JP2004056267A - 電圧制御発振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】円柱形誘電体共振器を誘電体フィルタとして用いる電圧制御型発振器の周波数安定性と温度安定性を確保しつつ、単段の同軸形誘電体共振器を用いた場合と同程度の小型化と低コスト化を実現する。
【解決手段】筒状の導電性ケース10に収納され、前記帯域通過型フィルタ1は、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器7で構成されるλ/2波長同軸形誘電体共振器とし、L字型に連ねる。さらに、λ/2波長同軸形誘電体共振器7のそれぞれの表面の一部で、互いに対向する部分に、互いに平行となる平面部分7aを有することが望ましい。従って、それぞれの平面部分7aは、λ/2波長同軸形誘電体共振器7の軸(配列方向)に対して45度傾斜角をなす。さらに、帯域通過型フィルタ1を、L字状導電性ケース8に収納するとよい。
【選択図】 図1
【解決手段】筒状の導電性ケース10に収納され、前記帯域通過型フィルタ1は、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器7で構成されるλ/2波長同軸形誘電体共振器とし、L字型に連ねる。さらに、λ/2波長同軸形誘電体共振器7のそれぞれの表面の一部で、互いに対向する部分に、互いに平行となる平面部分7aを有することが望ましい。従って、それぞれの平面部分7aは、λ/2波長同軸形誘電体共振器7の軸(配列方向)に対して45度傾斜角をなす。さらに、帯域通過型フィルタ1を、L字状導電性ケース8に収納するとよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧制御発振器に関し、特に、マイクロ波通信や光通信などの高周波通信システムに用いるフェイズロックループ(PLL)回路等の信号源に用いられ、小型かつ安定な高周波電圧制御発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2に、帰還型電圧制御発振器として公知な回路構成図を示す。図示した回路構成では、帯域通過型フィルタ1、該帯域通過型フィルタ1の入出力インピーダンスの整合回路2,電圧制御移相器3、高周波増幅器4、6、および高周波分配器5から構成される。この回路構成において、周波数安定度が高く、位相雑音を小さくするには、周波数選択度(Q値)が高く、安定で、かつ、温度安定度が高い発振周波数を決定する誘電体フィルタを、帯域通過型フィルタ1に用いなければならない。
【0003】
図3に、円柱形誘電体共振器を帯域通過型フィルタとして用いる電圧制御発振器の回路構成図を示す。このような回路構成の電圧制御発振器は、周波数選択度(Q値)および安定度が高く、かつ、温度安定度も高いことから、PLL回路用として多く用いられている。
【0004】
円柱形誘電体共振器は、TEMモードの電磁界結合を利用している。TEMモードとは、同軸型誘電体共振器の断面で見ると、電界が中心導体から外部導体に向かって放射状に走り、磁界が同心円状に走る電磁界結合のことである。
【0005】
しかし、このような電圧制御発振器では、数GHzまでの高周波用において、回路部分のサイズに対する大部分を円柱形誘電体共振器が占め、原理上の制約から、小型化が困難であった。
【0006】
また、円柱形誘電体共振器を、その他の回路部分や増幅器と同一基板上に配置する必要があることから、円柱形誘電体共振器の電磁界の影響を、該回路部分が受けることが多いという問題や、組み立てや発振周波数の調整に熟練を要して、コストダウンが難しいという問題があった。
【0007】
同軸形誘電体共振器を単段で帯域通過型フィルタに用いる電圧制御発振器では、前述のような円柱形誘電体共振器を用いた電圧制御発振器に比べて、小型化が可能であり、かつ、同軸形誘電体共振器の特性を生かして、高い安定度を得ることができる。しかし、誘電体の外周を被う銀や銅などの外導体の導体損失により、実効的な同軸形誘電体共振器の無負荷Q値が低下するため、単段では高い周波数選択度を得ることが困難であった。
【0008】
同軸形誘電体共振器としては、λ/2波長同軸形誘電体共振器を使用する。λ/2波長同軸形誘電体共振器とは、内側と外側には導電体を配置して、誘電体材料を同軸状に成型し、軸方向端部を開放端にし、該開放端のそれぞれで信号の入出力を行う共振器のことである。
【0009】
また、同軸形誘電体共振器を2段にして帯域通過型フィルタに用いると、大型化するという問題や、相互に電磁界の影響を受けるので、組み立てや発振周波数の調整に熟練を要するという問題があった。
【0010】
通常、誘電体材料は、チタン酸ジルコニウム系、チタン酸バリウム系またはチタン酸鉛系のように、素材が限定されるため、最高特性はサイズで一定に決められる。従って、λ/2波長同軸形誘電体共振器を単段で構成した帯域通過型フィルタは、数GHz帯以上において、周波数選択度Q値が600以上となるようにすることが不可能であるという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、円柱形誘電体共振器を誘電体フィルタとして用いる電圧制御型発振器の周波数安定性と温度安定性を確保しつつ、単段の同軸形誘電体共振器を用いた場合と同程度の小型化と低コスト化を実現することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の電圧制御発振器は、高周波増幅器と、電圧制御型移相器と、帯域通過型フィルタと、整合器と、高周波分配器とからなり、筒状の導電性ケースに収納され、前記帯域通過型フィルタは、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器を、L字型に2段に連ねる。
【0013】
さらに、λ/2波長同軸形誘電体共振器のそれぞれの表面の一部で、互いに対向する部分に、互いに平行となる平面部分を有することが望ましい。従って、それぞれの平面部分は、λ/2波長同軸形誘電体共振器の軸(配列方向)に対して45度傾斜角をなす。
【0014】
さらに、帯域通過型フィルタを、L字状導電性ケースに収納するとよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について図面を参照して説明する。図1は、本発明の電圧制御発振器の一実施例を示す回路構成図である。
【0016】
本発明の電圧制御発振器は、高周波増幅器4、6と、電圧制御型移相器3と、帯域通過型フィルタ1と、整合器2と、高周波分配器5とからなり、筒状の導電性ケース10に収納され、前記帯域通過型フィルタ1は、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器7をL字型に2段に連ねる。
【0017】
さらに、λ/2波長同軸形誘電体共振器7のそれぞれの表面の一部で、互いに対向する部分に、互いに平行となる平面部分7aを有することが望ましい。従って、それぞれの平面部分7aは、λ/2波長同軸形誘電体共振器7の軸(配列方向)に対して45度傾斜角をなす。
【0018】
このような構成とすることにより、周波数選択度Q値が1000程度まで上昇させることが可能である。
【0019】
前記帯域通過型フィルタを、3段で構成すると周波数選択度Q値をさらに上昇させることが可能であるが、同時に損失も増大し、該損失を補うためにさらに増幅器が必要となって、回路規模が大きくなることから、小型化には不利となる。
【0020】
本発明では、帯域通過型フィルタを、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器を、L字型に2段に連ねたので、L字型の内側に生じたスペースに他の回路を配置することができ、単段で誘電体共振器を構成した場合と、ほぼ同等の小型化が可能である。
【0021】
また、周波数選択度Q値を最高値とするためには、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器の間隔および相対位置を最適化することが必要であるが、本発明において、λ/2波長同軸形誘電体共振器7に平面部分7aを設けたことによって、前記間隔および相対位置がブロードになり、組み立てや発振周波数の調整が容易となる。
【0022】
さらに、帯域通過型フィルタ1を構成する2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器7を、L字状導電性ケース8に収納すれば、基板に搭載しやすく、帯域通過型フィルタ1を単体で調整することが可能となり、外部電磁界の影響を受けずに、基板上の他の回路への電磁界の影響を無くすことができる。
【0023】
本発明により、円柱形誘電体共振器を誘電体フィルタとして用いる電圧制御型発振器の周波数安定性と温度安定性を確保しつつ、単段の同軸形誘電体共振器を用いた場合と同程度の小型化と低コスト化が実現可能となる。
【0024】
【実施例】
以下に、実施例を用いて、本発明をさらに説明する。
【0025】
(実施例1)
図1に、本実施例の電圧制御発振器を回路構成図で示す。本実施例では、帯域通過型フィルタ1を構成する2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器7を、L字状導電性ケース8に収納した。
【0026】
λ/2波長同軸形誘電体共振器7は、内導体および外導体が銀導電膜であり、その間の誘電体には、チタン酸ジルコニウム系の誘電材料を充填した。該誘電材料として、(ZrSn)TiO4を用いた。λ/2波長同軸形誘電体共振器7は、外形が断面正方形の角柱であり、外導体は一辺が6mmの正方形を断面とする角柱であり、内導体は直径が1mmの円形を断面とする円柱であり、長手方向の寸法は、9〜12mm程度である。L字状導体性ケース8は、真鍮性とした。回路基板9は、安価なガラスエポキシ系材料のFR−4とし、縦20mm×横20mm×厚さ0.8mmとした。
【0027】
帯域通過型フィルタ1の調整では、先ず、λ/2波長同軸形誘電体共振器7を長手方向に研削しながら、自己共振周波数を調整した。次に、信号入出力用端子を該λ/2波長同軸形誘電体共振器7に挿入し、その機械的挿入量により所望の電気的結合量が確保されるように、調整した。最後に、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器7を前記L字状導体性ケース8に設置し、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器7の電気的結合量を、入出力端子間の通過特性を測定しながら、互いの距離関係を調整することにより調整した。
【0028】
以上により、帯域通過型フィルタ1の中心周波数は、2488.32MHz、周波数選択度Q値は900〜950に調整された。
【0029】
このようにして調整した帯域通過型フィルタ1を、他の回路部分が搭載された回路基板9上のスペースに搭載して、回路の保護および電磁シールドの目的で、導電性のカバーを取り付けて、電圧制御発振器を得た。該導電性のカバーには、洋白製のカバーとした。得られた電圧制御発振器は、縦20mm×横20mm×厚さ8mmであった。
【0030】
(実施例2)
誘電材料として、チタン酸バリウム系Ba2Ti7O2を用いた以外は、実施例1と同様にして電圧制御発振器を作製した。
【0031】
帯域通過型フィルタ1の中心周波数は、2488.32MHz、周波数選択度Q値は870〜910に調整された。得られた電圧制御発振器は、縦20mm×横20mm×厚さ8mmであった。
【0032】
(比較例1)
L字状導電性ケース8を用いずに、予め信号入出力用端子を取り付けたλ/2波長同軸形誘電体共振器7を、直接、回路基板9上に配置して、帯域通過型フィルタ1を回路基板9上に構成したこと以外は、実施例1と同様にして電圧制御発振器を作製した。
【0033】
帯域通過型フィルタ1の中心周波数は、2488.32MHz、周波数選択度Q値は900〜950と実施例1と全く同一に調整された。しかし、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器7の両端付近に他の回路部品が近接すると、周波数選択度Q値に微妙な影響があるため、最低でも3mm程度のスペースを必要とし、レイアウトに制約が生じた。そのため、得られた電圧制御発振器は、縦50mm×横50mm×厚さ8mmであった。
【0034】
(比較例2)
図3に示したような円柱形誘電体共振器を誘電体フィルタとして用いる電圧制御発振器で、実施例1で使用したチタン酸ジルコニウム系の誘電材料を用いた。円柱形誘電体共振器12のサイズは、TEMモードの電磁界結合において、直径28mm×高さ15mm程度となった。該円柱形誘電体共振器12に、入出力端子を取り付けて、帯域通過型フィルタ1として構成したが、直径45mm×高さ26mm程度の空間が必要であり、電圧制御発振器の大きさは、縦50mm×横50mm×高さ25mm程度のパッケージングサイズになった。なお、周波数選択度Q値は1000〜1200まで実現できた。
【0035】
【発明の効果】
本発明により、円柱形誘電体共振器を誘電体フィルタとして用いる電圧制御型発振器と同程度の周波数安定性と温度安定性で、小型化と低コスト化が実現可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電圧制御発振器の一実施例を示す回路構成図である。
【図2】帰還型電圧制御発振器を示す回路構成図である。
【図3】円柱形誘電体共振器を誘電体フィルタとして用いる電圧制御発振器を示す回路構成図である。
【符号の説明】
1 帯域通過型フィルタ
2 整合器
3 電圧制御型移相器
4、6 高周波増幅器
5 高周波分配器
7 λ/2波長同軸形誘電体共振器
7a 平面部分
8 L字状導電性ケース
9 回路基板
10 パッケージ
11 接続端子
12 円柱形誘電体共振器
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧制御発振器に関し、特に、マイクロ波通信や光通信などの高周波通信システムに用いるフェイズロックループ(PLL)回路等の信号源に用いられ、小型かつ安定な高周波電圧制御発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2に、帰還型電圧制御発振器として公知な回路構成図を示す。図示した回路構成では、帯域通過型フィルタ1、該帯域通過型フィルタ1の入出力インピーダンスの整合回路2,電圧制御移相器3、高周波増幅器4、6、および高周波分配器5から構成される。この回路構成において、周波数安定度が高く、位相雑音を小さくするには、周波数選択度(Q値)が高く、安定で、かつ、温度安定度が高い発振周波数を決定する誘電体フィルタを、帯域通過型フィルタ1に用いなければならない。
【0003】
図3に、円柱形誘電体共振器を帯域通過型フィルタとして用いる電圧制御発振器の回路構成図を示す。このような回路構成の電圧制御発振器は、周波数選択度(Q値)および安定度が高く、かつ、温度安定度も高いことから、PLL回路用として多く用いられている。
【0004】
円柱形誘電体共振器は、TEMモードの電磁界結合を利用している。TEMモードとは、同軸型誘電体共振器の断面で見ると、電界が中心導体から外部導体に向かって放射状に走り、磁界が同心円状に走る電磁界結合のことである。
【0005】
しかし、このような電圧制御発振器では、数GHzまでの高周波用において、回路部分のサイズに対する大部分を円柱形誘電体共振器が占め、原理上の制約から、小型化が困難であった。
【0006】
また、円柱形誘電体共振器を、その他の回路部分や増幅器と同一基板上に配置する必要があることから、円柱形誘電体共振器の電磁界の影響を、該回路部分が受けることが多いという問題や、組み立てや発振周波数の調整に熟練を要して、コストダウンが難しいという問題があった。
【0007】
同軸形誘電体共振器を単段で帯域通過型フィルタに用いる電圧制御発振器では、前述のような円柱形誘電体共振器を用いた電圧制御発振器に比べて、小型化が可能であり、かつ、同軸形誘電体共振器の特性を生かして、高い安定度を得ることができる。しかし、誘電体の外周を被う銀や銅などの外導体の導体損失により、実効的な同軸形誘電体共振器の無負荷Q値が低下するため、単段では高い周波数選択度を得ることが困難であった。
【0008】
同軸形誘電体共振器としては、λ/2波長同軸形誘電体共振器を使用する。λ/2波長同軸形誘電体共振器とは、内側と外側には導電体を配置して、誘電体材料を同軸状に成型し、軸方向端部を開放端にし、該開放端のそれぞれで信号の入出力を行う共振器のことである。
【0009】
また、同軸形誘電体共振器を2段にして帯域通過型フィルタに用いると、大型化するという問題や、相互に電磁界の影響を受けるので、組み立てや発振周波数の調整に熟練を要するという問題があった。
【0010】
通常、誘電体材料は、チタン酸ジルコニウム系、チタン酸バリウム系またはチタン酸鉛系のように、素材が限定されるため、最高特性はサイズで一定に決められる。従って、λ/2波長同軸形誘電体共振器を単段で構成した帯域通過型フィルタは、数GHz帯以上において、周波数選択度Q値が600以上となるようにすることが不可能であるという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、円柱形誘電体共振器を誘電体フィルタとして用いる電圧制御型発振器の周波数安定性と温度安定性を確保しつつ、単段の同軸形誘電体共振器を用いた場合と同程度の小型化と低コスト化を実現することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の電圧制御発振器は、高周波増幅器と、電圧制御型移相器と、帯域通過型フィルタと、整合器と、高周波分配器とからなり、筒状の導電性ケースに収納され、前記帯域通過型フィルタは、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器を、L字型に2段に連ねる。
【0013】
さらに、λ/2波長同軸形誘電体共振器のそれぞれの表面の一部で、互いに対向する部分に、互いに平行となる平面部分を有することが望ましい。従って、それぞれの平面部分は、λ/2波長同軸形誘電体共振器の軸(配列方向)に対して45度傾斜角をなす。
【0014】
さらに、帯域通過型フィルタを、L字状導電性ケースに収納するとよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について図面を参照して説明する。図1は、本発明の電圧制御発振器の一実施例を示す回路構成図である。
【0016】
本発明の電圧制御発振器は、高周波増幅器4、6と、電圧制御型移相器3と、帯域通過型フィルタ1と、整合器2と、高周波分配器5とからなり、筒状の導電性ケース10に収納され、前記帯域通過型フィルタ1は、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器7をL字型に2段に連ねる。
【0017】
さらに、λ/2波長同軸形誘電体共振器7のそれぞれの表面の一部で、互いに対向する部分に、互いに平行となる平面部分7aを有することが望ましい。従って、それぞれの平面部分7aは、λ/2波長同軸形誘電体共振器7の軸(配列方向)に対して45度傾斜角をなす。
【0018】
このような構成とすることにより、周波数選択度Q値が1000程度まで上昇させることが可能である。
【0019】
前記帯域通過型フィルタを、3段で構成すると周波数選択度Q値をさらに上昇させることが可能であるが、同時に損失も増大し、該損失を補うためにさらに増幅器が必要となって、回路規模が大きくなることから、小型化には不利となる。
【0020】
本発明では、帯域通過型フィルタを、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器を、L字型に2段に連ねたので、L字型の内側に生じたスペースに他の回路を配置することができ、単段で誘電体共振器を構成した場合と、ほぼ同等の小型化が可能である。
【0021】
また、周波数選択度Q値を最高値とするためには、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器の間隔および相対位置を最適化することが必要であるが、本発明において、λ/2波長同軸形誘電体共振器7に平面部分7aを設けたことによって、前記間隔および相対位置がブロードになり、組み立てや発振周波数の調整が容易となる。
【0022】
さらに、帯域通過型フィルタ1を構成する2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器7を、L字状導電性ケース8に収納すれば、基板に搭載しやすく、帯域通過型フィルタ1を単体で調整することが可能となり、外部電磁界の影響を受けずに、基板上の他の回路への電磁界の影響を無くすことができる。
【0023】
本発明により、円柱形誘電体共振器を誘電体フィルタとして用いる電圧制御型発振器の周波数安定性と温度安定性を確保しつつ、単段の同軸形誘電体共振器を用いた場合と同程度の小型化と低コスト化が実現可能となる。
【0024】
【実施例】
以下に、実施例を用いて、本発明をさらに説明する。
【0025】
(実施例1)
図1に、本実施例の電圧制御発振器を回路構成図で示す。本実施例では、帯域通過型フィルタ1を構成する2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器7を、L字状導電性ケース8に収納した。
【0026】
λ/2波長同軸形誘電体共振器7は、内導体および外導体が銀導電膜であり、その間の誘電体には、チタン酸ジルコニウム系の誘電材料を充填した。該誘電材料として、(ZrSn)TiO4を用いた。λ/2波長同軸形誘電体共振器7は、外形が断面正方形の角柱であり、外導体は一辺が6mmの正方形を断面とする角柱であり、内導体は直径が1mmの円形を断面とする円柱であり、長手方向の寸法は、9〜12mm程度である。L字状導体性ケース8は、真鍮性とした。回路基板9は、安価なガラスエポキシ系材料のFR−4とし、縦20mm×横20mm×厚さ0.8mmとした。
【0027】
帯域通過型フィルタ1の調整では、先ず、λ/2波長同軸形誘電体共振器7を長手方向に研削しながら、自己共振周波数を調整した。次に、信号入出力用端子を該λ/2波長同軸形誘電体共振器7に挿入し、その機械的挿入量により所望の電気的結合量が確保されるように、調整した。最後に、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器7を前記L字状導体性ケース8に設置し、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器7の電気的結合量を、入出力端子間の通過特性を測定しながら、互いの距離関係を調整することにより調整した。
【0028】
以上により、帯域通過型フィルタ1の中心周波数は、2488.32MHz、周波数選択度Q値は900〜950に調整された。
【0029】
このようにして調整した帯域通過型フィルタ1を、他の回路部分が搭載された回路基板9上のスペースに搭載して、回路の保護および電磁シールドの目的で、導電性のカバーを取り付けて、電圧制御発振器を得た。該導電性のカバーには、洋白製のカバーとした。得られた電圧制御発振器は、縦20mm×横20mm×厚さ8mmであった。
【0030】
(実施例2)
誘電材料として、チタン酸バリウム系Ba2Ti7O2を用いた以外は、実施例1と同様にして電圧制御発振器を作製した。
【0031】
帯域通過型フィルタ1の中心周波数は、2488.32MHz、周波数選択度Q値は870〜910に調整された。得られた電圧制御発振器は、縦20mm×横20mm×厚さ8mmであった。
【0032】
(比較例1)
L字状導電性ケース8を用いずに、予め信号入出力用端子を取り付けたλ/2波長同軸形誘電体共振器7を、直接、回路基板9上に配置して、帯域通過型フィルタ1を回路基板9上に構成したこと以外は、実施例1と同様にして電圧制御発振器を作製した。
【0033】
帯域通過型フィルタ1の中心周波数は、2488.32MHz、周波数選択度Q値は900〜950と実施例1と全く同一に調整された。しかし、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器7の両端付近に他の回路部品が近接すると、周波数選択度Q値に微妙な影響があるため、最低でも3mm程度のスペースを必要とし、レイアウトに制約が生じた。そのため、得られた電圧制御発振器は、縦50mm×横50mm×厚さ8mmであった。
【0034】
(比較例2)
図3に示したような円柱形誘電体共振器を誘電体フィルタとして用いる電圧制御発振器で、実施例1で使用したチタン酸ジルコニウム系の誘電材料を用いた。円柱形誘電体共振器12のサイズは、TEMモードの電磁界結合において、直径28mm×高さ15mm程度となった。該円柱形誘電体共振器12に、入出力端子を取り付けて、帯域通過型フィルタ1として構成したが、直径45mm×高さ26mm程度の空間が必要であり、電圧制御発振器の大きさは、縦50mm×横50mm×高さ25mm程度のパッケージングサイズになった。なお、周波数選択度Q値は1000〜1200まで実現できた。
【0035】
【発明の効果】
本発明により、円柱形誘電体共振器を誘電体フィルタとして用いる電圧制御型発振器と同程度の周波数安定性と温度安定性で、小型化と低コスト化が実現可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電圧制御発振器の一実施例を示す回路構成図である。
【図2】帰還型電圧制御発振器を示す回路構成図である。
【図3】円柱形誘電体共振器を誘電体フィルタとして用いる電圧制御発振器を示す回路構成図である。
【符号の説明】
1 帯域通過型フィルタ
2 整合器
3 電圧制御型移相器
4、6 高周波増幅器
5 高周波分配器
7 λ/2波長同軸形誘電体共振器
7a 平面部分
8 L字状導電性ケース
9 回路基板
10 パッケージ
11 接続端子
12 円柱形誘電体共振器
Claims (3)
- 高周波増幅器と、電圧制御型移相器と、帯域通過型フィルタと、整合器と、高周波分配器とからなり、筒状の導電性ケースに収納される電圧制御発振器において、前記帯域通過型フィルタは、2つのλ/2波長同軸形誘電体共振器を、L字型に2段に連ねることを特徴とする電圧制御発振器。
- λ/2波長同軸形誘電体共振器のそれぞれの表面の一部で、互いに対向する部分に、互いに平行となる平面部分を有することを特徴とする請求項1に記載の電圧制御発振器。
- 帯域通過型フィルタを、L字状導電性ケースに収納することを特徴とする請求項1または2に記載の電圧制御発振器。
Priority Applications (1)
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JP2002208264A JP2004056267A (ja) | 2002-07-17 | 2002-07-17 | 電圧制御発振器 |
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JP2002208264A JP2004056267A (ja) | 2002-07-17 | 2002-07-17 | 電圧制御発振器 |
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Family Applications (1)
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2002
- 2002-07-17 JP JP2002208264A patent/JP2004056267A/ja active Pending
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