JP2004062440A - 予測モデルシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】予測モデルシステムは複数のパラメータを含む予測モデルを含み予測対象を予測する予測モデル構造部21と、パラメータ値を保存するパラメータ値保存部22と、入力と出力の時系列データを保存する入出力データ保存手段3とを備えている。定常な入力データと出力データとに基づいて、静的パラメータ同定手段4において、パラメータに関する制約条件が決定される。入出力データ保存手段3に保存された非定常な入力データと出力データとに基づいて、動的パラメータ同定手段6において、上記制約条件を満足するようなパラメータが決定され、パラメータ値保存部22へ送られる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水処理場における雨水の流入量予測、流入水質予測、河川の水位予測、ダムの貯留量予測、水道、ガス、電力などの需要予測、等、自然現象や人工的な現象・事象のオンライン予測を行う際用いられる予測モデルシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
予測は、水道の需要予測や下水処理場における流入量予測などの公共分野、電力需要予測などの電力分野、鉄鋼圧延プロセスや化学プロセスの予測制御などの一般産業分野、株価予測などの経済分野、などで広く用いられている重要な要素技術の一つである。
【0003】
予測は、一般に予測を開始する時点(以下現時点と呼ぶ)までの入手可能なデータを用いて、これに何らかの処理を施すことによって行われる。この処理プロセスの典型的なものとして、何らかの予測モデルを用いる方法がある。この予測モデルを用いる方法を大別すると、物理・化学法則に基づいた数式に基づく予測モデルを利用する方法(ホワイトボックス的アプローチと呼ばれる)と、実際に入手可能なデータを用いて、これに統計的な処理や、(例えばニューラルネットワークなどの)学習、システム同定などを行うことにより実データから予測モデルを構築する方法(ブラックボックス的アプローチと呼ばれる)に分けられる。前者の方法は、物理(化学)モデルを用いているため、物理(化学)法則に合致した(矛盾しない)予測を行える点やモデルが持つパラメータが物理化学的意味を持つことが多いため、パラメータ調整が比較的容易に行えるという利点を持つ。その一方で、調整すべきパラメータの数が多くなるとパラメータ調整指針(どのパラメータをどの優先順位で調整するか等)を作成することがむずかしく、その結果として精度の良い予測を行えなくなるという欠点がある。また、予測のための因果関係を表す変数が要因変数(入力)と結果変数(出力)に明確にわけられ、結果変数の現時点までの情報を利用しないことが多いため予測精度が劣化するなどの欠点がある。
【0004】
一方、後者の方法は、ある決められた学習アルゴリズムや同定アルゴリズムに従って、実データに適合する様にモデルを構築するため、少なくとも同定や学習に用いたデータに関しては精度の良いフィッテングを行うことができ、学習や同定に用いないデータに対しても予測精度が高い場合も多い。その一方で、例えば、特定の入力データに対する特定の出力データの予測精度を向上させるために予め決められたアルゴリズムによって学習/同定されたパラメータ値を変更(再調整)したい場合に、パラメータが物理化学的意味を持たないため調整指針がわからず、再調整や微調整を行うことができなくなるという欠点や、当然満たしているべき物理(化学)法則に矛盾する結果を出す場合があるという欠点がある。特に、物理法則の中でも、物質量保存やエネルギー量保存などの保存則に反する予測を行う場合があることが、しばしばブラックボックス的アプローチによる予測が拒否される要因の一つにもなっている。
【0005】
従来の予測技術では、上記のホワイトボックス的アプローチおよびブラックボックス的アプローチが持つこれらの利点と欠点を認識した上で、場合に応じてこれらを使い分けてきた。
【0006】
前者のホワイトボックス的アプローチの欠点の一つであるパラメータ調整指針が不明確になる点の解決方法として、本件発明者は、「特願2001−132998プロセスモデルのパラメータ調整装置、調整支援装置および方法」において、パラメータの感度解析に基づくパラメータの調整方法を既に提案している。また、結果変数の過去から現時点までの情報を利用しないことに起因する予測精度の劣化に対しては、結果変数の過去から現時点までのデータに基づいて予測値の補正を行うことによって予測精度の向上を図ることができる。例えば、予測モデルが
【数1】
などの微分方程式系で記述される場合には、適切なオブザーバを設計することによって、予測を補正することができ、結果変数(y)の過去から現時点までの情報を利用した予測を行うことができる。ここで、(1)式および(2)式において、x,θ,u,y,f,hは、それぞれモデルの、状態変数、パラメータ、入力(要因変数)、出力(結果変数)、(非線形)ベクトル場、(非線形)出力関数、を表す。以上より、予測モデルをホワイトボックスアプローチにより構築しようとする場合には、ホワイトボックスアプローチの欠点を補うことが上述した様な方法によって可能になりつつある。
【0007】
一方、ブラックボックスアプローチにより予測モデルを構築したい場合も多い。例えば、浸水被害を防止するための要素技術として重要な河川の水位予測や下水道の流入量予測、あるいは近年問題になっている合流式下水道からの越流問題(CSO:Combined Sewer Overflowという)の要素技術となりうる下水道の水質予測など、予測を行いたい結果変数(水位、流入量、水質等)や要因変数(降雨等)はある程度明確であるが、その内部構造(降雨の流出過程等)がかなり不明確な(予測)システムでは、このシステムの具体的な予測問題にホワイトボックスアプローチを適用することは困難である場合が多い。このような場合には、ブラックボックスモデルによる予測モデルの構築の方が好ましい。特に、データサーバなどに時系列データが数多く蓄えられている場合などには、これらのデータの有効利用の観点からもブラックボックスモデルによる予測の方が有望であると思われる。このような立場から本件発明者は、「特願平11−61866雨水流入量予測装置および雨水流入量予測方法」、「特願平10−224766雨水流入量予測装置および雨水流入量予測方法」、「特願2002−24231河川の水位予測装置」等で、ブラックボックスモデルによるいくつかの予測方法を開発している。これらの予測方法はいくつかの特徴的な点を持ち、実際に精度の高い予測結果を与えることも多い。しかし、これらの方法は、前述のブラックボックスアプローチの欠点を解決したものではない。従って、これらの方法によってあまり精度のよい予測が行えなかった場合や、特定の入力データに対する特定の出力データの予測精度を向上させたい場合に、同定されたパラメータをどのように再調整すれば良いかの指針は不明であり、また、保存則に代表される物理(化学)法則からはずれた予測を行ってしまう事も生じうる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ブラックボックス的アプローチの典型的な方法である離散時間系のモデルを用いたシステム同定手法による予測において、ホワイトボックス的アプローチによる物理法則(保存則)を考慮して予測モデルを構築することができる予測モデルシステムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、予測対象を予測する予測モデルシステムにおいて、複数のパラメータを含む予測モデルを含み予測対象を予測する予測モデル構造部と、複数のパラメータ値を保存するパラメータ値保存部と、所定の周期によって収集された、予測を行うための入力と出力の時系列データを保存する入出力データ保存手段と、一定値入力に対する定常応答(出力)を想定するか、あるいは一定値入力データと対応する定常出力データに基づいて、パラメータに関する制約条件を決定する静的パラメータ同定手段と、前記入出力データ保存手段に保存された非定常な入力データと出力データとに基づいて、パラメータの値を、前記静的パラメータ同定手段によって決定した制約条件を満足する範囲内となるよう決定してパラメータ値保存部に送る動的パラメータ同定手段と、を備えたことを特徴とする予測モデルシステムである。
【0010】
本発明によれば、従来の動的なパラメータを直接同定する方法と異なり定常状態における物理的な制約条件を考慮してパラメータに制約を課す静的パラメータ同定手段を新たに加えることによって、定常状態における予測精度が劣化しない様な予測を行うことができる。また、予測モデルシステムにおける定常状態の入出力関係は物理的な保存則などに対応する場合が多いため、間接的に物理法則を考慮にいれた予測モデルを構築できる。従って、非定常状態においても、保存則に矛盾するような予測を行うことを避けることができ、物理的に受け入れられる予測を行えることを保証することができる。
【0011】
本発明は、前記予測モデル構造部は、予測モデルとして前記出力時系列データに線形に作用する係数パラメータ部分(自己回帰部分)と、前記入力時系列データに線形に作用する係数パラメータ部分(移動平均部分)とを有し、前記静的パラメータ同定手段は、パラメータに関する制約条件として、前記自己回帰部分の係数値の総和aaと前記移動平均部分の係数値の総和bbの比bb/aaが一定になる様にパラメータの値に制約を課すことを特徴とする予測モデルシステムである。
【0012】
本発明によると、ブラックボックスモデルによる予測モデルとして比較的よく利用されるARXモデル、ARMAXモデル、BJモデル等を含む離散時間線形伝達関数モデルを用いることにより、パラメータ値の総和の比が一定であるという極めて単純な指標(制約条件)によって、物質量保存等に対応する予測モデルが満たすべき必要条件を表現することができる。そのため、このパラメータ値の総和の比が一定であるという制約条件を満足する様にパラメータを調整することにより、物理的に矛盾を生じない様な予測モデルをブラックボックス的アプローチによっても構築することができる。また、一旦調整した予測モデルのパラメータを変更したい場合などに、この単純な指標に基づき、パラメータ値の変更を容易に行うことができる。
【0013】
本発明は、前記静的パラメータ同定手段において、前記自己回帰部分のパラメータ値の総和aaが、aa=ε,0<ε<<1なる極めて0に近い正の一定値になる様に制約を課すことを特徴とする予測モデルシステムである。
【0014】
本発明によれば、自己回帰部分のパラメータ値の総和と移動平均部分のパラメータ値の総和をそれぞれ一定に保つ様にパラメータを調整することができ、さらに極めて見通しの良いパラメータ調整を行うことができる。これに加えて、予測精度を劣化させる要因となる一定あるいは極めて緩やかに変化する外乱が入った場合に予測精度をなるべく劣化させない様な予測を行うことができる。また、予測モデルシステムへの入力がゼロである場合にでも、出力がゼロにならないようなバイアスをもつような予測モデルシステムに対しても良好な予測結果を与えることができる。
【0015】
本発明は、前記動的パラメータ決定手段は、予め前記静的パラメータ同定手段によって求めた前記自己回帰部分および前記移動平均部分のパラメータ値の総和がそれぞれ一定であるという制約条件に基づいて、任意の最適化手段を用いて、前記入出力データ保存手段の非定常的な入力データと出力データとを用いてパラメータ値を定めることを特徴とする予測モデルシステムである。
【0016】
本発明によれば、従来のブラックボックス的アプローチで通常採用されるように動的パラメータを直接同定するのではなく、まずどのような場合においても満足されるべき制約条件を決定し、これを保存した形で入出力の動的データに適合する様にパラメータ同定を行うため、同定精度の劣化を防ぐことができる。したがって、通常の同定方法ではパラメータ値が数値的に発散してしまうような悪条件の場合であっても同定を行うことができ、結果として予測のロバスト性を向上させることができる。例えば逐次最小2乗法に代表されるような従来の適応的な同定手法を用いて、逐次的に予測精度を改善していくことを考える場合には、同定データの中に異常データが混入している場合などに同定されるパラメータ値が発散してしまい、結果として予測がうまく行えなくなってしまうことが生じ得るが、本発明の方法によって適応的に同定を行えば、パラメータ値の総和に制約を課しているためそのような現象を減ずることができ、異常データの混入に対してロバストな予測装置を構築することができる。また、たとえば、河川水位予測や下水道流入量予測などのような自然現象を相手にした予測では十分なデータが得られないことも多いが、このような場合にもある程度確からしい予測装置を構築することができる。
【0017】
本発明は、予測対象を予測する予測モデルシステムにおいて、複数のパラメータを含む予測モデルを含み予測対象を予測する予測モデル構造部と、複数のパラメータ値を保存するパラメータ値保存部と、所定の周期によって収集された、予測を行うための入力と出力の時系列データを保存する入出力データ保存手段と、前記入出力データ保存手段に保存された非定常な入力データと出力データとに基づいて、パラメータの値を決定する第1動的パラメータ同定手段と、定常な入力データと出力データとに基づいて、パラメータに関する制約条件を決定する静的パラメータ同定手段と、前記入出力データ保存手段に保存された非定常な入力データと出力データとに基づいて、前記第1動的パラメータ同定手段によって決定されたパラメータの値を、前記静的パラメータ同定手段によって決定した制約条件を満足する範囲内となるよう再度決定してパラメータ値保存部に送る第2動的パラメータ同定手段と、を備えたことを特徴とする予測モデルシステムである。
【0018】
本発明によれば、第2動的パラメータ同定手段を用いることによって、ある特定箇所の出力の予測精度を向上させることができ、よりきめ細かな予測を行うことができる。
【0019】
本発明は、前記入出力データ保存手段の入出力データと、これに対応する予測モデル構造部からの予測データを同時に表示する表示装置と、前記表示装置からの表示結果に対して予測誤差をより小さくしたい予測モデルの部分と、その要因と考えられる要因変数とを指定する指定装置とを更に備え、第2の動的パラメータ同定手段は前記指定装置によって指定された部分の予測誤差を小さくする様に、前記指定装置によって指定された要因変数のパラメータを再同定することを特徴とする予測モデルシステムである。
【0020】
本発明によれば、予測値と実際の出力値との誤差がどの程度であるかを目視で判断することができ、さらに予測精度を改善したい部分の予測精度がどのように改善されているかを目視で確認しながら、自動的にきめ細かな予測を行うことができる。
【0021】
本発明は、前記入出力データ保持手段の入出力データと、これに対応する予測モデル構造部からの予測データを同時に表示する表示装置と、前記表示装置からの表示結果に対して予測誤差をより小さくしたい予測モデルの部分と、その要因として考えられる要因変数とを指定するとともに、当該要因変数のパラメータを2つ以上選択して手動で調整する可調整パラメータ指定表示と、を更に備えたことを特徴とする予測モデルシステムである。
【0022】
本発明によれば、予測値と実際の出力値との誤差がどの程度であるかを目視で判断しながら、予測誤差を小さくしたい部分の予測精度を手動で容易に調整することができる。特に、可調整パラメータ指定装置によってパラメータを指定した後は、一つのパラメータを動かせば良いため、非常に簡単に調整を行うことができ、その調整に伴う予測結果の良否もすぐに目視で確認できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明による予測モデルシステムの基本的な構成を下水処理場の流入予測を行うことを例として示したものである。ただし、これは、以下の説明を具体的に示すために流入予測を例として取り上げているものであり、以下の内容は任意の予測モデルシステムに対して適用できる。
【0025】
図1に示すように予測モデルシステムが対象とする下水処理場流入システム1は、降雨量計測センサー11と、流入量計測センサー12と、降雨観測地点から下水処理場の流入量観測地点までの降雨の流出および流入経路を表す降雨−流入プロセス13とを備えている。
【0026】
降雨量計測センサー11は、下水処理場流入システム1に含まれる下水処理場の流入に関連する複数箇所の降雨量データを連続あるいは所定の周期で計測するものである。
【0027】
同様に流入量計測センサー12は、下水処理場流入システム1の下水処理場に流入する流入量を連続あるいは所定の周期で計測しているものである。
【0028】
図1に示すように、本発明による予測モデルシステムは、入出力関係を表す関数の形やこの関数の中にどのようにパラメータが関わっているかを表す構造情報とを有する予測モデルと、予測モデルへの入力部と予測モデルからの出力部とを含む予測モデル構造部21と、予測モデル構造部21の予測モデルのパラメータの具体的な数値を保存するパラメータ値保存部22と、を備えた予測モデル装置2と、降雨量計測センサーと流入量計測センサー12とによって計測された降雨量データおよび流入量データを所定の周期で収集し時系列データとして保存しておく入出力データ保存手段3とを備えている。
【0029】
さらに入出力データ保存手段3には、入出力データ保存手段3のデータを用いたり、下水処理場流入システム1の特性を調べたりすることによって、予測モデル装置2のパラメータ値保存部22において保存されるパラメータの値の制約条件を決定する静的パラメータ同定手段4と、予測モデル構造部22のパラメータの数を決定する同定パラメータ数決定手段5とが接続されている。
【0030】
また、入出力データ保存手段3には、入出力データ保存手段3に保存された降雨量データと流入量データを用いて下水処理場流入システム1の降雨量データと流入量データの動的な関係を精度よく示す様に予測モデル構造部22のパラメータの値を決定する動的パラメータ同定手段6が接続されている。
【0031】
また、入出力データ保存手段3は、予測モデルを構築するためにパラメータの同定や予測精度の検証を行うための同定データや検証データを保存する同定/検証データ保存手段31と、実際にオンラインで予測を行うために必要となる予測時点から所定の過去までのデータを保存しておく予測データ保存手段32とを有している。
【0032】
次にこのような構成からなる本実施の作用について説明する。
【0033】
まず、降雨量計測センサー11と流入量計測センサー12によって所定の周期で計測された降雨量データと流入量データが、所定の周期で入出力データ保存手段3に時系列データとして保存される。はじめは予測モデルが構築されていないので、降雨量データと流入量データは、入出力データ保存手段3の同定/検証データ保存手段31に保存される。
【0034】
次に静的パラメータ同定手段4では、同定/検証データ保存手段31によって保存されたデータを用いて、パラメータの制約条件を計算する。この静的パラメータ同定手段4を有する点が、従来のシステム同定による予測モデル構成法と決定的に異なる点であり、本発明の最も重要な部分である。
【0035】
この静的パラメータ同定手段4における具体的な作用を以下に示す。
【0036】
まず、流入量の予測モデルにおいてパラメータの制約条件を求めるために必要となる有効降雨量と流出係数の定義を示す。ここで有効降雨量とは、総降雨量のうち地下に浸透する成分などを除き、実際に流出する量、すなわち下水処理場に流入する雨水の量を表す。また、総降雨量と総有効降雨量の比を流出係数と呼ぶ。今流出係数kの値が一定である場合を想定すると、流出係数kの定義より、降雨量R(t)と流入量Q(t)の間には次式が成立する。
【0037】
【数2】
ここで、tは時刻を表すパラメータであり、tfは降雨が終了する時刻を表す。
【0038】
(3)式は、一種の水量の保存則を表していると考えられる。なぜなら、降雨量=有効降雨量(流入量)+地下浸透量と考えられるからである。従って、流入量予測においては、有効降雨量が正しい予測を行うことは予測モデルとして受け入れられるための必要条件であることがわかる。
【0039】
さて、流入量予測として離散時間系の伝達関数モデルを有する予測モデル構造部21について検討する。この場合の降雨量R(t)と流入量Q(t)の関係式は以下のように表される。
【0040】
【数3】
A(q−1)=1+a1q−1 +a2q−2+…+anq−n (自己回帰部分)(5)
B(q−1)=b1q−1+b2q−2+…+bmq−m (移動平均部分)(6)
ここで、q−1は1ステップの時間遅れを表すシフトオペレータである。ここで、今降雨が一定に降り続いた定常状態を想定し、R(t)=R0(一定)とすると、この場合の一定の流入量Q(t)=Q0は、次式の様になることが知られている (離散時間系の伝達関数の最終値の定理)。
【0041】
【数4】
降雨が一定で降り続いた場合には、(3)式より、
Q0=k R0 (8)
が成立するので、
【数5】
が成立する。
【0042】
(9)式は、自己回帰部分のパラメータ値の総和と移動平均部分のパラメータ値の総和の比は流出係数に一致していなければならないという制約条件を示している。この流出係数kは、同定/検証データ保持手段31に蓄えられたデータを用いることによって調べることができるため、自己回帰部分のパラメータ値の総和と移動平均部分のパラメータ値の総和の比が満足すべき値が決定される。
【0043】
このようにして静的パラメータ同定手段4によりパラメータに関する制約条件が決定され、後に示す動的パラメータ同定手段6では、この制約条件を満たす範囲内で具体的なパラメータの値を決定することになる。この制約条件は、一般には、動的パラメータのパラメータ値の同定を容易にするものではないが、この制約条件を満たしている限り水量の保存則を示すと考えられる流出係数を不変に保つため、この制約条件の下で導出されるどのようなパラメータ値を用いた任意の予測装置による予測値は物質量の保存則に矛盾しない。従って、離散時間系の伝達関数という一見ブラックボックスに見えるモデルを用いているにもかかわらず、このような制約条件によって、物質量保存というものを表現することができる。
【0044】
なお、ここでは、流出係数が一定である場合を想定したが、実際の流入量予測では降雨強度や降雨量によって流出係数が異なる場合がある。このような場合には、(9)式を成立させることができなくなるので、線形の伝達関数モデルを採用することは適切でないことも同時にわかる。
【0045】
このような場合には、例えば、「特願平11−G1866雨水流入量予測装置および雨水流入量予測方法」におけるHammersteinモデルなどの非線形モデルを用いて、異なる降雨強度毎にいくつかの定常値を考えることによってパラメータに関する制約条件を導出することができる。例えば、流出係数の値が降雨強度に対して2次の多項式で近似されるような場合には、2次の多項式を入力にもつHammersteinモデルの定常値を考えることによって静的パラメータ同定手段4を実施することができる。この場合の条件は、自己回帰部分のパラメータ値の総和と移動平均部分のパラメータ値の総和の比が一定というような簡単な制約条件ではなく、多少複雑な条件になる。
【0046】
以上が、静的パラメータ同定手段4における作用の一例であるが、ここで、さらに静的パラメータ同定手段4を以下のように実施すると、以降に示す動的パラメータ同定手段6を容易に実施することができ、また何らかの外乱が存在した場合にも予測精度があまり劣化しない様なロバストな予測を行うことができる。これを以下に示す。
【0047】
静的パラメータ同定手段4において、(4)式をシフトオペレータを用いずに時間域で表現すると、次式の様になる。
【0048】
Q(t)=−a1Q(t−1)−a2Q(t−2)−…−anQ(t−n)+b1R(t−1)+b2R(t−2)+… bmR(t−m) (10)
ここで、降雨R(t)がゼロ、すなわち、晴天時であった場合を考える。この時、流入量は通常ゼロにはならない。なぜなら、下水処理場の多くは合流式下水道と呼ばれるものであり、降雨がない場合においても家庭廃水や産業廃水などの汚水が流入してくるからである。この場合、(10)式より、次式が得られる。
【0049】
Q(t)=−a1Q(t−1)−a2Q(t−2)−…−anQ(t−n) (11)
ここで、汚水量は実際にはゆるやかには変動するが、簡単のため、汚水量が一定値Q0である場合を考えると、(11)式は、次のようになる。
【0050】
Q0=(−a1−a2−…−an)Q0 (12)
(12)式が成立するためには、
【数6】
でなければならない。これは、自己回帰部分A(q−1)の係数パラメータ値の総和A(1)が0であることと等価である。また、これは、自己回帰部分 A(q−1)に積分器を持つことおよび A(q−1)の零点が1であることとも等価である。
【0051】
自己回帰部分に積分器を持つモデルによって予測を行うと一定値の外乱が混入した場合には、この影響を完全に打ち消すことができることが知られており、ここで、汚水量は一定値の外乱と考えられるので、この影響はA(1)=0とすることによって完全に無くすことができ、従って、ロバストな予測を行うことができる。
【0052】
しかし、A(1)=0とすると、(9)式の右辺は∞となるため、この制約条件を満足させることができなくなる。これを回避するためには、
A(1)=ε,0<ε<<1 (13)
となる微小な値にすれば良い。この場合、別途検討することができるプロセスの安定性の観点からεの値は正になる様にしておく必要がある。
【0053】
この(13)式によって、ロバストな予測が行えると同時に、静的パラメータ同定手段4を、以下のような自己回帰部分と移動平均部分のそれぞれのパラメータ値の総和が一定であるという極めてわかりやすい条件に帰着していることがわかる。
【0054】
A(1)=1+a1+a2+…+an=ε,0<ε (自己回帰部分) (14)
B(1)=b1+b2+…+bm=k・ε (移動平均部分) (15)
これよりわかるように、流出係数kと極めて0に近い正の定数εが与えられていれば、自己回帰部分のパラメータ値の総和と移動平均部分のパラメータ値の総和はそれぞれ(14)式と(15)式を満足していなければならず、以降に示す動的パラメータ同定手段6では、この「自己回帰部分パラメータ値の総和=一定」および「移動平均部分のパラメータ値の総和=一定」という条件を満たすようにパラメータ同定を行えば良く、極めて見通しの良いパラメータ同定を行うことができる。
【0055】
以上が静的パラメータ同定手段4の作用となる。
【0056】
さて、次に同定パラメータ数決定手段5では、自己回帰部分と移動平均部分の同定すべきパラメータ数nとmの値を決定する。この決定方法としては、自動的に行う方法と人間が手動で行う方法とが考えられる。
【0057】
機械的に行う場合には、例えば、以下のようにしてパラメータ数nとmを決定すればよい。
【0058】
まず、同定/検証データ保存手段31に保存されたデータを同定データと検証データに分割する。次に同定データを用いて、例えば最小二乗法などの良く知られたパラメータ同定方法によりnの値とmの値を様々な値に変えて同定し、それぞれ同定されたパラメータ値を用いて検証データを用いて予測を行い、この検証データの二乗予測誤差の総和が最も小さくなる様なnとmの値を同定パラメータ数とする。これは、一般に損失関数による次数決定と呼ばれる方法である。その他にはAIC(Akaike’s Information Criterion/ An Information Criterion)と呼ばれる基準を用いて最適な同定パラメータ数nとmとを決定することもできる。AIC以外にもMDL(Minimum Description Length)と呼ばれる基準を用いることもできる。
【0059】
これらの方法を用いてnとmを決定する場合には動的パラメータの同定も同時に行っていることになるが、これは、最適な同定パラメータ数を決定するために同定を行っているだけであり、この同定によって求められたパラメータ値は上述した静的パラメータ同定手段4の制約条件を満たすことには限らないので、これを最終的なパラメータ値とするわけでは無い。ただし、この同定によって得られたパラメータ値が静的パラメータ同定手段4におけるパラメータに関する制約条件を満たしている場合は、この同定結果をそのまま、動的パラメータ同定手段6としてもよい。
【0060】
手動でパラメータ数nとmを決定する場合には、例えば次のようにすることができる。まず、同定/検証データ保存手段31から、降雨量データと流入量データを取り出し、適当な表示装置に時系列データとして同時にプロットする。次に、降雨量の変化に対して流入量がどの程度速やかに変化するかを読み取る。降雨量の変化に対して流入量が速やかに応答するようであれば、n=1とすることが好ましい。これは、nを大きくすればするほど自己回帰部分が強く働くため、降雨量変化に対して予測が遅れてしまうからである。ただし、n=1の場合は、先述したように一定値の外乱に対してはロバストな予測を行えるが、それ以外の外乱に対してはあまりロバストではない。一方、もし降雨量の変化に対して流入量の変化があまり速く追従せず、降雨があれば流入量が増えるといった程度の定性的な関係以上の因果関係を読み取ることができないような場合には、nの値はある程度大きくする方がよい。これはnを大きくすることは、相対的に予測の要因として降雨量よりも過去の流入量を重視していることに対応するからである。またnを大きくとると、一定値外乱以外の外乱に対してある程度ロバストな予測を行うことができる。つまり、定性的には以下の関係がある。
【0061】
【表1】
この表1の目安に従って、nの値を決定する。
【0062】
mの値の決定については、例えば次の様にする。降雨の影響が流入量にどのくらいの時間影響しているかを、時系列プロットから読み取る。例えば、降雨が終了してからどのくらいの時間で流入量が晴天時の流入量に戻るかを時系列プロットから読み取ることができる。これを複数の降雨イベントに対して調べることにより、降雨の影響が継続する時間をおおよそ読み取ることができる。従って、この影響時間に最も近くなるようにmの値を選べれば良い。例えば、5分周期で予測を行っており、降雨の影響が継続する時間が30分であると時系列プロットから読み取れた場合には、m=30/6=5とすればよい。ただし、nが0でなく、1以上の値を持っている様な場合には、この時系列プロットから読み取ったmの値より、少し小さめの値を最終的にmの値としてもよい。これは、n>0の時は自己回帰部分により予測に常に補正がかかっているからである。
【0063】
以上が同定パラメータ数決定手段5の作用となる。
【0064】
次に、動的パラメータ同定手段6では、静的パラメータ同定手段4によって決められた制約条件を満足する範囲内で、かつ同定パラメータ数決定手段5で決められた数のパラメータ値を具体的に決める。これは、例えば以下に示すような最適化手段を用いて、例えば遺伝的アルゴリズムとよばれるヒューリスティックな最適化法を用いる。
【0065】
まず、評価関数(適応度の逆数)として、次式を定義する。
【0066】
【数7】
Nはデータ数を表す。
【0067】
次に、静的パラメータ同定手段4によって決められた制約条件を満たす範囲で、各パラメータ値の初期値を複数個定める。ここで、aiの総和とbiの総和がそれぞれ一定になる様な値を複数発生させる必要があるが、これは、aiとbiのパラメータからそれぞれ一つづつのパラメータを除外することによって達成できる。例えば、a1とb1以外のai,i=2,…,nとbi,i=2,…mを乱数を使って適当に発生させ、その後に
【数8】
とすることを約束しておけば、必然的に総和は一定になる。
【0068】
次に乱数で発生させた値を適当なサイズの2進法で表現し、これを遺伝的アルゴリズムの初期個体とする。そして、この初期個体に対して、通常の遺伝的アルゴリズムを操作に従って、交叉、突然変異、増殖、淘汰、を繰り返して、評価関数(16)式を最小にする様な値を決定する。このようにして動的パラメータ同定手段を遂行することができる。
【0069】
その他の方法としては、制約つきの最適化法として以下の様に定式化してもよい。
【0070】
評価関数:
【数9】
θ1 :=[−a1,−a2,…,−an]T (20)
θ2 :=[b1,b2,…,bm]T (21)
ただし、Φは、同定/検証データ保存手段31に保存されている降雨量時系列データR(t)と流入量時系列データQ(t)を適当に並べて得られる行列である。
【0071】
静的パラメータ同定手段4によって決められた制約条件
【数10】
この様に動的パラメータ同定手段6では、パラメータに関する線形等式制約つきの2次計画問題として定式化できる。この制約つき最適化法を解くためには、例えば、ラグランジュの未定定数法を用いて、制約条件と評価関数を一つにまとめて、以下の様な新しい制約無しの最適化問題に帰着させればよい。
【0072】
【数11】
ここで、λ1とλ2はラグランジュの未定定数である。この制約無しの最適化問題を解くためには、(25)式をθについて偏微分して、ゼロとおけばよい。すなわち、
【数12】
として、これを解けば静的パラメータ同定手段4の制約条件を満足したまま、動的パラメータ同定手段6を実行することができる。詳細な解法は、たとえば、「今野浩、山下浩、“非線型計画法”日科技連(1994)」などに記述されている方法を用いればよい。
【0073】
以上が動的パラメータ同定手段6の作用となる。
【0074】
このようにして動的パラメータ同定手段6により動的パラメータの値がすべて決定された後、この同定された値は、予測モデル装置2のパラメータ値保存部22に保存される。
【0075】
この予測モデルシステムによって予測モデルが構築された後、予測を行いたい場合には、以下の様に予測が実施される。
【0076】
まず、降雨量計測センサー11と流入量計測センサー12とによって、オンラインで所定の周期で計測されたデータは、入出力データ保存手段3の予測データ保存手段32に保存される。予測データ保存手段32では、少なくとも降雨量データに関してm個、流入量データに関してn個のデータが保存されている。
【0077】
次に、予測モデル装置2の予測モデル構造部21に、パラメータ値保存部22からパラメータ値が引き渡され、その後予測データ保存手段32に保存された降雨量データと流入量データが予測モデル構造部21に引き渡される。予測モデル構造部21の予測モデルは、例えば次式の様に表されている。
【0078】
Q(t)=−a1Q(t−1)−a2Q(t−2)−…−anQ(t−n)+b1R(t−1)+b2R(t−2)+…bmR(t−m)(27)
この予測モデル構造部21の予測モデルに降雨量データと流入量データが渡されると、この式により流入量の予測を行うことができる。また、この式を繰り返し用いることによりある程度長い期間の流入量の予測も行うことができる。
【0079】
最後に予測を行った後、予測データ保存手段32に保存された降雨量データと流入量データの中で不必要になったデータは、同定/検証データ保存手段31へ渡される。
【0080】
この一連の処理を、所定の予測周期毎に行う。
【0081】
以上のように本実施の形態によれば、従来のブラックボックス的アプローチによる予測モデルの構築方法と異なり、静的パラメータ同定手段4により定められたパラメータの制約条件に基づいて、動的パラメータ同定手段6によりパラメータの同定を行うことによって、以下の様な効果が得られる。
【0082】
(1) 静的パラメータ同定手段4によるパラメータに関する制約は、物理的な保存則などに対応することが多く、予測モデルが満たすべき必要条件である。そのため、これらの保存則を必ず満たす様な予測モデルを構築できる。
【0083】
(2) 従来の予測モデルの構築方法では、例えば異常データが混入したり、データ数が少なかったりした場合などに同定パラメータの値が発散してしまい、予測モデルとして全く機能しなくなることがある。しかし、本発明のような予測モデル構築法を用いると、このような現象を避けることができ、この意味でロバストな予測モデルを構築できる。
【0084】
(3) 外乱などに対してロバストな予測を行うことができ、外乱が存在する場合においてもこの影響を減じた予測を行うことができる。
【0085】
第2の実施の形態
次に本発明の第2の実施の形態について、図2乃至図5により説明する。本実施の形態において、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0086】
図2は、本発明の第2の実施形態を示す図であり、河川の水位予測を行うことを例として示したものである。
【0087】
図2に示す河川水位の予測モデルシステムが対象とする河川システム50は、潮位計測センサー51と、上流ポンプ吐出量計測センサー52と、排水機場ポンプ吐出量計測センサー53と、排水機場河川水位計測センサー54と、河川プロセス55とを備えている。
【0088】
この河川システム50は、ある地域の河川プロセス55と、その河川水位に影響を与える要因変数と、結果変数である河川水位とを含むシステムであり、例えば具体的には図3に示すようなシステムとなる。
【0089】
図3に示すように、河川システム50に潮位計測センサー51が設けられ、潮位計測センサー51は、河川システム50の排水機場54aの河川水位に影響を与える潮位を連続あるいは所定の周期で計測しているものである。
【0090】
なお、潮位計測センサー51が設置される湾は、排水機場54aの河川につながっている。
【0091】
同様に河川システム50には上流ポンプ吐出量計測センサー52が設けられ、この上流ポンプ吐出量計測センサー52は、河川システム50の排水機場54aの河川水位に影響を与える上流のポンプ場52aにおける吐出量を連続あるいは所定の周期で計測しているものである。このポンプ吐出量は、この地域に降る降雨の影響を既に受けている。さらに河川システム50には降雨量計測センサー58が設置されている。
【0092】
同様に河川システム50には、排水機場吐出量計測センサー53が設けられ、この排水機場吐出量計測センサー53は河川システム50の排水機場54aの水位に直接影響を与える排水機場54aのポンプ吐出量を連続あるいは所定の周期で計測しているものである。
【0093】
図2および図3に示す予測モデルシステムは、予測モデルシステムの予測対象が下水処理場流入量予測システムでなく河川システムである以外は、図1の予測モデルシステムと類似の構成をしている。構成上異なる点は、以下の2点である。
【0094】
一つは、動的パラメータ同定手段として、第1動的パラメーター同定手段61と、第2動的パラメータ同定手段62とを有する点であり、もう一つは、第2動的パラメータ同定手段62に、表示装置7と指定装置82がインタラクティブに接続されている点である。
【0095】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0096】
まず、潮位計測センサー51と、上流ポンプ吐出量計測センサー52と、排水機場ポンプ吐出量計測センサー53と、排水機場河川水位計測センサー54とによって所定の周期で計測された、潮位データと、上流ポンプ吐出量データと、排水機場ポンプ吐出量データと、排水機場河川水位データとが所定の周期で入出力データ保存手段3内に時系列データとして入力されて保存される。はじめは予測モデルが構築されていないので、これらのデータは同定/検証データ保存手段31に保存される。
【0097】
次に第1動的パラメータ同定手段61では、従来知られているシステム同定手法を用いて、予測モデルの動的パラメータを同定する。ここでは、潮位と上流ポンプ吐出量と排水機場ポンプ吐出量とを入力とする複数の入力を持つシステムとして動的パラメータの同定を行っても良いが、データ数が十分に無い場合などにはあまり正しく同定できない場合も多い。この場合には、「特願2002−24231 河川の水位予測装置」で発明した方法などを用いて、部分毎にパラメータの同定を行ってもよい。
【0098】
この第1動的パラメータ同定手段61による同定を行なう際に、同時に同定パラメータ数決定手段5による作用も行われる。これは、第1動的パラメータ同定手段61において、従来のシステム同定手段や「特願2002−24231 河川の水位予測装置」で発明した方法を用いる場合には、前述のAICやMDLなどの規範に基づいて、パラメータ数も同時に決定されるからである。また、第1動的パラメータ同定手段61における同定を行なう際には、静的パラメータ同定手段4の作用も同時に実行される。これは、第1動的パラメータ同定手段61を実行すれば、必然的に静的パラメータが決定されるからである。しかし、データ数が少なく同定問題が悪条件になっている場合や異常データが混入した場合などには、この第1動的パラメータ同定手段61を実行することによって求まる静的パラメータはあまり確からしくない場合もありうる。このような場合には、静的パラメータ同定手段4は、以下の様に再度実行される。
【0099】
まず、例えば、同定/検証データ保存手段31に保存されている潮位C(t)と河川水位H(t)のデータを見ると、平均的にある一定の値のずれがあることがわかる。これは、潮位は予測したい河川水位よりも下流側で計測されているため、この物理的な位置の高低さが、平均的に一定の差を生じさせているからである。そこで、これをLとする。
【0100】
また、予測モデル構造部21における潮位と河川水位の関係は、次の様な離散時間の伝達関数モデルで与えられているとする。
【0101】
【数13】
D(q−1)=1+d1q −1+d2q −2+…+dnq −n(自己回帰部分)(29)
N1(q−1)=n11q −1+n12q −2+…+n1mq −m (移動平均部分)(30)
ここで、潮位を平均値C0で入力し続けた場合の河川の水位の平均値H0とすると、これらの間には、以下の様な関係がある。
【0102】
【数14】
となる。本来この式は、C0以外のC(t)に対しても成立しなければならないが、これは不可能であるので、平均値で代表させている。
【0103】
もし、第1動的パラメータ同定手段61によって、同定した結果がパラメータ値の総和の比が(32)式から大きくはずれている様であれば、(32)式を静的パラメータ同定手段4として保存しておき、以降で述べる第2動的パラメータ同定手段62において、この静的パラメータ同定手段4により定められた制約条件を満たす様に、パラメータ値を再度同定する。
【0104】
同様にして、排水機場のポンプ吐出量P(t)と河川水位H(t)の関係や、上流ポンプ吐出量Pu(t)と水位H(t)の関係についても、必要であれば、静的パラメータ同定手段4により決定しておく。ただし、排水機場のポンプ吐出量P(t)や上流ポンプ吐出量Pu(t)を一定値に保った場合、河川水位は一定にならない。例えば、上流ポンプ吐出量Pu(t)のみが一定値であり、排水機場のポンプ吐出量P(t)がゼロであった場合には、河川水位は河川が氾濫しない限り、上昇しつづける。逆に、上流ポンプ吐出量Pu(t)がゼロであり、排水機場のポンプ吐出量P(t)が一定値であった場合には、河川水位は河川の水がなくならない限り、下降し続ける。つまり、これらのポンプ吐出量と河川水位の関係は、積分特性を持っていると考えられる。
【0105】
このような場合には、次の様な静的パラメータ同定手段4を考えることができる。例えば、上流ポンプ吐出量Pu(t)が一定量で入ったきた場合には、河川水位はある一定の割合で上昇すると考えられる。単位吐出量に対する上昇の割合(傾き)をs(t)とすると、s(t)は次式で表される。
【0106】
【数15】
ただし、N2(q−1)は、上流ポンプ吐出量Pu(t)に対する係数パラメータからなる多項式である。
【0107】
ここで、この河川システムの様に積分特性を持っている場合、
【数16】
これより、上流ポンプ吐出量Pu(t)が一定値Pu0であった場合を想定すると、この定常値は、河川水位の上昇割合に一致し、又この上昇割合も一定値に収束するので次式の様になる。
【0108】
【数17】
となる。
【0109】
ここで(39)式は静的パラメータ同定手段4により決められたパラメータの制約条件となる。ここで、sは単位吐出量に対する河川の水位上昇の傾きであるから、実際の計算では、Pu0 とした場合の1ステップ分の時間に対する傾きを、Pu0で割って求める必要がある。
【0110】
以上の方法により、積分特性を持つようなシステムに対しても、静的パラメータ同定手段4を実行することができ、もし、第1動的パラメータ同定手段61により求めたパラメータ値から計算した(39)式の右辺の値がsから大きく外れているような場合は、第2動的パラメータ同定手段62において、(39)式が満足されるようにパラメータを再度同定する。
【0111】
次に第2動的パラメータ同定手段62による同定につき説明する。第2動的パラメータ同定手段62は、図2に示すように表示装置7と指定装置8とに接続されている。また、表示装置7は、第1動的パラメータ同定手段61にも接続されている。
【0112】
図4および図5は、表示装置7と指定装置8の例を併せて示したものである。まず、図4に示すように、第1動的パラメータ同定手段61により同定した動的パラメータの値を用いると、河川の水位予測値を表示装置7に表示することができる。同時に、同定/検証データ保存手段31に保存された、上流ポンプ吐出量データ、排水機場ポンプ吐出量データ、潮位データ、河川水位データも表示装置7に表示することができる。
【0113】
このように、各種のデータが表示されると、図4から直ちにわかるように、予測精度の良い部分と予測精度の悪い部分があることがわかる。そこで、指定装置8によって、予測精度を改善したい予測精度の悪い部分を、図4に示す様に指定する。同時に、この予測精度を劣化させている最も大きな要因と思われる変数(河川水位、潮位、上流ポンプ吐出量、排水機場ポンプ吐出量)を推定して、これを指定する。たとえば、図4では、上流ポンプ吐出量や排水機場ポンプ吐出量が無い場合の予測精度は十分であるとわかるので、すなわち雨が降っていないときの予測精度は十分であるとわかるので、予測精度の劣化の原因は降雨が原因で生じる可能性があるということがわかる。また、潮位は雨が降ったこととは無関係なので、潮位は予測精度を劣化させている要因ではありえない。
【0114】
また上流ポンプ吐出量が増えていく場合の予測精度もかなり良いので、上流ポンプ吐出量も原因とは考えにくい。また、排水機場ポンプ吐出量が急激に生じた場合もある程度の予測精度がある。そこで、最も予測精度を劣化させている要因として考えられるものは、河川水位の係数(自己回帰係数)らしいと推定でき、次に要因として考えられるものは、排水機場ポンプ吐出量であると考えられる。ここでは、河川水位が最大の原因と考えることにして、指定装置8で河川水位を要因として指定する。
【0115】
このように指定装置8によって、予測誤差を小さくしたい部分とその要因が指定されたら、まず、要因として指定された河川水位のパラメータ値をバックアップしておく。そして、予測誤差を小さくしたい部分の誤差を小さくするように、第2動的パラメータ同定手段62による同定が実行される。ここで、具体的な実行方法は、上述した遺伝的アルゴリズムの様なヒューリステッィクな同定方法でもよいし、制約付きの2次計画法でパラメータ値の最適化を図っても良い。ここで、第1動的パラメータ同定手段61と異なるのは、評価関数が予測誤差全てに対してではなく、指定装置8によって指定された部分に対して定義されており、この部分の予測誤差を小さくするように動的パラメータが同定されている点である。そのため、この第2動的パラメータ同定手段62によって、パラメータの再同定を行うと、指定装置8によって指定しなかった部分の予測誤差がかえって劣化してしまう場合も生じうる。
【0116】
このような現象をさけるためには、第1動的パラメータ同定手段61により同定したパラメータ値を初期値として、これを少しづつ連続的に変形させていくホモトビー的なアプローチを用いてもよい。そして、少しづつ変化させたパラメータ値に対する予測値を即座に表示装置7に表示しておくようにすれば、パラメータ同定を行っている人が、この表示装置7を見ながら適切と思うところで、第2動的パラメータ同定手段62によるパラメータ同定を中止することができる。
【0117】
しかし、このような方法をとっても第2動的パラメータ同定手段62による同定がうまく遂行できない場合は、予め第1動的パラメータ同定手段61によって同定された河川水位のパラメータ値をもとに戻し、指定装置8によって、再度要因と考えられるものを指定しなおす。たとえば、排水機場ポンプ吐出量を要因として指定する。そして、同様の方法によって、第2動的パラメータ同定手段62による同定を実行する。このようにして、図5に示すように指定装置8によって指定された部分の予測誤差が小さくなり、その他の部分の予測精度を十分高めることができる。
【0118】
このようにして、予測モデル構築部21内の予測モデルが構築される。その後は、第1の実施の形態と同様の方法を用いて予測を行うことができる。
【0119】
以上のように本実施の形態によれば、第1動的パラメータ同定手段61と第2動的パラメータ同定手段62を設けることによって、特定の部分の予測精度を向上/改善することができるようなきめ細かな予測モデルを作ることができる。
【0120】
第3の実施の形態
次に本発明の第3の実施の形態について図6および図7により説明する。
【0121】
図6および図7に示す第3の実施の形態は、指定装置8の代わりに可調整パラメータ指定装置9を設けた点が異なるのみであり、他は図2乃至図5に示す第2の実施の形態と略同一である。
【0122】
図6および図7において第2動的パラメータ同定手段62は、自動で動的パラメータを同定するのではなく、手動で動的パラメータを同定する。
【0123】
まず、図7において、表示装置7の一部に各要因変数の係数パラメータとその値を同時に表示しておく。
【0124】
次に、ある特定箇所の予測精度を劣化させていると推測される要因変数を選び出す。そして、この要因変数に対応するパラメータで調整する対象となるパラメータを2つのペアで選び出す。たとえば、図7に示すように、排水機場ポンプ吐出量係数パラメータのn31とn34を可調整パラメータの対象として選び出す。この際、2つのパラメータを選ぶ際に以下のことを目安として行なう。
【0125】
(a) 図7に示す表において、右へ行くほど、予測に対して遠い過去の影響を考慮していることに対応し、左へいくほど近い過去の影響を考慮していることになる。
【0126】
(b) 図7に示す表において、選択する2つのパラメータの距離が近いほど特定の時間の影響が大きいことを示し、距離が遠いほど長い時間にわたって影響が継続することになる。
【0127】
このことに注意して、表示装置7を参照にしながら、可調整パラメータ指定装置9において、2つのパラメータを選択する。
【0128】
次に、図7において、n31とn34を可調整パラメータとして選択したので、この値をペアで調整する。この際、静的パラメータ同定手段4において、パラメータ値の総和が一定になるように制約条件を課しておく。このため実際には、ひとつのパラメータの値を調整したら、もうひとつのパラメータの値は必然的に決定される。たとえば、n31の値を−1.2から−0.8に変更した場合には、n34の値は0.6から0.2に変更しなければならない。このようにすることによって、パラメータ値の総和が一定であるという静的パラメータ同定手段4により定められた制約条件を満足した状態でパラメータ調整を行うことができる。
【0129】
このような操作を表示装置7を見ながら行うことによって、パラメータの調整による予測値の変化を目視で確認しながら調整することができる。そしてこのような調整を上記の2つの目安(a)(b)を参考にして少しづつ行うことによって、最終的に予測値が表示装置7に示されることになる(図5参照)。
【0130】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第2動的パラメータ同定手段62に可調整パラメータ指定装置9を接続して2つのパラメータをペアにして調整を行うことによって、実際には1つのパラメータを微調整するのみで手動で予測精度を改善することができる。そのため、ある特定箇所の予測精度を改善したい場合に、人間系による微調整が可能になる。従来ブラックボックス的なアプローチではパラメータが物理的意味を持たないため調整が困難であるといわれていたが、本発明によるとブラックボックス的アプローチを用いた場合でもパラメータの微調整が可能になる。
【0131】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、次のような作用効果が得られる。
【0132】
すなわち、「定常状態におけるパラメータに関する制約条件」という静的な制約を定めることにより、動的モデルの同定を、静的モデルの同定+その制約下での動的モデルの同定という2つに分割して行なうことができ、このことにより、ブラックボックス的アプローチによる予測モデルにおいて、物質量保存などの物理的制約を考慮することができる。また、異常データ混入やデータ数が少ない悪条件下でもある程度信頼のおける予測モデルを構築することができ、ブラックボックス的アプローチによる予測モデルにおいて、パラメータの微調整を人間が判断しながら行うことができ、予測精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による予測モデルシステムの第1の実施の形態を示す構成図。
【図2】予測モデルシステムの第2の実施の形態を示す構成図。
【図3】河川システムの図。
【図4】調整前における表示装置と指定装置を併記した図。
【図5】調整後における表示装置と指定装置を併記した図。
【図6】予測モデルシステムの第3の実施の形態を示す構成図。
【図7】可調整パラメータ指定装置の作用を説明する図。
【符号の説明】
1 下水処理場流入システム
2 予測モデル装置
3 入出力データ保存手段
4 静的パラメータ同定手段
5 同定パラメータ数決定手段
6 動的パラメータ同定手段
7 表示装置
8 指定装置
9 可調整パラメータ指定装置
11 降雨量計測センサー
12 流入量計測センサー
21 予測モデル構造部
22 パラメータ値保存部
31 同定/検証データ保存手段
32 予測データ保存手段
61 第1動的パラメータ同定手段
62 第2動的パラメータ同定手段
Claims (7)
- 予測対象を予測する予測モデルシステムにおいて、
複数のパラメータを含む予測モデルを含み予測対象を予測する予測モデル構造部と、
複数のパラメータ値を保存するパラメータ値保存部と、
所定の周期によって収集された、予測を行うための入力と出力の時系列データを保存する入出力データ保存手段と、
定常な入力データと出力データとに基づいて、パラメータに関する制約条件を決定する静的パラメータ同定手段と、
前記入出力データ保存手段に保存された非定常な入力データと出力データとに基づいて、パラメータの値を、前記静的パラメータ同定手段によって決定した制約条件を満足する範囲内となるよう決定してパラメータ値保存部に送る動的パラメータ同定手段と、
を備えたことを特徴とする予測モデルシステム。 - 前記予測モデル構造部は、予測モデルとして前記出力時系列データに線形に作用する係数パラメータ部分と前記入力時系列データに線形に作用する係数パラメータ部分とを有し、
前記静的パラメータ同定手段は、パラメータに関する制約条件として、前記自己回帰部分の係数値の総和aaと前記移動平均部分の係数値の総和bbの比bb/aaが一定になる様にパラメータの値に制約を課すことを特徴とする請求項1記載の予測モデルシステム。 - 前記静的パラメータ同定手段において、前記自己回帰部分のパラメータ値の総和aaが、aa=ε,0<ε<<1なる極めて0に近い正の一定値になる様に制約を課すことを特徴とする請求項2記載の予測モデルシステム。
- 前記動的パラメータ決定手段は、予め前記静的パラメータ同定手段によって求めた前記自己回帰部分および前記移動平均部分のパラメータ値の総和がそれぞれ一定であるという制約条件に基づいて、任意の最適化手段を用いて、前記入出力データ保存手段の非定常的な入力データと出力データとを用いてパラメータ値を定めることを特徴とする請求項2記載の予測モデルシステム。
- 予測対象を予測する予測モデルシステムにおいて、
複数のパラメータを含む予測モデルを含み予測対象を予測する予測モデル構造部と、
複数のパラメータ値を保存するパラメータ値保存部と、
所定の周期によって収集された、予測を行うための入力と出力の時系列データを保存する入出力データ保存手段と、
前記入出力データ保存手段に保存された非定常な入力データと出力データとに基づいて、パラメータの値を決定する第1動的パラメータ同定手段と、
実際あるいは仮想の定常な入力データと出力データとに基づいて、パラメータに関する制約条件を決定する静的パラメータ同定手段と、
前記入出力データ保存手段に保存された非定常な入力データと出力データとに基づいて、前記第1動的パラメータ同定手段によって決定されたパラメータの値を、前記静的パラメータ同定手段によって決定した制約条件を満足する範囲内となるよう再度決定してパラメータ値保存部に送る第2動的パラメータ同定手段と、
を備えたことを特徴とする予測モデルシステム。 - 前記入出力データ保存手段の入出力データと、これに対応する予測モデル構造部からの予測データを同時に表示する表示装置と、
前記表示装置からの表示結果に対して予測誤差をより小さくしたい予測モデルの部分と、その要因と考えられる要因変数とを指定する指定装置とを更に備え、第2の動的パラメータ同定手段は前記指定装置によって指定された部分の予測誤差を小さくする様に、前記指定装置によって指定された要因変数のパラメータを再同定することを特徴とする請求項5記載の予測モデルシステム。 - 前記入出力データ保持手段の入出力データと、これに対応する予測モデル構造部からの予測データを同時に表示する表示装置と、
前記表示装置からの表示結果に対して予測誤差をより小さくしたい予測モデルの部分と、その要因として考えられる要因変数とを指定するとともに、当該要因変数のパラメータを2つ以上選択して手動で調整する可調整パラメータ指定表示と、を更に備えたことを特徴とする請求項5記載の予測モデルシステム。
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