JP2004067520A - 4,4’−ビフェノールの製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属含量の少ない4,4’−ビフェノールの製造法の提供。
【解決手段】(a)〜(c)の工程を含む4,4’−ビフェノールの製造法:(a)工程;式(2)
【化1】
[式中、T1、T2はアルキル、m、nは0〜2、mとnの和は1〜4。]で示されるアルキル−4,4’−ビフェノール類を脱アルキル化反応させて4,4’−ビフェノールを含む反応液を得る工程、
(b)工程;i)〜iv)から選ばれる一つの群の溶媒、水、及び(a)工程で得た反応液を混合して、4,4’−ビフェノールを析出させる工程、
i)脂肪族炭化水素溶媒及び脂肪族ケトン溶媒のいずれか一種の溶媒、
ii)芳香族炭化水素溶媒から選ばれる溶媒、
iii)脂肪族炭化水素溶媒及び脂肪族ケトン溶媒のいずれか一種とフェノール化合物との混合溶媒、
iv)芳香族炭化水素溶媒とフェノール化合物との混合溶媒、
(c)工程;(b)工程で析出した4,4’−ビフェノールを分離する工程。
【選択図】 なし
【解決手段】(a)〜(c)の工程を含む4,4’−ビフェノールの製造法:(a)工程;式(2)
【化1】
[式中、T1、T2はアルキル、m、nは0〜2、mとnの和は1〜4。]で示されるアルキル−4,4’−ビフェノール類を脱アルキル化反応させて4,4’−ビフェノールを含む反応液を得る工程、
(b)工程;i)〜iv)から選ばれる一つの群の溶媒、水、及び(a)工程で得た反応液を混合して、4,4’−ビフェノールを析出させる工程、
i)脂肪族炭化水素溶媒及び脂肪族ケトン溶媒のいずれか一種の溶媒、
ii)芳香族炭化水素溶媒から選ばれる溶媒、
iii)脂肪族炭化水素溶媒及び脂肪族ケトン溶媒のいずれか一種とフェノール化合物との混合溶媒、
iv)芳香族炭化水素溶媒とフェノール化合物との混合溶媒、
(c)工程;(b)工程で析出した4,4’−ビフェノールを分離する工程。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジニアリングプラスチック、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸又はそのアシル化物、4,4’−ビフェノール又はそのアシル化物、テレフタル酸又はその誘導体、及びフタル酸又はその誘導体を重縮合させて得られる液晶ポリマーなどの原料化合物として有用な4,4’−ビフェノールの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
下記式(1)
【0003】
【化2】
【0004】
で示される4,4’−ビフェノールは、例えば、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等のアルキル−4,4’−ビフェノール類を脱アルキル化反応させて得られる。
上記アルキル−4,4’−ビフェノール類は、例えば、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等のジアルキルフェノール類を苛性アルカリ等の触媒の存在下に酸素含有ガスと接触させて酸化二量化することにより製造される(特開平5−97740号公報を参照)。そして、該方法等で得られるテトラアルキルビフェノール類を脱アルキル化反応させて得た粗4,4’−ビフェノールには、K、Na等のアルカリ金属のハロゲン化物、酸化物若しくは硫酸塩のような金属成分量が多く含まれており、金属成分量が多い4,4’−ビフェノールを原料として上記液晶ポリマーなどのエンジニアリングプラスチックを製造した場合は、エンジニアリングプラスチックの剛性を低下せしめるという問題点があった(特許第2874281号公報を参照)。
この問題点を解決するために、上記の特許第2874281号公報には、脱アルキル化反応により得た粗4,4’−ビフェノールを、100℃以下で蒸留又は水との共沸蒸留ができるアルコール類やケトン類を用いて抽出し、該抽出により得た溶液を熱水中に滴下し、同時に溶媒を留去しながら4,4’−ビフェノールを水中に分散した粉体として回収する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の提案方法では、4,4’−ビフェノールのアルコール類やケトン類(以下、有機溶媒という)に対する溶解度が一般に小さいため、抽出に要する有機溶媒が多量になり、該多量の有機溶媒を蒸発留去させるためには長時間を要するという問題があり、前記の提案方法は、必ずしも工業的に有利なものではなかった。
本発明の目的は、金属成分量の少ない4,4’−ビフェノールの工業的有利な製造法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等のアルキル−4,4’−ビフェノール類を脱アルキル化して4,4’−ビフェノールを製造するに際して、以下の(a)、(b)及び(c)の工程を含む方法を採用すると、金属成分量の少ない4,4’−ビフェノールを工業的有利に製造できることを見出して、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、下記(a)、(b)及び(c)の工程を含むことを特徴とする4,4’−ビフェノールの製造法を提供するものである。
(a)工程;
下記式(2)
【0008】
【化3】
【0009】
[式中、T1及びT2はそれぞれ独立に炭素数3〜8のアルキル基を表す。m及びnはそれぞれ0、1又は2を表し、m及びnの和は1〜4である。]
で示されるアルキル−4,4’−ビフェノール類を脱アルキル化反応させて4,4’−ビフェノールを含む反応液を得る工程、
(b)工程;
下記i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒、水、及び(a)工程で得た反応液を混合して、4,4’−ビフェノールを析出させる工程、
i)脂肪族炭化水素溶媒及び脂肪族ケトン溶媒のいずれか一種の溶媒、
ii)芳香族炭化水素溶媒から選ばれる溶媒、
iii)脂肪族炭化水素溶媒及び脂肪族ケトン溶媒のいずれか一種とフェノール化合物との混合溶媒、
iv)芳香族炭化水素溶媒とフェノール化合物との混合溶媒、
(c)工程;
上記(b)工程で析出した4,4’−ビフェノールを分離する工程。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の工程(a)において原料化合物として用いられるアルキル−4,4’−ビフェノール類(2)としては、直鎖状又は分枝状の炭素数3〜8のアルキル基を1〜4個有する化合物が挙げられる。アルキル−4,4’−ビフェノール類(2)としては、Tが炭素数3〜8のアルキルであり、且つベンゼン環に置換した炭素原子が3級又は4級であるアルキル基を有する分枝状アルキル−4,4’−ビフェノール類が好ましい。好ましい分枝状アルキル−4,4’−ビフェノール類としては、例えば、3−i−プロピル−4,4’−ビフェノールや3−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等のモノ−分枝状アルキル−4,4’−ビフェノール類、3,5−ジ−i−プロピル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジ−i−プロピル−4,4’−ビフェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールや3,3’−ジ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等のジ−分枝状アルキル−4,4’−ビフェノール類、3,3’,5−トリ−i−プロピル−4,4’−ビフェノールや3,3’,5−トリ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等のトリ−分枝状アルキル−4,4’−ビフェノール類、又は3,3’,5,5’−テトラ−i−プロピル−4,4’−ビフェノールや3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等のテトラ−分枝状アルキル−4,4’−ビフェノール類等の化合物が挙げられる。
特に好ましいアルキル−4,4’−ビフェノール類(2)としては、例えば3,3’,5,5’−テトラ−i−プロピル−4,4’−ビフェノールや3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等が挙げられる。
【0012】
上記のアルキル−4,4’−ビフェノール類は、特開平3−123747号公報等に記載の方法により製造することができる。例えば、フェノール及びt−ブチルフェノール類を2量化反応させることによって3−t−ブチル−4,4’−ビフェノールや3,5−ジ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等が得られ、t−ブチルフェノール類を2量化反応させることによって3,3’−ジ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5−トリ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールや3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等が得られる。
このような2量化反応により得たアルキル−4,4’−ビフェノール類は、2量化反応混合物から取出すことなく脱アルキル化してもよいし、2量化反応混合物から取出したアルキル−4,4’−ビフェノール類を脱アルキル化してもよいし、又、2量化反応混合物から取出後、精製してから脱アルキル化してもよい。
【0013】
本発明における工程(a)の脱アルキル化反応は、以下の▲1▼〜▲3▼からなる群から選ばれるいずれか一つの群の存在下に行ってもよい。
▲1▼芳香族炭化水素溶媒及び脂肪族炭化水素溶媒から選ばれる溶媒、
▲2▼フェノール、モノアルキルフェノール、ジアルキルフェノール及びトリアルキルフェノールから選ばれるフェノール類、
▲3▼上記▲1▼の溶媒及び上記▲2▼のフェノール類の混合物。
上記▲1▼における芳香族炭化水素溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、ニトロベンゼン、クメンやシメン等の溶媒が好ましい。同様に、脂肪族炭化水素溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロへキサンやジイソブチレン等の溶媒が好ましい。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。該溶媒の使用量は、アルキル−4,4’−ビフェノール類の100重量部当り、好ましくは0.1〜2000重量部の範囲であり、より好ましくは0.1〜10重量部の範囲である。前記▲1▼の溶媒は、反応の開始時に存在していてもよく、反応の途中に添加してもよい。反応の途中に▲1▼の溶媒を添加する場合、回分式では好ましい添加時間は1分〜30時間の範囲である。
【0014】
上記▲2▼のフェノール類としては、フェノール;2−i−プロピルフェノール、2−t−ブチルフェノール、3−i−プロピルフェノール、3−t−ブチルフェノール、4−i−プロピルフェノール、4−t−ブチルフェノールやクレゾール等のモノアルキルフェノール;2,6−ジ−i−プロピルフェノールや2,6−ジ−t−ブチルフェノール等のジアルキルフェノール;2,4,6−トリ−i−プロピルフェノールや2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール等のトリアルキルフェノール等が挙げられる。
上記▲2▼のフェノール類は、アルキル−4,4’−ビフェノール類製造の原料化合物として用いられた化合物であって、未反応のまま反応混合物に含有されているフェノール、i−プロピルフェノール類やt−ブチルフェノール類であってもよい。又、前記▲2▼のフェノール類は、アルキル−4,4’−ビフェノール類の製造において副生したフェノール類であってもよい。かかるフェノール類▲2▼は、単独でもよいし、又、2種以上の混合物でもよい。
本発明における工程(a)では、アルキル−4,4’−ビフェノール類の1モルに対して、好ましくは上記単独又は混合物のフェノール類▲2▼を0.1〜30モルの範囲で使用し、より好ましくは前記単独又は混合物のフェノール類▲2▼を0.5〜5モルの範囲で使用する。
【0015】
上記工程(a)におけるアルキル−4,4’−ビフェノール類の脱アルキル化反応は、脱アルキル化触媒の存在下に行われることが好ましい。脱アルキル化触媒としては、例えば硫酸やp−トルエンスルホン酸等の無機酸又は有機酸が好ましく用いられる。脱アルキル化触媒の使用量は、アルキル−4,4’−ビフェノール類の1モルに対して、好ましくは0.001〜0.5モルの範囲であり、より好ましくは0.01〜0.1モルの範囲である。
脱アルキル化の好ましい反応温度は0〜300℃の範囲である。脱アルキル化触媒を加えた場合のより好ましい反応温度は、150〜300℃の範囲である。
【0016】
前記工程(a)において、上記フェノール類▲2▼の非存在下に、ジ−i−プロピル−4,4’−ビフェノール類、ジ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール類、トリ−i−プロピル−4,4’−ビフェノール類、トリ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール類、テトラ−i−プロピル−4,4’−ビフェノール類やテトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール類等のアルキル−4,4’−ビフェノール類を脱アルキル化反応させると、アルキル基が脱離することによってイソブチレン等のアルケンが副生する。そして、モノ−アルキル−4,4’−ビフェノール類を経由して、4,4’−ビフェノールが生成する。
【0017】
フェノール、モノアルキルフェノール、ジアルキルフェノール及びトリアルキルフェノールからなる群から選ばれるフェノール類▲2▼の存在下に脱アルキル化反応させると、副生したアルケンがフェノールと反応して、4−i−プロピルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−i−プロピルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−i−プロピルフェノールや2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類が生成するが、これらの生成物は、本発明の(c)工程において固液分離により4,4’−ビフェノールと分離される。分離されたアルキルフェノール類は、例えば上記の2量化反応等により、i−プロピル−4,4’−ビフェノールやt−ブチル−4,4’−ビフェノール等のアルキル−4,4’−ビフェノール類とすることができる。
【0018】
脱アルキル化反応は、反応液中のモノ−i−プロピル−4,4’−ビフェノールやモノ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等のモノ−アルキル−4,4’−ビフェノール類が、モノ−アルキル−4,4’−ビフェノール類及び4,4’−ビフェノールの合計重量に対して30重量%以下になるように行ってもよいし、アルキル−4,4’−ビフェノール類からアルキル基が全て脱離してアルケンの生成がなくなる迄行なってもよい。上記のモノ−アルキル−4,4’−ビフェノール類としては、例えば3−i−プロピル−4,4’−ビフェノールや3−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等が挙げられる。
本発明の工程(a)における脱アルキル化反応は、回分式又は連続式で行われる。
【0019】
本発明において、工程(b)で使用する水の量は、好ましくは(a)工程におけるアルキル−4,4’−ビフェノール類に対して0.001〜10重量倍の範囲であり、より好ましくは0.1〜1重量倍の範囲である。
【0020】
本発明の工程(b)において、上記iii)及びiv)の群におけるフェノール化合物としては、先に例示したフェノール類▲2▼等が挙げられる。該フェノール化合物はフェノール類と同様に単独又は混合物として用いられる。
上記工程(b)における上記フェノール化合物の使用量は、(a)工程におけるアルキル−4,4’−ビフェノール類の1モル当り、好ましくは0.1〜10モルの範囲であり、より好ましくは0.2〜2モルの範囲である。
前記工程(b)において、上記ii)及びiv)の群における芳香族炭化水素溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、ニトロベンゼン、クメンやシメン等の単独又は混合物が挙げられる。上記のi)及びiii)の群における脂肪族炭化水素溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサンやジイソブチレン等の単独又は混合物が挙げられる。同様に、上記i)及びiii)の群における脂肪族ケトン溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトンやシクロヘキサノン等の単独又は混合物が挙げられる。
アルキル−4,4’−ビフェノール類100重量部当りの上記芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒又は脂肪族ケトン溶媒の使用量は、好ましくは10〜1000重量部の範囲であり、より好ましくは20〜200重量部の範囲である。
【0021】
本発明において、上記のi)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水の混合物中に、(a)工程で得た反応液を添加する場合、例えば、フェノール化合物と芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒又は脂肪族ケトン溶媒と水との混合物中に工程(a)で得た反応液を加えてもよく、フェノール化合物と水の混合物に工程(a)で得た反応液を加えた後、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒又は脂肪族ケトン溶媒を加えてもよく、或いは芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒又は脂肪族ケトン溶媒と水の混合物に工程(a)で得た反応液を加えた後、フェノール化合物を加えてもよい。
本発明の(b)工程において、(a)工程で得た反応液中に上記i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水を添加する場合は、該溶媒と水を個別に添加して4,4’−ビフェノールを析出させてもよいし、上記のi)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水を上記反応液の温度における蒸気圧の低い方から順に添加して4,4’−ビフェノールを析出させてもよい。
この場合、前記i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水とを同時並行的に添加することが好ましい。
前記i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水を上記反応液の温度における蒸気圧の低い方から順に添加する場合は、工程(a)で得た反応液の温度における前記一群の溶媒の蒸気圧と水の蒸気圧とを比較し、溶媒の蒸気圧が水の蒸気圧よりも低いときは、先に溶媒を添加し、後から水を添加する。このような添加順序にすることにより、より蒸気圧の低い溶媒の添加によって反応液の温度を低下させることが可能であり、その結果、より蒸気圧の高い水の蒸発によるロスを少なくすることができる。
逆に、溶媒の蒸気圧が水の蒸気圧よりも高いときは、先に水を添加し、後から溶媒を添加する。このような添加順序にすることにより、より蒸気圧の低い水の添加によって反応液の温度を低下させることが可能であり、その結果、より蒸気圧の高い溶媒の蒸発によるロスを少なくすることができる。
本発明における工程(b)は、回分式又は連続式で行われる。
工程(b)においてi)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水の混合物中に工程(a)で得た反応液を添加する場合、前記i)〜iv)の群の温度は、通常、沸点未満且つ凝固点を越える範囲であり、好ましくは0〜100℃の範囲である。一方、添加する反応液は、脱アルキル化反応時の温度でもよいし、適宜冷却した状態でもよい。工程(a)で得た反応液を添加する場合、回分式では添加に要する時間は、好ましくは1分〜30時間の範囲である。
本発明における工程(b)において、工程(a)で得た反応液中に、上記i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水を添加する場合、工程(a)で得た反応液の温度は、脱アルキル化反応時の温度でもよいし、適宜冷却した状態でもよい。添加するi)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水は、沸点未満且つ凝固点を越える範囲であり、好ましくは0〜100℃の範囲である。i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水を添加する場合、回分式では添加に要する時間は、好ましくは1分〜30時間の範囲である。
フェノール化合物と工程(a)で用いるフェノール類▲2▼は互いに同一でもよく、相異なっていてもよい。フェノール化合物としては、フェノールが好ましい。
【0022】
工程(c)は、工程(b)で析出した4,4’−ビフェノールを分離する工程である。4,4’−ビフェノールの好ましい分離温度は、4,4’−ビフェノール以外の成分(芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、脂肪族ケトン溶媒やフェノール化合物と水との混合物)の沸点未満且つ凝固点を越える範囲であり、より好ましい分離温度は0〜100℃の範囲である。4,4’−ビフェノールの分離は、好ましくは濾過機を用いて行われる。
濾上物として得られた4,4’−ビフェノールは、必要に応じて、例えば水;芳香族炭化水素溶媒;脂肪族炭化水素溶媒;脂肪族ケトン溶媒;メタノール、エタノールやi−プロピルアルコール等の低級アルコール;及びこれらの混合溶媒等で洗浄される。
【0023】
【実施例】
以下、実施例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例により限定されるものではない。
【0024】
実施例1
粗3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール501g〔3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールの1.1モル及び2,6−ジ−t−ブチルフェノール0.3モルの混合物〕、フェノール374g及び2,6−ジ−t−ブチルフェノール57.3gの混合物を160℃に加熱し、同温度でp−トルエンスルホン酸一水和物0.03モルを加えた。次いで、200℃まで加熱し、5時間反応させた。その後、反応液を、クメン520g、フェノール347g、及び水44gからなる81℃の混合物中に7分間で注加した。注加後の混合物を冷却後、得られた析出物を60℃で遠心濾過して取出した。遠心濾過時の濾過性は良好であった。
遠心濾過後に取出した析出物をメタノールと水の混合溶媒(メタノール含量は70重量%)216gで洗浄後、70℃で真空乾燥して4,4’−ビフェノールの147gを得た(収率77%)。
得られた4,4’−ビフェノールを高速液体クロマトグラフで分析(面積百分率法)したところ、純度は99.5%であった。99.5%純度の4,4’−ビフェノールの5重量%メタノール溶液を調製し、その波長420nmにおける吸光度を、島津製作所製のUV−160A(セルの長さは1cm)を用いて測定したところ、0.036であった。又、99.5%純度の4,4’−ビフェノールを硫硝酸で分解後、分解物を塩酸で溶解し、フレーム原子吸光法により金属の分析をしたところ、Naが0.4ppm、Kが8.3ppmであった。
なお、粗3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールは、2,6−ジ−t−ブチルフェノールに苛性カリ水溶液を添加し、空気酸化させることにより得た。
【0025】
比較例1
粗3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール500g〔3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールの1.1モル及び2,6−ジ−t−ブチルフェノール0.3モルの混合物〕、フェノール373g及び2,6−ジ−t−ブチルフェノール57gの混合物を159℃に加熱し、同温度でp−トルエンスルホン酸一水和物0.03モルを加えた。次いで、200℃まで加熱し、5時間反応させた。得られた反応液を、クメン520gとフェノール347gとの混合物(82℃)中に8分間で注加した。注加後の混合物を冷却後、得られた析出物を60℃で遠心濾過して取出した。遠心濾過時の濾過性は良好であった。
遠心濾過後に取出した析出物をメタノールと水の混合溶媒(メタノール含量は70重量%)216gで洗浄後、70℃で真空乾燥して4,4’−ビフェノールの128gを得た(収率68%)。
得られた4,4’−ビフェノールを高速液体クロマトグラフで分析(面積百分率法)したところ、純度は98.9%であった。98.9%純度の4,4’−ビフェノールの5重量%メタノール溶液を調製し、その波長420nmにおける吸光度を、島津製作所製のUV−160A(セルの長さは1cm)を用いて測定したところ、0.161であった。又、98.9%純度の4,4’−ビフェノールを実施例1と同様にして金属の分析を行ったところ、Naが0.6ppm、Kが31ppmであった。
【0026】
実施例2
粗3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール500g〔3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールの1.0モル及び2,6−ジ−t−ブチルフェノール0.3モルの混合物〕、フェノール193g、4−t−ブチルフェノール308g及び2,6−ジ−t−ブチルフェノール39gの混合物を162℃に加熱し、同温度でp−トルエンスルホン酸一水和物0.03モルを加えた。次いで、211℃まで加熱し、5時間反応させた。その後、反応液中に、先ずクメン252gを90分間で注加した。次に、102℃の混合物中に水42gを6分間で注加した後、冷却し、得られた析出物を60℃で遠心濾過して取出した。遠心濾過時の濾過性は良好であった。
遠心濾過後に取出した析出物をクメン84g、メタノールと水の混合溶媒(メタノール含量は70重量%)211gで洗浄後、70℃で真空乾燥して4,4’−ビフェノールの165gを得た(収率93%)。
得られた4,4’−ビフェノールを高速液体クロマトグラフで分析(面積百分率法)したところ、純度は99.9%であった。99.9%純度の4,4’−ビフェノールの5重量%メタノール溶液を調製し、その波長420nmにおける吸光度を、島津製作所製のUV−160A(セルの長さは1cm)を用いて測定したところ、0.020であった。又、99.9%純度の4,4’−ビフェノールを硫硝酸で分解後、分解物を塩酸で溶解し、フレーム原子吸光法により金属の分析をしたところ、Kが3.9ppmであった。
なお、粗3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールは、2,6−ジ−t−ブチルフェノールに苛性カリ水溶液を添加し、空気酸化させることにより得た。
【0027】
比較例2
粗3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール501g〔3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールの1.0モル及び2,6−ジ−t−ブチルフェノール0.3モルの混合物〕、フェノール193g、4−t−ブチルフェノール308g及び2,6−ジ−t−ブチルフェノール39gの混合物を161℃に加熱し、同温度でp−トルエンスルホン酸一水和物0.03モルを加えた。次いで、211℃まで加熱し、5時間反応させた。その後、反応液中にクメン253gを60分間で注加した。注加後の混合物を冷却後、得られた析出物を60℃で遠心濾過して取出した。
遠心濾過後に取出した析出物をクメン85g、メタノールと水の混合溶媒(メタノール含量は70重量%)210gで洗浄後、70℃で真空乾燥して4,4’−ビフェノールの155gを得た(収率85%)。
得られた4,4’−ビフェノールを高速液体クロマトグラフで分析(面積百分率法)したところ、純度は99.8%であった。99.8%純度の4,4’−ビフェノールの5重量%メタノール溶液を調製し、その波長420nmにおける吸光度を島津製作所製のUV−160A(セルの長さは1cm)を用いて測定したところ、0.026であった。又、99.8%純度の4,4‘−ビフェノールを実施例1と同様にして金属の分析を行ったところ、Kが8.0ppmであった。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、金属、特にカリウム含有量が少なく、且つ色相の良好な4,4’−ビフェノールを工業的にも有利に製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジニアリングプラスチック、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸又はそのアシル化物、4,4’−ビフェノール又はそのアシル化物、テレフタル酸又はその誘導体、及びフタル酸又はその誘導体を重縮合させて得られる液晶ポリマーなどの原料化合物として有用な4,4’−ビフェノールの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
下記式(1)
【0003】
【化2】
【0004】
で示される4,4’−ビフェノールは、例えば、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等のアルキル−4,4’−ビフェノール類を脱アルキル化反応させて得られる。
上記アルキル−4,4’−ビフェノール類は、例えば、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等のジアルキルフェノール類を苛性アルカリ等の触媒の存在下に酸素含有ガスと接触させて酸化二量化することにより製造される(特開平5−97740号公報を参照)。そして、該方法等で得られるテトラアルキルビフェノール類を脱アルキル化反応させて得た粗4,4’−ビフェノールには、K、Na等のアルカリ金属のハロゲン化物、酸化物若しくは硫酸塩のような金属成分量が多く含まれており、金属成分量が多い4,4’−ビフェノールを原料として上記液晶ポリマーなどのエンジニアリングプラスチックを製造した場合は、エンジニアリングプラスチックの剛性を低下せしめるという問題点があった(特許第2874281号公報を参照)。
この問題点を解決するために、上記の特許第2874281号公報には、脱アルキル化反応により得た粗4,4’−ビフェノールを、100℃以下で蒸留又は水との共沸蒸留ができるアルコール類やケトン類を用いて抽出し、該抽出により得た溶液を熱水中に滴下し、同時に溶媒を留去しながら4,4’−ビフェノールを水中に分散した粉体として回収する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の提案方法では、4,4’−ビフェノールのアルコール類やケトン類(以下、有機溶媒という)に対する溶解度が一般に小さいため、抽出に要する有機溶媒が多量になり、該多量の有機溶媒を蒸発留去させるためには長時間を要するという問題があり、前記の提案方法は、必ずしも工業的に有利なものではなかった。
本発明の目的は、金属成分量の少ない4,4’−ビフェノールの工業的有利な製造法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等のアルキル−4,4’−ビフェノール類を脱アルキル化して4,4’−ビフェノールを製造するに際して、以下の(a)、(b)及び(c)の工程を含む方法を採用すると、金属成分量の少ない4,4’−ビフェノールを工業的有利に製造できることを見出して、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、下記(a)、(b)及び(c)の工程を含むことを特徴とする4,4’−ビフェノールの製造法を提供するものである。
(a)工程;
下記式(2)
【0008】
【化3】
【0009】
[式中、T1及びT2はそれぞれ独立に炭素数3〜8のアルキル基を表す。m及びnはそれぞれ0、1又は2を表し、m及びnの和は1〜4である。]
で示されるアルキル−4,4’−ビフェノール類を脱アルキル化反応させて4,4’−ビフェノールを含む反応液を得る工程、
(b)工程;
下記i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒、水、及び(a)工程で得た反応液を混合して、4,4’−ビフェノールを析出させる工程、
i)脂肪族炭化水素溶媒及び脂肪族ケトン溶媒のいずれか一種の溶媒、
ii)芳香族炭化水素溶媒から選ばれる溶媒、
iii)脂肪族炭化水素溶媒及び脂肪族ケトン溶媒のいずれか一種とフェノール化合物との混合溶媒、
iv)芳香族炭化水素溶媒とフェノール化合物との混合溶媒、
(c)工程;
上記(b)工程で析出した4,4’−ビフェノールを分離する工程。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の工程(a)において原料化合物として用いられるアルキル−4,4’−ビフェノール類(2)としては、直鎖状又は分枝状の炭素数3〜8のアルキル基を1〜4個有する化合物が挙げられる。アルキル−4,4’−ビフェノール類(2)としては、Tが炭素数3〜8のアルキルであり、且つベンゼン環に置換した炭素原子が3級又は4級であるアルキル基を有する分枝状アルキル−4,4’−ビフェノール類が好ましい。好ましい分枝状アルキル−4,4’−ビフェノール類としては、例えば、3−i−プロピル−4,4’−ビフェノールや3−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等のモノ−分枝状アルキル−4,4’−ビフェノール類、3,5−ジ−i−プロピル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジ−i−プロピル−4,4’−ビフェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールや3,3’−ジ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等のジ−分枝状アルキル−4,4’−ビフェノール類、3,3’,5−トリ−i−プロピル−4,4’−ビフェノールや3,3’,5−トリ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等のトリ−分枝状アルキル−4,4’−ビフェノール類、又は3,3’,5,5’−テトラ−i−プロピル−4,4’−ビフェノールや3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等のテトラ−分枝状アルキル−4,4’−ビフェノール類等の化合物が挙げられる。
特に好ましいアルキル−4,4’−ビフェノール類(2)としては、例えば3,3’,5,5’−テトラ−i−プロピル−4,4’−ビフェノールや3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等が挙げられる。
【0012】
上記のアルキル−4,4’−ビフェノール類は、特開平3−123747号公報等に記載の方法により製造することができる。例えば、フェノール及びt−ブチルフェノール類を2量化反応させることによって3−t−ブチル−4,4’−ビフェノールや3,5−ジ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等が得られ、t−ブチルフェノール類を2量化反応させることによって3,3’−ジ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5−トリ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールや3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等が得られる。
このような2量化反応により得たアルキル−4,4’−ビフェノール類は、2量化反応混合物から取出すことなく脱アルキル化してもよいし、2量化反応混合物から取出したアルキル−4,4’−ビフェノール類を脱アルキル化してもよいし、又、2量化反応混合物から取出後、精製してから脱アルキル化してもよい。
【0013】
本発明における工程(a)の脱アルキル化反応は、以下の▲1▼〜▲3▼からなる群から選ばれるいずれか一つの群の存在下に行ってもよい。
▲1▼芳香族炭化水素溶媒及び脂肪族炭化水素溶媒から選ばれる溶媒、
▲2▼フェノール、モノアルキルフェノール、ジアルキルフェノール及びトリアルキルフェノールから選ばれるフェノール類、
▲3▼上記▲1▼の溶媒及び上記▲2▼のフェノール類の混合物。
上記▲1▼における芳香族炭化水素溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、ニトロベンゼン、クメンやシメン等の溶媒が好ましい。同様に、脂肪族炭化水素溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロへキサンやジイソブチレン等の溶媒が好ましい。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。該溶媒の使用量は、アルキル−4,4’−ビフェノール類の100重量部当り、好ましくは0.1〜2000重量部の範囲であり、より好ましくは0.1〜10重量部の範囲である。前記▲1▼の溶媒は、反応の開始時に存在していてもよく、反応の途中に添加してもよい。反応の途中に▲1▼の溶媒を添加する場合、回分式では好ましい添加時間は1分〜30時間の範囲である。
【0014】
上記▲2▼のフェノール類としては、フェノール;2−i−プロピルフェノール、2−t−ブチルフェノール、3−i−プロピルフェノール、3−t−ブチルフェノール、4−i−プロピルフェノール、4−t−ブチルフェノールやクレゾール等のモノアルキルフェノール;2,6−ジ−i−プロピルフェノールや2,6−ジ−t−ブチルフェノール等のジアルキルフェノール;2,4,6−トリ−i−プロピルフェノールや2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール等のトリアルキルフェノール等が挙げられる。
上記▲2▼のフェノール類は、アルキル−4,4’−ビフェノール類製造の原料化合物として用いられた化合物であって、未反応のまま反応混合物に含有されているフェノール、i−プロピルフェノール類やt−ブチルフェノール類であってもよい。又、前記▲2▼のフェノール類は、アルキル−4,4’−ビフェノール類の製造において副生したフェノール類であってもよい。かかるフェノール類▲2▼は、単独でもよいし、又、2種以上の混合物でもよい。
本発明における工程(a)では、アルキル−4,4’−ビフェノール類の1モルに対して、好ましくは上記単独又は混合物のフェノール類▲2▼を0.1〜30モルの範囲で使用し、より好ましくは前記単独又は混合物のフェノール類▲2▼を0.5〜5モルの範囲で使用する。
【0015】
上記工程(a)におけるアルキル−4,4’−ビフェノール類の脱アルキル化反応は、脱アルキル化触媒の存在下に行われることが好ましい。脱アルキル化触媒としては、例えば硫酸やp−トルエンスルホン酸等の無機酸又は有機酸が好ましく用いられる。脱アルキル化触媒の使用量は、アルキル−4,4’−ビフェノール類の1モルに対して、好ましくは0.001〜0.5モルの範囲であり、より好ましくは0.01〜0.1モルの範囲である。
脱アルキル化の好ましい反応温度は0〜300℃の範囲である。脱アルキル化触媒を加えた場合のより好ましい反応温度は、150〜300℃の範囲である。
【0016】
前記工程(a)において、上記フェノール類▲2▼の非存在下に、ジ−i−プロピル−4,4’−ビフェノール類、ジ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール類、トリ−i−プロピル−4,4’−ビフェノール類、トリ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール類、テトラ−i−プロピル−4,4’−ビフェノール類やテトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール類等のアルキル−4,4’−ビフェノール類を脱アルキル化反応させると、アルキル基が脱離することによってイソブチレン等のアルケンが副生する。そして、モノ−アルキル−4,4’−ビフェノール類を経由して、4,4’−ビフェノールが生成する。
【0017】
フェノール、モノアルキルフェノール、ジアルキルフェノール及びトリアルキルフェノールからなる群から選ばれるフェノール類▲2▼の存在下に脱アルキル化反応させると、副生したアルケンがフェノールと反応して、4−i−プロピルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−i−プロピルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−i−プロピルフェノールや2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類が生成するが、これらの生成物は、本発明の(c)工程において固液分離により4,4’−ビフェノールと分離される。分離されたアルキルフェノール類は、例えば上記の2量化反応等により、i−プロピル−4,4’−ビフェノールやt−ブチル−4,4’−ビフェノール等のアルキル−4,4’−ビフェノール類とすることができる。
【0018】
脱アルキル化反応は、反応液中のモノ−i−プロピル−4,4’−ビフェノールやモノ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等のモノ−アルキル−4,4’−ビフェノール類が、モノ−アルキル−4,4’−ビフェノール類及び4,4’−ビフェノールの合計重量に対して30重量%以下になるように行ってもよいし、アルキル−4,4’−ビフェノール類からアルキル基が全て脱離してアルケンの生成がなくなる迄行なってもよい。上記のモノ−アルキル−4,4’−ビフェノール類としては、例えば3−i−プロピル−4,4’−ビフェノールや3−t−ブチル−4,4’−ビフェノール等が挙げられる。
本発明の工程(a)における脱アルキル化反応は、回分式又は連続式で行われる。
【0019】
本発明において、工程(b)で使用する水の量は、好ましくは(a)工程におけるアルキル−4,4’−ビフェノール類に対して0.001〜10重量倍の範囲であり、より好ましくは0.1〜1重量倍の範囲である。
【0020】
本発明の工程(b)において、上記iii)及びiv)の群におけるフェノール化合物としては、先に例示したフェノール類▲2▼等が挙げられる。該フェノール化合物はフェノール類と同様に単独又は混合物として用いられる。
上記工程(b)における上記フェノール化合物の使用量は、(a)工程におけるアルキル−4,4’−ビフェノール類の1モル当り、好ましくは0.1〜10モルの範囲であり、より好ましくは0.2〜2モルの範囲である。
前記工程(b)において、上記ii)及びiv)の群における芳香族炭化水素溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、ニトロベンゼン、クメンやシメン等の単独又は混合物が挙げられる。上記のi)及びiii)の群における脂肪族炭化水素溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサンやジイソブチレン等の単独又は混合物が挙げられる。同様に、上記i)及びiii)の群における脂肪族ケトン溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトンやシクロヘキサノン等の単独又は混合物が挙げられる。
アルキル−4,4’−ビフェノール類100重量部当りの上記芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒又は脂肪族ケトン溶媒の使用量は、好ましくは10〜1000重量部の範囲であり、より好ましくは20〜200重量部の範囲である。
【0021】
本発明において、上記のi)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水の混合物中に、(a)工程で得た反応液を添加する場合、例えば、フェノール化合物と芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒又は脂肪族ケトン溶媒と水との混合物中に工程(a)で得た反応液を加えてもよく、フェノール化合物と水の混合物に工程(a)で得た反応液を加えた後、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒又は脂肪族ケトン溶媒を加えてもよく、或いは芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒又は脂肪族ケトン溶媒と水の混合物に工程(a)で得た反応液を加えた後、フェノール化合物を加えてもよい。
本発明の(b)工程において、(a)工程で得た反応液中に上記i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水を添加する場合は、該溶媒と水を個別に添加して4,4’−ビフェノールを析出させてもよいし、上記のi)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水を上記反応液の温度における蒸気圧の低い方から順に添加して4,4’−ビフェノールを析出させてもよい。
この場合、前記i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水とを同時並行的に添加することが好ましい。
前記i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水を上記反応液の温度における蒸気圧の低い方から順に添加する場合は、工程(a)で得た反応液の温度における前記一群の溶媒の蒸気圧と水の蒸気圧とを比較し、溶媒の蒸気圧が水の蒸気圧よりも低いときは、先に溶媒を添加し、後から水を添加する。このような添加順序にすることにより、より蒸気圧の低い溶媒の添加によって反応液の温度を低下させることが可能であり、その結果、より蒸気圧の高い水の蒸発によるロスを少なくすることができる。
逆に、溶媒の蒸気圧が水の蒸気圧よりも高いときは、先に水を添加し、後から溶媒を添加する。このような添加順序にすることにより、より蒸気圧の低い水の添加によって反応液の温度を低下させることが可能であり、その結果、より蒸気圧の高い溶媒の蒸発によるロスを少なくすることができる。
本発明における工程(b)は、回分式又は連続式で行われる。
工程(b)においてi)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水の混合物中に工程(a)で得た反応液を添加する場合、前記i)〜iv)の群の温度は、通常、沸点未満且つ凝固点を越える範囲であり、好ましくは0〜100℃の範囲である。一方、添加する反応液は、脱アルキル化反応時の温度でもよいし、適宜冷却した状態でもよい。工程(a)で得た反応液を添加する場合、回分式では添加に要する時間は、好ましくは1分〜30時間の範囲である。
本発明における工程(b)において、工程(a)で得た反応液中に、上記i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水を添加する場合、工程(a)で得た反応液の温度は、脱アルキル化反応時の温度でもよいし、適宜冷却した状態でもよい。添加するi)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水は、沸点未満且つ凝固点を越える範囲であり、好ましくは0〜100℃の範囲である。i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水を添加する場合、回分式では添加に要する時間は、好ましくは1分〜30時間の範囲である。
フェノール化合物と工程(a)で用いるフェノール類▲2▼は互いに同一でもよく、相異なっていてもよい。フェノール化合物としては、フェノールが好ましい。
【0022】
工程(c)は、工程(b)で析出した4,4’−ビフェノールを分離する工程である。4,4’−ビフェノールの好ましい分離温度は、4,4’−ビフェノール以外の成分(芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、脂肪族ケトン溶媒やフェノール化合物と水との混合物)の沸点未満且つ凝固点を越える範囲であり、より好ましい分離温度は0〜100℃の範囲である。4,4’−ビフェノールの分離は、好ましくは濾過機を用いて行われる。
濾上物として得られた4,4’−ビフェノールは、必要に応じて、例えば水;芳香族炭化水素溶媒;脂肪族炭化水素溶媒;脂肪族ケトン溶媒;メタノール、エタノールやi−プロピルアルコール等の低級アルコール;及びこれらの混合溶媒等で洗浄される。
【0023】
【実施例】
以下、実施例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例により限定されるものではない。
【0024】
実施例1
粗3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール501g〔3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールの1.1モル及び2,6−ジ−t−ブチルフェノール0.3モルの混合物〕、フェノール374g及び2,6−ジ−t−ブチルフェノール57.3gの混合物を160℃に加熱し、同温度でp−トルエンスルホン酸一水和物0.03モルを加えた。次いで、200℃まで加熱し、5時間反応させた。その後、反応液を、クメン520g、フェノール347g、及び水44gからなる81℃の混合物中に7分間で注加した。注加後の混合物を冷却後、得られた析出物を60℃で遠心濾過して取出した。遠心濾過時の濾過性は良好であった。
遠心濾過後に取出した析出物をメタノールと水の混合溶媒(メタノール含量は70重量%)216gで洗浄後、70℃で真空乾燥して4,4’−ビフェノールの147gを得た(収率77%)。
得られた4,4’−ビフェノールを高速液体クロマトグラフで分析(面積百分率法)したところ、純度は99.5%であった。99.5%純度の4,4’−ビフェノールの5重量%メタノール溶液を調製し、その波長420nmにおける吸光度を、島津製作所製のUV−160A(セルの長さは1cm)を用いて測定したところ、0.036であった。又、99.5%純度の4,4’−ビフェノールを硫硝酸で分解後、分解物を塩酸で溶解し、フレーム原子吸光法により金属の分析をしたところ、Naが0.4ppm、Kが8.3ppmであった。
なお、粗3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールは、2,6−ジ−t−ブチルフェノールに苛性カリ水溶液を添加し、空気酸化させることにより得た。
【0025】
比較例1
粗3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール500g〔3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールの1.1モル及び2,6−ジ−t−ブチルフェノール0.3モルの混合物〕、フェノール373g及び2,6−ジ−t−ブチルフェノール57gの混合物を159℃に加熱し、同温度でp−トルエンスルホン酸一水和物0.03モルを加えた。次いで、200℃まで加熱し、5時間反応させた。得られた反応液を、クメン520gとフェノール347gとの混合物(82℃)中に8分間で注加した。注加後の混合物を冷却後、得られた析出物を60℃で遠心濾過して取出した。遠心濾過時の濾過性は良好であった。
遠心濾過後に取出した析出物をメタノールと水の混合溶媒(メタノール含量は70重量%)216gで洗浄後、70℃で真空乾燥して4,4’−ビフェノールの128gを得た(収率68%)。
得られた4,4’−ビフェノールを高速液体クロマトグラフで分析(面積百分率法)したところ、純度は98.9%であった。98.9%純度の4,4’−ビフェノールの5重量%メタノール溶液を調製し、その波長420nmにおける吸光度を、島津製作所製のUV−160A(セルの長さは1cm)を用いて測定したところ、0.161であった。又、98.9%純度の4,4’−ビフェノールを実施例1と同様にして金属の分析を行ったところ、Naが0.6ppm、Kが31ppmであった。
【0026】
実施例2
粗3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール500g〔3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールの1.0モル及び2,6−ジ−t−ブチルフェノール0.3モルの混合物〕、フェノール193g、4−t−ブチルフェノール308g及び2,6−ジ−t−ブチルフェノール39gの混合物を162℃に加熱し、同温度でp−トルエンスルホン酸一水和物0.03モルを加えた。次いで、211℃まで加熱し、5時間反応させた。その後、反応液中に、先ずクメン252gを90分間で注加した。次に、102℃の混合物中に水42gを6分間で注加した後、冷却し、得られた析出物を60℃で遠心濾過して取出した。遠心濾過時の濾過性は良好であった。
遠心濾過後に取出した析出物をクメン84g、メタノールと水の混合溶媒(メタノール含量は70重量%)211gで洗浄後、70℃で真空乾燥して4,4’−ビフェノールの165gを得た(収率93%)。
得られた4,4’−ビフェノールを高速液体クロマトグラフで分析(面積百分率法)したところ、純度は99.9%であった。99.9%純度の4,4’−ビフェノールの5重量%メタノール溶液を調製し、その波長420nmにおける吸光度を、島津製作所製のUV−160A(セルの長さは1cm)を用いて測定したところ、0.020であった。又、99.9%純度の4,4’−ビフェノールを硫硝酸で分解後、分解物を塩酸で溶解し、フレーム原子吸光法により金属の分析をしたところ、Kが3.9ppmであった。
なお、粗3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールは、2,6−ジ−t−ブチルフェノールに苛性カリ水溶液を添加し、空気酸化させることにより得た。
【0027】
比較例2
粗3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノール501g〔3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールの1.0モル及び2,6−ジ−t−ブチルフェノール0.3モルの混合物〕、フェノール193g、4−t−ブチルフェノール308g及び2,6−ジ−t−ブチルフェノール39gの混合物を161℃に加熱し、同温度でp−トルエンスルホン酸一水和物0.03モルを加えた。次いで、211℃まで加熱し、5時間反応させた。その後、反応液中にクメン253gを60分間で注加した。注加後の混合物を冷却後、得られた析出物を60℃で遠心濾過して取出した。
遠心濾過後に取出した析出物をクメン85g、メタノールと水の混合溶媒(メタノール含量は70重量%)210gで洗浄後、70℃で真空乾燥して4,4’−ビフェノールの155gを得た(収率85%)。
得られた4,4’−ビフェノールを高速液体クロマトグラフで分析(面積百分率法)したところ、純度は99.8%であった。99.8%純度の4,4’−ビフェノールの5重量%メタノール溶液を調製し、その波長420nmにおける吸光度を島津製作所製のUV−160A(セルの長さは1cm)を用いて測定したところ、0.026であった。又、99.8%純度の4,4‘−ビフェノールを実施例1と同様にして金属の分析を行ったところ、Kが8.0ppmであった。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、金属、特にカリウム含有量が少なく、且つ色相の良好な4,4’−ビフェノールを工業的にも有利に製造することができる。
Claims (12)
- 下記(a)、(b)及び(c)の工程を含むことを特徴とする4,4’−ビフェノールの製造法:
(a)工程;
下記式(2)
で示されるアルキル−4,4’−ビフェノール類を脱アルキル化反応させて4,4’−ビフェノールを含む反応液を得る工程、
(b)工程;
下記i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒、水、及び(a)工程で得た反応液を混合して、4,4’−ビフェノールを析出させる工程、
i)脂肪族炭化水素溶媒及び脂肪族ケトン溶媒のいずれか一種の溶媒、
ii)芳香族炭化水素溶媒から選ばれる溶媒、
iii)脂肪族炭化水素溶媒及び脂肪族ケトン溶媒のいずれか一種とフェノール化合物との混合溶媒、
iv)芳香族炭化水素溶媒とフェノール化合物との混合溶媒、
(c)工程;
上記(b)工程で析出した4,4’−ビフェノールを分離する工程。 - i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水の混合物中に、(a)工程で得た反応液を添加する請求項1に記載の4,4’−ビフェノールの製造法。
- (a)工程で得た反応液中に、i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水を添加する請求項1に記載の4,4’−ビフェノールの製造法。
- i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水を個別に添加する請求項3に記載の4,4’−ビフェノールの製造法。
- i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群の溶媒と水を、反応液の温度における蒸気圧の低い方から順に添加する請求項4に記載の4,4’−ビフェノールの製造法。
- (b)工程における水の量が、(a)工程におけるアルキル−4,4’−ビフェノール類の1重量部当り、0.001〜10重量部の範囲である請求項1〜5のいずれかに記載の4,4’−ビフェノールの製造法。
- (b)工程において、iii)又はiv)の群におけるフェノール化合物の量が、(a)工程におけるアルキル−4,4’−ビフェノール類の1モル当り、0.1〜10モルの範囲である請求項1〜6のいずれかに記載の4,4’−ビフェノールの製造法。
- (b)工程において、i)〜iv)から選ばれるいずれか一つの群における芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒又は脂肪族ケトン溶媒の量が、(a)工程におけるアルキル−4,4’−ビフェノール類の1重量部当り、0.1〜10重量部の範囲である請求項1〜7のいずれかに記載の4,4’−ビフェノールの製造法。
- 触媒の存在下に、脱アルキル化反応させる請求項1〜8のいずれかに記載の4,4’−ビフェノールの製造法。
- (a)工程におけるアルキル−4,4’−ビフェノール類が、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールである請求項1〜9のいずれかに記載の4,4’−ビフェノールの製造法。
- 以下の▲1▼〜▲3▼からなる群から選ばれるいずれか一つの群の存在下に脱アルキル化反応させる請求項1〜10のいずれかに記載の4,4’−ビフェノールの製造法。
▲1▼芳香族炭化水素溶媒及び脂肪族炭化水素溶媒から選ばれる溶媒、
▲2▼フェノール、モノアルキルフェノール、ジアルキルフェノール及びトリアルキルフェノールから選ばれるフェノール類、
▲3▼上記▲1▼の溶媒及び上記▲2▼のフェノール類の混合物。 - (a)工程におけるフェノール類の量が、アルキル−4,4’−ビフェノール類の1モル当り、0.1〜30モルの範囲である請求項11に記載の4,4’−ビフェノールの製造法。
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