JP2004059743A - ポリビニル化合物およびそれを用いた有機el素子 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリビニル化合物およびそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロルミネッセンス素子(以下、「EL素子」という場合がある)は、ディスプレイや屋内照明、レーザー光源など様々な用途への応用が期待されている素子である。EL素子用材料としては無機物質と有機物質の両方が検討されているが、近年、特に、有機物質を用いる有機EL素子の開発が活発に行われている。有機物質は無機物質に比べて多様な化学修飾が可能であるため、適切な分子設計により、EL素子が必要とする物性および機能を発現することができると考えられる。
【0003】
EL素子は、駆動時に大量の熱が発生するため、高い耐熱性が必要である。特に、車載ディスプレイ等、高温となる可能性がある環境においてEL素子を用いる場合は、耐熱性が重要な要素となる。また、EL素子を屋内照明やレーザー光源に応用する場合は、さらに大量のジュール熱が発生することが予測されるため、より高い耐熱性が要求される。このように、EL素子の耐熱性の向上は工業的に重要である。
【0004】
有機EL素子に用いる有機材料は、一般に、成形加工が容易であると言う理由により、アモルファスガラス状態の有機薄膜として用いられる。したがって、高い耐熱性を有する有機EL素子を作製するためには、有機材料が高いガラス転移温度を有することが必要である。
【0005】
有機EL素子用材料として、これまでにアモルファスガラスを形成するいくつかの高分子材料が報告されているが、それらのうち、ガラス転移温度が150℃を越えるものはほとんどなく、いまだ十分な耐熱性を有しているとは言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、耐熱性に優れ、有機EL素子用材料等への使用に適した高分子化合物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の化合物は、下記一般式(1)で表されるポリビニル化合物である。
【化7】
ただし、式中、
R1およびR2は、それぞれ同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、任意にハロゲン置換された炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基(ただし、前記アルキル基は炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基であり、同一でも異なっていても良い)、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルカノイル基、シアノ基、またはニトロ基であり、
R3〜R6は、それぞれ同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基であり、
nは正の整数である。
【0008】
また、本発明のEL素子は、前記一般式(1)で表されるポリビニル化合物を少なくとも一種類含むEL素子である。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
(ポリビニル化合物)
本発明のポリビニル化合物は、下記一般式(2)で表されることが好ましい。
【化8】
ただし、式中、
R1〜R6は、それぞれ同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基であり、
nは正の整数である。
【0011】
前記一般式(1)および(2)において、R1〜R6が、それぞれ、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、またはエトキシ基であることがより好ましい。
【0012】
本発明のポリビニル化合物は、下記式A−1からA−4のいずれかで表されることが特に好ましい。なお、本発明のポリビニル化合物の重合度nは特に限定されないが、例えば、10〜5000、好ましくは20〜2000、特に好ましくは100〜1000である。
【化9】
【0013】
また、本発明のポリビニル化合物は、特に、EL素子に用いる場合には、ガラス転移温度が200℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度の上限は特に限定されないが、例えば、400℃以下である。
【0014】
本発明のポリビニル化合物の製造方法は特に限定されないが、例えば、下記一般式(3)で表されるビニル化合物から合成することが好ましい。このビニル化合物は、本発明者らの発明に係る新規化合物である。
【化10】
ただし、式中、
R1およびR2は、それぞれ同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、任意にハロゲン置換された炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基(ただし、前記アルキル基は炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基であり、同一でも異なっていても良い)、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルカノイル基、シアノ基、またはニトロ基であり、
R3〜R6は、それぞれ同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基である。
【0015】
前記一般式(1)で表される本発明のポリビニル化合物は、例えば以下のようにして合成することができる。すなわち、まず、前記一般式(3)で表されるビニル化合物を下記スキーム1および2にしたがって合成する。
【化11】
【化12】
【0016】
以下、上記スキーム1および2について説明する。まず、前記一般式(5)で表されるフルオレン誘導体を準備する。式中、R1は前記式(1)で定義した通りである。次に、これをヨウ素化して、一般式(6)で表される2−ヨードフルオレン誘導体を得る。ヨウ素化の方法は特に限定されないが、例えばヨウ素、オルト過ヨウ素酸および硫酸の存在下、酢酸溶媒中で行うことができる。
【0017】
次に、2−ヨードフルオレン誘導体(6)の9位に置換基R3およびR4を順次導入して化合物(7)とする。R3およびR4は前記式(1)で定義した通りである。R3およびR4の導入方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、アルキル基の場合は、例えば、9位の水素をブチルリチウムにより脱離させてカルボアニオンを生成させ、次に、対応するヨウ化アルキルを加えて導入することができる。アルコキシ基の場合は、ベンジル位のアルコキシ化に通常用いられる方法、例えばハロゲン化の後アルコーリシス反応させる方法等を使用することができる。また、R3とR4が同種の置換基である場合は、一段階で導入することができる。
【0018】
そして、化合物(7)とアニリンとをカップリング反応させて、一般式(8)で表されるアミンを得る。このカップリング反応の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、例えば、以下のようにして行うことができる。すなわち、まず、式(7)の2−ヨードフルオレン誘導体およびアニリンと、炭酸カリウム、銅紛および18−クラウン−6等の触媒と、メシチレン等の溶媒とを混合し、窒素雰囲気下で加熱攪拌する。反応温度および反応時間は特に限定されないが、例えば170℃で10時間反応させる。そして、溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、再結晶して、式(8)のアミンを得る。
【0019】
さらに、もう一度同様の方法で、アミン(8)と2−ヨードフルオレン誘導体(9)とをカップリング反応させて、N,N−ビス(2−フルオレニル)アニリン誘導体(10)を得る。化合物(9)において、R2、R5およびR6は前記式(1)で定義した通りであり、化合物(7)と同様の方法により得ることができる。また、化合物(7)と(9)とが同一の化学式で表される場合は、アニリンとの一段階カップリング反応により化合物(10)を得ることができる。
【0020】
そして、化合物(10)をブロモ化してN,N−ビス(2−フルオレニル)−4−ブロモアニリンを得る。ブロモ化の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0021】
さらに、4−ブロモスチレンをグリニャール化し、ホウ酸トリメチルを加えて、4−(ジヒドロキシボロ)スチレン(12)を得る。そして、化合物(11)と(12)とを、いわゆるスズキカップリング法によりカップリングさせて、目的のビニル化合物(3)を得る。
【0022】
そして、ビニル化合物(3)を重合させてポリビニル化合物(1)を得る。重合方法は特に限定されないが、例えば以下のようにして行うことができる。すなわち、まず、ビニル化合物(3)のベンゼン溶液を準備し、これに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル開始剤を加える。次に、これを脱気し、40〜70℃で、10〜50時間加熱振盪した後、テトラヒドロフラン/メタノールを用いる再沈殿法で精製し、一般式(1)で表されるポリビニル化合物を得る。
【0023】
以上のようにして本発明のビニル化合物およびポリビニル化合物を製造することができるが、この方法に限定されず、他の方法で製造することもできる。
【0024】
なお、本発明のビニル化合物は下記一般式(4)で表されることが好ましく、これを原料として前記一般式(2)で表されるポリビニル化合物を合成することができる。
【化13】
ただし、式中、
R1〜R6は、それぞれ同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基である。
【0025】
前記一般式(3)および(4)において、R1〜R6が、それぞれ、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、またはエトキシ基であることがより好ましい。
【0026】
本発明のビニル化合物は、下記式B−1からB−4のいずれかで表されることが特に好ましく、これらを原料として前記式A−1からA−4のいずれかで表されるポリビニル化合物を合成することができる。
【化14】
【0027】
(EL素子)
次に、本発明のポリビニル化合物を用いた有機EL素子について説明する。
【0028】
本発明のEL素子の形態は特に限定されないが、例えば、図1〜図5の各図に示す形態が可能である。
【0029】
図1に、本発明のEL素子の一例を示す。図示の通り、このEL素子10は、ガラス基板1の上に、陽極2、発光層4および陰極3がこの順番で積層されている。陽極2および陰極3には、それぞれ導線9が接続されており、導線9の他端は電源(図示せず)に接続されている。
【0030】
図2に、本発明のEL素子のその他の一例を示す。図示の通り、EL素子10は、ガラス基板1の上に、陽極2、正孔注入層5、発光層4および陰極3がこの順番で積層されている。それ以外は図1のEL素子と同様である。
【0031】
図3に、本発明のEL素子のさらにその他の一例を示す。図示の通り、EL素子10は、ガラス基板1の上に、陽極2、正孔注入層5、正孔輸送層6、発光層4および陰極3がこの順番で積層されている。それ以外は図1のEL素子と同様である。
【0032】
図4に、本発明のEL素子のさらにその他の一例を示す。図示の通り、EL素子10は、ガラス基板1の上に、陽極2、正孔注入層5、正孔輸送層6、発光層4、電子輸送層7および陰極3がこの順番で積層されている。それ以外は図1のEL素子と同様である。
【0033】
図5に、本発明のEL素子のさらにその他の一例を示す。図示の通り、EL素子10は、ガラス基板1の上に、陽極2、正孔注入層5、発光層4、正孔阻止層8、電子輸送層7および陰極3がこの順番で積層されている。それ以外は図1のEL素子と同様である。
【0034】
上記各EL素子において、陽極2は特に限定されないが、例えば、ITO電極等が好ましい。陰極3も特に限定されないが、例えば、マグネシウム−銀合金電極、アルミニウム電極、カルシウム電極、リチウム/アルミニウム積層電極、またはフッ化リチウム/アルミニウム積層電極等が好ましい。
【0035】
上記各EL素子は、陽極2および陰極3に挟まれた各層のうち、少なくとも一層が、本発明のポリビニル化合物を含む。前記各層は、本発明のポリビニル化合物のみで構成されていても良いが、それ以外の物質を適宜含んでいても良い。また、本発明のポリビニル化合物以外の物質のみで構成された層が存在しても良い。
【0036】
本発明のポリビニル化合物のEL素子中における用途は特に限定されないが、正孔輸送能に優れるため、正孔輸送物質として使用することが好ましい。本発明のポリビニル化合物は、その他、発光特性にも優れる。本発明のEL素子は、前記ポリビニル化合物が正孔注入層、正孔輸送層および正孔輸送性発光層のうち少なくとも一つに含まれることが好ましく、正孔輸送層に含まれることが特に好ましい。
【0037】
前記各層に含まれる物質のうち、本発明のポリビニル化合物以外で好ましい物質としては、例えば、下記の物質がある。なお、以下に記載する学術文献は、すべて本発明者らの発明に係る文献である。
【0038】
電子輸送材料または電子輸送性発光材料として好ましいのは、例えば、
トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(以下、略して「Alq3」と呼ぶことがある)や、
1,3,5−トリス(4−ターシャリーブチルフェニル―1,3,4−オキサジアゾリル)ベンゼン(以下、略して「TPOB」と呼ぶことがある)[J. Lumin., 72−74, 985 (1997).]や、
化合物1,3,5−トリス[5−(ジメシチルボリル)−2−チエニル]ベンゼン(以下、略して「TMB−TB」と呼ぶことがある)[Chem. Lett., 2001, 614.]や、
5,5’−ビス(ジメシチルボリル)−2,2’−ビチオフェン(以下、略して「BMB−2T」と呼ぶことがある)および5,5’’−ビス(ジメシチルボリル)−2,2’:5’,2’’−ターチオフェン(以下、略して「BMB−3T」と呼ぶことがある)[J. Am. Chem. Soc., 120, 9714 (1999).]等である。以下に上記各化合物の構造式を示す。
【0039】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【0040】
正孔注入材料としては、例えばトリアリールアミン誘導体が好ましく、より好ましくは、
4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(以下、略して「m−MTDATA」と呼ぶことがある)[Chem. Lett., 1989, 1145.]や、
4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(以下、略して「1−TNATA」と呼ぶことがある)および4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(以下、略して「2−TNATA」と呼ぶことがある)[J. Lumin., 72−74, 985 (1997).]や、
4,4’,4”−トリス[ビフェニル−2−イル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(以下、略して「o−PTDATA」と呼ぶことがある)、4,4’,4”−トリス[ビフェニル−3−イル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(以下、略して「m−PTDATA」と呼ぶことがある)および4,4’,4”−トリス[ビフェニル−4−イル(3−メチルフェニル)アミノ]トリフェニルアミン(以下、略して「p−PMTDATA」と呼ぶことがある)[Synth. Met., 111, 387(2000)]や、
4,4’、4”−トリス[9,9−ジメチル−2−フルオレニル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(以下、略して「TFATA」と呼ぶことがある)[Chem. Lett., 2000, 1834.]等である。以下に、上記各化合物の構造式を示す。
【0041】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【0042】
また、上記以外に、下記一般式(13)で表される化合物ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を下記一般式(14)で表される化合物ポリスチレンスルホネートで化学的にドーピングしたものも、正孔注入材料として好ましく用いることができる。このドーピング物は、水/メタノール溶液としてバイエル社より市販されている(商品番号:P AI 4083)。
【化27】
【0043】
ホールブロッキング材料(正孔阻止材料)としては、例えばトリフェニルベンゼン誘導体が好ましく、より好ましくは1,3,5−トリス(4−ビフェニリル)ベンゼン(以下、略してTBBと呼ぶことがある)、1,3,5−トリス(4−フルオロビフェニル−4’−イル)ベンゼン(以下、略してF−TBBと呼ぶことがある)、1,3,5−トリス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)ベンゼン(以下、略してTFBと呼ぶことがある)および1,3,5−トリス[4−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)フェニル]ベンゼン(以下、略してTFPBと呼ぶことがある)[Yasuhiko Shirota, Motoi Kinoshita, Kenji Okumoto, SPIE−Int. Soc. Opt. Eng., 4464 (2002) pp. 203−210, 2002.]等である(なお、F−TBBについては、Kenji Okumoto and Yasuhiko Shirota, Appl. Phys. Lett., 79 (2001) pp. 1231−1233.にも記載されている。)。以下に、上記各化合物の構造式を示す。
【0044】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【0045】
また、本発明のEL素子は、発光性ドーパント色素を含んでいても良く、本発明のポリビニル化合物は、前記発光性ドーパント色素のホスト層として用いることもできる。前記発光性ドーパント色素は特に限定されないが、例えば、ジメチルキナクリドン、ジエチルキナクリドン、ルブレン、ペリレン、クマリン−6等が好ましい。
【0046】
前記各図のEL素子の製造方法は特に限定されず、ガラス基板1の上に、各構成要素を、公知の方法により順番に積層させて製造することができる。積層方法は特に限定されないが、発光層4、正孔注入層5、正孔輸送層6、電子輸送層7および正孔阻止層8に対しては、例えば、真空蒸着法、スピンキャスト法によるコーティング(スピンコート法)、ソルベントキャスト法、または溶融状態を冷却する方法等が好ましい。本発明のポリビニル化合物は、特に、スピンコート法およびソルベントキャスト法により、均一、透明なアモルファスガラスを容易に形成することが可能である。陽極2および陰極3の積層方法も特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0047】
前記各図のEL素子の使用方法も特に限定されず、ディスプレイ用等、公知の用途に使用することができる。また、それ以外にも、前記の通り、本発明のEL素子は優れた耐熱性を有しているから、様々な用途への応用が期待できる。
【0048】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0049】
(測定法)
核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、商品名Inova−750(Varian社、1H測定時750MHz)を用いて測定した。ケミカルシフトは百万分率(ppm)で表している。内部標準0ppmには、テトラメチルシラン(TMS)を用いた。結合定数(J)は、ヘルツで示しており、略号s、d、t、q、mおよびbrは、それぞれ、一重線(singlet)、二重線(doublet)、三重線(triplet)、四重線(quartet)、多重線(multiplet)および広幅線(broad)を表す。質量分析(MS)は、商品名RP(Voyager社)を用い、MALDI−TOF/MS法により行った。高分子化合物の分子量は、GPC (商品名M600マルチソルベント送液システム(ウォーターズ社)を用い、3本のカラム(商品名UltraStyragel 100Å(ウォーターズ社、粒子径 7μm、カラムサイズ 7.8 × 300mm)、商品名UltraStyragel 500Å(ウォーターズ社、粒子径 7μm、カラムサイズ 7.8 × 300mm)、および商品名UltraStyragel 103Å(ウォーターズ社、粒子径 7μm、カラムサイズ 7.8 × 300mm))を直列に繋いで測定した。元素分析は、商品名MT−5(柳本製作所)を用いて行った。カラムクロマトグラフィー分離には、シリカゲル(商品名ワコーゲルC−300、和光純薬工業株式会社)またはアルミナ(商品名Aluminium oxide 90 active basic (0.063−0.200)、Merck社)を用いた。全ての化学物質は、試薬級であり、東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社、ナカライテスク株式会社、関東化学株式会社およびAldrich社から購入した。なお、以下のデータにおいて、融点は全て未補正値である。
【0050】
(合成)
以下に示す方法により、前記式A−1で表されるポリビニル化合物を合成した。
【0051】
(a) 2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレンの合成
フルオレン 234 g (1.4 mol) 、ヨウ素 172 g (0.67 mol) 、 オルト過ヨウ素酸 51 g (0.24 mol)、硫酸 18 ml を酢酸 700 mlに溶解し、不活性ガス (窒素ガス) 雰囲気中、温度80℃で4時間攪拌した。反応終了後、溶媒をデカンテーションにより取り除いた。その後トルエンにより反応生成物を抽出し、5%亜硫酸水素ナトリウムで洗浄した。これをカラムクロマトグラフィー (展開溶媒: トルエン 充填剤: Basicアルミナ) およびトルエンからの再結晶により精製し、2−ヨードフルオレンを得た。質量分析により、M/e = 292 (M+)を確認した。
【0052】
次に、2−ヨードフルオレン280 g (0.95 mol) をテトラヒドロフラン 800 mlに溶解させ、カリウムtert−ブトキシド112 g (1.0 mol) を加え、温度0℃で20分間攪拌した。その後、ヨウ化メチル142 g (1.0 mol) を加えさらに20分間攪拌した。続けてもう一度カリウムtert−ブトキシド112 g (1.0 mol) を加え20分間攪拌し、ヨウ化メチル142 g (1.0 mol) を加え20分間攪拌した。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去した後、トルエンで抽出した。生成物を減圧蒸留し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒: ヘキサン) により精製し、2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレンを174.9 g 得た(フルオレンからの収率39 %)。質量分析により、M/e = 320 (M+)を確認した。
【0053】
(b) N,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−4−ブロモアニリンの合成
前記ステップ(a)で得られた2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレン50 g (160 mmol)、 アニリン 6.0 g (65 mmol)、炭酸カリウム 50 g (360 mmol)、銅 10 g (160mmol)、18−クラウン−6 2 g (7.57 mmol) をメシチレン中、不活性ガス (窒素ガス) 雰囲気中、温度170℃で10時間攪拌した。反応終了後、トルエンで抽出、水洗し乾燥後、溶媒を留去した。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン : ヘキサン = 1 : 4)、およびヘキサンからの再沈殿により精製し、N,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アニリンを得た。この化合物の物性値を以下に示す。
【0054】
MS:m/e = 477 (M+) 融点 203 ℃ 元素分析.計算値:C, 90.53; H, 6.54; N2.93.実測値:C, 90.38; H, 6.55; N 2.93. 1H NMR (750 MHz, THF−d8) δ(ppm) 7.74 (2H, d), 7.72 (2H, d), 7.49 (2H, d), 7.35−7.30 (6H,m), 7.27 (2H, t), 7.17 (2H, d), 7.07 (1H, t), 7.04 (2H,d), 1.41 (12H, s).
【0055】
さらに、得られたN,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アニリンをクロロホルム (50 ml) に溶かし、攪拌しながらN−ブロモコハク酸イミドを1.12g(6.29 mmol) 加え、温度25℃で1時間反応させた。反応終了後、水で洗浄し、溶媒を留去した。反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒トルエン) およびトルエン・ヘキサン混合溶媒からの再結晶により精製し、N,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−4−ブロモアニリンを3.2 g 得た(2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレンからの収率28 %)。
【0056】
(c) 4− (ジヒドロキシボロ) スチレンの合成
4−ブロモスチレン 1.2 g (6.6 mmol) とマグネシウム150mg (6.0 mmol) とをテトラヒドロフラン中、不活性ガス (窒素ガス) 雰囲気中、温度25℃で1時間攪拌し、グリニャール試薬を合成した。次に、このグリニャール試薬の溶液に、テトラヒドロフラン中、窒素雰囲気下、−78℃でホウ酸トリメチル0.62g (6.0 mmol) を滴下し、2時間攪拌した。その後水を加え1時間攪拌することにより、4− (ジヒドロキシボロ) スチレンを得た。
【0057】
(d) 4−[ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミノ]−4’−ビニルビフェニル (VFAB、式(B−1))の合成
前記ステップ (b) で得られたN,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−4−ブロモアニリン1.1 g (1.97 mmol) と前記ステップ (c) で得られた4− (ジヒドロキシボロ) スチレンをテトラヒドロフランに溶解させ、パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン) 0.064 g (0.04 mmol) および炭酸カリウム0.4 g (2.96 mmol)存在下、温度70℃で20時間攪拌した。この反応溶液をエーテルで抽出し、溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒 トルエン:ヘキサン = 1 : 3) 、ヘキサンからの再結晶により精製し、ビニルモノマーVFABを0.42 g得た(N,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−4−ブロモアニリンからの収率37 %)。この化合物の物性値を以下に示す。
【0058】
MS : m/z = 579 (M+) 1H NMR (750MHz, THF−d8, ppm) δ 7.67 − 7.64 (4H, m), 7.62 − 7.56 (4H, m), 7.47 (2H, d), 7.40 (2H, d), 7.32 (2H, d), 7.27 − 7.25 (2H, m), 7.22 − 7.20 (4H, m), 7.08(2H, dd), 6.74 (1H,dd), 5.78 (1H,d), 5.20 (1H, d), 1.40 (12H, s)
【0059】
(e) A−1の合成
まず、前記ステップで合成したビニルモノマーVFAB(0.4 mol dm−3)およびラジカル開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(0.01 mol dm−3) をベンゼンに溶かした。次に、この溶液を脱気し、65℃で、35時間加熱振盪した後、テトラヒドロフラン/メタノールを用いる再沈殿法で精製し、目的とするポリビニル化合物(式(A−1))を得た。この化合物の物性値を以下に示す。
【0060】
数平均分子量Mn=42000、重量平均分子量Mw=163000、Mw / Mn=3.9(ポリスチレン標準); 1H NMR (750MHz, THF−d8, ppm) δ 7.35 − 6.90 (aromatic, 22H, m),2.45 (2H, m), 2.30 (1H, m), 1.18 (12H, s)
【0061】
さらに、この化合物のガラス転移温度(Tg)、およびAg/Ag+参照電極に対する酸化電位(Eox)を測定した。表1にその結果を示す。ガラス転移温度は示差走査熱量測定により測定し、酸化電位はサイクリックボルタンメトリーにより決定した。
【0062】
[表1]
【0063】
表1から分かる通り、化合物A−1は、200℃を越える高いガラス転移温度を示し、耐熱性の大きい有機EL素子への使用に適している。また、化合物A−1は低い酸化電位を示し、有機EL素子の正孔輸送層として適切であることが分かる。
【0064】
(EL素子)
次に、上記化合物A−1を用いて、EL素子を作製し、その性能を評価した。
【0065】
〔EL素子1〕
以下の手順により、図4に示す構造を有するEL素子を作製した。すなわち、まず、ガラス基板1の上にITOガラス電極により陽極2が形成されている基盤を準備した。次に、陽極2の上に、前記ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホネートとのドーピング物をスピンコート法により厚さ50nm(500オングストローム)となるように堆積させ、正孔注入層5を形成した。このとき、正孔注入層5の一部がガラス基板1の表面に接触するようにした。そして、正孔注入層5の上に、化合物A−1をスピンコート法により厚さ50nm(500オングストローム)となるように堆積させ、正孔輸送層6を形成した。さらに、正孔輸送層6の上に、N,N’−ジメチルキナクリドンを0.8wt%ドープしたトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)を、真空蒸着法により厚さ20nm(200オングストローム)となるように堆積させ、発光層4を形成した。次に、発光層4の上に、Alq3を真空蒸着法により厚さ50nm(500オングストローム)となるように堆積させ、電子輸送層7を形成した。そして、電子輸送層7の上に、フッ化リチウム/アルミニウムよりなる面積4平方ミリメートルの電極を形成して陰極3(背面電極)とし、EL素子を作製した。
【0066】
このようにして作製した有機EL素子の陽極2と陰極3との間に2.5ボルト以上の電圧を印加すると、N,N’−ジメチルキナクリドンの発光に基づく緑色の発光が得られた。最高輝度は11.0Vで85850 cd m−2、300 cd m−2 発光時における発光効率は 5.6 lm W−1、量子収率は1.8%であり、高輝度・高効率の緑色発光が得られた。
【0067】
〔EL素子2〕
以下の手順により、図5に示す構造を有するEL素子を作製した。すなわち、まず、ガラス基板1の上にITOガラス電極により陽極2が形成されている基盤を準備した。次に、陽極2の上に、前記ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホネートとのドーピング物をスピンコート法により厚さ50nm(500オングストローム)となるように堆積させ、正孔注入層5を形成した。このとき、正孔注入層5の一部がガラス基板1の表面に接触するようにした。そして、正孔注入層5の上に、化合物A−1をスピンコート法により厚さ50nm(500オングストローム)となるように堆積させ、発光層4(正孔輸送性発光層)を形成した。さらに、正孔輸送性発光層4の上に、前記化合物F−TBBを真空蒸着法により厚さ20nm(200オングストローム)となるように堆積させ、正孔阻止層8を形成した。次に、正孔阻止層8の上に、前記化合物Alq3を真空蒸着法により厚さ10nm(100オングストローム)となるように堆積させ、電子輸送層7(発光性電子輸送層)を形成した。そして、発光性電子輸送層7の上に、フッ化リチウム/アルミニウムよりなる面積4平方ミリメートルの電極を形成して陰極3(背面電極)とし、EL素子を作製した。
【0068】
このようにして作製した有機EL素子の陽極2と陰極3との間に2.5ボルト以上の電圧を印加すると、化合物A−1の発光に基づく青紫色の発光が得られた。最高輝度は11.0Vで829 cd m−2、300 cd m−2 発光時における量子収率は1.2%であり、高輝度・高効率の青紫色発光が得られた。
【0069】
〔耐熱性の評価〕
次に、上記EL素子1について、耐熱性の評価を行った。すなわち、上記EL素子1を、13Pa(0.1Torr)の減圧下に設置して定電流駆動し、温度を変化させながら素子の輝度を測定した。図6にこの結果を示す。なお、発光輝度は、室温での輝度を100%とした相対値で示している。
【0070】
図6から分かる通り、EL素子1は極めて熱安定性に優れ、170℃の高温でも室温とほぼ同程度の発光輝度を示した。さらに、一度加熱した素子を室温に戻して再び測定しても、加熱前と比較して輝度は低下していなかった。このことから、EL素子1は、170℃に加熱しても劣化しなかったことが分かる。このように、本発明のポリビニル化合物を用いることにより、150℃近辺でも安定に駆動するEL素子を作製することが可能となる。
【0071】
以上、実施例に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【0072】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明のポリビニル化合物は、耐熱性に優れ、有機EL素子用材料等への使用に適している。本発明のEL素子は、車載ディスプレイ等、高温となる可能性がある環境での使用に適し、高温でも劣化しないため、優れた発光効率を発揮することができ、かつ、ディスプレイ用以外にも、屋内照明やレーザー光源等、様々な用途への応用が期待できる。その他、本発明のポリビニル化合物は、固体レーザー用発光体、フォトレジスト等、あらゆる用途への応用が期待でき、その工業的価値は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の有機EL素子のその他の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の有機EL素子のさらにその他の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の有機EL素子のさらにその他の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の有機EL素子のさらにその他の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の有機EL素子の発光輝度の温度依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 陽極
3 陰極
4 発光層
5 正孔注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送層
8 正孔阻止層
9 導線
10 EL素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリビニル化合物およびそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロルミネッセンス素子(以下、「EL素子」という場合がある)は、ディスプレイや屋内照明、レーザー光源など様々な用途への応用が期待されている素子である。EL素子用材料としては無機物質と有機物質の両方が検討されているが、近年、特に、有機物質を用いる有機EL素子の開発が活発に行われている。有機物質は無機物質に比べて多様な化学修飾が可能であるため、適切な分子設計により、EL素子が必要とする物性および機能を発現することができると考えられる。
【0003】
EL素子は、駆動時に大量の熱が発生するため、高い耐熱性が必要である。特に、車載ディスプレイ等、高温となる可能性がある環境においてEL素子を用いる場合は、耐熱性が重要な要素となる。また、EL素子を屋内照明やレーザー光源に応用する場合は、さらに大量のジュール熱が発生することが予測されるため、より高い耐熱性が要求される。このように、EL素子の耐熱性の向上は工業的に重要である。
【0004】
有機EL素子に用いる有機材料は、一般に、成形加工が容易であると言う理由により、アモルファスガラス状態の有機薄膜として用いられる。したがって、高い耐熱性を有する有機EL素子を作製するためには、有機材料が高いガラス転移温度を有することが必要である。
【0005】
有機EL素子用材料として、これまでにアモルファスガラスを形成するいくつかの高分子材料が報告されているが、それらのうち、ガラス転移温度が150℃を越えるものはほとんどなく、いまだ十分な耐熱性を有しているとは言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、耐熱性に優れ、有機EL素子用材料等への使用に適した高分子化合物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の化合物は、下記一般式(1)で表されるポリビニル化合物である。
【化7】
ただし、式中、
R1およびR2は、それぞれ同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、任意にハロゲン置換された炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基(ただし、前記アルキル基は炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基であり、同一でも異なっていても良い)、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルカノイル基、シアノ基、またはニトロ基であり、
R3〜R6は、それぞれ同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基であり、
nは正の整数である。
【0008】
また、本発明のEL素子は、前記一般式(1)で表されるポリビニル化合物を少なくとも一種類含むEL素子である。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
(ポリビニル化合物)
本発明のポリビニル化合物は、下記一般式(2)で表されることが好ましい。
【化8】
ただし、式中、
R1〜R6は、それぞれ同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基であり、
nは正の整数である。
【0011】
前記一般式(1)および(2)において、R1〜R6が、それぞれ、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、またはエトキシ基であることがより好ましい。
【0012】
本発明のポリビニル化合物は、下記式A−1からA−4のいずれかで表されることが特に好ましい。なお、本発明のポリビニル化合物の重合度nは特に限定されないが、例えば、10〜5000、好ましくは20〜2000、特に好ましくは100〜1000である。
【化9】
【0013】
また、本発明のポリビニル化合物は、特に、EL素子に用いる場合には、ガラス転移温度が200℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度の上限は特に限定されないが、例えば、400℃以下である。
【0014】
本発明のポリビニル化合物の製造方法は特に限定されないが、例えば、下記一般式(3)で表されるビニル化合物から合成することが好ましい。このビニル化合物は、本発明者らの発明に係る新規化合物である。
【化10】
ただし、式中、
R1およびR2は、それぞれ同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、任意にハロゲン置換された炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基(ただし、前記アルキル基は炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基であり、同一でも異なっていても良い)、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルカノイル基、シアノ基、またはニトロ基であり、
R3〜R6は、それぞれ同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基である。
【0015】
前記一般式(1)で表される本発明のポリビニル化合物は、例えば以下のようにして合成することができる。すなわち、まず、前記一般式(3)で表されるビニル化合物を下記スキーム1および2にしたがって合成する。
【化11】
【化12】
【0016】
以下、上記スキーム1および2について説明する。まず、前記一般式(5)で表されるフルオレン誘導体を準備する。式中、R1は前記式(1)で定義した通りである。次に、これをヨウ素化して、一般式(6)で表される2−ヨードフルオレン誘導体を得る。ヨウ素化の方法は特に限定されないが、例えばヨウ素、オルト過ヨウ素酸および硫酸の存在下、酢酸溶媒中で行うことができる。
【0017】
次に、2−ヨードフルオレン誘導体(6)の9位に置換基R3およびR4を順次導入して化合物(7)とする。R3およびR4は前記式(1)で定義した通りである。R3およびR4の導入方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、アルキル基の場合は、例えば、9位の水素をブチルリチウムにより脱離させてカルボアニオンを生成させ、次に、対応するヨウ化アルキルを加えて導入することができる。アルコキシ基の場合は、ベンジル位のアルコキシ化に通常用いられる方法、例えばハロゲン化の後アルコーリシス反応させる方法等を使用することができる。また、R3とR4が同種の置換基である場合は、一段階で導入することができる。
【0018】
そして、化合物(7)とアニリンとをカップリング反応させて、一般式(8)で表されるアミンを得る。このカップリング反応の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、例えば、以下のようにして行うことができる。すなわち、まず、式(7)の2−ヨードフルオレン誘導体およびアニリンと、炭酸カリウム、銅紛および18−クラウン−6等の触媒と、メシチレン等の溶媒とを混合し、窒素雰囲気下で加熱攪拌する。反応温度および反応時間は特に限定されないが、例えば170℃で10時間反応させる。そして、溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、再結晶して、式(8)のアミンを得る。
【0019】
さらに、もう一度同様の方法で、アミン(8)と2−ヨードフルオレン誘導体(9)とをカップリング反応させて、N,N−ビス(2−フルオレニル)アニリン誘導体(10)を得る。化合物(9)において、R2、R5およびR6は前記式(1)で定義した通りであり、化合物(7)と同様の方法により得ることができる。また、化合物(7)と(9)とが同一の化学式で表される場合は、アニリンとの一段階カップリング反応により化合物(10)を得ることができる。
【0020】
そして、化合物(10)をブロモ化してN,N−ビス(2−フルオレニル)−4−ブロモアニリンを得る。ブロモ化の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0021】
さらに、4−ブロモスチレンをグリニャール化し、ホウ酸トリメチルを加えて、4−(ジヒドロキシボロ)スチレン(12)を得る。そして、化合物(11)と(12)とを、いわゆるスズキカップリング法によりカップリングさせて、目的のビニル化合物(3)を得る。
【0022】
そして、ビニル化合物(3)を重合させてポリビニル化合物(1)を得る。重合方法は特に限定されないが、例えば以下のようにして行うことができる。すなわち、まず、ビニル化合物(3)のベンゼン溶液を準備し、これに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル開始剤を加える。次に、これを脱気し、40〜70℃で、10〜50時間加熱振盪した後、テトラヒドロフラン/メタノールを用いる再沈殿法で精製し、一般式(1)で表されるポリビニル化合物を得る。
【0023】
以上のようにして本発明のビニル化合物およびポリビニル化合物を製造することができるが、この方法に限定されず、他の方法で製造することもできる。
【0024】
なお、本発明のビニル化合物は下記一般式(4)で表されることが好ましく、これを原料として前記一般式(2)で表されるポリビニル化合物を合成することができる。
【化13】
ただし、式中、
R1〜R6は、それぞれ同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基である。
【0025】
前記一般式(3)および(4)において、R1〜R6が、それぞれ、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、またはエトキシ基であることがより好ましい。
【0026】
本発明のビニル化合物は、下記式B−1からB−4のいずれかで表されることが特に好ましく、これらを原料として前記式A−1からA−4のいずれかで表されるポリビニル化合物を合成することができる。
【化14】
【0027】
(EL素子)
次に、本発明のポリビニル化合物を用いた有機EL素子について説明する。
【0028】
本発明のEL素子の形態は特に限定されないが、例えば、図1〜図5の各図に示す形態が可能である。
【0029】
図1に、本発明のEL素子の一例を示す。図示の通り、このEL素子10は、ガラス基板1の上に、陽極2、発光層4および陰極3がこの順番で積層されている。陽極2および陰極3には、それぞれ導線9が接続されており、導線9の他端は電源(図示せず)に接続されている。
【0030】
図2に、本発明のEL素子のその他の一例を示す。図示の通り、EL素子10は、ガラス基板1の上に、陽極2、正孔注入層5、発光層4および陰極3がこの順番で積層されている。それ以外は図1のEL素子と同様である。
【0031】
図3に、本発明のEL素子のさらにその他の一例を示す。図示の通り、EL素子10は、ガラス基板1の上に、陽極2、正孔注入層5、正孔輸送層6、発光層4および陰極3がこの順番で積層されている。それ以外は図1のEL素子と同様である。
【0032】
図4に、本発明のEL素子のさらにその他の一例を示す。図示の通り、EL素子10は、ガラス基板1の上に、陽極2、正孔注入層5、正孔輸送層6、発光層4、電子輸送層7および陰極3がこの順番で積層されている。それ以外は図1のEL素子と同様である。
【0033】
図5に、本発明のEL素子のさらにその他の一例を示す。図示の通り、EL素子10は、ガラス基板1の上に、陽極2、正孔注入層5、発光層4、正孔阻止層8、電子輸送層7および陰極3がこの順番で積層されている。それ以外は図1のEL素子と同様である。
【0034】
上記各EL素子において、陽極2は特に限定されないが、例えば、ITO電極等が好ましい。陰極3も特に限定されないが、例えば、マグネシウム−銀合金電極、アルミニウム電極、カルシウム電極、リチウム/アルミニウム積層電極、またはフッ化リチウム/アルミニウム積層電極等が好ましい。
【0035】
上記各EL素子は、陽極2および陰極3に挟まれた各層のうち、少なくとも一層が、本発明のポリビニル化合物を含む。前記各層は、本発明のポリビニル化合物のみで構成されていても良いが、それ以外の物質を適宜含んでいても良い。また、本発明のポリビニル化合物以外の物質のみで構成された層が存在しても良い。
【0036】
本発明のポリビニル化合物のEL素子中における用途は特に限定されないが、正孔輸送能に優れるため、正孔輸送物質として使用することが好ましい。本発明のポリビニル化合物は、その他、発光特性にも優れる。本発明のEL素子は、前記ポリビニル化合物が正孔注入層、正孔輸送層および正孔輸送性発光層のうち少なくとも一つに含まれることが好ましく、正孔輸送層に含まれることが特に好ましい。
【0037】
前記各層に含まれる物質のうち、本発明のポリビニル化合物以外で好ましい物質としては、例えば、下記の物質がある。なお、以下に記載する学術文献は、すべて本発明者らの発明に係る文献である。
【0038】
電子輸送材料または電子輸送性発光材料として好ましいのは、例えば、
トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(以下、略して「Alq3」と呼ぶことがある)や、
1,3,5−トリス(4−ターシャリーブチルフェニル―1,3,4−オキサジアゾリル)ベンゼン(以下、略して「TPOB」と呼ぶことがある)[J. Lumin., 72−74, 985 (1997).]や、
化合物1,3,5−トリス[5−(ジメシチルボリル)−2−チエニル]ベンゼン(以下、略して「TMB−TB」と呼ぶことがある)[Chem. Lett., 2001, 614.]や、
5,5’−ビス(ジメシチルボリル)−2,2’−ビチオフェン(以下、略して「BMB−2T」と呼ぶことがある)および5,5’’−ビス(ジメシチルボリル)−2,2’:5’,2’’−ターチオフェン(以下、略して「BMB−3T」と呼ぶことがある)[J. Am. Chem. Soc., 120, 9714 (1999).]等である。以下に上記各化合物の構造式を示す。
【0039】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【0040】
正孔注入材料としては、例えばトリアリールアミン誘導体が好ましく、より好ましくは、
4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(以下、略して「m−MTDATA」と呼ぶことがある)[Chem. Lett., 1989, 1145.]や、
4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(以下、略して「1−TNATA」と呼ぶことがある)および4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(以下、略して「2−TNATA」と呼ぶことがある)[J. Lumin., 72−74, 985 (1997).]や、
4,4’,4”−トリス[ビフェニル−2−イル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(以下、略して「o−PTDATA」と呼ぶことがある)、4,4’,4”−トリス[ビフェニル−3−イル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(以下、略して「m−PTDATA」と呼ぶことがある)および4,4’,4”−トリス[ビフェニル−4−イル(3−メチルフェニル)アミノ]トリフェニルアミン(以下、略して「p−PMTDATA」と呼ぶことがある)[Synth. Met., 111, 387(2000)]や、
4,4’、4”−トリス[9,9−ジメチル−2−フルオレニル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(以下、略して「TFATA」と呼ぶことがある)[Chem. Lett., 2000, 1834.]等である。以下に、上記各化合物の構造式を示す。
【0041】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【0042】
また、上記以外に、下記一般式(13)で表される化合物ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を下記一般式(14)で表される化合物ポリスチレンスルホネートで化学的にドーピングしたものも、正孔注入材料として好ましく用いることができる。このドーピング物は、水/メタノール溶液としてバイエル社より市販されている(商品番号:P AI 4083)。
【化27】
【0043】
ホールブロッキング材料(正孔阻止材料)としては、例えばトリフェニルベンゼン誘導体が好ましく、より好ましくは1,3,5−トリス(4−ビフェニリル)ベンゼン(以下、略してTBBと呼ぶことがある)、1,3,5−トリス(4−フルオロビフェニル−4’−イル)ベンゼン(以下、略してF−TBBと呼ぶことがある)、1,3,5−トリス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)ベンゼン(以下、略してTFBと呼ぶことがある)および1,3,5−トリス[4−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)フェニル]ベンゼン(以下、略してTFPBと呼ぶことがある)[Yasuhiko Shirota, Motoi Kinoshita, Kenji Okumoto, SPIE−Int. Soc. Opt. Eng., 4464 (2002) pp. 203−210, 2002.]等である(なお、F−TBBについては、Kenji Okumoto and Yasuhiko Shirota, Appl. Phys. Lett., 79 (2001) pp. 1231−1233.にも記載されている。)。以下に、上記各化合物の構造式を示す。
【0044】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【0045】
また、本発明のEL素子は、発光性ドーパント色素を含んでいても良く、本発明のポリビニル化合物は、前記発光性ドーパント色素のホスト層として用いることもできる。前記発光性ドーパント色素は特に限定されないが、例えば、ジメチルキナクリドン、ジエチルキナクリドン、ルブレン、ペリレン、クマリン−6等が好ましい。
【0046】
前記各図のEL素子の製造方法は特に限定されず、ガラス基板1の上に、各構成要素を、公知の方法により順番に積層させて製造することができる。積層方法は特に限定されないが、発光層4、正孔注入層5、正孔輸送層6、電子輸送層7および正孔阻止層8に対しては、例えば、真空蒸着法、スピンキャスト法によるコーティング(スピンコート法)、ソルベントキャスト法、または溶融状態を冷却する方法等が好ましい。本発明のポリビニル化合物は、特に、スピンコート法およびソルベントキャスト法により、均一、透明なアモルファスガラスを容易に形成することが可能である。陽極2および陰極3の積層方法も特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0047】
前記各図のEL素子の使用方法も特に限定されず、ディスプレイ用等、公知の用途に使用することができる。また、それ以外にも、前記の通り、本発明のEL素子は優れた耐熱性を有しているから、様々な用途への応用が期待できる。
【0048】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0049】
(測定法)
核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、商品名Inova−750(Varian社、1H測定時750MHz)を用いて測定した。ケミカルシフトは百万分率(ppm)で表している。内部標準0ppmには、テトラメチルシラン(TMS)を用いた。結合定数(J)は、ヘルツで示しており、略号s、d、t、q、mおよびbrは、それぞれ、一重線(singlet)、二重線(doublet)、三重線(triplet)、四重線(quartet)、多重線(multiplet)および広幅線(broad)を表す。質量分析(MS)は、商品名RP(Voyager社)を用い、MALDI−TOF/MS法により行った。高分子化合物の分子量は、GPC (商品名M600マルチソルベント送液システム(ウォーターズ社)を用い、3本のカラム(商品名UltraStyragel 100Å(ウォーターズ社、粒子径 7μm、カラムサイズ 7.8 × 300mm)、商品名UltraStyragel 500Å(ウォーターズ社、粒子径 7μm、カラムサイズ 7.8 × 300mm)、および商品名UltraStyragel 103Å(ウォーターズ社、粒子径 7μm、カラムサイズ 7.8 × 300mm))を直列に繋いで測定した。元素分析は、商品名MT−5(柳本製作所)を用いて行った。カラムクロマトグラフィー分離には、シリカゲル(商品名ワコーゲルC−300、和光純薬工業株式会社)またはアルミナ(商品名Aluminium oxide 90 active basic (0.063−0.200)、Merck社)を用いた。全ての化学物質は、試薬級であり、東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社、ナカライテスク株式会社、関東化学株式会社およびAldrich社から購入した。なお、以下のデータにおいて、融点は全て未補正値である。
【0050】
(合成)
以下に示す方法により、前記式A−1で表されるポリビニル化合物を合成した。
【0051】
(a) 2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレンの合成
フルオレン 234 g (1.4 mol) 、ヨウ素 172 g (0.67 mol) 、 オルト過ヨウ素酸 51 g (0.24 mol)、硫酸 18 ml を酢酸 700 mlに溶解し、不活性ガス (窒素ガス) 雰囲気中、温度80℃で4時間攪拌した。反応終了後、溶媒をデカンテーションにより取り除いた。その後トルエンにより反応生成物を抽出し、5%亜硫酸水素ナトリウムで洗浄した。これをカラムクロマトグラフィー (展開溶媒: トルエン 充填剤: Basicアルミナ) およびトルエンからの再結晶により精製し、2−ヨードフルオレンを得た。質量分析により、M/e = 292 (M+)を確認した。
【0052】
次に、2−ヨードフルオレン280 g (0.95 mol) をテトラヒドロフラン 800 mlに溶解させ、カリウムtert−ブトキシド112 g (1.0 mol) を加え、温度0℃で20分間攪拌した。その後、ヨウ化メチル142 g (1.0 mol) を加えさらに20分間攪拌した。続けてもう一度カリウムtert−ブトキシド112 g (1.0 mol) を加え20分間攪拌し、ヨウ化メチル142 g (1.0 mol) を加え20分間攪拌した。反応後、テトラヒドロフランを減圧留去した後、トルエンで抽出した。生成物を減圧蒸留し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒: ヘキサン) により精製し、2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレンを174.9 g 得た(フルオレンからの収率39 %)。質量分析により、M/e = 320 (M+)を確認した。
【0053】
(b) N,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−4−ブロモアニリンの合成
前記ステップ(a)で得られた2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレン50 g (160 mmol)、 アニリン 6.0 g (65 mmol)、炭酸カリウム 50 g (360 mmol)、銅 10 g (160mmol)、18−クラウン−6 2 g (7.57 mmol) をメシチレン中、不活性ガス (窒素ガス) 雰囲気中、温度170℃で10時間攪拌した。反応終了後、トルエンで抽出、水洗し乾燥後、溶媒を留去した。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン : ヘキサン = 1 : 4)、およびヘキサンからの再沈殿により精製し、N,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アニリンを得た。この化合物の物性値を以下に示す。
【0054】
MS:m/e = 477 (M+) 融点 203 ℃ 元素分析.計算値:C, 90.53; H, 6.54; N2.93.実測値:C, 90.38; H, 6.55; N 2.93. 1H NMR (750 MHz, THF−d8) δ(ppm) 7.74 (2H, d), 7.72 (2H, d), 7.49 (2H, d), 7.35−7.30 (6H,m), 7.27 (2H, t), 7.17 (2H, d), 7.07 (1H, t), 7.04 (2H,d), 1.41 (12H, s).
【0055】
さらに、得られたN,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アニリンをクロロホルム (50 ml) に溶かし、攪拌しながらN−ブロモコハク酸イミドを1.12g(6.29 mmol) 加え、温度25℃で1時間反応させた。反応終了後、水で洗浄し、溶媒を留去した。反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒トルエン) およびトルエン・ヘキサン混合溶媒からの再結晶により精製し、N,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−4−ブロモアニリンを3.2 g 得た(2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレンからの収率28 %)。
【0056】
(c) 4− (ジヒドロキシボロ) スチレンの合成
4−ブロモスチレン 1.2 g (6.6 mmol) とマグネシウム150mg (6.0 mmol) とをテトラヒドロフラン中、不活性ガス (窒素ガス) 雰囲気中、温度25℃で1時間攪拌し、グリニャール試薬を合成した。次に、このグリニャール試薬の溶液に、テトラヒドロフラン中、窒素雰囲気下、−78℃でホウ酸トリメチル0.62g (6.0 mmol) を滴下し、2時間攪拌した。その後水を加え1時間攪拌することにより、4− (ジヒドロキシボロ) スチレンを得た。
【0057】
(d) 4−[ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミノ]−4’−ビニルビフェニル (VFAB、式(B−1))の合成
前記ステップ (b) で得られたN,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−4−ブロモアニリン1.1 g (1.97 mmol) と前記ステップ (c) で得られた4− (ジヒドロキシボロ) スチレンをテトラヒドロフランに溶解させ、パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン) 0.064 g (0.04 mmol) および炭酸カリウム0.4 g (2.96 mmol)存在下、温度70℃で20時間攪拌した。この反応溶液をエーテルで抽出し、溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒 トルエン:ヘキサン = 1 : 3) 、ヘキサンからの再結晶により精製し、ビニルモノマーVFABを0.42 g得た(N,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−4−ブロモアニリンからの収率37 %)。この化合物の物性値を以下に示す。
【0058】
MS : m/z = 579 (M+) 1H NMR (750MHz, THF−d8, ppm) δ 7.67 − 7.64 (4H, m), 7.62 − 7.56 (4H, m), 7.47 (2H, d), 7.40 (2H, d), 7.32 (2H, d), 7.27 − 7.25 (2H, m), 7.22 − 7.20 (4H, m), 7.08(2H, dd), 6.74 (1H,dd), 5.78 (1H,d), 5.20 (1H, d), 1.40 (12H, s)
【0059】
(e) A−1の合成
まず、前記ステップで合成したビニルモノマーVFAB(0.4 mol dm−3)およびラジカル開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(0.01 mol dm−3) をベンゼンに溶かした。次に、この溶液を脱気し、65℃で、35時間加熱振盪した後、テトラヒドロフラン/メタノールを用いる再沈殿法で精製し、目的とするポリビニル化合物(式(A−1))を得た。この化合物の物性値を以下に示す。
【0060】
数平均分子量Mn=42000、重量平均分子量Mw=163000、Mw / Mn=3.9(ポリスチレン標準); 1H NMR (750MHz, THF−d8, ppm) δ 7.35 − 6.90 (aromatic, 22H, m),2.45 (2H, m), 2.30 (1H, m), 1.18 (12H, s)
【0061】
さらに、この化合物のガラス転移温度(Tg)、およびAg/Ag+参照電極に対する酸化電位(Eox)を測定した。表1にその結果を示す。ガラス転移温度は示差走査熱量測定により測定し、酸化電位はサイクリックボルタンメトリーにより決定した。
【0062】
[表1]
【0063】
表1から分かる通り、化合物A−1は、200℃を越える高いガラス転移温度を示し、耐熱性の大きい有機EL素子への使用に適している。また、化合物A−1は低い酸化電位を示し、有機EL素子の正孔輸送層として適切であることが分かる。
【0064】
(EL素子)
次に、上記化合物A−1を用いて、EL素子を作製し、その性能を評価した。
【0065】
〔EL素子1〕
以下の手順により、図4に示す構造を有するEL素子を作製した。すなわち、まず、ガラス基板1の上にITOガラス電極により陽極2が形成されている基盤を準備した。次に、陽極2の上に、前記ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホネートとのドーピング物をスピンコート法により厚さ50nm(500オングストローム)となるように堆積させ、正孔注入層5を形成した。このとき、正孔注入層5の一部がガラス基板1の表面に接触するようにした。そして、正孔注入層5の上に、化合物A−1をスピンコート法により厚さ50nm(500オングストローム)となるように堆積させ、正孔輸送層6を形成した。さらに、正孔輸送層6の上に、N,N’−ジメチルキナクリドンを0.8wt%ドープしたトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)を、真空蒸着法により厚さ20nm(200オングストローム)となるように堆積させ、発光層4を形成した。次に、発光層4の上に、Alq3を真空蒸着法により厚さ50nm(500オングストローム)となるように堆積させ、電子輸送層7を形成した。そして、電子輸送層7の上に、フッ化リチウム/アルミニウムよりなる面積4平方ミリメートルの電極を形成して陰極3(背面電極)とし、EL素子を作製した。
【0066】
このようにして作製した有機EL素子の陽極2と陰極3との間に2.5ボルト以上の電圧を印加すると、N,N’−ジメチルキナクリドンの発光に基づく緑色の発光が得られた。最高輝度は11.0Vで85850 cd m−2、300 cd m−2 発光時における発光効率は 5.6 lm W−1、量子収率は1.8%であり、高輝度・高効率の緑色発光が得られた。
【0067】
〔EL素子2〕
以下の手順により、図5に示す構造を有するEL素子を作製した。すなわち、まず、ガラス基板1の上にITOガラス電極により陽極2が形成されている基盤を準備した。次に、陽極2の上に、前記ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホネートとのドーピング物をスピンコート法により厚さ50nm(500オングストローム)となるように堆積させ、正孔注入層5を形成した。このとき、正孔注入層5の一部がガラス基板1の表面に接触するようにした。そして、正孔注入層5の上に、化合物A−1をスピンコート法により厚さ50nm(500オングストローム)となるように堆積させ、発光層4(正孔輸送性発光層)を形成した。さらに、正孔輸送性発光層4の上に、前記化合物F−TBBを真空蒸着法により厚さ20nm(200オングストローム)となるように堆積させ、正孔阻止層8を形成した。次に、正孔阻止層8の上に、前記化合物Alq3を真空蒸着法により厚さ10nm(100オングストローム)となるように堆積させ、電子輸送層7(発光性電子輸送層)を形成した。そして、発光性電子輸送層7の上に、フッ化リチウム/アルミニウムよりなる面積4平方ミリメートルの電極を形成して陰極3(背面電極)とし、EL素子を作製した。
【0068】
このようにして作製した有機EL素子の陽極2と陰極3との間に2.5ボルト以上の電圧を印加すると、化合物A−1の発光に基づく青紫色の発光が得られた。最高輝度は11.0Vで829 cd m−2、300 cd m−2 発光時における量子収率は1.2%であり、高輝度・高効率の青紫色発光が得られた。
【0069】
〔耐熱性の評価〕
次に、上記EL素子1について、耐熱性の評価を行った。すなわち、上記EL素子1を、13Pa(0.1Torr)の減圧下に設置して定電流駆動し、温度を変化させながら素子の輝度を測定した。図6にこの結果を示す。なお、発光輝度は、室温での輝度を100%とした相対値で示している。
【0070】
図6から分かる通り、EL素子1は極めて熱安定性に優れ、170℃の高温でも室温とほぼ同程度の発光輝度を示した。さらに、一度加熱した素子を室温に戻して再び測定しても、加熱前と比較して輝度は低下していなかった。このことから、EL素子1は、170℃に加熱しても劣化しなかったことが分かる。このように、本発明のポリビニル化合物を用いることにより、150℃近辺でも安定に駆動するEL素子を作製することが可能となる。
【0071】
以上、実施例に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【0072】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明のポリビニル化合物は、耐熱性に優れ、有機EL素子用材料等への使用に適している。本発明のEL素子は、車載ディスプレイ等、高温となる可能性がある環境での使用に適し、高温でも劣化しないため、優れた発光効率を発揮することができ、かつ、ディスプレイ用以外にも、屋内照明やレーザー光源等、様々な用途への応用が期待できる。その他、本発明のポリビニル化合物は、固体レーザー用発光体、フォトレジスト等、あらゆる用途への応用が期待でき、その工業的価値は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の有機EL素子のその他の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の有機EL素子のさらにその他の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の有機EL素子のさらにその他の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の有機EL素子のさらにその他の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の有機EL素子の発光輝度の温度依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 陽極
3 陰極
4 発光層
5 正孔注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送層
8 正孔阻止層
9 導線
10 EL素子
Claims (11)
- 下記一般式(1)で表されるポリビニル化合物。
R1およびR2は、それぞれ同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、任意にハロゲン置換された炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基(ただし、前記アルキル基は炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基であり、同一でも異なっていても良い)、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルカノイル基、シアノ基、またはニトロ基であり、
R3〜R6は、それぞれ同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基であり、
nは正の整数である。 - R1〜R6が、それぞれ、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、またはエトキシ基である、
請求項1または2に記載のポリビニル化合物。 - ガラス転移温度が200℃以上である請求項1から4のいずれかに記載のポリビニル化合物。
- 下記一般式(3)で表されるビニル化合物。
R1およびR2は、それぞれ同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、任意にハロゲン置換された炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基(ただし、前記アルキル基は炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基であり、同一でも異なっていても良い)、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルカノイル基、シアノ基、またはニトロ基であり、
R3〜R6は、それぞれ同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルコキシ基である。 - R1〜R6が、それぞれ、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、またはエトキシ基である、
請求項6または7に記載のビニル化合物。 - 請求項1から5のいずれかに記載のポリビニル化合物を少なくとも一種類含むエレクトロルミネッセンス(EL)素子。
- ポリビニル化合物が正孔輸送物質である請求項10に記載のEL素子。
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