nを減少させて高速フーリエ変換(FFT)をより効率良く演算実行することができる。
【0063】
発明の実施の形態2.
発明の実施の形態2(以下、実施形態2と略す)では、サンプリングしたサンプリングデータにデータを挿入してデータの数を2の累乗個に調整する電源電流の周波数スペクトルの観測装置について説明する。また、実施形態2における観測装置は、被測定集積回路の電源電流について特定の周波数及びその高調波成分の大きさを高速フーリエ変換(FFT)によって演算実行して高速に求める。
【0064】
まず、実施形態2における観測装置の構成について説明する。実施形態2における観測装置は、図1に示すように、実施形態1と同様に構成することができる。ここで、データ数調整手段6について説明し、その他については実施形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0065】
実施形態1における観測装置では、データ数調整手段6は、サンプリング手段3によりサンプリングされたサンプリングデータからデータを間引いてデータの数を2の累乗個に調整する。これに対して、実施形態2における観測装置では、データ数調整手段6は、サンプリングしたサンプリングデータにデータを挿入してデータの数を2の累乗個に調整する機能を有する。それにともなって、制御手段1は、データ数調整手段6に対して動作命令を入力し、データを高速フーリエ変換(FFT)による演算実行可能な2の累乗のデータ数にサンプリングデータにデータを挿入させて調整させる。
【0066】
次に、図6及び図7を用いて、実施形態2における観測装置の動作の概略について説明する。図6は実施形態2の観測装置の一処理フローを示すチャート図であり、図7は実施形態1の観測装置の動作を示すタイミング図及び概略模式図である。なお、図7(d)及び図7(e)における横軸は、時間と格納手段5におけるメモリ空間でのメモリアドレスとを示す。
【0067】
図6及び図7において、ステップS101〜S103(図7では(a)〜(c))については、実施形態1と同様であり、ここでは説明するのを省略し、図6のステップS107〜S106(図7では(d)及び(e))について説明する。
【0068】
図7(d)に示すように、サンプリング手段3によりサンプリングされたサンプリングデータは、データ格納手段5に対して出力され、一時的にデータ格納手段5に格納保存される。このとき、サンプリングデータは、格納アドレス”0”を先頭アドレスとして昇順に格納されている。また、格納されるサンプリングデータのデータ数は、タイミング信号の発生周期Tとサンプリングレートtで決まり、データ数=T/t(剰余切り捨て)となっている。
【0069】
データ格納手段5にサンプリングデータが一時的に格納されると、制御手段1はデータ数調整手段6に対して、データ数の調整を行わせるための動作命令であるデータ数調整指示を出力する。これにより、データ数調整手段6は、データ格納手段5に格納されるサンプリングデータのデータ数を調整する(図6のステップS107)。このとき、データ数調整手段6は、高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換の演算を実行する際に2の累乗個のデータが必要であるため、データ数が2の累乗個となるように調整が行われる。
【0070】
実施形態2における観測装置では、図7(e)に示すように、データ数調整手段6は、データ格納手段5に格納されたデータにデータを挿入ことにより、データ数の調整を行う。例えば、サンプリングされたデータ数をN(不定数)とすると、データ数調整手段6は、データを挿入することにより、データ数Nを超えない最小の2の累乗となる数(ここで、この数をMbとする)にデータ数を調整する。そして、データ数調整手段6は、サンプリングデータのデータ数を調整すると、データ数調整されたサンプリングデータを演算手段4に対して出力する。
【0071】
データ数調整手段6がサンプリングデータのデータ数を調整すると、制御手段1は演算手段4に対して、演算処理を行わせるための動作命令である演算開始指示を出力する。これにより、演算手段4は、データ数が調整された後のサンプリングデータを読み込んで高速フーリエ変換(FFT)の演算を実行する(図6のステップS105)。その後、演算手段4は、当該観測装置の表示部等に演算結果を出力する(図6のステップS106)。
【0072】
さらに、図8及び図9を用いて、実施形態2における観測装置の動作の詳細について説明する。図8は実施形態2の観測装置が行うデータ挿入の一処理フローを示すフローチャートであり、図9は実施形態2の観測装置が行うデータ挿入の一処理例を示すブロック図である。
【0073】
図8及び図9に示すように、実施形態2の観測装置では、データ調整手段6により、サンデータ格納手段5に格納されたプリングデータにいくつかのデータが挿入されてサンプリングデータのデータ数の調整が行われる。このとき、サンプリングデータは、2の累乗個となるように挿入される。
【0074】
図8を用いて、サンプリングデータが2の累乗個となるようにデータを挿入する処理について説明する。サンプリング手段3によりサンプリングされたサンプリングデータは、データ格納手段5に先頭アドレス”0”(以下、” ”内の数字は2進表示とする)から昇順に格納される。このデータ格納手段5に格納されるデータ数をNとすると、最大格納アドレスはN−1となる。ここで、N−1の2進表示桁数をP(=log2(N−1)、ただし小数点以下は切り上げ)とする(図8のステップS151)。
【0075】
データ格納手段5に格納されたサンプリングデータについて、データ数調整手段6は、まず、最大格納アドレスの全桁の値が”1”つまり最大格納アドレスが”11・・・1(P個の1)”であるか否かを判断する(図8のステップS152)。ここで、最大格納アドレスの全桁の値が”1”であるとき、データ数Nは既に2の累乗であるため、当該サンプリングデータの間引きは実施する必要がない(図8のステップS160)。
【0076】
最大格納アドレスの全桁の値が”1”でなければ、データ数Nを超える最小の2の累乗数Mbをデータ調整数に設定する。それとともに、データ数調整手段6が着目する着目桁数RをR=P−1、データを選択するために設定する選択数LをL=Nに初期化する(図8のステップS153)。
【0077】
着目桁数Rの初期値はP―1であるので、最初にLSB(Least Significant Bit:最下位ビット)寄りの1からR+1=Pビット目、つまりデータの最上位1ビット目に着目する。そのデータの最上位1ビットの値が2R−1=2(P−1)−1であることを選択条件としてアドレスを先頭番地側から選択する。すなわち、この選択条件を基に、データ格納手段5に先頭”0”から昇順に格納されるサンプリングデータを、先頭”0”の昇順に選択する。そして、アドレスを一つ選択する度にLに1を加算する(図4のステップS114)。
【0078】
着目桁数Rと選択数Lとに着目してサンプリングデータを選択した後、Lの加算が行われ、その度に選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとを比較する。選択数Lがデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbと値が異なれば、選択条件を満たす次のアドレスを選択する(図8のステップS155)。ここで、図8においては、選択数Lに1が加算されるごとに増えるが、選択数Lの初期値がNであり、データ数Nを超える最小の2の累乗数Mbが自然数であるため、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとの値が異なるとき、LはMaより小さくなっている。
【0079】
このように順次選択し、着目桁の選択条件を満たすアドレスを全て選択完了したら(図4のステップS117)、着目桁を1桁減らし、新たにR=R−1とする(図8のステップS158)。アドレスの選択が完了していなければ(図8のステップS157)、図8のステップS154に戻り、全てにアドレスを選択するまで各着目桁の選択条件に基づいて順次選択を行う。例えば、初期の着目桁数RはP−1なので、着目桁を1桁減らして新たにR=R−1とすると、次の着目桁数はR=P−2となる。これにより、着目ビットをLSB寄りの1からR+1=P−1目となり、その値が2R−1=2(P−2)−1であることを選択条件とし先頭番地側からアドレスの選択する。
【0080】
着目桁数Rを順次1づつ減算しながら、図8のS154からS158に至る処理を着目桁数Rが0と等しくならない限り続ける(図8のステップS159)。このような処理を続けると、L=Mbとなる時がある。L=Mbとなった時、2の累乗個のデータが選択されたので未選択のデータを挿入し、2の累乗であるMb個のデータを得る調整が完了する(図8のステップS156)。
【0081】
図9を用いて、図8に示すようなデータの間引きの一処理例について具体的に説明する。図9においては、図9(a)に示すように、データ格納手段5のアドレス”0000”からアドレス”1000”にデータが格納されている。すなわち、図9においては、データ格納手段5に格納されるサンプリングデータの格納データ数NはN=9となり、図9(b)に示すようにN−1の2進表示桁数PをP=4とする(図8のステップS151)。ここで、図5においては、最大格納アドレス”1000”の全桁の値が”1”でないので、データ数Nを超える最小の2の累乗数Mbがデータ調整数に設定される(図8のステップS152)。図9(b)に示すように、データ数N=9により、データ数Nを超える最小の2の累乗数MbをMb=16(2の4乗)に設定する。それとともに、着目桁数RをR=P−1=3とデータ選択数LをL=N=9に初期化する(図8のステップS153)。
【0082】
図9(c)に示すように、データ格納手段5に格納されたサンプリングデータについて、着目桁数Rの初期値はP−1=3であるので、アドレスのLSB寄りの1ビット目からR+1=4ビット目、つまり全ビットに着目する。LSB寄りの1ビット目から4ビットが2R−1=23−1=”0111”であるアドレスのデータを低番地側(”0000”側)から選択し、アドレスを一つ選択したらLに1を加算する。図9において、LSB寄りの1ビット目から4ビットが”0111”であるアドレスは、”0111”である。このアドレスに格納されたデータが選択され、同時にLが10に1加算されてカウントアップする(図8のステップS154)。
【0083】
そして、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとを比較する(図8のステップS155)。図9(c)に示すように、選択数L=10、データ数Nを超える最小の2の累乗数Mb=16であり、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとは異なる。
【0084】
データ格納手段5のアドレスのLSB寄りにある1からR+1=4ビット目(LSB)に着目してデータの選択を完了する(図8のステップS157)。この時点で着目桁数RはR=3でP(=0)より大きいので、図9(d)に示すように、着目桁数Rに1を減算してR=2とする。そして、データ格納手段5に格納されたデータについて、アドレスのLSB寄りの1からR+1=3ビット目に着目する。LSB寄りの1から3ビット目が2R−1=22−1=”011”であるアドレスのデータを低番地側から選択し、アドレスを一つ選択したらLに1を加算する。図9において、LSBよりの1から3ビット目が”011”であるアドレスは、”0011”である。このアドレスに格納されたデータが選択され、同時にLが11に1加算されてカウントアップする(図8のステップS154)。
【0085】
そして、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとを比較する(図8のステップS155)。図9(d)に示すように、選択数L=11、データ数Nを超える最小の2の累乗数Mb=16であり、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとは異なる。
【0086】
データ格納手段5のアドレスでLSB寄りの1からR+1=3ビット目に着目してデータの選択を完了する(図8のステップS157)。この時点で着目桁数RはR=2でP(=0)より大きいので、図9(e)に示すように、着目桁数Rに1を減算してR=1とする。そして、データ格納手段5に格納されたデータについて、アドレスのLSB寄りの1からR+1=2ビット目に着目する。LSB寄りの1から2ビット目が2R−1=21−1=”01”であるアドレスのデータを低番地側から選択し、アドレスを一つ選択したらLを1加算する。図9において、LSBから1から2ビット目が”01”であるアドレスは、”0001” 、”0101”である。これらのアドレスに格納されたデータが選択され、同時にLが12〜13に順次1加算されてカウントアップする(図8のステップS154)。
【0087】
そして、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとを比較する(図8のステップS155)。図9(e)に示すように、選択数L=13、データ数Nを超える最小の2の累乗数Mb=16であり、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとは異なる。
【0088】
データ格納手段5のアドレスでLSB寄りの1からR+1=2ビット目に着目してデータの選択を完了する(図8のステップS157)。この時点で着目桁数RはR=1でP(=0)より大きいので、図9(f)に示すように、着目桁数Rに1を減算してR=0とする。そして、データ格納手段5に格納されたデータについて、アドレスのLSB寄りの1からR+1=1ビット目、すなわちLSBに着目する。LSB寄りの1から2ビット目が2R−1=20−1=”0”であるアドレスのデータを低番地側から選択し、アドレスを一つ選択したらLを1加算する。図9において、LSBから1から2ビット目が”0”であるアドレスは、”0000” 、”0011” 、”0100”である。これらのアドレスに格納されたデータが選択され、同時にLが14〜16に順次1加算されてカウントアップする(図8のステップS154)。
【0089】
そして、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとを比較する(図8のステップS155)。図5(f)に示すように、選択数L=16、データ数Nを超える最小の2の累乗数Mb=16であるので、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとが等しくなる。つまり、このアドレス”0000”、”0011” 、”0100”に格納されたサンプリングデータを選択すると、選択数LがL=16となるので、L=Maとなり2の累乗である16個のデータを選択し終わる(図8のステップS159)。それとともに、図5(f)に示すように、ここまでの処理で未選択のアドレス”0110” 、”1000”は挿入されず、データの挿入処理が完了する(図9のステップS156)。
【0090】
以上のように、実施形態2における観測装置は、サンプリング手段3によりサンプリングして得られたサンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数Nを超える最小の2の累乗Mbに調整する。一般に、データ数Nは、タイミング信号の発生周期Tとサンプリングレートtとから決まる(N=T/t:剰余切り捨て)ため、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測するためにタイミング信号の発生周期Tを小さくしたりサンプリングレートtを大きくしたりするとするとデータ数Nが減少する。これに対して、サンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数Nを超える最小の2の累乗Mbに調整することにより、タイミング信号の発生周期Tやサンプリングレートtに関わらず、フーリエ変換の演算を効率良く実行することが可能となる。
【0091】
さらに、実施形態2の観測装置では、サンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数Nを超える最小の2の累乗Mbに調整するため、高速フーリエ変換(FFT)を用いてフーリエ変換の演算を実行することが可能となる。一般に、サンプリングデータのデータ数をm(m:任意の2の累乗である数)とすると、離散フーリエ変換(DFT)を用いた演算回数がm2オーダであるのに対して、高速フーリエ変換(FFT)を用いた場合の演算回数がlog2mオーダとなる。実施形態2の観測装置では、データ数をMbに調整しているので、高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換の演算実行が可能である。そのため、実施形態2の観測装置では、フーリエ変換演算回数を(Mb/2)log2Mbの演算回数にすることができ、(Mb/2)log2Mb<N2であるため電流観測信号のスペクトル観測を高速化できる。これにより、実施形態2の観測装置では、高速フーリエ変換(FFT)により演算実行するため、離散フーリエ変換(DFT)により演算実行するのに比べて演算回数を大幅に低減することができる。そして、このような高速フーリエ変換(FFT)の高速な演算実行により、高速で効率の良い電源電流の周波数スペクトル観測を実現することができる。
【0092】
また、実施形態2の観測装置では、データ数調整手段6がデータ数Nを超える最小の2の累乗Mbにデータ数Nを調整する際、新たなデータを生成する演算処理を行うことなく、サンプリングデータが格納されたデータ格納手段5におけるメモリ空間のアドレスに基づいてデータの調整を行う。そのため、データ数を調整するために演算を行うことなく、データ数を効率良く調整することができ、高速フーリエ変換(FFT)をより一層効率良く演算実行することが可能である。またさらに、実施形態2の観測装置においては、データ数調整手段6は、データ格納手段5に格納されたサンプリングデータにデータを挿入することによりデータ数を調整するため、データ格納手段5にサンプリングデータを挿入して簡便且つ効率良くデータ数の調整を行うことができる。
【0093】
特に、実施形態2の観測装置では、調整後のデータ数であるMbを、データ数Nを超える最小の2の累乗に調整するため、調整前のデータ数Nが少数ある場合でフーリエ変換を施して演算実行するのにデータ数を増加させる必要がある場合に有効である。このような場合に、データ数Nを増加させて高速フーリエ変換(FFT)をより効率良く演算実行することができる。
【0094】
発明の実施の形態3.
発明の実施の形態3(以下、実施形態3と略す)では、サンプリングしたサンプリングデータから間引き又はサンプリングデータにデータを挿入してデータの数を2の累乗個に調整する電源電流の周波数スペクトルの観測装置について説明する。また、実施形態3における観測装置は、被測定集積回路の電源電流について特定の周波数及びその高調波成分の大きさを高速フーリエ変換(FFT)によって演算実行して高速に求める。
【0095】
まず、実施形態3における観測装置の構成について説明する。実施形態3における観測装置は、図1に示すように、実施形態1や実施形態2と同様に構成することができる。ここで、データ数調整手段6について説明し、その他については実施形態1や実施形態2と同様であり、その説明を省略する。
【0096】
前述のように、実施形態1における観測装置では、データ数調整手段6は、サンプリングデータからデータを間引いてデータ数を2の累乗個に調整する。さらに、前述のように、実施形態2における観測装置では、データ数調整手段6は、サンプリングデータにデータを挿入してデータ数を2の累乗個に調整する。
【0097】
これに対して、実施形態3における観測装置では、データ数調整手段6は、サンプリングデータからデータを間引く、又はサンプリングデータにデータを挿入し、データの数を2の累乗個に調整する機能を有する。さらに、実施形態3における観測装置のデータ数調整手段6は、データ数の調整を行う際にサンプリングデータを間引くかデータを挿入するかを選択する機能を有する。また、制御手段1は、データ数調整手段6に対して動作命令を入力し、データ数調整手段6にサンプリングデータの間引き又は挿入を選択させ、データを高速フーリエ変換(FFT)により演算実行可能な2の累乗のデータ数にサンプリングデータにデータを挿入させて調整させる。
【0098】
次に、図10を用いて、実施形態3における観測装置の動作の概略について説明する。図10は実施形態3の観測装置の一処理フローを示すチャート図である。また、図10において、ステップS101及びS102については、実施形態1や実施形態2と同様であり、ここでは説明するのを省略し、図10のステップS103a〜S106について説明する。
【0099】
サンプリング終了合図を入力されたサンプリング手段3は、サンプリング終了合図により、電流観測信号のサンプリングを終了する。サンプリング手段3によりサンプリングされたサンプリングデータは、データ格納手段5に対して出力され、一時的にデータ格納手段5に格納保存される。このとき、サンプリングデータは、格納アドレス”0”を先頭アドレスとして昇順に格納されている。また、格納されるサンプリングデータのデータ数は、タイミング信号の発生周期Tとサンプリングレートtで決まり、データ数=T/t(剰余切り捨て)となっている。
【0100】
データ格納手段5にサンプリングデータが一時的に格納されると、制御手段1はデータ数調整手段6に対して、データ数の調整を行わせるための動作命令であるデータ数調整指示を出力する。これにより、データ数調整手段6は、データ格納手段5に格納されるサンプリングデータのデータ数を調整する(図6のステップS107)。このとき、データ数調整手段6は、高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換の演算を実行する際に2の累乗個のデータが必要であるため、データ数が2の累乗個となるように調整が行われる。
【0101】
実施形態3における観測装置では、データ数調整手段6は、制御手段1のデータ数調整指示により、データ数の調整を行う前にサンプリングデータの間引きと挿入とを選択する。その後、サンプリングデータからデータを間引いたり、サンプリングデータにデータを挿入したりし、データ数の調整を行う。そして、制御手段1からの動作指示により、サンプリングを終了すると、データ数Nとデータ数Nを超えない最大の2の累乗Ma、データ数Nを超える最小の2の累乗Mbを設定する(図10のステップS103a)。
【0102】
例えば、サンプリングされたデータ数をN(不定数)とすると、データ数調整手段6は、データ数Nとデータ数Nを超えない最大の2の累乗Ma、データ数Nを超える最小の2の累乗Mbとの近さにより、データの間引き又は挿入を選択する。データ数調整手段6は、(Mb−N)−(N−Ma)の値が、0より大きい(データ数Nがデータ数Nを超えない最大の2の累乗Maに近い)の場合にはサンプリングデータの間引きを行い、0より小さい(データ数Nがデータ数Nを超える最小の2の累乗Mbに近い)の場合にはサンプリングデータの挿入を行う。また、0に等しい(データ数Nが、データ数Nがデータ数Nを超えない最大の2の累乗Maとデータ数Nがデータ数Nを超える最小の2の累乗Mbと等距離)の場合には、サンプリングデータの間引きを行うものとする(図10のステップS108)。
【0103】
データ調整手段6は、データの間引きを選択した場合、前述の実施形態1と同様にしてサンプリングデータの間引きを行う(図10のステップS104a)。また、データ調整手段6は、データの挿入を選択した場合、前述の実施形態2と同様にしてサンプリングデータにデータの挿入を行う(図10のステップS107a)。ここでは、データの間引きと挿入について説明するの省略する。そして、データ数調整手段6は、サンプリングデータのデータ数を調整すると、データ数調整されたサンプリングデータを演算手段4に対して出力する。
【0104】
データ数調整手段6がサンプリングデータのデータ数を調整すると、制御手段1は演算手段4に対して、演算処理を行わせるための動作命令である演算開始指示を出力する。これにより、演算手段4は、データ数が調整された後のサンプリングデータを読み込んで高速フーリエ変換(FFT)の演算を実行する(図10のステップS105)。その後、演算手段4は、当該観測装置の表示部等に演算結果を出力する(図10のステップS106)。
【0105】
以上のように、実施形態3における観測装置は、サンプリング手段3によりサンプリングして得られたサンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数Nを超えない最大の2の累乗Ma又はデータ数Nを超える最小の2の累乗Mbに調整する(以下、この調整後のデータ数をM=Ma又はMbとする)。一般に、データ数Nは、タイミング信号の発生周期Tとサンプリングレートtとから決まる(N=T/t:剰余切り捨て)ため、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測するためにタイミング信号の発生周期Tを小さくしたりサンプリングレートtを大きくしたりするとするとデータ数Nが減少する。これに対して、サンプリングデータのデータ数をM(=Ma又はMb)に調整することにより、タイミング信号の発生周期Tやサンプリングレートtに関わらず、フーリエ変換の演算を効率良く実行することが可能となる。
【0106】
さらに、実施形態3の観測装置では、サンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数NをMに調整するため、高速フーリエ変換(FFT)を用いてフーリエ変換の演算を実行することが可能となる。一般に、サンプリングデータのデータ数をm(m:任意の2の累乗である数)とすると、離散フーリエ変換(DFT)を用いた演算回数がm2オーダであるのに対して、高速フーリエ変換(FFT)を用いた場合の演算回数がlog2mオーダとなる。実施形態3の観測装置では、データ数をMに調整しているので、高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換の演算実行が可能である。そのため、実施形態3の観測装置では、フーリエ変換演算回数を(M/2)log2Mの演算回数にすることができ、(M/2)log2M<N2であるため電流観測信号のスペクトル観測を高速化できる。これにより、実施形態3の観測装置では、高速フーリエ変換(FFT)により演算実行するため、離散フーリエ変換(DFT)により演算実行するのに比べて演算回数を大幅に低減することができる。そして、このような高速フーリエ変換(FFT)の高速な演算実行により、高速で効率の良い電源周波数のスペクトル観測を実現することができる。
【0107】
また、実施形態3の観測装置では、データ数調整手段6がデータ数Nを超えない最大の2の累乗Mにデータ数Nを調整する際、新たにサンプリングデータを選択して削除したり新たにデータを生成したりする演算処理を行うことなく、サンプリングデータが格納されたデータ格納手段5におけるメモリ空間のアドレスに基づいてデータの調整を行う。そのため、データ数を調整するために演算を行うことなく、データ数を効率良く調整することができ、高速フーリエ変換(FFT)をより一層効率良く演算実行することが可能である。またさらに、実施形態3の観測装置においては、データ数調整手段6は、データ格納手段5に格納されたサンプリングデータの間引き・挿入を選択することによりデータ数を調整するため、データ格納手段5に格納されるデータ数Nの大きさに関わらず、簡便且つ効率良くデータ数の調整を確実に行うことができる。
【0108】
さらにまた、実施形態3における観測装置では、サンプリングデータの間引き又は挿入を選択してデータ数の調整を行う。例えば、N=31であった時、データの間引きを選択してN=31から15のデータを間引き2の4乗である16個データに調整するのでなく、1個のデータを挿入することで2の5乗である32個のデータに調整する。この場合、間引きに比べ挿入の方法を選択する方がデータ加工量を少なくすることができる。このように、実施形態3の観測装置では、データの間引く数と挿入する数とを比較して少ない方を選択することにより、データの加工量が減少し、効率良くデータ数の調整を行うことができる。さらに、サンプリングデータの間引く数と挿入する数とを比較して少ない方を選択することにより、データ数の調整を行うことによりデータ調整後のフーリエ変換の結果が本質的に持つデータ数調整前のフーリエ変換の結果に対する誤差を抑制することができる。そのため、データの間引く数と挿入する数とを比較して少ない方を選択し、データ調整後のフーリエ変換の結果を、データ数調整前のフーリエ変換結果に近づけること可能となる。
【0109】
発明の実施の形態4.
発明の実施の形態4(以下、実施形態4と略す)では、前述の実施形態1乃至実施形態3の観測装置の応用として、前述の電源電流の周波数スペクトルを観測する観測装置を実装して被測定集積回路の故障を検査する故障検査装置について説明する。
【0110】
まず、図11を用いて、実施形態4における故障検査装置の構成について説明する。図11は、故障検査装置の一構成例を示すブロック図である。図11に示すように、故障検査装置は、主たる要素として、LSIテスタ37、テストパタン格納ユニット38、プログラム格納ユニット39、電源40、電流検出ユニット41、観測装置を備えている。
【0111】
LSIテスタ37は、当該被測定集積回路である被試験集積回路42に対して、故障検査を行うためのテスト信号を印加するコンピュータ等の装置である。テストパタン格納ユニット38は、LSIテスタ37により被試験集積回路42に印加されるテスト信号の種類やパタン等の情報が格納された装置である。プログラム格納ユニット39は、LSIテスタ37が被試験集積回路42に印加するテスト信号を作成するためにLSIテスタ37を操作する情報を記憶された装置である。また、LSIテスタ37には、テストパタン格納ユニット38とプログラム格納ユニット39が接続されている。それとともに、LSIテスタ37には、被試験集積回路42が接続され、被試験集積回路42にテスト信号を印加できるようになっている。
【0112】
電源40は、被試験集積回路12が動作を行うのに必要な電源電流を供給する。電流検出ユニット41は、電源40からの電源電流を被試験集積回路42に対して送る装置である。それとともに、電流検出ユニット41は、被試験集積回路42に供給する電源電流を観測し、その観測結果に基づく情報を電流観測信号としてサンプリングユニット45に送る装置である。
【0113】
図11に示すように、当該観測装置は、主たる要素として、タイミング信号生成ユニット44、サンプリングユニット45、データ格納ユニット46、データ数調整ユニット47、演算ユニット48、制御ユニット43から構成される。
【0114】
タイミング発生手段2は、一定の周期ごとにタイミング信号を発生させる装置である。サンプリングユニット45は、タイミング信号生成ユニット44の発生させるタイミング信号に基づき、電源電流の電流観測信号のデータサンプリングを行う装置である。データ格納ユニット46は、サンプリングユニット45がサンプリングしたサンプリングデータを記憶保存する装置である。
【0115】
データ数調整手段6は、制御手段1からの動作命令に従って、データ格納ユニット46に格納された任意個数のデータを高速フーリエ変換(FFT)により演算実行可能な2の累乗のデータ数に調整する装置である。演算ユニット48は、データ数調整ユニット47によりデータ数を調整されたサンプリングデータに基づき、特定の周波数及びその高調波の大きさを求める高速フーリエ変換(FFT)演算を実行する装置である。また、制御ユニット43は、当該観測装置全体の動作制御を司る装置である。そして、実施形態1乃至実施形態3と同様に、観測装置の各ユニットは接続されている。
【0116】
次に、実施形態4における故障検査装置の動作について説明する。なお、故障検査装置に実装された観測装置は、実施形態1乃至実施形態3と同様に動作を行い、入力された電流観測信号から演算結果を出力する。
【0117】
当該故障検査の対象となる被試験集積回路42は、電流検出ユニット41に接続され、電流検出ユニット41を介して電源40から電源電流を供給される。これにより、被試験集積回路42は動作を行っている。また、被試験集積回路42は、LSIテスタ37からテスト信号を入力されている。
【0118】
LSIテスタ37は、プログラム格納ユニット39に格納されたプログラムに従って動作を行い、テスト信号を生成する。また、このテスト信号は、テストパタン格納ユニット38に格納されるテストパタンに基づいて生成される。
【0119】
電流検出ユニット41は、被試験集積回路42に電源電流を供給するとともに、被試験集積回路42に供給する電源電流を観測して被試験集積回路42での電源電流の状態を示す電流を検出する。そして、電流検出ユニット41は、検出した電流を、電流観測信号としてサンプリングユニット45に対して入力する。
【0120】
当該観測装置のタイミング信号生成ユニット44は、LSIテスタ37に接続され、被試験集積回路42に入力するテスト信号の印加情報を受けてタイミング信号を生成している。制御ユニット43は、タイミング信号生成ユニット44に接続され、タイミング信号を入力され、サンプリングユニット45にサンプリングの開始合図と終了合図を入力する。このサンプリング可の開始合図と終了合図に基づいて、サンプリングユニット45はサンプリングの開始と終了とを行う。そして、電流検出ユニット41から入力された電流観測信号をサンプリングする。
【0121】
サンプリングユニット45によりサンプリングされたサンプリングデータは、データ格納ユニット46に対して入力され、データ格納ユニット46に格納される。そして、制御ユニット43からデータ数調整ユニット47に対してデータ格納ユニット46のデータ数を調整するための動作指示が入力される。それにともない、前述の実施形態1乃至実施形態3に示すように、データ数調整ユニット47はサンプリングデータの間引きや挿入を行ってデータ数の調整を行う。ここで、サンプリングデータのデータ数は、例えば、実施形態1乃至実施形態3と同様に、2の累乗となるように調整される。
【0122】
データ数調整ユニット47によりデータ格納ユニット46のサンプリングデータのデータ数が調整されると、制御ユニット43は、演算ユニット48に対して演算を行う動作指示である演算命令を入力する。これにともない、演算ユニット48は、データ格納ユニット46に格納され、さらにはデータ調整ユニット47によりデータ数が調整されたサンプリングデータを読み込む。そして、演算ユニット48は、実施形態1乃至実施形態3と同様に、演算ユニット43からの演算命令によって、読み込んだサンプリングデータを用いて高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換を演算実行する。
【0123】
演算ユニット48は、演算実行した演算結果を当該故障検査装置のモニタ等の表示部に出力する。そとともに、演算ユニット48は、LSIユニット37に接続され、LSIユニット37に対して演算結果を出力する。LSIユニット37は、演算ユニット48から入力された演算結果から被試験集積回路42の故障の有無を判定する。被試験集積回路42の故障の有無は、演算ユニット48から入力される当該演算結果と、被試験集積回路42が正常に動作する場合の演算結果とを比較して行うことができる。例えば、予め被試験集積回路42が正常に動作する時の周波数スペクトルをテストパタン格納ユニット38に格納し、この正常時の周波数スペクトルと演算ユニット48から出力される当該演算結果の周波数スペクトルと比較する。そして、LSIユニット37で異常電源電流のパワースペクトルを検出して故障を検出することができる。
【0124】
以上のように、実施形態4における故障検査装置は、実施形態1乃至実施形態3の観測装置を実装している。また、当該観測装置は、タイミング信号生成ユニット44が生成するタイミング信号の発生周期やサンプリングレートに関わらずフーリエ変換の演算を効率良く実行することができる。これにより、観測装置が検査結果である演算結果を効率出力し、検査結果を効率良く入手することができる。
【0125】
さらに、実施形態4の故障検査装置に実装される観測装置では、サンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数を2の累乗に調整するため、高速フーリエ変換(FFT)を用いてフーリエ変換の演算を高速に実行することが可能となる。これにより、実施形態4の故障検査装置では、高速フーリエ変換(FFT)を用いて、離散フーリエ変換(DFT)により演算実行するのに比べて演算回数を大幅に低減することができ、検査結果を迅速に入手することができる。そして、このような高速フーリエ変換(FFT)の高速な演算実行により、高速で効率の良い電源電流の周波数スペクトル観測を用いた故障検査装置を実現することができる。
【0126】
また、故障検査装置の観測装置では、データ数調整ユニット47がデータ数を調整する際、新たにサンプリングデータを選択して削除したり新たにデータを生成したりする演算処理を行うことなく、サンプリングデータが格納されたデータ格納ユニット46におけるメモリ空間のアドレスに基づいてデータの調整を行う。そのため、データ数を調整するために演算を行うことなく、データ数を効率良く調整することができる。これにより、より一層効率が良く高速な電源電流の周波数のスペクトル観測を用いた故障検査装置を得ることができる。
【0127】
なお、本発明の実施の形態においては、データ数を2の累乗となるように調整したが、2以外の整数の累乗となるように調整しても良い。また、本発明の実施の形態においては、高速フーリエ変換としてCooley−Tuckey型高速フーリエ変換を用いて説明したが、Prime Factor型高速フーリエ変換であっても良い。さらに、Cooley−Tuckey型高速フーリエ変換の場合、複数の整数に基づくSplit−Radix高速フーリエ変換によりフーリエ変換を演算実行しても良い。また、Prime Factor型高速フーリエ変換の場合、サンプリングデータのデータ数を所望の整数毎に因数分解されるようにデータ数の調整を行うようにすることができる。このように、サンプリングデータのデータ数を高速フーリエ変換に応じて種々の基準により調整することにより、高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換をより高速化することができ、電源電流の周波数スペクトル観測をより一層迅速に効率良く行うことができる。
【0128】
なおまた、本実施形態においては、フーリエ変換により電源電流の周波数スペクトルを生成したが、フーリエ変換に限らずハートレイ変換、ウェブレット変換等のような他の信号変換により生成しても良い。また、このようなフーリエ変換以外の信号変換に対して高速フーリエ変換を用いることが可能である。これにより、電源電流の周波数スペクトル観測をさらに一層効率良く行うことができる。
【0129】
【発明の効果】
本発明によれば、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測することができる観測装置及び観測方法、被測定集積回路の故障検出を効率良く行うことができる故障検出装置及び故障検出方法、並びにこれらをコンピュータに対して実現させるプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における観測装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1における観測装置の処理フローを示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1における観測装置の動作を示すタイミング図及びメモリ空間の概略模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1における観測装置のデータ間引きの処理フローを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1における観測装置のデータ間引きの処理フローを示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態2における観測装置の処理フローを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2における観測装置の動作を示すタイミング図及びメモリ空間の概略模式図である。
【図8】本発明の実施の形態2における観測装置のデータ挿入の処理フローを示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2における観測装置のデータ挿入の処理フローを示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態3における観測装置の処理選択の処理フローを示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態4における故障検査装置の一構成例を示すブロック図である。
【図12】従来の観測装置の一構成例を示すブロック図である。
【図13】従来の観測装置の処理フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 制御手段、 2 タイミング発生手段、 3 サンプリング手段、 4 演算手段、 5 データ格納手段、 6 データ数調整手段、 37 LSIテスタ、 38 テストパタン格納ユニット、 39 プログラム格納ユニット、 40 電源、 41 電流検出ユニット、 42 被試験集積回路、 43 制御ユニット、 44 タイミング信号生成ユニット、 45 サンプリングユニット、 46 データ格納ユニット、 47 データ数調整ユニット、 48 演算ユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、電源電流の周波数スペクトルを観測する観測装置及び観測方法、電源電流の周波数スペクトルを解析することにより前記被試験集積回路の故障を検査する故障検査装置及び故障検査方法、並びにこれらをコンピュータに対して実現するプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体集積回路に流れる電源電流の周波数解析により、半導体集積回路の故障検出を行う技術が提案されている。この技術においては、半導体集積回路に故障が存在したときに流れる異常電源電流のパワースペクトルを観測し、半導体集積回路の故障を検出する。
【0003】
半導体集積回路に故障が存在するときの異常電源電流の観測方法では、被測定集積回路(DUT:Device Under Test)である半導体集積回路に一連のテスト信号を連続的に間断なく繰返し印加し、そのとき被測定集積回路に流れる電源電流の周波数スペクトルを観測して故障検出を行う。このとき、観測した電源電流の周波数スペクトルと予め定められた周波数スペクトルとを比較することにより、被測定集積回路である半導体集積回路に流れる異常電源電流を検出し、被測定集積回路の故障を検出している。
【0004】
このような半導体集積回路の故障検出を行う従来の故障検査装置及び故障検査方法について図12及び図13を用いて説明する(例えば、特許3085284号公報参照)。図12に示すように、従来の故障検査装置は、制御手段1001、タイミング発生手段1002、サンプリング手段1003、演算手段1004、及びデータ格納手段1005を含む。
【0005】
タイミング発生手段1002は、一定の周期ごとにタイミング信号を発生させる。制御手段1001は、このタイミング信号に基づき電流観測信号のデータのサンプリングする開始合図とサンプリングの終了合図を生成させる。サンプリング手段1003は、サンプリング開始合図の受信により電流観測信号のサンプリングを開始させ、それとともにサンプリング終了合図の受信により電流観測信号のサンプリングを終了させる。また、サンプリングしたサンプリングデータは、逐次、データ格納手段5に送信されて記憶される。
【0006】
制御手段1001は、サンプリング終了合図を生成した後、演算命令を生成して演算手段1004に送信する。演算手段1004は、制御手段1001から演算命令を受信すると、データ格納手段1005からサンプリングデータを読み出し、読み出した離散フーリエ変換(DFT)を実行して結果を出力する。
【0007】
図13は、電源電流の周波数スペクトルの観測時に行う処理フローを示すフローチャートである。図13に示すように、従来例の電源電流の周波数スペクトルを観測して故障を検出する故障検査方法について説明する。タイミング発生手段1002は、予め定められた周期すなわちテスト信号の印加周期でタイミング信号を生成する(S1101)。制御手段1001は、このタイミング信号をタイミング発生手段1002から受けると、電源電流の電流観測信号をサンプリングするサンプリング開始合図を生成させる。このサンプリングの開始合図によって、サンプリング手段1003は、電流観測信号のサンプリングを開始する(S1102)。このとき、サンプリングは予め定められた一定の間隔で行われる。また、サンプリングしたサンプリングデータは、逐次、データ格納手段5に送られて記憶保持される。
【0008】
制御手段1001は、電流観測信号をサンプリングすると、電流観測信号のサンプリングの終了合図を生成させる。このサンプリングの終了合図により、サンプリング手段1003は、電流観測信号のサンプリングを終了する(S1103)。制御手段1001は、サンプリングの終了合図を生成した後、演算命令を演算手段1004に対して送る。演算手段1004は、電流観測信号をサンプリングしたデータをデータ格納手段1005から読み出し、フーリエ変換(DFT)演算を実行する(S1105)。この演算手段1004が実行した演算結果は、電流観測信号の各周波数成分の大きさであり、これを結果として出力する(S1106)。
【0009】
しかしながら、このような従来の電源電流の周波数スペクトルを観測して故障を検査する故障検査方法では、サンプリングデータのデータ数が電流観測時間とサンプリング周期で決まる不定数である。つまり、サンプリング周期をサンプリングレートで割った数がサンプリングデータのデータ数となる。
【0010】
さらに、フーリエ変換演算に離散フーリエ変換(DFT)を使用する場合、必要な演算回数は、サンプリングデータのデータ数をNとするとNの2乗になる(例えば、社団法人電子通信学会編、辻井重男著、「伝送回路」コロナ社、昭和58年初版発行、p26参照。)。そのため、サンプリングデータ数であるNが多くなると、フーリエ変換を行う演算実行時間はNの2乗倍に比例して長くなる。
【0011】
このように、電流観測信号とサンプリング周期とによりサンプリングデータ数が決まり、かつサンプリングデータのデータ数の増加に伴ってフーリエ変換の実行時間が2乗倍に比例して長くなるため、サンプリングデータのデータ数が多くなると、フーリエ変換の演算実行時間が膨大に長くなる。これにより、電源電流の周波数スペクトルを観測するのに必要な時間が長くなり、電源電流の周波数スペクトル観測を効率良く行うことができない。
【0012】
またさらに、演算手段1004は離散フーリエ変換(DFT)又は高速フーリエ変換(FFT)により演算を実行する。離散フーリエ変換(DFT)により演算実行する場合には、フーリエ変換の演算実行時間が長くなるという問題がある。また、特許文献1には不定数データに対する高速フーリエ変換(FFT)の具体的な実行手順が明示されていないが、高速フーリエ変換(FFT)により演算実行する場合には、サンプリングデータのデータ数は2の累乗だけ必要である。そのため、従来の故障検査装置では、サンプリングデータのデータ数が2の累乗となるまでサンプリングを行う必要があり、電源電流の周波数スペクトルを効率良くサンプリングすることができない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の観測装置及び観測方法、故障検出装置及び故障検出方法、並びにプログラムでは、サンプリングのデータ数が電流観測時間とサンプリング周期で決まるため、電源電流の周波数スペクトルの観測を効率良く行うことができず、被測定集積回路の故障検出を効率良く行うことができないという問題点があった。
【0014】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測することができる観測装置及び観測方法、被測定集積回路の故障検出を効率良く行うことができる故障検出装置及び故障検出方法、並びにこれらをコンピュータに対して実現させるプログラムを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる観測装置は、被試験集積回路に対して印加するテスト信号に応じて前記被試験集積回路に流れる電源電流を測定する電流観測信号に基づいて当該電源電流の周波数スペクトルを観測する観測装置であって、前記電流観測信号をサンプリングするサンプリング手段(例えば、発明の実施の形態におけるサンプリング手段3)と、該サンプリング手段がサンプリングしたサンプリングデータを格納するデータ格納手段(例えば、発明の実施の形態におけるデータ格納手段5)と、該データ格納手段に格納されたサンプリングデータのデータ数を調整するデータ数調整手段(例えば、発明の実施の形態におけるデータ数調整手段6)と、該データ数調整手段に対して、前記データ数が所定の整数の累乗となるように調整するように制御する制御手段(例えば、発明の実施の形態における制御手段1)と、基準となる整数である基数の累乗個あるデータを前記基数個の集合毎に分解した後に前記集合毎にデータを演算する第一演算処理と、該第一演算処理による前記集合毎の演算結果に基づいて前記分解前のデータを演算する第二演算処理とを有する演算処理により、前記データ数調整手段によりデータ数が調整されたサンプリングデータを繰り返し前記所定の整数個の集合毎に分解して演算し、前記周波数スペクトルを生成する演算手段(例えば、発明の実施の形態における演算手段4)とを備えたものである。このような構成により、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測することができる。
【0016】
さらに、本発明にかかる観測装置では、前記データ数調整手段は、前記サンプリングデータからデータを間引く又は前記サンプリングデータにデータを挿入することにより前記データ数を調整することができる。これにより、サンプリングの周期やサンプリングレートに関わらず、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測することができる。
【0017】
さらにまた、本発明にかかる観測装置では、前記データ数調整手段は、前記データ格納手段に格納されたサンプリングの格納アドレスに基づいて前記サンプリングデータからデータを間引く又は前記サンプリングデータにデータを挿入することができる。これにより、迅速にサンプリングデータのデータ数を調整することができる。
【0018】
また、本発明にかかる観測装置では、前記データ数調整手段は、前記調整されたサンプリングデータのデータ数に基づいて、サンプリングデータの前記間引き又は前記挿入を選択することができる。これにより、より迅速にサンプリングデータのデータ数を調整することができる。
【0019】
好ましくは、本発明にかかる観測装置では、前記演算処理は、前記所定の整数が2である高速フーリエ変換である。これにより、電源電流の周波数スペクトルを高速に生成することができる。
【0020】
本発明にかかる故障検査装置は、被試験集積回路に対して印加するテスト信号に応じて前記被試験集積回路に流れる電源電流を測定する電流観測信号に基づいて当該電源電流の周波数スペクトルを観測し、該周波数スペクトルを解析して前記被試験集積回路の故障を検査する故障検査装置であって、前記電流観測信号をサンプリングするサンプリング手段(例えば、発明の実施の形態におけるサンプリングユニット45)と、該サンプリング手段がサンプリングしたサンプリングデータを格納するデータ格納手段(例えば、発明の実施の形態におけるデータ格納ユニット46)と、該データ格納手段に格納されたサンプリングデータのデータ数を調整するデータ数調整手段(例えば、発明の実施の形態におけるデータ調整ユニット47)と、該データ数調整手段に対して、前記データ数が所定の整数の累乗となるように調整するように制御する制御手段(例えば、発明の実施の形態における制御ユニット43)と、基準となる整数である基数の累乗個あるデータを前記基数個の集合毎に分解した後に前記集合毎にデータを演算する第一演算処理と、該第一演算処理による前記集合毎の演算結果に基づいて前記分解前のデータを演算する第二演算処理とを有する演算処理により、前記データ数調整手段によりデータ数が調整されたサンプリングデータを繰り返し前記所定の整数個の集合毎に分解して演算し、前記周波数スペクトルを生成する演算手段(例えば、発明の実施の形態における演算ユニット48)と、該演算手段から前記周波数スペクトルを入力され、該入力された周波数スペクトルを解析する周波数スペクトル解析手段(例えば、発明の実施の形態におけるLSIテスタ37)とを備えたものである。このような構成により、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測して故障を検査することができる。
【0021】
本発明にかかる観測方法は、被試験集積回路に対して印加するテスト信号に応じて前記被試験集積回路に流れる電源電流を測定する電流観測信号に基づいて当該電源電流の周波数スペクトルを観測する観測方法であって、前記電流観測信号をサンプリングするステップと、該サンプリングされたサンプリングデータを格納するステップと、該格納されたサンプリングデータのデータ数が所定の整数の累乗となるように前記データ数を調整するステップと、基準となる整数である基数の累乗個あるデータを前記基数個の集合毎に分解した後に前記集合毎にデータを演算する第一演算処理と、該第一演算処理による前記集合毎の演算結果に基づいて前記分解前のデータを演算する第二演算処理とを有する演算処理により、前記データ数が調整されたサンプリングデータを繰り返し前記所定の整数個の集合毎に分解して演算し、前記周波数スペクトルを生成するステップとを備えたものである。このような方法により、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測することができる。
【0022】
さらに、本発明にかかる観測方法では、前記サンプリングデータからデータを間引く又は前記サンプリングデータにデータを挿入することにより前記データ数を調整することができる。これにより、サンプリングの周期やサンプリングレートに関わらず、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測することができる。
【0023】
さらにまた、本発明にかかる観測方法では、前記格納されたサンプリングの格納アドレスに基づいて前記サンプリングデータからデータを間引く又は前記サンプリングデータにデータを挿入することができる。これにより、迅速にサンプリングデータのデータ数を調整することができる。
【0024】
また、本発明にかかる観測方法では、前記調整されたサンプリングデータのデータ数に基づいて、前記サンプリングデータの前記間引き又は前記挿入を選択する。これにより、より迅速にサンプリングデータのデータ数を調整することができる。
【0025】
好ましくは、本発明にかかる観測装置は、前記演算処理は、前記所定の整数が2である高速フーリエ変換である。これにより、電源電流の周波数スペクトルを高速に生成することができる。
【0026】
本発明にかかる故障検査方法は、被試験集積回路に対して印加するテスト信号に応じて前記被試験集積回路に流れる電源電流を測定する電流観測信号に基づいて当該電源電流の周波数スペクトルを観測し、該周波数スペクトルを解析して前記被試験集積回路の故障を検査する故障検査方法であって、前記電流観測信号をサンプリングするステップと、該サンプリングされたサンプリングデータを格納するステップと、該格納されたサンプリングデータのデータ数が所定の整数の累乗となるように前記データ数を調整するステップと、基準となる整数である基数の累乗個あるデータを前記基数個の集合毎に分解した後に前記集合毎にデータを演算する第一演算処理と、該第一演算処理による前記集合毎の演算結果に基づいて前記分解前のデータを演算する第二演算処理とを有する演算処理により、前記データ数が調整されたサンプリングデータを繰り返し前記所定の整数個の集合毎に分解して演算し、前記周波数スペクトルを生成するステップと、該演算して生成された周波数スペクトルを解析するステップとを備えたものである。このような方法により、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測して故障を検査することができる。
【0027】
本発明にかかるプログラムは、被試験集積回路に対して印加するテスト信号に応じて前記被試験集積回路に流れる電源電流を測定する電流観測信号に基づいて当該電源電流の周波数スペクトルを観測することをコンピュータに対して実現するプログラムであって、前記電流観測信号をサンプリングするステップと、該サンプリングされたサンプリングデータを格納するステップと、該格納されたサンプリングデータのデータ数が所定の整数の累乗となるように前記データ数を調整するステップと、基準となる整数である基数の累乗個あるデータを前記基数個の集合毎に分解した後に前記集合毎にデータを演算する第一演算処理と、該第一演算処理による前記集合毎の演算結果に基づいて前記分解前のデータを演算する第二演算処理とを有する演算処理により、前記データ数が調整されたサンプリングデータを繰り返し前記所定の整数個の集合毎に分解して演算し、前記周波数スペクトルを生成するステップとをコンピュータに対して実現するものである。このような構成により、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0029】
本発明の実施の形態において、発明の実施の形態1ではサンプリングしたサンプリングデータからデータを間引いてデータの数を2の累乗個に調整する場合について説明し、発明の実施の形態2ではサンプリングしたサンプリングデータにデータを挿入してデータの数を2の累乗個に調整する場合について説明する。さらに、発明の実施の形態3ではサンプリングしたサンプリングデータからのデータの間引き又はサンプリングデータへのデータの挿入を選択してデータの数を2の累乗個に調整する場合について説明する。
【0030】
発明の実施の形態1.
発明の実施の形態1(以下、実施形態1と略す)では、サンプリングしたサンプリングデータからデータを間引いてデータの数を2の累乗個に調整する電源電流の周波数スペクトルの観測装置について説明する。また、実施形態1における観測装置は、被測定集積回路の電源電流について特定の周波数及びその高調波成分の大きさを高速フーリエ変換(FFT)によって演算実行して高速に求める。
【0031】
まず、図1を用いて、実施形態1における観測装置の構成について説明する。図1は、観測装置の一構成例を示すブロック図である。図1に示すように、観測装置は、主たる要素として、タイミング発生手段2、サンプリング手段3、データ格納手段5、データ数調整手段6、演算手段4、制御手段1から構成される。
【0032】
タイミング発生手段2は、一定の周期ごとにタイミング信号を発生させる機能を有する。タイミング発生手段2が発生させたタイミング信号は、制御手段1に対して出力される。サンプリング手段3は、タイミング発生手段2の発生させるタイミング信号に基づき、電源電流の電流観測信号のデータサンプリングを行う機能を有する。さらに、サンプリング手段3は、タイミング信号に基づき、電流観測信号のサンプリングを終了させる機能を有する。サンプリング手段3がサンプリングしたサンプリングデータは、データ格納手段5に対して出力される。
【0033】
データ格納手段5は、サンプリング手段3がサンプリングしたサンプリングデータをサンプリング手段3により入力されて記憶保存する機能を有する。データ数調整手段6は、制御手段1からの動作命令に従って、データ格納手段5に格納された任意個数のデータを高速フーリエ変換(FFT)により演算実行可能な2の累乗のデータ数に調整する機能を有する。そして、2の累乗のデータ数に調整されたデータは、データ数調整手段6から演算手段4に対して出力される。演算手段4は、データ数調整手段6によりデータ数を調整されたサンプリングデータに基づき高速フーリエ変換(FFT)による演算を実行する機能を有し、特定の周波数及びその高調波の大きさ等を求める機能を有する。
【0034】
制御手段1は、装置全体の動作制御を司る機能を備える。制御手段1は、タイミング発生手段2からタイミング信号を入力され、このタイミング信号に基づき、サンプリング手段3に対して電源電流の電流観測信号のデータサンプリングを開始させる。さらに、制御手段1は、タイミング発生手段2により入力されたタイミング信号に基づき、サンプリング手段3に対して電流観測信号のサンプリングを終了させる。そして、制御手段1は、データ数調整手段6に対して動作命令を入力し、データを高速フーリエ変換(FFT)による演算実行可能な2の累乗のデータ数に調整させる。また、制御手段1は、演算手段4に対して演算命令を入力し、高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換の演算を実行させる。
【0035】
実施形態1の観測装置では、コンピュータ上で実行されるプログラム制御により、前述のような各機能を実現するように構成することができる。この場合、各機能を実行するプログラムを予め記憶媒体に記憶しておき、コンピュータでこれらのプログラムをロードして機能を実行することができる。また、各機能を実行するコンピュータ等のハードウェア資源により分散的に処理する構成としても良いし、単一のコンピュータ等により物理的に単一に構成しても良い。
【0036】
次に、図2及び図3を用いて、実施形態1における観測装置の動作の概略について説明する。図2は実施形態1の観測装置の一処理フローを示すチャート図であり、図3は実施形態1の観測装置の動作を示すタイミング図及び概略模式図である。なお、図3(d)及び図3(e)における横軸は、時間と格納手段5におけるメモリ空間でのメモリアドレスとを示す。
【0037】
タイミング発生手段2はタイミング信号を発生させる(図2のステップS101)。図3(a)に示すように、タイミング発生手段2は、予め決められた周期Tごとにタイミング信号を発生させ、制御手段1に対して出力する。図3(b)に示すように、タイミング信号を入力された制御手段1は、サンプリング手段3に対してサンプリング開始合図を出力する。サンプリング開始合図を入力されたサンプリング手段3は、図3(c)に示すように、サンプリング開始合図により、電流観測信号を予め定められたサンプリングレートでサンプリングを開始する(図2のステップS102)。
【0038】
そして、タイミング発生手段2は、周期Tの後、サンプリング信号を発生させる。ここで、このサンプリング信号は、図3(a)に示すように、サンプリング開始合図を示すサンプリング信号の次のタイミング信号となっている。この次のサンプリング信号を入力された制御手段1は、図3(b)に示すように、サンプリング手段3にサンプリング終了合図を出力する。図3(c)に示すように、サンプリング終了合図を入力されたサンプリング手段3は、サンプリング終了合図により、電流観測信号のサンプリングを終了する(図2のステップS103)。
【0039】
図3(d)に示すように、サンプリング手段3によりサンプリングされたサンプリングデータは、データ格納手段5に対して出力され、一時的にデータ格納手段5に格納保存される。このとき、サンプリングデータは、格納アドレス”0”を先頭アドレスとして昇順に格納されている。また、格納されるサンプリングデータのデータ数は、タイミング信号の発生周期Tとサンプリングレートtで決まり、データ数=T/t(剰余切り捨て)となっている。
【0040】
データ格納手段5にサンプリングデータが一時的に格納されると、制御手段1はデータ数調整手段6に対して、データ数の調整を行わせるための動作命令であるデータ数調整指示を出力する。これにより、データ数調整手段6は、データ格納手段5に格納されるサンプリングデータのデータ数を調整する(図2のステップS104)。このとき、データ数調整手段6は、高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換の演算を実行する際に2の累乗個のデータが必要であるため、データ数が2の累乗個となるように調整が行われる。
【0041】
実施形態1における観測装置では、図3(e)に示すように、データ数調整手段6は、データ格納手段5に格納されたデータからデータを間引くことにより、データ数の調整を行う。例えば、サンプリングされたデータ数をN(不定数)とすると、データ数調整手段6は、データを間引くことにより、データ数Nを超えない最大の2の累乗となる数(ここで、この数をMaとする)にデータ数を調整する。そして、データ数調整手段6は、サンプリングデータのデータ数を調整すると、データ数調整されたサンプリングデータを演算手段4に対して出力する。
【0042】
データ数調整手段6がサンプリングデータのデータ数を調整すると、制御手段1は演算手段4に対して、演算処理を行わせるための動作命令である演算開始指示を出力する。これにより、演算手段4は、データ数が調整された後のサンプリングデータを読み込んで高速フーリエ変換(FFT)の演算を実行する(図2のステップS105)。その後、演算手段4は、当該観測装置の表示部等に演算結果を出力する(図2のステップS106)。
【0043】
さらに、図4及び図5を用いて、実施形態1における観測装置の動作の詳細について説明する。図4は実施形態1の観測装置が行うデータ間引きの一処理フローを示すフローチャートであり、図5は実施形態1の観測装置が行うデータ間引きの一処理例を示すブロック図である。
【0044】
図2及び図3に示すように、実施形態1の観測装置では、データ調整手段6により、サンデータ格納手段5に格納されたプリングデータからいくつかのデータを間引いてサンプリングデータのデータ数の調整が行われる。このとき、サンプリングデータは、2の累乗個となるように間引きされる。
【0045】
図4を用いて、サンプリングデータが2の累乗個となるように間引きする処理について説明する。サンプリング手段3によりサンプリングされたサンプリングデータは、データ格納手段5に先頭アドレス”0”(以下、” ”内の数字は2進表示とする)から昇順に格納される。このデータ格納手段5に格納されるデータ数をNとすると、最大格納アドレスはN−1となる。ここで、N−1の2進表示桁数をP(=log2(N−1)、ただし小数点以下は切り上げ)とする(図4のステップS111)。
【0046】
データ格納手段5に格納されたサンプリングデータについて、データ数調整手段6は、まず、最大格納アドレスの全桁の値が”1”つまり最大格納アドレスが”11・・・1(P個の1)”であるか否かを判断する(図4のステップS112)。ここで、最大格納アドレスの全桁の値が”1”であるとき、データ数Nは既に2の累乗であるため、当該サンプリングデータの間引きは実施する必要がない(図4のステップS120)。
【0047】
最大格納アドレスの全桁の値が”1”でなければ、データ数Nを超えない最大の2の累乗数Maをデータ調整数に設定する。それとともに、データ数調整手段6が着目する着目桁数Rと、データを選択するために設定する選択数Lをともに”0”に初期化する(図4のステップS113)。
【0048】
着目桁数Rの初期値は0であるので、最初にLSB(Least Significant Bit:最下位ビット)寄りの1からR+1=0+1=1ビット目、つまりデータの最下位1ビット目に着目する。そのデータの最下位1ビットの値が2R−1=20−1=0であることを選択条件としてアドレスを先頭番地側から選択する。すなわち、この選択条件を基に、データ格納手段5に先頭”0”から昇順に格納されるサンプリングデータを、先頭”0”の昇順に選択する。そして、アドレスを一つ選択する度にLに1を加算する(図4のステップS114)。
【0049】
着目桁数Rと選択数Lとに着目してサンプリングデータを選択した後、Lの加算が行われ、その度に選択数Lとデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maとを比較する。選択数Lがデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maと値が異なれば、選択条件を満たす次のアドレスを選択する(図4のステップS115)。ここで、図4においては、選択数Lに1が加算されるごとに増えるが、選択数Lの初期値が0であり、データ数Nを超えない最大の2の累乗数Maが自然数であるため、選択数Lとデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maとの値が異なるとき、LはMaより小さくなっている。
【0050】
このように順次選択し、着目桁の選択条件を満たすアドレスを全て選択完了したら(図4のステップS117)、着目桁を1桁増やし、新たにR=R+1とする(図4のステップS118)。アドレスの選択が完了していなければ(図4のステップS117)、図4のステップS114に戻り、全てにアドレスを選択するまで各着目桁の選択条件に基づいて順次選択を行う。例えば、初期の着目桁数Rは0なので、着目桁を1桁増やして新たにR=R+1とすると、次の着目桁数はR=1となる。これにより、着目ビットをLSB寄りの1からR+1=1+1=2ビット目となり、その値が2R−1=21−1=”01”であることを選択条件とし先頭番地側からアドレスの選択する。
【0051】
着目桁数Rを順次1づつ加算しながら、図4のS114からS118に至る処理を着目桁数RがN−1の2進表示桁数Pと等しくならない限り続ける(図4のステップS119)。このような処理を続けると、L=Maとなる時がある。L=Maとなった時、2の累乗個のデータが選択されたので未選択のデータを間引、2の累乗であるMa個のデータを得る調整が完了する(図4のステップS116)。
【0052】
図5を用いて、図4に示すようなデータの間引きの一処理例について具体的に説明する。図5においては、図5(a)に示すように、データ格納手段5のアドレス”0000”からアドレス”1000”にデータが格納されている。すなわち、図5においては、データ格納手段5に格納されるサンプリングデータの格納データ数NはN=9となり、図5(b)に示すようにN−1の2進表示桁数PをP=4とする(図4のステップS111)。ここで、図5においては、最大格納アドレス”1000”の全桁の値が”1”でないので、データ数Nを超えない最大の2の累乗数Maがデータ調整数に設定される(図4のステップS112)。図5(b)に示すように、データ数N=9により、データ数Nを超えない最大の2の累乗数MaをMa=8(2の3乗)に設定する。それとともに、着目桁数Rとデータ選択数Lをともに0に初期化する(図4のステップS113)。
【0053】
図5(c)に示すように、データ格納手段5に格納されたサンプリングデータについて、着目桁数Rの初期値は0であるので、アドレスのLSB寄りの1ビット目からR+1=1ビット目、すなわちLSBに着目する。LSBが2R−1=20−1=”0”であるアドレスのデータを低番地側(”0000”側)から選択し、アドレスを一つ選択したらLに1を加算する。図5において、LSBが”0”であるアドレスは、”0000”、”0010”、”0100”、”0110”、”1000”である。これらのアドレスに格納されたデータが順に選択され、同時にLが1〜5に順次1加算されてカウントアップする(図4のステップS114)。
【0054】
そして、選択数Lとデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maとを比較する(図4のステップS115)。図5(c)に示すように、選択数L=5、データ数Nを超えない最大の2の累乗数Ma=8であり、選択数Lとデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maとは異なる。
【0055】
データ格納手段5のアドレスのLSB寄りにある1からR+1=1ビット目(LSB)に着目してデータの選択を完了する(図4のステップS117)。この時点で着目桁数RはR=0でP(=4)より小さいので、図5(d)に示すように、着目桁数Rに1を加算してR=1とする。そして、データ格納手段5に格納されたデータについて、アドレスのLSB寄りの1からR+1=2ビット目に着目する。LSB寄りの1から2ビット目が2R−1=21−1=”01”であるアドレスのデータを低番地側から選択し、アドレスを一つ選択したらLに1を加算する。図5において、LSBよりの1から2ビット目が”01”であるアドレスは、”0001”、”0101”である。これらのアドレスに格納されたデータが順に選択され、同時にLが6〜7に順次1加算されてカウントアップする(図4のステップS114)。
【0056】
そして、選択数Lとデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maとを比較する(図4のステップS115)。図5(d)に示すように、選択数L=7、データ数Nを超えない最大の2の累乗数Ma=8であり、選択数Lとデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maとは異なる。
【0057】
データ格納手段5のアドレスでLSB寄りの1からR+1=2ビット目に着目してデータの選択を完了する(図4のステップS117)。この時点で着目桁数RはR=1でP(=4)より小さいので、図5(e)に示すように、着目桁数Rに1を加算してR=2とする。そして、データ格納手段5に格納されたデータについて、アドレスのLSB寄りの1からR+1=3ビット目に着目する。LSB寄りの1から3ビット目が2R−1=22−1=”011”であるアドレスのデータを低番地側から選択し、アドレスを一つ選択したらLを1加算する。図5において、LSBから1から3ビット目が”011”であるアドレスは、”0011”である。
【0058】
そして、選択数Lとデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maとを比較する(図4のステップS115)。図5(e)に示すように、選択数L=8、データ数Nを超えない最大の2の累乗数Ma=8であるので、選択数Lとデータ数Nを超えない最大の2の累乗数Maとが等しくなる。つまり、このアドレス”0011”に格納されたサンプリングデータを選択すると、選択数LがL=8となるので、L=Maとなり2の累乗である8個のデータを選択し終わる(図4のステップS119)。それとともに、図5(f)に示すように、ここまでの処理で未選択のアドレス”0111”は間引きされ、データの間引き処理が完了する(図5のステップS116)。
【0059】
以上のように、実施形態1における観測装置は、サンプリング手段3によりサンプリングして得られたサンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数Nを超えない最大の2の累乗Maに調整する。一般に、データ数Nは、タイミング信号の発生周期Tとサンプリングレートtとから決まる(N=T/t:剰余切り捨て)ため、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測するためにタイミング信号の発生周期Tを小さくしたりサンプリングレートtを大きくしたりするとするとデータ数Nが減少する。これに対して、サンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数Nを超えない最大の2の累乗Maに調整することにより、タイミング信号の発生周期Tやサンプリングレートtに関わらず、フーリエ変換の演算を効率良く実行することが可能となる。
【0060】
さらに、実施形態1の観測装置では、サンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数Nを超えない最大の2の累乗Maに調整するため、高速フーリエ変換(FFT)を用いてフーリエ変換の演算を実行することが可能となる。一般に、サンプリングデータのデータ数をm(m:任意の2の累乗である数)とすると、離散フーリエ変換(DFT)を用いた演算回数がm2オーダであるのに対して、高速フーリエ変換(FFT)を用いた場合の演算回数がlog2mオーダとなる。実施形態1の観測装置では、データ数をMaに調整しているので、高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換の演算実行が可能である。そのため、実施形態1の観測装置では、フーリエ変換演算回数を(Ma/2)log2Maの演算回数にすることができ、(Ma/2)log2Ma<N2であるため電流観測信号の周波数スペクトル観測を高速化できる。これにより、実施形態1の観測装置では、高速フーリエ変換(FFT)により演算実行するため、離散フーリエ変換(DFT)により演算実行するのに比べて演算回数を大幅に低減することができる。そして、このような高速フーリエ変換(FFT)の高速な演算実行により、高速で効率の良い電源電流の周波数スペクトル観測を実現することができる。
【0061】
また、実施形態1の観測装置では、データ数調整手段6がデータ数Nを超えない最大の2の累乗Maにデータ数Nを調整する際、新たにサンプリングデータを選択して削除する演算処理を行うことなく、サンプリングデータが格納されたデータ格納手段5におけるメモリ空間のアドレスに基づいてデータの調整を行う。そのため、データ数を調整するために演算を行うことなく、データ数を効率良く調整することができ、高速フーリエ変換(FFT)をより一層効率良く演算実行することが可能である。またさらに、実施形態1の観測装置においては、データ数調整手段6は、データ格納手段5に格納されたサンプリングデータを間引きすることによりデータ数を調整するため、データ格納手段5から間引きされるサンプリングデータを削除して簡便且つ効率良くデータ数の調整を行うことができる。
【0062】
特に、実施形態1の観測装置では、調整後のデータ数であるMaを、データ数Nを超えない最大の2の累乗に調整するため、調整前のデータ数Nが多数ある場合でフーリエ変換を施して演算実行するのにデータ数を減少させる必要がある場合に有効である。このような場合に、データ数Nを減少させて高速フーリエ変換(FFT)をより効率良く演算実行することができる。
【0063】
発明の実施の形態2.
発明の実施の形態2(以下、実施形態2と略す)では、サンプリングしたサンプリングデータにデータを挿入してデータの数を2の累乗個に調整する電源電流の周波数スペクトルの観測装置について説明する。また、実施形態2における観測装置は、被測定集積回路の電源電流について特定の周波数及びその高調波成分の大きさを高速フーリエ変換(FFT)によって演算実行して高速に求める。
【0064】
まず、実施形態2における観測装置の構成について説明する。実施形態2における観測装置は、図1に示すように、実施形態1と同様に構成することができる。ここで、データ数調整手段6について説明し、その他については実施形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0065】
実施形態1における観測装置では、データ数調整手段6は、サンプリング手段3によりサンプリングされたサンプリングデータからデータを間引いてデータの数を2の累乗個に調整する。これに対して、実施形態2における観測装置では、データ数調整手段6は、サンプリングしたサンプリングデータにデータを挿入してデータの数を2の累乗個に調整する機能を有する。それにともなって、制御手段1は、データ数調整手段6に対して動作命令を入力し、データを高速フーリエ変換(FFT)による演算実行可能な2の累乗のデータ数にサンプリングデータにデータを挿入させて調整させる。
【0066】
次に、図6及び図7を用いて、実施形態2における観測装置の動作の概略について説明する。図6は実施形態2の観測装置の一処理フローを示すチャート図であり、図7は実施形態1の観測装置の動作を示すタイミング図及び概略模式図である。なお、図7(d)及び図7(e)における横軸は、時間と格納手段5におけるメモリ空間でのメモリアドレスとを示す。
【0067】
図6及び図7において、ステップS101〜S103(図7では(a)〜(c))については、実施形態1と同様であり、ここでは説明するのを省略し、図6のステップS107〜S106(図7では(d)及び(e))について説明する。
【0068】
図7(d)に示すように、サンプリング手段3によりサンプリングされたサンプリングデータは、データ格納手段5に対して出力され、一時的にデータ格納手段5に格納保存される。このとき、サンプリングデータは、格納アドレス”0”を先頭アドレスとして昇順に格納されている。また、格納されるサンプリングデータのデータ数は、タイミング信号の発生周期Tとサンプリングレートtで決まり、データ数=T/t(剰余切り捨て)となっている。
【0069】
データ格納手段5にサンプリングデータが一時的に格納されると、制御手段1はデータ数調整手段6に対して、データ数の調整を行わせるための動作命令であるデータ数調整指示を出力する。これにより、データ数調整手段6は、データ格納手段5に格納されるサンプリングデータのデータ数を調整する(図6のステップS107)。このとき、データ数調整手段6は、高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換の演算を実行する際に2の累乗個のデータが必要であるため、データ数が2の累乗個となるように調整が行われる。
【0070】
実施形態2における観測装置では、図7(e)に示すように、データ数調整手段6は、データ格納手段5に格納されたデータにデータを挿入ことにより、データ数の調整を行う。例えば、サンプリングされたデータ数をN(不定数)とすると、データ数調整手段6は、データを挿入することにより、データ数Nを超えない最小の2の累乗となる数(ここで、この数をMbとする)にデータ数を調整する。そして、データ数調整手段6は、サンプリングデータのデータ数を調整すると、データ数調整されたサンプリングデータを演算手段4に対して出力する。
【0071】
データ数調整手段6がサンプリングデータのデータ数を調整すると、制御手段1は演算手段4に対して、演算処理を行わせるための動作命令である演算開始指示を出力する。これにより、演算手段4は、データ数が調整された後のサンプリングデータを読み込んで高速フーリエ変換(FFT)の演算を実行する(図6のステップS105)。その後、演算手段4は、当該観測装置の表示部等に演算結果を出力する(図6のステップS106)。
【0072】
さらに、図8及び図9を用いて、実施形態2における観測装置の動作の詳細について説明する。図8は実施形態2の観測装置が行うデータ挿入の一処理フローを示すフローチャートであり、図9は実施形態2の観測装置が行うデータ挿入の一処理例を示すブロック図である。
【0073】
図8及び図9に示すように、実施形態2の観測装置では、データ調整手段6により、サンデータ格納手段5に格納されたプリングデータにいくつかのデータが挿入されてサンプリングデータのデータ数の調整が行われる。このとき、サンプリングデータは、2の累乗個となるように挿入される。
【0074】
図8を用いて、サンプリングデータが2の累乗個となるようにデータを挿入する処理について説明する。サンプリング手段3によりサンプリングされたサンプリングデータは、データ格納手段5に先頭アドレス”0”(以下、” ”内の数字は2進表示とする)から昇順に格納される。このデータ格納手段5に格納されるデータ数をNとすると、最大格納アドレスはN−1となる。ここで、N−1の2進表示桁数をP(=log2(N−1)、ただし小数点以下は切り上げ)とする(図8のステップS151)。
【0075】
データ格納手段5に格納されたサンプリングデータについて、データ数調整手段6は、まず、最大格納アドレスの全桁の値が”1”つまり最大格納アドレスが”11・・・1(P個の1)”であるか否かを判断する(図8のステップS152)。ここで、最大格納アドレスの全桁の値が”1”であるとき、データ数Nは既に2の累乗であるため、当該サンプリングデータの間引きは実施する必要がない(図8のステップS160)。
【0076】
最大格納アドレスの全桁の値が”1”でなければ、データ数Nを超える最小の2の累乗数Mbをデータ調整数に設定する。それとともに、データ数調整手段6が着目する着目桁数RをR=P−1、データを選択するために設定する選択数LをL=Nに初期化する(図8のステップS153)。
【0077】
着目桁数Rの初期値はP―1であるので、最初にLSB(Least Significant Bit:最下位ビット)寄りの1からR+1=Pビット目、つまりデータの最上位1ビット目に着目する。そのデータの最上位1ビットの値が2R−1=2(P−1)−1であることを選択条件としてアドレスを先頭番地側から選択する。すなわち、この選択条件を基に、データ格納手段5に先頭”0”から昇順に格納されるサンプリングデータを、先頭”0”の昇順に選択する。そして、アドレスを一つ選択する度にLに1を加算する(図4のステップS114)。
【0078】
着目桁数Rと選択数Lとに着目してサンプリングデータを選択した後、Lの加算が行われ、その度に選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとを比較する。選択数Lがデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbと値が異なれば、選択条件を満たす次のアドレスを選択する(図8のステップS155)。ここで、図8においては、選択数Lに1が加算されるごとに増えるが、選択数Lの初期値がNであり、データ数Nを超える最小の2の累乗数Mbが自然数であるため、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとの値が異なるとき、LはMaより小さくなっている。
【0079】
このように順次選択し、着目桁の選択条件を満たすアドレスを全て選択完了したら(図4のステップS117)、着目桁を1桁減らし、新たにR=R−1とする(図8のステップS158)。アドレスの選択が完了していなければ(図8のステップS157)、図8のステップS154に戻り、全てにアドレスを選択するまで各着目桁の選択条件に基づいて順次選択を行う。例えば、初期の着目桁数RはP−1なので、着目桁を1桁減らして新たにR=R−1とすると、次の着目桁数はR=P−2となる。これにより、着目ビットをLSB寄りの1からR+1=P−1目となり、その値が2R−1=2(P−2)−1であることを選択条件とし先頭番地側からアドレスの選択する。
【0080】
着目桁数Rを順次1づつ減算しながら、図8のS154からS158に至る処理を着目桁数Rが0と等しくならない限り続ける(図8のステップS159)。このような処理を続けると、L=Mbとなる時がある。L=Mbとなった時、2の累乗個のデータが選択されたので未選択のデータを挿入し、2の累乗であるMb個のデータを得る調整が完了する(図8のステップS156)。
【0081】
図9を用いて、図8に示すようなデータの間引きの一処理例について具体的に説明する。図9においては、図9(a)に示すように、データ格納手段5のアドレス”0000”からアドレス”1000”にデータが格納されている。すなわち、図9においては、データ格納手段5に格納されるサンプリングデータの格納データ数NはN=9となり、図9(b)に示すようにN−1の2進表示桁数PをP=4とする(図8のステップS151)。ここで、図5においては、最大格納アドレス”1000”の全桁の値が”1”でないので、データ数Nを超える最小の2の累乗数Mbがデータ調整数に設定される(図8のステップS152)。図9(b)に示すように、データ数N=9により、データ数Nを超える最小の2の累乗数MbをMb=16(2の4乗)に設定する。それとともに、着目桁数RをR=P−1=3とデータ選択数LをL=N=9に初期化する(図8のステップS153)。
【0082】
図9(c)に示すように、データ格納手段5に格納されたサンプリングデータについて、着目桁数Rの初期値はP−1=3であるので、アドレスのLSB寄りの1ビット目からR+1=4ビット目、つまり全ビットに着目する。LSB寄りの1ビット目から4ビットが2R−1=23−1=”0111”であるアドレスのデータを低番地側(”0000”側)から選択し、アドレスを一つ選択したらLに1を加算する。図9において、LSB寄りの1ビット目から4ビットが”0111”であるアドレスは、”0111”である。このアドレスに格納されたデータが選択され、同時にLが10に1加算されてカウントアップする(図8のステップS154)。
【0083】
そして、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとを比較する(図8のステップS155)。図9(c)に示すように、選択数L=10、データ数Nを超える最小の2の累乗数Mb=16であり、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとは異なる。
【0084】
データ格納手段5のアドレスのLSB寄りにある1からR+1=4ビット目(LSB)に着目してデータの選択を完了する(図8のステップS157)。この時点で着目桁数RはR=3でP(=0)より大きいので、図9(d)に示すように、着目桁数Rに1を減算してR=2とする。そして、データ格納手段5に格納されたデータについて、アドレスのLSB寄りの1からR+1=3ビット目に着目する。LSB寄りの1から3ビット目が2R−1=22−1=”011”であるアドレスのデータを低番地側から選択し、アドレスを一つ選択したらLに1を加算する。図9において、LSBよりの1から3ビット目が”011”であるアドレスは、”0011”である。このアドレスに格納されたデータが選択され、同時にLが11に1加算されてカウントアップする(図8のステップS154)。
【0085】
そして、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとを比較する(図8のステップS155)。図9(d)に示すように、選択数L=11、データ数Nを超える最小の2の累乗数Mb=16であり、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとは異なる。
【0086】
データ格納手段5のアドレスでLSB寄りの1からR+1=3ビット目に着目してデータの選択を完了する(図8のステップS157)。この時点で着目桁数RはR=2でP(=0)より大きいので、図9(e)に示すように、着目桁数Rに1を減算してR=1とする。そして、データ格納手段5に格納されたデータについて、アドレスのLSB寄りの1からR+1=2ビット目に着目する。LSB寄りの1から2ビット目が2R−1=21−1=”01”であるアドレスのデータを低番地側から選択し、アドレスを一つ選択したらLを1加算する。図9において、LSBから1から2ビット目が”01”であるアドレスは、”0001” 、”0101”である。これらのアドレスに格納されたデータが選択され、同時にLが12〜13に順次1加算されてカウントアップする(図8のステップS154)。
【0087】
そして、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとを比較する(図8のステップS155)。図9(e)に示すように、選択数L=13、データ数Nを超える最小の2の累乗数Mb=16であり、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとは異なる。
【0088】
データ格納手段5のアドレスでLSB寄りの1からR+1=2ビット目に着目してデータの選択を完了する(図8のステップS157)。この時点で着目桁数RはR=1でP(=0)より大きいので、図9(f)に示すように、着目桁数Rに1を減算してR=0とする。そして、データ格納手段5に格納されたデータについて、アドレスのLSB寄りの1からR+1=1ビット目、すなわちLSBに着目する。LSB寄りの1から2ビット目が2R−1=20−1=”0”であるアドレスのデータを低番地側から選択し、アドレスを一つ選択したらLを1加算する。図9において、LSBから1から2ビット目が”0”であるアドレスは、”0000” 、”0011” 、”0100”である。これらのアドレスに格納されたデータが選択され、同時にLが14〜16に順次1加算されてカウントアップする(図8のステップS154)。
【0089】
そして、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとを比較する(図8のステップS155)。図5(f)に示すように、選択数L=16、データ数Nを超える最小の2の累乗数Mb=16であるので、選択数Lとデータ数Nを超える最小の2の累乗数Mbとが等しくなる。つまり、このアドレス”0000”、”0011” 、”0100”に格納されたサンプリングデータを選択すると、選択数LがL=16となるので、L=Maとなり2の累乗である16個のデータを選択し終わる(図8のステップS159)。それとともに、図5(f)に示すように、ここまでの処理で未選択のアドレス”0110” 、”1000”は挿入されず、データの挿入処理が完了する(図9のステップS156)。
【0090】
以上のように、実施形態2における観測装置は、サンプリング手段3によりサンプリングして得られたサンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数Nを超える最小の2の累乗Mbに調整する。一般に、データ数Nは、タイミング信号の発生周期Tとサンプリングレートtとから決まる(N=T/t:剰余切り捨て)ため、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測するためにタイミング信号の発生周期Tを小さくしたりサンプリングレートtを大きくしたりするとするとデータ数Nが減少する。これに対して、サンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数Nを超える最小の2の累乗Mbに調整することにより、タイミング信号の発生周期Tやサンプリングレートtに関わらず、フーリエ変換の演算を効率良く実行することが可能となる。
【0091】
さらに、実施形態2の観測装置では、サンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数Nを超える最小の2の累乗Mbに調整するため、高速フーリエ変換(FFT)を用いてフーリエ変換の演算を実行することが可能となる。一般に、サンプリングデータのデータ数をm(m:任意の2の累乗である数)とすると、離散フーリエ変換(DFT)を用いた演算回数がm2オーダであるのに対して、高速フーリエ変換(FFT)を用いた場合の演算回数がlog2mオーダとなる。実施形態2の観測装置では、データ数をMbに調整しているので、高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換の演算実行が可能である。そのため、実施形態2の観測装置では、フーリエ変換演算回数を(Mb/2)log2Mbの演算回数にすることができ、(Mb/2)log2Mb<N2であるため電流観測信号のスペクトル観測を高速化できる。これにより、実施形態2の観測装置では、高速フーリエ変換(FFT)により演算実行するため、離散フーリエ変換(DFT)により演算実行するのに比べて演算回数を大幅に低減することができる。そして、このような高速フーリエ変換(FFT)の高速な演算実行により、高速で効率の良い電源電流の周波数スペクトル観測を実現することができる。
【0092】
また、実施形態2の観測装置では、データ数調整手段6がデータ数Nを超える最小の2の累乗Mbにデータ数Nを調整する際、新たなデータを生成する演算処理を行うことなく、サンプリングデータが格納されたデータ格納手段5におけるメモリ空間のアドレスに基づいてデータの調整を行う。そのため、データ数を調整するために演算を行うことなく、データ数を効率良く調整することができ、高速フーリエ変換(FFT)をより一層効率良く演算実行することが可能である。またさらに、実施形態2の観測装置においては、データ数調整手段6は、データ格納手段5に格納されたサンプリングデータにデータを挿入することによりデータ数を調整するため、データ格納手段5にサンプリングデータを挿入して簡便且つ効率良くデータ数の調整を行うことができる。
【0093】
特に、実施形態2の観測装置では、調整後のデータ数であるMbを、データ数Nを超える最小の2の累乗に調整するため、調整前のデータ数Nが少数ある場合でフーリエ変換を施して演算実行するのにデータ数を増加させる必要がある場合に有効である。このような場合に、データ数Nを増加させて高速フーリエ変換(FFT)をより効率良く演算実行することができる。
【0094】
発明の実施の形態3.
発明の実施の形態3(以下、実施形態3と略す)では、サンプリングしたサンプリングデータから間引き又はサンプリングデータにデータを挿入してデータの数を2の累乗個に調整する電源電流の周波数スペクトルの観測装置について説明する。また、実施形態3における観測装置は、被測定集積回路の電源電流について特定の周波数及びその高調波成分の大きさを高速フーリエ変換(FFT)によって演算実行して高速に求める。
【0095】
まず、実施形態3における観測装置の構成について説明する。実施形態3における観測装置は、図1に示すように、実施形態1や実施形態2と同様に構成することができる。ここで、データ数調整手段6について説明し、その他については実施形態1や実施形態2と同様であり、その説明を省略する。
【0096】
前述のように、実施形態1における観測装置では、データ数調整手段6は、サンプリングデータからデータを間引いてデータ数を2の累乗個に調整する。さらに、前述のように、実施形態2における観測装置では、データ数調整手段6は、サンプリングデータにデータを挿入してデータ数を2の累乗個に調整する。
【0097】
これに対して、実施形態3における観測装置では、データ数調整手段6は、サンプリングデータからデータを間引く、又はサンプリングデータにデータを挿入し、データの数を2の累乗個に調整する機能を有する。さらに、実施形態3における観測装置のデータ数調整手段6は、データ数の調整を行う際にサンプリングデータを間引くかデータを挿入するかを選択する機能を有する。また、制御手段1は、データ数調整手段6に対して動作命令を入力し、データ数調整手段6にサンプリングデータの間引き又は挿入を選択させ、データを高速フーリエ変換(FFT)により演算実行可能な2の累乗のデータ数にサンプリングデータにデータを挿入させて調整させる。
【0098】
次に、図10を用いて、実施形態3における観測装置の動作の概略について説明する。図10は実施形態3の観測装置の一処理フローを示すチャート図である。また、図10において、ステップS101及びS102については、実施形態1や実施形態2と同様であり、ここでは説明するのを省略し、図10のステップS103a〜S106について説明する。
【0099】
サンプリング終了合図を入力されたサンプリング手段3は、サンプリング終了合図により、電流観測信号のサンプリングを終了する。サンプリング手段3によりサンプリングされたサンプリングデータは、データ格納手段5に対して出力され、一時的にデータ格納手段5に格納保存される。このとき、サンプリングデータは、格納アドレス”0”を先頭アドレスとして昇順に格納されている。また、格納されるサンプリングデータのデータ数は、タイミング信号の発生周期Tとサンプリングレートtで決まり、データ数=T/t(剰余切り捨て)となっている。
【0100】
データ格納手段5にサンプリングデータが一時的に格納されると、制御手段1はデータ数調整手段6に対して、データ数の調整を行わせるための動作命令であるデータ数調整指示を出力する。これにより、データ数調整手段6は、データ格納手段5に格納されるサンプリングデータのデータ数を調整する(図6のステップS107)。このとき、データ数調整手段6は、高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換の演算を実行する際に2の累乗個のデータが必要であるため、データ数が2の累乗個となるように調整が行われる。
【0101】
実施形態3における観測装置では、データ数調整手段6は、制御手段1のデータ数調整指示により、データ数の調整を行う前にサンプリングデータの間引きと挿入とを選択する。その後、サンプリングデータからデータを間引いたり、サンプリングデータにデータを挿入したりし、データ数の調整を行う。そして、制御手段1からの動作指示により、サンプリングを終了すると、データ数Nとデータ数Nを超えない最大の2の累乗Ma、データ数Nを超える最小の2の累乗Mbを設定する(図10のステップS103a)。
【0102】
例えば、サンプリングされたデータ数をN(不定数)とすると、データ数調整手段6は、データ数Nとデータ数Nを超えない最大の2の累乗Ma、データ数Nを超える最小の2の累乗Mbとの近さにより、データの間引き又は挿入を選択する。データ数調整手段6は、(Mb−N)−(N−Ma)の値が、0より大きい(データ数Nがデータ数Nを超えない最大の2の累乗Maに近い)の場合にはサンプリングデータの間引きを行い、0より小さい(データ数Nがデータ数Nを超える最小の2の累乗Mbに近い)の場合にはサンプリングデータの挿入を行う。また、0に等しい(データ数Nが、データ数Nがデータ数Nを超えない最大の2の累乗Maとデータ数Nがデータ数Nを超える最小の2の累乗Mbと等距離)の場合には、サンプリングデータの間引きを行うものとする(図10のステップS108)。
【0103】
データ調整手段6は、データの間引きを選択した場合、前述の実施形態1と同様にしてサンプリングデータの間引きを行う(図10のステップS104a)。また、データ調整手段6は、データの挿入を選択した場合、前述の実施形態2と同様にしてサンプリングデータにデータの挿入を行う(図10のステップS107a)。ここでは、データの間引きと挿入について説明するの省略する。そして、データ数調整手段6は、サンプリングデータのデータ数を調整すると、データ数調整されたサンプリングデータを演算手段4に対して出力する。
【0104】
データ数調整手段6がサンプリングデータのデータ数を調整すると、制御手段1は演算手段4に対して、演算処理を行わせるための動作命令である演算開始指示を出力する。これにより、演算手段4は、データ数が調整された後のサンプリングデータを読み込んで高速フーリエ変換(FFT)の演算を実行する(図10のステップS105)。その後、演算手段4は、当該観測装置の表示部等に演算結果を出力する(図10のステップS106)。
【0105】
以上のように、実施形態3における観測装置は、サンプリング手段3によりサンプリングして得られたサンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数Nを超えない最大の2の累乗Ma又はデータ数Nを超える最小の2の累乗Mbに調整する(以下、この調整後のデータ数をM=Ma又はMbとする)。一般に、データ数Nは、タイミング信号の発生周期Tとサンプリングレートtとから決まる(N=T/t:剰余切り捨て)ため、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測するためにタイミング信号の発生周期Tを小さくしたりサンプリングレートtを大きくしたりするとするとデータ数Nが減少する。これに対して、サンプリングデータのデータ数をM(=Ma又はMb)に調整することにより、タイミング信号の発生周期Tやサンプリングレートtに関わらず、フーリエ変換の演算を効率良く実行することが可能となる。
【0106】
さらに、実施形態3の観測装置では、サンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数NをMに調整するため、高速フーリエ変換(FFT)を用いてフーリエ変換の演算を実行することが可能となる。一般に、サンプリングデータのデータ数をm(m:任意の2の累乗である数)とすると、離散フーリエ変換(DFT)を用いた演算回数がm2オーダであるのに対して、高速フーリエ変換(FFT)を用いた場合の演算回数がlog2mオーダとなる。実施形態3の観測装置では、データ数をMに調整しているので、高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換の演算実行が可能である。そのため、実施形態3の観測装置では、フーリエ変換演算回数を(M/2)log2Mの演算回数にすることができ、(M/2)log2M<N2であるため電流観測信号のスペクトル観測を高速化できる。これにより、実施形態3の観測装置では、高速フーリエ変換(FFT)により演算実行するため、離散フーリエ変換(DFT)により演算実行するのに比べて演算回数を大幅に低減することができる。そして、このような高速フーリエ変換(FFT)の高速な演算実行により、高速で効率の良い電源周波数のスペクトル観測を実現することができる。
【0107】
また、実施形態3の観測装置では、データ数調整手段6がデータ数Nを超えない最大の2の累乗Mにデータ数Nを調整する際、新たにサンプリングデータを選択して削除したり新たにデータを生成したりする演算処理を行うことなく、サンプリングデータが格納されたデータ格納手段5におけるメモリ空間のアドレスに基づいてデータの調整を行う。そのため、データ数を調整するために演算を行うことなく、データ数を効率良く調整することができ、高速フーリエ変換(FFT)をより一層効率良く演算実行することが可能である。またさらに、実施形態3の観測装置においては、データ数調整手段6は、データ格納手段5に格納されたサンプリングデータの間引き・挿入を選択することによりデータ数を調整するため、データ格納手段5に格納されるデータ数Nの大きさに関わらず、簡便且つ効率良くデータ数の調整を確実に行うことができる。
【0108】
さらにまた、実施形態3における観測装置では、サンプリングデータの間引き又は挿入を選択してデータ数の調整を行う。例えば、N=31であった時、データの間引きを選択してN=31から15のデータを間引き2の4乗である16個データに調整するのでなく、1個のデータを挿入することで2の5乗である32個のデータに調整する。この場合、間引きに比べ挿入の方法を選択する方がデータ加工量を少なくすることができる。このように、実施形態3の観測装置では、データの間引く数と挿入する数とを比較して少ない方を選択することにより、データの加工量が減少し、効率良くデータ数の調整を行うことができる。さらに、サンプリングデータの間引く数と挿入する数とを比較して少ない方を選択することにより、データ数の調整を行うことによりデータ調整後のフーリエ変換の結果が本質的に持つデータ数調整前のフーリエ変換の結果に対する誤差を抑制することができる。そのため、データの間引く数と挿入する数とを比較して少ない方を選択し、データ調整後のフーリエ変換の結果を、データ数調整前のフーリエ変換結果に近づけること可能となる。
【0109】
発明の実施の形態4.
発明の実施の形態4(以下、実施形態4と略す)では、前述の実施形態1乃至実施形態3の観測装置の応用として、前述の電源電流の周波数スペクトルを観測する観測装置を実装して被測定集積回路の故障を検査する故障検査装置について説明する。
【0110】
まず、図11を用いて、実施形態4における故障検査装置の構成について説明する。図11は、故障検査装置の一構成例を示すブロック図である。図11に示すように、故障検査装置は、主たる要素として、LSIテスタ37、テストパタン格納ユニット38、プログラム格納ユニット39、電源40、電流検出ユニット41、観測装置を備えている。
【0111】
LSIテスタ37は、当該被測定集積回路である被試験集積回路42に対して、故障検査を行うためのテスト信号を印加するコンピュータ等の装置である。テストパタン格納ユニット38は、LSIテスタ37により被試験集積回路42に印加されるテスト信号の種類やパタン等の情報が格納された装置である。プログラム格納ユニット39は、LSIテスタ37が被試験集積回路42に印加するテスト信号を作成するためにLSIテスタ37を操作する情報を記憶された装置である。また、LSIテスタ37には、テストパタン格納ユニット38とプログラム格納ユニット39が接続されている。それとともに、LSIテスタ37には、被試験集積回路42が接続され、被試験集積回路42にテスト信号を印加できるようになっている。
【0112】
電源40は、被試験集積回路12が動作を行うのに必要な電源電流を供給する。電流検出ユニット41は、電源40からの電源電流を被試験集積回路42に対して送る装置である。それとともに、電流検出ユニット41は、被試験集積回路42に供給する電源電流を観測し、その観測結果に基づく情報を電流観測信号としてサンプリングユニット45に送る装置である。
【0113】
図11に示すように、当該観測装置は、主たる要素として、タイミング信号生成ユニット44、サンプリングユニット45、データ格納ユニット46、データ数調整ユニット47、演算ユニット48、制御ユニット43から構成される。
【0114】
タイミング発生手段2は、一定の周期ごとにタイミング信号を発生させる装置である。サンプリングユニット45は、タイミング信号生成ユニット44の発生させるタイミング信号に基づき、電源電流の電流観測信号のデータサンプリングを行う装置である。データ格納ユニット46は、サンプリングユニット45がサンプリングしたサンプリングデータを記憶保存する装置である。
【0115】
データ数調整手段6は、制御手段1からの動作命令に従って、データ格納ユニット46に格納された任意個数のデータを高速フーリエ変換(FFT)により演算実行可能な2の累乗のデータ数に調整する装置である。演算ユニット48は、データ数調整ユニット47によりデータ数を調整されたサンプリングデータに基づき、特定の周波数及びその高調波の大きさを求める高速フーリエ変換(FFT)演算を実行する装置である。また、制御ユニット43は、当該観測装置全体の動作制御を司る装置である。そして、実施形態1乃至実施形態3と同様に、観測装置の各ユニットは接続されている。
【0116】
次に、実施形態4における故障検査装置の動作について説明する。なお、故障検査装置に実装された観測装置は、実施形態1乃至実施形態3と同様に動作を行い、入力された電流観測信号から演算結果を出力する。
【0117】
当該故障検査の対象となる被試験集積回路42は、電流検出ユニット41に接続され、電流検出ユニット41を介して電源40から電源電流を供給される。これにより、被試験集積回路42は動作を行っている。また、被試験集積回路42は、LSIテスタ37からテスト信号を入力されている。
【0118】
LSIテスタ37は、プログラム格納ユニット39に格納されたプログラムに従って動作を行い、テスト信号を生成する。また、このテスト信号は、テストパタン格納ユニット38に格納されるテストパタンに基づいて生成される。
【0119】
電流検出ユニット41は、被試験集積回路42に電源電流を供給するとともに、被試験集積回路42に供給する電源電流を観測して被試験集積回路42での電源電流の状態を示す電流を検出する。そして、電流検出ユニット41は、検出した電流を、電流観測信号としてサンプリングユニット45に対して入力する。
【0120】
当該観測装置のタイミング信号生成ユニット44は、LSIテスタ37に接続され、被試験集積回路42に入力するテスト信号の印加情報を受けてタイミング信号を生成している。制御ユニット43は、タイミング信号生成ユニット44に接続され、タイミング信号を入力され、サンプリングユニット45にサンプリングの開始合図と終了合図を入力する。このサンプリング可の開始合図と終了合図に基づいて、サンプリングユニット45はサンプリングの開始と終了とを行う。そして、電流検出ユニット41から入力された電流観測信号をサンプリングする。
【0121】
サンプリングユニット45によりサンプリングされたサンプリングデータは、データ格納ユニット46に対して入力され、データ格納ユニット46に格納される。そして、制御ユニット43からデータ数調整ユニット47に対してデータ格納ユニット46のデータ数を調整するための動作指示が入力される。それにともない、前述の実施形態1乃至実施形態3に示すように、データ数調整ユニット47はサンプリングデータの間引きや挿入を行ってデータ数の調整を行う。ここで、サンプリングデータのデータ数は、例えば、実施形態1乃至実施形態3と同様に、2の累乗となるように調整される。
【0122】
データ数調整ユニット47によりデータ格納ユニット46のサンプリングデータのデータ数が調整されると、制御ユニット43は、演算ユニット48に対して演算を行う動作指示である演算命令を入力する。これにともない、演算ユニット48は、データ格納ユニット46に格納され、さらにはデータ調整ユニット47によりデータ数が調整されたサンプリングデータを読み込む。そして、演算ユニット48は、実施形態1乃至実施形態3と同様に、演算ユニット43からの演算命令によって、読み込んだサンプリングデータを用いて高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換を演算実行する。
【0123】
演算ユニット48は、演算実行した演算結果を当該故障検査装置のモニタ等の表示部に出力する。そとともに、演算ユニット48は、LSIユニット37に接続され、LSIユニット37に対して演算結果を出力する。LSIユニット37は、演算ユニット48から入力された演算結果から被試験集積回路42の故障の有無を判定する。被試験集積回路42の故障の有無は、演算ユニット48から入力される当該演算結果と、被試験集積回路42が正常に動作する場合の演算結果とを比較して行うことができる。例えば、予め被試験集積回路42が正常に動作する時の周波数スペクトルをテストパタン格納ユニット38に格納し、この正常時の周波数スペクトルと演算ユニット48から出力される当該演算結果の周波数スペクトルと比較する。そして、LSIユニット37で異常電源電流のパワースペクトルを検出して故障を検出することができる。
【0124】
以上のように、実施形態4における故障検査装置は、実施形態1乃至実施形態3の観測装置を実装している。また、当該観測装置は、タイミング信号生成ユニット44が生成するタイミング信号の発生周期やサンプリングレートに関わらずフーリエ変換の演算を効率良く実行することができる。これにより、観測装置が検査結果である演算結果を効率出力し、検査結果を効率良く入手することができる。
【0125】
さらに、実施形態4の故障検査装置に実装される観測装置では、サンプリングデータのデータ数を、サンプリングしたデータのデータ数を2の累乗に調整するため、高速フーリエ変換(FFT)を用いてフーリエ変換の演算を高速に実行することが可能となる。これにより、実施形態4の故障検査装置では、高速フーリエ変換(FFT)を用いて、離散フーリエ変換(DFT)により演算実行するのに比べて演算回数を大幅に低減することができ、検査結果を迅速に入手することができる。そして、このような高速フーリエ変換(FFT)の高速な演算実行により、高速で効率の良い電源電流の周波数スペクトル観測を用いた故障検査装置を実現することができる。
【0126】
また、故障検査装置の観測装置では、データ数調整ユニット47がデータ数を調整する際、新たにサンプリングデータを選択して削除したり新たにデータを生成したりする演算処理を行うことなく、サンプリングデータが格納されたデータ格納ユニット46におけるメモリ空間のアドレスに基づいてデータの調整を行う。そのため、データ数を調整するために演算を行うことなく、データ数を効率良く調整することができる。これにより、より一層効率が良く高速な電源電流の周波数のスペクトル観測を用いた故障検査装置を得ることができる。
【0127】
なお、本発明の実施の形態においては、データ数を2の累乗となるように調整したが、2以外の整数の累乗となるように調整しても良い。また、本発明の実施の形態においては、高速フーリエ変換としてCooley−Tuckey型高速フーリエ変換を用いて説明したが、Prime Factor型高速フーリエ変換であっても良い。さらに、Cooley−Tuckey型高速フーリエ変換の場合、複数の整数に基づくSplit−Radix高速フーリエ変換によりフーリエ変換を演算実行しても良い。また、Prime Factor型高速フーリエ変換の場合、サンプリングデータのデータ数を所望の整数毎に因数分解されるようにデータ数の調整を行うようにすることができる。このように、サンプリングデータのデータ数を高速フーリエ変換に応じて種々の基準により調整することにより、高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエ変換をより高速化することができ、電源電流の周波数スペクトル観測をより一層迅速に効率良く行うことができる。
【0128】
なおまた、本実施形態においては、フーリエ変換により電源電流の周波数スペクトルを生成したが、フーリエ変換に限らずハートレイ変換、ウェブレット変換等のような他の信号変換により生成しても良い。また、このようなフーリエ変換以外の信号変換に対して高速フーリエ変換を用いることが可能である。これにより、電源電流の周波数スペクトル観測をさらに一層効率良く行うことができる。
【0129】
【発明の効果】
本発明によれば、電源電流の周波数スペクトルを効率良く観測することができる観測装置及び観測方法、被測定集積回路の故障検出を効率良く行うことができる故障検出装置及び故障検出方法、並びにこれらをコンピュータに対して実現させるプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における観測装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1における観測装置の処理フローを示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1における観測装置の動作を示すタイミング図及びメモリ空間の概略模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1における観測装置のデータ間引きの処理フローを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1における観測装置のデータ間引きの処理フローを示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態2における観測装置の処理フローを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2における観測装置の動作を示すタイミング図及びメモリ空間の概略模式図である。
【図8】本発明の実施の形態2における観測装置のデータ挿入の処理フローを示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2における観測装置のデータ挿入の処理フローを示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態3における観測装置の処理選択の処理フローを示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態4における故障検査装置の一構成例を示すブロック図である。
【図12】従来の観測装置の一構成例を示すブロック図である。
【図13】従来の観測装置の処理フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 制御手段、 2 タイミング発生手段、 3 サンプリング手段、 4 演算手段、 5 データ格納手段、 6 データ数調整手段、 37 LSIテスタ、 38 テストパタン格納ユニット、 39 プログラム格納ユニット、 40 電源、 41 電流検出ユニット、 42 被試験集積回路、 43 制御ユニット、 44 タイミング信号生成ユニット、 45 サンプリングユニット、 46 データ格納ユニット、 47 データ数調整ユニット、 48 演算ユニット
Claims (13)
- 被試験集積回路に対して印加するテスト信号に応じて前記被試験集積回路に流れる電源電流を測定する電流観測信号に基づいて当該電源電流の周波数スペクトルを観測する観測装置であって、
前記電流観測信号をサンプリングするサンプリング手段と、
該サンプリング手段がサンプリングしたサンプリングデータを格納するデータ格納手段と、
該データ格納手段に格納されたサンプリングデータのデータ数を調整するデータ数調整手段と、
該データ数調整手段に対して、前記データ数が所定の整数の累乗となるように調整するように制御する制御手段と、
基準となる整数である基数の累乗個あるデータを前記基数個の集合毎に分解した後に前記集合毎にデータを演算する第一演算処理と、該第一演算処理による前記集合毎の演算結果に基づいて前記分解前のデータを演算する第二演算処理とを有する演算処理により、前記データ数調整手段によりデータ数が調整されたサンプリングデータを繰り返し前記所定の整数個の集合毎に分解して演算し、前記周波数スペクトルを生成する演算手段とを備えた観測装置。 - 前記データ数調整手段は、前記サンプリングデータからデータを間引く又は前記サンプリングデータにデータを挿入することにより前記データ数を調整することを特徴とする請求項1記載の観測装置。
- 前記データ数調整手段は、前記データ格納手段に格納されたサンプリングの格納アドレスに基づいて前記サンプリングデータからデータを間引く又は前記サンプリングデータにデータを挿入することを特徴とする請求項2記載の観測装置。
- 前記データ数調整手段は、前記調整されたサンプリングデータのデータ数に基づいて、サンプリングデータの前記間引き又は前記挿入を選択することを特徴とする請求項2又は3記載の観測装置。
- 前記演算処理は、前記所定の整数が2である高速フーリエ変換であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の観測装置。
- 被試験集積回路に対して印加するテスト信号に応じて前記被試験集積回路に流れる電源電流を測定する電流観測信号に基づいて当該電源電流の周波数スペクトルを観測し、該周波数スペクトルを解析して前記被試験集積回路の故障を検査する故障検査装置であって、
前記電流観測信号をサンプリングするサンプリング手段と、
該サンプリング手段がサンプリングしたサンプリングデータを格納するデータ格納手段と、
該データ格納手段に格納されたサンプリングデータのデータ数を調整するデータ数調整手段と、
該データ数調整手段に対して、前記データ数が所定の整数の累乗となるように調整するように制御する制御手段と、
基準となる整数である基数の累乗個あるデータを前記基数個の集合毎に分解した後に前記集合毎にデータを演算する第一演算処理と、該第一演算処理による前記集合毎の演算結果に基づいて前記分解前のデータを演算する第二演算処理とを有する演算処理により、前記データ数調整手段によりデータ数が調整されたサンプリングデータを繰り返し前記所定の整数個の集合毎に分解して演算し、前記周波数スペクトルを生成する演算手段と、
該演算手段から前記周波数スペクトルを入力され、該入力された周波数スペクトルを解析する周波数スペクトル解析手段とを備えた故障検査装置。 - 被試験集積回路に対して印加するテスト信号に応じて前記被試験集積回路に流れる電源電流を測定する電流観測信号に基づいて当該電源電流の周波数スペクトルを観測する観測方法であって、
前記電流観測信号をサンプリングするステップと、
該サンプリングされたサンプリングデータを格納するステップと、
該格納されたサンプリングデータのデータ数が所定の整数の累乗となるように前記データ数を調整するステップと、
基準となる整数である基数の累乗個あるデータを前記基数個の集合毎に分解した後に前記集合毎にデータを演算する第一演算処理と、該第一演算処理による前記集合毎の演算結果に基づいて前記分解前のデータを演算する第二演算処理とを有する演算処理により、前記データ数が調整されたサンプリングデータを繰り返し前記所定の整数個の集合毎に分解して演算し、前記周波数スペクトルを生成するステップとを備えた観測方法。 - 前記サンプリングデータからデータを間引く又は前記サンプリングデータにデータを挿入することにより前記データ数を調整することを特徴とする請求項7記載の観測方法。
- 前記格納されたサンプリングの格納アドレスに基づいて前記サンプリングデータからデータを間引く又は前記サンプリングデータにデータを挿入することを特徴とする請求項8記載の観測方法。
- 前記調整されたサンプリングデータのデータ数に基づいて、前記サンプリングデータの前記間引き又は前記挿入を選択することを特徴とする請求項8又は9記載の観測方法。
- 前記演算処理は、前記所定の整数が2である高速フーリエ変換であることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一つに記載の観測方法。
- 被試験集積回路に対して印加するテスト信号に応じて前記被試験集積回路に流れる電源電流を測定する電流観測信号に基づいて当該電源電流の周波数スペクトルを観測し、該周波数スペクトルを解析して前記被試験集積回路の故障を検査する故障検査方法であって、
前記電流観測信号をサンプリングするステップと、
該サンプリングされたサンプリングデータを格納するステップと、
該格納されたサンプリングデータのデータ数が所定の整数の累乗となるように前記データ数を調整するステップと、
基準となる整数である基数の累乗個あるデータを前記基数個の集合毎に分解した後に前記集合毎にデータを演算する第一演算処理と、該第一演算処理による前記集合毎の演算結果に基づいて前記分解前のデータを演算する第二演算処理とを有する演算処理により、前記データ数が調整されたサンプリングデータを繰り返し前記所定の整数個の集合毎に分解して演算し、前記周波数スペクトルを生成するステップと、
該演算して生成された周波数スペクトルを解析するステップとを備えた故障検査方法。 - 被試験集積回路に対して印加するテスト信号に応じて前記被試験集積回路に流れる電源電流を測定する電流観測信号に基づいて当該電源電流の周波数スペクトルを観測することをコンピュータに対して実現するプログラムであって、
前記電流観測信号をサンプリングするステップと、
該サンプリングされたサンプリングデータを格納するステップと、
該格納されたサンプリングデータのデータ数が所定の整数の累乗となるように前記データ数を調整するステップと、
基準となる整数である基数の累乗個あるデータを前記基数個の集合毎に分解した後に前記集合毎にデータを演算する第一演算処理と、該第一演算処理による前記集合毎の演算結果に基づいて前記分解前のデータを演算する第二演算処理とを有する演算処理により、前記データ数が調整されたサンプリングデータを繰り返し前記所定の整数個の集合毎に分解して演算し、前記周波数スペクトルを生成するステップとをコンピュータに対して実現するプログラム。
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