JP2004073360A - 投影データ作成方法、画素データ作成方法およびマルチ検出器x線ct装置 - Google Patents
投影データ作成方法、画素データ作成方法およびマルチ検出器x線ct装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】3列以上の検出器列を持つマルチ検出器(24)を用いて収集した隣接する3列以上の検出器列のローデータ(d1〜d6)にコーンビーム再構成荷重(Wi)およびZフィルタ荷重(wi)を乗算し、加算して、1つの投影データ(Dg)を得る。その投影データ(Dg)に逆投影処理を施して画素データを得る。
【効果】マルチ検出器を用いたアキシャルスキャンまたはヘリカルスキャンによって収集したローデータを基にして、検出器のZ軸方向サイズの2倍,3倍といった厚いスライス厚の画像を得ることが出来る。また、検出器のZ軸方向サイズの1.2倍,2.5倍といった任意のスライス厚の画像を得ることも出来る。
【選択図】図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、投影データ作成方法、画素データ作成方法およびマルチ検出器X線CT(Computed Tomography)装置に関し、更に詳しくは、マルチ検出器を用いたアキシャルスキャン(axial scan)またはヘリカルスキャン(helical scan)によって収集したローデータを基にして厚いスライス厚の画像を作成するための投影データを作成する方法、厚いスライス厚の画像の画素データを作成する方法およびマルチ検出器X線CT装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図14は、従来のマルチ検出器X線CT装置における画素データ作成処理を示すフロー図である。
ステップJ1では、X線管およびマルチ検出器を撮影対象の周りに回転しながらローデータを収集する。
【0003】
ステップJ2では、図15に示すように、再構成領域P上の画素gに対応するローデータd1,d2を求める。すなわち、X線管21の焦点と再構成領域P上の画素gとを通る直線Lgがマルチ検出器24と交差する点に最も近接する2つの検出器列のローデータd1,d2を求める。そして、ローデータd1,d2に、コーンビーム再構成荷重Wa,WbおよびZフィルタ荷重wa,wbを乗算し、加算して、再構成領域P上の画素gに対応する投影データDgを算出する。
【0004】
なお、コーンビーム再構成荷重Waは、X線管21の焦点からローデータd1に対応するマルチ検出器24の検出器列j,チャネルiまでの距離をr0とし、X線管21の焦点からローデータd1に対応する再構成領域上の画素gまでの距離をr1とするとき、(r1/r0)2である。
コーンビーム再構成荷重Wbも同様である。
【0005】
また、Zフィルタ荷重wa,wbは、直線Lgがマルチ検出器24と交差する点とローデータd1に対応する検出器のZ方向の距離をaとし、直線Lgがマルチ検出器24と交差する点とローデータd2に対応する検出器のZ方向の距離をbとするとき、wa=b/(a+b),wb=a/(a+b)である。これは、図16に示すようなZフィルタFzで規定される荷重である。
【0006】
図14に戻り、ステップJ3では、投影データDgに逆投影処理を施して画素データGgを算出する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のマルチ検出器X線CT装置により得られる画像のスライス厚は、検出器のZ軸方向サイズにほぼ等しくなる。
しかし、検出器のZ軸方向サイズの2倍,3倍といった厚いスライス厚の画像を得ることが出来ない問題点があった。
そこで、本発明の目的は、マルチ検出器を用いて収集したローデータを基にして厚いスライス厚の画像を作成するための投影データを作成する方法、厚いスライス厚の画像の画素データを作成する方法およびマルチ検出器X線CT装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の観点では、本発明は、3列以上の検出器列を持つマルチ検出器を用いて収集した隣接する3列以上の検出器列のローデータにコーンビーム再構成荷重およびZフィルタ荷重を乗算し、加算して、1つの投影データを得ることを特徴とする投影データ作成方法を提供する。
上記第1の観点による投影データ作成方法では、隣接する3列以上の検出器列のローデータにZフィルタ荷重を乗算し加算して1つの投影データとする。そこで、この投影データに逆投影処理を施せば、検出器のZ軸方向サイズの2倍,3倍といった厚いスライス厚の画像を得ることが出来る。また、検出器のZ軸方向サイズの1.2倍,2.5倍といった任意のスライス厚の画像を得ることも出来る。
なお、Zフィルタ荷重は、公知の3点以上の多点補間のZフィルタ(例えばHanning補間やCubic補間)で規定される荷重である。
【0009】
第2の観点では、本発明は、上記構成の投影データ作成方法により作成した投影データに逆投影処理を施して画素データを得ることを特徴とする画素データ作成方法を提供する。
上記第2の観点による画素データ作成方法では、隣接する3列以上の検出器列のローデータにZフィルタ荷重を乗算し加算して1つの投影データを作成し、この投影データに逆投影処理を施して画素データを得るため、検出器のZ軸方向サイズの2倍,3倍といった厚いスライス厚の画像を得ることが出来る。また、検出器のZ軸方向サイズの1.2倍,2.5倍といった任意のスライス厚の画像を得ることも出来る。
【0010】
第3の観点では、本発明は、2列以上の検出器列を持つマルチ検出器を用い1回転でk(≧2)列分以上進むヘリカルスキャンにより収集したローデータ中のi回転目の隣接するk列の検出器のローデータから再構成領域上の画素に対応する第iの投影データを求めることをi=1〜n,n≧2について繰り返し、第1〜第nの投影データにZフィルタ荷重を乗算し、加算して、1つの投影データを得ることを特徴とする投影データ作成方法を提供する。
上記第3の観点による投影データ作成方法では、隣接するk列の検出器列のローデータにZフィルタ荷重を乗算し加算して1つの投影データとすることを、ヘリカルスキャンの各回転ごとに行い、各回転ごとの投影データにZフィルタ荷重を乗算し、加算して、1つの投影データを得る。そこで、この投影データに逆投影処理を施せば、検出器のZ軸方向サイズの2倍,3倍といった厚いスライス厚の画像を得ることが出来る。また、検出器のZ軸方向サイズの1.2倍,2.5倍といった任意のスライス厚の画像を得ることも出来る。
なお、Zフィルタ荷重は、公知の2点補間のZフィルタまたは3点以上の多点補間のZフィルタで規定される荷重である。
【0011】
第4の観点では、本発明は、上記構成の投影データ作成方法において、k=2であり、隣接する2列の検出器のローデータにコーンビーム再構成荷重およびZフィルタ荷重を乗算し、加算して、第iの投影データを求めることを特徴とする投影データ作成方法を提供する。
上記第4の観点による投影データ作成方法では、公知の2点補間のZフィルタを用いて、各回転ごとの投影データを求めることが出来る。
【0012】
第5の観点では、本発明は、上記構成の投影データ作成方法において、k≧3であり、隣接するk列の検出器のローデータにコーンビーム再構成荷重およびZフィルタ荷重を乗算し、加算して、第iの投影データを求めることを特徴とする投影データ作成方法を提供する。
上記第5の観点による投影データ作成方法では、公知の3点以上の多点補間のZフィルタを用いて、各回転ごとの投影データを求めることが出来る。
【0013】
第6の観点では、本発明は、上記構成の投影データ作成方法により作成した投影データに逆投影処理を施して画素データを得ることを特徴とする画素データ作成方法を提供する。
上記第6の観点による画素データ作成方法では、隣接するk列の検出器列のローデータにZフィルタ荷重を乗算し加算して1つの投影データとすることを、ヘリカルスキャンの各回転ごとに行い、各回転ごとの投影データにZフィルタ荷重を乗算し加算して1つの投影データを作成し、この投影データに逆投影処理を施して画素データを得るため、検出器のZ軸方向サイズの2倍,3倍といった厚いスライス厚の画像を得ることが出来る。また、検出器のZ軸方向サイズの1.2倍,2.5倍といった任意のスライス厚の画像を得ることも出来る。
【0014】
第7の観点では、本発明は、2列以上の検出器列を持つマルチ検出器を用いて収集したローデータ中の隣接するk列の検出器のローデータから第iの再構成領域上の画素に対応する第iの画素データを求めることをi=1〜n,n≧2について繰り返し、第1〜第nの画素データにZフィルタ荷重を乗算し加算して、1つの画素データを得ることを特徴とする画素データ作成方法を提供する。
上記第7の観点による画素データ作成方法では、隣接するk列の検出器列のローデータから画素データを求めることを、第1〜第nの再構成領域ごとに行い、各再構成領域ごとの画素データにZフィルタ荷重を乗算し加算して1つの画素データを得るため、検出器のZ軸方向サイズの2倍,3倍といった厚いスライス厚の画像を得ることが出来る。また、検出器のZ軸方向サイズの1.2倍,2.5倍といった任意のスライス厚の画像を得ることも出来る。その上、各再構成領域ごとの画像も得ることが出来る。
【0015】
第8の観点では、本発明は、上記構成の画素データ作成方法において、k=2であり、隣接する2列の検出器のローデータにコーンビーム再構成荷重およびZフィルタ荷重を乗算し加算して第iの投影データを求め、第iの投影データに逆投影処理を施して第iの画素データを得ることを特徴とする画素データ作成方法を提供する。
上記第8の観点による画素データ作成方法では、各再構成領域ごとの画素データは、従来と全く同じ処理を用いて求めることが出来る。
【0016】
第9の観点では、本発明は、2列以上の検出器列を持つマルチ検出器を用いて収集したローデータ中の隣接するk(≧2)列の検出器のローデータから第iの再構成領域上の画素に対応する第iの投影データを求めることをi=1〜n,n≧2について繰り返し、第1〜第nの投影データにZフィルタ荷重を乗算し加算して、1つの投影データを得ることを特徴とする投影データ作成方法を提供する。
上記第9の観点による投影データ作成方法では、隣接するk列の検出器列のローデータから投影データを求めることを、第1〜第nの再構成領域ごとに行い、各再構成領域ごとの投影データにZフィルタ荷重を乗算し加算して1つの投影データを得る。そこで、この投影データに逆投影処理を施せば、検出器のZ軸方向サイズの2倍,3倍といった厚いスライス厚の画像を得ることが出来る。また、検出器のZ軸方向サイズの1.2倍,2.5倍といった任意のスライス厚の画像を得ることも出来る。
【0017】
第10の観点では、本発明は、上記構成の画素データ作成方法において、k=2であり、隣接する2列の検出器のローデータにコーンビーム再構成荷重およびZフィルタ荷重を乗算し加算して第iの投影データを求めることを特徴とする投影データ作成方法を提供する。
上記第10の観点による投影データ作成方法では、各再構成領域ごとの投影データは、従来と全く同じ処理を用いて求めることが出来る。
【0018】
第11の観点では、本発明は、上記構成の投影データ作成方法により作成した投影データに逆投影処理を施して画素データを得ることを特徴とする画素データ作成方法を提供する。
上記第11の観点による画素データ作成方法では、隣接するk列の検出器列のローデータから投影データを求めることを、第1〜第nの再構成領域ごとに行い、各再構成領域ごとの投影データにZフィルタ荷重を乗算し加算して1つの投影データを作成し、この投影データに逆投影処理を施して画素データを得るため、検出器のZ軸方向サイズの2倍,3倍といった厚いスライス厚の画像を得ることが出来る。また、検出器のZ軸方向サイズの1.2倍,2.5倍といった任意のスライス厚の画像を得ることも出来る。
【0019】
第12の観点では、本発明は、X線管と、3列以上の検出器列を持つマルチ検出器と、前記X線管または前記マルチ検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに回転しながら又は回転させると共に両方を撮影対象に対して直線状に相対移動しながらローデータを収集するスキャン手段と、隣接する3列以上の検出器列のローデータにコーンビーム再構成荷重およびZフィルタ荷重を乗算し加算して1つの投影データを得る投影データ作成手段と、投影データに逆投影処理を施して画素データを得る逆投影処理手段とを具備したことを特徴とするマルチ検出器X線CT装置を提供する。
上記第12の観点によるマルチ検出器X線CT装置では、上記第1の観点による投影データ作成方法および上記第2の観点による画素データ作成方法を好適に実施できる。
【0020】
第13の観点では、本発明は、X線管と、2列以上の検出器列を持つマルチ検出器と、前記X線管または前記マルチ検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに回転しながら又は回転させると共に両方を撮影対象に対して直線状に相対移動しながらローデータを収集するスキャン手段と、1回転でk(≧2)列分以上進むヘリカルスキャンにより収集したローデータ中のi回転目の隣接するk列の検出器のローデータから再構成領域上の画素に対応する第iの投影データを求めることをi=1〜n,n≧2について繰り返し次に第1〜第nの投影データにZフィルタ荷重を乗算し加算して1つの投影データを得る投影データ作成手段と、投影データに逆投影処理を施して画素データを得る逆投影処理手段とを具備したことを特徴とするマルチ検出器X線CT装置を提供する。
上記第13の観点によるマルチ検出器X線CT装置では、上記第3〜第5の観点による投影データ作成方法および上記第6の観点による画素データ作成方法を好適に実施できる。
【0021】
第14の観点では、本発明は、上記構成のマルチ検出器X線CT装置において、k=2であり、前記投影データ作成手段は、隣接する2列の検出器のローデータにコーンビーム再構成荷重およびZフィルタ荷重を乗算し、加算して、第iの投影データを求めることを特徴とするマルチ検出器X線CT装置を提供する。
上記第14の観点によるマルチ検出器X線CT装置では、上記第4の観点による投影データ作成方法を好適に実施できる。
【0022】
第15の観点では、本発明は、X線管と、2列以上の検出器列を持つマルチ検出器と、前記X線管または前記マルチ検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに回転しながら又は回転させると共に両方を撮影対象に対して直線状に相対移動しながらローデータを収集するスキャン手段と、ローデータ中の隣接するk(≧2)列の検出器のローデータから第iの再構成領域上の画素に対応する第iの画素データを求めることをi=1〜n,n≧2について繰り返し次に第1〜第nの画素データにZフィルタ荷重を乗算し加算して1つの画素データを得る画素データ作成手段とを具備したことを特徴とするマルチ検出器X線CT装置を提供する。
上記第15の観点によるマルチ検出器X線CT装置では、上記第7〜第8の観点による画素データ作成方法を好適に実施できる。
【0023】
第16の観点では、本発明は、X線管と、2列以上の検出器列を持つマルチ検出器と、前記X線管または前記マルチ検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに回転しながら又は回転させると共に両方を撮影対象に対して直線状に相対移動しながらローデータを収集するスキャン手段と、ローデータ中の隣接するk(≧2)列の検出器のローデータから第iの再構成領域上の画素に対応する第iの投影データを求めることをi=1〜n,n≧2について繰り返し次いで第1〜第nの投影データにZフィルタ荷重を乗算し加算して1つの投影データを得る投影データ作成手段と、投影データに逆投影処理を施して画素データを得る逆投影処理手段とを具備したことを特徴とするマルチ検出器X線CT装置を提供する。
上記第16の観点によるマルチ検出器X線CT装置では、上記第9〜第10の観点による投影データ作成方法および上記第11の観点による画素データ作成方法を好適に実施できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0025】
−第1の実施形態−
図1は、本発明の第1の実施形態にかかるマルチ検出器X線CT装置の構成ブロック図である。
このマルチ検出器X線CT装置100は、操作コンソール1と、撮影テーブル10と、走査ガントリ20とを具備している。
【0026】
前記操作コンソール1は、操作者の入力を受け付ける入力装置2と、本発明に係る投影データ作成処理や画素データ作成処理などを実行する中央処理装置3と、走査ガントリ20で取得した投影データを収集するデータ収集バッファ5と、前記投影データから再構成したCT画像を表示するCRT6と、プログラムやデータやX線CT画像を記憶する記憶装置7とを具備している。
【0027】
前記テーブル装置10は、被検体を乗せて前記走査ガントリ20のボア(空洞部)に入れ出しするクレードル12を具備している。クレードル12は、テーブル装置10に内蔵するモータで駆動される。
【0028】
前記走査ガントリ20は、X線管21と、X線コントローラ22と、コリメータ23と、マルチ検出器24と、DAS(Data Acquisition System)25と、被検体の体軸の回りにX線管21などを回転させる回転コントローラ26と、制御信号などを前記操作コンソール1や撮影テーブル10とやり取りする制御インタフェース29とを具備している。
【0029】
図2および図3は、X線管21とマルチ検出器24の説明図である。
X線管21とマルチ検出器24は、回転中心ICの回りを回転する。鉛直方向をy方向とし、水平方向をx方向とし、これらに垂直な方向をz方向とするとき、X線管21およびマルチ検出器24の回転平面は、xy面である。また、クレードル12の移動方向は、z方向である。
X線管21は、コーンビームCBと呼ばれるX線ビームを発生する。
マルチ検出器24は、例えば256列(J=256)の検出器列を有する。また、各検出器列は、例えば1024チャネル(I=1024)のチャネルを有する。
【0030】
図4は、第1の実施形態にかかる画像データ作成処理を示すフロー図である。
ステップA1では、X線管21とマルチ検出器24とを撮影対象の周りに回転させながらビュー角度viewと検出器列番号jとチャネル番号iとで表わされるローデータdj(view,i)を収集する。
【0031】
ステップA2では、図5に示すように、再構成領域P上の画素gに対応するローデータd1〜d6を求める。すなわち、X線管21の焦点と再構成領域P上の画素gとを通る直線Lgがマルチ検出器24と交差する点に最も近接する6つの検出器列のローデータd1〜d6を求める。そして、ローデータd1〜d6に、コーンビーム再構成荷重W1〜W6およびZフィルタ荷重w1〜w6を乗算し、加算して、再構成領域P上の画素gに対応する投影データDgを算出する。
【0032】
なお、コーンビーム再構成荷重W1は、X線管21の焦点からローデータd1に対応するマルチ検出器24の検出器列j,チャネルiまでの距離をr0とし、X線管21の焦点からローデータd1に対応する再構成領域上の画素gまでの距離をr1とするとき、(r1/r0)2である。
コーンビーム再構成荷重W2〜W6も同様である。
【0033】
また、Zフィルタ荷重w1〜w6は、公知の6点補間のZフィルタで規定される荷重であり、例えば図6に示すようなZフィルタFzで規定される荷重である。
【0034】
図4に戻り、ステップA3では、投影データDgに逆投影処理を施して画素データGgを算出する。
【0035】
第1の実施形態のマルチ検出器X線CT装置100によれば、隣接する6列の検出器列のローデータd1〜d6にZフィルタ荷重w1〜w6を乗算し加算して1つの投影データDgを求め、この投影データDgに逆投影処理を施して画素データGgを得るため、検出器のZ軸方向サイズの2倍,3倍といった厚いスライス厚の画像を得ることが出来る。また、検出器のZ軸方向サイズの1.2倍,2.5倍といった任意のスライス厚の画像を得ることも出来る。
【0036】
なお、上記では、隣接する6列の検出器列のローデータd1〜d6を用いたが、隣接する3列以上の検出器列のローデータを用いても同様である。
【0037】
−第2の実施形態−
図7は、第2の実施形態にかかる画像データ作成処理を示すフロー図である。
ステップB1では、X線管21とマルチ検出器24とを撮影対象の周りに回転させ且つクレードル12を直線移動させながらビュー角度viewと相対角度差δと検出器列番号jとチャネル番号iとで表わされるローデータdj(view,δ,i)を収集する。
なお、相対角度差δとは同一ビュー角度で何回転目かを表すパラメータであり、例えば1回転目はδ=0゜、2回転目はδ=360゜、3回転目はδ=720゜というように表す。
また、クレードル12は、1回転で2検出器列分だけ直線移動するものとする。
【0038】
ステップB2では、図8に示すように、再構成領域P上の画素gに対応する1回転目のローデータd11,d12を求める。すなわち、X線管21の焦点と再構成領域P上の画素gとを通る直線Lgがマルチ検出器24と交差する点に最も近接する2つの検出器列のローデータd11,d12を求める。そして、ローデータd11,d12に、コーンビーム再構成荷重Wa,WbおよびZフィルタ荷重wa,wbを乗算し、加算して、再構成領域P上の画素gに対応する投影データDg1を算出する。
【0039】
なお、コーンビーム再構成荷重Waは、X線管21の焦点からローデータd11に対応するマルチ検出器24の検出器列j,チャネルiまでの距離をr0とし、X線管21の焦点からローデータd11に対応する再構成領域上の画素gまでの距離をr1とするとき、(r1/r0)2である。
コーンビーム再構成荷重Wbも同様である。
【0040】
また、Zフィルタ荷重wa,wbは、直線Lgがマルチ検出器24と交差する点とローデータd11に対応する検出器のZ方向の距離をaとし、直線Lgがマルチ検出器24と交差する点とローデータd12に対応する検出器のZ方向の距離をbとするとき、wa=b/(a+b),wb=a/(a+b)である。これは、図16に示すようなZフィルタFzで規定される荷重である。
【0041】
図7に戻り、ステップB3では、図8に示すように、再構成領域P上の画素gに対応する2回転目のローデータd21,d22を求める。すなわち、X線管21の焦点と再構成領域P上の画素gとを通る直線Lgがマルチ検出器24と交差する点に最も近接する2つの検出器列のローデータd21,d22を求める。そして、ローデータd21,d22に、コーンビーム再構成荷重Wa,WbおよびZフィルタ荷重wa,wbを乗算し、加算して、再構成領域P上の画素gに対応する投影データDg2を算出する。
【0042】
なお、コーンビーム再構成荷重Waは、X線管21の焦点からローデータd21に対応するマルチ検出器24の検出器列j,チャネルiまでの距離をr0とし、X線管21の焦点からローデータd21に対応する再構成領域上の画素gまでの距離をr1とするとき、(r1/r0)2である。
コーンビーム再構成荷重Wbも同様である。
【0043】
また、Zフィルタ荷重wa,wbは、直線Lgがマルチ検出器24と交差する点とローデータd21に対応する検出器のZ方向の距離をaとし、直線Lgがマルチ検出器24と交差する点とローデータd22に対応する検出器のZ方向の距離をbとするとき、wa=b/(a+b),wb=a/(a+b)である。これは、図16に示すようなZフィルタFzで規定される荷重である。
【0044】
図7に戻り、ステップB4では、図8に示すように、再構成領域P上の画素gに対応する3回転目のローデータd31,d32を求める。すなわち、X線管21の焦点と再構成領域P上の画素gとを通る直線Lgがマルチ検出器24と交差する点に最も近接する2つの検出器列のローデータd31,d32を求める。そして、ローデータd31,d32に、コーンビーム再構成荷重Wa,WbおよびZフィルタ荷重wa,wbを乗算し、加算して、再構成領域P上の画素gに対応する投影データDg3を算出する。
【0045】
なお、コーンビーム再構成荷重Waは、X線管21の焦点からローデータd31に対応するマルチ検出器24の検出器列j,チャネルiまでの距離をr0とし、X線管21の焦点からローデータd31に対応する再構成領域上の画素gまでの距離をr1とするとき、(r1/r0)2である。
コーンビーム再構成荷重Wbも同様である。
【0046】
また、Zフィルタ荷重wa,wbは、直線Lgがマルチ検出器24と交差する点とローデータd31に対応する検出器のZ方向の距離をaとし、直線Lgがマルチ検出器24と交差する点とローデータd32に対応する検出器のZ方向の距離をbとするとき、wa=b/(a+b),wb=a/(a+b)である。これは、図16に示すようなZフィルタFzで規定される荷重である。
【0047】
図7に戻り、ステップB5では、投影データDg1〜Dg3に、Zフィルタ荷重w1〜w3を乗算し、加算して、再構成領域P上の画素gに対応する投影データDgを算出する。
【0048】
Zフィルタ荷重w1〜w3は、公知の3点補間のZフィルタで規定される荷重である。単純加算のZフィルタとした場合、w1=w2=w3である。
【0049】
ステップB6では、投影データDgに逆投影処理を施して画素データGgを算出する。
【0050】
第2の実施形態のマルチ検出器X線CT装置によれば、検出器のZ軸方向サイズの2倍,3倍といった厚いスライス厚の画像を得ることが出来る。また、検出器のZ軸方向サイズの1.2倍,2.5倍といった任意のスライス厚の画像を得ることも出来る。また、2点補間のZフィルタを用いて各回転ごとの投影データを求めるため、演算が簡単になる。
【0051】
なお、上記では、3回転分のローデータを用いたが、連続する2回転分または4回転分以上のローデータを用いても同様である。
【0052】
−第3の実施形態−
図9は、第3の実施形態にかかる画像データ作成処理を示すフロー図である。
ステップC1では、X線管21とマルチ検出器24とを撮影対象の周りに回転させ且つクレードル12を直線移動させながらビュー角度viewと相対角度差δと検出器列番号jとチャネル番号iとで表わされるローデータdj(view,δ,i)を収集する。
なお、相対角度差δとは同一ビュー角度で何回転目かを表すパラメータであり、例えば1回転目はδ=0゜、2回転目はδ=360゜、3回転目はδ=720゜というように表す。
また、クレードル12は、1回転で3検出器列分だけ直線移動するものとする。
【0053】
ステップC2では、図10に示すように、再構成領域P上の画素gに対応する1回転目のローデータd11〜d13を求める。すなわち、X線管21の焦点と再構成領域P上の画素gとを通る直線Lgがマルチ検出器24と交差する点に最も近接する3つの検出器列のローデータd11〜d13を求める。そして、ローデータd11〜d13に、コーンビーム再構成荷重W1〜W3およびZフィルタ荷重w1〜w3を乗算し、加算して、再構成領域P上の画素gに対応する投影データDg1を算出する。
【0054】
なお、コーンビーム再構成荷重W1は、X線管21の焦点からローデータd11に対応するマルチ検出器24の検出器列j,チャネルiまでの距離をr0とし、X線管21の焦点からローデータd11に対応する再構成領域上の画素gまでの距離をr1とするとき、(r1/r0)2である。
コーンビーム再構成荷重W2,W3も同様である。
【0055】
また、Zフィルタ荷重w1〜w3は、公知の3点補間のZフィルタで規定される荷重である。
【0056】
図9に戻り、ステップC3では、図10に示すように、再構成領域P上の画素gに対応する2回転目のローデータd21〜d23を求める。すなわち、X線管21の焦点と再構成領域P上の画素gとを通る直線Lgがマルチ検出器24と交差する点に最も近接する3つの検出器列のローデータd21〜d23を求める。そして、ローデータd21〜d23に、コーンビーム再構成荷重W1〜W3およびZフィルタ荷重w1〜w3を乗算し、加算して、再構成領域P上の画素gに対応する投影データDg2を算出する。
【0057】
なお、コーンビーム再構成荷重W1は、X線管21の焦点からローデータd21に対応するマルチ検出器24の検出器列j,チャネルiまでの距離をr0とし、X線管21の焦点からローデータd21に対応する再構成領域上の画素gまでの距離をr1とするとき、(r1/r0)2である。
コーンビーム再構成荷重W2,W3も同様である。
【0058】
また、Zフィルタ荷重w1〜w3は、公知の3点補間のZフィルタで規定される荷重である。
【0059】
図9に戻り、ステップC4では、図10に示すように、再構成領域P上の画素gに対応する3回転目のローデータd31〜d33を求める。すなわち、X線管21の焦点と再構成領域P上の画素gとを通る直線Lgがマルチ検出器24と交差する点に最も近接する3つの検出器列のローデータd31〜d33を求める。そして、ローデータd31〜d33に、コーンビーム再構成荷重W1〜W3およびZフィルタ荷重w1〜w3を乗算し、加算して、再構成領域P上の画素gに対応する投影データDg3を算出する。
【0060】
なお、コーンビーム再構成荷重W1は、X線管21の焦点からローデータd31に対応するマルチ検出器24の検出器列j,チャネルiまでの距離をr0とし、X線管21の焦点からローデータd31に対応する再構成領域上の画素gまでの距離をr1とするとき、(r1/r0)2である。
コーンビーム再構成荷重W2,W3も同様である。
【0061】
また、Zフィルタ荷重w1〜w3は、公知の3点補間のZフィルタで規定される荷重である。
【0062】
図9に戻り、ステップC5では、投影データDg1〜Dg3に、Zフィルタ荷重w1’〜w3’を乗算し、加算して、再構成領域P上の画素gに対応する投影データDgを算出する。
【0063】
Zフィルタ荷重w1’〜w3’は、公知の3点補間のZフィルタで規定される荷重である。単純加算のZフィルタとした場合、w1’=w2’=w3’である。
【0064】
ステップC6では、投影データDgに逆投影処理を施して画素データGgを算出する。
【0065】
第3の実施形態のマルチ検出器X線CT装置によれば、検出器のZ軸方向サイズの2倍,3倍といった厚いスライス厚の画像を得ることが出来る。また、検出器のZ軸方向サイズの1.2倍,2.5倍といった任意のスライス厚の画像を得ることも出来る。また、各回転ごとの投影データに対応するスライスの厚さを検出器のZ軸方向サイズより厚くすることが出来る。
【0066】
なお、上記では、隣接する3列の検出器列のローデータを用いたが、隣接する4列以上の検出器列のローデータを用いても同様である。また、3回転分のローデータを用いたが、連続する2回転分または4回転分以上のローデータを用いても同様である。
【0067】
−第4の実施形態−
図11は、第4の実施形態にかかる画像データ作成処理を示すフロー図である。
ステップE1では、X線管21とマルチ検出器24とを撮影対象の周りに回転させながらビュー角度viewと検出器列番号jとチャネル番号iとで表わされるローデータdj(view,i)を収集する。
【0068】
ステップE2では、図12に示すように、第1の再構成領域P1上の画素gに対応するローデータd1,d2を求める。すなわち、X線管21の焦点と第1の再構成領域P1上の画素gとを通る直線Lg1がマルチ検出器24と交差する点に最も近接する2つの検出器列のローデータd1,d2を求める。そして、ローデータd1,d2に、コーンビーム再構成荷重Wa,WbおよびZフィルタ荷重wa,wbを乗算し、加算して、第1の再構成領域P1上の画素gに対応する投影データDg1を算出する。
【0069】
なお、コーンビーム再構成荷重Waは、X線管21の焦点からローデータd1に対応するマルチ検出器24の検出器列j,チャネルiまでの距離をr0とし、X線管21の焦点からローデータd1に対応する再構成領域上の画素gまでの距離をr1とするとき、(r1/r0)2である。
コーンビーム再構成荷重Wbも同様である。
【0070】
また、Zフィルタ荷重wa,wbは、直線Lg1がマルチ検出器24と交差する点とローデータd1に対応する検出器のZ方向の距離をaとし、直線Lg1がマルチ検出器24と交差する点とローデータd2に対応する検出器のZ方向の距離をbとするとき、wa=b/(a+b),wb=a/(a+b)である。これは、図16に示すようなZフィルタFzで規定される荷重である。
【0071】
図11に戻り、ステップE3では、投影データDg1に逆投影処理を施して画素データGg1を算出する。
【0072】
ステップE4では、図12に示すように、第2の再構成領域P2上の画素gに対応するローデータd3,d4を求める。すなわち、X線管21の焦点と第2の再構成領域P2上の画素gとを通る直線Lg2がマルチ検出器24と交差する点に最も近接する2つの検出器列のローデータd3,d4を求める。そして、ローデータd3,d4に、コーンビーム再構成荷重Wa,WbおよびZフィルタ荷重wa,wbを乗算し、加算して、第2の再構成領域P2上の画素gに対応する投影データDg2を算出する。
【0073】
なお、コーンビーム再構成荷重Waは、X線管21の焦点からローデータd3に対応するマルチ検出器24の検出器列j,チャネルiまでの距離をr0とし、X線管21の焦点からローデータd3に対応する再構成領域上の画素gまでの距離をr1とするとき、(r1/r0)2である。
コーンビーム再構成荷重Wbも同様である。
【0074】
また、Zフィルタ荷重wa,wbは、直線Lg2がマルチ検出器24と交差する点とローデータd3に対応する検出器のZ方向の距離をaとし、直線Lg2がマルチ検出器24と交差する点とローデータd4に対応する検出器のZ方向の距離をbとするとき、wa=b/(a+b),wb=a/(a+b)である。これは、図16に示すようなZフィルタFzで規定される荷重である。
【0075】
図11に戻り、ステップE5では、投影データDg2に逆投影処理を施して画素データGg2を算出する。
【0076】
ステップE6では、図12に示すように、第3の再構成領域P3上の画素gに対応するローデータd5,d6を求める。すなわち、X線管21の焦点と第3の再構成領域P3上の画素gとを通る直線Lg3がマルチ検出器24と交差する点に最も近接する2つの検出器列のローデータd5,d6を求める。そして、ローデータd5,d6に、コーンビーム再構成荷重Wa,WbおよびZフィルタ荷重wa,wbを乗算し、加算して、第3の再構成領域P3上の画素gに対応する投影データDg3を算出する。
【0077】
なお、コーンビーム再構成荷重Waは、X線管21の焦点からローデータd5に対応するマルチ検出器24の検出器列j,チャネルiまでの距離をr0とし、X線管21の焦点からローデータd5に対応する再構成領域上の画素gまでの距離をr1とするとき、(r1/r0)2である。
コーンビーム再構成荷重Wbも同様である。
【0078】
また、Zフィルタ荷重wa,wbは、直線Lg3がマルチ検出器24と交差する点とローデータd5に対応する検出器のZ方向の距離をaとし、直線Lg3がマルチ検出器24と交差する点とローデータd6に対応する検出器のZ方向の距離をbとするとき、wa=b/(a+b),wb=a/(a+b)である。これは、図16に示すようなZフィルタFzで規定される荷重である。
【0079】
図11に戻り、ステップE7では、投影データDg3に逆投影処理を施して画素データGg3を算出する。
【0080】
ステップE8では、画素データGg1〜Gg3に、Zフィルタ荷重w1〜w3を乗算し、加算して、画素データGgを算出する。
【0081】
Zフィルタ荷重w1〜w3は、公知の3点補間のZフィルタで規定される荷重である。単純加算のZフィルタとした場合、w1=w2=w3である。
【0082】
第4の実施形態のマルチ検出器X線CT装置によれば、検出器のZ軸方向サイズの2倍,3倍といった厚いスライス厚の画像を得ることが出来る。また、検出器のZ軸方向サイズの1.2倍,2.5倍といった任意のスライス厚の画像を得ることも出来る。また、薄いスライス厚の画像を同時に得ることが出来る。
【0083】
なお、上記では、3つの再構成領域P1〜P3を用いたが、近接する2つ又は4つ以上の再構成領域を用いても同様である。
また、各再構成領域の投影データを隣接する2列の検出器列のローデータから求めたが、隣接する3列以上の検出器列のローデータを用いてもよい。
さらに、アキシャルスキャンを行ったが、ヘリカルスキャンを行ってもよい。
【0084】
−第5の実施形態−
図13は、第5の実施形態にかかる画像データ作成処理を示すフロー図である。
ステップE1では、X線管21とマルチ検出器24とを撮影対象の周りに回転させながらビュー角度viewと検出器列番号jとチャネル番号iとで表わされるローデータdj(view,i)を収集する。
【0085】
ステップE2では、図12に示すように、第1の再構成領域P1上の画素gに対応するローデータd1,d2を求める。すなわち、X線管21の焦点と第1の再構成領域P1上の画素gとを通る直線Lg1がマルチ検出器24と交差する点に最も近接する2つの検出器列のローデータd1,d2を求める。そして、ローデータd1,d2に、コーンビーム再構成荷重Wa,WbおよびZフィルタ荷重wa,wbを乗算し、加算して、第1の再構成領域P1上の画素gに対応する投影データDg1を算出する。
【0086】
なお、コーンビーム再構成荷重Waは、X線管21の焦点からローデータd1に対応するマルチ検出器24の検出器列j,チャネルiまでの距離をr0とし、X線管21の焦点からローデータd1に対応する再構成領域上の画素gまでの距離をr1とするとき、(r1/r0)2である。
コーンビーム再構成荷重Wbも同様である。
【0087】
また、Zフィルタ荷重wa,wbは、直線Lg1がマルチ検出器24と交差する点とローデータd1に対応する検出器のZ方向の距離をaとし、直線Lg1がマルチ検出器24と交差する点とローデータd2に対応する検出器のZ方向の距離をbとするとき、wa=b/(a+b),wb=a/(a+b)である。これは、図16に示すようなZフィルタFzで規定される荷重である。
【0088】
図13に戻り、ステップE4では、図12に示すように、第2の再構成領域P2上の画素gに対応するローデータd3,d4を求める。すなわち、X線管21の焦点と第2の再構成領域P2上の画素gとを通る直線Lg2がマルチ検出器24と交差する点に最も近接する2つの検出器列のローデータd3,d4を求める。
そして、ローデータd3,d4に、コーンビーム再構成荷重Wa,WbおよびZフィルタ荷重wa,wbを乗算し、加算して、第2の再構成領域P2上の画素gに対応する投影データDg2を算出する。
【0089】
なお、コーンビーム再構成荷重Waは、X線管21の焦点からローデータd3に対応するマルチ検出器24の検出器列j,チャネルiまでの距離をr0とし、X線管21の焦点からローデータd3に対応する再構成領域上の画素gまでの距離をr1とするとき、(r1/r0)2である。
コーンビーム再構成荷重Wbも同様である。
【0090】
また、Zフィルタ荷重wa,wbは、直線Lg2がマルチ検出器24と交差する点とローデータd3に対応する検出器のZ方向の距離をaとし、直線Lg2がマルチ検出器24と交差する点とローデータd4に対応する検出器のZ方向の距離をbとするとき、wa=b/(a+b),wb=a/(a+b)である。これは、図16に示すようなZフィルタFzで規定される荷重である。
【0091】
図11に戻り、ステップE6では、図12に示すように、第3の再構成領域P3上の画素gに対応するローデータd5,d6を求める。すなわち、X線管21の焦点と第3の再構成領域P3上の画素gとを通る直線Lg3がマルチ検出器24と交差する点に最も近接する2つの検出器列のローデータd5,d6を求める。
そして、ローデータd5,d6に、コーンビーム再構成荷重Wa,WbおよびZフィルタ荷重wa,wbを乗算し、加算して、第3の再構成領域P3上の画素gに対応する投影データDg3を算出する。
【0092】
なお、コーンビーム再構成荷重Waは、X線管21の焦点からローデータd5に対応するマルチ検出器24の検出器列j,チャネルiまでの距離をr0とし、X線管21の焦点からローデータd5に対応する再構成領域上の画素gまでの距離をr1とするとき、(r1/r0)2である。
コーンビーム再構成荷重Wbも同様である。
【0093】
また、Zフィルタ荷重wa,wbは、直線Lg3がマルチ検出器24と交差する点とローデータd5に対応する検出器のZ方向の距離をaとし、直線Lg3がマルチ検出器24と交差する点とローデータd6に対応する検出器のZ方向の距離をbとするとき、wa=b/(a+b),wb=a/(a+b)である。これは、図16に示すようなZフィルタFzで規定される荷重である。
【0094】
図11に戻り、ステップE9では、投影データDg1〜Dg3に、Zフィルタ荷重w1〜w3を乗算し、加算して、投影データDgを算出する。
【0095】
Zフィルタ荷重w1〜w3は、公知の3点補間のZフィルタで規定される荷重である。単純加算のZフィルタとした場合、w1=w2=w3である。
【0096】
ステップE10では、投影データDgに逆投影処理を施して画素データDgを算出する。
【0097】
第5の実施形態のマルチ検出器X線CT装置によれば、検出器のZ軸方向サイズの2倍,3倍といった厚いスライス厚の画像を得ることが出来る。また、検出器のZ軸方向サイズの1.2倍,2.5倍といった任意のスライス厚の画像を得ることも出来る。また、第4の実施形態に比べて、薄いスライス厚の画像を同時に得ることは出来ないが、処理が簡単になる。
【0098】
なお、上記では、3つの再構成領域P1〜P3を用いたが、近接する2つ又は4つ以上の再構成領域を用いても同様である。
また、各再構成領域の投影データを隣接する2列の検出器列のローデータから求めたが、隣接する3列以上の検出器列のローデータを用いてもよい。
さらに、アキシャルスキャンを行ったが、ヘリカルスキャンを行ってもよい。
【0099】
−他の実施形態−
前記の各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0100】
【発明の効果】
本発明の投影データ作成方法、画素データ作成方法およびマルチ検出器X線CT装置によれば、マルチ検出器を用いたアキシャルスキャンまたはヘリカルスキャンによって収集したローデータを基にして、検出器のZ軸方向サイズの2倍,3倍といった厚いスライス厚の画像を得ることが出来る。また、検出器のZ軸方向サイズの1.2倍,2.5倍といった任意のスライス厚の画像を得ることも出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるマルチ検出器X線CT装置を示すブロック図である。
【図2】X線管およびマルチ検出器の回転を示す説明図である。
【図3】コーンビームを示す説明図である。
【図4】第1の実施形態にかかる画素データ作成処理を示すフロー図である。
【図5】第1の実施形態における再構成領域に対応するローデータを示す概念図である。
【図6】第1の実施形態におけるZフィルタを示す概念図である。
【図7】第2の実施形態にかかる画素データ作成処理を示すフロー図である。
【図8】第2の実施形態における再構成領域に対応するローデータを示す概念図である。
【図9】第3の実施形態にかかる画素データ作成処理を示すフロー図である。
【図10】第3の実施形態における再構成領域に対応するローデータを示す概念図である。
【図11】第4の実施形態にかかる画素データ作成処理を示すフロー図である。
【図12】第4の実施形態における再構成領域に対応するローデータを示す概念図である。
【図13】第5の実施形態にかかる画素データ作成処理を示すフロー図である。
【図14】従来の画素データ作成処理を示すフロー図である。
【図15】従来の再構成領域に対応するローデータを示す概念図である。
【図16】従来のZフィルタを示す概念図である。
【符号の説明】
1 操作コンソール
3 中央処理装置
20 走査ガントリ
21 X線管
24 マルチ検出器
100 マルチ検出器X線CT装置
P,P1〜P3 再構成領域
Claims (16)
- 3列以上の検出器列を持つマルチ検出器を用いて収集した隣接する3列以上の検出器列のローデータにコーンビーム再構成荷重およびZフィルタ荷重を乗算し、加算して、1つの投影データを得ることを特徴とする投影データ作成方法。
- 請求項1に記載の投影データ作成方法により作成した投影データに逆投影処理を施して画素データを得ることを特徴とする画素データ作成方法。
- 2列以上の検出器列を持つマルチ検出器を用い1回転でk(≧2)列分以上進むヘリカルスキャンにより収集したローデータ中のi回転目の隣接するk列の検出器のローデータから再構成領域上の画素に対応する第iの投影データを求めることをi=1〜n,n≧2について繰り返し、第1〜第nの投影データにZフィルタ荷重を乗算し、加算して、1つの投影データを得ることを特徴とする投影データ作成方法。
- 請求項3に記載の投影データ作成方法において、k=2であり、隣接する2列の検出器のローデータにコーンビーム再構成荷重およびZフィルタ荷重を乗算し、加算して、第iの投影データを求めることを特徴とする投影データ作成方法。
- 請求項3に記載の投影データ作成方法において、k≧3であり、隣接するk列の検出器のローデータにコーンビーム再構成荷重およびZフィルタ荷重を乗算し、加算して、第iの投影データを求めることを特徴とする投影データ作成方法。
- 請求項3から請求項5のいずれかに記載の投影データ作成方法により作成した投影データに逆投影処理を施して画素データを得ることを特徴とする画素データ作成方法。
- 2列以上の検出器列を持つマルチ検出器を用いて収集したローデータ中の隣接するk列の検出器のローデータから第iの再構成領域上の画素に対応する第iの画素データを求めることをi=1〜n,n≧2について繰り返し、第1〜第nの画素データにZフィルタ荷重を乗算し加算して、1つの画素データを得ることを特徴とする画素データ作成方法。
- 請求項7に記載の画素データ作成方法において、k=2であり、隣接する2列の検出器のローデータにコーンビーム再構成荷重およびZフィルタ荷重を乗算し加算して第iの投影データを求め、第iの投影データに逆投影処理を施して第iの画素データを得ることを特徴とする画素データ作成方法。
- 2列以上の検出器列を持つマルチ検出器を用いて収集したローデータ中の隣接するk(≧2)列の検出器のローデータから第iの再構成領域上の画素に対応する第iの投影データを求めることをi=1〜n,n≧2について繰り返し、第1〜第nの投影データにZフィルタ荷重を乗算し加算して、1つの投影データを得ることを特徴とする投影データ作成方法。
- 請求項9に記載の画素データ作成方法において、k=2であり、隣接する2列の検出器のローデータにコーンビーム再構成荷重およびZフィルタ荷重を乗算し加算して第iの投影データを求めることを特徴とする投影データ作成方法。
- 請求項9または請求項10に記載の投影データ作成方法により作成した投影データに逆投影処理を施して画素データを得ることを特徴とする画素データ作成方法。
- X線管と、3列以上の検出器列を持つマルチ検出器と、前記X線管または前記マルチ検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに回転しながら又は回転させると共に両方を撮影対象に対して直線状に相対移動しながらローデータを収集するスキャン手段と、隣接する3列以上の検出器列のローデータにコーンビーム再構成荷重およびZフィルタ荷重を乗算し加算して1つの投影データを得る投影データ作成手段と、投影データに逆投影処理を施して画素データを得る逆投影処理手段とを具備したことを特徴とするマルチ検出器X線CT装置。
- X線管と、2列以上の検出器列を持つマルチ検出器と、前記X線管または前記マルチ検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに回転しながら又は回転させると共に両方を撮影対象に対して直線状に相対移動しながらローデータを収集するスキャン手段と、1回転でk(≧2)列分以上進むヘリカルスキャンにより収集したローデータ中のi回転目の隣接するk列の検出器のローデータから再構成領域上の画素に対応する第iの投影データを求めることをi=1〜n,n≧2について繰り返し次に第1〜第nの投影データにZフィルタ荷重を乗算し加算して1つの投影データを得る投影データ作成手段と、投影データに逆投影処理を施して画素データを得る逆投影処理手段とを具備したことを特徴とするマルチ検出器X線CT装置。
- 請求項13に記載のマルチ検出器X線CT装置において、k=2であり、前記投影データ作成手段は、隣接する2列の検出器のローデータにコーンビーム再構成荷重およびZフィルタ荷重を乗算し、加算して、第iの投影データを求めることを特徴とするマルチ検出器X線CT装置。
- X線管と、2列以上の検出器列を持つマルチ検出器と、前記X線管または前記マルチ検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに回転しながら又は回転させると共に両方を撮影対象に対して直線状に相対移動しながらローデータを収集するスキャン手段と、ローデータ中の隣接するk(≧2)列の検出器のローデータから第iの再構成領域上の画素に対応する第iの画素データを求めることをi=1〜n,n≧2について繰り返し次に第1〜第nの画素データにZフィルタ荷重を乗算し加算して1つの画素データを得る画素データ作成手段とを具備したことを特徴とするマルチ検出器X線CT装置。
- X線管と、2列以上の検出器列を持つマルチ検出器と、前記X線管または前記マルチ検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに回転しながら又は回転させると共に両方を撮影対象に対して直線状に相対移動しながらローデータを収集するスキャン手段と、ローデータ中の隣接するk(≧2)列の検出器のローデータから第iの再構成領域上の画素に対応する第iの投影データを求めることをi=1〜n,n≧2について繰り返し次いで第1〜第nの投影データにZフィルタ荷重を乗算し加算して1つの投影データを得る投影データ作成手段と、投影データに逆投影処理を施して画素データを得る逆投影処理手段とを具備したことを特徴とするマルチ検出器X線CT装置。
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