JP2004063246A - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2つの基板10、20を所定間隔を隔てて対向配置し、基板10、20間に隔壁30を設けることによって基板10、20間の空間を複数に区画し、隔壁30と隔壁30との間に形成された凹部(放電セル31)に、インクジェット装置101を用いて蛍光体を塗布して蛍光体層35を形成することによって、プラズマディスプレイパネル1を製造する。ここで、前記蛍光体の平均粒径が0.001μm以上1.0μm未満とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報表示端末や平面形テレビなどに用いられるプラズマディスプレイパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと言う)は、電極を備えた2枚のガラス基板(前面板と背面板)と、基板間に設けられた隔壁によって形成される多数の微小放電空間(以下、セルと言う)とを有している。各セルを囲む隔壁の側面と底面(背面板)とには、赤(R)、緑(G)、青(B)等に発光する蛍光体層が設けられている。セルは、隔壁により所定形状に形成され、基板上に規則正しく配置されて、Xe、Ne等を主成分とする放電ガスが封入されている。このセルは、放電の拡がりを一定領域に抑えるものであり、電極間に電圧を印加して放電させると、放電ガスに起因する紫外線が発生し、これにより蛍光体が励起されて可視光を発光する。セルあるいはセルの一部を選択的に放電させることにより所望の情報をフルカラーで表示することができる。
【0003】
従来、このようなセルの構造としては、隔壁を平面視においてストライプ状に形成したストライプ型のものが主流であったが、近年では例えば、特開2001−283734号公報に記載されているように、基板上に隔壁を平面視において格子状に形成した格子型のものが提案されている。上述したストライプ型では、セルの両側にある隔壁側面と底面との合計3面にしか蛍光体層を設けることができなかったが、このように格子型とすることによって、セルを囲む4つの隔壁側面と底面との合計5面に蛍光体層を設けることができる。したがって、セルの内側に面する蛍光体層面積が増え、発光に関与する蛍光体量が増え、これによりPDPの輝度が向上するようになっている。また、ハニカム構造を持つような複雑な形状のリブで囲まれる基板も用いられるようになっている。
現在、蛍光体層を構成する蛍光体粒子の粒径は1μmよりも大きなものが主として使用され、平均粒径は1.3μm〜7μm程度となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した格子型やハニカム構造を持つ基板に対して、蛍光体を塗布するには、スクリーン板を、背面板に設けられた隔壁間の上面に配置した後に、スクリーン板を介してセル内に蛍光体ペーストを充填し、乾燥させてから焼成する、いわゆるスクリーン印刷法によって形成されている。
しかしながら、スクリーン印刷法は、複雑な形状のセルに対応した、格子型やハニカム構造用の微細な構造を有するスクリーン印刷板を使用しなければならず、その作製が困難であった。また、スクリーン板は伸びたり縮んだりするために、背面板との位置合わせが難しく、蛍光体ペーストの充填を正確に行えないという問題点があった。
【0005】
そこで、蛍光体ペーストの充填を正確に行うために、例えば、特開2002−50288号公報に記載されているように、インクジェットノズルを用いて蛍光体ペーストを押し出してセル内に充填するという方法が知られている。
しかしながら、上記インクジェットノズルにより塗布する場合、比較的粘度の低い蛍光体ペーストを用いるので、特に従来のように、比表面積の小さい、大きな径の蛍光体は沈降しやすく、セル内に精度良く蛍光体を塗布することが難しかった。また、インクジェットノズルの径が小さいため、ノズルの目詰まりや吐出不良を生じることもあり、インクジェットノズルによる出射安定性が問題とされていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、インクジェット塗布の際に、隔壁間(放電セル)に蛍光体が沈降することなく、均一に精度良く蛍光体を塗布でき、また、ノズルの目詰まりや吐出不良も生じることなく、出射安定性に優れたプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、2つの基板を所定間隔を隔てて対向配置し、基板間に隔壁を設けることによって基板間の空間を複数に区画し、隔壁と隔壁との間に形成された凹部に、インクジェット装置を用いて蛍光体を塗布して蛍光体層を形成することによって、プラズマディスプレイパネルを製造するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記蛍光体の平均粒径が0.001μm以上1.0μm未満であることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、2つの基板を所定間隔を隔てて対向配置し、基板間に隔壁を設けることによって基板間の空間を複数に区画し、隔壁と隔壁との間に形成された凹部に、インクジェット装置を用いて蛍光体を塗布して蛍光体層を形成することによって、プラズマディスプレイパネルを製造するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記蛍光体の平均粒径が0.001μm以上2.0μm未満で、かつ、蛍光体粒子の粒子分布の変動係数が100%以下であることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、2つの基板を所定間隔を隔てて対向配置し、基板間に隔壁を設けることによって基板間の空間を複数に区画し、隔壁と隔壁との間に形成された凹部に、インクジェット装置を用いて蛍光体を塗布して蛍光体層を形成することによって、プラズマディスプレイパネルを製造するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記蛍光体の形状係数が1.0〜2.0であることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、2つの基板を所定間隔を隔てて対向配置し、基板間に隔壁を設けることによって基板間の空間を複数に区画し、隔壁と隔壁との間に形成された凹部に、インクジェット装置を用いて蛍光体を塗布して蛍光体層を形成することによって、プラズマディスプレイパネルを製造するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記蛍光体のBET比表面積が1.5m2/g〜500m2/gであることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記蛍光体は、蛍光体原料を液相中で反応させる液相合成法により製造されたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法について図1〜図6に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るプラズマディスプレイパネルの斜視図、図2は、プラズマディスプレイパネルに設けられた電極の配置を示した概略平面図である。
PDPには、電極の構造及び動作モードから、直流電圧を印加するDC型と、交流電圧を印加するAC型とに大別できる。図1には、AC型のPDP1を示したが、本発明にかかるPDPはこれに限定されるものではない。
【0013】
まず、図1に示すように、前面板10上に複数の放電電極11(透明放電電極11a、バス放電電極11b)を形成し、その上を誘電体層12で覆い、さらに誘電体層12の表面に保護層13を形成する。
【0014】
一方、背面板20上に複数のアドレス電極21を形成し、その上を誘電体層22で覆い、さらに誘電体層22上に隔壁30を形成する。
【0015】
前面板10に設けられる放電電極11は帯状に形成し、所定間隔をあけて互いに平行に、かつ、規則的に配置する。これらの放電電極11は、図2に示すように、前面板10の端10aから端10bまで連続して横切るように設ける。各放電電極11はそれぞれパネル駆動回路15に接続し、所望の放電電極11に電圧を印加することが可能となっている。
【0016】
背面板20に設けられるアドレス電極21も帯状に形成し、所定間隔毎に設ける。そして、このアドレス電極21の両側に位置するように前記隔壁30を設ける。図2に示すように、アドレス電極21は背面板20の中央部24で分割し、それぞれをパネル駆動回路25a、25bに接続する。このパネル駆動回路25により、所望の電極21に電圧を印加することが可能となっている。
なお、前面板10及び背面板20は、例えば、ソーダライムガラス等から形成することが好ましい。
【0017】
放電電極11とアドレス電極21とは、図2に示すように、平面視において互いに直交しマトリックス状となるように形成する。この放電電極11とアドレス電極21が交差する点で選択的に放電させることにより所望の情報が表示可能となっている。
これらの電極11、21は、銀、金、銅、クロム、ニッケル、白金等の金属から形成することができる。尚、放電電極11については、前面板10に設けるものであり、蛍光体からの発光を透過する必要があることから、ITO、SnO2、ZnO等の導電性金属酸化物からなる幅広の透明電極(透明放電電極11a)の上に幅細の銀又はCr−Cu−Cr電極(バス放電電極11b)を積層させた組み合わせ電極を用いることが好ましい。また、放電電極11をこのような構成とすることは、放電セル31内の放電面積を広く確保する上でも好ましい。
【0018】
前面板10に設けられる誘電体層12は、図1に示すように、前面板10の放電電極11が配された表面全体を覆うように設ける。この誘電体層12は誘電物質からなり、一般に、鉛系低融点ガラスから形成することが多い。この他に、ビスマス系低融点ガラス、あるいは鉛系低融点ガラスとビスマス系低融点ガラスの積層物等で誘電体層12を形成しても良い。
【0019】
この誘電体層12の表面を保護層13により全体的に覆うようにして設ける。保護層13は、酸化マグネシウム(MgO)からなる薄層が好ましい。
【0020】
背面板20に設けられる誘電体層22は、背面板20のアドレス電極21が配された表面全体を覆うように設ける。この誘電体層22についても、上記と同様に、鉛系低融点ガラスや、ビスマス系低融点ガラス、あるいは鉛系低融点ガラスとビスマス系低融点ガラスの積層物等から構成することができる。さらに、これらの誘電物質にTiO2粒子を混合し、可視光反射層としての働きも兼ねるようにすると好ましい。可視光反射層としても機能させると、蛍光体層35からの背面板20側に発光しても、これを前面板10側に反射して、前面板10を透過する光を増やし、輝度を向上させることができる。
【0021】
上記誘電体層22の上面に、隔壁30を背面板20側から前面板10側に突出するように設ける。隔壁30は、ガラス材料等の誘電物質から形成する。
次に、このように作製した前面板10と背面板20とを封着用シールガラスを用いて張り合わせる。これにより隔壁30によって、基板10、20間の空間に所定形状に複数区画された上記放電セル31が形成される。
【0022】
放電セル31は、上記のように隔壁30と基板10、20とによって囲まれた放電空間である。
そして、この放電セル31の内側に面する隔壁30の側面30aと放電セル31の底面31aに、後述するインクジェット装置101(図6参照)を用いて蛍光体を塗布することによって、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかに発光する蛍光体層35をR、G、Bの順に規則正しく設ける。
次いで、放電セル31内を高真空(例えば、8×10−7Torr)に排気した後、希ガスを主体とする放電ガスを所定の圧力(例えば、500〜800Torr)で封入することによって、PDP1を製造する。
【0023】
放電ガスとしては、特にNeを主放電ガスとし、これに放電により紫外線を発生するXeを混合した混合ガスを用いると好ましい。特に、混合ガスにおけるXeの含有量を5体積%以上とすることが好ましい。
【0024】
なお、図1に示した放電セル31は、いわゆるストライプ型のものであり、隔壁30が前記したアドレス電極21の両側に設けられ、この隔壁30により平行な溝状に形成されたものである。放電電極11はセルを横切り、平面視においてアドレス電極21と放電電極11の交点が一つのセル内に多数構成され、セル内の一つ一つの交点が最小の発光単位となる。近接するR、G、Bの3つの発光単位で1画素となる。
【0025】
本発明に係るPDPのセル構造はこれに限定されるものではなく、例えば図3に示すように、縦隔壁40aと横隔壁40bとを格子状に設けて略矩形状の放電セル41を形成した格子型のものでもよい。この場合、一つの放電セル41の内側に、放電電極11とアドレス電極21の交点が少なくとも一つ設けられる。
【0026】
また、セル構造は、図4に示すように縦隔壁50aと横隔壁50bとを格子状に設けて、横隔壁50bの中程に抜け部を形成することによって放電セル51を形成した格子型のものでもよい。このように横隔壁50bの一部に抜け部を形成することによって、パネル化時に抜け部を通して排気を行うことができる。
図3及び図4に示す放電セル41、51のセルピッチは、0.15mm×0.48mm、隔壁の高さは120μmで、セル体積は8.6nlである。
【0027】
さらに、セル構造は、図5に示すように隔壁60をハニカム状に設けたハニカム型のものであってもよい。ハニカム型のセル構造の場合には、略6角形状に隔壁60で区切られた繰り返し構造を一つの放電セル61とし、格子型と同様に一つの放電セル61の内側に、放電電極11とアドレス電極21の交点が少なくとも一つ設けられる。
図5に示す放電セル61のセルピッチは、6角形の1辺が0.166mmで、隔壁の高さは120μmで、セル体積は8.6nlである。
なお、上記で格子状、ハニカム状というのは、それぞれ背面板の基板面を水平に配置したときの平面視における形状を指す。
【0028】
次に、上述した放電セル31内に、インクジェット装置101(図6参照)を用いて、予め蛍光体から調整された蛍光体ペーストを塗布することによって蛍光体層35を形成する方法について詳細に説明する。
【0029】
まず、蛍光体層について説明する。
本発明に係る蛍光体層を構成する蛍光体の平均粒径は、0.001μm以上1.0μm未満で、更に好ましくは0.001μm以上0.5μm未満である。
ここで、蛍光体の平均粒径は、電子顕微鏡(例えば、日立製作所(株)製、S−900等)を用いて、蛍光体層中の蛍光体粒子300個の平均粒径を測定した平均値を言う。また、ここで言う粒径とは、蛍光体粒子が立方体あるいは八面体の所謂正常晶の場合には、蛍光体粒子の稜の長さを言う。正常晶でない場合、例えば蛍光体粒子が球状、棒状あるいは平板状粒子の場合には、蛍光体粒子の体積と同等な球を考えた時の直径を言う。
【0030】
蛍光体の平均粒径が0.001μm以上1.0μm未満と極めて微粒子であるので、インクジェット装置によって塗布する際に、放電セル内で蛍光体ペースト中の蛍光体が沈降するのを抑止することができ、精度良く蛍光体を塗布することができる。また、ノズルの目詰まりや吐出不良という問題もなく、インクジェット装置によって安定して出射することが可能となる。
また、従来のように平均粒径が上述した範囲よりも大きな微粒子(例えば、1.3μm〜7μm)の蛍光体から蛍光体層を構成する場合と比較すると、同じ厚さの蛍光体層であっても層内に蛍光体を効率よく充填できる。したがって、発光に関与する蛍光体の量が増加し、PDPの輝度を確実に向上することができる。
【0031】
また、特に、蛍光体の平均粒径が0.001μm以上2.0μm未満である場合には、粒径分布の変動係数を100%以下とすることが好ましい。変動係数は70%以下であることが更に好ましく、50%以下であることが最も好ましい。ここで、粒径分布の変動係数(粒径分布の広さ)とは、下記式(1)によって定義される値である。粒径分布の狭い蛍光体を用いることによって、蛍光体層をより均質に形成することができる。
【数1】
粒径分布の広さ(変動係数)(%)
=(粒子サイズ分布の標準偏差/粒子サイズの平均値)×100 (1)
蛍光体の変動係数を上記範囲とすることによって、粒径分布が狭くなり、蛍光体層の内部に蛍光体粒子を効率よく充填することができ、層の厚さ方向に不定形状の空隙が生じたり、層の表面に凹凸が生じることがない。よって、蛍光体層を均一とすることができ、発光ムラなく、情報等を美しく表示することができる。
【0032】
本発明に係る蛍光体の形状係数は、1.0〜2.0であることが好ましく、1.0〜1.5が更に好ましく、1.0〜1.2が最も好ましい。
ここで、形状係数とは、下記式(2)によって定義される値である。
【数2】
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積 (2)
式中、最大径とは、蛍光体粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだ時、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅を言う。また、投影面積とは、蛍光体粒子の平面上への投影像の面積を言う。
形状係数は、蛍光体粒子を走査型電子顕微鏡により2000倍に拡大して写真を撮影し、この写真中の100個のトナー粒子を「SCANNING IMAGE ANALYSER」(日本電子社製)で画像解析し求めたものである。
蛍光体の形状係数を上記範囲とすることによって、ノズルの目詰まりや吐出不良という問題もなく、インクジェット装置によって安定して出射することが可能となる。また、インクジェット装置によって塗布する際に、放電セル内で蛍光体ペースト中の蛍光体が沈降するのを抑止することができ、精度良く蛍光体を塗布することができる。
【0033】
本発明に係る蛍光体のBET比表面積は1.5m2/g〜500m2/gであることが好ましく、2m2/g〜500m2/gであることがさらに好ましく、100m2/g〜500m2/gであることが最も好ましい。
BET比表面積の測定は、特に制限はないが、JIS R1626に記載の方法により測定した。
蛍光体のBET比表面積を上記範囲とすることによって、紫外線が蛍光体粒子の表面から吸収される量を多くすることができ、パネルの輝度の向上を実現することができる。なお、比表面積が500m2/gより大きくなると、粒子径が小さくなり過ぎ、蛍光体粒子が凝集することによって、かえって蛍光体輝度が低下することになる。また、インクジェット装置において吹出孔の詰まりなどが生じやすい。一方、比表面積が1.5m2/gより小さくなると、目標の厚みの蛍光体層を均一で滑らかに形成しにくくなる。
【0034】
本発明に係る蛍光体の見かけ比重は特に制限はないが、見かけ比重が1g/cc〜3g/ccであることが好ましく、1〜2g/ccであることが更に好ましい。
見かけ比重の測定方法は、A.B.D粉体特性測定器A.B.D−72(筒井理化学機器)を用いて疎充填のカサ密度を測定した。
【0035】
本発明に係る蛍光体はその組成に特に制限は無く、例えば特開昭50−6410号、同61−65226号、同64−22987号、同64−60671号、特開平1−168911号等に記載されている公知の種々の組成を適用することが可能である。具体的には、Y2O3、Zn2SiO4等に代表される金属酸化物、Ca5(PO4)3Cl等に代表されるリン酸塩、ZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物、Si、SiO2等を含むケイ素化合物等を蛍光体結晶母体とし、これら母体にCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属イオンやAg、Al、Mn、Sb、Zn等の金属イオン又は金属元素を賦活剤または共賦活剤として組み合わせたものが好ましい。
【0036】
結晶母体の好ましい例を以下に列挙する。
ZnS、SrS、GaS、(Zn,Cd)S、SrGa2S4、YO3、Y2O2S、Y2O3、Y2SiO3、SnO2、Y3Al5O12、Zn2SiO4、Sr4Al14O25、CeMgAl10O19、BaAl12O19、BaMgAl10O17、BaMgAl14O23、Ba2Mg2Al12O22、Ba2Mg4Al8O18、Ba3Mg5Al18O35、(Ba,Sr,Mg)O・aAl2O3、(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al10O17、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al10O17、Sr2P2O7、(La,Ce)PO4、Ca10(PO4)6(F,Cl)2、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2、GdMgB5O10、(Y,Gd)BO3等が挙げられる。
【0037】
結晶母体元素及び賦活剤または共賦活剤元素を含む化合物は、特に元素の組成に制限はなく、同族の元素と一部置き換えたものでもよく、紫外領域の励起光を吸収して可視光を発するものであればどのような組み合わせでもよい。特に、無機酸化物蛍光体、または無機ハロゲン化物蛍光体を使用することが好ましい。
以下に本発明に使用される蛍光体の具体的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0038】
[青色発光蛍光体化合物]
BL1 :Sr2P2O7:Sn4+
BL2 :Sr4Al14O25:Eu2+
BL3 :BaMgAl10O17:Eu2+
BL4 :SrGa2S4:Ce3+
BL5 :CaGa2S4:Ce3+
BL6 :(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al10O17:Eu2+
BL7 :(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu2+
BL8 :ZnS:Ag
BL9 :CaWO4
BL10:Y2SiO5:Ce
BL11:ZnS:Ag,Ga,Cl
BL12:Ca2B5O9Cl:Eu2+
BL13:BaMgAl14O23:Eu2+
BL14:BaMgAl10O17:Eu2+,Tb3+,Sm2+
BL15:BaMgAl14O23:Sm2+
BL16:Ba2Mg2Al12O22:Eu2+
BL17:Ba2Mg4Al8O18:Eu2+
BL18:Ba3Mg5Al18O35:Eu2+
BL19:(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al10O17:Eu2+
【0039】
[緑色発光蛍光体化合物]
GL1 :(Ba,Mg)Al16O27:Eu2+,Mn2+
GL2 :Sr4Al14O25:Eu2+
GL3 :(Sr,Ba)Al2Si2O8:Eu2+
GL4 :(Ba,Mg)2SiO4:Eu2+
GL5 :Y2SiO5:Ce3+,Tb3+
GL6 :Sr2P2O7−Sr2B2O5:Eu2+
GL7 :(Ba,Ca,Mg)5(PO4)3Cl:Eu2+
GL8 :Sr2Si3O8−2SrCl2:Eu2+
GL9 :Zr2SiO4,MgAl11O19:Ce3+,Tb3+
GL10:Ba2SiO4:Eu2+
GL11:ZnS:Cu,Al
GL12:(Zn,Cd)S:Cu,Al
GL13:ZnS:Cu,Au,Al
GL14:Zn2SiO4:Mn
GL15:ZnS:Ag,Cu
GL16:(Zn,Cd)S:Cu
GL17:ZnS:Cu
GL18:Gd2O2S:Tb
GL19:La2O2S:Tb
GL20:Y2SiO5:Ce,Tb
GL21:Zn2GeO4:Mn
GL22:CeMgAl11O19:Tb
GL23:SrGa2S4:Eu2+
GL24:ZnS:Cu,Co
GL25:MgO・nB2O3:Ce,Tb
GL26:LaOBr:Tb,Tm
GL27:La2O2S:Tb
GL28:SrGa2S4:Eu2+,Tb3+,Sm2+
【0040】
[赤色発光蛍光体化合物]
RL1 :Y2O2S:Eu3+
RL2 :(Ba,Mg)2SiO4:Eu3+
RL3 :Ca2Y8(SiO4)6O2:Eu3+
RL4 :LiY9(SiO4)6O2:Eu3+
RL5 :(Ba,Mg)Al16O27:Eu3+
RL6 :(Ba,Ca,Mg)5(PO4)3Cl:Eu3+
RL7 :YVO4:Eu3+
RL8 :YVO4:Eu3+,Bi3+
RL9 :CaS:Eu3+
RL10:Y2O3:Eu3+
RL11:3.5MgO,0.5MgF2GeO2:Mn
RL12:YAlO3:Eu3+
RL13:YBO3:Eu3+
RL14:(Y,Gd)BO3:Eu3+
【0041】
上記の蛍光体は、従来から公知の固相合成法、液相合成法等、種々の製法で製造されたものを適用することができるが、液相合成法によって製造されたものが好ましい。
本発明で言う液相合成法とは、蛍光体の原料となる元素を含む化合物を液相中で反応させる方法で、具体的には上記の蛍光体前駆体の母核を構成する元素を含む溶液と賦活剤元素を含む溶液を共に混合して蛍光体前駆体を合成する方法であり、反応晶析法、共沈法、ゾルゲル法など液相中での反応方法を称して表している。本発明ではこれらの方法を適宜選択して蛍光体を製造することが可能である。
【0042】
液相合成法では、蛍光体原料を液相中で反応させるので、反応は蛍光体を構成する元素イオン間で行われ、化学量論的に高純度な蛍光体が得やすい。一方、従来の固相合成法では、固相間反応であるために、反応しない余剰の不純物や反応によって生ずる副塩等が残留することが往々にして起こり、化学量論的に高純度な蛍光体を得にくい。したがって、液相合成法により化学量論的に高純度な蛍光体を得ることで、発光効率と収率を高めることができる。
【0043】
また、固相合成法では、反応時に固体同士を粉砕しながら機械的に攪拌するため、得られた蛍光体は多面体となる場合が多く、粒径分布も広くなりやすい。一方、液相合成法では、元素イオンを液体中で反応させるので、蛍光体の平均粒径や粒子形状、粒径分布、発光特性等をより精密に制御することができ、本発明の粒径0.001μm以上2.0μm未満の粒子を狭い粒径分布で得ることができる。
【0044】
液相合成法を利用して蛍光体を製造する工程は、蛍光体原料を混合して蛍光体前駆体を形成する蛍光体前駆体形成工程と、蛍光体前駆体を乾燥する乾燥工程とを有している。乾燥工程後、必要に応じて焼成工程を行う。本発明に係る蛍光体を製造する際には、基本的には乾燥した蛍光体前駆体を焼成することにより、蛍光体前駆体粒子の表面が金属で被覆された蛍光体粒子を得ている。しかし、蛍光体の組成や反応条件等によっては焼成を行わなくとも、乾燥工程において蛍光体前駆体から蛍光体が得られる場合がある。その場合には焼成工程を省いてもよい。焼成工程後、得られた焼成物を冷却する冷却工程や、蛍光体の表面処理を行う工程等を行ってもよい。
なお、蛍光体前駆体とは製造される蛍光体の中間体化合物であり、上記したように乾燥、焼成等の処理により蛍光体となる化合物である。
【0045】
まず、前駆体形成工程について説明する。前駆体形成工程では、上述したように、反応晶析法、共沈法、ゾルゲル法等どのような液相合成法を適用してもよい。特に、反応晶析法で合成された前駆体を用いて作製された微粒子蛍光体は、輝度・分布の点から好ましい。
例えば、PDPで一般的に使用されている赤色発光蛍光体((Y,Gd)BO3:Eu3+)、青色発光蛍光体(BaMgAl10O17:Eu2+)については、後述する保護コロイドの存在下で反応晶析法により蛍光体前駆体を形成すると特に好ましい。このように製造することにより、微粒子でより粒径分布が狭く、発光強度のより高い蛍光体を得ることができる。また、緑色発光蛍光体(Zn2Sio4:Mn2+)については、シリカ等のケイ素化合物を蛍光体前駆体の母核とし、共沈法により形成すると好ましい。このように製造することにより、微粒子でかつ発光強度に優れ、残光時間の短いものを得ることができる。以下、反応晶析法及び共沈法について説明する。
【0046】
反応晶析法とは、晶析現象を利用して、蛍光体の原料となる元素を含む溶液を混合することによって蛍光体前駆体を合成する方法をいう。晶析現象とは、冷却、蒸発、pH調節、濃縮等による物理的又は化学的な環境の変化、或は化学反応によって混合系の状態に変化を生じる場合等に液相中から固相が析出してくる現象を指す。
本発明における反応晶析法による蛍光体前駆体の製造方法は、上記の様な晶析現象発生の誘因となりえる物理的、化学的操作による製造方法を意味する。
【0047】
反応晶析法を適用する際の溶媒は反応原料が溶解すれば何を用いてもよいが、過飽和度制御のしやすさの観点から水が好ましい。複数の反応原料を用いる場合は、原料の添加順序は同時でも異なってもよく、活性によって適切な順序を適宜組み立てることができる。
【0048】
共沈法とは、共沈現象を利用して、蛍光体の原料となる元素を含む溶液を混合し、さらに沈殿剤を添加することによって、蛍光体前駆体の母核の周囲に賦活剤となる金属元素等が析出させた状態で、蛍光体前駆体を合成する方法を言う。共沈現象とは、溶液から沈殿を生じさせたとき、その状況では十分な溶解度があり、沈殿しないはずのイオンが沈殿に伴われる現象をいう。蛍光体の製造においては、蛍光体前駆体の母核の周囲に、賦活剤を構成する金属元素などが析出する現象を指す。
上記したように、ケイ酸塩蛍光体からなる緑色蛍光体を得る際には、この共沈法を利用すると好ましい。その場合には、蛍光体前駆体の母核としてシリカ等のケイ素化合物を用い、これに、Zn、Mn等の緑色蛍光体を構成し得る金属元素を含む溶液とを混合し、さらに沈殿剤を含む溶液を加えることにより、ケイ素化合物表面に金属、含む溶液を反応させると好ましい。
シリカとしては、気相法シリカ、湿式シリカ、コロイダルシリカ等を好ましく使用することができ、下記溶媒に実質的に不溶であることが好ましい。
【0049】
共沈法の際に適用する溶媒としては、水またはアルコール類またはそれらの混合物を用いることができる。シリカ等のケイ素化合物を用いる場合には、ケイ素化合物が分散可能な、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。これらのうち、比較的ケイ素化合物が分散しやすいエタノールが好ましい。
【0050】
沈殿剤としては、有機酸または水酸化アルカリが好ましい。
有機酸としては、−COOH基を有する有機酸が好ましく、例えば、シュウ酸、蟻酸、酢酸、酒石酸等が挙げられる。特に、シュウ酸を用いた場合、Zn、Mn等の陽イオンと反応しやすく、Zn、Mn等の陽イオンがシュウ酸塩として析出しやすいため、より好ましい。また、沈殿剤として、加水分解等によりシュウ酸を生ずるもの、例えばシュウ酸ジメチル等を使用してもよい。
水酸化アルカリとしては、−OH基を有するもの、あるいは水と反応して−OH基を生じたり、加水分解により−OH基を生じたりするものであればいかなるものでもよく、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、尿素等が挙げられるが、好ましくはアルカリ金属を含まないアンモニアがよい。
【0051】
上記の反応晶析法及び共沈法を含めて、液相合成法で前駆体を合成する場合には、蛍光体の種類により、反応温度、添加速度や添加位置、攪拌条件、pH等、諸物性値を調整すると好ましい。また、蛍光体前駆体の母核を溶液中に分散させるときや反応中に超音波を照射してもよい。平均粒径制御のために保護コロイドや界面活性剤などを添加することも好ましい。原料を添加し終ったら必要に応じて液を濃縮、及び/または熟成することも好ましい態様の1つである。
添加する保護コロイドの量や超音波照射時間、攪拌条件等を制御し、溶液中の蛍光体前駆体の母核の分散状態を好ましい状態とすることにより、蛍光体前駆体粒子の粒径や凝集状態を制御し、焼成後の蛍光体粒子の平均粒径を所望の大きさにすることができる。
【0052】
粒径制御に用いる保護コロイドとしては、天然、人工を問わず各種高分子化合物を使用することができるが、特にタンパク質が好ましい。その際、保護コロイドの平均分子量は10,000以上が好ましく、10,000以上300,000以下がより好ましく、10,000以上30,000以下が特に好ましい。
【0053】
タンパク質としては、例えば、ゼラチン、水溶性タンパク質、水溶性糖タンパク質が上げられる。具体的には、アルブミン、卵白アルブミン、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質、遺伝子工学的に合成されたタンパク質等がある。中でも、ゼラチンを特に好ましく使用できる。
ゼラチンとしては、例えば、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチンを挙げることができ、これらを併用してもよい。更に、これらのゼラチンの加水分解物、これらのゼラチンの酵素分解物を用いてもよい。
【0054】
また、前記保護コロイドは、単一の組成である必要はなく、各種バインダを混合してもよい。具体的には、例えば、上記ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマーを用いることができる。
【0055】
保護コロイドは、原料溶液の一つ以上に添加することができる。原料溶液の全てに添加してもよい。保護コロイドの存在下で、蛍光体前駆体を形成することにより、蛍光体前駆体同士が凝集するのを防ぎ、蛍光体前駆体を十分小さくすることができる。それにより、焼成後の蛍光体をより微粒子で、粒径分布が狭く、発光特性を良好にするなど、蛍光体の種々の特性を向上することができる。なお、保護コロイドの存在下で反応を行う場合には、蛍光体前駆体の粒径分布の制御や副塩等の不純物排除に十分配慮することが必要である。
【0056】
蛍光体前駆体形成工程にて蛍光体前駆体を合成した後、乾燥工程や焼成工程に先立って脱塩工程を経ることにより、蛍光体前駆体から副塩などの不純物を取り除くことが好ましい。
脱塩工程としては、各種膜分離法、凝集沈降法、電気透析法、イオン交換樹脂を用いた方法、ヌーデル水洗法などを適用することができる。
【0057】
脱塩工程を行うことにより、前駆体脱塩後の電気伝導度が0.01〜20mS/cmの範囲とすることが好ましく、更に好ましくは0.01〜10mS/cmであり、特に好ましくは0.01〜5mS/cmである。
0.01mS/cm未満の電気伝導度にすると生産性が低くなる。また、20mS/cmを超えると副塩や不純物が充分に除去できていない為に粒子の粗大化や粒子径分布が広くなり、発光強度が劣化する。
上記の電気伝導度の測定方法はどのような方法を用いることも可能であるが、市販の電気伝導度測定器を使用すればよい。
その後、濾過、蒸発乾固、遠心分離等の方法で前駆体を回収する。
【0058】
本発明においては、回収された前駆体について、乾燥工程を行う。蛍光体前駆体の乾燥方法は特に限定されるものではなく、真空乾燥、気流乾燥、流動層乾燥、噴霧乾燥等、あらゆる方法を用いることができる。
乾燥温度は限定されないが、使用した溶媒が気化する温度付近以上の温度であることが好ましく、具体的には50〜300℃の範囲であることが好ましい。乾燥温度が高い場合は乾燥と同時に焼成が施されることがあり、後述の焼成工程を行わなくとも蛍光体が得られる場合がある。
【0059】
焼成工程では、いかなる方法を用いてもよく、焼成温度や時間は適宜調整すればよい。例えば、蛍光体前駆体をアルミナボートに充填し、所定のガス雰囲気中で所定の温度で焼成することで所望の蛍光体を得ることができる。ガス雰囲気として、還元雰囲気下、酸化雰囲気下、又は硫化物存在下、不活性ガス等のどの条件下でも良く、適宜選択することができる。
好ましい焼成条件の例としては、大気中で600℃〜1800℃の間で適当な時間焼成することがある。また、800℃程度で焼成を行い有機物を酸化した後に、1100℃で90分大気中で焼成するという方法も有効である。
【0060】
焼成装置(焼成容器)は現在知られているあらゆる装置を使用することができる。例えば箱型炉、坩堝炉、円柱管型、ボート型、ロータリーキルン等が好ましく用いられる。雰囲気も前駆体組成に合わせて酸化性、還元性、不活性ガス等を用いることができる。
【0061】
また、焼成時には必要に応じて焼結防止剤を添加してもよい。焼結防止剤を添加する場合には、蛍光体前駆体形成時にスラリーとして添加することができる。粉状のものを乾燥済前駆体と混合して焼成してもよい。
焼結防止剤は特に限定されるものではなく、蛍光体の種類、焼成条件によって適宜選択される。例えば、蛍光体の焼成温度域によって800℃以下での焼成にはTiO2等の金属酸化物が使用され、1000℃以下での焼成にはSiO2が、1700℃以下での焼成にはAl2O3が、それぞれ好ましく使用される。
更に、焼成後、必要に応じて還元処理又は酸化処理等を施しても良い。
【0062】
焼成工程では、球状に形成された蛍光体前駆体粒子又は球状に凝集した蛍光体前駆体粒子が焼成により一部が溶融して結合し、その状態で表面が金属で被覆されると考えられる。これにより、得られる蛍光体は、球状又は球状粒子が複数結合した形状を呈し、表面又は内部に空孔が形成されるのではないかと考えられる。
【0063】
焼成工程後、冷却工程、表面処理工程、分散工程等の諸工程を施してもよく、分級してもよい。
【0064】
冷却工程では、焼成工程で得られた焼成物を冷却する処理を行う。このとき、該焼成物を前記焼成装置に充填したまま冷却することができる。
冷却処理は特に限定されないが、公知の冷却方法より適宜選択することができ、例えば、放置により温度を低下させる方法でも、冷却機を用いて温度制御しながら強制的に温度低下させる等の方法の何れであってもよい。
【0065】
本発明で製造される蛍光体は、種々の目的で吸着・被覆等の表面処理を施すことができる。どの時点で表面処理を施すかはその目的によって異なり、適宜適切に選択するとその効果がより顕著になる。例えば、後述するように蛍光体ペーストを調整する際に、蛍光体の分散性を良好にするために表面処理を行うと好ましい。
【0066】
上述したようにして得られた蛍光体をバインダ、溶剤、分散剤などの混合物に分散し、適度な粘度に調整された蛍光体ペーストとする。そして、蛍光体ペーストを、放電セルに塗布又は充填し、その後焼成することにより隔壁側面及び底面に蛍光体層を形成する。蛍光体ペースト中の蛍光体の含有量としては30質量%〜60質量%の範囲にするのが好ましい。
【0067】
ペースト中の蛍光体粒子の分散性を向上させるために、蛍光体粒子の表面に酸化物やフッ化物等を付着あるいはコーティングする等の表面処理を施すと好ましい。このような酸化物としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、アルミニウム酸化物(Al2O3)、酸化珪素(SiO2)、酸化インジウム(InO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y2O3)が挙げられる。この中で、SiO2は負に帯電する酸化物として知られ、一方、ZnO、Al2O3、Y2O3は正に帯電する酸化物として知られており、特にこれらの酸化物を付着あるいはコーティングさせることは有効である。
【0068】
以下、蛍光体と混合するバインダ、溶剤、分散剤等について説明する。
蛍光体粒子を良好に分散させるのに適したバインダとしては、エチルセルロースあるいはポリエチレンオキサイド(エチレンオキサイドのポリマー)が挙げら、特に、エトキシ基(−OC2H5)の含有率が49〜54%のエチルセルロースを用いるのが好ましい。また、バインダとして感光性樹脂を用いることも可能である。バインダの含有量としては0.15質量%〜10質量%の範囲内が好ましい。なお、隔壁間に塗布される蛍光体ペーストの形状を整えるため、バインダの含有量は、ペースト粘度が高くなり過ぎない範囲内で多めに設定するのが好ましい。
【0069】
溶剤としては、水酸基(OH基)を有する有機溶剤を混合したものを用いるのが好ましく、その有機溶剤の具体例としては、ターピネオール(C10H18O)、ブチルカルビトールアセテート、ペンタンジオール(2,2,4−トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート)、ジペンテン(Dipentene、別名Limonen)、ブチルカルビトール等が挙げられる。これらの有機溶剤を混合した混合溶剤は、上記のバインダを溶解させる溶解性に優れており、蛍光体ペーストの分散性が良好になり好ましい。
【0070】
蛍光体ペースト中の蛍光体粒子の分散安定性を向上させるために、分散剤として、界面活性剤を添加すると好ましい。蛍光体ペースト中の界面活性剤の含有量としては、分散安定性の向上効果あるいは後述する除電効果等を効果的に得る観点から、0.05質量%〜0.3質量%が好ましい。
【0071】
界面活性剤の具体例としては、(a)アニオン性界面活性剤、(b)カチオン性界面活性剤、(c)ノニオン性界面活性剤を用いることができ、それぞれ具体的には下記のようなものがある。
(a)アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸、エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸ポリカルボン酸高分子等が挙げられる。
(b)カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド等が挙げられる。
(c)ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
【0072】
更に、蛍光体ペーストに除電物質を添加すると好ましい。上記挙げた界面活性剤は、一般的に蛍光体ペーストの帯電を防止する除電作用も有しており、除電物質に該当するものが多い。但し、蛍光体、バインダ、溶剤の種類によって除電作用も異なるので、色々な種類の界面活性剤について試験を行って、結果の良好なものを選択するのが好ましい。
【0073】
除電物質としては、界面活性剤の他に、導電性の材料からなる微粒子も挙げることができる。導電性微粒子としては、カーボンブラックをはじめとするカーボン微粉末、グラファイトの微粉末、Al、Fe、Mg、Si、Cu、Sn、Agといった金属の微粉末、並びにこれらの金属酸化物からなる微粉末が挙げられる。このような導電性微粒子の添加量は、蛍光体ペーストに対して0.05〜1.0質量%の範囲とするのが好ましい。
【0074】
蛍光体ペーストに除電物質を添加することによって蛍光体ペーストの帯電により、例えば、パネル中央部のアドレス電極の切れ目における蛍光体層の盛り上がりや、セル内に塗布される蛍光体ペーストの量や溝への付着状態に若干のばらつきが生じる等の蛍光体層の形成不良を防ぎ、セル毎に均質な蛍光体層を形成することができる。
【0075】
なお、上記のように除電物質として界面活性剤やカーボン微粉末を用いた場合には、蛍光体ペーストに含まれている溶剤やバインダを除去する蛍光体焼成工程において除電物質も蒸発あるいは焼失されるので、焼成後の蛍光体層中には除電物質が残存しない。従って、蛍光体層中に除電物質が残存することによってPDPの駆動(発光動作)に支障が生じる可能性も無い。
【0076】
上記が混合された蛍光体ペーストの粘度(25℃でせん断速度が100sec−1における粘度)は、20Pa・s以下、好ましくは0.01Pa・s〜10Pa・sの範囲内に調整されると好ましい。
【0077】
蛍光体を上記各種混合物に分散する際には、例えば高速攪拌型のインペラー型の分散機、コロイドミル、ローラーミル、又ボールミル、振動ボールミル、アトライタミル、遊星ボールミル、サンドミルなど媒体メディアを装置内で運動させてその衝突(crush)及び剪断力の両方により微粒化するもの、又はカッターミル、ハンマーミル、ジェットミル等の乾式型分散機、超音波分散機、高圧ホモジナイザー等を用いることができる。
【0078】
これらの中でも、本発明では特に分散媒体(メディア)を使用する湿式メディア型分散機を使用することが好ましく、連続的に分散処理が可能な連続式湿式メディア型分散機を使用することが更に好ましい。複数の連続式湿式メディア型分散機を直列に接続する態様等も適用できる。
ここで言うメディアとは、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、ガラスビーズ等の固体粒子の分散媒体を指す。また、「連続的に分散処理が可能」とは、少なくとも蛍光体及び分散媒体を、時間当たり一定の量比で途切れることなく分散機に供給しながら分散処理すると同時に、前記分散機内で製造された分散物を供給に押し出される形で途切れることなく分散機より吐出する形態を指す。蛍光体の製造方法で分散処理工程として媒体(メディア)を使用する湿式メディア型分散機を用いる場合、その分散室容器(ベッセル)は縦型でも横型でも適宜選択することが可能である。
【0079】
湿式メディア分散機のベッセル中のメディアの充填量としては、50容積%〜90容積%の範囲とするのが好ましく、60容積%〜80容積%の範囲とするのが更に好ましい。メディアの充填量が50容積%を下回ると蛍光体の分散が不十分となり、また、90容積%を上回るとベッセル内でのメディアの分布が不均一になって局部的に分散が進行するため好ましくない。湿式メディア分散機を用いる際の周速は特に制限は無いが、3m/s〜20m/sであることが、実用上好ましい。
【0080】
メディア分散機を用いて分散する場合、蛍光体の分散が非常に良好になり、平均粒径分布の再現性に優れたものを得る観点から、該メディア分散機に印加する単位質量当たりの積算動力を0.1kWh/kg〜10kWh/kgの範囲で適宜調整することが好ましい。
【0081】
また、蛍光体ペースト調整時には、蛍光体の輝度等の諸特性の劣化を防止する観点から、分散開始から終了までの該分散物温度が70℃を超えないように制御しながら分散処理を施すことが好ましく、50℃を超えないように制御しながら分散処理を施すことが更に好ましい。
【0082】
また、分散を良好に行うために、分散力の弱い(エネルギー付与の小さい)分散機を用いて粗分散を行う第1の分散工程と、分散力の強い(エネルギー付与が大きい)分散機を用いて固体微粒子分散物を作製する第2の分散工程等、分散時に分散質に付与されるエネルギーが異なる分散工程を少なくとも2回行うとよい。
【0083】
そして、上記のように調整した蛍光体ペーストを、インクジェット法によって放電セルに塗布又は充填する。
インクジェット法は、インクジェット装置を使用する。本発明に使用されるインクジェット装置としては、特開平8−281975号、同8−207319号、同5−84909号等に記載されているもの等が一例として挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0084】
インクジェット装置は、微小なインクの液滴を噴射して描画する装置であり、インクの噴射原理によっていろいろな方法があるが、ここでは圧電体、すなわちピエゾを用いるピエゾ型を説明する。図6は、インクジェット装置の一例を示す概略断面図である。
インクジェット装置101は、ヘッド102の外側面に取り付けられたピエゾ103に電圧を印加することによりピエゾ103を伸縮させ、ヘッド102の中の蛍光体ペースト104をノズル105から吐き出させる。吐き出された蛍光体ペースト104は、微小な霧状になる。このとき、ピエゾ103に、パターン信号源106から、基板上に形成する蛍光体のパターンに対応したパターン信号を入力し、ヘッド102もしくは基板を移動させれば、所望のパターンで蛍光体を放電セル内に塗布又は充填することができる。
ヘッド102は、その上部に形成された蛍光体ペースト接続パイプ107を介して蛍光体ペースト材料タンク(図示略)に接続され、吐き出された量だけ蛍光体ペースト104が補充されるようになっている。
【0085】
このインクジェット装置による蛍光体ペーストの吐き出しの仕方には、大きく分けてオンデマンド型と連続型の2通りがある。
前者のオンデマンド型は、ヘッドもしくは基板を移動させ、基板の全面をスキャンして必要な個所、すなわち、蛍光体を塗布する所のみに蛍光体を吐き出す方式である。
後者の連続型は、蛍光体を塗布する部分だけにヘッドもしくは基板(両方同時も可)を移動させ、蛍光体を連続的に吐き出し続ける方式である。
これらの吐き出し方式は、どちらも本発明に適応可能であるが、単純な直線的なパターンの場合には、連続型の方がより速く描画することが可能であるのに対し、複雑な形状やドット状のパターンのように離散的な場合にはオンデマンド型が適している。
【0086】
このように、インクジェット法は、隔壁のピッチが狭く、放電セルが微細に形成されている場合であっても、隔壁間に低コストで容易に精度良く均一に蛍光体ペーストを塗布又は充填できるので好ましい。
【0087】
蛍光体ペーストを塗布又は充填後、乾燥又は焼成することにより有機成分等を除去し、隔壁側面や放電セル底面に付着した蛍光体層を形成する。
【0088】
【実施例】
以下、実施例▲1▼〜実施例▲5▼を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例▲1▼]
実施例▲1▼では、平均粒径が0.91μm、0.32μm、1.32μmの青色発光蛍光体(B−1〜B−3)を製造し、得られた蛍光体をペースト状に調整し(P−1〜P−3)、これを背面板の放電セルにインクジェット法により塗布して、その出射欠の評価を行った。また、この背面板を使用してPDPを作製した。
【0089】
1.青色発光蛍光体[BaMgAl10O17:Eu2+](B−1〜B−3)の製造
(1)青色発光蛍光体B−1(平均粒径0.32μm)の製造
保護コロイドの存在下で反応晶析法により青色発光蛍光体前駆体を形成した。まず、純水300gにゼラチン(平均分子量約1万)15gを溶解してa液とした。
また、純水122.97gに、硝酸バリウム3.53gと、硝酸マグネシウム6水和物3.85gと、硝酸アルミニウム9水和物56.27gと、硝酸ユーロピウム6水和物0.67gとを溶解してb液とした。
さらに、純水98.15gに、アンモニア水(28%)46.67gを混合してc液とした。
次に、反応容器にa液を入れ攪拌しながら、ローラーポンプを使ってb液とc液を11.6cc/minの添加速度でa液表面にダブルジェットで同時添加した。b液、c液の添加終了後、吸引濾過により固液分離を行いながら、純水を用いて十分に洗浄を行った。
次いで、100℃、12時間乾燥を行い、乾燥済みの青色発光蛍光体前駆体を得た。得られた前駆体を600℃で1時間、大気中で焼成してゼラチン等の残留有機物を焼成除去し、引き続き1600℃で3時間、窒素95%、水素5%の還元雰囲気中で焼成して青色発光蛍光体B−1を得た。得られた蛍光体の電子顕微鏡観察より、平均粒径は0.32μmであった。
【0090】
(2)青色発光蛍光体B−2(平均粒径0.91μm)の製造
保護コロイドの存在下で反応晶析法により青色発光蛍光体前駆体を形成した。
まず、上記の1(1)と同様の条件でa液、b液、c液を調整した。
次に、a液を攪拌しながら、b液とc液を4.72cc/minの添加速度で添加した以外は、上記の1(1)と同様にして平均粒径0.91μmの青色発光蛍光体B−2を得た。
【0091】
(3)青色発光蛍光体B−3(平均粒径1.32μm)の製造
保護コロイドの存在下で反応晶析法により青色発光蛍光体前駆体を形成した。まず、純水300gにゼラチン(平均分子量約1万)9gを溶解してa液とした。
また、純水136.48gに、硝酸バリウム1.76gと、硝酸マグネシウム6水和物1.92gと、硝酸アルミニウム9水和物28.13gと、硝酸ユーロピウム6水和物0.33gとを溶解してb液とした。
さらに、純水124.07gに、アンモニア水(28%)23.3gを混合してc液とした。
次に、a液を攪拌しながら、b液とc液を3.12cc/minの添加速度で添加した以外は、上記の1(1)と同様にして平均粒径1.32μmの青色発光蛍光体B−3を得た。
【0092】
2.青色発光蛍光体ペースト(P−1〜P3)の調整
(1)青色発光蛍光体ペースト(P−1)の調整
上記の平均粒径0.32μmの青色発光蛍光体B−1を用いて、下記の組成で蛍光体懸濁液をそれぞれ調合して青色発光蛍光体組成物とした。これをスターラーで攪拌した。
青色発光蛍光体B−1 45重量%
ターピネオール,ペンタンジオールの1:1混合液 545.5重量%
エチルセルロース(エトキシ基の含有率50%) 0.3重量%
ポリオキシエチレンアルキルエーテル 0.2重量%
組成物をIKA JAPAN社製ホモジナイザを用いて予備分散を行った。予備分散の条件は以下の通り。
翼径 :20mm
回転数 :8000rpm
予備分散時間:2分
【0093】
続いて横型連続式メディア分散機(VMA−GETZMANN社製DISPERMATT SL−C5)を用いて下記の分散条件により本分散処理を行い、青色発光蛍光体ペーストP−1を得た。
ディスク回転数:5,520rpm
ビーズ種 :ジルコニア
ビーズ径 :0.3mm
ビーズ充填率 :70%
流量 :120ml/min
分散時間 :3分間
【0094】
(2)青色発光蛍光体ペースト(P−2)の調整
上記の2(1)と同様にして、平均粒径0.91μmの青色発光蛍光体(B−2)を用いて、蛍光体ペーストを調整した。
【0095】
(3)青色発光蛍光体ペースト(P−3)の調整
上記の2(1)と同様にして、平均粒径1.32μmの青色発光蛍光体(B−3)を用いて、蛍光体ペーストを調整した。
【0096】
3.PDPの製造
図1に示すストライプ型のセル構造を持つ、交流面放電型のPDP1を製造した。
まず、前面板10となるガラス基板上に、所定の位置に、電極用の銀ペーストをスクリーン印刷し焼成することによって放電電極11を形成する。そして、前面板10上に、放電電極11を介して、70重量%の酸化鉛(PbO)、15重量%の酸化硼素(B2O3)、10重量%の酸化珪素(SiO2)及び5重量%の酸化アルミニウムと有機バインダ(α−ターピネオールに10%のエチルセルロースを溶解したもの)とを混合してなる組成物を、スクリーン印刷法で塗布した後、520℃で20分間焼成することによって約30μmの誘電体層12を形成する。さらに、誘電体層12上に、酸化マグネシウム(MgO)をスパッタリング法によって約0.5μmの保護層13を形成する。
【0097】
一方、背面板20となるガラス基板上に、上述したインクジェット法を用いてアドレス電極21を形成する。そして、背面板20上に、低融点ガラスを繰り返しスクリーン印刷した後、焼成することによってストライプ状の隔壁30を形成する。
【0098】
さらに、前記隔壁30により仕切られたセル31の内側に面する底面31aと、前記隔壁30の側面30aとに、上記2で調整した青色発光蛍光体ペーストP−1〜P−3を、図6に示すインクジェット装置101を用いて上述したインクジェット法により塗布し、蛍光体層35を形成する。
そして、蛍光体層35を構成する蛍光体の平均粒径が0.32μm、0.91μm、1.32μmの3種類の背面板(本発明例▲1▼−1、▲1▼−2、比較例▲1▼)を、連続で10枚ずつそれぞれ作製した。
なお、インクジェット装置101による塗布は、ある程度暗くした状態で行い、インクジェットの出射に同期させて間欠的にストロボをたき、放電セル31内に塗布された蛍光体層35(インクの液滴)の状態をビデオ撮影した。そして、蛍光体層35をモニタリングし、出射欠の発生状況の結果を表1に示した。ここで、出射欠とは、蛍光体の沈降やノズルの詰まり等のことを言う。すなわち、インクの液滴状態に応じて、以下に示すように出射欠の発生状況を評価した。
・インクの液滴があたかも止まっているように見えた…出射欠発生せず(出射状態安定)
・インクの液滴が乱れて飛んでいった…出射欠発生(蛍光体の沈降やノズルに詰まりが生じている)
・インクの液滴が見えない…出射欠発生(完全にノズルが詰まっている)
【0099】
また、作製した前記電極11、21等が配置された前面板10と、上記のいずれかの背面板20とを、それぞれの電極配置面が向き合うように位置合わせし、その周辺を封着用シールガラスにより封止し、その後、前記基板10、20間に、放電により紫外線を発生するXeと主放電ガスのNeとを混合したガスを封入して気密密閉した後、エージングを行った。このようにして作製したPDPにおいて、発光ムラを目視評価したところ、本発明例▲1▼−1、▲1▼−2はほとんど輝度ムラはみとめられなかった。これに対し、比較例▲1▼は発光ムラが顕著であった。
【0100】
4.評価
【表1】
表1に示す結果より、蛍光体の平均粒径が0.001μm以上1.0μm未満の蛍光体発光ペーストを、インクジェット装置を用いて放電セル内に塗布することによって、蛍光体粒子が放電セル内で沈降することなく、精度良く均一に蛍光体発光ペーストが塗布されることが認められた。また、これにより、発光ムラのないPDPを得ることができることが確認された。
【0101】
[実施例▲2▼]
実施例▲2▼では、平均粒径0.89μmで変動係数78%、平均粒径1.82μmで変動係数86%、平均粒径2.17μmで変動係数135%の青色発光蛍光体(B−4〜B−6)を製造し、得られた蛍光体をペースト状に調整し(P−4〜P−6)、これを背面板の放電セルにインクジェット法により塗布して、その出射欠の評価を行った。また、この背面板を使用してPDPを作製した。
【0102】
1.青色発光蛍光体[BaMgAl10O17:Eu2+](B−4〜B−6)の製造
(1)青色発光蛍光体B−4(平均粒径0.89μm、変動係数78%)の製造
実施例▲1▼の1(2)と同様の条件下で、平均粒径0.89μmで変動係数78%の青色発光蛍光体B−4を得た。
【0103】
(2)青色発光蛍光体B−5(平均粒径1.82μm、変動係数86%)の製造
保護コロイドの存在下で反応晶析法により青色発光蛍光体前駆体を形成した。まず、純水300gにゼラチン(平均分子量約1万)9gを溶解してa液とした。
また、純水122.97gに、硝酸バリウム3.53gと、硝酸マグネシウム6水和物3.85gと、硝酸アルミニウム9水和物56.27gと、硝酸ユーロピウム6水和物0.67gとを溶解してb液とした。
さらに、純水98.15gに、アンモニア水(28%)46.67gを混合してc液とした。
次に、a液を攪拌しながら、b液とc液を2.18cc/minの添加速度で添加した以外は、実施例▲1▼の1(1)と同様にして平均粒径1.82μmで変動係数86%の青色発光蛍光体B−5を得た。
【0104】
(3)青色発光蛍光体B−6(平均粒径2.17μm、変動係数135%)の製造
保護コロイドの存在下で反応晶析法により青色発光蛍光体前駆体を形成した。まず、純水300gにゼラチン(平均分子量約1万)1gを溶解してa液とした。
また、純水136.48gに、硝酸バリウム1.76gと、硝酸マグネシウム6水和物1.92gと、硝酸アルミニウム9水和物28.13gと、硝酸ユーロピウム6水和物0.33gとを溶解してb液とした。
さらに、純水124.07gに、アンモニア水(28%)23.33gを混合してc液とした。
次に、a液を攪拌しながら、b液とc液を1.58cc/minの添加速度で添加した以外は、実施例▲1▼の1(1)と同様にして平均粒径2.17μmで変動係数135%の青色発光蛍光体B−6を得た。
【0105】
2.青色発光蛍光体ペースト(P−4〜P−6)の調整
(1)青色発光蛍光体ペースト(P−4)の調整
上記実施例▲1▼の2(1)と同様にして、平均粒径0.89μmで変動係数78%の青色発光蛍光体(B−4)を用いて、蛍光体ペーストを調整した。
【0106】
(2)青色発光蛍光体ペースト(P−5)の調整
上記実施例▲1▼の2(1)と同様にして、平均粒径1.82μmで変動係数86%の青色発光蛍光体(B−5)を用いて、蛍光体ペーストを調整した。
【0107】
(3)青色発光蛍光体ペースト(P−6)の調整
上記実施例▲1▼の2(1)と同様にして、平均粒径2.17μmで変動係数135%の青色発光蛍光体(B−6)を用いて、蛍光体ペーストを調整した。
【0108】
3.PDPの製造
実施例▲1▼の3のPDPの製造方法と同様にして、上記2で調整した青色発光蛍光体ペーストP−4〜P−6を図6に示すインクジェット装置101を用いて塗布し、蛍光体層35を形成する。
そして、蛍光体層35を構成する蛍光体の平均粒径0.89μmで変動係数78%、平均粒径1.82μmで変動係数86%、平均粒径2.17μmで変動係数135%の3種類の背面板(本発明例▲2▼−1、▲2▼−2、比較例▲2▼)を連続で10枚ずつそれぞれ作製し、実施例▲1▼と同様にして放電セル31内に形成された蛍光体層35の出射欠の発生状況をモニタリングし、その結果を表2に示した。
また、作製した前面板10と、背面板20とを使用して実施例▲1▼の3と同様にしてPDPを作製し、発光ムラを目視評価したところ、本発明例▲2▼−1、▲2▼−2はほとんど輝度ムラはみとめられなかった。これに対し、比較例▲2▼は発光ムラが顕著であった。
【0109】
4.評価
【表2】
表2に示す結果より、蛍光体の平均粒径が0.001μm以上2.0μm未満で、かつ、変動係数が100%以下の蛍光体発光ペーストを、インクジェット装置を用いて放電セル内に塗布することによって、蛍光体粒子が放電セル内で沈降することなく、精度良く均一に蛍光体発光ペーストが塗布されることが認められた。また、これにより、発光ムラのないPDPを得ることができることが確認された。
【0110】
[実施例▲3▼]
実施例▲3▼では、平均粒径0.82μmの青色発光蛍光体(B−7)を液相合成法によって製造し、また、平均粒径2.16μmの青色発光蛍光体(B−8)を固相合成法によって製造し、得られたそれぞれの蛍光体をペースト状に調整し(P−7、P−8)、これを背面板の放電セルにインクジェット法により塗布して、その出射欠の評価を行った。また、この背面板を使用してPDPを作製した。
【0111】
1.青色発光蛍光体[BaMgAl10O17:Eu2+](B−7、B−8)の製造
(1)青色発光蛍光体B−7(平均粒径0.82μm)の液相合成法による製造
保護コロイドの存在下で反応晶析法により青色発光蛍光体前駆体を形成した。まず、実施例▲1▼の1(3)と同様の条件下で、a液、b液、c液を調整した。次に、a液を攪拌しながら、b液とc液を4.96cc/minの添加速度で添加した以外は、上記実施例▲1▼の1(3)と同様にして平均粒径0.82μmの青色発光蛍光体B−7を得た。
【0112】
(2)青色発光蛍光体B−8(平均粒径2.16μm)の固相合成法による製造
原料として炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、酸化アルミニウム(α−Al2O3)をモル比1:1:5に配合する。次に、この混合物に対して、所定量の酸化ユーロピウム(Eu2O3)を添加する。そして、適量のフラックス(AlF2、BaCl2)と共にボールミルで混合し、1600℃で3時間、窒素95%、水素5%の還元雰囲気中で焼成して蛍光体を得た。得られた蛍光体を分級し、平均粒径2.16μmのものを青色発光蛍光体B−8とした。
【0113】
2.青色発光蛍光体ペースト(P−7、P−8)の調整
(1)青色発光蛍光体ペースト(P−7)の調整
上記実施例▲1▼の2(1)と同様にして、平均粒径0.82μmの青色発光蛍光体(B−7)を用いて、蛍光体ペーストを調整した。
【0114】
(2)青色発光蛍光体ペースト(P−8)の調整
上記実施例▲1▼の2(1)と同様にして、平均粒径2.16μmの青色発光蛍光体(B−8)を用いて、蛍光体ペーストを調整した。
【0115】
3.PDPの製造
実施例▲1▼の3のPDPの製造方法と同様にして、上記2で調整した青色発光蛍光体ペーストP−7、P−8を図6に示すインクジェット装置を用いて塗布し、蛍光体層35を形成する。
そして、蛍光体層35を構成する蛍光体の平均粒径が0.82μm、2.16μmの2種類の背面板(本発明例▲3▼、比較例▲3▼)を連続で10枚ずつそれぞれ作製し、実施例1と同様にして放電セル31内に形成された蛍光体層35の出射欠の発生状況をモニタリングし、その結果を表3に示した。
また、作製した前面板10と、背面板20とを使用して実施例▲1▼の3と同様にしてPDPを作製し、発光ムラを目視評価したところ、本発明例▲3▼はほとんど輝度ムラはみとめられなかった。これに対し、比較例▲3▼は発光ムラが顕著であった。
【0116】
4.評価
【表3】
表3に示す結果より、液相合成した蛍光体を、インクジェット装置を用いて放電セル内に塗布することによって、蛍光体粒子が放電セル内で沈降することなく、精度良く均一に蛍光体発光ペーストが塗布されることが認められた。また、これにより、発光ムラのないPDPを得ることができることが確認された。
【0117】
[実施例▲4▼]
実施例▲4▼では、形状係数1.2、1.8、2.3の赤色発光蛍光体(R−1〜R−3)を製造し、得られたそれぞれの蛍光体をペースト状に調整し(P−9〜P−11)、これを背面板の放電セルにインクジェット法により塗布して、その出射欠の評価を行った。また、この背面板を使用してPDPを作製した。
【0118】
1.赤色発光蛍光体〔(Y,Gd)BO3:Eu3+〕(R−1〜R−3)の製造
(1)赤色発光蛍光体R−1(形状係数0.9)の製造
保護コロイドの存在下で反応晶析法により赤色発光蛍光体前駆体を形成した。まず、純水300gにゼラチン(平均分子量約1万)5gを溶解してa液とした。
また、純水150mlに、硝酸イットリウム6水和物13.8gと、硝酸ガドリニウム9.20gと、硝酸ユーロピウム6水和物1.30gとを溶解してb液とした。
さらに、純水150mlに、硼酸3.60gを溶解してc液とした。
次に、反応容器にa液を入れ攪拌しながら、ローラーポンプを使ってb液とc液を10.2cc/minの添加速度でa液表面にダブルジェットで同時添加した。b液、c液の添加終了後、吸引濾過により固液分離を行いながら、純水を用いて十分に洗浄を行った。
次いで、100℃、12時間乾燥を行い、乾燥済みの青色発光蛍光体前駆体を得た。得られた前駆体を1400℃で5時間、大気雰囲気中で焼成して赤色発光蛍光体R−1を得た。得られた蛍光体の形状係数を上述した方法により測定したところ1.2であった。
【0119】
(2)赤色発光蛍光体R−2(形状係数0.9)の製造
上記実施例▲4▼の1(1)において、得られた前駆体を1400℃で3時間大気雰囲気中で焼成した以外は同様の条件下で製造し、形状係数1.8の赤色発光蛍光体R−2を得た。
【0120】
(3)赤色発光蛍光体R−3(形状係数2.3)の製造
上記実施例▲4▼の1(1)において、得られた前駆体を1400℃で1時間大気雰囲気中で焼成した以外は同様の条件下で製造し、形状係数2.3の赤色発光蛍光体R−3を得た。
【0121】
2.赤色発光蛍光体ペースト(P−9〜P−11)の調整
(1)赤色発光蛍光体ペースト(P−9)の調整
上記実施例▲1▼の2(1)と同様にして、形状係数1.2の赤色発光蛍光体(R−1)を用いて、蛍光体ペーストを調整した。
【0122】
(2)赤色発光蛍光体ペースト(P−10)の調整
上記実施例▲1▼の2(1)と同様にして、形状係数1.8の赤色発光蛍光体(R−2)を用いて、蛍光体ペーストを調整した。
【0123】
(3)赤色発光蛍光体ペースト(P−11)の調整
上記実施例▲1▼の2(1)と同様にして、形状係数2.3の赤色発光蛍光体(R−3)を用いて、蛍光体ペーストを調整した。
【0124】
3.PDPの製造
実施例▲1▼の3のPDPの製造方法と同様にして、上記2で調整した赤色発光蛍光体ペーストP−9〜P−11を図6に示すインクジェット装置101を用いて塗布し、蛍光体層35を形成する。
そして、蛍光体層35を構成する蛍光体の形状係数1.2、1.8、2.3の3種類の背面板(本発明例▲4▼−1、▲4▼−2、比較例▲4▼)を連続で10枚ずつそれぞれ作製し、実施例▲1▼と同様にして放電セル31内に形成された蛍光体層35の出射欠の発生状況をモニタリングし、その結果を表4に示した。
また、作製した前面板10と、背面板20とを使用して実施例▲1▼の3と同様にしてPDPを作製し、発光ムラを目視評価したところ、本発明例▲4▼−1、▲4▼−2はほとんど輝度ムラはみとめられなかった。これに対し、比較例▲4▼は発光ムラが顕著であった。
【0125】
4.評価
【表4】
表4に示す結果より、蛍光体の形状係数が1.0〜2.0の蛍光体発光ペーストを、インクジェット装置を用いて放電セル内に塗布することによって、蛍光体粒子が放電セル内で沈降することなく、精度良く均一に蛍光体発光ペーストが塗布されることが認められた。また、これにより、発光ムラのないPDPを得ることができることが確認された。
【0126】
[実施例▲5▼]
実施例▲5▼では、比表面積3.85m2/g、1.95m2/g、0.69m2/gの赤色発光蛍光体(R−4〜R−6)を製造し、得られたそれぞれの蛍光体をペースト状に調整し(P−12〜P−14)、これを背面板の放電セルにインクジェット法により塗布して、その出射欠の評価を行った。また、この背面板を使用してPDPを作製した。
【0127】
1.赤色発光蛍光体〔(Y,Gd)BO3:Eu3+〕(R−4〜R−6)の製造
(1)赤色発光蛍光体R−4(比表面積3.85m2/g)の製造
保護コロイドの存在下で反応晶析法により赤色発光蛍光体前駆体を形成した。まず、純水300gにゼラチン(平均分子量約1万)15gを溶解してa液とした。
また、純水150mlに、硝酸イットリウム6水和物26.76gと、硝酸ガドリニウム18.40gと、硝酸ユーロピウム6水和物2.60gとを溶解してb液とした。
さらに、純水150mlに、硼酸7.20gを溶解してc液とした。
次に、反応容器にa液を入れ攪拌しながら、ローラーポンプを使ってb液とc液を30.1cc/minの添加速度でa液表面にダブルジェットで同時添加した。b液、c液の添加終了後、吸引濾過により固液分離を行いながら、純水を用いて十分に洗浄を行った。
次いで、100℃、12時間乾燥を行い、乾燥済みの青色発光蛍光体前駆体を得た。得られた前駆体を1400℃で3時間、大気雰囲気中で焼成して赤色発光蛍光体R−4を得た。得られた蛍光体のBET比表面積を上述した方法により測定したところ3.85m2/gであった。
【0128】
(2)赤色発光蛍光体R−5(比表面積1.95m2/g)の製造
保護コロイドの存在下で反応晶析法により赤色発光蛍光体前駆体を形成した。まず、純水300gにゼラチン(平均分子量約1万)9gを溶解してa液とした。
また、純水150mlに、硝酸イットリウム6水和物13.8gと、硝酸ガドリニウム9.20gと、硝酸ユーロピウム6水和物1.30gとを溶解してb液とした。
さらに、純水150mlに、硼酸3.60gを溶解してc液とした。
次に、反応容器にa液を入れ攪拌しながら、ローラーポンプを使ってb液とc液を10.2cc/minの添加速度でa液表面にダブルジェットで同時添加した。b液、c液の添加終了後、吸引濾過により固液分離を行いながら、純水を用いて十分に洗浄を行った。
次いで、100℃、12時間乾燥を行い、乾燥済みの青色発光蛍光体前駆体を得た。得られた前駆体を1400℃で3時間、大気雰囲気中で焼成して赤色発光蛍光体R−5を得た。得られた蛍光体のBET比表面積を上述した方法により測定したところ1.92m2/gであった。
【0129】
(3)赤色発光蛍光体R−6(比表面積0.69m2/g)の製造
原料として酸化イットリウム(Y2O3)と、酸化ガドリニウム(Gd2O3)と、硼酸(H3B3)とを、Y、Gd、Bの原子比で0.60:0.35:1.0となるように配合する。次に、この混合物に対して、所定量の酸化ユーロピウム(Eu2O3)を添加する。適量のフラックスと共にボールミルで混合し、1400℃で3時間、大気雰囲気中で焼成して赤色発光蛍光体R−6を得た。得られた蛍光体のBET比表面積を上述した方法により測定したところ0.62m2/gであった。
【0130】
2.赤色発光蛍光体ペースト(P−12〜P−14)の調整
(1)赤色発光蛍光体ペースト(P−12)の調整
上記実施例▲1▼の2(1)と同様にして、比法面積3.85m2/g赤色発光蛍光体(R−4)を用いて、蛍光体ペーストを調整した。
【0131】
(2)赤色発光蛍光体ペースト(P−13)の調整
上記実施例▲1▼の2(1)と同様にして、比法面積1.95m2/g赤色発光蛍光体(R−5)を用いて、蛍光体ペーストを調整した。
【0132】
(3)赤色発光蛍光体ペースト(P−14)の調整
上記実施例▲1▼の2(1)と同様にして、比法面積0.69m2/g赤色発光蛍光体(R−6)を用いて、蛍光体ペーストを調整した。
【0133】
3.PDPの製造
実施例▲1▼の3のPDPの製造方法と同様にして、上記2で調整した赤色発光蛍光体ペーストP−12〜P−14を図6に示すインクジェット装置101を用いて塗布し、蛍光体層35を形成する。
そして、蛍光体層35を構成する蛍光体の比表面積3.85m2/g、1.95m2/g、0.69m2/gの3種類の背面板(本発明例▲5▼−1、▲5▼−2、比較例▲5▼)を連続で10枚ずつそれぞれ作製し、実施例▲1▼と同様にして放電セル31内に形成された蛍光体層35の出射欠の発生状況をモニタリングし、その結果を表5に示した。
また、作製した前面板10と、背面板20とを使用して実施例▲1▼の3と同様にしてPDPを作製し、発光ムラを目視評価したところ、本発明例▲5▼−1、▲5▼−2はほとんど輝度ムラはみとめられなかった。これに対し、比較例▲5▼は発光ムラが顕著であった。
【0134】
4.評価
【表5】
表5に示す結果より、蛍光体の比表面積が1.5m2/g〜500m2/gの蛍光体発光ペーストを、インクジェット装置を用いて放電セル内に塗布することによって、蛍光体粒子が放電セル内で沈降することなく、精度良く均一に蛍光体発光ペーストが塗布されることが認められた。また、これにより、発光ムラのないPDPを得ることができることが確認された。
【0135】
【発明の効果】
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法によれば、蛍光体の平均粒径が0.001μm以上1.0μm未満であるので、インクジェット塗布の際に、隔壁間(放電セル)に蛍光体ペースト中の蛍光体が沈降することなく、均一に精度良く蛍光体を塗布でき、また、ノズルの目詰まりや吐出不良も生じることなく、出射安定性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラズマディスプレイパネルの一例を示した斜視図である。
【図2】図1に示したプラズマディスプレイパネルに設けられた電極の配置を示した概略平面図である。
【図3】本発明に係るプラズマディスプレイパネルの放電セルの構造の他の例として、格子型のセル構造を示した概略平面図である。
【図4】本発明に係るプラズマディスプレイパネルの放電セルの構造の他の例として、格子型のセル構造を示した概略平面図である。
【図5】本発明に係るプラズマディスプレイパネルの放電セルの構造の他の例として、ハニカム型のセル構造を示した概略平面図である。
【図6】本発明に係るインクジェット装置の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 プラズマディスプレイパネル
10、20 基板
11、21 電極
30、40、50、60 隔壁
31、41、51、61 放電セル
35 蛍光体層
Claims (5)
- 2つの基板を所定間隔を隔てて対向配置し、基板間に隔壁を設けることによって基板間の空間を複数に区画し、隔壁と隔壁との間に形成された凹部に、インクジェット装置を用いて蛍光体を塗布して蛍光体層を形成することによって、プラズマディスプレイパネルを製造するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記蛍光体の平均粒径が0.001μm以上1.0μm未満であることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 2つの基板を所定間隔を隔てて対向配置し、基板間に隔壁を設けることによって基板間の空間を複数に区画し、隔壁と隔壁との間に形成された凹部に、インクジェット装置を用いて蛍光体を塗布して蛍光体層を形成することによって、プラズマディスプレイパネルを製造するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記蛍光体の平均粒径が0.001μm以上2.0μm未満で、かつ、蛍光体粒子の粒子分布の変動係数が100%以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 2つの基板を所定間隔を隔てて対向配置し、基板間に隔壁を設けることによって基板間の空間を複数に区画し、隔壁と隔壁との間に形成された凹部に、インクジェット装置を用いて蛍光体を塗布して蛍光体層を形成することによって、プラズマディスプレイパネルを製造するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記蛍光体の形状係数が1.0〜2.0であることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 2つの基板を所定間隔を隔てて対向配置し、基板間に隔壁を設けることによって基板間の空間を複数に区画し、隔壁と隔壁との間に形成された凹部に、インクジェット装置を用いて蛍光体を塗布して蛍光体層を形成することによって、プラズマディスプレイパネルを製造するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記蛍光体のBET比表面積が1.5m2/g〜500m2/gであることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記蛍光体は、蛍光体原料を液相中で反応させる液相合成法により製造されたことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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