JP2004065195A - キノコ栽培用菌床及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】木質材料変性ポリオールを用いたポリウレタンフォームからなるキノコ栽培用菌床。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食用あるいは薬用キノコ類の人工栽培に用いられる木質材料由来のポリウレタンフォームを使用したキノコ栽培用の菌床及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スギはわが国で最も多く植林されており、建築資材等へ利用されているが、製材工場で排出される樹皮の量は国内で277万m3/年におよび、その約1/4は、利用されることなく廃棄されているのが現状であり、将来的にも二酸化炭素の発生源となると思われるため、有効な利用法の開発が望まれている。
本発明者らは、林産廃棄物として多量に排出されるスギ樹皮をポリウレタン材料に変換させる方法として、亜硫酸水素ナトリウムを用いた液化法(ポリエチレングリコール・バイサルファイト法)を提案した(上野智子,耿 興蓮,芦谷竜矢,親泊政二三,坂井克己;木材学会誌,47 260−266 (2001))。
【0003】
一方、従来より、シイタケ等のキノコ類の人工栽培では、楢や櫟等の広葉樹の原木を利用し、取扱いに便利な長さ1m程度に玉切りした、いわゆるホダ木にシイタケ等の種菌を植え付けて山林や人工日陰等の下に静置し、原木にシイタケ等の菌糸を伸長させる原木栽培が利用されてきた。このような原木栽培においては、2年後ぐらいにシイタケ等のキノコ類が原木上に発生し収穫が可能になる。
しかしながら、ホダ木用原木が不足し、生産者の老齢化に伴う作業量の低減、栽培期間の短縮化等を図るべく、原木栽培に替わり、広葉樹のオガ粉(ノコ屑)を主とする菌床を用いた菌床栽培が行われるようになってきており、その生産量も増加している。例えば、シイタケの場合、楢や櫟等の広葉樹オガ粉(ノコ屑)と少量のフスマ、糖類等の栄養源を混合して固めたブロック状乃至円筒状の培地が用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、木質材料由来のポリウレタンフォームを用いて、食用あるいは薬用キノコ類の菌の成長を著しく促進させることが可能なキノコ栽培用菌床を提供すること、及び林産廃棄物として多量に排出されるスギ樹皮等の木質材料を大量に処理可能なキノコ栽培用菌床の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、調製されたポリウレタン材料は木質材料由来であるため、担子菌等の生物によって分解される可能性に着目し、木質材料から調製したポリウレタンフォームのキノコ栽培への菌床としての適用を見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]に記載した事項により特定される。
[1]木質材料変性ポリオールを用いたポリウレタンフォームからなることを特徴とするキノコ栽培用菌床。
[2]木質材料がスギ樹皮であることを特徴とする[1]に記載のキノコ栽培用菌床。
[3]酵母エキス、グルコース、コーンブラン、フスマ、米ヌカ、トウモロコシヌカ、サトウキビかす、おから、パン粉、堆肥から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする[1]又は[2]に記載のキノコ栽培用菌床。
[4]シイタケ栽培に用いられることを特徴とする[1]乃至[3]の内いずれか1項に記載のキノコ栽培用菌床。
[5]木質材料を液化反応剤とポリオールを用いて液化する工程と、得られた液化物とポリイソシアネートを混合して発泡体を形成する工程と、を有することを特徴とするキノコ栽培用菌床の製造方法。
[6]木質材料がスギ樹皮であることを特徴とする[5]に記載のキノコ栽培用菌床の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における木質材料変性ポリオールとは、木質材料とポリオールを処理して得られるものをいい、処理方法としては、使用するポリオールの種類、分子量、反応温度等により適宜選択できるが、後述する木質材料の液化方法が好適に用いられる。
【0008】
本発明における木質材料としては、広葉樹、針葉樹のいずれであってもよい。広葉樹としては、ナラ、トチ、ブナ、アカシア等が挙げられ、針葉樹としては、スギ、スギ樹皮、ヒノキ、マツ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0009】
本発明に係るキノコ栽培用菌床の製造方法において、木質材料を液化する方法としては、液化反応剤とポリオールを用い、高温下において木質材料中のリグニン、セルロース等の高分子成分を分解し、ポリオール中に可溶化せしめる方法等が用いられるが、これらに限定されるものではない。ここで、液化反応剤としては、硫酸、亜硫酸塩、水酸化ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられるが、特に亜硫酸水素ナトリウムが好適に用いられる。ポリオールとしては、通常のポリウレタン原料であるポリオールが用いられ、具体的には、ポリマーの2個以上の末端に2個以上の水酸基を有するものであり、ポリマー主鎖は炭化水素基やエーテル結合を含む炭化水素基等で構成される。例えば、ポリオキシエチレンジオール(ポリエチレングリコール:PEG)、ポリオキシエチレントリオール等のエチレンオキシドの重合体、ポリ(オキシプロピレン)トリオール、ポリオキシプロピレンテトラオール等のプロピレンオキシドの重合体、ポリオキシテトラメチレンジオール等のテトラヒドロフランの重合体、ポリカプロラクトングリコール(PCLG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG)、ポリヘキサメチレンジオール又はその縮合体、ヒマシ油等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、エチレンオキシド重合体やプロピレンオキシド重合体が好適に用いられる。また、ポリウレタンフォームの吸水性を高める目的からは、エチレンオキシド重合体が好適である。
【0010】
木質材料としてスギ樹皮を用いる場合は、亜硫酸水素ナトリウムとポリオキシエチレンジオール(PEG)を用いたPEG・バイサルファイト法による液化法が用いられ、これにより、ポリオキシエチレンジオールおよび木質材料のリグニン、セルロース等の高分子成分が含まれる多くの水酸基を含むポリマー液化物が得られる。
【0011】
PEG・バイサルファイト法においては、内樹皮および外樹皮ともに200〜300℃で処理するのが好ましい。ここで、200℃より低くなるにつれ、セルロースの分解が生じなくなるという傾向が見られ、300℃より高くなるにつれ、熱分解物の再縮合等の副反応が生じ、反応の制御が難しくなるという傾向が見られる。また、反応時間は、内樹皮の場合、30〜90分間が好ましく、外樹皮の場合、30〜60分間が好ましい。ここで、上記の反応時間の範囲から外れるにつれ、リグニン・タンニンの再縮合が生じる傾向が見られる。反応剤である亜硫酸水素ナトリウム水溶液の濃度は、スギ樹皮の場合、2〜6%が好ましい。ここで、2%より低くなるにつれ、非炭水化物成分が分解し難くなるという傾向が見られ、6%より高くなるにつれ、炭水化物成分が分解し難くなるという傾向が見られる。亜硫酸水素ナトリウムは、リグニンのスルホン化に関与するので、リグニン含量の多い外樹皮において、水溶液の濃度を適宜変更することができる。
【0012】
本発明におけるポリウレタンフォームとしては、硬質ポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォームを含む。特に、軟質ポリウレタンフォームは気泡が連続し閉じており、吸水性が高く好適に用いられる。フォームの形状としては、ブロック状、円盤状等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
本発明におけるポリウレタンフォームの調製方法としては、上述したような液化法等により、木質材料とポリオールから得られたポリマー液化物と、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤、整泡剤および必要に応じて鎖延長剤や架橋剤等を混合、反応させ発泡体を調製し、所定温度で硬化させる方法を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0014】
ポリウレタンフォームの調製に用いるイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネート(MDI:OCN−ph−CH2−ph−NCO)等の芳香族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ジイソシアネート、TDIに高沸点物を含むクルードTDI、MDIの芳香環の任意の位置にイソシアナトフェニルメチレン基が1個以上置換しているようなポリメリックMDI(OCN−ph−CH2−(ph−CH2(NCO)n−ph−NCO:phはフェニル基、nは1以上の整数を表す)等が挙げられ、これらのポリイソシアネートが単独あるいは2種以上組み合わせて用いられる。
【0015】
ポリウレタンフォームの調製に用いる触媒としては、ジブチルチンジラウレート、ジアザビシクロオクタン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルペンジルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチルピベラジン、トリエチレンジアミン、N,N,N’、N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピルジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’,N’’’−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミン、塩化第一スズ、テトラ−n−ブチルチン、塩化第二スズ、トリ−n−ブチルチンアセテート、n−ブチルチントリクロライド、トリメチルチンハイドロオキサイド、ジメチルチンジクロライド、ジブチルチンジラウレート、ナフテン酸コバルト、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ナフテン酸鉛等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
ポリウレタンフォームの調製に用いる発泡剤としては、水、塩化メチレン、CFC−11、CFC−12、CFC−113、CFC−114、CFC−115等のクロロフルオロカーボン、HCFC−21、HCFC−22、HCFC−123、HCFC−124、HCFC−141b、HCFC−142b、HCFC−225ca、HCFC−225cb等のヒドロクロロフルオロカーボン、HFC−134a、HFC−152a、HFC−125、HFC−32、HFC−23、HFC−245fa等のヒドロフルオロカーボン、環状カーボネート、ジアルキルカーボネート、ギ酸、ホウ酸、炭化水素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
ポリウレタンフォームの調製に用いる製泡剤としては、シリコーン系界面活性剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
ポリウレタンフォームの調製に用いる鎖延長剤としては、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ジエチルトルエンジアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、水等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
ポリウレタンを硬化する温度としては、60〜100℃が好ましい。ここで、60℃より低くなるにつれ、硬化が生じにくくなる傾向が見られ、100℃より高くなるにつれ、軟化して形状維持が困難になる傾向が見られる。
【0020】
本発明における軟質ポリウレタンフォームを調製する際に、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンジオール、ポリカプロラクトン等を添加することができる。
【0021】
本発明に用いる栄養源としては、酵母エキス、グルコース、コーンブラン、フスマ、米ヌカ、トウモロコシヌカ、サトウキビかす、おから、パン粉、堆肥等を単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができ、特に酵母エキス、グルコースが好適に用いられる。
【0022】
栄養源の配合割合は、培地基材100重量部に対し、0.5〜4重量%が好ましい。ここで、0.5重量%より少なくなるにつれ、キノコ菌の成長が遅れるという傾向が見られ、4重量%より多くなるにつれ、害菌混入の危険性が高まるという傾向が見られる。特に、含水状態の液化樹皮由来のポリウレタンフォームに酵母エキス0.5〜1.5重量%およびグルコース2〜4重量%を添加させるのが好ましい。ここで、上記の範囲を外れるにつれ、子実体の育成が遅れ、汚染菌への抵抗力が弱まるという傾向が見られる。
【0023】
本発明におけるキノコとしては、シイタケ、セミタケ、シメジ、ナメコ、ヒラタケ、マイタケ、エノキタケ、キクラゲ、タモギタケ、マンネンタケ、マッシュルーム、エリンギ等、担子菌や子嚢菌等の菌の種類は問わず、種々の食用又は薬用キノコ類が挙げられる。
【0024】
本発明に係る菌床を用いたキノコの菌床栽培方法としては、袋栽培、瓶栽培、箱栽培等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、袋栽培の場合には、培地調製、袋詰め、殺菌、接種、培養、熟成、発生、収穫の工程を経て栽培される。
【0025】
培地調製とは、菌床栽培に用いる各種基材を計量、攪拌して加水して水分調整する工程をいう。本発明よる培地基材であるポリウレタンフォームに栄養源を水溶液として含浸させる。培地の水分含量は、55〜65%、好ましくは60〜62%が適当である。
【0026】
袋詰めとは、調製した培地を1.2kg〜2.5kgの円柱状に固め、中央に2〜2.5cm程度の穴を開けて、フィルター付きのポリプロピレン製等の袋に詰める工程をいう。
【0027】
殺菌とは、蒸気により培地中のすべての微生物を死滅させる工程であり、高圧殺菌が好ましく、120〜125℃において、15〜30分間行われるのが好ましい。
【0028】
接種とは、放冷された培地に種菌を植え付ける工程で、種菌としてはシイタケ菌株をポテト・デキストロースブロス液体培地で23〜25℃、2〜3週間培養したものを用いることができる。例えば、1袋当り30〜50mlを無菌的に植え付けるのが適当である。
【0029】
また、上記の工程で得られる液体種菌接種済みの培養基を、23〜25℃で20〜30日間培養し、培養基全体にシイタケの菌糸を蔓延させたものを固体種菌として用いることもでき、例えば、1袋当り10〜20gを無菌的に接種するのが適当である。
【0030】
培養とは、接種済みの培養基を20〜23℃、湿度65〜75%において菌糸を蔓延させる工程で、90〜100日間行われるのが好ましい。
【0031】
熟成とは、袋内に繁殖した菌糸が培養基内の養分を吸収し菌糸内に蓄積することによって原基形成能力をもつ工程で、20〜30日間行われるのが好ましい。
【0032】
発生とは、子実体原基を形成させ、更に子実体原基から成熟子実体を形成させる工程で、温度15〜17℃、湿度90〜95%、照度500〜1000ルクスの条件下で、10〜14日間行われる。発生のために、袋から培養基を出して表面を裸出させ、十分散水を行うのがよい。なお、シイタケの菌床栽培では90〜180日の発生期間中、2〜3回の子実体発生のピークがあり、各々収穫するのが適当である。
【0033】
以上、袋栽培方法について説明したが、本発明で使用する菌床栽培は袋栽培に限定されるものではない。
菌糸の生育に影響を与える因子としては、温度、湿度、光、通気、pH、栄養源等が挙げられる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を更に詳細に説明するが、これらの例は単なる実例であって本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変更させてもよい。
【0035】
参考例1
硬質ポリウレタンフォームの調製
紙コップ中にポリエチレングリコール(PEG400:和光純薬社製、水酸基価:5mmol/g)を10g秤取り、0.48gの発泡剤(水)、0.72gの3%整泡剤(シリコーンオイル)(SH−193:東レダウコーニング(株)製)、ポリエチレングリコールと水の水酸基価の合計に対し1/100molのジアザビシクロオクタンとジブチルチンジラウレートの混合触媒(ジアザビシクロオクタン:ジブチルチンジラウレート=2:1(モル比))を添加した。
これらを十分に攪拌した後、NCO/OH=1.0のポリメリックMDI(ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート)(ミリオネートMR−100:日本ポリウレタン工業(株)製:NCO基含有量約31%)を14.01g加え、5000rpmで約5秒間攪拌し、発泡させ、9×5×14cmの紙製の箱に移し、発泡体を調製した。
得られたポリウレタンフォーム(PUF)を60℃で24時間以上硬化処理した。
なお、イソシアナート添加量は、下記式(1)(数1)に従って算出した。
【0036】
【数1】
NCO/OH=WMDI[NCO]MDI/(WPEG[OH]PEG+WH2O[OH]H2O)・・・・(1)
(式中、Wは重量(g)、[NCO]MDI=7.38 mmol/g*1 、[OH]PEG=5 mmol/g、[OH]H2O=111.11 mmol/g*2、[OH]は水酸基価(mmol/g)、[NCO]はNCO基価 (mmol/g)、MDIはポリメリックMDI、PEGはポリエチレングリコールをそれぞれ表す。*1は、MR−100はNCO基含有量約31%であることから算出し、*2は、水は一分子で二つのNCO基を消費するとして算出した)
【0037】
参考例2
軟質ポリウレタンフォームの調製
紙コップ中にポリエチレングリコール(PEG 400:和光純薬社製、水酸基価:5mmol/g)を10g秤取り、1%、2%、3%、4%の発泡剤(水)、1%整泡剤(シリコーンオイル:SH−192:東レダウコーニング(株)製)、20%、30%のポリオキシプロピレングリセリルエーテル(GP−3000:三洋化成製、水酸基価:1.00mmol/g)、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリセリルエーテルと水の水酸基価の合計に対し1/1000molのジアザビシクロオクタンとジブチルチンジラウレートの混合溶媒(ジアザビシクロオクタン:ジブチルチンジラウレート=2:1(モル比))を添加した。
これらを十分に攪拌した後、NCO/OH=0.5、1.0のポリメリックMDI(ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート)(ミリオネートMR−100:日本ポリウレタン工業(株)製、NCO基含有量約31%)を6.11g加え8000rpmで約10秒間攪拌し、発泡させ、6×6×4cmの紙製の箱に移し、発泡体を調製した。
得られたポリウレタンフォーム(PUF)を室温で24時間以上硬化処理した。なお、イソシアナート添加量は、下記式(2)(数2)に従って算出した。
【0038】
【数2】
NCO/OH=WMDI[NCO]MDI/(WPEG[OH]PEG+WH2O[OH]H2O+WGP[OH]GP)・・・・(2)
(式中、Wは重量(g)、[NCO]MDI=7.38 mmol/g*1 、[OH]H2O=111.11mmol/g*2、[OH]GP=1.00mmol/g、[OH]は水酸基価(mmol/g)、[NCO]はNCO基価 (mmol/g)、MDIはポリメリックMDI、PEGはポリエチレングリコール、GPはポリオキシプロピレングリセリルエーテルをそれぞれ表す。*1は、MR−100はNCO基含有量約31%であることから算出し、*2は、水は一分子で二つのNCO基を消費するとして算出した)
【0039】
参考例3
スギ樹皮の液化法
九州大学福岡演習林産の42年生のスギから採取した樹皮をWilley millによって80メッシュの篩を通過するまで粉砕したものを用いた。得られた樹皮粉は、105℃のオーブン中で乾燥させた。
得られた樹皮粉2g、4%の亜硫酸水素ナトリウム(特級)水溶液5ml、ポリエチレングリコール(PEG400:和光純薬製一級)6ml、0.02%希硫酸1mlを35ml容耐圧ミニオートクレーブ内に添加し、このミニオートクレーブをガスクロマトグラムのオーブン部に入れ、30℃から250℃まで20分間で昇温し、30分間保持後、ミニオートクレーブを氷浴中で冷却して反応を停止した。
その後、液化混合物を80%ジオキサン(一級)水溶液で希釈し、ガラス繊維ろ紙(Toyo GA−100)でろ過を行い、80%ジオキサン水溶液でろ液が無色になるまで洗浄・吸引ろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮して液化物(水酸基価:12.5mmol/g)を得た。
【0040】
参考例4
スギ樹皮由来の軟質ポリウレタンフォームの調製
紙コップ中に参考例3で得られたスギ樹皮液化混合物を10g秤取り、2%の発泡剤(水)、1%整泡剤(シリコーンオイル:SH−192:東レダウコーニング(株)製)、20%、30%のポリオキシプロピレングリセリルエーテル(GP−3000:三洋化成製、水酸基価:1.00mmol/g)、液化混合物、ポリオキシプロピレングリセリルエーテルと水の水酸基価の合計に対し1/1000molのジアザビシクロオクタンとジブチルチンジラウレートの混合溶媒(ジアザビシクロオクタン:ジブチルチンジラウレート=2:1(モル比))を添加した。
これらを十分に攪拌した後、NCO/OH=0.33〜0.5のポリメリックMDI(ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート)(MR−100:日本ポリウレタン工業(株)製:NCO基含有量約31%)を6.11gまたは10.4g加え8000rpmで約10秒間攪拌し、発泡させ、6×6×4cmの紙製の箱に移し、発泡体を調製した。
得られたポリウレタンフォーム(PUF)を室温で24時間以上硬化処理した。なお、イソシアナート添加量は、下記式(3)(数3)に従って算出した。
【0041】
【数3】
NCO/OH=WMDI[NCO]MDI/(WS[OH]S+WH2O[OH]H2O+WPEG[OH]PEG+WGP[OH]GP)・・・・(3)
(式中、Wは重量(g)、[NCO]MDI=7.38 mmol/g*1 、[OH]S=12.5mmol/g、[OH]H2O=111.11mmol/g*2、[OH]GP=1.00mmol/g、[OH]は水酸基価(mmol/g)、[NCO]はNCO基価(mmol/g)、MDIはポリメリックMDI、Sはスギ樹皮液化物、PEGはポリエチレングリコール、GPはポリオキシプロピレングリセリルエーテルをそれぞれ表す。*1は、MR−100はNCO基含有量約31%であることから算出し、*2は、水は一分子で二つのNCO基を消費するとして算出した)
【0042】
比較例1
参考例1で調製した、表1(表1)の組成を有するポリウレタンフォームを2cm3の立方体に切り出し、120℃、1.2kg/cm2で15分間蒸気滅菌し、放冷後、あらかじめ平面培養しておいた、シイタケ菌のディスク(Φ5mm)を接種し、水のみを加えて、23℃で暗培養した。
【0043】
比較例2
参考例2で調製した、表1(表1)の組成を有するポリウレタンフォームを2cm3の立方体に切り出し、120℃、1.2kg/cm2で15分間蒸気滅菌し、放冷後、あらかじめ平面培養しておいた、シイタケ菌のディスク(Φ5mm)を接種し、水のみを加えて、23℃で暗培養した。
【0044】
実施例1
参考例4で調製した、表1(表1)の組成を有するスギ樹皮由来の軟質ポリウレタンフォームを2cm3の立方体に切り出し、120℃、1.2kg/cm2で15分間蒸気滅菌し、放冷後、あらかじめ平面培養しておいた、シイタケ菌のディスク(Φ5mm)を接種し、水のみを加えて、23℃で暗培養した。
【0045】
実施例2
参考例4で調製した、表1(表1)の組成を有するスギ樹皮由来の軟質ポリウレタンフォームを2cm3の立方体に切り出し、120℃、1.2kg/cm2で15分間蒸気滅菌し、放冷後、あらかじめ平面培養しておいた、シイタケ菌のディスク(Φ5mm)を接種し、水のみを加えて、23℃で暗培養した。
【0046】
実施例3
参考例4で調製した、表1(表1)の組成を有するスギ樹皮由来の軟質ポリウレタンフォームを2cm3の立方体に切り出し、120℃、1.2kg/cm2で15分間蒸気滅菌し、放冷後、あらかじめ平面培養しておいた、シイタケ菌のディスク(Φ5mm)を接種し、水のみを加えて、23℃で暗培養した。
【0047】
実施例4
子実体を発生させるため、参考例4で調製した表1(表1)の組成を有する、5cm×5cm×6cm程度のスギ樹皮由来の軟質ポリウレタンフォームに、1.0wt%酵母エキスおよび3.0wt%グルコース水溶液を栄養源として添加した他は、実施例2と同様にして、シイタケ菌を接種し、培養した。
【0048】
比較例3
参考例2で調製した表1(表1)の組成を有する、5cm×5cm×6cm程度の軟質ポリウレタンフォームに、1.0wt%酵母エキスおよび3.0wt%グルコース水溶液を栄養源として添加した他は、実施例2と同様にして、シイタケ菌を接種し、培養した。
【0049】
実施例5
シイタケをマイタケにした他は、実施例4と同様にして、マイタケ菌を接種し、培養した。
【0050】
実施例6
シイタケをセミタケにした他は、実施例4と同様にして、セミタケ菌を接種し、培養した。
【0051】
実施例7
スギをアカシアにした他は、実施例4と同様にして、シイタケ菌を接種し、培養した。
【0052】
試験例1
実施例1乃至実施例7、比較例1乃至比較例3について、菌接種後4日後にポリウレタンフォームへの活着の有無を確認した。その結果を表1(表1)に示す。
実施例1乃至実施例3、比較例1乃至比較例2について、菌糸蔓延が確認できたものは実施例1乃至実施例3の試料であった。最も菌糸の蔓延が観察されたものは実施例1のフォームであり、液化樹皮を原料として調製した軟質フォームのみで菌糸の成長が観察された。
菌糸の蔓延したものについて、菌糸蔓延度の指標として、菌糸蔓延前と蔓延後の培地表面白色度(z/1.18)の差及びエルゴステロール量を測定した。その結果を図1及び図2に示す。なお、菌糸の蔓延していないウレタンフォームの白色度の差およびエルゴステロール量はすべて0(non detected)であり、比較のため比較例2の測定結果も示す。
よって、実施例1乃至実施例3、比較例1乃至比較例2の栄養源無添加での生育試験において、液化樹皮無添加の条件で調製したポリウレタンフォームでは、シイタケ菌の生育は認められず、液化樹皮を添加して調製したポリウレタンフォームにおいて、シイタケ菌が蔓延することが明らかとなった。
実施例4および比較例3については、実施例4の子実体発生用に調製した液化樹皮由来のポリウレタンフォームのみ、接種後2週間程度で菌糸が全体に蔓延し、3週間後には原基形成および幼子実体の発生が認められた。
また、栄養源を添加して培養した場合においても、液化樹皮無添加の条件で調製した比較例3のポリウレタンフォームでは、シイタケ菌の生育は実施例4の場合と比べて生育が劣り、菌糸の蔓延や原基形成、幼子実体の発生は見られなかった。よって、液化樹皮の有無により、シイタケ菌の生育が顕著に影響されることが明らかとなった。
実施例5乃至実施例7については、各菌のウレタン培地への活着が確認され、実施例5乃至実施例7で用いた菌もシイタケ菌と同様に栽培可能であることが示された。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】
林産廃棄物として多量に排出されるスギ樹皮等の木質材料由来のポリウレタンフォームを用いて、食用あるいは薬用キノコ類の菌の成長を著しく促進させることが可能であり、地球規模で問題となっている廃棄物処理問題を回避することができる。また、食用あるいは薬用キノコ類栽培の作業効率および栽培効率を高めることができるとともに、極めて簡単且つ大量に、低コストでキノコ栽培を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】培地白色度の差を示すグラフ
【図2】エルゴステロール量を示すグラフ
Claims (6)
- 木質材料変性ポリオールを用いたポリウレタンフォームからなることを特徴とするキノコ栽培用菌床。
- 木質材料がスギ樹皮であることを特徴とする請求項1に記載のキノコ栽培用菌床。
- 酵母エキス、グルコース、コーンブラン、フスマ、米ヌカ、トウモロコシヌカ、サトウキビかす、おから、パン粉、堆肥から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のキノコ栽培用菌床。
- シイタケ栽培に用いられることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載のキノコ栽培用菌床。
- 木質材料を液化反応剤とポリオールを用いて液化する工程と、得られた液化物とポリイソシアネートを混合して発泡体を形成する工程と、を有することを特徴とするキノコ栽培用菌床の製造方法。
- 木質材料がスギ樹皮であることを特徴とする請求項5に記載のキノコ栽培用菌床の製造方法。
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