JP2004061281A - リガンドと結合したイクオリンおよびその製造法 - Google Patents

リガンドと結合したイクオリンおよびその製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】特定のアミノ基にのみリガンドが結合し、且つ発光活性がリガンドとの結合により損なわれないイクオリンからなる標識物質を提供することを目的とする。
【解決手段】配列番号1に記載のアポイクオリン、配列番号1のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加された変異型アポイクオリンの、アミノ末端のアミノ基、配列番号1の2番目、17番目、56番目、59番目、87番目のリジン残基のイプシロン位のアミノ基のいずれかのみにリガンドが結合しているアポイクオリンまたは変異型アポイクオリンを構成成分とするイクオリンまたは変異型イクオリンよりなる標識物質を提供する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イムノアッセイ等の標識物質として有用な、カルシウム結合型発光蛋白質であるイクオリンまたは変異体イクオリン分子にリガンドを導入した新規な標識物質に関する。
【0002】
【従来の技術】
カルシウム結合型発光蛋白質であるイクオリン(aequorin)は、蛋白質部分であるアポイクオリン(アポ蛋白質、apoaequorin)と発光基質に相当するセレンテラジン(coelenterazine)と分子状酸素(O)が複合体を形成した状態で存在している。イクオリン分子にカルシウムイオンが結合すると、青色(極大波長465nm)の瞬間発光を示し、セレンテラジンの酸化物であるセレンテラミド(coelenteramide)、二酸化炭素を生成する。発光反応後、アポイクオリンは、EDTA等のキレート剤によりCa2+を除去し、還元剤で処理した後、セレンテラジンおよび酸素の存在下に低温においてインキュベーションすることによってイクオリンに再生することができる。これを模式的に図1で示す。
【0003】
また、イクオリンは、アポ蛋白質部分(アポイクオリン)をコードする遺伝子の解析により、189個のアミノ酸からなる単純蛋白質であり、カルシウム結合蛋白質のカルモジュリンと相同性があり、カルシウム結合のためヘリックス−ループ−へリックス構造であるEFハンドモチーフが3カ所あることが報告されている(Inouye et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1985) 82: 3154−3158)。また、X線結晶解析により、C末端付近の184番目のチロシン残基がセレンテラジンのペルオキシドの安定化に関与していることが示唆されている(Head et al., Nature (2000) 405: 372−376)。
【0004】
イクオリンのカルシウムイオンに対する感受性は非常に高く、その発光感度もまた市販の検出装置においての検出限界が1ピコグラム以下と非常に高いものである。このため、イクオリンは、微量カルシウムイオンの検出・定量や細胞内カルシウムの動的変化のイメ−ジプローブとして用いられている。イクオリンの発光がカルシウムイオンとの特異的結合による発光であるため、通常の化学発光で問題になるバックグランドがほとんどなく、且つ反応自体が瞬間発光で数秒以内に終了するため、短時間にS/N比(signal/noise ratio)のよいシグナルを得ることができるという利点を有する。
【0005】
さらに、その発光反応系は、生物発光と呼ばれる酵素発光反応であり、全て生体由来の成分で構成されているため、有害な化学物質等(例えばラジオアイソトープや発癌性化合物等)を含んでおらず安全性が高い。このため、当該発光蛋白質は研究用試薬、診断薬等のマーカーまたはレポーターへの応用が期待されている。
【0006】
本発明者等は、イクオリン遺伝子の単離(特開昭61−135586号公報)、生産(特開昭62−171695号公報)、変異型イクオリン遺伝子の生産(特開昭63−291593号公報、特開昭63−291586号公報)、アポイクオリン、セレンテラジンと酸素より、発光活生を持つイクオリンへの変換(特開昭64−047379号公報)、組換えイクオリンの発現系および精製法の改良(特開平1−132397号公報)等を行ってきた。この結果、安価なイクオリンの安定供給が可能となり、市販されるに至っている。さらに、ラジオアイソトープに代わる非放射性の発光量の標準物質として高純度組換えイクオリンを使用した(特開平2001−270899)。
【0007】
イクオリンをマーカーとして利用するには、検出すべき物質とマーカーを関連付けることが必要となる。つまり、イクオリンをマーカーとして用いる場合には、イクオリンを検出すべき物質に直接的に結合させるか、または、何らかの物質を介して間接的に検出すべき物質に結合させる必要がある。本明細書においては、検出すべき物質とイクオリン(マーカー)を関連付ける物質であって、検出すべき物質に直接的に結合する物質、または、検出すべき物質に間接的に結合する物質を「リガンド」と称する。リガンドとしては、後で詳細に説明するように、例えば、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、抗原、抗体等があげられる。
【0008】
イクオリンをリガンドと結合させる際に、イクオリンは比較的不安定であるため、その発光活性が失活する可能性がある。また、より正確な分析・診断結果を得るためには、リガンドとイクオリンが特定の割合で結合しており、反応性にばらつきの無い、品質の一定な製品が要求される。品質が一定であることによって、時期や場所が同じでない測定結果を比較することが容易となる。
【0009】
イムノアッセイ等の一般的な診断・検出系において、汎用される方法の一つがビオチン−アビジン(またはストレプトアビジン)法である。現在までにビオチン化されたイクオリンについて、Zatta等(Zatta et al., Anal. Biochem. (1991) 194:185−191)およびStults等(Stults et al., Biochemistry (1992) 31:1433−1442)の報告がある。Zatta等は、アポイクオリンをビオチン化してから、セレンテラジンと共に再生し発光活性のあるイクオリンとしている。しかし、アポイクオリンをビオチン化してからイクオリンに再生する場合には、ビオチン化アポイクオリンからのビオチン化イクオリンへの再生効率は30%程度である。また、アポイクオリンのどの部位がビオチン化されるかは不明である。Stultsは、アポイクオリンもしくはイクオリンをビオチン化したと記載しているが、イクオリンのビオチン化の条件等は一切明らかにしていない。Stultsのアポイクオリンのビオチン化の反応条件は、N−スクシンイミドエステルの反応性が最も良いと言われるpH8.6の弱アルカリ、モル比5−60倍、室温で30分で終了している。この条件では、189個のアミノ酸より構成されるアポイクオリンの不特定なアミノ基(−NH)がビオチン化される。これらの条件で、修飾される可能性のあるアミノ酸残基は、アミノ末端のアミノ基1箇所と15箇所のリジン残基であるが、どのアミノ酸残基部位にビオチン化されるか決定されておらず、また特定の部位のアミノ基の特異的修飾法もまた確立されていない。すなわち、均一な品質のビオチン化イクオリンの製造およびその提供は未だ達成されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アミノ末端のアミノ基および15個のリジン残基のアミノ基のうち、特定のアミノ基にのみリガンドが結合し、且つ発光活性がリガンドとの結合により損なわれないことを特徴とするイクオリンからなる標識物質、および当該標識物質を安定的に且つ高効率で製造する方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、配列番号1に記載のアポイクオリン、配列番号1のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加された変異型アポイクオリンの、アミノ末端のアミノ基、配列番号1の2番目、17番目、56番目、59番目、87番目のリジン残基のイプシロン位のアミノ基のいずれかのみにリガンドが結合しているアポイクオリンまたは変異型アポイクオリンを構成成分とするイクオリンまたは変異型イクオリンよりなる標識物質である。
【0012】
天然型アポイクオリンのアミノ酸配列は、本発明者等が解明し、特開昭61−135586号公報、Inouye et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1985) 82:3154−3158およびCharbonneau et al., Biochemistry (1985), 24: 6762−6771に記載されている。その天然型アポイクオリンは189個のアミノ酸を有し、そのアミノ酸配列は配列表1に示されている。
【0013】
本発明者等は、そのアポイクオリンを大腸菌により高効率で発現させるベクターpiP−HEを用いて生産した(特開平1−132397号公報およびInouye et al., J. Biochem.(1989) 105: 473−477)。その際発現ベクターの制限酵素由来のN−末のリンカー部分がVal−からAla−Asn−Ser−に置き換わり、191個のアミノ酸を有する組換えアポイクオリンが生産されることが判明している(Inouye et al., Protein Expression and Purification (1991) 2: 122−126)。この組換えアポイクオリンは、カルシウム結合活性、発光活性において配列表1の天然型アポイクオリンと同等である。
【0014】
天然のアポイクオリンには、配列表1に示されるものの外、数種の変異体が存在する(特許2655981、2894687、Biochemistry (1987)26: 1326−1332)。また、アポイクオリンの分子内に存在する3個のシステインを人為的にセリンに変換したアポイクオリン(特開昭63−291593、特開昭63−291586)のほか、いくつかの変異体が知られている(Tsuji et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1986)83:8107−8111, Kurose at al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1989)86:80−84, Ohmiya etal. FEBS Lett. (1992)301:197−201, Ohmiya et al. FEBS Lett.(1993)320:267−270, Lewis et al. Bioconjugate Chem. (2000)11,65−70, Lewis et al. Bioconjugate Chem. (2000)11,140−145)。
【0015】
本発明では、配列表1に記載のアミノ酸配列を有するもののほか、これらの公知のまたは未知の変異体を使用することができる。したがって、本発明で使用されるアポイクオリンは、配列表1記載のアミノ酸配列を有するアポイクオリンおよび配列番号1のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加された変異型アポイクオリンである。特に好ましい変異型アポイクオリンの例として、配列番号1において1番目のValがAla−Asn−Serで置換されたものが挙げられる。
【0016】
本発明に言う、リガンドとは 、検出すべき物質に直接的に結合する物質、または、検出すべき物質に間接的に結合する物質である。例えば、イムノアッセイで抗原部位や抗原量を検出する場合、1次抗体をイクオリンと結合させておけば、イクオリンが結合した1次抗体は、検出すべき抗原に結合するので、イクオリンの発光を測定することにより抗原の部位や量が検出できる。この場合は1次抗原がリガンドとなる。
【0017】
感度を高めるために、2次抗体を使う方法も周知である。1次抗体に対し、ビオチンを結合させた2次抗体を用い、イクオリンを結合させたアビジンまたはストレプトアビジンを反応させる方法である。この際は、アビジンおよびストレプトアビジンがリガンドとなる。この場合に、1分子のアビジンおよびストレプトアビジンが、4分子のビオチンと結合する性質を利用することが出来る。すなわち、イクオリンをビオチンと結合させ次いでそのビオチンを介してアビジンまたはストレプトアビジンに結合させるものである。この場合は、ビオチンがリガンドとなる。
【0018】
リセプターを検出する場合においては、リセプターに結合するシグナルペプチド(インシュリンのようなホルモン、サイトカイン、TNF、Fasリガンド等)がリガンドとなる。シグナルペプチドを検出する場合には受容体を構成するタンパクがリガンドとなる。薬物の受容体を検出する場合には薬物がリガンドとなり、薬物を検出する場合は薬物受容体がリガンドとなる。
【0019】
酵素を検出する場合にはその基質がリガンドとなり、酵素の基質を検出する場合には酵素がリガンドとなる。核酸に対して特異的に結合する他の核酸を検出する場合には、相補的な核酸がリガンドとなる。多糖類に対して特異的に結合する他の物質を検出する場合には、多糖類がリガンドとなる。血液凝固因子と特異的に結合しうるレクチンや転写因子等のDNA結合性蛋白質等もリガンドとなり得る。
【0020】
したがって、本発明に言うリガンドは、検出対象に直接的または間接的に結合可能な物質と定義することもでき、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、酵素、基質、抗体、抗原、核酸、多糖類、レセプター、またはこれらに結合能を有する化合物である。好ましくは、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、抗体、核酸等である。この場合、本発明の標識物質が特異的リガンドから発生するシグナルの増感物質として作用するため、より好感度の特異的リガンド結合−標識物質が得られる。
【0021】
イクオリンまたは変異体イクオリンを構成する発光基質としては、セレンテラジンが用いられるが、セレンテラジンのアナログも同様に用いることができる(Methods in Enzymology (2000) 326: 165−174)。セレンテラジンのアナログを用いることにより、発光活性を有する半合成イクオリンを製造することが可能である。半合成イクオリンは、天然イクオリンに比べて、カルシウムに対するレスポンスの異なるもの、S/N比が改善された性質をもつものが報告されており(Shimomura et al., Biochem. J. (1993)296:549−551)、本発明でも同様の効果が期待できる。
【0022】
本発明のイクオリンまたは変異型イクオリンにおいては、アポイクオリンまたは変異型アポイクオリンの、アミノ末端のアミノ基、配列番号1の2番目、17番目、56番目、59番目、87番目のリジン残基のイプシロン位のアミノ基のいずれかのみリガンドが結合している。その割合は、1分子のイクオリンまたは変異型イクオリンに対し、少なくとも1分子以上のリガンド、好ましくは2〜3分子のリガンドが結合している。ただし、ここでいう反応割合はイクオリン1分子に結合するリガンド分子の平均値であり、リガンドと結合していない少量のイクオリンの存在を妨げるものではない。このようにアポイクオリンの特定位置にリガンドが結合しており、その他の位置には結合しないことによって、安定した測定結果を得ることができる。
【0023】
さらに本発明は、イクオリンまたは変異型イクオリンと、リガンドを結合させたアミノ基修飾試薬を反応させることを特長とする標識物質の製造方法に関する。リガンドを結合させたイクオリンまたは変異体イクオリンを製造するには、アポイクオリンにリガンドを結合させた後で、セレンテラジン、酸素とインキュベーションすることによりイクオリンを再生させることも出来るが、既に複合体となっているイクオリンにリガンドを直接結合させることによって、生産の効率を良くし、適切な製品の品質管理ができる。
【0024】
適当な反応割合は、イクオリンまたは変異型イクオリン1モルに対し、リガンドを結合させたアミノ基修飾試薬5モル以下である。アミノ基修飾試薬の量は導入すべきリガンドの量によって調節することができるが、好ましくは3〜4モルである。
【0025】
イクオリンのリジン残基への特異的修飾は、リジン残基のイプシロン位のアミノ基が解離しにくい中性付近のpH条件で反応を行うことにより、特定のリジン残基を修飾することができる。反応時のpHはpH7.0〜7.5とすることが望ましい。反応温度は、選択性をますため低温例えば0〜5℃、特に好ましくは約4℃とすることが好ましい。反応温度が高いと反応部位の選択性が低くなり、かつイクオリンの発光活性が低下する。
【0026】
リガンドを結合させたアミノ基修飾試薬を反応させるに際しては、イクリン分子内で−S−S−を形成するのを防ぐためメルカプトエタノール、ジチオスレイトールのような還元剤を抗酸化作用を目的として、その存在下で行うこともできる。
【0027】
特異的リガンドとの結合手段は、リガンドの物理化学的特性等により異なるが、イクオリンの分子サイズおよびリガンドとの立体障害を考慮して、直接的にまたはリンカーもしくはスペーサーを介して結合させる。そのためには、リガンドを結合させたアミノ基修飾試薬を、イクオリンのアミノ基と反応させる。
【0028】
リガンドを結合させたアミノ基修飾試薬として、市販されているNHS−LC−Biotinを用いた場合について、ビオチン化の原理を図2に模式的に示した。図中における、6−アミノヘキサン酸の部分がスペーサーに相当する。
【0029】
本発明において、使用されるリガンドを結合させたアミノ基修飾試薬は、NHS−LC−Biotinやビオチン4−ニトロフェニルエステルのようにそれ自体が市販されているものもあるが、N−ヒドロキシスクシンイミド、4−ニトロフェノール等にリガンドもしくはリガンドとスペーサーを結合させて作ることができる。リガンドを結合させたアミノ基修飾試薬として特に好ましいのは、スクシンイミジル6−(ビオチンアミド)ヘキサノエート(NHS−LC−Biotin)である。
【0030】
本発明において用いるリンカーもしくはスペーサーは、アミノ基と特異的に反応しうるものであれば特に限定されないが、20オングストローム以上の長さを有するものが好ましい。リンカーもしくはスペーサーとして使用しうる種々のアミノ基修飾試薬は市販されており、これらを適宜利用することができる。
【0031】
別の態様において、本発明は、上記において説明した標識物質を用いる分析方法および分析用キットに関する。測定/検出対象は、リガンドと特異的に結合する物質、もしくは、リガンドと結合する物質が特異的に結合する物質である。後者の測定対象の例は、リガンドと結合する物質が2次抗体である場合の、1次抗体が認識する抗原である。測定対象にリガンドを介して結合したイクオリンの発光特性から診断等の分野において迅速且つ正確な診断・検出系を確立することができる。
【0032】
本発明を完成するに当たって、修飾されたリジン残基の部位を迅速に決定する方法を確立した。具体的には、リジン特異的ペプチダーゼ消化と質量分析法を組み合わせた、ペプチドマッピング−質量分析法である。ペプチドマッピング−質量分析法の原理(図3)を模式的に示した。まず、反応物のリジン残基のC末端を特異的に切断するリジン特異的ペプチダーゼ消化を行う。この時、リジン残基のイプシロン位のアミノ基が修飾を受けている場合は、修飾リジン残基はリジン特異的ペプチダーゼで切断されない。消化処理した試料は、精製する事なく、Voyager DE Pro mass spectrometer(PerSeptive Biosystem社)を用いたマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析装置(Matrix assisted laser desorption time−of−flight mass spectrometry/MALDI−TOF−MS)にて、質量分析を行う。同一消化条件で、未ビオチン化サンプルも処理を行い、コントロールとして用いる。すなわち、質量分析の結果、ビオチン化する事によって分子量(340.46)が増加し、且つ切断されないため新規に生じたペプチドフラグメントを未処理サンプルのピークと比較して確認し、予測されるペプチドフラグメントの質量値と比較することにより、容易にビオチン化されたリジン残基を特定できる。
またこの分析法は、グルタミン酸のC−末端を特異的に切断する市販の消化酵素を用いて、同様に行うことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
組換えイクオリンを例とし、実施例にて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
【実施例】
実施例1 組換えイクオリンの調製法。
組換えイクオリンは、以下に示すように、特開平1−132397号公報に記載される大腸菌にて組換えアポイクオリン遺伝子を発現させ、セレンテラジンと結合させて組換えイクオリンへと再生した後、特開2001−270899号公報に記載されるように精製して取得した。得られる組換えアポイクオリンのN−末端は、Ala−Asn−Ser−より始まる191個のアミノ酸より構成されている(配列表1のN−末端のVal−がAla−Asn−Ser−で置換されたもの)。
【0035】
1)組換えアポイクオリンの大腸菌での発現
大腸菌において組換えアポイクオリンを発現させるために、アポイクオリン遺伝子を包含するpAQ440(特開昭61−135586号公報)から構築した、アポイクオリン遺伝子発現ベクターpiP−HE(特開平1−132397号公報)を用いた。宿主として大腸菌WA802株を使用し、常法によりpiP−HEで該菌株を形質転換した。得られた形質転換株を30℃で一晩培養後、アンピシリン(50μg/ml)を含有する50mlのLB液体培地(水1リットルあたり、バクトトリプトン10g、イーストイクストラクト5g、塩化ナトリウム5g、pH7.2)に植菌し、さらに30℃で8時間培養した。次いで、その培養物を新たなLB液体培地2リットルに添加し、37℃で一昼夜(18時間)培養した。培養後、菌体と培養液を低速遠心分離(5000×g)によって分離した。菌体および培養液はともに発現した組換えアポイクオリンを含むためそれぞれ保存し、イクオリンの精製出発材料とした。
【0036】
2)菌体からの組換えイクオリンの精製
集菌した菌体を、還元剤であるジチオスレイトール(和光純薬社製)200mgを含む400mlの50mM Tris−HCl,10mM EDTA,pH7.6の緩衝液中に懸濁させ、氷冷下において超音波破砕装置で2分間処理して菌体を破砕し、12000×gで20分間遠心後、上澄み液を集めた。得られた上澄み液にセレンテラジン(和光純薬社製)を産生された組換えアポイクオリンの1.2倍のモル濃度になるように少量のメタノールに溶かしこみ、4℃で5時間以上放置した。この上澄み液を直ちに、20mM Tris−HCl,10mM EDTA,pH7.6の緩衝液で平衡化したQ−セファロースカラム(ファルマシア製、直径2cm×10cm)に添加してイクオリンを吸着させ、カラムから溶液の280nmでの吸光度が0.05以下になるまで20mM Tris−HCl,10mM EDTA,0.1M NaCl,pH7.6でカラムを洗浄した。そして、カラムに吸着した組換えアポイクオリンと組換えイクオリン画分を0.1M−NaCl〜0.4M−NaClの直線濃度勾配で溶出させた。
【0037】
組換えイクオリンと組換えアポイクオリンとの分離は、疎水性クロマトグラフィーであるブチルセファロース4ファーストフローゲルを用いて行った。即ち、Q−セファロースカラムからのオレンジ色の溶出液を、硫酸アンモニウムの最終濃度が2Mになるように調整した。次いで、不溶性画分を遠心分離によって除去し、その上澄み液を、2M−硫酸アンモニウムを含有する20mM Tris−HCl,10mM EDTA,pH7.6で平衡化したブチルセファロース4ファーストフローカラム(ファルマシア社、カラムサイズ:直径2cm×8cm)に通し、硫酸アンモニウム濃度1Mまで直線濃度勾配により溶出し、発光活性を有するオレンジ色の組換えイクオリン画分を収集した。
一方、組換えアポイクオリンは、20mM Tris−HCl,10mM EDTA,pH7.6でのみ溶出された。
【0038】
組換えイクオリン画分について、還元状態で12%ポリアクリルアミドゲルを用いたSDS−PAGEによる分析を行った。その結果、精製画分について分子量25kDa蛋白質に相当する単一バンドが検出され、その純度はデンシトメーターでの測定では98%以上であった。菌体からの組換えイクオリンの回収率は約80%で、80mgの高純度組換えイクオリンを得た。
【0039】
3)培養液からの組換えイクオリンの精製
培養液からの高純度組換えアポイクオリンの精製は、特開平1−132397号公報に記載の方法に従って実施した。即ち、培養液を酸性化処理してpH5以下にし、4℃で放置した。白色沈殿となったアポイクオリンを遠心分離によって単離し、これを還元剤(DTT:ジチオスレイトール)を含む上述の緩衝液に溶解させ、1.2倍モル濃度になるように少量のメタノールに溶かし込んだセレンテラジンを加え、イクオリンの再生を開始する。5時間以上、4℃で放置することにより、90%以上イクオリンに再生する。そして菌体からのイクオリンの精製工程と同様にQ−セファロ−スカラムクロマト法、ブチルセファロース4ファーストフローカラムクロマト法を用いて、純度98%以上のイクオリンを取得した。得られた精製組換えイクオリンについて、還元状態で12%ポリアクリルアミドゲルを用いたSDS−PAGEによる分析を行った結果、分子量25kDa蛋白質に相当する単一バンドが検出され、その純度はデンシトメーターでの測定では98%以上であった。高純度組換えイクオリン45mgを得た。
【0040】
実施例2 精製組換えイクオリン溶液から硫酸アンモニウムの除去法
N−スクシンイミドエステル試薬は、アミノ基と特異的に反応するため、精製組換えイクオリン溶液からのアミノ化合物である硫酸アンモニウムの除去が必須である。精製組換えイクオリン7mgを含む0.5mlを、分子量分画10000の膜を持つセントリコン10(アミコン社製)に加え、0.1mM EDTAを含む66mMリン酸緩衝液(pH7.2)1.5mlを加え、液高速遠心機(日立社製:CR20B2型)にて4000×g、60分間以上遠心を行い、200μLまで濃縮する。さらに0.1mM EDTAを含む66mMリン酸緩衝液(pH7.2)1.5mlを加え、再度200μLまで濃縮する。この操作を最低3回以上くり返し、硫酸アンモニウムの存在の影響がないまでに除去した組換えイクオリン溶液を得た。
【0041】
実施例3 N−スクシイミドビオチンエステルによる組換えイクオリンの特異的ビオチン化
組換えイクオリンのリジン残基を考慮したモル数の5分の1以下のN−スクシイミドビオチンエステルを0.1mM EDTAを含む66mMリン酸緩衝液中において、反応温度0〜4℃にて2時間以上インキュベートすることにより、リジン残基を特異的にビオチン化した。
具体的には次のように実施した。1.5mlのポリプロピレン製チューブに、450μlの0.1mM EDTAを含む66mMリン酸緩衝液(pH7.2)に、N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬社製)溶液に溶解した10mM のN−スクシンイミドビオチンエステル(EZ−Link NHS−LC−Biotin,Pierce社:スペーサーの長さ:22.4オングストローム)10μl(100nmol)を加え、次いで組換えイクオリン50μl(32.5nmolイクオリン:アミノ残基に換算して520nmol)を添加して、修飾反応を開始させ、暗所で4℃にて12時間反応を行った。修飾反応の経過は、2時間ごとに反応液を1μl取り出し、ニトロセルロース膜(バイオラッド社製)にてドットブロットを行い、抗ビオチンウサギ抗体−アルカリフォスファターゼ(シグマ社製)を用いたドットブロット発色法で、ビオチン化を確認した。その結果、0分から2時間で急速にビオチン化が起き、6時間以上において顕著なビオチン化の増加は検出されなかった。
上記と同様に、20オングストローム以上のスペーサーを持つスクシイミド型のアミノ基修飾試薬を用いれば、ビオチン以外のリガンド、例えば抗体、抗原、低分子有機化合物等を直接結合させることが可能である。
【0042】
上述のようにして得られたビオチン化された組換えイクオリンと未反応の組換えイクオリンの発光活性を比較したところ、ビオチン化により活性の低下はほとんど観察されず、ビオチン化組換えイクオリンは98%の発光活性を保持していた。また、上記反応系で、反応温度を20℃に上げた場合、発光活性は反応時間2時間で50%以下に低下した。反応後、未反応試薬の除去、ビオチン化組換えイクオリンの単離および緩衝液交換は、4℃でのセントリコン10(アミコン社製)を用いた遠心型濾過法の単一工程で行った。この工程は、使用目的の反応系に応じて、緩衝液を交換できる利点がある。発光活性の低下を防ぐため、蛋白質濃度を100ng/mL以上で、−80℃以下の温度で保存する。この場合だと6ヶ月以上、著しい活性低下は観察されない。
【0043】
実施例4 ビオチン化組換えイクオリンに結合するビオチン数の決定
実施例3においてビオチン化された組換えイクオリンについて、蛋白質1分子当たりのビオチンの結合個数を確認した。具体的には、Voyager DE Pro mass spectrometer(PerSeptive Biosystem社)を用いたMALDI−TOF−MS法により分子量を測定することにより実施した。この方法は未反応組換えイクオリンとビオチン化組換えイクオリンの分離が可能であり、且つビオチンの結合個数が決定できる。
【0044】
ビオチン化された組換えイクオリンをMALDI−TOF−MSにかけた場合、セレンテラジン−酸素部分は分解するため、測定される組換えイクオリンの分子量は組換えアポイクオリンのそれと同じとなる。その計算平均分子量は、21632.20、であり1ケ所、2ケ所、3ケ所、4ケ所、5ケ所、ビオチン化されたイクオリンの計算平均分子量はそれぞれ、21972.66、22313.12、22653.58、22994.04、23334.50である。
【0045】
分子量スタンダードとして、アンジオテンシンI (m/z 1296.69)、インスリン(m/z 5734.59)、アポミオグロビン(m/z 16952.60)、アポイクオリン(m/z  21362.20)を用いた。使用するマトリックスとして、アルファーシアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(アルドリッチ社製)とシナピン酸(アルドリッチ社製)より0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル溶液にて50%(V/V)アルファーシアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸および30%(V/V)シナピン酸を含むマトリックス溶液を調製した。マトリックス液1.5μlと測定サンプル0.5μlを混合し、次いで風乾した後に混合液を分子量測定に供した。その結果、スペクトルを図4に示した。主要ピークの測定値は、21635.13、21972.79、22315.29、22658.31、22994.33であった。未ビオチン化組換えイクオリンとの質量差は、337.66、680.16、1023.18、1359.20であり、それぞれビオチン化による分子量340.46に相当する質量の増加が検出された。すなわち、検出された主要なピークは未反応の組換えイクオリン、1ケ所、2ケ所、3ケ所、4ケ所、ビオチン化された組換えイクオリンである。また、マイナーなピークは、5ケ所ビオチン化された組換えイクオリンと各々のビオチン化された組換えイクオリンとマトリックスであるシナピン酸とのコンプレックスに相当する分子量ピークも検出された。
【0046】
検出された主要なピークの強度から計算すると、未反応の組換えイクオリン、1ケ所、2ケ所、3ケ所、4ケ所、ビオチン化された組換えイクオリンの存在比は、0.05:0.192;0.352:0.250:0.153であった。すなわち、95%以上の割合で組換えイクオリンにビオチン化が起きていることが明らかとなった。されに、この値から、組換えイクオリン1分子あたり、2.26のビオチン化が起きていることが明らかとなった。
ビオチンの結合比率の明確なビオチン化イクオリンを安定的に且つ高効率で製造しうる方法が達成された。
【0047】
実施例5 リジン特異的エンドペプチダーゼによる消化法
実施例3で調製したビオチン化組換えイクオリンおよびコントロールとして実施例2で調製した未ビオチン化組換えイクオリンを用い、分解酵素としてアミノ分析グレードのAchromobacter lyticus M497−1由来のリジン特異的エンドペプチダーゼ(和光純薬社製)を使用し、消化した。
具体的には、ビオチン化組換えイクオリン(16μg)または未ビオチン化組換えイクオリン(70μg)を含む溶液10μlを、25μlの8M尿素(和光純薬社製)を含む0.4Mの重炭酸アンモニウム(pH8.0:和光純薬社製)溶液に溶解する。さらに、2μlの50mMジチオスレイトール(和光純薬社製)と2μlの50mMEDTAを組換えイクオリン溶液に加える。混合溶液を50℃で15分間加熱し、氷上で急冷する。この変性蛋白溶液に、16μlの蒸留水を加え、1μlのリジン特異的エンドペプチダーゼ(0.1μg)を加え、35℃で5時間保温し、消化を行った。
【0048】
実施例6 ぺプチドマッピング−質量分析およびその解析法
実施例5でリジン特異的エンドペプチダーゼ消化処理したビオチン化組換えイクオリンおよび未ビオチン化組換えイクオリン溶液のうち0.5μlを実施例4に示したMALDI−TOF−MS法の同一条件で測定した。その質量スペクトルチャートを図5にそれぞれ示した。解析は以下の手順で行った。
1)先ず、未ビオチン化組換えイクオリンについて、リジン特異的エンドペプチダーゼ処理で生成する予想ペプチドフラグメントの分子量を計算で求める。その値より、質量スペクトルチャート中のピークについて、未ビオチン化組換えイクオリン配列のどこに相当するか決定する。
2)次いで、ビオチン化組換えイクオリンについて、リジン特異的エンドペプチダーゼ処理で切断されない、すなわちリジン残基がビオチン化され且つ分子量340.46が増加する予想ペプチドフラグメントの分子量を計算で求める。
3)未ビオチン化組換えイクオリン消化物とビオチン化イクオリン消化物の質量スペクトルチャートの比較を行い、ビオチン化処理によって新規に現われたピークを探す。新規に現われたピーク値から、2)で計算した分子量と一致するものを探し出し、ビオチン化されたリジン残基を特定する。
【0049】
組換えイクオリンをリジン特異的エンドペプチダーゼ処理した場合に予想されるペプチドフラグメントの配列、計算分子量値および実際にビオチン化された組換えイクオリンから生成したペプチドフラグメントを表1にまとめた。その結果、質量ピーク758.70、2061.50、2282.90、2503.09、2582.87、3737.26がビオチン化された組換えイクオリンに特有なピークであることが明らかとなった。758.70はN末端のアミノ基由来、2061.50は61番目のリジン残基、2282.90、89番目のリジン残基、2503.09は58番目のリジン残基、2582.87は4番目のリジン残基、3737.26は19番目のリジン残基がビオチン化されていることが明らかとなった。すなわち、配列番号1に示す天然型イクオリンのアミノ酸配列中、末端アミノ基、末端アミノ基から2番目、17番目、56番目、59番目、87番目の特定する5つのリジン残基のみが、特異的に修飾を受けたことが明らかとなった。このことより、ぺプチドマッピング−質量分析法は一般的なリジン残基の修飾を正確に特定させることができることを示している。
【0050】
【表1】
Figure 2004061281
【0051】
実施例7 ビオチン化組換えイクオリンの検定
1)発光パターンの比較
未ビオチン化組換えイクオリンとビオチン化組換えイクオリンについて、そのカルシウムによる発光パターンを比較した。同量(1ng)のビオチン化組換えイクオリン、未ビオチン化組換えイクオリンについて、100μlの50mMの塩化カルシウム溶液の添加により、発光量および瞬間発光のパターンをルミノメーター(TD−4000型、ラボサイエンス社製)で測定した。ビオチン化組換えイクオリンについて、初期発光最大値(Imax)の半分までに減衰に要する時間は2秒および発光量は天然型イクオリンと比較しても変化はなく、数個のリジン残基へのビオチン化修飾により比活性の低下、カルシウムに対するレスポンスの違いは無いことが明らかとなった。
【0052】
2)ビオチン化組換えイクオリンの定量性
ビオチン化組換えイクオリンの検出限界と蛋白質濃度に対する直線性についての検討を行った。ビオチン化組換えイクオリン濃度を100フェムトグラムから100ナノグラムに希釈し、50mMの塩化カルシウム溶液(100μl)添加し、その発光強度(初期発光最大値:Imax)をルミノメーター(アトー社製、モデルAB2200型)で測定した。3回の測定値の平均値をから直線性が確認された。ビオチン化組換えイクオリンの検出限界は1ピコグラム以下であり、この検出限界は、未ビオチン化組換えイクオリンと同等であった。すなわち、ビオチン化によって発光活性が低下しないことが確認された。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、カルシウム結合型発光蛋白質であるイクオリンのアミノ末端アミノ基、およびリジン残基のアミノ基のうち、特定のアミノ基にのみリガンドを導入した発光活性を有する標識物質およびその製造方法が提供される。イクオリンに結合するリガンドの結合数、結合位置を特定化することによって、均質な標識物質となる。このため、測定場所、測定時間が相違する測定値の比較が容易となる。
【0054】
【配列表】
Figure 2004061281

【図面の簡単な説明】
【図1】イクオリンの構成および発光機構を模式的に示す。
【図2】イクオリンのビオチン化の原理を模式的に示す。
【図3】ペプチドマッピング−質量分析分析法の原理を模式的に示す。
【図4】未ビオチン化イクオリン(A)およびビオチン化イクオリン(B)のペプチダーゼ処理前の質量分析スペクトルチャートである。
【図5】未ビオチン化イクオリン(A)およびビオチン化イクオリン(B)のペプチダーゼ処理後の質量分析スペクトルチャートである。

Claims (12)

  1. 配列番号1に記載のアポイクオリン、配列番号1のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加された変異型アポイクオリンの、アミノ末端のアミノ基、配列番号1の2番目、17番目、56番目、59番目、87番目のリジン残基のイプシロン位のアミノ基のいずれかのみにリガンドが結合しているアポイクオリンまたは変異型アポイクオリンを構成成分とするイクオリンまたは変異型イクオリンよりなる標識物質。
  2. 配列番号1において1番目のValがAla−Asn−Serで置換された変異型アポイクオリンである請求項1の標識物質。
  3. リガンドがビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、抗体、抗原、レセプター、酵素、基質、核酸、多糖類である請求項1または2に記載の標識物質。
  4. イクオリンまたは変異体イクオリンを構成する発光基質がセレンテラジンまたはセレンテラジンのアナログである請求項1〜3のいずれかに記載の標識物質。
  5. 1分子のイクオリンまたは変異型イクオリンに対し、2〜3分子のリガンドが結合している請求項1〜4記載の標識物質。
  6. イクオリンまたは変異型イクオリンと、リガンドを結合させたアミノ基修飾試薬を反応させることを特長とする請求項1の標識物質の製造方法。
  7. イクオリンまたは変異型イクオリン1モルに対し、リガンドを結合させたアミノ基修飾試薬5モル以下を反応させる請求項6記載の製造方法。
  8. 反応をpH7.0〜7.5かつ0〜5℃で行う請求項7記載の製造方法。
  9. 1モルのイクオリンまたは変異型イクオリンに対し、リガンドを結合させたアミノ基修飾試薬を5モル以下とし、反応をpH7.0〜7.5かつ0〜5℃で行い、1分子のイクオリンに2〜3分子のリガンドが、アミノ末端のアミノ基、配列番号1における2番目、17番目、56番目、59番目、87番目のリジン残基のイプシロン位のアミノ基のいずれかに結合したイクオリンまたは変異型イクオリンを採取する請求項8記載の製造方法。
  10. 配列番号1において1番目のValがAla−Asn−Serで置換された変異型アポイクオリンを構成成分とするイクオリン1モルに対し、リガンドとしてのビオチンを結合させたアミノ基修飾試薬としてスクシンイミジル6−(ビオチンアミド)ヘキサノエートを3〜4モル反応させる請求項9記載の製造方法。
  11. 請求項1記載の標識物質を用いる分析方法。
  12. 請求項1記載の標識物質を含有する分析用キット。
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