JP2004076176A - 導電性合成繊維およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性および真円性に優れ、かつ線径斑の小さい導電性合成繊維およびその効率的な製造方法の提供。
【解決手段】延伸した合成樹脂モノフィラメントまたはマルチフィラメントからなる芯層と、特定の導電性物質を含有する樹脂の水分散体を塗布することにより形成された被覆成分からなることを特徴とする導電性合成繊維。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性合成繊維およびその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、従来よりも導電性および真円性に優れ、かつ線径斑の小さい導電性合成繊維およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
導電性合成繊維は、従来から様々な工業用分野に使用されており、例えば芯鞘複合型ポリエステルモノフィラメントは、使用中の静電気帯電による障害を防ぐことを目的とした小麦粉などの粉体篩分けフィルター、布帛の乾燥時や紙おむつや生理用品などのサニタリー製品製造時に水分や有機溶剤を乾燥させることを目的としたドライヤーベルトおよび抄紙用ドライヤーカンバスなどの工業用織物の経糸および/または緯糸の少なくとも一部、あるいはヘアブラシや工業用ブラシなどの用途に広く使用されている。
【0003】
従来の導電性合成繊維としては、主原料となるポリマーペレットと、例えばカーボンブラックや金属等の導電性粒子を高濃度にブレンドしたポリマー樹脂とを混練して溶融押出し、冷却、熱延伸して繊維化したもの、または鞘成分もしくは芯成分の一部を導電性樹脂とした複合繊維がよく知られている。
【0004】
具体的には、フィラメント断面外周部の回転対称位置に、導電性付与物質であるカーボンブラックを用いた導電成分を点在させた複合構造を有する導電性複合繊維(特開昭61−26615号公報)、および高導電性カーボンブラック4〜15重量%と、ブチレンテレフタレート単位および/またはブチレンイソフタレート単位90〜98重量%および脂肪族ジカルボン酸のジブチルエステル単位10〜20重量%からなる共重合ポリエステル成分96〜85重量%とで構成される共重合ポリエステルフィラメント(特開平6−63286号公報)などが提案されているが、これらはいずれも紡糸機で溶融共押出しされた後に延伸されるため、高導電性カーボンブラックを含むポリマーも延伸され、高導電性カーボンブラックの鎖状構造が破壊されて、十分な導電性が得られないという問題があった。さらに、これらはいずれも高温に加熱された紡糸口金孔と直接接触する箇所をカーボンブラックが含まれるポリマーが流れるため、ポリマーの熱分解物による口金孔周辺汚れが多発し、その結果コブ糸や線径斑が発生し、長時間の安定生産が困難になるという問題があった。
【0005】
また、平均分散粒子径が0.1μm以下の酸化アンチモンを固溶した酸化錫系微粒子をバインダー樹脂に添加したコーティング剤を塗布した繊維(特開平8−325478公報)や、平均分散粒子径が0.1μm以下の酸化錫を固溶した酸化インジウム系微粒子をバインダー樹脂に添加したコーティング剤を塗布した繊維(特開平8−325479公報)が提案されている。しかし、これらの繊維でも十分な導電性が得られず、導電性を満足するまで金属微粒子の添加量を増やした場合には、使用中に粒子の脱落が発生するという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0007】
したがって本発明の目的は、従来よりも導電性および真円性に優れ、かつ長さ方向の線径斑が小さい導電性合成樹脂フィラメントおよびその効率的な製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決するために、導電性合成樹脂フィラメントの構成、製造工程を見直し、十分な導電性が得られない原因について鋭意検討した。
【0009】
その結果、芯鞘型複合繊維の導電層は、延伸前の状態では目標とする導電性を有しているが、延伸を受ける過程で導電性が著しく低下することがわかった。また、延伸時の導電性低下を見込んで、導電層に多量に導電性粒子を添加すると延伸性が低下し、高倍率延伸できないため低強度の糸条しか得られないこと、さらにポリマーに導電性粒子が含まれているため紡糸口金汚れを引き起こしやすく、それによりフィラメントの真円性、線径均一性が低下することを見出した。
【0010】
すなわち、本発明の導電性合成繊維は、延伸された合成樹脂モノフィラメントまたはマルチフィラメントからなる芯層と、DBP給油量(9g法、ASTM−D2414−79に準拠)が340ml/100g以上である高導電性カーボンブラックを含有する水分散型樹脂により形成された被覆層とからなることを特徴とする。
【0011】
なお、本発明の導電性合成繊維においては、
フィラメントの抵抗値(Ω)×フィラメントの断面積(cm2 )/抵抗値測定時の電極間距離(cm)で表される体積固有抵抗率が700Ω・cm未満であること、
前記被覆層が、前記高導電性カーボンブラック10〜30重量%と、前記水分散型樹脂90〜70重量%との混合物からなること、
前記被覆層が、導電性合成繊維の全断面積に対して占める割合が3〜50%であること、
前記被覆層を形成する水分散型樹脂が、ウレタン、アクリル、エポキシ、フェノール、フッ素系の少なくとも1種を主成分とする水分散型樹脂であること、
レーザー外径測定機を用い、フィラメントを繊維軸回りに回転させて測定した最大径D1 と最小径D2 から、下記式(I)により真円度Rr を求め、繊維軸方向に10m間隔で10箇所測定したRr の平均値で示される真円度が90%以上であること、および
r =[1−(D1 −D2 )/D1]×100 ・・・(I)
レーザー外径測定機により測定したフィラメント300mの平均線径Dmean、最大線径Dmax 、最小線径Dmin から下記式(II)により算出される線径斑Rl が5%以下であること
l =(Dmax −Dmin )/Dmean×100 ・・・(II)
が、いずれも好ましい条件として挙げられる。
【0012】
また、上記本発明の導電性合成繊維の製造方法は、導電性合成繊維芯層を形成するポリマーを溶融押出、延伸してモノフィラメントまたはマルチフィラメントとなし、このフィラメントの表面にDBP給油量(9g法、ASTM−D2414−79に準拠)が340ml/100g以上である高導電性カーボンブラックを含有した水分散型樹脂を塗布し、乾燥して被覆層を形成することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
本発明の導電性合成繊維は、延伸した合成樹脂モノフィラメントまたはマルチフィラメントからなる芯層と、特定の導電性物質を含有する水分散型樹脂により形成された被覆層からなることを特徴とする。
【0015】
本発明の導電性合成繊維において、導電性ならびに高強度、例えば3cN/dtex以上の高強度を維持するために、芯層は延伸されて高強度である一方、導電性を持つ被覆層は延伸されることなく皮膜形成されていることを特徴とする。すなわち、延伸された合成樹脂モノフィラメントまたはマルチフィラメントの表面に、特定の導電性物質を含有する樹脂の水分散体を塗布することにより皮膜形成されたものからなる。
【0016】
本発明の導電性合成繊維において、芯層を形成する樹脂については特に制限はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、6ナイロン、66ナイロン、610ナイロン、612ナイロン6/66共重合体などのポリアミド樹脂またはその共重合体、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類またはその共重合体、ポリフッ化ビニリデン、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・フッ化ビニリデン共重合体などのフッ素樹脂類、ポリカーボネート類、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSという)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリイミド、および液晶ポリエステルなどが用いられる。
【0017】
本発明でいう合成樹脂モノフィラメントとは、被覆される前の状態でフィラメント数が1本のものであり、同じくマルチフィラメントとは、被覆される前の状態でフィラメント数が複数本からなるものである。被覆される前のマルチフィラメントは、被覆時の工程通過性をよくするため撚糸されているか、あるいは交絡をかけられ集束しているものである。
【0018】
芯層を形成するフィラメントの断面直径は、用途によって適宜選択できるが、0.05〜3mmの範囲が最もよく使用される。ただし、芯層がマルチフィラメントの場合には、断面直径を測定することはできないため、マルチフィラメントの繊度から芯が円形断面と仮定した直径である。
【0019】
また、ポリエチレンやポリプロピレンのような素材は、無極性で結晶性が大きいため、被覆層が付着しにくい。よって、このような樹脂を芯層に使用する場合には、被覆前にエネルギー線照射やプラズマ処理により素材表面に極性基を導入するか、極性基を有するプライマーを塗布することにより、被覆の付着性を確保したものを用いることが望ましい。
【0020】
本発明において、被覆樹脂の溶剤として、炭化水素系、アルコール系、エステル系、ケトン系、エーテル系などの有機溶剤を使用する場合には、塗布した樹脂の乾燥工程に排気、防火、空気清浄設備等を追加する必要があるため、被覆樹脂には水分散型樹脂、樹脂の分散剤には水を用いる。なお、被覆層を形成する水分散型樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、およびフッ素樹脂などが用いられる。
【0021】
本発明の導電性合成繊維における被覆層は、上記した水分散型樹脂に高導電性カーボンブラックを混ぜたものからなる。かかる高導電性カーボンブラックとはDBP給油量((9g法、ASTM−D2414−79に準拠)が340ml/100g以上のファーネス系カーボンブラックである。この特性を有するカーボンブラックとしては、ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製“ケッチェンブラック”(商標)ECや“ケッチェンブラック”(商標)EC600JD等がある。なお、カーボンブラックにはDBP供給量が300ml/100g以下のアセチレンブラックも知られているが、これは上記“ケッチェンブラック”(商標)ECなどに比較して導電性が低いため、満足する導電性を得るには“ケッチェンブラック”(商標)ECの約3倍の使用量が必要である。
【0022】
カーボンブラックを高濃度添加すると、被覆樹脂自体の流動性が低下して芯層フィラメントへの均一塗布が困難となり、得られる導電性合成繊維の線径斑が大きくなり易い。また、使用中に被覆層から導電性粒子が脱落し周辺を汚染する等の問題を生ずることがある。
【0023】
本発明の導電性合成繊維は、フィラメントの抵抗値(Ω)×フィラメントの断面積(cm2 )/抵抗値測定時の電極間距離(cm)で表される体積固有抵抗率が700Ω・cm未満であることが望ましい。例えば抄紙用ドライヤーカンバス等の工業用織物では、帯電防止用を目的として、導電性合成繊維を経糸および/または緯糸の一部に使用するが、体積固有抵抗率が700Ω・cm以上の導電性合成繊維を使用する場合には、使用において十分な帯電防止効果が得られないことがある。また、織物中の導電性合成繊維の割合を増やすことにより、帯電防止効果を向上することができるが、この場合にはコストアップになるという好ましくない傾向が招かれる。
【0024】
本発明の導電性合成繊維において、被覆層樹脂成分中のカーボンブラック濃度は10〜30重量%、特に15〜25重量%であることが好ましい。被覆層樹脂成分中のカーボンブラック濃度がこのように低濃度であっても優れた導電性を発現し、さらに真円性や線径均一性の優れた繊維が得られることが本発明の特徴である。しかし、10重量%以下のカーボンブラック濃度では、十分な導電性が得られず、また30重量%以上のカーボンブラック濃度では、被覆樹脂の流動性が著しく低下し、被覆が困難になるという好ましくない傾向が招かれる。
【0025】
なお、被覆層を形成するための被覆手段としては、ディップ、ローラー、ノズル、ドクター・ナイフ法などにより、芯層フィラメント表面に被覆層成分の溶液を塗布する方法が有効である。また、被覆厚さの変更は、被覆樹脂水分散体の液粘度を変更する方法が有効である。
【0026】
本発明の導電性合成繊維を製造するに際しては、芯層を形成する合成樹脂モノフィラメントまたはマルチフィラメントの製造には何ら特殊な方法を必要とせず、既知の紡糸方法で行うことができる。そして、熱延伸、熱セット処理された成形された合成樹脂モノフィラメントまたはマルチフィラメントの表面には、上記した被覆手法により導電性カーボンブラックを含む水分散型樹脂が被覆される。
【0027】
かくして得られる本発明の導電性合成繊維は、被覆層の全断面積に対して占める割合が3〜50%、好ましくは5〜40%、さらに好ましくは10〜30%であることが好ましい。一方、芯層の全断面積に対して占める割合は97〜50%である。被覆層の断面積比率が50%を越えると、導電性は十分であるが、得られる繊維の強度が低下するばかりか、被覆層が肉厚になり線径斑が大きくなるという好ましくない傾向を生じる。一方、被覆層の断面積比率が3%未満では、本発明が目的とする効果が十分に得られない傾向となる。
【0028】
以上説明したように、本発明の導電性合成繊維は、工業用織物として十分な糸物性を持ち、特に高導電性カーボンブラックが持つ本来の導電性を失うことなく、その体積固有抵抗値が700Ω・cm未満であるという優れた導電性を発揮する。また、被覆層が芯層の表面に薄く被覆されるため、下記式を満たすような優れた真円性、長さ方向の線径均一性を実現することができる。
【0029】
なお、真円度Rr はレーザー外径測定機を用い、フィラメントを繊維軸回りに回転させて測定した最大径D1 と最小径D2 から、下記式(I−2)により真円度Rr を求め、繊維軸方向に10m間隔で10箇所測定したRr の平均値で示される。一方、線径斑Rl はレーザー外径測定機により測定したフィラメント300mの平均線径Dmean、最大線径Dmax 、最小線径Dmin から下記式(II−2)により算出される。
【0030】
r =[1−(D1 −D2 )/D1]×100≧90・・・(I―2)
l =(Dmax −Dmin )/Dmean×100≦5  ・・・(II―2)
また、本発明の導電性合成繊維の製造方法は、芯層を形成する合成樹脂モノフィラメントまたはマルチフィラメントの製造には何ら特殊な方法を必要とせず、芯層の表面に導電性カーボンブラックを含む水分散型樹脂を被覆し、乾燥して被覆層を形成するのみで、上記の特性を有する導電性合成繊維を効率的に製造することができる。
【0031】
なお、被覆層の乾燥温度は、分散剤が水であるため100℃以上であるが、好ましくは130〜150℃である。130℃より低温では乾燥に時間がかかるため、生産性の点から好ましくない。一方、150℃より高温では、水が急激に蒸発するため得られる繊維表面に凹凸ができてしまうことから好ましくない。
【0032】
また、被覆樹脂の分散剤は水であるため、被覆の乾燥装置には特別な排気、防火、空気清浄設備等を用意する必要がなく、経済的にも有効な手段であるといえる。
【0033】
本発明の導電性合成繊維は、上記の特性を活かして、小麦粉などの粉体篩分けフィルター、布帛の乾燥、紙おむつや生理用品などのサニタリー製品製造時に水分や有機溶剤を乾燥させるドライヤーベルト、および抄紙機のドライヤーカンバスなどの工業用織物の経糸および/または緯糸の少なくとも一部、あるいはヘアブラシや工業用ブラシなどに好ましく適用することができ、これらの各用途に使用された場合には優れた帯電防止効果が得られる。
【0034】
【実施例】
次に、実施例によって本発明を具体的に説明する。
【0035】
本実施例に用いた各特性の定義および物性評価方法は以下の通りである。
[体積固有抵抗率]
東亜電波工業(株)製極超絶縁計SM−10型を使用して測定した。導電性合成繊維試料7cmの両端1cmずつに藤倉化成(株)製導電性ペースト「ドータイト」を塗り、1時間乾燥させる。その後、試料を電気抵抗のきわめて低いクリンプ(電極)で十分把持し、糸の抵抗値を測定し、下記式(III)により体積固有抵抗率を求めた。なお、測定時の周囲条件は温度20℃、湿度65%とした。   体積固有抵抗率(Ω・cm)=測定抵抗値(Ω)×糸の断面積(cm2 )                 /電極間距離(5cm)・・・(III)[真円度]
アンリツ(株)製レーザー外径測定機KL−151Aを使用した。導電性合成繊維試料を繊維軸方向を軸として回転させ、測定した最大直径D1 と最小直径D2 から、下記式(I)により真円度Rr を求め、繊維軸方向10m間隔で10箇所測定したRr の平均値を真円度(%)とした。
【0036】
r =[1−(D1 −D2 )/D1]×100 ・・・(I)
[線径斑]
アンリツ(株)製レーザー外径測定機KL−151Aを使用した。導電性合成繊維試料300mを30m/分の速度で測定し、平均線径Dmean、最大線径Dmax 、最小線径Dmin から下記式(II)により線径斑Rl 算出した。
【0037】
l =(Dmax −Dmin )/Dmean×100 ・・・(II)
[断面積比]
導電性合成繊維試料をミクロトームで厚さ15μmに輪切りにし、その断面を(株)KEYENCE製デジタルHDマイクロスコープVH−7000の面積測定機能を使用して測定した。
[静電電位]
春日電機(株)製デジタル静電電位測定機KSD−0103を使用し、走行するドライヤーベルトから10cm、ブラシから2cmの位置における静電電位を測定した。
[実施例1]
ポリカーボネート系脂肪族ウレタンエマルジョン(第一工業製薬(株)製“スーパーフレックス410”)79.5重量%にカーボンブラック(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製“ケッチェエンブラックTMEC”、以下CB)20.0重量%と増粘剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム)0.5重量%を添加し、十分に撹拌して導電性被覆材料を調製した。
【0038】
芯層にはポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製T−701T、以下PETと略表記)を、溶融押出して70℃の温水で冷却・固化した後、180℃の熱風浴中で5.0倍に延伸したPETモノフィラメント(直径500μm)を使用した。
【0039】
芯層の全表面に上記導電性被覆材料をディップ法により塗布し、135℃の熱風浴にて乾燥・固化することにより、直径530μmの導電性合成繊維を得た。その物性測定結果を表1に示す。
[実施例2]
芯層としてポリフェニレンスルフィド樹脂(東レ(株)製E2080、以下PPSと略表記)を溶融押出して85℃の温水で冷却固化した後、101℃スチーム浴および160℃の熱風浴中で4.5倍に延伸したPPSモノフィラメント(直径430μm)を使用した
芯層に上記PPSモノフィラメントを使用した以外は、実施例1に記載の被覆材料、被覆方法により、直径470μmの導電性合成繊維を得た。その物性測定結果を表1に示す。
[実施例3]
ポリアクリル酸エステルアンモニウム塩を主成分とするアクリル樹脂エマルジョン(ナガセケムテックス(株)製“アクリサイズME−18”)80重量%に、カーボンブラック(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製“ケッチェエンブラックTMEC”、以下CB)20.0重量%を添加し、十分に撹拌して導電性被覆材料を調製した。
【0040】
芯層として、6ナイロン樹脂(東レ(株)M1021T、以下N6と略表記)を溶融押出して20℃の水で冷却固化した後、60℃温水浴および120℃の熱風浴中で4.5倍に延伸したN6モノフィラメント(直径400μm)を使用した。
【0041】
芯層の全表面に上記導電性被覆材料をディップ法により塗布し、135℃の熱風浴にて乾燥・固化することにより、直径440μmの導電性合成繊維を得た。その物性測定結果を表1に示す。
[実施例4]
1400dtex−204fil−1781(東レ(株)製)66ナイロン繊維(以下N66と略表記)のマルチフィラメントを、4642t/127cmで下撚りし、さらに下撚りした2本を323t/127cmで上撚りして相当直径590μmの撚糸コードを作り、これを芯層とした。
【0042】
芯層に上記撚糸コードを用いた以外は、実施例3に記載の被覆材料、被覆方法により直径620μmの導電性合成繊維を得た。その物性測定結果を表1に示す。
[比較例1]
6.7×10−2Pa以下の減圧下、150℃で8時間乾燥したPET80.0重量%とCB20.0重量%とを混合した後、ベントを有する径37mm、L/D=38.9、同方向回転完全噛合型の2軸混練押出機(東芝機械社製TEM35B)に供給し、混練・押出・冷却・カッティングを行って、導電性PET樹脂組成物を得た。この樹脂を減圧下、130℃で10時間乾燥し、導電性合成繊維の形成に使用した。
【0043】
PET樹脂と、上記で調製した導電性PET樹脂組成物とを、10:1の重量比で混合し、エクストルーダーで溶融押出して70℃の温水で冷却・固化した後、180℃の熱風浴中で5.0倍に延伸することにより、直径530μmの導電性合成繊維を得た。その物性測定結果を表1に示す。
[比較例2]
芯層としてPET樹脂、鞘層として比較例1で調製した導電性PET樹脂組成物をそれぞれ使用し、エクストルーダーで溶融共押出して70℃の温水で冷却・固化した後、180℃の熱風浴中で5.0倍に延伸することにより、芯層の直径500μm、鞘層の厚さ30μmの導電性合成複合繊維を得た。その物性測定結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 2004076176
【0045】
表1の結果から明らかなように、本発明の導電性合成繊維(実施例1〜4)は、従来の導電性粒子を練り込んだ導電性合成繊維(比較例1)および鞘層に導電性粒子を含有する導電性芯鞘複合繊維(比較例2)に比較して、導電性、真円性および線径均一性が優れるものである。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の導電性合成繊維は、従来よりも導電性および真円性に優れ、かつ線径斑が小さいという優れた効果を発揮するものである。
【0047】
すなわち、本発明の導電性合成繊維は、体積固有抵抗率が700Ω・cm未満という優れた導電性を発揮する。また、導電性の被覆層が芯層に薄く塗布されるため、真円度が90%以上、線径斑が5%以下という優れた線径均一性を兼備したものとなる。
【0048】
そして、本発明の導電性合成繊維は、上記の特性を活かして、小麦粉などの粉体篩分けフィルター、布帛の乾燥、紙おむつや生理製品などサニタリー製品製造時に水分や有機溶剤を乾燥させるドライヤーベルト、抄紙機のドライヤーカンバスなどに代表される工業用織物の経糸および/または緯糸の少なくとも一部、あるいはヘアブラシや工業用ブラシなどに好ましく適用することができ、これらの用途に使用された場合には、優れた帯電防止効果が得られる。
【0049】
また、本発明の導電性合成繊維の製造方法によれば、芯層を形成する合成樹脂モノフィラメントまたはマルチフィラメントの製造には何ら特殊な方法を必要とせず、芯層の表面に被覆装置などにより導電性カーボンブラックを含む樹脂の水分散体を塗布して被覆層を形成するのみで、上記の特性を有する導電性合成繊維を効率的に製造することができる。

Claims (8)

  1. 延伸された合成樹脂モノフィラメントまたはマルチフィラメントからなる芯層と、DBP給油量(9g法、ASTM−D2414−79に準拠)が340ml/100g以上である高導電性カーボンブラックを含有する水分散型樹脂により形成された被覆層とからなることを特徴とする導電性合成繊維。
  2. フィラメントの抵抗値(Ω)×フィラメントの断面積(cm2 )/抵抗値測定時の電極間距離(cm)で表される体積固有抵抗率が700Ω・cm未満であることを特徴とする請求項1に記載の導電性合成繊維。
  3. 前記被覆層が、前記高導電性カーボンブラック10〜30重量%と、前記水分散型樹脂90〜70重量%との混合物からなることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性合成繊維。
  4. 前記被覆層が、導電性合成繊維の全断面積に対して占める割合が3〜50%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性合成繊維。
  5. 前記被覆層を形成する水分散型樹脂が、ウレタン、アクリル、エポキシ、フェノール、フッ素系の少なくとも1種を主成分とする水分散型樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性合成繊維。
  6. レーザー外径測定機を用い、フィラメントを繊維軸回りに回転させて測定した最大径D1 と最小径D2 から、下記式(I)により真円度Rr を求め、繊維軸方向に10m間隔で10箇所測定したRr の平均値で示される真円度が90%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性合成繊維。
    r =[1−(D1 −D2 )/D1]×100 ・・・(I)
  7. レーザー外径測定機により測定したフィラメント300mの平均線径Dmean、最大線径Dmax 、最小線径Dmin から下記式(II)により算出される線径斑Rl が5%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性合成繊維。
    l =(Dmax −Dmin )/Dmean×100 ・・・(II)
  8. 導電性合成繊維芯層を形成するポリマーを溶融押出、延伸してモノフィラメントまたはマルチフィラメントとなし、このフィラメントの表面にDBP給油量(9g法、ASTM−D2414−79に準拠)が340ml/100g以上である高導電性カーボンブラックを含有した水分散型樹脂を塗布し、乾燥して被覆層を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性合成繊維の製造方法。
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KR20180083220A (ko) * 2017-01-12 2018-07-20 주식회사 소프트로닉스 압력 측정이 가능한 직물 및 이를 이용한 압력 측정 장치

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