JP2004071757A - 高誘電率膜の製造方法及び製造装置 - Google Patents

高誘電率膜の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Tasuku Yano
矢野 資
Sadayoshi Horii
堀井 貞義
Masayuki Asai
浅井 優幸
Tomoji Watanabe
渡辺 智司
Masakazu Hoshino
星野 正和
Akiko Kagatsume
加賀爪 明子
Shingo Yokoyama
横山 真吾
Takayuki Fujimoto
藤本 貴行
Hidehiro Nouchi
野内 英博
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Abstract

【課題】不純物が少なく、表面が平坦な高誘電率薄膜を高効率で製造することのできる高誘電率膜の製造方法を提供する。
【解決手段】真空チャンバ101内に処理ガス106を導入し、前記真空チャンバ101内に収容した半導体ウエハ104表面に高誘電率の誘電体薄膜を形成する高誘電率薄膜の製造方法において、前記真空チャンバ101内に前記処理ガス106として、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、バリウム、ストロンチウム、タンタル、ランタン、及びプラセオジムのいずれか1つ以上の金属を含む有機金属化合物の気化物と水蒸気113を同時に供給する。
【選択図】    図11

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高誘電率薄膜の製造方法及び製造装置等に係り、特に真空チャンバ内に処理ガスを導入し、前記真空チャンバ内に収容した半導体ウエハ表面に高誘電率の誘電体薄膜を形成する高誘電率薄膜の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造工程には、トランジスタ部分とキャパシター部分の2種類の絶縁体薄膜を生成する工程がある。ここでは、トランジスタ部分を例として説明する。半導体装置のトランジスタ部分は、図14に示すようにシリコン基板1の上の活性領域2とゲート絶縁膜3とゲート電極4とソース領域5とドレイン領域6から構成される。ここで、ゲート絶縁膜3の材料はシリコン酸化膜である。なお、コンタクト7とコンタクト8は、それぞれ、ソース領域5とドレイン領域6への配線であり、窒化膜9がゲート電極4の周囲にある。
【0003】
ここで、ゲート電極4と活性化領域2に電位差が生じると、活性領域2へ周囲から電子が流れ込んだり、逆に、活性領域2から周囲へ電子が流れ出したりする。そして、活性領域2を経て、ソース領域5とドレイン領域6の間に電流が流れるようになる。このように、ゲート電極4と活性化領域2の電位差によって、ソース領域5とドレイン領域6の間を電流が流れたり流れなかったりすることを利用して、半導体装置のトランジスタ部分は動作する。
【0004】
上記の半導体装置は、年々、微細化が進んでおり、それにともなって、ゲート絶縁膜3の面積も小さくなってきた。ここで、ゲート絶縁膜3の静電容量は、(静電容量)=(誘電率)×(面積)/(厚さ)であるので、ゲート絶縁膜3の面積が小さくなると、ゲート絶縁膜の静電容量も小さくなる。これを食い止めるため、ゲート絶縁膜3は、面積を小さくとるとともに薄くなってきた。そして、ゲート絶縁膜3が薄くなるにつれて、ゲート絶縁膜3を通り抜けてゲート電極4から活性流域2へ電流が流れること、つまり、リーク電流が問題となり始めた。
【0005】
上記のリーク電流を防止するためには、ゲート絶縁膜3は結晶粒のないアモルファス構造である方が良いと考えられている。以下、その理由を述べる。ゲート絶縁膜3が小さな粒状に結晶化すると、その結晶粒と結晶粒の間、いいかえると粒界を電流が流れることが指摘されてきた。また、粒界が生じると、ゲート絶縁膜3の表面が粗くなり(いいかえると、凹凸ができる)、ゲート絶縁膜3とゲート電極4が接触する部分と接触しない部分ができる。そして、このような状況において、ゲート電極4と活性領域2の間に電位差を生じさせると、ゲート電極4とゲート絶縁膜が接触する部分に電界が集中し、その部分からゲート絶縁膜が破壊され、ひいては、リーク電流の原因となることがある。このように、粒界を流れる電流とゲート絶縁膜の破壊を防止するという観点から、ゲート絶縁膜3は結晶粒のないアモルファス構造が良いと考えられている。
【0006】
上記のように、リーク電流を減らす工夫がされてきた。しかし、ゲート絶縁膜3を2nmより薄くしてしまうと、量子論的なトンネル電流によるリーク電流が無視できなくなる。そこで、ゲート絶縁膜3の材料として、これまで使用されてきたシリコン酸化膜よりも誘電率の高い材料が用いられ始めた。以下、この理由を説明する。ゲート絶縁膜3の静電容量は(静電容量)=(誘電率)×(面積)/(厚さ)である。そのため、ゲート絶縁膜3の面積を小さくした際に、ゲート絶縁膜3の静電容量を維持する方法としては、ゲート絶縁膜3の誘電率を大きくする方法と、ゲート絶縁膜3を薄くする方法が考えられる。そして、これまでは、ゲート絶縁膜3を薄くする方法がとられてきた。しかし、ゲート絶縁膜3を2nmより薄くしてしまうと、量子論的なトンネル電流によるリーク電流が無視できなくなる。そのため、ゲート絶縁膜3を薄くするのではなく、誘電率を上げることにより、ゲート絶縁膜3の静電容量を大きくしようとしているのである。
【0007】
半導体装置のキャパシタ部分やトランジスタ部分に用いられる高誘電率薄膜としては、酸化ハフニウムや酸化ジルコニウムの薄膜が用いられる。これらの高誘電率の薄膜を製造する方法としては、有機金属化学蒸着(MOCVD)と原子層デポジション(ALD)がある。さらに、特表1997−508890に示されているように、有機金属化合物を用いたALDもある。
【0008】
MOCVDは、金属原子と配位子からなる有機金属化合物を原料とする方法で、特開2001−230247に示されているような例がある。この方法では、真空チャンバ内にシリコンウエハを設置し、前記シリコンウエハを加熱し、真空チャンバに有機金属化合物を供給して、シリコンウエハ上に高誘電率の薄膜を生成する。
【0009】
また、ALDとしては、特表1997−508890に示されているような例がある。この方法では第1原料である金属ハロゲン化物と第2原料である水蒸気を交互に真空チャンバに供給する。
【0010】
さらに、信学技報2001年6月号7ページに示されているように、第1原料を有機金属化合物としたALDもある。この方法においても、第1原料である有機金属化合物と第2原料である水蒸気を交互に供給する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
有機金属化合物を用いるMOCVD法では、有機金属化合物に含まれていた炭素が膜中に混入してしまうことがある。膜中に混入した炭素は、薄膜表面を粗くしたり、リーク電流の原因となったりする。また、下地シリコンとの界面にシリコン酸化膜を作り、実質的に誘電率を下げてしまうことがある。さらに、膜中に混入した炭素は、ダングリングボンドを生成し、電荷のトラップの原因となり、ひいては膜中電荷の原因となる。なお、ここでは炭素の問題を挙げたが、水素を初めとする膜中不純物も同じ問題を引き起こす。
【0012】
ALD法では、第1原料と第2原料を1回ずつ供給して、高々、原子層1層分の膜がつくだけなので、成膜レートが低く、スループットが低い。さらに、特表1997−508890のように、第1原料と第2原料を交換する際に、直前に用いた原料の大部分を排気してしまうので、時間がかかる。これはスループットをさらに低くする原因となる。特に、第2原料として水蒸気を用いる場合、水蒸気を排気してしまうのには長い時間がかかる。また、有機金属化合物を用いてALDを行う方法もあるが同様にスループットが低い。
【0013】
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたもので、不純物が少なく、表面が平坦な高誘電率薄膜を高効率で製造することのできる高誘電率膜の製造方法を提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために次のような手段を採用した。
【0015】
真空チャンバ内に処理ガスを導入し、前記真空チャンバ内に収容した半導体ウエハ表面に高誘電率の誘電体薄膜を形成する高誘電率薄膜の製造方法において、前記真空チャンバ内に前記処理ガスとして、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、バリウム、ストロンチウム、タンタル、ランタン、及びプラセオジムのいずれか1つ以上の金属を含む有機金属化合物の気化物と水蒸気を同時に供給することを特徴とする。また、本発明のその他の特徴は次のとおりである。
【0016】
前記製造方法において、前記有機金属化合物の配位子は配位子1つにつき2つ以上の酸素原子を含むことを特徴とする。
【0017】
また、前記製造方法において、前記有機金属化合物の配位子は1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシドであることを特徴とする。
【0018】
また、前記製造方法において、前記有機金属化合物として、ベータジケトン、または、ベータケトエステルから生成する有機金属化合物を用いることを特徴とする。
【0019】
また、前記製造方法において、前記有機金属化合物1モルに対して、1000モル以下の前記水蒸気を前記真空チャンバに供給することを特徴とする。
【0020】
また、前記製造方法において、前記有機金属化合物をアルキルシランで希釈した後で気化して前記真空チャンバに供給することを特徴とする。
【0021】
また、前記製造方法において、前記真空チャンバの壁面を200℃以下とし、前記ウエハの温度を200℃以上に設定することを特徴とする。
【0022】
また、真空チャンバ内に処理ガスを導入し、前記真空チャンバ内に収容した半導体ウエハ表面に高誘電率の誘電体薄膜を形成する高誘電率薄膜の製造装置であって、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、バリウム、ストロンチウム、タンタル、ランタン、及びプラセオジムのいずれか1つ以上の金属を含む有機金属を気化する気化器及び水蒸気を発生する水蒸気供給機構を備え、前記気化器により生成された前記有機金属化合物の気化物及び前記水蒸気を前記真空チャンバ内に処理ガスとして同時に供給する高誘電率薄膜の製造装置において、前記真空チャンバの壁面を200℃以下に、前記ウエハの温度を200℃以上に設定することを特徴とする。
【0023】
また、前記製造装置において、前記水蒸気供給機構は温度一定の容器の内部に水を蓄え、前記容器内に不活性なガスを通ずることにより、水蒸気を供給することを特徴とする。
【0024】
また、前記製造装置において、前記水蒸気供給機構は水素及び酸素を燃焼する燃焼式水分発生装置であることを特徴とする。
【0025】
また、真空チャンバ内に収容した半導体ウエハ表面に高誘電率の誘電体薄膜を形成するための高誘電率薄膜材料であって、該材料は、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、バリウム、ストロンチウム、タンタル、ランタン、及びプラセオジムのいずれか1つ以上の金属を含む有機金属化合物を疎水性で反応性が乏しい揮発性の液体で希釈した高誘電率薄膜材料において、前記揮発性の液体はアルキルシランとすることを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
前記高誘電率薄膜の材料としては、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、バリウム、ストロンチウム、タンタル、ランタン、プラセオジムなどの分極し易い金属をいずれか1つ以上含む化合物が用いられる。このように、高誘電率薄膜の材料として用いられる金属は周期表の第4周期以降(つまり、カリウム以降)や第2属(いいかえるとアルカリ土類金属)、第3属(つまり、スカンジウム、イットリウム)、第4属(チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ラザホージウム)、ランタノイド元素、アクチノイド元素である。
【0027】
上記のような半導体装置に用いられる高誘電率薄膜は、MOCVDやALDによって成膜される。ここでは、図1を用いて、本発明と従来のMOCVD及びALDとの相違を説明する。従来のMOCVDでは有機金属化合物だけを連続的に供給し、水蒸気を供給することはない。また、ALDでは第1原料である塩化物と第2原料である水蒸気を交互に供給する。なお、第1原料として、有機金属化合物を用いるALDもある。さらに、本発明では図1に示すように、第1原料である有機金属化合物と第2原料である水蒸気を同時に供給する。
【0028】
次に、従来のMOCVDにおける成膜の反応メカニズムについて発明者が考察したことを、図2〜4を用いて述べる。これらの図では、金属原子を白丸で示した。また、配位子は、金属と直接結合している原子を細かい斜線の入った丸で示し、残りの部分を粗い斜線の入った楕円で示した。さらに、水素原子を小さな白丸で示した。なお、この図は金属原子がハフニウムの例を示したもので、ハフニウム原子1個につき4個の配位子がつながっている場合を示している。金属原子によっては、金属原子1個につき配位子が4個とは限らない。
【0029】
ここで、細かい斜線の入った丸で示す金属と直接結合している原子について説明を加える。この金属と直接結合している原子は、配位子の種類によって異なる。例えば、配位子がアルキルまたはシクロペンタジエニルの場合は炭素原子が、配位子がアルコキシドまたはカルボニルの場合は酸素原子が、配位子がアミノ、アミド、イミドの場合は窒素原子が金属と直接結合している。以下では、特に断らない限り、配位子はアルコキシドかカルボニルであるので、金属と直接結合している原子は酸素原子である。
【0030】
水蒸気を供給しない従来のMOCVD法における成膜の反応メカニズムの説明を続ける。従来のMOCVD法では、図2に示す有機金属化合物の分子は、配位子を捨てながら、図3(a)に示すように、ウエハ表面上のOHで終端された部分に付着する。しかし、すべての配位子を捨ててから、ウエハ表面に付着するわけではなく、図3(b)に示すようにウエハ表面に配位子がしばらく残留する。なお、この図は断面図なので、新たに付着した金属原子は一箇所で表面と結合しているように見えるが、実際には、新たに付着した金属原子は2乃至3箇所でウエハ表面と結合している。
【0031】
その後、この残留した配位子は外れ、図3(c)に細かい斜線の丸と小さな白丸で示すように、ウエハ表面上に、新たにOHで終端された部分を生成する。しかし、配位子が外れるより前に、この周囲に膜が生成すると、図4に示すように先に付着した有機金属化合物の配位子は外れることができない。このような理由で、従来の水蒸気を供給しないMOCVD法では配位子に含まれていた炭素や水素が膜中に混入してしまう。
【0032】
従来のMOCVDでは、上記の反応メカニズムにより配位子に含まれていた炭素や水素が膜中に混入する。この膜中の炭素や水素ゲート絶縁膜3に与える影響についても考察した。以下、それについて述べる。
【0033】
膜中に混入した炭素や水素は、薄膜の原子の配列を撹乱する。そして、ゲート絶縁膜3に含まれる酸素原子が下地シリコン1と活性領域2に拡散し、活性領域2とゲート絶縁膜3の界面にシリコン酸化膜を生成してしまう。そして、シリコン酸化膜の比誘電率は3.5で、酸化ハフニウムの誘電率24より小さい。そのため、活性領域2とゲート電極4の間の静電容量を小さくしてしまい、高誘電率膜を使った意味が薄れてしまう。また、ゲート絶縁膜3の原子の配列が撹乱されると、薄膜表面が粗くなってしまう。そして、表面の粗れた薄膜をゲート絶縁膜3に使用すると、ゲート絶縁膜3とゲート電極4が一部分だけで接触する。このような場合、ゲート電極4と活性領域2の間に電位差が生じると、接触した部分だけに電界が集中し、その部分でゲート絶縁膜3が破壊されて、リーク電流が発生する。また、図14に示すトランジスタ構造は、ウエハ上に多数作成する。ゲート絶縁膜3とゲート電極4が部分的にしか接触しない場合、前記トランジスタ構造によって、ゲート絶縁膜3とゲート電極4が接触する面積がトランジスタ毎に異なったものとなることがある。そのような場合、前記トランジスタの電気的特性に固体差が生じる。
【0034】
以上、述べたようにゲート絶縁膜3に炭素や水素が混入すると、ゲート絶縁膜3の静電容量が小さくなったり、リーク電流が発生したり、トランジスタの電気的特性に固体差が生じる。そこで、本発明では、水蒸気と有機金属化合物を同時に供給する。このようにすると、図5に示すように、水蒸気の分子は有機金属化合物の金属原子と配位子の酸素の間にある結合を速やかに切断する。これは、イオン性の結合どうしは選択的に反応し易いことから、イオン結合性の強い水蒸気分子の中の酸素と水素の結合と有機金属化合物中の金属と酸素の結合が反応し易いためである。なお、この図に記した点線は、その部分で結合が切れることを示している。このため、図4で示すようなこと、つまり、有機金属化合物の配位子が膜中に取り込まれることは格段に少なくなる。このような理由で、ゲート絶縁膜3に炭素や水素が混入することを防ぐことができる。そして、ゲート絶縁膜3の原子配列の撹乱を防ぎ、活性領域2とゲート絶縁膜3の界面のシリコン酸化膜生成を防ぎ、活性領域2とゲート電極4の間の静電容量低下を防ぐ。また、ゲート絶縁膜3の原子配列の撹乱が少なくなるので、ゲート絶縁膜3の表面に凹凸が減り、ゲート絶縁膜3とゲート電極4が全体で接触するようになり、電界の集中を防ぎ、ゲート絶縁膜3の破壊を防ぎ、リーク電流を減らすことができる。
【0035】
次に、水蒸気と有機金属化合物を同時に供給することの別の利点について述べる。水蒸気と有機金属化合物を同時に供給すると、成膜速度が上昇する。これは、図3(b)に示したウエハ表面に付着した有機金属化合物分子の配位子が速やかに外れるためである。そして、成膜速度が上昇すると、単位時間に処理するウエハの枚数、いいかえると、スループットが向上する。
【0036】
水蒸気と有機金属化合物を同時に供給すると、上記以外の利点もある。通常、成膜温度を上昇させると、成膜速度も上昇する。逆にいうと、成膜温度を下げると、成膜速度は低下する。また、前記のように、水蒸気と有機金属化合物を同時に供給すると、水蒸気が有機金属化合物の配位子を速やかに取り去るので、成膜速度は上昇する。この様子を図6に示す。この図において、縦軸は成膜速度で横軸はウエハの温度である。また、図6(a)は水を加えない場合の成膜速度を表し、図6(b)は水を加えた場合の成膜速度を表している。この図に示すように、成膜温度をtaからtbに下げると成膜速度がRaからRbに低下してしまう。しかし、水蒸気を加えることにより成膜速度を上昇させると、成膜速度をRaに維持することができる。つまり、従来のように水蒸気を供給しない場合と、本発明のように水蒸気を供給する方法を比べると、本発明を適用すると低い温度で同じ成膜速度を達成できる。
【0037】
次に、このように、より低い温度で成膜が可能な利点について述べる。成膜温度が高いと、ゲート絶縁膜3が結晶化し、粒界が発生し、リーク電流の原因となることがある。それに対して、成膜温度が低いと、ゲート絶縁膜3がアモルファス状態となり、粒界が減少し、リーク電流が減少する。このような場合に、前記のように、成膜温度を下げ、水蒸気と有機金属化合物を同時に供給すれば、成膜速度を低下させることなく、アモルファス状態のゲート絶縁膜3が得らる。つまり、スループットを下げることなく、粒界が少なくリーク電流も小さいアモルファス状態のゲート絶縁膜3を得ることができる。
【0038】
成膜速度を上昇させる方法について説明を付け加える。MOCVDにおいて酸素ガスを添加して成膜速度を上昇させる方法もあるが、この方法は望ましくない。それは、酸素ガスを添加して成膜すると、生成した膜中の炭素が増加するからである。例えば、Hf(MMP)を用いて成膜した場合には膜中の炭素が約5倍になるという実験結果が得られた。この理由を説明する。酸素が有機金属化合物と反応する場合には、有機金属化合物の金属と酸素のようなイオン性の結合を選択的に切断するわけではない。そのため、酸素を添加すると配位子の中の炭素と水素の結合も切れてしまう。そして、炭素と水素の結合が切れた配位子は膜の中に取り込まれ易い。このような理由で、酸素ガスを添加して成膜すると、生成した膜中の炭素が増加する。ところで、膜中に炭素が混入すると、薄膜中の原子の配列が撹乱されて、高誘電率薄膜とシリコン基板の界面に酸化シリコンが生じ、実効的な誘電率が下がってしまう。さらに、膜中に混入した炭素は、ダングリングボンドを生成し、電荷のトラップの原因となり、ひいては膜中電荷の原因となる。なお、ここでは炭素の問題を挙げたが、水素を初めとする膜中不純物は、同じ問題を引き起こす。このような理由で、酸素ガスを添加する方法は望ましくない。また、先に述べたとおり、水蒸気は有機金属化合物の金属と酸素の結合を選択的に切断するので、配位子の中の炭素と水素の結合を切ることはなく、配位子が膜中に混入することは少なく、前記の問題を起こすことは少ない。
【0039】
ここまで、MOCVDで成膜時に水蒸気を添加すると、スループットを下げることなくアモルファス状態のゲート絶縁膜3を作成することができることを説明した。しかし、図5に示す反応は非常に起こりやすいので、成膜時に水蒸気を添加すると、気相中や配管内でもこの反応が起こってしまう。そして、金属の酸化物や水酸化物、及び、これらの水和物、さらに、これらの重合体、つまり、異物が発生することがある。そして、前記異物は、成膜装置の配管を詰まらせたり、ウエハに付着して半導体装置の動作を妨げる。そこで、本発明では、異物の発生を防ぐための工夫をしている。以下、それらを説明する。なお、以下の工夫を施した成膜方法を第一の成膜方法例とする。
【0040】
第一の成膜方法例では、MOCVDにおいて水蒸気を供給しても異物が発生しないように、原料である有機金属化合物の配位子を図7に示す1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシド(以下MMP配位子と表記)とする。つまり、原料である有機金属化合物をテトラキス(1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシド)ハフニウム(以下Hf(MMP)と表記)としている。なお、図中の点線で囲った2つの部分は、左から順にそれぞれ図5における、金属と直接結合している原子と配位子の残りの部分を示している。また、原料である有機金属化合物の配位子がMMP配位子である場合、金属と直接結合している原子は酸素原子である。このMMP配位子をもつ原料を用いる理由を以下に述べる。
【0041】
前記第一の成膜方法例において、原料である有機金属化合物の配位子をMMP配位子としている理由を述べる。この配位子は図7に示すように、2つの酸素原子を持っている。このように、2つの酸素原子を持つ配位子は、図8に示すように、1つの配位子が2個所で金属と配位結合する。このような場合、水分子は金属原子に近づくことができず、気相中で金属と配位子の間の結合を切断することができない。このような理由で、有機金属化合物の配位子が2以上の酸素を含む場合、有機金属化合物は水蒸気と反応し難い。このように、水蒸気と比較的反応し難い有機金属化合物を選ぶことによって、パーティクルの発生を防止することができる。
【0042】
前記第一の成膜方法例では、MOCVDにおいて水蒸気を供給しても異物が発生しないように、水蒸気の量を毎分50mg以下とする。以下、その理由を説明する。異物発生の原因となる反応に限らず、通常、気相中の化学反応の速度は反応物の分圧の積に比例する。そして、前記異物発生の反応は気相中の化学反応なので、その反応速度は有機金属化合物と水蒸気の分圧の積に比例する。そのため、水蒸気の分圧を低くすると、異物の発生を防ぐことができる。そして、水蒸気の分圧を低くするためには、水蒸気の量を減らせばよい。この考えに基づいて、有機金属化合物の流量を毎分100mgとし、水蒸気の量を毎分50mg以下としたところ、異物は発生しなかった。このような理由で、水蒸気の量を毎分50mg以下としている。ところで、Hf(MMP)とHOの分子量は、それぞれ、590と18であるので、100mgのHf(MMP)と50mgのHOは、それぞれ、1.69×10−4モルと2.78×10−3モルである。そのため、1モルの有機金属化合物に16.5モル以下のHOを加えても、異物が発生しなかったことになる。なお、ベータジケトンやベータケトエステルから作られた有機金属化合物を用いる場合の水蒸気の量については後に述べる。
【0043】
本発明では、上記のほかにも、異物を防ぐための工夫を施している。しかし、これらの工夫は常に全てが必要なわけではなく、これらの一部だけを第一の成膜方法例と組み合わせて用いても良い。また、後に示す第二の成膜方法例や第一の成膜装置例と組み合わせて用いてもよい。以下、それらの工夫を説明する。
【0044】
成膜方法の第一の工夫として、MOCVDにおいて水蒸気を供給しても異物が発生しないように、原料である有機金属化合物と水蒸気を不活性なガスで希釈している。ここでは、水蒸気の量を50mg以下とし、毎分3リットル以上の不活性なガスで希釈している。つまり、水蒸気1gにつき60リットル以上の不活性なガスで希釈している。なお、ガスの体積は0℃・大気圧での体積であり、本願では気体の体積は全て0℃・大気圧での値を表している。
【0045】
上記のように、原料である有機金属化合物と水蒸気を不活性なガスで希釈する理由を説明する。異物発生の原因となる反応に限らず、通常、気相中の化学反応の速度は反応物の分圧の積に比例する。そして、前記異物発生の反応は気相中の化学反応なので、その反応速度は有機金属化合物と水蒸気を含むガスの分圧の積に比例する。そのため、有機金属化合物と水蒸気の分圧を低くすると、異物の発生を防ぐことができる。このような理由で、有機金属化合物と水蒸気を不活性なガスで希釈している。
【0046】
成膜方法の第二の工夫として、真空チャンバの壁面よりウエハを高温にする。具体的には、真空チャンバの壁面を200℃以下とし、ウエハを200℃以上とする。このようにすると、気相中に比べて、ウエハの温度の方が高くなる。ところで、異物発生の原因となる反応を含めて、多くの化学反応は、温度が高い方が速く進行する。そのため、気相中に比べて、ウエハの温度の方を高くすると、図5に示した反応が真空チャンバ内の気相中では起こらず、ウエハの表面だけで起こるようになる。つまり、図5に示した反応が真空チャンバ内の気相中では起こらなくなり、異物の発生を防ぐことができる。それに対して、ウエハの表面では図5に示した反応が起こり、成膜速度が上昇するなどの水蒸気を供給した効果が現れる。このように、水蒸気を供給することにより、異物を発生させることなく、成膜速度を上昇させるなどの目的で、第一の成膜方法例では、真空チャンバの壁面よりウエハを高温にしている。
【0047】
成膜方法の第三の工夫として、ウエハ毎に成膜速度が変化することを防ぐ工夫も行っている。具体的には、1枚のウエハを処理した後、40秒以上、真空チャンバに不活性なガスを流している。以下、この理由を説明する。本発明では真空チャンバ内に水蒸気を供給する。この場合、真空チャンバの壁面に水分子が吸着される。そして、真空チャンバの壁面に吸着された水分子は取れ難い。このように、チャンバ壁面に水分子が残留すると、ウエハ毎にチャンバ内の水蒸気の量が変化してしまう。そして、図5に示す反応は非常に速いので、ウエハ毎にチャンバ内の水蒸気の量が変化すると、ウエハ毎に成膜速度が変化してしまう。このような成膜速度の変化を防ぐためには、ウエハ毎に水分子を取り去ることが望ましい。そこで、第一の成膜方法例では、ウエハを1枚処理する毎に40秒以上、チャンバ内に不活性なガスを流しながら、チャンバ内を排気している。ここで、ウエハ毎に不活性なガスを供給しながらチャンバ内を排気するのは、単に排気するだけに比べて、不活性なガスを供給しながらチャンバ内を排気する方が速く水分子がとれるからである。
【0048】
次に、第2の成膜方法例について説明する。第2の成膜方法例では、原料である有機金属原料をHf(MMP)ではなく、ベータジケトンやベータケトエステルから作られた有機金属化合物を用いる。
【0049】
上記ベータジケトン化合物とベータケトエステル化合物の説明からはじめる。図9(a)に示すように、ベータジケトン化合物は2つの酸素原子を含み、図9(b)に示すベータケトエステル化合物は3つの酸素原子を含む。なお、この図の中のRとR’は置換基を示す。そして、RとR’が酸素原子を含む場合もあるので、ベータジケトン化合物は2以上の酸素原子を含み、ベータケトエステル化合物は3以上の酸素原子を含む。そして、これらの化合物は図11に示すように1つの水素原子を失って、図中にMで示す金属と結合し、有機金属化合物を作る。このようにして生じた有機金属化合物は、配位子1つにつき2つ以上の酸素原子を含み、2箇所で金属と結合するので、水蒸気と反応しにくい。そのため、第2の成膜方法例では、ベータジケトンやベータケトエステルから作られた有機金属化合物を用いることにより、成膜時に異物を発生させることなく、スループットを下げることなくアモルファス状態のゲート絶縁膜3を作成することができる。なお、本発明では、図10(a),(b)に示す有機金属化合物をベータジケトンやベータケトエステルから作られた有機金属化合物と記載しているが、これは有機金属化合物の製法を制限するものではない。つまり、ベータジケトンやベータケトエステルを使わずに、図10(a),(b)に示す有機金属化合物を合成してもよい。
【0050】
前記第2の成膜方法例の場合に供給する水蒸気の量について説明する。有機金属化合物として、Hf(MMP)を用いる場合、100mgのHf(MMP)に対して50mg以下、言い換えると、1モルのHf(MMP)に対して16.5モル以下のHOでは、異物が発生しなかったことを述べた。しかし、有機金属化合物として、ベータジケトンやベータケトエステルから作られた有機金属化合物を用いる場合、1モルの有機金属化合物に対して、1000モルの水蒸気を供給しても、異物は発生しなかった。そのため、有機金属化合物として、ベータジケトンやベータケトエステルから作られた有機金属化合物を用いる場合、有機金属化合物に対して水蒸気のモル数を1000倍以下とする。
【0051】
上記のように、Hf(MMP)の代わりに、ベータジケトンやベータケトエステルから作られた有機金属化合物を用いることができる。しかし、ベータジケトン化合物やベータケトエステル化合物からなる有機金属化合物は、常温で固体であるものがほとんどである。そのため、供給量を制御することが困難となる。このような場合には、疎水性で反応性が乏しく揮発性の液体、たとえばテトラメチルシランSi(CHやテトラエチルシランSi(Cといったアルキルシランに、前記ベータジケトン化合物やベータケトエステル化合物からなる有機金属化合物を溶解させ、この溶液を液体マスフロー経由で供給すれば、供給量を制御することができる。このような疎水性で反応性が乏しく揮発性の液体としては、アルキルシランのほかに14属元素の有機金属化合物がある。
【0052】
上記では、ベータジケトン化合物やベータケトエステル化合物からなる有機金属化合物を溶解させる液体、つまり、希釈液を疎水性で反応性が乏しく揮発性の液体とした。ここでは疎水性の液体を希釈液として選んだ理由を説明する。ベータジケトン化合物やベータケトエステル化合物からなる有機金属化合物を初め、多くの有機金属化合物は疎水性である。そして一般に、疎水性の液体を、疎水性でない、つまり、親水性の液体に溶解させることは困難である。それに対して、疎水性の液体を疎水性の液体に溶解させることは容易である。そのため、疎水性の液体であるベータジケトン化合物やベータケトエステル化合物からなる有機金属化合物は、親水性の液体より、疎水性の液体を疎水性の液体に溶解させる方が容易である。このような理由で、疎水性の液体を希釈液として選んでいる。
【0053】
次に、反応性が乏しい液体を希釈液として選んだ理由を説明する。有機金属化合物を希釈液に溶解させて成膜を行う場合、生成した膜の不純物が問題となることがある。そして、本発明では膜中の炭素と水素を減らすことが重要である。ここで、テトラヒドロフラン(CO、以下、THFと表記)のような一般の有機物を希釈液として用いると、希釈液が成膜中に反応し、希釈液に含まれていた炭素や水素が膜に混入することがある。そのため、希釈液の反応性は乏しいことが望ましい。なお、希釈液を揮発性の液体としたのは、希釈液に有機金属化合物を溶解させた後、これらを気化器で気化させるので、気化しやすい、つまり、揮発性の方が望ましいためである。
【0054】
有機金属化合物として、ベータジケトンやベータケトエステルから作られた有機金属化合物を用いる場合に、ベータジケトンやベータケトエステルから作られた有機金属化合物を疎水性で反応性が乏しく揮発性の液体に溶解させることを述べた。しかし、ベータジケトンやベータケトエステルから作られた有機金属化合物以外の有機金属化合物を疎水性で反応性が乏しく揮発性の液体で希釈することもできる。このようにすると、後述するように液体流量計109を用いて、より小流量で、有機金属106の流量を制御することができる。例えば、有機金属化合物106を毎分10mgで供給したい場合を考える。しかし、液体流量計109で毎分100mg以下の流量を制御することは困難である。それに対して、有機金属化合物106を疎水性で反応性が乏しく揮発性の液体で20倍に希釈すれば、液体流量計109で毎分200mgの流量を制御すればよい。つまり、有機金属化合物106を疎水性で反応性が乏しく揮発性の液体、例えば、テトラメチルシランSi(CHやテトラエチルシランSi(Cで希釈することにより、液体流量計109で毎分100mg以下の流量を制御することができるようになる。 このようにして、有機金属化合物106の流量を減らすことができれば、チャンバ内の有機金属化合物106の分圧を下げることができる。そして、有機金属化合物106と水蒸気の分圧を低くすれば、有機金属化合物106と水蒸気が反応により異物が発生することも少なくなる。なお、有機金属化合物106を疎水性で反応性が乏しく揮発性の液体で希釈する方法は、液体流量計109で100mg以下の流量を制御したい場合であれば、異物の発生を防ぐ以外の目的にも有効である。なお、疎水性で反応性が乏しく揮発性の液体としては、テトラメチルシランSi(CHやテトラエチルシランSi(Cといったアルキルシランのほか、14属元素の有機金属化合物を用いることができる。
【0055】
第二の成膜方法例に関して説明を付け加える。第二の成膜方法例では、ベータジケトンやベータケトエステルから作られた有機金属化合物を原料とした。しかし、有機金属化合物の配位子がアミノ、アミド、イミドの場合にも、有機金属化合物1モルに対して1000モルの水蒸気を供給しても異物は発生しなかった。これは、有機金属化合物の配位子がアミノ、アミド、イミドの場合、有機金属化合物は水蒸気と反応し難いためである。さらに、疎水性で反応性が乏しく揮発性の液体に溶解させる方法を併用することもできる。これは、有機金属化合物の配位子がアミノ、アミド、イミドの場合、その有機金属化合物は常温で固体である事が多く、そのような場合には、疎水性で反応性が乏しく揮発性の液体に溶解させることにより、供給量の制御が容易になるからである。
【0056】
次に、本発明の成膜方法例を適用して高誘電率の薄膜を作成する薄膜製造装置について述べる。これ以降、この薄膜製造装置を第一の薄膜製造装置例と呼ぶ。ここでは、予め、装置の概要を説明する。第一の薄膜製造装置例は、図11に示すように、真空チャンバ101を有し、その内部は真空ポンプ102によって1Pa〜1000Paの所定の圧力に減圧されている。前記の真空チャンバ101内部にはサセプタ103が設置されており、前記のサセプタ103の上にウエハ104を設置し、前記ウエハ104の上に高誘電率薄膜を作成する。また、前記薄膜製造装置は、放射温度計とヒーターで構成される温度調整機構105を有し、前記ウエハ104の温度を200℃〜600℃の一定の温度に調整できる。薄膜の原料となる有機金属化合物106は液体流量計107を経て、キャリアガス108例えば、窒素ガスとともに、気化器109に送られる。そして、有機金属化合物106は気化器109内で気化し、希釈ガス110で希釈され、シャワーヘッド111を経由して、真空チャンバ101内に供給される。また、水蒸気供給機構112から水蒸気を含むガス113が供給される。この水蒸気を含むガス113は希釈ガス114、例えば窒素ガスで希釈されてから、シャワーヘッド111を経て、真空チャンバ101内に供給される。ここで、水蒸気供給機構112は、図12に示すように、少量液体供給機構201と気化器202を用いて構成している。そして、水203は少量液体供給機構201を経由して、毎分50mg以下の所定の流量で、キャリアガス204、たとえば、窒素ガスと共に、気化器202に供給する。
【0057】
ここで、第一の薄膜製造装置例について説明を付け加える。上記の装置では、有機金属化合物106の流路となる配管の内部で有機金属化合物106が結露しないように、流路となる配管はヒータで加熱してある。また、有機金属化合物106と水蒸気を含むガス113は、シャワーヘッド111を経て、チャンバ101内に供給されている。これは、有機金属化合物106と水蒸気を含むガス113をウエハ104上に均一に供給するためのものである。
【0058】
上記第一の薄膜製造装置は、成膜時に水蒸気を含むガス113を供給するができ、スループットを下げることなくアモルファス状態のゲート絶縁膜3を作成することができる。しかし、成膜時に水蒸気を供給すると、金属の酸化物や水酸化物、及び、これらの水和物、さらにこれらの重合体、つまり、異物が発生する。そして、前記異物は、成膜装置の配管を詰まらせたり、ウエハ104に付着して半導体装置の動作を妨げる。そこで、第一の薄膜製造装置例には、MOCVDにおいて水蒸気を供給した際に、異物の発生を防ぐための工夫を行っている。以下、それらについて説明する。
【0059】
上記第一の薄膜製造装置例では、図11に示すように、有機金属化合物106を含むガスと水蒸気を含むガス113は、別の配管を通り、両者が配管内で混ざり合わないようにしている。この理由は、図5に示した有機金属化合物と水蒸気の反応は非常に速いので、成膜装置の配管内や真空チャンバ101内で、図5に示した反応が起こり、金属の酸化物や水酸化物、及び、これらの水和物、さらにこれらの重合体が生成する、つまり、異物が発生することを防ぐことである。
【0060】
また、上記第一の薄膜製造装置例では、図11に示すように、有機金属化合物106を含むガスと水蒸気を含むガス113を希釈している。具体的には、有機金属化合物106を毎分0.5リットルのキャリアガス108と毎分1リットルの希釈ガス110で希釈している。また、水蒸気を含むガス113を発生させる際に、毎分0.5リットルのキャリアガス204を用い、さらに、毎分1リットルの希釈ガス114で希釈している。つまり、有機金属化合物106と水蒸気は合計で毎分3リットルの希釈ガスで希釈されてから、チャンバ101内に供給される。このようにすると、有機金属化合物106と水蒸気の分圧が低くなる。ところで、異物発生の原因となる反応に限らず、通常、気相中の化学反応の速度は反応物の分圧の積に比例する。そして、前記異物発生の反応は気相中の化学反応なので、その反応速度は有機金属化合物106と水蒸気の分圧の積に比例する。そのため、有機金属化合物106と水蒸気を希釈すると、有機金属化合物106と水蒸気の分圧が低くなり、前記異物発生の反応が遅くなり、異物の発生を防ぐことができる。このような理由で、第一の薄膜製造装置例では、有機金属化合物106を含むガスと水蒸気を含むガス113を希釈している。なお、本発明では、キャリアガス108、希釈ガス110、キャリアガス204、希釈ガス114を全て窒素ガスとしているが、これらは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、水素ガス、酸素ガス、二酸化炭素ガスなどの不活性なガスであってもよい。さらに、本発明では、キャリアガス108、希釈ガス110、キャリアガス204、希釈ガス114として、共通の窒素ガスを用いているが、これらは異なるガスを用いてもよい。
【0061】
第一の薄膜製造装置例では、真空チャンバの壁面よりウエハを高温にしている。具体的には、図11に示す温度調整機構105によりウエハ104を200〜600℃の所定の温度に加熱するとともに、有機金属化合物106と水蒸気を含むガス107の配管ヒータとチャンバ101の温度を200℃以下に設定する。そして、有機金属化合物106と水蒸気を含むガス107を200℃以下の温度で供給している。このようにすると、真空チャンバ101内の気相中に比べてウエハ104の表面温度の方が高くなる。そして、前記異物発生の原因となる反応を含めて、多くの化学反応は、温度が高い方が速く進行する。そのため、図5に示した反応が真空チャンバ101内の気相中では起こらず、ウエハ104の表面だけで起こるようになる。この場合、気相中では水蒸気と有機金属化合物106の反応が起こらず、異物が発生することはない。そして、ウエハ表面では水蒸気と有機金属化合物106の反応が起こり、スループットを低下させることなく、炭素の少ない膜を成膜できる。このような理由で、本発明では、真空チャンバの壁面よりウエハを高温にしている。なお、配管の温度を200℃以下に設定する理由も同じである。
【0062】
以上、第一の薄膜製造装置例について説明してきた。しかし、これとは異なる形態でも、第一の薄膜製造装置例と同じ効果を得ることもできる。以下、それらの形態について説明する。
【0063】
前記第一の薄膜製造装置例では、温度調整機構105はサセプタ103とウエハ104を加熱している、それに対して、チャンバ101の壁面は加熱していない。いいかえると、コールドウォール型である。これは、ウエハ104の温度に比べて気相の温度を低くし、水蒸気と有機金属化合物106の反応が気相中で起こることを防ぎ、異物の発生を避けるためである。しかし、真空チャンバ101内の壁面温度に比べてウエハ104の表面温度の方が高ければ、真空チャンバ101をを加熱していてもよい、いいかえると、ウォームウォール型であってもよい。
【0064】
第一の薄膜製造装置例では、真空チャンバ101内の全圧を1Pa〜1000Paとしている。この範囲内でも真空チャンバ101内の全圧を50Pa以下に低下させると、有機金属化合物106と水蒸気の分圧を下がることにより、異物の発生を抑えることもできる。
【0065】
また、第一の薄膜製造装置例では、水蒸気供給機構112を、図12に示すように小流量液体制御機構201と気化器202を用いて構成している。これを第一の水蒸気供給機構構成例と呼ぶ。しかし、第一の水蒸気供給機構構成例とは異なる形態で、水蒸気供給機構112を構成することもできる。ここでは、第二、第三の水蒸気供給機構構成例について説明する。
【0066】
第二の水蒸気供給機構構成例では、水蒸気供給機構112を温度一定の容器を用いて構成する。この場合、温度一定の容器に水を蓄え、所定の流量のキャリアガスをバブリングすることによって、水蒸気を供給することができる。この場合、キャリアガスの流量を一定にすることにより、一定の流量でキャリアガスと水蒸気の混合気体を供給できる。そして、容器の温度を一定にしているので、前記混合気体には、容器の温度の飽和蒸気圧で水蒸気が含まれる。そのため、一定の分圧で一定の体積、すなわち、一定の量の水蒸気が供給される。
【0067】
さらに、第三の水蒸気供給機構構成例では、図13に示すように、燃焼式水分発生器211を用いて、水蒸気供給機構112を構成する。この場合、水蒸気の原料である水素ガス212は、気体流量計213を経由して、所定の流量で燃焼式水分発生器211に供給される。また、水蒸気のもう一つの原料である酸素ガス214も、気体流量計215を経由して、所定の流量で燃焼式水分発生器211に供給される。そして、水素ガス212と酸素ガス214は燃焼式水分発生器211の内部で燃焼され、水蒸気を含むガス107が供給される。なお、図13に示す燃焼式水分発生器216を用いて水蒸気を含むガス107を供給する場合、水素ガス212と酸素ガス214から水蒸気を含むガス107を発生させているが、水素を含む化合物と酸素を含む化合物の反応によって、水蒸気を含むガス107を発生させてもよい。例えば、メタンガスやエタンガスやプロパンガスなどの炭化水素化合物を酸素ガスで燃焼させてもよい。
【0068】
図13に示すような燃焼式水分発生器211を使う利点について述べる。燃焼式水分発生器211では、下記の反応で、水蒸気を発生させる。
【0069】
2H + O → 2H
ここで、HとOとHOの分子量は、それぞれ、2、32、18であり、0℃・1気圧で気体1モルの体積は22.4リットルである。そのため、44.8リットルの水素ガス212と22.4リットルの酸素ガス214から、36gの水蒸気が発生する。ところで、水蒸気と有機金属化合物106の反応は起こり易く異物発生の原因となるので、添加する水蒸気を少量にすることが望ましい。ここでは、毎分3mgの水蒸気を添加する場合を考える。この場合、図12に示す水蒸気供給機構では、小流量液体制御機構201は毎分3mgで水の流量を制御しなければならない。それに対して、図13に示す燃焼式水分発生器216の場合は、44.8リットルの水素ガス212から36gの水蒸気が発生するので、毎分3.7mlの水素の水素ガス212から3mgの水蒸気が発生する。そのため、気体流量計213は毎分3.7mlで水素ガス212の流量を制御すればよい。ここで、毎分3mgで水の流量を制御することと、毎分3.7mlで水素ガス212の流量を制御することを比較すると、毎分3.7mlで水素ガス212の流量を制御する方が容易である。つまり、図13に示すような燃焼式水分発生器211を使うと、容易に50mg以下で水蒸気の量を制御することができる。
【0070】
以上、原料となる有機金属化合物が、MMP配位子をもつ有機金属化合物の場合と、ベータジケトンやベータケトエステルから作られた有機金属化合物の場合を説明した。しかし、配位子がMMP配位子以外のアルコキシドの場合にも本発明は適用できる。また、配位子がアルコキシドではなく、アルキル、アミノ、アミド、イミド、シクロペンタジエニル、アジ化物イオン、カルボニルであっても、有機金属化合物は水蒸気と反応する。そのため、これらの場合にも、本発明を適用することができる。なお、MMP配位子はアルコキシドの1種であり、ベータジケトンとベータケトエステルはカルボニルの1種である。
【0071】
なお、ここまではゲート絶縁膜を成膜するものとして説明したが、本発明は、キャパシタ絶縁膜に適用することもできる。
【0072】
以上説明したように、本発明では水蒸気と有機金属化合物を同時に供給し、スループットを低下させることなく、炭素の少ない膜を成膜することができる。これは、水蒸気と有機金属化合物の配位子を反応させて、配位子を速やかに分解するためである。ところが、水蒸気と有機金属化合物は、非常に反応しやすく、金属の酸化物や水酸化物、及び、これらの水和物、さらに、これらの重合体を形成し、異物を発生させてしまう。そこで、本発明の成膜方法では異物を低減するために、以下の手段を用いることを特徴としている。
【0073】
第一の特徴として、2つ以上の酸素原子を持つ配位子を持つ有機金属化合物を原料とする。これは、有機金属化合物の配位子に2つ以上の酸素原子があると、この配位子は2箇所で金属原子と結合するので、水分子が金属原子に近づくのを妨げ、水蒸気との反応を弱め、パーティクルが発生することを防ぐ。このような2つ以上の酸素原子をもつ配位子としては、2種類の化合物をあげることができる。一つは、2つ以上の酸素原子をもつアルコキシド、例えば、1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシドである。そして、もう一つは、ベータジケトンやベータケトエステルから作られた配位子である。なお、ベータジケトンやベータケトエステルから作られた有機金属化合物を用いる場合に、それらが、常温で固体の場合、前記のベータジケトンやベータケトエステルから作られた有機金属化合物を、炭素以外の14属元素、例えば、シリコンを含む有機金属化合物に溶かして用いればよい。より具体的には、前記のベータジケトンやベータケトエステルから作られた有機金属化合物を、テトラメチルシランやテトラエチルシランといったアルキルシランに溶かして用いればよい。
【0074】
第二の特徴として、水蒸気の量を一定量以下にしている。具体的には、原料が1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシドのように、2つ以上の酸素原子をもつアルコキシドを持つ有機金属化合物の場合には、水蒸気のモル数を有機金属のモル数の20倍以下とする。また、原料がベータジケトンやベータケトエステルから作られた有機金属化合物の場合、水蒸気のモル数を有機金属のモル数の1000倍以下とする。これは、チャンバ内の水分子の数を減らし、水蒸気との反応を弱め、パーティクルが発生することを防ぐためである。
【0075】
本発明の成膜方法は、上記のほかにもさまざまな工夫を施している。なお、これらの工夫は常に全てが必要なわけではなく、これらの一部だけを前記第一、第二の特徴と組み合わせて用いても良い。以下、それらの工夫を説明する。
【0076】
まず、本発明の成膜方法では、有機金属化合物と水蒸気を不活性なガスで希釈する。より具体的には、1gの水蒸気につき60リットル以上の不活性なガスで希釈する。これは、有機金属化合物と水蒸気の分圧を下げて、有機金属化合物と水蒸気との反応を弱め、パーティクルが発生することを防ぐためである。
【0077】
更に本発明では、ウエハ毎に成膜速度が変化することを防ぐために、1枚のウエハを処理した後、40秒以上、真空チャンバに不活性なガスを流している。これは、ウエハを処理する毎に真空チャンバの壁面に吸着された水分子を取り除き、成膜速度の変化を防ぐためである。なお、不活性なガスを供給しながらチャンバ内を排気するのは、単に排気するだけに比べて、不活性なガスを供給しながらチャンバ内を排気する方が速く水分子がとれるからである。
【0078】
次に、本発明の成膜装置では異物を低減するための工夫を行っている。以下、これらの工夫について説明する。
【0079】
まず、本発明の成膜装置では、有機金属化合物と水蒸気はそれぞれ別の配管を通り、両者が配管内で混ざり合わないようにしている。これは、有機金属化合物と水蒸気が反応して異物を発生させるのを防ぐためである。
【0080】
また、本発明の成膜装置では、異物の発生を防ぐために、真空チャンバの壁面よりウエハを高温にしている。すなわち、水蒸気と有機金属化合物の反応を利用すると、スループットを低下させることなく、炭素の少ない膜を成膜できる。しかし、水蒸気と有機金属化合物が気相中で反応すると異物が発生する。そのため、水蒸気と有機金属化合物の反応が、気相中では起こらず、ウエハ表面だけで起こることが望ましいからである。なお、前記異物発生の原因となる反応を含めて、多くの化学反応は温度が高い方が速く進行する。そのため、水蒸気と有機金属化合物の反応を気相中で起こさずウエハ表面だけで起こすためには、気相中に比べてウエハ表面の温度を高くすればよい。そして、気相中に比べてウエハ表面の温度を高くするには、真空チャンバの壁面よりウエハを高温にすればよい。
【0081】
このように、MOCVDにより高誘電率薄膜を製造する工程において、水蒸気を添加するので、スループットを下げることなく、炭素や水素といった不純物が少なく、粒界がなく表面が平坦な高誘電率薄膜を製造することができる。また、成膜温度を下げることもでき、アモルファス状で粒界のない薄膜を製造することもできる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、不純物が少なく、表面が平坦な高誘電率薄膜を高効率で製造することのできる高誘電率膜の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明と従来のMOCVD及びALDとの相違を説明する図である。
【図2】有機金属化合物の構造を説明する図である。
【図3】MOCVDの成膜反応機構を説明する図である。
【図4】残留する配位子を説明する図である。
【図5】有機金属化合物と水の反応を説明する図である。
【図6】成膜速度と温度の関係を説明する図である。
【図7】1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシドを示す図である。
【図8】水と反応しにくい有機金属化合物を示す図である。
【図9】ベータジケトンとベータケトエルテル化合物を示す図である。
【図10】ベータジケトンとベータケトエルテルの配位子を説明する図である。
【図11】MOCVD装置を説明する図である。
【図12】水蒸気供給機構の構成を示す図である。
【図13】水蒸気供給機構の他の構成を説明する図である。
【図14】半導体装置のトランジスタ部分の構成を説明する図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板
2 活性領域
3 ゲート絶縁膜
4 ゲート電極
5 ソース領域
6 ドレイン領域
7,8 コンタクト
9 窒化膜
101 真空チャンバ
102 真空ポンプ
103 サセプタ
104 ウエハ
105 温度調整機構
106 有機金属化合物
107 液体流量計
108 キャリアガス
109 気化器
110 希釈ガス
111 シャワーヘッド
112 水蒸気供給機構
113 水蒸気を含むガス
114 希釈ガス
201 小流量液体制御機構
202 気化器
203 水
204 キャリアガス
211 燃焼式水分発生装置
212 水素ガス
213 気体流量計
214 酸素ガス
215 気体流量計

Claims (14)

  1. 真空チャンバ内に処理ガスを導入し、前記真空チャンバ内に収容した半導体ウエハ表面に高誘電率の誘電体薄膜を形成する高誘電率薄膜の製造方法において、
    前記真空チャンバ内に前記処理ガスとして、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、バリウム、ストロンチウム、タンタル、ランタン、及びプラセオジムのいずれか1つ以上の金属を含む有機金属化合物の気化物と水蒸気を同時に供給することを特徴とする高誘電率薄膜の製造方法。
  2. 請求項1の記載において、前記有機金属化合物の流量毎分100mgに対し、毎分50mg以下の水蒸気を前記真空チャンバに供給することを特徴とする高誘電率薄膜の製造方法。
  3. 請求項1の記載において、1モルの前記有機金属化合物に対して、16.5モル以下の前記水蒸気を前記真空チャンバに供給することを特徴とする高誘電率薄膜の製造方法。
  4. 請求項1乃至3の記載において、前記有機金属化合物を、疎水性で反応性が乏しい揮発性の液体で希釈した後に気化して前記真空チャンバに供給することを特徴とする高誘電率薄膜の製造方法。
  5. 請求項1乃至4の記載において、気化させた前記有機金属化合物と水蒸気を、毎分3リットル以上の不活性なガスで希釈した後、真空チャンバに供給することを特徴とする高誘電率薄膜の製造方法。
  6. 請求項1乃至5の記載において、前記真空チャンバの壁面より前記ウエハの温度を高く設定することを特徴とする高誘電率薄膜の製造方法。
  7. 請求項1乃至6の記載において、1枚のウエハを処理した後、40秒以上、真空チャンバに不活性なガスを供給しながら排気することを特徴とする高誘電率薄膜の製造方法。
  8. 請求項1乃至7の記載において、前記真空チャンバ内の全圧を50Pa以下とすることを特徴とする高誘電率薄膜の製造方法。
  9. 真空チャンバ内に処理ガスを導入し、前記真空チャンバ内に収容した半導体ウエハ表面に高誘電率の誘電体薄膜を形成する高誘電率薄膜の製造装置において、
    ハフニウム、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、バリウム、ストロンチウム、タンタル、ランタン、及びプラセオジムのいずれか1つ以上の金属を含む有機金属を気化する気化器及び水蒸気を発生する水蒸気供給機構を備え、
    前記気化器により生成された前記有機金属化合物の気化物及び前記水蒸気を前記真空チャンバ内に処理ガスとして同時に供給することを特徴とする高誘電率薄膜の製造装置。
  10. 請求項9の記載において、前記有機金属化合物の流量毎分100mgに対し、毎分50mg以下の水を蒸発させて前記水蒸気を発生させることを特徴とする高誘電率薄膜の製造装置。
  11. 請求項9乃至10の記載において、前記有機金属化合物または前記水蒸気を毎分3リットル以上の不活性なガスで希釈することを特徴とする高誘電率薄膜の製造装置。
  12. 請求項9乃至11の記載において、前記真空チャンバの壁面温度より高い温度に前記ウエハの温度を設定することを特徴とする高誘電率薄膜の製造装置。
  13. 請求項9乃至12の記載において、前記有機金属化合物と前記水蒸気をそれぞれ異なる流路を介して真空チャンバに供給することを特徴とする高誘電率薄膜の製造装置。
  14. 真空チャンバ内に収容した半導体ウエハ表面に高誘電率の誘電体薄膜を形成するための高誘電率薄膜材料であって、
    該材料は、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、バリウム、ストロンチウム、タンタル、ランタン、及びプラセオジムのいずれか1つ以上の金属を含む有機金属化合物を疎水性で反応性が乏しい揮発性の液体で希釈したことを特徴とする高誘電率薄膜材料。
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