JP2004069401A - 内部反射型二次元イメージングエリプソメータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プリズム部49と入射光学系1と射出光学系3とを含んで構成され、入射光学系1が、光源41−1と、第1のコリメータおよび第1の偏光子を含む入射光学部41とを備え、射出光学系3が、第2の偏光子および二次元検出器を含む射出光学部43と、解析装置43−1とを備え、入射光学系1および射出光学系3のうちの少なくとも一方が、偏光解析パラメータを求めるための複数の測定条件を自動的に設定する測定条件自動設定手段を備え、さらに、プリズム部49、入射光学部41および射出光学部43を支持するとともに、入射光がプリズム2の入射面を経て測定面に照射され、射出光がプリズム2の射出面を経て射出光学部43に射出されるように調節する機能を有する支持手段42を備えている。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部反射型二次元イメージングエリプソメータに関し、さらに詳しくは、プリズムの測定面またはプリズムの測定面上の基板面に形成された試料の厚さ、光学的性質を二次元的に測定することができる内部反射型二次元イメージングエリプソメータ、および特に生体物質や有機化合物などの薄膜を対象とした、特に空気以外の気体や液体中での厚さや光学的性質の二次元的な測定、表面に凹凸があり厚みのある試料や液体試料の光学的性質の二次元的な測定などに好適な内部反射型二次元イメージングエリプソメータに関する。
【0002】
【従来の技術】
無機化合物や金属などの無機系物質、生体物質や有機化合物などの有機系物質など、物質の物性や厚さに関する様々な測定技術が開発され、多くの技術分野で利用されている。
【0003】
無機系物質の場合には、熱による被測定物(以下、試料と記す)の損傷の恐れが低いため、電子ビームやレーザなど高エネルギーのビームを照射する測定技術・分析技術を採用することができる。一方、有機系物質の場合には、照射するビームのエネルギーが高いと、試料が熱により損傷するので、高エネルギーのビームを採用することができない。
【0004】
近年、生体物質や有機化合物などの有機系物質の物性や厚さ測定の必要性が高まっており、有機系物質の測定に関しては、エネルギーの低い光ビームを用いる測定技術の研究開発が行われている。
【0005】
エリプソメトリは、平坦な基板上に形成された試料に光ビームを照射することにより、屈折率などの光学的性質や厚さを測定することが可能な方法である。また、エリプソメトリは、光源にハロゲンランプやキセノンランプの光のほか、レーザ光を用いることができることなど測定条件の選択範囲が広い。そのため、有機系物質の測定にも、無機系物質の測定にも用いることができるので、広範囲の産業分野・技術分野で採用されるようになってきている。
【0006】
エリプソメトリには、試料から反射された光を計測する反射型エリプソメトリと、試料を透過した光を計測する透過型エリプソメトリとがある。これらの2つのタイプのうち、多くの場合、光を透過しない試料を測定対象とすることができる反射型エリプソメトリが採用されている。
【0007】
さらに、反射型エリプソメトリは、試料の表面に光を照射し、反射した光を計測する外部反射型エリプソメトリと、プリズムの一面(測定面)に形成された試料の裏面に、プリズムを介して光を照射し、反射した光を計測する内部反射型エリプソメトリとに分類される。
【0008】
図1および図2は、反射型エリプソメトリによって試料の膜厚または光学的性質を測定する測定系を模式的に示す構成図であり、図1は外部反射型、図2は内部反射型を示す図である。なお、ここでは、試料は表面に凹凸がなく、測定光の波長程度の厚さの薄膜と想定している。
【0009】
図1に示したように、外部反射型エリプソメータは、基板6に形成された試料4と、試料4の表面に光線を照射する入射光学系1と試料4の表面から発生する反射光を含む射出光を測定する射出光学系3とを含んで構成されている。
【0010】
一方、図2に示したように、内部反射型エリプソメータは、試料4が測定面21に形成されたプリズム2と、プリズム2を挟んで配置された入射光学系1と射出光学系(計測光学系ともいう)3とを含んで構成されている。また、図2に示されているように、入射光は、プリズムの入射面22を介して測定面21に形成されている試料4の裏側に照射されて、プリズム2の射出面23を介して射出光が射出光学系3で受光され、射出光学系3で、反射光の偏光状態が検出されるように構成されている。
【0011】
反射型エリプソメータの全体の配置には、例えばPCSA型、PSCA型などがあり、前者は、光を直線偏光に変える偏光子と直線偏光を楕円偏光に変える補償板(1/4波長板)とが入射光学系1内の入射光の経路に沿って配列され、検光子が射出光学系3内の射出光の経路に沿って配列されている。一方、後者のPSCA型は、補償板と検光子とが射出光学系3内の射出経路に沿って配列されている。
【0012】
エリプソメトリにおける測定では、通常、入射光の偏光状態をp成分(入射面に平行に振動する成分)とs成分(入射面に垂直に振動する成分)とに分ける。入射光は、試料4の裏面における反射の前後で、試料4の特性に応じて偏光状態に変化が生じる。この偏光状態の変化は、(1)式に示すΨと(2)式に示すΔの2つの偏光解析パラメータで表される。
【0013】
Ψ=tan−1(|rp|/|rs|) (1)
Δ=δrp−δrs (2)
ここで、|rp|はp成分の反射率の絶対値、|rs|はs成分の反射率の絶対値、δrpはp成分の位相の変化、δrsはs成分の位相の変化を意味する。つまり、Ψは入射光が試料表面で反射する際に起こる光の強度の変化、Δは同じく位相の変化を表している。
【0014】
外部反射型エリプソメトリは、試料の表面に光を照射して測定を行うことができるので、利用しやすい測定方法である。そのために、測定方法の研究開発が広く行われており、すでに実用化も行われている。
【0015】
前記のように、外部反射型エリプソメトリによって試料の膜厚または光学的性質を測定する場合の試料は、表面に凹凸がなく、測定光の波長程度の厚さの薄膜であることが必要であった。一方、内部反射型エリプソメータは、試料の光学的性質のみを測定する場合には、図2において、試料4が表面に凹凸があり厚みのあるものでも測定を行うことができる。ただし、入射光が基板―薄膜界面で全反射(入射光が試料を透過することなく、すべて反射する現象。ただし、一部の光はその波長程度の深さだけ試料内に進入するため、基板表面近傍のみの現象が検出される)を起こさせるため、入射光とプリズム裏面の法線とのなす角(入射角)は臨界角(通常の反射が起きる場合と全反射が起きる場合の境界の角度)以上に設定する。
【0016】
さらに、内部反射型エリプソメトリの場合には、図3(a)に示すように、図2に示した測定法以外に、プリズム2の測定面21と試料4との間に、基板を介在させて測定を行うことが可能である。この時、通常、プリズム2と基板6とは、測定精度の観点から、ほぼ等しい屈折率を有するものが用いられる。また、プリズム2の測定面21と基板6との間には、マッチング液が用いられる。
【0017】
また、図2および図3(a)は空気中で測定を行う通常の場合の例である。これに対し、図3(b)は空気以外の気体や液体中で測定を行う場合の例である。なお、図3(b)では、基板6を介在させて測定を行う場合を例示しているが、プリズム2の測定面51に直接試料が形成されていてもよい。
【0018】
また、図3(b)に示されているように、空気以外の気体や液体中で測定を行う場合には、基板6に対しOリング101を介してセル102を圧着し、生じた空隙部103に導管104から媒体105を流入させる。この場合、プリズム2と基板6には、測定精度の観点から、ほぼ等しい屈折率を有するものが用いられる。また、プリズム2の測定面51と基板6との間にはマッチング液が用いられる。図3(b)に示した構成の場合には、通常、セル内壁106での光の反射を防止するため、セルの材料には黒色のものが用いられ、さらにセル内壁106はつや消しとされる。
【0019】
図3(b)に示した測定法においては、媒体としての液体または気体が腐食性を有する場合であっても、安全に測定を行うことができるという特徴がある。また、予め媒体中に所定の物質を溶解させて測定を実施することにより、媒体中に存在する物質が基板表面上に吸着した量を測定するという用途や、媒体中での反応によって基板の表面に形成される薄膜上の反応生成物を、時々刻々in situで測定するという用途にも応用することができる。また、温度など媒体の性質が変化した時または媒体中に存在する物質の種類や濃度が変化した時に、厚さが変化する性質を有する薄膜を基板上に形成させることにより、媒体の性質または媒体中に存在する物質の種類や濃度を間接的に測定することが可能である。
【0020】
また、内部反射型エリプソメトリの場合には、図3(b)において、試料4がない構成とすることにより、空隙内に流入させた液体の光学的性質を測定することも可能である。
【0021】
内部反射型エリプソメトリは、上記のような測定に適用することができるので、従来実用されてきた外部反射型エリプソメトリに比べると、著しい優位性を有している。
【0022】
一方、外部反射型エリプソメトリによって、空気以外の気体や液体中において試料の膜厚や光学的性質を測定する場合や液体の光学的性質を測定する場合には、基板や試料を覆い、かつ気密または水密な領域を形成することができる特殊な容器を必要とする。さらに、その容器には、入射光や射出光を通すための窓を試料面の斜め上部に、傾斜させて設ける必要がある。このような容器は製作が難しく高価であるのに加え、内容積を小さくするのには限界がある。したがって、微量しか入手できないかまたはきわめて高価な物質を対象とする測定の場合には、外部反射型エリプソメトリを採用することが困難である。また、媒体を通流させながら測定を行うといった用途にも用いることが困難である。これらの問題点は、測定を行う媒体と光学系とが同じ側に位置する外部反射型の構造的な特性に起因している。
【0023】
これに対して、内部反射型エリプソメトリでは、セルの深さおよびOリング101の太さを小さくすることにより、セルの内容積を微小とすることが容易である。さらに、測定部と光学系とが構造的に分離されているため、セルの脱着および媒体の置換を簡便に行うことができるとともに、装置の小型化が可能である。また、媒体や媒体に含まれる物質が毒性や腐食性を有する場合であっても、媒体を通流させながら置換を行うことにより、安全に測定を行うことができる。
【0024】
また、発ガンの抑制などの生体現象にかかわる遺伝子やタンパク質の同定を行うために、基板上にDNAや抗体を固定したセンサを用いて、試料に含まれる特定のDNAやタンパク質を検出することが現在大きな需要を持っている。これらの生体物質、中でもタンパク質は、環境が変化すると活性を失うものが多いため、測定は水溶液中で行う必要がある。このため、媒体中での測定に適した内部反射型エリプソメトリが測定技術として大いに期待される。
【0025】
内部反射型エリプソメトリは、研究例はわずかではあるが、液体試料の光学的性質の測定(例えば、Boerら;Appl. Opt., 34, 5708 (1995))や、液体分子や溶液中に含まれる物質分子の表面近傍における配向の研究(例えば、Okutaniら;Jpn. J. Appl. Phys., 40, 244 (2001))に用いられてきた。
【0026】
しかしながら、内部反射型エリプソメトリは、上記のような特長を持っているものの、基板上に形成された薄膜の膜厚測定に用いられた例はほとんどない。ガラス基板上に形成された金、シリコンおよびフッ化マグネシウム薄膜を対象として検討を行った報告(Azzamら;Appl. Opt., 14, 1652(1975))があるが、シミュレーションのみであり、実際の測定は行われていない。特に、前述のとおり、薄膜の厚さ測定の需要が大きい用途は、試料薄膜がタンパク質などの生体物質で屈折率が約1.4〜約1.6の試料である。
【0027】
このような通常用いられる石英やガラス製の基板と、屈折率に大きな差がない試料の場合については、研究例がさらに少ない。基板表面に吸着した物質の量の測定は、薄膜の厚さ測定方法と原理的にはほぼ同じである。その測定に関しては、溶液中に溶解している高分子が基板に吸着する現象を調査した報告がある(Kimら; Macromolecules, 22, 2682 (1989); ibid., 24, 319 (1991); ibid., 24, 4216 (1991))。この場合の測定には、高屈折率(1.67)のSF5型ガラス製のプリズムおよびプリズムと同じSF5型ガラス製の基板を用いて、基板−試料の界面で全反射を起こさせるためであり、後述のように、薄膜の厚さ測定における感度および再現性を向上させるものではなかった。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
上記の例に見られるように、従来の内部反射型エリプソメトリは、一定の断面積を有する光束を試料に照射する入射光学系と、射出光を検出する光電子倍増管やフォトダイオードなどの検出器を有する射出光学系によって構成されていた。したがって、測定によって求められる試料の光学的性質や厚さは、光束が照射された領域における平均的な値であった。
【0029】
一方、内部反射型エリプソメトリは、前述のように、全反射条件で測定を行うことにより表面に凹凸があり厚みのある試料の光学的性質の測定が可能であり、その特長を生かして、基板またはプリズム表面に生着させた生体組織や細胞の光学的な性質の測定という新たな分野への適用の拡大が期待されている。これらの生体組織や細胞は、それぞれに固有の微細構造を有するので、光学的性質、例えば屈折率の二次元的な分布の測定を行うことにより、構造と機能の関係などについて研究することができる。また、屈折率分布の時間変化を測定することにより、生体組織の活動や細胞内の情報伝達などについて調査することができる。
【0030】
また、内部反射型エリプソメトリは、前述のように、Oリングを利用して圧着したセルなどを用いることにより液体の光学的性質の測定が可能である。したがって、基板またはプリズム表面上で高次の構造を形成する液体、またはそのような性質を持つ物質を溶解した溶液の光学的性質、例えば屈折率の二次元的な分布の測定を行うことができる。これにより、新たな高次構造の探索や、光や電界、磁界などの外部場の作用や温度など環境条件の変動による高次構造の変化などについて研究することができる。また、屈折率分布の時間変化を測定することにより、高次構造の粘弾性などについて調査することができる。
【0031】
さらに、最近、発ガンの抑制などの生体現象にかかわる遺伝子やタンパク質の同定、生体や細胞の状態の包括的な把握などを迅速に行うための技術が注目を集めている。すなわち、平面基板上に多数の種類のDNAや抗体を配列したマイクロアレイを用いて、試料に含まれるDNAやタンパク質を高効率で解析する技術である。このマイクロアレイを用いた解析技術に対しては、基板上に固定化されたDNAやタンパク質と、試料の中に含まれるDNAやタンパク質との間の相互作用を二次元的に計測する技術が不可欠である。
【0032】
一方、外部反射型エリプソメトリについては、二次元的な測定に関するいくつかの報告例がある。例えば、米国特許5076696号公報には、偏光子及び補償板を一定の方位角に設定し、検光子を回転させ、0(、45(、−45(および90(の4点の方位角において反射光をCCDカメラで測定し、偏光子、検光子および補償板の方位角から算術的にY およびD(以下、ΨとΔを偏光解析パラメータと呼ぶ) を求める回転検光子型の外部反射型二次元エリプソメータが開示されている。
【0033】
また、偏光子及び検光子を一定の方位角に設定し、補償板を回転させることにより、入射光のs成分に対するp成分の位相差δを一定間隔ごとに変化させ、それぞれのδ においてCCDカメラにより反射光を測定し、得られた複数の反射光強度から算術的に偏光解析パラメータ(Ψ及びΔ)を求める外部反射型二次元エリプソメータが開示されている(Rev. Sci. Instrum., 59, 2557 (1988))。
【0034】
これらの二次元イメージングエリプソメータは、いずれもプリズムを用いない外部反射型エリプソメトリによる測定装置であるために、これらの技術をそのまま内部反射型二次元イメージングエリプソメータに適用することはできない。
【0035】
一方、内部反射型エリプソメトリによる二次元的な測定に関する報告例は見あたらない。なお、偏光素子を含む光学系を用い、プリズムを介して平行光を試料に入射し、試料からの射出光と、入射光を途中で分岐し位相を調節した光の間で干渉を起こさせCCDカメラに投影する、イメージング表面プラズモン共鳴干渉法が報告されている(Sens. Actuators A, 85, 189 (2000))。この場合には、予め測定面に金または銀薄膜を作製したプリズムを用い、干渉による強度分布の変化から、金または銀薄膜表面に作製した試料の変化が推定されている。また、機構面では、内部反射型エリプソメトリと二次元イメージングエリプソメータの両方の要素を含んでいる。しかしながら、CCDカメラに投影された干渉光の強度分布が測定できるのみであり、エリプソメトリの計測値の分布を求めることができない。したがって、この手法は内部反射型二次元イメージングエリプソメータに応用することが困難である。
【0036】
本発明は、プリズムの測定面またはプリズムの測定面上の基板面に形成された試料の厚さ、光学的性質(屈折率)を二次元的に測定し、イメージ像として出力することができる内部反射型二次元イメージングエリプソメータを提供することを目的としている。さらに、本発明は、生体物質や有機化合物などの有機系物質の薄膜の厚さ、光学的性質の二次元的な測定、および表面に凹凸があり厚みのある試料や液体試料の光学的性質の二次元的な測定に好適な内部反射型二次元イメージングエリプソメータを提供することを別の目的としている。
【0037】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る内部反射型二次元イメージングエリプソメータ(以下、内部反射型二次元エリプソメータと略記する)(1)は、プリズム部と入射光学系と射出光学系とを含んで構成された内部反射型二次元イメージングエリプソメータであって、前記プリズム部に含まれるプリズムが、逆三角形または逆台形の断面形状を有し、該断面形状を有するプリズムは上底面が測定面、該測定面の一端側に隣接する側面が入射面、他端側に隣接する側面が射出面であり、前記入射光学系が、光源部と、第1のコリメータおよび第1の偏光子を含む入射光学部とを含んで構成され、前記射出光学系が、第2の偏光子および該第2の偏光子を通過した射出光を二次元的に検出する二次元検出器を含む射出光学部と、解析装置とを含んで構成され、前記入射光学系および前記射出光学系のうちの少なくとも一方が、偏光解析パラメータを求めるための複数の測定条件を自動的に設定する測定条件自動設定手段を備え、前記プリズム部、前記入射光学部および前記射出光学部を支持するとともに、入射光が前記プリズムの前記入射面を経て前記測定面に照射され、射出光が前記プリズムの前記射出面を経て前記射出光学部に射出されるように調節する機能を有する支持手段とを含んで構成されていることを特徴としている。
【0038】
また、本発明に係る内部反射型二次元エリプソメータ(2)は、上記内部反射型二次元エリプソメータ(1)において、前記測定条件自動設定手段が、前記入射光学部に設けられた、前記第1の偏光子と該第1の偏光子の方位角を自動的に設定する手段とを含んで構成された可変型偏光子、および/または前記射出光学部に設けられた、前記第2の偏光子と該第2の偏光子の方位角を自動的に設定する手段とを含んで構成された可変型偏光子であることを特徴としている。
【0039】
また、本発明に係る内部反射型二次元エリプソメータ(3)は、上記内部反射型二次元エリプソメータ(1)において、前記入射光学部および前記射出光学部のうちの少なくとも一方が、さらに楕円偏光子を含むことを特徴としている。
【0040】
また、本発明に係る内部反射型二次元エリプソメータ(4)は、上記内部反射型二次元エリプソメータ(3)において、前記測定条件自動設定手段が、前記楕円偏光子と該第楕円偏光子の位相差を自動的に設定する手段とを含んで構成された可変型遅延子であることを特徴としている。
【0041】
上記の内部反射型二次元エリプソメータ(1)〜(4)のいずれかによれば、内部反射型であるにも拘わらず、試料の厚さや光学的性質を二次元的に、かつ迅速に計測することが可能であり、計測値を解析することによって、試料の厚さや光学的性質を二次元的なイメージ像として得ることができる。また、解析結果を基に、定性的なイメージ像だけではなく、定量的な二次元イメージ像を得ることもできる。
【0042】
特に、内部反射型二次元エリプソメータ(2)は、測定波長を自由に選ぶことができるという特徴がある。このため、後述のように、試料が複数の層からなる場合、波長を変化させることによって得た複数の偏光解析パラメータを用いて、それぞれの層の屈折率と膜厚を決定することができる。
【0043】
なお、内部反射型二次元エリプソメータ(2)のうち、可変型偏光子が射出光学部に備えられている場合には、入射光学部に備えられている場合に比べるとより高い測定精度が得られる。
【0044】
また、内部反射型二次元エリプソメータ(3)によれば、偏光子および楕円偏光子の方位角を調節することにより、Dの値が0および180゜に近いときの誤差を小さくすることができ、試料の性質に応じて高精度で測定できる屈折率や膜厚の範囲を調節することができる。
【0045】
内部反射型二次元エリプソメータ(4)によれば、Dが−180〜180゜の広い範囲で測定することができ、Dの値に関わらず高い精度で測定することができる。
【0046】
なお、楕円偏光子を用いる上記の内部反射型二次元エリプソメータ(3)および(4)は、測定する波長範囲が広くない場合に、高精度の測定を行うことができる有効な装置である。
【0047】
また、本発明に係る内部反射型二次元エリプソメータ(5)は、上記の内部反射型二次元エリプソメータ(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記射出光学部が、第2のコリメータを備えていることを特徴としている。この内部反射型二次元エリプソメータ(5)によれば、前記二次元検出器における射出光強度の二次元的な検出がより高精度に行われる。
【0048】
本発明に係る内部反射型二次元エリプソメータ(6)は、上記の内部反射型二次元エリプソメータ(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記プリズムの前記測定面に、前記プリズムとほぼ同等の屈折率を有する光透過性基板を備えていることを特徴としている。
【0049】
上記の内部反射型二次元エリプソメータ(6)によれば、装置が、予め基板に試料を形成しその基板をプリズムの測定面に重ね合わせることによって作製されている。ガラス製基板は、同一素材のプリズムと比べ、製作費用が大幅に安く約200分の1であるので、多数の基板によって装置を構成することが可能である。したがって、基板が異なる多数の装置により、多数の試料を効率よく測定することができる。また、基板は、プリズムに比べて機械的強度が大きいため、超音波の付加や加熱などのより厳しい条件で測定面を洗浄することができる。そのため、より均一かつ強固に、試料を測定面に形成することができるので、高い精度の測定結果が得られる。
【0050】
さらに、本発明に係る内部反射型二次元エリプソメータ(7)は、上記の内部反射型二次元エリプソメータ(1)〜(5)において、前記プリズムを構成するガラスの屈折率が約1.4〜約1.6であり、前記プリズムの前記測定面に、屈折率が前記ガラスの屈折率より0.2以上大きい高屈折率膜を備えていることを特徴としている。
【0051】
上記の内部反射型二次元エリプソメータ(7)によれば、屈折率が低い生体物質などのタンパク質の試料(屈折率約1.4〜約1.6)であっても、精度よく試料の厚さや光学的性質を測定することができる。
【0052】
本発明に係る内部反射型二次元エリプソメータ(8)は、上記の内部反射型二次元エリプソメータ(7)において、前記プリズムを構成するガラスの屈折率が約1.4〜約1.6であり、前記光透過性基板の表面に、屈折率が前記ガラスの屈折率より0.2以上大きい高屈折率膜を備えていることを特徴としている。
【0053】
上記の内部反射型二次元エリプソメータ(8)によれば、上記(7)の内部反射型二次元エリプソメータが有する長所に加えて、上記(7)の内部反射型二次元エリプソメータが有する長所を享受することができる。
【0054】
また、本発明に係る内部反射型二次元エリプソメータ(9)は、上記の内部反射型二次元エリプソメータ(7)または(8)において、前記高屈折率膜の表面に加水分解性膜を備えていることを特徴としている。
【0055】
上記の内部反射型二次元エリプソメータ(9)によれば、高屈折率膜の表面に形成された試料が確実に固定されているので、上記内部反射型二次元エリプソメータ(7)または(8)による測定の信頼性をさらに高めることができる。
【0056】
【発明の実施の形態】
本発明に係る内部反射型二次元イメージングエリプソメータを具体化する上で、装置に要求される重要な要件は次の3点である。第1に、入射光学系、プリズムおよび射出光学系(二次元検出器を含む)相互の配置、すなわちこれら3者の適切な位置関係とその調節である。第2に、偏光解析パラメータ(Ψ、Δ)の計算に必要な複数の条件での測定を、高精度で迅速かつ自動的に実行する機能である。第3に、複数の測定条件に応じて発生する射出光を高精度で二次元的に検出し、迅速に解析する機能である。
【0057】
上記の重要な要件をすべて満たす装置、言い換えれば、入射光学系、プリズムおよび射出光学系が適正に配置され、偏光解析パラメータの計算に必要な複数の条件での測定が高精度で迅速かつ自動的に実行され、各測定における射出光が高精度で二次元的に検出されて、二次元的な解析結果が速やかに出力されるという性能を有するのが、本発明に係る内部反射型二次元エリプソメータである。
【0058】
以下に、本発明の内部反射型二次元エリプソメータに係る実施の形態を具体的に説明する。
【0059】
図4は、実施の形態1に係る内部反射型二次元エリプソメータの全体構成および各構成要素の配置を模式的に示す立面図であり、縦型の1例を示す図である。図4に示した内部反射型二次元エリプソメータ10は、入射光学系1、プリズム部49、射出光学系3および支持手段42を含んで構成されている。
【0060】
入射光学系1は、入射光学部41、光源部41−1および入射光学部41と光源部41−1とを光学的に接続する光ガイド41−2とを含んで構成されている。
【0061】
また、射出光学系3は、射出光学部43、射出光の強度から偏光解析パラメータ(Ψ、Δ)を求めるとともに、二次元イメージ像を作成するための解析装置43−1および射出光学部43と解析装置43−1とを電気的に接続するケーブル43−2を含んで構成されている。なお、光ガイド41−2には光ファイバなどが好適である。
【0062】
プリズム部49は、プリズム台48に保持されたプリズム2を備えており、測定の際には、プリズム2の測定面21(図2参照)に試料4が配置される。
【0063】
また、プリズム2は、図示していないが、測定に影響のない位置、断面形状が逆三角形のプリズム2の場合には、例えば入射面および射出面に対して直角な両側面および入射面および射出面が接する下辺で、プリズム台48に対して固定され、断面形状が台形のプリズム2の場合には、例えば上記両側面および下底面で、プリズム台48に対して固定されている。
【0064】
支持手段42は、支柱44と、支柱44に形成された溝44−1に沿って摺動可能に取り付けられた支点部45と、入射光学部支持アーム46と、射出光学部支持アーム47とを含んで構成されている。さらに、入射光学部41と入射光学部支持アーム46とはヒンジ部46−1、射出光学部43と射出光学部支持アーム47との間はヒンジ部47−1により回転可能に結合されている。また、プリズム部49は、支柱44の頂部に取り付けられている。
【0065】
上記のように構成され、配置されているので、入射光はプリズム2の入射面22(図2参照)を経て測定面21(図2参照)に照射され、測定面に位置する試料4の反射光および試料4裏面での反射によって生じる射出光が、プリズム2の射出面23(図2参照)を経て、射出光学部43に射出される。射出光は、射出光学部43に設けられている検出器により二次元的に検出される。なお、プリズム2は、断面形状が逆台形でもよく、その場合には、幅広の上底面が測定面21で、測定面21の一端側に隣接する側面が入射面22、他端側に隣接する側面が射出面23となる。
【0066】
入射光学部41の角度、すなわち入射角は、支持手段42に設けられている支点部45を昇降させることによって、変化させることが可能である。さらに、入射光学部41の角度の変化に連動して、射出光が射出光学部43で受光されるように射出光学部43の角度が変わるように構成されている。このような支持手段42の機能により、入射角を変化させた場合にも、入射角と試料4と射出角との関係が精度よく維持されるように構成されている。
【0067】
図5は、上記の実施の形態1のうち、別の態様に係る内部反射型二次元エリプソメータの全体構成および配置を模式的に示す立面図であり、横型の配置の1例を示す図である。横型の内部反射型二次元エリプソメータ20は、図4に示した縦型の装置を、紙面に垂直方向に90°傾けて水平にした状態の装置に相当する。ただし、入射光学部41、プリズム台48、射出光学部43、支持手段42などをほぼ水平に支える支持台(図示省略)が必要である。その他の構成は縦型とほぼ同じであるので、詳しい説明は省略する。
【0068】
このような構成とすることにより、平行な入射光を発生させ、その入射光が平行性を保持したまま、入射光学部を通過することにより測定に必要な偏光特性を獲得する。さらに、プリズム2を介して試料4の測定を行うべき範囲に照射されることが可能になる。続いて、試料4の裏面での反射によりプリズムを介して平行な射出光が放出され、その射出光が平行性を保持したまま、射出光学部を通過することにより射出光のうち検出に必要な偏光成分のみが選択され、射出光の像が歪曲することなく、二次元検出器の検出面上に投影される。これによって、上記の第1の重要な要件を解決することができる。
【0069】
第2の重要な要件、すなわち、偏光解析パラメータ(Ψ、Δ)の計算に必要な複数の条件での測定を、高精度で迅速かつ自動的に実行する手段、すなわち、前述の測定条件自動設定手段を、以下に説明する。
【0070】
図6は、実施の形態1aに係る内部反射型二次元エリプソメータの測定系を示す模式的構成図である。実施の形態1aに係る測定系は、光源部41−1および入射光学部41を含む入射光学系1と、プリズム2を含むプリズム部49と、射出光学部43および解析装置43−1を含む射出光学系3とを含んで構成されている。
【0071】
入射光学部41における光源部41−1は、キセノンランプ、ハロゲンランプなどのランプに加えて、特定の波長の光だけを通すモノクロメータまたは狭帯域フィルタを含んで構成することができる。ただし、モノクロメータを用いる場合は高次の散乱光を除去するフィルタを用いるのがよい。波長の選択は、モノクロメータのダイアルを回転させるか、狭帯域フィルタを交換することにより、手動で行うことができる。また、モノクロメータを解析装置に結合し、または複数の狭帯域フィルタを切り替え器に設置し、この切り替え器を解析装置に結合することにより、測定波長を自動的に設定することもできる。測定波長が固定の場合は、アルゴンイオンレーザ、レーザダイオードなどのレーザを用いることもできる。
【0072】
また、図4および図5に示したように、光源部41−1と入射光学部41とは光ガイド41−2によって接続されている。また、図6に示したように、光ガイド41−2を使わずに、光源部41−1と入射光学部とを、光軸を合わせて直接結合するようにしてもよい。
【0073】
入射光学部41は、レンズとピンホールで構成され、光源部からの単色光を拡大または縮小し、さらに平行成分のみを通過させるコリメータ62、および特定の方位角の偏光成分のみを通過させる偏光子を含んで構成されている。なお、このコリメータ62は、試料4に応じて平行な入射光を試料4に照射し、試料4での反射によって生じる射出光が良好な平行性を維持するために、入射光学部41に設けられている。その結果として、試料4の測定領域に対応する射出光の像が射出光学部43の二次元検出器に投影されるように構成されている。なお、第1の偏光子63の方位角を45°に設定した場合、試料4への入射光のp成分とs成分の割合はほぼ同じになる。
【0074】
試料4からの射出光を測定する射出光学部43は、第2の偏光子(検光子)64、二次元的に信号を検出することが可能な二次元検出器69などを含んで構成されている。
【0075】
なお、射出光学部43は、レンズとピンホールで構成された、射出光を拡大、縮小する機能を有するコリメータ65を含むことが望ましい。コリメータ65は射出光を拡大、縮小する機能に加え、平行光のみを通過させる機能を有することがさらに望ましい。平行な入射光が反射することによって生じる射出光は平行光であるが、途中の光路で生じた散乱光や迷光を除去することにより、二次元検出器69における射出光像の二次元的な分解能や検出精度をより向上させることができる。
【0076】
二次元検出器69には、デジタル型の固体撮像デバイスやアナログ型の撮像管など用いることができる。例えば、デジタル型の固体撮像デバイスには、多数の微細な検出素子が配列された構造を有するCCDイメージセンサやCPDイメージセンサがあり、アナログ型の撮像管には、ビジコンや光導電形撮像管などがある。これらのアナログ型の二次元検出器の場合には、解析装置43−1に伝送される際に信号をデジタル化し、センサ面の一微小部を一つの画素(セル)とし、各セルに対応する信号を出力するようにして、デジタル型の検出器と同様に、各セル毎に対応する信号を出力するように構成することが望ましい。
【0077】
本実施の形態1に係る測定系は、上記のように、第2の重要な要件として、偏光解析パラメータ(Ψ、Δ)の計算に必要な複数の条件での測定を自動的に、かつ迅速に実行する機能を備えていなければならない。さらに、上記のように、このような複数の測定条件に応じて発生する射出光を二次元的に検出し、二次元的なそれぞれの位置に応じた電気信号に変換し、解析するという第3の重要な要件を備えている。これらの第2および第3の要件を解決する手段を、以下に説明する。
【0078】
上記のように、内部反射型二次元エリプソメータには、試料4における1測定点に対して、偏光解析パラメータ(Ψ、Δ)の計算に必要な複数の測定結果を極力短時間に求めることが要求される。
【0079】
実施の形態1aに係る内部反射型二次元エリプソメータの場合には、測定条件自動設定手段が射出光学部に設けられた可変型偏光子であり、この可変型偏光子は、第2の偏光子64と第2の偏光子の方位角を自動的に設定する手段(図示省略)とにより構成されている。この測定条件自動設定手段によって、第2の偏光子の方位角が、予め設定された所定の間隔の複数の方位に従って、測定時に自動的に設定され、その設定条件で測定が行われる。
【0080】
したがって、試料4に対して照射され発生した射出光が、複数の方位角で二次元検出器69により検出される。それによって、各方位における射出光の強度に応じた電気信号が、各位置(画素、セル)別に二次元的に計測される。得られたそれぞれの電気信号が解析装置43−1に伝送され、各位置(画素、セル)別に、各方位に対する計測値を用いて解析が行われる。この解析により、試料4における1つの測定点に対して、各位置(画素、セル)別に、すなわち二次元的に偏光解析パラメータ(Ψ、Δ)が求められることになる。
【0081】
上記の可変型偏光子の複数の方位を自動的に設定する手段には、第2の偏光子64を、予め設定された間隔で逐次的に回転させることにより、通過させる偏光成分の方位角を変化させる機械的な手段、または第2の偏光子64に、予め設定された電圧を段階的に変化させて付加することにより、通過させる偏光成分の方位角を逐次的に変化させる電圧付加手段などがあり、前者の手段を備えた偏光子は回転偏光子と呼ばれている。
【0082】
また、射出光学部の第2の偏光子64を可変型偏光子とすることに代えて、入射光学部の第1の偏光子63を可変型偏光子としてもよい。なお、射出光学部の第2の偏光子64を可変型偏光子とする場合の方が、入射光学部の第1の偏光子63を可変型偏光子とする場合より、高い測定精度が得られる。
【0083】
可変型偏光子の定格波長範囲は通常400〜700nm程度で十分広いため、測定条件自動設定手段が可変型偏光子である場合には、測定波長をほとんど自由に選ぶことができるという特徴がある。このため、後述のように、試料が複数の層からなる場合、波長を変化させることによって得た複数の偏光解析パラメータを用いて、それぞれの層の屈折率と膜厚を決定することができる。
【0084】
また、入射光学部41または射出光学部43は、所定の角度だけ、入射光に位相差d を生じさせ、直線偏光を楕円偏光に変える楕円偏光子(偏光補償板)66を含んでいてもよい。偏光子および楕円偏光子の方位角を調節することにより、Dの値が0および180゜に近いときの誤差を小さくすることができ、試料の性質に応じて高精度で測定できる屈折率や膜厚の範囲を調節することができる。
【0085】
また、入射光学部41の第1の偏光子63が可変型偏光子である場合、入射光学部41の可変型偏光子の前に第3の偏光子を挿入してもよい。また、射出光学部43の第2の偏光子64が可変型偏光子である場合、射出光学部43の可変型偏光子の後に第3の偏光子を挿入してもよい。その場合には、第3の偏光子を含まない場合と比べ、高い測定精度が得られる。また、第1、第2の偏光子63,64を両者とも可変型偏光子としてもよい。可変型偏光子が1個である場合と比べ、高い測定精度が得られる。
【0086】
図7は、実施の形態1bに係る内部反射型二次元エリプソメータの測定系を示す模式的構成図である。なお、実施の形態1bは、測定条件自動設定手段が可変型遅延子の場合である。
【0087】
測定系の構成は、図6に示した測定系に対して、射出光学部43の第2の偏光子71が可変型偏光子ではなく通常の偏光子であること、入射光学部41に、第1の偏光子63のほかに、楕円偏光子と楕円偏光子の位相差を自動的に設定する手段とを含んで構成された可変型遅延子72を含むことの2点が相違している。この可変型遅延子72は、入射光の位相差を自動的に設定する手段、すなわち、入射光の位相差δを、予め設定された所定の間隔の位相差に従って、測定時に自動的に設定する手段を備えた楕円偏光子である。なお、実施の形態1bの場合には、第2の偏光子71は、方位角が自動的に設定される機能を備えていてもよく、備えていなくてもよい。
【0088】
したがって、試料4に対して、位相差が異なる複数の入射光が連続的に照射され、それに応じて逐次的に位相差が相違する複数の射出光が発生する。これらの複数の位相差における射出光を、それぞれ二次元的に検出することにより、各位相差における射出光の強度に応じた電気信号を、二次元的に各位置(画素、セル)別に計測する。解析装置43−1にこれらの電気信号を伝送し、各位置(画素、セル)別に、各位相差における計測値を解析する。この解析により、試料4における1つの測定点に対して、各位置(画素、セル)別に、すなわち二次元的に偏光解析パラメータ(Ψ、Δ)が求められることになる。
【0089】
上記の複数の位相差を自動的に設定する可変型遅延子の役割をする楕円偏光子(偏光補償板)72には、予め設定された間隔で逐次的に偏光補償板を回転させることにより、入射光の位相差を段階的に変化させることができる回転手段、または楕円偏光子に、予め設定された電圧を段階的に変化させて付加することにより、入射光の位相差を逐次的変化させる電圧付加手段のいずれかを利用することができる。
【0090】
実施の形態1bには、可変型遅延子が入射光学部41に設けられた例を示したが、入射光学部41ではなく、射出光学部43に設けられていてもよい。
【0091】
実施の形態1aおよび1bに係る内部反射型二次元エリプソメータの射出光学部43には、前述のように、CCDイメージセンサやCPDイメージセンサなどの個体撮像デバイス、またはビジコンや光導電形撮像管などの撮像管を、二次元検出器69として用いることができる。二次元検出器69で測定された信号は、解析装置43−1に伝送され、二次元的に偏光解析パラメータが求められる。
【0092】
解析装置43−1では、目的に合わせてデータが様々な形に加工され、その結果が出力される。この解析装置は、二次元検出器69に電気的に接続されたコンピュータと、コンピュータに組み込まれた、偏光解析パラメータ(Ψ、Δ)を求めるためのソフトウエアとを含んで構成されている。偏光解析パラメータ(Ψ、Δ)の計算には、周知の計算方法を採用することができる。
【0093】
上記の実施の形態1aおよび1bに係るエリプソメータでは、射出光を二次元的に二次元検出器69に投影するために、平行な入射光を試料4に照射して、平行な射出光を二次元検出器69に投影することができるように構成されている。そのために、前述のように、入射光学部41は、入射光を光軸に対して拡大または縮小し、平行成分のみを通過させるコリメータ62を備えている。また、射出光学部43は、射出光を拡大、縮小する機能を有するコリメータ65を含むことが望ましい。コリメータ65は射出光を拡大、縮小する機能に加え、平行光のみを通過させる機能を有することがさらに望ましい。
【0094】
実施の形態1aで用いられる可変型偏光子による方位角の制御および実施の形態1bで用いられる可変型遅延子による位相差の制御には、パーソナルコンピュータによる制御システムと、可変型偏光子または可変型遅延子を作動させる機械的または電気的手段との組み合わせによって実施することができる。
【0095】
光源部41―1は、前述のように、波長固定でも、手動または自動による波長可変でもよい。光源部41―1が波長可変の場合は、波長を変化させて前述の測定を行うことにより、それぞれの波長に対応した複数の偏光解析パラメータの分布を得ることができる。試料が複数の層からなる場合、波長固定とすると、薄膜試料の屈折率や膜厚は全ての層の平均値として求められる。一方、波長可変の場合、波長毎に測定された偏光解析パラメータから、理論計算を用いた波長に関する非線形最小二乗法により、それぞれの層の屈折率と膜厚とを決定することができる。したがって、内部反射型二次元エリプソメータを用いて複数の波長で測定を行うことにより、複数の層からなる試料について、それぞれの層の屈折率と膜厚を二次元的に決定することができる。
【0096】
図8は、実施の形態2に係る内部反射型二次元エリプソメータのプリズム部を示す要部拡大断面図である。実施の形態2に係る内部反射型二次元エリプソメータは、特に、屈折率が約1.4〜約1.6の範囲にある生体物質などのタンパク質の物質の測定に好適な装置である。
【0097】
プリズム2に一般的に用いられているガラスの屈折率は、上記の有機系の物質の屈折率とほぼ同等であり、約1.4〜約1.6程度である。例えば、BK7ガラスの屈折率は1.52程度である。試料とプリズムとの屈折率の差が小さい場合には、偏光解析パラメータ(Ψ、Δ)を精度よく求めることができない。したがって、実施の形態1で説明した装置を用いて、二次元的なイメージ像を描かせたとしても、鮮明なイメージ像を得ることができない。
【0098】
図8に示されているように、実施の形態2に係る内部反射型二次元エリプソメータは、プリズム2(屈折率約1.4〜約1.6)の測定面21に高屈折率膜81が設けられている場合(同図(a))、プリズム2の測定面21に載置された光透過性基板6の表面に高屈折率膜81が設けられている場合(同図(b))のいずれの態様でもよい。
【0099】
高屈折率膜81は、その屈折率が、プリズム2の屈折率(約1.4〜約1.6)に比べて、0.2以上大きい。このような高屈折率膜81を設けることによって、試料4の屈折率(約1.4〜約1.6)との差が0.2以上となる条件を得ることができる。本発明者らは、屈折率にこのような差を設けることによって、タンパク質などのように屈折率が低い場合でも、偏光解析パラメータを精度よく求めることができることを確認している。
【0100】
上記の条件を確保するために、高屈折率膜81の屈折率は、約1.60〜約3.00とすることが望ましい。なお、図8(b)に示したように、光透過性基板6を用いる場合には、プリズム2と光透過性基板6との屈折率はほぼ同等とする。両者の屈折率は等しいことが望ましいが、屈折率の差0.01程度までは許容範囲内である。
【0101】
また、プリズム2と高屈折率膜81との屈折率の差の上限は特に制限されないが、実用可能な高屈折率膜81を用いることを考慮すると、1.6程度である。
【0102】
高屈折率膜81の材料は、可視ないし近赤外域で光学的に透明なものであればよく、その条件を満たすものであれば特に材料に対する制限はない。例えば、酸化アルミニウム(アルミナ、屈折率1.760)、酸化タンタル(同2.051)、酸化ニオブ(同2.311)、酸化鉄(同2.467)などの金属酸化物や、鉛−ジルコニウム−チタン複合酸化物(同2.558*1)などの金属複合酸化物、硫化すず(同3.0*2)などの一部の金属硫化物、窒化シリコン(同2.008*3)などの一部の金属窒化物が好適である(*1、*2、*3は、それぞれ632.8nm、600nm、827nm、無印は800nmにおける屈折率を意味する)。また、高屈折率膜81の屈折率は、約1.60〜約3.00の範囲が望ましく、より望ましい範囲は1.70〜2.50である。
【0103】
高屈折率膜81の厚さは、30〜300nmの範囲が好適であり、より好適な範囲は、40〜180nmである。高屈折率膜81の厚さが薄すぎると、膜厚に対する屈折率の変化の割合、すなわち感度が小さすぎる。一方、厚すぎると、測定可能な膜厚の範囲が狭くなる。なお、高屈折率膜81の厚さは、それぞれの測定条件に応じて最適な厚さを選ぶことが望ましい。高屈折率膜81の最適な厚さは、シミュレーションにより容易に求めることができる。また、高屈折率膜81は、真空蒸着法、スパッタリング法、ゾルゲル法などによって、プリズム2や基板6の表面に、容易に形成することができる。
【0104】
図9は、実施の形態3に係る内部反射型二次元エリプソメータのプリズム部を示す要部拡大断面図である。実施の形態3の場合には、図8に示した高屈折率膜81の表面にさらに加水分解性膜82を備えている。
【0105】
ガラス製のプリズム2や光透過性基板6は、主成分がシリカ(SiO2)であるので、表面には加水分解によって生じる水酸基(OH基)が多量に存在する。そのため、プリズム2や基板6の表面に有機物質系の試料4を形成すると、水酸基の作用により、プリズム2や基板6と試料4との間に共有結合が生じ、共有結合により、プリズム2や基板6に試料4が強固に固定される。
【0106】
一方、タンタル酸化物などの主として金属酸化物で構成される高屈折率膜81は、シリカに比べると加水分解性に劣るので、高屈折率膜81の表面に存在する水酸基の量が少ない。そのために、共有結合が起こりにくく、高屈折率膜81に対して、試料4が強固に固定されにくい。高屈折率膜81に対して試料4が強固に固定されていない場合には、水などの液体の作用により、簡単に溶解除去される場合がある。そのため、水などの液体中で測定することができないことがある。
【0107】
加水分解性膜91は、加水分解を起こす性質を有するシリカを含む膜であり、シリカで構成してもよく、シリカ以外に金属酸化物、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物などを含んでいてもよい。
【0108】
また、加水分解性膜91の厚さは、約2〜約100nmとするのが望ましく、より望ましい範囲は約5〜約50nmである。厚さが約2nm未満の場合には、稠密で均一な加水分解性膜91を形成させにくい。そのため、水酸基の生成量が不均一となり、強固な共有結合が起こりにくい。より望ましい下限は約5nmである。一方、後述のように、加水分解性膜91の厚さが厚くなるほど、測定可能な試料4の厚さの範囲が狭くなる傾向があり、約100nmを超えるとその傾向を無視できなくる。したがって、加水分解性膜91の厚さの上限は約100nmが望ましく、より望ましい上限は約50nmである。
【0109】
なお、加水分解性膜91の屈折率は、プリズム2および基板6の屈折率とほぼ同じでもよく、ある程度相違していてもよい。ただし、加水分解性膜91の屈折率の下限は約1.30、上限は高屈折率膜81の屈折率より約0.10小さい値とするのがよい。
【0110】
【実施例】
本発明に係る内部反射型二次元エリプソメータを用いて、有機系物質を対象に二次元的な測定を行った。測定に用いた装置は図4に示した縦型の装置であり、測定系の詳細は図6に示した第2の偏光子64として可変型偏光子を用いる系とした。また、プリズム部49は図8(b)に示した構成であり、プリズム2の測定面21にマッチング液を介して、表面に高屈折率膜81が形成された光透過性基板6が載置された構成とした。
【0111】
光源41−1にはハロゲンランプを用い、モノクロメータで単色化し、さらにフィルタ61で高次の散乱光を除去した。得られた単色光をコリメータ62により平行光とし、第1の偏光子63を通して、プリズム2の入射面22を介して、一定の入射角で試料4に照射した。なお、第1の偏光子63の方位角を45(に設定することにより、試料4への入射光は、p成分とs成分を同じ割合で含むようにした。
【0112】
試料4からの射出光は、プリズム2の射出面23を介して射出し、第2の偏光子(検光子)64を通った後、ピンホールを通過して二次元検出器69であるCCDカメラに入射するようにした。入射光学部41と、試料4(プリズム2の測定面21)と、射出光学部43との間の角度は、2軸回転ステージ(図示省略)で調節した。 上記のCCDカメラは有効画素数768(H)×494(V)およびセルサイズ6.35(H)×7.4(V)μmであり、測定した画像はパーソナルコンピュータに送り、画素数640(H)×486(V)の画像として8ビットで記録・解析した。
【0113】
ここで、プリズム2は石英製(屈折率1.458)とした。また、高屈折率膜81は、鉛、ランタン、ガドリニウム、ジルコニウムおよびチタンのそれぞれ酸化物で構成された複合酸化物(PLGZT)(屈折率2.065および消衰係数0.036)とし、この複合酸化物を石英(屈折率1.458)製の光透過性基板6の表面にゾルゲル法により成膜した。なお、高屈折率膜81の厚さは、約107nmとした。
【0114】
試料4は、次の方法により調製した。タンパク質の一種であるラクトグロブリン(LG)、アルブミン(A)、オブアルブミン(OV)およびパパイン(PA)の4種類の試料を用い、質量%で0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%の5種類の濃度の水溶液を作製した。それぞれの種類、それぞれの濃度の水溶液計20種の液滴約0.3マイクロリットルを、光透過性基板6の高屈折率膜81の上に置き、空気中で静置し乾燥させた。このような処理によって、径約1mmの20個のスポット状試料を形成した。スポット状試料は、水溶液の濃度が高いほど厚さが厚くなる。このようにしてスポット状の試料が形成された光透過性基板6を、プリズム2の測定面21に、マッチング液(屈折率1.46)を用いて密着させた。
【0115】
測定条件は次のとおりとした。入射光の波長600nm、入射角42°とし、第2の偏光子(検光子)64を回転させ、所定の方位角ごとに射出光の強度を二次元的に計測し記録した。それぞれの方位角に対する測定を行った後、一般的に採用されている解析方法を用いて、射出光強度と方位角との関係を解析することにより、偏光解析パラメータ(Ψ、Δ)を求めた。各方位角における射出光強度は、二次元的に、すなわちCCDカメラのセル(画素)毎に求められているので、偏光解析パラメータ(Ψ、Δ)も、セル(画素)毎に求められる。
【0116】
図10は、スポット状試料20個を対象に、二次元的にΔ値を求めた結果を示すイメージ像である。イメージ像として表されている試料は、上の行から、ラクトグロブリン(LG)、アルブミン(A)、オブアルブミン(OV)、パパイン(PA)であり、左側の列から右方向に濃度が高く、質量%で0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%の順となっている。また、イメージ像の濃淡とΔ値との関係は、イメージ像の右側に示されているメジャーのとおりである。
【0117】
図10に示したイメージ像から、スポット状試料20個のΔ値が、二次元的に鮮明に検出されていることが明らかである。このことは、可変型偏光子を用いる系の場合に測定可能なΔのスケールが0°〜180°であるのに対して、試料の厚さの相違によって生じたΔの変化が約50°(図10に示されているメジャー参照)であるので、測定によって検出されたΔの値は大きいと言える。つまり、試料の厚さの検出精度が高いと判断された。
【0118】
次に、上記のΔ値のイメージ像(測定値)から、実際の各試料の厚さを求めるために、シミュレーションにより、試料の厚さとΔとの関係を求めた。計算に用いた石英の屈折率ならびに高屈折率膜の屈折率、消衰係数および厚さは、前述の測定に用いた値とした。また、試料の屈折率は乾燥したタンパク質の典型的な値である1.45を採用した。
【0119】
図11は、試料の厚さとΔとの関係に関するシミュレーション結果の1例であり、試料の厚さをパラメータとして、入射角とΔとの関係を示すグラフである。図10に結果を示した測定の際には、入射角を42°とした。この42°は、図11から明らかなように、ブリュースター角(偏光角、約40°)と臨界角(約43°)との間の角度であり、試料の厚さの増加とともにΔが増加する関係にある角度である。
【0120】
図12は、入射角42°におけるΔと試料の厚さとの関係を示すグラフである。図11に示した入射角42°における試料の厚さとΔ値との関係を図示したものである。また、試料の厚さとΔ値との関係を2次多項式にフィッティングすることにより、Δを試料の厚さに変換するための下記の近似式を求めた。
Y(厚さ)=0.0154X2−0.871X+8.6 (3)
ただし、0≦X≦80nm
上記の(3)式を用いて、図10に示したΔのイメージ像から、試料の厚さのイメージ像を作成した。
【0121】
図13は、図10にイメージ像として示したΔ値を基に、スポット状試料20個の厚さを二次元的に求めた結果を示すイメージ像である。なお、イメージ像の濃淡と試料の厚さとの関係は、イメージ像の右側に示されているメジャーのとおりである。Δを厚さに変換したものであるので、図10とほぼ同様な濃淡で表されたイメージ像となっている。
【0122】
図14は、試料の厚さの分布を三次元的に表示した表面プロファイル図である。また、図15は、図14における一番奥の列(ラクトグロブリン(LG))のスポット状試料のセンター部(頂部)を通る位置における厚さのプロファイルを示すグラフである。なお、図15には、スポット状試料の頂部を基準として前後10画素の平均値を計算し、頂部近傍の厚さを求めた結果を数字で示した。
【0123】
次に、上記の本発明に係る内部反射型二次元エリプソメータによって求められる試料の厚さと、触針式膜厚計によって求められる試料の厚さとの関係を調査した。
【0124】
図16は、本発明に係る内部反射型二次元エリプソメータによって求められた試料の厚さと、触針式膜厚計によって求められた試料の厚さとの関係を示すグラフである。両者の値は、全体的にはほぼ一致している。ただし、スポット状試料の各スポット部には、その内部に凹凸があるため、触針式膜厚計による測定値にはややばらつきが見られる。
【0125】
【発明の効果】
本発明に係る内部反射型二次元エリプソメータによれば、試料の厚さや光学的性質を、二次元的なイメージ像または定量的な二次元像として、精度よくかつ迅速に求めることができる。また、表面に凹凸があり厚みのある試料や液体試料の光学的性質を二次元的な分布として容易に測定することができる。さらに、高屈折率膜を用いる形態とした場合には、屈折率が低い生体物質などのタンパク質であっても、効率的で経済性に優れた二次元的測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】外部反射型エリプソメトリによって試料の膜厚または光学的性質を測定する測定系を模式的に示す構成図である。
【図2】内部反射型エリプソメトリによって試料の膜厚または光学的性質を測定する測定系を模式的に示す構成図である。
【図3】内部反射型エリプソメトリにおいて試料が形成された基板を用いる場合を示す断面図であり、(a)は空気中で測定を行う通常の場合の例、(b)は空気以外の気体や液体中で測定を例である。
【図4】実施の形態1に係る内部反射型二次元エリプソメータの全体構成および各構成要素の配置を模式的に示す立面図であり、縦型の1例を示す図である。
【図5】実施の形態1に係る内部反射型二次元エリプソメータの全体構成および各構成要素の配置を模式的に示す立面図であり、横型の1例を示す図である。
【図6】実施の形態1aに係る内部反射型二次元エリプソメータの測定系を示す模式的構成図である。
【図7】実施の形態1bに係る内部反射型二次元エリプソメータの測定系を示す模式的構成図である。
【図8】実施の形態2に係る内部反射型二次元エリプソメータのプリズム部を示す要部拡大断面図である。
【図9】実施の形態3に係る内部反射型二次元エリプソメータのプリズム部を示す要部拡大断面図である。
【図10】スポット状試料20個を対象に、二次元的にΔ値を求めた結果を示すイメージ像である。
【図11】試料の厚さとΔとの関係に関するシミュレーション結果を示すグラフであり、試料の厚さをパラメータとして、入射角とΔとの関係の1例を示すグラフである。
【図12】入射角42°におけるΔと試料の厚さとの関係を示すグラフである。
【図13】図10にイメージ像として示したΔ値を基に、スポット状試料20個の厚さを二次元的に求めた結果を示すイメージ像である。
【図14】試料の厚さの分布を三次元的に表示した表面プロファイル図である。
【図15】図14における一番奥の列(ラクトグロブリン(LG))のスポット状試料のセンター部(頂部)を通る位置における厚さのプロファイルを示すグラフである。
【図16】本発明に係る内部反射型二次元エリプソメータによって求められた試料の厚さの測定値と、触針式膜厚計によって求められた測定値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 入射光学系
2 プリズム
3 射出光学系
4 試料
6 光透過性基板
21 測定面
22 入射面
23 射出面
41 入射光学部
41−1 光源部
42 支持手段
43 射出光学部
43−1 解析装置
49 プリズム部
63 第1の偏光子
64、71 第2の偏光子
66 楕円偏光子
72 可変型遅延子
81 高屈折率膜
91 加水分解性膜
Claims (9)
- プリズム部と入射光学系と射出光学系とを含んで構成された内部反射型二次元イメージングエリプソメータであって、
前記プリズム部に含まれるプリズムが、逆三角形または逆台形の断面形状を有し、該断面形状を有するプリズムは上底面が測定面、該測定面の一端側に隣接する側面が入射面、他端側に隣接する側面が射出面であり、
前記入射光学系が、光源部と、第1のコリメータおよび第1の偏光子を含む入射光学部とを含んで構成され、
前記射出光学系が、第2の偏光子および該第2の偏光子を通過した射出光を二次元的に検出する二次元検出器を含む射出光学部と、解析装置とを含んで構成され、
前記入射光学系および前記射出光学系のうちの少なくとも一方が、偏光解析パラメータを求めるための複数の測定条件を自動的に設定する測定条件自動設定手段を備え、
前記プリズム部、前記入射光学部および前記射出光学部を支持するとともに、入射光が前記プリズムの前記入射面を経て前記測定面に照射され、射出光が前記プリズムの前記射出面を経て前記射出光学部に射出されるように調節する機能を有する支持手段とを含んで構成されていることを特徴とする内部反射型二次元イメージングエリプソメータ。 - 前記測定条件自動設定手段が、前記入射光学部に設けられた、前記第1の偏光子と該第1の偏光子の方位角を自動的に設定する手段とを含んで構成された可変型偏光子、および/または前記射出光学部に設けられた、前記第2の偏光子と該第2の偏光子の方位角を自動的に設定する手段とを含んで構成された可変型偏光子であることを特徴とする請求項1に記載の内部反射型二次元イメージングエリプソメータ。
- 前記入射光学部および前記射出光学部のうちの少なくとも一方が、さらに楕円偏光子を含むことを特徴とする請求項1に記載の内部反射型二次元イメージングエリプソメータ。
- 前記測定条件自動設定手段が、前記楕円偏光子と該楕円偏光子の位相差を自動的に設定する手段とを含んで構成された可変型遅延子であることを特徴とする請求項3に記載の内部反射型二次元イメージングエリプソメータ。
- 前記射出光学部が、第2のコリメータを備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の内部反射型二次元イメージングエリプソメータ。
- 前記プリズムの前記測定面に、前記プリズムとほぼ同等の屈折率を有する光透過性基板を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の内部反射型二次元イメージングエリプソメータ。
- 前記プリズムを構成するガラスの屈折率が約1.4〜約1.6であり、前記プリズムの前記測定面に、屈折率が前記ガラスの屈折率より約0.2以上大きい高屈折率膜を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の内部反射型二次元イメージングエリプソメータ。
- 前記プリズムを構成するガラスの屈折率が約1.4〜約1.6であり、前記光透過性基板の表面に、屈折率が前記ガラスの屈折率より約0.2以上大きい高屈折率膜を備えていることを特徴とする請求項6に記載の内部反射型二次元イメージングエリプソメータ。
- 前記高屈折率膜の表面に加水分解性膜を備えていることを特徴とする請求項7または8に記載の内部反射型二次元イメージングエリプソメータ。
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