JP2004061967A - 反射体及び反射型液晶表示装置並びに反射体の製造方法 - Google Patents

反射体及び反射型液晶表示装置並びに反射体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の反射特性を得ることができ、しかも干渉パターンが発現するおそれがなく、更に製造プロセスを簡略化することが可能な反射体を提供する。
【解決手段】基板28の表面に一方向に沿って並ぶ反射斜面28bが複数形成されるとともに一方向の交差方向に沿って反射斜面28bを分断する複数の溝58が設けられ、かつ少なくとも反射斜面28bに高反射膜が形成されてなり、反射斜面28bの交差方向に沿う幅が各反射斜面28b毎に異なった幅に設定されるとともに、溝58のピッチが溝毎に異なったピッチに設定されていることを特徴とする反射体を採用する。
【選択図】    図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射体及び反射型液晶表示装置並びに反射体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射型液晶表示装置は、太陽光、照明光等の外光のみを光源として利用する液晶表示装置であり、低消費電力が要求される携帯情報端末等に多く用いられている。また、別の例である半透過型液晶表示装置は、外光が十分得られない環境においてはバックライトを点灯させて透過モードで動作し、外光が十分得られる場合にはバックライトを点灯させない反射モードで動作するものであり、携帯電話やノート型パーソナルコンピュータ等の携帯電子機器に多く用いられている。
【0003】
反射型液晶表示装置には、明るい表示性能を有することが要求される。この表示性能を実現するには、外部より入射した光が、反射型液晶表示装置内部で反射され、再び、外部に出射される光に散乱性能を制御することが重要である。このため反射型液晶表示装置では、液晶表示装置表示面に対して、あらゆる角度からの入射光を表示方向(観察者側)に反射させる機能を持たせるために、液晶表示装置内部あるいは外部に設ける反射板に散乱性能を持たせる方式、あるいは、液晶表示装置内部に散乱層を形成し、光が散乱層を透過するときに散乱する前方散乱方式などで反射型液晶表示装置を構成している。
【0004】
図24は、液晶パネル内部に散乱性能を持たせた反射板を設けた従来の反射型液晶表示装置の一例を示す側面断面図である。この反射型液晶表示装置は、光の入射方向から見て、順次、光透過性の対向基板101、液晶層110、及び光反射性の素子基板102を備え、素子基板102には、対向基板101を透過した光Qを反射し、かつ散乱する反射型の散乱帯が設けられている。散乱帯は、表面に凹凸122aを有する高反射率金属膜122とこれの下層の絶縁層128からなる反射板130からなり、この反射板130の1画素あたりの領域が指向性の強い反射特性を有する領域Bと拡散性の強い反射特性を有する領域Aの2つの領域に分けられ、各領域には平均傾斜角度が互いに異なる凹凸面が形成されている。
尚、この反射型液晶表示装置は、高反率金属膜122の厚みを薄くするか、あるいは透過用細孔を形成することで、半透過型としても使用可能である。
【0005】
図25は、この反射型液晶表示装置に備えられた反射板の反射特性を示す図であり、図25の曲線(A)は、図24における領域Bの反射特性のプロファイルであり、図25の曲線(B)は図24における領域Aの反射特性のプロファイルであり、図25の曲線(C)は1画素全体の反射特性のプロファイルである。この反射特性は、白色光源を反射板面に対して法線方向に固定し、反射光強度を測定するための検出器を回転させ、反射光の出射角度の依存性を測定したものである。
曲線(A)、(B)は、それぞれ入射光Lの正反射角度を中心とするガウス分布形状のプロファイルを示し、各曲線の分布幅は、領域A、Bの反射特性をそれぞれ反映したものとなっている。即ち、反射特性(B)のプロファイルの半値幅が、反射特性(A)のプロファイルの半値幅よりも幅広になっている。
1画素の最終的な反射特性のプロファイルを示す曲線(C)は、曲線(A)、(B)と同様に入射光の正反射方向を中心とするガウス分布形状を示し、そのプロファイルの半値幅は1画素全体の平均的なものとなる。
このように、反射板130の1画素あたりの領域を、指向性の強い反射特性を有する領域Aと拡散性の強い反射特性を有する領域Bの2つに分けることで、反射輝度特性を制御することが可能になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図24に示す従来の反射型液晶表示装置では、反射面にランダムな凹凸を有する反射板130を用いており、このような反射板130を製造するには、サンドブラスト、エッチング、フォトリソグラフィ手法、エンボス加工等により凹凸を形成する手段が取られている。
しかし、この製造方法により得られた反射体においては、所望の反射特性を得るのが困難であったり、反射特性のプロファイルがガウス分布形状となるために干渉パターンが発現するという問題があった。
上記の問題を解決すべく、凹凸形状がある程度制御された反射板を製造する手段があるが、このような反射板を、例えばフォトリソグラフィ技術により製造しようとすると、多数のフォトマスクや加工ツールが必要になり、製造プロセスが長くなるといった問題があった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、容易に所望の反射特性を得ることができ、かつ左右方向の集光指向制御もでき、しかも干渉パターンが発現するおそれがなく、更に製造プロセスを簡略化することが可能な反射体及び反射体の製造方法並びにこの反射体を備えた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
【0009】
本発明の反射体は、入射光を反射する反射体であって、基板の表面に一方向に沿って並ぶ反射斜面が複数形成されるとともに前記一方向の交差方向に沿って前記反射斜面を分断する複数の溝が設けられ、かつ少なくとも前記反射斜面に高反射膜が形成されてなることを特徴とする。
また本発明の反射体は、先に記載の反射体であり、前記反射斜面の前記交差方向に沿う幅が各反射斜面毎に異なった幅に設定されるとともに、前記溝のピッチが溝毎に異なったピッチに設定されていることを特徴とする。
【0010】
係る反射体によれば、反射斜面を複数設けることにより、反射光の反射角度を任意に制御することができ、反射光の反射角度を観察者の視線に近い方向に接近させることが可能になる。
また、前記反射斜面を分断する複数の溝が設けられているので、反射光における干渉パターンの発生を防止できる。
更に、反射斜面の幅が各反射斜面毎に異なった幅に設定されるとともに、溝のピッチが溝毎に異なったピッチに設定されているので、反射光における干渉パターンの発生を防止できる。
尚、反射斜面と溝とが直交していることが好ましいが、所定の角度で交差していても良い。
【0011】
また、本発明の反射体は、先に記載の反射体であり、前記反射斜面が、前記交差方向に沿って同一方向に傾斜しており、その傾斜角度θが基板面を基準として0°以上20°以下の範囲内の一定の角度とされていることが好ましい。
【0012】
また、本発明の反射体は、先に記載の反射体であり、前記溝の断面形状がV字形状または円弧状であることを特徴とする。
係る反射体によれば、前記溝の断面視形状をV字形状または円弧状とすることで、反射光における干渉パターンの発生を防止できる。
【0013】
また、本発明の反射体は、先に記載の反射体であり、前記反射斜面が不規則な凹凸面とされていることを特徴とする。
係る反射体によれば、反射斜面の表面に凹凸面を形成するので、反射光を散乱させて広い角度範囲で輝度を高くできる
【0014】
また、本発明の反射体は、先に記載の反射体であり、前記基体が半透過性であることが好ましい。
【0015】
次に本発明の反射型液晶表示装置は、液晶層を挟んで対向する基板の一方の基板の内面側に電極および配向膜を該一方の基板側から順に設け、他方の基板の内面側に電極および配向膜を該他方の基板側から順に設けた液晶セルの前記一方の基板の外面側に反射体を設けてなり、前記反射体は、基板の表面に一方向に沿って並ぶ反射斜面が複数形成されるとともに前記一方向の交差方向に沿って前記反射斜面を分断する複数の溝が設けられ、かつ少なくとも前記反射斜面に高反射膜が形成されてなり、前記反射斜面の前記交差方向に沿う幅が各反射斜面毎に異なった幅に設定されるとともに、前記溝のピッチが溝毎に異なったピッチに設定されているものであることを特徴とする。
【0016】
係る液晶表示装置によれば、上記の反射体を備えているので、反射光において干渉パターンが発生することがなく、液晶表示装置の表示の視認性を向上できる。
また、反射光の反射方向を、任意の方向に設定できる。
【0017】
また本発明の反射型液晶表示装置は、先に記載の反射型液晶表示装置であり、前記反射斜面が、前記交差方向に沿って同一方向に傾斜しており、その傾斜角度θが基板面を基準として2°以上20°以下の範囲内の一定の角度とされ、かつ、前記反射体の基板面の法線方向と液晶セルに対する観察視角方向とのなす角度αと、前記傾斜角度θとの関係が、α=2θに設定されていることを特徴とする。
【0018】
係る反射型液晶表示装置によれば、傾斜角度θが上記の範囲内の一定の角度とされ、かつ、角度αと前記傾斜角度θとの関係が、α=2θに設定されているので、反射光の反射角度を観察者の視線に近い方向に接近させることが可能になり、広い視角特性を有する反射型液晶表示装置を構成できる。
【0019】
次に本発明の反射体の製造方法は、先端がV字状の切削工具により母型の型面を切削加工して、断面視略V字形状でかつ同一方向に延びる複数の第1ストライプ溝を連続して形成することにより、平面視ストライプ状の反射斜面を連続的に複数形成する工程と、前記一方向の交差方向に延びる複数の第2ストライプ溝を連続して形成することにより反射斜面を分断する工程とを具備してなる母型形成工程と、前記母型の型面上に電鋳によって金属を付着後、該金属を離型することより前記母型の型面の形状に対応する形状の型面を備えた電鋳型を作製する工程と、感光性樹脂基材の表面に前記電鋳型の型面を押しつけて転写することにより、前記感光性樹脂基材の表面に前記母型の型面と同一形状の成形面を形成する工程と、前記感光性樹脂基材の成形面に高反射膜を成膜する工程とを備えることを特徴とする。
【0020】
係る反射体の製造方法によれば、先端がV字状の切削工具により母型の型面を切削加工して第1、第2ストライプ溝を連続して形成するので、この型面に基づいて反射体を形成した場合に、反射体の表面に、略四面体形状の複数の凸部を相互に隣接させて形成することができ、反射光における干渉パターンの発生のない反射体を容易に製造できる。
【0021】
また本発明の反射体の製造方法は、先に記載の反射体の製造方法であり、前記第1または第2ストライプ溝を形成する際の前記切削工具の送りピッチがランダムなピッチに設定されていることを特徴とする。
【0022】
係る反射体の製造方法によれば、第1または第2ストライプ溝を形成する際の前記切削工具の送りピッチがランダムなピッチに設定されているので、この型面に基づいて反射体を形成した場合に、反射体の表面に、不均一な大きさの反射斜面を複数形成することができ、反射光における干渉パターンの発生のない反射体を製造できる。
【0023】
また本発明の反射体の製造方法は、先に記載の反射体の製造方法であり、前記第2ストライプ溝の断面形状がV字形状または円弧状であることを特徴とする。
【0024】
係る反射体の製造方法によれば、第2ストライプ溝が反射斜面を分断する溝となり、この溝の断面形状がV字形状または円弧状であるので、反射光における干渉パターンの発生のない反射体を製造できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。図1に、本発明の第1の実施形態の液晶表示装置の斜視図を示し、図2に図1のA−A線に対応する断面模式図を示す。
【0026】
図1及び図2に示すように、本実施形態の液晶表示装置1は、液晶セル20と、液晶セル20の観察者側に配されたフロントライト10と、液晶セル20のフロントライト10側とは反対側に外付けされた本発明に係る反射体30とから概略構成されている。
【0027】
液晶セル20は、液晶層23を挟持して対向する第1の基板(一方の基板)21と第2の基板(他方の基板)22をシール材24で接合一体化して概略構成されている。第1の基板21および第2の基板22は、ガラス基板などの透明基板からなり、これらの液晶層23側(内面側)には、それぞれ表示回路26,27が設けられている。表示回路26,27は、図示されていないが、液晶層23を駆動するための透明導電膜等からなる電極層や、液晶層23の配向を制御するための配向膜等を含むものである。またカラー表示を行う場合には、カラーフィルタを含む構成であってもよい。
【0028】
図2に示すように、フロントライト10は、液晶セル20の第2の基板(他方の基板)22の外面側(観察者側)に配置されており、このフロントライト10は特に限定されず、透光性を有する任意形状の面状発光体を用いることができる。本実施形態において、フロントライト10は、例えばアクリル樹脂などからなる透明な導光板12の側端面12aに、冷陰極管などからなる光源13が設けられた構成を有しており、導光板12の下面(液晶セル20側の面)は光が出射される平滑な出射面12bとなっている。また導光板12の出射面12bと反対側の面(導光板12の上面)は、導光板12内部を伝搬する光の方向を変えるためのくさび状の溝が、所定のピッチでストライプ状に複数形成されたプリズム面12cとなっている。
【0029】
また、図2に示すように、反射体30は、透明のセパレータ31を介して液晶セル20の第1の基板(一方の基板)21の外面側に配置されており、この反射体30は、反射基板(基体)28と、この反射基板28上に積層された平坦化層29とから構成されている。反射基板28の表面には高反射膜28aが形成されており、平坦化層29はこの高反射膜28aに接して積層されている。
【0030】
図3に反射体30の部分拡大平面図を示し、図4に図3のM1−M1線に対応する部分拡大断面図を示し、図5には図3のN1−N1線に対応する部分拡大断面図を示し、図6には反射体30の要部の部分拡大斜視図を示す。
図3、図4及び図5に示すように、この反射基板28には、一方向(図中X方向)に沿って連続的に並ぶ反射斜面28bが複数形成されている。また、この反射基板28には、X方向と交差する方向(図中Y方向)に沿って反射斜面28bを分断する複数の溝58が設けられている。そして、反射斜面28b及び溝58上には、前述の高反射膜28aが形成されている。
【0031】
また、図4に示すように、隣接する2つの反射斜面28b、28bの間には、基板面Sに対してほぼ垂直な壁面28cが設けられており、この壁面28c…によって各反射斜面28b…同士が連結されている。
なお、ここで基板面Sとは、反射基板28の裏面28eに平行な面であって、反射斜面28bの傾斜角度等の基準となる仮想的な面である。
【0032】
各反射斜面28bは、図中Y方向(交差方向)に沿って同一方向に向くように傾斜しており、その傾斜角度θが基板面Sを基準として0°以上20°以下の範囲内の一定の角度とされ、好ましくは2°以上10°以下の範囲内の一定の角度とされている。
反射斜面28bの傾斜角度θが20°を超えると、反射光の反射角度を観察者の視線の方向に接近させることができなくなるので好ましくない。
特に反射斜面28bの傾斜角度θは、図2に示す表示面1aの法線方向Hと観察者の主たる観察方向αとのなす角度αの約1/2の角度、すなわちα=2θの関係とされていることが、反射光の反射角度を観察者の視線に合わせることができる点で好ましい。具体的には、上記角度θは、実用の視点において、通常、0°乃至20°であるので、θ は10°程度とされていることが好ましい。
【0033】
更に図4に示すように、各反射斜面28bの図中Y方向に沿う幅L1〜L4が、各反射斜面毎に異なった幅に設定されている。即ち、図4においては、各幅L1〜L4がL2>L4>L1>L3に設定されている。このように、各反射斜面28bのY方向の幅をランダムに設定することで、反射光における干渉パターンの発生を防止できる。尚、各反射斜面28bの図中Y方向に沿う幅は、1μm〜30μmの範囲で任意に設定されることが好ましい。
【0034】
次に、図5に示すように、反射斜面28bを分断する溝58は、断面形状がV字形状とされており、相互に隣接して形成されている。また、各溝58のピッチP1〜P3がランダムに設定されている。即ち、図5においては、各ピッチP1〜P3がP2>P1>P3となるように設定されている。このように、各溝58のピッチをランダムに設定することで、反射光における干渉パターンの発生を防止できる。尚、各ピッチの具体的な大きさは、例えば、1μm〜30μm程度とすることが好ましい。
また、V字状の各溝58の開き角度θ2は、90°以上170°以下の範囲内の一定の角度とされている。これにより、各溝58のピッチを溝毎に変更するためには、溝の深さを溝毎に変更する必要がある。即ち、溝58のピッチが大きくなるに従って、溝58の深さが順次深くなる。
【0035】
以上により、反射基板28には、反射斜面28bと、壁面28cと、断面V字形状の溝58のみが形成され、反射基板28の基板面Sに平行な面は存在しない状態になっている。
【0036】
本発明に係る反射基板28においては、反射斜面28bを溝58によって分断することにより、図6に示すように、略四面体形状であって複数の不均等な大きさの凸部31が反射基板28上に相互に隣接して形成される。各凸部31は、反射斜面28bと、反射斜面28bの裏側にある壁面28cと、反射斜面28b及び壁面28cに同時に接する一対の斜面28d1、28d2により構成される。各斜面28d1、28d2は溝58を区画する斜面の一部である。反射斜面28bのY方向に沿う幅と各溝58のピッチとがそれぞれランダムに設定されているため、これら反射斜面28b及び溝58により形成された各凸部31は、その大きさが個々に異なったものとなる。
【0037】
また、高反射膜28aを構成する金属材料としては、Al、Agなどの反射率の高い金属が用いられる。高反射膜28aの膜厚は80nm以上200nm以下の範囲であることが好ましい。膜厚が80nm未満だと、高反射膜28aによる光の反射率が過小となって反射モード時の表示が暗くなるので好ましくなく、膜厚が200nmを超えると必要以上に成膜コストがかかることや、反射斜面28b及び溝58による起伏が小さくなってしまうので好ましくない。
【0038】
尚、反射斜面28bの表面は、平坦面であることが好ましいが、凹凸面であっても良い。図7には、反射斜面28bを凹凸面にした場合の断面模式図を示し、図8にはこの凹凸面の拡大断面模式図を示す。
図7及び図8に示すように、各反射斜面28bには、凸部111aならびに凹部111bが不規則に配置されることによって凹凸面112が形成されている。凹部111bは、深さが0.3μm以上3μm以下の範囲のもので、ここでの凹部111bの深さとは、凸部111aの頂部のうち反射基板28の裏面からの距離が最も大きい頂部を含む面からの距離である。
また、この反射斜面28bにおいては、隣接する凹部111bが、1μm以上30μm以下の範囲内のピッチで不規則にばらついている。隣接する凹部111bのピッチが1μm未満の場合、反射斜面28bを形成するために用いる転写型の製作上の制約があり、加工時間が極めて長くなる、所望の反射特性が得られるだけの形状が形成できない、干渉光が発生する等の問題が生じる。
【0039】
本実施形態においてはこの凹凸状の反射斜面28b上に高反射膜28aが形成される。これにより、高反射膜28aに反射斜面28bの微小な凹凸形状が反映され、高反射膜28aの表面が凹凸面112となる。このときの反射体30を、反射斜面28bの特定の縦断面で縦断したとき、高反射膜28aの表面である凹凸面112は図8に示すように縦断面の断面曲線の傾きが不連続なものであり、言い換えれば、縦断面の断面曲線の一次微分係数が不連続となる。
【0040】
反射斜面28bを凹凸面にすることで、反射光の拡散性を向上して反射光を拡散させることができ、広い反射角度の範囲で反射光の輝度を高くすることができる。また、反射体30の光拡散性を向上させて反射光の干渉パターンの発現を防止することができる。
【0041】
本実施形態の反射型液晶表示装置1においては、反射体30に、同一方向に傾斜する反射斜面28b…が備えられており、この反射斜面28bを含む反射体30を、図2及び図3〜図5に示すXY方向の対応関係を保つように、即ち反射斜面28bが観察者の視線方向α1に向くように液晶表示装置1に組み込むことで、入射した入射光Qを図2中R方向に反射させることができ、反射光の方向を観察者の視線方向αに接近させることができる。
即ち、入射光Qの入射角度は、法線H1に対してω0であり、これが平坦な反射面によって反射された場合は法線H1に対する反射角度ω(=ω0)をもって反射されるが、本発明の反射体30を用いた場合には、法線H1に対する角度2θ1をもってR方向に反射される。
従って、法線方向H1と観察者の視線方向との成す角度αに対し、α=2θ1の関係となるようにθ1を設定することで、反射光Rの方向を観察者の視線方向に一致させることができ、反射輝度の高い液晶表示装置1を構成することが可能になる。
【0042】
また、反射斜面28bの一方向に沿う幅と各溝58のピッチとがそれぞれランダムに設定されているので、反射斜面28bの各面積がそれぞれ異なったものとなり、反射光の干渉パターンの発生を防止することができ、この反射体30を液晶表示装置1に用いた場合には液晶表示装置1の表示の視認性を向上できる。
【0043】
以上のことを図示すると図9に示す通りとなる。図9には、反射光の強度と基板面Sの反射光の反射方向と法線H1とのなす角度との関係を示している。
反射斜面28bの傾斜角度をθ1に設定した場合、法線H1方向と反射光の反射方向とのなす角は2θ1となり、反射光のプロファイルはこの2θ1を中心とするガウス分布形状となる。尚、図9の横軸に示されている角度ωは、前述の図2の角度ωであり、2θ1<ωの関係になっている。
このように、反射斜面28bを基板面Sに対して傾斜角度θ1をもって傾斜させることで、図2に示したように、反射光Rの方向を観察者の視線方向に一致させることができ、反射輝度の高い液晶表示装置1を構成することが可能になる。
【0044】
また、反射斜面28bの凹凸面の粗さを大きくすると、図9に示すように、反射光のプロファイルが曲線▲1▼から曲線▲3▼に至るように変化する。即ち、凹凸面の粗さが小さい場合は、曲線▲1▼で示すように、2θ1における反射強度が高く、分布幅が小さなプロファイルとなり、凹凸面の粗さが大きくなるに従って、曲線▲2▼または▲3▼で示すように、2θ1における反射強度が低く、分布幅が広がったプロファイルとなる。このように、反射斜面28bの凹凸面の粗さを制御することで、反射光の拡散性を容易に調整することができる。
【0045】
次に、本発明に係る反射体30の製造方法について図10〜図17を参照して説明する。
この反射体30の製造方法は、切削工具により母型の型面を切削加工することにより第1、第2ストライプ溝を形成して母型を作製する工程と、母型の型面上に電鋳によって金属を付着後、該金属を離型する工程と、感光性樹脂基材の表面に電鋳型を押しつけて転写する工程と、前記感光性樹脂基材の成形面に高反射膜を成膜する工程とから概略構成されている。
【0046】
まず、母型を製造する工程について詳細に説明する。図10及び図11に示すように、先端部が非対称V字状の切削工具61を用意する。
この切削工具61は、図10及び図11に示すように、その先端部形状が、工具の移動方向から見たときに非対称V字形状となっている。即ち、母型200に対して傾斜した一方の切削面62が、母型200に対して垂直な他方の切削面63に最先端64で接合した構成になっている。
また、切削面62の傾斜角度は、図11に示すように、他方の切削面63とのなす角θ3で表すことができ、θ3は0°を超えて30°以下の範囲が好ましい。
【0047】
この切削工具61を母型200の型面201に押し当てながら、図10中矢印で示す移動方向に沿って移動させることにより切削加工を行い、第1ストライプ溝を形成する。切削工具61の移動方向は、まず、図10中X方向に向けて母型200を切削しつつ移動させ、次に所定の送りピッチの分だけ図中Y方向に移動させ、次に図中X方向の反対方向に向けて母型200を切削しつつ移動させ、次に再び所定の送りピッチの分だけ図中Y方向に移動させる。このサイクルを繰り返し行いながら、母型200の型面201のほぼ全面を切削加工する。
【0048】
図12及び図13には、切削工具61による切削加工の様子を示している。図12及び図13に示すように、切削工具61を図中Y方向に沿ってL1、L2、L3,L4の送りピッチで順次移動させながら切削加工を行うことで、第1ストライプ溝41…が形成される。尚、送りピッチL1、L2、L3、L4は1〜30μmの範囲でランダムに変更することが好ましい。この範囲でランダムに変更すれば、反射光において干渉パターンが発現するおそれがない。
【0049】
こうして形成された第1ストライプ溝41…は、図13に示すように、溝の深さが各溝間においてばらついており、また、断面形状が切削工具61の先端部形状に対応した非対称V字形状になっており、切削面62に対応する面が反射斜面28bに対応する型面となる。これにより、反射斜面28bの傾斜角度θ1は、切削面62の傾斜角度θ3により決まり、その関係はθ1=(90−θ3)°となる。
また、切削面63に対応する面が壁面28cに対応する型面となる。
また、各第1ストライプ溝41…は、相互に隣接して形成され、母型71の基準面に平行な面が存在しない状態となる。
【0050】
次に、図14〜図17に示すように、第1ストライプ溝41…の形成後の母型200に対して、別の切削工具71を用いて第2ストライプ溝51…の形成を行う。
即ち、切削工具71を母型200の型面201に押し当てながら、図14中矢印で示す移動方向に沿って移動させることにより切削加工を行い、第2ストライプ溝を形成する。切削工具71の移動方向は、まず、図14中Y方向の反対方向に向けて母型71を切削しつつ移動させ、次に所定の送りピッチの分だけ図中X方向に移動させ、次に図中Y方向の反対方向に向けて母型71を切削しつつ移動させ、次に再び所定の送りピッチの分だけ図中X方向に移動させる。このサイクルを繰り返し行いながら、母型200の型面201のほぼ全面を切削加工する。
【0051】
ここで使用する切削工具71は、図15に示すように、その先端部形状が、工具の移動方向から見たときに対称V字形状となっている。即ち、母型200に対して傾斜した一対の切削面72、73が、工具の最先端74で相互に接合した構成になっている。図15に示すように、最先端74から垂線(一点鎖線)をのばし、この垂線と各切削面72,73とのなす角度はそれぞれθ4であって等しく、このθ4は45°〜85°の範囲が好ましい。
【0052】
図16及び図17には、切削工具71による切削加工の様子を示している。図16及び図17に示すように、切削工具71を図中Y方向に沿ってP1、P2、P3の送りピッチで順次移動させながら切削加工を行うことで、第2ストライプ溝51…が形成される。尚、送りピッチP1、P2、P3は、1〜30μmの範囲でランダムに変更することが好ましい。この範囲でランダムに変更すれば、反射光において干渉パターンが発現するおそれがない。
【0053】
このようにして、母型200に切削加工を施して第1、第2ストライプ溝41…,51…を形成することにより、母型200の型面に複数の不均等な大きさの凸部が相互に隣接して多数形成される。尚、第2ストライプ溝51…が、図3〜図6に示した溝58に対応するものとなる。
【0054】
次に、上記母型200の型面201上にNi等の金属を電鋳処理によって必要な厚さ分だけ形成した後、離型すると、上記母型200の型面201の凸部形状と凹凸が逆の凹凸形状を有する型面を備えた電鋳型が得られる。
【0055】
ついで、基材上に、スピンコート法などによりアクリル系レジストなどの感光性樹脂液を塗布した後、プリベークして感光性樹脂層を形成し、上記電鋳型の型面を上記感光性樹脂層の表面に押しつけた後、離型し、該感光性樹脂層の表面に上記電鋳型の型面の凹凸形状と凹凸が逆の凹凸形状を形成すると、母型200の型面201と同一形状の凸部が形成された図2〜図6に示すような反射基板28が得られる。この反射基板28上に高反射膜28aを形成するとことで、本発明に係る反射体30が得られる。
【0056】
また、この時、母型200の型面201上に、結晶性ポリマー中に粒径がランダムな多数の微小粒子が分散、混練されてなる微小粒子混練液を塗布、硬化させて表面に微小凹凸形状を有する微小粒子混練層を形成して、母型とし、これにNi等の金属を電鋳処理によって必要な厚さ分だけ形成した後、離型すると、上記母型の微小粒子混練層の表面の微小凹凸形状と凹凸が逆の微小凹凸形状を有する型面を備えた電鋳型が得られる。そして、この電鋳型に対して先程と同様の処理を行うことで、図8及び図9に示すような凹凸面を有する反射体が得られる。
【0057】
上記結晶性ポリマーとしては、液晶性ポリマーなどが用いられる。上記微小粒子としては、無機系のシリカ、或いは有機系のジビニルベンゼン重合体、スチレンブタジエン共重合体、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が適宜選択して用いられる。上記微小粒子の半径は、0.5μm以上15μm以下の範囲内のものが用いられる。上記のような結晶性ポリマーに分散された微小粒子は、2次凝集が起きにくく、また、その表面に微小粒子表面が突出した状態になるので、この微小粒子混練液を硬化させた上記の微小粒子混練層の表面も上記微小粒子表面が突出するので、微小凹凸形状を有している。これに対して非結晶性ポリマーを用いる場合、表面エネルギーが高くなるため、微小微粒子が表面に突出せず、微小粒子混練層の表面に微小凹凸形状が形成されない。
【0058】
上記の反射体30の製造方法によれば、先端がV字状の切削工具61、71により母型200の型面201を切削加工して第1、第2ストライプ溝41…、51…を連続して形成するので、この型面201に基づいて反射体30を形成した場合に、反射体30の表面において、溝によって反射斜面が分断された形状を得ることができ、反射光における干渉パターンの発生のない反射体30を製造できる。
【0059】
また、第1または第2ストライプ溝41…、51…を形成する際の切削工具61、71の送りピッチがランダムに設定されているので、母型200に基づいて反射体30を形成した場合に、反射体30の表面に、略四面体形状であって不均等な大きさの複数の凸部31を相互に隣接配置して形成することができ、反射光における干渉パターンの発生のない反射体30を製造できる。
【0060】
以上、本発明の第1の実施形態について説明したが、本発明に係る反射体は、切削工具の変更により、その正四面体形状の凸部を様々な形に変更することが可能である。そこで、第2の実施形態により、反射体の変形例について説明する。
【0061】
(第2の実施形態)
図18には、第2の実施形態の反射体の反射体230の部分拡大平面図を示し、図19に図18のM2−M2線に対応する部分拡大断面図を示し、図20には図18のN2−N2線に対応する部分拡大断面図を示し、図21には反射体230の要部の部分拡大斜視図を示す。
図18〜図21に示すように、この反射体230には、一方向(図中X方向)に沿って連続的に並ぶ反射斜面228bが複数形成されている。また、この反射体230には、X方向と交差する方向(図中Y方向)に沿って反射斜面228bを分断する複数の溝258が設けられている。そして、反射斜面228b及び溝258上には高反射膜228aが形成されている。
【0062】
また、第1の実施形態の場合と同様に、図19に示すように、隣接する2つの反射斜面228b、228bの間には、基板面Sに対してほぼ垂直な壁面228cが設けられており、この壁面228c…によって各反射斜面228b…同士が連結されている。
【0063】
また、各反射斜面228bは、図中Y方向(交差方向)に沿って同一方向に向くように傾斜しており、その傾斜角度θが基板面Sを基準として5°以上20°以下の範囲内の一定の角度とされ、好ましくは5°以上15°以下の範囲内の一定の角度とされている。反射斜面228bの傾斜角度θが5°未満または20°を超えると、反射光の反射角度を観察者の視線の方向に接近させることができなくなるので好ましくない。特に反射斜面228bの傾斜角度θは、図2に示す表示面1aの法線方向Hと観察者の主たる観察方向αとのなす角度αの約1/2の角度、すなわちα=2θの関係とされていることが、反射光の反射角度を観察者の視線に合わせることができる点で好ましい。具体的には、上記角度θは、実用の視点において、通常、0°乃至20°であるので、θ は10°程度とされていることが好ましい。
【0064】
また第1の実施形態の場合と同様に、各反射斜面228bの図中Y方向に沿う幅L1〜L4が、各反射斜面毎に異なった幅に設定されている。即ち、図19においては、各幅L1〜L4がL2>L4>L1>L3に設定されている。このように、各反射斜面228bの幅をランダムに設定することで、反射光における干渉パターンの発生を防止できる。尚、各反射斜面228bの図中Y方向に沿う幅は、1μm〜30μmの範囲で任意に設定されることが好ましい。
【0065】
次に、図18及び図20に示すように、反射斜面228bを分断する溝258は、断面形状が凹型の円弧状とされており、相互に隣接して形成されている。また、各溝258のピッチP1〜P5がランダムに設定されている。このように、各溝258のピッチをランダムに設定することで、反射光における干渉パターンの発生を防止できる。尚、各ピッチの具体的な大きさは、例えば、1μm〜30μm程度とすることが好ましい。
また、円弧状の各溝258の曲率半径Rは、10μm以上1mm以下の範囲内の一定の大きさとされている。これにより、各溝258のピッチを溝毎に変更するためには、溝の深さを溝毎に変更する必要がある。即ち、溝258のピッチが大きくなるに従って、溝258の深さが順次深くなる。
【0066】
以上により、反射体230には、反射斜面228bと、壁面228cと、断面円弧状の溝258のみが形成され、反射体230の基板面Sに平行な面は存在しない状態になっている。
【0067】
本実施形態の反射体230においては、反射斜面228bを溝258によって分断することにより、図21に示すように、略四面体形状であって複数の不均等な大きさの凸部231が相互に隣接して形成される。各凸部231は、反射斜面228bと、反射斜面228bの裏側にある壁面228cと、反射斜面228b及び壁面228cに同時に接する一対の円弧面228d1、228d2により構成される。各斜面228d1、228d2は溝258を区画する円弧面の一部である。反射斜面228bの一方向に沿う幅と各溝258のピッチとがそれぞれランダムに設定されているため、反射斜面228b及び溝258により形成された各凸部231は、その大きさが個々に異なったものとなる。
【0068】
また、高反射膜228aを構成する金属材料としては、第1の実施形態と同じ理由から、Al、Agなどが用いられ、膜厚は80nm以上200nm以下の範囲とされる。本発明の反射体では、高反射膜を80nm以下の薄膜にすることで、半透過型液晶表示装置とすることもできるが、より明るい表示を得るには、膜厚80〜200nmの高反射膜に所定の開口率で微小な開口部を設けることにより半透過型液晶表示装置にすることもできる。この場合、開口率は1画素面積あたり15〜30%、好ましくは15〜25%に設定される。
【0069】
尚、反射斜面228bの表面は、第1の実施形態と同様に、平坦面であってもよく、凹凸面であってもよい。
凹凸状の反射斜面228bを用いることで、反射光の拡散性を向上して反射光を拡散させることができ、広い反射角度の範囲で反射光の輝度を高くすることができる。
【0070】
本実施形態の反射体230においては、第1の実施形態の反射体30とほぼ同等な効果が得られる。
【0071】
次に、本発明に係る反射体230の製造方法について図22及び図23を参照して説明する。本実施形態の反射体130の製造方法は、第2ストライプ溝(溝158)の形成を、先端が円弧状の切削工具を用いて行うこと以外は、第1の実施形態と同様である。そこで、第1の実施形態との相違点のみ説明する。
図22及び図23に、切削工具81を用いて母型171の型面171に第2ストライプ溝151を形成する工程を示す。尚、図21に示す母型171は、既に非対称V字形状の第1のストライプ溝を形成した後のものである。
【0072】
図22に示すように、本実施形態で用いる切削工具81は、先端が凸状の円弧面を切削面82とする工具である。この切削面82の曲率半径は、例えば10μm〜1mmの範囲とすることが好ましい。
この切削工具81を母型300の型面301に押し当てながら、図22中Y方向の反対方向に向けて母型300を切削しつつ移動させ、次に所定の送りピッチの分だけ図中X方向に移動させ、次に図中Y方向の反対方向に向けて母型300を切削しつつ移動させ、次に再び所定の送りピッチの分だけ図中X方向に移動させる。このサイクルを繰り返し行いながら、母型300の型面301のほぼ全面を切削加工する。
【0073】
図23には、切削加工後の状態を示している。図23に示すように、切削工具81を図中X方向に沿ってP1〜P5の送りピッチで順次移動させながら切削加工を行うことで、第2ストライプ溝251…が形成される。尚、送りピッチP1〜P5は、1〜30μmの範囲でランダムに変更することが好ましい。この範囲でランダムに変更すれば、反射光において干渉パターンが発現するおそれがない。
【0074】
このようにして、母型300に切削加工を施して第1、第2ストライプ溝を形成することにより、母型300の型面に複数の不均等な大きさの凸部が相互に隣接して多数形成される。尚、第2ストライプ溝251…が、図18〜図21に示した溝258となる。
【0075】
この後、第1の実施形態と同様に、上記母型300の型面301上にNi等の金属を電鋳処理によって必要な厚さ分だけ形成した後、離型すると、上記母型の型面の凸部形状と凹凸が逆の凹凸形状を有する型面を備えた電鋳型が得られる。ついで、基材上に感光性樹脂液を塗布した後、プリベークして感光性樹脂層を形成し、上記電鋳型の型面を上記感光性樹脂層の表面に押しつけた後、離型し、該感光性樹脂層の表面に上記電鋳型の型面の凹凸形状と凹凸が逆の凹凸形状を形成すると、母型171の型面と同一形状の凸部が形成された図18〜図21に示すような反射基体230が得られる。
【0076】
尚、本発明は、上述した第1,第2の実施形態に限られるものではなく、本発明の範囲で様々な変更を加えることが可能になる。
即ち、上記の各実施形態では、不透明の感光性樹脂層によって反射基板を形成したが、本発明はこれに限られず、半透明の反射基板を用いても良い。反射基板を半透過性にすることで、反射基板自体に拡散性能を付与することができる。
【0077】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の反射体によれば、反射斜面を複数設けることにより、反射光の反射角度を任意に制御することができ、反射光の反射角度を観察者の視線に近い方向に接近させることが可能になる。
また、前記反射斜面を分断する複数の溝が設けられているので、反射光における干渉パターンの発生を防止できる。
更に、反射斜面の幅が各反射斜面毎に異なった幅に設定されるとともに、溝のピッチが溝毎に異なったピッチに設定されているので、反射光における干渉パターンの発生を防止できる。
【0078】
また、本発明の反射体の製造方法によれば、先端がV字状の切削工具により母型の型面を切削加工して第1、第2ストライプ溝を連続して形成するので、この型面に基づいて反射体を形成した場合に、反射体の表面に、略四面体形状の複数の凸部を相互に隣接させて形成することができ、反射光における干渉パターンの発生のない反射体を容易に製造できる。
特に、フォトリソグラフィ技術によって製造する場合と比較して、製造工程を大幅に簡略化することが可能になり、また、反射斜面の傾斜角度も精密に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の液晶表示装置の斜視図。
【図2】図1のA−A線に対応する断面模式図。
【図3】図1の液晶表示装置に用いられる反射体の部分拡大平面図。
【図4】図3のM1−M1線に対応する部分拡大断面図。
【図5】図3のN1−N1線に対応する部分拡大断面図。
【図6】図3に示す反射体の要部を示す部分拡大斜視図。
【図7】反射斜面を凹凸面にした場合の反射体の要部を示す部分拡大斜視図。
【図8】図7における反射斜面の拡大断面図。
【図9】反射光の強度と基板面Sの反射光の反射方向と法線H1とのなす角度との関係を示すグラフ。
【図10】図3に示す反射体の製造方法を説明するための工程図。
【図11】図3に示す反射体の製造方法を説明するための工程図。
【図12】図3に示す反射体の製造方法を説明するための工程図。
【図13】図3に示す反射体の製造方法を説明するための工程図。
【図14】図3に示す反射体の製造方法を説明するための工程図。
【図15】図3に示す反射体の製造方法を説明するための工程図。
【図16】図3に示す反射体の製造方法を説明するための工程図。
【図17】図3に示す反射体の製造方法を説明するための工程図。
【図18】本発明の第2の実施形態の反射体の部分拡大平面図。
【図19】図18のM2−M2線に対応する部分拡大断面図。
【図20】図18のN2−N2線に対応する部分拡大断面図。
【図21】図18に示す反射体の要部を示す部分拡大斜視図。
【図22】図18に示す反射体の製造方法を説明するための工程図。
【図23】図18に示す反射体の製造方法を説明するための工程図。
【図24】従来の反射型液晶表示装置の例を示す側面断面図。
【図25】従来の反射型液晶表示装置に備えられた反射板の反射特性を示す図。
【符号の説明】
1 反射型液晶表示装置(液晶表示装置)
28 反射基板(基体)
28a 高反射膜
28b 反射斜面
30 反射体
31 凸部
41 第1ストライプ溝
51 第2ストライプ溝
58 溝
61、71 切削工具
200 母型
201 型面

Claims (11)

  1. 入射光を反射する反射体であって、基板の表面に一方向に沿って並ぶ反射斜面が複数形成されるとともに前記一方向の交差方向に沿って前記反射斜面を分断する複数の溝が設けられ、かつ少なくとも前記反射斜面に高反射膜が形成されてなることを特徴とする反射体。
  2. 前記反射斜面の前記交差方向に沿う幅が各反射斜面毎に異なった幅に設定されるとともに、前記溝のピッチが溝毎に異なったピッチに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の反射体。
  3. 前記反射斜面が、前記交差方向に沿って同一方向に傾斜しており、その傾斜角度θが基板面を基準として0°以上20°以下の範囲内の一定の角度とされていることことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の反射体。
  4. 前記溝の断面形状がV字形状または円弧状であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の反射体。
  5. 前記反射斜面が不規則な凹凸面とされていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の反射体。
  6. 前記基体が半透過性であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の反射体。
  7. 液晶層を挟んで対向する基板の一方の基板の内面側に電極および配向膜を該一方の基板側から順に設け、他方の基板の内面側に電極および配向膜を該他方の基板側から順に設けた液晶セルの前記一方の基板の外面側に反射体を設けてなり、
    前記反射体は、基板の表面に一方向に沿って並ぶ反射斜面が複数形成されるとともに前記一方向の交差方向に沿って前記反射斜面を分断する複数の溝が設けられ、かつ少なくとも前記反射斜面に高反射膜が形成されてなり、前記反射斜面の前記交差方向に沿う幅が各反射斜面毎に異なった幅に設定されるとともに、前記溝のピッチが溝毎に異なったピッチに設定されているものであることを特徴とする反射型液晶表示装置。
  8. 前記反射斜面が、前記交差方向に沿って同一方向に傾斜しており、その傾斜角度θが基板面を基準として2°以上20°以下の範囲内の一定の角度とされ、かつ、前記反射体の基板面の法線方向と液晶セルに対する観察視角方向とのなす角度αと、前記傾斜角度θとの関係が、α=2θに設定されていることを特徴とする請求項7に記載の反射型液晶表示装置。
  9. 先端がV字状の切削工具により母型の型面を切削加工して、断面視略V字形状でかつ同一方向に延びる複数の第1ストライプ溝を連続して形成することにより、平面視ストライプ状の反射斜面を連続的に複数形成する工程と、前記一方向の交差方向に延びる複数の第2ストライプ溝を連続して形成することにより反射斜面を分断する工程とを具備してなる母型形成工程と、
    前記母型の型面上に電鋳によって金属を付着後、該金属を離型することより前記母型の型面の形状に対応する形状の型面を備えた電鋳型を作製する工程と、
    感光性樹脂基材の表面に前記電鋳型の型面を押しつけて転写することにより、前記感光性樹脂基材の表面に前記母型の型面と同一形状の成形面を形成する工程と、
    前記感光性樹脂基材の成形面に高反射膜を成膜する工程とを備えることを特徴とする反射体の製造方法。
  10. 前記第1または第2ストライプ溝を形成する際の前記切削工具の送りピッチがランダムなピッチに設定されていることを特徴とする請求項9に記載の反射体の製造方法。
  11. 前記第2ストライプ溝の断面形状がV字形状または円弧状であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の反射体の製造方法。
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