JP2004068198A - 糸状体の案内装置および案内方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高分子(セルロースエステルなど)を含むドープを紡糸ユニットで紡糸し、乾燥ユニット1で乾燥し、油剤付着ユニット4で油剤を付着させ、集束体を巻き取りユニット6に周回させて、走行方向を縦方向から横方向へ変換し、最大摩擦力を生じるピンガイド7の軸線を、糸状体20の走行方向に対して実質的に直交する縦方向に向けて、糸状体20の走行方向を実質的に90°の角度で変換する。前記ガイド7との接触前の糸状体の張力をT1、接触後の糸状体の張力をT2とするとき、張力差(T1−T2)を30〜75gf(≒0.3〜0.75N)に低減するとともに、糸状体の強度を1100gf(≒11N)以上、溶媒含有量を10重量%以下として糸切れを防止する。方向変換された糸状体は積層ユニット8〜10により積層される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、糸状体、例えば、連続する細い長繊維(フィラメント)を束ねたマルチフィラメントを積層したフィラメント糸又はトウなどの糸状体を製造するのに適した案内装置(又は製造装置)、案内方法又は糸状体の製造方法、並びに糸状体の糸切れ抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フィラメントの紡糸は、一般に、溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸に大別される。乾式紡糸では、通常、溶媒に高分子を溶解してドープを調製し、口金から吐出された糸状ドープを乾燥することによりフィラメントを生成させている。この乾式紡糸法は、溶媒に可溶な全ての高分子の繊維化に利用でき、溶融紡糸や湿式紡糸法が適用し難い高分子、例えば、セルロースアセテートなどの紡糸に有用である。また、セルロースアセテート繊維はトウの製造に利用されている。
【0003】
セルロースアセテート繊維のトウの製造方法は、例えば、英国特許909940号明細書に開示されており、この方法では、溶媒にセルロースアセテートを溶解したドープを、多数(例えば、100〜500程度)の細孔を有する口金を通じて吐出している。吐出された糸状ドープは、乾燥筒内で熱風によりある程度溶媒を蒸発させ、吐出した各糸状ドープから溶媒を蒸発させることによりフィラメントが形成される。生成したフィラメントはトウへの加工工程に供される。
【0004】
図3は従来の案内装置および案内方法を説明するための概略斜視図である。図3に示すように、乾燥筒1内で乾燥された多数のフィラメント20は、幅決めガイド2により糸状の幅が調整され、幅決めガイドにより集束された帯状体又は帯状糸状体(ヤーン、リボンやエンドともいう)は、ガイド3で案内されながら、回転ロール式油剤付着ユニット4によりエマルジョン(油脂濃度10%以下のオイルインウォーター状態のエマルジョン)で構成された油剤が付着される。油剤を添着した後、ガイド5により幅がさらに細くされたヤーンは、ゴデットロール6により巻き取られ、ゴデットロール6を約4分の3だけ周回走行した後、ヤーンは巻き取り装置により引き取られる。このヤーンを製造する一連のユニット、すなわち口金からの吐出又は紡糸ユニット、乾燥ユニット、油剤塗布ユニット、ゴデットロールによる巻き取りユニットを併せてステーションと称している。
【0005】
ゴデットロール6を約4分の3周走行した後、ヤーン20はゴデットロール6の周面から水平方向に引き出され、ピンガイドにより捲縮機側へ走行方向を90°転換させた後、隣接する複数のステーションから順次供給されるヤーンと合流して、トウバンド21を形成し、水平状態で捲縮機へと導かれる。すなわち、一般的な装置では複数のステーションが一列に並べて配置され、各ステーションからのヤーン20はそれぞれ走行方向を90°変換されてステーションの配列の方向に沿って走行し、順次集積又は積層されて偏平な帯状体(トウバンド)の形態で捲縮装置に送られる。
【0006】
捲縮装置は、通常、スタッフィングボックス(捲縮箱)にトウバンドを押し込むための一対のニップロールを備えている。このニップロールによる押し込みに伴って、スタッフィングボックス内からの抵抗が生じるが、この抵抗よりも大きな力でスタッフィングボックス内に押し込むことにより、トウバンドに捲縮が付与され、紡績性を改善したり、糸にふくらみを与えることができる。そして、スタッフィングボックスへの押し込みにおいて、トウバンドひいてはヤーンは均一な断面(すなわち、フィラメントの密度の均一性)を有することが好ましい。すなわち、不均一な断面を有するトウバンドは捲縮チャンバ(スタッフィングボックス)内で不均一な密度となって不均一な捲縮を生じ、捲縮ロールに好ましくない磨耗を生じると共に帯状トウバンドの縁に欠陥をもたらす。従って、トウバンドの幅及び幅方向のフィラメントの密度の不均一性、およびトウバンドを形成する各ヤーンの幅の不均一性は、トウバンドを捲縮したり、捲縮したトウバンドを開繊すると、繊維の品質に悪影響を与える。すなわち、不均一な幅及び幅方向のフィラメント密度を有するトウバンドを捲縮し、トウを開繊すると、開繊した繊維が裂けるなどの問題が生じる。
【0007】
また、近年、品質要求の高まりとともに、糸切れ頻度を減少させ、安定した品質の製品を供給する必要性がある。
【0008】
トウバンドの密度の均一性を確保するため、図3に示すように、ピンガイド22(すなわち方向転換ガイド)を配設することが考えられる。すなわち、ゴデットロール6表面及びトウバンド21においてヤーン20の面がいずれも水平方向であるため、糸条のねじれを防止してトウバンド21の均一性を高めるため、ピンガイド22(すなわち方向転換ガイド)を、ゴデットロール6からのヤーン20の引き出し方向と捲縮機へのヤーン20の走行方向とに対して約45°の角度で、軸線をトウバンド21の走行平面に沿って水平方向に配設し、このピンガイド22にヤーン20が掛け渡すことが考えられる。
【0009】
このようなピンガイド22でヤーン20の走行方向を変換させると、方向変換に伴うヤーンの捻れとフィラメントの変位が小さくなり、トウバンド21の幅方向において粗密が生じにくいが、摩擦力が大きいため、ヤーン20を構成するフィラメントの破断を低減できず、安定した品質のトウバンド21やトウを製造することが困難である。
【0010】
特開2001−40525号公報には、糸条に効率よく油剤を付着させ、糸切れ頻度を低減するため、油剤が付着した繊維糸条をガイドする紡糸ガイドとして、糸条導入口に設置され、糸条から遊離した油剤を一時的に貯蔵する凹部と、この凹部と前記糸条導出口とを連結し、導入した糸条の幅を調整するとともに、前記凹部の油剤を糸条導出口に導く流路とを有する紡糸ガイドが開示されている。
【0011】
この紡糸ガイドでは、紡糸口金からのフィラメントを集束させる過程での糸切れを防止できても、ゴデットロールからヤーンの集積工程に至る間での糸切れを防止することができない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、糸状体の糸切れを有効に抑制できる糸状体の案内装置および案内方法を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、走行する糸状体とガイド部材との摩擦力を低減させ、糸切れ頻度を低減するとともに、高い均一性および品質のトウバンドやトウを安定に製造できる糸状体の案内装置および案内方法を提供することにある。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、セルロースアセテート繊維などのフィラメントで構成された糸状体(マルチフィラメントやヤーン)を円滑かつ効率よく集積又は積層して均一なトウバンドやトウを製造するのに有用な糸状体の案内装置および案内方法を提供することにある。
【0015】
本発明の別の目的は、ガイドで走行方向を変換する過程で糸状体の糸切れを抑制できる方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するため、回転式ロール巻き取りに伴って生じる繊維(ヤーン、トウ)破断の原因について鋭意検討した結果、ピンガイドに作用する摩擦力がヤーンの破断率と相関関係があること、走行する糸状体の方向変換に利用するピンガイドの設置角度が前記摩擦力に影響を与えることを見いだし、本発明を完成した。
【0017】
すなわち、本発明の糸状体の案内装置および製造装置は、糸状体と接触し、かつ糸状体の走行方向を変換するための少なくとも1つのガイドを備えた装置であって、最も大きな摩擦力を生じるガイドの軸線が糸状体の走行方向に対して交差しており、最も大きな摩擦力を生じるガイドとの接触前(又はガイドを通過前)の糸状体の張力をT1、前記ガイドとの接触後(又はガイドを通過後)の糸状体の張力をT2とするとき、張力差(T1−T2)が30〜75gf(≒0.3〜0.75N、gf=9.8×10−3N≒0.01N)又は60gf(≒0.6N)以下である。なお、前記張力差(T1−T2)は、糸状体の走行速度500〜600m/分、糸状体(ヤーンなど)の幅(接触幅)3〜10mm程度の条件で測定した値である。また、前記張力差(T1−T2)は、接触するガイドとの摩擦により生じる。
【0018】
前記糸状体は、種々の繊維、例えば、乾式紡糸により生成したセルロースエステル繊維(セルロースアセテート繊維など)などで構成してもよい。前記ガイドは前記摩擦力を低減できる限り種々の方向に向けて配設でき、例えば、前記ガイド(方向変換ガイド)の軸線は、糸状体の走行方向に対して実質的に直交する方向に向いていてもよく、前記ガイドにより糸状体の走行方向を実質的に90°の角度(例えば、70〜110°、特に80〜100°程度の角度)で変換可能であってもよい。前記糸状体は、紡糸により生成したフィラメントで構成された集束体(マルチフィラメント、ヤーンなど)であってもよく、糸状体の断面形状は、前記ガイドと面接触可能な長方形状であってもよい。例えば、前記ガイドは断面長方形状の糸状体と面接触し、走行する糸状体の面をほぼ90°の角度で変換してもよい(例えば、巻き取りユニットから繰り出される断面長方形状の糸状体の面を、ガイドにより横方向から縦方向へ変換してもよい)。
【0019】
本発明の装置(案内装置および製造装置)は、ドープ(例えば、繊維形成能を有する高分子及び溶媒を含むドープ)を紡糸するための紡糸ユニットと、この紡糸ユニットからの多数の糸状ドープを乾燥させるための乾燥ユニットと、この乾燥ユニットで生成したフィラメントの糸状体(集束体又は帯状糸状体)に油剤を適用するためのユニットと、油剤が付着した糸状体(集束体又は帯状糸状体)を周回させ、かつ走行方向を縦方向から横方向へ変換するための巻き取りユニットと、この巻き取りユニットからの糸状体の走行方向を、走行方向に対して交差する横方向へ変換するためのガイドとで構成されたステーションを備えていてもよい。通常、紡糸ユニットや乾燥ユニットなどが巻き取りユニットの上方に位置しており、前記巻き取りユニットには、糸状体(集束体又は帯状糸状体)が上方から供給される。
【0020】
さらに、方向変換ガイドにより走行方向が変換された糸状体は、集積又は積層して積層体を形成してもよい。例えば、本発明の案内又は製造装置は、互いに隣接して配設された複数のステーションと、前記方向変換ガイドにより走行方向が前記ステーションの隣接方向に変換された糸状体(集束体又は帯状糸状体)を集積又は積層するための積層ユニットを備えていてもよい。断面長方形状を有する無限長の糸状体(集束体又は帯状糸状体)では、通常、断面の長辺の面が集積又は積層され、集積体又は積層体(トウバンドやトウなど)が形成される。
【0021】
本発明は、紡糸フィラメントで構成された糸状体を少なくとも1つのガイドと接触させることにより、走行方向を変換して糸状体を製造する方法であって、最も大きな摩擦力を生じるガイドの軸線を糸状体の走行方向に対して交差させ、最も大きな摩擦力を生じるガイドとの接触前の糸状体の張力をT1、前記ガイドとの接触後の糸状体の張力をT2とするとき、張力差(T1−T2)を30〜75gf(≒0.3〜0.75N)にして糸状体の走行方向を変換する糸状体の製造方法も含む。この方法でも、隣接する複数のステーションで、それぞれ、走行する帯状糸状体とガイドとを面接触させて帯状糸状体の走行方向を変換し、各ステーションから供給される帯状糸状体を順次集積又は積層して帯状糸状体の積層体を製造してもよい。
【0022】
さらに、本発明は、糸状体と接触する少なくとも1つのガイドにより糸状体の走行方向を変換して糸状体の糸切れを低減させる方法であって、最も大きな摩擦力を生じるガイドの軸線を糸状体の走行方向に対して交差させ、最も大きな摩擦力を生じるガイドとの接触前の糸状体の張力をT1、前記ガイドとの接触後の糸状体の張力をT2とするとき、張力差(T1−T2)を30〜75gf(例えば、60f以下)にして糸状体の糸切れを低減させる方法も包含する。この方法では、最大摩擦力を生じさせるガイドでの糸切れ頻度を、例えば、糸状体1トン当たり0.1回以下に低減できる。複数のガイドで前記糸状体を案内する場合、150mm以上の間隔で配設された複数のガイドで糸状体を案内してもよい。さらに、乾式紡糸により生成した糸状体を乾燥して溶媒含有量を10重量%以下に低減し、ガイドにより生じる張力差(T1−T2)よりも糸状体の強度を大きくして糸切れ頻度を低減してもよい。
【0023】
なお、本明細書において、マルチフィラメント、ヤーン、トウなどのフィラメントの集束体又は集合体を総称して「糸状体」という場合がある。また、「帯状糸状体」は当業者間でヤーン、エンドやリボンなどと称される扁平な帯状体を含む意味に用いる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。図1は本発明の案内又は製造装置を説明するための概略斜視図である。
【0025】
図1に示す装置(案内装置および製造装置)は、乾式紡糸によるフィラメントの集束体を帯状の形態で供給するための複数のステーションと、これらのステーションの配列に沿ってステーションから供給される無限長の帯状糸状体(ヤーン)を順次集積又は積層して積層体を形成するための積層ユニットとを備えている。複数のステーションは所定間隔をおいて一列に配置されている。
【0026】
各ステーションは、ドープ(例えば、繊維形成能を有する高分子及び溶媒を含むドープ)を口金から吐出させて紡糸するための紡糸ユニットと、この紡糸ユニットからの多数の糸状ドープを乾燥させるための筒状乾燥ユニット1と、この乾燥ユニットで生成した多数の糸状フィラメント20の幅に調整するための幅決めガイド2と、この幅決めガイドにより集束された断面長方形状の糸状体(帯状体又は帯状糸状体)20を案内するためのガイド部材3と、このガイド部材で案内された帯状糸状体20に油剤を適用するための回転可能な油剤付着ユニット又はロール4と、油剤が付着した帯状糸状体20の幅をさらに小さくするためのガイド部材5と、このガイド部材で案内された帯状糸状体20を約3/4周回させ、帯状糸状体20を側方(複数のステーションの配置方向に対して交差、特に直交する一方の方向)に供給する(又は送り出す)ためのゴデットロール(巻き取りユニット又は巻き取りガイド)6と、このゴデットロールから送り出された帯状糸状体(ヤーン又はリボン)20の走行方向を複数のステーションの配置方向(隣接方向)に変換させるためのピンガイド(方向変換ガイド)7とを備えている。なお、図1に示されるように、紡糸ユニット、乾燥ユニット1、油剤付着ユニット4は、前記ゴデットロール(巻き取りガイド)6の上方に位置しており、ピンガイド(方向変換ガイド)7は前記ゴデットロール(巻き取りガイド)6の側方に位置している。
【0027】
前記ゴデットロール(巻き取りユニット又はガイド)6へは上方から帯状糸状体20が供給され、ゴデットロール(巻き取りユニット又はガイド)6の周面では帯状糸状体20が周回し、帯状糸状体20の面を横方向に向けてピンガイド7へ送り出される。
【0028】
そして、このピンガイド7では、前記帯状糸状体20が面接触し、方向変換に伴って糸状体20との摩擦力が最も大きくなり、糸切れ頻度が多くなる。そのため、本発明では、帯状糸状体20の走行方向に対して実質的に直交する方向(実質的に直交する縦方向)に軸線を向けて前記ピンガイド(方向変換ガイド)7を配設し、このピンガイド7により帯状糸状体20の走行方向を実質的に90°の角度で変換している。また、前記ピンガイド7は断面長方形状の糸状体と面接触し、走行する糸状体20の面を横方向から縦方向へほぼ90°の角度で変換している。
【0029】
前記ピンガイド7により方向変換された帯状糸状体は、隣接する複数のステーションから供給されるヤーンと合流しつつ積層ユニットに供給され、順次積層ユニットにより集積又は積層され、捲縮機へ供給される。すなわち、上流側に位置するステーションからは、帯状糸状体又はトウバンド21が支持ガイド(支持ピンガイド)8で支持されながら下流側に供給される。一方、隣接する下流側のステーションでは、前記トウバンド21の上方域に前記ピンガイド7が配設されており、このピンガイド7により方向変換された帯状糸状体20がその面を縦方向から横方向に変えながら補助ピンガイド(補助ガイド)9に供給される。この補助ピンガイド9は、帯状糸状体20を支持してトウバンド21に案内するため、トウバンド21上方に近接して配設され、かつ帯状糸状体20の走行方向に対して直交する方向に延びている。補助ピンガイド9で支持された帯状糸状体20は、トウバンド21の上面に近接して配設された積層ピンガイド(積層ガイド)10の下部に供給され、位置決め精度を低下させることなく前記トウバンド21と積層される。なお、支持ピンガイド8、補助ピンガイド9および積層ピンガイド10は回転可能であってもよい。
【0030】
なお、ゴデットロール6から接線方向に繰り出される帯状糸状体20の面は横方向(例えば、水平方向)となり、ピンガイド7では、帯状糸状体(ヤーン)20の面はピンガイド7の表面と接触してピンガイド7の軸方向と平行(例えば、鉛直方向)になる。さらに、帯状糸状体20が補助ピンガイド9から積層ピンガイド10を通過し、トウバンド21と合流し積層される過程では、帯状糸状体20を含めたトウバンド21の面は、横方向(例えば、水平方向)となる。また、ゴデットロール(巻き取りガイド)6、ピンガイド(方向変換ガイド)7、補助ピンガイド(補助ガイド)9及び積層ピンガイド(積層ガイド)10の間の距離はそれぞれ150mm以上(例えば、200〜500mm程度)に設定されている。
【0031】
このような装置では、500m/分以上の紡糸速度であっても、最も大きな摩擦力を生じるピンガイド7との接触前(又はガイド7を通過前)の糸状体の張力をT1、前記ガイド7との接触後(又はガイド7を通過後)の糸状体の張力をT2とするとき、図3に示す装置よりも、張力差(T1−T2)を20〜100gf(≒0.2〜1N)程度減少させることができ、張力差(T1−T2)を30〜75gf、好ましくは35〜75gf(例えば、35〜70gf)、特に60gf以下(例えば、35〜60gf)に低減できる。そのため、張力差(T1−T2)を低減させる方法では、最大摩擦力を生じさせるガイドでの糸切れ頻度を、例えば、糸状体1トン当たり0.1回以下に低減できる。また、糸状体の糸切れを防止しつつ、均一性の高い帯状糸状体又は積層体を製造できる。従って、本発明は、張力差(T1−T2)を30〜75gf(例えば、60gf以下)にして糸状体を製造する方法および糸状体の糸切れを低減させる方法も包含する。なお、糸状体の前記張力差(T1−T2)は、1.5〜10デニール(例えば、3〜6デニール)のフィラメント(セルロースアセテートフィラメントなど)で構成され、かつ全体のデニールが1500〜2500程度のヤーンについて走行速度500〜600m/分、糸状体(ヤーンなど)の幅(接触幅)3〜10mm程度の条件で測定した値である。
【0032】
図3に示す装置では、方向転換用ガイドが、横方向に設置されている。すなわち、ピンガイドの軸線が、ゴデットロールからの帯状糸状体の送り出し方向と、この送り出し方向と直交し、かつ方向変換された帯状糸状体の走行方向とを含む横方向の面内において、ゴデットロールからの帯状糸状体の送り出し方向および方向変換された帯状糸状体の走行方向に対して45°の角度で交差する方向に向いている。そのため、ガイディング全体中のピンの中でピンガイドでの張力差が75〜150gfと最大張力差を生じさせており、このピンガイドとの接触により非常に大きな頻度で糸切れを誘発させる。図3に示す装置では、最大摩擦ピンでの糸切れ頻度が糸状体1トン当たり0.3〜2回程度である。
【0033】
なお、糸状体(ヤーンなど)の破断を防止するためには、ピンガイド7での張力差は小さい方が好ましいが、ピンガイド7を走行前後(又は接触前後)の糸状体の張力差(T1−T2)を30gf未満にすると、ピンガイド7に対する糸状体(ヤーンなど)の接触位置が変動し、安定に走行できなくなる。そして、ピンガイド上での糸状体(ヤーンなど)の接触位置が安定しないと、ピンガイド上で走行する糸状体(ヤーンなど)の位置が振れ、糸状体(ヤーンなど)の捻りなどが生成しやすくなる。なお、摩擦力は引き取り張力に依存し、引き取り張力は引き取り速度(又は紡糸速度)と関連するため、紡糸速度を遅くすれば、従来の設置方向のピンガイドでも張力差(T1−T2)を適当に調整可能であるかもしれないが、極端に紡糸速度が低下し、生産量の減少につながり現実的ではない。そのため、生産性を低下させることなく均一な糸状体を効率よく製造するため、本発明は、紡糸速度(巻き取り速度又は走行速度)100〜2000m/分、好ましくは300〜1000m/分、さらに好ましくは400〜700m/分程度で糸状体を製造するのに好適である。
【0034】
さらに、糸状体との接触面積及び摩擦力を低減させるため、ピンガイドの径を調整してもよい。例えば、摩擦力を低減するため、小さな直径のピンガイドを用いることも考えられる。しかし、ピンガイドの直径を小さくすると、摩擦力が小さくなりすぎて張力差(T1−T2)が30gf未満となり、ピンガイド上での糸状体の接触位置又は走行位置が変動しやすくなる。そのため、ピンガイドの直径は、糸状体の走行速度などに応じて、例えば、1〜30mmφ程度の範囲から選択でき、通常、3〜20mmφ、好ましくは5〜15mmφ程度である。
【0035】
なお、前記の例では、方向変換ピンガイド7、支持ピンガイド8、補助ピンガイド9および積層ピンガイド10のうち、糸状体20の張力差(T1−T2)が最も大きなピンガイド7の軸線方向を特定の方向に向けているが、糸状体の走行方向に対して交差し、かつ前記張力差(T1−T2)が30〜75gfである限り、前記ピンガイドは種々の方向に向けて配設できる。例えば、前記の例では、糸状体20の走行方向に対して実質的に直交する垂直方向(90°の縦方向)にピンガイドを配設しているが、張力差(T1−T2)が30〜75gfである限り、ピンガイドの軸線は、糸状体20の走行方向に対して角度70〜100°、好ましくは80〜100°程度の範囲内で交差(特に縦方向に交差)していてもよい。
【0036】
また、ピンガイド7により帯状糸状体20の走行方向を実質的に90°の角度で変換しているが、ガイド(ピンガイド)は、糸状体の走行方向を、例えば、70〜110°、特に80〜100°程度の角度で変換可能であってもよい。
【0037】
また、前記の例では、巻き取りユニット(又は巻き取りガイド)により複数のステーションからの糸状体の面を横方向(水平方向)に繰り出し、方向変換ガイドにより糸状体の面を縦方向(垂直方向)にして複数のステーションの配列方向(角度90°)に走行させているが、案内装置や方法の様式に応じて、糸状体の面は、例えば、縦方向から横方向に変換してもよく、斜め方向から縦方向などの種々の方向に糸状体の面の角度を変化させてもよい。
【0038】
さらに、本発明は、糸状体と接触し、かつ糸状体の走行方向を変換するための少なくとも1つのガイドを備えた装置や方法に適用できる。複数のピンガイドを利用して糸状体を走行又は案内する場合、張力差が70gfを越えるピンガイドについて前記のように配置すればよく、1つのピンガイドに限らず、複数のピンガイドの角度を調整し、最終的に全てのガイドでの張力差(T1−T2)の最大値を30〜75gfにしてもよい。
【0039】
糸状体の案内において、ガイド部材はピン状ガイドに限らず、種々のガイド部材、例えば、ロール状やロッド状などのガイドであってもよく、必要であれば、プレート状ガイド部材を用いてもよい。また、前記張力差を生成できる限り、ピンガイドを含めロール状ガイドなどの断面円筒状ガイドは回転可能であってもよい。
【0040】
なお、乾式紡糸において、各ステーションは、紡糸ユニットと乾燥ユニットと油剤付着ユニットと巻き取りユニットと方向変換ガイドとを備えていればよく、幅決めガイド2,ガイド部材3,5などは必ずしも必要ではない。また、糸状体の通過過程で糸状体の幅を規制するため、幅決めガイド2,ガイド部材3,5は所定幅の孔(例えば、導入口よりも導出口の幅が狭くなった貫通孔など)を有していてもよい。なお、糸切れを抑制するためには、油剤が付着した帯状糸状体20の幅をさらに小さくするためのガイド部材5を、油剤を一時的に貯留するため内面がアール又は凹状に形成された逆円錐台状の糸状導入口と、この導入孔から延び、かつ糸状体の幅を規定するための糸状導出口と、前記アール部の油剤を糸状導出口に導くための流路とを備えた構造(湾曲させた構造)に形成してもよい(特開2001−40525号公報参照)。
【0041】
[ガイド間の距離]
図1に示す装置又はその方法では、前記のように、ゴデットロールから繰り出される帯状糸状体(ヤーン)の面は、横方向からピンガイドで縦方向に変わり、さらに積層ピンガイドでは横方向に変化する。そのため、帯状糸状体の捩れによりトウバンドに対して帯状糸状体の幅が変動する場合がある。そして、ゴデットロール(巻き取りガイド)6とヤーンの走行方向を変換するためのピンガイド7(方向変換ガイド)との間の距離、およびピンガイド(方向変換ガイド)7と補助ピンガイド(補助ガイド)9又は積層ピンガイド(積層ガイド)10との間の距離は、ゴデットロール6からトウバンド21への積層に至るまでの間のヤーン20の幅に影響を及ぼす。すなわち、ヤーン20の幅が変動すると、幅方向でのトウバンド21の密度の均一性も変動する。そのため、ピンガイド7とゴデットロール6との距離と、ピンガイド7とヤーンがトウバンドに積層される位置に設置された補助ピンガイド9又は積層ピンガイド10との距離をそれぞれ規定すると、ヤーンの振れ幅を抑制しつつ、スムーズにヤーンの面の角度を変更できるとともに、ヤーンの走行方向をスムースに変換(例えば、90°方向転換)可能であり、ヤーンおよびトウバンドの密度の均一性、幅の保持性を確保したままヤーンの破断率を低減できる。
【0042】
前記ゴデットロール(巻き取りユニット)6とピンガイド(方向変換ガイド)7との距離、ピンガイド(方向変換ガイド)7と補助ピンガイド9又は積層ピンガイド10との距離は、それぞれ150mm以上(例えば、150mm〜1m)、好ましくは150〜500mm(例えば、150〜300mm)、さらに好ましくは150〜250mm程度である。前記距離が150mm未満では、捩じれによりゴデットロール6とピンガイド7との間及び/又はピンガイド7と補助ピンガイド9又は積層ピンガイド10との間でヤーンの幅が細くなり、ヤーンの幅が、トウバンドに対して狭くなりすぎ、トウバンドの幅や幅方向の密度の不均一性が大きくなる。なお、前記距離は、ロールやピンの軸心を中心点として、ヤーンの走行経路に沿って測定した長さである。
【0043】
なお、複数のロール及びガイドで前記糸状体を案内する場合、糸状体に大きな張力差(例えば、30gf以上、好ましくは40gf以上の張力差)を作用させるロール又はガイド間の距離が150mm以上であればよく、例えば、方向変換ガイド(ピンガイドなど)と積層ガイド部材(積層ピンガイドなど)との距離を150mm以上に設定し、方向変換ガイド(ピンガイドなど)と補助ガイド(補助ピンガイドなど)との距離は150mm未満であってもよい。
[溶媒含有量及び糸状の強度]
さらに、乾式紡糸により糸状体を製造する場合、前記方向変換ガイドにより摩擦力を低減して糸状体の走行方向を変換させても、フィラメント又はヤーンの強度によっては、糸切れが生じる可能性がある。すなわち、ヤーンの破断は糸条の強度とも相関関係があり、方向変換ガイドでの張力差(T1−T2)よりも糸条の強度を大きくすることにより、糸切れを抑制することも可能である。そして、糸条の乾燥性とヤーンの切断との関係について検討したところ、糸状ドープの乾燥工程において、種々の乾燥因子(ドープ温度、紡糸空気温度、紡糸空気湿度などの乾燥条件)を強化することで、ヤーンの糸切れが減少し、糸条の強度が所定の値以上であれば、ヤーンの切断頻度を殆ど無視し得る程度にまで低減できることを見いだした。糸条の強度は、繊維の種類にも依存するため一概に断定できないが、3〜6デニールのセルロースアセテートフィラメントで構成され、かつ全体のデニールが1500〜2500程度のヤーンについて、少なくとも1100gf(≒11N)以上(例えば、1100〜1250gf)、好ましくは1100〜1220gf(例えば、1160〜1220gf)程度である。乾燥が過度に進行し、強度が大きすぎると、ガイドを利用したヤーンの走行(又は巻き上げ)に伴って毛羽立ちが発生しやすくなる。
【0044】
糸条の乾燥度(溶媒含有量)と破断強度との間には相関関係が認められる。そのため、乾式紡糸により生成した糸状体を乾燥して溶媒含有量を10重量%以下に低減し、ガイドにより生じる張力差(T1−T2)よりも糸状体の強度を大きくして糸切れ頻度を低減してもよい。糸条に残存する溶媒(例えば、アセトン)量は、繊維の種類などに応じて選択でき、例えば、セルロースアセテート繊維については、10重量%以下(例えば、3〜9.5重量%)、好ましくは5〜9.5重量%(例えば、5.6〜9.1重量%)、さらに好ましくは5.5〜9重量%(例えば、5.5〜7.4重量%)程度である。このような溶媒含有量とすることにより、セルロースアセテート繊維の糸条の強度を所定の値(例えば、1100〜1220gf)に高めることができる。なお、溶媒含有量は、紡糸及び乾燥条件、例えば、ドープ温度、紡糸空気温度、紡糸空気湿度などの条件により調整できる。
【0045】
なお、油剤の適用量は、例えば、乾燥(絶乾)した糸状体(フィラメント、ヤーン、トウなど)100重量部に対して固形分換算で0.4〜2重量部、好ましくは0.5〜1.8重量部、特に0.6〜1.5重量部程度である。油剤としては、慣用の成分、例えば、鉱物油、界面活性剤(例えば、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤など)などが例示できる。非イオン系界面活性剤としては、例えば、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体、高級アルコールのエチレンオキサイド付加体(ポリオキシエチレンモノラウレートなど)、高級脂肪酸のエチレンオキサイド付加体、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加体、脂肪酸多価アルコールのエチレンオキサイド付加体(ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加体など)、脂肪酸多価アルコールエステル(ソルビタン脂肪酸エステル、例えば、ソルビタンラウレートなど)、ショ糖脂肪酸エステルなどが例示できる。これらの成分は単独で又は混合して使用でき、鉱物油と界面活性剤とを組み合わせて用いてもよい。なお、鉱物油と界面活性剤とを併用する場合、両者の割合は、鉱物油/界面活性剤=50/50〜75/25(重量%)程度であってもよい。油剤の形態は溶液であってもよく分散体(エマルジョンなど)であってもよい。
【0046】
さらに、エマルジョン型油剤の適用などにより繊維(セルロースアセテート繊維など)が溶媒として水分を含有する場合、水分含有量もヤーンの破断強度に影響を及ぼす。水分量は、乾燥(絶乾)した糸状体(フィラメント、ヤーン、トウなど)100重量部に対して15〜25重量部、好ましくは17〜23重量部、特に17〜20重量部程度である。
【0047】
積層ユニットは、前記支持ピンガイド、補助ピンガイドや積層ピンガイドに限らず、種々のガイド部材や重複部材、例えば、ローラ(一対のローラなど)、プレート状ガイドなどで構成してもよい。
【0048】
前記糸状体は、種々の繊維、例えば、溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸などにより生成した繊維で構成してもよく、繊維を構成する高分子成分は繊維形成能を有する限り特に制限されない。例えば、繊維としては、再生繊維(レーヨン繊維、ビニロン繊維)、半合成繊維(セルロースエステル繊維)、合成繊維(ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)、ポリアミド繊維(脂肪族又は芳香族ポリアミド繊維など)、ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維などのポリアルキレンアリレート系繊維、全芳香族ポリエステル繊維など)、アクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアセタール系繊維など)などが例示できる。
【0049】
本発明は、乾式紡糸及び溶融紡糸による糸状体の製造、特に乾式紡糸による糸状体の製造に好適である。乾式紡糸に利用できる高分子としては、溶剤に可溶な高分子である限り特に制限されず、通常、セルロースエステル(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテートなど)、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂(ポリアクリロニトリルなど)、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが例示できる。これらの高分子のうち、乾式紡糸法を有利に利用できるセルロースアセテートが好適である。なお、セルロースアセテート繊維は、繊維;紙おむつ、生理用品などの衛生用品;たばこフィルターなどに広く利用されている。
【0050】
乾式紡糸において、溶媒としては、前記高分子の種類に応じて種々の溶媒、例えば、水、炭化水素類(ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエチレンなどの塩素含有炭化水素など)、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル、ジメトキシエタンなどの鎖状エーテル)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど)、カルビトール類、アミド類(ホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)などが例示できる。これらの溶媒は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0051】
前記糸状体は、紡糸により生成したフィラメントで構成された集束体(マルチフィラメント、ヤーンなど)であってもよく、糸状体の断面形状は、前記ガイドと面接触可能な長方形状であってもよい。ヤーンなどの糸状体は、例えば、厚み1mm以下(例えば、0.01〜0.8mm、好ましくは0.05〜0.5mm程度)、幅15mm以下(例えば、2〜15mm、好ましくは2〜10mm程度)の無限長の直方体状であってもよい。なお、断面長方形状を有する無限長の糸状体(集束体又は帯状糸状体)では、通常、断面において長辺の面が集積又は積層され、集積体又は積層体(トウバンドやトウなど)が形成される。
【0052】
糸状体は、適当なフィラメント(例えば、1.5〜10デニール、好ましくは2〜8デニール程度のフィラメント)で構成してもよく、糸状体全体のデニールは、特に制限されず、1000〜5000、好ましくは1500〜2500程度であってもよい。
【0053】
なお、トウバンドやトウの製造においては、例えば、5〜100程度(好ましくは10〜75程度、さらに好ましくは20〜50程度)のヤーンを集積又は積層してもよい。例えば、たばこフィルタートウの製造では、フィルターの性能の観点から、5〜50程度(好ましくは10〜50程度)のヤーンを集積又は積層してトウバンドを製造できる。なお、ヤーンを積層してトウバンドを製造する場合、ヤーンの数に応じたステーションからヤーンが供給される。
【0054】
なお、繊維の種類によっては油剤は必ずしも繊維に適用する必要はない。油剤としては、種々の形態(例えば、溶液又は分散体)で利用できる。油剤としては、通常、エマルジョン(例えば、油脂濃度が1〜10重量%程度のO/W型エマルジョンなど)が使用される。
【0055】
本発明は、糸状体、例えば、繊維、トウ(タバコフィルターのトウなど)などを製造するのに適している。特に、連続して走行する無限長の糸状体(フィラメントを束ねた帯状体(ヤーン)など)を整列して積層させ、積層集合体を形成するのに有用である。
【0056】
【発明の効果】
本発明では、ガイドに対して特定の張力差で糸状体を走行させるので、糸状体の糸切れを有効に抑制できる。また、糸切れ頻度を低減できるとともに、高い均一性および品質のトウバンドやトウを安定に製造できる。そのため、セルロースアセテート繊維などのフィラメントで構成された糸状体(マルチフィラメントやヤーン)を円滑かつ効率よく集積又は積層して均一なトウバンドやトウを製造できる。
【0057】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0058】
実施例1及び比較例1
セルロースジアセテート28.5重量%、アセトン68.5重量%、酸化チタン0.5重量%および純水2.5重量%の混合溶液を紡糸溶液として調製し、この紡糸溶液をろ過して脱泡し、一辺58μmの三角形の細孔400個を有する紡糸口金(95mmφ)を利用して、吐出量333g/分、紡糸速度600m/分の条件で紡糸し、乾燥ゾーンで空気温度95℃で乾燥した。乾燥直後に油脂濃度約5%のO/W型エマルジョンである油剤を付着させガイディングを行った。この紡糸条件で6つの紡糸筒を用いて紡糸し、各紡糸筒毎に糸条(ヤーン、700本)の張力差(T1−T2)を測定した。張力の測定方法はガイディングされているヤーンをピンガイドの前後で直接テンションメーター(横河電子機器株式会社製 テンションメーター 形式 T−101−30)に掛けて測定することにより、ピンガイド入口張力とピンガイド出口張力を測定し、これらの測定値の差から張力差(T1−T2)を算出した。なお、実施例では、図1に示す構造のピンガイド(軸線が糸状体の走行方向に対して90°の角度で縦方向に向いたピンガイド)を用い、比較例では図3に示すピンガイド(軸線が糸状体の走行方向に対して0°の角度で横方向に向いたピンガイド)を用いた。各ガイド部材(巻き取りガイド、方向変換ガイド、補助ガイド、積層ガイド)間の距離はそれぞれ150mmに設定した。
【0059】
さらに、前記紡糸条件で40日間連続して紡糸し、40日間にわたる紡糸での糸切れ頻度を記録し、各紡糸筒につき製造量1t当たりの糸切れ回数を求め、糸切れ頻度とした。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1の通り、実施例では、比較例1に比べて、全ての紡糸筒で張力差が概ね半減し、張力差(T1−T2)を30〜75gf(≒0.3〜0.75N)に低減できた。また、糸切れ頻度(回/t)を全ての紡糸筒で0.1以下に低減でき、糸状体を安定に製造できた。
【0062】
実施例2
実施例1と同じ紡糸条件で紡糸し、糸条の強度と糸切れ頻度との関係について調べた。なお、糸条の強度は、油剤エマルションを塗布することなく、ゴデットロール部でサンプルを採取して直ちにラップに包み、アセトンの蒸発飛散を防止した状態で万能引張試験機に装着し、測定直前にラップを取り除いて引張速度200mm/分で引張り、破断するまでの最大強度を測定した。結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
表2から明らかなように、糸条の強度が1160gf以上となると、糸切れ頻度は0.05回/t以下となり、強度の増加に伴って、糸切れ頻度が0.02回/tとなった。
【0065】
実施例3
紡糸工程及び乾燥工程において、ドープ温度、紡糸空気温度、紡糸空気湿度などの乾燥条件を変化させ、糸条の残存アセトン量と糸条強度との関係を調べた。なお、残存アセトン量は、一定量の糸条(5g)を25mlのバイアル瓶に封入し、水で置換して水中に抽出されたアセトン量をガスクロマトグラフィーにて分析することにより測定した。また、前記糸状に代えて、ガスクロマトグラフィーで一般的に用いられている内部標準試料を封入して同様に測定し、標準とした。また、糸条強度は実施例2と同様にして測定した。結果を表3及び図4に示す。
【0066】
【表3】
【0067】
表3及び図4に明らかなように、残存アセトン量の増加に伴って糸条の強度が低下し、前記セルロースアセテート繊維のヤーンでは、残存アセトン量が7.4重量%以下で、糸条の強度が1160gf(≒11.6N)以上のヤーンを得ることができる。
【0068】
実施例4
紡糸工程及び乾燥工程において、ドープ温度、紡糸空気温度、紡糸空気湿度などの乾燥条件を変化させ、糸条の水分含有量と糸条強度との関係を調べた。結果を図5に示す。図5から明らかなように、乾燥したトウ100重量部当たり水分量15〜25重量部程度で、糸状の強度1120gf(≒11.2N)以上のヤーンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の装置を説明するための概略斜視図である。
【図2】図2は図1に示す装置においてヤーンの走行状態を示す概略図である。
【図3】図3は従来の装置を説明するための概略斜視図である。
【図4】図4は実施例3における残存アセトン量と糸条の強度との関係を示すグラフである。
【図5】図5は実施例4における水分含有量と糸条の強度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…乾燥ユニット
2…幅決めガイド
3,5…ガイド部材
4…油剤付着ユニット又はロール4
6…ゴデットロール(巻き取りガイド)
7…ピンガイド(方向変換ガイド)
8…支持ガイド(支持ピンガイド)
9…補助ピンガイド(補助ガイド)
10…積層ピンガイド(積層ガイド)
20…糸状フィラメント,帯状糸状体
21…トウバンド
Claims (8)
- 糸状体と接触し、かつ糸状体の走行方向を変換するための少なくとも1つのガイドを備えた案内装置であって、最も大きな摩擦力を生じるガイドの軸線が糸状体の走行方向に対して交差しており、最も大きな摩擦力を生じるガイドとの接触前の糸状体の張力をT1、前記ガイドとの接触後の糸状体の張力をT2とするとき、張力差(T1−T2)が30〜75gfである案内装置。
- 糸状体の走行方向に対してガイドの軸線が実質的に直交する方向に向いており、糸状体の走行方向を実質的に90°の角度で変換可能である請求項1記載の案内装置。
- 糸状体が、乾式紡糸により生成したセルロースエステル繊維で構成されたマルチフィラメント又はヤーンであり、前記糸状体の断面形状がガイドと面接触可能な長方形状である請求項1記載の案内装置。
- 互いに隣接して配設され、かつ帯状糸状体を供給するための複数のステーションと、各ステーションから供給された帯状糸状体を集積又は積層するための積層ユニットを備えている装置であって、
前記各ステーションが、ドープを紡糸するための紡糸ユニットと、この紡糸ユニットからの多数の糸状ドープを乾燥させるための乾燥ユニットと、この乾燥ユニットで生成したフィラメントの帯状糸状体に油剤を適用するためのユニットと、油剤が付着した帯状糸状体を周回させ、前記ステーションの隣接方向に対して交差する方向へ供給するための巻き取りユニットと、この巻き取りユニットから供給された帯状糸状体の走行方向を、前記ステーションの隣接方向に変換するための方向変換ガイドとで構成されており、
前記帯状糸状体とが接触可能な方向変換ガイドの軸線が帯糸状体の走行方向に対して交差しており、前記方向変換ガイドとの接触前の糸状体の張力をT1、前記ガイドとの接触後の糸状体の張力をT2とするとき、張力差(T1−T2)が30〜75gfである請求項1記載の案内装置。 - 紡糸フィラメントで構成された糸状体を少なくとも1つのガイドと接触させることにより、走行方向を変換して糸状体を製造する方法であって、最も大きな摩擦力を生じるガイドの軸線を糸状体の走行方向に対して交差させ、最も大きな摩擦力を生じるガイドとの接触前の糸状体の張力をT1、前記ガイドとの接触後の糸状体の張力をT2とするとき、張力差(T1−T2)を30〜75gfにして糸状体の走行方向を変換する糸状体の製造方法。
- 隣接する複数のステーションで、それぞれ、走行する帯状糸状体とガイドとを面接触させて帯状糸状体の走行方向を変換し、各ステーションからの帯状糸状体を順次集積又は積層して帯状糸状体の積層体を製造する請求項5記載の製造方法。
- 糸状体と接触する少なくとも1つのガイドにより糸状体の走行方向を変換して糸状体の糸切れを低減させる方法であって、最も大きな摩擦力を生じるガイドの軸線を糸状体の走行方向に対して交差させ、最も大きな摩擦力を生じるガイドとの接触前の糸状体の張力をT1、前記ガイドとの接触後の糸状体の張力をT2とするとき、張力差(T1−T2)を30〜75gfにして糸状体の糸切れを低減させる方法。
- 乾式紡糸により生成したセルロースアセテート繊維の糸状体を乾燥して溶媒含有量を10重量%以下に低減し、ガイドにより生じる張力差(T1−T2)よりも糸状体の強度を大きくして糸切れ頻度を低減する請求項7記載の方法。
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