JP2004069540A - 形状因子測定装置 - Google Patents

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Sadao Hirota
広田 貞雄
Yasuyuki Takaoka
高岡 康之
Duzgunes Nejat
ネジャット・デュズグネス
Hiromi Kawase
川瀬 宏海
Shoichi Oi
大井 尚一
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Tokyo Denki University
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Tokyo Denki University
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Abstract

【課題】リポプレックスを始めとする遺伝子治療用ベクターに対して、分画を行うことなく試料全体としての現実的な形状を数量的に表現することができる形状因子測定装置を提供する。
【解決手段】形状因子測定装置1は、リポプレックス試料液の粘度を測定する毛細管粘度計2、試料液の流下時間を自動測定するためのレーザセンサ装置3、毛細管粘度計2内の圧力を調整する圧力調整装置4、及び測定された計測値をもとに形状因子を算出する制御演算装置5から構成されている。制御演算装置5は、レーザセンサ装置3、圧力調整装置4を制御して、試料液の粘度を自動測定させ、この測定された結果から演算をして試料液の形状因子を決定する。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばDNA−脂質複合体(Lipoplex、以下、リポプレックスという)の形状因子を測定する形状因子測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
リポプレックスは遺伝子治療用非ウイルスベクターのうち有望な物質の1つである。このリポプレックスの形状は標的細胞に対するDNA(Deoxyribo Nucleic Acid)感染効率に影響する重要な因子であることが知られており、その形状は連珠状、線状、管状、六法充填体状(豆状)、スパゲッティ・ミートボール状、マップ・ピン状等と様々な形状が報告されている(P.L Felgner,T.R.Gadek,M.Holm,R.Roman,H.W.Chan,M.Wenz,J.Northrop,G.M.Ringold and M.Danielsen,Proc.Natl.Acad.Sci.USA84,7413(1987)、H.R Gershon,R.Ghirlando,S.B.Guttman and A.Minsky,Biochemistry32,7143(1993)、B.Sternberg,Medical Application of Liposomes,edited by D.D.Lasic,395(1998)、V.Overle,U.Bakowsky,I.S.Zuhorn and D.Hoekstra,Biophys.J.79,1447(2000))。これらの形状は、これまで電子顕微鏡や原子間力顕微鏡によって観察されているが、これらの形状測定は観察された部分のみの局部的情報を与えるのみであるため、試料全体の平均像を数量的に示してはいるものではない。
【0003】
一方、リポプレックス形状の数量的表現に活用可能な従来技術として光散乱法、X線小角散乱法は有力であるが、装置が高価である上に、その解析に高度な専門技術を要するという欠点がある。
【0004】
これに対して、毛細管による粘度測定法は遙かに単純であり、リポプレックスの平均形状は、リポプレックス稀薄懸濁液の粘度から、マーク−ホウインク(Mark−Houwink)の式により、以下のように決定できる(H.Mark,Der feste Koerper,Hirzel,Leipzig(1938)p103、R.Houwink,J.prakt.Chem.157,15(1941))。
【0005】
log[μ]=logK+αlogM              (1)
ここで、[μ]は固有粘度、Kは粒子と溶媒の組み合わせ及び温度によって定まる定数、αは懸濁粒子の形状を示す形状因子、Mは粒子の大きさをダルトン単位で表した量であり、α=0は固い球状を、α=2は剛直な線状を示し、0<α<2はその中間の形状を示す。マーク−ホウインクの方法によれば、リポプレックス懸濁液を分画(粒子径の大きさによりクラス分け)し、各分画の粒子のMを決定し、それぞれの懸濁液分画の固有粘度の対数をMの対数に対してプロットすると、プロットは直線上に並ぶので、この直線から勾配を求めればαを求めることができる。しかしながら、この方法においては、
・α決定のためにいくつかの粒径を異にする分画が必要であるが、各分画で得られた形状が相似形とは限らない、
・各分画でMを決定する必要があるが、このために別個Mを測定する装置が必要となる。また、このために多大な労力と試料量を要する、
・0<α<2の中間的形状には円筒状、折れ曲がり線状、円盤状のように様々な形状が考えられる上、αは粒子の固さによっても影響を受ける、という問題点がある。
【0006】
これに対して、シムハ(Simha)は回転楕円体粒子懸濁液の粘度が粒径に関わらず以下の式で表されることを見出している。
【0007】
η=η(1+νφ)                (2)
ここで、ηは懸濁液の粘度、ηは分散媒の粘度、νは回転楕円体の長径/短径の軸比(a/b)によって定まる定数、φは懸濁粒子の容積分率(懸濁粒子の容積/懸濁液の容積)である。そして、シムハはさらにa/b>50の領域においては、次式が成り立つことを明らかにした(R.Simha,J.Phys.Chem.44,25(1940))。
【0008】
ν=J/15(ln2J−1.5)+J/5(ln2J−0.5)+(14/15)  (3)
ν=(16/15)(J/tan−1J)                 (4)
ここで、Jはa/bであり、式(3)は、紡錘形回転楕円体の場合に成立する式であり、式(4)は、扁平回転楕円体の場合に成立する式である。また、a/b<50の領域に対しては、個々のa/bにつきνを計算し、a/bとνに関する数表を報告した(R.Simha,Science92,132(1940))。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
シムハの理論を用いれば分画を行うことなく、a/bを求めることができるが、この方法においても以下のような問題点がある。
【0010】
・a/b>50は大きすぎる数字であり、現実的なリポプレックス形状ではない。
【0011】
・a/b<50での数表は不連続データであるため、単純な演算素子においては粘度測定値をa/bに換算することは難しい。
【0012】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、リポプレックスを始めとする遺伝子治療用ベクターに対して、分画を行うことなく試料全体としての現実的な形状を数量的に表現することができる形状因子測定装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、異なった容積分率の遺伝子治療用ベクターが含まれる複数の試料液の粘度を毛細管粘度計によりそれぞれ測定し、その測定結果から前記遺伝子治療用ベクターの形状因子を測定する形状因子測定装置であって、前記複数の試料液それぞれが前記毛細管の所定の標線間を通過する時間を測定する流下時間測定手段と、前記流下時間測定手段で測定された複数の前記時間からそれぞれの容積分率における相対粘度を算出する相対粘度算出手段と、前記相対粘度から還元粘度を算出する還元粘度算出手段と、前記還元粘度と容積分率の関係から固有粘度を算出する固有粘度算出手段と、シムハ(Simha)の数表における数値から導き出された、前記固有粘度と回転楕円体の長径/短径の軸比の換算式に基づいて、前記固有粘度から前記軸比を前記遺伝子治療用ベクターの形状因子として決定する形状因子決定手段と、を有することを要旨とする。
【0014】
ここで、「形状因子測定装置」とは、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な演算処理装置を用いて形状因子を測定する機器を総称しており、演算処理装置としてはマイコン、パソコン、スーパーコンピュータ、汎用コンピュータ、オフィス・コンピュータ、ワークステーション、PDA(Personal Digital Assistance)などあらゆる形態を含む。また、構成としては、一つからなる演算処理装置、分散されて複数の演算処理装置がネットワーク接続されたシステムなどのいずれの構成であっても良い。
【0015】
請求項1記載の本発明においては、異なった容積分率の遺伝子治療用ベクターが含まれる試料液を複数用意し、この複数の試料液それぞれが毛細管粘度計の所定の標線間を通過する時間を測定し、測定された複数の時間からそれぞれの容積分率における相対粘度を算出し、また、相対粘度から還元粘度を算出する。そして、還元粘度と容積分率の関係から固有粘度Vを算出し、シムハ(Simha)の数表に与えられた数値から導き出された換算式に基づいて、固有粘度から形状因子である回転楕円体の軸比を決定する。これにより、遺伝子治療用ベクターに対して、分画を行うことなく試料全体としての現実的な形状を数量的に表現することができるので、この形状を遺伝子治療に役立てることができる。
【0016】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の発明において、前記形状因子決定手段は、前記遺伝子治療用ベクターの形状が紡錘形回転楕円体の場合は、V=0.057(a/b)+0.61(a/b)+1.83(V:固有粘度、a/b:回転楕円体の長径aと短径bの軸比)に基づいて、扁平回転楕円体の場合は、V=0.001(a/b)+0.59(a/b)+1.90(V:固有粘度、a/b:回転楕円体の長径aと短径bの軸比)に基づいて、a/b<100の範囲で、形状因子を決定することを要旨とする。
【0017】
請求項2記載の本発明においては、遺伝子治療用ベクターの形状が紡錘形回転楕円体の場合及び扁平回転楕円体の場合には、固有粘度Vと回転楕円体の軸比a/bの関係式が2次の多項式として表現されるので、この式に基づいて簡単に遺伝子治療用ベクターの形状因子を決定することができる。
【0018】
請求項3記載の本発明は、請求項1又は2記載の発明において、光源及び受光部を備えるレーザセンサ装置を有し、前記流下時間測定手段は、前記レーザセンサ装置を用いることにより、前記試料液が前記所定の標線を通過することを検出することを要旨とする。
【0019】
請求項3記載の本発明においては、レーザセンサ装置を用いることにより、試料液が所定の標線を通過することを検出する。これにより、正確かつ自動的に試料液の液面が所定の標線を通過する時を把握できるので、以て、精度よく流下時間を測定することができる。
【0020】
請求項4記載の本発明は、請求項3記載の発明において、前記毛細管粘度計内の圧力を調節する圧力調整装置を有し、前記流下時間測定手段は、前記レーザセンサ装置により前記試料液が前記所定の標線の中の最下部の標線以下に流下したことを検出した場合は、前記圧力調整装置により前記毛細管粘度計内を加圧して前記試料液を持ち上げ、前記レーザセンサ装置により前記試料液が前記所定の標線の中の最上部の標線以上に持ち上がったことを検出した場合には、前記圧力調整装置により前記毛細管粘度計内を大気圧にすることを要旨とする。
【0021】
請求項4記載の本発明においては、レーザセンサ装置により試料液が所定の標線の中の最下部の標線以下に流下したことを検出した場合は、圧力調整装置が、毛細管粘度計内を加圧して試料液を持ち上げ、レーザセンサ装置により試料液が所定の標線の中の最上部の標線以上に持ち上がったことを検出した場合には、圧力調整装置が、毛細管粘度計内を大気圧にする。これにより、同一試料液において複数回の流下時間の測定を繰り返す場合においても、圧力調整装置が毛細管粘度計内の圧力を自動的に調整するので、試料液を連続的に自動測定することができる。
【0022】
請求項5記載の本発明は、請求項3又は4記載の発明において、前記レーザセンサ装置は、レーザ伝達媒体として光ファイバを有することを要旨とする。
【0023】
請求項5記載の本発明においては、レーザセンサ装置は、レーザ伝達媒体として光ファイバを用いてレーザを照射する。これにより、ノイズの影響を回避し、精度高く試料液の液面が所定の標線を通過する時を把握することができる。
【0024】
請求項6記載の本発明は、請求項5記載の発明において、前記レーザセンサ装置は、前記光ファイバを前記毛細管粘度計の前記所定の標線位置に前記光ファイバの光源側および受光側の中心軸が一致するように固定する光ファイバ支持装置を有することを要旨とする。
【0025】
請求項6記載の本発明においては、光ファイバ支持装置は、レーザセンサ装置の光ファイバを毛細管粘度計の所定の標線位置に光源側および受光側の中心軸が一致するように固定する。これにより、光ファイバの放射光軸と受光軸が完全に一致するので、さらに精度高い測定が可能となる。
【0026】
請求項7記載の本発明は、請求項1乃至6記載の発明において、前記複数の試料液を前記毛細管粘度計に順次自動的に供給する自動試料液供給装置を有することを要旨とする。
【0027】
請求項7記載の本発明においては、自動試料液供給装置が複数の異なった容積分率の試料液を毛細管粘度計に順次自動的に供給する。これにより、異なった容積分率の遺伝子治療用ベクターが含まれる複数の試料液の測定を連続かつ自動的に行うことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0029】
1.固有粘度と形状因子(回転楕円体の軸比)の関係式
まず、実験的に得られるリポプレックス懸濁液の固有粘度とリポプレックスの形状因子(回転楕円体の軸比)の新たな関係式について説明する。
【0030】
シムハがa/b<50の範囲で与えた数表は、上述した通り不連続なものであり、このままでは、粘度測定値から回転楕円体の軸比a/bを連続的に求めることはできないので、新たな関係式を得るために、リポプレックスの形状を回転楕円体に近似させ、シムハの数表に与えられた数値に基づいて、ニュートンの近似法を繰り返す。これにより、以下の関係式を得ることができる。
【0031】
V=0.057(a/b)+0.61(a/b)+1.83   (5)
V=0.001(a/b)+0.59(a/b)+1.90   (6)
ここで、Vは無次元化された固有粘度であるが、無次元化された固有粘度V(以下、固有粘度Vという。)は式(3)におけるν(無次元数)に他ならないことから、式(5)及び(6)はνとa/bの関係をVとa/bの関係に置き換えたものである。
【0032】
式(5)はリポプレックスが紡錘形回転楕円体である場合の関係式であり、式(6)は扁平回転楕円体である場合の関係式であり、回転楕円体の軸比a/bがa/b<100の範囲で、粒径に如何にかかわらず、成立する。
【0033】
図14(a)は式(5)及び(6)により求められたVとa/bの関係を示す表であり、図14(b)はシムハの数表により与えられたνとa/bの関係を示す表(a/b>50においては、式(3)及び(4)による)であり、図15は図14をグラフに表したものであるが、両者の値を比較すると、良く近似していることがわかる。これにより、リポプレックス懸濁液の粘度を測定し固有粘度Vを求めることができれば、この固有粘度Vから形状因子である軸比a/bを決定することができる。
【0034】
ここで、固有粘度V、還元粘度ηred、相対粘度ηrelは一般に次式の関係が成り立つ。
【0035】
V=lim(φ→0)ηred           (7)
ηred=(ηrel−1)/φ          (8)
ηrel=η/η               (9)
ここで、φは懸濁粒子の容積分率(懸濁粒子の容積/懸濁液の容積)であり、ηは懸濁液の粘度、ηは分散媒の粘度である。また、相対粘度ηrelは、毛細管粘度計により、懸濁液及び分散媒のそれぞれの流下時間の比t/tによって求めることができる。即ち、相対粘度ηrelは、
ηrel=η/η=t/t         (10)
以上の式(7)乃至(10)に従えば、図1のフローチャートに示すように、毛細管粘度計にてリポプレックス試料液の流下時間を測定して(ステップS1)、相対粘度ηrelを算出し(ステップS2、式(10))、さらに相対粘度ηrelから還元粘度ηredを算出する(ステップS3、式(8))。そして、各容積分率における還元粘度ηredから固有粘度Vを算出し(ステップS4、式(7))、この算出された固有粘度Vと式(5)及び(6)から形状因子a/bを決定することができる(ステップS5、式(5)及び(6))。また、この方法によれば、試料液の分画、各分画における粒径測定を行う必要がないので、リポプレックス試料液の必要量を大幅に減少することができる。
【0036】
尚、上記方法においてはいかなる回転楕円体であるかは決定できないので、最終的にリポプレックスの形状が紡錘形回転楕円体であるか、扁平回転楕円体であるかは電子顕微鏡や原子間力顕微鏡を用いた観察により判断することになる。
【0037】
2.形状因子測定装置
次に、上述した方法に基づいてリポプレックスの形状因子を測定する形状因子測定装置1の構成について図2乃至図6を用いて説明する。
【0038】
尚、図2は、本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置1の概略構成図である。図3は、本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置1の計測点である標線7i(i=a,b,c)の近傍を説明する図である。図4は、本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置1の光ファイバ支持装置34i(i=a,b,c)を説明する図である。図5及び6は、本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置1の制御演算装置5を説明する図である。
【0039】
形状因子測定装置1は、大別して試料液の粘度を測定する毛細管粘度計2、試料液の流下時間を自動測定するためのレーザセンサ装置3、毛細管粘度計2内の圧力を調整する圧力調整装置4、及び測定された流下時間をもとに形状因子を算出する制御演算装置5を備えている。
【0040】
毛細管粘度計2は、図2に示す通りガラス製U字管の一方の下方部に試料溜め21が設けられ、他方の管の上方部に2つの液溜め22及び23が設けられており、液溜め22及び23間、試料溜め21と液溜め23間は毛細管で連結されている。そして、試料溜め21に入れられた一定容積の試料液を液溜め22の上方まで吸い上げて、流下させ、試料液の液面が予め定められた標線7a−7b間及び7b−7c間を流下する時間を測定することより、試料液の粘度を求めるものである。尚、毛細管粘度計2は、一定温度で粘度を測定する必要があるため、恒温槽(図示せず)の中に設置されるようになっている。
【0041】
レーザセンサ装置3は、レーザ光により試料液の液面が標線7i(i=a,b,c)を通過する時を検知する装置であり、レーザ光の光源であるレーザダイオード31、発光されたレーザ光を受ける受光部32、レーザダイオード31と受光部32を接続する光ファイバ33i(i=a,b,c)、及び光ファイバ33iを毛細管粘度計2の標線7i部分に固定する光ファイバ支持装置34i(i=a,b,c)を有する構成となっている。
【0042】
さらに詳しくは、図3に示す通り、レーザダイオード31の3つの光源310a、310b及び310cから3本の光ファイバ33a、33b及び33cがそれぞれ光ファイバ支持装置34a、34b及び34cの一端に接続されており、光ファイバ支持装置34a、34b及び34cは毛細管粘度計2の計測点である標線7a、7b及び7c部分にそれぞれ固定されている。そして、光ファイバ支持装置34a、34b及び34cの他端からは、光ファイバ33a、33b及び33cが制御演算装置5の光ファイバ挿入口501a、501b及び501cを介して受光部32のレーザセンサ320a、320b及び320cにそれぞれ接続されている。
【0043】
レーザダイオード31は、制御演算装置5のレーザダイオード電源コネクタ502と接続されて、電源の供給を受けることで、レーザ光を発光するような装置である。
【0044】
受光部32は、制御演算装置5内に組み込まれており、光センサ320i(i=a,b,c)の受光量を電気的な信号に変換し、増幅して、この信号を後述する制御演算装置5のマイコン54に送るものである。ここで、光センサ320iが受光する光量は、試料液が計測点(標線)を通過するか否かでレーザ光の透過率が異なるので、変化するものであり、この光量の相対的な変化をマイコン54は検出するようになっている。
【0045】
光ファイバ33i(i=a,b,c)は、毛細管粘度計2の管内以外においてレーザ光を伝達させる光伝達媒体であるが、光伝達媒体として光ファイバ33iを用いることにより、外部の迷光や外部電気雑音の影響がなくなり、試料液の液面通過に伴う光信号のわずかな変化を精度高く計測することが可能となっている。
【0046】
光ファイバ支持装置34i(i=a,b,c)は、図2及び3をA方向から見た図4に示すように、光ファイバ33i(i=a,b,c)を毛細管粘度計2の標線7i(i=a,b,c)に着脱可能とするクリップ状の装置(洗濯バサミのようなもの)であり、毛細管粘度計2の計測点において、容易に光ファイバ33の放射光軸と受光軸とを完全に一致させることができるような構成となっている。また、毛細管粘度計2への着脱が容易なので、毛細管粘度計2における送受光端面の汚れの除去も容易となっている。
【0047】
圧力調整装置4は、電磁弁41と加圧ポンプ42を備えており、毛細管粘度計2の試料溜め21がある管の上方とビニールチューブ管で連結されている。
【0048】
電磁弁41は、制御演算装置5と加圧ポンプ電磁弁用電源コネクタ503(4つのコネクタのうち電磁弁用のコネクタ2つ)で接続されており、制御演算装置5からの電源制御により、電磁弁を大気圧側もしくは、加圧ポンプ42側に切り替えるようになっている。
【0049】
加圧ポンプ42は、制御演算装置5と加圧ポンプ電磁弁用電源コネクタ503(4つのコネクタのうち加圧ポンプ用のコネクタ2つ)で接続されており、制御演算装置5からの電源制御により加圧ポンプ42を作動させ、毛細管粘度計2内の圧力を大気圧より若干高めに設定するようになっている。
【0050】
そして、このような圧力調整装置4の構成においては、制御演算装置5からの指示により毛細管粘度計2内は容易に大気圧もしくは大気圧より加圧された状態にすることができるので、圧力調整装置4は、自動的に毛細管粘度計2内の試料液を管の上方まで吸い上げたり、試料液を流下させたりすることができるようになっている。
【0051】
制御演算装置5は、レーザセンサ装置3、圧力調整装置4を制御して、リポプレックス試料液の粘度を自動測定させ、この測定された結果から演算をして試料液の形状因子を決定する装置である。制御演算装置5は、図5及び6に示すように、3つのプッシュスイッチにより構成された入力部51、液晶表示器から構成された表示部52、電源部53、マイコン54、電磁弁制御部55、及びポンプ制御部56を備えている。
【0052】
入力部51は、測定を行うに際しての各種設定パラメータを受け付けるものであり、例えば、試料液の濃度(容積分率)、測定回数、光センサのしきい値(試料液が存在するときに受光する光量を試料液が存在しないときに受光する光量の何倍に設定するか)、電磁弁を切り替えるタイミング(標線7aを越えてから何秒後に加圧ポンプ42を止めて大気圧にするか、標線7cを下回ってから何秒後に加圧するかなど)、加圧ポンプを自動に稼動させるか手動で稼動させるか等を事前に入力設定するものである。
【0053】
また、入力部51は、レーザセンサ装置3を用いずに目測で液面が標線7i(i=a,b,c)を通過するときを検出する場合には、入力部51のプッシュスイッチを押下することにより、そのタイミングをマイコン54に記憶させることができるようにもなっている。
【0054】
表示部52は、入力部51から入力された各種設定値を液晶表示の画面を通して確認できるものであり、また、3つのプッシュボタンの役割を表示し、入力操作を手助けする機能をも有するものである。
【0055】
電源部53は、外部からの交流電源を電源入力用コネクタ504を介して直流電源に変換して、レーザダイオード31、マイコン54、電磁弁制御部55及び加圧ポンプ制御部56のそれぞれに適切な電源を与えるものである。
【0056】
マイコン54は、制御演算装置5の中枢部分であり、組み込まれたソフトウェア及び設定パラメータにより所望の制御演算を行うものである。具体的には、入力部51を介してマイコン54に記憶された設定パラメータに基づいて、電磁弁41及び加圧ポンプ42に対する制御指示をそれぞれ電磁弁制御部55及びポンプ制御部56に送るものであり、また、受光部32からの信号及び設定パラメータに基づき、試料液の液面が標線7iを通過する時を感知し、流下時間を測定するものである。また、マイコン54に記憶された測定データに基づいて、リポプレックス試料液の形状因子を決定するものである。
【0057】
電磁弁制御部55は、マイコン54からの制御指示により、加圧ポンプ電磁弁用コネクタ503を介して加圧電磁弁41を大気圧側か加圧ポンプ側にするかの切り替え制御をするものであり、ポンプ制御部56は、同じくマイコン54からの制御指示により、加圧ポンプ電磁弁用コネクタ503を介して加圧ポンプ42を作動させるか否かの制御をするものである。
【0058】
次に、本実施の形態に係る形状因子測定装置1の作用を制御演算装置5の動作を示す図7乃至12を用いて説明する。尚、図7、9乃至12は、それぞれ、図1におけるステップS1乃至S5を具体的に説明するフローチャートであり、図8は、図7におけるステップS108をさらに詳細に説明するフローチャートである。
【0059】
まず、事前にリポプレックスを分散媒で希釈し、容積分率φが異なる数種類の懸濁液を用意し、これを試料液Ai(i=a,b,…,n)とする。尚、式(2)はシムハによって、φ<0.01の範囲で成立することが確かめられているので、試料液Aiはφ<0.01の範囲で作成する。そして、制御演算装置5の入力部51より予め測定のための設定パラメータを入力し、試料液Aiを毛細管粘度計2の試料溜め21に入れる。
【0060】
そして、測定準備ができたところで入力部51のプッシュスイッチ(測定スタートボタンに相当)を押すと、電磁弁41が加圧ポンプ側42に切り替わり、加圧ポンプが稼動する(ステップS101〜S103)。これにより、試料液Aiの液面は上昇し、液溜め22の上方に設定された標線7aを越える(ステップS104)。そして、標線7aを通過後所定の時間が経過すると、加圧ポンプ42は停止し、電磁弁41が大気圧側に切り替わる(ステップS105〜S107)。これにより、試料液Aiの液面は流下するので、標線間の流下時間を測定する(ステップS108)。この流下時間測定ステップS108については、後述する。そして、試料液Aiの液面が液溜め23の下方に設定された標線7cを下回ると、1回分の測定は終了する(ステップS109)。尚、この測定はマイコン54に予め定められた測定回数分実施されるため、標線7cを通過後、所定の時間が経過すると(ステップS110〜S112)、上述した動作を繰り返す(ステップS102〜S109)。
【0061】
尚、流下時間の測定に関しては、試料液Aiだけではなく、分散媒の流下時間も測定する。また、容積分率が異なる数種類の試料液Ai(i=a,b,…,n)すべてに対して流下時間の測定を行う。
【0062】
ここで、流下時間測定ステップ(ステップS108)について詳しく説明する。流下時間の測定に関しては、液溜め22の上方に設けられた標線7aと下方に設けられた標線7bの間の流下時間t1(分散媒についてはt10)、液溜め23の上方に設けられた標線7bと下方に設けられた標線7cの間の流下時間t2(分散媒についてはt20)を測定する(ステップS1081、S1082)。この測定は、受光部32が受光する光量の相対的変化から試料液Aiの液面が標線7iを通過する時(マイコン54に設定された光センサしきい値に基づき液面通過を判断)を制御演算装置5に記憶し、この値からt1及びt2を求めるものである(S1083)。そして、この流下時間の測定を設定された測定回数分行い、流下時間t1、t2の平均t1AV、t2AVを求め、これをマイコン54に記憶する(ステップS1084〜S1086)。
【0063】
次に、このようにして測定された流下時間から形状因子を決定するまでを説明する。相対粘度ηrelは、それぞれ、ηrel1=t1AV/t10AV、ηrel =t2AV/t20AVと表されるが、試料液Aiがニュートン流体であれば、相対粘度ηrelは流速に依存しないので、t1AV/t10AV=t2AV/t20AV、非ニュートン流体であれば、t1AV/t10AV≠t2AV/t20AVである。
【0064】
式(5)(6)はニュートン流体を想定して導かれているので、本実施の形態においては、制御演算装置5は、ηrel1=t1AV/t10AV、ηrel2=t2AV/t20AVを計算し、ηrel1=ηrel2であるか否か判断する(ステップS201〜S203)。そして、ηrel1≠ηrel2であれば、相対粘度ηrelの流速依存性が消滅するまで、毛細管粘度計2を傾け、標線間の落差を減少させていき、再度ステップS101に戻って、試料液Aiの流下時間を測定する(ステップS204)。そして、ηrel1=ηrel2(実験値であるので、例えば、誤差3%以内であれば等しいと見なす)であれば、t1AV/t10AVとt2AV/t20AVの平均値t/t0より相対粘度ηrelを算出し、マイコン54に記憶する(ステップS205)。
【0065】
ηrel=t/t0
尚、毛細管粘度計2の傾けに関しては、毛細管粘度計2を自動的に傾けるように制御演算装置5で制御するようにしてもよいし(一度に傾ける角度をパラメータ設定しておく)、手動により毛細管粘度計2を傾けてもよい。
【0066】
従って、本実施の形態の形状因子測定装置1の毛細管粘度計2においては、液溜め22及び23を備えて、2回流下時間を測定することにより、測定の正確を期すと同時に試料液Aiのニュートン性を確かめることができる。
【0067】
次に、相対粘度ηrelから還元粘度ηredを求める。式(8)を用いて、各試料液Aiにおける還元粘度ηredを計算し、この値を制御演算装置5に記憶する(ステップS301、S302)。ここで、容積分率φ(i=a,b,…,n)を横軸、これに対応するηredi(i=a,b,…,n)を縦軸にプロットすると、ハギンズの式(Huggin’s equation:ηred=V+k’ Vφ、k’はハギンズの定数)により、各プロットは直線上に並ぶはずである。そして、式(7)より、この直線の延長線と縦軸との交点の値が固有粘度Vとなる。各プロットが直線上に並ばないときは各プロットにできるだけ近い回帰直線を最小2乗法により引き、この回帰直線と縦軸との交点より、固有粘度Vを求めることができる。そして、制御演算装置5のマイコン54においても、上述した方法をそのままプログラミングしてもよいが、マイコンのような小規模な演算素子でも計算が可能なように、以下のような近似をして固有粘度Vを算出する(ステップS401)。
【0068】
=ηredn−φ(ηredn+1−ηredn)/(φn+1−φ)   (11)
V=ΣV/n                   (12)
そして、式(11)及び(12)により算出された固有粘度Vをマイコン54に記憶する(ステップS402)。
【0069】
次に、式(5)及び(6)に基づいて、固有粘度Vから形状因子を表す回転楕円体の軸比a/bを求める。
【0070】
式(5)及び(6)より軸比a/bを求めるには、2次方程式の根の公式を解く必要がある。そして、制御演算装置5のマイコン54においても、上述した方法をそのままプログラミングしてもよいが、小規模な演算素子でも計算が可能となるように、図13における近似をして軸比a/bを計算する(ステップS501)。そして、このような近似計算の結果、算出された軸比a/bをマイコン54に記憶し、表示部52に表示する(ステップS502)。
【0071】
従って、本実施の形態の形状因子測定装置1によれば、リポプレックス粒子の回転楕円体の軸比a/bが、a/b<100という現実的な形状範囲においても、簡単にリポプレックス試料全体としての形状を数量的に表現することができる。
【0072】
また、本実施の形態の形状因子測定装置1によれば、試料液の分画を行う必要がないので、少量の試料液にて形状因子を測定することができ、測定にかかるコストを抑えることができる。
【0073】
また、レーザセンサ装置3、圧力調整装置4を備えることにより、リポプレックス試料液の粘度測定を自動化することができるので、人的負担を軽減することができると同時に、測定の精度を高めることができる。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施の形態に対して種々の変形や変更を施すことができる。例えば、本実施の形態の形状因子測定装置1においては、遺伝子治療用ベクターとしてリポプレックスを例として説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、DNA−高分子複合体、凝縮DNA(condensed DNA)、これらを含有するリポゾームなど非ウィルスベクター、アデノウィルス(adenovirus)、アデノ随伴ウィルス(adenoactivated virus)、インフルエンザウィルス(influenza virus)、レトロウィルス(retrovirus)などのウィルスベクター、タンパク質複合体などの形状因子測定にも適用できることは言うまでもない。
【0075】
また、本実施の形態では、形状因子を決定する式として、式(5)及び(6)(さらに簡略化した式である図13)を用いているが、本発明は、この式に限定されるわけではなく、シムハの数表に基づいて得られる換算式であれば、同一もしくは他の近似法により得られた式であってもよいのはもちろんである。例えば、2次より高次(n=3,4,5,…)の多項式であってもよいし、また、初等関数で表現されていてもよい。
【0076】
また、本実施の形態では、光源としてレーザ光源を用いるレーザダイオード31を使用しているが、これに限るものではなく、放射ビーム角の揺らぎがなく、出力光として安定かつ小型なタングステン光源、紫外線光源、赤外線光源、及び発光ダイオード光源であってもよい。
【0077】
また、試料液の流下時間測定に関しても、本実施の形態においては、制御演算装置5からの制御により自動的に測定されるが、測定方法はこれに限定されるわけではなく、上述した制御演算装置5のパラメータ設定において、手動で加圧ポンプを稼動させ(入力部51のプッシュスイッチ押下にて加圧ポンプの稼動停止を制御する)、液面が標線を通過する時間を手動で測定する(入力部51のプッシュスイッチ押下にて通過時刻をマイコン54に記憶する)ように設定すれば、手動での測定も可能である。
【0078】
さらに、複数の異なった容積分率の試料液を測定する場合において、自動試料液供給装置を用いて、人手を介さずに連続かつ自動的にそれぞれの試料液を供給するようにしてもよい。この自動試料液供給装置とは、具体的には、ターンテーブル上に一定間隔で試料溶液を容れたガラス瓶が並んでいて、1つの試料液の測定が終わると次のガラス瓶が試料吸い取り管(ピペット)の真下に回転して、ガラス瓶内の試料液がピペットにより採取され、毛細管粘度計2に供給されるようになっているオートフィーダーである。
【0079】
この場合、自動試料液供給装置と形状因子測定装置1との連携は以下のようになっている。試料液は、濃度の薄い順に毛細管粘度計2に供給されるようになっており、ある濃度の試料液(例えば濃度A)の粘度測定が終わると、次の試料液(例えば濃度B)をまず毛細管粘度計2内の洗浄用として供給する。そして、毛細管粘度計2内の圧力調整により試料液を上下させて、毛細管粘度計2内を洗浄し、洗浄後、この試料液をピペットにより採取、廃棄し、今度は粘度測定用として同じ濃度の試料液(濃度B)を供給する。そして、この試料液の測定が終わると次の試料液(例えば濃度C)を供給し、同様の流れを繰り返す。尚、このような制御はマイコン54にプログラミングされたソフトウェアにより実現するようになっている。従って、複数の異なった容積分率の試料液の毛細管粘度計2への供給においても、自動化が可能となるので、さらなる省力化を図ることができる。
【0080】
【実施例】
本実施の形態の形状因子測定装置1を用いて、植物DNA−陽イオン脂質複合体懸濁液の粘度を測定し、形状因子を求めた。その結果を図16及び図17に示す。この植物DNA−陽イオン脂質複合体懸濁液は、植物DNAを超音波照射により0.5〜2kbpとし、ジ−ステアリル−ジ−メチル塩化アンモニウム(distearydimetylammonium chloride)とモル比1:4で40℃で20分反応させ、複合体とし、0.01MのTrisHCL緩衝液に懸濁させたものである。ここで、複合体の化学式当量は2490、正味密度は1.001であり、この原液の濃度は塩基単位でc=0.57mN、容積分率はφ=0.00142であった。この原液を0.01MのTrisHCL緩衝液で希釈し、c=0.140、0.297、0.446mNとした。この場合、それぞれに対応する容積分率はφ=0.00037、0.00074、0.00111、0.00142であった。この結果、図17より、無次元固有粘度Vは、330を得た。そして、式(5)及び(6)より紡錘形回転楕円体軸比a/b=70、扁平回転楕円体軸比a/b=350を得た。
【0081】
尚、t10は0.01MのTrisHCL緩衝液の標線7a−7b間の流下時間、t20は0.01MのTrisHCL緩衝液の標線7b−7c間の流下時間、t1は植物DNA−陽イオン脂質複合体懸濁液の標線7a−7b間の流下時間、t2は植物DNA−陽イオン脂質複合体懸濁液の標線7b−7c間の流下時間であり、還元粘度μred=ηsp/c、無次元還元粘度ηred=ηsp/φである。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の形状因子測定装置によれば、毛細管粘度計を用いて試料液の粘度を測定すれば、分画を行わなくても、簡単に粘度から試料液に含まれる粒子の形状因子を求めることができるので、遺伝子治療用ベクターの形状を把握でき、以て遺伝子治療におけるDNA感染効率を高めることに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置の動作を説明するフローチャートである。
【図2】本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置の概略構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置の流下時間測定部の近傍を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置の光ファイバ支持装置を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置の制御演算装置の外観図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置の制御演算装置の機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置における毛細管粘度計の制御を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置において試料液の流下時間を測定する方法を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置において相対粘度を算出する方法を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置において還元粘度を算出する方法を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置において固有粘度を算出する方法を説明するフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置において形状因子を算出する方法を説明するフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置において形状因子を算出する近似式を説明する図である。
【図14】式(5)(6)とシムハの数表を比較する表である。
【図15】式(5)(6)とシムハの数表を比較するグラフである。
【図16】本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置を用いて、植物DNA−陽イオン脂質複合体懸濁液の粘度を測定した場合の、測定結果である。
【図17】本発明の実施の形態に係る形状因子測定装置を用いて、植物DNA−陽イオン脂質複合体懸濁液の粘度を測定した場合の、無次元還元粘度と容積分率の関係を表すグラフである。
【符号の説明】
1 形状因子測定装置
2 毛細管粘度計
3 レーザセンサ装置
4 圧力調整装置
5 制御演算装置
7a、7b、7c 標線
21 試料溜め
22、23 上部液溜め
31 レーザダイオード
32 受光部
33a、33b、33c 光ファイバ
34a、34b、34c 光ファイバ支持装置
41 電磁弁
42 加圧ポンプ
51 入力部
52 表示部
53 電源部
54 マイコン
55 電磁弁制御部
56 ポンプ制御部
310a、310b、310c 光源
320a、320b、320c レーザセンサ
501a、501b、501c 光ファイバ挿入口
502 レーザダイオード電源コネクタ
503 加圧ポンプ電磁弁用電源コネクタ
504 AC100V電源入力用コネクタ
505 電源スイッチ

Claims (7)

  1. 異なった容積分率の遺伝子治療用ベクターが含まれる複数の試料液の粘度を毛細管粘度計によりそれぞれ測定し、その測定結果から前記遺伝子治療用ベクターの形状因子を測定する形状因子測定装置であって、
    前記複数の試料液それぞれが前記毛細管の所定の標線間を通過する時間を測定する流下時間測定手段と、
    前記流下時間測定手段で測定された複数の前記時間からそれぞれの容積分率における相対粘度を算出する相対粘度算出手段と、
    前記相対粘度から還元粘度を算出する還元粘度算出手段と、
    前記還元粘度と容積分率の関係から固有粘度を算出する固有粘度算出手段と、
    シムハ(Simha)の数表における数値から導き出された、前記固有粘度と回転楕円体の長径/短径の軸比の換算式に基づいて、前記固有粘度から前記軸比を前記遺伝子治療用ベクターの形状因子として決定する形状因子決定手段と、
    を有することを特徴とする形状因子測定装置。
  2. 前記形状因子決定手段は、
    前記遺伝子治療用ベクターの形状が紡錘形回転楕円体の場合は、
    V=0.057(a/b)+0.61(a/b)+1.83
    (V:固有粘度、a/b:回転楕円体の長径aと短径bの軸比)
    に基づいて、扁平回転楕円体の場合は、
    V=0.001(a/b)+0.59(a/b)+1.90
    (V:固有粘度、a/b:回転楕円体の長径aと短径bの軸比)
    に基づいて、a/b<100の範囲で、形状因子を決定することを特徴とする請求項1記載の形状因子測定装置。
  3. 光源及び受光部を備えるレーザセンサ装置を有し、
    前記流下時間測定手段は、前記レーザセンサ装置を用いることにより、前記試料液が前記所定の標線を通過することを検出することを特徴とする請求項1又は2記載の形状因子測定装置。
  4. 前記毛細管粘度計内の圧力を調整する圧力調整装置を有し、
    前記流下時間測定手段は、前記レーザセンサ装置により前記試料液が前記所定の標線の中の最下部の標線以下に流下したことを検出した場合は、前記圧力調整装置により前記毛細管粘度計内を加圧して前記試料液を持ち上げ、前記レーザセンサ装置により前記試料液が前記所定の標線の中の最上部の標線以上に持ち上がったことを検出した場合には、前記圧力調整装置により前記毛細管粘度計内を大気圧にすることを特徴とする請求項3記載の形状因子測定装置。
  5. 前記レーザセンサ装置は、レーザ伝達媒体として光ファイバを有することを特徴とする請求項3又は4記載の形状因子測定装置。
  6. 前記レーザセンサ装置は、前記光ファイバを前記毛細管粘度計の前記所定の標線位置に前記光ファイバの光源側および受光側の中心軸が一致するように固定する光ファイバ支持装置を有することを特徴とする請求項5記載の形状因子測定装置。
  7. 前記複数の試料液を前記毛細管粘度計に順次自動的に供給する自動試料液供給装置を有することを特徴とする請求項1乃至6記載の形状因子測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105675445A (zh) * 2016-03-25 2016-06-15 中国石油大学(华东) 一种高温高压下超临界二氧化碳毛细管粘度计及使用方法

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