JP2004071517A - 変性ポリフッ化ビニリデン含有負極用コンパウンド - Google Patents
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Abstract
【課題】電池容量を向上させるために負極中の活物質濃度を高めようとしても従来のバインダーのポリフッ化ビニリデンでは、比率を低減すると銅箔との密着力が著しく低下するため技術的に限界であった。銅箔との密着力を良好に保持できて、イオン伝導性を保有する溶剤のNMPを用いることの出来るバインダーが求められていた。
【解決手段】電解液が含浸された状態でイオン伝導性を示すポリフッ化ビニリデン(PVDF)の性質を保持しておりアルカリにより部分的に脱フッ化水素処理され更に酸化剤により酸化処理されている変性ポリフッ化ビニリデンと比較的粒子径が大きいメジアン粒子径が、13ミクロンから30ミクロンの範囲にある特定の炭素材料を用いることにより負極中の活物質濃度を高めることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】電解液が含浸された状態でイオン伝導性を示すポリフッ化ビニリデン(PVDF)の性質を保持しておりアルカリにより部分的に脱フッ化水素処理され更に酸化剤により酸化処理されている変性ポリフッ化ビニリデンと比較的粒子径が大きいメジアン粒子径が、13ミクロンから30ミクロンの範囲にある特定の炭素材料を用いることにより負極中の活物質濃度を高めることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
【0001】
〔産業上の利用範囲〕
本発明は、リチウムイオン二次電池用負極を製造する目的の変性ポリフッ化ビニリデンからなる粉末状のコンパウンドに関する。
【0002】
〔発明の属する技術分野〕
近年、リチウムイオン二次電池は、種々の電子機器の電源として使用されている。電子機器の小型化、軽量化を図る上で、これらの電子機器の電源としてきわめて有用である。用途の多様化に伴い、電池として、高容量化と製造コスト低減を同時に可能にできることが要望されている。本発明は、リチウムイオン二次電池用負極を製造する目的の粉末状のコンパウンドに関する。
【0003】
〔従来の技術〕
リチウムイオン二次電池の負極を製造する際に、負極活物質としてピッチコークス、ピッチから析出した球晶等を原料にした600℃から1400℃で炭化処理されたコークス、2600℃から3200℃で熱処理された球形、繊維状の人造グラファイト、精製・粉砕して得られる粒状、多角形の天然グラファイト、ピッチを紡糸し、炭化し、裁断したグラファイトファイバー、ポリアクリロニトリル等の有機ポリマーの炭化あるいは、グラファイト化したもの、球形、粒状、多角形の天然グラファイトあるいは人造グラファイトに溶剤に溶解したポリアクリロニトリル等の有機ポリマーを被覆・炭化するか芳香族炭化水素をCVD法で被覆するかピッチ・フェノール樹脂等を表面に被覆・炭化して得られる多重構造選炭素材、コークスから選ばれた単独または、それらの混合物を88〜94重量%と溶剤のN−メチルピロリドン(NMP)に溶解してあるバインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を12から6重量%とを混合し、ペースト状あるいはスラリー状にして銅箔に塗布し溶剤を130から150℃で揮散させて乾燥させた負極シートを製造していた。通常のポリフッ化ビニリデン(PVDF)では、6重量%未満では、銅箔に塗工し、乾燥した後、サイジングしたり、折り曲げたり、巻回したりする電池缶に入れる前工程で剥離、脱離を起こし問題であった。また限られた電池缶内にできるだけ負極活物質を入れて容量を高める観点からもバインダー量を少なくすることが好ましいものの、上記の問題があり、使用量をかかる重量%より減らすことは、困難であった。
正極製造には、正極活物質粉末をNMPに溶解したバインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を3から5重量%とを混合し、ペースト状あるいはスラリー状の塗工液にしてアルミニウム箔に塗布し、溶剤を130から150℃で揮散させ、正極シートを製造していた。
しかるに正極及び負極共通のバインダーにPVDFを使用できるならば、溶剤NMPを塗工機より回収できる簡便さがあるにもかかわらず、近年の電池高容量化の技術動向の中、正極と負極をそれぞれ別のバインダーを用いることとなり、負極活物質を97重量%に高めることのできるカルボキシメチルセルロースとゴムラテックス等の水溶性バインダー液も用いられることとなった。
ただし、リチウムイオン電池に使用される電解液には、カルボキシメチルセルロースとゴムは、ほとんど膨潤もせず、イオン伝導性に乏しい。若干電解液に膨潤し、イオン伝導性を示す点で有利であるPVDFとは挙動が異なる。
リチウムイオン電池の急速充電特性あるいは急速放電特性の更なる改良には、イオン伝導性を保有する銅箔との密着力のある負極中の活物質濃度を高めることのできてしかも正極のバインダーと共通に溶剤NMPを回収して使用できるPVDF系のバインダーの出現が待たれていた。
【0004】
〔発明が解決しようとする課題〕
負極中の活物質濃度を高めてもなお銅箔との密着力を保持できて、イオン伝導性を保有するPVDF系のバインダーが求められていた。
本発明が解決しようとする課題は、かかる目的を満たすように改質したポリフッ化ビニリデンを含有するリチウムイオン電池負極製造のための粉末状のコンパウンドを提供することにある。
【0005】
〔課題を解決するための手段〕
本発明らは、上記課題について種々検討した結果、リチウムイオン二次電池用負極を製造する目的に給することのできるようになるアルカリにより部分的に脱フッ化水素処理をし、更に酸化剤による酸化処理を施している変性ポリフッ化ビニリデンを含有する粉末状のコンパウンドを見出し、かつ輸送と塗工液調製が簡便となるようにし、本発明を完成させるに至った。
【0006】
〔発明の実施の形態〕
以下、本発明を具体的に説明する。
すなわち、本発明は、バインダーであるポリフッ化ビニリデンを高分子量のものに限定し、アルカリにより部分的に脱フッ化水素処理をし、更に酸化剤による酸化処理を施して変性ポリフッ化ビニリデンを得る。これを0.8重量%以上3重量%以下とリチウムイオン電池負極活物質97重量%以上99.2重量%とを含むことを特徴とするリチウムイオン電池用負極製造のための粉末状のコンパウンドである。好ましくは、その変性処理前のポリフッ化ビニリデンが、溶剤のN−メチルピロリドン(NMP)と溶液を形成し、高分子量の度合いの目安として8重量%ポリマー濃度の粘度において0.4Pas以上あり、更に好ましくは、0.75Pas以上であり、最も好ましくは、1.2Pas以上の乳化重合ないし縣濁重合により得られるものである。0.2Pas未満では、本発明のコンパウンドをNMP等に溶解して銅箔に塗布した場合、密着力が低くなり、また2.2Pasを超えるとNMP等の溶剤への溶解が困難となり、塗布物の密着力も低下して好ましくない。
【0007】
本発明に用いる変性ポリフッ化ビニリデンは、一例としてあげると乳化重合で得られた高分子量のポリフッ化ビニリデンラテックスあるいは、縣濁重合で得られたポリフッ化ビニリデン水分散液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、テトラブチルアンモニウムブロマイド、水酸化アンモニウム等のアルカリにより、茶褐色を呈するまで、脱フッ化水素処理を部分的に施し、更に適切な6.5−8のPH範囲に塩酸などの酸で調節した後に、酸化剤例えば過酸化水素による酸化処理を施した後、脱水、水洗し乾燥して得る。
銅箔との密着力を損ねない比率まで通常のポリフッ化ビニリデン粉末を添加しても差し支えない。
【0008】
本発明に使用する負極活物質としては、ピッチコークス、ピッチから析出した球晶等を原料にした600℃から1400℃で炭化処理されたコークス、2600℃から3200℃で熱処理された球形、繊維状の人造グラファイト、精製・粉砕して得られる粒状、多角形の天然グラファイト、ピッチを紡糸し、炭化し、裁断したグラファイトファイバー、ポリアクリロニトリル等の有機ポリマーの炭化あるいは、グラファイト化したもの、球形、粒状、多角形の天然グラファイトあるいは人造グラファイトに溶剤に溶解したポリアクリロニトリル等の有機ポリマーを被覆・炭化するか芳香族炭化水素をCVD法で被覆するかピッチ・フェノール樹脂等を表面に被覆・炭化して得られる多重構造炭素材から選ばれた単独または、それらから選ばれた1種以上の混合物であり、比較的に大きい粒子径、メジアン粒子径として8ミクロンから35ミクロンの範囲にあり、好ましくは、13ミクロンから30ミクロンの範囲にあり更に好ましくはグラファイト粉末をピッチコークスないし有機炭化水素ないし有機ポリマーを用いて炭化・改質されたものを80重量%以上100重量%を占め、しかも銅箔面と塗布膜との間に生じる層間剥離を起こさないように最大粒子径(完全球形粒子とみなした体積の累積体積率100%の粒子径(D(100)の数値)が50ミクロン以下に制御してあるものである。またアスペクト比を有するグラファイトファイバーの粉砕物等を20重量%以下を含有して使用することが出来る。
【0009】
本発明のコンパウンドを得るには、通常粉体混合に使用されているタンブラー等の機器で構わないが、生産性と均一混合の上で、0.5分から3分間、500rpmから3000rpmの高速回転する混合機が好ましい。本発明のコンパウンドの特徴としては、溶剤を入れることなく輸送できるために、倉庫保管も容易であり、輸送梱包も簡便に出来る。しかも、塗布現場でNMP等の溶剤を加えて、塗布液を調製する際に、従来法の粉末のポリフッ化ビニリデンをNMPに溶解する時のような煩雑な作業が全くなくなる。すなわち空気を抱き込んで塊状物を生成してしまい、均一な溶液にするのに多大な時間を要したり、60℃以上に加熱し、特殊な強制攪拌をする必要が全くない。40℃から50℃の加温で通常の攪拌翼で均一混合が可能である。負極活物質粒子間に既に変性ポリフッ化ビニリデン粉末粒子がよく分散していることから、NMPへの溶解時、活物質粒子とのせん断により極めて容易に塗布液になるためと推定される。
【0010】
〔実施例〕
以下実施例、比較例により本発明を詳しく説明するが、本発明の範囲は、これに限定されるものではない。
【0011】
リチウムイオン電池用負極活物質の粒子径分布測定は、堀場製作所製のLA−920を用いて水を分散媒として透過率(H)85〜90%で循環速度7で測定する。
完全球形粒子とみなした体積の累積体積率50%の粒子径(D(50))をメジアン粒子径と呼称し、ミクロン単位で表示する。また累積体積率100%の粒子径(D(100))を最大粒子径として表示する。各負極活物質と変性PVDFあるいはPVDFをバインダーとしてコンパウンドを3000rpmのラボミキサーで混合する。
参考試験のために、BASF社製N−メチルピロリドン(NMP)エレクトロニクスグレードを用い、溶液スラリーをつくり、銅箔の片面に活物質量が6−12mg/cm2程度になるように塗布し、150℃で25分間、強制熱風循環乾燥機内で溶媒のNMPと微量水分を除去する。
冷却後、例えば幅2.5cm、長さ4cmの任意の大きさの電極として切断した後、R0.75mmφのステンレス棒を介して折り曲げ、折り曲げ部分に銅箔の金属肌が全く見えない物を評点5とし、折り曲げ部分に金属肌が一部見える度合いに応じて4ないし1とする。剥離ないし銅箔と塗布膜との間で層間剥離を生じた物を評点0として密着力の尺度とする。
参考のために、片面塗布の電極を切り出し、130℃で3時間、0.1パスカルの減圧下に乾燥し、グローブボックス内で乾燥アルゴンガス気流中、スクリューセルにこれを負極に、リチウム箔を対極として組み込まれる。
1MLiPF6/エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート(1:2:2容積比)の電解液を添加後30分に開放電圧から0.001Vまで0.4mA/cm2の定電流密度で充電を開始し、0.001Vに到達後更に0.001Vの定電圧に3時間に保持し、電流密度が1μA/cm2以下になるのを確認後、15分間の休止状態を経て0.4mA/cm2の定電流密度で放電し、1.50Vに到達時に停止し、その間に流れた電気量をスクリューセル内の負極活物質重量で割り算し、mAh/gを単位として放電容量とする。更に15分間の休止状態を経て0.4mA/cm2の定電流密度で0.001Vまで充電し、0.001Vに到達後更に3時間保持し、電流密度の1μA/cm2以下になるのを確認後、15分間の休止状態を経て0.4mA/cm2の定電流密度で放電し、1.50Vに到達時に停止し、その間に流れた電気量をスクリューセル内の負極活物質重量で割り算し、mAh/gを単位としてこの充電と放電を繰り返す。活物質としての寿命の目安としての容量保持率は、第2回目の放電容量(A)に対して第10回目の放電容量(B)の百分率である。
【0012】
〔実施例1〕グラファイト90重量部とピッチとフェノール樹脂の混合物を被覆し窒素ガス雰囲気下950℃で加熱して得られる炭化物10重量部からなる多重構造炭素材(メジアン粒子径22ミクロン、D(100)=43ミクロン)19.6g(98重量%)と乳化重合で得られるポリフッ化ビニリデンをアルカリにより部分的に脱フッ化水素処理し、更に酸化剤により酸化処理されている変性ポリフッ化ビニリデンであるアトフィナ・ジャパン社製MKB272粉末0.4000g(2.0重量%)(8%NMP溶液での粘度は1.2Pasを示す。)とマレイン酸無水物0.0018gとシュウ酸2水和物0.0200gを添加し攪拌混合した後、ラボミキサーに移し1分間混合し、リチウムイオン2次電池負極用コンパウンド粉末を得る。
〔参考例1〕実施例1で得られる負極用コンパウンド粉末20gにBASF製N−メチルピロリドン(NMP、モノメチルアミン残存0.89ppm)を14g添加し、45℃に加温しながら15分間よく練れるように攪拌する。これを10μm厚みの銅箔(日本製箔社製)にドクターブレードでスラリーを展伸・塗布し、乾燥する。
塗布物の評価結果を放電容量及び容量保持率の測定結果と共に表1に示す。
【0013】
〔実施例2〕実施例1と同じ多重構造選炭素材17.856g(89.28重量%)と繊維状グラファイト(ペトカ社製、メルブロンミルドFM14)1.984g(9.92重量%)との混合物(メジアン粒子径21ミクロン、D(100)=43ミクロン)と変性ポリフッ化ビニリデン(アトフィナ・ジャパン社製MKB272粉末0.1600g(0.8重量%)(8%NMP溶液での粘度は1.2Pasを示す。)とマレイン酸無水物0.0018gを添加し攪拌混合した後、ラボミキサーに移し、1分間混合し、負極コンパウンド粉末を得る。
〔参考例2〕実施例2で得られる負極コンパウンド粉末20gにBASF製N−メチルピロリドン(NMP、モノメチルアミン残存0.89ppm)を14g添加し、45℃に加温しながら15分間よく練れるように攪拌する。これを14μm厚みの銅箔(日本製箔社製)にドクターブレードでスラリーを展伸・塗布し、乾燥する。塗布物の評価結果を放電容量及び容量保持率の測定結果と共に表1に示す。
【0014】
〔実施例3〕芳香族炭化水素をCVD法で被覆し、炭化して得られる多重構造炭素材(三井鉱山マテリアル社製GDRの32ミクロンふるい通過品のみ使用、メジアン粒子径21ミクロン、D(100)=43ミクロン)19.50g(97.5重量%)と変性ポリフッ化ビニリデン(アトフィナ・ジャパン社製MKB272)粉末0.5000g(2.50重量%)(8%NMP溶液での粘度は1.2Pasを示す。)とマレイン酸無水物0.0018gとシュウ酸2水和物0.0200gを添加し攪拌混合した後、ラボミキサーに移し、1分間混合し、負極コンパウンド粉末を得る。
〔参考例3〕実施例3で得られる負極コンパウンド粉末20gにBASF製N−メチルピロリドン(NMP、モノメチルアミン残存0.89ppm)を17.8g添加し、45℃に加温しながら15分間よく練れるように攪拌する。これを12μm厚みの銅箔(日本製箔社製)にドクターブレードでスラリスラリーを展伸・塗布し、乾燥する。塗布物の評価結果を放電容量及び容量保持率の測定結果と共に表1に示す。
【0015】
〔実施例4〕2リットルオークレーブ内に脱イオン水1050g、メチルセルロース0.39g、フッ化ビニリデンモノマー410gとジイソプロピルパーオキシジカーボネートを重合開始剤として使用し、25℃で縣濁重合する。重合後、オークレーブより取り出し、ステンレススチール製大型ビーカーに移し、テトラブチルアンモニウムブロマイドを含む15重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、75℃にてポリマーが茶褐色を呈し、沈殿するまで攪拌する。塩酸を加えて一旦、PHを5とした後、35重量%の過酸化水素と15重量%の水酸化ナトリウムをPH7前後で70℃に保持しながらポリマーが茶褐色から淡黄色になるまで追添して酸化処理する。酸化処理を終え、脱水、脱イオン水での水洗を少なくとも3度繰り返した後、70℃で真空乾燥する。こうして縣濁重合で得られるポリフッ化ビニリデンを部分的にアルカリによる脱フッ化水素処理をし、更に酸化剤による酸化処理されている変性ポリフッ化ビニリデン粉末0.2250g(1.5重量%)(8%NMP溶液での粘度は1.4Pasを示す。)とグラファイト粒子とピッチを混練りした後、加熱・炭化して得る多重構造炭素材(日立化成工業株式会社製MAGの32ミクロンふるい通過品のみ使用)、メジアン粒子径21ミクロン、D(100)=42ミクロン)19.70g(98.5重量%)とマレイン酸無水物0.0018gとシュウ酸2水和物0.0200gを添加し攪拌混合した後、ラボミキサーに移し、1分間混合し、負極コンパウンド粉末を得る。
〔参考例4〕実施例4で得られる負極コンパウンド粉末20gにBASF製N−メチルピロリドン(NMP、モノメチルアミン残存0.89ppm)を18g添加し、45℃に加温しながら15分間よく練れるように攪拌する。これを8μm厚みの銅箔(福田金属箔工業社製)にドクターブレードでスラリーを展伸・塗布し、乾燥する。塗布物の評価結果を放電容量及び容量保持率の測定結果と共に表1に示す。
【0016】
〔比較例1〕実施例3と同じ多重構造炭素材(三井鉱山マテリアル社製GDRの75ミクロンふるい通過品のみ使用)メジアン粒子径24ミクロン、D(100)=62ミクロン)19.50g(97.5重量%)とポリフッ化ビニリデン(アトフィナ・ジャパン社製301F粉末0.5000g(2.5重量%)(8%NMP溶液での粘度は0.35Pasを示す。)とマレイン酸無水物0.0018gとシュウ酸2水和物0.0200gを添加し攪拌混合した後、ラボミキサーに移し、1分間混合し、負極コンパウンド粉末を得る。
〔参考比較例1〕比較例1で得られる負極コンパウンド粉末20gにBASF製N−メチルピロリドン(NMP、モノメチルアミン残存0.89ppm)を17.8g添加し、45℃に加温しながら15分間よく練れるように攪拌する。これを12μm厚みの銅箔(福田金属箔工業社製)にドクターブレードでスラリスラリーを展伸・塗布し、乾燥する。
塗布物の評価結果を放電容量及び容量保持率の測定結果と共に表1に示す。
【0017】
〔比較例2〕実施例1と同じ多重構造選炭素材19.90g(99.5重量%)と変性ポリフッ化ビニリデン(アトフィナ・ジャパン社製MKB272)粉末0.1000g(0.5重量%)(8%NMP溶液での粘度は1.2Pasを示す。)とマレイン酸無水物0.0018gを添加し攪拌混合した後、ラボミキサーに移し、1分間混合し、負極コンパウンド粉末を得る。
〔比較参考例2〕比較例2で得られる負極コンパウンド粉末20gにBASF製N−メチルピロリドン(NMP、モノメチルアミン残存0.89ppm)を15g添加し、45℃に加温しながら15分間よく練れるように攪拌する。これを14μm厚みの銅箔(日本製箔社製)にドクターブレードでスラリーを展伸・塗布し、乾燥する。塗布物の評価結果を放電容量及び容量保持率の測定果と共に表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
〔発明の効果〕
本発明のリチウムイオン電池用負極製造のための粉末状のコンパウンドは、バインダーポリマーとしてアルカリにより部分的に脱フッ化水素処理され更に酸化剤により酸化処理されている変性ポリフッ化ビニリデンを0.8重量%以上3重量%以下を用い、かつメジアン粒子径が、13ミクロン以上30ミクロン以下の範囲にある炭素材料を用いることからなり、銅箔への優れた密着力を保持したまま、塗布膜中の負極活物質含有量を従来の未処理ポリフッ化ビニリデンに比して高めることが出来て、電池容量の向上に寄与するとともに、充・放電を繰り返す時の容量保持率の点でも優れる。
〔産業上の利用範囲〕
本発明は、リチウムイオン二次電池用負極を製造する目的の変性ポリフッ化ビニリデンからなる粉末状のコンパウンドに関する。
【0002】
〔発明の属する技術分野〕
近年、リチウムイオン二次電池は、種々の電子機器の電源として使用されている。電子機器の小型化、軽量化を図る上で、これらの電子機器の電源としてきわめて有用である。用途の多様化に伴い、電池として、高容量化と製造コスト低減を同時に可能にできることが要望されている。本発明は、リチウムイオン二次電池用負極を製造する目的の粉末状のコンパウンドに関する。
【0003】
〔従来の技術〕
リチウムイオン二次電池の負極を製造する際に、負極活物質としてピッチコークス、ピッチから析出した球晶等を原料にした600℃から1400℃で炭化処理されたコークス、2600℃から3200℃で熱処理された球形、繊維状の人造グラファイト、精製・粉砕して得られる粒状、多角形の天然グラファイト、ピッチを紡糸し、炭化し、裁断したグラファイトファイバー、ポリアクリロニトリル等の有機ポリマーの炭化あるいは、グラファイト化したもの、球形、粒状、多角形の天然グラファイトあるいは人造グラファイトに溶剤に溶解したポリアクリロニトリル等の有機ポリマーを被覆・炭化するか芳香族炭化水素をCVD法で被覆するかピッチ・フェノール樹脂等を表面に被覆・炭化して得られる多重構造選炭素材、コークスから選ばれた単独または、それらの混合物を88〜94重量%と溶剤のN−メチルピロリドン(NMP)に溶解してあるバインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を12から6重量%とを混合し、ペースト状あるいはスラリー状にして銅箔に塗布し溶剤を130から150℃で揮散させて乾燥させた負極シートを製造していた。通常のポリフッ化ビニリデン(PVDF)では、6重量%未満では、銅箔に塗工し、乾燥した後、サイジングしたり、折り曲げたり、巻回したりする電池缶に入れる前工程で剥離、脱離を起こし問題であった。また限られた電池缶内にできるだけ負極活物質を入れて容量を高める観点からもバインダー量を少なくすることが好ましいものの、上記の問題があり、使用量をかかる重量%より減らすことは、困難であった。
正極製造には、正極活物質粉末をNMPに溶解したバインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を3から5重量%とを混合し、ペースト状あるいはスラリー状の塗工液にしてアルミニウム箔に塗布し、溶剤を130から150℃で揮散させ、正極シートを製造していた。
しかるに正極及び負極共通のバインダーにPVDFを使用できるならば、溶剤NMPを塗工機より回収できる簡便さがあるにもかかわらず、近年の電池高容量化の技術動向の中、正極と負極をそれぞれ別のバインダーを用いることとなり、負極活物質を97重量%に高めることのできるカルボキシメチルセルロースとゴムラテックス等の水溶性バインダー液も用いられることとなった。
ただし、リチウムイオン電池に使用される電解液には、カルボキシメチルセルロースとゴムは、ほとんど膨潤もせず、イオン伝導性に乏しい。若干電解液に膨潤し、イオン伝導性を示す点で有利であるPVDFとは挙動が異なる。
リチウムイオン電池の急速充電特性あるいは急速放電特性の更なる改良には、イオン伝導性を保有する銅箔との密着力のある負極中の活物質濃度を高めることのできてしかも正極のバインダーと共通に溶剤NMPを回収して使用できるPVDF系のバインダーの出現が待たれていた。
【0004】
〔発明が解決しようとする課題〕
負極中の活物質濃度を高めてもなお銅箔との密着力を保持できて、イオン伝導性を保有するPVDF系のバインダーが求められていた。
本発明が解決しようとする課題は、かかる目的を満たすように改質したポリフッ化ビニリデンを含有するリチウムイオン電池負極製造のための粉末状のコンパウンドを提供することにある。
【0005】
〔課題を解決するための手段〕
本発明らは、上記課題について種々検討した結果、リチウムイオン二次電池用負極を製造する目的に給することのできるようになるアルカリにより部分的に脱フッ化水素処理をし、更に酸化剤による酸化処理を施している変性ポリフッ化ビニリデンを含有する粉末状のコンパウンドを見出し、かつ輸送と塗工液調製が簡便となるようにし、本発明を完成させるに至った。
【0006】
〔発明の実施の形態〕
以下、本発明を具体的に説明する。
すなわち、本発明は、バインダーであるポリフッ化ビニリデンを高分子量のものに限定し、アルカリにより部分的に脱フッ化水素処理をし、更に酸化剤による酸化処理を施して変性ポリフッ化ビニリデンを得る。これを0.8重量%以上3重量%以下とリチウムイオン電池負極活物質97重量%以上99.2重量%とを含むことを特徴とするリチウムイオン電池用負極製造のための粉末状のコンパウンドである。好ましくは、その変性処理前のポリフッ化ビニリデンが、溶剤のN−メチルピロリドン(NMP)と溶液を形成し、高分子量の度合いの目安として8重量%ポリマー濃度の粘度において0.4Pas以上あり、更に好ましくは、0.75Pas以上であり、最も好ましくは、1.2Pas以上の乳化重合ないし縣濁重合により得られるものである。0.2Pas未満では、本発明のコンパウンドをNMP等に溶解して銅箔に塗布した場合、密着力が低くなり、また2.2Pasを超えるとNMP等の溶剤への溶解が困難となり、塗布物の密着力も低下して好ましくない。
【0007】
本発明に用いる変性ポリフッ化ビニリデンは、一例としてあげると乳化重合で得られた高分子量のポリフッ化ビニリデンラテックスあるいは、縣濁重合で得られたポリフッ化ビニリデン水分散液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、テトラブチルアンモニウムブロマイド、水酸化アンモニウム等のアルカリにより、茶褐色を呈するまで、脱フッ化水素処理を部分的に施し、更に適切な6.5−8のPH範囲に塩酸などの酸で調節した後に、酸化剤例えば過酸化水素による酸化処理を施した後、脱水、水洗し乾燥して得る。
銅箔との密着力を損ねない比率まで通常のポリフッ化ビニリデン粉末を添加しても差し支えない。
【0008】
本発明に使用する負極活物質としては、ピッチコークス、ピッチから析出した球晶等を原料にした600℃から1400℃で炭化処理されたコークス、2600℃から3200℃で熱処理された球形、繊維状の人造グラファイト、精製・粉砕して得られる粒状、多角形の天然グラファイト、ピッチを紡糸し、炭化し、裁断したグラファイトファイバー、ポリアクリロニトリル等の有機ポリマーの炭化あるいは、グラファイト化したもの、球形、粒状、多角形の天然グラファイトあるいは人造グラファイトに溶剤に溶解したポリアクリロニトリル等の有機ポリマーを被覆・炭化するか芳香族炭化水素をCVD法で被覆するかピッチ・フェノール樹脂等を表面に被覆・炭化して得られる多重構造炭素材から選ばれた単独または、それらから選ばれた1種以上の混合物であり、比較的に大きい粒子径、メジアン粒子径として8ミクロンから35ミクロンの範囲にあり、好ましくは、13ミクロンから30ミクロンの範囲にあり更に好ましくはグラファイト粉末をピッチコークスないし有機炭化水素ないし有機ポリマーを用いて炭化・改質されたものを80重量%以上100重量%を占め、しかも銅箔面と塗布膜との間に生じる層間剥離を起こさないように最大粒子径(完全球形粒子とみなした体積の累積体積率100%の粒子径(D(100)の数値)が50ミクロン以下に制御してあるものである。またアスペクト比を有するグラファイトファイバーの粉砕物等を20重量%以下を含有して使用することが出来る。
【0009】
本発明のコンパウンドを得るには、通常粉体混合に使用されているタンブラー等の機器で構わないが、生産性と均一混合の上で、0.5分から3分間、500rpmから3000rpmの高速回転する混合機が好ましい。本発明のコンパウンドの特徴としては、溶剤を入れることなく輸送できるために、倉庫保管も容易であり、輸送梱包も簡便に出来る。しかも、塗布現場でNMP等の溶剤を加えて、塗布液を調製する際に、従来法の粉末のポリフッ化ビニリデンをNMPに溶解する時のような煩雑な作業が全くなくなる。すなわち空気を抱き込んで塊状物を生成してしまい、均一な溶液にするのに多大な時間を要したり、60℃以上に加熱し、特殊な強制攪拌をする必要が全くない。40℃から50℃の加温で通常の攪拌翼で均一混合が可能である。負極活物質粒子間に既に変性ポリフッ化ビニリデン粉末粒子がよく分散していることから、NMPへの溶解時、活物質粒子とのせん断により極めて容易に塗布液になるためと推定される。
【0010】
〔実施例〕
以下実施例、比較例により本発明を詳しく説明するが、本発明の範囲は、これに限定されるものではない。
【0011】
リチウムイオン電池用負極活物質の粒子径分布測定は、堀場製作所製のLA−920を用いて水を分散媒として透過率(H)85〜90%で循環速度7で測定する。
完全球形粒子とみなした体積の累積体積率50%の粒子径(D(50))をメジアン粒子径と呼称し、ミクロン単位で表示する。また累積体積率100%の粒子径(D(100))を最大粒子径として表示する。各負極活物質と変性PVDFあるいはPVDFをバインダーとしてコンパウンドを3000rpmのラボミキサーで混合する。
参考試験のために、BASF社製N−メチルピロリドン(NMP)エレクトロニクスグレードを用い、溶液スラリーをつくり、銅箔の片面に活物質量が6−12mg/cm2程度になるように塗布し、150℃で25分間、強制熱風循環乾燥機内で溶媒のNMPと微量水分を除去する。
冷却後、例えば幅2.5cm、長さ4cmの任意の大きさの電極として切断した後、R0.75mmφのステンレス棒を介して折り曲げ、折り曲げ部分に銅箔の金属肌が全く見えない物を評点5とし、折り曲げ部分に金属肌が一部見える度合いに応じて4ないし1とする。剥離ないし銅箔と塗布膜との間で層間剥離を生じた物を評点0として密着力の尺度とする。
参考のために、片面塗布の電極を切り出し、130℃で3時間、0.1パスカルの減圧下に乾燥し、グローブボックス内で乾燥アルゴンガス気流中、スクリューセルにこれを負極に、リチウム箔を対極として組み込まれる。
1MLiPF6/エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート(1:2:2容積比)の電解液を添加後30分に開放電圧から0.001Vまで0.4mA/cm2の定電流密度で充電を開始し、0.001Vに到達後更に0.001Vの定電圧に3時間に保持し、電流密度が1μA/cm2以下になるのを確認後、15分間の休止状態を経て0.4mA/cm2の定電流密度で放電し、1.50Vに到達時に停止し、その間に流れた電気量をスクリューセル内の負極活物質重量で割り算し、mAh/gを単位として放電容量とする。更に15分間の休止状態を経て0.4mA/cm2の定電流密度で0.001Vまで充電し、0.001Vに到達後更に3時間保持し、電流密度の1μA/cm2以下になるのを確認後、15分間の休止状態を経て0.4mA/cm2の定電流密度で放電し、1.50Vに到達時に停止し、その間に流れた電気量をスクリューセル内の負極活物質重量で割り算し、mAh/gを単位としてこの充電と放電を繰り返す。活物質としての寿命の目安としての容量保持率は、第2回目の放電容量(A)に対して第10回目の放電容量(B)の百分率である。
【0012】
〔実施例1〕グラファイト90重量部とピッチとフェノール樹脂の混合物を被覆し窒素ガス雰囲気下950℃で加熱して得られる炭化物10重量部からなる多重構造炭素材(メジアン粒子径22ミクロン、D(100)=43ミクロン)19.6g(98重量%)と乳化重合で得られるポリフッ化ビニリデンをアルカリにより部分的に脱フッ化水素処理し、更に酸化剤により酸化処理されている変性ポリフッ化ビニリデンであるアトフィナ・ジャパン社製MKB272粉末0.4000g(2.0重量%)(8%NMP溶液での粘度は1.2Pasを示す。)とマレイン酸無水物0.0018gとシュウ酸2水和物0.0200gを添加し攪拌混合した後、ラボミキサーに移し1分間混合し、リチウムイオン2次電池負極用コンパウンド粉末を得る。
〔参考例1〕実施例1で得られる負極用コンパウンド粉末20gにBASF製N−メチルピロリドン(NMP、モノメチルアミン残存0.89ppm)を14g添加し、45℃に加温しながら15分間よく練れるように攪拌する。これを10μm厚みの銅箔(日本製箔社製)にドクターブレードでスラリーを展伸・塗布し、乾燥する。
塗布物の評価結果を放電容量及び容量保持率の測定結果と共に表1に示す。
【0013】
〔実施例2〕実施例1と同じ多重構造選炭素材17.856g(89.28重量%)と繊維状グラファイト(ペトカ社製、メルブロンミルドFM14)1.984g(9.92重量%)との混合物(メジアン粒子径21ミクロン、D(100)=43ミクロン)と変性ポリフッ化ビニリデン(アトフィナ・ジャパン社製MKB272粉末0.1600g(0.8重量%)(8%NMP溶液での粘度は1.2Pasを示す。)とマレイン酸無水物0.0018gを添加し攪拌混合した後、ラボミキサーに移し、1分間混合し、負極コンパウンド粉末を得る。
〔参考例2〕実施例2で得られる負極コンパウンド粉末20gにBASF製N−メチルピロリドン(NMP、モノメチルアミン残存0.89ppm)を14g添加し、45℃に加温しながら15分間よく練れるように攪拌する。これを14μm厚みの銅箔(日本製箔社製)にドクターブレードでスラリーを展伸・塗布し、乾燥する。塗布物の評価結果を放電容量及び容量保持率の測定結果と共に表1に示す。
【0014】
〔実施例3〕芳香族炭化水素をCVD法で被覆し、炭化して得られる多重構造炭素材(三井鉱山マテリアル社製GDRの32ミクロンふるい通過品のみ使用、メジアン粒子径21ミクロン、D(100)=43ミクロン)19.50g(97.5重量%)と変性ポリフッ化ビニリデン(アトフィナ・ジャパン社製MKB272)粉末0.5000g(2.50重量%)(8%NMP溶液での粘度は1.2Pasを示す。)とマレイン酸無水物0.0018gとシュウ酸2水和物0.0200gを添加し攪拌混合した後、ラボミキサーに移し、1分間混合し、負極コンパウンド粉末を得る。
〔参考例3〕実施例3で得られる負極コンパウンド粉末20gにBASF製N−メチルピロリドン(NMP、モノメチルアミン残存0.89ppm)を17.8g添加し、45℃に加温しながら15分間よく練れるように攪拌する。これを12μm厚みの銅箔(日本製箔社製)にドクターブレードでスラリスラリーを展伸・塗布し、乾燥する。塗布物の評価結果を放電容量及び容量保持率の測定結果と共に表1に示す。
【0015】
〔実施例4〕2リットルオークレーブ内に脱イオン水1050g、メチルセルロース0.39g、フッ化ビニリデンモノマー410gとジイソプロピルパーオキシジカーボネートを重合開始剤として使用し、25℃で縣濁重合する。重合後、オークレーブより取り出し、ステンレススチール製大型ビーカーに移し、テトラブチルアンモニウムブロマイドを含む15重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、75℃にてポリマーが茶褐色を呈し、沈殿するまで攪拌する。塩酸を加えて一旦、PHを5とした後、35重量%の過酸化水素と15重量%の水酸化ナトリウムをPH7前後で70℃に保持しながらポリマーが茶褐色から淡黄色になるまで追添して酸化処理する。酸化処理を終え、脱水、脱イオン水での水洗を少なくとも3度繰り返した後、70℃で真空乾燥する。こうして縣濁重合で得られるポリフッ化ビニリデンを部分的にアルカリによる脱フッ化水素処理をし、更に酸化剤による酸化処理されている変性ポリフッ化ビニリデン粉末0.2250g(1.5重量%)(8%NMP溶液での粘度は1.4Pasを示す。)とグラファイト粒子とピッチを混練りした後、加熱・炭化して得る多重構造炭素材(日立化成工業株式会社製MAGの32ミクロンふるい通過品のみ使用)、メジアン粒子径21ミクロン、D(100)=42ミクロン)19.70g(98.5重量%)とマレイン酸無水物0.0018gとシュウ酸2水和物0.0200gを添加し攪拌混合した後、ラボミキサーに移し、1分間混合し、負極コンパウンド粉末を得る。
〔参考例4〕実施例4で得られる負極コンパウンド粉末20gにBASF製N−メチルピロリドン(NMP、モノメチルアミン残存0.89ppm)を18g添加し、45℃に加温しながら15分間よく練れるように攪拌する。これを8μm厚みの銅箔(福田金属箔工業社製)にドクターブレードでスラリーを展伸・塗布し、乾燥する。塗布物の評価結果を放電容量及び容量保持率の測定結果と共に表1に示す。
【0016】
〔比較例1〕実施例3と同じ多重構造炭素材(三井鉱山マテリアル社製GDRの75ミクロンふるい通過品のみ使用)メジアン粒子径24ミクロン、D(100)=62ミクロン)19.50g(97.5重量%)とポリフッ化ビニリデン(アトフィナ・ジャパン社製301F粉末0.5000g(2.5重量%)(8%NMP溶液での粘度は0.35Pasを示す。)とマレイン酸無水物0.0018gとシュウ酸2水和物0.0200gを添加し攪拌混合した後、ラボミキサーに移し、1分間混合し、負極コンパウンド粉末を得る。
〔参考比較例1〕比較例1で得られる負極コンパウンド粉末20gにBASF製N−メチルピロリドン(NMP、モノメチルアミン残存0.89ppm)を17.8g添加し、45℃に加温しながら15分間よく練れるように攪拌する。これを12μm厚みの銅箔(福田金属箔工業社製)にドクターブレードでスラリスラリーを展伸・塗布し、乾燥する。
塗布物の評価結果を放電容量及び容量保持率の測定結果と共に表1に示す。
【0017】
〔比較例2〕実施例1と同じ多重構造選炭素材19.90g(99.5重量%)と変性ポリフッ化ビニリデン(アトフィナ・ジャパン社製MKB272)粉末0.1000g(0.5重量%)(8%NMP溶液での粘度は1.2Pasを示す。)とマレイン酸無水物0.0018gを添加し攪拌混合した後、ラボミキサーに移し、1分間混合し、負極コンパウンド粉末を得る。
〔比較参考例2〕比較例2で得られる負極コンパウンド粉末20gにBASF製N−メチルピロリドン(NMP、モノメチルアミン残存0.89ppm)を15g添加し、45℃に加温しながら15分間よく練れるように攪拌する。これを14μm厚みの銅箔(日本製箔社製)にドクターブレードでスラリーを展伸・塗布し、乾燥する。塗布物の評価結果を放電容量及び容量保持率の測定果と共に表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
〔発明の効果〕
本発明のリチウムイオン電池用負極製造のための粉末状のコンパウンドは、バインダーポリマーとしてアルカリにより部分的に脱フッ化水素処理され更に酸化剤により酸化処理されている変性ポリフッ化ビニリデンを0.8重量%以上3重量%以下を用い、かつメジアン粒子径が、13ミクロン以上30ミクロン以下の範囲にある炭素材料を用いることからなり、銅箔への優れた密着力を保持したまま、塗布膜中の負極活物質含有量を従来の未処理ポリフッ化ビニリデンに比して高めることが出来て、電池容量の向上に寄与するとともに、充・放電を繰り返す時の容量保持率の点でも優れる。
Claims (2)
- リチウムイオン二次電池負極活物質97重量%以上99.2重量%以下とアルカリにより部分的に脱フッ化水素処理され更に酸化剤により酸化処理されている変性ポリフッ化ビニリデン0.8重量%以上3重量%以下とを含むことを特徴とするリチウムイオン電池用負極製造のための粉末状のコンパウンド。
- リチウムイオン二次電池負極活物質が、グラファイト粉末をピッチコークスないし有機炭化水素を用いて炭化・改質されたものを80重量%以上を占め、かつメジアン粒子径が、13ミクロンから30ミクロンの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池負極製造のための粉末状のコンパウンド。
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