JP2004066990A - ロータブレードにおけるフラップ駆動装置 - Google Patents

ロータブレードにおけるフラップ駆動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題はロータブレードに設けるフラップを駆動する装置として適切なフラップ駆動装置を提供することにある。
【解決手段】ロータブレードに長さ方向に沿って配設され伸縮動作して駆動力を発生するアクチュエータを備えた第1のアクチュエータユニット1と、ロータブレードにその長さ方向に沿って配設され伸縮動作して駆動力を発生するアクチュエータを備えた第2のアクチュエータユニット2と、これら両方のアクチュエータユニットの間に設けられ第1のアクチュエータユニットのアクチュエータの駆動力を受けてフラップを一方向へ回動させる第1の回動手段3と、両方のアクチュエータユニットの間に設けられ第2のアクチュエータユニットのアクチュエータの駆動力を受けてフラップを他方向へ回動させる第2の回動手段4とを具備する。
【選択図】  図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はヘリコプタなどのロータブレードに設けられるフラップを駆動する駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、ヘリコプタにおいては、ロータブレードに上下方向に回動可能にフラップを設け、このフラップを駆動してロータブレードの空力特性を高めることが行なわれている。
【0003】
ロータブレードにはフラップを駆動する駆動装置が設けられている。このフラップ装置としては、ピエゾ素子を用いたアクチュエータと回動手段とを具備するものがある。すなわち、この駆動装置は、ピエゾ素子からなるアクチュエータに電圧を印加して発生するアクチュエータの伸縮動作を駆動力として取出し、回動手段がこのアクチュエータの駆動力を受けて動作してフラップを回動させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このフラップ駆動装置には次に述べる問題がある。
第1に、このフラップ駆動装置は、アクチュエータと回動手段からなる組合せロータブレードに2組設け、この2組の組合せのうち一方の組合を用いてフラップを一方向(例えば上方向)へ回動させ、他方の組合せを用いてフラップを他方向(例えば下方向)へ回動させている。従来のフラップ駆動装置では、この2組のアクチュエータをロータブレードにその長さ方向(スパン方向)に沿わせて幅方向に平行に並べて並べて配設している。
【0005】
しかし、このように2組のアクチュエータをロータブレードの幅方向に平行に並べて設けると、2組のアクチュエータを配設するために占領するロータブレードの幅方向のスペースが大きくなり、ロータブレードの幅方向の寸法が増大してロータブレードが大型化する。
【0006】
第2に、アクチュエータは伸縮動作して保持に緩みが生じる可能性があるために、伸縮動作する時に力を加えて緩みなく保持する必要がある。従来のフラップ駆動装置では、アクチュエータの一端部をロータブレードに取り付けて、ロータブレードを回転する時に生じる遠心力を利用してアクチュエータに力を加えるようにしている。
【0007】
このアクチュエータに加える力はアクチュエータの伸縮動作量と関連し、アクチュエータの伸縮動作量はフラップの回動角度と関連するので、アクチュエータに加える力はフラップの回動角度と関連して設定する必要がある。ところが、実際にはフラップはロータブレードが回転する時に空気の反力を受けて回動し、予め設定した回動角度位置が変動することがある。このため、アクチュエータに力を加えるためにロータブレードを回転する時に生じる遠心力を利用する方法では、フラップに加える力を連続的に変化させてフラップの回動角度に適した大きさに適切に制御することが困難である。
【0008】
従って、従来のフラップ駆動装置はロータブレードに設けるフラップを駆動する装置として適切なものではなかった。
【0009】
本発明はロータブレードに設けるフラップを駆動する装置として適切なフラップ駆動装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のロータブレードにおけるフラップ駆動装置は、ロータブレードに回動可能に設けられたフラップを駆動する装置において、前記ロータブレードにその長さ方向に沿って配設され伸縮動作して駆動力を発生するアクチュエータを備えた第1のアクチュエータユニットと、前記ロータブレードにその長さ方向に沿って配設され伸縮動作して駆動力を発生するアクチュエータを備えた第2のアクチュエータユニットと、前記第1のアクチュエータユニットと前記第2のアクチュエータユニットとの間に設けられ前記第1のアクチュエータユニットのアクチュエータの駆動力を受けて前記フラップを一方向へ回動させる第1の回動手段と、前記第1のアクチュエータユニットと前記第2のアクチュエータユニットとの間に設けられ前記第2のアクチュエータユニットのアクチュエータの駆動力を受けて前記フラップを他方向へ回動させる第2の回動手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のロータブレードにおけるフラップ駆動装置は、ロータブレードに回動可能に設けられたフラップを駆動する装置において、伸縮動作して駆動力を発生するアクチュエータを備えたアクチュエータユニットと、このアクチュエータユニットのアクチュエータの変位を拡大して前記フラップを回動させる回動手段とを具備し、前記アクチュエータユニットは、前記アクチュエータを保持する保持部材と、この保持部材に設けられ前記アクチュエータに対してその伸縮動作方向に沿った力を加えるとともにこの力の大きさを制御可能な力付与手段とを備えていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について図1ないし図6を参照して説明する。
【0013】
この実施の形態はヘリコプタのロータブレードに設けるフラップを駆動する装置に適用したものである。図1はヘリコプタを概略的に示す図である。図101はヘリコプタの機体、102は機体101の上部から垂直に突出して設けられたロータシャフト、103はローラシャフト102の先端部に点対称に水平に設けられた一対のロータブレードである。各ロータブレード103には夫々長さ方向中間部における後縁部にフラップ104が設けられ、このフラップ104を駆動する駆動装置105が設けられている。
【0014】
フラップ駆動装置105について図2ないし図6を参照して説明する。この実施の形態は、フラップを風洞試験するために用いる模型に搭載するフラップ駆動装置に適用する場合と、ヘリコプタの実機に搭載するフラップ駆動装置に適用する場合を対象にしている。
【0015】
図2はロータブレードにおいてフラップ駆動装置を設けた部分を一部切欠して示す平面図、図3は図2のZ−Z線に沿う平面図、図4は図2のY−Y線に沿う断面図、図5はフラップ駆動装置(第1のアクチュエータユニットおよび第1の回動手段)を示す斜視図、図6はフラップ駆動装置に設けるアクチュエータおよび保持部材を示す斜視図である。
【0016】
ロータブレード103の後縁部には切欠部106が形成され、この切欠部106にフラップ104が設けられる。フラップ104は切欠部106におけるロータブレード103の断面形状と同様の断面形状をなし、前縁部から後縁部に向けて尖形となる断面形状をなしている。フラップ104の前縁部はロータブレード長さ方向に沿う軸107に上下方向に回動自在に支持され。この軸107はロータブレード103に支持されている。
【0017】
ロータブレード103の内部には後述する駆動装置105を構成する各要素を配設するためのスペースが設けられている。すなわち、ロータブレード103の内部における前縁部の部分には、フラップ104に対向する箇所を挟んで長さ方向に左側と右側に振分けた箇所に、第1のアクチュエータユニット1(例えば図2左側)1と第2のアクチュエータユニット2(例えば図2右側)が夫々向かい合ってロータブレード長さ方向に沿って配設されている。ロータブレード103の内部には、第1のアクチュエータユニット1と第2のアクチュエータユニット2とで挟まれる箇所からフラップ104の前縁部に到る箇所に亙って、第1の回動手段3と第2の回動手段4がロータブレード幅方向に沿うとともに上下に重ねて配設されている。例えば第1の回動手段3は上側、第2の回動手段4は下側に配設されている。
【0018】
第1のアクチュエータユニット1と第1の回動手段3は組合せて使用されるもので、第1のアクチュエータユニット1は後述するアクチュエータ11の伸縮動作により駆動力を発生し、第1の回動手段3はこのアクチュエータ11の駆動力を受けてフラップ104に対して例えば下向き回動させる力を加えるものである。この下向き回動角度は、アクチュエータの変位量(伸長量)に対応するものである。
【0019】
第2のアクチュエータユニット2と第2の回動手段4は組合せて使用されるもので、第2のアクチュエータユニット2は後述するアクチュエータの伸縮動作により駆動力を発生し、第2の回動手段4はこのアクチュエータの駆動力を受けてフラップ104に対して例えば上向き回動させる力を加えるものである。この上向き回動角度は、アクチュエータの変位量(伸長量)に対応するものである。
【0020】
第1のアクチュエータユニット1と第2のアクチュエータユニット2は配置の向きが異なるだけで基本的な構成は同じものであるので、その構成について第1のアクチュエータユニット1を例にとり図6を参照して説明する。
【0021】
図中11はアクチュエータ、12は保持部材である。アクチュエータ11は棒状、例えば断面四角形をなす棒をなすもので、その軸線方向に沿って伸縮動作するものである。この実施の形態ではアクチュエータ11としてピエゾ素子を用いている。すなわち、ピエゾ素子からなるアクチュエータ11は電圧を印加すると伸縮動作する圧電逆効果を有するものである。このアクチュエータ11は複数個、例えば6個設けられる。
【0022】
保持部材12はアクチュエータ11を保持するものである。保持部材12は例えば筆箱形のような長方形の容器をなすもので、内部にアクチュエータ11を収納保持する保持空間部13を有している。この保持空間部13は例えば3個のアクチュエータ11を3個直列に並べて一列とし、この列を2列平行に並べて収納して保持するもので、収納したアクチュエータ11を長さ方向(直列方向)に沿って伸縮動作するように保持するようになっている。
【0023】
保持部材12の一端部は保持部材12の内部と外部とを貫通するように開放され、この開放部には変位体14がアクチュエータ並び方向に沿って移動するように嵌合されている。この変位体14は保持空間部13に面する側面がアクチュエータ並び方向に対して直角な平面となっており、保持部材12の外部に面する側面には突起15が形成されている。
【0024】
保持部材12の他端部は閉塞されており、この他端部には保持部材12の内部と外部とを貫通する2個のねじ孔16が形成されている。この2個のねじ孔16は保持空間部13に収納保持された2列のアクチュエータ11列の夫々の中心軸線上に位置して形成されている。この2個のねじ孔16には夫々押しねじ棒17が螺挿されている。この押しねじ棒17は力付与手段の一例のもので、保持部材12の外部から回転操作することが可能であり、先端部は保持部材12の保持空間部13に突出するようになっている。すなわち、押しねじ棒17は回転することにより軸方向に前進、後退移動される。保持部材12の他端部は保持空間部13に面する側面がアクチュエータ並び方向に対して直角な平面となっている。
【0025】
なお、保持部材12は保持空間部13にアクチュエータ11を出し入れすることを容易にするために他端部を除く部分が下部12aと上部12bとに分割されて組み合されている。
【0026】
そして、アクチュエータ11は前述したように保持部材12の保持空間部13に3個を直列に並べて一列とし、この列を2列平行に並べて収納して保持されている。各列における保持部材12の一端部に位置するアクチュエータ11の一端面は、保持部材12に設けた変位体14の内側面に当接する。各列における保持部材12の他端部に位置するアクチュエータ11の他端面は、保持部材12に設けた押しねじ棒17の先端面に当接する。このため、変位体14の移動を抑えておき、押しねじ棒17を回転して保持空間部13の内部へ向けて前進移動すると、押しねじ棒17の先端が保持部材12の他端部に位置するアクチュエータ11の端面を押圧して、アクチュエータ11にその軸線方向に沿って力を加えて列全体のアクチュエータ11に力を加えることができる。これにより各列のアクチュエータ11は保持部材12と変位体14と押しねじ棒17により並び方向に押し付けられて保持されている。
【0027】
さらに、アクチュエータ11は図示しない制御手段により電圧が印加されるようになっている。アクチュエータ11は電圧が印加されると、軸方向に伸長または収縮する。例えばアクチュエータ11が伸長すると、変位体14が押されて保持部材12の外部へ向けて移動して変位する。
【0028】
この第1のアクチュエータユニット1は、保持部材12の一端部が回動手段2に向くようにロータブレード103の長さ方向に沿って水平に配設される。また、第2のアクチュエータユニット2は保持部材12の一端部が回動手段2に向くようにロータブレード103の長さ方向に沿って水平に配設される。すなわち、各アクチュエータユニット1、2は保持部材12の一端部が回動手段3,4を挟んで向かい合うようになる。
【0029】
第1の回動手段3と第2の回動手段4は上下位置が異なるだけで基本的には同じ構成をなしているので、その構成について第1の回動手段3を例にとり図5を参照して説明する。
【0030】
第1の回動手段3は変向体21と移動体22を備えている。変向体21は板材からなるもので、第1のアクチュエータユニット1の保持部材12の一端部に面した位置に水平に配置され、垂直な軸23に支持されて回動可能に設けられている。この軸23はロータブレード103に支持されている。この変向体21は例えば四角形をなすもので、第1のアクチュエータユニット1に面する側縁には変位体14の突起15が当接している。変向体21においてフラップ104に面する側縁には突起24が形成されている。
【0031】
移動体22は板状をなすもので、変向体21とフラップ104の前縁部との間に水平に配置されて、ロータブレード103にその幅方向に沿ってスライド可能に支持されている。移動体22の一端縁には変向体21の突起24が当接し、移動体22の他端縁はフラップ104の前縁部における上部に当接している。フラップ104の前縁部における移動体22に面する面104aは、移動体22の端縁が良好に当接するように平坦に形成されている。
【0032】
この第1の回動手段3は第1のアクチュエータユニット1の変位体14が保持部材12の外部にA方向へ向けて変位すると、変位体14の突起15が変向体21の側縁を押す。変向体21は変位体14の突起15に押されて軸23を中心としてB方向へ向けて変位体14の変位距離に応じた角度で回動する。変向体21はB方向へ向けて回動すると、突起24で移動体22の一端縁をフラップ104へ向けて押す。変向体21に押された移動体22は変向体21の回動角度に応じた距離でC方向へ向けてスライドし、他端縁でフラップ104の前縁部の上部を押す。これによりフラップ104には軸107を中心として下向きへ回動させるトルクが発生し、フラップ104は移動体22の移動距離に応じた角度で下向きへ回動する。
【0033】
また、軸23と変位体14の突起15が当接する位置との間の距離に対して、軸23と突起24の位置との間の距離が大きく設定されている。すなわち、軸23を中心とする変位体14の突起15が当接する位置の回転半径に対して、軸23を中心とする突起24の位置の回転半径が大きく設定されている。これはアクチュエータ11の伸長量、すなわち変位体14の突起15の変位量を変向体21が拡大し、拡大した変位量で移動体22を変位させるためである。これによりアクチュエータ11の微小な変位を利用してフラップ104を回動させることができる。
【0034】
なお、下側へ向けて回動した位置にあるフラップ104が水平な位置に戻る場合には、第1の回動手段3は前記と逆の動作を行なう。第1のアクチュエータユニット1では変位体14が保持部材12の内部へ向けて後退移動し、アクチュエータ11は変位体14により圧縮される。
【0035】
そして、この第1の回動手段3は、第1のアクチュエータユニット1のアクチュエータ11と第2のアクチュエータユニット2のアクチュエータ11とで挟まれる箇所からフラップ104の前縁部に到る箇所に亙って、第1の回動手段3と第2の回動手段4がロータブレード幅方向に沿って配設されている。
【0036】
第2の回動手段4は第1の回動手段3の下側に配設されている。第2の回動手段4に設けられる移動体22の他端は、フラップ104の前縁部における下部に当接している。これにより移動体22はフラップ104に向けて移動すると、フラップ104の前縁部の下部を押圧してフラップ104を軸107を中心として上側へ向けて回動させる。
【0037】
これら第1の回動手段3および第2の回動手段4の変向体21と変位体14は直接連結せず互いに当接しているだけであるから、アクチュエータ11に対して引張り力が加わることがなく、アクチュエータ11に引張り力が加わることによる不具合の発生を防止できる。
【0038】
そして、このフラップ駆動装置105は、第1のアクチュエータユニット1と第2のアクチュエータユニット2に設けるアクチュエータ11に対する電圧の印加を制御して、第1のアクチュエータユニット1および第1の回動手段3、第2のアクチュエータユニット2および第2の回動手段4を動作させてフラップ104を上向きまたは下向きに適宜な角度で回動させる。
【0039】
ここで、フラップ104を下向きに駆動する第1のアクチュエータユニット1と、上向きに駆動する第2のアクチュエータユニット2を設けることによりフラップ104を強力に駆動して上下方向に回動させることができる。また、各アクチュエータユニット1,2では夫々複数のアクチュエータ11を組合せるために大きな力を発生させることができる。
【0040】
これら第1のアクチュエータユニット1のアクチュエータ11と第2のアクチュエータユニット2のアクチュエータ11をロータブレード103に長さ方向に沿って配設することにより、ロータブレード103の余裕のある長さ方向のスペースを有効に利用して、2組のアクチュエータ1、2を配設することができる。このため、2組のアクチュエータ1、2を配設するために占領するロータブレード幅方向のスペースの増大を防止してロータブレード103の大型化を防止できる。
【0041】
第1のアクチュエータユニット1と第2のアクチュエータユニット2では、前述したように保持部材12に設けた力付与手段である押しねじ棒17により、アクチュエータ11に対して軸方向に沿う力(プリロード)を加えて、アクチュエータ11が伸縮動作した時に、フラップ104の回動を考慮しながら緩みなく保持するようにする。すなわち、保持部材12に直列に並んだアクチュエータ11の列に軸線方向に沿う力を加え、フラップ104のアクチュエータ11がその力に応じた量だけ縮小し、各アクチュエータ11を緩みのない状態で保持できる。ここで、力付与手段として押しねじ棒17を用いると、簡素な構成でありながら操作さが容易でアクチュエータ11に対して加える力を連続的に変化させて制御することができる。
【0042】
本発明では、ロータブレード103が回転する時にフラップ104が受ける反力に対応して押しねじ棒17がアクチュエータに加える力を制御する。これは次に述べる理由によるものである。
【0043】
アクチュエータ11に対して所定量で伸びるように設定して電圧を印加する。アクチュエータ11に対して外部から反力が加えられなければ、設定した大きさの量で伸びる。しかし、ロータブレード103を回転する場合にはフラップ104は空気の反力を受ける。このフラップ104が受ける空気の反力は回動手段3、4および変位体14を介してアクチュエータ11に対して軸方向に沿ってこれを圧縮する向きに加わる。そうするとアクチュエータ11は反力の大きさに応じた量だけ縮小する。このため、アクチュエータ11は電圧を印加しても、予め設定した伸長量から反力による縮小量を差し引いた量しか伸長できない。
【0044】
ここで、フラップ104に加わる反力を考慮せずに電圧印加による伸長量のみを考慮した大きさの力(プリロード)を、押しねじ棒17によりアクチュエータ11に加えると、前述したように実際にはアクチュエータ11の伸長量が小さくなるために、アクチュエータ11の保持やアクチュエータ11の回動動作に不具合が生じる。
【0045】
そこで、押しねじ棒17によりアクチュエータ11に力を加える場合には、フラップ104が受ける反力によりアクチュエータ11が縮小する量を考慮して力の大きさを設定して不具合の発生を防止する。押しねじ棒17は回転することにより移動距離が連続的に変化することにより、アクチュエータ11に対して加える力を連続的に変化させて制御することができる。このように押しねじ棒17の操作によりフラップ104に加える力をフラップ104の回動角度に適した大きさに適切に制御することができる。
【0046】
本発明のフラップ駆動装置を風洞試験用模型に搭載した場合には、ロータブレード103の回転速度と風速によりフラップ104に作用する反力を求め、この反力の大きさに応じて押しねじ棒17を操作してアクチュエータ11に加える力を制御する。押しねじ棒17の操作は例えば係員が手動で行なう。
【0047】
本発明のフラップ駆動装置をヘリコプタの実機のロータブレードに搭載する場合にも同様の方法で制御する。押しねじ棒17を自動的に操作する機構をロータブレードに装備する。なお、ヘリコプタの実機としては例えば薬剤散布用の無人機が挙げられる。
【0048】
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されず、種々変形して実施することができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明のロータブレードにおけるフラップ駆動装置によれば、第1のアクチュエータユニットのアクチュエータと第2のアクチュエータユニットのアクチュエータをロータブレードに長さ方向に沿って配設することにより、ロータブレードの余裕のある長さ方向のスペースを有効に利用して、2組のアクチュエータを配設することができる。このため、2組のアクチュエータを配設するために占領するロータブレード幅方向のスペースの増大を防止してロータブレードが大型化することを防止できる。
【0050】
また、本発明のロータブレードにおけるフラップ駆動装置によれば、アクチュエータに対してその伸縮動作方向に沿った力を加えるとともにこの力の大きさを連続的に制御可能な力付与手段を備えることにより、アクチュエータに加える力(プリロード)をフラップの回動角度に適した大きさに制御することができる。そして、力付与手段としては押しねじ棒が大変適している。
【0051】
さらに、力付与手段によりフラップが受ける反力に対応してアクチュエータに加える力を制御することにより、アクチュエータに加える力(プリロード)をフラップが受ける反力に対応した大きさに制御することができる。
【0052】
従って、本発明はロータブレードに設けるフラップを駆動する装置として適切なフラップ駆動装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘリコプタを概略的に示す図。
【図2】本発明の一実施の形態におけるフラップ駆動装置を示す平面図。
【図3】同実施の形態におけるフラップ駆動装置を示す断面図。
【図4】同実施の形態におけるフラップ駆動装置を示す断面図。
【図5】同実施の形態におけるフラップ駆動装置を示す斜視図。
【図6】同実施の形態におけるフラップ駆動装置に設けるアクチュエータユニットを示す斜視図。
【符号の説明】
1…第1のアクチュエータユニット
2…第2のアクチュエータユニット
3…第1の回動手段
4…第2の回動手段、
11…アクチュエータ
12…保持部材
13…保持空間部
14…変位体
17…押しねじ棒
21…変向体
22…移動体
101…機体
103…ロータブレード
104…フラップ

Claims (6)

  1. ロータブレードに回動可能に設けられたフラップを駆動する装置において、前記ロータブレードにその長さ方向に沿って配設され且つ伸縮動作して駆動力を発生するアクチュエータを備えた第1のアクチュエータユニットと、前記ロータブレードにその長さ方向に沿って配設され且つ伸縮動作して駆動力を発生するアクチュエータを備えた第2のアクチュエータユニットと、前記第1のアクチュエータユニットと前記第2のアクチュエータユニットとの間に設けられ前記第1のアクチュエータユニットのアクチュエータの駆動力を受けて前記フラップを一方向へ回動させる第1の回動手段と、前記第1のアクチュエータユニットと前記第2のアクチュエータユニットとの間に設けられ前記第2のアクチュエータユニットのアクチュエータの駆動力を受けて前記フラップを他方向へ回動させる第2の回動手段とを具備することを特徴とするロータブレードにおけるフラップ駆動装置。
  2. ロータブレードに回動可能に設けられたフラップを駆動する装置において、伸縮動作して駆動力を発生するアクチュエータを備えたアクチュエータユニットと、このアクチュエータユニットのアクチュエータの駆動力を受けて前記フラップを回動させる回動手段とを具備し、前記アクチュエータユニットは、前記アクチュエータを保持する保持部材と、この保持部材に設けられ前記アクチュエータに対してその伸縮動作方向に沿った力を加えるとともにこの力の大きさを連続的に制御可能な力付与手段とを備えていることを特徴とするロータブレードにおけるフラップ駆動装置。
  3. 前記力付与手段は、前記フラップが受ける反力に対応して前記アクチュエータに加える力を制御するものであることを特徴とする請求項2に記載のロータブレードにおけるフラップ駆動装置。
  4. 前記力付与手段は押しねじ棒であることを特徴とする請求項2に記載のロータブレードにおけるフラップ駆動装置。
  5. 前記アクチュエータは棒状をなすもので、複数個直列に並べて設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のロータブレードにおけるフラップ駆動装置。
  6. 前記アクチュエータはビアゾ素子であることを特徴とする請求項5に記載のロータブレードにおけるフラップ駆動装置。
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