JP2004058566A - 水性印刷用基材、その製造方法及び印刷物 - Google Patents

水性印刷用基材、その製造方法及び印刷物 Download PDF

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川田 善朗
Hiroshi Tominaga
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尾崎 邦彦
Koji Otani
大谷 浩二
Tetsuya Ishii
石井 徹弥
Kaoru Nemoto
根本 薫
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Abstract

【課題】熱寸法安定性・印刷適性・印刷効果・ラミネート加工適性に優れた水性グラビア印刷の実現を可能とする。
【解決手段】本発明は、ポリオレフィン支持体上に、N−ビニルカルボン酸アミド及びラジカル重合性二重結合を2〜6個有する多官能化合物を必須成分として含み、前記必須成分の総重量に対してN−ビニルカルボン酸アミドの含有量が3〜25重量%であり、ラジカル重合性二重結合を2〜6個有する多官能化合物の含有量が97〜75重量%である組成物を電子線で硬化してなる硬化層が形成されている水性印刷用基材と、ポリオレフィン支持体上に、前記組成物を塗工し、次いで電子線を照射して前記組成物を硬化させる水性印刷用基材の製造方法と、前記水性印刷用基材上に、水性インキを用いた画像が形成されている印刷物とを提供する。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性印刷用基材、その製造方法及び前記水性印刷用基材を用いた印刷物に関する。さらに詳しくは、優れた熱寸法安定性・印刷適性・印刷効果・ラミネート加工適性を有するポリオレフィン支持体を備えた水性印刷用基材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、溶剤型グラビア印刷による大気汚染、作業環境の悪化等の問題を解決する一つの手段として、水性グラビア印刷への転換が提案されており、水性グラビア印刷は一般包装紙、段ボール、及び紙器等の印刷に広く実用化されてきている。しかしながら、軟包装材用途を中心とした非浸透性のプラスチック基材に対する印刷分野においては、一部の用途を除き、水性グラビア印刷はほとんど実用化されていない。これは、かかる分野において、水性グラビア印刷の品質・コストが溶剤型グラビア印刷に比べ十分とは言い難いためである。
【0003】
一方、N−ビニルカルボン酸アミドから誘導されるポリマ−、例えばポリビニルアセトアミドは、親水性かつ両親媒性を示すことが知られている(J.Poly.Sci.PartA:Polym.Chem.,31,1153−1160(1993))。また、N−ビニルカルボン酸アミドで変性したポリマ−では、幹ポリマーに親水性が付与されることにより物性、特に二種類以上のポリマーとの相溶性や接着性、ヒートシール性、染色性、塗装性、印刷性、防曇性、血液和合性などの界面活性に優れていることが知られている。(特開昭54−72294、特開昭61−78810、特開昭61−141720、特公昭62−27087)
N−ビニルカルボン酸アミドで変性したポリマ−の製造方法として、有機過酸化物やアゾ化合物など熱分解型反応開始剤を用いる方法、空気及びオゾン酸化により生じた過酸化物を開始剤として利用する方法、プラズマ重合法、放射線重合法などが利用できると考えられる。
【0004】
これらの中で、ラジカルによる共重合体の製造方法として工業的に最も一般的なものは熱分解型反応開始剤を用いる方法である。しかし、過酸化物を用いる方法では、この過酸化物の取扱いが危険であり、また共重合の際にバンバリーミキサーや押出機中で原料等を加熱しながら混合する場合には、フィルム、シート等の成形品の表面にのみ共重合体を形成することは不可能である。また、N−ビニルカルボン酸アミドのラジカル重合に際して有機過酸化物を使用すると、生成したラジカルがN−ビニルカルボン酸アミドに作用して多様の副反応が起こるため、正味の効率は低くなる。一方、開始剤としてアゾ系のものを使用すれば、副反応は抑えられるものの、幹ポリマーからの水素引き抜き能力が小さいので殆ど重合が起こらないという欠点がある。次に空気およびオゾン酸化による方法は基材である幹ポリマーを酸化劣化させるために、機械的強度等の物性を低下させるという欠点がある。また、プラズマ重合は減圧系や真空系を必要とするために、大量のポリマーを製造することは困難であり工業化は難しい。光照射によって反応を行わせる方法については、特開平07−159531公報に記載されているが、十分な量の重合体を得るには数十分以上の時間を要するために効率的ではない。この様にポリマーフィルムやポリマーシート等の成形品の表面のみに比較的容易に常温で、効率よく短時間でN−ビニルカルボン酸アミドで変性したポリマーを製造する方法は知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
水性グラビア印刷の普及のためには印刷コストの低減が必須であるが、水性グラビア印刷は溶剤グラビア印刷に比べ乾燥速度が遅いため、印刷速度を十分に速くすることができないといった問題がある。乾燥速度を上げるために印刷機自体に何らかの改良を加えようとすると多大な設備投資を招くおそれがある。また、単に乾燥温度を上げて乾燥速度を上げようとするとプラスチック支持体が熱により変形し、それにより基材の寸法が変化し、見当不良を招くおそれが有る。また、非浸透性のプラスチック支持体を被印刷体とする水性グラビア印刷の実用化は、均一な濡れ及び接着、更にラミネート加工に対する適用性などの諸問題が解決されていないため、極めて困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、熱寸法安定性・印刷適性・印刷効果・ラミネート加工適性に優れた水性グラビア印刷を実現しうる水性印刷用基材、その製造方法及び前記基材を用いた印刷物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の水性印刷用基材では、硬化層に含まれるN−ビニルカルボン酸アミドにより親水性が格段に改善され、水性インキの印刷効果を著しく向上させる。また、本発明の水性印刷用基材では、硬化層に含まれる特定の多官能化合物が電子線照射により3次元架橋し、これにより網目構造が形成される。このため硬化層はアミド基による親水性を有すると共に、飛躍的に向上した耐水性と熱寸法安定性をも有する。さらに、硬化層の形成に用いられている多官能化合物が低粘度であるため、所望の強度の硬化層を形成できる一方で硬化層形成用組成物の高粘度化の問題を生じることがない。
【0008】
すなわち、本発明は、ポリオレフィン支持体上に、N−ビニルカルボン酸アミド及びラジカル重合性二重結合を2〜6個有する多官能化合物を必須成分として含み、前記必須成分の総重量に対してN−ビニルカルボン酸アミドの含有量が3〜25重量%であり、ラジカル重合性二重結合を2〜6個有する多官能化合物の含有量が97〜75重量%である組成物を電子線で硬化してなる硬化層が形成されていることを特徴とする水性印刷用基材である。
【0009】
また、本発明は、ポリオレフィン支持体上に、N−ビニルカルボン酸アミド及びラジカル重合性二重結合を2〜6個有する多官能化合物を必須成分として含み、前記必須成分の総重量に対してN−ビニルカルボン酸アミドの含有量が3〜25重量%であり、ラジカル重合性二重結合を2〜6個有する多官能化合物の含有量が97〜75重量%である組成物を塗工し、次いで電子線を照射して前記組成物を硬化させることを特徴とする水性印刷用基材の製造方法である。
【0010】
さらに、本発明は、前記水性印刷用基材上に、水性インキを用いた画像が形成されていることを特徴とする印刷物である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき、実施の形態に基づいて更に詳しく説明するが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
まず、本発明で用いられるポリオレフィン支持体を構成する樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1などの炭素数が多くとも12個、好ましくは8個未満のα−オレフィンの単独重合体、これらのα−オレフィンの2種以上からなる共重合体、及びα−オレフィンとその他のモノマーとの共重合体などの結晶性重合体が挙げられる。ここでいう共重合体にはランダムまたはブロック共重合体が含まれる。その他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、ビニルアルコール、アクリロニトリル、スチレンなどが挙げられる。このようなポリオレフィンとしては、高圧法ポリエチレン、中低圧法ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ3−メチルブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。その中でも、ポリプロピレンとポリエチレンが好ましい。これらのポリマーはそれぞれ単独で、あるいは二種類以上を組み合わせて用いてもよい。ポリオレフィンに、必要に応じて添加物を混入して組成物とし、この組成物を溶融押出法、カレンダ法、延伸法等の公知の方法で成形したフィルムをポリオレフィン支持体として使用することができる。
【0013】
ポリオレフィン支持体上に硬化層を形成するための組成物は、N−ビニルカルボン酸アミド及びラジカル重合性二重結合を2〜6個有する多官能化合物を必須成分として含み、前記必須成分の総重量に対してN−ビニルカルボン酸アミドの含有量が3〜25重量%、好ましくは3〜15重量%であり、ラジカル重合性二重結合を2〜6個有する多官能化合物の含有量が97〜75重量%、好ましくは97〜85重量%である。N−ビニルカルボン酸アミドの含有量が3重量%未満では印刷用基材と水性インキとの親和性が充分に達成されず、25重量%をこえると架橋成分の減少に伴う熱寸法安定性の悪化を招き、また硬化層のポリオレフィン支持体との密着性や耐水性が乏しくなる。
【0014】
硬化層を形成するための組成物中に必須成分として含まれるN−ビニルカルボン酸アミドは一般的に下記一般式にて表される。
【0015】
【化1】
Figure 2004058566
但し、R、Rは互いに独立して水素原子又はメチル基を表す。
【0016】
N−ビニルカルボン酸アミドとしては、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミドなどが挙げられ、特にN−ビニルアセトアミドが好ましい。N−ビニルアセトアミドはアルコールに対し相溶性を有するので、N−ビニルアセトアミドを用いた印刷用基材はアルコールやイオン性の化合物を含有している水性インキにも好適に用いることができる。さらにN−ビニルアセトアミドはノニオン性であるため、インキの中にイオン性の化合物が存在した場合、それらの影響を受けにくい特徴が有る。
【0017】
硬化層を形成するための組成物中に必須成分として含まれるラジカル重合性二重結合を2〜6個有する多官能化合物としては、N−ビニルカルボン酸アミドと相溶するものであればいずれのものでも用いることができる。多官能化合物として具体的には、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アジピン酸エポキシ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールエチレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、グリセリンエチレンオキサイド付加トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ( メタ)アクリレート、トリエチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらを単独で、または2種以上を混合して使用することができる。なかでも、硬化層の水に対する膨潤性等の観点から、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0018】
硬化層を形成するための組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、反応性または非反応性の希釈剤を含んでもよい。反応性希釈剤としては二重結合を1個有するラジカル重合性単官能モノマーを用いることができ、ラジカル重合性単官能モノマーを含むことは、乾燥エネルギーの低減の面からも有効である。
【0019】
ラジカル重合性単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートメチルエーテル、フェニルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0020】
また、非反応性の希釈剤としては、重合を阻害しない極性溶媒、例えば、水、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等を用いることができる。
【0021】
また、硬化層を形成するための組成物は、硬化層の可撓性や耐ブロッキング性の向上等の目的に応じて、イナート樹脂、無機充填剤、有機充填剤等を含んでもよい。
【0022】
イナート樹脂とは、電子線の照射によるラジカル重合に関与しない、すなわち電子線によりラジカル重合をおこさない樹脂のことであり、このような化学的性質を有する樹脂であれば、特に限定されることはない。イナート樹脂として具体的には、ポリウレタン樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、セルロース誘導体、ビニル系樹脂、ポリオレフィン、天然ゴム誘導体、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリスチレン、アルキド樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、アマニ油変性アルキド樹脂等が挙げられ、これらを単独で、または2種以上を混合して使用することができる。なかでも、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂は、接着性、可撓性に優れている点で好ましい。
【0023】
無機充填剤としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、ハイドロタルサイト、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、モスハイジ、セピオライト、ゾノライト、ホウ酸アルミニウム、カオリン、クレー、スメクタイト、バーミキュライト等が挙げられ、有機充填剤としては、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、結晶性セルロース等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。なお、本発明の印刷用基材が包装用途に用いられる場合であって透明であること必要であるならば、無機充填剤としてはアルミナゾル、シリカゾル等を用いることが好ましい。
【0024】
さらに、硬化層を形成するための組成物は、必要に応じて、可塑剤、滑剤、分散剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、重合開始剤等の、通常用いられる各種添加剤を含んでいてもよい。
【0025】
本発明の水性印刷用基材は、上記各成分を公知の方法により均一に分散、混合させることにより得られた組成物を、グラビア法、ロールコーター法、ブレードコーター法、エアーナイフコーター法、カーテンフローコーター法、スプレーコーター法、ディップコーター法等の公知の方法でポリオレフィン支持体上に塗工し、次いで電子線を照射して前記組成物を硬化させることにより製造される。
【0026】
組成物の塗工量は、硬化層の膜厚が5μm以下、特に0.5〜3μm程度となる量が好ましい。硬化層の膜厚が5μmよりも厚い場合は、硬化層の可撓性が低下して、ひび割れやポリオレフィン支持体からの剥離が発生する恐れがある。
【0027】
組成物の硬化のために用いられる電子線は紫外線よりもかなり高いエネルギーをもつため、使用する組成物に高価な開始剤を用いる必要がなく、また、充填剤が配合された組成物を硬化させる際も重合効率が低下することなく、瞬時に重合が進行して均一な塗膜が得られることを可能にする点で有利である。
【0028】
電子線の照射条件は、特に限定されることはないが、電子線の加速電圧は30〜500kV、特に30〜100kVであることが好ましい。電子線の好ましい吸収線量は、5〜200kGyであり、30〜100kGyの範囲であれば一層好ましい。吸収線量が低すぎると硬化が不十分となる一方、吸収線量が高すぎるとポリオレフィン支持体が劣化する恐れがある。電子線を照射する際の雰囲気の酸素濃度は、窒素などに代表される不活性ガスを充填することにより、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下にする。酸素濃度が高い雰囲気中での電子線照射はラジカルの失活やオゾンの発生をまねく恐れが有る。
【0029】
本発明による水性印刷用基材は水性インキを用いる画像形成法であれば特に制限なく用いることが出来るが、特に水性フレキソ印刷、水性グラビア印刷に対して好適に用いられる。
【0030】
本発明における水性インキとは、一般的には顔料及びバインダーとなる樹脂が水もしくは水及びアルコールの混合物に展開されているものであり、これらに類する物であれば本発明においてはその組成を特に制限するものではない。
【0031】
水性インキは一般的にグラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等に好適に用いられる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
(1)硬化層形成用組成物の調製
表1に示した各成分を含む組成物を調製した。表中の数値は重量%を示し、全て有効成分重量で記載した。
【0033】
【表1】
Figure 2004058566
表中で用いたNVAはN−ビニルアセトアミド(昭和電工株式会社製)、TMPTAはトリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬株式会社製)、TMPTA−3EOはエチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学工業株式会社製)である。
(2)硬化層の形成
表2に示した組成物を、20μm延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ株式会社製OPPU1#20)に、オフセットグラビア法で硬化層の膜厚が1μmとなるように塗工し、得られた層を電子線を照射して硬化させ水性印刷用基材を得た。なお、照射した電子線の加速電圧は150kVであり、その吸収線量は50kGyになるよう調整した。
(3)印刷サンプルの作成
得られた水性印刷用基材に、5色グラビア印刷機を用いて下記の印刷条件で印刷した。
<印刷条件>
インキ :JW224アクワエコール(東洋インキ製造製水性インキ)
版   :ヘリオ、250線/inch(2.54cm)
印刷速度:150m/分
乾燥温度:80℃
(4)評価
得られた印刷サンプルについて、縦ピッチ伸縮、印刷効果、密着性(ラミネート加工適性)を下記の方法で評価した。結果を表2に示す。
<縦ピッチ伸縮>
熱寸法安定性の評価として、印刷されたトンボの巻取方向のピッチを測定し、版の理論値650mmに対する寸法変化を算出して以下の3段階で評価した。
○:寸法変化がほとんど見られなかった
△:寸法変化がわずかに見られたが、実用上問題ない
×:寸法変化が大きく、実用上許容できない
<印刷効果>
以下に示す項目について5段階(1:極不良、2:不良、3:普通、4:良、5:優)で総合評価した。
・印刷物濃度 白地部分の濃度は透過濃度計(マクベス社製TD931)にて測定した。また、色部分の濃度は反射濃度計(X−Rite408)にて測定した。
・レベリング性:印刷物のベタ部のレベリング性(泳ぎ、モットリング、ハジキ)を目視で判定した。
・トラッピング性:印刷物を重ね、トラッピング性を目視で判定した。
・フィルム濡れ性:印刷物の着肉度合(藍インキ)を目視で判定した。
・調子再現性:印刷物グラデーション部の着肉度合い(紅インキ)を目視で判定した。
・ハイライト部着肉性:印刷物のハイライト部の着肉度合、ドットスキップ度合を目視で判定した。
・網点再現性:印刷物の40%網点部の形状、抜け、広がり度合いを目視で判定した。
・細線・抜き文字:印刷物の細線、抜き文字の再現性を目視で判定した。
<密着性>
印刷サンプルの印刷部分にニチバン製15mm幅セロハンテープによりセロハンテープ剥離試験を行い、硬化層とOPPフィルムの間の密着性を以下の3段階で評価した。
○:印刷部分が剥がれなかった。
△:印刷部分がわずかに剥がれたが、実用可能。
×:印刷部分が剥がれ、実用上許容できない。
【0034】
【表2】
Figure 2004058566
表2に示すように、実施例1〜3の水性印刷用基材は、熱寸法安定性・印刷効果・密着性の点で優れている。また、比較例1より2つの必須成分中のN−ビニルカルボン酸アミドの割合が25重量%を超えると密着性が低下することがわかる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の水性印刷用基材は熱寸法安定性・印刷適性・印刷効果・ラミネート加工適性に優れるので、水性グラビア印刷時の運転速度を従来より高く設定することを可能にし、かつ優れた印刷効果を有した印刷物を提供することが可能になる。

Claims (8)

  1. ポリオレフィン支持体上に、N−ビニルカルボン酸アミド及びラジカル重合性二重結合を2〜6個有する多官能化合物を必須成分として含み、前記必須成分の総重量に対してN−ビニルカルボン酸アミドの含有量が3〜25重量%であり、ラジカル重合性二重結合を2〜6個有する多官能化合物の含有量が97〜75重量%である組成物を電子線で硬化してなる硬化層が形成されていることを特徴とする水性印刷用基材。
  2. 前記ラジカル重合性二重結合を2〜6個有する多官能化合物が、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート又はエチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1記載の水性印刷用基材。
  3. 前記N−ビニルカルボン酸アミドがN−ビニルアセトアミドであることを特徴とする請求項1又は2記載の水性印刷用基材。
  4. 前記ポリオレフィン支持体が延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の水性印刷用基材。
  5. 前記組成物がさらにラジカル重合性単官能モノマーを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の水性印刷用基材。
  6. ポリオレフィン支持体上に、N−ビニルカルボン酸アミド及びラジカル重合性二重結合を2〜6個有する多官能化合物を必須成分として含み、前記必須成分の総重量に対してN−ビニルカルボン酸アミドの含有量が3〜25重量%であり、ラジカル重合性二重結合を2〜6個有する多官能化合物の含有量が97〜75重量%である組成物を塗工し、次いで電子線を照射して前記組成物を硬化させることを特徴とする水性印刷用基材の製造方法。
  7. 請求項1から5のいずれか1項記載の水性印刷用基材上に、水性インキを用いた画像が形成されていることを特徴とする印刷物。
  8. 水性インキを用いた画像の形成が水性グラビア印刷法であることを特徴とする請求項7記載の印刷物。
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