JP2004076799A - 円筒ころ軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の円筒ころ軸受は、内輪31と、外輪33と、これら内外輪31,33の間で転動可能な複数の円筒ころ34とを備え、内外輪31,33における外輪33の軸方向両端部及び内輪31の少なくとも一方の軸方向端部には、それぞれつば35が設けられており、円筒ころ34のころ長さの相互差が、10μm以下である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内外輪における一方の軌道輪の軸方向両端部及び他方の軌道輪の少なくとも一方の軸方向端部にそれぞれつばが設けられた円筒ころ軸受に関し、例えば電車用駆動装置の歯車機構等に組み込むのに好適な円筒ころ軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11及び図12は実開昭64−38351号公報に記載された電車用駆動装置を示している。この駆動装置は、車軸2の両端部にそれぞれ車輪1が固定され、車軸2の中間部には従動大歯車3が固定されている。従動大歯車3は駆動軸4の中間部に固定された駆動小歯車5と噛合している。
駆動軸4は駆動モータ6の出力軸7に継手8を介して接続されており、この駆動モータ6に通電することにより、出力軸7、継手8、駆動軸4、駆動小歯車5及び従動大歯車3を介して車軸2及び車輪1が回転駆動され、走行状態となる。
【0003】
このような駆動装置を構成する駆動小歯車5及び従動大歯車3は、噛合部で発生する騒音並びに振動の低減等を図るために、はすば歯車を使用しているため、噛合部ではラジアル荷重の他にアキシャル荷重も発生する。
したがって、駆動小歯車5が固定された駆動軸4をハウジング9に対し回転自在に支持するための転がり軸受は、ラジアル荷重だけでなく、アキシャル荷重も支承できるものでなくてはならない。このため、駆動軸4を支持する転がり軸受は、図12に示したように、円すいころ軸受10を使用することが一般的である。
しかしながら、一方では、すきま管理、組み付け性の面からは駆動軸4を支持する転がり軸受にアキシャル荷重を支持できる円筒ころ軸受を使用する方が有利である。
【0004】
図13にアキシャル荷重を支持できる円筒ころ軸受の一例を示す。
この円筒ころ軸受は、NUP形の円筒ころ軸受で、つば輪14付の内輪11と外輪12との間に複数の円筒ころ13が転動可能に配設され、内輪11及び外輪12の軸方向両端部にそれぞれつば15が設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の円筒ころ軸受においては、アキシャル荷重が付加されたとき、円筒ころ13とつば15との間の摩擦抵抗力が大きくなるため、温度上昇や焼き付きの発生に注意する必要がある。
従来は、例えば特開2002−70874号公報のように、つばの角度ところ頭部Rを規定するもの等が提案されている。
【0006】
しかし、各円筒ころのころ長さの相互差が大きいと、各円筒ころの受け持つアキシャル荷重に差が生じ、長い円筒ころに付加される荷重が大きくなる。この結果、つばと円筒ころ頭部の発熱量が上昇して、焼き付きが発生することがあるという状況にあった。
【0007】
本発明の目的は、アキシャル荷重が付加された場合のつばの発熱量を低く抑制することができる円筒ころ軸受を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の円筒ころ軸受は、内輪と、外輪と、これら内外輪の間で転動可能な複数の円筒ころとを備えた円筒ころ軸受であって、内外輪における一方の軌道輪の軸方向両端部及び他方の軌道輪の少なくとも一方の軸方向端部には、それぞれつばが設けられており、円筒ころのころ長さの相互差が、10μm以下であることを特徴とする。
また、好ましくは、円筒ころのころ長さの相互差が、6μm以下であると良い。
【0009】
上記構成の円筒ころ軸受によれば、大きなアキシャル荷重が付加された場合でも、各円筒ころの荷重のばらつきを少なくして、つばの発熱を抑えることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る円筒ころ軸受の実施の形態を図1〜図10に基づいて説明する。
図1は本発明に係る円筒ころ軸受の第1実施形態を示す要部断面図であり、図2は本発明に係る円筒ころ軸受の第2実施形態を示す要部断面図であり、図3は本発明に係る円筒ころ軸受の第3実施形態を示す要部断面図であり、図4は本発明に係る円筒ころ軸受の第4実施形態を示す要部断面図である。
【0011】
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の円筒ころ軸受30は、NUP形の円筒ころ軸受である。一方の軌道輪である内輪31はつば輪32を有しており、他方の軌道輪である外輪33との間に複数の円筒ころ34が転動可能に配設されている。内輪31及び外輪33の軸方向両端部には、それぞれつば35が設けられている。複数の円筒ころ34の軸方向の長さ、すなわちころ長さは、各円筒ころ34における相互差が、10μm以下となるように形成されている。好適には、6μm以下であると良い。
【0012】
このように円筒ころ34のころ長さの相互差を従来と比べて小さく設定することにより、円筒ころ34のころ長さのばらつきが少なくなる。そのため、円筒ころ軸受30にアキシャル荷重が付加された場合でも、各円筒ころ34に付加されるアキシャル荷重がほぼ均一になる。したがって、つば35と円筒ころ34との摩擦力を抑制して、発熱量の上昇を抑えることができる。
【0013】
なお、本発明の円筒ころ軸受の構成は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の形態を採りうることは言うまでもない。
例えば、図2に示すようなNH形の円筒ころ軸受40に、本発明を適用することも可能である。この円筒ころ軸受40は、L形つば輪42付の内輪41の軸方向の両端部と、外輪43の軸方向の両端部にそれぞれつば45が設けられており、各円筒ころ44のころ長さの相互差が、10μm以下あるいは6μm以下となるように形成されている。
【0014】
また、例えば、図3に示すようなNJ形の円筒ころ軸受50に、本発明を適用することも可能である。この円筒ころ軸受50は、内輪51の軸方向の一端部と外輪52の軸方向の両端部にそれぞれつば55が設けられており、各円筒ころ54のころ長さの相互差が、10μm以下あるいは6μm以下となるように形成されている。
【0015】
また、例えば、図4に示すようなNF形の円筒ころ軸受60に、本発明を適用することも可能である。この円筒ころ軸受60は、内輪61の軸方向の両端部と外輪62の軸方向の一端部にそれぞれつば65が設けられており、各円筒ころ64のころ長さの相互差が、10μm以下あるいは6μm以下となるように形成されている。
【0016】
なお、上述したような本発明に係る円筒ころ軸受は、例えば電車用駆動装置に使用される、はすば歯車を備えた回転支持装置に好適に組み込まれる。
【0017】
(実施例)
以下、本発明に係る円筒ころ軸受について、ころ長さの相互差を規定するための種々の試験結果を示す。
まず、NUP314(図1参照)の円筒ころ軸受(外径150mm、内径70mm、幅35mm)を使用して、円筒ころのころ長さの相互差を2μmと11μmに変えた場合の給油遮断の実験結果を説明する。ラジアル荷重Fr=9.8kN、アキシャル荷重Fa=3.9kN、回転速度n=4140rpmの条件で温度が定常状態になるまで軸受を回し、温度が定常になった(この時、ころ長さの相互差2μmところ長さの相互差11μmとの温度は等しい)後、給油を遮断して運転し続け、つばの温度が120°Cに上昇するまでの時間を計測した。
【0018】
図5にころ長さの相互差が2μm(1−1、1−2)と11μm(2−1、2−2)との場合において、給油遮断後、つば温度が120°Cになるまでの時間を比較した図を示す。
図5から明らかなように、ころ長さの相互差が11μmの円筒ころ軸受は、ころ長さの相互差が2μmの円筒ころ軸受より、つばの温度が120°Cなるまでの時間が短いことが判る。
このように、アキシャル荷重が負荷される条件で使用される円筒ころ軸受では、円筒ころのころ長さの相互差が大きいとつばの温度が上昇しやすく、焼き付きが発生しやすいことが判る。
【0019】
アキシャル荷重が負荷されるとき、ころ頭部とつばの焼き付きの点ではころ長さの相互差は小さい程好ましい。しかし、加工上ころ長さの相互差の発生は避けられないので、その前提の上、本実施形態では、円筒ころのころ長さの相互差を、10μm以下、好ましくは6μm以下と規定して温度の上昇を抑制する。
【0020】
以下、ころ長さの相互差を10μm以下、好ましくは6μm以下と規定するに至った手順を述べる。
▲1▼実験で円筒ころ軸受のアキシャル荷重Faを増加させ、その時のつば温度を測定した。
▲2▼ころ頭部の発熱量Qfをころ径Daで割った値を、円筒ころの温度上昇を表す温度上昇パラメータとして採用し、▲1▼の実験と対応させた。
▲3▼焼き付きには至らないつばの限界温度を設定し、▲1▼、▲2▼からそのときの温度上昇パラメータの閥値を求めた。
▲4▼別に数値計算(a)〜(c)で、ころ長さの相互差とパラメータの値との関係を求め、温度上昇パラメータの値が▲3▼で求めた閥値内になるようなころ長さの相互差を求めた。
ここで、▲4▼の数値計算は、(a)使用条件の決定、(b)温度上昇パラメータの計算方法、(c)実際の計算例とした。
【0021】
次に、上記▲1▼〜▲4▼の具体例を説明する。
(1)温度上昇パラメータの閥値の決定(▲1▼、▲2▼、▲3▼)
図6に、つばの温度及びころ頭部の発熱量Qfをころ径Daで割った値とアキシャル荷重との関係を示す。
図6の菱形印は、NUP315(図1参照)の円筒ころ軸受(外径160mm、内径75mm、幅37mm、ころ径相互差8μm)を使用して、ラジアル荷重Fr=7.4kN、回転速度n=5150rpmの条件でアキシャル荷重Faを段階的に上昇させ、つばの温度を測定した値を示す。アキシャル荷重Fa=7.35kNの時、温度が定常状態になり、そのときのつばの温度は102.2°Cであった。この状態からアキシャル荷重Faを14.7kNに増加させ、温度が定常状態になったときのつばの温度は138°Cであった。さらに、アキシャル荷重Faを19.6kNに増加させ、温度が定常状態になったときつばの温度は149°Cであった。
【0022】
図6の四角形印は、アキシャル荷重Faを変化させ、負荷圈の最下点ころ1個の発熱量Qfをころ径Daで割った値(Qf/Da)を示す。ここで、負荷圈の最下点ころとは、ころに対する荷重が最大となる位相に位置するころを指す。このグラフから判るように、アキシャル荷重Faを増加させると、ころ頭部の発熱量Qfをころ径Daで割った値は大きくなる。
このとき、アキシャル荷重FaをX1とおき、ころ1個の発熱量Qfをころ径Daで割った値(Qf/Da)をY1とおくと、両者の関係は、
Y1=0.265X1−1.3317 …(1)
に示す式(1)のように近似することができる。
【0023】
この温度上昇パラメータとして、ころ頭部発熱量Qfをころ径Daで割った値を用いた理由を次に述べる。
つばところ頭部での発熱量Qfが高いと、ころ頭部とつばの温度は上昇し、焼き付きに至る。しかし、円筒ころ軸受が大きいと熱容量が大きいため焼き付き温度に至るまでの時間が長く、逆に軸受が小さいと熱容量が小さく焼き付き温度に至るまでの時間は短い。すなわち、同じつばところ頭部での発熱量Qfであっても軸受の大小(熱容量の大小)で焼き付きやすさは異なる。したがって、ころ頭部に着目してころ径Daで熱容量の大小を代表させ、軸受の大小によらず焼き付き温度になりやすさを表す温度上昇パラメータとして、発熱量Qfをころ径Daで割った値を採用した。
【0024】
また、焼き付きを防ぐ観点から、つばの温度は、経験上130°C以下に抑えることが望ましいとされている。したがって、図6の実験値(菱形)ではアキシャル荷重Faは13kNが限界値となる。この時の発熱量Qfをころ径Daで割った値は2.1W/mmになる。すなわち、つばの温度を130°C以内に抑えるためにはころ頭部の発熱量Qfをころ径Daで割った値を2.1W/mm以下にしなければならない。
なお、一般的な熱処理仕様の軸受では、軸受寸法の安定性を確保する観点より、つばに限らず、120°C以下に抑えるのが望ましいとされている。この場合は、図6の実験値(菱形)から限界アキシャル荷重Faは11kNとなり、発熱量Qfをころ径Daで割った値は1.6W/mmとなる。すなわち、つばの温度を120°C以下に抑えるためには、ころ頭部の発熱量Qfをころ径Daで割った値を、1.6W/mm以下にしなければならない。
【0025】
(2)使用条件の決定(▲4▼−a)
ころ長さの相互差ところ頭部の発熱量Qfをころ径Daで割った値(Qf/Da)を計算するにあたっては、円筒ころ軸受で比較的に厳しいと考えられる条件を選択した。
円筒ころ軸受が一般に使用される範囲で比較的に厳しい条件は、荷重の点から見るとラジアル荷重FrがCrの10%程度負荷されるような条件である(Cr:動定格荷重、これ以上ラジアル荷重Frが大きいと、寿命の面から問題になる)。
また、アキシャル荷重を発生させるギアのねじれ角を20°程度と仮定すると、アキシャル荷重はラジアル荷重の約半分を想定しておけばよく、アキシャル荷重FaはCrの5%程度となる。
そこで、本実施例において計算を行った円筒ころ軸受に負荷される荷重は、ラジアル荷重FrをCrの10%、アキシャル荷重FaをCrの5%としている。
【0026】
次に、円筒ころ軸受が使用される回転速度面からの厳しい条件について述べる。
まず、NUP315の円筒ころ軸受は、ころPCDが122.5mmで許容回転速度が4000rpmであるので、DmN(Dm:ころPCD(mm)×N:軸受回転速度(rpm))は49万である。
NUP314の円筒ころ軸受では、ころPCDが110mmで許容回転速度が5000rpmであるので、DmNは55万である。
NUP2209の円筒ころ軸受(外径85mm、内径45mm、幅23mm)では、ころPCDが65.5mmで許容回転速度が8000rpmであるので、DmNは52.4万である。
このように、ころPCDが65.5〜122.5mmの円筒ころ軸受において回転速度面からみた最も厳しい条件は、DmNが55万である場合であると考えられる。この条件でころ頭部の発熱量Qfをころ径Daで割った値が2.1W/mm以下、好ましくは1.6W/mm以下になるころ長さの相互差の条件を求める。
【0027】
(3)温度上昇パラメータの計算方法(▲4▼−b)
NSK TECHNICAL JOURNAL 649号には、円すいころ頭部の動摩擦トルクを計算する式(下記(2)式)が記載されている。
M=(Z/Da)(RoMi+RiMo+eμcosβFa exp(−1.8Λ1.2) …(2)
ここで、e:接点位置、μ:摩擦係数、β:円すい角(円筒では0)、Fa:アキシャル荷重(ここでは、ころ頭部にかかるアキシャル荷重Qa)、Λ:油膜パラメータである。
ころ頭部の発熱量Qfを求めるには、この(2)式の第2項を用いて、円すい角βを0°とすれば計算できる。すなわち、下記の(3)式により発熱量Qfが求められる。
Qf=eμFa exp(−1.8Λ1.2) …(3)
アキシャル荷重Qaは、例えば、T.A.Harris著“On the Causes and Effects of Roller Skewing in Cylindrical Roller Bearings”(TRIBOLOGY TRANSACTIONS, Volume 41,4,572−578,1998)と同様にして、アキシャル荷重Fa=ΣQa(各ころのアキシャル分担荷重)となるように計算する。このQaを(3)式に代入し、発熱量Qfを求める。発熱量Qfをころ径Daで割れば、温度上昇パラメータが求まる。
【0028】
(4)計算例(▲4▼−c)
全ころ数のうち、1本だけころ長さの長いころが組み込まれた円筒ころ軸受について、ころ長さの相互差ところ頭部の発熱量Qfをころ径Daで割った値を計算した。
図7に、NUP315の円筒ころ軸受におけるころ長さの相互差の最大値ところ頭部の発熱量Qfをころ径Daで割った値(温度上昇パラメータ)との関係の計算結果(Fa=12.3kN,Fr=24.6kN,n=4500rpm)を示す。
【0029】
このとき、ころ長さの相互差の最大値をX2とおき、温度上昇パラメータをY2とおくと、両者の関係は、
Y2=−0.0028X2 2+0.1179X2+0.8863 …(4)
に示す式(4)のように近似することができる。
図7から、NUP315の円筒ころ軸受では、温度上昇パラメータ(Qf/Da)を2.1W/mm以内にするためにはころ長さの相互差の最大値を10μm以下にすれば十分であることがわかる。
好ましくは、温度上昇パラメータ(Qf/Da)を1.6W/mm以内にするためには、ころ長さの相互差の最大値を7.0μm以下にしなければならないごとがわかる。
【0030】
また、図8にNUP314の円筒ころ軸受におけるころ長さの相互差の最大値ところ頭部の発熱量Qfをころ径Daで割った値(温度上昇パラメータ)との関係の計算結果(Fa=8.0kN,Fr=16.1kN,n=5000rpm)を示す。
このとき、ころ長さの相互差の最大値をX3とおき、温度上昇パラメータをY3とおくと、両者の関係は、
Y3=0.112X3+0.8625 …(5)
に示す式(5)のように近似することができる
図8から、NUP314の円筒ころ軸受では、温度上昇パラメータ(Qf/Da)を2.1W/mm以内にするためには、ころ長さの相互差の最大値を10μm以下にすれば十分であることがわかる。好ましくは、温度上昇パラメータ(Qf/Da)を1.6W/mm以内にするためには、ころ長さの相互差の最大値を6.4μm以下にしなければならないことがわかる。
【0031】
また、図9にNUP2209の円筒ころ軸受におけるころ長さの相互差の最大値ところ頭部の発熱量Qfをころ径Daで割った値(温度上昇パラメータ)との関係の計算結果(Fa=3.2kN,Fr=6.3kN,n=8400rpm)を示す。
このとき、ころ長さの相互差の最大値をX2とおき、温度上昇パラメータをY2とおくと、両者の関係は、
Y4=0.0125X4 2+0.0003X4+0.6066 …(6)
に示す式(6)のように近似することができる。
図9から、NUP2209の円筒ころ軸受では、温度上昇パラメータ(Qf/Da)を2.1W/mm以内にするためには、ころ長さの相互差の最大値を10μm以下にすれば十分であることがわかる。好ましくは、温度上昇パラメータ(Qf/Da)を上記閥値1.6W/mm以内にするためには、ころ長さの相互差の最大値を8.8μm以下にしなければならないことがわかる。
【0032】
以上の結果から、ころ長さの相互差を10μm以下とすることにより、ラジアル荷重FrがCrの10%、アキシャル荷重FaがCrの5%、回転速度がDmNで55万の厳しい条件でも焼き付きは発生しないと考えられ、望ましい範囲であると考えられる。
【0033】
また、図10に示すころPCDところ長さの相互差との関係から、好ましくは、ころPCDが110mmのとき、ころ長さの相互差が最も厳しい条件が要求されるので、ころ長さの相互差を6μm以内にすれば良いことがわかる。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の円筒ころ軸受によれば、円筒ころのころ長さの相互差を10μm以下、好ましくは6μm以下としているので、アキシャル荷重が付加された場合のつばの発熱量を低く抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る円筒ころ軸受の第1実施形態を示す要部断面図である。
【図2】本発明に係る円筒ころ軸受の第2実施形態を示す要部断面図である。
【図3】本発明に係る円筒ころ軸受の第3実施形態を示す要部断面図である。
【図4】本発明に係る円筒ころ軸受の第4実施形態を示す要部断面図である。
【図5】ころ長さの相互差が2μmと11μmとの場合において、給油遮断後、つば温度が120°Cになるまでの時間を比較したグラフである。
【図6】つばの温度及びころ頭部の発熱量Qfをころ径Daで割った値とアキシャル荷重との関係を示すグラフである。
【図7】NUP315の円筒ころ軸受におけるころ長さの相互差の最大値ところ頭部の発熱量Qfをころ径Daで割った値との関係を示すグラフである。
【図8】NUP314の円筒ころ軸受におけるころ長さの相互差の最大値ところ頭部の発熱量Qfをころ径Daで割った値との関係を示すグラフである。
【図9】NUP2209の円筒ころ軸受におけるころ長さの相互差の最大値ところ頭部の発熱量Qfをころ径Daで割った値との関係を示すグラフである。
【図10】ころPCDところ長さの相互差との関係を示すグラフである。
【図11】電車用駆動装置の概略図である。
【図12】図11の要部断面図である。
【図13】NUP形の円筒ころ軸受の要部断面図である。
【符号の説明】
30 円筒ころ軸受(第1実施形態)
31 内輪
32 つば輪
33 外輪
34 円筒ころ
35 つば
40 円筒ころ軸受(第2実施形態)
50 円筒ころ軸受(第3実施形態)
60 円筒ころ軸受(第4実施形態)
Claims (2)
- 内輪と、外輪と、これら内外輪の間で転動可能な複数の円筒ころとを備えた円筒ころ軸受であって、
前記内外輪における一方の軌道輪の軸方向両端部及び他方の軌道輪の少なくとも一方の軸方向端部には、それぞれつばが設けられており、
前記円筒ころのころ長さの相互差が、10μm以下であることを特徴とする円筒ころ軸受。 - 前記円筒ころのころ長さの相互差が、6μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の円筒ころ軸受。
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JP2006300137A (ja) * | 2005-04-18 | 2006-11-02 | Ntn Corp | 転がり軸受および燃料電池発電装置用補機の回転軸支持構造 |
JP2007074856A (ja) * | 2005-09-08 | 2007-03-22 | Toshiba Corp | 車両用回転電機 |
CN101847906A (zh) * | 2009-03-25 | 2010-09-29 | 株式会社东芝 | 铁道车辆用旋转电机的轴承装置 |
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2002
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