JP2004070035A - プラズマディスプレイパネルの駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】発光効率が高く、高輝度、低消費電力のプラズマディスプレイパネルの駆動方法を実現することを目的とする。
【解決手段】維持電極と、維持電極を挟んで隣接して設けた第一走査電極および第二走査電極とにより構成した表示電極を複数形成した表面基板を有するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、第一走査電極と維持電極との間に与えた電位差により第1の維持放電を発生させた後、第一走査電極と維持電極との間の電位差より小さい電位差が与えられている第二走査電極と維持電極との間に第2の維持放電を発生させるように制御するものである。
【選択図】 図2
【解決手段】維持電極と、維持電極を挟んで隣接して設けた第一走査電極および第二走査電極とにより構成した表示電極を複数形成した表面基板を有するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、第一走査電極と維持電極との間に与えた電位差により第1の維持放電を発生させた後、第一走査電極と維持電極との間の電位差より小さい電位差が与えられている第二走査電極と維持電極との間に第2の維持放電を発生させるように制御するものである。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプラズマディスプレイパネルの駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)は、ガス放電によって発生した紫外線によって蛍光体を励起発光させて画像表示を行っている。PDPは、図11に示すように、間に放電空間1を形成するように表面基板2と背面基板3とを対向配置して構成されている。
【0003】
表面基板2上には、維持電極4および走査電極5が複数形成されている。維持電極4および走査電極5はそれぞれ透明電極6の上に金属からなるバス電極7を形成して構成している。また、維持電極4および走査電極5を覆うように表面基板2上に第一誘電体層8が形成され、さらに第一誘電体層8上に保護層9が形成されている。
【0004】
背面基板3上には、表示情報を書き込むためのデータ電極10が複数形成され、データ電極10を覆うように背面基板3上に第二誘電体層11が形成されている。第二誘電体層11上には、データ電極10の間に位置するようにデータ電極10に平行な隔壁12が形成され、第二誘電体層11の表面および隔壁12の側面には蛍光体層13が形成されている。データ電極10および隔壁12は、維持電極4および走査電極5と直交するよう配置されており、維持電極4および走査電極5とデータ電極10との交差部に放電セルが形成される。
【0005】
放電空間1には、放電ガスとしてネオン(Ne)とキセノン(Xe)の混合ガスが500Torr程度の圧力で充填されている。隔壁12は、隣接する放電セル間を仕切り、ガス放電に関わる荷電粒子等のクロストークによる誤放電や光学的クロストークによる混色を防いでいる。
【0006】
図12は従来のパネル部において維持電極4および走査電極5の配列の一例を示す概略図であり、維持電極4、走査電極5、データ電極10および隔壁12をそれらの位置関係がわかるように示している。一点鎖線で囲んだ領域は1つの放電セル14を表している。この図からわかるように、従来のパネル部では、放電ギャップ15をあけて配置された維持電極4および走査電極5からなる表示電極が各行に形成され、行間において維持電極4同士または走査電極5同士が隣り合うようにセル間ギャップ16をあけて配置されている。
【0007】
そして、上述のPDPは、それを駆動する駆動部と接続することによりプラズマディスプレイ装置が構成される。
【0008】
次に、PDPの表示動作について駆動電圧波形を示す図13を用いて説明する。テレビ映像を表示する場合、NTSC方式において映像は1秒間に60個のフレームで構成されている。このパネルで画像表示を行う場合、一定の強さをもつ発光パルスの数を例えば1、2、4、8、16、32、64、128のようにバイナリで重み付けした8個のサブフィールドによって1フレームを構成する。8個のサブフィールドはそれぞれの重み付けに応じた輝度の表示を行うものであり、これら8個のサブフィールドの中から表示に用いるサブフィールドを1個または複数個選択して所定輝度の表示を行うことにより階調表示を行っている。各サブフィールドは初期化期間、アドレス期間および表示期間からなる。
【0009】
初期化期間では、まず維持電極4に全面同時消灯パルスを印加することにより前のサブフィールドでの維持放電を終了させる。続いて走査電極5に全面同時点灯パルスを印加することによりすべての放電セルについて初期化放電を行い、次に維持電極4に全面同時消灯パルスを印加して初期化放電を終了させる。これにより、すべての放電セルにおいて前のサブフィールドの表示期間における点灯状態の影響を受けないようにする。
【0010】
初期化期間の後のアドレス期間では、1行目の走査電極5に書き込み走査パルスを印加すると同時に所望のデータ電極10に書き込み信号パルスを印加することにより、1行目の放電セル14のうち点灯させたい放電セル14でアドレス放電を起こし、保護層9の表面および蛍光体層13の表面に壁電荷を蓄積させる。2行目以降のすべての行についても順次同様にして点灯させたい放電セル14でアドレス放電を起こす。このようにして表示情報の書き込みを行う。
【0011】
アドレス期間の後の表示期間では、維持電極4と走査電極5との間に数十kHz〜数百kHzの放電維持パルスを印加することにより、アドレス期間においてアドレス放電を起こした放電セル14内でのみ維持放電を発生させる。維持放電で発生する紫外線によって蛍光体層13を励起し、可視光を発生させて表示動作を行う。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
PDPに対しては高精細化への要求が高まっており、これに対応するためには放電セルの配列ピッチを狭くする必要があるが、そのような狭ピッチで配列された場合、放電セル内の荷電粒子が放電セル内壁面へ拡散してしまうため、発光効率が低下するなどの問題が発生する。
【0013】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、発光効率が高く、高輝度、低消費電力のプラズマディスプレイパネルの駆動方法を実現することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明のプラズマディスプレイパネルの駆動方法は、維持電極と、維持電極を挟んで隣接して設けた第一走査電極および第二走査電極とにより構成した表示電極を複数形成した表面基板を有するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、第一走査電極と維持電極との間に与えた電位差により第1の維持放電を発生させた後、第一走査電極と維持電極との間の電位差より小さい電位差が与えられている第二走査電極と維持電極との間に第2の維持放電を発生させるように制御するものである。
【0015】
また、上記目的を達成するために本発明のプラズマディスプレイパネルの駆動方法は、維持電極と、維持電極を挟んで隣接して設けた第一走査電極および第二走査電極とにより構成した表示電極を複数形成した表面基板を有するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、維持パルス電圧を維持電極と走査電極とに交互に印加し、且つ、表示電極である第一走査電極と第二走査電極に対する維持パルス電圧は、位相が同じで高電位側の電圧値が異なるものとなるように制御するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、維持電極と、維持電極を挟んで隣接して設けた第一走査電極および第二走査電極とにより構成した表示電極を複数形成した表面基板を有するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、第一走査電極と維持電極との間に与えた電位差により第1の維持放電を発生させた後、第一走査電極と維持電極との間の電位差より小さい電位差が与えられている第二走査電極と維持電極との間に第2の維持放電を発生させるように制御するプラズマディスプレイパネルの駆動方法である。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、維持電極と、維持電極を挟んで隣接して設けた第一走査電極および第二走査電極とにより構成した表示電極を複数形成した表面基板を有するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、維持パルス電圧を維持電極と走査電極とに交互に印加し、且つ、表示電極である第一走査電極と第二走査電極に対する維持パルス電圧は、位相が同じで高電位側の電圧値が異なるものとなるように制御するプラズマディスプレイパネルの駆動方法である。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、維持パルス電圧の、高電位側の電圧値が正で、低電位側の電圧値が負であるというものである。
【0019】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、表面基板の複数の表示電極は、隣り合う放電セル間で、第一走査電極どうし、または第二走査電極どうしが隣接するように配置していることを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2から4のいずれかに記載の発明において、走査電極である第一走査電極と第二走査電極とに印加する維持パルス電圧を、一定の周期で入れ替えることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記一定の周期が、維持パルス電圧の周期であるというものである。
【0022】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図11および図12に示す部分と同一部分については同じ番号を付けている。
【0023】
図1は本発明の一実施の形態によるPDPの要部を示す断面図であり、図11および図12に示した従来のPDPと異なる点は表示電極の構成である。
【0024】
図1に示すように、本発明の一実施の形態によるPDPは、2つの基板である表面基板2と背面基板3とを間に放電空間1を形成するように対向配置し、表面基板2と背面基板3の周縁部を封着ガラスで気密封止して構成している。放電空間1にはNeとXeの混合ガスからなる放電ガスを所定の圧力および混合比で充填している。
【0025】
ガラスからなる表面基板2上には、第一走査電極20、維持電極21および第二走査電極22を順に配置することにより構成した表示電極23を複数形成している。第一走査電極20、維持電極21および第二走査電極22はそれぞれ透明電極6とその上に形成したバス電極7とにより構成されている。透明電極6はインジウムスズ酸化物(ITO)または酸化スズ(SnO2)等からなり、バス電極7は銀(Ag)厚膜(厚み2μm〜10μm)、アルミニウム(Al)薄膜(厚み0.1μm〜1μm)またはクロム/銅/クロム(Cr/Cu/Cr)積層薄膜(厚み0.1μm〜1μm)等からなる。
【0026】
また、酸化鉛(PbO)、酸化ビスマス(Bi2O3)または酸化燐(PO4)を主成分とする低融点ガラスからなる第一誘電体層8(厚み40μm)を、第一走査電極20、維持電極21および第二走査電極22を覆うように表面基板2上に形成している。また、放電空間1で発生する放電プラズマによる損傷から第一誘電体層8を保護するように、第一誘電体層8上に酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層9(厚み500nm)を形成している。
【0027】
一方、ガラスからなる背面基板3上には、第一走査電極20、維持電極21および第二走査電極22からなる表示電極23と直交する方向に複数のデータ電極10を形成している。データ電極10は、たとえば銀厚膜(厚み2μm〜10μm)、アルミニウム薄膜(厚み0.1μm〜1μm)またはクロム/銅/クロム積層薄膜(厚み0.1μm〜1μm)からなる。背面基板3上にはデータ電極10を覆うように、第一誘電体層8の構成材料と同様な低融点ガラスからなる第二誘電体層11(厚み5μm〜20μm)を形成している。また、図示していないが第二誘電体層11上にはガラスを主成分とする隔壁が、データ電極10間に位置するようにかつデータ電極10と平行に形成されている。さらに、カラー表示のための3色(赤、緑、青)の蛍光体層13を第二誘電体層11上および隔壁の側面に設けている。なお、第二誘電体層11を設けることによって蛍光体層13の密着性を改善するようにしており、第二誘電体層11が無いとパネルが動作しないというものではない。
【0028】
図9は、本発明の一実施の形態によるPDPにおいて、第一走査電極20、維持電極21および第二走査電極22とデータ電極10および隔壁12との位置関係がわかるように示した概略図である。
【0029】
図9に示すように、第一走査電極20、維持電極21および第二走査電極22からなる表示電極23が行方向に伸長して複数並んで配置されており、1つの表示電極23を構成する維持電極21と第一走査電極20および第二走査電極22との間にはそれぞれ放電ギャップ15が設けられている。また、データ電極10と隔壁12は列方向に伸長して配置されており、表示電極23とデータ電極10との交差部には一点鎖線で領域を示す放電セル14が形成され、データ電極10に沿って隣接する放電セル14間では第一走査電極20と第二走査電極22とがセル間ギャップ16を隔てて隣り合って配置されている。
【0030】
そして、表面基板2と背面基板3の間に複数の放電セル14を形成するように対向配置し、表面基板2と背面基板3の周縁部を封着ガラスで気密封止し、放電空間1にはNeとXeの混合ガスからなる放電ガスを所定の圧力および混合比で充填することでPDPが完成する。つまり、本実施の形態にかかるPDPは、表面基板2と背面基板3との間に複数の放電セル14を形成することにより構成され、一方の基板である表面基板2上に、第一走査電極20、維持電極21および第二走査電極22で構成される表示電極23を各放電セル14毎に1組配置されるように形成した構成となっている。
【0031】
次に、PDPの表示動作について図2に示す駆動電圧波形を用いて説明する。これは、図13に示した従来の駆動電圧波形に対して異なる、表示期間における駆動波形のみを示すものである。すなわち、表示期間以外の、初期化期間とアドレス期間においては、本実施の形態においては、第一走査電極20および第二走査電極22には図13で示した走査電極5と同じ駆動電圧が、また、維持電極21には図13の維持電極4と同じ駆動電圧が基本的には印加される。但し、従来とは電極構造が大きく異なるので、電圧波形の詳細に至るまでが全てが同じというわけではない。
【0032】
図2中の細実線と太破線は、それぞれ維持電極21を基準電位にしたときの第一走査電極20、第二走査電極22にそれぞれ印加される放電維持パルスの電圧波形を表す。それらの特徴は、位相が同じで高電位側の電圧値が異なるというものである。つまり、第一走査電極20に印加される維持パルス電圧の高電位側の電圧値VHiは、第二走査電極22に印加される維持パルス電圧の高電位側の電圧値電圧VLoと異なり、VHiに比べVLoを低くしていることにある。
【0033】
ここで図2では、維持パルス電圧の高電位側の電圧値が正で、低電位側の電圧値が負である例を示したが、低電位側の電圧値が0であっても構わない。また維持パルス電圧の低電位側の電圧値が、第一走査電極20、第二走査電極22とも同じ電圧値である例を示しているが、低電位側の電圧値も高電位側の電圧値と同様、異なるものでも良い。また、低電位側の電圧値の絶対値は、高電位側の電圧値VHiと同一である例を示したが、低電位側の電圧値の絶対値としてVHiより大きな値を設定しても構わない。また、維持パルス電圧の印加のタイミングの位相が180度ずれて電圧の正負が逆転しても、また、図3に示すように、図2に対して、第一走査電極20と第二走査電極22とに印加する維持パルス電圧の大小が入れ替わったものでも構わない。
【0034】
図4に本実施の形態にかかるPDPを駆動するための駆動電圧の波形を示す。これは、表示期間の駆動電圧波形については、維持電極21の電圧波形は図13に示す従来例と同様の電圧波形とし、表示電極23である第一走査電極20および第二走査電極22には、図2または図3を用いて説明した上述の条件を満たす駆動電圧を印加するものである。
【0035】
以上の構成における駆動の状態は次のとおりと考えられる。まず、第二走査電極22よりも高い維持パルス電圧が印加される第一走査電極20と維持電極21との間で第1の維持放電が発生する。この第1の維持放電によって発生した荷電粒子や励起状態の粒子等がプライミングとなるため、その結果、第一走査電極20より低い維持パルス電圧しか印加されていない第二走査電極22と維持電極21との間でも第2の維持放電が始まる。結果として放電領域が拡大し輝度向上が図られ、且つ、放電は維持電極21を中心とした第一走査電極20と第二走査電極22との領域内となるので、PDPが高精細で放電セル14ピッチが狭い場合であっても、隣接する放電セル14間での放電の干渉は発生しにくい。
【0036】
ここで、本実施の形態にかかるPDPと従来のPDPとの評価の比較を、実際にPDPを作製することで行った。本実施の形態にかかるPDPの駆動電圧の波形は図4に示したものとし、従来のPDPの駆動電圧の波形は図13に示したものとした。そして、PDPの中央部の領域のみを白表示し(背景は黒表示)、発光輝度を同一に保ちながら、消費電力を調べた。
【0037】
その結果、従来のPDPの消費電力は、本実施の形態にかかるPDPに比べ約1.6倍となることが判った。また、放電電流の測定結果を図10に示す。太線は本発明でのPDP、細線は従来例でのPDPの結果である。本実施の形態にかかるPDPの放電電流は、従来例のPDPの放電電流に比べ、ピークが低く、且つ、ピークが2つあり、放電電流が流れている時間が長くなっていることがわかる。放電電流の2つのピークは、それぞれ第1および第2の維持放電の発生を意味している。
【0038】
以上の評価結果において、本実施の形態にかかるPDPの消費電力が低下し、発光効率が向上した理由としては以下のように考えられる。すなわち、PDPは励起レベルと基底レベル間の遷移による発光を利用している。この発光に対しては、放電電流に対して発光輝度の飽和が発生する領域が存在するため、発光効率の観点から低い電流レベルでパネルを駆動する方が望ましい。ここで、本実施の形態にかかるPDPは、低放電電流で駆動することができ、且つ低放電電流に伴う発光輝度の低下を放電時間の増加で補うことができるため、発光効率が向上したものと考えられる。
【0039】
ここで、図2および図3に示すVLoおよびVHiは、本発明者が行った検討により、VLo≧0.75VHiであることが、輝度を保ちつつ効率を向上できるという面で好ましい。
【0040】
また図5に、別の駆動電圧の波形の例を示す。これは、維持パルス電圧の高電位側の電圧値が正で、低電位側の電圧値が負であるという例である。維持パルス電圧をこのような波形とすることにより、維持電極21と第一走査電極20および第二走査電極22との相対電圧差を保ちながら、それぞれに印加する電圧値を小さくすることができ、効率の向上を更に図ることができる。
【0041】
ここで、表示期間において放電が維持される条件を考えると、第一走査電極20と維持電極21の間に比べて、維持電極21と第二走査電極22間では壁電荷量は、電極間電圧にほぼ比例して少なくなる。従って、安定な維持放電を保つためには、半周期後の維持パルス電圧は両電極間の電圧を等しくし、放電後はほぼ等量の壁電荷を蓄積する必要がある。壁電荷量の違いによって電極間電圧が同じでも、1つの放電維持パルスで2回の放電が生じる。
【0042】
さて、本実施の形態にかかるPDPの電極構成では、第一走査電極20と維持電極21間では強い発光(第一の放電)が、維持電極21と第二走査電極22間では弱い発光(第二の放電)が常に生じる。従って、両電極間で蛍光体の劣化速度がアンバランスになり、パネルの寿命は第一走査電極20と維持電極21間付近の蛍光体劣化に律速され、結果的に寿命は短くなる。そこで、図6および図7に示すように、維持パルス電圧の周期に同期させて第一走査電極20と第二走査電極22とに印加される維持パルス電圧を入れ替えると、強い放電、弱い放電の位置が切り替わるため、PDPの寿命が改善される。図6に示す駆動電圧の波形は図4に示す駆動電圧の波形を、図7に示す駆動電圧の波形は図5に示す駆動電圧の波形をそれぞれ改善したものである。なお、これらの放電維持パルスの入れ替え周期は上記に限定されることはなく、周期的に入れ替えれば同様の効果が得られる。
【0043】
また、図9に示す電極構成では、表示期間において第一走査電極20と第二走査電極22間に異なる電圧を印加することによって、セル間ギャップ16で浮遊容量が存在し、その充放電に伴う電力損(無効電力)が消費電力を上げてしまうという課題が発生する場合がある。そのような場合には、図8に示すように、複数の表示電極23を、隣り合う放電セル14間で、第一走査電極20どうし、または第二走査電極22どうしが隣接するように配置することで解決することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、高精細であっても発光効率の改善により、高輝度、低消費電力の、そして低消費電力という意味では環境負荷が少ないプラズマディスプレイパネル駆動方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの要部を示す断面図
【図2】本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの駆動部が表示期間で出力する駆動電圧の波形を示す図
【図3】同じく、本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの駆動部が表示期間で出力する駆動電圧の波形を示す図
【図4】本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの駆動電圧の波形を示す図
【図5】同じく、本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの駆動電圧の波形を示す図
【図6】同じく、本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの駆動電圧の波形を示す図
【図7】同じく、本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの駆動電圧の波形を示す図
【図8】本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの表示電極の配置を示す概略図
【図9】同じく、本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの表示電極の配置を示す概略図
【図10】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルと従来のプラズマディスプレイパネルとの放電電流波形の比較を示す図
【図11】従来のプラズマディスプレイパネルの要部を示す斜視図
【図12】従来のプラズマディスプレイパネルの表示電極の配置を示す概略図
【図13】従来のプラズマディスプレイパネルの駆動電圧の波形を示す図
【符号の説明】
2 表面基板
3 背面基板
10 データ電極
14 放電セル
20 第一走査電極
21 維持電極
22 第二走査電極
23 表示電極
【発明の属する技術分野】
本発明はプラズマディスプレイパネルの駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)は、ガス放電によって発生した紫外線によって蛍光体を励起発光させて画像表示を行っている。PDPは、図11に示すように、間に放電空間1を形成するように表面基板2と背面基板3とを対向配置して構成されている。
【0003】
表面基板2上には、維持電極4および走査電極5が複数形成されている。維持電極4および走査電極5はそれぞれ透明電極6の上に金属からなるバス電極7を形成して構成している。また、維持電極4および走査電極5を覆うように表面基板2上に第一誘電体層8が形成され、さらに第一誘電体層8上に保護層9が形成されている。
【0004】
背面基板3上には、表示情報を書き込むためのデータ電極10が複数形成され、データ電極10を覆うように背面基板3上に第二誘電体層11が形成されている。第二誘電体層11上には、データ電極10の間に位置するようにデータ電極10に平行な隔壁12が形成され、第二誘電体層11の表面および隔壁12の側面には蛍光体層13が形成されている。データ電極10および隔壁12は、維持電極4および走査電極5と直交するよう配置されており、維持電極4および走査電極5とデータ電極10との交差部に放電セルが形成される。
【0005】
放電空間1には、放電ガスとしてネオン(Ne)とキセノン(Xe)の混合ガスが500Torr程度の圧力で充填されている。隔壁12は、隣接する放電セル間を仕切り、ガス放電に関わる荷電粒子等のクロストークによる誤放電や光学的クロストークによる混色を防いでいる。
【0006】
図12は従来のパネル部において維持電極4および走査電極5の配列の一例を示す概略図であり、維持電極4、走査電極5、データ電極10および隔壁12をそれらの位置関係がわかるように示している。一点鎖線で囲んだ領域は1つの放電セル14を表している。この図からわかるように、従来のパネル部では、放電ギャップ15をあけて配置された維持電極4および走査電極5からなる表示電極が各行に形成され、行間において維持電極4同士または走査電極5同士が隣り合うようにセル間ギャップ16をあけて配置されている。
【0007】
そして、上述のPDPは、それを駆動する駆動部と接続することによりプラズマディスプレイ装置が構成される。
【0008】
次に、PDPの表示動作について駆動電圧波形を示す図13を用いて説明する。テレビ映像を表示する場合、NTSC方式において映像は1秒間に60個のフレームで構成されている。このパネルで画像表示を行う場合、一定の強さをもつ発光パルスの数を例えば1、2、4、8、16、32、64、128のようにバイナリで重み付けした8個のサブフィールドによって1フレームを構成する。8個のサブフィールドはそれぞれの重み付けに応じた輝度の表示を行うものであり、これら8個のサブフィールドの中から表示に用いるサブフィールドを1個または複数個選択して所定輝度の表示を行うことにより階調表示を行っている。各サブフィールドは初期化期間、アドレス期間および表示期間からなる。
【0009】
初期化期間では、まず維持電極4に全面同時消灯パルスを印加することにより前のサブフィールドでの維持放電を終了させる。続いて走査電極5に全面同時点灯パルスを印加することによりすべての放電セルについて初期化放電を行い、次に維持電極4に全面同時消灯パルスを印加して初期化放電を終了させる。これにより、すべての放電セルにおいて前のサブフィールドの表示期間における点灯状態の影響を受けないようにする。
【0010】
初期化期間の後のアドレス期間では、1行目の走査電極5に書き込み走査パルスを印加すると同時に所望のデータ電極10に書き込み信号パルスを印加することにより、1行目の放電セル14のうち点灯させたい放電セル14でアドレス放電を起こし、保護層9の表面および蛍光体層13の表面に壁電荷を蓄積させる。2行目以降のすべての行についても順次同様にして点灯させたい放電セル14でアドレス放電を起こす。このようにして表示情報の書き込みを行う。
【0011】
アドレス期間の後の表示期間では、維持電極4と走査電極5との間に数十kHz〜数百kHzの放電維持パルスを印加することにより、アドレス期間においてアドレス放電を起こした放電セル14内でのみ維持放電を発生させる。維持放電で発生する紫外線によって蛍光体層13を励起し、可視光を発生させて表示動作を行う。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
PDPに対しては高精細化への要求が高まっており、これに対応するためには放電セルの配列ピッチを狭くする必要があるが、そのような狭ピッチで配列された場合、放電セル内の荷電粒子が放電セル内壁面へ拡散してしまうため、発光効率が低下するなどの問題が発生する。
【0013】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、発光効率が高く、高輝度、低消費電力のプラズマディスプレイパネルの駆動方法を実現することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明のプラズマディスプレイパネルの駆動方法は、維持電極と、維持電極を挟んで隣接して設けた第一走査電極および第二走査電極とにより構成した表示電極を複数形成した表面基板を有するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、第一走査電極と維持電極との間に与えた電位差により第1の維持放電を発生させた後、第一走査電極と維持電極との間の電位差より小さい電位差が与えられている第二走査電極と維持電極との間に第2の維持放電を発生させるように制御するものである。
【0015】
また、上記目的を達成するために本発明のプラズマディスプレイパネルの駆動方法は、維持電極と、維持電極を挟んで隣接して設けた第一走査電極および第二走査電極とにより構成した表示電極を複数形成した表面基板を有するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、維持パルス電圧を維持電極と走査電極とに交互に印加し、且つ、表示電極である第一走査電極と第二走査電極に対する維持パルス電圧は、位相が同じで高電位側の電圧値が異なるものとなるように制御するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、維持電極と、維持電極を挟んで隣接して設けた第一走査電極および第二走査電極とにより構成した表示電極を複数形成した表面基板を有するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、第一走査電極と維持電極との間に与えた電位差により第1の維持放電を発生させた後、第一走査電極と維持電極との間の電位差より小さい電位差が与えられている第二走査電極と維持電極との間に第2の維持放電を発生させるように制御するプラズマディスプレイパネルの駆動方法である。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、維持電極と、維持電極を挟んで隣接して設けた第一走査電極および第二走査電極とにより構成した表示電極を複数形成した表面基板を有するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、維持パルス電圧を維持電極と走査電極とに交互に印加し、且つ、表示電極である第一走査電極と第二走査電極に対する維持パルス電圧は、位相が同じで高電位側の電圧値が異なるものとなるように制御するプラズマディスプレイパネルの駆動方法である。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、維持パルス電圧の、高電位側の電圧値が正で、低電位側の電圧値が負であるというものである。
【0019】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、表面基板の複数の表示電極は、隣り合う放電セル間で、第一走査電極どうし、または第二走査電極どうしが隣接するように配置していることを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2から4のいずれかに記載の発明において、走査電極である第一走査電極と第二走査電極とに印加する維持パルス電圧を、一定の周期で入れ替えることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記一定の周期が、維持パルス電圧の周期であるというものである。
【0022】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図11および図12に示す部分と同一部分については同じ番号を付けている。
【0023】
図1は本発明の一実施の形態によるPDPの要部を示す断面図であり、図11および図12に示した従来のPDPと異なる点は表示電極の構成である。
【0024】
図1に示すように、本発明の一実施の形態によるPDPは、2つの基板である表面基板2と背面基板3とを間に放電空間1を形成するように対向配置し、表面基板2と背面基板3の周縁部を封着ガラスで気密封止して構成している。放電空間1にはNeとXeの混合ガスからなる放電ガスを所定の圧力および混合比で充填している。
【0025】
ガラスからなる表面基板2上には、第一走査電極20、維持電極21および第二走査電極22を順に配置することにより構成した表示電極23を複数形成している。第一走査電極20、維持電極21および第二走査電極22はそれぞれ透明電極6とその上に形成したバス電極7とにより構成されている。透明電極6はインジウムスズ酸化物(ITO)または酸化スズ(SnO2)等からなり、バス電極7は銀(Ag)厚膜(厚み2μm〜10μm)、アルミニウム(Al)薄膜(厚み0.1μm〜1μm)またはクロム/銅/クロム(Cr/Cu/Cr)積層薄膜(厚み0.1μm〜1μm)等からなる。
【0026】
また、酸化鉛(PbO)、酸化ビスマス(Bi2O3)または酸化燐(PO4)を主成分とする低融点ガラスからなる第一誘電体層8(厚み40μm)を、第一走査電極20、維持電極21および第二走査電極22を覆うように表面基板2上に形成している。また、放電空間1で発生する放電プラズマによる損傷から第一誘電体層8を保護するように、第一誘電体層8上に酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層9(厚み500nm)を形成している。
【0027】
一方、ガラスからなる背面基板3上には、第一走査電極20、維持電極21および第二走査電極22からなる表示電極23と直交する方向に複数のデータ電極10を形成している。データ電極10は、たとえば銀厚膜(厚み2μm〜10μm)、アルミニウム薄膜(厚み0.1μm〜1μm)またはクロム/銅/クロム積層薄膜(厚み0.1μm〜1μm)からなる。背面基板3上にはデータ電極10を覆うように、第一誘電体層8の構成材料と同様な低融点ガラスからなる第二誘電体層11(厚み5μm〜20μm)を形成している。また、図示していないが第二誘電体層11上にはガラスを主成分とする隔壁が、データ電極10間に位置するようにかつデータ電極10と平行に形成されている。さらに、カラー表示のための3色(赤、緑、青)の蛍光体層13を第二誘電体層11上および隔壁の側面に設けている。なお、第二誘電体層11を設けることによって蛍光体層13の密着性を改善するようにしており、第二誘電体層11が無いとパネルが動作しないというものではない。
【0028】
図9は、本発明の一実施の形態によるPDPにおいて、第一走査電極20、維持電極21および第二走査電極22とデータ電極10および隔壁12との位置関係がわかるように示した概略図である。
【0029】
図9に示すように、第一走査電極20、維持電極21および第二走査電極22からなる表示電極23が行方向に伸長して複数並んで配置されており、1つの表示電極23を構成する維持電極21と第一走査電極20および第二走査電極22との間にはそれぞれ放電ギャップ15が設けられている。また、データ電極10と隔壁12は列方向に伸長して配置されており、表示電極23とデータ電極10との交差部には一点鎖線で領域を示す放電セル14が形成され、データ電極10に沿って隣接する放電セル14間では第一走査電極20と第二走査電極22とがセル間ギャップ16を隔てて隣り合って配置されている。
【0030】
そして、表面基板2と背面基板3の間に複数の放電セル14を形成するように対向配置し、表面基板2と背面基板3の周縁部を封着ガラスで気密封止し、放電空間1にはNeとXeの混合ガスからなる放電ガスを所定の圧力および混合比で充填することでPDPが完成する。つまり、本実施の形態にかかるPDPは、表面基板2と背面基板3との間に複数の放電セル14を形成することにより構成され、一方の基板である表面基板2上に、第一走査電極20、維持電極21および第二走査電極22で構成される表示電極23を各放電セル14毎に1組配置されるように形成した構成となっている。
【0031】
次に、PDPの表示動作について図2に示す駆動電圧波形を用いて説明する。これは、図13に示した従来の駆動電圧波形に対して異なる、表示期間における駆動波形のみを示すものである。すなわち、表示期間以外の、初期化期間とアドレス期間においては、本実施の形態においては、第一走査電極20および第二走査電極22には図13で示した走査電極5と同じ駆動電圧が、また、維持電極21には図13の維持電極4と同じ駆動電圧が基本的には印加される。但し、従来とは電極構造が大きく異なるので、電圧波形の詳細に至るまでが全てが同じというわけではない。
【0032】
図2中の細実線と太破線は、それぞれ維持電極21を基準電位にしたときの第一走査電極20、第二走査電極22にそれぞれ印加される放電維持パルスの電圧波形を表す。それらの特徴は、位相が同じで高電位側の電圧値が異なるというものである。つまり、第一走査電極20に印加される維持パルス電圧の高電位側の電圧値VHiは、第二走査電極22に印加される維持パルス電圧の高電位側の電圧値電圧VLoと異なり、VHiに比べVLoを低くしていることにある。
【0033】
ここで図2では、維持パルス電圧の高電位側の電圧値が正で、低電位側の電圧値が負である例を示したが、低電位側の電圧値が0であっても構わない。また維持パルス電圧の低電位側の電圧値が、第一走査電極20、第二走査電極22とも同じ電圧値である例を示しているが、低電位側の電圧値も高電位側の電圧値と同様、異なるものでも良い。また、低電位側の電圧値の絶対値は、高電位側の電圧値VHiと同一である例を示したが、低電位側の電圧値の絶対値としてVHiより大きな値を設定しても構わない。また、維持パルス電圧の印加のタイミングの位相が180度ずれて電圧の正負が逆転しても、また、図3に示すように、図2に対して、第一走査電極20と第二走査電極22とに印加する維持パルス電圧の大小が入れ替わったものでも構わない。
【0034】
図4に本実施の形態にかかるPDPを駆動するための駆動電圧の波形を示す。これは、表示期間の駆動電圧波形については、維持電極21の電圧波形は図13に示す従来例と同様の電圧波形とし、表示電極23である第一走査電極20および第二走査電極22には、図2または図3を用いて説明した上述の条件を満たす駆動電圧を印加するものである。
【0035】
以上の構成における駆動の状態は次のとおりと考えられる。まず、第二走査電極22よりも高い維持パルス電圧が印加される第一走査電極20と維持電極21との間で第1の維持放電が発生する。この第1の維持放電によって発生した荷電粒子や励起状態の粒子等がプライミングとなるため、その結果、第一走査電極20より低い維持パルス電圧しか印加されていない第二走査電極22と維持電極21との間でも第2の維持放電が始まる。結果として放電領域が拡大し輝度向上が図られ、且つ、放電は維持電極21を中心とした第一走査電極20と第二走査電極22との領域内となるので、PDPが高精細で放電セル14ピッチが狭い場合であっても、隣接する放電セル14間での放電の干渉は発生しにくい。
【0036】
ここで、本実施の形態にかかるPDPと従来のPDPとの評価の比較を、実際にPDPを作製することで行った。本実施の形態にかかるPDPの駆動電圧の波形は図4に示したものとし、従来のPDPの駆動電圧の波形は図13に示したものとした。そして、PDPの中央部の領域のみを白表示し(背景は黒表示)、発光輝度を同一に保ちながら、消費電力を調べた。
【0037】
その結果、従来のPDPの消費電力は、本実施の形態にかかるPDPに比べ約1.6倍となることが判った。また、放電電流の測定結果を図10に示す。太線は本発明でのPDP、細線は従来例でのPDPの結果である。本実施の形態にかかるPDPの放電電流は、従来例のPDPの放電電流に比べ、ピークが低く、且つ、ピークが2つあり、放電電流が流れている時間が長くなっていることがわかる。放電電流の2つのピークは、それぞれ第1および第2の維持放電の発生を意味している。
【0038】
以上の評価結果において、本実施の形態にかかるPDPの消費電力が低下し、発光効率が向上した理由としては以下のように考えられる。すなわち、PDPは励起レベルと基底レベル間の遷移による発光を利用している。この発光に対しては、放電電流に対して発光輝度の飽和が発生する領域が存在するため、発光効率の観点から低い電流レベルでパネルを駆動する方が望ましい。ここで、本実施の形態にかかるPDPは、低放電電流で駆動することができ、且つ低放電電流に伴う発光輝度の低下を放電時間の増加で補うことができるため、発光効率が向上したものと考えられる。
【0039】
ここで、図2および図3に示すVLoおよびVHiは、本発明者が行った検討により、VLo≧0.75VHiであることが、輝度を保ちつつ効率を向上できるという面で好ましい。
【0040】
また図5に、別の駆動電圧の波形の例を示す。これは、維持パルス電圧の高電位側の電圧値が正で、低電位側の電圧値が負であるという例である。維持パルス電圧をこのような波形とすることにより、維持電極21と第一走査電極20および第二走査電極22との相対電圧差を保ちながら、それぞれに印加する電圧値を小さくすることができ、効率の向上を更に図ることができる。
【0041】
ここで、表示期間において放電が維持される条件を考えると、第一走査電極20と維持電極21の間に比べて、維持電極21と第二走査電極22間では壁電荷量は、電極間電圧にほぼ比例して少なくなる。従って、安定な維持放電を保つためには、半周期後の維持パルス電圧は両電極間の電圧を等しくし、放電後はほぼ等量の壁電荷を蓄積する必要がある。壁電荷量の違いによって電極間電圧が同じでも、1つの放電維持パルスで2回の放電が生じる。
【0042】
さて、本実施の形態にかかるPDPの電極構成では、第一走査電極20と維持電極21間では強い発光(第一の放電)が、維持電極21と第二走査電極22間では弱い発光(第二の放電)が常に生じる。従って、両電極間で蛍光体の劣化速度がアンバランスになり、パネルの寿命は第一走査電極20と維持電極21間付近の蛍光体劣化に律速され、結果的に寿命は短くなる。そこで、図6および図7に示すように、維持パルス電圧の周期に同期させて第一走査電極20と第二走査電極22とに印加される維持パルス電圧を入れ替えると、強い放電、弱い放電の位置が切り替わるため、PDPの寿命が改善される。図6に示す駆動電圧の波形は図4に示す駆動電圧の波形を、図7に示す駆動電圧の波形は図5に示す駆動電圧の波形をそれぞれ改善したものである。なお、これらの放電維持パルスの入れ替え周期は上記に限定されることはなく、周期的に入れ替えれば同様の効果が得られる。
【0043】
また、図9に示す電極構成では、表示期間において第一走査電極20と第二走査電極22間に異なる電圧を印加することによって、セル間ギャップ16で浮遊容量が存在し、その充放電に伴う電力損(無効電力)が消費電力を上げてしまうという課題が発生する場合がある。そのような場合には、図8に示すように、複数の表示電極23を、隣り合う放電セル14間で、第一走査電極20どうし、または第二走査電極22どうしが隣接するように配置することで解決することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、高精細であっても発光効率の改善により、高輝度、低消費電力の、そして低消費電力という意味では環境負荷が少ないプラズマディスプレイパネル駆動方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの要部を示す断面図
【図2】本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの駆動部が表示期間で出力する駆動電圧の波形を示す図
【図3】同じく、本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの駆動部が表示期間で出力する駆動電圧の波形を示す図
【図4】本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの駆動電圧の波形を示す図
【図5】同じく、本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの駆動電圧の波形を示す図
【図6】同じく、本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの駆動電圧の波形を示す図
【図7】同じく、本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの駆動電圧の波形を示す図
【図8】本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの表示電極の配置を示す概略図
【図9】同じく、本発明の一実施の形態にかかるプラズマディスプレイパネルの表示電極の配置を示す概略図
【図10】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルと従来のプラズマディスプレイパネルとの放電電流波形の比較を示す図
【図11】従来のプラズマディスプレイパネルの要部を示す斜視図
【図12】従来のプラズマディスプレイパネルの表示電極の配置を示す概略図
【図13】従来のプラズマディスプレイパネルの駆動電圧の波形を示す図
【符号の説明】
2 表面基板
3 背面基板
10 データ電極
14 放電セル
20 第一走査電極
21 維持電極
22 第二走査電極
23 表示電極
Claims (6)
- 維持電極と、維持電極を挟んで隣接して設けた第一走査電極および第二走査電極とにより構成した表示電極を複数形成した表面基板を有するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、第一走査電極と維持電極との間に与えた電位差により第1の維持放電を発生させた後、第一走査電極と維持電極との間の電位差より小さい電位差が与えられている第二走査電極と維持電極との間に第2の維持放電を発生させるように制御するプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
- 維持電極と、維持電極を挟んで隣接して設けた第一走査電極および第二走査電極とにより構成した表示電極を複数形成した表面基板を有するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、維持パルス電圧を維持電極と走査電極とに交互に印加し、且つ、表示電極である第一走査電極と第二走査電極に対する維持パルス電圧は、位相が同じで高電位側の電圧値が異なるものとなるように制御するプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
- 維持パルス電圧の、高電位側の電圧値が正で、低電位側の電圧値が負である請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
- 表面基板の複数の表示電極は、隣り合う放電セル間で、第一走査電極どうし、または第二走査電極どうしが隣接するように配置していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
- 走査電極である第一走査電極と第二走査電極とに印加する維持パルス電圧を、一定の周期で入れ替えることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
- 前記一定の周期が、維持パルス電圧の周期である請求項5に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
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JP2007324119A (ja) * | 2006-05-30 | 2007-12-13 | Lg Electronics Inc | プラズマディスプレイ装置 |
-
2002
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