JP2004063194A - 異常放電検知装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】異常放電の発生を確実に検出することが可能な異常放電検知装置を提供する。
【解決手段】このイオン注入機は、交流電圧を全波整流して直流電圧を生成しサプレッサ電極1に印加するサプレッサ電源3と、サプレッサ電源3の出力電圧を所定周期でサンプリングし、サンプリングした直流電圧が所定のしきい値電圧を超えたことに応じて異常検出信号φ5を活性化レベルの「H」レベルにするDMリレー5とを備える。したがって、異常放電が発生した場合は直流電圧が上昇した後に元に戻るので、それを検出することによって異常放電の発生を確実に検知することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】このイオン注入機は、交流電圧を全波整流して直流電圧を生成しサプレッサ電極1に印加するサプレッサ電源3と、サプレッサ電源3の出力電圧を所定周期でサンプリングし、サンプリングした直流電圧が所定のしきい値電圧を超えたことに応じて異常検出信号φ5を活性化レベルの「H」レベルにするDMリレー5とを備える。したがって、異常放電が発生した場合は直流電圧が上昇した後に元に戻るので、それを検出することによって異常放電の発生を確実に検知することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は異常放電検知装置に関し、特に、低圧容器内に設けられた電極で異常放電が発生したことを検知する異常放電検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の半導体製造装置のイオン注入機の要部を示すブロック図である。図6において、このイオン注入機では、イオンビームIBは円筒状のサプレッサ電極51内を通過してターゲット52に照射される。サプレッサ電極51およびターゲット52は真空容器内に配置されている。サプレッサ電源53は、サプレッサ電極51に負電圧を印加する。イオン注入中にターゲット52から放出された2次電子は、サプレッサ電極51からの電界によってターゲット52側に戻される。
【0003】
サプレッサ電極51で異常放電が発生すると、サプレッサ電源53の出力電圧が小さくなる。AM(アナログメータ)リレー54は、サプレッサ電源53の出力電圧が所定値以下になったことに応じて、異常検出信号φ54を活性化レベルの「H」レベルにする。制御装置(図示せず)は、異常検出信号φ54が活性化レベルの「H」レベルにされたことに応じて、イオン注入を停止する。
【0004】
サプレッサ電極51で異常放電が発生したときにイオン注入を停止させるのは、異常放電による熱エネルギによってアルミニウム製のサプレッサ電極51の一部が溶融し、発生した異物がターゲット52に付着し、不良品が発生してしまうからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のイオン注入機では、異常放電によるサプレッサ電源53の出力電圧の減少時間が10ms程度と短いので、応答速度が数百ms程度(50Vの減少を検出する場合)のAMリレー54で異常放電を検知することは容易でなかった。
【0006】
このため、イオン注入の終了後に別の検査装置でターゲット52に異物が付着しているかどうかを抜取り検査することが必要になっていた。また、抜取り検査によって異物が付着したターゲット52が発見された場合は、そのターゲット52と同じ条件でイオン注入された全ターゲット52を検査しなければならず、検査工数が莫大になるという問題があった。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、異常放電の発生を確実に検知することが可能な異常放電検知装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る異常放電検知装置は、低圧容器内に設けられた電極で異常放電が発生したことを検知する異常放電検知装置であって、交流電圧を全波整流して直流電圧を生成し、その直流電圧を電極に印加する直流電源と、直流電圧を予め定められた周期でサンプリングするサンプリング回路と、サンプリング回路によってサンプリングされた直流電圧が予め定められたしきい値電圧を超えたことに応じて、電極で異常放電が発生したと判定する判定回路とを備えたものである。
【0009】
好ましくは、さらに、直流電圧を分圧してモニタ電圧を生成する分圧回路が設けられる。サンプリング回路は、直流電圧の代わりにモニタ電圧をサンプリングする。
【0010】
また好ましくは、判定回路のしきい値電圧および分圧回路の分圧比は変更可能になっている。
【0011】
また好ましくは、判定回路は、電極で異常放電が発生したことに応じて直流電源を非活性化させる。
【0012】
また好ましくは、電極は、イオンビーム照射装置においてターゲットから放出された2次電子をターゲット側に戻すためのサプレッサ電極である。直流電圧は負極性である。
【0013】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による半導体製造装置のイオン注入機の要部を示すブロック図である。
【0014】
図1において、このイオン注入機では、イオンビームIBは円筒状のサプレッサ電極1内を通過してターゲット2に照射される。サプレッサ電源3は、サプレッサ電極1に負電圧を印加する。サプレッサ電極1およびターゲット2は、真空容器内に配置されている。イオン注入中にターゲット2から放出された2次電子は、サプレッサ電極1からの電界によってターゲット2側に戻される。
【0015】
サプレッサ電極1で異常放電が発生すると、サプレッサ電源3の出力電圧が小さくなる。AMリレー4は、サプレッサ電源3の出力電圧が所定値以下になったことに応じて、異常検出信号φ4を活性化レベルの「H」レベルにする。DM(デジタルメータ)リレー5は、10ms以下の所定周期(たとえば7ms)でサプレッサ電源3の出力電圧をサンプリングし、サンプリングした電圧が所定値以下であることに応じて、異常検出信号φ5を活性化レベルの「H」レベルにする。制御装置(図示せず)は、異常検出信号φ4,φ5のうちの少なくとも1つの信号が活性化レベルの「H」レベルにされたことに応じて、イオン注入を停止させる。
【0016】
このイオン注入機は、サプレッサ電極1で発生した異常放電を確実に検出することができる。以下、その理由について説明する。図2は、図1に示したサプレッサ電源3の要部を示す回路図である。図2において、サプレッサ電源3は、商用周波数60Hzの交流電圧を変圧して430Vの交流電圧を出力する交流電源10と、交流電源10の出力電圧を全波整流するブリッジ接続された4つのダイオード11〜14と、ダイオード11〜14で生成された電圧を平滑化する抵抗素子15およびコンデンサ16とを含む。負電圧端子T1はサプレッサ電極1に接続され、基準電圧端子T2はファラデー部(シールド部)17に接続される。
【0017】
4つのダイオード11〜14からなる全波整流回路の電流供給能力は、1/60・2≒8.33msごとに0になる。したがって異常放電が発生した場合、図3に示すように、サプレッサ電源3の出力電圧が減少して8.33ms以内に放電が消滅する。放電が消滅した後、サプレッサ電源3の出力電圧が回復する速さは、サプレッサ電源3内のRC時定数で決定される。たとえば、抵抗素子15の抵抗値Rを5Kオームとし、コンデンサ16の容量値Cを2μFとすると、R・C=10msとなる。この場合は、サプレッサ電源3の出力電圧が、電圧の減少開始から10msで回復する。したがって、サプレッサ電源3の出力電圧を10ms以下の周期でサンプリングし、サンプリングした電圧が所定のしきい値を超えたことを検出することにより、異常放電の発生を確実に検出することができる。
【0018】
なお、10ms程度の周期で高速にサンプリングすることが可能な回路であれば、DMリレー5以外の回路を用いてもよいことは言うまでもない。
【0019】
[実施の形態2]
図4は、この発明の実施の形態2による半導体製造装置のイオン注入機の要部を示す断面図である。図4において、このイオン注入機では、イオンビームIBは、スリット21、リング状のサプレッサ電極22およびイオンビーム導入管23を介してイオン注入室24に照射される。イオン注入室24には、イオンビーム導入管23と直交する方向にターゲット導入管25が設けられている。ターゲット導入管25はイオン注入室24を貫通している。ターゲット導入管25の両端部には、それぞれ筒状のサプレッサ電極26,27が設けられている。
【0020】
ターゲット(たとえばシリコンウェハ)29は、アーム28の先端部にイオンビーム源(図示せず)側に向けて搭載される。アーム28は、イオン注入室24、ターゲット導入管25およびサプレッサ電極26,27内をターゲット導入管25の軸方向に移動可能に設けられている。少なくともサプレッサ電極22,26,27およびターゲット29の間の空間は真空に保持される。
【0021】
アーム28が駆動されてターゲット29がイオン注入室24内に配置され、イオンビームIBが照射されると、ターゲット29にイオンが注入される。サプレッサ電極22,26,27にはそれぞれ所定の負電圧V1(−600V),V2(−100V),V3(−100V)が印加される。イオン注入中にターゲット29から放出された2次電子は、サプレッサ電極22,26,27からの電界によってターゲット29側に戻される。
【0022】
図5は、図4に示した負電圧V1の生成に関連する部分を示す回路ブロック図である。図5において、このイオン注入機は、制御装置31、スイッチ32、サプレッサ電源33、AMリレー34、分圧回路35、可変抵抗素子36、DMリレー37、およびランプ38を備える。
【0023】
制御装置31は、所定のタイミングでサプレッサ電源33およびDMリレー37の各々を制御するとともに、AMリレー34およびDMリレー37からの異常検出信号φ34,φ37のうちの少なくとも1つの信号が活性化レベルの「H」レベルにされたことに応じてサプレッサ電源33およびイオンビーム源(図示せず)を非活性化させる。スイッチ32がオンされた場合は異常放電検出機能は働かず、異常放電が発生した場合でもサプレッサ電源33およびイオンビーム源は非活性化されない。
【0024】
サプレッサ電源33は、制御装置31によって制御され、60Hzの商用交流電圧を変圧、全波整流および平滑化して負電圧V1(−600V)を生成し、サプレッサ電極22に印加する。AMリレー34は、負電圧V1が所定値(たとえば−550V)よりも高くなったことに応じて異常検出信号φ34を活性化レベルの「H」レベルにする。ただし、従来技術の欄でも述べたとおり、AMリレー34の応答速度は遅い。
【0025】
分圧回路35は、負電圧V1(−600V)を分圧してモニタ電圧VM(−4.2V)を生成し、DMリレー37に与える。分圧回路35の分圧比VM/V1は、可変抵抗素子36の抵抗値を変えることによって変更可能になっている。モニタ電圧VMのレベルを変えることによって異常放電の有無の判定のSN比を調整することができる。
【0026】
DMリレー37は、制御装置31によって活性化/非活性化が制御され、分圧回路35の出力電圧VMを10ms以下の所定の周期(たとえば7ms)でサンプリングし、サンプリングした電圧が許容範囲を外れたことに応じて異常検出信号φ37を活性化レベルの「H」レベルにする。VMの許容範囲の上限値VH(たとえば−4.0V)および下限値VL(たとえば−4.4V)は外部から印加および変更可能になっている。ランプ38は、異常検出信号φ37の活性化レベルの「H」レベルにされたことに応じて点灯し、3つのサプレッサ電極22,26,27のうちのサプレッサ電極22で異常放電が発生したことを報知する。
【0027】
サプレッサ電極26,27に印加する負電圧V2,V3(−100V)も、負電圧V1と同様に生成、モニタおよび制御される。ただし、V2,V3のモニタ電圧VMは、たとえば−2Vに設定され、VH,VLはそれぞれ−1.8V,−2.2Vに設定される。
【0028】
この実施の形態2でも、DMリレー37でサプレッサ電源33の出力電圧を高速でサンプリングし判定するので、サプレッサ電極22,26,27で発生した異常放電を確実に検出することができる。したがって、ターゲット29の異物検査の工数を削減することができる。
【0029】
なお、この実施の形態2では、DMリレー37でモニタ電圧37が許容範囲を外れたか否かを判定したが、DMリレー37でサンプリングした電圧が許容範囲を外れたか否かを制御装置31で判定してもよい。
【0030】
また、以上の実施の形態1,2では、この発明が半導体製造装置のイオン注入機に適用された場合について説明したが、これに限るものではなく、イオンビーム分析装置のようなイオンビーム応用装置であればどのような装置にも適用可能であることは言うまでもない。また、イオンビーム応用装置に限らず、交流を全波整流して電極に供給し、異常放電が発生したときに電極の電圧が低下するようないかなる装置にも適用可能である。
【0031】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係る異常放電検知装置は、低圧容器内に設けられた電極で異常放電が発生したことを検知するものである。この異常放電検知装置では、交流電圧を全波整流して直流電圧を生成し、その直流電圧を電極に印加する直流電源と、直流電圧を予め定められた周期でサンプリングするサンプリング回路と、サンプリング回路によってサンプリングされた直流電圧が予め定められたしきい値電圧を超えたことに応じて、電極で異常放電が発生したと判定する判定回路とが設けられる。したがって、異常放電が生じた場合は、直流電圧が小さくなって放電が消えた後に直流電圧が元に戻るので、所定周期でサンプリングした直流電圧が予め定められた値を超えたことに応じて異常放電が発生したと判定することにより、異常放電の発生を確実に検知することができる。
【0033】
好ましくは、さらに、直流電圧を分圧してモニタ電圧を生成する分圧回路が設けられ、サンプリング回路は直流電圧の代わりにモニタ電圧をサンプリングする。この場合は、直流電圧のサンプリングおよび判定を容易に行なうことができる。
【0034】
また好ましくは、判定回路のしきい値電圧および分圧回路の分圧比は変更可能になっている。この場合は、判定の制度の向上を図ることができる。
【0035】
また好ましくは、判定回路は、電極で異常放電が発生したことに応じて直流電源を非活性化させる。この場合は、異常放電の熱エネルギによって電極が溶融されることを防止することができる。
【0036】
また好ましくは、電極は、イオンビームの照射装置においてターゲットから放出された2次電子をターゲット側に戻すためのサプレッサ電極であり、直流電圧は負極性である。この発明は、この場合に特に有効となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による半導体製造装置のイオン注入機の要部を示すブロック図である。
【図2】図1に示したサプレッサ電源の構成を示す回路図である。
【図3】図1および図2に示したイオン注入機の動作を示すタイムチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2による半導体製造装置のイオン注入機の要部を示す断面図である。
【図5】図4に示したサプレッサ電極22に印加する負電圧V1の生成に関連する部分の構成を示す回路ブロック図である。
【図6】従来の半導体製造装置のイオン注入機の要部を示すブロック図である。
【符号の説明】
IB イオンビーム、1,22,26,27,53 サプレッサ電極、2,29,52 ターゲット、3,33,53 サプレッサ電源、4,34,54 AMリレー、5,37 DMリレー、10 交流電源、11〜14 ダイオード、15 抵抗素子、16 コンデンサ、17 ファラデー部、21 スリット、23 イオンビーム導入管、24 イオン注入室、25 ターゲット導入管、28アーム、31 制御装置、32 スイッチ、35 分圧回路、36 可変抵抗素子。
【発明の属する技術分野】
この発明は異常放電検知装置に関し、特に、低圧容器内に設けられた電極で異常放電が発生したことを検知する異常放電検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の半導体製造装置のイオン注入機の要部を示すブロック図である。図6において、このイオン注入機では、イオンビームIBは円筒状のサプレッサ電極51内を通過してターゲット52に照射される。サプレッサ電極51およびターゲット52は真空容器内に配置されている。サプレッサ電源53は、サプレッサ電極51に負電圧を印加する。イオン注入中にターゲット52から放出された2次電子は、サプレッサ電極51からの電界によってターゲット52側に戻される。
【0003】
サプレッサ電極51で異常放電が発生すると、サプレッサ電源53の出力電圧が小さくなる。AM(アナログメータ)リレー54は、サプレッサ電源53の出力電圧が所定値以下になったことに応じて、異常検出信号φ54を活性化レベルの「H」レベルにする。制御装置(図示せず)は、異常検出信号φ54が活性化レベルの「H」レベルにされたことに応じて、イオン注入を停止する。
【0004】
サプレッサ電極51で異常放電が発生したときにイオン注入を停止させるのは、異常放電による熱エネルギによってアルミニウム製のサプレッサ電極51の一部が溶融し、発生した異物がターゲット52に付着し、不良品が発生してしまうからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のイオン注入機では、異常放電によるサプレッサ電源53の出力電圧の減少時間が10ms程度と短いので、応答速度が数百ms程度(50Vの減少を検出する場合)のAMリレー54で異常放電を検知することは容易でなかった。
【0006】
このため、イオン注入の終了後に別の検査装置でターゲット52に異物が付着しているかどうかを抜取り検査することが必要になっていた。また、抜取り検査によって異物が付着したターゲット52が発見された場合は、そのターゲット52と同じ条件でイオン注入された全ターゲット52を検査しなければならず、検査工数が莫大になるという問題があった。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、異常放電の発生を確実に検知することが可能な異常放電検知装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る異常放電検知装置は、低圧容器内に設けられた電極で異常放電が発生したことを検知する異常放電検知装置であって、交流電圧を全波整流して直流電圧を生成し、その直流電圧を電極に印加する直流電源と、直流電圧を予め定められた周期でサンプリングするサンプリング回路と、サンプリング回路によってサンプリングされた直流電圧が予め定められたしきい値電圧を超えたことに応じて、電極で異常放電が発生したと判定する判定回路とを備えたものである。
【0009】
好ましくは、さらに、直流電圧を分圧してモニタ電圧を生成する分圧回路が設けられる。サンプリング回路は、直流電圧の代わりにモニタ電圧をサンプリングする。
【0010】
また好ましくは、判定回路のしきい値電圧および分圧回路の分圧比は変更可能になっている。
【0011】
また好ましくは、判定回路は、電極で異常放電が発生したことに応じて直流電源を非活性化させる。
【0012】
また好ましくは、電極は、イオンビーム照射装置においてターゲットから放出された2次電子をターゲット側に戻すためのサプレッサ電極である。直流電圧は負極性である。
【0013】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による半導体製造装置のイオン注入機の要部を示すブロック図である。
【0014】
図1において、このイオン注入機では、イオンビームIBは円筒状のサプレッサ電極1内を通過してターゲット2に照射される。サプレッサ電源3は、サプレッサ電極1に負電圧を印加する。サプレッサ電極1およびターゲット2は、真空容器内に配置されている。イオン注入中にターゲット2から放出された2次電子は、サプレッサ電極1からの電界によってターゲット2側に戻される。
【0015】
サプレッサ電極1で異常放電が発生すると、サプレッサ電源3の出力電圧が小さくなる。AMリレー4は、サプレッサ電源3の出力電圧が所定値以下になったことに応じて、異常検出信号φ4を活性化レベルの「H」レベルにする。DM(デジタルメータ)リレー5は、10ms以下の所定周期(たとえば7ms)でサプレッサ電源3の出力電圧をサンプリングし、サンプリングした電圧が所定値以下であることに応じて、異常検出信号φ5を活性化レベルの「H」レベルにする。制御装置(図示せず)は、異常検出信号φ4,φ5のうちの少なくとも1つの信号が活性化レベルの「H」レベルにされたことに応じて、イオン注入を停止させる。
【0016】
このイオン注入機は、サプレッサ電極1で発生した異常放電を確実に検出することができる。以下、その理由について説明する。図2は、図1に示したサプレッサ電源3の要部を示す回路図である。図2において、サプレッサ電源3は、商用周波数60Hzの交流電圧を変圧して430Vの交流電圧を出力する交流電源10と、交流電源10の出力電圧を全波整流するブリッジ接続された4つのダイオード11〜14と、ダイオード11〜14で生成された電圧を平滑化する抵抗素子15およびコンデンサ16とを含む。負電圧端子T1はサプレッサ電極1に接続され、基準電圧端子T2はファラデー部(シールド部)17に接続される。
【0017】
4つのダイオード11〜14からなる全波整流回路の電流供給能力は、1/60・2≒8.33msごとに0になる。したがって異常放電が発生した場合、図3に示すように、サプレッサ電源3の出力電圧が減少して8.33ms以内に放電が消滅する。放電が消滅した後、サプレッサ電源3の出力電圧が回復する速さは、サプレッサ電源3内のRC時定数で決定される。たとえば、抵抗素子15の抵抗値Rを5Kオームとし、コンデンサ16の容量値Cを2μFとすると、R・C=10msとなる。この場合は、サプレッサ電源3の出力電圧が、電圧の減少開始から10msで回復する。したがって、サプレッサ電源3の出力電圧を10ms以下の周期でサンプリングし、サンプリングした電圧が所定のしきい値を超えたことを検出することにより、異常放電の発生を確実に検出することができる。
【0018】
なお、10ms程度の周期で高速にサンプリングすることが可能な回路であれば、DMリレー5以外の回路を用いてもよいことは言うまでもない。
【0019】
[実施の形態2]
図4は、この発明の実施の形態2による半導体製造装置のイオン注入機の要部を示す断面図である。図4において、このイオン注入機では、イオンビームIBは、スリット21、リング状のサプレッサ電極22およびイオンビーム導入管23を介してイオン注入室24に照射される。イオン注入室24には、イオンビーム導入管23と直交する方向にターゲット導入管25が設けられている。ターゲット導入管25はイオン注入室24を貫通している。ターゲット導入管25の両端部には、それぞれ筒状のサプレッサ電極26,27が設けられている。
【0020】
ターゲット(たとえばシリコンウェハ)29は、アーム28の先端部にイオンビーム源(図示せず)側に向けて搭載される。アーム28は、イオン注入室24、ターゲット導入管25およびサプレッサ電極26,27内をターゲット導入管25の軸方向に移動可能に設けられている。少なくともサプレッサ電極22,26,27およびターゲット29の間の空間は真空に保持される。
【0021】
アーム28が駆動されてターゲット29がイオン注入室24内に配置され、イオンビームIBが照射されると、ターゲット29にイオンが注入される。サプレッサ電極22,26,27にはそれぞれ所定の負電圧V1(−600V),V2(−100V),V3(−100V)が印加される。イオン注入中にターゲット29から放出された2次電子は、サプレッサ電極22,26,27からの電界によってターゲット29側に戻される。
【0022】
図5は、図4に示した負電圧V1の生成に関連する部分を示す回路ブロック図である。図5において、このイオン注入機は、制御装置31、スイッチ32、サプレッサ電源33、AMリレー34、分圧回路35、可変抵抗素子36、DMリレー37、およびランプ38を備える。
【0023】
制御装置31は、所定のタイミングでサプレッサ電源33およびDMリレー37の各々を制御するとともに、AMリレー34およびDMリレー37からの異常検出信号φ34,φ37のうちの少なくとも1つの信号が活性化レベルの「H」レベルにされたことに応じてサプレッサ電源33およびイオンビーム源(図示せず)を非活性化させる。スイッチ32がオンされた場合は異常放電検出機能は働かず、異常放電が発生した場合でもサプレッサ電源33およびイオンビーム源は非活性化されない。
【0024】
サプレッサ電源33は、制御装置31によって制御され、60Hzの商用交流電圧を変圧、全波整流および平滑化して負電圧V1(−600V)を生成し、サプレッサ電極22に印加する。AMリレー34は、負電圧V1が所定値(たとえば−550V)よりも高くなったことに応じて異常検出信号φ34を活性化レベルの「H」レベルにする。ただし、従来技術の欄でも述べたとおり、AMリレー34の応答速度は遅い。
【0025】
分圧回路35は、負電圧V1(−600V)を分圧してモニタ電圧VM(−4.2V)を生成し、DMリレー37に与える。分圧回路35の分圧比VM/V1は、可変抵抗素子36の抵抗値を変えることによって変更可能になっている。モニタ電圧VMのレベルを変えることによって異常放電の有無の判定のSN比を調整することができる。
【0026】
DMリレー37は、制御装置31によって活性化/非活性化が制御され、分圧回路35の出力電圧VMを10ms以下の所定の周期(たとえば7ms)でサンプリングし、サンプリングした電圧が許容範囲を外れたことに応じて異常検出信号φ37を活性化レベルの「H」レベルにする。VMの許容範囲の上限値VH(たとえば−4.0V)および下限値VL(たとえば−4.4V)は外部から印加および変更可能になっている。ランプ38は、異常検出信号φ37の活性化レベルの「H」レベルにされたことに応じて点灯し、3つのサプレッサ電極22,26,27のうちのサプレッサ電極22で異常放電が発生したことを報知する。
【0027】
サプレッサ電極26,27に印加する負電圧V2,V3(−100V)も、負電圧V1と同様に生成、モニタおよび制御される。ただし、V2,V3のモニタ電圧VMは、たとえば−2Vに設定され、VH,VLはそれぞれ−1.8V,−2.2Vに設定される。
【0028】
この実施の形態2でも、DMリレー37でサプレッサ電源33の出力電圧を高速でサンプリングし判定するので、サプレッサ電極22,26,27で発生した異常放電を確実に検出することができる。したがって、ターゲット29の異物検査の工数を削減することができる。
【0029】
なお、この実施の形態2では、DMリレー37でモニタ電圧37が許容範囲を外れたか否かを判定したが、DMリレー37でサンプリングした電圧が許容範囲を外れたか否かを制御装置31で判定してもよい。
【0030】
また、以上の実施の形態1,2では、この発明が半導体製造装置のイオン注入機に適用された場合について説明したが、これに限るものではなく、イオンビーム分析装置のようなイオンビーム応用装置であればどのような装置にも適用可能であることは言うまでもない。また、イオンビーム応用装置に限らず、交流を全波整流して電極に供給し、異常放電が発生したときに電極の電圧が低下するようないかなる装置にも適用可能である。
【0031】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係る異常放電検知装置は、低圧容器内に設けられた電極で異常放電が発生したことを検知するものである。この異常放電検知装置では、交流電圧を全波整流して直流電圧を生成し、その直流電圧を電極に印加する直流電源と、直流電圧を予め定められた周期でサンプリングするサンプリング回路と、サンプリング回路によってサンプリングされた直流電圧が予め定められたしきい値電圧を超えたことに応じて、電極で異常放電が発生したと判定する判定回路とが設けられる。したがって、異常放電が生じた場合は、直流電圧が小さくなって放電が消えた後に直流電圧が元に戻るので、所定周期でサンプリングした直流電圧が予め定められた値を超えたことに応じて異常放電が発生したと判定することにより、異常放電の発生を確実に検知することができる。
【0033】
好ましくは、さらに、直流電圧を分圧してモニタ電圧を生成する分圧回路が設けられ、サンプリング回路は直流電圧の代わりにモニタ電圧をサンプリングする。この場合は、直流電圧のサンプリングおよび判定を容易に行なうことができる。
【0034】
また好ましくは、判定回路のしきい値電圧および分圧回路の分圧比は変更可能になっている。この場合は、判定の制度の向上を図ることができる。
【0035】
また好ましくは、判定回路は、電極で異常放電が発生したことに応じて直流電源を非活性化させる。この場合は、異常放電の熱エネルギによって電極が溶融されることを防止することができる。
【0036】
また好ましくは、電極は、イオンビームの照射装置においてターゲットから放出された2次電子をターゲット側に戻すためのサプレッサ電極であり、直流電圧は負極性である。この発明は、この場合に特に有効となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による半導体製造装置のイオン注入機の要部を示すブロック図である。
【図2】図1に示したサプレッサ電源の構成を示す回路図である。
【図3】図1および図2に示したイオン注入機の動作を示すタイムチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2による半導体製造装置のイオン注入機の要部を示す断面図である。
【図5】図4に示したサプレッサ電極22に印加する負電圧V1の生成に関連する部分の構成を示す回路ブロック図である。
【図6】従来の半導体製造装置のイオン注入機の要部を示すブロック図である。
【符号の説明】
IB イオンビーム、1,22,26,27,53 サプレッサ電極、2,29,52 ターゲット、3,33,53 サプレッサ電源、4,34,54 AMリレー、5,37 DMリレー、10 交流電源、11〜14 ダイオード、15 抵抗素子、16 コンデンサ、17 ファラデー部、21 スリット、23 イオンビーム導入管、24 イオン注入室、25 ターゲット導入管、28アーム、31 制御装置、32 スイッチ、35 分圧回路、36 可変抵抗素子。
Claims (5)
- 低圧容器内に設けられた電極で異常放電が発生したことを検知する異常放電検知装置であって、
交流電圧を全波整流して直流電圧を生成し、該直流電圧を前記電極に印加する直流電源、
前記直流電圧を予め定められた周期でサンプリングするサンプリング回路、および
前記サンプリング回路によってサンプリングされた直流電圧が予め定められたしきい値電圧を超えたことに応じて、前記電極で異常放電が発生したと判定する判定回路を備える、異常放電検知装置。 - さらに、前記直流電圧を分圧してモニタ電圧を生成する分圧回路を備え、
前記サンプリング回路は、前記直流電圧の代わりに前記モニタ電圧をサンプリングする、請求項1に記載の異常放電検知装置。 - 前記判定回路のしきい値電圧および前記分圧回路の分圧比は変更可能になっている、請求項2に記載の異常放電検知装置。
- 前記判定回路は、前記電極で異常放電が発生したことに応じて前記直流電源を非活性化させる、請求項1から請求項3のいずれかに記載の異常放電検知装置。
- 前記電極は、イオンビーム照射装置においてターゲットから放出された2次電子をターゲット側に戻すためのサプレッサ電極であり、
前記直流電圧は負極性である、請求項1から請求項4のいずれかに記載の異常放電検知装置。
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2002
- 2002-07-26 JP JP2002218059A patent/JP2004063194A/ja not_active Withdrawn
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