JP2004067911A - 樹脂組成物 - Google Patents

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柳ヶ瀬 繁
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Abstract

【課題】真珠光沢顔料を含有する樹脂組成物に外観上の深みを付与する。
【解決手段】真珠光沢顔料を含有する樹脂成型物の表面を透明樹脂で被覆した樹脂組成物であって、真珠光沢顔料が鱗片状ガラスをそれより屈折率の高い金属酸化物薄膜で被覆したものである。樹脂成型物と透明樹脂の被覆膜との間に、上記真珠光沢顔料を含有する樹脂層を備える樹脂組成物。真珠光沢顔料は、平均厚さが0.3〜50μmで、平均粒径が10〜600μmのものである。金属酸化物薄膜は、その平均厚さが0.03〜0.8μmである。樹脂成型物中における真珠光沢顔料の含有率が0.05〜10質量%で、樹脂層中における真珠光沢顔料の含有率が0.1〜10質量%である。透明樹脂は、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂またはポリエーテルを主成分とするものである。透明樹脂の被覆膜の厚さが5〜50μmである樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば自動車用ダッシュボードなどの車両用内装部品、家電製品もしくはOA機器の筐体、化粧品容器またはインテリア雑貨など、外観が重要視される樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂製品の意匠性を高めるため、樹脂中に真珠光沢顔料を分散配合する技術が知られている。たとえば、特開平9−176515号公報には、鱗片状ガラスを基材としてその表面に二酸化チタン被膜を設けた真珠光沢顔料を樹脂中に配合した樹脂組成物が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開平9−176515号公報の記載の樹脂組成物では、真珠光沢顔料が鱗片状であるため樹脂組成物の表面に沿って積層してしまい、その表面から極浅い所でほとんどの光が反射されてしまうことから、またその表面の一部で真珠光沢顔料が飛び出して乱反射を生じることから、樹脂組成物には高い光輝性が付与される一方で、外観上の深みすなわち奥行き感がなくなり、高級感にやや欠ける問題があった。
【0004】
この発明は、このような問題点に着目して完成されたものである。その目的とするところは、真珠光沢顔料を含有する樹脂組成物に外観上の深みを付与することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明では、鱗片状ガラスを基材として、その表面を前記ガラスより屈折率の高い金属酸化物被膜で覆った真珠光沢顔料を用いて、この真珠光沢顔料を配合した樹脂成型物または樹脂層の表面を透明樹脂で被覆することを特徴とする。この透明樹脂の被覆膜を設けることにより、樹脂成型物または樹脂層の表面近傍に存在する真珠光沢顔料によるギラギラとした強い反射光を抑制するとともに、その表面における真珠光沢顔料の飛び出しに由来する乱反射を防止して、真珠光沢顔料の高い光輝性を損なうことなく、樹脂組成物の外観に奥行き感を付与することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0007】
透明樹脂の被覆膜は、真珠光沢顔料を含有する樹脂成型物または樹脂層の上に成形され、樹脂組成物の最表層を構成する。ここで、「樹脂成型物」とは、樹脂組成物の基本骨格を構成する部材であって、樹脂を主成分とするものであれば、その形状および大きさなどはとくに限定されない。また、「樹脂層」とは、前記樹脂成型物と透明樹脂の被覆膜との間に介在する樹脂を主成分とする層であって、物理的に分離分割できない一層構造でもよいし、複数種の樹脂を積層したものであってもよい。樹脂層は必須構成要素ではないが、透明樹脂と真珠光沢顔料とからなる樹脂層であれば、樹脂層中の真珠光沢顔料のみならず樹脂成型物中の真珠光沢顔料によっても反射が生じるので、その樹脂組成物に一層高い光輝性と外観上の深みとを付与することができる。
【0008】
樹脂成型物または樹脂層を構成する樹脂としては、その種類をとくに限定されるものではなく、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリメチルペンテン、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、AES樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルサルホンまたはポリブタジエン、あるいはこれらの共重合体、混合物または変性物などが挙げられる。これらの中でも、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、AS樹脂またはポリカーボネートが好適である。これらの樹脂は透明性が高く、樹脂成型物または樹脂層の内部にまで光が到達できるため、その内部に存在する真珠光沢顔料の反射光により、樹脂組成物の光輝性が一層高まるからである。
【0009】
透明樹脂としては、その種類をとくに限定されるものではなく、たとえばアクリル樹脂、アミノ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂またはポリエーテル、あるいはこれらの共重合体または混合物が挙げられる。前記の透明樹脂を主成分とするものであれば、高い可視光透過率を実現することができる。なお、「主成分」とは、慣用に従い、50質量%以上の成分をいう。
【0010】
架橋剤には、紫外線照射で架橋反応を開始するタイプ(以下、「UV硬化タイプ」という)と、加熱により架橋反応を開始するタイプ(以下、「加熱硬化タイプ」という)とがある。いずれのタイプの架橋剤も利用可能であるが、加熱硬化タイプの架橋剤のみを用いた場合、透明樹脂の被覆膜における表面と内部とで架橋反応の進行速度が異なるため、その表面に凹凸が形成されたり、また被覆膜が剥離し易くなったりする。また、透明樹脂の特性を活かせることから、透明樹脂の被覆膜において均一に架橋反応が進行するUV硬化タイプの架橋剤が好ましい。さらに、UV硬化タイプの架橋剤であれば、樹脂組成物を構成する他の材料の耐熱性を考慮する必要がなく、材料選択の余地が拡がるなど有利な点もある。しかしながら、UV硬化タイプの架橋剤のみを使用した場合には、架橋剤と透明樹脂との組み合わせによっては、透明樹脂が退色するなどの不都合が生じることもある。この退色が問題となる場合は、UV硬化タイプと加熱硬化タイプとを併用することが好ましい。UV硬化タイプの架橋剤としては、ベンゾトリアゾール系のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾールまたはヒドロキシフェニルベンゾフェノンなどが、さらにヒドロキシフェニルトリアジン系のヒドロキシフェニルトリアジンなどが挙げられる。加熱硬化タイプの架橋剤としては、アミノ樹脂、アミン系樹脂、イソシアネート化合物、ポリアミドまたは多価カルボン酸などを含有するものが好ましい。
【0011】
また、透明樹脂が硬化性タイプの場合、硬化後の透明樹脂の被覆膜における架橋剤の含有率は、固形分で10〜50質量%が好ましく、さらには15〜40質量%が好適である。この含有率が10質量%未満では、架橋が不足して、透明樹脂の被覆膜の強度が低下し易い。一方、50質量%を越えると、透明樹脂の被覆膜の化学的安定性が損なわれるばかりか、架橋反応が急激に進行してしまい、被覆膜の表面に凹凸が形成され、樹脂組成物の外観に問題が生じ易い。
【0012】
透明樹脂の被覆膜は、その平均厚さが5〜50μmであることが好ましい。この厚さが5μm未満の場合は、樹脂組成物に十分な奥行き感を付与することが困難になる。一方、50μmを超えると、樹脂組成物の奥行き感が向上しないばかりか、その被覆層による入射光および反射光の吸収が無視できなくなり、樹脂組成物の光輝性が低下するおそれがある。この平均厚さのさらに好ましい範囲は5〜30μmである。
【0013】
また、透明樹脂の被覆膜は、その表面が平滑であるほど好ましい。この被覆膜の表面に凹凸が形成されると、入射光および反射光が散乱し、樹脂組成物の光輝性が損なわれ易いからである。
【0014】
真珠光沢顔料は、鱗片状ガラスからなる基材を、そのガラスより屈折率の高い金属酸化物薄膜で被覆したものである。基材が鱗片状であることから、真珠光沢顔料の比表面積は極めて大きい。そのため、真珠光沢顔料の含有率が低くても、樹脂組成物は高い光輝性を示すことができる。また、鱗片状ガラスは、マイカなどの結晶性物質に特有の劈開性がないため、樹脂に配合・混練される際にも破砕され難く、初期の粒径をそのまま維持できる。すなわち、樹脂組成物の製造工程において、この真珠光沢顔料は、光輝性が従来のパールマイカなどと比べて低下し難い。さらに、鱗片状ガラスは表面が極めて平滑であるため、その表面において乱反射が生じ難く、一定方向に強い光を反射できる。樹脂組成物中において、真珠光沢顔料の前記特質を有効に発揮させることにより、樹脂組成物の光輝性を一層高めることができる。
【0015】
金属酸化物薄膜は、基材である鱗片状ガラスよりも、屈折率が高いものである。鱗片状ガラスにはEガラス組成、Cガラス組成またはAガラス組成など数種類存在するが、それらの屈折率は全て1.4〜1.7の範囲にある。これに対し、金属酸化物の屈折率は、その種類により大きく異なり、たとえば二酸化ケイ素(シリカ)の1.45からルチル型二酸化チタンの2.7まで実に多様である。鱗片状ガラスの表面を屈折率の高い金属酸化物薄膜で被覆することにより、またそれらの屈折率の差を大きくすることにより、樹脂組成物の光輝性を一層高めることができる。これは、前記屈折率の差が大きいほど、金属酸化物薄膜の表面における反射が生じ易くなり、同様に鱗片状ガラスと金属酸化物薄膜との界面における反射も生じ易くなるからである。したがって、ルチル型二酸化チタンは、屈折率が高く、かつ、化学的安定性も高いので、この発明の金属酸化物として好適である。その他の金属酸化物としては、アナターゼ型二酸化チタン(屈折率2.5)または酸化ジルコニウム(屈折率2.1)などが例示される。
【0016】
金属酸化物薄膜は、2種以上の金属酸化物を組み合わせたものでもよい。たとえば、合金の酸化物であってもよいし、基材上に一の金属酸化物薄膜を成形した後、その上に異なる金属酸化物薄膜を積層した積層膜であってもよい。積層膜の場合、その中のいずれかの薄膜の屈折率が鱗片状ガラスより高ければ、上記の反射促進効果が奏される。また、積層膜の最表面には、シリカを主成分とする薄膜が好ましい。シリカは化学的安定性が極めて高く、また二酸化チタンのように光触媒活性を示さないため、真珠光沢顔料と接する樹脂を劣化させることがなく、樹脂組成物の耐久性を高めることができるからである。さらに、樹脂との馴染みを改善するために、あるいは耐水性を高めるために、樹脂に配合する前に真珠光沢顔料をカップリング剤などで表面処理してもよい。
【0017】
金属酸化物薄膜の平均厚さは、0.03〜0.8μmが好ましい。この厚さが0.03μmより薄い場合は、鱗片状ガラスの表面からアルカリ成分が溶出することを防ぎ切れなくなるため、樹脂組成物の光輝性が経時的に劣化し易くなる。一方、0.8μmを超えると、可視光波長よりも厚くなるため、これ以上厚くしても可視光の反射にほとんど影響はなく、非経済的になるだけである。また、この厚さが0.03〜0.8μmの範囲にあれば、金属酸化物薄膜の表面における反射光と、鱗片状ガラス/金属酸化物薄膜の界面における反射光との干渉により、真珠光沢顔料に干渉色を付与することができる。ちなみに、ルチル型の二酸化チタンからなる金属酸化物薄膜の場合、その平均厚さが0.05μm付近のとき干渉色は銀色であり、これが厚くなるに従って、黄色→橙色→赤色→紫色→青色と変化する。この厚さが0.2μm程度のときは、干渉色は緑色となる。
【0018】
真珠光沢顔料の形状は、平均厚さが0.3〜50μmで、平均粒径が10〜600μmであることが好ましい。この平均厚さが0.3μm未満の場合は、真珠光沢顔料の強度が不足し、樹脂中に配合・混練する際に、真珠光沢顔料が破砕され易くなる。一方、その平均厚さが50μmを超えると、真珠光沢顔料の単位重量当りの粒子数が少なくなりすぎて、樹脂組成物の光輝性が向上し難くなる。また、真珠光沢顔料の平均粒径が10μm未満の場合は、個々の顔料粒子が小さすぎて、それらの平滑面がバラバラの方向を向いてしまい、その結果樹脂組成物の光輝性が向上し難くなる。一方で、平均粒径が600μmを超えると、樹脂中に配合・混練する際に光輝性顔料が破砕され易くなる。さらに好ましい形状は、平均厚さが1〜20μmで、かつ、平均粒径が20〜500μmである。
【0019】
樹脂成型物中における真珠光沢顔料の含有率は0.05〜10質量%が好ましく、また樹脂層中における真珠光沢顔料の含有率は0.1〜10質量%が好適である。これらの含有率が上記範囲を下回る場合は、樹脂組成物の光輝性が不足し易い。一方、上記範囲を上回る場合は、樹脂組成物の光輝性の向上が見られなくなって非経済的となり、加えて樹脂成型物ないし樹脂層の強度などの物性に悪影響が生じるおそれもある。
【0020】
また、樹脂成型物ないし樹脂層には、真珠光沢顔料以外の顔料、安定剤ないし難燃剤などを添加してもよい。真珠光沢顔料以外の顔料としては、公知の有機・無機の着色顔料、あるいはメタリック顔料(アルミニウム粉末、酸化鉄粉末、金属で被覆した鱗片状ガラスもしくはパールマイカ)などが例示される。
【0021】
鱗片状ガラスを基材として、その表面にガラスより屈折率の高い金属酸化物薄膜を成形する手段は、とくに限定されるものではない。たとえば、スズを含有する塩化チタンの酸性溶液中に鱗片状ガラスを浸漬し、この溶液の温度(70℃程度)とpHとを一定に保ちながら、前記溶液中にアルカリ溶液を滴下し、鱗片状ガラスの表面にスズを付着させつつ、同時にルチル型二酸化チタンを析出させる方法が挙げられる。この方法によれば、二酸化チタンの析出時間を調整することにより、金属酸化物薄膜の厚さを調整できるので、種々の干渉色を呈する真珠光沢顔料を簡便に製造することができる。なお、鱗片状ガラスを前記溶液中から引き上げた後、不要な溶媒を除去するため、ならびに金属酸化物薄膜を鱗片状ガラスの表面に定着させるため、600℃前後で数時間焼成処理することが好ましい。
【0022】
真珠光沢顔料は、公知の手段により、樹脂成型物中ないし樹脂層中に配合される。樹脂が熱可塑性の場合は、タンブラー、ナウターミキサー、ブレンダーまたは押出し機などを用いて、真珠光沢顔料を樹脂中に配合・分散させることができる。この場合、通常は一旦ペレットにされ、そのペレットを射出成形機などを用いて所望の形状に成型することにより、樹脂成型物ないし樹脂層が得られる。樹脂が熱硬化性であったり、あるいは樹脂成型物ないし樹脂層が比較的薄い場合は、まずシンナーまたはキシレンなどの希釈剤を用いて樹脂を溶液化し、これに真珠光沢顔料を加え撹拌して混合溶液を作製する。つぎに、この混合溶液をスプレーなどを用いて所望の型の表面に吹き付けたり、あるいは混合溶液中に型を浸漬して引き上げたりすることによって、所望の形状の樹脂成型物または樹脂層を作製することができる。
【0023】
また、透明樹脂の被覆膜の成形方法も、とくに限定されるものではない。たとえば、樹脂成型物または樹脂層の表面に、上記同様にスプレーやローラーを用いて溶液化した透明樹脂を塗布したり、溶液中に樹脂成型物を浸漬して引き上げたりすることにより、透明樹脂の被覆膜を成形することができる。また、その被覆膜の表面をより平滑にするには、上述のようにUV硬化タイプの架橋剤を含有する硬化性タイプの透明樹脂を用いることが好ましい。
【0024】
このようにして作製された樹脂組成物は、高い光輝性と奥行き感とを同時に呈するので、高級感を要求される各種用途すなわち車両用内装部品、家電製品もしくはOA機器の筐体、化粧品容器ないしインテリア雑貨などへ利用に適している。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により、この発明をより具体的に説明する。
【0026】
(実施例1)
鱗片状ガラス(平均粒径90μm 平均厚さ5μm Cガラス組成)を基材とし、その表面を二酸化チタン薄膜で被覆した真珠光沢顔料(メタシャインMC5090RS 日本板硝子社製 薄膜平均厚さ0.05μm)2質量部を、ビスフェノールAタイプのポリカーボネート(出光カーボネート一般グレードA−2500 出光石油化学社製)100質量部に添加し、押出し成形機(VS−30型田辺プラスチックス機械社製)を用いて、シリンダー温度290℃でペレットにした。このペレットを120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(プロマット80/40 住友重機械工業社製)を用いて、下記条件にて平板(5×75×3mm)に射出成形した。
【0027】
Figure 2004067911
【0028】
この平板すなわち樹脂成型物の表面に、一液型アクリル樹脂(プラネットSVオリジン電気社製 UV硬化タイプの架橋剤を含有)100質量部、シンナー(希釈剤)20質量部および前記真珠光沢顔料(メタシャインMC5090RS)5質量部からなる混合溶液を、硬化後の平均厚さが10μmとなるようにスプレーを用いて塗布した。塗布面に紫外線照射を行いつつ、樹脂成型物を60℃の環境下に30分間置き、前記混合溶液を完全に硬化させて、真珠光沢顔料を含有する樹脂層を成形した。さらに、この樹脂層上に前記一液型アクリル樹脂(プラネットSV=透明樹脂)100質量部とシンナー20質量部からなる溶液を、硬化後の厚さが10μmとなるようにスプレーを用いて塗布し、前記同様の条件で溶液を完全に硬化させ、透明樹脂の被覆膜を成形した。なお、前記混合溶液中におけるシンナーは、樹脂層が硬化する際に除去されるため、樹脂層における真珠光沢顔料の含有率は、ほぼ2質量%となる。
【0029】
このようにして作製された樹脂組成物の外観について、5名の官能試験員に評価させた。この評価は「光輝性」「深み感」「くすみ」の3項目についてであり、後述する実施例2以降および比較例との相対評価とした。樹脂組成物の構成およびその外観評価について、下記「表1」にまとめて示す。
【0030】
(実施例2〜5)
実施例1において、樹脂成型物中の真珠光沢顔料を下記「表1」に記載のものに変更した以外は同様にして、樹脂組成物を作製し、その外観を評価した。なお、これらの真珠光沢顔料は、上記メタシャインMC5090RSと二酸化チタン薄膜の厚さのみが異なるものである。これら真珠光沢顔料の二酸化チタン薄膜の平均厚さは、いずれも0.2μm以下であった。これら樹脂組成物の構成およびその外観評価について、下記「表1」にまとめて示す。
【0031】
(実施例6)
実施例1において、樹脂層を成形しない以外は同様にして、樹脂組成物を作製し、その外観を評価した。この樹脂組成物の構成およびその外観評価について、下記「表1」にまとめて示す。
【0032】
(実施例7)
実施例1において、透明樹脂である一液型アクリル樹脂の替わりに、アクリル樹脂とアミノ樹脂との混合物を使用した。その配合割合は、つぎの通りである。
【0033】
<樹脂層>
アクリル樹脂(アクリテ゛ィックA−345 大日本インキ社製)  140質量部
アミノ樹脂(スーハ゜ーヘ゛ッカミンL−117−60 大日本インキ社製) 55質量部
キシレン                       20質量部
真珠光沢顔料(メタシャインMC5090RS)     10質量部
<透明樹脂の被覆膜>
アクリル樹脂(アクリテ゛ィックA−345 大日本インキ社製)  140質量部
アミノ樹脂(スーハ゜ーヘ゛ッカミンL−117−60 大日本インキ社製) 55質量部
キシレン                       20質量部
【0034】
なお、上記の「キシレン」は希釈剤であって、樹脂層または透明樹脂の被覆膜が硬化する際に除去される。そのため、樹脂層中の真珠光沢顔料の含有率は、ほぼ5質量%となる。明記しない点については、実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、その外観を評価した。樹脂組成物の構成および外観評価について、下記「表1」にまとめて示す。
【0035】
(実施例8)
実施例1において、樹脂成型物のポリカーボネートをポリスチレン(ダイヤレックスHF−77 三菱化学工業社製)に変更した。これに伴い、射出成形機の射出条件をつぎのように変更した。
【0036】
Figure 2004067911
【0037】
上に明記しない点については、実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、その外観を評価した。この樹脂組成物の構成および外観評価について、下記「表1」にまとめて示す。
【0038】
(実施例9)
実施例8において、樹脂成型物中の真珠光沢顔料をメタシャインMC5090RBに変えた以外は同様にして、樹脂組成物を作製し、その外観を評価した。この樹脂組成物の構成および外観評価について、下記「表1」にまとめて示す。
【0039】
(比較例1)
実施例1において、樹脂成型物中の真珠光沢顔料にマイカを基材とするTAYCA PEARL TP−900を使用する以外は同様にして、樹脂組成物を作製し、その外観を評価した。この樹脂組成物の構成および外観評価について、下記「表1」にまとめて示す。
【0040】
(比較例2)
実施例1において、透明樹脂の被覆膜を成形しない以外は同様にして、樹脂組成物を作製し、その外観を評価した。この樹脂組成物の構成および外観評価について、下記「表1」にまとめて示す。
【0041】
(比較例3)
実施例8において、透明樹脂の被覆膜を成形しない以外は同様にして、樹脂組成物を作製し、その外観を評価した。この樹脂組成物の構成および外観評価について、下記「表1」にまとめて示す。
【0042】
【表1】
Figure 2004067911
Figure 2004067911
【0043】
上記実施例および比較例を対比することにより、樹脂成型物または樹脂層の表面に透明樹脂の被覆膜を成形すれば、樹脂組成物の外観に奥行き感を付与できることが判る。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、真珠光沢顔料を含有する樹脂成型物または樹脂層の表面を透明樹脂で被覆するので、高い光輝性と奥行き感とを併せ持つ樹脂組成物が得られる。

Claims (8)

  1. 真珠光沢顔料を含有する樹脂成型物の表面を透明樹脂で被覆したものであって、
    前記真珠光沢顔料が、鱗片状ガラスをそれより屈折率の高い金属酸化物薄膜で被覆したものである樹脂組成物。
  2. 樹脂成型物と透明樹脂の被覆膜との間に、上記真珠光沢顔料を含有する樹脂層を備える請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 上記真珠光沢顔料は、平均厚さが0.3〜50μmで、平均粒径が10〜600μmのものである請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 上記金属酸化物薄膜は、その平均厚さが0.03〜0.8μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 上記樹脂成型物中における真珠光沢顔料の含有率が0.05〜10質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 上記樹脂層中における真珠光沢顔料の含有率が0.1〜10質量%である請求項2〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 上記透明樹脂は、アクリル樹脂、アミノ樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂およびポリエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種を主成分とするものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 上記透明樹脂の被覆膜の厚さが5〜50μmである請求項2〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
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