JP3873120B2 - 薄膜の厚さ測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エリプソメトリ(偏光解析法とも呼ばれる)を用いる薄膜の厚さ測定方法に関し、さらに詳しくは、生体物質や有機化合物などの薄膜を対象とした、特に空気以外の気体や液体中での厚さ測定に好適な、内部反射型エリプソメトリを用いる薄膜の厚さ測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
無機化合物や金属などの無機系物質の薄膜、生体物質や有機化合物などの有機系物質の薄膜など、薄膜の物性や厚さに関する様々な測定技術が開発され、多くの技術分野で利用されている。
【0003】
無機系の物質の場合には、熱による被測定物(以下、薄膜試料と記す)の損傷の恐れが低いため、電子ビームやレーザなど高エネルギーのビームを照射する測定技術・分析技術を採用することができる。一方、有機系の物質の場合には、照射するビームのエネルギーが高いと、試料が熱により損傷するので、高エネルギーのビームを採用することができない。
【0004】
近年、生体物質や有機化合物などの有機系物質の薄膜の物性や厚さ測定の必要性が高まっており、有機系物質の薄膜の測定に関しては、エネルギーの低い光ビームを用いる測定技術の研究開発が行われている。
【0005】
エリプソメトリは、平坦な基板上に形成された薄膜に光ビームを照射することにより、薄膜の屈折率などの光学的性質や薄膜の厚さを測定することが可能な方法である。そのため、エリプソメトリは、広範囲の産業分野・技術分野で、その特徴を生かした測定に採用されるようになってきている。むろん、有機系物質の薄膜の測定にも好適な方法である。
【0006】
エリプソメトリには、薄膜試料から反射された光を計測する反射型エリプソメトリと、薄膜試料を透過した光を計測する透過型エリプソメトリとがある。これらの2つのタイプのうち、多くの場合、光を透過しない薄膜試料を測定対象とすることができる反射型エリプソメトリが採用されている。
【0007】
さらに、反射型エリプソメトリは、薄膜試料の表面に光を照射し、反射した光を計測する外部反射型エリプソメトリと、プリズムの一面(測定面)に形成された薄膜試料の裏面に、プリズムを介して光を照射し、反射した光を計測する内部反射型エリプソメトリとに分類される。
【0008】
図1は、反射型エリプソメトリによる薄膜の厚さ(屈折率の測定も可能であるが説明から除外する)の測定原理を説明するための図であり、特に内部反射型の測定系を模式的に示す構成図である。内部反射型エリプソメトリは、主として、プリズム2と、プリズム2を挟んで配置された入射光学系1と射出光学系(計測光学系ともいう)3とを含んで構成されている。また、図1の例の場合には、薄膜試料4がプリズム2の測定面51に形成されている。なお、反射型の測定原理は、内部反射型も外部反射型も同じである。
【0009】
入射光学系1で偏光された光を、プリズム2の入射面52を介して測定面51に形成されている薄膜試料4の裏側に照射して、プリズム2の射出面53を介して射出光を射出光学系3で受光し、射出光学系3で、反射光の偏光状態を検出する。
【0010】
エリプソメトリにおける測定では、通常、入射光の偏光状態をp成分(入射面に平行に振動する成分)とs成分(入射面に垂直に振動する成分)とに分ける。入射光は、薄膜試料4の裏面における反射の前後で、薄膜試料4の特性に応じて偏光状態に変化が生じる。この偏光状態の変化は、(1)式に示すΨと(2)式に示すΔの2つの偏光解析パラメータで表される。
Ψ=tan-1(|rp|/|rs|) (1)
Δ=δrp−δrs (2)
ここで、|rp|はp成分の反射率の絶対値、|rs|はs成分の反射率の絶対値、δrpはp成分の位相の変化、δrsはs成分の位相の変化を意味する。つまり、Ψは入射光が試料表面で反射する際に起こる光の強度の変化、Δは同じく位相の変化を表している。
【0011】
外部反射型エリプソメトリは、試料の表面に光を照射して測定を行うことができるので、利用しやすい測定方法である。そのために、測定方法の研究開発が行われており、すでに実用化も行われている。
【0012】
一方、内部反射型エリプソメトリの場合には、図2に示すように、図1に示した測定法以外に、図2(a)に示すように、空気中で測定を行う通常の測定(基板6の試料形成面7に薄膜試料4が形成して測定)や、図2(b)に示すように、空気以外の気体や液体中での測定などの方法が可能である。なお、基板6を用いる場合、通常、プリズム2と基板6とは、測定精度の解析の観点から、ほぼ等しい屈折率を有するものが用いられる。また、プリズム2の測定面51と基板6との間には、マッチング液が用いられる。
【0013】
図2(b)に示されているように、空気以外の気体や液体中で測定を行う場合には、基板6に対しOリング101を介してセル102を圧着し、生じた空隙部103に導管104から媒体105を流入させる。また、プリズム2の測定面51と基板6との間にはマッチング液が用いられる。図2(b)に示した構成の場合には、通常、セル内壁106での光の反射を防止するため、セルの材料には黒色のものが用いられ、さらにセル内壁106はつや消しとされる。
【0014】
図2(b)に示した測定法においては、媒体としての液体または気体が腐食性を有する場合であっても、安全に測定を行うことができるという特徴がある。また、予め媒体中に所定の物質を溶解させて測定を実施することにより、媒体中に存在する物質が基板表面上に吸着した量を測定するという用途や、媒体中での反応によって基板の表面に形成される薄膜上の反応生成物を、時々刻々in situで測定するという用途にも応用することができる。また、温度など媒体の性質が変化した時または媒体中に存在する物質の種類や濃度が変化した時に、厚さが変化する性質を有する薄膜を基板上に形成させることにより、媒体の性質または媒体中に存在する物質の種類や濃度を間接的に測定することが可能である。なお、図2(b)に示した測定法の場合にも、図2(a)に示した基板6を用いることも行われている。
【0015】
内部反射型エリプソメトリは、上記のような測定に適用することができるので、従来実用されてきた外部反射型エリプソメトリに比べると、著しい優位性を有している。
【0016】
一方、外部反射型エリプソメトリによって、空気以外の気体や液体中の薄膜試料を測定しようとする場合には、基板や薄膜試料を覆い、かつ気密または水密な領域を形成することができる特殊な容器を必要とする。さらに、その容器には、入射光や射出光を通すための窓を薄膜試料面の斜め上部に、傾斜させて設ける必要がある。このような容器は製作が難しく高価であるのに加え、内容積を小さくするのには限界がある。したがって、微量しか入手できないかまたはきわめて高価な物質を対象とする測定の場合には、外部反射型エリプソメトリを採用することが困難である。また、媒体を通流させながら測定を行うといった用途にも用いることが困難である。これらの問題点は、測定を行う媒体と光学系とが同じ側に位置する外部反射型の構造的な特性に起因している。
【0017】
これに対して、内部反射型エリプソメトリでは、セルの深さおよびOリング101の太さを小さくすることにより、セルの内容積を微小とすることが容易である。さらに、測定部と光学系とが構造的に分離されているため、セルの脱着および媒体の置換を簡便に行うことができるとともに、装置の小型化が可能である。また、媒体や媒体に含まれる物質が毒性や腐食性を有する場合であっても、媒体を通流させながら置換を行うことにより、安全に測定を行うことができる。
【0018】
また、発ガンの抑制などの生体現象にかかわる遺伝子やタンパク質の同定を行うために、基板上にDNAや抗体を固定したセンサを用いて、試料に含まれる特定のDNAやタンパク質を検出することが現在大きな需要を持っている。これらの生体物質、中でもタンパク質は、環境が変化すると活性を失うものが多いため、測定は水溶液中で行う必要がある。このため、媒体中での測定に適した内部反射型エリプソメトリが測定技術として大いに期待される。
【0019】
内部反射型エリプソメトリは、上記のような特長を持っているものの、基板上に形成された薄膜の膜厚測定に用いられた例はほとんどない。ガラス基板上に形成された金、シリコンおよびフッ化マグネシウム薄膜を対象として検討を行った報告(Azzamら;Appl. Opt., 14, 1652(1975))があるが、シミュレーションのみであり、実際の測定は行われていない。特に、前述のとおり、薄膜の厚さ測定の需要が大きい用途は、試料薄膜がタンパク質などの生体物質で屈折率が1.40〜1.60の試料である。
【0020】
このような通常用いられる石英やガラス製の基板と、屈折率に大きな差がない試料の場合については、研究例がさらに少ない。基板表面に吸着した物質の量の測定は、薄膜の厚さ測定方法と原理的にはほぼ同じである。その測定に関しては、溶液中に溶解している高分子が基板に吸着する現象を調査した報告がある(Kimら; Macromolecules, 22, 2682 (1989); ibid., 24, 319 (1991); ibid., 24, 4216 (1991))。この場合の測定には、高屈折率(1.67)のSF5型ガラス製のプリズムおよびプリズムと同じSF5型ガラス製の基板を用いて、基板−薄膜試料の界面で全反射(入射光が薄膜試料を透過することなく、すべて反射する現象。ただし、一部の光はその波長程度の深さだけ試料内に進入するため、基板表面近傍のみの現象が検出される)を起こさせるためであり、後述のように、薄膜の厚さ測定における感度および再現性を向上させるものではなかった。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、内部反射型エリプソメトリは、媒体中での薄膜の膜厚測定に、効果的に応用できる可能性を秘めている。特に、タンパク質など、生体物質を対象とする場合には、水溶液中で測定を行う必要があり、内部反射型エリプソメトリ法による薄膜の厚さ測定方法に対する潜在的な需要が大きい。
【0022】
しかし、内部反射型エリプソメトリを用いることにより、薄膜の厚さを高精度で測定する技術は確立されていないのが実状である。特に、生体物質は屈折率が約1.40〜約1.60の範囲にあり、このレベルの屈折率は、通常のプリズムに用いられているガラスの屈折率(例えば、BK7ガラスは1.52)との差が小さい。そのような条件では、薄膜の厚さの変化に対するΔ値の変化が小さいので、薄膜の厚さを精度よく測定することができない。
【0023】
本発明は、薄膜の厚さ測定方法、特に、屈折率が約1.40〜約1.60の範囲にあるタンパク質などの生体物質の薄膜を対象とし、水溶液などの媒体中で、薄膜の厚さを高精度で測定することができる薄膜の厚さ測定方法を提供することを目的としている。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る内部反射型エリプソメトリによる、屈折率約1.40〜約1.60の薄膜の厚さ測定方法(1)は、ガラス製プリズムの1面に形成され、該ガラス製プリズムに比べて屈折率が小さく、その差が0.2以上である薄膜試料に、前記プリズムを介して入射光を照射することを特徴としている。
【0025】
上記の薄膜の厚さ測定方法(1)によれば、薄膜試料とプリズムとの屈折率の差が0.2以上であるので、薄膜試料の厚さを高精度で測定することができる。
【0026】
本発明に係る内部反射型エリプソメトリによる、屈折率約1.40〜約1.60の薄膜の厚さ測定方法(2)は、ガラス製プリズムの1面に、屈折率が該ガラス製プリズムとほぼ同等の光透過性基板が載置されており、該光透過性基板の表面に形成され、前記ガラス製プリズムおよび前記光透過性基板に比べて屈折率が小さく、その差が約0.2以上である薄膜試料に、前記プリズムおよび前記光透過性基板を介して入射光を照射することを特徴としている。
【0027】
上記薄膜の厚さ測定方法(2)によれば、予め基板に薄膜試料を形成しその基板をプリズムの測定面に重ね合わせて測定することが可能である。ガラス製基板は、同一素材のプリズムと比べ、製作費用が大幅に安く約200分の1であるので、多数の基板を用いて、基板を次々と取り替えながら、多数の試料を効率よく測定することができる。また、基板は、プリズムに比べて機械的強度が大きいため、超音波の付加や加熱などのより厳しい条件で測定面を洗浄することができる。そのため、より均一かつ強固に、薄膜試料を測定面に形成することができるので、測定精度を向上させることができる。
【0028】
なお、上記薄膜の厚さ測定方法(1)および(2)において、ガラス製プリズムの屈折
率は、約1.60〜約2.00であることが望ましい。さらに、入射光の入射角は、ブリュースター角以上、臨界角以下であることが望ましい。
【0029】
また、本発明に係る内部反射型エリプソメトリによる、屈折率約1.40〜約1.60の薄膜の厚さ測定方法(3)は、ガラス製プリズムの1面に、該ガラス製プリズムより約0.2以上屈折率が大きい高屈折率膜が形成され、該高屈折率膜の表面に形成された、該高屈折率膜に比べて屈折率が小さい薄膜試料に、前記ガラス製プリズムおよび前記高屈折率膜を介して入射光を照射することを特徴としている。ここで、上記ガラス製プリズムの屈折率は、約1.40〜約1.60であることが望ましい。さらに、入射光の入射角は、ブリュースター角以上であることが望ましい。
【0030】
上記の薄膜の厚さ測定方法(3)によれば、高屈折率膜は、高屈折率のプリズムに用いられるガラスに比べて屈折率の選択範囲が広いので、薄膜試料との間の屈折率の差を大きくすることが可能である。そのために、測定対象の薄膜試料の選択範囲や測定条件の選択範囲が広い。さらに、高い測定精度が得られる測定条件を選択することも容易である。
【0031】
また、本発明に係る内部反射型エリプソメトリによる、屈折率約1.40〜約1.60の薄膜の厚さ測定方法(4)は、ガラス製プリズムの1面に、屈折率が該ガラス製プリズムとほぼ同等の光透過性基板が載置されており、該光透過性基板の表面に前記ガラス製プリズムおよび前記光透過性基板より約0.2以上屈折率が大きい高屈折率膜が形成され、該高屈折率膜の表面に形成された、該高屈折率膜に比べて屈折率が小さい薄膜試料に、前記ガラス製プリズム、前記光透過性基板および前記高屈折率膜を介して入射光を照射することを特徴としている。ここで、上記ガラス製プリズムの屈折率は、約1.40〜約1.60であることが望ましい。さらに、入射光の入射角は、ブリュースター角以上であることが望ましい。
【0032】
上記光透過性基板を用いる薄膜の厚さ測定方法(4)の場合には、予め基板の表面に薄膜試料を形成し、その基板をプリズムの測定面に重ね合わせて測定することも可能である。その場合、ガラス製基板は、同一素材のプリズムに比べ、製作費用が大幅に安く約200分の1であるので、多数の基板を用いて、基板を次々と取り替えながら、多数の試料を効率よく測定することができる。また、基板は、プリズムに比べて機械的強度が大きいため、超音波の付加や加熱などのより厳しい条件で測定面を洗浄することができる。そのため、より均一かつ強固に測定面に薄膜試料を形成することができるので、測定精度を向上させることができる。しかも、光透過性基板には、屈折率約1.40〜約1.60の一般的に使用されている安価なガラス製基板を用いることができる。
【0033】
さらに、プリズムの測定面と基板との間に、屈折率が高いマッチング液を用いる必要がない。屈折率が高いマッチング液は、ジヨードメタン、ひ素化合物を含んでおり、これらは化学的に不安定であるので測定値の再現性を低下させる一因となる。また、ジヨードメタンには腐食性、ひ素化合物には毒性や腐食性がある。このようなマッチング液を用いる必要がない上記の測定方法は、薄膜試料の厚さ測定の適用範囲を大幅に広げることができる。
【0034】
また、本発明に係る内部反射型エリプソメトリを用いる薄膜の厚さ測定方法(5)は、上記薄膜の厚さ測定方法(3)および(4)における前記高屈折率膜と前記薄膜試料との間に、加水分解性薄膜が介在する条件で測定することを特徴としている。
【0035】
上記の高屈折率膜は加水分解性が小さいので、薄膜試料を高屈折率膜に対して強固に固定しにくい場合もあるが、加水分解性膜を介在させて水酸基を生成を多くすることにより、高屈折率膜に対して薄膜試料を強固に固定することができるようになる。それによって、薄膜試料の厚さ測定の精度をより向上させることができる。
【0036】
なお、本発明が測定対象としている薄膜は、屈折率が約1.40〜約1.60の物質である。生体物質や有機化合物などの有機系物質は、ほとんどのものがこの屈折率の範囲に含まれる。有機系物質以外のものであっても、屈折率約1.40〜約1.60の範囲にあるものに対しては、本発明に係る薄膜の厚さ測定方法を適用することが可能である。
【0037】
また、本発明に係る説明に用いている屈折率の値は、特に断りがない限り、波長800nmにおける屈折率を意味する。
【0038】
また、測定対象の薄膜試料の厚さには、特に制限はないが、測定精度、再現性などの観点から、約500nm以下の範囲とすることが望ましい。
【0039】
さらに、本発明でいう加水分解性膜とは、空気中、水溶液中などの環境下で、加水分解により表面に水酸基を生成する性質を有する膜であり、例えばシリカまたはそれらを含む材料で構成された膜を意味する。
【0040】
【発明の実施の形態】
図3は、内部反射型エリプソメトリによる薄膜の厚さ測定に用いる測定装置の概略を示す構成図である。測定装置は、入射光学系1とプリズム2と射出光学系3とを含んで構成されている。さらに、入射光学系1は、ハロゲンランプなどのランプとモノクロメータ(コリメータ)で構成された光源31、高次の散乱光を除去するフィルタ32、発生した単色光を平行光とするレンズ33とピンホール34、平行光を完全偏光にする偏光子(第1の偏光子)35、光束の径を制限するスリット36などを備えている。ここで、偏光子35の方位角を45°に設定することにより、薄膜試料4への入射光のp成分とs成分はほぼ同じ割合になる。薄膜試料4からの射出光を測定する射出光学系3は、検光子(第2の偏光子)37、平行光を収束するレンズ38、ピンホール39、CCDカメラや光電子倍増管やフォトダイオードのような検出器40などを含んで構成されている。
【0041】
プリズム2には、図3に示した断面形状が三角形型のほかに、断面形状が台形(幅広の底部を測定面51とする)型のものも使用することができる。
【0042】
図4、図5および図6は、本発明の薄膜の厚さ測定方法に係る実施の形態を示す図であり、図4は高屈折率ガラス製プリズムを用いる実施の形態(1)、図5は通常の屈折率のプリズムと高屈折率膜とを用いる実施の形態(2)、図6は高屈折率膜と薄膜試料との間に加水分解性膜を介在させる実施の形態(3)を示すプリズム部の模式的断面図である。
【0043】
以下に、本発明の薄膜の厚さ測定方法に係る実施の形態を、シミュレーション結果および実験結果を基に具体的に説明する。なお、ここでは、入射光および波長を固定し、エリプソメトリの係数Δだけから、基板上に形成された薄膜試料の厚さを求める場合を想定して説明を行う。これ以外にもエリプソメトリのもう一つの係数Ψから厚さを求める方法、入射角と波長の一方または両者を変化させて測定を行い、得られた複数のΔおよびΨから、最小二乗法などによって薄膜試料の厚さを決定する方法がある。これらの方法による薄膜試料の厚さ測定は、方法と手順が相違するものの、基本的な測定原理は同じである。
【0044】
実施の形態(1)の場合は、図4に示したように、ガラス製プリズム2の測定面51に、薄膜試料4を直接形成して測定する方法(図4(a))またはプリズム2の測定面51に、表面に薄膜試料4が形成された光透過性基板(以下、単に「基板」と略記する)6を重ね合わせて測定する方法(図4(b))のいずれかの形態を採ることができる。
【0045】
前述のように、本発明に係る薄膜の厚さ測定方法においては、薄膜試料4の屈折率とプリズムの屈折率との差(以下、単に「屈折率の差」と略記する)が約0.2以上となる条件で測定を行う。本発明が対象としている薄膜試料の屈折率はおおよそ1.40〜1.60の範囲であるので、屈折率の差0.2以上を確保するために、実施の形態(1)の場合には、プリズム2の屈折率を約1.60〜約2.00の範囲とすることが望ましい。
【0046】
屈折率の差が約0.2未満の場合には、精度よく、かつ再現性よく、薄膜試料の厚さを測定することが難しい。屈折率の差の上限は特に制限されないが、実施の形態(1)の場合には、実用性の観点から約0.5程度とするのがよい。
【0047】
上記のように、屈折率が約1.60〜約2.00というように高い値を有するガラスには、SF5(国際コード673322、nD=1.673)、SF18(国際コード722293、nD=1.722)、S−LAH58(国際コード883408、nD=1.883)、LASF35(国際コード1022291、nD=2.022)などがある。なお、nDはナトリウムD線589.3nmにおける屈折率を意味する。
【0048】
薄膜試料4の厚さを測定する場合には、予め、プリズム2の屈折率が薄膜試料4の屈折率より0.2以上大きくなるように、薄膜試料4の屈折率に応じてプリズム2を選択する。薄膜試料4を構成する物質が予め把握されている場合には、おおよその屈折率を推定することができるので、プリズム2の選択は比較的容易である。また、仮に薄膜試料4の屈折率が予め把握されていない場合には、例えば1.75程度の高めの屈折率を有するプリズム2を選択するようにすればよい。上記の条件を選ぶことにより、薄膜の厚さを高精度で測定することができる理由は次のとおりである。
【0049】
図7〜図9は、図3に示した内部反射型エリプソメトリ測定装置を用いて、図4(b)に示したプリズム部の構成を対象にシミュレーションした結果であり、薄膜試料4の厚さをパラメータとして、入射角とΔとの関係を示すグラフである。なお、図7はプリズム2および基板6と薄膜試料4との間の屈折率の差が0.272、図8は同じく0.07の場合である。また、図9は入射角をブリュースター角+2.0°とし、プリズム2の屈折率を変えることにより屈折率の差を変えた場合である。表1に、図7〜図9、それぞれに関するシミュレーションに用いた具体的な数値を示す。
【0050】
【表1】
【0051】
図7から、屈折率の差が0.272の場合には、ブリュースター角(37.7°、)と臨界角(50.6°)との間の入射角の範囲では、入射角−Δ曲線が薄膜試料4の厚さによって、明確に区別されている。すなわち、図7に示されているような関係がある場合には、入射角(設定値)およびΔ(測定値)を基に、薄膜試料4の厚さを高精度で、再現性よく求めることが可能であることが分かる。
【0052】
なお、薄膜試料4がない場合のブリュースター角φBは、次の(3)式によって求められる。
φB=tan-1(n1/n0) (3)
ここで、n0はプリズム2の屈折率、n1は媒体の屈折率である。ブリュースター角はエリプソメトリの係数Ψが極小となり、そのときの値が0になる角度である。また、薄膜試料4が存在する場合は、Ψが極小となるが0にはならない。
【0053】
臨界角φCは、プリズム2の屈折率と媒体の屈折率によって決定され、薄膜試料4や後述の高屈折率膜の存在によって影響を受けず、次の(4)式により求められる。
φC=sin-1(n1/n0) (4)
一方、図8に示したように、屈折率の差が0.07と小さい場合には、入射角のほとんどの領域で、入射角−Δ曲線に対する薄膜試料4の厚さの影響が明瞭には認められない。約38°〜ブリュースター角(41.4°)の範囲では、入射角とΔとの関係に対する薄膜試料4の厚さの影響が現れているが、入射角の変化に対するΔの変化が著しく大きいので、薄膜試料4の厚さを精度よく求めることが難しい。上記の約38°〜ブリュースター角(41.4°)以外の範囲では、入射角とΔとの関係に対する薄膜試料4の厚さの影響が小さいので、この入射角の範囲でも、薄膜試料4の厚さを精度よく求めることが困難である。
【0054】
また、図9に示されているように、薄膜試料4の厚さとΔとの関係は、屈折率の差が大きいほど薄膜試料4の厚さに対するΔの変化が大きく、かつ直線的であることが認められる。特に、屈折率の差が0.15(点線)と0.20(一点鎖線)との間で曲線の傾向に大きな差があり、屈折率の差0.15では薄膜試料4の厚さに対するΔの変化がちいさく、かつ薄膜試料4の厚さ約180nm以上で曲線が大きく下降している。屈折率の差0.20の一点鎖線では、そのような傾向がなく、薄膜試料4の厚さとΔとの間にほぼ直線的な関係が存在している。
【0055】
上記のように、図7〜図9に示したシミュレーションの結果から、プリズム2および基板6と薄膜試料4との間の屈折率の差が、本発明で規定する約0.2以上の場合には、薄膜試料4の厚さを精度よく測定できるが、屈折率の差が約0.2未満の場合には、薄膜試料4の厚さを精度よく求めることは難しいことが明らかである。
【0056】
また、図7〜図9に示したシミュレーション結果は、薄膜試料4の上部の媒体が水であるが、媒体が空気の場合についても、図7〜図9に示した傾向とほぼ同様の結果が得られることが確認されている。
【0057】
上記の実施の形態(1)では、プリズム2に薄膜試料4が形成された基板6を重ね合わせる場合を示したが、別の実施の形態では、図4(a)に示したように、基板6を用いずに、プリズム2の1面に直接薄膜試料4を形成し、その薄膜試料を対象に厚さ測定を行うこともできる。その場合にも同様な結果が得られる。
【0058】
また、上記の説明では、プリズム2の屈折率と基板6の屈折率を同一としたが、例えば0.01程度の差は許容される。さらに、プリズム2と基板6との間には、マッチング液を介在させることが望ましい。
【0059】
なお、図7に示したシミュレーション結果によると、入射角の範囲は、ブリュースター角と臨界角との間の範囲が好適であることが認められる。しかし、ブリュースター角未満および臨界角を超える場合でも、プリズム2および基板6と薄膜試料4との屈折率の差(ただし、約0.2以上)、入射光の波長、入射角などについて適正な条件を選択することにより、精度よく薄膜試料の厚さを測定することができる。
【0060】
実施の形態(2)の場合には、図5に示したように、プリズム2には、一般的に用いられているガラス製のプリズム2を用いることができる。そして、プリズム2の測定面51に、プリズム2に比べて屈折率が約0.2以上大きい高屈折率膜11を形成し、その表面に形成された、高屈折率膜11に比べて屈折率が小さい薄膜試料4を測定する方法(図5(a))またはプリズム2の一面に、屈折率がプリズム2とほぼ同等の基板6を載置し、基板6の表面にプリズム2および基板6より約0.2以上屈折率が大きい高屈折率膜11が形成され、高屈折率膜11の表面に形成された、高屈折率膜11に比べて屈折率が小さい薄膜試料4を測定する方法(図5(b))のいずれかの形態を採ることができる。なお、プリズム2の屈折率は特に制限されないが、屈折率が約1.40〜約1.60の範囲にあるタンパク質などの生体物質で構成された薄膜試料4の厚さを、広い膜厚の範囲で、高感度に測定するという観点から、約1.40〜約1.60の範囲とすることが望ましい。また、薄膜試料4の屈折率とプリズム2の屈折率とが一致している必要はない。
【0061】
実施の形態(2)の場合には、上述のように、プリズム2の測定面51と薄膜試料4との間に、高屈折率膜11を介在させ、プリズム2その上部の高屈折率膜11の屈折率との差(以下、単に「屈折率の差」と略記する)約0.2以上を確保している。一方、本発明が対象としている薄膜試料の屈折率はおおよそ1.40〜1.60の範囲であるので、前述のようにプリズム2の屈折率は特に制限されないが、おおよそ1.40〜1.60の範囲が望ましい。したがって、上記の条件を確保するために、高屈折率膜11の屈折率は、約1.60〜約3.00とすることが望ましい。なお、図5(b)に示したように、基板6を用いる場合には、プリズム2と基板6との屈折率はほぼ同等とする。両者の屈折率は等しいことが望ましいが、屈折率の差0.01程度までは許容範囲内である。また、屈折率の差の上限は特に制限されないが、実用可能な高屈折率膜11を考慮すると、1.6程度である。
【0062】
高屈折率膜11の材料は、可視ないし近赤外域で光学的に透明なものであればよく、その条件を満たすものであれば特に材料に対する制限はない。例えば、酸化アルミニウム(アルミナ、屈折率1.760)、酸化タンタル(同2.051)、酸化ニオブ(同2.311)、酸化鉄(同2.467)などの金属酸化物や、鉛−ジルコニウム−チタン複合酸化物(同2.558*1)などの金属複合酸化物、硫化すず(同3.0*2)などの一部の金属硫化物、窒化シリコン(同2.008*3)などの一部の金属窒化物が好適である(*1、*2、*3は、それぞれ632.8nm、600nm、827nm、無印は800nmにおける屈折率を意味する)。また、高屈折率膜11の屈折率は、約1.60〜約3.00の範囲が望ましく、より望ましい範囲は1.70〜2.50である。
【0063】
高屈折率膜11の厚さは、30〜300nmの範囲が好適であり、より好適な範囲は、40〜180nmである。高屈折率膜11の厚さが薄すぎても厚すぎても、測定可能な膜厚の範囲が狭くなり、場合のよっては、膜厚に対する屈折率の変化の割合、すなわち感度が小さくなる。なお、高屈折率膜11の厚さは、それぞれの測定条件に応じて最適な厚さを選ぶことが望ましい。高屈折率膜11の最適な厚さは、シミュレーションにより容易に求めることができる。また、高屈折率膜11は、真空蒸着法、スパッタリング法、ゾルゲル法などによって、プリズム2や基板6の表面に、容易に形成することができる。
【0064】
図10は、図5(b)に示したプリズム部の構成の場合を対象にシミュレーションした結果であり、薄膜試料4の厚さをパラメータとして入射角とΔとの関係を示すグラフである。表2のケース4に、シミュレーションに用いた具体的な数値を示す。シミュレーションの主な条件は、プリズム2および基板6(いずれも石英)の屈折率が1.46、高屈折率膜11の屈折率が1.722、薄膜試料4の屈折率が1.45で、屈折率の差が0.262の場合である。また、高屈折率膜11の厚さは184nm、媒体は水である。
【0065】
【表2】
【0066】
図10に示されているように、少なくともブリュースター角(47.3°)と臨界角(65.6°)との間の入射角の範囲では、入射角−Δ曲線が薄膜試料4の厚さによって明確に区別されている。例えば、入射角を53°程度に固定すると、薄膜試料4の厚さに応じて、Δが単調増加していることが認められる。すなわち、図10に示した結果は、入射角(設定値)とΔ(測定値)を基に、薄膜試料4の厚さを精度よく求めることが可能であることを裏付けている。さらに、薄膜試料4の厚さが、少なくとも200nmという比較的厚い領域まで測定可能なことを示している。
【0067】
図11は、図5(b)に示したプリズム部の構成を対象にシミュレーションを行った結果であり、高屈折率膜11の屈折率をパラメータとして、薄膜試料4の厚さとΔとの関係を示すグラフである。表2のケース5にシミュレーションに用いた具体的な数値を示した。主な条件は、薄膜試料4の屈折率1.45、屈折率の差0.14〜0.64(高屈折率膜11の屈折率1.6〜2.1)、入射角:ブリュースター角+6.0°である。
【0068】
図11に示されているように、Δと薄膜試料4との厚さとの関係は、屈折率の差が大きいほど直線性が良好である。また、薄膜試料4の厚さ0〜100nmの範囲は、実際に測定されることが多く重要な範囲であり、この範囲における薄膜試料4に対するΔの変化の割合(感度)は、屈折率の差が大きいほど大きい。この傾向は、屈折率の差0.2以上、特に0.24以上の場合に顕著であり、薄膜試料4の厚さを精度よく測定できることが裏付けられている。
【0069】
なお、図10に示した入射角とΔと薄膜試料4の厚さとの関係のグラフから明らかなように、薄膜試料4の厚さとΔとの関係には、入射角が影響を及ぼす。また、薄膜試料4の厚さとΔとの関係には、入射光の波長も影響を及ぼす。したがって、様々な測定条件に合わせて、最適な入射角、入射光の波長を選択することが望ましい。これらの、最適な入射角、最適な波長は、シミュレーションによって求めることが可能である。
【0070】
図12および図13は、高屈折率膜11を介在させることにより、入射角が全反射領域の角度においても、薄膜試料4の厚さを高精度で測定することが可能なことを説明するためのグラフである。
【0071】
図12は、図5(b)に示したプリズム部の構成の場合を対象にシミュレーションした結果であり、薄膜試料4の厚さをパラメータとして、入射角とΔとの関係を示すグラフである。表3のケース6に、シミュレーションに用いた具体的な数値を示した。シミュレーションの主な条件は、プリズム2および基板6(いずれも石英)の屈折率1.46、高屈折率膜11の屈折率2.1、薄膜試料4の屈折率1.45で、屈折率の差0.64の場合である。また、高屈折率膜11の厚さは62nm、媒体は水である。これらのシミュレーション条件は、全反射領域で薄膜試料の厚さを高感度で測定することができる条件である。
【0072】
【表3】
【0073】
図12に示されているように、臨界角65.6°以上の領域では、入射角−Δ曲線が薄膜試料4の厚さによって、明確に区別されている(図中右上部)。例えば、入射角を70°に固定すると、薄膜試料4の厚さに応じてΔが単調増加することが認められる。このことは、薄膜試料4の厚さを高精度で測定することができることを裏付けている。なお、前述のように、臨界角はプリズム2の屈折率と媒体の屈折率によって決定され、高屈折率膜11および薄膜試料4の存在によって影響を受けず、(4)式により求められる。
【0074】
図13は、入射角を全反射領域の角度70°に固定してシミュレーションを行った結果であり、高屈折率膜11の屈折率をパラメータとして、薄膜試料4の厚さとΔとの関係を示すグラフである。なお、高屈折率膜11の屈折率は1.7〜2.2(屈折率の差0.24〜0.74)であり、その他の条件は表3のケース7に示すように、図12の場合と同様である。ただし、高屈折率膜11の厚さは、それぞれの屈折率において、Δの変化がもっとも大きくなる値(最適値)が選択されている。
【0075】
図13から、屈折率の差0.24(実線)およびそれ以上については、薄膜試料4の厚さに応じてΔが単調増加しており、薄膜試料4の厚さを精度よく測定可能なことが認められる。ただし、図示していないが、屈折率の差が0.15程度に小さくなると、薄膜試料4の厚さの変化に対するΔの変化が小さく、すなわち、曲線の傾きが小さく、薄膜試料4の厚さを精度よく測定することが難しいことが確認されている。
【0076】
さらに、図示していないが、波長が長いほど測定可能範囲が広くなり、波長が短いほど感度が高くなる傾向がある。また、入射角が大きいほど、感度が低下することなく、薄膜試料4の厚さの測定範囲が広くなる。
【0077】
一方、高屈折率のプリズムを用いる実施の形態(1)の場合には、図7から明らかなように、全反射領域では、Δ−入射角曲線が薄膜試料4の厚さによって明確に区別されていない。したがって、高屈折率のプリズムを介在させた実施の形態(2)によってはじめて、全反射領域における薄膜試料4の厚さの測定が可能であると言える。
【0078】
実施の形態(3)の場合には、図6に示したように、図5に示したプリズム部の構成に加えて、高屈折率膜11と薄膜試料4との間に、加水分解性膜12を介在させて測定を行う。すなわち、プリズム2には、一般的に用いられている屈折率が約1.40〜約1.60のものを用いる。そして、プリズム2の測定面51に、プリズム2に比べて屈折率が約0.2以上大きい高屈折率膜11を形成し、高屈折率膜11と薄膜試料4との間に加水分解性膜12を介在させて測定する方法(図6(a))またはプリズム2の測定面51に、表面に高屈折率膜11が形成された基板6を重ね合わせ、高屈折率膜11と薄膜試料4との間に加水分解性膜12を介在させて測定する方法(図6(b))のいずれかの形態を採ることができる。
【0079】
前述のように、水酸基は高屈折率膜11に対して薄膜試料4を強固に固定する作用がある。その理由は、次のとおりである。
【0080】
ガラス製のプリズム2や基板6は、主成分がシリカ(SiO2)であるので、表面には加水分解によって生じる水酸基(OH基)が多量に存在する。そのため、プリズム2や基板6の表面に有機物質系の薄膜試料4を形成すると、水酸基の作用により、プリズム2や基板6と薄膜試料4との間に共有結合が生じ、共有結合により、プリズム2や基板6に薄膜試料4が強固に固定される。
【0081】
一方、タンタル酸化物などの主として金属酸化物で構成される高屈折率膜11は、シリカに比べると加水分解性に劣るので、高屈折率膜11の表面に存在する水酸基の量が少ない。そのために、共有結合が起こりにくく、高屈折率膜11に対して、薄膜試料4が強固に固定されにくい。高屈折率膜11に対して薄膜試料4が強固に固定されていない場合には、水などの液体の作用により、簡単に溶解除去される場合がある。そのため、水などの液体中で測定することができないことがある。
【0082】
加水分解性膜12は、加水分解を起こす性質を有するシリカを含む膜であり、シリカで構成してもよく、シリカ以外に金属酸化物、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物などを含んでいてもよい。
【0083】
また、加水分解性膜12の厚さは、約2〜約100nmとするのが望ましく、より望ましい範囲は約5〜約50nmである。厚さが約2nm未満の場合には、稠密で均一な加水分解性膜12を形成させにくい。そのため、水酸基の生成量が不均一となり、強固な共有結合が起こりにくい。より望ましい下限は約5nmである。一方、後述のように、加水分解性膜12の厚さが厚くなるほど、測定可能な薄膜試料4の厚さの範囲が狭くなる傾向があり、約100nmを超えるとその傾向を無視できなくる。したがって、加水分解性膜12の厚さの上限は約100nmが望ましく、より望ましい上限は約50nmである。
【0084】
なお、加水分解性膜12の屈折率は、プリズム2および基板6の屈折率とほぼ同じでもよく、ある程度相違していてもよい。ただし、加水分解性膜12の屈折率の下限は約1.30、上限は高屈折率膜11の屈折率より約0.10小さい値とするのがよい。
【0085】
図14は、実施の形態(3)に係る加水分解性膜12の効果をシミュレーションにより確認した結果であり、シリカ膜の厚さをパラメータとして、薄膜試料4の厚さとΔとの関係を示すグラフである。図6(b)に示したプリズム部の構成を対象とし、シミュレーションの具体的な条件は、薄膜試料4の屈折率:1.45、プリズム2および基板6の屈折率:1.45、高屈折率膜11の屈折率と厚さ:それぞれ2.0、128nm、シリカ膜の屈折率:1.45、入射光の波長:800nm、入射角:57.1°である。
【0086】
図14に示されているように、Δと薄膜試料4の厚さとの関係は、シリカ膜の厚さが0から50nmと厚いほど、厚さが薄い方向に水平移動したかのような変化を示す。これは、薄膜試料4の屈折率とシリカ膜の屈折率とがほぼ等しいので、薄膜試料4の厚さにシリカ膜の厚さが上乗せされたような効果が生じるためである。このため、測定できる薄膜試料4の厚さは、そのときの測定条件により元々制限されているので、シリカなどの加水分解性膜12の厚さが大きくなるほど、薄膜試料の厚さの測定範囲が狭くなる。
【0087】
【実施例】
本発明に係る薄膜の厚さ測定方法によって薄膜試料4の厚さを測定し、その測定精度を調査した。同時に、触針式膜厚計による厚さ測定を行い、本発明の方法による測定値と比較した。
【0088】
本発明に係る薄膜の厚さ測定方法には、図3に示した構成を有する内部反射型エリプソメトリ装置を用いた。この装置における光源31のランプはハロゲンランプ、偏光子(第1偏光子)35の方位角は45°、スリット36を経た光束の径は1mmとし、入射光学系1と薄膜試料4の面(プリズム2の測定面51)と射出光学系3との間の角度は、2軸回転ステージ(図示省略)により調節した。
【0089】
また、プリズム部は図6(b)に示した構成とし、プリズム2および基板6は石英製(波長600nmにおける屈折率1.458)、高屈折率膜11は鉛、ランタン、ガドリニウム、ジルコニウムおよびチタンのそれぞれ酸化物で構成された複合酸化物(PLGZT)とし、プリズム2と基板6との間はマッチング液(屈折率1.46)により密着させた。なお、高屈折率膜11に用いたPLGZTは、波長600nmにおける屈折率が2.065、消衰係数0.036、膜厚107nmである。
【0090】
測定は、入射光の波長600nm、入射角42°(ブリュースター角と臨界角の間の角度)の条件で、検光子(第2の偏光子)37を回転させ、一定の方位角ごとに反射光の強度を計測する方法により行った。
【0091】
薄膜試料4を形成する際には、まず、たんぱく質の一種であるラクトグロブリン(LG)を水に溶解させ、濃度0.01、0.02、0.03、0.04および0.05質量%の水溶液を調製した。高屈折率膜11上に、それぞれの濃度の水溶液の液滴約0.3マイクロリットルを置き、空気中で静置して乾燥させることにより、径約2mmのスポット状薄膜試料4を形成した。このような方法により、水溶液の濃度に応じて厚さの異なる薄膜試料4を形成することができる。
【0092】
内部反射型エリプソメトリ装置によって求められるΔ値(薄膜試料4の厚さに応じて変化する値)を薄膜試料4の厚さに換算するために、Δと薄膜試料4の厚さとの関係を予めシミュレーションによって求めた。
【0093】
図15は、薄膜の厚さをパラメータとして入射角とΔとの関係をシミュレーションによって求めた結果を示すグラフである。図15における入射角42°(実際の測定に採用した入射角)は、図15から明らかなように、ブリュースター角(40.0°)と臨界角(43.2°)の間の値であり、薄膜の厚さ約60nmまでは、薄膜の厚さとともにΔ値が増加することが認められる。
【0094】
図16は、図15に示したシミュレーション結果を基に、入射角42°におけるΔ値と薄膜の厚さとの関係を図示したグラフである。このグラフまたはΔ値と薄膜の厚さの関係式(図16内に表示)により、薄膜試料4の測定によって得られたΔ値を、薄膜試料4の厚さに換算した。
【0095】
また、本発明に係る薄膜の厚さ測定方法によって得られた薄膜試料4の厚さを検証するために、前述のように触針式膜厚計による薄膜試料4の厚さ測定も行った。
【0096】
表4に、結果をまとめて示す。また、図17に、本発明の方法によって求められた薄膜試料4の厚さと触針式膜厚計によって求められた薄膜試料4の厚さとの関係を示す。
【0097】
【表4】
【0098】
触針式膜厚計による測定値は、薄膜試料4表面の凹凸に応じて測定値が変わるので、測定値を範囲で示した。表4および図16から明らかなように、本発明の方法による薄膜試料4の厚さ測定値は、触針式膜厚計による測定値とほぼ一致している。この結果から、本発明に係る薄膜の厚さ測定方法によれば、薄膜試料の厚さを精度よく測定することが可能なことが確認された。
【0099】
【発明の効果】
本発明に係る内部反射型エリプソメトリを用いる薄膜の厚さ測定方法によれば、高屈折率のガラス製プリズムまたは通常の屈折率のガラス製プリズムと高屈折率膜との組み合わせとし、薄膜試料の屈折率との差が0.2以上となる条件で測定を行うので、生体物質、有機化合物などの屈折率が低い薄膜試料の厚さを高精度で測定することができる。
【0100】
また、屈折率がプリズムとほぼ同等で、表面に薄膜試料または高屈折率膜と薄膜試料が形成された光透過性基板を用いることにより、効率的に薄膜の厚さ測定を行うことができる。特に、高屈折率膜を用いる場合には、一般的に用いられている屈折率のガラスで作製された安価なプリズムや基板を用いることができるので、経済性の面でも極めて優れている。
【0101】
また、上記の高屈折率膜を用いる測定方法において、高屈折率膜と薄膜試料との間に、加水分解性薄膜を介在させる条件で測定する方法によれば、薄膜試料を高屈折率膜に対して強固に固定することができる。そのために、加水分解性膜を用いない場合に比べて、薄膜試料の厚さ測定の精度をより向上させることができる。
【0102】
本発明に係る内部反射型エリプソメトリーを用いる薄膜の厚さ測定手法は、広い用途が見込まれる。液体または気体中における基板上の薄膜の厚さ測定値を基に、液体または気体中の基板表面上に吸着した物質の量を求めることができる。
【0103】
また、薄膜と接する液体または気体の性質の変化またはそれらの中に存在する物質の濃度が変化に応じて、薄膜の厚さが変化するするので、薄膜の厚さを測定することによって、薄膜と接している溶液または気体の性質の変化やそれらの中に存在する物質の濃度を間接的に測定することが可能である。
【0104】
上記のような基板上の薄膜の厚さを測定においては、本発明に係る内部反射型エリプソメトリを用いる方法は、従来使用されてきた外部反射型に比べ、さまざまな優位性を有している。すなわち、液体中での物質濃度の間接測定については、微小な内容積を有するセルを測定に用いることができるため、ごくわずかな量の液体であっても測定が可能である。また、測定対象物質の量もごくわずかで済み、微量しか入手できないかまたはきわめて高価な物質を対象とする場合に、極めて好適である。
【0105】
さらに、内部反射型エリプソメトリは、入射光学系と射出光学系が構造的に分離されているため、セルの脱着および媒体(液体または気体)の置換を行うこと容易であり、腐食性を有する試料であっても容易に取り扱うことができる。また、装置の小型化・簡素化も容易であるので、液体または気体の性質の変化またはそれらの中に存在する物質の濃度を測定する手段にもなり得る。特に、発ガンの抑制などの生体現象にかかわる遺伝子やタンパク質の同定を行うために、基板上にDNAや抗体を固定したセンサを用いて、試料に含まれる特定のDNAやタンパク質を検出することが注目されているが、そのための検出技術として大いに期待できる。
【0106】
また、内部反射型エリプソメトリは、特に全反射条件で測定を行う場合、入射光が基板やプリズムの表面のごく近傍にしか達しない。そのために、基板やプリズム表面近傍において、試料の光学的性質や物質の濃度が連続的に変化している場合に、その分布を精度よく測定することができる。また、気体や液体が封入されたり、流通するセルを基板の表面に密着させた構成とした場合、セル内面からの反射光を考慮する必要がなく、かつ射出光の強度が大きいので、強度が大きい信号を得ることができるという特長がある。
【0107】
本発明に係る薄膜の厚さ測定方法は、上記のような内部反射型エリプソメトリの長所を享受することができる優れた方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射型エリプソメトリによる薄膜の厚さの測定原理を説明するための図であり、特に内部反射型の測定系を模式的に示す構成図である。
【図2】内部反射型エリプソメトリによる薄膜の厚さ測定方法におけるプリズム部の構成を示す図であり、(a)は通常の空気中で測定を行う場合の例、(b)は空気以外の気体や液体中で測定を行う場合の例である。
【図3】内部反射型エリプソメトリによる薄膜の厚さ測定に用いる測定装置の概略を示す構成図である。
【図4】実施の形態(1)を示す図であり、高屈折率ガラス製プリズムを用いる場合を示すプリズム部の模式的断面図である。
【図5】実施の形態(2)を示す図であり、通常の屈折率のプリズムと高屈折率膜を用いる場合を示すプリズム部の模式的断面図である。
【図6】実施の形態(3)を示す図であり、高屈折率膜と薄膜試料との間に加水分解性膜を介在させる場合を示すプリズム部の模式的断面図である。
【図7】図3に示した内部反射型エリプソメトリ測定装置を用いて、図4(b)に示したプリズム部の構成を対象にシミュレーションした結果であり、薄膜試料の厚さをパラメータとして、プリズムおよび基板と薄膜試料との間の屈折率の差が0.272の場合における入射角とΔとの関係を示すグラフである。
【図8】図3に示した内部反射型エリプソメトリ測定装置を用いて、図4(b)に示したプリズム部の構成を対象にシミュレーションした結果であり、薄膜試料の厚さをパラメータとして、プリズムおよび基板と薄膜試料との間の屈折率の差が0.07の場合における入射角とΔとの関係を示すグラフである。
【図9】図3に示した内部反射型エリプソメトリ測定装置を用いて、図4(b)に示したプリズム部の構成を対象にシミュレーションした結果であり、入射角をブリュースター角+2.0°とし、屈折率の差(プリズムの屈折率)をパラメータとして、薄膜試料の厚さとΔとの関係を示すグラフである。
【図10】図5(b)に示したプリズム部の構成の場合を対象にシミュレーションした結果であり、薄膜試料の厚さをパラメータとして、入射角とΔとの関係を示すグラフである。
【図11】図5(b)に示したプリズム部の構成を対象にシミュレーションを行った結果であり、高屈折率膜の屈折率をパラメータとして、薄膜試料の厚さとΔとの関係を示すグラフである。
【図12】入射角が全反射領域の角度においても、薄膜試料4の厚さを高精度で測定することが可能なことを説明するための図であり、図5(b)に示したプリズム部の構成の場合を対象に、シミュレーションした結果を示すグラフである。
【図13】入射角が全反射領域の角度においても、薄膜試料4の厚さを高精度で測定することが可能なことを説明するためのグラフであり、図5(b)に示したプリズム部の構成の場合を対象とし、入射角を全反射領域の角度70°に固定してシミュレーションした結果を示すグラフである。
【図14】実施の形態(3)に係る加水分解性膜の効果をシミュレーションにより確認した結果であり、シリカ膜の厚さをパラメータとして、薄膜試料の厚さとΔとの関係を示すグラフである。
【図15】薄膜の厚さをパラメータとして入射角とΔとの関係をシミュレーションによって求めた結果を示すグラフである。
【図16】図15に示したシミュレーション結果を基に、入射角42°におけるΔ値と薄膜の厚さとの関係を図示したグラフである。
【図17】本発明の方法によって求められた薄膜試料の厚さと触針式膜厚計によって求めた薄膜試料の厚さとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 入射光学系
2 プリズム
3 射出光学系
4 薄膜試料
6 光透過性基板(基板)
11 高屈折率膜
12 加水分解性膜
Claims (9)
- 内部反射型エリプソメトリによる、屈折率約1.40〜約1.60の薄膜の厚さ測定方法であって、ガラス製プリズムの1面に形成され、該ガラス製プリズムに比べて屈折率が小さく、その差が約0.2以上である薄膜試料に、前記プリズムを介して入射光を照射することを特徴とする薄膜の厚さ測定方法。
- 内部反射型エリプソメトリによる、屈折率約1.40〜約1.60の薄膜の厚さ測定方法であって、ガラス製プリズムの1面に、屈折率が該ガラス製プリズムとほぼ同等の光透過性基板が載置されており、該光透過性基板の表面に形成され、前記ガラス製プリズムおよび前記光透過性基板に比べて屈折率が小さく、その差が約0.2以上である薄膜試料に、前記プリズムおよび前記光透過性基板を介して入射光を照射することを特徴とする薄膜の厚さ測定方法。
- 前記ガラス製プリズムの屈折率が、約1.60〜約2.00であることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜の厚さ測定方法。
- 内部反射型エリプソメトリによる、屈折率約1.40〜約1.60の薄膜の厚さ測定方法であって、ガラス製プリズムの1面に、該ガラス製プリズムより約0.2以上屈折率が大きい高屈折率膜が形成され、該高屈折率膜の表面に形成された、該高屈折率膜に比べて屈折率が小さい薄膜試料に、前記ガラス製プリズムおよび前記高屈折率膜を介して入射光を照射することを特徴とする薄膜の厚さ測定方法。
- 内部反射型エリプソメトリによる、屈折率約1.40〜約1.60の薄膜の厚さ測定方法であって、ガラス製プリズムの1面に、屈折率が該ガラス製プリズムとほぼ同等の光透過性基板が載置されており、該光透過性基板の表面に前記ガラス製プリズムおよび前記光透過性基板より約0.2以上屈折率が大きい高屈折率膜が形成され、該高屈折率膜の表面に形成された、該高屈折率膜に比べて屈折率が小さい薄膜試料に、前記ガラス製プリズム、前記光透過性基板および前記高屈折率膜を介して入射光を照射することを特徴とする薄膜の厚さ測定方法。
- 前記ガラス製プリズムの屈折率が、約1.40〜約1.60であることを特徴とする請求項4または5に記載の薄膜の厚さ測定方法。
- 前記高屈折率膜と前記薄膜試料との間に、加水分解性薄膜が介在することを特徴とする請求項4ないし6のいずれかの項に記載の薄膜の厚さ測定方法。
- 前記入射光の入射角が、ブリュースター角以上、臨界角以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの項に記載の薄膜の厚さ測定方法。
- 前記入射光の入射角が、ブリュースター角以上であることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかの項に記載の薄膜の厚さ測定方法。
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