JP2004073379A - 医用画像診断装置および画像領域指定支援方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の異なる方向の断面における各画像上において、任意の画像上の同一領域が他の画像上でどこに位置するのかを容易に且つ正確に判断する。
【解決手段】画像領域指定支援方法は、被検体内の診断部位を含む撮像範囲で得られた複数の異なる方向の断面における画像を表示するものであって、複数の断面の内、任意の断面における表示画像上の目標とする画像領域に、所定の三次元構造をもつ三次元ＲＯＩ（関心領域）を設定しその目標とする画像領域に対する位置合わせを行なうステップＳ１〜Ｓ４と、複数の断面の内、前記任意の断面のほか、指定された断面における表示画像上に三次元ＲＯＩと交差する領域を表示するステップＳ５、Ｓ６とを備える。
【選択図】 図２
【解決手段】画像領域指定支援方法は、被検体内の診断部位を含む撮像範囲で得られた複数の異なる方向の断面における画像を表示するものであって、複数の断面の内、任意の断面における表示画像上の目標とする画像領域に、所定の三次元構造をもつ三次元ＲＯＩ（関心領域）を設定しその目標とする画像領域に対する位置合わせを行なうステップＳ１〜Ｓ４と、複数の断面の内、前記任意の断面のほか、指定された断面における表示画像上に三次元ＲＯＩと交差する領域を表示するステップＳ５、Ｓ６とを備える。
【選択図】 図２
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体内に存在する原子核スピンの磁気共鳴現象を利用して被検体内の画像を得るＭＲＩ（磁気共鳴イメージング）装置等の医用画像診断装置および画像領域指定支援方法に係り、とくに、球等の三次元構造をもつＲＯＩを用いて任意の断面上で画像領域を指定し、そのＲＯＩの指定領域を他の断面上で確認するための表示方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
磁気共鳴イメージングは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数の高周波信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生するＦＩＤ（自由誘導減衰）信号やエコー信号から被検体内の画像を得る手法である。この磁気共鳴イメージングは、とくに、被検体の解剖学的な断層像を非侵襲的に得る手法として極めて有効である。
【０００３】
このような磁気共鳴イメージングの分野では、人体の断面撮影を行なう際にその断面の方向を自由に決定することができるため、被検体内の同一領域を複数の異なる方向から撮像可能となっている。そのため、複数の画像間で同一領域が分かるように指し示す機能が必要とされ、この機能は、例えば撮像断面同士の関係を表示したり、撮像断面の位置情報を表示したりすることで実現されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来例のＭＲＩ装置では、異なる方向をもつ撮像断面同士はそれぞれ別々に撮影されるために各撮像断面毎にオフセットが微妙に異なっており、任意の画像上における患部の位置等の領域が他の画像上ではどこに位置するのかを容易に且つ正確に判断できないといった不都合があった。これは、ＭＲＩ装置に限らず、ＣＴ装置等の他の医用画像診断装置でも、同様であった。
【０００５】
本発明は、このような従来の事情を考慮になされたもので、複数の異なる方向の断面における各画像上において、任意の画像上の同一領域が他の画像上でどこに位置するのかを容易に且つ正確に判断できる医用画像診断装置及びその支援方法を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、ＭＲＩ装置等の医用画像診断装置において、三次元構造をもつＲＯＩ（関心領域：以下、「三次元ＲＯＩ」と呼ぶ）を定義し、この三次元ＲＯＩを用いて任意の断面の画像（断層像）と他の断面の画像との同一領域を指定する機能と、三次元ＲＯＩに交差する断面を自動的に検索し表示する機能とを提供するものである。
【０００７】
ここでの三次元ＲＯＩとしては、例えば特許第２９３８５０２号公報に記載されている球体、楕円体、直方体、円柱体、四面体、円錐体等のいずれの形状でも適用できる。また、好適には、これら複数の形状を予め登録しておき、その中から、例えば目的とする部位の形状等に合わせて選択可能に用いることも可能である。
【０００８】
ここでの断面の画像としては、体軸と直交する断面（アキシャル面）の画像であるアキシャル像（体軸像）、身体の前面と平行でアキシャル像と直交する断面（コロナル面）の画像であるコロナル像（冠状像）、身体の前面と体軸面に直交する断面（サジタル面）の画像であるサジタル像（矢状像）、これ以外の任意方向の断面（オブリーク面）の画像であるオブリーク像（斜入像）等が含まれる。
【０００９】
本発明では、このように三次元ＲＯＩの概念を導入することにより、三次元ＲＯＩに含まれる領域を複数画像で表示させることができるため、同一位置の認識が容易となる。また、同一患者で撮影した画像群から三次元ＲＯＩを含む画像を自動的に検索し表示させることができるため、従来よりも簡単でかつ確実に同一患者の患部を複数画像から観察することが可能になる。
【００１０】
本発明は、このような着想の元に完成されたものである。
【００１１】
すなわち、本発明に係る画像領域指定支援方法は、被検体内の診断部位を含む撮像範囲で得られた複数の異なる方向の断面における画像を表示する方法であって、前記複数の断面の内、任意の断面における表示画像上の目標とする画像領域に、所定の三次元構造をもつ三次元ＲＯＩ（関心領域）を設定しその目標とする画像領域に対する位置合わせを行なうステップと、前記複数の断面の内、前記任意の断面のほか、指定された断面における表示画像上に前記三次元ＲＯＩと交差する領域を表示するステップとを備えたことを特徴とする。
【００１２】
本発明において、好適には、前記複数の断面の中から前記三次元ＲＯＩと交差する断面を全て検索し、その検索された当該断面における画像を当該三次元ＲＯＩとの交差領域と共に表示するステップをさらに備えている。
【００１３】
また、本発明に係る画像領域指定支援方法は、被検体内の診断部位を含む撮像範囲で得られた複数の異なる方向の断面における画像を表示する方法であって、前記複数の断面の内、任意の断面における表示画像上の目標とする画像領域に、所定の三次元構造をもつ三次元ＲＯＩ（関心領域）を設定しその目標とする画像領域に対する位置合わせを行なうステップと、前記複数の断面の中から前記三次元ＲＯＩと交差する断面を全て検索し、その検索された当該断面における画像を前記三次元ＲＯＩとの交差領域と共に表示するステップとを備えたことを特徴とする。
【００１４】
さらに、本発明に係る医用画像診断装置は、被検体内の診断部位を含む撮像範囲で得られた複数の異なる方向の断面における画像を表示する処理手段を有するものであって、前記処理手段は、前記複数の断面の内、任意の断面における表示画像上の目標とする画像領域に、所定の三次元構造をもつ三次元ＲＯＩ（関心領域）を設定しその目標とする画像領域に対する位置合わせを行なう手段と、前記複数の断面の内、前記任意の断面を除く他の断面における表示画像上で、前記三次元ＲＯＩと交差する領域を表示する手段とを備えたことを特徴とする。
【００１５】
本発明において、好適には、前記処理手段は、前記複数の断面の中から前記三次元ＲＯＩと交差する断面を全て検索し、その検索された当該断面における画像を前記三次元ＲＯＩとの交差領域と共に表示する手段をさらに備えている。
【００１６】
また、本発明に係る医用画像診断装置は、被検体内の診断部位を含む撮像範囲で得られた複数の異なる方向の断面における画像を表示する処理手段を有するものであって、前記処理手段は、前記複数の断面の内、任意の断面における画像上の目標とする画像領域に、所定の三次元構造をもつ三次元ＲＯＩ（関心領域）を設定しその目標とする画像領域に対する位置合わせを行なう手段と、前記複数の断面の中から前記三次元ＲＯＩと交差する断面を全て検索し、その検索された当該断面における画像を前記三次元ＲＯＩとの交差領域と共に表示する手段とを備えたことを特徴とする。
【００１７】
さらに、本発明における前記複数の断面は、例えばＭＲＩ装置で得られた複数の撮像断面を含むものである。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る医用画像診断装置および画像領域指定支援方法の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【００１９】
図１に本実施形態に係る医用画像診断装置としてのＭＲＩ（磁気共鳴イメージング）装置の概略構成を示す。このＭＲＩ装置は、被検体Ｐを載せる寝台部と、静磁場を発生させる静磁場発生部と、静磁場に位置情報を付加するための傾斜磁場発生部と、高周波信号を送受信する送受信部と、システム全体の制御及び画像再構成を担う制御・演算部とを備えている。
【００２０】
静磁場発生部は、図１に示す例では、例えば超電導方式の磁石１と、この磁石１に電流を供給する静磁場電源２とを備え、被検体Ｐが遊挿される円筒状の開口部（診断用空間）の軸方向（Ｚ軸方向）に静磁場Ｈ０を発生させる。なお、この磁石部にはシムコイル１４が設けられている。このシムコイル１４には、後述するコントローラの制御下で、シムコイル電源１５から静磁場均一化のための電流が供給される。寝台部は、被検体Ｐを載せた天板を磁石１の開口部に退避可能に挿入できる。
【００２１】
傾斜磁場発生部は、図１に示す例では、例えば磁石１に組み込まれた傾斜磁場コイルユニット３を備える。この傾斜磁場コイルユニット３は、図示の如く、互いに直交するＸ、Ｙ、Ｚ軸方向の傾斜磁場を発生させるための３組（種類）のｘ、ｙ、ｚコイル３ｘ〜３ｚと、この各コイル３ｘ〜３ｚに電流を供給する傾斜磁場電源４とを備える。
【００２２】
この傾斜磁場電源４は、後述するシーケンサ５の制御の元で、ｘ、ｙ、ｚコイル３ｘ〜３ｚに傾斜磁場を発生させるためのパルス電流を供給する。傾斜磁場電源４からｘ、ｙ、ｚコイル３ｘ〜３ｚに供給されるパルス電流を制御することにより、物理軸としての３軸であるＸ、Ｙ、Ｚ方向の傾斜磁場を合成して、論理軸としてのスライス方向傾斜磁場ＧＳ、位相エンコード方向傾斜磁場ＧＥ、及び読出し方向（周波数エンコード方向）傾斜磁場ＧＲの各方向を任意に設定・変更することができる。スライス方向、位相エンコード方向、及び読出し方向の各傾斜磁場ＧＳ、ＧＥ、及びＧＲは、上記の静磁場Ｈ０に重畳される。
【００２３】
送受信部は、図１に示す例では、例えば磁石１内の撮影空間にて被検体Ｐの近傍に配設されるＲＦコイル７と、このＲＦコイル７に接続された送信器８Ｔ及び受信器８Ｒとを備える。この送信器８Ｔ及び受信器８Ｒは、後述するシーケンサ５の制御の元で、磁気共鳴（ＭＲ）現象を起こさせるためのラーモア周波数のＲＦ電流パルスをＲＦコイル７に供給する一方、このＲＦコイル７が受信した高周波のＭＲ信号を受信し、各種の信号処理を施して、対応するデジタル信号を形成するようになっている。
【００２４】
制御・演算部は、図１に示す例では、シーケンサ（シーケンスコントローラとも呼ばれる）５、ホスト計算機６、演算ユニット１０、記憶ユニット１１、表示器１２、及び入力器１３を備える。
【００２５】
この内、ホスト計算機６は、シーケンサ５のほか、演算ユニット１０、記憶ユニット１１、及び表示器１２を含む装置全体の動作を統括する機能を有するとともに、スキャン計画時のユーザーインターフェースの機能も果たす。つまり、ホスト計算機６は、記憶したソフトウエアの手順に基づき、オペレータが指令した情報を受け付け、この情報に基づくスキャンシーケンス情報をシーケンサ５に指令する対話式のユーザーインターフェース（ＵＩ）を、表示器１２及び入力器１３と共に提供するようになっている。
【００２６】
シーケンサ５は、ＣＰＵ及びメモリを備え、ホスト計算機６から送られてきたパルスシーケンス情報を記憶し、この情報に従い傾斜磁場電源４、送信器８Ｔ、受信器８Ｒの一連の動作を制御する。また、このシーケンサ５は、受信器８ＲからのＭＲ信号のデジタルデータを一旦入力して、再構成処理を行う演算ユニット１０にそのデータを転送する。ここでのパルスシーケンス情報とは、一連のパルスシーケンスに従い傾斜磁場電源４、送信器８Ｒ、及び受信器８Ｔを動作させるために必要な全ての情報であり、例えばｘ、ｙ、ｚコイル３ｘ〜３ｚに印加するパルス電流の強度、印加時間、及び印加タイミング等に関する情報を含む。
【００２７】
演算ユニット１０は、入力する生データの読み込み、画像のフーリエ空間（ｋ空間または周波数空間とも呼ばれる）への生データの配置、データのアベレージング処理、生データを実空間データに再構成する再構成処理（例えば、２次元又は３次元のフーリエ変換処理）、３次元画像データから２次元画像データを生成するためにＭＩＰ（最大値投影）処理等を適宜な順番で行うようになっている。
【００２８】
記憶ユニット１１は、生データ及び再構成画像データのみならず、演算処理の過程で生成される各種のデータを一時的に保管することができる。表示器１２は、画像を表示する。また、術者は入力器１３を介して所望のスキャン条件、スキャンシーケンス、画像処理法等、撮影条件を指定する上で必要な情報をホスト計算機６に入力できるようになっている。
【００２９】
上記制御・演算部のその他の要素として、図１に示す例では、音声発生器１６と、ＥＣＧセンサ１７及びＥＣＧユニット１８とが設けられている。音声発生器１６は、シーケンサ５、又はホスト計算機６からの指示に応答して、患者（被検体）に息止めのための音声メッセージを発生する。また、ＥＣＧセンサ１７及びＥＣＧユニット１８は、患者の心電図信号を検出してシーケンサ５に出力するようになっており、これにより心電同期撮影を行うことができる。
【００３０】
ここで、本実施形態に係る画像領域指定支援方法を図２〜図５に基づいて説明する。
【００３１】
この方法は、前述した通り、三次元構造をもつ三次元ＲＯＩを定義し、この三次元ＲＯＩを用いて任意の断面の画像（前述したアキシャル像、コロナル像、サジタル像、及びオブリーク像）と他の断面の画像とで同一領域を指定する機能と、三次元ＲＯＩに交差する断面を自動的に検索しその検索された断面の画像を表示する機能とを提供するもので、図１に示すＭＲＩ装置の例では、ホスト計算機６による処理を通し表示器１２及び入力器１３と共に提供されるユーザーインターフェースの機能（本発明の処理手段が備える各手段を成す）によって実現される。
【００３２】
図２に示す処理手順において、まず、上記ＭＲＩ装置によるマルチスライス撮影等により得られた患者Ｐの診断部位（例えば、頭部）を含む複数の断面（撮像断面）の内、操作者の入力器１３を用いた操作により、任意の断面Ｐ１が指定されると、この断面Ｐ１における画像Ｇ１が表示器１２上の所定位置に表示される（ステップＳ１）。この画像Ｇ１の表示例を図３に示す。この例では、任意の断面Ｐ１の画像Ｇ１として、図１に示すＸＹＺ方向の各面の内、ＺＸ平面における画像、すなわちコロナル面の画像（診断部位：頭部）が表示されている。以下、このコロナル面Ｐ１の画像Ｇ１を例に元に処理手順の説明を続ける。
【００３３】
次いで、上記コロナル面Ｐ１の画像Ｇ１上に所定半径の球で構成される三次元ＲＯＩ（以下、「球ＲＯＩ」と呼ぶ）の領域（球の中心位置及びその半径）が設定される（ステップＳ２）。この球ＲＯＩは、図３に示すように、例えば複数の断面からなる仮想三次元空間（ＸＹＺ座標空間）内で、球の中心点（ｘ０、ｙ０、ｚ０）及びその半径Ｒをパラメータとして、例えば表示器１２上に矢印等で示されるマーカ表示等を見ながら行なわれる直感的な操作等により可変設定が可能となっている。この球ＲＯＩの設定は、操作者の入力器１３を用いた操作により行なわれる。
【００３４】
次いで、上記コロナル面Ｐ１の画像Ｇ１に加え、例えば図４に示すように、上記断面Ｐ１に直交する方向の断面（ＹＺ平面：サジタル面）Ｐ２における患者頭部の画像Ｇ２が表示器１２上の所定位置に表示される（ステップＳ３）。そして、このサジタル面Ｐ２の画像Ｇ２上に、上記コロナル面Ｐ１の画像Ｇ１上で設定された球ＲＯＩの領域が表示される。そして、操作者の入力器１３を用いた操作により、図３に示すコロナル面Ｐ１の画像Ｇ１と共に、図４に示すサジタル面Ｐ２の画像Ｇ２上の球ＲＯＩの領域（位置、大きさ）を確認しながら、目標とする診断部位に対する球ＲＯＩの位置合わせが行なわれる（ステップＳ４）。
【００３５】
上記の球ＲＯＩの位置合わせが終了すると、操作者の入力器１３を用いた操作により任意の画像群、例えば図５（ａ）〜（ｄ）に示す任意の４断面（サジタル面：ＹＺ平面）Ｐ３〜Ｐ６の各画像Ｇ３〜Ｇ６が指定及び表示される（ステップＳ５）。このとき、各画像Ｇ３〜Ｇ６には、上記で設定された球ＲＯＩと交差する領域が存在すれば、その交差領域も図５（ａ）〜（ｄ）に示すようにそれぞれ表示されるようになっている（ステップＳ６）。ここで、球ＲＯＩと表示断面との間で交差領域が存在するかどうかの判断は、例えば、球ＲＯＩの中心位置及び半径の各パラメータで求まる球の方程式と、対象とする画像の断面上の任意位置及びその断面に垂直な法線ベクトルの各パラメータで求まる平面の方程式とに基づいて行なわれる。
【００３６】
従って、本実施形態によれば、患者の同一領域に対し異なる方向から別々に撮影された撮像断面であっても、複数の撮像断面における画像上で球ＲＯＩに含まれる画像領域を表示させることができる。このため、任意の画像上の一領域が他の画像上でどこに位置するのか、すなわち同一位置を複数の画像上で容易に判断、認識でき、診断効率を大幅に高めることが可能となる。
【００３７】
次に、本実施形態の変形例を図６〜図１０を参照して説明する。本例は、前述の図２に示す処理手順（ステップＳ１〜Ｓ６）のうち、ステップＳ１〜Ｓ４は同様で、ステップＳ５、Ｓ６の処理を変更するものである。この処理例を図６に示す。
【００３８】
図６において、まず、上記と同様に例えば患者頭部のコロナル面Ｐ１の画像Ｇ１（図３参照）及びそのサジタル面Ｐ１の画像Ｇ２（図４）を用いて球ＲＯＩの設定・位置合わせが行なわれる（ステップＳ４）。その後、操作者のアクション（入力器１３の操作等）によって、同一患者で撮影済みの全画像（ＭＲＩ装置で撮影された画像のほか、ネットワーク等の環境によってＣＴ装置等の他の医用画像診断装置で得られた同一患者の画像が利用可能であれば、その画像も含まれる）を対象とし、上記で設定・位置合わせの行なわれた球ＲＯＩと交差する関係にある全断面における全画像を自動的に検索、抽出し（ステップＳ５１）、これで抽出された全画像を表示器１２上に表示する（ステップＳ５２）。この抽出画像の表示例を図７、図８に、またその画像の断面と球ＲＯＩとの位置関係を図９、図１０にそれぞれ示す。
【００３９】
図７に示す抽出画像は、設定された球ＲＯＩと交差する患者頭部の７つのサジタル面（ＹＺ平面）Ｐ１１〜Ｐ１７の各画像Ｐ１１〜Ｐ１７を、図９（ａ）及び（ｂ）は、その各サジタル面Ｐ１１〜Ｐ１７と球ＲＯＩとの位置関係をそれぞれ示す。また、図８に示す抽出画像は、設定された球ＲＯＩと交差する患者頭部の７つのアキシャル面（ＸＹ平面）Ｐ２１〜Ｐ２７の各画像Ｐ２１〜Ｐ２７を、図１０（ａ）及び（ｂ）は、その各アキシャル面Ｐ２１〜Ｐ２７と球ＲＯＩとの位置関係をそれぞれ示す。
【００４０】
従って、本変形例によれば、上記実施形態の効果に加え、同一患者で撮影した画像群から三次元ＲＯＩを含む画像を自動的に検索・表示させることができるため、従来よりも簡単でかつ確実に同一患者の患部を複数の画像から観察することが可能になる。
【００４１】
なお、上記実施形態及び変形例では、画像領域を設定するためのユーザーインターフェースは、ＭＲＩ装置に一体に設けてあるが、その他、画像表示・画像処理用のワークステーションやＰＣ（パーソナルコンピュータ）等の処理装置に設けても良い。
【００４２】
また、上記実施形態及び変形例では、医用画像診断装置としてＭＲＩ装置に適用した場合を説明してあるが、本発明はこれに限らず、ＣＴ装置等の他の医用画像診断装置でも適用可能である。
【００４３】
なお、本発明は、代表的に例示した上述の実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、当業者であれば、特許請求の範囲の記載内容に基づき、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の態様に変形、変更することができる。これらの変更、変形例も本発明の権利範囲に属するものである。
【００４４】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、三次元構造をもつＲＯＩを定義し、この三次元ＲＯＩを用いて任意の画像と他の画像との同一領域を指定する機能と、三次元ＲＯＩに交差する断面を自動的に検索し表示する機能とを提供し、このように三次元ＲＯＩの概念を導入することにより、球ＲＯＩに含まれる領域を複数画像で表示させることができるため、同一位置の認識が容易となる。
【００４５】
また、本発明の別の側面によれば、同一患者で撮影した画像群から三次元ＲＯＩを含む画像を自動的に検索・表示させることができるため、従来よりも簡単でかつ確実に同一患者の患部を複数画像から観察することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態に係る医用画像診断装置としてのＭＲＩ装置の概略構成を示すブロック図。
【図２】本発明の実施形態に係る画像領域指定支援方法の処理手順を示す概略フローチャート。
【図３】図２中のステップＳ１、Ｓ２の各処理で表示、設定される画像及び球ＲＯＩの表示例を説明する図。
【図４】図２中のステップＳ３、Ｓ４の各処理で図３に示す画像と共に球ＲＯＩの位置合わせに使用される画像及び球ＲＯＩの表示例を説明する図。
【図５】図２中のステップＳ５、Ｓ６で表示される任意の画像群及び球ＲＯＩの表示例を説明する図。
【図６】変形例の画像領域指定支援方法の処理手順を示す概略フローチャート。
【図７】図６中のステップＳ５１、Ｓ５２で抽出、表示されるサジタル面の画像の表示例を説明する図。
【図８】図６中のステップＳ５１、Ｓ５２で抽出、表示されるアキシャル面の画像の表示例を説明する図。
【図９】（ａ）及び（ｂ）は、図７中のサジタル面と球ＲＯＩとの位置関係を説明する図。
【図１０】（ａ）及び（ｂ）は、図７中のアキシャル面と球ＲＯＩとの位置関係を説明する図。
【符号の説明】
１ 磁石
２ 静磁場電源
３ 傾斜磁場コイルユニット
４ 傾斜磁場電源
５ シーケンサ
６ ホスト計算機（ユーザーインターフェース）
７ ＲＦコイル
８Ｔ 送信器
８Ｒ 受信器
１０ 演算ユニット
１１ 記憶ユニット
１２ 表示器（ユーザーインターフェース）
１３ 入力器（ユーザーインターフェース）
１７ ＥＣＧセンサ
１８ ＥＣＧユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体内に存在する原子核スピンの磁気共鳴現象を利用して被検体内の画像を得るＭＲＩ（磁気共鳴イメージング）装置等の医用画像診断装置および画像領域指定支援方法に係り、とくに、球等の三次元構造をもつＲＯＩを用いて任意の断面上で画像領域を指定し、そのＲＯＩの指定領域を他の断面上で確認するための表示方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
磁気共鳴イメージングは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数の高周波信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生するＦＩＤ（自由誘導減衰）信号やエコー信号から被検体内の画像を得る手法である。この磁気共鳴イメージングは、とくに、被検体の解剖学的な断層像を非侵襲的に得る手法として極めて有効である。
【０００３】
このような磁気共鳴イメージングの分野では、人体の断面撮影を行なう際にその断面の方向を自由に決定することができるため、被検体内の同一領域を複数の異なる方向から撮像可能となっている。そのため、複数の画像間で同一領域が分かるように指し示す機能が必要とされ、この機能は、例えば撮像断面同士の関係を表示したり、撮像断面の位置情報を表示したりすることで実現されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来例のＭＲＩ装置では、異なる方向をもつ撮像断面同士はそれぞれ別々に撮影されるために各撮像断面毎にオフセットが微妙に異なっており、任意の画像上における患部の位置等の領域が他の画像上ではどこに位置するのかを容易に且つ正確に判断できないといった不都合があった。これは、ＭＲＩ装置に限らず、ＣＴ装置等の他の医用画像診断装置でも、同様であった。
【０００５】
本発明は、このような従来の事情を考慮になされたもので、複数の異なる方向の断面における各画像上において、任意の画像上の同一領域が他の画像上でどこに位置するのかを容易に且つ正確に判断できる医用画像診断装置及びその支援方法を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、ＭＲＩ装置等の医用画像診断装置において、三次元構造をもつＲＯＩ（関心領域：以下、「三次元ＲＯＩ」と呼ぶ）を定義し、この三次元ＲＯＩを用いて任意の断面の画像（断層像）と他の断面の画像との同一領域を指定する機能と、三次元ＲＯＩに交差する断面を自動的に検索し表示する機能とを提供するものである。
【０００７】
ここでの三次元ＲＯＩとしては、例えば特許第２９３８５０２号公報に記載されている球体、楕円体、直方体、円柱体、四面体、円錐体等のいずれの形状でも適用できる。また、好適には、これら複数の形状を予め登録しておき、その中から、例えば目的とする部位の形状等に合わせて選択可能に用いることも可能である。
【０００８】
ここでの断面の画像としては、体軸と直交する断面（アキシャル面）の画像であるアキシャル像（体軸像）、身体の前面と平行でアキシャル像と直交する断面（コロナル面）の画像であるコロナル像（冠状像）、身体の前面と体軸面に直交する断面（サジタル面）の画像であるサジタル像（矢状像）、これ以外の任意方向の断面（オブリーク面）の画像であるオブリーク像（斜入像）等が含まれる。
【０００９】
本発明では、このように三次元ＲＯＩの概念を導入することにより、三次元ＲＯＩに含まれる領域を複数画像で表示させることができるため、同一位置の認識が容易となる。また、同一患者で撮影した画像群から三次元ＲＯＩを含む画像を自動的に検索し表示させることができるため、従来よりも簡単でかつ確実に同一患者の患部を複数画像から観察することが可能になる。
【００１０】
本発明は、このような着想の元に完成されたものである。
【００１１】
すなわち、本発明に係る画像領域指定支援方法は、被検体内の診断部位を含む撮像範囲で得られた複数の異なる方向の断面における画像を表示する方法であって、前記複数の断面の内、任意の断面における表示画像上の目標とする画像領域に、所定の三次元構造をもつ三次元ＲＯＩ（関心領域）を設定しその目標とする画像領域に対する位置合わせを行なうステップと、前記複数の断面の内、前記任意の断面のほか、指定された断面における表示画像上に前記三次元ＲＯＩと交差する領域を表示するステップとを備えたことを特徴とする。
【００１２】
本発明において、好適には、前記複数の断面の中から前記三次元ＲＯＩと交差する断面を全て検索し、その検索された当該断面における画像を当該三次元ＲＯＩとの交差領域と共に表示するステップをさらに備えている。
【００１３】
また、本発明に係る画像領域指定支援方法は、被検体内の診断部位を含む撮像範囲で得られた複数の異なる方向の断面における画像を表示する方法であって、前記複数の断面の内、任意の断面における表示画像上の目標とする画像領域に、所定の三次元構造をもつ三次元ＲＯＩ（関心領域）を設定しその目標とする画像領域に対する位置合わせを行なうステップと、前記複数の断面の中から前記三次元ＲＯＩと交差する断面を全て検索し、その検索された当該断面における画像を前記三次元ＲＯＩとの交差領域と共に表示するステップとを備えたことを特徴とする。
【００１４】
さらに、本発明に係る医用画像診断装置は、被検体内の診断部位を含む撮像範囲で得られた複数の異なる方向の断面における画像を表示する処理手段を有するものであって、前記処理手段は、前記複数の断面の内、任意の断面における表示画像上の目標とする画像領域に、所定の三次元構造をもつ三次元ＲＯＩ（関心領域）を設定しその目標とする画像領域に対する位置合わせを行なう手段と、前記複数の断面の内、前記任意の断面を除く他の断面における表示画像上で、前記三次元ＲＯＩと交差する領域を表示する手段とを備えたことを特徴とする。
【００１５】
本発明において、好適には、前記処理手段は、前記複数の断面の中から前記三次元ＲＯＩと交差する断面を全て検索し、その検索された当該断面における画像を前記三次元ＲＯＩとの交差領域と共に表示する手段をさらに備えている。
【００１６】
また、本発明に係る医用画像診断装置は、被検体内の診断部位を含む撮像範囲で得られた複数の異なる方向の断面における画像を表示する処理手段を有するものであって、前記処理手段は、前記複数の断面の内、任意の断面における画像上の目標とする画像領域に、所定の三次元構造をもつ三次元ＲＯＩ（関心領域）を設定しその目標とする画像領域に対する位置合わせを行なう手段と、前記複数の断面の中から前記三次元ＲＯＩと交差する断面を全て検索し、その検索された当該断面における画像を前記三次元ＲＯＩとの交差領域と共に表示する手段とを備えたことを特徴とする。
【００１７】
さらに、本発明における前記複数の断面は、例えばＭＲＩ装置で得られた複数の撮像断面を含むものである。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る医用画像診断装置および画像領域指定支援方法の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【００１９】
図１に本実施形態に係る医用画像診断装置としてのＭＲＩ（磁気共鳴イメージング）装置の概略構成を示す。このＭＲＩ装置は、被検体Ｐを載せる寝台部と、静磁場を発生させる静磁場発生部と、静磁場に位置情報を付加するための傾斜磁場発生部と、高周波信号を送受信する送受信部と、システム全体の制御及び画像再構成を担う制御・演算部とを備えている。
【００２０】
静磁場発生部は、図１に示す例では、例えば超電導方式の磁石１と、この磁石１に電流を供給する静磁場電源２とを備え、被検体Ｐが遊挿される円筒状の開口部（診断用空間）の軸方向（Ｚ軸方向）に静磁場Ｈ０を発生させる。なお、この磁石部にはシムコイル１４が設けられている。このシムコイル１４には、後述するコントローラの制御下で、シムコイル電源１５から静磁場均一化のための電流が供給される。寝台部は、被検体Ｐを載せた天板を磁石１の開口部に退避可能に挿入できる。
【００２１】
傾斜磁場発生部は、図１に示す例では、例えば磁石１に組み込まれた傾斜磁場コイルユニット３を備える。この傾斜磁場コイルユニット３は、図示の如く、互いに直交するＸ、Ｙ、Ｚ軸方向の傾斜磁場を発生させるための３組（種類）のｘ、ｙ、ｚコイル３ｘ〜３ｚと、この各コイル３ｘ〜３ｚに電流を供給する傾斜磁場電源４とを備える。
【００２２】
この傾斜磁場電源４は、後述するシーケンサ５の制御の元で、ｘ、ｙ、ｚコイル３ｘ〜３ｚに傾斜磁場を発生させるためのパルス電流を供給する。傾斜磁場電源４からｘ、ｙ、ｚコイル３ｘ〜３ｚに供給されるパルス電流を制御することにより、物理軸としての３軸であるＸ、Ｙ、Ｚ方向の傾斜磁場を合成して、論理軸としてのスライス方向傾斜磁場ＧＳ、位相エンコード方向傾斜磁場ＧＥ、及び読出し方向（周波数エンコード方向）傾斜磁場ＧＲの各方向を任意に設定・変更することができる。スライス方向、位相エンコード方向、及び読出し方向の各傾斜磁場ＧＳ、ＧＥ、及びＧＲは、上記の静磁場Ｈ０に重畳される。
【００２３】
送受信部は、図１に示す例では、例えば磁石１内の撮影空間にて被検体Ｐの近傍に配設されるＲＦコイル７と、このＲＦコイル７に接続された送信器８Ｔ及び受信器８Ｒとを備える。この送信器８Ｔ及び受信器８Ｒは、後述するシーケンサ５の制御の元で、磁気共鳴（ＭＲ）現象を起こさせるためのラーモア周波数のＲＦ電流パルスをＲＦコイル７に供給する一方、このＲＦコイル７が受信した高周波のＭＲ信号を受信し、各種の信号処理を施して、対応するデジタル信号を形成するようになっている。
【００２４】
制御・演算部は、図１に示す例では、シーケンサ（シーケンスコントローラとも呼ばれる）５、ホスト計算機６、演算ユニット１０、記憶ユニット１１、表示器１２、及び入力器１３を備える。
【００２５】
この内、ホスト計算機６は、シーケンサ５のほか、演算ユニット１０、記憶ユニット１１、及び表示器１２を含む装置全体の動作を統括する機能を有するとともに、スキャン計画時のユーザーインターフェースの機能も果たす。つまり、ホスト計算機６は、記憶したソフトウエアの手順に基づき、オペレータが指令した情報を受け付け、この情報に基づくスキャンシーケンス情報をシーケンサ５に指令する対話式のユーザーインターフェース（ＵＩ）を、表示器１２及び入力器１３と共に提供するようになっている。
【００２６】
シーケンサ５は、ＣＰＵ及びメモリを備え、ホスト計算機６から送られてきたパルスシーケンス情報を記憶し、この情報に従い傾斜磁場電源４、送信器８Ｔ、受信器８Ｒの一連の動作を制御する。また、このシーケンサ５は、受信器８ＲからのＭＲ信号のデジタルデータを一旦入力して、再構成処理を行う演算ユニット１０にそのデータを転送する。ここでのパルスシーケンス情報とは、一連のパルスシーケンスに従い傾斜磁場電源４、送信器８Ｒ、及び受信器８Ｔを動作させるために必要な全ての情報であり、例えばｘ、ｙ、ｚコイル３ｘ〜３ｚに印加するパルス電流の強度、印加時間、及び印加タイミング等に関する情報を含む。
【００２７】
演算ユニット１０は、入力する生データの読み込み、画像のフーリエ空間（ｋ空間または周波数空間とも呼ばれる）への生データの配置、データのアベレージング処理、生データを実空間データに再構成する再構成処理（例えば、２次元又は３次元のフーリエ変換処理）、３次元画像データから２次元画像データを生成するためにＭＩＰ（最大値投影）処理等を適宜な順番で行うようになっている。
【００２８】
記憶ユニット１１は、生データ及び再構成画像データのみならず、演算処理の過程で生成される各種のデータを一時的に保管することができる。表示器１２は、画像を表示する。また、術者は入力器１３を介して所望のスキャン条件、スキャンシーケンス、画像処理法等、撮影条件を指定する上で必要な情報をホスト計算機６に入力できるようになっている。
【００２９】
上記制御・演算部のその他の要素として、図１に示す例では、音声発生器１６と、ＥＣＧセンサ１７及びＥＣＧユニット１８とが設けられている。音声発生器１６は、シーケンサ５、又はホスト計算機６からの指示に応答して、患者（被検体）に息止めのための音声メッセージを発生する。また、ＥＣＧセンサ１７及びＥＣＧユニット１８は、患者の心電図信号を検出してシーケンサ５に出力するようになっており、これにより心電同期撮影を行うことができる。
【００３０】
ここで、本実施形態に係る画像領域指定支援方法を図２〜図５に基づいて説明する。
【００３１】
この方法は、前述した通り、三次元構造をもつ三次元ＲＯＩを定義し、この三次元ＲＯＩを用いて任意の断面の画像（前述したアキシャル像、コロナル像、サジタル像、及びオブリーク像）と他の断面の画像とで同一領域を指定する機能と、三次元ＲＯＩに交差する断面を自動的に検索しその検索された断面の画像を表示する機能とを提供するもので、図１に示すＭＲＩ装置の例では、ホスト計算機６による処理を通し表示器１２及び入力器１３と共に提供されるユーザーインターフェースの機能（本発明の処理手段が備える各手段を成す）によって実現される。
【００３２】
図２に示す処理手順において、まず、上記ＭＲＩ装置によるマルチスライス撮影等により得られた患者Ｐの診断部位（例えば、頭部）を含む複数の断面（撮像断面）の内、操作者の入力器１３を用いた操作により、任意の断面Ｐ１が指定されると、この断面Ｐ１における画像Ｇ１が表示器１２上の所定位置に表示される（ステップＳ１）。この画像Ｇ１の表示例を図３に示す。この例では、任意の断面Ｐ１の画像Ｇ１として、図１に示すＸＹＺ方向の各面の内、ＺＸ平面における画像、すなわちコロナル面の画像（診断部位：頭部）が表示されている。以下、このコロナル面Ｐ１の画像Ｇ１を例に元に処理手順の説明を続ける。
【００３３】
次いで、上記コロナル面Ｐ１の画像Ｇ１上に所定半径の球で構成される三次元ＲＯＩ（以下、「球ＲＯＩ」と呼ぶ）の領域（球の中心位置及びその半径）が設定される（ステップＳ２）。この球ＲＯＩは、図３に示すように、例えば複数の断面からなる仮想三次元空間（ＸＹＺ座標空間）内で、球の中心点（ｘ０、ｙ０、ｚ０）及びその半径Ｒをパラメータとして、例えば表示器１２上に矢印等で示されるマーカ表示等を見ながら行なわれる直感的な操作等により可変設定が可能となっている。この球ＲＯＩの設定は、操作者の入力器１３を用いた操作により行なわれる。
【００３４】
次いで、上記コロナル面Ｐ１の画像Ｇ１に加え、例えば図４に示すように、上記断面Ｐ１に直交する方向の断面（ＹＺ平面：サジタル面）Ｐ２における患者頭部の画像Ｇ２が表示器１２上の所定位置に表示される（ステップＳ３）。そして、このサジタル面Ｐ２の画像Ｇ２上に、上記コロナル面Ｐ１の画像Ｇ１上で設定された球ＲＯＩの領域が表示される。そして、操作者の入力器１３を用いた操作により、図３に示すコロナル面Ｐ１の画像Ｇ１と共に、図４に示すサジタル面Ｐ２の画像Ｇ２上の球ＲＯＩの領域（位置、大きさ）を確認しながら、目標とする診断部位に対する球ＲＯＩの位置合わせが行なわれる（ステップＳ４）。
【００３５】
上記の球ＲＯＩの位置合わせが終了すると、操作者の入力器１３を用いた操作により任意の画像群、例えば図５（ａ）〜（ｄ）に示す任意の４断面（サジタル面：ＹＺ平面）Ｐ３〜Ｐ６の各画像Ｇ３〜Ｇ６が指定及び表示される（ステップＳ５）。このとき、各画像Ｇ３〜Ｇ６には、上記で設定された球ＲＯＩと交差する領域が存在すれば、その交差領域も図５（ａ）〜（ｄ）に示すようにそれぞれ表示されるようになっている（ステップＳ６）。ここで、球ＲＯＩと表示断面との間で交差領域が存在するかどうかの判断は、例えば、球ＲＯＩの中心位置及び半径の各パラメータで求まる球の方程式と、対象とする画像の断面上の任意位置及びその断面に垂直な法線ベクトルの各パラメータで求まる平面の方程式とに基づいて行なわれる。
【００３６】
従って、本実施形態によれば、患者の同一領域に対し異なる方向から別々に撮影された撮像断面であっても、複数の撮像断面における画像上で球ＲＯＩに含まれる画像領域を表示させることができる。このため、任意の画像上の一領域が他の画像上でどこに位置するのか、すなわち同一位置を複数の画像上で容易に判断、認識でき、診断効率を大幅に高めることが可能となる。
【００３７】
次に、本実施形態の変形例を図６〜図１０を参照して説明する。本例は、前述の図２に示す処理手順（ステップＳ１〜Ｓ６）のうち、ステップＳ１〜Ｓ４は同様で、ステップＳ５、Ｓ６の処理を変更するものである。この処理例を図６に示す。
【００３８】
図６において、まず、上記と同様に例えば患者頭部のコロナル面Ｐ１の画像Ｇ１（図３参照）及びそのサジタル面Ｐ１の画像Ｇ２（図４）を用いて球ＲＯＩの設定・位置合わせが行なわれる（ステップＳ４）。その後、操作者のアクション（入力器１３の操作等）によって、同一患者で撮影済みの全画像（ＭＲＩ装置で撮影された画像のほか、ネットワーク等の環境によってＣＴ装置等の他の医用画像診断装置で得られた同一患者の画像が利用可能であれば、その画像も含まれる）を対象とし、上記で設定・位置合わせの行なわれた球ＲＯＩと交差する関係にある全断面における全画像を自動的に検索、抽出し（ステップＳ５１）、これで抽出された全画像を表示器１２上に表示する（ステップＳ５２）。この抽出画像の表示例を図７、図８に、またその画像の断面と球ＲＯＩとの位置関係を図９、図１０にそれぞれ示す。
【００３９】
図７に示す抽出画像は、設定された球ＲＯＩと交差する患者頭部の７つのサジタル面（ＹＺ平面）Ｐ１１〜Ｐ１７の各画像Ｐ１１〜Ｐ１７を、図９（ａ）及び（ｂ）は、その各サジタル面Ｐ１１〜Ｐ１７と球ＲＯＩとの位置関係をそれぞれ示す。また、図８に示す抽出画像は、設定された球ＲＯＩと交差する患者頭部の７つのアキシャル面（ＸＹ平面）Ｐ２１〜Ｐ２７の各画像Ｐ２１〜Ｐ２７を、図１０（ａ）及び（ｂ）は、その各アキシャル面Ｐ２１〜Ｐ２７と球ＲＯＩとの位置関係をそれぞれ示す。
【００４０】
従って、本変形例によれば、上記実施形態の効果に加え、同一患者で撮影した画像群から三次元ＲＯＩを含む画像を自動的に検索・表示させることができるため、従来よりも簡単でかつ確実に同一患者の患部を複数の画像から観察することが可能になる。
【００４１】
なお、上記実施形態及び変形例では、画像領域を設定するためのユーザーインターフェースは、ＭＲＩ装置に一体に設けてあるが、その他、画像表示・画像処理用のワークステーションやＰＣ（パーソナルコンピュータ）等の処理装置に設けても良い。
【００４２】
また、上記実施形態及び変形例では、医用画像診断装置としてＭＲＩ装置に適用した場合を説明してあるが、本発明はこれに限らず、ＣＴ装置等の他の医用画像診断装置でも適用可能である。
【００４３】
なお、本発明は、代表的に例示した上述の実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、当業者であれば、特許請求の範囲の記載内容に基づき、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の態様に変形、変更することができる。これらの変更、変形例も本発明の権利範囲に属するものである。
【００４４】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、三次元構造をもつＲＯＩを定義し、この三次元ＲＯＩを用いて任意の画像と他の画像との同一領域を指定する機能と、三次元ＲＯＩに交差する断面を自動的に検索し表示する機能とを提供し、このように三次元ＲＯＩの概念を導入することにより、球ＲＯＩに含まれる領域を複数画像で表示させることができるため、同一位置の認識が容易となる。
【００４５】
また、本発明の別の側面によれば、同一患者で撮影した画像群から三次元ＲＯＩを含む画像を自動的に検索・表示させることができるため、従来よりも簡単でかつ確実に同一患者の患部を複数画像から観察することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態に係る医用画像診断装置としてのＭＲＩ装置の概略構成を示すブロック図。
【図２】本発明の実施形態に係る画像領域指定支援方法の処理手順を示す概略フローチャート。
【図３】図２中のステップＳ１、Ｓ２の各処理で表示、設定される画像及び球ＲＯＩの表示例を説明する図。
【図４】図２中のステップＳ３、Ｓ４の各処理で図３に示す画像と共に球ＲＯＩの位置合わせに使用される画像及び球ＲＯＩの表示例を説明する図。
【図５】図２中のステップＳ５、Ｓ６で表示される任意の画像群及び球ＲＯＩの表示例を説明する図。
【図６】変形例の画像領域指定支援方法の処理手順を示す概略フローチャート。
【図７】図６中のステップＳ５１、Ｓ５２で抽出、表示されるサジタル面の画像の表示例を説明する図。
【図８】図６中のステップＳ５１、Ｓ５２で抽出、表示されるアキシャル面の画像の表示例を説明する図。
【図９】（ａ）及び（ｂ）は、図７中のサジタル面と球ＲＯＩとの位置関係を説明する図。
【図１０】（ａ）及び（ｂ）は、図７中のアキシャル面と球ＲＯＩとの位置関係を説明する図。
【符号の説明】
１ 磁石
２ 静磁場電源
３ 傾斜磁場コイルユニット
４ 傾斜磁場電源
５ シーケンサ
６ ホスト計算機（ユーザーインターフェース）
７ ＲＦコイル
８Ｔ 送信器
８Ｒ 受信器
１０ 演算ユニット
１１ 記憶ユニット
１２ 表示器（ユーザーインターフェース）
１３ 入力器（ユーザーインターフェース）
１７ ＥＣＧセンサ
１８ ＥＣＧユニット
Claims (7)
- 被検体内の診断部位を含む撮像範囲で得られた複数の異なる方向の断面における画像を表示する方法であって、
前記複数の断面の内、任意の断面における表示画像上の目標とする画像領域に、所定の三次元構造をもつ三次元ＲＯＩ（関心領域）を設定しその目標とする画像領域に対する位置合わせを行なうステップと、
前記複数の断面の内、前記任意の断面のほか、指定された断面における表示画像上に前記三次元ＲＯＩと交差する領域を表示するステップとを備えたことを特徴とする画像領域指定支援方法。 - 前記複数の断面の中から前記三次元ＲＯＩと交差する断面を全て検索し、その検索された当該断面における画像を当該三次元ＲＯＩとの交差領域と共に表示するステップをさらに備えた請求項１記載の画像領域指定支援方法。
- 被検体内の診断部位を含む撮像範囲で得られた複数の異なる方向の断面における画像を表示する方法であって、
前記複数の断面の内、任意の断面における表示画像上の目標とする画像領域に、所定の三次元構造をもつ三次元ＲＯＩ（関心領域）を設定しその目標とする画像領域に対する位置合わせを行なうステップと、
前記複数の断面の中から前記三次元ＲＯＩと交差する断面を全て検索し、その検索された当該断面における画像を前記三次元ＲＯＩとの交差領域と共に表示するステップとを備えたことを特徴とする画像領域指定支援方法。 - 被検体内の診断部位を含む撮像範囲で得られた複数の異なる方向の断面における画像を表示する処理手段を有する医用画像診断装置であって、
前記処理手段は、
前記複数の断面の内、任意の断面における表示画像上の目標とする画像領域に、所定の三次元構造をもつ三次元ＲＯＩ（関心領域）を設定しその目標とする画像領域に対する位置合わせを行なう手段と、
前記複数の断面の内、前記任意の断面を除く他の断面における表示画像上で、前記三次元ＲＯＩと交差する領域を表示する手段とを備えたことを特徴とする医用画像診断装置。 - 前記処理手段は、前記複数の断面の中から前記三次元ＲＯＩと交差する断面を全て検索し、その検索された当該断面における画像を前記三次元ＲＯＩとの交差領域と共に表示する手段をさらに備えた請求項４記載の医用画像診断装置。
- 被検体内の診断部位を含む撮像範囲で得られた複数の異なる方向の断面における画像を表示する処理手段を有する医用画像診断装置であって、
前記処理手段は、
前記複数の断面の内、任意の断面における画像上の目標とする画像領域に、所定の三次元構造をもつ三次元ＲＯＩ（関心領域）を設定しその目標とする画像領域に対する位置合わせを行なう手段と、
前記複数の断面の中から前記三次元ＲＯＩと交差する断面を全て検索し、その検索された当該断面における画像を前記三次元ＲＯＩとの交差領域と共に表示する手段とを備えたことを特徴とする医用画像診断装置。 - 前記複数の断面は、ＭＲＩ装置で得られた複数の撮像断面を含む請求項４から６のいずれか１項記載の医用画像診断装置。
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