JP2004070002A - 撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の撮像手段から広い範囲の画像を得ることができ、かつ水中において充分な解像度と画質を有する画像を撮影することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】広範囲の被写体を分割した複数の各分割被写部をそれぞれ個別に複数の撮像手段11,12,13,14によって撮影し、各撮像手段11,12,13,14からの映像情報を入力した処理手段によって1つの映像に張り合わせ処理する構成であり、撮像手段11,12,13,14を覆って透明防水部材20が設けられ、水中にあるときに撮像手段11,12,13,14の各NP点が1つのNP点を中心とした所定の半径領域内にあるように配置されている撮像装置を構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】広範囲の被写体を分割した複数の各分割被写部をそれぞれ個別に複数の撮像手段11,12,13,14によって撮影し、各撮像手段11,12,13,14からの映像情報を入力した処理手段によって1つの映像に張り合わせ処理する構成であり、撮像手段11,12,13,14を覆って透明防水部材20が設けられ、水中にあるときに撮像手段11,12,13,14の各NP点が1つのNP点を中心とした所定の半径領域内にあるように配置されている撮像装置を構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、全天(全方位)等の広い範囲を撮像することができる撮像装置に係わり、特に水中における撮影を行う場合に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、多数のビデオカメラを1つの筐体に収納して、全方位或いは全周を同時に撮影するカメラが種々開発されている。
【0003】
即ち、例えば空間のある一点を視点として水平面上でその周囲を撮像してパノラマ画像等の広範囲の画像を得るには、図7及び図8に示すように、点Iを中心としてその周囲に4個のビデオカメラ1,2,3,4を等間隔に配置すると共に、各ビデオカメラ1,2,3,4のレンズ5,6,7,8の光軸を放射方向に向けて固定している。
【0004】
これら4つのカメラ1,2,3,4により、撮影領域9の一部10をオーバーラップさせて、オーバーラップした個所をつなぎ合わせることにより、全周360度の画像を撮影することを可能にする。
【0005】
しかしながら、上述の従来の撮像装置にあっては、ビデオカメラ1,2,3,4の水平画角は90°以上必要であり、図8に示す2つのビデオカメラ3,4の撮像領域9がオーバーラップした領域10で、いわゆるパララックス(視差)を発生する。
【0006】
カメラから被写体までの距離により、このパララックスの値が異なるので、カメラ3とカメラ4でそれぞれ撮像した画像を張り合わせる際には、オーバーラップした領域10内の画像のどの位置を基準とするかによって、張り合わせて得られる画像が変わってくる。
即ちパララックスのある画像において、実用的な張り合わせを実施するには、画像のどの部分が重要であるかを編集者が眼で見て判断して、その位置を基準とする必要がある。このため、動画の張り合わせを自動化することは困難であり、撮像した画像の処理を自動化するに当たり大きな障害となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、例えば多角錐状に配置されたミラーを用いて、撮像視点を仮想的に一致させることにより複数カメラ間で発生するパララックス(視差)を解消する方法が提案されている。
【0008】
上述した多角錐状に配置されたミラーを用いた構成の撮像装置の一例の概略構成図を図9に示す。
この撮像装置は、多角錐状、この場合は8角錐状に配置された8枚の平面ミラー54と、各平面ミラー54に対向してそれぞれ1個ずつ配置されたカメラ51とを備えて成る。図9では、このうち撮像装置の中心線を通る鉛直面にある2枚の平面ミラー54及び2個のカメラ51が示されている。
各カメラ51にはレンズ52及び撮像素子53が設けられ、撮像素子53やその他の部品が収納された図示しないカメラ本体にレンズ52が取り付けられてカメラ51が構成される。
【0009】
この撮像装置において、画角最上部の画角端光線56A、画角最下部の画角端光線56B、レンズ光軸57上を通過する光線は、ミラー54で反射してレンズ52に入射し、撮像素子53上に結像する。
【0010】
そして、複数のカメラ51において、平面ミラー54による仮想的な視点中心55を略一致させることにより、パララックスを抑制することができる。これにより、複数のカメラ51による画像を貼り合わせて、全方位或いは全周等の広い範囲の画像が得られる。
【0011】
また、レンズ光軸57を通る光線の平面ミラー54への入射角度が45度となっているため、レンズ光軸57を通る光線は水平に平面ミラー54へ入射し、平面ミラー54で反射されて鉛直方向に向かってレンズ52に入射するようになっている。
【0012】
ところで、図9の構成の撮像装置を水中で使用する場合には、カメラ51のある部分に水が浸入しないように、図10に示すように撮像装置全体を覆って、透明防水部材60が設けられる。
例えば図10では、撮像装置51の構成に合わせて、ミラー54の八角錐よりも一回り大きい八角柱状に透明防水部材60が設けられる。
【0013】
この撮像装置を使用して、陸上つまり空気中で撮影を行う場合は、設計通り各カメラ51の撮像視点は仮想的に一致する。
【0014】
一方、この撮像装置を使用して、水中で撮影を行う場合における、透明防水部材を通った入射光の光線状態をミラー54を省いて模式的に図11に示す。図11に示すように、透明防水部材60の左側(外側)は屈折率1.33の水、右側(内側)は屈折率1の空気であり、透明防水部材60は平面であるため、下記のスネルの法則に従い、透明防水部材60を境として光線が内側に折れ曲がる。
N×sinθ=N´×sinθ´
(N及びθは入射側の媒質の屈折率及び入射角度、N´及びθ´は出射側の媒質の屈折率及び出射角度を示す)
尚、図11において、透明防水部材60の厚さは充分薄いものとして便宜上無視している。
【0015】
このとき、各カメラ51により撮影される画像の撮像範囲を、空気中で撮影した場合と比較して図12に示す。
図12Aは空気中で撮影した場合、図12Bは水中で撮影した場合の撮像範囲をそれぞれ示している。
図12A及び図12Bを比較してわかるように、水中で撮影した場合には、光線が図11に示したように透明防水部材60を境として折れ曲がることにより、その分だけ画角が狭くなる。このため、隣り合うカメラの撮像範囲71と72、72と73、73と74がつながらなくなる可能性がある。
【0016】
また、透明防水部材60を境として光線が内側に折れ曲がることにより、空気中で撮影した場合と比較して、カメラ51のレンズの視点中心が後方にずれる。このため、空気中で撮影した場合には無視できる程度に小さかったパララックスが大きくなってしまうことから、複数のカメラ51で撮影した画像をつなげる際に不都合を生じるおそれもある。
【0017】
このように、複数のカメラを備えた撮像装置を使用して、水中で撮影を行う場合には、カメラを覆って透明防水部材を配置することが多いため、上述したような問題が生じる。
【0018】
上述した問題の解決のために、本発明においては、複数の撮像手段から広い範囲の画像を得ることができ、かつ水中において充分な解像度と画質を有する画像を撮影することができる撮像装置を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の撮像装置は、広範囲の被写体を分割した複数の各分割被写部をそれぞれ個別に複数の撮像手段によって撮影し、これら各撮像手段からの映像情報を入力した処理手段によって1つの映像に張り合わせ処理するものであり、撮像手段がレンズ及びこのレンズを通過した光線を検知する撮像素子を備え、複数の撮像手段全体を覆って外部からの水の浸入を防止する防水部材が設けられ、防水部材は少なくとも撮像手段への入射光が通過する部分が透明な材料から成り、撮像手段のレンズの開口絞りの中心を通る主光線中、ガウス領域に位置する主光線を選択し、この選択された主光線の物空間における直線成分を延長して光軸と交わる点をNP点と定義したときに、撮像装置が水中にあるとき複数の撮像手段の各NP点が1つのNP点を中心とした所定の半径領域内にあるように撮像手段が配置されているものである。
【0020】
ここでNP点とは、本願の発明者らが光学系の基本的な考えに基づいて、複数の画像をつなぎ合わせた場合に生じるパララックスを如何に減少させることができるかを多くの実験を積み重ねた結果として検出されたもので、図6に示すように、物体で反射した光が等価凸レンズ300を介して撮像部301に像を結ぶ状態の場合で説明する。
【0021】
即ち等価凸レンズ300は、複数のレンズ302〜308によって構成され、開口絞り309がレンズ304とレンズ305の間に設けられている。
尚、図6中321は鏡胴を示し、322はカメラ(撮像手段)を示す。
【0022】
そして、開口絞り309の中心を通る無数の主光線のうち、光軸310に最も近い領域、つまり収差が最も小さいガウス領域を通る主光線311を選択する。この主光線311のうちの物空間312における直線部分を延長して光軸310と交わる点をNP点(ノンパララックス点)313として設定したものである。
【0023】
上述の本発明の撮像装置の構成によれば、複数の撮像手段全体を覆って外部からの水の浸入を防止する防水部材が設けられているため、撮像手段に直接水がかかることなく、水中で撮像装置を使用することができる。
また、防水部材は少なくとも上記撮像手段への入射光が通過する部分が透明な材料から成るため、入射光が防水部材で遮られることなく、透明な材料を通して撮像手段へ入射する。
そして、複数の撮像手段の各NP点が、撮像装置が水中にあるときに、1つのNP点を中心とした所定の半径領域内にあるように撮像手段を配置させたことにより、水中で撮像装置を使用する際に、各撮像手段の間のパララックスをなくすことが可能になる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明は、広範囲の被写体を分割した複数の各分割被写部をそれぞれ個別に複数の撮像手段によって撮影し、これら各撮像手段からの映像情報を入力した処理手段によって1つの映像に張り合わせ処理する撮像装置であって、撮像手段がレンズ及びこのレンズを通過した光線を検知する撮像素子を備え、複数の撮像手段全体を覆って外部からの水の浸入を防止する防水部材が設けられ、防水部材は少なくとも撮像手段への入射光が通過する部分が透明な材料から成り、撮像手段のレンズの開口絞りの中心を通る主光線中、ガウス領域に位置する主光線を選択し、この選択された主光線の物空間における直線成分を延長して光軸と交わる点をNP点と定義したときに、撮像装置が水中にあるとき複数の撮像手段の各NP点が1つのNP点を中心とした所定の半径領域内にあるように撮像手段が配置されている撮像装置である。
【0025】
また本発明は、上記撮像装置において、防水部材の透明な材料から成る部分の形状が平面である構成とする。
【0026】
また本発明は、上記撮像装置において、防水部材の上記透明な材料から成る部分の形状が曲面である構成とする。
【0027】
図1は、本発明の一実施の形態として、撮像装置の概略構成図(斜視図)を示す。
この撮像装置は、4つのカメラ11,12,13,14が1点Iを中心に放射状に配置されて成り、各カメラ11,12,13,14はそれぞれレンズ15,16,17,18を有する。各カメラ11,12,13,14は、図7に示した4つのカメラ1,2,3,4と同様に、水平方向の画角が90度以上とされて、撮像領域が重複するように構成される。これにより、帯状に周囲360度の撮影を行うことができる。
【0028】
また、撮像装置全体を覆って、直方体形状の透明防水部材20が設けられている。この透明防水部材20は、ガラスやプラスチック等の透明な材料から成る薄板状の部材より構成されており、カメラ11,12,13,14に直接水が触れないようにしている。
そして、直方体の4つの側面は、4つのカメラ11,12,13,14の中心点Iからほぼ等しい距離にある。
【0029】
本実施の形態の撮像装置においては、特に4つのカメラ11,12,13,14のそれぞれにおける前述したNP点が、水中に撮像装置があるときに、1つのNP点を中心とした所定の半径領域内にあるように、4つのカメラ11,12,13,14が配置された構成とするものである。
これにより、水中で本実施の形態の撮像装置を使用して撮影を行った際に、4つのカメラ11,12,13,14で撮影される画像のパララックスをなくして、容易に張り合わせることが可能になる。
【0030】
4つのカメラ11,12,13,14の各NP点が所定の半径領域(球体)内にあるように設定されることにより、各NP点が略一致することになる。
パララックスをなくして各カメラが撮影した画像を張り合わせるためには、少なくとも各カメラ(撮像手段)のNP点が半径約50mmの領域(球体)内に配置されるように構成し、より好ましくは各カメラ(撮像手段)のNP点が半径約20mmの領域(球体)内に配置されるように構成する。
【0031】
ここで、本実施の形態の撮像装置を、実際に水中に置いた場合の入射光の光線状態を説明する。
その場合、図2に示すとおり、透明防水部材20の図中左側(外側)は屈折率1.33の水であり、図2中右側(内側)は屈折率1の空気であり、透明防水部材20が平面であるため、透明防水部材20を境として、カメラ11,12,13,14がある部分の媒質の屈折率よりも透明防水部材20の外側の媒質の屈折率が高いことから、前述したスネルの法則に従い、光線が内側に折れ曲がる。
この図2では、カメラ11,12,13,14のレンズ15,16,17,18を示していて、各レンズの作用により、レンズ15,16,17,18内の絞り21の所で光線が集束されている。
尚、透明防水部材20の厚さは充分薄いものとして便宜上無視している。
【0032】
また、各カメラ11,12,13,14により撮影される範囲の変化を図3で説明する。
図3Aは空気中で撮影した場合、図3Bは水中で撮影した場合の各カメラ11,12,13,14の撮影範囲31,32,33,34をそれぞれ示している。ここでは、帯状に360度となっている全撮影範囲を平面に表現しているので、カメラ11の撮像範囲31を両端に重複して示している。
図3Bに示すように、水中で撮影した場合には、図2に示したように透明防水部材20を境として光線が折れ曲がるため、その分空気中で撮影した場合と比較して画角が狭くなり、撮影範囲31,32,33,34が小さくなることから、隣り合うカメラの撮像範囲のオーバーラップする量は少なくなる。
ここでは、水中でも撮像範囲のオーバーラップがなくならないように、構成している。
【0033】
次に、本実施の形態の撮像装置における、NP点の位置の変化について、図4を参照して説明する。
図4Aは空気中で撮影した場合のNP点の位置、図4Bは水中で撮影した場合のNP点の位置をそれぞれ示している。また、図4Bにおいては、図4Aにある空気中で撮影した場合の線を破線で示している。
【0034】
空気中で撮影した場合には、図4Aに示すように、各カメラ11,13のレンズのNP点N1,N3が一致していない。図示しない他の2つのカメラ12,14についても同様である。
【0035】
これに対して、水中で撮影した場合には、図2に示したように透明防水部材20を境として光線が内側に折れ曲がることにより、図4Bに示すように、NP点が空気中よりもカメラ11,13の後方にずれる。これは、次のように説明することができる。
透明防水部材20より内側における主光線の範囲は、カメラ11,13の画角で規定されるので、図4Bの破線即ち図4Aの空気中で撮影した場合と同じままである。
これに対して、透明防水部材20より外側は、空気から水に変わったことにより光線が内側に折れ曲がるため、屈折率の比に対応して主光線の範囲も破線から実線の範囲へと内側に変化する。
そして、NP点は物空間の主光線を延長して光軸と交わる点として定義されており、この場合の物空間は透明防水部材20より外側の水の部分であるため、図4Bの実線の方を透明防水部材20より内側にも延長して光軸と交わる点をNP点とする。
従って、NP点が、空気中で撮影した場合と比較して、内側(カメラ11,13の後方)にずれることになる。図示しない2つのカメラ12,14についても同様である。
【0036】
その結果、水中においては、各カメラ11,12,13,14のNP点が中心点Nの近傍に略一致するようになる。
このようにNP点が略一致するため、パララックスは無視できる程度に小さくなる。
【0037】
そして、本実施の形態では、水中において図4Bに示すようにNP点が略一致するように、予めカメラ11,12,13,14を配置して撮像装置を構成するものである。
【0038】
尚、本実施の形態の撮像装置の構成においては、透明防水部材20の平面とカメラ11,12,13,14との距離により、カメラ11,12,13,14同士の配置が同一であっても、水中で撮影する際のNP点の位置が変化する。
平面とカメラとの距離が近いときには、空気中と比較したNP点の位置の変化は少ない。
一方、平面とカメラとの距離が遠いときには、空気中と比較したNP点の位置の変化が大きくなる。
【0039】
従って、カメラ11,12,13,14同士の配置を調節するだけでなく、透明防水部材20とカメラ11,12,13,14との距離とをパラメーターとしてNP点の位置を調節することにより、水中において4つのカメラ11,12,13,14のNP点が略一致するように構成することができる。
【0040】
上述の本実施の形態の構成によれば、水中において、4つのカメラ11,12,13,14のNP点を所定の半径領域(球体)内にあるように、即ち略一致させるようにカメラ11,12,13,14を配置していることにより、水中で使用したときに各カメラ11,12,13,14で撮影される画像のパララックスをなくすことができる。
また、4つのカメラ11,12,13,14により、水平方向の全方位(全周)を撮影することが可能になる。
従って、パララックスをなくし、かつ上下左右360度全方位の水中映像、或いは円筒全方位を含む広範囲の水中映像を撮影することが可能になる。
【0041】
また、各カメラ11,12,13,14において高い解像度で撮像することにより、広い範囲を高い解像度で撮影することが可能になる。
従って、水中において高品位な撮影が可能となる。
【0042】
次に、本発明の他の実施の形態として、撮像装置の要部の概略構成図を図5に示す。
先の実施の形態では、透明防水部材20の外面が平面であったが、本実施の形態では、図5に示すように、外面が曲面(例えば球面の一部)になっている透明防水部材21を設けている。図5では、1つのカメラ11のレンズ15部分のみを図示している。
【0043】
この場合は、曲面が1種のレンズとして作用するため、曲面の曲率の大小により、カメラ同士の配置が同一であっても、水中で撮影する際のNP点の位置が変化する。
図5のように内側に凸な曲面の場合、平面の場合よりもNP点が透明防水部材から遠くなり、曲率が大きい程NP点が曲面から遠くなる。
逆に外側に凸な曲面の場合には、平面の場合よりもNP点が透明防水部材に近くなる。
【0044】
また、透明防水部材が平面である場合と同様に、曲面とカメラとの距離が変わると、カメラ同士の配置が同一であっても、水中で撮影する際のNP点の位置が変化する。
以下図5のように内側に凸な曲面の場合を考える。
曲面とカメラとの距離が近いときには、空気中と比較したNP点の位置の変化は少ない。
一方、曲面とカメラとの距離が遠いときには、空気中と比較したNP点の位置の変化が大きくなる。
【0045】
曲面では曲率によってもNP点の位置の変化があるという点で、透明防水部材が平面である場合とは異なっている。
そこで、カメラ同士の配置を調節するだけでなく、透明防水部材の曲面の曲率と、透明防水部材とカメラとの距離とをパラメーターとして、NP点の位置を調節することにより、水中において複数カメラのNP点が略一致するように構成することができる。
【0046】
上述の本実施の形態によれば、先の実施の形態と同様に、水中で使用したときに各カメラで撮影される画像のパララックスをなくすことができ、複数のカメラにより、水平方向の全方位(全周)等、広範囲の撮影を行うことができる。
また、水中において、広い範囲を高い解像度で撮影することが可能になり、高品位な撮影が可能となる。
【0047】
また、本発明の別の実施の形態として、複数のカメラが、それぞれ空気中においてNP点が一致する第1の位置と、水中においてNP点が一致する第2の位置との間を移動可能とされた構成とすることも可能である。
このように構成すれば、同じ撮像装置で陸上の撮影も可能になり、水面上から水中に潜って撮影することも可能になる。
【0048】
上述の各実施の形態では、撮像装置にミラーを用いない構成であったが、本発明では撮像装置にミラーを用いてもよい。
例えば図10に示したミラー及び透明防水部材を有する撮像装置の構成において、各カメラのレンズのNP点が、水中で使用したときに1つのカメラのNP点を中心とした所定の半径領域内にあるように、各カメラを配置してもよい。
【0049】
また、上述の各実施の形態では、複数の撮像手段を覆う防水部材として、全体が透明な透明防水部材を用いた。
本発明では、撮像手段の撮像領域に含まれない部分を、透明でない部材により構成とすることも可能である。例えば図1の実施の形態の構成において直方体形状の防水部材の上面及び下面を、透明でない部材により構成しても構わない。
本発明では、少なくとも撮像手段の撮像領域に含まれる部分、即ち撮像手段への入射光が通過する部分を、透明な材料により構成すればよい。
【0050】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0051】
【発明の効果】
上述の本発明によれば、複数のカメラを使用する撮像装置において、水中で撮影を行った場合における、画像のつなぎめ部分の欠落及びパララックスの問題を解決することができる。
従って、複数の撮像手段から広い範囲の画像を得ることができ、かつ水中において充分な解像度と画質を有する画像を撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の撮像装置の概略構成図(斜視図)である。
【図2】図1の撮像装置を水中で使用した場合の入射光の光線状態を示す図である。
【図3】A、B 図1の各カメラにより撮影される画像の撮像範囲を、空気中で撮影した場合と水中で撮影した場合と比較して示す図である。
【図4】A、B 図1の撮像装置におけるカメラのNP点の位置を、空気中で撮影した場合と水中で撮影した場合と比較して示す図である。
【図5】本発明の他の実施の形態の撮像装置の要部の概略構成図である。
【図6】本発明の撮像装置の原理を説明するための図である。
【図7】従来の撮像装置の概略構成図である。
【図8】図7の撮像装置の平面図である。
【図9】ミラーを設けた撮像装置の概略構成図である。
【図10】図9の撮像装置に透明防水部材を設けた構成を示す図である。
【図11】透明防水部材を通った入射光の光線状態を示す図である。
【図12】A、B 図10の各カメラにより撮影される画像の撮像範囲を、空気中で撮影した場合と水中で撮影した場合と比較して示す図である。
【符号の説明】
11,12,13,14 カメラ、15,16,17,18 レンズ、20,21 透明防水部材、N1,N3,N NP点
【発明の属する技術分野】
本発明は、全天(全方位)等の広い範囲を撮像することができる撮像装置に係わり、特に水中における撮影を行う場合に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、多数のビデオカメラを1つの筐体に収納して、全方位或いは全周を同時に撮影するカメラが種々開発されている。
【0003】
即ち、例えば空間のある一点を視点として水平面上でその周囲を撮像してパノラマ画像等の広範囲の画像を得るには、図7及び図8に示すように、点Iを中心としてその周囲に4個のビデオカメラ1,2,3,4を等間隔に配置すると共に、各ビデオカメラ1,2,3,4のレンズ5,6,7,8の光軸を放射方向に向けて固定している。
【0004】
これら4つのカメラ1,2,3,4により、撮影領域9の一部10をオーバーラップさせて、オーバーラップした個所をつなぎ合わせることにより、全周360度の画像を撮影することを可能にする。
【0005】
しかしながら、上述の従来の撮像装置にあっては、ビデオカメラ1,2,3,4の水平画角は90°以上必要であり、図8に示す2つのビデオカメラ3,4の撮像領域9がオーバーラップした領域10で、いわゆるパララックス(視差)を発生する。
【0006】
カメラから被写体までの距離により、このパララックスの値が異なるので、カメラ3とカメラ4でそれぞれ撮像した画像を張り合わせる際には、オーバーラップした領域10内の画像のどの位置を基準とするかによって、張り合わせて得られる画像が変わってくる。
即ちパララックスのある画像において、実用的な張り合わせを実施するには、画像のどの部分が重要であるかを編集者が眼で見て判断して、その位置を基準とする必要がある。このため、動画の張り合わせを自動化することは困難であり、撮像した画像の処理を自動化するに当たり大きな障害となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、例えば多角錐状に配置されたミラーを用いて、撮像視点を仮想的に一致させることにより複数カメラ間で発生するパララックス(視差)を解消する方法が提案されている。
【0008】
上述した多角錐状に配置されたミラーを用いた構成の撮像装置の一例の概略構成図を図9に示す。
この撮像装置は、多角錐状、この場合は8角錐状に配置された8枚の平面ミラー54と、各平面ミラー54に対向してそれぞれ1個ずつ配置されたカメラ51とを備えて成る。図9では、このうち撮像装置の中心線を通る鉛直面にある2枚の平面ミラー54及び2個のカメラ51が示されている。
各カメラ51にはレンズ52及び撮像素子53が設けられ、撮像素子53やその他の部品が収納された図示しないカメラ本体にレンズ52が取り付けられてカメラ51が構成される。
【0009】
この撮像装置において、画角最上部の画角端光線56A、画角最下部の画角端光線56B、レンズ光軸57上を通過する光線は、ミラー54で反射してレンズ52に入射し、撮像素子53上に結像する。
【0010】
そして、複数のカメラ51において、平面ミラー54による仮想的な視点中心55を略一致させることにより、パララックスを抑制することができる。これにより、複数のカメラ51による画像を貼り合わせて、全方位或いは全周等の広い範囲の画像が得られる。
【0011】
また、レンズ光軸57を通る光線の平面ミラー54への入射角度が45度となっているため、レンズ光軸57を通る光線は水平に平面ミラー54へ入射し、平面ミラー54で反射されて鉛直方向に向かってレンズ52に入射するようになっている。
【0012】
ところで、図9の構成の撮像装置を水中で使用する場合には、カメラ51のある部分に水が浸入しないように、図10に示すように撮像装置全体を覆って、透明防水部材60が設けられる。
例えば図10では、撮像装置51の構成に合わせて、ミラー54の八角錐よりも一回り大きい八角柱状に透明防水部材60が設けられる。
【0013】
この撮像装置を使用して、陸上つまり空気中で撮影を行う場合は、設計通り各カメラ51の撮像視点は仮想的に一致する。
【0014】
一方、この撮像装置を使用して、水中で撮影を行う場合における、透明防水部材を通った入射光の光線状態をミラー54を省いて模式的に図11に示す。図11に示すように、透明防水部材60の左側(外側)は屈折率1.33の水、右側(内側)は屈折率1の空気であり、透明防水部材60は平面であるため、下記のスネルの法則に従い、透明防水部材60を境として光線が内側に折れ曲がる。
N×sinθ=N´×sinθ´
(N及びθは入射側の媒質の屈折率及び入射角度、N´及びθ´は出射側の媒質の屈折率及び出射角度を示す)
尚、図11において、透明防水部材60の厚さは充分薄いものとして便宜上無視している。
【0015】
このとき、各カメラ51により撮影される画像の撮像範囲を、空気中で撮影した場合と比較して図12に示す。
図12Aは空気中で撮影した場合、図12Bは水中で撮影した場合の撮像範囲をそれぞれ示している。
図12A及び図12Bを比較してわかるように、水中で撮影した場合には、光線が図11に示したように透明防水部材60を境として折れ曲がることにより、その分だけ画角が狭くなる。このため、隣り合うカメラの撮像範囲71と72、72と73、73と74がつながらなくなる可能性がある。
【0016】
また、透明防水部材60を境として光線が内側に折れ曲がることにより、空気中で撮影した場合と比較して、カメラ51のレンズの視点中心が後方にずれる。このため、空気中で撮影した場合には無視できる程度に小さかったパララックスが大きくなってしまうことから、複数のカメラ51で撮影した画像をつなげる際に不都合を生じるおそれもある。
【0017】
このように、複数のカメラを備えた撮像装置を使用して、水中で撮影を行う場合には、カメラを覆って透明防水部材を配置することが多いため、上述したような問題が生じる。
【0018】
上述した問題の解決のために、本発明においては、複数の撮像手段から広い範囲の画像を得ることができ、かつ水中において充分な解像度と画質を有する画像を撮影することができる撮像装置を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の撮像装置は、広範囲の被写体を分割した複数の各分割被写部をそれぞれ個別に複数の撮像手段によって撮影し、これら各撮像手段からの映像情報を入力した処理手段によって1つの映像に張り合わせ処理するものであり、撮像手段がレンズ及びこのレンズを通過した光線を検知する撮像素子を備え、複数の撮像手段全体を覆って外部からの水の浸入を防止する防水部材が設けられ、防水部材は少なくとも撮像手段への入射光が通過する部分が透明な材料から成り、撮像手段のレンズの開口絞りの中心を通る主光線中、ガウス領域に位置する主光線を選択し、この選択された主光線の物空間における直線成分を延長して光軸と交わる点をNP点と定義したときに、撮像装置が水中にあるとき複数の撮像手段の各NP点が1つのNP点を中心とした所定の半径領域内にあるように撮像手段が配置されているものである。
【0020】
ここでNP点とは、本願の発明者らが光学系の基本的な考えに基づいて、複数の画像をつなぎ合わせた場合に生じるパララックスを如何に減少させることができるかを多くの実験を積み重ねた結果として検出されたもので、図6に示すように、物体で反射した光が等価凸レンズ300を介して撮像部301に像を結ぶ状態の場合で説明する。
【0021】
即ち等価凸レンズ300は、複数のレンズ302〜308によって構成され、開口絞り309がレンズ304とレンズ305の間に設けられている。
尚、図6中321は鏡胴を示し、322はカメラ(撮像手段)を示す。
【0022】
そして、開口絞り309の中心を通る無数の主光線のうち、光軸310に最も近い領域、つまり収差が最も小さいガウス領域を通る主光線311を選択する。この主光線311のうちの物空間312における直線部分を延長して光軸310と交わる点をNP点(ノンパララックス点)313として設定したものである。
【0023】
上述の本発明の撮像装置の構成によれば、複数の撮像手段全体を覆って外部からの水の浸入を防止する防水部材が設けられているため、撮像手段に直接水がかかることなく、水中で撮像装置を使用することができる。
また、防水部材は少なくとも上記撮像手段への入射光が通過する部分が透明な材料から成るため、入射光が防水部材で遮られることなく、透明な材料を通して撮像手段へ入射する。
そして、複数の撮像手段の各NP点が、撮像装置が水中にあるときに、1つのNP点を中心とした所定の半径領域内にあるように撮像手段を配置させたことにより、水中で撮像装置を使用する際に、各撮像手段の間のパララックスをなくすことが可能になる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明は、広範囲の被写体を分割した複数の各分割被写部をそれぞれ個別に複数の撮像手段によって撮影し、これら各撮像手段からの映像情報を入力した処理手段によって1つの映像に張り合わせ処理する撮像装置であって、撮像手段がレンズ及びこのレンズを通過した光線を検知する撮像素子を備え、複数の撮像手段全体を覆って外部からの水の浸入を防止する防水部材が設けられ、防水部材は少なくとも撮像手段への入射光が通過する部分が透明な材料から成り、撮像手段のレンズの開口絞りの中心を通る主光線中、ガウス領域に位置する主光線を選択し、この選択された主光線の物空間における直線成分を延長して光軸と交わる点をNP点と定義したときに、撮像装置が水中にあるとき複数の撮像手段の各NP点が1つのNP点を中心とした所定の半径領域内にあるように撮像手段が配置されている撮像装置である。
【0025】
また本発明は、上記撮像装置において、防水部材の透明な材料から成る部分の形状が平面である構成とする。
【0026】
また本発明は、上記撮像装置において、防水部材の上記透明な材料から成る部分の形状が曲面である構成とする。
【0027】
図1は、本発明の一実施の形態として、撮像装置の概略構成図(斜視図)を示す。
この撮像装置は、4つのカメラ11,12,13,14が1点Iを中心に放射状に配置されて成り、各カメラ11,12,13,14はそれぞれレンズ15,16,17,18を有する。各カメラ11,12,13,14は、図7に示した4つのカメラ1,2,3,4と同様に、水平方向の画角が90度以上とされて、撮像領域が重複するように構成される。これにより、帯状に周囲360度の撮影を行うことができる。
【0028】
また、撮像装置全体を覆って、直方体形状の透明防水部材20が設けられている。この透明防水部材20は、ガラスやプラスチック等の透明な材料から成る薄板状の部材より構成されており、カメラ11,12,13,14に直接水が触れないようにしている。
そして、直方体の4つの側面は、4つのカメラ11,12,13,14の中心点Iからほぼ等しい距離にある。
【0029】
本実施の形態の撮像装置においては、特に4つのカメラ11,12,13,14のそれぞれにおける前述したNP点が、水中に撮像装置があるときに、1つのNP点を中心とした所定の半径領域内にあるように、4つのカメラ11,12,13,14が配置された構成とするものである。
これにより、水中で本実施の形態の撮像装置を使用して撮影を行った際に、4つのカメラ11,12,13,14で撮影される画像のパララックスをなくして、容易に張り合わせることが可能になる。
【0030】
4つのカメラ11,12,13,14の各NP点が所定の半径領域(球体)内にあるように設定されることにより、各NP点が略一致することになる。
パララックスをなくして各カメラが撮影した画像を張り合わせるためには、少なくとも各カメラ(撮像手段)のNP点が半径約50mmの領域(球体)内に配置されるように構成し、より好ましくは各カメラ(撮像手段)のNP点が半径約20mmの領域(球体)内に配置されるように構成する。
【0031】
ここで、本実施の形態の撮像装置を、実際に水中に置いた場合の入射光の光線状態を説明する。
その場合、図2に示すとおり、透明防水部材20の図中左側(外側)は屈折率1.33の水であり、図2中右側(内側)は屈折率1の空気であり、透明防水部材20が平面であるため、透明防水部材20を境として、カメラ11,12,13,14がある部分の媒質の屈折率よりも透明防水部材20の外側の媒質の屈折率が高いことから、前述したスネルの法則に従い、光線が内側に折れ曲がる。
この図2では、カメラ11,12,13,14のレンズ15,16,17,18を示していて、各レンズの作用により、レンズ15,16,17,18内の絞り21の所で光線が集束されている。
尚、透明防水部材20の厚さは充分薄いものとして便宜上無視している。
【0032】
また、各カメラ11,12,13,14により撮影される範囲の変化を図3で説明する。
図3Aは空気中で撮影した場合、図3Bは水中で撮影した場合の各カメラ11,12,13,14の撮影範囲31,32,33,34をそれぞれ示している。ここでは、帯状に360度となっている全撮影範囲を平面に表現しているので、カメラ11の撮像範囲31を両端に重複して示している。
図3Bに示すように、水中で撮影した場合には、図2に示したように透明防水部材20を境として光線が折れ曲がるため、その分空気中で撮影した場合と比較して画角が狭くなり、撮影範囲31,32,33,34が小さくなることから、隣り合うカメラの撮像範囲のオーバーラップする量は少なくなる。
ここでは、水中でも撮像範囲のオーバーラップがなくならないように、構成している。
【0033】
次に、本実施の形態の撮像装置における、NP点の位置の変化について、図4を参照して説明する。
図4Aは空気中で撮影した場合のNP点の位置、図4Bは水中で撮影した場合のNP点の位置をそれぞれ示している。また、図4Bにおいては、図4Aにある空気中で撮影した場合の線を破線で示している。
【0034】
空気中で撮影した場合には、図4Aに示すように、各カメラ11,13のレンズのNP点N1,N3が一致していない。図示しない他の2つのカメラ12,14についても同様である。
【0035】
これに対して、水中で撮影した場合には、図2に示したように透明防水部材20を境として光線が内側に折れ曲がることにより、図4Bに示すように、NP点が空気中よりもカメラ11,13の後方にずれる。これは、次のように説明することができる。
透明防水部材20より内側における主光線の範囲は、カメラ11,13の画角で規定されるので、図4Bの破線即ち図4Aの空気中で撮影した場合と同じままである。
これに対して、透明防水部材20より外側は、空気から水に変わったことにより光線が内側に折れ曲がるため、屈折率の比に対応して主光線の範囲も破線から実線の範囲へと内側に変化する。
そして、NP点は物空間の主光線を延長して光軸と交わる点として定義されており、この場合の物空間は透明防水部材20より外側の水の部分であるため、図4Bの実線の方を透明防水部材20より内側にも延長して光軸と交わる点をNP点とする。
従って、NP点が、空気中で撮影した場合と比較して、内側(カメラ11,13の後方)にずれることになる。図示しない2つのカメラ12,14についても同様である。
【0036】
その結果、水中においては、各カメラ11,12,13,14のNP点が中心点Nの近傍に略一致するようになる。
このようにNP点が略一致するため、パララックスは無視できる程度に小さくなる。
【0037】
そして、本実施の形態では、水中において図4Bに示すようにNP点が略一致するように、予めカメラ11,12,13,14を配置して撮像装置を構成するものである。
【0038】
尚、本実施の形態の撮像装置の構成においては、透明防水部材20の平面とカメラ11,12,13,14との距離により、カメラ11,12,13,14同士の配置が同一であっても、水中で撮影する際のNP点の位置が変化する。
平面とカメラとの距離が近いときには、空気中と比較したNP点の位置の変化は少ない。
一方、平面とカメラとの距離が遠いときには、空気中と比較したNP点の位置の変化が大きくなる。
【0039】
従って、カメラ11,12,13,14同士の配置を調節するだけでなく、透明防水部材20とカメラ11,12,13,14との距離とをパラメーターとしてNP点の位置を調節することにより、水中において4つのカメラ11,12,13,14のNP点が略一致するように構成することができる。
【0040】
上述の本実施の形態の構成によれば、水中において、4つのカメラ11,12,13,14のNP点を所定の半径領域(球体)内にあるように、即ち略一致させるようにカメラ11,12,13,14を配置していることにより、水中で使用したときに各カメラ11,12,13,14で撮影される画像のパララックスをなくすことができる。
また、4つのカメラ11,12,13,14により、水平方向の全方位(全周)を撮影することが可能になる。
従って、パララックスをなくし、かつ上下左右360度全方位の水中映像、或いは円筒全方位を含む広範囲の水中映像を撮影することが可能になる。
【0041】
また、各カメラ11,12,13,14において高い解像度で撮像することにより、広い範囲を高い解像度で撮影することが可能になる。
従って、水中において高品位な撮影が可能となる。
【0042】
次に、本発明の他の実施の形態として、撮像装置の要部の概略構成図を図5に示す。
先の実施の形態では、透明防水部材20の外面が平面であったが、本実施の形態では、図5に示すように、外面が曲面(例えば球面の一部)になっている透明防水部材21を設けている。図5では、1つのカメラ11のレンズ15部分のみを図示している。
【0043】
この場合は、曲面が1種のレンズとして作用するため、曲面の曲率の大小により、カメラ同士の配置が同一であっても、水中で撮影する際のNP点の位置が変化する。
図5のように内側に凸な曲面の場合、平面の場合よりもNP点が透明防水部材から遠くなり、曲率が大きい程NP点が曲面から遠くなる。
逆に外側に凸な曲面の場合には、平面の場合よりもNP点が透明防水部材に近くなる。
【0044】
また、透明防水部材が平面である場合と同様に、曲面とカメラとの距離が変わると、カメラ同士の配置が同一であっても、水中で撮影する際のNP点の位置が変化する。
以下図5のように内側に凸な曲面の場合を考える。
曲面とカメラとの距離が近いときには、空気中と比較したNP点の位置の変化は少ない。
一方、曲面とカメラとの距離が遠いときには、空気中と比較したNP点の位置の変化が大きくなる。
【0045】
曲面では曲率によってもNP点の位置の変化があるという点で、透明防水部材が平面である場合とは異なっている。
そこで、カメラ同士の配置を調節するだけでなく、透明防水部材の曲面の曲率と、透明防水部材とカメラとの距離とをパラメーターとして、NP点の位置を調節することにより、水中において複数カメラのNP点が略一致するように構成することができる。
【0046】
上述の本実施の形態によれば、先の実施の形態と同様に、水中で使用したときに各カメラで撮影される画像のパララックスをなくすことができ、複数のカメラにより、水平方向の全方位(全周)等、広範囲の撮影を行うことができる。
また、水中において、広い範囲を高い解像度で撮影することが可能になり、高品位な撮影が可能となる。
【0047】
また、本発明の別の実施の形態として、複数のカメラが、それぞれ空気中においてNP点が一致する第1の位置と、水中においてNP点が一致する第2の位置との間を移動可能とされた構成とすることも可能である。
このように構成すれば、同じ撮像装置で陸上の撮影も可能になり、水面上から水中に潜って撮影することも可能になる。
【0048】
上述の各実施の形態では、撮像装置にミラーを用いない構成であったが、本発明では撮像装置にミラーを用いてもよい。
例えば図10に示したミラー及び透明防水部材を有する撮像装置の構成において、各カメラのレンズのNP点が、水中で使用したときに1つのカメラのNP点を中心とした所定の半径領域内にあるように、各カメラを配置してもよい。
【0049】
また、上述の各実施の形態では、複数の撮像手段を覆う防水部材として、全体が透明な透明防水部材を用いた。
本発明では、撮像手段の撮像領域に含まれない部分を、透明でない部材により構成とすることも可能である。例えば図1の実施の形態の構成において直方体形状の防水部材の上面及び下面を、透明でない部材により構成しても構わない。
本発明では、少なくとも撮像手段の撮像領域に含まれる部分、即ち撮像手段への入射光が通過する部分を、透明な材料により構成すればよい。
【0050】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0051】
【発明の効果】
上述の本発明によれば、複数のカメラを使用する撮像装置において、水中で撮影を行った場合における、画像のつなぎめ部分の欠落及びパララックスの問題を解決することができる。
従って、複数の撮像手段から広い範囲の画像を得ることができ、かつ水中において充分な解像度と画質を有する画像を撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の撮像装置の概略構成図(斜視図)である。
【図2】図1の撮像装置を水中で使用した場合の入射光の光線状態を示す図である。
【図3】A、B 図1の各カメラにより撮影される画像の撮像範囲を、空気中で撮影した場合と水中で撮影した場合と比較して示す図である。
【図4】A、B 図1の撮像装置におけるカメラのNP点の位置を、空気中で撮影した場合と水中で撮影した場合と比較して示す図である。
【図5】本発明の他の実施の形態の撮像装置の要部の概略構成図である。
【図6】本発明の撮像装置の原理を説明するための図である。
【図7】従来の撮像装置の概略構成図である。
【図8】図7の撮像装置の平面図である。
【図9】ミラーを設けた撮像装置の概略構成図である。
【図10】図9の撮像装置に透明防水部材を設けた構成を示す図である。
【図11】透明防水部材を通った入射光の光線状態を示す図である。
【図12】A、B 図10の各カメラにより撮影される画像の撮像範囲を、空気中で撮影した場合と水中で撮影した場合と比較して示す図である。
【符号の説明】
11,12,13,14 カメラ、15,16,17,18 レンズ、20,21 透明防水部材、N1,N3,N NP点
Claims (3)
- 広範囲の被写体を分割した複数の各分割被写部をそれぞれ個別に複数の撮像手段によって撮影し、該各撮像手段からの映像情報を入力した処理手段によって1つの映像に張り合わせ処理する撮像装置であって、
上記撮像手段が、レンズ及び該レンズを通過した光線を検知する撮像素子を備え、
上記複数の撮像手段全体を覆って、外部からの水の浸入を防止する防水部材が設けられ、
上記防水部材は、少なくとも上記撮像手段への入射光が通過する部分が透明な材料から成り、
上記撮像手段の上記レンズの開口絞りの中心を通る主光線中、ガウス領域に位置する主光線を選択し、該選択された主光線の物空間における直線成分を延長して光軸と交わる点をNP点と定義したときに、
撮像装置が水中にあるとき上記複数の撮像手段の各NP点が1つのNP点を中心とした所定の半径領域内にあるように上記撮像手段が配置されている
ことを特徴とする撮像装置。 - 上記防水部材の上記透明な材料から成る部分の形状が、平面であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 上記防水部材の上記透明な材料から成る部分の形状が、曲面であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002229133A JP2004070002A (ja) | 2002-08-06 | 2002-08-06 | 撮像装置 |
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JP2002229133A JP2004070002A (ja) | 2002-08-06 | 2002-08-06 | 撮像装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006110056A1 (fr) * | 2005-04-11 | 2006-10-19 | Sergei Aleksandrovich Shunyaev | Procede de formation d'une image panoramique a des fins decoratives |
WO2006112745A1 (fr) * | 2005-04-11 | 2006-10-26 | Sergey Alexandrovich Shunyaev | Procede pour obtenir une image panoramique destinee a la decoration de l'interieur de locaux |
US9998661B1 (en) * | 2014-05-13 | 2018-06-12 | Amazon Technologies, Inc. | Panoramic camera enclosure |
-
2002
- 2002-08-06 JP JP2002229133A patent/JP2004070002A/ja active Pending
Cited By (3)
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WO2006110056A1 (fr) * | 2005-04-11 | 2006-10-19 | Sergei Aleksandrovich Shunyaev | Procede de formation d'une image panoramique a des fins decoratives |
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