JP2004071466A - 照明装置及び液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた防反射効果を得ることができる照明装置及び、視認性に優れる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る照明装置10は、光源13と、該光源の光を側端面から導入し、内部を伝搬する前記光を出射面12bから出射させる導光板12とを備え、前記導光板12の出射面12bに、サブミクロンオーダーの微細な凹部又は凸部が配列形成された防反射層が設けられている。前記凹部又は凸部は、前記導光板の導光方向に沿って凹部又は凸部の基端部から頂点に到る第1斜面部と、該第1斜面部の前記導光方向に連続する第2斜面部とを有しており、前記第1斜面部の面積が、前記第2斜面部の面積よりも大きく形成されている。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、照明装置及び液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近特に応用範囲が拡大している携帯情報端末や携帯電話機などの表示部として、反射型の液晶パネルの前面に、フロントライトと称する照明装置を備えた液晶表示装置が幅広く採用されている。すなわち、液晶パネルの上方(観察者側)にフロントライトを配置し、上方から液晶パネルを照明するものである。
図12は、フロントライトを備えた液晶表示装置の断面構成図であり、この図に示す液晶表示装置100は、液晶パネル120と、この液晶パネル120の前面側に配設されたフロントライト110とから構成されている。液晶表示装置120は、互いに対向して配置された上基板121、下基板122との間にシール材124で封止された液晶層123を挟持しており、上基板121の内面側(液晶層123側)に、電極や配向膜などからなる液晶制御層126が形成され、下基板122の内面側(液晶層123側)には、アルミニウムや銀等の高反射率の金属薄膜からなる反射層127と、電極や配向膜などからなる液晶制御層128とが下基板122上に順に積層されている。
【0003】
フロントライト110は、平板状の導光板112と、この導光板112の側端面112aに配設された棒状の光源113とを備えて構成されており、光源113から出射された光を導光板112の側端面112aから導光板112内へ導入し、この光を、プリズム形状が形成された導光板112の反射面112cで反射させることにより光の伝搬方向を変え、導光板112の出射面112bから液晶パネル120へ向けて照射するようになっている。
また、フロントライト110の出射面112bには、防反射層117が形成されており、導光板112内部を伝搬する光を効率よく液晶パネル120側へ取り出すことができるようになっており、また、反射型の液晶パネル120からの反射光が導光板112表面で反射して減衰するのを防ぐことができるようになっている。
【0004】
上記防反射層117は、通常屈折率の異なる材料からなる複数層(典型的にはSiO層とTiO層)を周期的に積層したものが用いられており、各層をスパッタリング法や蒸着法などの成膜法により所定の膜厚に形成して、いわゆる1/4λの光学条件を作り出すことで、この防反射層117に入射する光を高い透過率で透過させるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の防反射層117の形成方法には、解決が必要な課題が多々存在する。このように屈折率の異なる複数の層を、蒸着やスパッタリングにより形成する方法では、この防反射層117の成膜がバッチ単位で行われるために生産性が低く、製造コストが非常に高くなるという問題がある。
また、防反射層117を構成する各層の屈折率、膜厚の組み合わせにより防反射効果を得ているため、全ての可視波長領域で防反射効果を得るのは本質的に困難である。そして、このような防反射層を備えた照明装置を斜め方向から観察すると、防反射層が色づいて見え、表示色の再現性が低下するという問題もある。さらに、複数の層が周期的に積層された多層膜構造であるため、特に高温、高湿環境での耐久性が問題となる可能性があり、導光板及びフロントライトの信頼性を確保する上で制約となる場合がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、優れた防反射効果を得ることができる照明装置を提供することを目的の一つとする。
また本発明は、上記照明装置を備え、視認性に優れる液晶表示装置を提供することを目的の一つとする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の防反射層117の問題点を解決し、優れた防反射効果と信頼性を得ることができる照明装置として、サブミクロンオーダーの微細な凹凸が配列形成された防反射層を導光板の出射面に備えた照明装置を、特願2001−400596号にて提案している。係る照明装置によれば、導光板の出射面における光の反射を防止し、被照射体である液晶パネルに照射する光量を増加させることがでできる。また、微細形状により防反射機能を実現しているため、信頼性に優れるという利点も有している。
しかしながら、上記照明装置を液晶パネル前面に備えた液晶表示装置を作製して動作させたところ、表示輝度は向上するものの、輝度の向上に比してコントラストの向上が小さいことが分かった。この現象について本発明者が調査を行ったところ、コントラストの向上幅が小さくなるのは、照明装置の出射面において反射光が生じており、その反射光により暗表示時の輝度がやや高くなるためであることが判明した。
そこで、本発明者は、上記微細な凹凸が配列形成された防反射層を有する照明装置における上記出射面における反射を効果的に防止するべく研究を重ね、本発明を完成するに到った。
【0008】
本発明に係る照明装置は、上記の目的を達成するために、光源と、該光源の光を側端面から導入し、内部を伝搬する前記光を出射面から出射させる導光板とを備え、前記導光板の出射面に、サブミクロンオーダーの微細な凹部又は凸部が配列形成された防反射層が設けられており、前記凹部又は凸部が、前記導光板の導光方向に沿って凹部又は凸部の基端部から頂点に到る第1斜面部と、該第1斜面部の前記導光方向に連続する第2斜面部とを有しており、前記第1斜面部の面積が、前記第2斜面部の面積よりも大きく形成されたことを特徴としている。
上述した微細な凹凸を有する防反射層における反射は、前記凹凸が微小であるために生じる反射回折光が観察者側へ出射されるのが原因であることを知見した。そして、上記構成を備えた照明装置を採用することで、前記反射回折光の強度を低減し、液晶パネルの前面に照明装置を配置した際の表示コントラストの向上を実現した。
上記構成の照明装置は、従来前記出射面の法線に対して対称形に形成されていた凹部又は凸部を、導光板の導光方向へ傾斜させて形成することで上記反射回折光の低減作用を得ている。より詳細には、導光板とその側端面に配設された光源とを主体とする照明装置では、導光板面内で光が所定方向へ伝搬するために、出射面に入射する光においても特定の入射角における輝度が高くなる傾向にある。本構成の照明装置では、前記凹部又は凸部を導光板の導光方向(導光板内部を伝搬する光の進行方向)に沿う形状とすることで、上記防反射層に入射した光の回折反射光を低減し、照明装置正面方向における漏れ光を低減するようになっている。
【0009】
次に、本発明に係る照明装置においては、前記第1斜面部に含まれる前記導光板導光方向の稜線の前記出射面に対する傾斜角φ1と、前記第2斜面部に含まれる前記導光板導光方向の稜線の前記出射面に対する傾斜角φ2との差が、5°以上とされることが好ましい。
また、前記傾斜角φ1とφ2との差が、10°以上とされることがより好ましい。
本構成の照明装置では、前記導光方向に沿って傾斜した凹部又は凸部の傾斜の程度として、導光方向手前側の稜線の出射面に対する傾斜角φ1と、導光方向奥側の稜線の傾斜角φ2との差が5°以上の角度差とされている。前記稜線は、当該凹部の最深点又は凸部の頂点を通る導光板導光方向の断面における前記凹部又は凸部の輪郭線に対応している。先に記載のように、係る凹部又は凸部において前記第1の斜面部の面積は前記第2の斜面部の面積よりも大きいため、傾斜角φ1よりも傾斜角φ2は大きくなる。
上記傾斜角φ1、φ2の角度差が5°未満では、前記反射回折光の低減が不十分であるためにプリズム面からの漏れ光が多く、コントラストが低い表示となる。また、前記反射回折光(−1次反射光)をより効果的に低減するためには、傾斜角φ1、φ2の角度差を10°以上とするのがよい。尚、上記傾斜角φ1、φ2の角度差の上限は、凹部の深さ、又は凸部の高さを確保するために、45°以下とすることが好ましい。
【0010】
次に、本発明に係る液晶表示装置は、先に記載の本発明の照明装置を、液晶パネルの前面側に備えたことを特徴とする。上記構成とすることで、照明装置の出射面での回折反射光を効果的に低減し、高コントラストで高品位の表示が得られる液晶表示装置を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である液晶表示装置の斜視構成図であり、図2は、図1に示す液晶表示装置の断面構成図である。これらの図に示す液晶表示装置は、反射型の液晶パネル20と、その前面側に配設されたフロントライト(照明装置)10とを備えて構成されている。
【0012】
フロントライト10は、略平板状の透明の導光板12と、この導光板12の側端面(入光面)12aに配設された光源13とを備えて構成されている。導光板12は、アクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂などから構成され、この導光板12の図示下面側(液晶表示ユニット20側)は、フロントライト10の照明光が出射される出射面12bとされており、図示上面側(液晶表示ユニット20と反対側)には、断面視三角波状のプリズム形状が形成されている。このプリズム形状は、より詳細には、前記出射面12bに対して傾斜して形成された緩斜面部14aと、この緩斜面部14aよりも急な傾斜角度で形成された急斜面部14bとからなる断面視三角形状の複数の突条14が互いに平行に形成されたものである。そして、図2に示すように、導光板12の出射面12bの表面に防反射層17が形成されている。
【0013】
導光板12の側端面12aに配設された光源13は、導光板12の側端面12aに沿って設けられた棒状の光源であり、具体的には棒状の導光体13bの両端部に白色LED(Light Emitting Diode)などからなる発光素子13a、13aを備えた構成とされている。そして、これらの発光素子13a、13aから出射された光を導光体13bを介して導光板12に導入するようになっている。このように発光素子13a、13aと導光板12との間に棒状の導光体13bを設けることで、点光源である発光素子13a、13aの光を、導光板12の側端面12aに均一に照射することができるようになっている。
尚、光源13は、導光板12の側端面12aに光を導入し得るものであれば問題なく用いることができ、例えば導光板12の側端面12aに沿って発光素子を並べた構成であっても良い。また、発光素子13aを1つのみ備えた構成であっても良い。
【0014】
上記構成のフロントライト10は、光源13から出射された光を、導光板12の側端面12aから導光板12内部へ導入し、内部を伝搬するこの光を、反射面12cに設けられた突条14の急斜面部14bで反射させることにより光の伝搬方向を変化させ、出射面12bから照明光として出射させるようになっている。
【0015】
本実施形態に係るフロントライト10の導光板12は、その出射面12b側に、防反射層17が形成されており、この防反射層が、サブミクロンオーダーの微細な凸部が格子状に配列形成され、係る凸部が出射面12bに対して傾斜して形成された構成であることが大きな特徴の一つである。この防反射層17について、図3及び図4を参照して以下に説明する。図3は、防反射層17における光の反射/透過状態を示す説明図であり、図4は、図2に示す防反射層17を拡大して示す断面構成図である。
【0016】
まず、図3に示すように、防反射層17は微細な凸部17aが正方格子状又は千鳥格子状に配列形成された構成であり、図4に示すように、各凸部17aは、導光板12の導光方向に沿って連続する第1斜面部31と、第2斜面部32とを有しており、第1斜面部31は出射面12bに対する傾斜角φ1を有して形成されており、第2斜面部32は、出射面12bに対する傾斜角φ2を有して形成されている。尚、これらの傾斜角φ1、φ2は、凸部17aの導光方向の稜線のうち、前記斜面部に含まれる部分と、出射面12b(図4では凸部17aの頂点同士を結ぶ線として示した)との成す角度である。図4に示すように、本実施形態に係る凸部17aは、導光方向に沿って傾斜した形状を有している。すなわち、傾斜角φ2>傾斜角φ1となるように凸部17aが形成されている。この凸部17aの傾斜角φ1、φ2は、その角度差を5°以上とすることが好ましく、10°以上とすることがより好ましい。このような範囲に傾斜角φ1、φ2を制御することで、透過率が高く、回折反射光の少ない、視認性に優れたフロントライトとすることができる。尚、本発明者は、上記傾斜角φ1、φ2の角度差の範囲が適切であることを、実験により検証しており、詳細は後述の(実施例)で述べることとする。
【0017】
図4に示す凸部17aのピッチPは、特に限定されないが、0.3μm以下とすることが好ましく、また凸部17aの高さhは0.2μm以上とすることが好ましい。これは、ピッチPが0.3μmを越えると、導光板に光を入射させた際に色づきが発生するからである。また、凸部17aの高さhが0.2μm未満であると、防反射効果が不十分であり、反射率が高くなるからである。
上記凸部17aのピッチPは、小さくするほど防反射層17の透過率を高めることができるが、0.2μm以下の極微細な凸部17aを、均一な寸法で配列形成するのは困難であり、製造コストの増加の原因となるため、実用的には凸部17aのピッチPの下限値は、0.2μm程度である。
【0018】
そして、図3に示すように、光源13の導光体13bから導光板12内に導入された光は、導光板12内部で反射を繰り返しながら伝搬し、直接又は導光板12上面の急斜面部14bにより反射されて防反射層17に入射する。光Lが防反射層17に入射する場合、図3に示すように大別して4方向の光が生じる。すなわち、入射光Lの進行方向側へ透過又は反射される0次透過光T及び0次反射光Rと、入射光Lの進行方向と反対側へ透過又は反射される−1次透過光T−1及び−1次反射光R−1とが生じる。これらの光のうち−1次透過光T−1と−1次反射光R−1とが、防反射層17の微細構造に起因する回折光であり、両者の光うち、特定範囲の入射角を有して入射した光Lに起因する−1次反射光R−1が、観察者側(すなわち液晶表示装置1正面方向)に出射されるために、実質的なコントラストが低下する原因となる。より詳細には、上記観察者側へ出射される−1次反射光R−1の成分は、入射角70°〜80°で防反射層に入射する入射光Lの成分により生じる−1次反射光であることが本発明者の調査により明らかとなっており、本実施形態に係る照明装置では、上記防反射層17の凸部17aの形状を最適化することで、上記角度範囲の−1次反射光R−1を低減し、液晶表示装置1の実質的なコントラストの向上を実現している。
【0019】
上記防反射層17は、例えば、金型を用いた導光板12の射出成形時に同時に形成することができる。すなわち、導光板12を形成するための金型のキャビティ部において、導光板12の出射面を形成する壁面に、サブミクロンオーダーの微細な凹部又は凸部が配列形成された構成とし、この金型を用いて射出成形を行うことで、このキャビティ部の凹凸形状を導光板の出射面に転写して導光板の出射面に防反射層を形成することができる。
上記キャビティ部壁面に形成される凹凸形状としては、形成される凹部又は凸部のピッチが0.3μm以下で、凹部又は凸部が正方格子状又は千鳥格子状に配列された形状とすることが好ましい。このような構成とすることで、防反射効果が大きく、また色づきのない導光板を製造することができる。
上記製造方法を採用することで、新たに工程を追加することなく、極めて効率よく防反射層を備えた導光板を製造することができる。従来の成膜法により防反射層を形成していた方法に比しても、安価に、かつ短時間で同等以上の防反射特性を有する導光板を製造することができる。
【0020】
本実施形態に係る製造方法に用いられる金型の防反射層を形成するための凹凸形状は、例えば、金型の壁面を電子ビーム描画装置を用いてパターニングし、その後エッチング処理を施すことで形成することができる。また、上記方法に限らず、金型のキャビティ部に凹凸形状を備えたスタンパーを配設することによっても、導光板の防反射層を形成することができる。この防反射層を形成するためのスタンパーは、Ni電鋳など公知の方法で作製することができる。
【0021】
液晶パネル20は、対向して配置された上基板21と下基板22との間に液晶層23が挟持され、この液晶層23が基板21,22の内面側周縁部に沿って平面額縁状に設けられたシール材24により封止された構成とされており、図1に示す液晶表示装置1では、下基板22の外面側に設けられたモールド230により支持された状態とされ、このモールド30の図示下面側(液晶パネル20と反対側)に設けられた制御回路(図示せず)と、モールド30の外周を回り込むように引き回されたフレキシブル基板29a、29bを介して接続されている。上基板21の内面側(下基板22側)には、液晶制御層26が形成されており、下基板22の内面側(上基板21側)には、フロントライト10の照明光や外光を反射させるための金属薄膜を有する反射層27が形成され、この反射層27上に液晶制御層28が形成されている。
【0022】
液晶制御層26,28は、液晶層23を駆動制御するための電極や、配向膜等を含んで構成されており、上記電極をスイッチングするための半導体素子等も含むものである。また、場合によってはカラー表示のためのカラーフィルタを備えていてもよい。そして、図2に示すように、下基板22側の液晶制御層28が、シール材24を越えて外側まで延長されて形成され、その先端部28aにおいて、フレキシブル基板29aと接続されている。尚、上基板21側の液晶制御層26は、詳細は図示されていないが、図1に示すフレキシブル基板29bと電気的に接続されている。
【0023】
反射層27は、液晶表示パネル20に入射した外光やフロントライト10の照明光を反射させるためのアルミニウムや銀などの高反射率の金属薄膜からなる反射膜を備えるものであり、特定の方向で反射光が強くなり液晶表示装置の視認性が低下するのを防止するための光散乱手段を備えることが好ましい。この光散乱手段としては、反射膜に凹凸形状を付与したものや、樹脂膜中に樹脂膜を構成する材料と異なる屈折率の樹脂ビーズを分散させた散乱膜等を用いることができる。
【0024】
以上の構成を備えた本実施形態の液晶表示装置1は、外光が十分に得られる環境では、外光を利用した反射表示を行うことができ、外光が得られない環境においては、フロントライト10を点灯させ、導光板12の出射面12bから出射される光を照明光として表示を行うことができるようになっている。
そして、フロントライト10の導光板12に防反射層17が設けられていることで、光源13から導光板12内部に導入された光を効率よく出射面12bから取り出すことができるので、液晶パネル20に入射する照明光量を高めて高輝度の表示を行うことができる。また、本実施形態に係る防反射層17では、配列形成された凸部17aが導光板12の導光方向に沿って傾斜した形状とされていることで、防反射層17で生じる−1次反射光を効果的に防止することができ、導光板12の防反射層17における観察者方向への光の反射を防止して、優れた視認性を得ることができる。
さらには、上記液晶パネル20に入射した光は、下基板22の反射層27により反射されて再び導光板12に入射し、この導光板12を透過して使用者に到達するようになっているが、本実施形態の液晶表示装置1では、上記導光板12に防反射層17が設けられていることで、液晶パネル20からの反射光が導光板の出射面12bでほとんど反射されずに使用者に到達する。従って、導光板12の出射面12bで反射されて表示光の輝度が低下するのを防止し、高輝度で高コントラストの表示を得ることができる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するとともに、本発明の効果をより明らかなものとする。
本実施例では、図1及び図2に示す構成の液晶表示装置について、導光板12の防反射層17の構成を種々に変更したものを作製し、その評価を行った。図5は、本実施例において作製した導光板の概略構成を示す説明図であり、図5A〜Cがそれぞれ後述するサンプル1〜3に対応している。図5において、符号62は導光板、67は防反射層、67aは防反射層67を構成する凸部、φ1は凸部67aの第1斜面部61の傾斜角度、φ2は凸部67aの第2斜面部62の傾斜角度を示している。
【0026】
(サンプル1A)
導光板として、図1に示す略平板状で、その一面側に光を反射させるためのプリズム形状を有し、出射面に防反射層が形成されたものを用意した。次いで、この導光板の側端面に棒状の導光体の両端に白色LEDからなる発光素子を備えた光源を配設してサンプル1のフロントライトを作製した。
前記導光板の防反射層は、微細な凸部が正方格子状に配列形成されたものとし、図5Aに示す断面形状を備えたものとし、凸部67aの平均ピッチは0.2μm、平均高さは0.35μmとした。そして、凸部67の斜面部61,62の傾斜角度φ1、φ2を、それぞれ、71°、76°とした。すなわち、本サンプルの照明装置は、導光板62の凸部67が導光方向に沿って光源から奥側に傾斜して形成された本発明の構成を備えた照明装置であり、傾斜角φ1と傾斜角φ2との差は5°である。
次に、上記にて作製した照明装置の背面側に、反射型の液晶パネルを配設してサンプル1Aの液晶表示装置を得た。
【0027】
(サンプル1B)
次に、前記斜面部61,62の傾斜角度φ1,φ2をそれぞれ69°、66°とし、傾斜角φ1と傾斜角φ2との差を10°とした以外は上記サンプル1Aと同様の構成として、サンプル1Bの液晶表示装置を作製した。
【0028】
(サンプル1C)
次に、前記斜面部61,62の傾斜角度φ1,φ2をそれぞれ66°、81°とし、傾斜角φ1と傾斜角φ2との差を15°とした以外は上記サンプル1Aと同様の構成として、サンプル1Cの液晶表示装置を作製した。
【0029】
(サンプル2)
次に、図5Bに示す構成の導光板を備えた液晶表示装置を作製した。係る液晶表示装置において、図5Bに示す防反射層の凸部67aの形状以外は、上記サンプル1と同様の構成とした。
図5Bに示す凸部67aの平均ピッチは0.2μm、平均高さは0.35μmとした。そして、凸部67の斜面部61,62の傾斜角度φ1、φ2を、それぞれ79°、69°とした。
【0030】
(サンプル3)
次に、図5Cに示す構成の導光板を備えた液晶表示装置を作製した。係る液晶表示装置において、図5Cに示す防反射層の凸部67aの形状以外は、上記サンプル1と同様の構成とした。
図5Cに示す凸部67aの平均ピッチは0.2μm、平均高さは0.35μmとした。そして、凸部67の斜面部61,62の傾斜角度φ1、φ2を、それぞれ74°、74°とした。本サンプルの液晶表示装置の防反射層67は、凸部67aが断面略二等辺三角形状の従来の防反射層と同様の構成を備えたものである。
【0031】
(評価)
以上のサンプル1A〜1C、サンプル2、及びサンプル3の液晶表示装置を動作させ、液晶パネル正面方向の表示輝度とコントラストを測定した結果を以下の表1に示す。表1に示すように、本発明の構成要件を備えたサンプル1A〜1Cの液晶表示装置は、サンプル2,3の液晶表示装置に比して、同等の表示輝度が得られ、かつコントラストに優れていることが確認された。特に、傾斜角φ1と傾斜角φ2との差が10°以上とされたサンプル1B,1Cの液晶表示装置はさらにコントラストに優れることが確認された。
【0032】
【表1】
Figure 2004071466
【0033】
次に、本発明に係る構成を備えた照明装置において、導光板正面方向に出射される反射光を低減できることを検証するために、図5A〜図5Cに示す各形状の凸部67aを有する防反射層における光の反射/透過状態をシミュレーションにより求めた。図6〜図8は、シミュレーションにより導出された−1次反射光の入射角依存性を示すグラフであり、これらの図において、横軸は入射光Lの入射角(°)を示し、縦軸は入射光を1とした場合の、防反射層により反射/透過された光に含まれる−1次反射光の割合を示している。図6は、図5Aに示す形状の凸部を備えた防反射層、図7は、図5Bに示す形状の凸部を備えた防反射層、図8は、図5Cに示す形状の凸部を備えた防反射層におけるシミュレーション結果である。
【0034】
図6〜図8に示されるように、本発明に係る構成である図5Aの形状の凸部を有する防反射層においては、防反射層の反射により生じる−1次反射光のうち、観察者方向へ出射される70〜80°で入射した光により生じた成分が、図7、図8に示す結果に比して極めて低くなっており、照明装置から直接観察者方向へ向かう光量を低減することができ、係る照明装置を液晶パネルの前面に配置するならば、高輝度、高コントラストの視認性に優れる液晶表示装置を構成できることが示唆される。
【0035】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の照明装置は、光源と、該光源の光を側端面から導入し、内部を伝搬する前記光を出射面から出射させる導光板とを備え、前記導光板の出射面に、サブミクロンオーダーの微細な凹部又は凸部が配列形成された防反射層が設けられており、前記凹部又は凸部が、前記導光板の導光方向に沿って凹部又は凸部の基端部から頂点に到る第1斜面部と、該第1斜面部の前記導光方向に連続する第2斜面部とを有しており、前記第1斜面部の面積が、前記第2斜面部の面積よりも大きく形成された構成とされたことで、前記防反射層において直接観察者へ向かう反射光となる回折反射光を低減することができ、例えば液晶表示装置のフロントライトとして用いた場合に、高輝度で、高コントラストの表示品位に優れる液晶表示装置を構成することができる。
【0036】
次に、本発明に係る液晶表示装置は、本発明の照明装置を液晶パネルの前面に配置した構成を備えたことで、高輝度で高コントラストの表示が可能な、視認性に優れる液晶表示装置とされている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態である液晶表示装置の斜視構成図である。
【図2】図1に示す液晶表示装置の断面構成図である。
【図3】図3は、防反射層17における光の反射/透過状態を示す説明図である。
【図4】図4は、図2に示す防反射層17を拡大して示す断面構成図である。
【図5】図5A〜図5Cは、実施例において作製した照明装置の導光板の断面構造を示す説明図である。
【図6】図6は、図5Aに示す形状の凸部を有する防反射層における−1次反射光の入射角依存性をシミュレーションにより求めた結果を示すグラフである。
【図7】図7は、図5Bに示す形状の凸部を有する防反射層における−1次反射光の入射角依存性をシミュレーションにより求めた結果を示すグラフである。
【図8】図8は、図5Cに示す形状の凸部を有する防反射層における−1次反射光の入射角依存性をシミュレーションにより求めた結果を示すグラフである。
【図9】図9は、従来のフロントライトを備えた液晶表示装置の断面構成図である。
【符号の説明】
1…液晶表示装置、10…フロントライト(照明装置)、20…液晶パネル、12…導光板、12a…側端面、12b…出射面、13…光源、13a…発光素子、13b…導光体、14…突条、14a…緩斜面部、14b…急斜面部、17…防反射層、17a…凸部、31…第1斜面部、32…第2斜面部、φ1…傾斜角、φ2…傾斜角、R−1…−1次反射光

Claims (4)

  1. 光源と、該光源の光を側端面から導入し、内部を伝搬する前記光を出射面から出射させる導光板とを備え、
    前記導光板の出射面に、サブミクロンオーダーの微細な凹部又は凸部が配列形成された防反射層が設けられており、
    前記凹部又は凸部が、前記導光板の導光方向に沿って凹部又は凸部の基端部から頂点に到る第1斜面部と、該第1斜面部の前記導光方向に連続する第2斜面部とを有しており、前記第1斜面部の面積が、前記第2斜面部の面積よりも大きく形成されたことを特徴とする照明装置。
  2. 前記第1斜面部に含まれる前記導光板導光方向の稜線の前記出射面に対する傾斜角φ1と、前記第2斜面部に含まれる前記導光板導光方向の稜線の前記出射面に対する傾斜角φ2との差が、
    5°以上とされたことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
  3. 前記傾斜角φ1とφ2との差が、10°以上とされたことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の照明装置を、液晶パネルの前面側に備えたことを特徴とする液晶表示装置。
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