JP2004060512A - プランジャポンプ - Google Patents

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Masayuki Horiguchi
堀口 雅之
Hideaki Sato
佐藤 秀明
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Nikkiso Co Ltd
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Nikkiso Co Ltd
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Abstract

【課題】スラリなどの摺動部の寿命を低下させる液体を取り扱うことが可能なプランジャポンプを提供する。
【解決手段】プランジャ12の、ポンプ室16に対する後退側に第1副室36および更にその後退側に第2副室42を設ける。第1および第2副室36,42から、洗浄液を、プランジャ12外周面のパッキン22のポンプ室16側に供給する。供給される洗浄液によってプランジャ12の外周面に付着するスラリなどを洗い流し、ポンプ室16に向けて戻す。プランジャ12の往復運動に合わせて第1および第2副室36,42から交互に洗浄液を供給する。洗浄液が常に供給されるのでパッキン22とプランジャ12の摺動面にスラリの固形分などの、摺動部を損耗させる異物の侵入を防止することができる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プランジャポンプに関し、特に、固液二相流体等の、プランジャのパッキン等の劣化を起こす可能性のある流体を取り扱う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
スラリ(固液二相流体)など固形分を含む流体を移送する場合、ダイアフラムポンプを使用するのが一般的であった。これは、ポンプの摺動部にスラリ、特にその固形分が侵入することがなく、固形分による摺動部の劣化を考慮する必要がなかったからである。ダイアフラムポンプの場合、ダイアフラムにより、プランジャとパッキンの摺動部分に、取扱い流体であるスラリの侵入が阻止されるので、固形分の侵入が防止される。空気に触れると結晶が析出するような液体や、腐食性の液体、更には危険な液体などを取り扱う場合においても、パッキン部分から外部へ液体を漏らさないために、ダイアフラムポンプが用いられるのが一般的であった。
【0003】
しかしながら、ダイアフラムポンプは、ポンプ部が大型となるという問題がある。また、ポンプ室内での流路面積が大きく、この部分の流速が低くなり、スラリの滞留時間も長くなる。このため、スラリの固形分がポンプ室内で堆積するという問題があった。
【0004】
ダイアフラムポンプに代えて、プランジャポンプを用いればポンプ部が小型となり、ポンプ室内での流速が速まって、スラリ固形分の沈降、堆積防止を図れる。しかし、プランジャとパッキンの摺動部分に固形物が侵入すると、この部分の損傷や摩耗などの劣化が問題となる。そこで、パッキンよりポンプ室側のプランジャ側面に清澄な液、すなわち固形物を含まないスラリの母液などを外部のポンプより供給し、前記の摺動部分へのスラリ侵入を防止することが行われていた。
【0005】
清澄な液を供給するために、別途ポンプを増設したり、当該プランジャポンプのプランジャの、ポンプ室に対して後退側に副ポンプ室を設けたりしていた。副ポンプ室を設けた例としては、特公昭41−17101号公報などがある。この公報の装置においては、プランジャのポンプ室の後退側に副ポンプ室を設け、この副ポンプ室よりグランドパッキン部よりややポンプ室よりの位置に清澄な洗浄液を供給している。副ポンプ室から洗浄液を供給するのは、プランジャが後退するときである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
別途ポンプを設けて洗浄液を供給する場合には、設備が大型化、複雑化するという問題があった。また、前述の公報の装置によれば、別途にポンプを増設する必要はないが、プランジャが後退するときしか、洗浄液を供給できない。このため、パッキンからの漏れが発生した場合、プランジャ前進時において、パッキンによるシール部分に取扱い液中の固形分などが侵入し、さらなる損傷を生じるなどの問題があたった。
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するためになされたものであり、スラリなどを扱うプランジャポンプの摺動部分の急激な劣化を防止すること、および摺動部からの外部への液漏れを防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、本発明にかかるプランジャポンプは、プランジャの、ポンプ室に対して後退側に第1および第2の二つの副ポンプ室を設け、ここから、取扱い流体よりプランジャおよび軸シール手段の摺動部に損傷や摩耗などの影響を及ぼしにくい液体を、軸シール手段のポンプ室側のプランジャ外周面に供給する。プランジャが前進するときと後退するときとで、異なる副ポンプ室より前記液体を供給する。これにより、プランジャが動いているときは常に前記液体が供給され、摺動部の損傷、摩耗および劣化などを低減することができる。
【0009】
取扱い流体がスラリであれば、固形分を含まない清澄な液、つまり母液を前記のプランジャ外周面に供給することが好ましい。母液は、摺動部に侵入しようとするスラリの固形分を洗い流す。これにより、スラリの固形分による摺動部の損傷、摩耗、劣化を低減することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。図1は、本実施形態のプランジャポンプ10の概要を示す図である。図において、プランジャ12の、中心線より上側部分は、プランジャ12が最も進出した状態を示し、下側部分は最も後退した状態を示している。プランジャ12は、プランジャシャフト13およびこれにねじ結合された延長シャフト14を介して連結される不図示のクランク機構などによって往復駆動され、ポンプヘッド15内部に形成された空間であるポンプ室16に対し進退する。このプランジャ12の運動によってこのポンプ室16の容積が変化する。ポンプ室16は、二つの逆止弁を介して配管と連結している。吸込み側逆止弁18は、取扱い流体が、ポンプ室16に流れ込む向きのみの流れを許容する。また、吐出側逆止弁20は、取扱い流体がポンプ室16より流れ出る向きのみの流れを許容する。
【0011】
流体を封止する軸シール手段としてのパッキン22は、プランジャ12の外周面とその全周において接触するよう、ポンプヘッド15に固定配置される。プランジャ12とパッキン22は、この接触面において、プランジャ12の往復運動によって相対的に摺動する。また、パッキン22によって、ポンプ室16がシールされ、プランジャ12の後方へのポンプ室16内の液体の漏れを防止している。パッキン22は、後に詳述するブッシュ24とフォロワ26に挟まれて配置され、ポンプヘッド14にねじ結合する第1副室スリーブ28によって、ポンプヘッド15の段付き部30に向けて押圧され、固定されている。第1副室スリーブ28の後端には、第1副室グランド32が結合しており、さらに第1副室グランド32の内周面には、プランジャシャフト13の側面全周と接し、第1副室36を封止するように第1副室パッキン34が配置されている。
【0012】
第1副室スリーブ28の更に後方、すなわちポンプ室16から離れる方向には、前述の第1副室グランド32を、前記第1副室スリーブ28と共に狭持するように第2副室スリーブ38が結合されている。具体的には、第1および第2副室スリーブ28,38のフランジ部分をボルトなどにより結合し、このときこれらのフランジ部分によって第1副室グランド32のフランジ部分を狭持する。第2副室スリーブ38の後端には、第2副室グランド40がボルトなどにより結合されており、第2副室グランド32の内周面には、延長シャフト14の側面全周と接し、第2副室42を封止するように第2副室パッキン44が配置されている。
【0013】
主に第1副室スリーブ28と第1副室グランド32により画定された第1副室36は、その内部にプランジャ12の背面側が進退することによって容積変化を生じる。この容積変化によって、第1副室36には、副室吸込み側逆止弁46を介して清澄な洗浄液が流入し、また第1副室36から吐出される洗浄液は、副室吐出側逆止弁48を介して洗浄液配管50を通りブッシュ24へ送られる。
【0014】
図示するように、延長シャフト14の外径は、プランジャシャフト13のそれより大きく、よってプランジャ12の往復運動によって、第2副室42の容積は増減する。この容積変化によって、第2副室42には、副室吸込み側逆止弁52を介して清澄な洗浄液が流入し、また第2副室42から吐出される洗浄液は、副室吐出側逆止弁54、洗浄液配管56および前述の洗浄液配管50を通りブッシュ24へ送られる。
【0015】
図2は、ブッシュ24および周囲の詳細を示す図である。ブッシュの外周面および内周面には、それぞれ全周にわたって外周溝58および内周溝60が設けられ、これらの溝は、周上の複数箇所にて連通孔62により連通されている。また、外周溝58は、洗浄液配管50に連なるヘッド内洗浄液流路64と対向する位置に設けられている。ブッシュ24の内径は、内周溝60よりポンプ室16側は大きく、反対側、すなわちパッキン28側は小さく形成されている。これによりプランジャ12の外周面との間の、円環状に形成される隙間は、ポンプ室側16で大きく、反対側が小さくなっている。
【0016】
次に、スラリを取扱い流体とした場合の、ポンプの動作について説明する。プランジャ12が進出位置から後退し始めると、ポンプ室16内に、吸込み側逆止弁18を介してスラリが流入を始める。プランジャ12が後退動作中、プランジャ12は、その表面に接したスラリを、パッキン22との隙間に引き込もうとする。一方で、プランジャ12の後退動作は、第1副室36の容積を縮小し、これにより第1副室36内の洗浄液がブッシュ24に向けて送り出される。なお、この洗浄液は、取扱い流体であるスラリの液相、すなわち母液とすることが好ましい。ブッシュ24に送られた洗浄液は、さらに内周溝60からプランジャ表面に沿って、ポンプ室16に向けて、すなわちプランジャの動きとは反対の向きに流れる。この流れは、プランジャ12によって引き込まれてようとするスラリ、特にその固形分をポンプ室16に向けて押し流し、パッキン部分への侵入を阻止する。また、大部分の洗浄液は、前述のようにポンプ室16に向けて流れるが、一部はパッキン22とプランジャ12の摺動部に侵入して、この部分の潤滑を行う。
【0017】
一方、第2副室42の容積は第1副室36とは逆に増加し、副室吸込み側逆止弁52を介して洗浄液が吸い込まれる。このとき、第2副室42の副室吐出側逆止弁54によって、第1副室36から第2副室42への洗浄液の流れは阻止される。
【0018】
プランジャ12が後退位置から前進し始めると、ポンプ室16内のスラリは、吐出側逆止弁20を通って吐出される。また、第1副室36の容積は拡大し、副室吸込み側逆止弁46を介して洗浄液が吸い込まれる。このとき、吐出側逆止弁48によって、洗浄液配管50,56を介してのポンプ室16および第2副室42から第1副室36への洗浄液の流れは阻止される。第1副室36内のプランジャ外周面は洗浄液に浸っており、プランジャ12の前進によって、プランジャ外周表面に接している洗浄液は、パッキン22とプランジャの隙間に引き込まれ、ここの潤滑を行う。このように、プランジャ12の背面側からも潤滑を行えるのでパッキン22などの摺動部の寿命が延びる。また、プランジャ背面が洗浄液で満たされているので、ポンプ室16が吸入工程において減圧したとき、プランジャ12とパッキン22の隙間から、ポンプ室16内に空気などの気体が侵入することを防止することができる。
【0019】
さらに、プランジャ12の前進に伴って第2副室42の容積は減少し、ここから洗浄液が洗浄液配管50,56を介してブッシュ24へ向けて送り出される。
【0020】
このように、プランジャ12が前進するときも後退するときも、いずれの場合であっても洗浄液がブッシュ24へ供給される。したがって、パッキン22にリークが生じても、ここに供給される液体は清澄な液であり、スラリの固形成分等の侵入が防止され、より以上にパッキン22が損傷を受けることを防止することができる。
【0021】
本実施形態の、洗浄液の供給量は、第1および第2副室36,42の軸直交の断面積、すなわちプランジャ12および延長シャフト14(大径の部分)とプランジャシャフト13(小径の部分)の段差の断面積とプランジャ12のストローク長により定まる。また、この供給量と取扱い流体の流量の比率は一定に維持されるので、取扱い流体の流量を変更しても、スラリの濃度が一定に保たれる。
【0022】
また、洗浄液供給用のポンプを別途設ける必要がないので、装置を小形、簡易に構成することができる。
【0023】
以上の説明においては、取扱い流体がスラリの場合につき行ったが、腐食性の液体、空気の触れると結晶が析出する液体のようにパッキンとプランジャの摺動部の劣化を早める流体を取扱う場合についても本実施形態は有効であり、スラリの場合と同様の効果を奏することができる。これらの場合、洗浄液は、取扱い流体より、摺動部の劣化を遅延することができる流体とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のプランジャポンプの概略構成図である。
【図2】本実施形態の要部詳細図である。
【符号の説明】
10 プランジャポンプ、12 プランジャ、16 ポンプ室、22 パッキン(軸シール手段)、24 ブッシュ、36 第1副室、42 第2副室、50,56 洗浄液配管。

Claims (2)

  1. 往復運動し、この往復運動によって取扱い流体の出入りするポンプ室内の容積変化を生じさせるプランジャと、
    前記プランジャ外周面と接し、前記ポンプ室の流体を封止する軸シール手段と、
    前記プランジャの、前記ポンプ室に対して後退側に設けられ、前記プランジャの往復運動に基づき容積変化を生じる第1副ポンプ室と、
    前記第1副ポンプ室に対して、更に前記プランジャの後退側に位置し、前記プランジャの往復運動に基づき容積変化を生じる第2副ポンプ室と、
    前記第1および第2副ポンプ室から、前記プランジャ外周面の、前記パッキンより前記ポンプ室側に、前記プランジャと前記軸シール手段の摺動部に対する劣化の影響が前記取り扱い流体より少ない液体を送る洗浄液流路と、
    を有し、
    前記プランジャが前進する際には、前記第1および第2副ポンプ室の一方より前記洗浄液が送り出され、前記プランジャが後退する際には他方の副ポンプ室より送り出される、
    プランジャポンプ。
  2. 請求項1に記載のプランジャポンプであって、前記取扱い流体は固液混合流体であり、前記副ポンプ室から前記プランジャ外周面に送られる液体は、前記固液混合流体の母液である、プランジャポンプ。
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