JP2004068617A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電磁駆動弁装置に開閉不良の異常が生じた場合にも、不良が生じた気筒の運転を継続する。
【解決手段】内燃機関の気筒吸気弁及び排気弁を電磁アクチュエータ51、52で開閉駆動する電磁駆動弁装置10を設ける。電子制御ユニット(ECU)30は、リフトセンサ61でそれぞれの弁の弁体54の開閉動作を監視し、開弁不良または閉弁不良が生じた場合には、一旦弁を閉弁位置に引きつける復帰操作を行い、更に異常を生じた気筒での燃焼を継続させるとともに、異常を生じた弁が吸気弁か排気弁か、及び異常の種類が開弁不良か閉弁不良かに応じて、異常が生じた気筒の出力トルクを制御する。これにより、機関出力の変動を防止し、弁に開閉不良を生じた気筒での燃焼を継続することが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】内燃機関の気筒吸気弁及び排気弁を電磁アクチュエータ51、52で開閉駆動する電磁駆動弁装置10を設ける。電子制御ユニット(ECU)30は、リフトセンサ61でそれぞれの弁の弁体54の開閉動作を監視し、開弁不良または閉弁不良が生じた場合には、一旦弁を閉弁位置に引きつける復帰操作を行い、更に異常を生じた気筒での燃焼を継続させるとともに、異常を生じた弁が吸気弁か排気弁か、及び異常の種類が開弁不良か閉弁不良かに応じて、異常が生じた気筒の出力トルクを制御する。これにより、機関出力の変動を防止し、弁に開閉不良を生じた気筒での燃焼を継続することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の制御装置に関し、詳細には気筒の吸気弁または排気弁に異常を生じた場合に、該異常を生じた気筒での燃焼を継続可能とする内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カムシャフトを用いて内燃機関の吸排気弁を駆動する代わりに、各気筒の吸気弁と排気弁との一方または両方をそれぞれ個別の電磁アクチュエータを用いて開閉駆動するようにした、いわゆる電磁駆動弁装置が知られている。
【0003】
この種の電磁駆動弁装置は、例えば弁体の弁軸に磁性体からなる円盤状のアーマチュアを取り付け、一対の圧縮スプリングを配置してアーマチュアを互いに対向する方向に付勢するとともに、上記アーマチュアの一方の面に対向して開弁用電磁コイルを、他方の面に対向して閉弁用電磁コイルを、それぞれ配置した構成とされている。開弁用電磁コイルと閉弁用電磁コイルとの両方が通電されていないときには、弁体は全開位置と全閉位置との中間の位置に上述の圧縮スプリングにより保持されるが、開弁用電磁コイルに通電されるとアーマチュアが開弁用電磁コイルに吸引され弁体は全開位置に移動する。また、同様に閉弁用電磁コイルに通電されるとアーマチュアは閉弁用電磁コイルに吸引され、弁体は全閉位置に移動する。
【0004】
このため、各気筒の作動サイクルに合わせて開弁用電磁コイルと閉弁用電磁コイルとを交互に通電することにより、カムシャフトを用いずに内燃機関の吸排気弁を開閉駆動することが可能となる。
【0005】
一般に、カムシャフトを用いて吸排気弁を駆動する場合には、タイミングベルト、カムシャフト、カム等の弁駆動系のフリクションによる動力損失が大きくなる。これに対して、電磁駆動弁装置ではフリクション等による弁駆動損失は非常に小さくなるため、電磁駆動弁装置の採用により燃費、機関出力等の機関性能を向上させることが可能となっている。
【0006】
また、従来のカムシャフトを用いた動弁装置では弁の開閉タイミング(バルブタイミング)や開弁期間などのバルブ開弁特性値はカムシャフトやカムの形状などによって定められてしまい、運転中にバルブの開弁特性値を変化させるためには複雑な可変バルブ装置が必要とされていた。これに対して、電磁駆動弁装置では、バルブタイミングや開弁期間などのバルブ開弁特性値は、電磁アクチュエータへの通電タイミングと通電時間とを変化させることにより機関運転中に容易に変更することができる。このため、電磁駆動弁装置を備えた機関では、機関運転状態に応じて最適な値になるようにバルブ開弁特性値を変化させることが可能となる。
【0007】
例えば、特開2000−248982号公報は、この種の電磁駆動弁装置を備えた内燃機関を開示している。同公報の装置は、吸気弁または排気弁のいずれか一方または両方を電磁アクチュエータにより駆動するようにしており、何れかの気筒の弁に異常が検出された場合には、その気筒の弁を全て閉弁するとともにその気筒への燃料供給と点火を停止し、異常が生じた気筒の運転を停止する。また、この場合には異常が生じた気筒の運転停止により機関出力トルクが低下するため、他の気筒の出力トルクを増大させる操作を行い、全体の機関出力トルクが低下することを防止している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
電磁駆動弁装置における弁の開閉異常は、電磁アクチュエータや弁体そのものの損傷や異常などのように修理を要するものもあるが、例えば脱調(開閉タイミングのずれ)による開閉不良などのように一時的な異常である場合が多い。このような場合には、機器そのものには異常が生じていないため弁体を一旦全開または全閉位置に制御して、弁体の作動初期位置を確定する引きつけ(復帰処理)を行うことにより直ちに正常な作動状態に復帰させることができる。
【0009】
従って、上記特開2000−248982号公報の装置のように電磁駆動弁に開閉異常を生じた場合に異常を生じた気筒の燃焼を停止してしまうと、復帰処理を行って気筒の運転を再開する際に運転再開までの時間が長くなったり、或いは運転再開時に機関出力トルクの変動が生じたりする問題がある。
【0010】
また、上記公報の装置のように、異常を生じた気筒の運転を停止して、他の気筒の出力を増大させる場合には、機関の平均出力トルクは同一に維持できるものの、異常を生じた気筒では全くトルクが発生しなくなるため、機関1回転当たりの気筒間の出力トルク変動が大きくなってしまう問題がある。
【0011】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、電磁駆動弁に開閉異常を生じた場合に、異常を生じた気筒の運転を停止することなく燃焼を継続したままで機関出力トルクの変動を防止しつつ短時間で正常運転に復帰させることを可能とする内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関の気筒吸気弁または排気弁の開閉異常を検出する手段を備え、吸気弁または排気弁のいずれかに異常が検出されたときに、異常が検出された弁を一旦閉弁する復帰操作を行うとともに該異常が検出された気筒での燃焼を継続させ、同時に、該異常が生じた気筒の出力トルクを異常が生じた弁及び該弁の開閉サイクル中の異常が生じた時期に応じて制御するトルク制御操作を行う、内燃機関の制御装置が提供される。
【0013】
すなわち、請求項1の発明では、気筒吸気弁または排気弁の開閉異常が検出された場合には、気筒の運転を停止することなく燃焼を継続したままで復帰操作(復帰処理)を行う。また、復帰操作では、異常が検出された弁を一旦閉弁位置に移動させて作動初期位置を確定し、復帰操作終了後弁の開閉操作を再開する。このため、異常発生から復帰操作を終了して弁が正常な開閉サイクルを開始するまでは、通常の開閉サイクルとは異なる弁の動作が行われることになり、気筒の出力トルクが変動する。
【0014】
この出力トルクの変動態様は、異常が生じた弁、すなわち吸気弁に異常が生じたか排気弁に異常が生じたかによっても、又、弁の開閉サイクルの異常が生じた時期、すなわち開閉サイクルのどの時期に異常が生じたか(例えば開弁動作時に異常が生じたか、或いは閉弁動作時に異常が生じたかなど)によっても異なってくる。
【0015】
本発明は、弁の異常が生じた気筒の出力トルクを出力トルクの変動に応じて制御し、異常発生から復帰操作終了まで当該気筒の出力トルクが弁動作が正常な場合に出来るだけ近くなるように制御する。これにより、気筒の弁異常により機関出力トルクの変動が生じることを防止しながら、異常が生じた弁を正常動作に復帰させることが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、前記内燃機関が、機関の吸入空気量が吸気通路の絞り弁ではなく気筒吸気弁の開弁特性値により支配されるノンスロットル運転中であり、かつ前記弁の異常が吸気弁の閉弁動作時に発生した場合には、吸気弁の前記異常が生じた気筒の出力トルクを低下させる操作を行う、請求項1に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0017】
すなわち、請求項2の発明では、機関はノンスロットル運転を行う。ノンスロットル運転では、例えばスロットル弁を全開に保持したままで気筒吸気弁の開弁期間などの開弁特性値を変化させることにより気筒内に充填される空気量を制御する。このため、吸気弁の閉弁動作時に異常が発生すると吸気弁の開弁時間が目標値より長くなり、気筒内に充填される空気量が増大する。このため、吸気弁に閉弁異常が生じた気筒での燃焼を継続すると、その気筒では他の気筒より出力トルクが増大してしまい、機関全体として出力トルクの変動が大きくなる。そこで、本発明ではこのような場合には異常を生じた気筒のトルクを低下させる操作を行い、吸気弁に閉弁異常が生じた気筒の出力トルクの増大を抑制する。これにより、機関全体の出力トルクの変動を防止することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、前記内燃機関は、気筒内に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁を備え、前記弁の異常が吸気弁の開弁動作時に発生した場合には、吸気弁の前記異常が生じた気筒の出力トルクを増大させる操作を行う、請求項1に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0019】
すなわち、請求項3の発明では、吸気弁の開弁異常が生じた場合に異常が生じた気筒の出力トルクを増大させる。吸気弁に開弁異常が生じると、吸気弁の開弁が遅れるために開弁時間が短くなる。このため、異常を生じた気筒では吸入空気量が正常運転時より低下し、実際に吸入された空気量に応じた燃料を供給したのでは気筒の出力トルクが低下してしまい、機関全体として出力トルクの変動が大きくなる。本発明では、この出力トルク低下を抑制するために、吸気弁の開弁異常が生じた場合には異常が生じた気筒の出力トルクを増大する操作を行う。これにより、異常を生じた気筒の出力トルクの低下が抑制され、機関全体の出力トルクの変動が防止される。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、前記内燃機関が、排気弁の閉弁時期を排気行程上死点より以前に設定して気筒の内部EGRガス量を制御する運転中であり、かつ前記異常が排気弁の閉弁動作時に発生した場合には、排気弁の前記異常が発生した気筒の出力トルクを低下させる操作を行う、請求項1に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0021】
すなわち、請求項4の発明では、内燃機関は排気弁を排気行程上死点前に閉弁することにより内部EGRガス量を制御する運転を行う。排気行程上死点より前に排気弁を閉弁することにより、気筒内に残留する既燃ガス量(内部EGRガス量)は増大し、閉弁時期を早めるほど残留既燃ガス量は多くなる。従って、排気弁の閉弁時期を排気行程上死点より以前の領域で制御することにより、気筒の内部EGRガス量を制御することが可能となる。
【0022】
このように排気弁閉弁時期により内部EGRガス量を制御する運転を行っている場合、排気弁の閉弁不良が生じると本来気筒内に残留すべき既燃ガスが閉弁の遅れた排気弁から排気されてしまうため、気筒の内部EGRガス量は低下し、EGRガスが減少した分だけ気筒内に吸入される新気の量が増大する。
【0023】
このため、内部EGRガス量増大運転実施中に排気弁の閉弁不良が生じると、その気筒の出力トルクは他の気筒に較べて増大してしまい、機関全体として出力トルクの変動が大きくなる。そこで、本発明では、排気弁の閉弁異常が生じた場合には、気筒出力を低下させる操作を行う。これにより、異常を生じた気筒の出力トルクの増大が抑制され、機関全体の出力変動が防止される。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、前記内燃機関が、排気弁の閉弁時期を排気行程上死点近傍に設定した運転中であり、かつ前記異常が排気弁の閉弁動作時に発生した場合には、排気弁の前記異常が発生した気筒の出力トルクを増大させる操作を行う、請求項1に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0025】
すなわち、請求項5の発明では内燃機関は排気弁開弁時期が排気行程上死点付近に設定された運転を行う。この場合、排気弁の閉弁不良が生じると排気行程後が終了して吸気行程が開始されても排気弁が閉弁していない事態が生じるため、一旦排気ポートに排出された排気が、閉弁不良を生じた排気弁から気筒内に再吸入されてしまい、内部EGRが増大する。この場合には、内部EGRガス量の増大に伴って気筒内に吸入される新気量が低下するため、異常を生じた気筒の出力トルクは他の気筒に較べて低下し、機関全体として出力トルクの変動が大きくなる。そこで、本発明では、排気行程上死点付近に閉弁時期が設定された排気弁に閉弁異常が生じた場合には異常が生じた気筒の出力トルクを増大させる操作を行う。これにより、排気弁に異常を生じた気筒の出力低下が抑制され、機関全体の出力トルクの変動が防止される。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、内燃機関の気筒吸気弁の開閉異常を検出する手段を備え、吸気弁に異常が検出されたときに、異常が検出された吸気弁を一旦閉弁する復帰操作を行う内燃機関の制御装置において、前記内燃機関が、気筒吸気行程後半以後に気筒内に直接燃料を噴射して気筒内に可燃空燃比の混合気を成層させる成層燃焼運転中であり、かつ前記吸気弁の異常が閉弁動作時に発生した場合に、該異常が検出された気筒での燃焼を継続させるとともに、気筒内に噴射する燃料量を増量する内燃機関の制御装置が提供される。
【0027】
すなわち、請求項6の発明では内燃機関は成層燃焼運転を行う。成層燃焼運転においては、気筒内には極めてリーン(希薄)な混合気が生成され、この希薄混合気中の点火プラグ近傍部分のみに可燃空燃比混合気の層が生成され、可燃空燃比混合気層に点火プラグを用いて着火することにより気筒内の混合気全体を燃焼させる。ところが、このような機関では吸気弁の異常が閉弁動作中に生じると開弁期間が延長されて気筒内に吸入される空気量が増大する。
【0028】
このため、吸気弁の閉弁異常時には気筒内の混合気の空燃比が更にリーンになってしまい、失火が生じて機関全体として出力トルクの変動(低下)が大きくなる。そこで、本発明では機関の成層燃焼運転中に吸気弁の閉弁異常が生じた場合には、気筒内に噴射する燃料量を増大する。これにより、気筒内の混合気の空燃比は可燃範囲に維持され、失火による機関の出力トルク変動が生じることが防止される。
【0029】
請求項7に記載の発明によれば、前記各気筒の弁は、それぞれ個別に電磁アクチュエータにより開閉駆動される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0030】
すなわち、請求項7の発明では請求項1から請求項6の吸気弁または排気弁は電磁アクチュエータにより駆動される電磁駆動弁装置とされる。このため、弁の開閉時期、開閉期間が自由に変更できるため、例えば、弁に異常を生じた気筒の他の弁(異常を生じていない弁)の開閉時期、開閉期間を変更することにより、異常を生じた気筒の燃焼を継続させることが可能となる。
【0031】
請求項8に記載の発明によれば、前記トルク制御操作は、前記異常を生じた弁を有する気筒の、異常を生じた弁以外の弁の開弁特性値を変化させる操作と、点火時期を変化させる操作との少なくとも一方を含む、請求項1に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0032】
すなわち、請求項8の発明では、請求項1において異常を生じた気筒の異常を生じた弁以外の弁の開弁特性値を変化させる操作、または点火時期を変化させる操作を行うことによりトルク制御操作を行う。吸気弁または排気弁の開閉時期、開弁期間などの開弁特性値を変化させると、気筒内に吸入される新気の量が変化するため、気筒の出力トルクが変化する。また、点火時期を遅角または進角させることにより気筒内の混合気の燃焼時期が変化するため出力トルクが変化する。
【0033】
このため、正常な弁の開弁特性値または点火時期を変化させることにより異常を生じた気筒での燃焼を継続しながら出力トルクを制御することが可能となる。
【0034】
請求項9に記載の発明によれば、前記出力トルクを低下させる操作は、前記吸気弁に異常が生じた気筒の排気弁の開弁特性値を変化させる操作を含む、請求項2に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0035】
すなわち、請求項9の発明では、請求項2において吸気弁に異常が生じた場合に排気弁の開弁特性値を変化させることにより出力トルクを低下させる。
【0036】
例えば排気弁の開弁時期を排気行程下死点より遅い時期まで遅角させると、排気行程下死点から排気弁が開弁するまでの間にピストンの圧縮仕事が発生するため気筒の出力トルクは低下する。
【0037】
また、排気弁の開弁時期を排気行程下死点より早い時期まで進角させると、爆発行程時に充分に膨張しないうちに燃焼ガスが排気されるようになり、排気ガスから回収されるエネルギが減少し気筒の出力トルクは低下する。
【0038】
更に、排気弁の閉弁時期を排気行程上死点より早い時期まで進角させた場合には、気筒内に残留した排気が、排気行程終期に圧縮されるようになり、圧縮仕事の発生により気筒出力トルクは低下する。
【0039】
このように、排気弁の開弁特性値を変化させることにより、気筒の出力トルクを低下させることができる。
【0040】
請求項10に記載の発明によれば、前記出力トルクを増大させる操作は、前記吸気弁に異常が生じた気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量を増量させる操作を含む、請求項3に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0041】
すなわち、請求項10の発明では請求項3において、異常が生じた気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量を増量することにより、異常を生じた気筒の出力を増大する。本発明では内燃機関には筒内燃料噴射弁が設けられている。このため、気筒の吸気ポートに燃料噴射を行う場合とは異なり、気筒の吸気行程が開始された後でも気筒に供給する燃料量を増大することができる。そこで、本発明では吸気弁の開弁異常が生じた場合には、例えば異常を生じた気筒に供給する燃料量を増大することにより、気筒の出力トルクを増大させる。
【0042】
請求項11に記載の発明によれば、前記出力トルクを低下させる操作は、前記排気弁に異常が生じた気筒の吸気弁の開弁特性値を気筒吸気量が低下する方向に変化させる操作を含む、請求項4に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0043】
すなわち、請求項11の発明では、排気弁の閉弁異常により内部EGRガス量が低下する場合には、吸気弁の開弁特性値を変化させることにより異常を生じた気筒の吸入空気量を減少させる。これにより、異常を生じた気筒の吸入空気量が増大することによる出力トルク増大が抑制され、機関全体として出力トルクが変動することが防止される。
【0044】
請求項12に記載の発明によれば、前記出力トルクを増大させる操作は、前記排気弁に異常が生じた気筒の吸気弁の開弁特性値を気筒吸気量が増大する方向に変化させる操作を含む、請求項5に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0045】
すなわち、請求項12の発明では、排気弁の閉弁異常により内部EGRガス量が増大する場合には、吸気弁の開弁特性値を変化させて異常を生じた気筒の吸入空気量を増大させる。これにより、異常を生じた気筒の吸入空気量の減少が抑制され、気筒の出力トルク減少による機関全体の出力トルクの変動が防止される。
【0046】
請求項13に記載の発明によれば、更に、前記各気筒の弁の弁体の弁座への着座速度を検出するとともに、検出した実際の着座速度が予め定めた速度になるように前記電磁アクチュエータの通電量の補正量を学習する着座速度の学習制御手段を備え、前記トルク制御操作実行中は該学習制御手段による前記補正量の学習を停止する、請求項7に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0047】
すなわち、請求項13の発明では弁の着座速度の学習補正が行われる。電磁アクチュエータを備えた電磁駆動弁ではアクチュエータへの通電量を変えることにより弁体の作動速度を変化させることができるため、通常、機関運転中に弁体の弁座への実際の着座速度が負荷(出力トルク)に応じた最適な値になるようにアクチュエータへの通電量を学習補正している。
【0048】
ところが、前述のトルク制御操作実行中は気筒の負荷は運転条件から定まる通常の負荷とは異なった値になる。このため、トルク制御操作実行中に着座速度制御のための学習を行うと学習結果が誤差を含むことになり最適な着座速度制御を行えなくなる可能性がある。そこで、本発明では弁の開閉異常発生後のトルク制御操作実行中には補正量の学習を停止し、着座速度制御に誤差が生じることを防止している。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、内燃機関の電磁駆動弁装置の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【0050】
図1において、符号10は電磁駆動弁装置の全体を示す。本実施形態では、内燃機関の各気筒の吸気弁と排気弁との両方が、それぞれ図1に示した電磁駆動弁装置を備えている。
【0051】
図1において、54は内燃機関の吸気弁(または排気弁)の弁体、54aは弁軸を示している。弁軸54a上部には磁性体からなる円盤状のアーマチュア53が固定されている。また、アーマチュア53の両側には、それぞれアーマチュア53に所定のクリアランスを開けて対向する電磁アクチュエータ51、52が配置されている。電磁アクチュエータ51、52は、それぞれ電磁コイル51a、52aとコア51b、52bとを備えており、電磁コイル51a、52aに通電することによりアーマチュア53を吸引し、弁54に開閉動作を行なわせる。図1の例では、電磁アクチュエータ51は閉弁動作用、電磁アクチュエータ52は開弁動作用としてそれぞれ機能する。
【0052】
また、電磁アクチュエータ51、52及び弁体54とアーマチュア53とを収容するケーシング57には、アーマチュア53を互いに対向する方向に押圧付勢するスプリング55、56が設けられている。電磁アクチュエータ51と52とのいずれにも通電が行なわれていない場合には、スプリング55と56との付勢力により、弁体54は全開位置と全閉位置との中間に保持される。
【0053】
本実施形態では、内燃機関には公知の構成のマイクロコンピュータからなる電子制御ユニット(ECU)30が設けられている。ECUは、各気筒の行程サイクルに応じて予め定めたクランク角毎に、駆動回路31を通じて各気筒の電磁駆動弁装置10の閉弁用アクチュエータ51と開弁用アクチュエータ52とに交互に通電を行なう。これにより、各気筒の吸気弁及び排気弁が定められたバルブタイミングで開閉駆動される。
【0054】
図1において、61aは、弁体54の弁軸上部に取り付けた円板状のリフト検出用ターゲット、61は電磁駆動弁装置10ハウジング上部にターゲット61aに対向する位置に配置されたリフトセンサである。リフトセンサ61は、例えば渦電流式変位センサからなり、ターゲット61aの変位、すなわち弁体54のリフト量に対応した電圧信号をECU30に供給している。
【0055】
ECU30は、前述したように、各電磁駆動弁装置10のアクチュエータへの通電タイミングと期間とを制御することにより、機関各気筒の吸排気弁のバルブタイミングと開弁時間とを制御するとともに、リフトセンサ61で検出した各弁体の変位に基づいて電磁アクチュエータ51、52への通電電流を制御して弁体の弁座への着座速度が予め定めた最適値になるように制御している。
【0056】
図2は、リフトセンサ61で検出した電磁駆動弁装置10の弁体54の閉弁動作時のバルブリフトの変化を示す図である。
図2において、開弁用電磁アクチュエータ52に通電が行われると、アーマチュア53がコイル52a側に引きつけられて弁体54が図1の下方に移動する。また、電磁アクチュエータ52への通電電流が充分に大きければ弁体54の移動に伴い、アーマチュア53はハウジング内に設けたストッパ(図示せず)に当接する位置まで移動する。すなわち、弁体54が着座し(図2、A点)、弁3が開弁する。
また、逆に閉弁用アクチュエータ52に通電が行われると、弁体54は図1の上方に移動し、弁体が弁座(図示せず)に当接、着座し弁3が閉弁する(図2、B点)。
【0057】
排気弁や吸気弁は、気筒内に圧力がある状態で開弁する。このため、開弁用電磁アクチュエータ52への通電電流は気筒内圧力に打ち勝って弁体を開弁方向に移動させるのに充分な大きさである必要がある。また、開弁時の気筒内圧力は機関の運転負荷が大きいほど大きくなる。
【0058】
更に、開閉動作時の弁体の移動速度である着座速度(図2のバルブリフト曲線の傾斜に相当する)は、電磁アクチュエータ51、52の通電電流の大きさにより変化するが、通電電流が大きいと着座速度が大きくなり着座時期が目標時期より早くなる(図2点線)のみならず、弁体とストッパや弁座との衝突速度が過度に大きくなる。本実施形態では電磁駆動弁装置10の開閉操作における電磁アクチュエータ51、52への通電電流は、機関負荷、回転数毎に予め理想的な着座速度が得られるように定められ、ECU30のROMに記憶されており、ECU30は機関負荷、回転数などの運転状態に応じて適切な目標通電電流値を決定する。
【0059】
ところが、この目標通電電流値は常に一定ではなく、電磁アクチュエータや弁装置10の使用に伴う特性変化のために時間とともに変化する。
そこで、ECU30は所定期間毎に、各負荷領域でリフトセンサ61で検出した実際のバルブリフト変化から各弁体の着座速度を算出し、実際の着座速度が目標着座速度に一致するように上記目標通電電流に対する補正を行う。
この実際の着座速度に基づく電流補正量の算出操作を本実施形態では着座速度の補正量の学習と称している。
【0060】
次に、図3、図4を用いて電磁駆動弁装置10の開弁不良と閉弁不良とについて説明する。例えば、開弁動作時には、アーマチュア53が閉弁用アクチュエータ51側に引きつけられて開弁用スプリング55が圧縮された状態で、閉弁用アクチュエータへの通電が停止されるとともに、開弁用アクチュエータ52への通電が開始される。
【0061】
開弁動作開始時の位置ではアーマチュア53とコア52aとの距離は大きいため、アーマチュア53に働く開弁用アクチュエータ52の吸引力は非常に弱くなっている。このため、アーマチュア53は開弁用スプリング55の反発力により開弁用アクチュエータ52方向に押動され、中立位置を越えて更に開弁用アクチュエータ52に近接する。これにより、アーマチュア53と開弁用アクチュエータ52ととが近接するため、アーマチュア53に働く開弁用アクチュエータ52の吸引力が大きくなる。そして、開弁用アクチュエータ52の吸引力により、閉弁用スプリング56付勢力に抗してアーマチュア53が開弁用アクチュエータ52に移動してアーマチュア53がストッパ(図示せず)に当接する全開位置まで到達し、そこに保持されるようになる。
【0062】
ところが、何らかの原因で開弁動作時に開弁用アクチュエータ52に充分な吸引力が発生しなかった場合には、アーマチュア53は開弁用アクチュエータ52に向けて移動中に閉弁用スプリング56の反力に負けてしまい、ストッパーに着座する位置まで到達せず、スプリング56により閉弁位置側に押し戻されてしまう場合がある。
【0063】
このように、一旦開弁用アクチュエータ52側への充分な引きつけが出来ない状態になると、アーマチュア53はアクチュエータ52から離れた中立位置付近で往復動するようになり、もはやアクチュエータ52の通常の吸引力のみではこの位置からアーマチュア53を引きつけることはできなくなる。
【0064】
上記は開弁動作時について説明したが、閉弁動作時にも何らかの原因でアーマチュア53が閉弁用アクチュエータ51に充分に引きつけられなかった場合には開弁動作時と同様にアーマチュア53は、アクチュエータ51と52の中間の中立位置付近で往復動するようになる。
【0065】
このように、弁の開閉動作時に閉弁または開弁位置への引きつけが不十分であったために弁が中立位置付近に保持されてしまう状態は「脱調」と称されるが、本実施形態では、このような完全に脱調が生じた場合に加えて、後述する脱調防止のために弁を一旦閉弁位置に引きつける復帰操作が行われた場合を含めて「脱調による開弁(閉弁)不良」と称している。
【0066】
図3及び図4において、実線はバルブが正常に動作しているときの開閉操作時のバルブリフトの変化を、図3点線は開弁動作時に完全な脱調により開弁不良が生じたときのバルブリフト変化を、図4点線は閉弁動作時に完全な脱調により閉弁不良が生じたときのバルブリフト変化を、それぞれ示している。完全な脱調が生じると、図3、図4点線に示すように開弁時、閉弁時にかかわらずバルブリフトは中間位置付近で振動するようになる。
【0067】
このように、脱調が生じるとアーマチュアが閉弁位置または開弁位置に移動しない限り弁の開閉操作は行えなくなる。本実施形態では、上記の完全な脱調が生じることを防止するために、ECU30はリフトセンサ61で各弁のバルブリフトを検出しており、開弁動作または閉弁動作時にバルブが開弁位置または閉弁位置に保持されない場合には直ちに復帰操作を行う。
本実施形態の復帰操作では、開弁動作時、閉弁動作時にかかわらず弁の閉弁側アクチュエータ51に通常より大きい電流を流し、アーマチュア53を一旦閉弁位置に再引きつけする操作を行う。
【0068】
図3、図4に実線で示したのは本実施形態における脱調による開弁不良と閉弁不良の他の態様である。
図3の実線Iは開弁動作時に弁の引きつけが不十分で開弁位置まで到達できずに完全な脱調が生じかけたが、復帰操作により閉弁位置に再引きつけされた開弁不良を、図3の実線IIは開弁動作時に弁が一旦完全開弁位置まで移動したものの開弁位置で跳ね返されてしまい完全な開弁位置に保持されなかったために復帰操作が行われ、閉弁位置に再引きつけされた開弁不良を、それぞれ示している。また、図4の実線Iは図3の実線Iと同様、弁が完全に閉弁位置まで到達できなかったために復帰操作がが行われた場合、図4の実線IIは、一旦完全閉弁位置に到達した弁が跳ね返されて復帰操作により閉弁位置に再引きつけされた場合を、それぞれ示している。
図3、図4に示すように本実施形態では一旦脱調による開弁不良または閉弁不良が生じた場合には開弁動作時、閉弁動作時を問わず、弁は半開状態を経て一旦閉弁位置に引きつけられ、その後通常の動作を開始するようになる。
【0069】
上述のように、電磁駆動弁装置に脱調による開弁不良や閉弁不良などの異常が生じた場合には、復帰操作を行うことにより短時間で通常の運転を再開することができる。
そこで、本実施形態では電磁駆動弁装置に脱調による異常が生じた場合には、異常が生じた弁を有する気筒の運転を停止することなく燃焼を継続しながら復帰操作を行うようにしている。
【0070】
ところが、脱調が生じると本来開弁位置(全開位置)または閉弁位置(全閉位置)に保持されるべき弁体が保持されずに半開状態になった後閉弁位置に引きつけられることになる。
例えば、開弁動作時に脱調による開弁不良が生じると、半開状態になった後に直ちに復帰操作のために弁が一旦全閉位置に引きつけられるため開弁期間が短くなり、結果的に弁を通って気筒に出入りするガス流量は低下する。また、逆に閉弁動作時に脱調による閉弁不良が生じると、復帰操作による閉弁位置への再引きつけが行われるまで本来全閉に維持されるべき弁が半開状態に維持されることになるため、弁を通って気筒に出入りするガス流量は増大する。
【0071】
これらの気筒に出入りするガス流量の変化の機関出力に対する影響は、異常が生じた弁が吸気弁か排気弁か、異常が開弁動作時に起きたか閉弁動作時に起きたかによっても大きく異なってくる。
すなわち、電磁駆動弁装置に脱調による異常(開弁不良または閉弁不良)が生じた場合には、異常を生じた弁が吸気弁か排気弁か、更には異常の種類が閉弁不良か開弁不良かによって異常を生じた気筒の出力変動の様相が変化する。従って、弁に異常を生じた気筒の運転を停止せずに燃焼を継続しながら復帰操作を行う際に、機関全体として出力トルクの変動を防止するためには、異常を生じた弁の種類(吸気弁か排気弁か)、異常を生じた時期(開弁操作時から閉弁操作時か)等の異常発生状況に応じた対策をとる必要がある。また、機関の出力変動の防止のためには、可能であれば異常が生じた気筒そのものでの出力トルクの変化を抑制することが好ましい。
【0072】
以下に説明する実施形態では、ECU30はリフトセンサ61の出力に基づいて脱調が生じたか否かを判定し、脱調が生じた場合に異常発生状況に応じて、異常が生じた気筒の出力トルクの変動を抑制することにより、機関出力トルクの変動を防止する操作を行う。
【0073】
(1)第1の実施形態
本実施形態では、ノンスロットル運転を行う機関に電磁駆動弁装置10が使用されている。
前述したように、電磁駆動弁装置を用いた機関では弁の開閉時期及び開弁期間の長さなどの開弁特性値を容易に変更することができる。通常の機関運転では、吸気通路に設けたスロットル弁の開度を制御することにより気筒に吸入される空気量が制御される。しかし、吸気弁の開弁特性値を変更することが可能な機関では、吸気弁の開弁特性値を変化させることにより、気筒内に吸入される空気量を制御することが可能である。この場合、機関の吸入空気量はスロットル弁による吸気通路の絞りではなく、気筒吸気弁の開弁特性値により支配されることになる。
【0074】
電磁駆動弁装置等を備え、弁の開弁特性値を変更可能な機関では、スロットル弁を全開に維持して吸気弁の開弁期間等の開弁特性値を変化させることにより気筒に吸入される空気量を制御するノンスロットル運転を行うことが可能である。ノンスロットル運転時には、機関の吸気絞り損失が発生しないため機関の効率を高く維持することが可能となる。
【0075】
ところが、ノンスロットル運転中に吸気弁の閉弁異常が生じると問題が起きる。ノンスロットル運転中は、気筒の吸入空気量はスロットル弁ではなく吸気弁の開弁特性値、例えば開弁期間によって支配される。このため、例えばノンスロットル運転中に吸気弁が閉弁不良を生じた場合には、本来閉弁すべき時期に吸気弁がが閉弁しないため吸気弁の開弁期間が延長されることとなり、気筒の吸入空気量が大幅に増大する問題が生じるのである。
【0076】
この場合、通常のスロットル弁を用いた吸入空気量制御を行っている場合でも、吸気弁の開弁期間が延長されると気筒の吸入空気量は増大するが、ノンスロットル運転中は気筒の吸入空気量は吸気弁の開弁期間のみにより制御されているため、ノンスロットル運転時にはスロットル弁を用いた運転の場合に較べて開弁期間の延長による吸入空気量の増大幅が大きくなる。
【0077】
ところで、通常、吸気ポートに燃料噴射を行うポート噴射の場合のみならず、気筒内に直接燃料噴射を行う筒内燃料噴射弁の場合も、燃料噴射量は燃焼空燃比が所定の目標空燃比になるように決定される。このためノンスロットル運転中に吸気弁の閉弁不良が生じた場合に、閉弁不良が生じた気筒の運転を継続すると当該気筒の燃料噴射量は気筒吸入空気量の増大に伴って増量されるため、当該気筒の出力トルクが大幅に増大して機関出力の変動が生じる。
【0078】
本実施形態では、以下に説明するトルク低減操作により、吸気弁の閉弁不良発生時の気筒出力トルク増大を抑制して、機関出力の変動を防止しつつ閉弁不良が生じた気筒の運転を継続している。
【0079】
次に、本実施形態のトルク低減操作について説明する。
本実施形態では、吸気弁の閉弁不良が生じた気筒の、1)点火時期の遅角、2)排気弁開弁時期の進角、により、またはこれに加えて、閉弁不良が生じた気筒以外の気筒の3)排気弁開弁時期の遅角、4)排気弁閉弁時期の進角、等により機関のトルク変動を防止する。
【0080】
以下、それぞれについて説明する。
1)点火時期の遅角
点火時期を遅角すると、気筒内の燃焼開始時期が遅れるため、気筒内で燃焼を完了する前に筒内ガスが排気弁から排気されるようになる。このため、ピストンに仕事をしないまま排気系に排出されるエネルギー量が増大し、気筒出力トルクが低下する。従って、吸気弁の閉弁不良が生じた気筒の点火時期を遅角することにより、閉弁不良が生じた気筒での燃焼を継続させながら当該気筒の出力トルクの増大を抑制することができる。
【0081】
2)排気弁開弁時期の進角
排気弁開弁時期を進角させて気筒の爆発行程終期に開弁させるようにすると、筒内燃焼ガスは充分に膨張しないうちに排気弁から排出されるようになる。このため、排気ガスからピストンに与えられる仕事量が減少し、気筒出力トルクは低下する。従って、吸気弁の閉弁不良が生じた気筒の排気弁の開弁時期を進角させることにより、閉弁不良が生じた気筒での燃焼を継続させながら当該気筒の出力トルクの増大を抑制することができる。
【0082】
3)排気弁開弁時期の遅角
排気弁の開弁時期を遅角して、排気行程初期に排気弁を閉弁したままに維持すると、排気行程初期では気筒内に残留した排気ガスがピストン上昇により圧縮されるため、圧縮仕事により機関出力トルクは低下する。従って、ある気筒の吸気弁が閉弁不良を生じた場合、その気筒の爆発行程中に排気行程を迎える別の気筒の排気弁の開弁時期を遅角することにより、閉弁不良を生じた気筒における出力トルクの増大を、排気弁開弁時期を遅角した気筒の圧縮仕事増大で相殺することができ、機関全体として出力トルクの変動を防止することが可能となる。
【0083】
4)排気弁閉弁時期の進角
排気弁閉弁時期を進角して排気行程において気筒から排気ガスが充分に排出されないうちに気筒を密閉すると、排気行程におけるピストンの上昇により筒内に残留した排気ガスが圧縮され、圧縮仕事に相当する量だけ機関出力トルクは低下する。従って、ある気筒の吸気弁が閉弁不良を生じた場合、当該気筒の爆発行程中に排気行程を迎える気筒の排気弁の閉弁時期を進角することにより、上記3)の場合と同様に閉弁不良を生じた気筒の出力トルクの増大を他の気筒の圧縮仕事の増大により相殺し、機関全体として出力トルクの変動を防止することが可能となる。
【0084】
本実施形態では、機関のノンスロットル運転中に、ECU30はリフトセンサ61の出力に基づいて、ある気筒の吸気弁が閉弁動作時に脱調を生じたこと(図4)、すなわち吸気弁の閉弁不良が生じたことを検出すると、閉弁不良が生じた気筒の点火時期を予め定めた量だけ遅角させると同時に、吸気弁が閉弁不良を生じた気筒の排気弁の開弁時期を爆発行程まで進角させる。これにより、閉弁不良が生じた気筒の出力増大が防止される。
【0085】
また、ECU30は更に、必要に応じて閉弁不良を生じた気筒の爆発行程と排気行程とが重なる別の気筒を判別し、この気筒の排気弁の開弁時期の遅角と閉弁時期の進角とを行う。これにより、この気筒の排気行程における圧縮仕事が増大するため、上記閉弁不良が生じた気筒での出力トルクの増大と排気弁の開閉時期を変更した気筒での圧縮仕事の増大とが互いに相殺し、機関全体として出力トルクが大きく増減変動することが防止される。
【0086】
本実施形態では、上記のトルク低減操作を実行することにより、機関全体の出力トルクの変動を防止しながら、吸気弁の閉弁不良を生じた気筒の運転を継続することが可能となっている。
【0087】
(2)第2の実施形態
本実施形態では、筒内燃料噴射弁を有する機関において吸気弁の開弁不良が生じた場合について説明する。
吸気弁の開弁不良が生じると、閉弁不良の場合とは反対に気筒内に吸入される空気量が低下する。このため、例えば吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射を行う機関では、気筒内に充填される混合気量が低下するために燃焼時の気筒の出力トルクが低下する。
【0088】
また、筒内燃料噴射弁を有する機関においても、通常燃料噴射量は気筒に実際に充填される空気量に応じて、燃焼空燃比が目標値に維持されるように制御されているため、気筒内に吸入される空気量が低下すると、燃料噴射量もそれに応じて低減され、気筒の出力トルクが低下する。
【0089】
ところが、ポート噴射の場合とは異なり、筒内燃料噴射弁を備えた機関では、吸気行程が開始されてからでも燃料噴射量を変更することが可能である。そこで、本実施形態では吸気弁の開弁不良が生じた場合には、閉弁不良が検出された後に吸入空気量から定まる燃料噴射量に対して燃料を増量することにより、気筒出力トルクの低下を抑制する。
【0090】
すなわち、本実施形態ではリフトセンサ61に基づいて吸気弁の開弁不良が検出されると、ECU30は閉弁不良が生じた気筒の燃料噴射量を増量する。これにより、気筒内の燃焼空燃比は目標空燃比よりリッチ側に移行するものの、燃料を増量した分だけ気筒の出力トルクが増大するため、吸気弁の閉弁不良による出力トルクの低下が抑制され、機関全体の出力トルクの変動を防止しながら吸気弁の閉弁不良が生じた気筒の運転を継続することができる。なお、燃料噴射量の増量は、例えば目標空燃比から算出される燃料噴射量を一定の割合で増量するようにして、気筒内の燃焼空燃比が目標空燃比より過度にリッチになることを防止することも可能である。
【0091】
(3)第3の実施形態
本実施形態では、排気弁の開閉時期を調節することにより気筒の内部EGRガス量を調節する運転を行っている場合に排気弁に開閉異常が生じた場合の対応について説明する。
【0092】
気筒内に残留する既燃ガス量は、排気弁の閉弁時期を排気行程上死点以前に設定することにより増大することができる。すなわち、排気弁を排気行程が終了する前に早く閉弁することにより、気筒内には排出されなかった既燃ガスが残留し、残留する既燃ガスの量は他の条件が同一であれば排気弁の閉弁時期を早める(進角する)ほど多くなる。
【0093】
従って、機関運転条件に応じて各気筒の排気弁閉弁時期を排気行程上死点より前の領域で制御することにより、機関運転条件に応じて気筒内部EGRガス量を制御することができる。
ところが、上記のように排気弁閉弁時期による内部EGRガス量制御運転中に排気弁の閉弁不良が生じた場合、閉弁不良が生じた気筒での燃焼を継続すると、この気筒での出力トルクが増大してしまう問題が生じる。
【0094】
すなわち、内部EGRガス量制御運転中に排気弁の閉弁不良が生じると、本来閉弁すべき時期に排気弁が閉弁しないため、本来であれば気筒内に残留すべき既燃ガスが排気弁から排出されてしまい内部EGRガス量が減少する。このため、排気行程に続く吸気行程では内部EGRガス量が減少した分だけ新気が気筒内に吸入されることとなり、気筒吸入空気量が増大してしまう。
【0095】
このため、吸入空気量に応じて燃料供給量も増大され、当該気筒の出力トルクが排気弁の閉弁不良が生じる前より増大してしまうのである。
従って、本実施形態では、排気弁の閉弁不良が検出されたときには閉弁不良が生じた気筒の出力トルクを減少させる操作を行う。
【0096】
すなわち、ECU30は排気弁閉弁時期を排気行程上死点前に設定した内部EGRガス量制御運転中にリフトセンサ61出力に基づいて排気弁の閉弁不良を検出すると、閉弁不良が生じた気筒の吸気弁の開弁特性値を変化させることにより、気筒内に吸入される空気量を低減する。例えば、吸気弁の開弁時期を遅延させ、または吸気弁の閉弁時期を早めること、若しくはこれらの両方を行うことにより吸気弁の開弁期間が短縮されるため、気筒内に吸入される空気量は低下する。これにより、排気弁の閉弁不良が生じた気筒の吸入空気量の増大が抑制され、気筒出力増大が防止されるため、閉弁不良を生じた気筒の燃焼を継続した場合でも機関全体としての出力変動を防止することが可能となる。
【0097】
(4)第4の実施形態
前述の第3の実施形態では、排気弁の閉弁不良により気筒内部EGRガス量が低下する場合について説明したが、排気弁の閉弁時期によっては閉弁不良により気筒内部EGRガス量が逆に増大する場合がある。
【0098】
例えば、特に気筒内部EGRガス量を増大させる運転を行っていない通常運転時には、排気弁は排気行程上死点近傍で閉弁するように閉弁時期が設定されている。ところが、この場合に排気弁の閉弁不良が生じると、上死点近傍で排気弁が閉弁せず、吸気行程に入っても排気弁が開弁した状態に保持される。このため、一旦排気弁から排気ポートに排出された既燃ガスがピストンの下降とともに再度排気弁から気筒内に吸入されるようになり、気筒内に残留する既燃ガス量(内部EGRガス量)は増大する。
【0099】
このため、排気弁の閉弁不良が生じた気筒での燃焼を継続すると、上記第3の実施形態とは逆に気筒内に吸入される空気量(新気量)の低下により気筒の出力トルクの低下や、更には内部EGRガス量の増大による燃焼の悪化が生じる。
そこで本実施形態では、この場合に気筒の出力トルクを増大させる操作を行う。
【0100】
すなわち、ECU30は、排気弁の閉弁時期を排気行程上死点近傍に設定した運転中に、排気弁の閉弁不良が生じたことをリフトセンサ61出力に基づいて検出すると、閉弁不良を生じた気筒の吸気弁の開弁特性値を吸入空気量が増大する方向に変化させる。例えば、ECU30は当該気筒の吸気弁の開弁時期を早め、または閉弁時期を遅延させ、もしくはその両方を行うことにより吸気弁の開弁期間を増大させる。これにより、閉弁不良が検出された直後の吸気行程における吸入空気量が増大するため、排気弁の閉弁不良による吸入空気量の低下が防止される。また、筒内燃料噴射弁を有する気筒においては、燃焼空燃比が目標空燃比よりリッチになるように燃料噴射量を増量するようにしてもよい。
【0101】
これにより、排気弁の閉弁不良を生じた気筒の燃焼を継続した場合にも出力トルクの低下が抑制され、機関全体の出力トルクの変動が防止される。
【0102】
(5)第5の実施形態
本実施形態では、機関の成層燃焼運転中に吸気弁の閉弁不良が生じた場合の対応について説明する。
【0103】
機関全体として極めてリーンな空燃比での運転を可能にするために、成層燃焼運転を行う機関が知られている。成層燃焼運転では通常、スロットル弁は全開に近い大きい開度とされ吸気絞りによる吸入空気量制御はほとんど行わない。このため、気筒内には通常の吸気絞りを行う運転時よりも多量の空気が吸入される。
【0104】
また、成層燃焼運転では燃料は吸気行程終期から圧縮行程初期に気筒内に噴射され気筒内に均一に拡散することなく、点火プラグ近傍にのみ可燃空燃比の混合気層を成層する。これにより、点火プラグ近傍には着火可能な可燃空燃比の混合気が形成されるため、燃焼時には、点火プラグによりこの可燃空燃比混合気層に着火が生じ、これにより生成した火炎が気筒周縁部のリーン空燃比の混合気に伝播するようになる。従って、成層燃焼運転では全体として、気筒内に吸入された空気量と気筒に供給された燃料の比である空燃比を極めて高く(リーンに)設定しながら、気筒内の安定した燃焼を得ることができる。
【0105】
ところが、上記のような成層燃焼運転中に吸気弁の閉弁不良が生じると、吸気弁の開弁期間が増大するため更に多量の空気が気筒内に流入するようになる。成層燃焼運転では、燃料噴射量は吸入空気量とは無関係に、例えば運転者のアクセルペダル踏み込み量と機関回転数などにより決定される。このため、成層燃焼運転時には吸気弁の閉弁不良が生じて気筒内に流入する空気量が増大しても燃料噴射量は増大されないため、気筒内の混合気の空燃比は更にリーンになり、気筒内に可燃混合気の層を形成することが困難になる場合が生じ、リーン失火が生じる問題がある。
【0106】
そこで、本実施形態では、ECU30は機関の成層燃焼運転中にリフトセンサ61の出力から吸気弁の閉弁不良が生じたことを検出すると、筒内燃料噴射弁からの燃料噴射量を増量してリーン失火が生じることを防止する。また、この場合には燃料噴射量の増大したことにより、閉弁不良の発生した気筒の出力トルクが他の気筒より増大してしまうことを防止するために点火時期を遅角する。
【0107】
これにより、吸気弁の閉弁不良を生じた気筒での燃焼を継続した場合にもリーン失火や出力トルクの増大が生じることを防止し、機関全体として出力変動が生じることを防止することが可能となる。
【0108】
(6)第6の実施形態
本実施形態では、弁の開閉不良が生じたときに、前述の第1から第5の実施形態のように、開閉不良を生じた弁が吸気弁か排気弁か、及び開弁不良が生じたか閉弁不良が生じたかに応じた処置を行い、弁の開閉不良を生じた気筒での燃焼を継続する。
【0109】
更に、本実施形態では上記弁の開閉不良が生じた場合には、更に弁の開閉不良が生じた気筒の他の弁の着座速度の補正量の学習を停止する。
【0110】
前述したように、電磁駆動弁装置においては実際の着座速度をリフトセンサ61出力に基づいて算出し、着座速度が予め定めた最適値になるように電磁アクチュエータの通電電流を補正する着座速度の補正量の学習を行う。
【0111】
ここで、所望の着座速度を得るための電磁アクチュエータへの通電電流の大きさは機関の負荷、回転数に応じて変化するため、着座速度の補正量の学習も負荷、回転数毎に行う必要がある。
【0112】
通常であれば、各気筒の負荷(出力トルク)は機関全体の負荷(出力トルク)に比例した値となっているため、学習が終了していない負荷領域では全部の気筒の弁の着座速度の補正量の学習を行うことができる。ところが、一旦弁の開閉不良が生じると、その気筒では前述の第1から第5の実施形態で説明したような気筒出力トルクの調整が行われ、必ずしも気筒出力トルクが他の気筒と完全に同一でなくなる可能性がある。
【0113】
このため、この状態で着座速度の補正量学習を行うと本来学習を行うべき負荷でない負荷における着座速度補正量を学習してしまう可能性があり、誤学習を生じる恐れがある。
【0114】
そこで、本実施形態ではECU30は、ある気筒で弁の開閉不良が生じた場合には、開閉不良が生じた弁のみでなく、当該気筒の他の弁についても開閉不良が生じた同一気筒行程サイクル中及び直後の気筒行程サイクル中に着座速度補正量の学習を停止するようにしている。
【0115】
これにより、本実施形態によれば着座速度の補正量の誤学習が行われることが防止される。
【0116】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、弁の開閉不良が生じた場合でも当該気筒の運転を停止することなく燃焼を継続することが可能となる共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁駆動弁装置の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】電磁駆動弁装置の正常作動時のバルブリフト変化を説明する図である。
【図3】開弁不良が生じたときのバルブリフト変化を説明する図である。
【図4】閉弁不良が生じたときのバルブリフト変化を説明する図である。
【符号の説明】
10…電磁駆動弁装置
54…弁体
51、52…電磁アクチュエータ
53…アーマチュア
61…リフトセンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の制御装置に関し、詳細には気筒の吸気弁または排気弁に異常を生じた場合に、該異常を生じた気筒での燃焼を継続可能とする内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カムシャフトを用いて内燃機関の吸排気弁を駆動する代わりに、各気筒の吸気弁と排気弁との一方または両方をそれぞれ個別の電磁アクチュエータを用いて開閉駆動するようにした、いわゆる電磁駆動弁装置が知られている。
【0003】
この種の電磁駆動弁装置は、例えば弁体の弁軸に磁性体からなる円盤状のアーマチュアを取り付け、一対の圧縮スプリングを配置してアーマチュアを互いに対向する方向に付勢するとともに、上記アーマチュアの一方の面に対向して開弁用電磁コイルを、他方の面に対向して閉弁用電磁コイルを、それぞれ配置した構成とされている。開弁用電磁コイルと閉弁用電磁コイルとの両方が通電されていないときには、弁体は全開位置と全閉位置との中間の位置に上述の圧縮スプリングにより保持されるが、開弁用電磁コイルに通電されるとアーマチュアが開弁用電磁コイルに吸引され弁体は全開位置に移動する。また、同様に閉弁用電磁コイルに通電されるとアーマチュアは閉弁用電磁コイルに吸引され、弁体は全閉位置に移動する。
【0004】
このため、各気筒の作動サイクルに合わせて開弁用電磁コイルと閉弁用電磁コイルとを交互に通電することにより、カムシャフトを用いずに内燃機関の吸排気弁を開閉駆動することが可能となる。
【0005】
一般に、カムシャフトを用いて吸排気弁を駆動する場合には、タイミングベルト、カムシャフト、カム等の弁駆動系のフリクションによる動力損失が大きくなる。これに対して、電磁駆動弁装置ではフリクション等による弁駆動損失は非常に小さくなるため、電磁駆動弁装置の採用により燃費、機関出力等の機関性能を向上させることが可能となっている。
【0006】
また、従来のカムシャフトを用いた動弁装置では弁の開閉タイミング(バルブタイミング)や開弁期間などのバルブ開弁特性値はカムシャフトやカムの形状などによって定められてしまい、運転中にバルブの開弁特性値を変化させるためには複雑な可変バルブ装置が必要とされていた。これに対して、電磁駆動弁装置では、バルブタイミングや開弁期間などのバルブ開弁特性値は、電磁アクチュエータへの通電タイミングと通電時間とを変化させることにより機関運転中に容易に変更することができる。このため、電磁駆動弁装置を備えた機関では、機関運転状態に応じて最適な値になるようにバルブ開弁特性値を変化させることが可能となる。
【0007】
例えば、特開2000−248982号公報は、この種の電磁駆動弁装置を備えた内燃機関を開示している。同公報の装置は、吸気弁または排気弁のいずれか一方または両方を電磁アクチュエータにより駆動するようにしており、何れかの気筒の弁に異常が検出された場合には、その気筒の弁を全て閉弁するとともにその気筒への燃料供給と点火を停止し、異常が生じた気筒の運転を停止する。また、この場合には異常が生じた気筒の運転停止により機関出力トルクが低下するため、他の気筒の出力トルクを増大させる操作を行い、全体の機関出力トルクが低下することを防止している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
電磁駆動弁装置における弁の開閉異常は、電磁アクチュエータや弁体そのものの損傷や異常などのように修理を要するものもあるが、例えば脱調(開閉タイミングのずれ)による開閉不良などのように一時的な異常である場合が多い。このような場合には、機器そのものには異常が生じていないため弁体を一旦全開または全閉位置に制御して、弁体の作動初期位置を確定する引きつけ(復帰処理)を行うことにより直ちに正常な作動状態に復帰させることができる。
【0009】
従って、上記特開2000−248982号公報の装置のように電磁駆動弁に開閉異常を生じた場合に異常を生じた気筒の燃焼を停止してしまうと、復帰処理を行って気筒の運転を再開する際に運転再開までの時間が長くなったり、或いは運転再開時に機関出力トルクの変動が生じたりする問題がある。
【0010】
また、上記公報の装置のように、異常を生じた気筒の運転を停止して、他の気筒の出力を増大させる場合には、機関の平均出力トルクは同一に維持できるものの、異常を生じた気筒では全くトルクが発生しなくなるため、機関1回転当たりの気筒間の出力トルク変動が大きくなってしまう問題がある。
【0011】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、電磁駆動弁に開閉異常を生じた場合に、異常を生じた気筒の運転を停止することなく燃焼を継続したままで機関出力トルクの変動を防止しつつ短時間で正常運転に復帰させることを可能とする内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関の気筒吸気弁または排気弁の開閉異常を検出する手段を備え、吸気弁または排気弁のいずれかに異常が検出されたときに、異常が検出された弁を一旦閉弁する復帰操作を行うとともに該異常が検出された気筒での燃焼を継続させ、同時に、該異常が生じた気筒の出力トルクを異常が生じた弁及び該弁の開閉サイクル中の異常が生じた時期に応じて制御するトルク制御操作を行う、内燃機関の制御装置が提供される。
【0013】
すなわち、請求項1の発明では、気筒吸気弁または排気弁の開閉異常が検出された場合には、気筒の運転を停止することなく燃焼を継続したままで復帰操作(復帰処理)を行う。また、復帰操作では、異常が検出された弁を一旦閉弁位置に移動させて作動初期位置を確定し、復帰操作終了後弁の開閉操作を再開する。このため、異常発生から復帰操作を終了して弁が正常な開閉サイクルを開始するまでは、通常の開閉サイクルとは異なる弁の動作が行われることになり、気筒の出力トルクが変動する。
【0014】
この出力トルクの変動態様は、異常が生じた弁、すなわち吸気弁に異常が生じたか排気弁に異常が生じたかによっても、又、弁の開閉サイクルの異常が生じた時期、すなわち開閉サイクルのどの時期に異常が生じたか(例えば開弁動作時に異常が生じたか、或いは閉弁動作時に異常が生じたかなど)によっても異なってくる。
【0015】
本発明は、弁の異常が生じた気筒の出力トルクを出力トルクの変動に応じて制御し、異常発生から復帰操作終了まで当該気筒の出力トルクが弁動作が正常な場合に出来るだけ近くなるように制御する。これにより、気筒の弁異常により機関出力トルクの変動が生じることを防止しながら、異常が生じた弁を正常動作に復帰させることが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、前記内燃機関が、機関の吸入空気量が吸気通路の絞り弁ではなく気筒吸気弁の開弁特性値により支配されるノンスロットル運転中であり、かつ前記弁の異常が吸気弁の閉弁動作時に発生した場合には、吸気弁の前記異常が生じた気筒の出力トルクを低下させる操作を行う、請求項1に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0017】
すなわち、請求項2の発明では、機関はノンスロットル運転を行う。ノンスロットル運転では、例えばスロットル弁を全開に保持したままで気筒吸気弁の開弁期間などの開弁特性値を変化させることにより気筒内に充填される空気量を制御する。このため、吸気弁の閉弁動作時に異常が発生すると吸気弁の開弁時間が目標値より長くなり、気筒内に充填される空気量が増大する。このため、吸気弁に閉弁異常が生じた気筒での燃焼を継続すると、その気筒では他の気筒より出力トルクが増大してしまい、機関全体として出力トルクの変動が大きくなる。そこで、本発明ではこのような場合には異常を生じた気筒のトルクを低下させる操作を行い、吸気弁に閉弁異常が生じた気筒の出力トルクの増大を抑制する。これにより、機関全体の出力トルクの変動を防止することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、前記内燃機関は、気筒内に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁を備え、前記弁の異常が吸気弁の開弁動作時に発生した場合には、吸気弁の前記異常が生じた気筒の出力トルクを増大させる操作を行う、請求項1に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0019】
すなわち、請求項3の発明では、吸気弁の開弁異常が生じた場合に異常が生じた気筒の出力トルクを増大させる。吸気弁に開弁異常が生じると、吸気弁の開弁が遅れるために開弁時間が短くなる。このため、異常を生じた気筒では吸入空気量が正常運転時より低下し、実際に吸入された空気量に応じた燃料を供給したのでは気筒の出力トルクが低下してしまい、機関全体として出力トルクの変動が大きくなる。本発明では、この出力トルク低下を抑制するために、吸気弁の開弁異常が生じた場合には異常が生じた気筒の出力トルクを増大する操作を行う。これにより、異常を生じた気筒の出力トルクの低下が抑制され、機関全体の出力トルクの変動が防止される。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、前記内燃機関が、排気弁の閉弁時期を排気行程上死点より以前に設定して気筒の内部EGRガス量を制御する運転中であり、かつ前記異常が排気弁の閉弁動作時に発生した場合には、排気弁の前記異常が発生した気筒の出力トルクを低下させる操作を行う、請求項1に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0021】
すなわち、請求項4の発明では、内燃機関は排気弁を排気行程上死点前に閉弁することにより内部EGRガス量を制御する運転を行う。排気行程上死点より前に排気弁を閉弁することにより、気筒内に残留する既燃ガス量(内部EGRガス量)は増大し、閉弁時期を早めるほど残留既燃ガス量は多くなる。従って、排気弁の閉弁時期を排気行程上死点より以前の領域で制御することにより、気筒の内部EGRガス量を制御することが可能となる。
【0022】
このように排気弁閉弁時期により内部EGRガス量を制御する運転を行っている場合、排気弁の閉弁不良が生じると本来気筒内に残留すべき既燃ガスが閉弁の遅れた排気弁から排気されてしまうため、気筒の内部EGRガス量は低下し、EGRガスが減少した分だけ気筒内に吸入される新気の量が増大する。
【0023】
このため、内部EGRガス量増大運転実施中に排気弁の閉弁不良が生じると、その気筒の出力トルクは他の気筒に較べて増大してしまい、機関全体として出力トルクの変動が大きくなる。そこで、本発明では、排気弁の閉弁異常が生じた場合には、気筒出力を低下させる操作を行う。これにより、異常を生じた気筒の出力トルクの増大が抑制され、機関全体の出力変動が防止される。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、前記内燃機関が、排気弁の閉弁時期を排気行程上死点近傍に設定した運転中であり、かつ前記異常が排気弁の閉弁動作時に発生した場合には、排気弁の前記異常が発生した気筒の出力トルクを増大させる操作を行う、請求項1に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0025】
すなわち、請求項5の発明では内燃機関は排気弁開弁時期が排気行程上死点付近に設定された運転を行う。この場合、排気弁の閉弁不良が生じると排気行程後が終了して吸気行程が開始されても排気弁が閉弁していない事態が生じるため、一旦排気ポートに排出された排気が、閉弁不良を生じた排気弁から気筒内に再吸入されてしまい、内部EGRが増大する。この場合には、内部EGRガス量の増大に伴って気筒内に吸入される新気量が低下するため、異常を生じた気筒の出力トルクは他の気筒に較べて低下し、機関全体として出力トルクの変動が大きくなる。そこで、本発明では、排気行程上死点付近に閉弁時期が設定された排気弁に閉弁異常が生じた場合には異常が生じた気筒の出力トルクを増大させる操作を行う。これにより、排気弁に異常を生じた気筒の出力低下が抑制され、機関全体の出力トルクの変動が防止される。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、内燃機関の気筒吸気弁の開閉異常を検出する手段を備え、吸気弁に異常が検出されたときに、異常が検出された吸気弁を一旦閉弁する復帰操作を行う内燃機関の制御装置において、前記内燃機関が、気筒吸気行程後半以後に気筒内に直接燃料を噴射して気筒内に可燃空燃比の混合気を成層させる成層燃焼運転中であり、かつ前記吸気弁の異常が閉弁動作時に発生した場合に、該異常が検出された気筒での燃焼を継続させるとともに、気筒内に噴射する燃料量を増量する内燃機関の制御装置が提供される。
【0027】
すなわち、請求項6の発明では内燃機関は成層燃焼運転を行う。成層燃焼運転においては、気筒内には極めてリーン(希薄)な混合気が生成され、この希薄混合気中の点火プラグ近傍部分のみに可燃空燃比混合気の層が生成され、可燃空燃比混合気層に点火プラグを用いて着火することにより気筒内の混合気全体を燃焼させる。ところが、このような機関では吸気弁の異常が閉弁動作中に生じると開弁期間が延長されて気筒内に吸入される空気量が増大する。
【0028】
このため、吸気弁の閉弁異常時には気筒内の混合気の空燃比が更にリーンになってしまい、失火が生じて機関全体として出力トルクの変動(低下)が大きくなる。そこで、本発明では機関の成層燃焼運転中に吸気弁の閉弁異常が生じた場合には、気筒内に噴射する燃料量を増大する。これにより、気筒内の混合気の空燃比は可燃範囲に維持され、失火による機関の出力トルク変動が生じることが防止される。
【0029】
請求項7に記載の発明によれば、前記各気筒の弁は、それぞれ個別に電磁アクチュエータにより開閉駆動される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0030】
すなわち、請求項7の発明では請求項1から請求項6の吸気弁または排気弁は電磁アクチュエータにより駆動される電磁駆動弁装置とされる。このため、弁の開閉時期、開閉期間が自由に変更できるため、例えば、弁に異常を生じた気筒の他の弁(異常を生じていない弁)の開閉時期、開閉期間を変更することにより、異常を生じた気筒の燃焼を継続させることが可能となる。
【0031】
請求項8に記載の発明によれば、前記トルク制御操作は、前記異常を生じた弁を有する気筒の、異常を生じた弁以外の弁の開弁特性値を変化させる操作と、点火時期を変化させる操作との少なくとも一方を含む、請求項1に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0032】
すなわち、請求項8の発明では、請求項1において異常を生じた気筒の異常を生じた弁以外の弁の開弁特性値を変化させる操作、または点火時期を変化させる操作を行うことによりトルク制御操作を行う。吸気弁または排気弁の開閉時期、開弁期間などの開弁特性値を変化させると、気筒内に吸入される新気の量が変化するため、気筒の出力トルクが変化する。また、点火時期を遅角または進角させることにより気筒内の混合気の燃焼時期が変化するため出力トルクが変化する。
【0033】
このため、正常な弁の開弁特性値または点火時期を変化させることにより異常を生じた気筒での燃焼を継続しながら出力トルクを制御することが可能となる。
【0034】
請求項9に記載の発明によれば、前記出力トルクを低下させる操作は、前記吸気弁に異常が生じた気筒の排気弁の開弁特性値を変化させる操作を含む、請求項2に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0035】
すなわち、請求項9の発明では、請求項2において吸気弁に異常が生じた場合に排気弁の開弁特性値を変化させることにより出力トルクを低下させる。
【0036】
例えば排気弁の開弁時期を排気行程下死点より遅い時期まで遅角させると、排気行程下死点から排気弁が開弁するまでの間にピストンの圧縮仕事が発生するため気筒の出力トルクは低下する。
【0037】
また、排気弁の開弁時期を排気行程下死点より早い時期まで進角させると、爆発行程時に充分に膨張しないうちに燃焼ガスが排気されるようになり、排気ガスから回収されるエネルギが減少し気筒の出力トルクは低下する。
【0038】
更に、排気弁の閉弁時期を排気行程上死点より早い時期まで進角させた場合には、気筒内に残留した排気が、排気行程終期に圧縮されるようになり、圧縮仕事の発生により気筒出力トルクは低下する。
【0039】
このように、排気弁の開弁特性値を変化させることにより、気筒の出力トルクを低下させることができる。
【0040】
請求項10に記載の発明によれば、前記出力トルクを増大させる操作は、前記吸気弁に異常が生じた気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量を増量させる操作を含む、請求項3に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0041】
すなわち、請求項10の発明では請求項3において、異常が生じた気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量を増量することにより、異常を生じた気筒の出力を増大する。本発明では内燃機関には筒内燃料噴射弁が設けられている。このため、気筒の吸気ポートに燃料噴射を行う場合とは異なり、気筒の吸気行程が開始された後でも気筒に供給する燃料量を増大することができる。そこで、本発明では吸気弁の開弁異常が生じた場合には、例えば異常を生じた気筒に供給する燃料量を増大することにより、気筒の出力トルクを増大させる。
【0042】
請求項11に記載の発明によれば、前記出力トルクを低下させる操作は、前記排気弁に異常が生じた気筒の吸気弁の開弁特性値を気筒吸気量が低下する方向に変化させる操作を含む、請求項4に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0043】
すなわち、請求項11の発明では、排気弁の閉弁異常により内部EGRガス量が低下する場合には、吸気弁の開弁特性値を変化させることにより異常を生じた気筒の吸入空気量を減少させる。これにより、異常を生じた気筒の吸入空気量が増大することによる出力トルク増大が抑制され、機関全体として出力トルクが変動することが防止される。
【0044】
請求項12に記載の発明によれば、前記出力トルクを増大させる操作は、前記排気弁に異常が生じた気筒の吸気弁の開弁特性値を気筒吸気量が増大する方向に変化させる操作を含む、請求項5に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0045】
すなわち、請求項12の発明では、排気弁の閉弁異常により内部EGRガス量が増大する場合には、吸気弁の開弁特性値を変化させて異常を生じた気筒の吸入空気量を増大させる。これにより、異常を生じた気筒の吸入空気量の減少が抑制され、気筒の出力トルク減少による機関全体の出力トルクの変動が防止される。
【0046】
請求項13に記載の発明によれば、更に、前記各気筒の弁の弁体の弁座への着座速度を検出するとともに、検出した実際の着座速度が予め定めた速度になるように前記電磁アクチュエータの通電量の補正量を学習する着座速度の学習制御手段を備え、前記トルク制御操作実行中は該学習制御手段による前記補正量の学習を停止する、請求項7に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0047】
すなわち、請求項13の発明では弁の着座速度の学習補正が行われる。電磁アクチュエータを備えた電磁駆動弁ではアクチュエータへの通電量を変えることにより弁体の作動速度を変化させることができるため、通常、機関運転中に弁体の弁座への実際の着座速度が負荷(出力トルク)に応じた最適な値になるようにアクチュエータへの通電量を学習補正している。
【0048】
ところが、前述のトルク制御操作実行中は気筒の負荷は運転条件から定まる通常の負荷とは異なった値になる。このため、トルク制御操作実行中に着座速度制御のための学習を行うと学習結果が誤差を含むことになり最適な着座速度制御を行えなくなる可能性がある。そこで、本発明では弁の開閉異常発生後のトルク制御操作実行中には補正量の学習を停止し、着座速度制御に誤差が生じることを防止している。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、内燃機関の電磁駆動弁装置の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【0050】
図1において、符号10は電磁駆動弁装置の全体を示す。本実施形態では、内燃機関の各気筒の吸気弁と排気弁との両方が、それぞれ図1に示した電磁駆動弁装置を備えている。
【0051】
図1において、54は内燃機関の吸気弁(または排気弁)の弁体、54aは弁軸を示している。弁軸54a上部には磁性体からなる円盤状のアーマチュア53が固定されている。また、アーマチュア53の両側には、それぞれアーマチュア53に所定のクリアランスを開けて対向する電磁アクチュエータ51、52が配置されている。電磁アクチュエータ51、52は、それぞれ電磁コイル51a、52aとコア51b、52bとを備えており、電磁コイル51a、52aに通電することによりアーマチュア53を吸引し、弁54に開閉動作を行なわせる。図1の例では、電磁アクチュエータ51は閉弁動作用、電磁アクチュエータ52は開弁動作用としてそれぞれ機能する。
【0052】
また、電磁アクチュエータ51、52及び弁体54とアーマチュア53とを収容するケーシング57には、アーマチュア53を互いに対向する方向に押圧付勢するスプリング55、56が設けられている。電磁アクチュエータ51と52とのいずれにも通電が行なわれていない場合には、スプリング55と56との付勢力により、弁体54は全開位置と全閉位置との中間に保持される。
【0053】
本実施形態では、内燃機関には公知の構成のマイクロコンピュータからなる電子制御ユニット(ECU)30が設けられている。ECUは、各気筒の行程サイクルに応じて予め定めたクランク角毎に、駆動回路31を通じて各気筒の電磁駆動弁装置10の閉弁用アクチュエータ51と開弁用アクチュエータ52とに交互に通電を行なう。これにより、各気筒の吸気弁及び排気弁が定められたバルブタイミングで開閉駆動される。
【0054】
図1において、61aは、弁体54の弁軸上部に取り付けた円板状のリフト検出用ターゲット、61は電磁駆動弁装置10ハウジング上部にターゲット61aに対向する位置に配置されたリフトセンサである。リフトセンサ61は、例えば渦電流式変位センサからなり、ターゲット61aの変位、すなわち弁体54のリフト量に対応した電圧信号をECU30に供給している。
【0055】
ECU30は、前述したように、各電磁駆動弁装置10のアクチュエータへの通電タイミングと期間とを制御することにより、機関各気筒の吸排気弁のバルブタイミングと開弁時間とを制御するとともに、リフトセンサ61で検出した各弁体の変位に基づいて電磁アクチュエータ51、52への通電電流を制御して弁体の弁座への着座速度が予め定めた最適値になるように制御している。
【0056】
図2は、リフトセンサ61で検出した電磁駆動弁装置10の弁体54の閉弁動作時のバルブリフトの変化を示す図である。
図2において、開弁用電磁アクチュエータ52に通電が行われると、アーマチュア53がコイル52a側に引きつけられて弁体54が図1の下方に移動する。また、電磁アクチュエータ52への通電電流が充分に大きければ弁体54の移動に伴い、アーマチュア53はハウジング内に設けたストッパ(図示せず)に当接する位置まで移動する。すなわち、弁体54が着座し(図2、A点)、弁3が開弁する。
また、逆に閉弁用アクチュエータ52に通電が行われると、弁体54は図1の上方に移動し、弁体が弁座(図示せず)に当接、着座し弁3が閉弁する(図2、B点)。
【0057】
排気弁や吸気弁は、気筒内に圧力がある状態で開弁する。このため、開弁用電磁アクチュエータ52への通電電流は気筒内圧力に打ち勝って弁体を開弁方向に移動させるのに充分な大きさである必要がある。また、開弁時の気筒内圧力は機関の運転負荷が大きいほど大きくなる。
【0058】
更に、開閉動作時の弁体の移動速度である着座速度(図2のバルブリフト曲線の傾斜に相当する)は、電磁アクチュエータ51、52の通電電流の大きさにより変化するが、通電電流が大きいと着座速度が大きくなり着座時期が目標時期より早くなる(図2点線)のみならず、弁体とストッパや弁座との衝突速度が過度に大きくなる。本実施形態では電磁駆動弁装置10の開閉操作における電磁アクチュエータ51、52への通電電流は、機関負荷、回転数毎に予め理想的な着座速度が得られるように定められ、ECU30のROMに記憶されており、ECU30は機関負荷、回転数などの運転状態に応じて適切な目標通電電流値を決定する。
【0059】
ところが、この目標通電電流値は常に一定ではなく、電磁アクチュエータや弁装置10の使用に伴う特性変化のために時間とともに変化する。
そこで、ECU30は所定期間毎に、各負荷領域でリフトセンサ61で検出した実際のバルブリフト変化から各弁体の着座速度を算出し、実際の着座速度が目標着座速度に一致するように上記目標通電電流に対する補正を行う。
この実際の着座速度に基づく電流補正量の算出操作を本実施形態では着座速度の補正量の学習と称している。
【0060】
次に、図3、図4を用いて電磁駆動弁装置10の開弁不良と閉弁不良とについて説明する。例えば、開弁動作時には、アーマチュア53が閉弁用アクチュエータ51側に引きつけられて開弁用スプリング55が圧縮された状態で、閉弁用アクチュエータへの通電が停止されるとともに、開弁用アクチュエータ52への通電が開始される。
【0061】
開弁動作開始時の位置ではアーマチュア53とコア52aとの距離は大きいため、アーマチュア53に働く開弁用アクチュエータ52の吸引力は非常に弱くなっている。このため、アーマチュア53は開弁用スプリング55の反発力により開弁用アクチュエータ52方向に押動され、中立位置を越えて更に開弁用アクチュエータ52に近接する。これにより、アーマチュア53と開弁用アクチュエータ52ととが近接するため、アーマチュア53に働く開弁用アクチュエータ52の吸引力が大きくなる。そして、開弁用アクチュエータ52の吸引力により、閉弁用スプリング56付勢力に抗してアーマチュア53が開弁用アクチュエータ52に移動してアーマチュア53がストッパ(図示せず)に当接する全開位置まで到達し、そこに保持されるようになる。
【0062】
ところが、何らかの原因で開弁動作時に開弁用アクチュエータ52に充分な吸引力が発生しなかった場合には、アーマチュア53は開弁用アクチュエータ52に向けて移動中に閉弁用スプリング56の反力に負けてしまい、ストッパーに着座する位置まで到達せず、スプリング56により閉弁位置側に押し戻されてしまう場合がある。
【0063】
このように、一旦開弁用アクチュエータ52側への充分な引きつけが出来ない状態になると、アーマチュア53はアクチュエータ52から離れた中立位置付近で往復動するようになり、もはやアクチュエータ52の通常の吸引力のみではこの位置からアーマチュア53を引きつけることはできなくなる。
【0064】
上記は開弁動作時について説明したが、閉弁動作時にも何らかの原因でアーマチュア53が閉弁用アクチュエータ51に充分に引きつけられなかった場合には開弁動作時と同様にアーマチュア53は、アクチュエータ51と52の中間の中立位置付近で往復動するようになる。
【0065】
このように、弁の開閉動作時に閉弁または開弁位置への引きつけが不十分であったために弁が中立位置付近に保持されてしまう状態は「脱調」と称されるが、本実施形態では、このような完全に脱調が生じた場合に加えて、後述する脱調防止のために弁を一旦閉弁位置に引きつける復帰操作が行われた場合を含めて「脱調による開弁(閉弁)不良」と称している。
【0066】
図3及び図4において、実線はバルブが正常に動作しているときの開閉操作時のバルブリフトの変化を、図3点線は開弁動作時に完全な脱調により開弁不良が生じたときのバルブリフト変化を、図4点線は閉弁動作時に完全な脱調により閉弁不良が生じたときのバルブリフト変化を、それぞれ示している。完全な脱調が生じると、図3、図4点線に示すように開弁時、閉弁時にかかわらずバルブリフトは中間位置付近で振動するようになる。
【0067】
このように、脱調が生じるとアーマチュアが閉弁位置または開弁位置に移動しない限り弁の開閉操作は行えなくなる。本実施形態では、上記の完全な脱調が生じることを防止するために、ECU30はリフトセンサ61で各弁のバルブリフトを検出しており、開弁動作または閉弁動作時にバルブが開弁位置または閉弁位置に保持されない場合には直ちに復帰操作を行う。
本実施形態の復帰操作では、開弁動作時、閉弁動作時にかかわらず弁の閉弁側アクチュエータ51に通常より大きい電流を流し、アーマチュア53を一旦閉弁位置に再引きつけする操作を行う。
【0068】
図3、図4に実線で示したのは本実施形態における脱調による開弁不良と閉弁不良の他の態様である。
図3の実線Iは開弁動作時に弁の引きつけが不十分で開弁位置まで到達できずに完全な脱調が生じかけたが、復帰操作により閉弁位置に再引きつけされた開弁不良を、図3の実線IIは開弁動作時に弁が一旦完全開弁位置まで移動したものの開弁位置で跳ね返されてしまい完全な開弁位置に保持されなかったために復帰操作が行われ、閉弁位置に再引きつけされた開弁不良を、それぞれ示している。また、図4の実線Iは図3の実線Iと同様、弁が完全に閉弁位置まで到達できなかったために復帰操作がが行われた場合、図4の実線IIは、一旦完全閉弁位置に到達した弁が跳ね返されて復帰操作により閉弁位置に再引きつけされた場合を、それぞれ示している。
図3、図4に示すように本実施形態では一旦脱調による開弁不良または閉弁不良が生じた場合には開弁動作時、閉弁動作時を問わず、弁は半開状態を経て一旦閉弁位置に引きつけられ、その後通常の動作を開始するようになる。
【0069】
上述のように、電磁駆動弁装置に脱調による開弁不良や閉弁不良などの異常が生じた場合には、復帰操作を行うことにより短時間で通常の運転を再開することができる。
そこで、本実施形態では電磁駆動弁装置に脱調による異常が生じた場合には、異常が生じた弁を有する気筒の運転を停止することなく燃焼を継続しながら復帰操作を行うようにしている。
【0070】
ところが、脱調が生じると本来開弁位置(全開位置)または閉弁位置(全閉位置)に保持されるべき弁体が保持されずに半開状態になった後閉弁位置に引きつけられることになる。
例えば、開弁動作時に脱調による開弁不良が生じると、半開状態になった後に直ちに復帰操作のために弁が一旦全閉位置に引きつけられるため開弁期間が短くなり、結果的に弁を通って気筒に出入りするガス流量は低下する。また、逆に閉弁動作時に脱調による閉弁不良が生じると、復帰操作による閉弁位置への再引きつけが行われるまで本来全閉に維持されるべき弁が半開状態に維持されることになるため、弁を通って気筒に出入りするガス流量は増大する。
【0071】
これらの気筒に出入りするガス流量の変化の機関出力に対する影響は、異常が生じた弁が吸気弁か排気弁か、異常が開弁動作時に起きたか閉弁動作時に起きたかによっても大きく異なってくる。
すなわち、電磁駆動弁装置に脱調による異常(開弁不良または閉弁不良)が生じた場合には、異常を生じた弁が吸気弁か排気弁か、更には異常の種類が閉弁不良か開弁不良かによって異常を生じた気筒の出力変動の様相が変化する。従って、弁に異常を生じた気筒の運転を停止せずに燃焼を継続しながら復帰操作を行う際に、機関全体として出力トルクの変動を防止するためには、異常を生じた弁の種類(吸気弁か排気弁か)、異常を生じた時期(開弁操作時から閉弁操作時か)等の異常発生状況に応じた対策をとる必要がある。また、機関の出力変動の防止のためには、可能であれば異常が生じた気筒そのものでの出力トルクの変化を抑制することが好ましい。
【0072】
以下に説明する実施形態では、ECU30はリフトセンサ61の出力に基づいて脱調が生じたか否かを判定し、脱調が生じた場合に異常発生状況に応じて、異常が生じた気筒の出力トルクの変動を抑制することにより、機関出力トルクの変動を防止する操作を行う。
【0073】
(1)第1の実施形態
本実施形態では、ノンスロットル運転を行う機関に電磁駆動弁装置10が使用されている。
前述したように、電磁駆動弁装置を用いた機関では弁の開閉時期及び開弁期間の長さなどの開弁特性値を容易に変更することができる。通常の機関運転では、吸気通路に設けたスロットル弁の開度を制御することにより気筒に吸入される空気量が制御される。しかし、吸気弁の開弁特性値を変更することが可能な機関では、吸気弁の開弁特性値を変化させることにより、気筒内に吸入される空気量を制御することが可能である。この場合、機関の吸入空気量はスロットル弁による吸気通路の絞りではなく、気筒吸気弁の開弁特性値により支配されることになる。
【0074】
電磁駆動弁装置等を備え、弁の開弁特性値を変更可能な機関では、スロットル弁を全開に維持して吸気弁の開弁期間等の開弁特性値を変化させることにより気筒に吸入される空気量を制御するノンスロットル運転を行うことが可能である。ノンスロットル運転時には、機関の吸気絞り損失が発生しないため機関の効率を高く維持することが可能となる。
【0075】
ところが、ノンスロットル運転中に吸気弁の閉弁異常が生じると問題が起きる。ノンスロットル運転中は、気筒の吸入空気量はスロットル弁ではなく吸気弁の開弁特性値、例えば開弁期間によって支配される。このため、例えばノンスロットル運転中に吸気弁が閉弁不良を生じた場合には、本来閉弁すべき時期に吸気弁がが閉弁しないため吸気弁の開弁期間が延長されることとなり、気筒の吸入空気量が大幅に増大する問題が生じるのである。
【0076】
この場合、通常のスロットル弁を用いた吸入空気量制御を行っている場合でも、吸気弁の開弁期間が延長されると気筒の吸入空気量は増大するが、ノンスロットル運転中は気筒の吸入空気量は吸気弁の開弁期間のみにより制御されているため、ノンスロットル運転時にはスロットル弁を用いた運転の場合に較べて開弁期間の延長による吸入空気量の増大幅が大きくなる。
【0077】
ところで、通常、吸気ポートに燃料噴射を行うポート噴射の場合のみならず、気筒内に直接燃料噴射を行う筒内燃料噴射弁の場合も、燃料噴射量は燃焼空燃比が所定の目標空燃比になるように決定される。このためノンスロットル運転中に吸気弁の閉弁不良が生じた場合に、閉弁不良が生じた気筒の運転を継続すると当該気筒の燃料噴射量は気筒吸入空気量の増大に伴って増量されるため、当該気筒の出力トルクが大幅に増大して機関出力の変動が生じる。
【0078】
本実施形態では、以下に説明するトルク低減操作により、吸気弁の閉弁不良発生時の気筒出力トルク増大を抑制して、機関出力の変動を防止しつつ閉弁不良が生じた気筒の運転を継続している。
【0079】
次に、本実施形態のトルク低減操作について説明する。
本実施形態では、吸気弁の閉弁不良が生じた気筒の、1)点火時期の遅角、2)排気弁開弁時期の進角、により、またはこれに加えて、閉弁不良が生じた気筒以外の気筒の3)排気弁開弁時期の遅角、4)排気弁閉弁時期の進角、等により機関のトルク変動を防止する。
【0080】
以下、それぞれについて説明する。
1)点火時期の遅角
点火時期を遅角すると、気筒内の燃焼開始時期が遅れるため、気筒内で燃焼を完了する前に筒内ガスが排気弁から排気されるようになる。このため、ピストンに仕事をしないまま排気系に排出されるエネルギー量が増大し、気筒出力トルクが低下する。従って、吸気弁の閉弁不良が生じた気筒の点火時期を遅角することにより、閉弁不良が生じた気筒での燃焼を継続させながら当該気筒の出力トルクの増大を抑制することができる。
【0081】
2)排気弁開弁時期の進角
排気弁開弁時期を進角させて気筒の爆発行程終期に開弁させるようにすると、筒内燃焼ガスは充分に膨張しないうちに排気弁から排出されるようになる。このため、排気ガスからピストンに与えられる仕事量が減少し、気筒出力トルクは低下する。従って、吸気弁の閉弁不良が生じた気筒の排気弁の開弁時期を進角させることにより、閉弁不良が生じた気筒での燃焼を継続させながら当該気筒の出力トルクの増大を抑制することができる。
【0082】
3)排気弁開弁時期の遅角
排気弁の開弁時期を遅角して、排気行程初期に排気弁を閉弁したままに維持すると、排気行程初期では気筒内に残留した排気ガスがピストン上昇により圧縮されるため、圧縮仕事により機関出力トルクは低下する。従って、ある気筒の吸気弁が閉弁不良を生じた場合、その気筒の爆発行程中に排気行程を迎える別の気筒の排気弁の開弁時期を遅角することにより、閉弁不良を生じた気筒における出力トルクの増大を、排気弁開弁時期を遅角した気筒の圧縮仕事増大で相殺することができ、機関全体として出力トルクの変動を防止することが可能となる。
【0083】
4)排気弁閉弁時期の進角
排気弁閉弁時期を進角して排気行程において気筒から排気ガスが充分に排出されないうちに気筒を密閉すると、排気行程におけるピストンの上昇により筒内に残留した排気ガスが圧縮され、圧縮仕事に相当する量だけ機関出力トルクは低下する。従って、ある気筒の吸気弁が閉弁不良を生じた場合、当該気筒の爆発行程中に排気行程を迎える気筒の排気弁の閉弁時期を進角することにより、上記3)の場合と同様に閉弁不良を生じた気筒の出力トルクの増大を他の気筒の圧縮仕事の増大により相殺し、機関全体として出力トルクの変動を防止することが可能となる。
【0084】
本実施形態では、機関のノンスロットル運転中に、ECU30はリフトセンサ61の出力に基づいて、ある気筒の吸気弁が閉弁動作時に脱調を生じたこと(図4)、すなわち吸気弁の閉弁不良が生じたことを検出すると、閉弁不良が生じた気筒の点火時期を予め定めた量だけ遅角させると同時に、吸気弁が閉弁不良を生じた気筒の排気弁の開弁時期を爆発行程まで進角させる。これにより、閉弁不良が生じた気筒の出力増大が防止される。
【0085】
また、ECU30は更に、必要に応じて閉弁不良を生じた気筒の爆発行程と排気行程とが重なる別の気筒を判別し、この気筒の排気弁の開弁時期の遅角と閉弁時期の進角とを行う。これにより、この気筒の排気行程における圧縮仕事が増大するため、上記閉弁不良が生じた気筒での出力トルクの増大と排気弁の開閉時期を変更した気筒での圧縮仕事の増大とが互いに相殺し、機関全体として出力トルクが大きく増減変動することが防止される。
【0086】
本実施形態では、上記のトルク低減操作を実行することにより、機関全体の出力トルクの変動を防止しながら、吸気弁の閉弁不良を生じた気筒の運転を継続することが可能となっている。
【0087】
(2)第2の実施形態
本実施形態では、筒内燃料噴射弁を有する機関において吸気弁の開弁不良が生じた場合について説明する。
吸気弁の開弁不良が生じると、閉弁不良の場合とは反対に気筒内に吸入される空気量が低下する。このため、例えば吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射を行う機関では、気筒内に充填される混合気量が低下するために燃焼時の気筒の出力トルクが低下する。
【0088】
また、筒内燃料噴射弁を有する機関においても、通常燃料噴射量は気筒に実際に充填される空気量に応じて、燃焼空燃比が目標値に維持されるように制御されているため、気筒内に吸入される空気量が低下すると、燃料噴射量もそれに応じて低減され、気筒の出力トルクが低下する。
【0089】
ところが、ポート噴射の場合とは異なり、筒内燃料噴射弁を備えた機関では、吸気行程が開始されてからでも燃料噴射量を変更することが可能である。そこで、本実施形態では吸気弁の開弁不良が生じた場合には、閉弁不良が検出された後に吸入空気量から定まる燃料噴射量に対して燃料を増量することにより、気筒出力トルクの低下を抑制する。
【0090】
すなわち、本実施形態ではリフトセンサ61に基づいて吸気弁の開弁不良が検出されると、ECU30は閉弁不良が生じた気筒の燃料噴射量を増量する。これにより、気筒内の燃焼空燃比は目標空燃比よりリッチ側に移行するものの、燃料を増量した分だけ気筒の出力トルクが増大するため、吸気弁の閉弁不良による出力トルクの低下が抑制され、機関全体の出力トルクの変動を防止しながら吸気弁の閉弁不良が生じた気筒の運転を継続することができる。なお、燃料噴射量の増量は、例えば目標空燃比から算出される燃料噴射量を一定の割合で増量するようにして、気筒内の燃焼空燃比が目標空燃比より過度にリッチになることを防止することも可能である。
【0091】
(3)第3の実施形態
本実施形態では、排気弁の開閉時期を調節することにより気筒の内部EGRガス量を調節する運転を行っている場合に排気弁に開閉異常が生じた場合の対応について説明する。
【0092】
気筒内に残留する既燃ガス量は、排気弁の閉弁時期を排気行程上死点以前に設定することにより増大することができる。すなわち、排気弁を排気行程が終了する前に早く閉弁することにより、気筒内には排出されなかった既燃ガスが残留し、残留する既燃ガスの量は他の条件が同一であれば排気弁の閉弁時期を早める(進角する)ほど多くなる。
【0093】
従って、機関運転条件に応じて各気筒の排気弁閉弁時期を排気行程上死点より前の領域で制御することにより、機関運転条件に応じて気筒内部EGRガス量を制御することができる。
ところが、上記のように排気弁閉弁時期による内部EGRガス量制御運転中に排気弁の閉弁不良が生じた場合、閉弁不良が生じた気筒での燃焼を継続すると、この気筒での出力トルクが増大してしまう問題が生じる。
【0094】
すなわち、内部EGRガス量制御運転中に排気弁の閉弁不良が生じると、本来閉弁すべき時期に排気弁が閉弁しないため、本来であれば気筒内に残留すべき既燃ガスが排気弁から排出されてしまい内部EGRガス量が減少する。このため、排気行程に続く吸気行程では内部EGRガス量が減少した分だけ新気が気筒内に吸入されることとなり、気筒吸入空気量が増大してしまう。
【0095】
このため、吸入空気量に応じて燃料供給量も増大され、当該気筒の出力トルクが排気弁の閉弁不良が生じる前より増大してしまうのである。
従って、本実施形態では、排気弁の閉弁不良が検出されたときには閉弁不良が生じた気筒の出力トルクを減少させる操作を行う。
【0096】
すなわち、ECU30は排気弁閉弁時期を排気行程上死点前に設定した内部EGRガス量制御運転中にリフトセンサ61出力に基づいて排気弁の閉弁不良を検出すると、閉弁不良が生じた気筒の吸気弁の開弁特性値を変化させることにより、気筒内に吸入される空気量を低減する。例えば、吸気弁の開弁時期を遅延させ、または吸気弁の閉弁時期を早めること、若しくはこれらの両方を行うことにより吸気弁の開弁期間が短縮されるため、気筒内に吸入される空気量は低下する。これにより、排気弁の閉弁不良が生じた気筒の吸入空気量の増大が抑制され、気筒出力増大が防止されるため、閉弁不良を生じた気筒の燃焼を継続した場合でも機関全体としての出力変動を防止することが可能となる。
【0097】
(4)第4の実施形態
前述の第3の実施形態では、排気弁の閉弁不良により気筒内部EGRガス量が低下する場合について説明したが、排気弁の閉弁時期によっては閉弁不良により気筒内部EGRガス量が逆に増大する場合がある。
【0098】
例えば、特に気筒内部EGRガス量を増大させる運転を行っていない通常運転時には、排気弁は排気行程上死点近傍で閉弁するように閉弁時期が設定されている。ところが、この場合に排気弁の閉弁不良が生じると、上死点近傍で排気弁が閉弁せず、吸気行程に入っても排気弁が開弁した状態に保持される。このため、一旦排気弁から排気ポートに排出された既燃ガスがピストンの下降とともに再度排気弁から気筒内に吸入されるようになり、気筒内に残留する既燃ガス量(内部EGRガス量)は増大する。
【0099】
このため、排気弁の閉弁不良が生じた気筒での燃焼を継続すると、上記第3の実施形態とは逆に気筒内に吸入される空気量(新気量)の低下により気筒の出力トルクの低下や、更には内部EGRガス量の増大による燃焼の悪化が生じる。
そこで本実施形態では、この場合に気筒の出力トルクを増大させる操作を行う。
【0100】
すなわち、ECU30は、排気弁の閉弁時期を排気行程上死点近傍に設定した運転中に、排気弁の閉弁不良が生じたことをリフトセンサ61出力に基づいて検出すると、閉弁不良を生じた気筒の吸気弁の開弁特性値を吸入空気量が増大する方向に変化させる。例えば、ECU30は当該気筒の吸気弁の開弁時期を早め、または閉弁時期を遅延させ、もしくはその両方を行うことにより吸気弁の開弁期間を増大させる。これにより、閉弁不良が検出された直後の吸気行程における吸入空気量が増大するため、排気弁の閉弁不良による吸入空気量の低下が防止される。また、筒内燃料噴射弁を有する気筒においては、燃焼空燃比が目標空燃比よりリッチになるように燃料噴射量を増量するようにしてもよい。
【0101】
これにより、排気弁の閉弁不良を生じた気筒の燃焼を継続した場合にも出力トルクの低下が抑制され、機関全体の出力トルクの変動が防止される。
【0102】
(5)第5の実施形態
本実施形態では、機関の成層燃焼運転中に吸気弁の閉弁不良が生じた場合の対応について説明する。
【0103】
機関全体として極めてリーンな空燃比での運転を可能にするために、成層燃焼運転を行う機関が知られている。成層燃焼運転では通常、スロットル弁は全開に近い大きい開度とされ吸気絞りによる吸入空気量制御はほとんど行わない。このため、気筒内には通常の吸気絞りを行う運転時よりも多量の空気が吸入される。
【0104】
また、成層燃焼運転では燃料は吸気行程終期から圧縮行程初期に気筒内に噴射され気筒内に均一に拡散することなく、点火プラグ近傍にのみ可燃空燃比の混合気層を成層する。これにより、点火プラグ近傍には着火可能な可燃空燃比の混合気が形成されるため、燃焼時には、点火プラグによりこの可燃空燃比混合気層に着火が生じ、これにより生成した火炎が気筒周縁部のリーン空燃比の混合気に伝播するようになる。従って、成層燃焼運転では全体として、気筒内に吸入された空気量と気筒に供給された燃料の比である空燃比を極めて高く(リーンに)設定しながら、気筒内の安定した燃焼を得ることができる。
【0105】
ところが、上記のような成層燃焼運転中に吸気弁の閉弁不良が生じると、吸気弁の開弁期間が増大するため更に多量の空気が気筒内に流入するようになる。成層燃焼運転では、燃料噴射量は吸入空気量とは無関係に、例えば運転者のアクセルペダル踏み込み量と機関回転数などにより決定される。このため、成層燃焼運転時には吸気弁の閉弁不良が生じて気筒内に流入する空気量が増大しても燃料噴射量は増大されないため、気筒内の混合気の空燃比は更にリーンになり、気筒内に可燃混合気の層を形成することが困難になる場合が生じ、リーン失火が生じる問題がある。
【0106】
そこで、本実施形態では、ECU30は機関の成層燃焼運転中にリフトセンサ61の出力から吸気弁の閉弁不良が生じたことを検出すると、筒内燃料噴射弁からの燃料噴射量を増量してリーン失火が生じることを防止する。また、この場合には燃料噴射量の増大したことにより、閉弁不良の発生した気筒の出力トルクが他の気筒より増大してしまうことを防止するために点火時期を遅角する。
【0107】
これにより、吸気弁の閉弁不良を生じた気筒での燃焼を継続した場合にもリーン失火や出力トルクの増大が生じることを防止し、機関全体として出力変動が生じることを防止することが可能となる。
【0108】
(6)第6の実施形態
本実施形態では、弁の開閉不良が生じたときに、前述の第1から第5の実施形態のように、開閉不良を生じた弁が吸気弁か排気弁か、及び開弁不良が生じたか閉弁不良が生じたかに応じた処置を行い、弁の開閉不良を生じた気筒での燃焼を継続する。
【0109】
更に、本実施形態では上記弁の開閉不良が生じた場合には、更に弁の開閉不良が生じた気筒の他の弁の着座速度の補正量の学習を停止する。
【0110】
前述したように、電磁駆動弁装置においては実際の着座速度をリフトセンサ61出力に基づいて算出し、着座速度が予め定めた最適値になるように電磁アクチュエータの通電電流を補正する着座速度の補正量の学習を行う。
【0111】
ここで、所望の着座速度を得るための電磁アクチュエータへの通電電流の大きさは機関の負荷、回転数に応じて変化するため、着座速度の補正量の学習も負荷、回転数毎に行う必要がある。
【0112】
通常であれば、各気筒の負荷(出力トルク)は機関全体の負荷(出力トルク)に比例した値となっているため、学習が終了していない負荷領域では全部の気筒の弁の着座速度の補正量の学習を行うことができる。ところが、一旦弁の開閉不良が生じると、その気筒では前述の第1から第5の実施形態で説明したような気筒出力トルクの調整が行われ、必ずしも気筒出力トルクが他の気筒と完全に同一でなくなる可能性がある。
【0113】
このため、この状態で着座速度の補正量学習を行うと本来学習を行うべき負荷でない負荷における着座速度補正量を学習してしまう可能性があり、誤学習を生じる恐れがある。
【0114】
そこで、本実施形態ではECU30は、ある気筒で弁の開閉不良が生じた場合には、開閉不良が生じた弁のみでなく、当該気筒の他の弁についても開閉不良が生じた同一気筒行程サイクル中及び直後の気筒行程サイクル中に着座速度補正量の学習を停止するようにしている。
【0115】
これにより、本実施形態によれば着座速度の補正量の誤学習が行われることが防止される。
【0116】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、弁の開閉不良が生じた場合でも当該気筒の運転を停止することなく燃焼を継続することが可能となる共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁駆動弁装置の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】電磁駆動弁装置の正常作動時のバルブリフト変化を説明する図である。
【図3】開弁不良が生じたときのバルブリフト変化を説明する図である。
【図4】閉弁不良が生じたときのバルブリフト変化を説明する図である。
【符号の説明】
10…電磁駆動弁装置
54…弁体
51、52…電磁アクチュエータ
53…アーマチュア
61…リフトセンサ
Claims (13)
- 内燃機関の気筒吸気弁または排気弁の開閉異常を検出する手段を備え、吸気弁または排気弁のいずれかに異常が検出されたときに、異常が検出された弁を一旦閉弁する復帰操作を行うとともに該異常が検出された気筒での燃焼を継続させ、同時に、該異常が生じた気筒の出力トルクを異常が生じた弁及び該弁の開閉サイクル中の異常が生じた時期に応じて制御するトルク制御操作を行う、内燃機関の制御装置。
- 前記内燃機関が、機関の吸入空気量が吸気通路の絞り弁ではなく気筒吸気弁の開弁特性値により支配されるノンスロットル運転中であり、かつ前記弁の異常が吸気弁の閉弁動作時に発生した場合には、吸気弁の前記異常が生じた気筒の出力トルクを低下させる操作を行う、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記内燃機関は、気筒気筒内に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁を備え、前記弁の異常が吸気弁の開弁動作時に発生した場合には、吸気弁の前記異常が生じた気筒の出力トルクを増大させる操作を行う、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記内燃機関が、排気弁の閉弁時期を排気行程上死点より以前に設定して気筒の内部EGRガス量を制御する運転中であり、かつ前記異常が排気弁の閉弁動作時に発生した場合には、排気弁の前記異常が発生した気筒の出力トルクを低下させる操作を行う、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記内燃機関が、排気弁の閉弁時期を排気行程上死点近傍に設定した運転中であり、かつ前記異常が排気弁の閉弁動作時に発生した場合には、排気弁の前記異常が発生した気筒の出力トルクを増大させる操作を行う、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 内燃機関の気筒吸気弁の開閉異常を検出する手段を備え、吸気弁に異常が検出されたときに、異常が検出された吸気弁を一旦閉弁する復帰操作を行う内燃機関の制御装置において、
前記内燃機関が、気筒吸気行程後半以後に気筒内に直接燃料を噴射して気筒内に可燃空燃比の混合気を成層させる成層燃焼運転中であり、かつ前記吸気弁の異常が閉弁動作時に発生した場合に、該異常が検出された気筒での燃焼を継続させるとともに、気筒内に噴射する燃料量を増量する内燃機関の制御装置。 - 前記各気筒の弁は、それぞれ個別に電磁アクチュエータにより開閉駆動される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記トルク制御操作は、前記異常を生じた弁を有する気筒の、異常を生じた弁以外の弁の開弁特性値を変化させる操作と、点火時期を変化させる操作との少なくとも一方を含む、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記出力トルクを低下させる操作は、前記吸気弁に異常が生じた気筒の排気弁の開弁特性値を変化させる操作を含む、請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記出力トルクを増大させる操作は、前記吸気弁に異常が生じた気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量を増量させる操作を含む、請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記出力トルクを低下させる操作は、前記排気弁に異常が生じた気筒の吸気弁の開弁特性値を気筒吸気量が低下する方向に変化させる操作を含む、請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記出力トルクを増大させる操作は、前記排気弁に異常が生じた気筒の吸気弁の開弁特性値を気筒吸気量が増大する方向に変化させる操作を含む、請求項5に記載の内燃機関の制御装置。
- 更に、前記各気筒の弁の弁体の弁座への着座速度を検出するとともに、検出した実際の着座速度が予め定めた速度になるように前記電磁アクチュエータの通電量の補正量を学習する着座速度の学習制御手段を備え、前記トルク制御操作実行中は該学習制御手段による前記補正量の学習を停止する、請求項7に記載の内燃機関の制御装置。
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