JP2004064525A - フィードバック利得制御回路及び無線通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】RSSI信号の安定化と検出とに要する時間を短縮するとともに、受信信号レベルの推定精度向上させる。
【解決手段】基地局と端末局との間で通信を行う通信システムに用いられる信号であって、基地局から端末局に送信されプリアンブル部とそれに続くデータ部とを有するブロードキャスト信号B.Pと、ブロードキャスト信号B.Pに続く端末局のそれぞれに対して個別に送信される個別信号UN.Pとをフレーム構成に含む信号を対象とする可変利得増幅器6の出力信号を検出して可変利得増幅器6の利得を制御するAGC制御部4を備えたフィードバック利得制御回路であって、データ部において用いた可変利得増幅器6の利得に基づいて求めた所定の利得抑圧値を、個別信号UN.Pを受信した際の可変利得増幅器6の利得初期値として用いる。
【選択図】 図1
【解決手段】基地局と端末局との間で通信を行う通信システムに用いられる信号であって、基地局から端末局に送信されプリアンブル部とそれに続くデータ部とを有するブロードキャスト信号B.Pと、ブロードキャスト信号B.Pに続く端末局のそれぞれに対して個別に送信される個別信号UN.Pとをフレーム構成に含む信号を対象とする可変利得増幅器6の出力信号を検出して可変利得増幅器6の利得を制御するAGC制御部4を備えたフィードバック利得制御回路であって、データ部において用いた可変利得増幅器6の利得に基づいて求めた所定の利得抑圧値を、個別信号UN.Pを受信した際の可変利得増幅器6の利得初期値として用いる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話や無線LAN等の無線通信システムに適用可能な自動利得制御装置及びその自動利得制御装置を用いた無線通信機器に関し、特に受信電界強度レベルが時間的に変動する受信信号を適切なレベルに調整して復調部に入力するための自動利得制御(AGC:Automatic Gain Control)の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信システムでは、フェージングにより受信信号レベルが変動し、復調部における復調の所要信号レベルに達しないことによる復調誤りやA/D変換器における大入力信号に対するクリッピング及び小入力信号に対する量子化誤差増加等の問題が生じる。したがって、受信信号レベルの時間的な変動を補償し、適切なレベルに受信信号レベルを制御する自動利得制御装置が必要である。
【0003】
従来の自動利得制御装置は、フィードバック利得制御方式が最も多く、又RSSI(Received Signal Strength Indicator)を用いたフィードフォワード利得制御方式も知られている。従来の無線通信機器において広く用いられる自動利得制御方式として、例えばフィードフォワード利得制御方式とフィードバック利得制御方式とを併用した特開平10−56343号公報に記載の技術が挙げられる。
【0004】
図9は、自動利得制御方式の構成上の特徴点を記載した上記公報を含む従来型の自動利得制御装置の構成を示す図である。図3(c)から図3(f)までを併せて参照して説明する。図9に示す自動利得制御装置によれば、中間周波数帯に周波数変換され帯域制限された受信信号1が、受信信号レベル検出部(RSSI回路)2に入力され、受信信号レベル検出部(RSSI回路)2からは受信信号レベルを示すRSSI信号が出力される。RSSI信号は、A/D変換器3においてディジタル信号に変換され、AGC制御部4に入力される。
【0005】
AGC制御部4では、可変利得増幅器6の利得粗調整モードとして、上記RSSI信号に基づいて可変利得増幅器6の出力が所望出力レベルとなると推定される可変利得増幅器6の第1の推定利得値を算出し、可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号を出力する。上記利得粗調整モードの利得制御信号は、D/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力される。可変利得増幅器6は、上記利得粗調整モードの利得制御信号に基づいて利得設定を行なう。利得設定が行われた後、可変利得増幅器6において増幅された受信信号は、A/D変換器7においてディジタル信号に変換され、電力検出部8に入力される。電力検出部8では、入力された一定区間(期間)内のディジタル信号の2乗値の平均値を算出し、この平均値を出力する。
【0006】
AGC制御部4では、上記平均値が入力され、可変利得増幅器6の利得微調整モードとして、上記平均値に基づいて可変利得増幅器6の出力が所望の出力レベルになると推定される可変利得増幅器6の第2の推定利得値を再算出し、可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号を出力する。上記利得微調整モードの利得制御信号は、D/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力される。可変利得増幅器6は、上記利得微調整モードの利得制御信号に基づいて利得再設定を行う。
【0007】
ここで、利得微調整モードの自動利得制御が複数ステップ(繰り返しステップ)にわたって行われる場合に、可変利得増幅器6において利得微調整モードの自動利得制御の利得設定が行われた後、可変利得増幅器6により増幅された受信信号に対して再度利得微調整モードの自動利得制御を行い、可変利得増幅器6の利得再設定が行われる。
【0008】
尚、図3(f)において、AGC制御部出力がB.PよりもUN.Pにおいて小さくなっている理由は、後述するように、U2.PにおいてはB.Pに比べて送信側において伝送特性が改善するように信号が送信されるため、受信側において受信信号レベルが高くなり、その分だけ可変利得増幅器の利得を小さく設定しても良い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例によれば、受信バースト信号の先頭に設けられ図3に示されるプリアンブル区間(301)内において、利得粗調整モードによる自動利得制御を行った後、利得粗調整モードによる自動利得制御後のプリアンブル区間(302)内において利得微調整モードによる自動利得制御を行う。この際、上記利得粗調整モードによる自動利得制御のRSSI信号が安定化するまでの応答区間(311)及びRSSI信号の検出区間(312)が必要になるため、上記利得微調整モードによる自動利得制御のA/D変換器7のディジタル出力信号の平均値を求める区間(302)を受信信号レベルの推定精度向上のために長くとることは難しく、また、利得微調整モードの自動利得制御のステップ数(繰り返し回数)を可変利得増幅器の出力レベルの希望出力レベルとの誤差低減のために増加すると、後続のデータ(D)領域202の時間領域が短くなってしまい問題となる。
【0010】
従って、受信信号レベルの推定精度向上または可変利得増幅器の出力レベルの希望出力レベルとの誤差低減のためには、必然的にプリアンブル長を長くする必要があり、その結果パケット長に対するデータ長の割合が低下し、無線リソースの利用効率を低下させることになる。
本発明の目的は、無線バースト内のプリアンブル長を長くすることなく、受信信号レベルの推定精度を向上させることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、基地局と端末局との間で通信を行う通信システムに用いられる信号であって、前記基地局から前記端末局に送信されプリアンブル部とそれに続くデータ部とを有するブロードキャスト信号と、該ブロードキャスト信号に続く前記端末局のそれぞれに対して個別に送信される個別信号とをフレーム構成に含む信号を受信する可変利得増幅器の出力信号を検出して前記可変利得増幅器の利得を制御するAGC制御部を備えたフィードバック利得制御回路であって、前記データ部において用いた前記可変利得増幅器の利得に基づいて求めた所定の利得抑圧値を、前記個別信号を受信した際の前記可変利得増幅器の利得初期値として用いることを特徴とするフィードバック利得制御回路が提供される。
【0012】
上記フィードバック利得制御回路によれば、前記データ部において用いた前記可変利得増幅器の利得に基づいて求めた所定の利得抑圧値を、前記個別信号を受信した際の前記可変利得増幅器の利得初期値として用いることができるため、個別信号のプリアンブル長を短縮しても、受信信号レベルの推定精度を良くすることができる。
尚、可変利得増幅器の出力信号は、後段のディジタル出力信号であれば、途中にA/D変換器や増幅器などが設けられていても良い。
【0013】
本発明の他の観点によれば、可変利得増幅器の出力信号を検出して前記可変利得増幅器の利得を制御するAGC制御部を備えたフィードバック利得制御回路であって、前記AGC制御部の出力である利得制御信号の値を第1の所定のタイミングで記憶する第1の記憶部と、前記可変利得増幅器の所定の利得抑圧値を記憶する第2の記憶部と、前記第1の記憶部の第1出力と第2の記憶部の第2出力とに接続され前記第1及び第2出力の値に対して所定の演算を行う演算部と、第2の所定のタイミングにおいて前記AGC制御部の出力を前記演算部の出力に切り替える切り替え部とを備えすることを特徴とするフィードバック利得制御回路が提供される。
【0014】
上記フィードバック利得制御回路によれば、所定のタイミング期間中は、AGC制御部の出力にかかわらず前記演算部の出力に基づいて前記可変利得増幅器の利得を制御する。演算部の出力と関連する利得抑圧値を所定のタイミングで可変利得増幅器に出力できるため、可変利得増幅器の利得を任意のタイミングで抑制することができる。
尚、可変利得増幅器の出力信号は、後段のディジタル出力信号であれば、途中にA/D変換器や増幅器などが設けられていても良い。
【0015】
好ましくは、前記所定の利得抑圧値は、前記フィードバック利得制御回路の後段のA/D変換器への所望の入力レベルを基準とし、前記A/D変換器からの出力信号を復調する復調器における復調誤りが許容できる範囲内に入るように変動値を考慮した入力レベルの範囲内とすることを特徴とする。従って、前記後段のディジタル出力信号を生成するA/D変換器において、所望入力レベルに対して、制御する可変利得増幅器の利得の変化値の幅とすることができる。
【0016】
本発明の別観点によれば、基地局と端末局との間で通信を行う通信システムに含まれる無線通信機器であって、前記基地局から前記端末局に送信されプリアンブル部とそれに続くデータ部とを有するブロードキャスト信号と、該ブロードキャスト信号に続く前記端末局のそれぞれに対して個別に送信される個別信号とをフレーム構成に含む信号を対象とする可変利得増幅器の出力信号を検出して前記可変利得増幅器の利得を制御するAGC制御部を備えたフィードバック利得制御回路であって、前記データ部において用いた前記可変利得増幅器の利得に対して所定の利得抑圧値を、前記個別信号を受信した際の前記可変利得増幅器の利得初期値として用いることを特徴とするフィードバック利得制御回路を有する無線通信機器が提供される。可変利得増幅器の出力信号に代えて後段のディジタル出力信号を検出しても良い。
【0017】
さらに、複数の端末を含み、プリアンブル部とそれに続くデータ部とを有し、前記複数の端末にブロードキャストされるブルードキャスト信号と、該ブロードキャスト信号に続き個別の端末に対して送信される個別信号とをフレーム構成に含む信号を対象とする可変利得増幅器の出力信号を検出して前記可変利得増幅器の利得を制御するAGC制御部を備えたフィードバック利得制御回路であって、前記データ部において用いられた前記可変利得増幅器の利得に基づいて求められた所定の利得抑圧値を、前記個別信号を受信した際の前記可変利得増幅器の利得初期値として用いることを特徴とするフィードバック利得制御回路が提供される。
【0018】
個別信号を受信した際の前記可変利得増幅器の利得初期値として用いると、個別信号のプリアンブル期間において利得調整を行うための期間を短縮することができる。尚、可変利得増幅器の出力信号に代えて後段のディジタル出力信号を検出しても良い。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明する前に、発明者の行った考察についてまず説明する。前述の図3は、自動利得制御装置におけるフレーム構成例と、自動利得制御装置における信号波形のタイムチャートとを示す図である。図3(a)に示すように、1フレームは、例えば基地局から全ての端末局に送信されるブロードキャストされるブロードキャストパケット(Broadcast.Packet、以下「B.P」と称する。)と基地局から各端末局に個別に送信される個別パケット(User Number.Packet、以下「UN.P」と称する。)とから構成されるフレームであり、図3(c)に示すようにパケット200は、プリアンブル201とデータ202とから構成される無線バーストである。
【0020】
本発明の実施の形態による通信システムは、図3(a)に示すように、基地局がB.Pを送信した後に、このB.Pよりも伝送特性が改善するようにUN.Pを送信(BS Tx)し、一方、図3(b)に示すように、端末局はB.Pを受信した後にUN.P(N=1、2、3…N)を受信する通信システムであり、UN.Pの到着タイミング情報及び変調方式情報が、B.PのデータDの内容に含まれている通信システムである。
【0021】
このような通信システムにおいて、発明者は、B.Pに対しては一般的なRSSIを用いたフィードフォワード利得制御方式とフィードバック利得制御方式とを併用した自動利得制御を行い、UN.Pに対しては、例えば図3(g)に示すように、一般的なRSSIを用いたフィードフォワード利得制御方式を用いずにB.Pのデータに対する可変利得増幅器の利得を抑圧した利得抑圧値を予め可変利得増幅器の利得として設定し、フィードバック利得制御方式の自動利得制御を行うことを思い付いた。電力検出部のディジタル出力信号の平均値を求める区間に一般的なRSSI信号の検出及びRSSI信号の安定化に要していた区間を加えて前記平均値を求める区間を拡張する第1の手法、又は、UN.Pのプリアンブル部においてフィードバック利得制御方式の自動利得制御の繰り返し回数を増加させる第2の手法、のいずれかを選択できる。
【0022】
上記第1の手法と第2の手法とのいずれも、図3の符号301で示される区間を、符号302で示される区間に加えることで符号302で示される区間を拡張するという点は共通である。上記第1の手法と第2の手法との異なる点は、フィードバック利得制御の方法に関する点である。
【0023】
フィードバック利得制御において可変利得増幅器に設定する利得値は、電力検出部のディジタル出力信号の平均値から求める。短い区間で平均値を求めた場合には十分に平均化することができず、理想的な値とのずれが大きくなる。そこで、上記第1の手法においては、ディジタル出力信号の平均値を求める区間を拡張して、従来よりも長い区間にわたってディジタル出力信号を平均化し、理想的な値とのずれを小さくする。尚、第1の手法の場合、ある区間からある区間までの平均値を求める際には、可変利得増幅器の利得値は固定である。
【0024】
電力検出部の平均値を求める区間をブロードキャスト信号と個別信号とで切り換えることにより、上記手法を実現することが可能である。すなわち、個別信号では初期値を予め設定することにより利得粗調整モードのプリアンブル区間を利得微調整モードのプリアンブル区間に加える。
【0025】
換言すれば、第1の手法は、瞬間的にずれを小さくする手法であるのに対して、第2の手法は、徐々にずれを小さくしていく手法である。第1の手法に比べて、第2の手法では、平均値を求める区間においてA/D変換器の許容範囲外の入力が入った場合、ずれをより小さくすることができる利点がある。すなわち、第2の手法では、ディジタル信号の平均値を求める区間は第1の手法よりも短く、自動利得制御の繰り返し毎に最適な可変利得増幅器の利得値を設定することができるためである。
【0026】
但し、第2の手法では、可変利得増幅器の利得を設定するための時間が自動利得制御の繰り返し毎に必要になり、可変利得増幅器の利得を設定する時間分、ロスを生じやすい。第2の手法を行うための回路は、電力検出部の平均値を求める動作の回数をブロードキャスト信号と個別信号とで切換えるという特徴的な構成を有している。尚、電力検出部の平均値を求める区間に関する動作は一般的な方法と同じ方法を用いれば良い。
【0027】
つまり、従来は、B.P及びUN.Pの受信時に、符号301で示すプリアンブル区間、実質的には符号312のプリアンブル区間において、利得粗調整モードの自動利得制御を行った後に、符号313で示すプリアンブル区間において利得微調整モードの自動利得制御を行うのに対し、発明者の考案した技術では、B.P受信時は一般的な自動利得制御を行い、UN.P受信時は符号301のプリアンブル区間開始時に、予め粗調整の可変利得増幅器の利得を設定しておき、符号301と符号302の両プリアンブル区間において利得微調整モードの自動利得制御を行う。これにより、利得微調整モードの自動利得制御を行うための区間が長くなるため自動利得制御の精度を高めることができる。
【0028】
次に、B.Pのデータに対する可変利得増幅器の利得の抑圧値について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、A/D変換器の入力レベル−出力レベル特性を示す図である。図5は、可変利得増幅器の利得と可変利得増幅器の平均出力レベル、すなわちA/D変換器への平均入力レベルとの関係を示す図である。本発明による通信システムにおいて、UN.Pの伝送特性の改善状況が良好な場合、端末局ではB.Pに対する平均受信信号レベルよりUN.Pに対する平均受信信号レベルが大きくなる。この際、UN.Pの受信開始時の利得を設定する上記抑圧値が小さければ、図4の符号B1で示すようにA/D変換器において大入力信号に対するクリッピングの問題が生じる。従って、抑圧値を可能な限り大きな値に設定する必要がある。しかしながら、本システムにおいて、UN.Pの伝送特性の改善状況が最も劣悪な場合、端末局ではB.Pに対する平均受信信号レベルとUN.Pに対する平均受信信号レベルとがほぼ等しくなる。この際、UN.Pの受信開始時の利得を設定する上記抑圧値が大きければ、図4の符号B2で示すようにA/D変換器において小入力信号に対する量子化誤差増加の問題が生じるため、上記抑圧値を量子化誤差による復調誤りが起きないと推定できる値に設定する必要がある。
【0029】
従って、本システムを用いると、UN.Pの伝送特性の改善状況が最悪の場合でもUN.Pに対する平均受信信号レベルはB.Pに対する平均受信信号レベルとほぼ同じレベルとなるので、A/D変換器への平均入力レベルを所望レベル(A1)から前述の問題が及ぼす影響が復調誤りを起こさないであろう入力レベルの許容範囲(1111)の下限又は下限付近のレベル(A2)となるように上記抑圧値を設定する。尚、許容範囲(1111)は、前述の問題が及ぼす復調に対する影響が変調方式によって異なるため、変調方式によって範囲は異なる。
【0030】
上記考察に基づき、以下に、本発明の第1の実施の形態による自動利得制御装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による自動利得制御装置の構成例を示す図である。尚、本発明の各実施の形態に用いられる通信システムは基本的に上述の一般的な通信システムと同様である。図9と同一構成の部分には対しては同一符号を付してその説明を省略する。
【0031】
先ず、本発明の第1の実施の形態による自動利得制御装置の構成とB.P受信時の動作とについて説明する。中間周波数帯に周波数変換され帯域制限された受信信号1は、受信信号レベル検出部(RSSI回路)2に入力され、受信信号レベル検出部(RSSI回路)2から受信信号レベルを示すRSSI信号が出力される。上記RSSI信号は、A/D変換器3においてディジタル信号に変換され、AGC制御部4に入力される。AGC制御部4では、可変利得増幅器6の利得粗調整モードとして、上記RSSI信号に基づいて可変利得増幅器6の出力が所望出力レベルと推定される可変利得増幅器6の第1の推定利得値を算出し、可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号(101)を出力する。
【0032】
上記利得粗調整モードの利得制御信号(101)は、切り替え部10に入力され、切り替え部10はAGC制御部4からの入力である利得制御信号(101)を自己の出力制御信号(103)として出力する。出力制御信号(103)はD/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力される。可変利得増幅器6では、アナログ信号に変換された出力制御信号に基づいて利得設定が行われる。
【0033】
利得粗調整モードの利得設定が行われた後、可変利得増幅器6において増幅された受信信号はA/D変換器7においてディジタル信号に変換され、電力検出部8に入力される。電力検出部8では、入力されたディジタル信号の一定区間の2乗値の平均値を算出し、電力の平均値として出力する。AGC制御部4では、上記電力の平均値が入力され、可変利得増幅器6の利得微調整モードとして、上記平均値に基づいて可変利得増幅器6の出力が所望の出力レベルとなると推定される可変利得増幅器6の第2の推定利得値を再算出し、可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号(101)を出力する。
【0034】
上記利得微調整モードの利得制御信号(101)は切り替え部10に入力され、切り替え部10は、AGC制御部4からの入力である利得制御信号(101)を自己の出力制御信号(103)として出力する。出力制御信号(103)は、D/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力される。可変利得増幅器6では、アナログ信号に変換された出力制御信号に基づいて利得再設定が行われる。
【0035】
また、利得微調整モードの自動利得制御を複数ステップ行う場合、可変利得増幅器6で利得微調整モードの自動利得制御の利得設定が行われた後、可変利得増幅器6において増幅された受信信号に対して再度利得微調整モードの自動利得制御を行い、可変利得増幅器6の利得再設定が行われる。
【0036】
利得制御信号(101)は第1記憶部12にも入力され、利得微調整モードの自動利得制御のラストステップにおいてシステム制御部11は、第1タイミング発生部15に制御信号(111)を出力し、制御信号(111)が入力された第1タイミング発生部15は、第1記憶部12に対して動作制御信号を出力し、動作制御信号が入力された第1記憶部12は、利得微調整モードの自動利得制御のラストステップによって出力された利得制御信号(101)の値である入力値を記憶し、記憶された入力値を出力(104)する。
【0037】
ラストステップの利得微調整モードの利得設定が行われた後、可変利得増幅6において増幅された受信信号はA/D変換器7においてディジタル信号に変換され、復調部9に入力される。復調部9では、入力された信号の復調を行う。尚、本実施の形態による通信システムでは、UN.Pの到着タイミング情報及び変調方式情報がB.Pのデータの内容中に含まれている。B.Pのデータを復調した後、システム制御部11は、UN.Pの変調方式情報に基づき、A/D変換器7における所望の入力レベルと復調誤りが起こらないと推定される許容入力レベルとの差である抑圧値をデータ選択部16から選択するための制御信号(112)を出力する。制御信号(112)が入力された選択部は選択された利得抑圧値を出力し、上記利得抑圧値は第2記憶部13に入力される。第2記憶部13は、データ選択部16において選択された利得抑圧値である入力値を記憶し、記憶された入力値(105)を出力する。
【0038】
次に、UN.P受信時の動作について説明を行う。第1記憶部12の出力(104)及び第2記憶部13の出力(105)が演算部14に入力される。演算部14においては、第1記憶部12からの入力値(104)から第2記憶部13からの入力値(105)を減算し、減算した値(102)を出力し、減算した値(102)は切り替え部10に入力される。システム制御部11は、UN.Pの到着タイミング情報に基づき、UN.Pの到着直前に第2タイミング発生部17に対して制御信号(113)を出力する。制御信号(113)が入力された第2タイミング発生部17は、切り替え部10に動作制御信号を出力し、動作制御信号が入力された切り替え部10は演算部14からの入力である利得制御信号(102)を自己の出力制御信号(103)として切り替え、出力する。
【0039】
出力制御信号(103)はD/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力される。可変利得増幅器6では、アナログ信号に変換された出力制御信号に基づいて利得設定が行われる。
【0040】
利得設定が行われた後、可変利得増幅器6において増幅された受信信号は、A/D変換器7においてディジタル信号に変換され、電力検出部8に入力される。電力検出部8では、入力されたディジタル信号の一定区間の2乗値の平均値を算出し、平均値を出力する。AGC制御部4に上記平均値が入力され、可変利得増幅器6の利得微調整モードとして、上記平均値に基づいて可変利得増幅器6の出力が所望出力レベルとなると推定される可変利得増幅器6の推定利得値を再算出し、可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号(101)を切り替え部10に出力する。
【0041】
利得微調整モードの自動利得制御のファーストステップにおいて、システム制御部11は電力検出部8のディジタル信号の平均値を求める区間終了と同時に第2タイミング発生部17に制御信号(113)を出力し、制御信号(113)が入力された第2タイミング発生部17は、切り替え部10に動作制御信号を出力し、動作制御信号が入力された切り替え部10はAGC制御部4からの入力である利得制御信号(101)を自己の出力制御信号(103)として切り替え、出力する。
【0042】
出力制御信号(103)は、D/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力される。可変利得増幅器6では、アナログ信号に変換された出力制御信号(103)に基づいて利得再設定が行われる。また、利得微調整モードの自動利得制御を複数ステップ行う場合は、可変利得増幅器6で利得微調整モードの自動利得制御の利得設定が行われた後に、可変利得増幅器6において増幅された受信信号に対して再度利得微調整モードの自動利得制御を行い、可変利得増幅器6の利得再設定が行われる。複数ステップのうちのラストステップの利得微調整モードの利得設定が行われた後、可変利得増幅器6にて増幅された受信信号はA/D変換器7においてディジタル信号に変換され、復調部9に入力される。復調部9では、入力された信号の復調を行う。
【0043】
ここで、本実施の形態による自動利得制御装置のUN.P受信時の利得微調整モードの自動利得制御の動作例について説明する。動作例としては、少なくとも以下の第1例から第3例までの3通りが考えられる。
【0044】
第1例は、一般的な利得粗調整モードの自動利得制御においてRSSI安定化及びRSSI検出に要していた区間を、電力検出部8の平均値を求める区間として新たに割り当て、上記平均値を求める区間を拡張する例である。第2例は、一般的な利得粗調整モードの自動利得制御においてRSSI安定化及びRSSI検出に要していた区間においても利得微調整モードの自動利得制御を行い、利得微調整モードの自動利得制御のステップ数を増加する例である。第3例は、上記第1例と上記第2例とを組み合わせるものであり、例えば、上記第1例と第2例とを例えば同じ割合で組み合わせるものである。以上説明したように、本実施の形態による自動利得制御装置は、短い時間内で高い精度の自動利得制御を行うことができる。
【0045】
次に、図1から図3までを参照して本実施の形態による自動利得制御装置の動作について説明する。図2は、自動利得制御装置の動作を示すフローチャートであり、図中Sはフローの各ステップを表すための記号である。ステップ1において、B.Pが到着するまで待ち、B.Pが到着するとステップ2に進む。ステップ2において、B.Pのプリアンブルに対する利得微調整モードの自動利得制御のラストステップにおける利得設定終了時間が経過したか否かを計測し、上記利得設定終了時間が経過したことが確認されると、ステップ3で第1タイミング発生部15に通知する(111)。
【0046】
ここで上記ステップ3により、第1記憶部12は第1タイミング発生部15から通知を受け、B.Pのプリアンブル区間において利得微調整モードの自動利得制御のラストステップにおいて設定したB.Pのデータに対する可変利得増幅器の利得を記憶する。次に、ステップ4において、B.Pのデータ内からU2.Pの変調方式情報を取得し、ステップ5において、データ選択部16に予め設定された変調方式によって異なるデータからU.Pの変調方式に適したデータを選択するよう通知する(112)。
【0047】
上記ステップ5により、第2記憶部13にはデータ選択部16から選択されたデータが入力され、可変利得増幅器6の利得の抑圧値である入力値を記憶する。次に、ステップ6において、B.Pのデータ内からU2.Pの到着タイミング情報を取得し、ステップ7においてU2.Pの到着時間が経過したか否かを計測し、U2.Pの到着時間が経過したことが確認されると、ステップ8で第2タイミング発生部17に通知する(113−1)。
【0048】
尚、ステップ7、ステップ8においてU2.Pの到着時間が経過したことを確認してから第2タイミング発生部17に通知するのではなく、U2.Pの到着直前に第2タイミング発生部17に通知を行ってもよい。ここで、上記ステップ8により、切り替え部10は第2タイミング発生部17から通知を受け、切り替え部10の出力(103)として、AGC制御部4からの入力(101)を、演算部14からの入力(102)に切り替える。
【0049】
次に、ステップ9において、U2.Pのプリアンブルに対する利得微調整モードの自動利得制御のファーストステップにおける信号観測区間終了時間が経過したか否かを計測し、信号観測区間終了時間が経過したことが確認されると、ステップ10において第2タイミング発生部17にその旨を通知する(113−2)。
【0050】
尚、上記信号観測区間終了時間とは、電力検出部8において計算に用いるディジタル信号の観測区間の終了時間を意味し、電力検出部8が出力を行った後であって、次ステップの利得微調整モードの自動利得制御の可変利得増幅器の利得を設定するための制御を行っている間に第2タイミング発生部17に通知する。上記ステップ10により、切り替え部10は、第2タイミング発生部17から通知を受け、切り替え部10の出力を演算部14からの入力からAGC制御部4からの入力に切り替えることで、AGC制御部4からの制御に切り替えて、次のフレーム動作に進む。
【0051】
前述のように、図3は本実施の形態による通信システムにおけるフレーム構成及び自動利得制御装置における信号波形のタイムチャートを示す図である。尚、図3は利得微調整モードの自動利得制御のステップ数が1ステップの場合である信号波形の場合についての例示である。本実施の形態による自動利得制御装置において、最終的に可変利得増幅器の利得を制御する出力は切り替え部10の出力である。図3(h)に示すように、切り替え部10は、B.Pのプリアンブル及びデータに対してはAGC制御部からの入力(101)を自己の出力とし、U2.Pのプリアンブルに対しては利得微調整モードの自動利得制御のファーストステップ時は演算部からの入力(102)を自己の出力とし、ファーストステップ以外の利得微調整モードの自動利得制御ステップ時はAGC制御部からの入力(101)を自己の出力とし、U2.Pのデータに対してはAGC制御部からの入力(101)を自己の出力としている。
【0052】
すなわち、B.Pのプリアンブル部では、RSSI信号(RSSI回路の出力)が安定するまでの応答時間(311)だけ経過した後、RSSI信号が安定化した区間(312)においてフィードフォワード利得制御方式により利得粗調整モードの自動利得制御を行い、可変利得増幅器6の利得を算出し、利得算出後のプリアンブル区間(302、313)においてAGC制御部4は算出した利得を出力し、可変利得増幅器6の利得を設定し、増幅された信号に対してフィードバック利得制御方式によって1ステップまたは複数ステップの利得微調整モードの自動利得制御を行う。
【0053】
B.Pにおけるプリアンブル期間301、302における、従来の方法によるAGC制御部4の出力(可変利得増幅器6への入力に相当)と、本実施の形態によるAGC制御部4を介した切り替え部10の出力(可変利得増幅器6への入力に相当)とは、同様である。従って、図3(f)に示す従来のAGC制御部4の出力波形と図3(g)に示す本実施の形態による切り替え部10の出力波形とは、第1プリアンブル期間301においては出力信号がなく、第2プリアンブル期間302において図3(e)に示す過程を経て出力信号が得られるという点で同様である。B.Pのデータ部では、AGC制御部4は利得微調整モードの自動利得制御のラストステップによって算出した利得を出力し、可変利得増幅器6の利得を設定する。
【0054】
一方、U2.Pのプリアンブル部に関しては、従来のAGC制御部4の出力波形は、信号レベルの差を除けば、点P1までは信号が出力されない第1のプリアンブル部と信号を出力する第2のプリアンブル部とを有している点でB.Pのプリアンブル部と同様である。これに対して、本実施の形態による切り替え部10の出力波形は、第1のプリアンブル部と第2のプリアンブル部とのいずれにおいても出力波形を有しているという点で異なる。すなわち、演算部14は利得微調整モードの自動利得制御のファーストステップ時に前述のような計算を行った値を出力し、可変利得増幅器6の利得を予め設定(記憶)しておき、この値を例えばU2.P受信時の切り替え部出力値(可変利得増幅器の入力値に相当する)の初期値P2とし用いる。増幅された信号に対してフィードバック利得制御方式によって1ステップまたは複数ステップの利得微調整モードの自動利得制御を行い、AGC制御部4はファーストステップ以外の利得微調整モードの自動利得制御のステップ時に1段階前のステップの利得微調整モードの自動利得制御によって算出した利得を出力する。最後に、U2.Pのデータ部では、AGC制御部4は利得微調整モードの自動利得制御のラストステップによって算出した利得を出力し、可変利得増幅器6の利得を設定する。
【0055】
本実施の形態においては、その1例としてラストステップの利得微調整モードの自動利得制御によって算出した利得を可変利得増幅器に設定後は、可変利得増幅器の利得を無線バーストのデータ内で固定とすることを想定している。これは16QAM、64QAM等の振幅に情報が載せられている変調方式にも対応するためである。
【0056】
以上、本発明の第1の実施の形態による利得制御回路によれば、BS.P時に用いた可変利得増幅器の利得に対して所定の抑圧利得値を用いてUN.P受信時の利得初期値とするため、一般的な利得制御回路と異なりRSSI信号の安定化及び検出に要する時間を短縮することができ、無線バースト内のプリアンブル長を長くすることなく、受信信号レベルの推定精度を向上させることができるという利点を有する。
【0057】
次に、本発明の第2の実施の形態による利得制御回路について、図面を参照して説明する。図7は、本発明の第2の実施の形態による自動利得制御装置の構成例を示す機能ブロック図である。尚、図7において、図9又は図1と同様の構成要素に対しては同一の符号を付してその説明を省略する。尚、番号が同一であって、番号の後にAの記号を付した場合には、後述のように機能に異なる点を有している。
【0058】
先ず、B.P受信時の本発明の第2の実施形態の説明を行う。中間周波数帯に周波数変換され帯域制限された受信信号1は、受信信号レベル検出部(RSSI回路)2に入力され、受信信号レベル検出部(RSSI回路)2からは受信信号レベルを示すRSSI信号が出力される。上記RSSI信号は、A/D変換器3においてディジタル信号(106)に変換され、切り替え部10Aに入力する。切り替え部10Aは、B.P受信時には受信信号レベル検出部(RSSI回路)2からの入力(106)を自己の出力(103A)とし、この出力(103A)はAGC制御部4Aに入力する。
【0059】
AGC制御部4Aにおいては、可変利得増幅器6の利得粗調整モードとして、上記RSSI信号である切り替え部10Aからの入力(103A)に基づいて可変利得増幅器6の出力が所望の出力レベルとなると推定される可変利得増幅器6の第1の推定利得値を算出し、可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号(101A)を出力する。
【0060】
上記利得粗調整モードの利得制御信号(101A)は、D/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力する。可変利得増幅器6では、アナログ信号に変換された利得制御信号に基づいて利得設定が行われる。利得粗調整モードの利得設定が行われた後に、可変利得増幅器6において増幅された受信信号はA/D変換器7においてディジタル信号に変換され、電力検出部8に入力される。電力検出部8では、入力されたディジタル信号の一定区間の2乗値の平均値を算出し、平均値を出力する。
【0061】
AGC制御部4Aでは、上記平均値が入力され、可変利得増幅器6の利得微調整モードとして、上記平均値に基づいて可変利得増幅器6の出力が所望出力レベルとなると推定される可変利得増幅器6の利得値を再算出し、可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号(101A)を出力する。利得微調整モードの利得制御信号(101A)はD/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力する。可変利得増幅器6では、アナログ信号に変換された利得制御信号に基づいて利得の再設定が行われる。
【0062】
また、利得微調整モードの自動利得制御を複数ステップで行う場合には、可変利得増幅器6において利得微調整モードの自動利得制御の利得設定を行った後に、可変利得増幅器6において増幅された受信信号に対して再度利得微調整モードの自動利得制御を行い、可変利得増幅器6の利得再設定を行う。
【0063】
利得制御信号(101A)は第1記憶部12にも入力されており、利得微調整モードの自動利得制御のラストステップにおいてシステム制御部11は第1タイミング発生部15に対して制御信号(111)を出力し、制御信号(111)が入力された第1タイミング発生部15は、第1記憶部12に対して動作制御信号を出力し、動作制御信号が入力された第1記憶部12は、利得微調整モードの自動利得制御のラストステップによって出力された利得制御信号(101A)の値である入力値を記憶し、演算部14に出力(104)する。
【0064】
ラストステップの利得微調整モードの利得設定が行われた後、可変利得増幅器6において増幅された受信信号は、A/D変換器7においてディジタル信号に変換され、復調部9に対して出力される。復調部9において、A/D変換器7から出力された入力信号の復調を行う。
【0065】
本実施の形態による通信システムでは、UN.Pの到着タイミング情報及び変調方式情報がB.Pのデータの内容中に含まれている。B.Pのデータを復調した後、システム制御部11は、UN.Pの変調方式情報よりA/D変換器7における所望の入力レベルと復調誤りがおこらないであろうと推定される許容入力レベルとの差で表される抑圧値を、データ選択部16から選択する制御信号(112)を出力する。
【0066】
制御信号(112)が入力されたデータ選択部16は、選択された抑圧値を出力し、その抑圧値は第2記憶部13に入力される。第2記憶部13は、データ選択部16において選択された抑圧値である入力値を記憶し、記憶された入力値を演算部14に対して出力(105)する。ここで、B.P受信終了と同時に、システム制御部11が第2タイミング発生部17に対して制御信号(113)を出力し、第2タイミング発生部17は切り替え部10Aに対して動作制御信号を出力し、動作制御信号が入力された切り替え部10Aは演算部14からの入力(102)を自己の出力(103A)に切り替える。
【0067】
尚、システム制御部11から第2タイミング発生部17への制御信号(113)の出力タイミングは、B.P受信終了時ではなくB.Pの受信が終了してからUN.Pが到着するまでの間であれば、任意のタイミングでよい。
【0068】
次に、UN.P受信時の動作説明を行う。第1記憶部12の出力(104)及び第2記憶部13の出力(105)は、演算部14に入力する。演算部14では、第1記憶部12からの入力値(104)から第2記憶部13からの入力値(105)を減算し、減算した値(102)を切り替え部10Aに対して出力する。切り替え部10Aは、UN.P受信時には演算部14からの入力(102)を自己の出力(103A)とし、AGC制御部4Aに入力する。AGC制御部4Aでは、UN.P受信時には切り替え部10Aからの入力値(103A)を可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号(101A)として出力する。
【0069】
利得制御信号(101A)は、D/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力する。可変利得増幅器6では、アナログ信号に変換された利得制御信号に基づいて利得設定が行われる。利得設定が行われた後、可変利得増幅器6において増幅された受信信号は、A/D変換器7においてディジタル信号に変換され、電力検出部8に対して出力される。電力検出部8では、一定区間において入力されたディジタル信号の2乗値の平均値を算出し、この平均値を出力する。
【0070】
AGC制御部4Aに上記平均値が入力され、可変利得増幅器6の利得微調整モードとして、上記平均値に基づいて可変利得増幅器6の出力が所望出力レベルとなるであろうと推定される可変利得増幅器6の第2推定利得値を再算出し、可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号(101A)を出力する。利得微調整モードの利得制御信号(101A)は、D/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に対して出力される。可変利得増幅器6は、アナログ信号に変換された利得制御信号に基づいて利得再設定を行う。また、利得微調整モードの自動利得制御を複数ステップで行う場合には、可変利得増幅器6において利得微調整モードの自動利得制御の利得設定が行われた後に、可変利得増幅器6において増幅された受信信号に対して再度利得微調整モードの自動利得制御を行い、可変利得増幅器6の利得再設定を行う。
【0071】
ラストステップの利得微調整モードの利得設定が行われた後、可変利得増幅器6において増幅された受信信号は、A/D変換器7においてディジタル信号に変換され、復調部9に対して出力される。復調部9では、入力された信号の復調を行う。ここで、UN.P受信終了と同時に、システム制御部11は第2タイミング発生部17に対して制御信号(113)を出力し、制御信号(113)が入力された第2タイミング発生部17は切り替え部10Aに動作制御信号を出力し、動作制御信号が入力された切り替え部10Aは受信信号レベル検出部(RSSI回路)2からの入力(106)を自己の出力(103A)に切り替える。
【0072】
以後のステップは、第1の実施の形態による自動利得制御装置におけるステップ9(図2)と同様のステップを行うことになる。本発明の第1の実施の形態による自動利得制御装置では、可変利得増幅器6に対して信号を出力するのは切り替え部10であるのに対して、本実施の形態による自動利得制御装置では、可変利得増幅器6に対して信号を出力するのは、AGC制御部4Aである点に特徴がある。
【0073】
すなわち、第1の実施の形態による自動利得制御装置と第2の実施の形態による自動利得制御装置とは、動作が異なる。本発明の第2の実施の形態による自動利得制御回路は、UN.P受信時において、予め推定した初期値を可変利得増幅器の利得値に設定し、利得値が設定された可変利得増幅器により増幅された信号に対して電力検出部で平均値を求め、前記平均値からAGC制御部は可変利得増幅器の利得を微調整する。つまり、自動利得制御のファーストステップでは演算部の出力から可変利得増幅器の利得値を設定し、後の自動利得制御のステップでは電力検出部の出力から可変利得増幅器の利得値を設定する。従って、第1の実施の形態では、切り替え部は自動利得制御のファーストステップでは演算部からの入力を自己の出力とし、後の自動利得制御のステップではAGC制御部からの入力を自己の出力とするように即座に切り替えることにより利点を得ることができる。この点は、従来方式の制御とタイミング的に異なる。
【0074】
第1の実施の形態では、切り替え部はAGC制御部からの入力と演算部からの入力を切り替えるが、第2の実施の形態では、切り替え部はRSSIからの入力と演算部からの入力を切り替える。これにより、切り替え部は第1の実施の形態のように即座に入出力を切り替える必要性が少なくなり、タイミング制約が緩和される。その後の動作は、第2の実施の形態も第1の実施の形態と同様に動作させれば良い(ステップ9と同様のステップを行えば良い)。
【0075】
次に、本発明の第3の実施の形態による自動利得制御装置について図面を参照して説明する。本実施の形態による自動利得制御装置は、第1又は第2の実施の形態による自動利得制御装置におけるIFサンプリングを行う回路(1000)の代わりに、ベースバンドサンプリングを行う回路を用いる。図8は、本実施の形態による自動利得制御装置であってベースバンドサンプリングを行う回路を含む装置の構成例を示す図である。尚、図8において、図9と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
受信信号1は、可変利得増幅器6において増幅された後、直交検波器18に入力され、この直交検波器18において、受信IF信号の同相成分および直交成分に分離され、高調波除去用のLPF19とLPF20とをそれぞれ通過した後に、それぞれがI信号とQ信号とになる。これらのI信号とQ信号とは、A/D変換器21と、A/D変換器22とにおいて、それぞれ、ディジタルI信号とディジタルQ信号とになり、電力検出部8に入力する。電力検出部8においては、入力されたディジタルI信号とディジタルQ信号とに関して、一定区間の2乗和値の平均値を算出し、この平均値をAGC制御部4に対して出力する。
【0077】
上記平均値に基づき、AGC制御部4において算出された可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号は、第1の実施の形態又は第2の実施の形態による利得微調整モードの自動利得制御と同様の制御により、D/A変換器5においてアナログ信号に変換された後に可変利得増幅器6に入力され、可変利得増幅器6において、入力された上記アナログ信号に基づき利得設定が行われる。
【0078】
本実施の形態による自動利得制御装置は、ベースバンドサンプリングを行う回路を用いることにより、IFサンプリングを行う回路に代えてベースバンドサンプリングを行う回路を用いることができ、回路設計の自由度が増すという利点がある。
【0079】
次に、本発明の第1の実施の形態による自動利得制御装置を無線通信機器に適用した実施例について図面を参照して説明する。図6は本発明の第1の実施の形態の自動利得制御装置を用いた無線通信機器の構成例を示す図である。本実施例に係る無線通信機器は、自動車電話や携帯電話等の移動端末機に適用可能である。図7に示す無線通信機器である移動端末機30は、送信部31と、受信部32と、各部を制御する送受制御部33と、共用器34と、アンテナ35と、ベースバンド部36と、送話器37と、受話器38と、液晶パネル等により構成される表示器39と、各種のファンクションキー等を含むダイヤルキー40とを有している。本実施例による移動端末機30に含まれる受信部32(自動利得制御装置)は、本発明の第1の実施の形態による自動利得制御装置を利用している。受信部32は、フェージングにより急激な受信信号レベルの変動に対して、高精度の受信信号レベル推定または自動利得制御の可変利得増幅器の利得残留誤差の低減を可能とする。
【0080】
従って、移動端末機30が高速移動する場合に生じる高速フェージングに対して、A/D変換器における希望入力レベルと実入力レベルとの誤差を低減することによってディジタル出力信号の信頼性を向上することができる。また、受信部32の自動利得制御装置は、第1の実施の形態のみでなく、第2又は第3の実施の形態による自動利得制御装置を適用することもできる。
【0081】
尚、上述の移動端末器(無線通信機器)は、自動車電話や携帯電話等の移動端末機に適用した例であるが、受信信号レベルを適正なレベルに制御する装置に用いるのに適しており、例えば無線LANの固定端末機又は低速移動端末機等にも適用可能である。
また、上述の各実施の形態では、自動利得制御装置又は無線通信機器などの名称を用いているが、これは説明の便宜上であり、例えば復調回路、AGC方式、移動端末等でもよく、また、通信装置等の一部に組み込まれたものであってもよい。
【0082】
さらに、上述の各実施の形態による構成例において、粗調整モードの自動利得制御に関しては、受信電界強度信号の一定区間内における平均値または最大値を用いてもよい。また、微調整モードの自動利得制御に関してディジタル出力信号の2乗和または2乗の平均値ではなく2乗和または2乗の積分値または最大値を用いてもよい。さらに、微調整モードの自動利得制御に関してディジタル出力信号の2乗和または2乗値の平均値ではなく積分値、最大値または符号なしのA/D出力の場合には最小値を用いてもよい。
以上、実施の形態に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。その他、種々の変更、改良、組み合わせが可能なことは当業者に自明であろう。
【0083】
【発明の効果】
本発明による自動利得制御装置によれば、RSSI信号の安定化と検出とに要する時間を短縮することが可能となり、無線バースト内のプリアンブル長を長くすることなく受信信号レベルの推定精度向上させ、可変利得増幅器の出力レベルの希望出力レベルとの誤差を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による自動利得制御装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の自動利得制御装置の動作の流れを示すフローチャート図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による自動利得制御装置を用いるための前提となるフレーム構成と、自動利得制御装置における信号波形のタイムチャートを示す図である。
【図4】A/D変換器の入力レベルと出力レベルとの関係を示す図である。
【図5】可変利得増幅器の利得と、可変利得増幅器の平均出力レベル、すなわちA/Dへの平均入力レベルとの関係を示す図である。
【図6】本発明の第1から3までの実施の形態による自動利得制御装置を用いた無線通信機器の構成を示す機能ブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の形態による自動利得制御装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態による自動利得制御装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図9】一般的な自動利得制御装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】1:受信信号(受信IF信号)、2:受信信号レベル検出部(RSSI回路)、3、7、21、22:A/D変換器、4:AGC制御部、5:D/A変換器、6:可変利得増幅器、8:電力検出部、9:復調部、10:切り替え部、11:システム制御部、12:第1記憶部、13:第2記憶部、14:演算部、15:第1タイミング発生部、16:データ選択部、17:第2タイミング発生部、18:直交検波器、19、20:LPF、30:移動端末機(無線通信機器)、31:送信部、32:受信部、33:送受制御部、34:共用器、35:アンテナ、36:ベースバンド部、37:送話器、38:受話器、39:表示器、40:ダイヤルキー、101:AGC制御部出力(利得制御信号)、102:演算部出力、103:切り替え部出力(自己の制御信号)、104:第1記憶部出力(AGC制御部出力の記憶値)、105:第2記憶部出力(抑圧値)、111:制御信号(第1タイミング発生部制御信号)、112:制御信号(データ選択部制御信号)、113:制御信号(第2タイミング発生部制御信号)、200:パケット(無線バースト)、201:プリアンブル、202:データ、301:利得粗調整モードによる自動利得制御区間、302:利得微調整モードによる自動利得制御区間、311:RSSI信号応答区間、312:RSSI安定化区間、1000:IFサンプリング回路、1111:A/D変換器入力レベル許容範囲。
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話や無線LAN等の無線通信システムに適用可能な自動利得制御装置及びその自動利得制御装置を用いた無線通信機器に関し、特に受信電界強度レベルが時間的に変動する受信信号を適切なレベルに調整して復調部に入力するための自動利得制御(AGC:Automatic Gain Control)の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信システムでは、フェージングにより受信信号レベルが変動し、復調部における復調の所要信号レベルに達しないことによる復調誤りやA/D変換器における大入力信号に対するクリッピング及び小入力信号に対する量子化誤差増加等の問題が生じる。したがって、受信信号レベルの時間的な変動を補償し、適切なレベルに受信信号レベルを制御する自動利得制御装置が必要である。
【0003】
従来の自動利得制御装置は、フィードバック利得制御方式が最も多く、又RSSI(Received Signal Strength Indicator)を用いたフィードフォワード利得制御方式も知られている。従来の無線通信機器において広く用いられる自動利得制御方式として、例えばフィードフォワード利得制御方式とフィードバック利得制御方式とを併用した特開平10−56343号公報に記載の技術が挙げられる。
【0004】
図9は、自動利得制御方式の構成上の特徴点を記載した上記公報を含む従来型の自動利得制御装置の構成を示す図である。図3(c)から図3(f)までを併せて参照して説明する。図9に示す自動利得制御装置によれば、中間周波数帯に周波数変換され帯域制限された受信信号1が、受信信号レベル検出部(RSSI回路)2に入力され、受信信号レベル検出部(RSSI回路)2からは受信信号レベルを示すRSSI信号が出力される。RSSI信号は、A/D変換器3においてディジタル信号に変換され、AGC制御部4に入力される。
【0005】
AGC制御部4では、可変利得増幅器6の利得粗調整モードとして、上記RSSI信号に基づいて可変利得増幅器6の出力が所望出力レベルとなると推定される可変利得増幅器6の第1の推定利得値を算出し、可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号を出力する。上記利得粗調整モードの利得制御信号は、D/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力される。可変利得増幅器6は、上記利得粗調整モードの利得制御信号に基づいて利得設定を行なう。利得設定が行われた後、可変利得増幅器6において増幅された受信信号は、A/D変換器7においてディジタル信号に変換され、電力検出部8に入力される。電力検出部8では、入力された一定区間(期間)内のディジタル信号の2乗値の平均値を算出し、この平均値を出力する。
【0006】
AGC制御部4では、上記平均値が入力され、可変利得増幅器6の利得微調整モードとして、上記平均値に基づいて可変利得増幅器6の出力が所望の出力レベルになると推定される可変利得増幅器6の第2の推定利得値を再算出し、可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号を出力する。上記利得微調整モードの利得制御信号は、D/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力される。可変利得増幅器6は、上記利得微調整モードの利得制御信号に基づいて利得再設定を行う。
【0007】
ここで、利得微調整モードの自動利得制御が複数ステップ(繰り返しステップ)にわたって行われる場合に、可変利得増幅器6において利得微調整モードの自動利得制御の利得設定が行われた後、可変利得増幅器6により増幅された受信信号に対して再度利得微調整モードの自動利得制御を行い、可変利得増幅器6の利得再設定が行われる。
【0008】
尚、図3(f)において、AGC制御部出力がB.PよりもUN.Pにおいて小さくなっている理由は、後述するように、U2.PにおいてはB.Pに比べて送信側において伝送特性が改善するように信号が送信されるため、受信側において受信信号レベルが高くなり、その分だけ可変利得増幅器の利得を小さく設定しても良い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例によれば、受信バースト信号の先頭に設けられ図3に示されるプリアンブル区間(301)内において、利得粗調整モードによる自動利得制御を行った後、利得粗調整モードによる自動利得制御後のプリアンブル区間(302)内において利得微調整モードによる自動利得制御を行う。この際、上記利得粗調整モードによる自動利得制御のRSSI信号が安定化するまでの応答区間(311)及びRSSI信号の検出区間(312)が必要になるため、上記利得微調整モードによる自動利得制御のA/D変換器7のディジタル出力信号の平均値を求める区間(302)を受信信号レベルの推定精度向上のために長くとることは難しく、また、利得微調整モードの自動利得制御のステップ数(繰り返し回数)を可変利得増幅器の出力レベルの希望出力レベルとの誤差低減のために増加すると、後続のデータ(D)領域202の時間領域が短くなってしまい問題となる。
【0010】
従って、受信信号レベルの推定精度向上または可変利得増幅器の出力レベルの希望出力レベルとの誤差低減のためには、必然的にプリアンブル長を長くする必要があり、その結果パケット長に対するデータ長の割合が低下し、無線リソースの利用効率を低下させることになる。
本発明の目的は、無線バースト内のプリアンブル長を長くすることなく、受信信号レベルの推定精度を向上させることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、基地局と端末局との間で通信を行う通信システムに用いられる信号であって、前記基地局から前記端末局に送信されプリアンブル部とそれに続くデータ部とを有するブロードキャスト信号と、該ブロードキャスト信号に続く前記端末局のそれぞれに対して個別に送信される個別信号とをフレーム構成に含む信号を受信する可変利得増幅器の出力信号を検出して前記可変利得増幅器の利得を制御するAGC制御部を備えたフィードバック利得制御回路であって、前記データ部において用いた前記可変利得増幅器の利得に基づいて求めた所定の利得抑圧値を、前記個別信号を受信した際の前記可変利得増幅器の利得初期値として用いることを特徴とするフィードバック利得制御回路が提供される。
【0012】
上記フィードバック利得制御回路によれば、前記データ部において用いた前記可変利得増幅器の利得に基づいて求めた所定の利得抑圧値を、前記個別信号を受信した際の前記可変利得増幅器の利得初期値として用いることができるため、個別信号のプリアンブル長を短縮しても、受信信号レベルの推定精度を良くすることができる。
尚、可変利得増幅器の出力信号は、後段のディジタル出力信号であれば、途中にA/D変換器や増幅器などが設けられていても良い。
【0013】
本発明の他の観点によれば、可変利得増幅器の出力信号を検出して前記可変利得増幅器の利得を制御するAGC制御部を備えたフィードバック利得制御回路であって、前記AGC制御部の出力である利得制御信号の値を第1の所定のタイミングで記憶する第1の記憶部と、前記可変利得増幅器の所定の利得抑圧値を記憶する第2の記憶部と、前記第1の記憶部の第1出力と第2の記憶部の第2出力とに接続され前記第1及び第2出力の値に対して所定の演算を行う演算部と、第2の所定のタイミングにおいて前記AGC制御部の出力を前記演算部の出力に切り替える切り替え部とを備えすることを特徴とするフィードバック利得制御回路が提供される。
【0014】
上記フィードバック利得制御回路によれば、所定のタイミング期間中は、AGC制御部の出力にかかわらず前記演算部の出力に基づいて前記可変利得増幅器の利得を制御する。演算部の出力と関連する利得抑圧値を所定のタイミングで可変利得増幅器に出力できるため、可変利得増幅器の利得を任意のタイミングで抑制することができる。
尚、可変利得増幅器の出力信号は、後段のディジタル出力信号であれば、途中にA/D変換器や増幅器などが設けられていても良い。
【0015】
好ましくは、前記所定の利得抑圧値は、前記フィードバック利得制御回路の後段のA/D変換器への所望の入力レベルを基準とし、前記A/D変換器からの出力信号を復調する復調器における復調誤りが許容できる範囲内に入るように変動値を考慮した入力レベルの範囲内とすることを特徴とする。従って、前記後段のディジタル出力信号を生成するA/D変換器において、所望入力レベルに対して、制御する可変利得増幅器の利得の変化値の幅とすることができる。
【0016】
本発明の別観点によれば、基地局と端末局との間で通信を行う通信システムに含まれる無線通信機器であって、前記基地局から前記端末局に送信されプリアンブル部とそれに続くデータ部とを有するブロードキャスト信号と、該ブロードキャスト信号に続く前記端末局のそれぞれに対して個別に送信される個別信号とをフレーム構成に含む信号を対象とする可変利得増幅器の出力信号を検出して前記可変利得増幅器の利得を制御するAGC制御部を備えたフィードバック利得制御回路であって、前記データ部において用いた前記可変利得増幅器の利得に対して所定の利得抑圧値を、前記個別信号を受信した際の前記可変利得増幅器の利得初期値として用いることを特徴とするフィードバック利得制御回路を有する無線通信機器が提供される。可変利得増幅器の出力信号に代えて後段のディジタル出力信号を検出しても良い。
【0017】
さらに、複数の端末を含み、プリアンブル部とそれに続くデータ部とを有し、前記複数の端末にブロードキャストされるブルードキャスト信号と、該ブロードキャスト信号に続き個別の端末に対して送信される個別信号とをフレーム構成に含む信号を対象とする可変利得増幅器の出力信号を検出して前記可変利得増幅器の利得を制御するAGC制御部を備えたフィードバック利得制御回路であって、前記データ部において用いられた前記可変利得増幅器の利得に基づいて求められた所定の利得抑圧値を、前記個別信号を受信した際の前記可変利得増幅器の利得初期値として用いることを特徴とするフィードバック利得制御回路が提供される。
【0018】
個別信号を受信した際の前記可変利得増幅器の利得初期値として用いると、個別信号のプリアンブル期間において利得調整を行うための期間を短縮することができる。尚、可変利得増幅器の出力信号に代えて後段のディジタル出力信号を検出しても良い。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明する前に、発明者の行った考察についてまず説明する。前述の図3は、自動利得制御装置におけるフレーム構成例と、自動利得制御装置における信号波形のタイムチャートとを示す図である。図3(a)に示すように、1フレームは、例えば基地局から全ての端末局に送信されるブロードキャストされるブロードキャストパケット(Broadcast.Packet、以下「B.P」と称する。)と基地局から各端末局に個別に送信される個別パケット(User Number.Packet、以下「UN.P」と称する。)とから構成されるフレームであり、図3(c)に示すようにパケット200は、プリアンブル201とデータ202とから構成される無線バーストである。
【0020】
本発明の実施の形態による通信システムは、図3(a)に示すように、基地局がB.Pを送信した後に、このB.Pよりも伝送特性が改善するようにUN.Pを送信(BS Tx)し、一方、図3(b)に示すように、端末局はB.Pを受信した後にUN.P(N=1、2、3…N)を受信する通信システムであり、UN.Pの到着タイミング情報及び変調方式情報が、B.PのデータDの内容に含まれている通信システムである。
【0021】
このような通信システムにおいて、発明者は、B.Pに対しては一般的なRSSIを用いたフィードフォワード利得制御方式とフィードバック利得制御方式とを併用した自動利得制御を行い、UN.Pに対しては、例えば図3(g)に示すように、一般的なRSSIを用いたフィードフォワード利得制御方式を用いずにB.Pのデータに対する可変利得増幅器の利得を抑圧した利得抑圧値を予め可変利得増幅器の利得として設定し、フィードバック利得制御方式の自動利得制御を行うことを思い付いた。電力検出部のディジタル出力信号の平均値を求める区間に一般的なRSSI信号の検出及びRSSI信号の安定化に要していた区間を加えて前記平均値を求める区間を拡張する第1の手法、又は、UN.Pのプリアンブル部においてフィードバック利得制御方式の自動利得制御の繰り返し回数を増加させる第2の手法、のいずれかを選択できる。
【0022】
上記第1の手法と第2の手法とのいずれも、図3の符号301で示される区間を、符号302で示される区間に加えることで符号302で示される区間を拡張するという点は共通である。上記第1の手法と第2の手法との異なる点は、フィードバック利得制御の方法に関する点である。
【0023】
フィードバック利得制御において可変利得増幅器に設定する利得値は、電力検出部のディジタル出力信号の平均値から求める。短い区間で平均値を求めた場合には十分に平均化することができず、理想的な値とのずれが大きくなる。そこで、上記第1の手法においては、ディジタル出力信号の平均値を求める区間を拡張して、従来よりも長い区間にわたってディジタル出力信号を平均化し、理想的な値とのずれを小さくする。尚、第1の手法の場合、ある区間からある区間までの平均値を求める際には、可変利得増幅器の利得値は固定である。
【0024】
電力検出部の平均値を求める区間をブロードキャスト信号と個別信号とで切り換えることにより、上記手法を実現することが可能である。すなわち、個別信号では初期値を予め設定することにより利得粗調整モードのプリアンブル区間を利得微調整モードのプリアンブル区間に加える。
【0025】
換言すれば、第1の手法は、瞬間的にずれを小さくする手法であるのに対して、第2の手法は、徐々にずれを小さくしていく手法である。第1の手法に比べて、第2の手法では、平均値を求める区間においてA/D変換器の許容範囲外の入力が入った場合、ずれをより小さくすることができる利点がある。すなわち、第2の手法では、ディジタル信号の平均値を求める区間は第1の手法よりも短く、自動利得制御の繰り返し毎に最適な可変利得増幅器の利得値を設定することができるためである。
【0026】
但し、第2の手法では、可変利得増幅器の利得を設定するための時間が自動利得制御の繰り返し毎に必要になり、可変利得増幅器の利得を設定する時間分、ロスを生じやすい。第2の手法を行うための回路は、電力検出部の平均値を求める動作の回数をブロードキャスト信号と個別信号とで切換えるという特徴的な構成を有している。尚、電力検出部の平均値を求める区間に関する動作は一般的な方法と同じ方法を用いれば良い。
【0027】
つまり、従来は、B.P及びUN.Pの受信時に、符号301で示すプリアンブル区間、実質的には符号312のプリアンブル区間において、利得粗調整モードの自動利得制御を行った後に、符号313で示すプリアンブル区間において利得微調整モードの自動利得制御を行うのに対し、発明者の考案した技術では、B.P受信時は一般的な自動利得制御を行い、UN.P受信時は符号301のプリアンブル区間開始時に、予め粗調整の可変利得増幅器の利得を設定しておき、符号301と符号302の両プリアンブル区間において利得微調整モードの自動利得制御を行う。これにより、利得微調整モードの自動利得制御を行うための区間が長くなるため自動利得制御の精度を高めることができる。
【0028】
次に、B.Pのデータに対する可変利得増幅器の利得の抑圧値について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、A/D変換器の入力レベル−出力レベル特性を示す図である。図5は、可変利得増幅器の利得と可変利得増幅器の平均出力レベル、すなわちA/D変換器への平均入力レベルとの関係を示す図である。本発明による通信システムにおいて、UN.Pの伝送特性の改善状況が良好な場合、端末局ではB.Pに対する平均受信信号レベルよりUN.Pに対する平均受信信号レベルが大きくなる。この際、UN.Pの受信開始時の利得を設定する上記抑圧値が小さければ、図4の符号B1で示すようにA/D変換器において大入力信号に対するクリッピングの問題が生じる。従って、抑圧値を可能な限り大きな値に設定する必要がある。しかしながら、本システムにおいて、UN.Pの伝送特性の改善状況が最も劣悪な場合、端末局ではB.Pに対する平均受信信号レベルとUN.Pに対する平均受信信号レベルとがほぼ等しくなる。この際、UN.Pの受信開始時の利得を設定する上記抑圧値が大きければ、図4の符号B2で示すようにA/D変換器において小入力信号に対する量子化誤差増加の問題が生じるため、上記抑圧値を量子化誤差による復調誤りが起きないと推定できる値に設定する必要がある。
【0029】
従って、本システムを用いると、UN.Pの伝送特性の改善状況が最悪の場合でもUN.Pに対する平均受信信号レベルはB.Pに対する平均受信信号レベルとほぼ同じレベルとなるので、A/D変換器への平均入力レベルを所望レベル(A1)から前述の問題が及ぼす影響が復調誤りを起こさないであろう入力レベルの許容範囲(1111)の下限又は下限付近のレベル(A2)となるように上記抑圧値を設定する。尚、許容範囲(1111)は、前述の問題が及ぼす復調に対する影響が変調方式によって異なるため、変調方式によって範囲は異なる。
【0030】
上記考察に基づき、以下に、本発明の第1の実施の形態による自動利得制御装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による自動利得制御装置の構成例を示す図である。尚、本発明の各実施の形態に用いられる通信システムは基本的に上述の一般的な通信システムと同様である。図9と同一構成の部分には対しては同一符号を付してその説明を省略する。
【0031】
先ず、本発明の第1の実施の形態による自動利得制御装置の構成とB.P受信時の動作とについて説明する。中間周波数帯に周波数変換され帯域制限された受信信号1は、受信信号レベル検出部(RSSI回路)2に入力され、受信信号レベル検出部(RSSI回路)2から受信信号レベルを示すRSSI信号が出力される。上記RSSI信号は、A/D変換器3においてディジタル信号に変換され、AGC制御部4に入力される。AGC制御部4では、可変利得増幅器6の利得粗調整モードとして、上記RSSI信号に基づいて可変利得増幅器6の出力が所望出力レベルと推定される可変利得増幅器6の第1の推定利得値を算出し、可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号(101)を出力する。
【0032】
上記利得粗調整モードの利得制御信号(101)は、切り替え部10に入力され、切り替え部10はAGC制御部4からの入力である利得制御信号(101)を自己の出力制御信号(103)として出力する。出力制御信号(103)はD/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力される。可変利得増幅器6では、アナログ信号に変換された出力制御信号に基づいて利得設定が行われる。
【0033】
利得粗調整モードの利得設定が行われた後、可変利得増幅器6において増幅された受信信号はA/D変換器7においてディジタル信号に変換され、電力検出部8に入力される。電力検出部8では、入力されたディジタル信号の一定区間の2乗値の平均値を算出し、電力の平均値として出力する。AGC制御部4では、上記電力の平均値が入力され、可変利得増幅器6の利得微調整モードとして、上記平均値に基づいて可変利得増幅器6の出力が所望の出力レベルとなると推定される可変利得増幅器6の第2の推定利得値を再算出し、可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号(101)を出力する。
【0034】
上記利得微調整モードの利得制御信号(101)は切り替え部10に入力され、切り替え部10は、AGC制御部4からの入力である利得制御信号(101)を自己の出力制御信号(103)として出力する。出力制御信号(103)は、D/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力される。可変利得増幅器6では、アナログ信号に変換された出力制御信号に基づいて利得再設定が行われる。
【0035】
また、利得微調整モードの自動利得制御を複数ステップ行う場合、可変利得増幅器6で利得微調整モードの自動利得制御の利得設定が行われた後、可変利得増幅器6において増幅された受信信号に対して再度利得微調整モードの自動利得制御を行い、可変利得増幅器6の利得再設定が行われる。
【0036】
利得制御信号(101)は第1記憶部12にも入力され、利得微調整モードの自動利得制御のラストステップにおいてシステム制御部11は、第1タイミング発生部15に制御信号(111)を出力し、制御信号(111)が入力された第1タイミング発生部15は、第1記憶部12に対して動作制御信号を出力し、動作制御信号が入力された第1記憶部12は、利得微調整モードの自動利得制御のラストステップによって出力された利得制御信号(101)の値である入力値を記憶し、記憶された入力値を出力(104)する。
【0037】
ラストステップの利得微調整モードの利得設定が行われた後、可変利得増幅6において増幅された受信信号はA/D変換器7においてディジタル信号に変換され、復調部9に入力される。復調部9では、入力された信号の復調を行う。尚、本実施の形態による通信システムでは、UN.Pの到着タイミング情報及び変調方式情報がB.Pのデータの内容中に含まれている。B.Pのデータを復調した後、システム制御部11は、UN.Pの変調方式情報に基づき、A/D変換器7における所望の入力レベルと復調誤りが起こらないと推定される許容入力レベルとの差である抑圧値をデータ選択部16から選択するための制御信号(112)を出力する。制御信号(112)が入力された選択部は選択された利得抑圧値を出力し、上記利得抑圧値は第2記憶部13に入力される。第2記憶部13は、データ選択部16において選択された利得抑圧値である入力値を記憶し、記憶された入力値(105)を出力する。
【0038】
次に、UN.P受信時の動作について説明を行う。第1記憶部12の出力(104)及び第2記憶部13の出力(105)が演算部14に入力される。演算部14においては、第1記憶部12からの入力値(104)から第2記憶部13からの入力値(105)を減算し、減算した値(102)を出力し、減算した値(102)は切り替え部10に入力される。システム制御部11は、UN.Pの到着タイミング情報に基づき、UN.Pの到着直前に第2タイミング発生部17に対して制御信号(113)を出力する。制御信号(113)が入力された第2タイミング発生部17は、切り替え部10に動作制御信号を出力し、動作制御信号が入力された切り替え部10は演算部14からの入力である利得制御信号(102)を自己の出力制御信号(103)として切り替え、出力する。
【0039】
出力制御信号(103)はD/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力される。可変利得増幅器6では、アナログ信号に変換された出力制御信号に基づいて利得設定が行われる。
【0040】
利得設定が行われた後、可変利得増幅器6において増幅された受信信号は、A/D変換器7においてディジタル信号に変換され、電力検出部8に入力される。電力検出部8では、入力されたディジタル信号の一定区間の2乗値の平均値を算出し、平均値を出力する。AGC制御部4に上記平均値が入力され、可変利得増幅器6の利得微調整モードとして、上記平均値に基づいて可変利得増幅器6の出力が所望出力レベルとなると推定される可変利得増幅器6の推定利得値を再算出し、可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号(101)を切り替え部10に出力する。
【0041】
利得微調整モードの自動利得制御のファーストステップにおいて、システム制御部11は電力検出部8のディジタル信号の平均値を求める区間終了と同時に第2タイミング発生部17に制御信号(113)を出力し、制御信号(113)が入力された第2タイミング発生部17は、切り替え部10に動作制御信号を出力し、動作制御信号が入力された切り替え部10はAGC制御部4からの入力である利得制御信号(101)を自己の出力制御信号(103)として切り替え、出力する。
【0042】
出力制御信号(103)は、D/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力される。可変利得増幅器6では、アナログ信号に変換された出力制御信号(103)に基づいて利得再設定が行われる。また、利得微調整モードの自動利得制御を複数ステップ行う場合は、可変利得増幅器6で利得微調整モードの自動利得制御の利得設定が行われた後に、可変利得増幅器6において増幅された受信信号に対して再度利得微調整モードの自動利得制御を行い、可変利得増幅器6の利得再設定が行われる。複数ステップのうちのラストステップの利得微調整モードの利得設定が行われた後、可変利得増幅器6にて増幅された受信信号はA/D変換器7においてディジタル信号に変換され、復調部9に入力される。復調部9では、入力された信号の復調を行う。
【0043】
ここで、本実施の形態による自動利得制御装置のUN.P受信時の利得微調整モードの自動利得制御の動作例について説明する。動作例としては、少なくとも以下の第1例から第3例までの3通りが考えられる。
【0044】
第1例は、一般的な利得粗調整モードの自動利得制御においてRSSI安定化及びRSSI検出に要していた区間を、電力検出部8の平均値を求める区間として新たに割り当て、上記平均値を求める区間を拡張する例である。第2例は、一般的な利得粗調整モードの自動利得制御においてRSSI安定化及びRSSI検出に要していた区間においても利得微調整モードの自動利得制御を行い、利得微調整モードの自動利得制御のステップ数を増加する例である。第3例は、上記第1例と上記第2例とを組み合わせるものであり、例えば、上記第1例と第2例とを例えば同じ割合で組み合わせるものである。以上説明したように、本実施の形態による自動利得制御装置は、短い時間内で高い精度の自動利得制御を行うことができる。
【0045】
次に、図1から図3までを参照して本実施の形態による自動利得制御装置の動作について説明する。図2は、自動利得制御装置の動作を示すフローチャートであり、図中Sはフローの各ステップを表すための記号である。ステップ1において、B.Pが到着するまで待ち、B.Pが到着するとステップ2に進む。ステップ2において、B.Pのプリアンブルに対する利得微調整モードの自動利得制御のラストステップにおける利得設定終了時間が経過したか否かを計測し、上記利得設定終了時間が経過したことが確認されると、ステップ3で第1タイミング発生部15に通知する(111)。
【0046】
ここで上記ステップ3により、第1記憶部12は第1タイミング発生部15から通知を受け、B.Pのプリアンブル区間において利得微調整モードの自動利得制御のラストステップにおいて設定したB.Pのデータに対する可変利得増幅器の利得を記憶する。次に、ステップ4において、B.Pのデータ内からU2.Pの変調方式情報を取得し、ステップ5において、データ選択部16に予め設定された変調方式によって異なるデータからU.Pの変調方式に適したデータを選択するよう通知する(112)。
【0047】
上記ステップ5により、第2記憶部13にはデータ選択部16から選択されたデータが入力され、可変利得増幅器6の利得の抑圧値である入力値を記憶する。次に、ステップ6において、B.Pのデータ内からU2.Pの到着タイミング情報を取得し、ステップ7においてU2.Pの到着時間が経過したか否かを計測し、U2.Pの到着時間が経過したことが確認されると、ステップ8で第2タイミング発生部17に通知する(113−1)。
【0048】
尚、ステップ7、ステップ8においてU2.Pの到着時間が経過したことを確認してから第2タイミング発生部17に通知するのではなく、U2.Pの到着直前に第2タイミング発生部17に通知を行ってもよい。ここで、上記ステップ8により、切り替え部10は第2タイミング発生部17から通知を受け、切り替え部10の出力(103)として、AGC制御部4からの入力(101)を、演算部14からの入力(102)に切り替える。
【0049】
次に、ステップ9において、U2.Pのプリアンブルに対する利得微調整モードの自動利得制御のファーストステップにおける信号観測区間終了時間が経過したか否かを計測し、信号観測区間終了時間が経過したことが確認されると、ステップ10において第2タイミング発生部17にその旨を通知する(113−2)。
【0050】
尚、上記信号観測区間終了時間とは、電力検出部8において計算に用いるディジタル信号の観測区間の終了時間を意味し、電力検出部8が出力を行った後であって、次ステップの利得微調整モードの自動利得制御の可変利得増幅器の利得を設定するための制御を行っている間に第2タイミング発生部17に通知する。上記ステップ10により、切り替え部10は、第2タイミング発生部17から通知を受け、切り替え部10の出力を演算部14からの入力からAGC制御部4からの入力に切り替えることで、AGC制御部4からの制御に切り替えて、次のフレーム動作に進む。
【0051】
前述のように、図3は本実施の形態による通信システムにおけるフレーム構成及び自動利得制御装置における信号波形のタイムチャートを示す図である。尚、図3は利得微調整モードの自動利得制御のステップ数が1ステップの場合である信号波形の場合についての例示である。本実施の形態による自動利得制御装置において、最終的に可変利得増幅器の利得を制御する出力は切り替え部10の出力である。図3(h)に示すように、切り替え部10は、B.Pのプリアンブル及びデータに対してはAGC制御部からの入力(101)を自己の出力とし、U2.Pのプリアンブルに対しては利得微調整モードの自動利得制御のファーストステップ時は演算部からの入力(102)を自己の出力とし、ファーストステップ以外の利得微調整モードの自動利得制御ステップ時はAGC制御部からの入力(101)を自己の出力とし、U2.Pのデータに対してはAGC制御部からの入力(101)を自己の出力としている。
【0052】
すなわち、B.Pのプリアンブル部では、RSSI信号(RSSI回路の出力)が安定するまでの応答時間(311)だけ経過した後、RSSI信号が安定化した区間(312)においてフィードフォワード利得制御方式により利得粗調整モードの自動利得制御を行い、可変利得増幅器6の利得を算出し、利得算出後のプリアンブル区間(302、313)においてAGC制御部4は算出した利得を出力し、可変利得増幅器6の利得を設定し、増幅された信号に対してフィードバック利得制御方式によって1ステップまたは複数ステップの利得微調整モードの自動利得制御を行う。
【0053】
B.Pにおけるプリアンブル期間301、302における、従来の方法によるAGC制御部4の出力(可変利得増幅器6への入力に相当)と、本実施の形態によるAGC制御部4を介した切り替え部10の出力(可変利得増幅器6への入力に相当)とは、同様である。従って、図3(f)に示す従来のAGC制御部4の出力波形と図3(g)に示す本実施の形態による切り替え部10の出力波形とは、第1プリアンブル期間301においては出力信号がなく、第2プリアンブル期間302において図3(e)に示す過程を経て出力信号が得られるという点で同様である。B.Pのデータ部では、AGC制御部4は利得微調整モードの自動利得制御のラストステップによって算出した利得を出力し、可変利得増幅器6の利得を設定する。
【0054】
一方、U2.Pのプリアンブル部に関しては、従来のAGC制御部4の出力波形は、信号レベルの差を除けば、点P1までは信号が出力されない第1のプリアンブル部と信号を出力する第2のプリアンブル部とを有している点でB.Pのプリアンブル部と同様である。これに対して、本実施の形態による切り替え部10の出力波形は、第1のプリアンブル部と第2のプリアンブル部とのいずれにおいても出力波形を有しているという点で異なる。すなわち、演算部14は利得微調整モードの自動利得制御のファーストステップ時に前述のような計算を行った値を出力し、可変利得増幅器6の利得を予め設定(記憶)しておき、この値を例えばU2.P受信時の切り替え部出力値(可変利得増幅器の入力値に相当する)の初期値P2とし用いる。増幅された信号に対してフィードバック利得制御方式によって1ステップまたは複数ステップの利得微調整モードの自動利得制御を行い、AGC制御部4はファーストステップ以外の利得微調整モードの自動利得制御のステップ時に1段階前のステップの利得微調整モードの自動利得制御によって算出した利得を出力する。最後に、U2.Pのデータ部では、AGC制御部4は利得微調整モードの自動利得制御のラストステップによって算出した利得を出力し、可変利得増幅器6の利得を設定する。
【0055】
本実施の形態においては、その1例としてラストステップの利得微調整モードの自動利得制御によって算出した利得を可変利得増幅器に設定後は、可変利得増幅器の利得を無線バーストのデータ内で固定とすることを想定している。これは16QAM、64QAM等の振幅に情報が載せられている変調方式にも対応するためである。
【0056】
以上、本発明の第1の実施の形態による利得制御回路によれば、BS.P時に用いた可変利得増幅器の利得に対して所定の抑圧利得値を用いてUN.P受信時の利得初期値とするため、一般的な利得制御回路と異なりRSSI信号の安定化及び検出に要する時間を短縮することができ、無線バースト内のプリアンブル長を長くすることなく、受信信号レベルの推定精度を向上させることができるという利点を有する。
【0057】
次に、本発明の第2の実施の形態による利得制御回路について、図面を参照して説明する。図7は、本発明の第2の実施の形態による自動利得制御装置の構成例を示す機能ブロック図である。尚、図7において、図9又は図1と同様の構成要素に対しては同一の符号を付してその説明を省略する。尚、番号が同一であって、番号の後にAの記号を付した場合には、後述のように機能に異なる点を有している。
【0058】
先ず、B.P受信時の本発明の第2の実施形態の説明を行う。中間周波数帯に周波数変換され帯域制限された受信信号1は、受信信号レベル検出部(RSSI回路)2に入力され、受信信号レベル検出部(RSSI回路)2からは受信信号レベルを示すRSSI信号が出力される。上記RSSI信号は、A/D変換器3においてディジタル信号(106)に変換され、切り替え部10Aに入力する。切り替え部10Aは、B.P受信時には受信信号レベル検出部(RSSI回路)2からの入力(106)を自己の出力(103A)とし、この出力(103A)はAGC制御部4Aに入力する。
【0059】
AGC制御部4Aにおいては、可変利得増幅器6の利得粗調整モードとして、上記RSSI信号である切り替え部10Aからの入力(103A)に基づいて可変利得増幅器6の出力が所望の出力レベルとなると推定される可変利得増幅器6の第1の推定利得値を算出し、可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号(101A)を出力する。
【0060】
上記利得粗調整モードの利得制御信号(101A)は、D/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力する。可変利得増幅器6では、アナログ信号に変換された利得制御信号に基づいて利得設定が行われる。利得粗調整モードの利得設定が行われた後に、可変利得増幅器6において増幅された受信信号はA/D変換器7においてディジタル信号に変換され、電力検出部8に入力される。電力検出部8では、入力されたディジタル信号の一定区間の2乗値の平均値を算出し、平均値を出力する。
【0061】
AGC制御部4Aでは、上記平均値が入力され、可変利得増幅器6の利得微調整モードとして、上記平均値に基づいて可変利得増幅器6の出力が所望出力レベルとなると推定される可変利得増幅器6の利得値を再算出し、可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号(101A)を出力する。利得微調整モードの利得制御信号(101A)はD/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力する。可変利得増幅器6では、アナログ信号に変換された利得制御信号に基づいて利得の再設定が行われる。
【0062】
また、利得微調整モードの自動利得制御を複数ステップで行う場合には、可変利得増幅器6において利得微調整モードの自動利得制御の利得設定を行った後に、可変利得増幅器6において増幅された受信信号に対して再度利得微調整モードの自動利得制御を行い、可変利得増幅器6の利得再設定を行う。
【0063】
利得制御信号(101A)は第1記憶部12にも入力されており、利得微調整モードの自動利得制御のラストステップにおいてシステム制御部11は第1タイミング発生部15に対して制御信号(111)を出力し、制御信号(111)が入力された第1タイミング発生部15は、第1記憶部12に対して動作制御信号を出力し、動作制御信号が入力された第1記憶部12は、利得微調整モードの自動利得制御のラストステップによって出力された利得制御信号(101A)の値である入力値を記憶し、演算部14に出力(104)する。
【0064】
ラストステップの利得微調整モードの利得設定が行われた後、可変利得増幅器6において増幅された受信信号は、A/D変換器7においてディジタル信号に変換され、復調部9に対して出力される。復調部9において、A/D変換器7から出力された入力信号の復調を行う。
【0065】
本実施の形態による通信システムでは、UN.Pの到着タイミング情報及び変調方式情報がB.Pのデータの内容中に含まれている。B.Pのデータを復調した後、システム制御部11は、UN.Pの変調方式情報よりA/D変換器7における所望の入力レベルと復調誤りがおこらないであろうと推定される許容入力レベルとの差で表される抑圧値を、データ選択部16から選択する制御信号(112)を出力する。
【0066】
制御信号(112)が入力されたデータ選択部16は、選択された抑圧値を出力し、その抑圧値は第2記憶部13に入力される。第2記憶部13は、データ選択部16において選択された抑圧値である入力値を記憶し、記憶された入力値を演算部14に対して出力(105)する。ここで、B.P受信終了と同時に、システム制御部11が第2タイミング発生部17に対して制御信号(113)を出力し、第2タイミング発生部17は切り替え部10Aに対して動作制御信号を出力し、動作制御信号が入力された切り替え部10Aは演算部14からの入力(102)を自己の出力(103A)に切り替える。
【0067】
尚、システム制御部11から第2タイミング発生部17への制御信号(113)の出力タイミングは、B.P受信終了時ではなくB.Pの受信が終了してからUN.Pが到着するまでの間であれば、任意のタイミングでよい。
【0068】
次に、UN.P受信時の動作説明を行う。第1記憶部12の出力(104)及び第2記憶部13の出力(105)は、演算部14に入力する。演算部14では、第1記憶部12からの入力値(104)から第2記憶部13からの入力値(105)を減算し、減算した値(102)を切り替え部10Aに対して出力する。切り替え部10Aは、UN.P受信時には演算部14からの入力(102)を自己の出力(103A)とし、AGC制御部4Aに入力する。AGC制御部4Aでは、UN.P受信時には切り替え部10Aからの入力値(103A)を可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号(101A)として出力する。
【0069】
利得制御信号(101A)は、D/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に入力する。可変利得増幅器6では、アナログ信号に変換された利得制御信号に基づいて利得設定が行われる。利得設定が行われた後、可変利得増幅器6において増幅された受信信号は、A/D変換器7においてディジタル信号に変換され、電力検出部8に対して出力される。電力検出部8では、一定区間において入力されたディジタル信号の2乗値の平均値を算出し、この平均値を出力する。
【0070】
AGC制御部4Aに上記平均値が入力され、可変利得増幅器6の利得微調整モードとして、上記平均値に基づいて可変利得増幅器6の出力が所望出力レベルとなるであろうと推定される可変利得増幅器6の第2推定利得値を再算出し、可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号(101A)を出力する。利得微調整モードの利得制御信号(101A)は、D/A変換器5においてアナログ信号に変換され、可変利得増幅器6に対して出力される。可変利得増幅器6は、アナログ信号に変換された利得制御信号に基づいて利得再設定を行う。また、利得微調整モードの自動利得制御を複数ステップで行う場合には、可変利得増幅器6において利得微調整モードの自動利得制御の利得設定が行われた後に、可変利得増幅器6において増幅された受信信号に対して再度利得微調整モードの自動利得制御を行い、可変利得増幅器6の利得再設定を行う。
【0071】
ラストステップの利得微調整モードの利得設定が行われた後、可変利得増幅器6において増幅された受信信号は、A/D変換器7においてディジタル信号に変換され、復調部9に対して出力される。復調部9では、入力された信号の復調を行う。ここで、UN.P受信終了と同時に、システム制御部11は第2タイミング発生部17に対して制御信号(113)を出力し、制御信号(113)が入力された第2タイミング発生部17は切り替え部10Aに動作制御信号を出力し、動作制御信号が入力された切り替え部10Aは受信信号レベル検出部(RSSI回路)2からの入力(106)を自己の出力(103A)に切り替える。
【0072】
以後のステップは、第1の実施の形態による自動利得制御装置におけるステップ9(図2)と同様のステップを行うことになる。本発明の第1の実施の形態による自動利得制御装置では、可変利得増幅器6に対して信号を出力するのは切り替え部10であるのに対して、本実施の形態による自動利得制御装置では、可変利得増幅器6に対して信号を出力するのは、AGC制御部4Aである点に特徴がある。
【0073】
すなわち、第1の実施の形態による自動利得制御装置と第2の実施の形態による自動利得制御装置とは、動作が異なる。本発明の第2の実施の形態による自動利得制御回路は、UN.P受信時において、予め推定した初期値を可変利得増幅器の利得値に設定し、利得値が設定された可変利得増幅器により増幅された信号に対して電力検出部で平均値を求め、前記平均値からAGC制御部は可変利得増幅器の利得を微調整する。つまり、自動利得制御のファーストステップでは演算部の出力から可変利得増幅器の利得値を設定し、後の自動利得制御のステップでは電力検出部の出力から可変利得増幅器の利得値を設定する。従って、第1の実施の形態では、切り替え部は自動利得制御のファーストステップでは演算部からの入力を自己の出力とし、後の自動利得制御のステップではAGC制御部からの入力を自己の出力とするように即座に切り替えることにより利点を得ることができる。この点は、従来方式の制御とタイミング的に異なる。
【0074】
第1の実施の形態では、切り替え部はAGC制御部からの入力と演算部からの入力を切り替えるが、第2の実施の形態では、切り替え部はRSSIからの入力と演算部からの入力を切り替える。これにより、切り替え部は第1の実施の形態のように即座に入出力を切り替える必要性が少なくなり、タイミング制約が緩和される。その後の動作は、第2の実施の形態も第1の実施の形態と同様に動作させれば良い(ステップ9と同様のステップを行えば良い)。
【0075】
次に、本発明の第3の実施の形態による自動利得制御装置について図面を参照して説明する。本実施の形態による自動利得制御装置は、第1又は第2の実施の形態による自動利得制御装置におけるIFサンプリングを行う回路(1000)の代わりに、ベースバンドサンプリングを行う回路を用いる。図8は、本実施の形態による自動利得制御装置であってベースバンドサンプリングを行う回路を含む装置の構成例を示す図である。尚、図8において、図9と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
受信信号1は、可変利得増幅器6において増幅された後、直交検波器18に入力され、この直交検波器18において、受信IF信号の同相成分および直交成分に分離され、高調波除去用のLPF19とLPF20とをそれぞれ通過した後に、それぞれがI信号とQ信号とになる。これらのI信号とQ信号とは、A/D変換器21と、A/D変換器22とにおいて、それぞれ、ディジタルI信号とディジタルQ信号とになり、電力検出部8に入力する。電力検出部8においては、入力されたディジタルI信号とディジタルQ信号とに関して、一定区間の2乗和値の平均値を算出し、この平均値をAGC制御部4に対して出力する。
【0077】
上記平均値に基づき、AGC制御部4において算出された可変利得増幅器6の利得を制御する利得制御信号は、第1の実施の形態又は第2の実施の形態による利得微調整モードの自動利得制御と同様の制御により、D/A変換器5においてアナログ信号に変換された後に可変利得増幅器6に入力され、可変利得増幅器6において、入力された上記アナログ信号に基づき利得設定が行われる。
【0078】
本実施の形態による自動利得制御装置は、ベースバンドサンプリングを行う回路を用いることにより、IFサンプリングを行う回路に代えてベースバンドサンプリングを行う回路を用いることができ、回路設計の自由度が増すという利点がある。
【0079】
次に、本発明の第1の実施の形態による自動利得制御装置を無線通信機器に適用した実施例について図面を参照して説明する。図6は本発明の第1の実施の形態の自動利得制御装置を用いた無線通信機器の構成例を示す図である。本実施例に係る無線通信機器は、自動車電話や携帯電話等の移動端末機に適用可能である。図7に示す無線通信機器である移動端末機30は、送信部31と、受信部32と、各部を制御する送受制御部33と、共用器34と、アンテナ35と、ベースバンド部36と、送話器37と、受話器38と、液晶パネル等により構成される表示器39と、各種のファンクションキー等を含むダイヤルキー40とを有している。本実施例による移動端末機30に含まれる受信部32(自動利得制御装置)は、本発明の第1の実施の形態による自動利得制御装置を利用している。受信部32は、フェージングにより急激な受信信号レベルの変動に対して、高精度の受信信号レベル推定または自動利得制御の可変利得増幅器の利得残留誤差の低減を可能とする。
【0080】
従って、移動端末機30が高速移動する場合に生じる高速フェージングに対して、A/D変換器における希望入力レベルと実入力レベルとの誤差を低減することによってディジタル出力信号の信頼性を向上することができる。また、受信部32の自動利得制御装置は、第1の実施の形態のみでなく、第2又は第3の実施の形態による自動利得制御装置を適用することもできる。
【0081】
尚、上述の移動端末器(無線通信機器)は、自動車電話や携帯電話等の移動端末機に適用した例であるが、受信信号レベルを適正なレベルに制御する装置に用いるのに適しており、例えば無線LANの固定端末機又は低速移動端末機等にも適用可能である。
また、上述の各実施の形態では、自動利得制御装置又は無線通信機器などの名称を用いているが、これは説明の便宜上であり、例えば復調回路、AGC方式、移動端末等でもよく、また、通信装置等の一部に組み込まれたものであってもよい。
【0082】
さらに、上述の各実施の形態による構成例において、粗調整モードの自動利得制御に関しては、受信電界強度信号の一定区間内における平均値または最大値を用いてもよい。また、微調整モードの自動利得制御に関してディジタル出力信号の2乗和または2乗の平均値ではなく2乗和または2乗の積分値または最大値を用いてもよい。さらに、微調整モードの自動利得制御に関してディジタル出力信号の2乗和または2乗値の平均値ではなく積分値、最大値または符号なしのA/D出力の場合には最小値を用いてもよい。
以上、実施の形態に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。その他、種々の変更、改良、組み合わせが可能なことは当業者に自明であろう。
【0083】
【発明の効果】
本発明による自動利得制御装置によれば、RSSI信号の安定化と検出とに要する時間を短縮することが可能となり、無線バースト内のプリアンブル長を長くすることなく受信信号レベルの推定精度向上させ、可変利得増幅器の出力レベルの希望出力レベルとの誤差を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による自動利得制御装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の自動利得制御装置の動作の流れを示すフローチャート図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による自動利得制御装置を用いるための前提となるフレーム構成と、自動利得制御装置における信号波形のタイムチャートを示す図である。
【図4】A/D変換器の入力レベルと出力レベルとの関係を示す図である。
【図5】可変利得増幅器の利得と、可変利得増幅器の平均出力レベル、すなわちA/Dへの平均入力レベルとの関係を示す図である。
【図6】本発明の第1から3までの実施の形態による自動利得制御装置を用いた無線通信機器の構成を示す機能ブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の形態による自動利得制御装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態による自動利得制御装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図9】一般的な自動利得制御装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】1:受信信号(受信IF信号)、2:受信信号レベル検出部(RSSI回路)、3、7、21、22:A/D変換器、4:AGC制御部、5:D/A変換器、6:可変利得増幅器、8:電力検出部、9:復調部、10:切り替え部、11:システム制御部、12:第1記憶部、13:第2記憶部、14:演算部、15:第1タイミング発生部、16:データ選択部、17:第2タイミング発生部、18:直交検波器、19、20:LPF、30:移動端末機(無線通信機器)、31:送信部、32:受信部、33:送受制御部、34:共用器、35:アンテナ、36:ベースバンド部、37:送話器、38:受話器、39:表示器、40:ダイヤルキー、101:AGC制御部出力(利得制御信号)、102:演算部出力、103:切り替え部出力(自己の制御信号)、104:第1記憶部出力(AGC制御部出力の記憶値)、105:第2記憶部出力(抑圧値)、111:制御信号(第1タイミング発生部制御信号)、112:制御信号(データ選択部制御信号)、113:制御信号(第2タイミング発生部制御信号)、200:パケット(無線バースト)、201:プリアンブル、202:データ、301:利得粗調整モードによる自動利得制御区間、302:利得微調整モードによる自動利得制御区間、311:RSSI信号応答区間、312:RSSI安定化区間、1000:IFサンプリング回路、1111:A/D変換器入力レベル許容範囲。
Claims (9)
- 基地局と端末局との間で通信を行う通信システムに用いられる信号であって、前記基地局から前記端末局に送信されプリアンブル部とそれに続くデータ部とを有するブロードキャスト信号と該ブロードキャスト信号に続く前記端末局のそれぞれに対して個別に送信される個別信号とをフレーム構成に含む信号、を受信する可変利得増幅器と、該可変利得増幅器の出力信号を検出して該可変利得増幅器の利得を制御するAGC制御部と、を備えたフィードバック利得制御回路であって、
前記データ部において用いた前記可変利得増幅器の利得に基づいて求めた所定の利得抑圧値を、前記個別信号を受信した際の前記可変利得増幅器の利得初期値として用いることを特徴とするフィードバック利得制御回路。 - 可変利得増幅器の出力信号を検出して前記可変利得増幅器の利得を制御するAGC制御部を備えたフィードバック利得制御回路であって、
前記AGC制御部の出力である利得制御信号の値を第1の所定のタイミングで記憶する第1の記憶部と、
前記可変利得増幅器の所定の利得抑圧値を記憶する第2の記憶部と、
前記第1の記憶部の第1出力と第2の記憶部の第2出力とに接続され前記第1及び第2出力の値に対して所定の演算を行う演算部と、
第2の所定のタイミングにおいて前記AGC制御部の出力を前記演算部の出力に切り替える切り替え部と
を備えることを特徴とするフィードバック利得制御回路。 - 前記フィードバック利得制御回路の制御対象となる信号は、基地局から端末局に送信されるブロードキャスト信号と各端末局へ送信される個別信号とをフレーム構成として含む信号であり、
前記第1の所定のタイミングは、前記ブロードキャスト信号のプリアンブル期間中において前記AGC制御部の出力が安定した時点から前記それぞれの端末局のいずれかにおいて前記個別信号が受信される時点までの間の期間中から選択されることを特徴とする
請求項2記載のフィードバック利得制御回路。 - 前記フィードバック利得制御回路の制御対象となる信号は、基地局から端末局に送信されるブロードキャスト信号と各端末局へ送信される個別信号とをフレーム構成として含む信号であり、
前記第2の所定のタイミングは、少なくとも端末局の個別信号のプリアンブル期間の初期期間を含むことを特徴とする
請求項2記載のフィードバック利得制御回路。 - 前記所定の利得抑圧値は、前記フィードバック利得制御回路の後段のA/D変換器への所望の入力レベルを基準とし、前記A/D変換器からの出力信号を復調する復調器における復調誤りが許容できる範囲内に入るように変動値を考慮した入力レベルの範囲内とすることを特徴とする
請求項1又は2に記載のフィードバック利得制御回路。 - 前記所定の演算は、前記第1の記憶部からの出力値から前記第2の記憶部からの出力値を減算する演算であることを特徴とする請求項2に記載のフィードバック利得制御回路。
- 送信部と、
受信信号レベルの変化を補償する自動利得制御装置であって請求項1から6までのいずれか1項に記載の自動利得制御装置を含む受信部と
を有する無線通信機器。 - 基地局と端末局との間で通信を行う通信システムに含まれる無線通信機器であって、
前記基地局から前記端末局に送信されプリアンブル部とそれに続くデータ部とを有するブロードキャスト信号と、該ブロードキャスト信号に続く前記端末局のそれぞれに対して個別に送信される個別信号とをフレーム構成に含む信号を受信する可変利得増幅器の出力信号を検出して前記可変利得増幅器の利得を制御するAGC制御部を備えたフィードバック利得制御回路であって、前記データ部において用いた前記可変利得増幅器の利得に対して所定の利得抑圧値を、前記個別信号を受信した際の前記可変利得増幅器の利得初期値として用いることを特徴とするフィードバック利得制御回路を
有する無線通信機器。 - 複数の端末を含み、プリアンブル部とそれに続くデータ部とを有し、前記複数の端末にブロードキャストされるブルードキャスト信号と、該ブロードキャスト信号に続き個別の端末に対して送信される個別信号とをフレーム構成に含む信号を受信する可変利得増幅器の出力信号を検出して前記可変利得増幅器の利得を制御するAGC制御部を備えたフィードバック利得制御回路であって、
前記データ部において用いられた前記可変利得増幅器の利得に基づいて求められた所定の利得抑圧値を、前記個別信号を受信した際の前記可変利得増幅器の利得初期値として用いることを特徴とするフィードバック利得制御回路。
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