JP2004063079A - El素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】積層して設けた複数の発光層を択一的に発光させたときに、各発光層の発光色の差異を明確にしてシャープに視認できるようにする。
【解決手段】透明電極2と背面電極8との間に透明な中間電極5を設ける。透明電極2と中間電極5との間、及び中間電極5と背面電極8との間に、発光層3または6と絶縁層4または7を設けて発光面側のELシートAと背面側のELシートBとする。駆動回路9Aは、隣り合う1対の電極間に電位差を生じさせて発光層3または6を択一的に発光させるもので、切換スイッチ19A,29Aを設ける。両切換スイッチを接点aに接続すると、中間電極5と背面電極8との間に交流電源Eによる電位差を生じて発光層6が発光し、透明電極2は中間電極5と同電位となる。両切換スイッチを接点bに切り換えると、透明電極2と中間電極5との間に電位差を生じて発光層3が発光し、背面電極8は中間電極5と同電位となる。
【選択図】 図1
【解決手段】透明電極2と背面電極8との間に透明な中間電極5を設ける。透明電極2と中間電極5との間、及び中間電極5と背面電極8との間に、発光層3または6と絶縁層4または7を設けて発光面側のELシートAと背面側のELシートBとする。駆動回路9Aは、隣り合う1対の電極間に電位差を生じさせて発光層3または6を択一的に発光させるもので、切換スイッチ19A,29Aを設ける。両切換スイッチを接点aに接続すると、中間電極5と背面電極8との間に交流電源Eによる電位差を生じて発光層6が発光し、透明電極2は中間電極5と同電位となる。両切換スイッチを接点bに切り換えると、透明電極2と中間電極5との間に電位差を生じて発光層3が発光し、背面電極8は中間電極5と同電位となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子のバックライト等に用いられるEL素子に関するもので、特に発光層が複数積層して配置されているEL素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のEL素子では、図5(a)(b)に示すように、透明基板10上の透明電極20上に、発光層30と絶縁層40と透明電極50とを積層して第1のELシートAを構成し、透明電極50上に、発光層60と絶縁層70と背面電極80とを積層して第2のELシートBを構成している。第1のELシートAと第2のELシートBとを択一的に発光させる駆動回路90は、図5(a)に示すように、切換スイッチ90Aを操作して接点aに接続させ、背面電極80と透明電極50間に電位差を生じさせることにより第2のELシートBの発光層60を発光させる。図5(b)に示すように、切換スイッチ90Aを操作して接点bに切り換え、透明電極50と透明電極20間に電位差を生じさせることにより第1のELシートAの発光層30を発光させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記の従来構成では、第2のELシートBの発光層60を発光させた場合でも、透明電極50と透明電極20間には電位差が発生し、この電位差により第1のELシートAの発光層30が発光してしまう。または、第1のELシートAの発光層30を発光させた場合でも、背面電極80と透明電極50間には電位差が発生し、この電位差により第2のELシートBの発光層60が発光してしまう。この発光によって、第1のELシートAと第2のELシートBの発光時における発光色の差異が減じてしまう傾向があった。
【0004】
本発明は、発光層が複数積層して配置されているEL素子において、各発光層毎の発光時にその発光色の差異を明確にして、各発光層の発光色をシャープに視認できるものにする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のEL素子は、透明電極と背面電極との間に少なくとも1つの透明な中間電極を有するとともにこれらの各電極間にそれぞれ発光層を有するELシートと、前記各電極のうち隣り合う1対の電極間に択一的に電位差を生じさせて当該電極間の発光層を発光させる駆動回路とを具備している。前記駆動回路は、前記各電極のうち隣り合う1対の電極間に択一的に電位差を生じさせる切換スイッチが設けられており、前記切換スイッチは、前記1対の電極間に電位差を生じさせたときに、前記1対の電極以外の電極と前記1対の電極の一方の電極とを同電位とすることを特徴としている。この構成によって、発光状態にある発光層以外の発光層が発光することがなくなり、各発光層の発光色の差異をシャープに視認できるものとなる。
【0006】
前記切換スイッチは、前記1対の電極間に電位差を生じさせたときに、前記各電極のうち前記1対の電極よりも発光面側に位置する電極と前記1対の電極の一方の電極とを同電位とすることが好ましい。
【0007】
前記切換スイッチは、前記各発光層に対応して複数設けられており、これらは前記1対の電極間に電位差を生じさせたときに前記1対の電極以外の電極と前記1対の電極の一方の電極とを同電位とするように連動することが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0009】
本発明のEL素子は、図1(a)(b)に示すように、透明基板1の上面に形成されている透明電極2と背面電極8との間に、透明な中間電極5を設けている。透明電極2と中間電極5との間、及び中間電極5と背面電極8との間には、それぞれ発光層3と絶縁層4、及び発光層6と絶縁層7を有する発光面側のELシートAと背面側のELシートBとを設けてある。
【0010】
発光面を構成する透明基板1は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネイト等で作られたフィルムであり、その上に形成されている透明電極2は、インジウム−錫酸化物(以下、「ITO」)を蒸着して形成したものである。また、ITOの針状結晶を樹脂に分散させたペースト状の透光性導電インクを塗布して硬化させて形成してもよい。
【0011】
発光層3は、透明電極2の上面に発光インクを印刷することにより形成される。発光インクを構成する蛍光体としては、Cuをドープした硫化亜鉛(ZnS)を用い、この蛍光体に窒化物がコーティングされている。発光インクは、窒化物コーティングした蛍光体と、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンの共重合体を溶剤としてのメチルエチルケトンに溶かしたフッ素樹脂バインダーとを混合して攪拌して発光インクを作る。この発光インクをスクリーン印刷法等の方法によって透明電極2の上面に印刷し、その後加熱し乾燥させて発光層3を形成する。この発光層3は、ブルーグリーンまたはホワイト等の薄い色の発光色で発光するものが望ましく、ブルーグリーンの発光色のものは、硫化亜鉛に銅が含有された発光体を用いる。また、ホワイトの発光色のものは、硫化亜鉛に銅とマンガンとが含有された発光体と、硫化亜鉛に銅が含有された発光体とを混合した発光体を用いる。
【0012】
絶縁層4は、発光層3の上面に形成される。絶縁層4を形成するインクは、チタン酸バリウム(BaTiO3 )からなる高誘電体物質と、前記のフッ素樹脂バインダーとを混合して攪拌することによって作る。このインクを用いて、前記の発光層3の形成と同様な方法により絶縁層4を形成する。
【0013】
中間電極5は、絶縁層4の上面にインジウム−錫酸化物(以下、「ITO」)を蒸着して形成したものである。また、この中間電極5はITOの針状結晶を樹脂に分散させたペースト状の透光性導電インクを塗布して硬化させて形成してもよい。
【0014】
このように、透明電極2と、発光層3と、絶縁層4と、中間電極5とを積層して発光面側のELシートAが構成される。
【0015】
更に中間電極5の上面に前記と同様に発光インクを印刷することにより発光層6を形成する。この発光層6は、オレンジ色の発光色で発光するものが望ましく、発光インクを構成する蛍光体としては、硫化亜鉛に銅とマンガンとが含有された発光体を用い、その他については前記の発光層3の場合と同様である。またこの蛍光体に蛍光顔料を加えた発光体を用いても良く、この場合、蛍光体の発した光を蛍光顔料分子が吸収して両者のスペクトルを合成した形に光るものである。
【0016】
絶縁層7は、発光層6の上面に、前記と同様のインクを用い、前記と同様な方法により形成される。
【0017】
背面電極8は、絶縁層7の上面にカーボンインクを印刷し、加熱し乾燥することによって形成される。カーボンインクは、導電体であるカーボン粉とバインダーとしてのポリエステル樹脂とを混合して形成されている。なお、この背面電極8は、カーボン粉と銀粉及び銅粉とバインダーであるポリエステル樹脂とによって構成したものでも良い。
【0018】
このように、中間電極5と、発光層6と、絶縁層7と、背面電極8とを積層して背面側のELシートBが構成される。
【0019】
各ELシートA及びBの発光層3及び6を択一的に発光させる駆動回路9Aについて説明する。駆動回路9Aは、電極のうち隣り合う1対の電極間に択一的に電位差を生じさせて当該電極間の発光層を発光させるためのものであり、発光層3及び6に対応して切換スイッチ19A及び29Aが設けてある。切換スイッチ19A,29Aは、1対の電極間に電位差を生じさせたときに、この1対の電極以外の電極とこの1対の電極の一方の電極とを同電位とするものである。即ち、発光面側のELシートAの発光層3に対応する切換スイッチ19Aと、背面側のELシートBの発光層6に対応する切換スイッチ29Aのそれぞれの切換接片の一端は、透明電極2と背面電極8にそれぞれ接続され、切換接片の他端は、両切換スイッチ19A,29Aが連動して、接点aまたは接点bに択一的に切り換え可能である。交流電源Eの一方の端子は中間電極5に接続してあるとともに、切換スイッチ19Aの接点a及び切換スイッチ29Aの接点bにそれぞれ接続してある。交流電源Eの他方の端子は、切換スイッチ19Aの接点b及び切換スイッチ29Aの接点aにそれぞれ接続してある。
【0020】
このような駆動回路9Aによると、図1(a)のように、切換スイッチ19A,29Aがそれぞれの接点aに接続されたときには、中間電極5と背面電極8との間に交流電源Eによる電位差を生じるので、発光層6が発光して背面側のELシートBが発光する。このとき切換スイッチ19Aの接点aは交流電源Eの一方の端子に結線してあるので、透明電極2は中間電極5と同電位となり電位差を生じないので、発光層3が発光することはなく、発光層6の発光色で濁りなく発光する。
【0021】
また、図1(b)のように、切換スイッチ19A,29Aがそれぞれの接点bに切り換えられたときには、透明電極2と中間電極5との間に交流電源Eによる電位差を生じるので、発光層3が発光して発光面側のELシートAが発光する。このとき切換スイッチ29Aの接点bは交流電源Eの一方の端子に結線してあるので、背面電極8は中間電極5と同電位となり電位差を生じないので、発光層6が発光することはなく、発光層3の発光色で濁りなく発光することになる。このように切換スイッチ19A,29Aを接点aまたは接点bに切り換えることによって、発光層3と発光層6とが択一的に発光され、両発光層の発光色の差異が鮮明に表れる。
【0022】
図2(a)(b)に駆動回路の実施の他の形態を示している。通常、背面側のELシートBの発光層6を発光させたときには、発光面側のELシートAの発光層3の状態が発光色の差異に及ぼす影響は大きいが、この逆に、発光面側のELシートAを発光させた時には、背面側のELシートBの発光層6の状態が発光色に及ぼす影響は小さい。そこで、駆動回路9Bでは、交流電源Eの一方の端子と切換スイッチ29Bの接点bとの結線を省略している。
【0023】
このように構成すると、図2(a)のように、両切換スイッチ19B,29Bを連動してそれぞれの接点aに切り換えて、中間電極5と背面電極8間に電位差を生じさせ、背面側のELシートBの発光層6を発光させたときには、交流電源Eの一方の端子と切換スイッチ19Bの接点aとの間が結線されているので、発光面側に位置する透明電極2は中間電極5と同電位となる。このために発光層3が発光することはなく、発光層6の発光色で濁りなく発光する。
【0024】
これに対して、図2(b)のように、逆に両切換スイッチを連動してそれぞれの接点bに切り換えて、透明電極2と中間電極5間に電位差を生じさせ、発光面側のELシートAの発光層3を発光させたときには、交流電源Eの一方の端子と切換スイッチ29Bの接点bとの間が結線されていないので、背面電極8は中間電極5と同電位にはならず、このために発光層6が発光するが、発光層6は背面側に位置しているので発光層3の発光色に影響を与える度合いは極めて小さく、発光層3の発光色で濁り無く発光する。
【0025】
図1及び図2では、透明電極と背面電極との間に1枚の透明な中間電極を設けることにより、発光面側と背面側との2層のELシートを積層形成している。しかしこれに限られるものでなく、複数の透明な中間電極を設けてもよい。図3及び図4には、2枚の中間電極を設けることにより、3層のELシートを積層形成したものを示している。即ち、透明電極2と背面電極8との間に、中間電極15と5とを設けている。透明電極2と中間電極15との間、中間電極15と中間電極5との間、及び中間電極5と背面電極8との間に、前記と同様な発光層3と絶縁層4、発光層16と絶縁層17、及び発光層6と絶縁層7をそれぞれ設け、発光面側のELシートA、中間位置のELシートC、及び背面側のELシートBの3層のELシートを積層形成している。
【0026】
図4にその駆動回路9Cを示している。発光層3に対応して切換スイッチ19C,19D、発光層16に対応して切換スイッチ39C,39D、及び発光層6に対応して切換スイッチ29C,29Dが設けてある。各切換スイッチは3つの接点a,b,cに連動して切り換えが可能である。
【0027】
したがって全ての切換スイッチが接点aに接続されたときには、中間電極5と背面電極8間に電位差を生じ、図3(a)のように背面側のELシートBの発光層6が発光し、中間電極15と透明電極2とは中間電極5と同電位になり、発光層16および発光層3が発光することはない。また、全ての切換スイッチが連動して接点bに切り換えられたときには、中間電極5と中間電極15間に電位差を生じ、図3(b)のように中間位置のELシートCの発光層16が発光する。このとき透明電極2は中間電極15と同電位になり、発光層3が発光することはなく、背面電極8は中間電極5と同電位になり、発光層6が発光することはない。また、全ての切換スイッチが連動して接点cに切り換えられたときには、透明電極2と中間電極15間に電位差を生じ、図3(c)のように発光面側のELシートAの発光層3が発光し、中間電極5と背面電極8とは中間電極15と同電位になり、発光層16および発光層6が発光することはない。
【0028】
各ELシートの厚みを薄く形成することにより、更に多くのELシートを積層形成することが可能であり、この場合にも駆動回路を前記と同様に作用するように構成することは容易である。
【0029】
【発明の効果】
このように本発明によれば、1対の電極間に電位差を生じさせたときに、この1対の電極以外の電極とこの1対の電極の一方の電極とを同電位とする切換スイッチを設けているので、複数を積層して設けてある各発光層を択一的に発光させたときに各発光層の発光色の差異を明確にでき、各発光層の発光色をシャープに視認できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示し、(a)は駆動回路の切換スイッチを一方の接点に切り換えた状態、(b)は切換スイッチを他方の接点に切り換えた状態の断面図である。
【図2】本発明の実施の他の形態を示し、(a)は駆動回路の切換スイッチを一方の接点に切り換えた状態、(b)は切換スイッチを他方の接点に切り換えた状態の断面図である。
【図3】本発明の実施の更に他の形態を示し、(a)は駆動回路の切換スイッチを一方の接点に切り換えた状態、(b)は駆動回路の切換スイッチを中間の接点に切り換えた状態、(c)は切換スイッチを他方の接点に切り換えた状態の断面図である。
【図4】図3の駆動回路を拡大して示した結線図である。
【図5】従来の例を示し、(a)は駆動回路の切換スイッチを一方の接点に切り換えた状態、(b)は切換スイッチを他方の接点に切り換えた状態の断面図である。
【符号の説明】
2 透明電極
3,6,16 発光層
5,15 中間電極
8 背面電極
9A,9B,9C 駆動回路
19A,19B,19C,19D 切換スイッチ
29A,29B,29C,29D 切換スイッチ
39C,39D 切換スイッチ
A,B,C ELシート
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子のバックライト等に用いられるEL素子に関するもので、特に発光層が複数積層して配置されているEL素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のEL素子では、図5(a)(b)に示すように、透明基板10上の透明電極20上に、発光層30と絶縁層40と透明電極50とを積層して第1のELシートAを構成し、透明電極50上に、発光層60と絶縁層70と背面電極80とを積層して第2のELシートBを構成している。第1のELシートAと第2のELシートBとを択一的に発光させる駆動回路90は、図5(a)に示すように、切換スイッチ90Aを操作して接点aに接続させ、背面電極80と透明電極50間に電位差を生じさせることにより第2のELシートBの発光層60を発光させる。図5(b)に示すように、切換スイッチ90Aを操作して接点bに切り換え、透明電極50と透明電極20間に電位差を生じさせることにより第1のELシートAの発光層30を発光させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記の従来構成では、第2のELシートBの発光層60を発光させた場合でも、透明電極50と透明電極20間には電位差が発生し、この電位差により第1のELシートAの発光層30が発光してしまう。または、第1のELシートAの発光層30を発光させた場合でも、背面電極80と透明電極50間には電位差が発生し、この電位差により第2のELシートBの発光層60が発光してしまう。この発光によって、第1のELシートAと第2のELシートBの発光時における発光色の差異が減じてしまう傾向があった。
【0004】
本発明は、発光層が複数積層して配置されているEL素子において、各発光層毎の発光時にその発光色の差異を明確にして、各発光層の発光色をシャープに視認できるものにする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のEL素子は、透明電極と背面電極との間に少なくとも1つの透明な中間電極を有するとともにこれらの各電極間にそれぞれ発光層を有するELシートと、前記各電極のうち隣り合う1対の電極間に択一的に電位差を生じさせて当該電極間の発光層を発光させる駆動回路とを具備している。前記駆動回路は、前記各電極のうち隣り合う1対の電極間に択一的に電位差を生じさせる切換スイッチが設けられており、前記切換スイッチは、前記1対の電極間に電位差を生じさせたときに、前記1対の電極以外の電極と前記1対の電極の一方の電極とを同電位とすることを特徴としている。この構成によって、発光状態にある発光層以外の発光層が発光することがなくなり、各発光層の発光色の差異をシャープに視認できるものとなる。
【0006】
前記切換スイッチは、前記1対の電極間に電位差を生じさせたときに、前記各電極のうち前記1対の電極よりも発光面側に位置する電極と前記1対の電極の一方の電極とを同電位とすることが好ましい。
【0007】
前記切換スイッチは、前記各発光層に対応して複数設けられており、これらは前記1対の電極間に電位差を生じさせたときに前記1対の電極以外の電極と前記1対の電極の一方の電極とを同電位とするように連動することが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0009】
本発明のEL素子は、図1(a)(b)に示すように、透明基板1の上面に形成されている透明電極2と背面電極8との間に、透明な中間電極5を設けている。透明電極2と中間電極5との間、及び中間電極5と背面電極8との間には、それぞれ発光層3と絶縁層4、及び発光層6と絶縁層7を有する発光面側のELシートAと背面側のELシートBとを設けてある。
【0010】
発光面を構成する透明基板1は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネイト等で作られたフィルムであり、その上に形成されている透明電極2は、インジウム−錫酸化物(以下、「ITO」)を蒸着して形成したものである。また、ITOの針状結晶を樹脂に分散させたペースト状の透光性導電インクを塗布して硬化させて形成してもよい。
【0011】
発光層3は、透明電極2の上面に発光インクを印刷することにより形成される。発光インクを構成する蛍光体としては、Cuをドープした硫化亜鉛(ZnS)を用い、この蛍光体に窒化物がコーティングされている。発光インクは、窒化物コーティングした蛍光体と、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンの共重合体を溶剤としてのメチルエチルケトンに溶かしたフッ素樹脂バインダーとを混合して攪拌して発光インクを作る。この発光インクをスクリーン印刷法等の方法によって透明電極2の上面に印刷し、その後加熱し乾燥させて発光層3を形成する。この発光層3は、ブルーグリーンまたはホワイト等の薄い色の発光色で発光するものが望ましく、ブルーグリーンの発光色のものは、硫化亜鉛に銅が含有された発光体を用いる。また、ホワイトの発光色のものは、硫化亜鉛に銅とマンガンとが含有された発光体と、硫化亜鉛に銅が含有された発光体とを混合した発光体を用いる。
【0012】
絶縁層4は、発光層3の上面に形成される。絶縁層4を形成するインクは、チタン酸バリウム(BaTiO3 )からなる高誘電体物質と、前記のフッ素樹脂バインダーとを混合して攪拌することによって作る。このインクを用いて、前記の発光層3の形成と同様な方法により絶縁層4を形成する。
【0013】
中間電極5は、絶縁層4の上面にインジウム−錫酸化物(以下、「ITO」)を蒸着して形成したものである。また、この中間電極5はITOの針状結晶を樹脂に分散させたペースト状の透光性導電インクを塗布して硬化させて形成してもよい。
【0014】
このように、透明電極2と、発光層3と、絶縁層4と、中間電極5とを積層して発光面側のELシートAが構成される。
【0015】
更に中間電極5の上面に前記と同様に発光インクを印刷することにより発光層6を形成する。この発光層6は、オレンジ色の発光色で発光するものが望ましく、発光インクを構成する蛍光体としては、硫化亜鉛に銅とマンガンとが含有された発光体を用い、その他については前記の発光層3の場合と同様である。またこの蛍光体に蛍光顔料を加えた発光体を用いても良く、この場合、蛍光体の発した光を蛍光顔料分子が吸収して両者のスペクトルを合成した形に光るものである。
【0016】
絶縁層7は、発光層6の上面に、前記と同様のインクを用い、前記と同様な方法により形成される。
【0017】
背面電極8は、絶縁層7の上面にカーボンインクを印刷し、加熱し乾燥することによって形成される。カーボンインクは、導電体であるカーボン粉とバインダーとしてのポリエステル樹脂とを混合して形成されている。なお、この背面電極8は、カーボン粉と銀粉及び銅粉とバインダーであるポリエステル樹脂とによって構成したものでも良い。
【0018】
このように、中間電極5と、発光層6と、絶縁層7と、背面電極8とを積層して背面側のELシートBが構成される。
【0019】
各ELシートA及びBの発光層3及び6を択一的に発光させる駆動回路9Aについて説明する。駆動回路9Aは、電極のうち隣り合う1対の電極間に択一的に電位差を生じさせて当該電極間の発光層を発光させるためのものであり、発光層3及び6に対応して切換スイッチ19A及び29Aが設けてある。切換スイッチ19A,29Aは、1対の電極間に電位差を生じさせたときに、この1対の電極以外の電極とこの1対の電極の一方の電極とを同電位とするものである。即ち、発光面側のELシートAの発光層3に対応する切換スイッチ19Aと、背面側のELシートBの発光層6に対応する切換スイッチ29Aのそれぞれの切換接片の一端は、透明電極2と背面電極8にそれぞれ接続され、切換接片の他端は、両切換スイッチ19A,29Aが連動して、接点aまたは接点bに択一的に切り換え可能である。交流電源Eの一方の端子は中間電極5に接続してあるとともに、切換スイッチ19Aの接点a及び切換スイッチ29Aの接点bにそれぞれ接続してある。交流電源Eの他方の端子は、切換スイッチ19Aの接点b及び切換スイッチ29Aの接点aにそれぞれ接続してある。
【0020】
このような駆動回路9Aによると、図1(a)のように、切換スイッチ19A,29Aがそれぞれの接点aに接続されたときには、中間電極5と背面電極8との間に交流電源Eによる電位差を生じるので、発光層6が発光して背面側のELシートBが発光する。このとき切換スイッチ19Aの接点aは交流電源Eの一方の端子に結線してあるので、透明電極2は中間電極5と同電位となり電位差を生じないので、発光層3が発光することはなく、発光層6の発光色で濁りなく発光する。
【0021】
また、図1(b)のように、切換スイッチ19A,29Aがそれぞれの接点bに切り換えられたときには、透明電極2と中間電極5との間に交流電源Eによる電位差を生じるので、発光層3が発光して発光面側のELシートAが発光する。このとき切換スイッチ29Aの接点bは交流電源Eの一方の端子に結線してあるので、背面電極8は中間電極5と同電位となり電位差を生じないので、発光層6が発光することはなく、発光層3の発光色で濁りなく発光することになる。このように切換スイッチ19A,29Aを接点aまたは接点bに切り換えることによって、発光層3と発光層6とが択一的に発光され、両発光層の発光色の差異が鮮明に表れる。
【0022】
図2(a)(b)に駆動回路の実施の他の形態を示している。通常、背面側のELシートBの発光層6を発光させたときには、発光面側のELシートAの発光層3の状態が発光色の差異に及ぼす影響は大きいが、この逆に、発光面側のELシートAを発光させた時には、背面側のELシートBの発光層6の状態が発光色に及ぼす影響は小さい。そこで、駆動回路9Bでは、交流電源Eの一方の端子と切換スイッチ29Bの接点bとの結線を省略している。
【0023】
このように構成すると、図2(a)のように、両切換スイッチ19B,29Bを連動してそれぞれの接点aに切り換えて、中間電極5と背面電極8間に電位差を生じさせ、背面側のELシートBの発光層6を発光させたときには、交流電源Eの一方の端子と切換スイッチ19Bの接点aとの間が結線されているので、発光面側に位置する透明電極2は中間電極5と同電位となる。このために発光層3が発光することはなく、発光層6の発光色で濁りなく発光する。
【0024】
これに対して、図2(b)のように、逆に両切換スイッチを連動してそれぞれの接点bに切り換えて、透明電極2と中間電極5間に電位差を生じさせ、発光面側のELシートAの発光層3を発光させたときには、交流電源Eの一方の端子と切換スイッチ29Bの接点bとの間が結線されていないので、背面電極8は中間電極5と同電位にはならず、このために発光層6が発光するが、発光層6は背面側に位置しているので発光層3の発光色に影響を与える度合いは極めて小さく、発光層3の発光色で濁り無く発光する。
【0025】
図1及び図2では、透明電極と背面電極との間に1枚の透明な中間電極を設けることにより、発光面側と背面側との2層のELシートを積層形成している。しかしこれに限られるものでなく、複数の透明な中間電極を設けてもよい。図3及び図4には、2枚の中間電極を設けることにより、3層のELシートを積層形成したものを示している。即ち、透明電極2と背面電極8との間に、中間電極15と5とを設けている。透明電極2と中間電極15との間、中間電極15と中間電極5との間、及び中間電極5と背面電極8との間に、前記と同様な発光層3と絶縁層4、発光層16と絶縁層17、及び発光層6と絶縁層7をそれぞれ設け、発光面側のELシートA、中間位置のELシートC、及び背面側のELシートBの3層のELシートを積層形成している。
【0026】
図4にその駆動回路9Cを示している。発光層3に対応して切換スイッチ19C,19D、発光層16に対応して切換スイッチ39C,39D、及び発光層6に対応して切換スイッチ29C,29Dが設けてある。各切換スイッチは3つの接点a,b,cに連動して切り換えが可能である。
【0027】
したがって全ての切換スイッチが接点aに接続されたときには、中間電極5と背面電極8間に電位差を生じ、図3(a)のように背面側のELシートBの発光層6が発光し、中間電極15と透明電極2とは中間電極5と同電位になり、発光層16および発光層3が発光することはない。また、全ての切換スイッチが連動して接点bに切り換えられたときには、中間電極5と中間電極15間に電位差を生じ、図3(b)のように中間位置のELシートCの発光層16が発光する。このとき透明電極2は中間電極15と同電位になり、発光層3が発光することはなく、背面電極8は中間電極5と同電位になり、発光層6が発光することはない。また、全ての切換スイッチが連動して接点cに切り換えられたときには、透明電極2と中間電極15間に電位差を生じ、図3(c)のように発光面側のELシートAの発光層3が発光し、中間電極5と背面電極8とは中間電極15と同電位になり、発光層16および発光層6が発光することはない。
【0028】
各ELシートの厚みを薄く形成することにより、更に多くのELシートを積層形成することが可能であり、この場合にも駆動回路を前記と同様に作用するように構成することは容易である。
【0029】
【発明の効果】
このように本発明によれば、1対の電極間に電位差を生じさせたときに、この1対の電極以外の電極とこの1対の電極の一方の電極とを同電位とする切換スイッチを設けているので、複数を積層して設けてある各発光層を択一的に発光させたときに各発光層の発光色の差異を明確にでき、各発光層の発光色をシャープに視認できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示し、(a)は駆動回路の切換スイッチを一方の接点に切り換えた状態、(b)は切換スイッチを他方の接点に切り換えた状態の断面図である。
【図2】本発明の実施の他の形態を示し、(a)は駆動回路の切換スイッチを一方の接点に切り換えた状態、(b)は切換スイッチを他方の接点に切り換えた状態の断面図である。
【図3】本発明の実施の更に他の形態を示し、(a)は駆動回路の切換スイッチを一方の接点に切り換えた状態、(b)は駆動回路の切換スイッチを中間の接点に切り換えた状態、(c)は切換スイッチを他方の接点に切り換えた状態の断面図である。
【図4】図3の駆動回路を拡大して示した結線図である。
【図5】従来の例を示し、(a)は駆動回路の切換スイッチを一方の接点に切り換えた状態、(b)は切換スイッチを他方の接点に切り換えた状態の断面図である。
【符号の説明】
2 透明電極
3,6,16 発光層
5,15 中間電極
8 背面電極
9A,9B,9C 駆動回路
19A,19B,19C,19D 切換スイッチ
29A,29B,29C,29D 切換スイッチ
39C,39D 切換スイッチ
A,B,C ELシート
Claims (3)
- 透明電極と背面電極との間に少なくとも1つの透明な中間電極を有するとともにこれらの各電極間にそれぞれ発光層を有するELシートと、前記各電極のうち隣り合う1対の電極間に択一的に電位差を生じさせて当該電極間の発光層を発光させる駆動回路とを具備し、
前記駆動回路は、前記各電極のうち隣り合う1対の電極間に択一的に電位差を生じさせる切換スイッチが設けられており、
前記切換スイッチは、前記1対の電極間に電位差を生じさせたときに、前記1対の電極以外の電極と前記1対の電極の一方の電極とを同電位とする
ことを特徴とするEL素子。 - 請求項1において、前記切換スイッチは、前記1対の電極間に電位差を生じさせたときに、前記各電極のうち前記1対の電極よりも発光面側に位置する電極と前記1対の電極の一方の電極とを同電位とすることを特徴とするEL素子。
- 請求項1または2において、前記切換スイッチは、前記各発光層に対応して複数設けられており、これらは前記1対の電極間に電位差を生じさせたときに前記1対の電極以外の電極と前記1対の電極の一方の電極とを同電位とするように連動することを特徴とするEL素子。
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