JP2004068797A - 窒素酸化物除去装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動車用ディーゼル機関の排ガス中の窒素酸化物除去方法に関し、窒素酸化物を酸化吸蔵する方法では二酸化硫黄との反応による性能劣化、また、プラズマによる窒素酸化物除去方法では排ガス中に添加剤を使用する必要があるため副生成物が発生する、などの問題がある。触媒を用いる方法も、排ガス温度が低い条件では触媒が働かないこと、酸素濃度の高い条件の還元が困難であることも課題である。
【解決手段】排ガス中の一酸化窒素を酸化して吸着部に吸着し、吸着部に電界を加えてイオン化した硝酸イオンなどを正極性側に移動して濃縮し、濃縮した硝酸イオンなどを還元ガスの触媒反応、還元ガスまたは低酸素濃度での放電、あるいは水溶液中に濃縮して電気分解で還元する、窒素酸化物の除去方法。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば、ディーゼル機関の排ガスに含まれる窒素酸化物を効率よくかつ確実に還元する窒素酸化物除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼル機関の排ガスは酸素濃度が高いため、排ガスに含まれる窒素酸化物を除去する方法が限られている。例えば、ガソリンエンジン排ガス浄化に有効な三元触媒が働かない。このため、定置式のディーゼル機関に対しては、アンモニアや尿素を排ガスに添加して触媒により還元する選択接触還元法や、アンモニアの排ガスへの直接注入などによる窒素酸化物除去法が用いられている。自動車用ディーゼル機関の排ガス浄化には、アンモニア注入の必要のない方法が開発途上である。例えば、窒素酸化物を触媒表面で酸化吸蔵し、燃料から得られるハイドロカーボンで還元する方法や、放電プラズマを用いて酸化あるいは還元する方法などが開発されつつある。また、各種触媒と還元剤の組合わせにより、窒素酸化物を窒素と酸素に還元する方法も開発途上である。
【0003】
大気環境保全上から、ディーゼル機関の排ガスの浄化は喫緊の課題であり、特に排ガスに含まれる窒素酸化物は還元して酸素と窒素に分解することが好ましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
自動車用ディーゼル機関の排ガス中の窒素酸化物を除去するために開発されつつある、酸化吸蔵する方法では二酸化硫黄との反応による性能劣化、また、プラズマによる方法では排ガス中に添加剤を使用する必要があるため副生成物が発生する、などの問題がある。また、排ガス温度が低い条件では触媒が働かないことも大きな問題である。
【0004】
この発明は、ディーゼル機関の排ガス中に含まれる窒素酸化物を効率よく、かつ確実に除去する装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、排ガス中の一酸化窒素を酸化する第1ステップと、酸化された窒素酸化物を吸着部に吸着する第2ステップと、吸着部に電界を加え、吸着してイオン化した硝酸イオンを正極性側に濃縮する第3ステップと、濃縮した硝酸イオンを還元する第4ステップ、とからなることを特徴とする。
【0006】
この結果、請求項1にかかる発明は、窒素酸化物を酸化して吸着し、吸着した窒素酸化物がイオン化した硝酸イオンなどの負極性イオンを、吸着部に電界を引加して正極性側に移動させるとともに、排ガスに接触する吸着面のイオン濃度を低下させる。正極性電極側に濃縮した硝酸イオンなどは、還元剤などを用いて還元する。
【0007】
また、請求項2にかかる発明は、放電により窒素酸化物を酸化することを特徴とする。
【0008】
この結果、請求項2にかかる発明は、排ガス温度が約300℃以下の場合においても窒素酸化物を効率よく酸化できるため、吸着部に高効率で吸着することができ、排ガス中の窒素酸化物を効率よくかつ確実に低減することができる。
【0009】
また、請求項3にかかる発明は、白金などの貴金属を担持した酸化触媒により窒素酸化物を酸化することを特徴とする。
【0010】
この結果、請求項3にかかる発明は、排ガス温度が約300℃以上の場合において、酸化触媒の働きにより窒素酸化物を効率よく酸化できるため、吸着部に高効率で吸着することができ、排ガス中の窒素酸化物を効率よくかつ確実に低減することができる。
【0011】
請求項4にかかる発明は、吸着部に水分を含ませることで、吸着した窒素酸化物のイオン化を促進するとともに、吸着部の電気抵抗を低下させるため、同一印加電圧においても大きな電流を流すことができる。
【0012】
このため、請求項4にかかる発明は、吸着した硝酸イオンなどの移動がより促進されるため、酸化した窒素酸化物の吸着も促進でき、排ガス中の窒素酸化物を効率よくかつ確実に低減することができる。
【0013】
また、請求項5にかかる発明は、アルカリ金属イオンを吸着部に保持させるものである。
【0014】
この結果、吸着部に電圧を印加するとアルカリ金属イオンは負極側に、硝酸イオンなどは正極側に移動され、負極側を吸着すべきガスに接触させることで、酸性を示す窒素酸化物の吸着を促進する。
【0015】
このため、請求項5にかかる発明は、排ガス中の窒素酸化物を酸化して二酸化窒素などに変換し、アルカリ性の吸着部への吸着を促進するため、窒素酸化物を効率よくかつ確実に低減することができる。
【0016】
また、請求項6にかかる発明は、吸着部への電圧印加を溶液を介して行う
ことを特徴とする。
【0017】
この結果、請求項6にかかる発明は、正極側に移動させた硝酸イオンなどを溶液中に回収できる。この溶液中の硝酸イオンは電気分解などで還元できる。
【0018】
また、請求項7にかかる発明は、吸着部への電圧印加を放電を介して行うことを特徴とする。
【0019】
この結果、請求項7にかかる発明は、正極側に移動してくる硝酸イオンなどを放電により発生する電子などで解離することができ、硝酸イオンを窒素と酸素に還元できる。
【0020】
また、請求項8にかかる発明は、請求項7にかかる発明と同様、吸着部への電圧印加を放電を介して行うものであり、放電部にハイドロカーボンなどの還元性ガスを存在させることを特徴とする。
【0021】
この結果、請求項8にかかる発明は、正極側に移動してくる硝酸イオンなどを、ハイドロカーボンなどの還元性ガスの放電で発生する還元性ラジカルと反応させることができるため、硝酸イオンなどを効率良く還元できる。
【0022】
また、請求項9にかかる発明は、吸着部と電極との間の気圧を下げるなどにより、酸素濃度を大気中の濃度の1%程度にして放電することを特徴とする。
【0023】
この結果、請求項9にかかる発明は、正電極側に移動する硝酸イオンなどを、放電で発生する高エネルギーの電子の衝突などで解離し、窒素と酸素に還元することができる。特に、請求項9にかかる発明は、還元性ガスの放電部への注入が無くても窒素酸化物の還元ができる。また、還元性ガスを放電部へ注入することで、酸素濃度が低いため窒素酸化物の還元を効率よく行うことができる。放電部を低気圧とすれば、放電開始電圧を低くできるため、装置電源および絶縁が簡単になり、装置のコストを低減できる。 このような窒素酸化物の還元操作を酸素濃度の低い条件で行うことで還元特性が大きく向上できる事は既に知られているが、実際に装置化することは困難であった。本装置では、正電極近傍の通気性を小さくすることで、硝酸イオンなどの負イオンを濃縮する一方、空気中の酸素の拡散を制限できるため、還元反応領域の酸素濃度を低下させることが可能である。
【0024】
また、請求項10にかかる発明は、吸着部の正電極付近の、窒素酸化物が濃縮された領域にハイドロカーボンなどの還元性ガスを供給するとともに温度を上昇することを特徴とする。
【0025】
この結果、請求項10にかかる発明は、還元性ガスとの反応により、濃縮された窒素酸化物を還元できる。
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる窒素酸化物除去装置の実施形態の4例を添付図面を参照して説明する。なお、この実施の形態により、この発明にかかる窒素酸化物除去方法および窒素酸化物除去装置が限定されるものではない。
【0026】
(実施の形態1の構成の説明)
図1は、この発明にかかる窒素酸化物除去方法および窒素酸化物除去装置の実施の形態1を示す。
【0027】
一酸化窒素NOと酸素を含んでいる排気ガス源▲1▼からの排気を放電プラズマ反応器▲2▼に通すことにより、一酸化窒素が二酸化窒素に酸化される。
【0028】
プラズマ反応器▲2▼は、絶縁性の管▲3▼の中心に放電線▲4▼を設け、絶縁管▲3▼の外周に接地電極▲5▼を設け、放電線▲4▼にパルス電源▲16▼から立ち上がりの早いパルス高電圧を印加するものなどを用いる。
【0029】
二酸化窒素は吸着部▲6▼に吸着され、一部が解離して硝酸イオンなどの負イオンになる。
【0030】
図中の吸着部▲6▼には、吸着剤として、例えば比表面積の大きいγアルミナなどを、ハニカム状に加工したもの、あるいは粒状の充填層などを用いる。
【0031】
吸着部▲6▼の両端には、吸着した硝酸イオンなどを移動させるための電界を吸着部▲6▼の内部に形成するための電極▲7▼および▲8▼が設置される。電極に直流電圧を印加することによって、硝酸イオンなどの負イオンをガスにさらされていない正電極▲8▼付近に移動させる。正電極▲8▼の近傍で硝酸イオンが濃縮されるのに対し、負電極▲7▼近傍の硝酸イオンなどの負イオン濃度の上昇が抑制される。
【0032】
正電極▲8▼の近傍には還元性ガスの供給部▲9▼を設け、高温とすることで、濃縮した硝酸イオンなどを還元性ガスと反応させる。還元性ガスとしてはアンモニア、尿素あるいはエチレンやオクタン、アルコール等のハイドロカーボンなどを用いることができる。
【0033】
(実施の形態1の作用・効果の説明)
この実施の形態1における希ガス回収方法および希ガス回収装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その効果について説明する。
【0032】
プラズマ反応器中でパルス放電を発生させることで、酸素や水分子などから、反応性の高いラジカルが生成される。このラジカル化学反応により、排気ガス中の一酸化窒素は二酸化窒素に酸化される。
【0033】
プラズマ化学反応による一酸化窒素の酸化を促進するためには、反応器内部に二酸化チタンなどの触媒を充填し、エチレンなどを排気ガスに添加してもよい。
【0034】
二酸化窒素は反応性が高く、吸着部▲6▼で、比表面積の大きい吸着剤に吸着される。吸着剤としてはγアルミナの他、ゼオライトなどを用いることができる。
【0035】
また、吸着部▲6▼には、請求項4のように、水分を保持させることで、二酸化窒素の吸着を促進できる。
【0036】
さらに、吸着部▲6▼に、請求項5のように、水酸化ナトリウムなどを添加して、アルカリ金属イオンを保持させることで、二酸化窒素の吸着を促進できる。
【0037】
水分やアルカリ金属イオンを吸着部▲6▼に保持させることで、二酸化硫黄など、排気ガスに含まれる他の有害汚染物質の吸着も促進できる。
【0038】
吸着部▲6▼の両端に設置した電極に直流電圧を印加すると吸着部▲6▼の内部に電界が形成される。吸着した硝酸イオンなどの負イオンや、水が解離した水素イオンあるいはアルカリ金属イオンなどの正イオンは、この電界により移動する。正電極▲8▼の近傍で硝酸イオンが濃縮されるのに対し、負電極▲7▼近傍の硝酸イオンなどの負イオン濃度の上昇が抑制される。
【0039】
図2は硝酸イオン、亜硝酸イオンとナトリウムイオンが吸着部に存在するときの、直流電圧印加による移動の様子を測定した1例である。
【0040】
γアルミナ充填層を吸着剤として、二酸化窒素を吸着した。その後電極▲7▼と▲8▼の間に直流電圧を印加した。電圧印加の後に、吸着部▲6▼を4分割して、それぞれの分割部分に含まれる硝酸イオン、亜硝酸イオンおよびナトリウムイオンの量を測定した。各分割部分の吸着剤を純水で洗浄し、溶け出したイオンを、イオンクロマトグラフで測定した。
【0041】
その結果からも明らかなように、負イオンである硝酸イオン、亜硝酸イオンは正電極▲8▼近傍に濃縮され、一方正イオンであるナトリウムイオンは負電極近傍に濃縮された。図3には対比のため、直流電圧を印加しない場合の結果も併わせて示す。直流電圧を印加しない場合には、ナトリウム水溶液の添加および窒素酸化物の吸着は主に吸着部▲6▼の陰極付近で行ったため、両方のイオンの大部分は陰極付近に集中している。窒素酸化物の拡散のため、陽極側にも少数の硝酸イオンが存在している。
【0042】
図4のような実験装置で図1に示す窒素酸化物除去装置の出口における窒素酸化物濃度を測定した。
【0043】
一酸化窒素400ppmを含むガスを窒素酸化物除去装置に導入した。ガス温度は100℃とした。パルス高電圧を放電極に印加し、ガス中の一酸化窒素を二酸化窒素に酸化した。
【0044】
図5は吸着部に直流電圧を印加した場合の装置出口での窒素酸化物濃度測定結果である。時間経過とともに出口の窒素酸化物濃度は上昇する。これは吸着部▲6▼での二酸化窒素の吸着が徐々に飽和するためである。直流電圧印加は間欠的に、出口の窒素酸化物濃度が150ppm程度にまで上昇した後に行った。装置へのガス流を止め、吸着部に8cc程度水分を供給して吸着部を湿らせた後、30分間直流電圧を印加した。その後電圧印加を止め、30分間吸着部を乾燥空気で乾燥させた。その後で一酸化窒素を400ppm含むガスの供給を行った所、吸着部の吸着特性が回復し、出口の窒素酸化物濃度は低い値から増加しはじめた。
【0045】
上記の操作を数回繰り返した所、直流電圧印加の後乾燥することで、吸着部の吸着特性が回復したことが示された。
【0046】
図6は、直流電圧印加を行わず、水分を添加した後乾燥空気で乾燥した場合の結果である。この場合には吸着部の吸着特性が回復しておらず、乾燥した後ガスの導入を再開したとき、出口の窒素酸化物濃度の低下がほとんど見られない。
【0047】
硝酸イオンなどの負イオンは、吸着部▲6▼への直流電圧印加により、正電極▲8▼付近に移動する。正電極▲8▼の近傍に還元性ガスを供給し、高温とすることで、濃縮した硝酸イオンなどを還元性ガスと反応させる。正電極付近の吸着剤をゼオライトとし、ナトリウム、銅、コバルトなどを担持することで、還元性ガスによる硝酸イオンの還元が促進されることは既に知られており、これを本装置の吸着剤として正電極付近に配置することで、本装置の性能を高くすることができる。
【0048】
(実施の形態2の構成の説明)
図7は、この発明にかかる窒素酸化物除去方法および窒素酸化物除去装置の実施の形態2を示す。これは吸着材に白金などの酸化触媒を担持させたものである。本実施形態において、ガス温度の低い領域で一酸化窒素を酸化するために、放電プラズマを併用することもできる。
【0049】
(実施の形態2の作用・効果の説明)
排ガス中の一酸化窒素は、ガス温度が約300℃以上では、触媒反応により二酸化窒素に酸化され、吸着材▲6▼に吸着され、その一部は電離して硝酸イオン、亜硝酸イオンなどの負イオンになる。吸着部▲6▼の両端にあるイオン濃縮用電極に直流電圧を印加することによって、硝酸イオン、亜硝酸イオンを吸着反応場▲14▼部から外の▲15▼部に移動させる。▲15▼部で硝酸イオン、亜硝酸イオンが濃縮されるのに対し、▲14▼部の硝酸イオンおよび亜硝酸イオン濃度の上昇が抑制されるため、吸着材の吸着能力が維持される。▲15▼部では濃縮した硝酸イオンなどを還元性ガスと反応させることで窒素と酸素に還元する。
【0050】
(実施の形態3の構成の説明)
図8はこの発明にかかる窒素酸化物除去方法および窒素酸化物除去装置の実施の形態3を示す。これは吸着材にナトリウムなどのアルカリ金属イオンを担持させたものである。
【0051】
(実施の形態3の作用・効果の説明)
排ガス中の一酸化窒素は、放電プラズマや触媒反応により二酸化窒素に酸化され、吸着反応場▲14▼に吸着され、その一部は電離して硝酸イオンなどのイオンになる。本実施形態では吸着材中にアルカリ金属イオンが存在し、吸着部▲6▼の両端にあるイオン濃縮用電極に直流電圧を印加することによって、硝酸イオン、亜硝酸イオンを吸着反応場▲14▼部から外の▲15▼部に移動させる。▲15▼部で硝酸イオン、亜硝酸イオンが濃縮されるのに対し、▲14▼部の硝酸イオン濃度の上昇が抑制されるため、吸着材の吸着能力が維持される。▲15▼部では濃縮した硝酸イオン、亜硝酸イオンを窒素と酸素に還元する。
【0052】
(実施の形態4の構成の説明)
図9はこの発明にかかる窒素酸化物除去方法および窒素酸化物除去装置の実施の形態4を示す。吸着部への電圧印加を、水溶液を介して行うものである。
【0053】
(実施の形態4の作用・効果の説明)
排気ガス中の一酸化窒素は、放電プラズマや触媒反応により二酸化窒素に酸化され、水タンク▲17▼の水溶液中に硝酸イオン、亜硝酸イオンが回収できる。水溶液中の硝酸イオン、亜硝酸イオンは鉄イオン存在下で、電気分解により還元できる。図10は水溶液中の硝酸イオンを電気分解により還元した例である。水溶液中に鉄イオンが存在すると硝酸イオンがアンモニアまで還元される。この実施の形態では、硝酸イオン、亜硝酸イオンを還元するとともにアンモニアイオンが生成でき吸着部に移動するので、吸着部の二酸化窒素吸着を促進できる。
【0054】
(実施の形態5の構成の説明)
図11はこの発明にかかる窒素酸化物除去方法および窒素酸化物除去装置の実施の形態5を示す。吸着部への直流電圧印加を、放電を介して行うものである。
【0055】
(実施の形態5の作用・効果の説明)
このような実施の形態5により、吸着部に直流放電を介してイオン移動のための電界が印加される。これにより、吸着された硝酸イオン、亜硝酸イオンは正極性放電電極に近い側の吸着部表面へ濃縮され、放電に暴露される。このとき、放電部にエチレン、プロパン、エタノール、メタノール、アセトアルデヒドなどのハイドロカーボン、あるいはアンモニアなどの還元性ガスを供給することで、濃縮された硝酸イオン、亜硝酸イオンを還元できる。
【0056】
実施の形態5において、請求項9のように、放電部を減圧する、あるいは酸素を除くなどで、放電部の酸素濃度を1%以下とすることで、還元性ガスの添加を行わなくても、濃縮された硝酸イオン、亜硝酸イオンは、放電により解離され還元される。図12は酸素濃度を1%以下にして、2000ppmのNOxを放電により還元した測定例である。対比のため、酸素濃度10%でのデータも示す。このように、酸素濃度の低い領域では、放電プラズマにより、NOxは窒素と酸素に還元される。硝酸イオンを酸素濃度の低い領域に移動することで高い還元特性が得られることが、本発明の大きな効果である。
【0057】
(発明の効果)
以上説明したように、本発明によれば、吸着した硝酸イオン、亜硝酸イオンなどの負イオンを吸着部から電界で移動でき、かつナトリウムイオンやアンモニウムイオンなどの正イオンを吸着部に移動できるため、吸着部の飽和を防ぐことができる。また、硝酸イオン、亜硝酸イオンを濃縮できるため、放電などにより還元することが容易となり、ディーゼル自動車などの排ガス浄化装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の構成を示す模式図
【図2】硝酸イオン、亜硝酸イオンとナトリウムイオンの吸着部への直流電圧印加による移動の測定結果
【図3】直流電圧を印加しない場合のイオンの移動
【図4】本発明の窒素酸化物除去装置の出口における窒素酸化物濃度測定装置
【図5】吸着部に直流電圧を印加した場合の装置出口での窒素酸化物濃度測定結果
【図6】吸着部に直流電圧を印加しない場合の装置出口での窒素酸化物濃度測定結果
【図7】本発明の実施の形態2の構成を示す模式図
【図8】本発明の実施の形態3の構成を示す模式図
【図9】本発明の実施の形態4の構成を示す模式図
【図10】水溶液中の硝酸イオンの電気分解による還元
【図11】本発明の実施の形態5の構成を示す模式図
【図12】酸素濃度1%以下での窒素酸化物の放電による還元
【符号の説明】
▲1▼:排気ガス源
▲2▼:放電プラズマ反応器
▲3▼:絶縁管
▲4▼:放電線
▲5▼:接地電極
▲6▼:吸着部
▲7▼:イオン移動のための電界形成用負電極
▲8▼:イオン移動のための電界形成用正電極
▲9▼:還元材供給部
▲10▼:酸化触媒
▲11▼:アルカリ金属を担持した触媒
▲12▼:塩橋
▲13▼:還元用直流高圧電極
▲14▼:窒素酸化物吸着反応場
▲15▼:窒素酸化物濃縮場
▲16▼:パルス電源
▲17▼:水タンク

Claims (10)

  1. 一酸化窒素を酸化する第1ステップと、
    前記第1ステップで酸化された窒素酸化物を吸着部に吸着する第2ステップと、
    前記第2ステップの吸着部に電界を加え、吸着してイオン化した硝酸イオンを正極性側に濃縮する第3ステップと、
    濃縮した硝酸イオンを還元する第4ステップ、
    とからなることを特徴とする窒素酸化物除去方法。
  2. 前記第1ステップにおける窒素酸化物の酸化は、放電により行うことを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物除去方法。
  3. 前記第1ステップにおける窒素酸化物の酸化は、貴金属触媒により行うことを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物除去方法。
  4. 前記第2ステップにおける吸着部に水分を保持させることで、吸着した窒素酸化物のイオン化を促進することを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物除去方法。
  5. 前記第2ステップにおける吸着部にアルカリ金属イオンを保持させることを特徴とする請求項4に記載の窒素酸化物除去方法。
  6. 前記第3ステップにおいて、溶液を介して吸着部に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物除去方法。
  7. 前記第3ステップにおいて、放電を介して吸着部に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物除去方法。
  8. 前記第3ステップにおいて、ハイドロカーボンなどの還元性ガスを吸着部と電極の間の放電部に供給して、放電を発生させることで、前記第4ステップの窒素酸化物の還元を行うことを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物除去方法。
  9. 前記第4ステップにおいて、吸着部と電極の間の気圧を下げ、酸素濃度を1%程度以下の条件で放電を行うことで、濃縮した窒素酸化物を還元することを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物除去方法。
  10. 前記第4ステップにおいて、ハイドロカーボン、アンモニアなどの還元性ガスを吸着部の正電極付近に供給して、ガス温度を150℃程度以上に上昇させることで、濃縮した窒素酸化物を還元することを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物除去方法。
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