JP2004067522A - 動物忌避剤及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】害鳥及び害獣を死滅させることなく、人体には何ら悪影響を及ぼさずに高い安全性を確保することができ、さらに、その周辺から完全かつ持続的に害鳥及び害獣を忌避させることができる動物忌避剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】苦楝皮、杏仁、桃仁、桃葉及び銀杏からなる群から選択される少なくとも1種の低級脂肪族アルコール又はその含水物による抽出液又は抽出エキスを有効成分とする動物忌避剤。
【選択図】 なし
【解決手段】苦楝皮、杏仁、桃仁、桃葉及び銀杏からなる群から選択される少なくとも1種の低級脂肪族アルコール又はその含水物による抽出液又は抽出エキスを有効成分とする動物忌避剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、動物忌避剤及びその製造方法に関し、特に害鳥又は害獣を持続的に忌避し得る動物忌避剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
害鳥及び害獣による被害は、農業分野及び生産分野のみならず生活環境においても重大な影響を及ぼし、それらによる経済的な損失は大きなものである。
【0003】
たとえば、害鳥として、カラス科のハシブトカラスは、最近の都市公害として路上での生ゴミを食い散らして、都市、建物の美観を損ね、糞尿により環境を汚染する。また、ハシボソカラス及びメジロ類、ツグミ類などは、農作物中のすいか、ナシ及びカキなどの果実を突付くため、商品価値にダメージを与え、経済的損失を与えることとなる。さらに、ハト類も同様に環境汚染を招くのみならず、その糞中の細菌によって、人への感染が懸念される。
【0004】
一方、害獣として、モグラ類のヒミズ及びヒメヒズミは、農業、園芸分野又はゴルフ場などで、土壌を掘り起こし、農作物や芝生に被害を与えることがある。また、ネズミ類や猫は、農作物を荒らし、ゴミを食い散らかし、さらに糞尿によって、周辺を汚染する。
【0005】
これらの害鳥及び害獣による被害を防止する方法としては、害鳥や害獣を殺滅により駆除する方法があるが、動物愛護の面からは必ずしも適切ではない。
そこで、これらの害鳥及び害獣を忌避する方法として、例えば、カラス対策として、生ゴミ等を防鳥ネットで覆ったり、ゴミ集積所及びその周辺にトウガラシや鷹の爪入りの団子を置いたり、超音波・高周波発信器を電柱などに設置するなど、種々の方法が試みられている。また、鳥類を有効に忌避する薬剤としてアントラニル酸メチルが用いられている。
【0006】
さらに、農業・園芸分野では、カラス類、メジロ類、ツグミ類等に対して、アセチレンガスを爆発させて威嚇する方法がある。ハト類に対してはレモン油、木酢液等、モグラ類及びヘビ類に対してはナフタリン等、猫類に対してはヘンルーダ植物が忌避剤として用いられた例がある。
しかし、これらの方法はいずれも安全性が十分でなかったり、強力な効果が得られず、かつ一時的なものであるという課題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、害鳥及び害獣を死滅させることなく、人体に対しても何ら悪影響を及ぼさずに高い安全性を確保することができる忌避剤について、従来から漢方薬として用いられ、長期間に渡る安全性が証明されている種々の化合物又は生薬をその標的として鋭意研究を行った結果、対象となる害鳥及び害獣を完全かつ持続的に忌避させることができる動物忌避剤として、予想外にも、特定の生薬が有効であることを新たに見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
本発明によれば、苦楝皮、杏仁、桃仁、桃葉及び銀杏からなる群から選択される少なくとも1種の低級脂肪族アルコール又はその含水物による抽出液又は抽出エキスを有効成分とする動物忌避剤が提供される。
また、本発明によれば、苦楝皮、杏仁、桃仁、桃葉及び銀杏からなる群から選択される少なくとも1種を、低級脂肪族アルコール又はその含水物で抽出して動物忌避作用を有する抽出液又は抽出エキスを得ることからなる動物忌避剤の製造方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の動物忌避剤は、苦楝皮、杏仁、桃仁、桃葉及び銀杏からなる群から選択される少なくとも1種の生薬が原料として用いられる。例えば、2種の場合は、苦楝皮と杏仁、苦楝皮と桃仁、苦楝皮と桃葉、苦楝皮と銀杏、3種の場合は、苦楝皮と杏仁と桃仁、苦楝皮と杏仁と桃葉、苦楝皮と杏仁と銀杏、杏仁と桃仁と桃葉、杏仁と桃仁と銀杏、桃仁と桃葉と銀杏、4種の場合には、苦楝皮と杏仁と桃仁と桃葉、苦楝皮と桃仁と桃葉と銀杏、苦楝皮と杏仁と桃葉と銀杏、苦楝皮と杏仁と桃仁と銀杏、杏仁と桃仁と桃葉と銀杏の組み合わせが挙げられる。
【0010】
苦楝皮は、一般に、駆虫薬又は外用皮膚疾患に有効であることが知られており、川楝皮と別称されるセンダン科(Meliaceae)の植物で、中国で産するセンダンMelia azedarach L. 及びトウセンダンMelia toosendan Sies. et Zucc.、インド産のMelia azadirachta L.(特にニームと称される)等の種々のものが挙げられる。この苦楝皮は、通常、乾燥した樹皮が用いられるが、その形態、部位は限定されず、根皮等を用いてもよい。
【0011】
杏仁は、一般に、気管支喘息に有効であることが知られているバラ科(Rosaceae)の植物で、一般に漢方薬に用いられるものであれば、その産地、形態、部位等は特に限定されず、いかなるものでも用いることができる。なかでも、乾燥品を用いることが好ましい。
桃仁及び桃葉は、一般に、婦人病、リウマチ等に有効であることが知られているバラ科の植物であり、その種子、葉が主として利用される。この植物の産地、形態等は特に限定されず、いかなるものでも用いることができるが、乾燥品を用いることが好ましい。
銀杏は、一般に鎮咳作用があることが知られているイチョウ科(Ginkgoaceae)の植物で、その種仁が主として利用される。この植物の産地、形態等は特に限定されず、いかなるものでも用いることができるが、乾燥品を用いることが好ましい。
【0012】
これらの生薬は、低級脂肪族アルコール又はその含水物による抽出液又は抽出エキスの形態で、動物忌避剤中に有効成分として含有される。なお、これらの生薬は、以下に示すように個々に抽出液又は抽出エキスとして得た後、これらを混合してもよいし、これら生薬を混合して、抽出液又は抽出エキスを得てもよい。ここで低級アルコール又はその含水物としては、炭素数1〜5の脂肪族アルコール又は10重量%までの含水物が挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等又はその含水物が例示される。なかでもエタノールが好ましい。
【0013】
抽出液は、原料となる生薬をそのまま、乾燥した後又は粉砕して、原料の重量の2〜20倍、好ましくは3〜8倍程度の重量の低級脂肪族アルコール又は含水物を用いて熱浸して得ることができる。例えば、振盪下又は非振盪下、沸騰する程度の温度に加熱又は加熱還流下で1〜10時間程度、好ましくは4〜6時間程度浸漬することによって、抽出液を調製することができる。あるいは10〜35℃程度の温度にて1〜10日間程度の冷浸又は温浸等を行ってもよい。この際の条件は、温度等によって適宜調整することができる。なお、抽出は、同じ植物に対して1回のみ行ってもよいが、複数回、例えば、2〜5回程度行うことが好ましい。
【0014】
得られた抽出液は、濃縮して抽出エキスとしてもよい。濃縮は、低温低圧下で行うことが好ましい。この濃縮は乾固するまで行ってもよい。なお、濃縮する前にろ過し、ろ液を濃縮してもよい。抽出エキスは、通常、黒褐色の軟調状の形態で得ることができる。抽出エキスは、濃縮したままの状態であってもよいし、粉末状又は凍結乾燥品等としてもよい。濃縮する方法、粉末状及び凍結乾燥品とする方法は、当該分野で公知の方法を用いることができる。
また、得られた抽出液は、濃縮する前に、精製処理に付してもよい。精製処理方法としては、クロマトグラフ法、イオン交換樹脂を使用する溶離法、溶媒による分配抽出等の公知の方法を単独又は組み合わせて使用する方法が挙げられる。
【0015】
本発明の動物忌避剤は、さらに、トウガラシ刻をその原料として用いてもよい。トウガラシ刻は、通常食品等に使用されているものであれば、その産地、形態等は特に限定されるものではなく、いかなるものを用いてもよい。なかでも乾燥品が好ましい。トウガラシ刻は、上記と同様のアルコール、同様の方法で抽出液又は抽出エキスとして得ることができる。なお、トウガラシ刻は、単独で抽出液又は抽出エキスを得たのち上記の苦楝皮等の抽出液又は抽出エキスに混合してもよいし、苦楝皮等とともに抽出してもよい。トウガラシ刻を含有する場合には、上記苦楝皮等の原料の乾燥重量に対して、0.1〜1倍程度の乾燥重量を原料として用いることが適当である。
【0016】
特に、本発明の動物忌避剤は、苦楝皮と、杏仁と、桃仁もしくは桃葉と、トウガラシ刻もしくは銀杏の少なくとも4種の低級脂肪族アルコール又はその含水物による抽出液又は抽出エキスを有効成分とすることが好ましく、例えば、苦楝皮と杏仁と桃仁とトウガラシ刻との組み合わせ、苦楝皮と杏仁と桃仁と銀杏との組み合わせ、苦楝皮と杏仁と桃葉とトウガラシ刻との組み合わせ、苦楝皮と杏仁と桃葉と銀杏との組み合わせのほか、苦楝皮と杏仁と桃仁と桃葉とトウガラシ刻との組み合わせ、苦楝皮と杏仁と桃仁と桃葉と銀杏との組み合わせ、苦楝皮と杏仁と桃仁とトウガラシ刻と銀杏との組み合わせ、苦楝皮と杏仁と桃葉とトウガラシ刻と銀杏との組み合わせ、これら6種の全てを含む組み合わせであってもよい。この場合の各原料の重量比は、苦楝皮:杏仁:桃仁もしくは桃葉:トウガラシ刻もしくは銀杏が、1〜5:1〜5:1〜5:1〜5であることが適当である。
【0017】
本発明の動物忌避剤は、さらに、石蒜のアルカリ性低級脂肪族アルコール又はその含水物による抽出液又は抽出エキスを有効成分として含有していてもよい。石蒜は、一般に、体温降下作用、制癌作用があることが知られているヒガンバナ科(Amaryllidaceae)の植物であり、通常、鱗茎が用いられる。その産地、形態は特に限定されるものではなく、いかなるものを用いてもよい。なかでも乾燥品が好ましい。石蒜は、上記と同様のアルコールで、アルカリ性で抽出する以外は、上記に準じて抽出することができる。なお、アルカリ性で抽出するとは、低級脂肪族アルコールをアルカリ性として、好ましくはアンモニア水を溶媒全量に対して1〜5重量%程度、好ましくは3重量%程度含有させて抽出する方法が挙げられる。石蒜を用いる場合には、本発明の動物忌避剤の原料となる生薬の全重量に対して、石蒜を0.1〜10倍程度の重量範囲で用いることが適当である。
【0018】
さらに、本発明の動物忌避剤は、アントラニル酸メチルをはじめとする他の動物忌避効果を有する成分(例えば、大蒜エキス、木酢液等)を含有していてもよい。これら成分の含有量は、その種類によって適宜調整することができ、例えば、本発明の動物忌避剤の全重量に対して、0.01〜10重量%程度含有させることが適当である。特に、アントラニル酸メチルの場合には、動物忌避剤中に、0.05〜0.5重量%程度、好ましくは0.1〜0.3重量%程度含有されることにより、相乗的に動物忌避効果を増強することができる。
【0019】
また、本発明の動物忌避剤は、酸、界面活性剤、保存剤、抗酸化剤、その他の添加剤等、製剤化において通常使用される成分を含有していてもよい。特に、酸は、動物忌避剤が酸性に調整される程度に含有することが好ましく、これにより、相乗的に動物忌避効果を増強することができる。酸は、塩酸が好ましいが、例えば、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸等を用いてもよい。塩酸を用いる場合には、動物忌避剤中に1〜10重量%程度、クエン酸等を用いる場合には、10〜20重量%程度含有させることが適当である。
界面活性剤としては、局方に収載されているような、通常医薬及び農薬において使用されるものを使用することが好ましく、例えば、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
保存剤や抗酸化剤は、通常、医薬、農薬等の分野で使用されるものの中から選択して使用することができる。
【0020】
その他の添加剤としては、動物忌避剤が液剤の場合には、環境に悪影響を与えない成分、例えば、グリセリン、プロピレン、グリコール、脂肪油、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、界面活性剤等が挙げられる。なお、液剤の場合には、抽出液又は抽出エキスを、水、低級脂肪酸アルコール又はその含水物で希釈/溶解してもよい。ここでの低級脂肪酸アルコール又はその含水物は上記と同様のものが挙げられる。希釈/溶解倍率は、例えば、1〜50倍程度、好ましくは1〜10倍程度が挙げられる。
【0021】
また、散剤、粒剤の場合には、当該分野で公知の添加剤等、たとえば、乳糖、でんぷん、デキルトリン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、合成及び天然の珪酸及び珪酸アルミニウム、酸化マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、乾燥酵母、酸化亜鉛、タルク、カオリン、硼酸末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、次没子酸ビスマス、硫酸アルミニウムカリウム末等が挙げられる。
【0022】
本発明の動物忌避剤は、上述したような抽出液又は抽出エキスをそのままの状態で、適当な媒体で希釈/溶解した液体の状態で、乾燥又は凍結乾燥等により得られた散剤又は粒剤等の固体の状態で、適当なキャリア(セラミック、プラスチック、紙、スポンジ等)に担持した状態で使用することができる。これらの剤型は、当該分野で公知の方法により製造することができる。これらの場合、全液量1リットル中又は全固体1kg中、10〜100g、好ましくは20〜70g、より好ましくは35〜50g程度の抽出液又は抽出エキスを含有させることが適当である。
【0023】
本発明の動物忌避剤は、その中に含まれる成分、量、剤型、対象動物の種類、適用場所等によって、適用方法、適用量等を適宜調整して使用することができる。好ましくは、動物を忌避したい領域に散布、噴霧、塗布する方法、動物の巣の中に注入又は充填する方法、動物に直接噴霧する方法等が挙げられる。液体の場合には、1m2あたり10〜50ml程度、好ましくは10〜20ml程度、固体の場合には、1m2あたり10〜80g程度、好ましくは20〜50g程度の量を適用することが適当である。
以下に本発明の動物忌避剤及びその製造方法の実施例を具体的に示す。
【0024】
実施例1:動物忌避剤の製造
苦楝皮刻50g、杏仁35g、桃仁35g、桃の葉35g、銀杏50g、トウガラシ刻40g、石蒜50gそれぞれに、エタノール500mlを加え、還流冷却器をつけて約5時間加熱し、冷却後、ろ過した。各ろ液にポリソルベート80を50g加え、約30分間加温した。全量をそれぞれ精製水で1リットルとして、7種の液状の動物忌避剤を得た。
【0025】
実施例2:動物忌避剤の製造
苦楝皮刻50g、杏仁35g、桃仁35g、トウガラシ刻40gにエタノール500mlを加え、還流冷却器をつけて約5時間加熱し、冷却後、ろ過した。
得られた抽出液に、ポリソルベート80を50g加え、約30分間加温した。冷却後、精製水で全量1リットルとして、液状の動物忌避剤を得た。
【0026】
実施例3:動物忌避剤の製造
苦楝皮刻50g、杏仁35g、桃仁35g、トウガラシ刻40gにエタノール500mlを加え、還流冷却器をつけて約5時間加熱し、冷却後、ろ過した。
別の容器に石蒜刻50gにエタノール200ml及びアンモニア6mlを加え、還流冷却器を付して約4時間加熱し、冷却後、ろ過した。
得られた各抽出液を合わせて、ポリソルベート80を50g加え、約30分間加温した。冷却後、精製水で全量1リットルとして、液状の動物忌避剤を得た。
【0027】
実施例4:動物忌避剤の製造
実施例3で得られた液状の動物忌避剤を、セラミック化した珪酸粒子2kgに均質に吸着させた後、一夜、自然乾燥させ、固体状の動物忌避剤を得た。
【0028】
実施例5:動物忌避剤の製造
苦楝皮刻50g、杏仁35g、桃の葉35g、銀杏50gにエタノール500mlを加え、還流冷却器をつけて約5時間加熱し、冷却後、ろ過した。ろ液にポリソルベート80を50g加え、約30分間加温した。冷却後、全量を精製水で1リットルとして、液状の動物忌避剤を得た。
【0029】
実施例6:動物忌避剤の製造
苦楝皮刻50g、杏仁35g、桃の葉35g、銀杏50gにエタノール500mlを加え、還流冷却器をつけて約5時間加熱し、冷却後、ろ過した。ろ液にポリソルベート80を50g加え、約30分間加温した。冷却後、塩酸40mlを加え、さらにアントラニル酸メチルを3ml加え、全量を精製水で1リットルとして、液状の動物忌避剤を得た。
【0030】
試験例1:モグラの忌避効果
実施例1〜3で得られた各動物忌避剤を、ゴルフ状グリーン周辺の200m2中の15ヶ所のモグラ塚について、1ヶ所あたり30mlを注入した。
その結果、実施例1の各成分単独の忌避剤において、一時的ではあるが、モグラ塚の消滅が観察された。また、実施例2及び3の忌避剤を用いた場合には、モグラ塚が消滅し、その後約2ヶ月間モグラ塚が現れず、モグラによる被害が発生しなかった。特に、実施例3においては、モグラ塚があった周辺の領域においても、モグラが認められなくなった。
【0031】
試験例2:野猫の忌避効果
実施例1〜4で得られた各動物忌避剤を、猫が糞尿のために荒らしにくる花壇に1m2あたり30ml又は40g散布した。
その結果、実施例1においては、猫の侵入は見られなくなった。特に、実施例2〜4については、約2週間、花壇内に猫が侵入した形跡が見られなかった。
【0032】
試験例3:カラスの忌避効果
実施例1、5及び6で得られた各動物忌避剤を、長期間カラスが密集する住宅地のゴミ集積所及び飲食街のゴミ集積所の生ゴミ一帯に、50ml程度直接噴霧した。
その結果、実施例1、5及び6においては、直ちにハシブソカラスは寄付かなくなった。
【0033】
また、その翌日に、忌避剤を同量、同様に生ゴミ一帯に噴霧した。
その結果、実施例5及び6においては、その後2ヶ月間、ハシブソカラス及びハシブトカラスは生ゴミに全く寄付かなくなった。特に、実施例6では、動物忌避剤を噴霧した領域を含む地区全体からハシブソカラス及びハシブトカラスが消えて、その効果が3ヶ月以上持続した。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、従来から、天然の生薬として長年安全に使用されている植物の抽出液又は抽出液を用いることにより、動物及び人体に対して安全な動物忌避剤を提供することができる。
また、特に、天然の生薬に塩酸、アントラニル酸メチル等の化合物を配合することにより、天然の生薬のみでは得られないほどの相乗的な強力かつ持続した動物忌避効果を得ることができる。これにより、害鳥及び害獣による農作物、園芸分野の産品の商品価値を損なわず、環境汚染や都市公害等を防止することが可能になる。
【発明の属する技術分野】
この発明は、動物忌避剤及びその製造方法に関し、特に害鳥又は害獣を持続的に忌避し得る動物忌避剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
害鳥及び害獣による被害は、農業分野及び生産分野のみならず生活環境においても重大な影響を及ぼし、それらによる経済的な損失は大きなものである。
【0003】
たとえば、害鳥として、カラス科のハシブトカラスは、最近の都市公害として路上での生ゴミを食い散らして、都市、建物の美観を損ね、糞尿により環境を汚染する。また、ハシボソカラス及びメジロ類、ツグミ類などは、農作物中のすいか、ナシ及びカキなどの果実を突付くため、商品価値にダメージを与え、経済的損失を与えることとなる。さらに、ハト類も同様に環境汚染を招くのみならず、その糞中の細菌によって、人への感染が懸念される。
【0004】
一方、害獣として、モグラ類のヒミズ及びヒメヒズミは、農業、園芸分野又はゴルフ場などで、土壌を掘り起こし、農作物や芝生に被害を与えることがある。また、ネズミ類や猫は、農作物を荒らし、ゴミを食い散らかし、さらに糞尿によって、周辺を汚染する。
【0005】
これらの害鳥及び害獣による被害を防止する方法としては、害鳥や害獣を殺滅により駆除する方法があるが、動物愛護の面からは必ずしも適切ではない。
そこで、これらの害鳥及び害獣を忌避する方法として、例えば、カラス対策として、生ゴミ等を防鳥ネットで覆ったり、ゴミ集積所及びその周辺にトウガラシや鷹の爪入りの団子を置いたり、超音波・高周波発信器を電柱などに設置するなど、種々の方法が試みられている。また、鳥類を有効に忌避する薬剤としてアントラニル酸メチルが用いられている。
【0006】
さらに、農業・園芸分野では、カラス類、メジロ類、ツグミ類等に対して、アセチレンガスを爆発させて威嚇する方法がある。ハト類に対してはレモン油、木酢液等、モグラ類及びヘビ類に対してはナフタリン等、猫類に対してはヘンルーダ植物が忌避剤として用いられた例がある。
しかし、これらの方法はいずれも安全性が十分でなかったり、強力な効果が得られず、かつ一時的なものであるという課題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、害鳥及び害獣を死滅させることなく、人体に対しても何ら悪影響を及ぼさずに高い安全性を確保することができる忌避剤について、従来から漢方薬として用いられ、長期間に渡る安全性が証明されている種々の化合物又は生薬をその標的として鋭意研究を行った結果、対象となる害鳥及び害獣を完全かつ持続的に忌避させることができる動物忌避剤として、予想外にも、特定の生薬が有効であることを新たに見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
本発明によれば、苦楝皮、杏仁、桃仁、桃葉及び銀杏からなる群から選択される少なくとも1種の低級脂肪族アルコール又はその含水物による抽出液又は抽出エキスを有効成分とする動物忌避剤が提供される。
また、本発明によれば、苦楝皮、杏仁、桃仁、桃葉及び銀杏からなる群から選択される少なくとも1種を、低級脂肪族アルコール又はその含水物で抽出して動物忌避作用を有する抽出液又は抽出エキスを得ることからなる動物忌避剤の製造方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の動物忌避剤は、苦楝皮、杏仁、桃仁、桃葉及び銀杏からなる群から選択される少なくとも1種の生薬が原料として用いられる。例えば、2種の場合は、苦楝皮と杏仁、苦楝皮と桃仁、苦楝皮と桃葉、苦楝皮と銀杏、3種の場合は、苦楝皮と杏仁と桃仁、苦楝皮と杏仁と桃葉、苦楝皮と杏仁と銀杏、杏仁と桃仁と桃葉、杏仁と桃仁と銀杏、桃仁と桃葉と銀杏、4種の場合には、苦楝皮と杏仁と桃仁と桃葉、苦楝皮と桃仁と桃葉と銀杏、苦楝皮と杏仁と桃葉と銀杏、苦楝皮と杏仁と桃仁と銀杏、杏仁と桃仁と桃葉と銀杏の組み合わせが挙げられる。
【0010】
苦楝皮は、一般に、駆虫薬又は外用皮膚疾患に有効であることが知られており、川楝皮と別称されるセンダン科(Meliaceae)の植物で、中国で産するセンダンMelia azedarach L. 及びトウセンダンMelia toosendan Sies. et Zucc.、インド産のMelia azadirachta L.(特にニームと称される)等の種々のものが挙げられる。この苦楝皮は、通常、乾燥した樹皮が用いられるが、その形態、部位は限定されず、根皮等を用いてもよい。
【0011】
杏仁は、一般に、気管支喘息に有効であることが知られているバラ科(Rosaceae)の植物で、一般に漢方薬に用いられるものであれば、その産地、形態、部位等は特に限定されず、いかなるものでも用いることができる。なかでも、乾燥品を用いることが好ましい。
桃仁及び桃葉は、一般に、婦人病、リウマチ等に有効であることが知られているバラ科の植物であり、その種子、葉が主として利用される。この植物の産地、形態等は特に限定されず、いかなるものでも用いることができるが、乾燥品を用いることが好ましい。
銀杏は、一般に鎮咳作用があることが知られているイチョウ科(Ginkgoaceae)の植物で、その種仁が主として利用される。この植物の産地、形態等は特に限定されず、いかなるものでも用いることができるが、乾燥品を用いることが好ましい。
【0012】
これらの生薬は、低級脂肪族アルコール又はその含水物による抽出液又は抽出エキスの形態で、動物忌避剤中に有効成分として含有される。なお、これらの生薬は、以下に示すように個々に抽出液又は抽出エキスとして得た後、これらを混合してもよいし、これら生薬を混合して、抽出液又は抽出エキスを得てもよい。ここで低級アルコール又はその含水物としては、炭素数1〜5の脂肪族アルコール又は10重量%までの含水物が挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等又はその含水物が例示される。なかでもエタノールが好ましい。
【0013】
抽出液は、原料となる生薬をそのまま、乾燥した後又は粉砕して、原料の重量の2〜20倍、好ましくは3〜8倍程度の重量の低級脂肪族アルコール又は含水物を用いて熱浸して得ることができる。例えば、振盪下又は非振盪下、沸騰する程度の温度に加熱又は加熱還流下で1〜10時間程度、好ましくは4〜6時間程度浸漬することによって、抽出液を調製することができる。あるいは10〜35℃程度の温度にて1〜10日間程度の冷浸又は温浸等を行ってもよい。この際の条件は、温度等によって適宜調整することができる。なお、抽出は、同じ植物に対して1回のみ行ってもよいが、複数回、例えば、2〜5回程度行うことが好ましい。
【0014】
得られた抽出液は、濃縮して抽出エキスとしてもよい。濃縮は、低温低圧下で行うことが好ましい。この濃縮は乾固するまで行ってもよい。なお、濃縮する前にろ過し、ろ液を濃縮してもよい。抽出エキスは、通常、黒褐色の軟調状の形態で得ることができる。抽出エキスは、濃縮したままの状態であってもよいし、粉末状又は凍結乾燥品等としてもよい。濃縮する方法、粉末状及び凍結乾燥品とする方法は、当該分野で公知の方法を用いることができる。
また、得られた抽出液は、濃縮する前に、精製処理に付してもよい。精製処理方法としては、クロマトグラフ法、イオン交換樹脂を使用する溶離法、溶媒による分配抽出等の公知の方法を単独又は組み合わせて使用する方法が挙げられる。
【0015】
本発明の動物忌避剤は、さらに、トウガラシ刻をその原料として用いてもよい。トウガラシ刻は、通常食品等に使用されているものであれば、その産地、形態等は特に限定されるものではなく、いかなるものを用いてもよい。なかでも乾燥品が好ましい。トウガラシ刻は、上記と同様のアルコール、同様の方法で抽出液又は抽出エキスとして得ることができる。なお、トウガラシ刻は、単独で抽出液又は抽出エキスを得たのち上記の苦楝皮等の抽出液又は抽出エキスに混合してもよいし、苦楝皮等とともに抽出してもよい。トウガラシ刻を含有する場合には、上記苦楝皮等の原料の乾燥重量に対して、0.1〜1倍程度の乾燥重量を原料として用いることが適当である。
【0016】
特に、本発明の動物忌避剤は、苦楝皮と、杏仁と、桃仁もしくは桃葉と、トウガラシ刻もしくは銀杏の少なくとも4種の低級脂肪族アルコール又はその含水物による抽出液又は抽出エキスを有効成分とすることが好ましく、例えば、苦楝皮と杏仁と桃仁とトウガラシ刻との組み合わせ、苦楝皮と杏仁と桃仁と銀杏との組み合わせ、苦楝皮と杏仁と桃葉とトウガラシ刻との組み合わせ、苦楝皮と杏仁と桃葉と銀杏との組み合わせのほか、苦楝皮と杏仁と桃仁と桃葉とトウガラシ刻との組み合わせ、苦楝皮と杏仁と桃仁と桃葉と銀杏との組み合わせ、苦楝皮と杏仁と桃仁とトウガラシ刻と銀杏との組み合わせ、苦楝皮と杏仁と桃葉とトウガラシ刻と銀杏との組み合わせ、これら6種の全てを含む組み合わせであってもよい。この場合の各原料の重量比は、苦楝皮:杏仁:桃仁もしくは桃葉:トウガラシ刻もしくは銀杏が、1〜5:1〜5:1〜5:1〜5であることが適当である。
【0017】
本発明の動物忌避剤は、さらに、石蒜のアルカリ性低級脂肪族アルコール又はその含水物による抽出液又は抽出エキスを有効成分として含有していてもよい。石蒜は、一般に、体温降下作用、制癌作用があることが知られているヒガンバナ科(Amaryllidaceae)の植物であり、通常、鱗茎が用いられる。その産地、形態は特に限定されるものではなく、いかなるものを用いてもよい。なかでも乾燥品が好ましい。石蒜は、上記と同様のアルコールで、アルカリ性で抽出する以外は、上記に準じて抽出することができる。なお、アルカリ性で抽出するとは、低級脂肪族アルコールをアルカリ性として、好ましくはアンモニア水を溶媒全量に対して1〜5重量%程度、好ましくは3重量%程度含有させて抽出する方法が挙げられる。石蒜を用いる場合には、本発明の動物忌避剤の原料となる生薬の全重量に対して、石蒜を0.1〜10倍程度の重量範囲で用いることが適当である。
【0018】
さらに、本発明の動物忌避剤は、アントラニル酸メチルをはじめとする他の動物忌避効果を有する成分(例えば、大蒜エキス、木酢液等)を含有していてもよい。これら成分の含有量は、その種類によって適宜調整することができ、例えば、本発明の動物忌避剤の全重量に対して、0.01〜10重量%程度含有させることが適当である。特に、アントラニル酸メチルの場合には、動物忌避剤中に、0.05〜0.5重量%程度、好ましくは0.1〜0.3重量%程度含有されることにより、相乗的に動物忌避効果を増強することができる。
【0019】
また、本発明の動物忌避剤は、酸、界面活性剤、保存剤、抗酸化剤、その他の添加剤等、製剤化において通常使用される成分を含有していてもよい。特に、酸は、動物忌避剤が酸性に調整される程度に含有することが好ましく、これにより、相乗的に動物忌避効果を増強することができる。酸は、塩酸が好ましいが、例えば、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸等を用いてもよい。塩酸を用いる場合には、動物忌避剤中に1〜10重量%程度、クエン酸等を用いる場合には、10〜20重量%程度含有させることが適当である。
界面活性剤としては、局方に収載されているような、通常医薬及び農薬において使用されるものを使用することが好ましく、例えば、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
保存剤や抗酸化剤は、通常、医薬、農薬等の分野で使用されるものの中から選択して使用することができる。
【0020】
その他の添加剤としては、動物忌避剤が液剤の場合には、環境に悪影響を与えない成分、例えば、グリセリン、プロピレン、グリコール、脂肪油、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、界面活性剤等が挙げられる。なお、液剤の場合には、抽出液又は抽出エキスを、水、低級脂肪酸アルコール又はその含水物で希釈/溶解してもよい。ここでの低級脂肪酸アルコール又はその含水物は上記と同様のものが挙げられる。希釈/溶解倍率は、例えば、1〜50倍程度、好ましくは1〜10倍程度が挙げられる。
【0021】
また、散剤、粒剤の場合には、当該分野で公知の添加剤等、たとえば、乳糖、でんぷん、デキルトリン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、合成及び天然の珪酸及び珪酸アルミニウム、酸化マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、乾燥酵母、酸化亜鉛、タルク、カオリン、硼酸末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、次没子酸ビスマス、硫酸アルミニウムカリウム末等が挙げられる。
【0022】
本発明の動物忌避剤は、上述したような抽出液又は抽出エキスをそのままの状態で、適当な媒体で希釈/溶解した液体の状態で、乾燥又は凍結乾燥等により得られた散剤又は粒剤等の固体の状態で、適当なキャリア(セラミック、プラスチック、紙、スポンジ等)に担持した状態で使用することができる。これらの剤型は、当該分野で公知の方法により製造することができる。これらの場合、全液量1リットル中又は全固体1kg中、10〜100g、好ましくは20〜70g、より好ましくは35〜50g程度の抽出液又は抽出エキスを含有させることが適当である。
【0023】
本発明の動物忌避剤は、その中に含まれる成分、量、剤型、対象動物の種類、適用場所等によって、適用方法、適用量等を適宜調整して使用することができる。好ましくは、動物を忌避したい領域に散布、噴霧、塗布する方法、動物の巣の中に注入又は充填する方法、動物に直接噴霧する方法等が挙げられる。液体の場合には、1m2あたり10〜50ml程度、好ましくは10〜20ml程度、固体の場合には、1m2あたり10〜80g程度、好ましくは20〜50g程度の量を適用することが適当である。
以下に本発明の動物忌避剤及びその製造方法の実施例を具体的に示す。
【0024】
実施例1:動物忌避剤の製造
苦楝皮刻50g、杏仁35g、桃仁35g、桃の葉35g、銀杏50g、トウガラシ刻40g、石蒜50gそれぞれに、エタノール500mlを加え、還流冷却器をつけて約5時間加熱し、冷却後、ろ過した。各ろ液にポリソルベート80を50g加え、約30分間加温した。全量をそれぞれ精製水で1リットルとして、7種の液状の動物忌避剤を得た。
【0025】
実施例2:動物忌避剤の製造
苦楝皮刻50g、杏仁35g、桃仁35g、トウガラシ刻40gにエタノール500mlを加え、還流冷却器をつけて約5時間加熱し、冷却後、ろ過した。
得られた抽出液に、ポリソルベート80を50g加え、約30分間加温した。冷却後、精製水で全量1リットルとして、液状の動物忌避剤を得た。
【0026】
実施例3:動物忌避剤の製造
苦楝皮刻50g、杏仁35g、桃仁35g、トウガラシ刻40gにエタノール500mlを加え、還流冷却器をつけて約5時間加熱し、冷却後、ろ過した。
別の容器に石蒜刻50gにエタノール200ml及びアンモニア6mlを加え、還流冷却器を付して約4時間加熱し、冷却後、ろ過した。
得られた各抽出液を合わせて、ポリソルベート80を50g加え、約30分間加温した。冷却後、精製水で全量1リットルとして、液状の動物忌避剤を得た。
【0027】
実施例4:動物忌避剤の製造
実施例3で得られた液状の動物忌避剤を、セラミック化した珪酸粒子2kgに均質に吸着させた後、一夜、自然乾燥させ、固体状の動物忌避剤を得た。
【0028】
実施例5:動物忌避剤の製造
苦楝皮刻50g、杏仁35g、桃の葉35g、銀杏50gにエタノール500mlを加え、還流冷却器をつけて約5時間加熱し、冷却後、ろ過した。ろ液にポリソルベート80を50g加え、約30分間加温した。冷却後、全量を精製水で1リットルとして、液状の動物忌避剤を得た。
【0029】
実施例6:動物忌避剤の製造
苦楝皮刻50g、杏仁35g、桃の葉35g、銀杏50gにエタノール500mlを加え、還流冷却器をつけて約5時間加熱し、冷却後、ろ過した。ろ液にポリソルベート80を50g加え、約30分間加温した。冷却後、塩酸40mlを加え、さらにアントラニル酸メチルを3ml加え、全量を精製水で1リットルとして、液状の動物忌避剤を得た。
【0030】
試験例1:モグラの忌避効果
実施例1〜3で得られた各動物忌避剤を、ゴルフ状グリーン周辺の200m2中の15ヶ所のモグラ塚について、1ヶ所あたり30mlを注入した。
その結果、実施例1の各成分単独の忌避剤において、一時的ではあるが、モグラ塚の消滅が観察された。また、実施例2及び3の忌避剤を用いた場合には、モグラ塚が消滅し、その後約2ヶ月間モグラ塚が現れず、モグラによる被害が発生しなかった。特に、実施例3においては、モグラ塚があった周辺の領域においても、モグラが認められなくなった。
【0031】
試験例2:野猫の忌避効果
実施例1〜4で得られた各動物忌避剤を、猫が糞尿のために荒らしにくる花壇に1m2あたり30ml又は40g散布した。
その結果、実施例1においては、猫の侵入は見られなくなった。特に、実施例2〜4については、約2週間、花壇内に猫が侵入した形跡が見られなかった。
【0032】
試験例3:カラスの忌避効果
実施例1、5及び6で得られた各動物忌避剤を、長期間カラスが密集する住宅地のゴミ集積所及び飲食街のゴミ集積所の生ゴミ一帯に、50ml程度直接噴霧した。
その結果、実施例1、5及び6においては、直ちにハシブソカラスは寄付かなくなった。
【0033】
また、その翌日に、忌避剤を同量、同様に生ゴミ一帯に噴霧した。
その結果、実施例5及び6においては、その後2ヶ月間、ハシブソカラス及びハシブトカラスは生ゴミに全く寄付かなくなった。特に、実施例6では、動物忌避剤を噴霧した領域を含む地区全体からハシブソカラス及びハシブトカラスが消えて、その効果が3ヶ月以上持続した。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、従来から、天然の生薬として長年安全に使用されている植物の抽出液又は抽出液を用いることにより、動物及び人体に対して安全な動物忌避剤を提供することができる。
また、特に、天然の生薬に塩酸、アントラニル酸メチル等の化合物を配合することにより、天然の生薬のみでは得られないほどの相乗的な強力かつ持続した動物忌避効果を得ることができる。これにより、害鳥及び害獣による農作物、園芸分野の産品の商品価値を損なわず、環境汚染や都市公害等を防止することが可能になる。
Claims (12)
- 苦楝皮、杏仁、桃仁、桃葉及び銀杏からなる群から選択される少なくとも1種の低級脂肪族アルコール又はその含水物による抽出液又は抽出エキスを有効成分とする動物忌避剤。
- さらに、トウガラシ刻の低級脂肪族アルコール又はその含水物による抽出液又は抽出エキスを有効成分として含有する請求項1に記載の動物忌避剤。
- 苦楝皮と、杏仁と、桃仁もしくは桃葉と、トウガラシ刻もしくは銀杏との低級脂肪族アルコール又はその含水物による抽出液又は抽出エキスを有効成分とする請求項1又は2に記載の動物忌避剤。
- さらに、石蒜のアルカリ性低級脂肪族アルコール又はその含水物による抽出液又は抽出エキスを含有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物忌避剤。
- さらに、アントラニル酸メチルを含有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の動物忌避剤。
- さらに、塩酸を含有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の動物忌避剤。
- 苦楝皮、杏仁、桃仁、桃葉及び銀杏からなる群から選択される少なくとも1種と、トウガラシ刻とが、1〜10:1の乾燥重量比で用いられてなる請求項2に記載の動物忌避剤。
- 苦楝皮:杏仁:桃仁もしくは桃葉:トウガラシ刻もしくは銀杏が、1〜5:1〜5:1〜5:1〜5の乾燥重量比で用いられてなる請求項3に記載の動物忌避剤。
- 低級脂肪族アルコール又はその含水物が、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノールあるいはt−ブタノール又はそれらの0〜10重量%の含水物である請求項1〜8のいずれか1つに記載の動物忌避剤。
- 動物忌避剤が液剤である請求項1〜9のいずれか1つに記載の動物忌避剤。
- 苦楝皮、杏仁、桃仁、桃葉及び銀杏からなる群から選択される少なくとも1種を、低級脂肪族アルコール又はその含水物で抽出して動物忌避作用を有する抽出液又は抽出エキスを得ることからなる動物忌避剤の製造方法。
- 抽出を、熱浸で行う請求項11に記載の方法。
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JP2002224975A JP2004067522A (ja) | 2002-08-01 | 2002-08-01 | 動物忌避剤及びその製造方法 |
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JP2014501503A (ja) * | 2010-11-19 | 2014-01-23 | 株式会社アモーレパシフィック | 皮膚細胞分化促進物質のスクリーニング方法 |
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2002
- 2002-08-01 JP JP2002224975A patent/JP2004067522A/ja active Pending
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