JP2004056218A - 電力線搬送通信システム及び電力線搬送通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】配電盤のブレーカの動作状態や電力供給の有無に関わらず、常に通信を行い得る電力線搬送通信システムを実現する。
【解決手段】電力線搬送通信装置において、電力線から電力が供給されていないとき、ベースバンド信号を電力線に直接送信するとともに当該電力線から供給されるベースバンド信号を変復調手段に直接入力するようにした。また配電盤において、系統ブレーカが開状態のとき、対応する電力系統の電力線から供給されるベースバンド信号を電力線搬送通信信号に変換して、他の電力系統の電力線に送出するとともに、他の電力系統の電力線から供給される電力線搬送通信信号をベースバンド信号に変換して、対応する電力系統の電力線に送出するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】電力線搬送通信装置において、電力線から電力が供給されていないとき、ベースバンド信号を電力線に直接送信するとともに当該電力線から供給されるベースバンド信号を変復調手段に直接入力するようにした。また配電盤において、系統ブレーカが開状態のとき、対応する電力系統の電力線から供給されるベースバンド信号を電力線搬送通信信号に変換して、他の電力系統の電力線に送出するとともに、他の電力系統の電力線から供給される電力線搬送通信信号をベースバンド信号に変換して、対応する電力系統の電力線に送出するようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電力線搬送通信システム及び電力線搬送通信装置に関し、例えば家庭内で電力線を介して有線通信を行う電力線搬送通信システムに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、家庭やオフィス等の建築物内における有線通信方法として、電力線搬送通信(Power Line Communication、PLCとも呼ぶ)システムが実現されている。
【0003】
かかる電力線搬送通信システムにおいては、建築物の屋内に敷設されている電力線を通信線とし、当該電力線に供給されている電力(例えば交流100V、50Hz)を搬送波として情報信号を伝送したり、当該電力とは異なる周波数の搬送波の情報信号を電力線に注入して伝送することにより、別途通信用の配線を敷設することなく、所定の電力線搬送通信装置をコンセントに接続するだけで他の電力線搬送通信装置との間で通信を行い得るようになされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
屋内の電力配線においては、例えば図9に示すように、屋外の変圧器(図示せず)から分電盤101に電力が供給されている。そして分電盤101においては、メインブレーカ102の下位に系統ブレーカ103A〜103Cが接続されており、当該メインブレーカ102及び系統ブレーカ103A〜103Cを介して各電力系統A〜Cに電力を分配する。
【0005】
そして電力線搬送システム100においては、各電力系統A〜Cの電力線にそれぞれ単数あるいは複数の電力線搬送通信装置(以下、これをPLC通信装置と呼ぶ)104が接続されている。各PLC通信装置104には、それぞれ図示しないパーソナルコンピュータ等の各種情報通信装置が接続されており、当該情報通信装置はPLC通信装置104を介して、他のPLC通信装置104に接続された情報通信装置との間で電力線搬送通信を行い得るようになされている。
【0006】
ここで図10に示すように、過電流や漏電等の原因によって電力系統Aの系統ブレーカ103Aがオフ状態(開状態)になったとする。この場合、電力系統B内、電力系統C内、及び電力系統B及びC間においては電力線搬送通信が可能である。
【0007】
しかしながら電力系統Aにおいては、オフ状態にある系統ブレーカ103Aによって他の電力系統B及びCと物理的に切断された状態にある。さらに電力系統Aにおいては、電力供給そのものも系統ブレーカ103Aによって停止されているため、当該電力系統A内の電力線搬送通信装置104は動作できない。このため電力系統A内の電力線搬送通信装置104は、当該電力系統Aの内外ともに電力線搬送通信を行うことができない。
【0008】
また図11に示すようにメインブレーカ102がオフ状態になった場合や、図12に示すような停電時においては、全電力系統A〜Cに対する電力供給が停止し、このため全ての電力線搬送通信装置104は動作できず、電力線搬送通信を行うことができない。
【0009】
このように従来の電力線搬送通信システムにおいては、配電盤内のメインブレーカや系統ブレーカがオフ状態になった場合や停電時には電力線搬送通信装置が動作不能となり、通信を行い得ないという問題があった。
【0010】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ブレーカの動作状態や電力供給の有無に関わらず、常に通信を行い得る電力線搬送通信システム及び電力線搬送通信装置を提案しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、所定の電力供給源から供給される電力を複数の電力系統の電力線にそれぞれ分配する分電盤と、電力線に接続され当該電力線を介して通信データを送受信する複数の電力線搬送通信装置とからなる電力線搬送通信システムにおいて、通信データを所定のベースバンド信号に変調して出力するとともに、外部から入力されるベースバンド信号を通信データに復調する変復調手段と、変復調手段から出力されるベースバンド信号を電力線に注入して電力線搬送通信信号として送信するとともに、電力線から供給される電力線搬送通信信号からベースバンド信号を抽出して上記変復調手段に入力する第1の信号変換手段と、電力線から電力が供給されていないとき第1の信号変換手段を迂回し、変復調手段から出力されるベースバンド信号を電力線に直接送信するとともに、当該電力線から供給されるベースバンド信号を変復調手段に直接入力する信号迂回手段とを電力線搬送通信装置に設けた。
【0012】
また、電力供給源に接続されたメインブレーカと、メインブレーカと複数の電力線の間にそれぞれ設けられた複数の系統ブレーカと、複数の系統ブレーカにそれぞれ並列に設けられ、対応する系統ブレーカが開状態のとき、対応する電力系統の電力線から供給されるベースバンド信号を電力線搬送通信信号に変換して他の電力系統の電力線に送出するとともに、他の電力系統の電力線から供給される電力線搬送通信信号をベースバンド信号に変換して対応する電力系統の電力線に送出する複数の第2の信号変換手段とを配電盤に設けた。
【0013】
さらに第2の信号変換手段は、メインブレーカから電力が供給されておらず、かつ対応する系統ブレーカが開状態のとき、対応する電力系統の電力線から供給されるベースバンド信号を他の電力系統の電力線に直接送出するとともに、他の電力系統の電力線から供給されるベースバンド信号を対応する電力系統の電力線に直接送出するようにした。
【0014】
電力線搬送通信装置において、電力線から電力が供給されていないとき、当該電力線を介してベースバンド信号を直接送受信するようにするとともに、配電盤において、系統ブレーカの開閉状態及びメインブレーカからの電力供給の有無に応じて第2の信号変換手段の動作状態を変更することにより、電力供給の有無やブレーカの開閉状態に関わらず、常に電力線搬送通信装置間の通信を維持することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0016】
(1)電力線搬送通信システムの全体構成
図1において、1は全体として本発明による電力線搬送通信システムを示し、屋外の変圧器(図示せず)から分電盤10に電力が供給されている。そして分電盤10においてはメインブレーカ11に系統分電部12A〜12Cが接続されており、当該系統分電部12A〜12C内の系統ブレーカ13A〜13Cを介して各電力系統A〜Cの電力線30A〜30Cに電力が分配されている。
【0017】
そして電力線搬送システム1においては、各電力系統A〜Cの電力線30A〜30Cにそれぞれ単数あるいは複数のPLC通信装置20が接続されている。各PLC通信装置20には、それぞれ図示しないパーソナルコンピュータ等の各種情報通信装置が接続されており、当該情報通信装置はPLC通信装置20を介して、他のPLC通信装置20に接続された情報通信装置との間で電力線搬送通信を行い得るようになされている。
【0018】
さらにこの電力線搬送通信システム1においては、停電あるいはブレーカがオフ状態になることにより電力線に対する電力供給が停止した場合、当該電力供給が停止した電力系統内においては通信データをベースバンド信号のまま送受するとともに、当該電力供給が停止した電力系統と他の電力系統との間で、ベースバンド信号とPLC信号(後述)の変換を行うことにより、電力供給の有無やブレーカの開閉状態に関わらず常に全系統で通信を継続し得るようになされている。
【0019】
(2)PLC通信装置の構成
次に、PLC通信装置20の構成を図2を用いて説明する。
【0020】
図2に示すようにPLC通信装置20においては、電源コンセントに挿入して電力線30(30A〜30C)から電力を受電するための電源プラグ21に選択スイッチ22が接続されている。選択スイッチ22は2つの選択端子22a及び22bを有している。選択端子22aには、データ変換部23を介してPLC通信制御部24が接続されているのに対し、選択端子22bにはPLC通信制御部24が直接接続されている。
【0021】
選択スイッチ22、データ変換部23、PLC通信制御部24及び電源電圧モニタ部25は電源プラグ21から供給される電力で動作する。またPLC通信装置20にはバッテリー26が設けられており、当該バッテリー26は電源プラグ21から供給される電力によって常時充電されるとともに、停電や配電盤10内のブレーカがオフ状態になり電源プラグ21からの電力供給が停止した場合は、選択スイッチ22、PLC通信制御部24及び電源電圧モニタ部25に電源を供給する。
【0022】
変復調手段としてのPLC通信制御部24は、情報処理装置(図示せず)から供給される通信データを所定周波数帯域のベースバンド信号に変調してデータ変換部23及び選択スイッチ22に出力するとともに、データ変換部23又は選択スイッチ22から供給されるベースバンド信号を通信データに復調して情報処理装置に出力する。
【0023】
一方電源電圧モニタ部25は、電源プラグ21を介して電力線30の電源電圧を常に監視しており、電力供給の有無に応じて選択スイッチ22を切り換える。
【0024】
すなわち、電源プラグ21から電力が供給されている電力供給状態において、電源電圧モニタ部25は選択スイッチ22を選択端子22a側に選択する。この状態において、第1の信号変換手段としてのデータ変換部23は、PLC通信制御部24から供給されるベースバンド信号を電力線に注入し、PLC信号として選択スイッチ22及び電源プラグ21を介して分電盤10に送出する。同時にデータ変換部23は、電力線を介して供給されるPLC信号からベースバンド信号を抽出し、PLC通信制御部24に出力する。この状態をPLCモードと呼ぶ。
【0025】
これに対し、停電あるいは配電盤10内のブレーカがオフ状態になることによって電力が供給されていない電力供給停止状態において、電源電圧モニタ部25は信号迂回手段としての選択スイッチ22を選択端子22b側に選択し、これによりデータ変換部23はバイパスされる。そしてPLC通信装置20は、PLC通信制御部24から供給されるベースバンド信号をそのまま電力線30に送出するとともに、当該電力線30から供給されるベースバンド信号をそのままPLC通信制御部24に入力する。この状態をベースバンドモードと呼ぶ。
【0026】
かくしてPLC通信装置20は、電力供給状態においてPLCモードで動作し、通信データをPLC信号に変換して送受するのに対し、電力供給停止状態においてはベースバンドモードで動作し、通信データをベースバンドモードのまま送受する。
【0027】
(3)分電盤の構成
次に、分電盤10の構成を図3を用いて説明する。
【0028】
図3に示すように分電盤10においては、各系統分電部12A〜12C内にそれぞれ系統ブレーカ13A〜13C、データ制御部14A〜14C及びブレーカモニタ部15A〜15Cが設けられている。通常、データ制御部14A〜14C及びブレーカモニタ部15A〜15Cは、メインブレーカ11から供給される電力で動作する。
【0029】
また分電盤10にはバッテリー16が設けられている。このバッテリー16はメインブレーカ11から供給される電力によって常時充電されるとともに、停電時やメインブレーカ11がオフ状態の時にはデータ制御部14A〜14C及びブレーカモニタ部15A〜15Cに電力を供給する。
【0030】
図4はデータ制御部14(14A〜14C)の構成を示し、選択スイッチ17と、データ変換部18とを有している。選択スイッチ17は3つの選択端子17a〜17cを有しており、対応するブレーカモニタ部15(15A〜15C)の制御に応じて当該選択端子17a〜17cを切り換える。
【0031】
選択スイッチ17の選択端子17cにはデータ変換部18が接続されている。データ変換部18は、電力線30(30A〜30C)から供給されるベースバンド信号をPLC信号に変換して選択スイッチ17に送出するとともに、当該選択スイッチ17から供給されるPLC信号をベースバンド信号に変換して電力線30に送出する。また、選択スイッチ17の選択端子17bは電力線30に直接接続されているのに対し、選択端子17aはどこにも接続されていない。
【0032】
これによりデータ制御部14は、選択端子17cを選択した状態においては当該データ制御部14を通過するデータを変換し(変換モード)、選択端子17bを選択した状態においては切断状態(切断モード)となり、選択端子17aを選択した状態においては導通状態(スルーモード)となる。
【0033】
ブレーカモニタ部15は、メインブレーカ11からの電力供給の有無及び対応する系統ブレーカ13の動作状態に応じて選択スイッチ17を切替え、それぞれ対応するデータ制御部14を変換モード、切断モード又はスルーモードに制御することにより、停電やブレーカの状態に関わらず、電力線搬送通信システム1における通信を常時行い得るようになされている。
【0034】
(4)データ制御部の動作モード制御
次に、ブレーカモニタ部15によるデータ制御部14の動作モード制御を場合分けして説明する。
【0035】
まず図5に示すように、メインブレーカ11及び系統ブレーカ13A〜13Cの全てがオン状態(閉状態)で、メインブレーカ11から電力供給が行われている通常状態の場合について説明する。
【0036】
この状態において、各電力線30A〜30Bは系統ブレーカ13A〜13Cを介して全て導通しているとともに、各電力線30A〜30Cには電力が供給されており、全てのPLC通信装置20は通常のPLC通信が可能な状態にある。
【0037】
このような「メインブレーカ11からの電力供給あり」かつ「系統ブレーカオン状態」のとき、ブレーカモニタ部15は選択スイッチ17(図4)の選択端子17aを選択し、データ制御部14を切断モードに制御する。また、各電力線30A〜30Cには電力が供給されていることから、全てのPLC通信装置20はPLCモードで動作する。
【0038】
次に、図6に示すように、メインブレーカ11、系統ブレーカ13B及び13Cがオン状態(閉状態)、系統ブレーカ13Aがオフ状態(開状態)、かつメインブレーカ11から電力供給が行われている状態の場合について説明する。
【0039】
この状態において、電力線30Bと30Cは系統ブレーカ13B及び13Cを介して導通しているとともに、当該電力線30Bと30Cには電力が供給されている。これに対して電力線30Aは、系統ブレーカ13Aがオフ状態にあるため他の電力線30B及び30Cとは切断されており、電力供給も停止している。
【0040】
このような「メインブレーカ11からの電力供給あり」かつ「系統ブレーカオフ状態」のとき、ブレーカモニタ部15Aは選択スイッチ17の選択端子17cを選択し、データ制御部14Aを変換モードに制御する。また、電力線30Aには電力が供給されていないことから、電力系統AのPLC通信装置20はベースバンドモードで動作する。そして、変換モードで動作している第2の信号変換手段としてのデータ制御部14Aは、ベースバンド信号(電力系統A)とPLC信号(電力系統B及び電力系統C)とを相互変換する。
【0041】
かくして電力線搬送通信システム1においては、系統ブレーカがオフ状態にある場合でも、システム内の通信を維持し得るようになされている。
【0042】
次に、図7に示すように、メインブレーカ11及び系統ブレーカ13Aがオフ状態、かつ系統ブレーカ13B及び13Cがオフ状態の場合について説明する。なお、変圧器からの電力供給が停止した停電状態は、メインブレーカオフ状態と同等に考えることができる。
【0043】
この状態において、電力線30Bと30Cは系統ブレーカ13B及び13Cを介して導通しているのに対し、電力線30Aは系統ブレーカ13Aがオフ状態にあるため他の電力線30B及び30Cと切断されている。またメインブレーカ11がオフ状態にあることから、全電力線30A〜30Cに対する電力供給が停止している。このため、全てのPLC通信装置20はベースバンドモードで動作する。
【0044】
「メインブレーカ11からの電力供給なし」かつ「系統ブレーカオフ状態」のとき、ブレーカモニタ部15Aは選択スイッチ17の選択端子17bを選択し、データ制御部14Aをスルーモードに制御する。これによりデータ制御部14Aはオフ状態にある系統ブレーカ13Aをバイパスし、電力線30Aを他の電力線30B及び30Cに接続する。また、「メインブレーカ11からの電力供給なし」かつ「系統ブレーカオン状態」にあるブレーカモニタ部15B及び15Cは、選択スイッチ17の選択端子17aを選択し、データ制御部14Aを切断モードに制御する。
【0045】
かくして電力線搬送通信システム1においては、停電やメインブレーカ11がオフ状態になることにより当該メインブレーカ11からの電力供給が停止した場合でも、システム内の通信を維持し得るようになされている。
【0046】
(5)動作及び効果
以上の構成において、分電盤10のブレーカモニタ部15は、メインブレーカ11からの電力供給の有無と、対応する系統ブレーカ13の動作状態とに基づいて、データ制御部14の動作モードを制御する。
【0047】
ブレーカモニタ部15は、メインブレーカ11からの電力供給があり、かつ系統ブレーカ13がオン状態にある場合、通常状態として系統ブレーカ14を切断モードに制御する。このとき電力線30にはメインブレーカ11から系統ブレーカ13を介して電力が供給される。そしてPLC通信装置20は、当該供給される電力によってPLCモードで動作し、他のPLC通信装置20との間で電力線搬送通信を行う。
【0048】
またブレーカモニタ部15は、メインブレーカ11からの電力供給があり、かつ系統ブレーカ13がオフ状態にある場合、データ制御部14を変換モードに制御する。この場合、電力線30には電力が供給されず、PLC通信装置20は内蔵するバッテリー26によってベースバンドモードで動作する。
【0049】
そしてデータ制御部14は変換モードで動作し、ベースバンドモードで動作中のPLC通信装置20と他の電力系統下でPLCモードで動作中の他のPLC通信装置20との間で、ベースバンド信号とPLC信号とを相互変換することにより、系統ブレーカがオフ状態にある電力系統と他の電力系統との間の通信を維持する。
【0050】
さらにブレーカモニタ部15は、メインブレーカ11からの電力供給がなく、かつ系統ブレーカ13がオフ状態にある場合、データ制御部14をスルーモードに制御する。この場合、全電力系統の電力線30には電力が供給されず、全てのPLC通信装置20はベースバンドモードで動作する。
【0051】
そしてデータ制御部13は、オフ状態にある系統ブレーカ13をバイパスし、電力線30を他の電力線に接続する。これにより電力線搬送通信システム1は、システム内全てでベースバンド通信を行う。
【0052】
上述したデータ制御部14とPLC通信装置20の動作モードの関係を図8に示す。
【0053】
かくして電力線搬送通信システム1においては、メインブレーカ11からの電力供給の有無及び系統ブレーカ13の状態に応じてデータ制御部14A〜14Cの動作モードを制御するとともに、電力線30に対する電力供給の有無に応じてPLC通信装置20の動作モードを切り換えるようにしたことにより、電力供給が停止した電力系統内においてはベースバンド通信を用いて通信を確保し、さらに電力供給が行われている電力系統との間でベースバンド信号とPLC信号の相互変換を行い、電力供給の有無やブレーカの状態に関わらず、PLC通信装置20間の通信を常に維持することができる。
【0054】
(6)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、電力線搬送通信システム1が3つの電力系統A〜Cを有する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、2つあるいは3つ以上の電力系統を有する電力線搬送通信システムに本発明を適用してもよい。
【0055】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、電力線搬送通信装置において、電力線から電力が供給されていないとき、当該電力線を介してベースバンド信号を直接送受信するようにするとともに、配電盤において、系統ブレーカの開閉状態及びメインブレーカからの電力供給の有無に応じて第2の信号変換手段の動作状態を変更することにより、ブレーカの動作状態や電力供給の有無に関わらず常に電力線搬送通信装置間の通信を維持し得る電力線搬送通信システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電力線搬送通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明によるPLC通信装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】分電盤の構成を示すブロック図である。
【図4】データ制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】メインブレーカ及び全系統ブレーカがオン状態の場合の説明に供するブロック図である。
【図6】電力系統Aの系統ブレーカがオフ状態の場合の説明に供するブロック図である。
【図7】メインブレーカ及び電力系統Aの系統ブレーカがオフ状態の場合の説明に供するブロック図である。
【図8】データ制御部とPLC通信装置の動作モードの関係を示す表である。
【図9】従来の電力線搬送通信システムを示すブロック図である。
【図10】電力系統Aの系統ブレーカがオフ状態の場合の説明に供するブロック図である。
【図11】メインブレーカがオフ状態の場合の説明に供するブロック図である。
【図12】停電状態の場合の説明に供するブロック図である。
【符号の説明】
1、100……電力線搬送通信システム、10、101……分電盤、11、102……メインブレーカ、12A〜12C……系統分電部、13A〜13C、103A〜103C……系統ブレーカ、14A〜14C……データ制御部、15A〜15C……ブレーカモニタ部、16、26……バッテリー、17、22……選択スイッチ、18、28……データ変換部、20、104……PLC通信装置、21……電源プラグ、24……PLC通信制御部、25……電源電圧モニタ部、30A〜30C……電力線制御部。
【発明の属する技術分野】
本発明は電力線搬送通信システム及び電力線搬送通信装置に関し、例えば家庭内で電力線を介して有線通信を行う電力線搬送通信システムに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、家庭やオフィス等の建築物内における有線通信方法として、電力線搬送通信(Power Line Communication、PLCとも呼ぶ)システムが実現されている。
【0003】
かかる電力線搬送通信システムにおいては、建築物の屋内に敷設されている電力線を通信線とし、当該電力線に供給されている電力(例えば交流100V、50Hz)を搬送波として情報信号を伝送したり、当該電力とは異なる周波数の搬送波の情報信号を電力線に注入して伝送することにより、別途通信用の配線を敷設することなく、所定の電力線搬送通信装置をコンセントに接続するだけで他の電力線搬送通信装置との間で通信を行い得るようになされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
屋内の電力配線においては、例えば図9に示すように、屋外の変圧器(図示せず)から分電盤101に電力が供給されている。そして分電盤101においては、メインブレーカ102の下位に系統ブレーカ103A〜103Cが接続されており、当該メインブレーカ102及び系統ブレーカ103A〜103Cを介して各電力系統A〜Cに電力を分配する。
【0005】
そして電力線搬送システム100においては、各電力系統A〜Cの電力線にそれぞれ単数あるいは複数の電力線搬送通信装置(以下、これをPLC通信装置と呼ぶ)104が接続されている。各PLC通信装置104には、それぞれ図示しないパーソナルコンピュータ等の各種情報通信装置が接続されており、当該情報通信装置はPLC通信装置104を介して、他のPLC通信装置104に接続された情報通信装置との間で電力線搬送通信を行い得るようになされている。
【0006】
ここで図10に示すように、過電流や漏電等の原因によって電力系統Aの系統ブレーカ103Aがオフ状態(開状態)になったとする。この場合、電力系統B内、電力系統C内、及び電力系統B及びC間においては電力線搬送通信が可能である。
【0007】
しかしながら電力系統Aにおいては、オフ状態にある系統ブレーカ103Aによって他の電力系統B及びCと物理的に切断された状態にある。さらに電力系統Aにおいては、電力供給そのものも系統ブレーカ103Aによって停止されているため、当該電力系統A内の電力線搬送通信装置104は動作できない。このため電力系統A内の電力線搬送通信装置104は、当該電力系統Aの内外ともに電力線搬送通信を行うことができない。
【0008】
また図11に示すようにメインブレーカ102がオフ状態になった場合や、図12に示すような停電時においては、全電力系統A〜Cに対する電力供給が停止し、このため全ての電力線搬送通信装置104は動作できず、電力線搬送通信を行うことができない。
【0009】
このように従来の電力線搬送通信システムにおいては、配電盤内のメインブレーカや系統ブレーカがオフ状態になった場合や停電時には電力線搬送通信装置が動作不能となり、通信を行い得ないという問題があった。
【0010】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ブレーカの動作状態や電力供給の有無に関わらず、常に通信を行い得る電力線搬送通信システム及び電力線搬送通信装置を提案しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、所定の電力供給源から供給される電力を複数の電力系統の電力線にそれぞれ分配する分電盤と、電力線に接続され当該電力線を介して通信データを送受信する複数の電力線搬送通信装置とからなる電力線搬送通信システムにおいて、通信データを所定のベースバンド信号に変調して出力するとともに、外部から入力されるベースバンド信号を通信データに復調する変復調手段と、変復調手段から出力されるベースバンド信号を電力線に注入して電力線搬送通信信号として送信するとともに、電力線から供給される電力線搬送通信信号からベースバンド信号を抽出して上記変復調手段に入力する第1の信号変換手段と、電力線から電力が供給されていないとき第1の信号変換手段を迂回し、変復調手段から出力されるベースバンド信号を電力線に直接送信するとともに、当該電力線から供給されるベースバンド信号を変復調手段に直接入力する信号迂回手段とを電力線搬送通信装置に設けた。
【0012】
また、電力供給源に接続されたメインブレーカと、メインブレーカと複数の電力線の間にそれぞれ設けられた複数の系統ブレーカと、複数の系統ブレーカにそれぞれ並列に設けられ、対応する系統ブレーカが開状態のとき、対応する電力系統の電力線から供給されるベースバンド信号を電力線搬送通信信号に変換して他の電力系統の電力線に送出するとともに、他の電力系統の電力線から供給される電力線搬送通信信号をベースバンド信号に変換して対応する電力系統の電力線に送出する複数の第2の信号変換手段とを配電盤に設けた。
【0013】
さらに第2の信号変換手段は、メインブレーカから電力が供給されておらず、かつ対応する系統ブレーカが開状態のとき、対応する電力系統の電力線から供給されるベースバンド信号を他の電力系統の電力線に直接送出するとともに、他の電力系統の電力線から供給されるベースバンド信号を対応する電力系統の電力線に直接送出するようにした。
【0014】
電力線搬送通信装置において、電力線から電力が供給されていないとき、当該電力線を介してベースバンド信号を直接送受信するようにするとともに、配電盤において、系統ブレーカの開閉状態及びメインブレーカからの電力供給の有無に応じて第2の信号変換手段の動作状態を変更することにより、電力供給の有無やブレーカの開閉状態に関わらず、常に電力線搬送通信装置間の通信を維持することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0016】
(1)電力線搬送通信システムの全体構成
図1において、1は全体として本発明による電力線搬送通信システムを示し、屋外の変圧器(図示せず)から分電盤10に電力が供給されている。そして分電盤10においてはメインブレーカ11に系統分電部12A〜12Cが接続されており、当該系統分電部12A〜12C内の系統ブレーカ13A〜13Cを介して各電力系統A〜Cの電力線30A〜30Cに電力が分配されている。
【0017】
そして電力線搬送システム1においては、各電力系統A〜Cの電力線30A〜30Cにそれぞれ単数あるいは複数のPLC通信装置20が接続されている。各PLC通信装置20には、それぞれ図示しないパーソナルコンピュータ等の各種情報通信装置が接続されており、当該情報通信装置はPLC通信装置20を介して、他のPLC通信装置20に接続された情報通信装置との間で電力線搬送通信を行い得るようになされている。
【0018】
さらにこの電力線搬送通信システム1においては、停電あるいはブレーカがオフ状態になることにより電力線に対する電力供給が停止した場合、当該電力供給が停止した電力系統内においては通信データをベースバンド信号のまま送受するとともに、当該電力供給が停止した電力系統と他の電力系統との間で、ベースバンド信号とPLC信号(後述)の変換を行うことにより、電力供給の有無やブレーカの開閉状態に関わらず常に全系統で通信を継続し得るようになされている。
【0019】
(2)PLC通信装置の構成
次に、PLC通信装置20の構成を図2を用いて説明する。
【0020】
図2に示すようにPLC通信装置20においては、電源コンセントに挿入して電力線30(30A〜30C)から電力を受電するための電源プラグ21に選択スイッチ22が接続されている。選択スイッチ22は2つの選択端子22a及び22bを有している。選択端子22aには、データ変換部23を介してPLC通信制御部24が接続されているのに対し、選択端子22bにはPLC通信制御部24が直接接続されている。
【0021】
選択スイッチ22、データ変換部23、PLC通信制御部24及び電源電圧モニタ部25は電源プラグ21から供給される電力で動作する。またPLC通信装置20にはバッテリー26が設けられており、当該バッテリー26は電源プラグ21から供給される電力によって常時充電されるとともに、停電や配電盤10内のブレーカがオフ状態になり電源プラグ21からの電力供給が停止した場合は、選択スイッチ22、PLC通信制御部24及び電源電圧モニタ部25に電源を供給する。
【0022】
変復調手段としてのPLC通信制御部24は、情報処理装置(図示せず)から供給される通信データを所定周波数帯域のベースバンド信号に変調してデータ変換部23及び選択スイッチ22に出力するとともに、データ変換部23又は選択スイッチ22から供給されるベースバンド信号を通信データに復調して情報処理装置に出力する。
【0023】
一方電源電圧モニタ部25は、電源プラグ21を介して電力線30の電源電圧を常に監視しており、電力供給の有無に応じて選択スイッチ22を切り換える。
【0024】
すなわち、電源プラグ21から電力が供給されている電力供給状態において、電源電圧モニタ部25は選択スイッチ22を選択端子22a側に選択する。この状態において、第1の信号変換手段としてのデータ変換部23は、PLC通信制御部24から供給されるベースバンド信号を電力線に注入し、PLC信号として選択スイッチ22及び電源プラグ21を介して分電盤10に送出する。同時にデータ変換部23は、電力線を介して供給されるPLC信号からベースバンド信号を抽出し、PLC通信制御部24に出力する。この状態をPLCモードと呼ぶ。
【0025】
これに対し、停電あるいは配電盤10内のブレーカがオフ状態になることによって電力が供給されていない電力供給停止状態において、電源電圧モニタ部25は信号迂回手段としての選択スイッチ22を選択端子22b側に選択し、これによりデータ変換部23はバイパスされる。そしてPLC通信装置20は、PLC通信制御部24から供給されるベースバンド信号をそのまま電力線30に送出するとともに、当該電力線30から供給されるベースバンド信号をそのままPLC通信制御部24に入力する。この状態をベースバンドモードと呼ぶ。
【0026】
かくしてPLC通信装置20は、電力供給状態においてPLCモードで動作し、通信データをPLC信号に変換して送受するのに対し、電力供給停止状態においてはベースバンドモードで動作し、通信データをベースバンドモードのまま送受する。
【0027】
(3)分電盤の構成
次に、分電盤10の構成を図3を用いて説明する。
【0028】
図3に示すように分電盤10においては、各系統分電部12A〜12C内にそれぞれ系統ブレーカ13A〜13C、データ制御部14A〜14C及びブレーカモニタ部15A〜15Cが設けられている。通常、データ制御部14A〜14C及びブレーカモニタ部15A〜15Cは、メインブレーカ11から供給される電力で動作する。
【0029】
また分電盤10にはバッテリー16が設けられている。このバッテリー16はメインブレーカ11から供給される電力によって常時充電されるとともに、停電時やメインブレーカ11がオフ状態の時にはデータ制御部14A〜14C及びブレーカモニタ部15A〜15Cに電力を供給する。
【0030】
図4はデータ制御部14(14A〜14C)の構成を示し、選択スイッチ17と、データ変換部18とを有している。選択スイッチ17は3つの選択端子17a〜17cを有しており、対応するブレーカモニタ部15(15A〜15C)の制御に応じて当該選択端子17a〜17cを切り換える。
【0031】
選択スイッチ17の選択端子17cにはデータ変換部18が接続されている。データ変換部18は、電力線30(30A〜30C)から供給されるベースバンド信号をPLC信号に変換して選択スイッチ17に送出するとともに、当該選択スイッチ17から供給されるPLC信号をベースバンド信号に変換して電力線30に送出する。また、選択スイッチ17の選択端子17bは電力線30に直接接続されているのに対し、選択端子17aはどこにも接続されていない。
【0032】
これによりデータ制御部14は、選択端子17cを選択した状態においては当該データ制御部14を通過するデータを変換し(変換モード)、選択端子17bを選択した状態においては切断状態(切断モード)となり、選択端子17aを選択した状態においては導通状態(スルーモード)となる。
【0033】
ブレーカモニタ部15は、メインブレーカ11からの電力供給の有無及び対応する系統ブレーカ13の動作状態に応じて選択スイッチ17を切替え、それぞれ対応するデータ制御部14を変換モード、切断モード又はスルーモードに制御することにより、停電やブレーカの状態に関わらず、電力線搬送通信システム1における通信を常時行い得るようになされている。
【0034】
(4)データ制御部の動作モード制御
次に、ブレーカモニタ部15によるデータ制御部14の動作モード制御を場合分けして説明する。
【0035】
まず図5に示すように、メインブレーカ11及び系統ブレーカ13A〜13Cの全てがオン状態(閉状態)で、メインブレーカ11から電力供給が行われている通常状態の場合について説明する。
【0036】
この状態において、各電力線30A〜30Bは系統ブレーカ13A〜13Cを介して全て導通しているとともに、各電力線30A〜30Cには電力が供給されており、全てのPLC通信装置20は通常のPLC通信が可能な状態にある。
【0037】
このような「メインブレーカ11からの電力供給あり」かつ「系統ブレーカオン状態」のとき、ブレーカモニタ部15は選択スイッチ17(図4)の選択端子17aを選択し、データ制御部14を切断モードに制御する。また、各電力線30A〜30Cには電力が供給されていることから、全てのPLC通信装置20はPLCモードで動作する。
【0038】
次に、図6に示すように、メインブレーカ11、系統ブレーカ13B及び13Cがオン状態(閉状態)、系統ブレーカ13Aがオフ状態(開状態)、かつメインブレーカ11から電力供給が行われている状態の場合について説明する。
【0039】
この状態において、電力線30Bと30Cは系統ブレーカ13B及び13Cを介して導通しているとともに、当該電力線30Bと30Cには電力が供給されている。これに対して電力線30Aは、系統ブレーカ13Aがオフ状態にあるため他の電力線30B及び30Cとは切断されており、電力供給も停止している。
【0040】
このような「メインブレーカ11からの電力供給あり」かつ「系統ブレーカオフ状態」のとき、ブレーカモニタ部15Aは選択スイッチ17の選択端子17cを選択し、データ制御部14Aを変換モードに制御する。また、電力線30Aには電力が供給されていないことから、電力系統AのPLC通信装置20はベースバンドモードで動作する。そして、変換モードで動作している第2の信号変換手段としてのデータ制御部14Aは、ベースバンド信号(電力系統A)とPLC信号(電力系統B及び電力系統C)とを相互変換する。
【0041】
かくして電力線搬送通信システム1においては、系統ブレーカがオフ状態にある場合でも、システム内の通信を維持し得るようになされている。
【0042】
次に、図7に示すように、メインブレーカ11及び系統ブレーカ13Aがオフ状態、かつ系統ブレーカ13B及び13Cがオフ状態の場合について説明する。なお、変圧器からの電力供給が停止した停電状態は、メインブレーカオフ状態と同等に考えることができる。
【0043】
この状態において、電力線30Bと30Cは系統ブレーカ13B及び13Cを介して導通しているのに対し、電力線30Aは系統ブレーカ13Aがオフ状態にあるため他の電力線30B及び30Cと切断されている。またメインブレーカ11がオフ状態にあることから、全電力線30A〜30Cに対する電力供給が停止している。このため、全てのPLC通信装置20はベースバンドモードで動作する。
【0044】
「メインブレーカ11からの電力供給なし」かつ「系統ブレーカオフ状態」のとき、ブレーカモニタ部15Aは選択スイッチ17の選択端子17bを選択し、データ制御部14Aをスルーモードに制御する。これによりデータ制御部14Aはオフ状態にある系統ブレーカ13Aをバイパスし、電力線30Aを他の電力線30B及び30Cに接続する。また、「メインブレーカ11からの電力供給なし」かつ「系統ブレーカオン状態」にあるブレーカモニタ部15B及び15Cは、選択スイッチ17の選択端子17aを選択し、データ制御部14Aを切断モードに制御する。
【0045】
かくして電力線搬送通信システム1においては、停電やメインブレーカ11がオフ状態になることにより当該メインブレーカ11からの電力供給が停止した場合でも、システム内の通信を維持し得るようになされている。
【0046】
(5)動作及び効果
以上の構成において、分電盤10のブレーカモニタ部15は、メインブレーカ11からの電力供給の有無と、対応する系統ブレーカ13の動作状態とに基づいて、データ制御部14の動作モードを制御する。
【0047】
ブレーカモニタ部15は、メインブレーカ11からの電力供給があり、かつ系統ブレーカ13がオン状態にある場合、通常状態として系統ブレーカ14を切断モードに制御する。このとき電力線30にはメインブレーカ11から系統ブレーカ13を介して電力が供給される。そしてPLC通信装置20は、当該供給される電力によってPLCモードで動作し、他のPLC通信装置20との間で電力線搬送通信を行う。
【0048】
またブレーカモニタ部15は、メインブレーカ11からの電力供給があり、かつ系統ブレーカ13がオフ状態にある場合、データ制御部14を変換モードに制御する。この場合、電力線30には電力が供給されず、PLC通信装置20は内蔵するバッテリー26によってベースバンドモードで動作する。
【0049】
そしてデータ制御部14は変換モードで動作し、ベースバンドモードで動作中のPLC通信装置20と他の電力系統下でPLCモードで動作中の他のPLC通信装置20との間で、ベースバンド信号とPLC信号とを相互変換することにより、系統ブレーカがオフ状態にある電力系統と他の電力系統との間の通信を維持する。
【0050】
さらにブレーカモニタ部15は、メインブレーカ11からの電力供給がなく、かつ系統ブレーカ13がオフ状態にある場合、データ制御部14をスルーモードに制御する。この場合、全電力系統の電力線30には電力が供給されず、全てのPLC通信装置20はベースバンドモードで動作する。
【0051】
そしてデータ制御部13は、オフ状態にある系統ブレーカ13をバイパスし、電力線30を他の電力線に接続する。これにより電力線搬送通信システム1は、システム内全てでベースバンド通信を行う。
【0052】
上述したデータ制御部14とPLC通信装置20の動作モードの関係を図8に示す。
【0053】
かくして電力線搬送通信システム1においては、メインブレーカ11からの電力供給の有無及び系統ブレーカ13の状態に応じてデータ制御部14A〜14Cの動作モードを制御するとともに、電力線30に対する電力供給の有無に応じてPLC通信装置20の動作モードを切り換えるようにしたことにより、電力供給が停止した電力系統内においてはベースバンド通信を用いて通信を確保し、さらに電力供給が行われている電力系統との間でベースバンド信号とPLC信号の相互変換を行い、電力供給の有無やブレーカの状態に関わらず、PLC通信装置20間の通信を常に維持することができる。
【0054】
(6)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、電力線搬送通信システム1が3つの電力系統A〜Cを有する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、2つあるいは3つ以上の電力系統を有する電力線搬送通信システムに本発明を適用してもよい。
【0055】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、電力線搬送通信装置において、電力線から電力が供給されていないとき、当該電力線を介してベースバンド信号を直接送受信するようにするとともに、配電盤において、系統ブレーカの開閉状態及びメインブレーカからの電力供給の有無に応じて第2の信号変換手段の動作状態を変更することにより、ブレーカの動作状態や電力供給の有無に関わらず常に電力線搬送通信装置間の通信を維持し得る電力線搬送通信システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電力線搬送通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明によるPLC通信装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】分電盤の構成を示すブロック図である。
【図4】データ制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】メインブレーカ及び全系統ブレーカがオン状態の場合の説明に供するブロック図である。
【図6】電力系統Aの系統ブレーカがオフ状態の場合の説明に供するブロック図である。
【図7】メインブレーカ及び電力系統Aの系統ブレーカがオフ状態の場合の説明に供するブロック図である。
【図8】データ制御部とPLC通信装置の動作モードの関係を示す表である。
【図9】従来の電力線搬送通信システムを示すブロック図である。
【図10】電力系統Aの系統ブレーカがオフ状態の場合の説明に供するブロック図である。
【図11】メインブレーカがオフ状態の場合の説明に供するブロック図である。
【図12】停電状態の場合の説明に供するブロック図である。
【符号の説明】
1、100……電力線搬送通信システム、10、101……分電盤、11、102……メインブレーカ、12A〜12C……系統分電部、13A〜13C、103A〜103C……系統ブレーカ、14A〜14C……データ制御部、15A〜15C……ブレーカモニタ部、16、26……バッテリー、17、22……選択スイッチ、18、28……データ変換部、20、104……PLC通信装置、21……電源プラグ、24……PLC通信制御部、25……電源電圧モニタ部、30A〜30C……電力線制御部。
Claims (3)
- 所定の電力供給源から供給される電力を複数の電力系統の電力線にそれぞれ分配する分電盤と、上記電力線に接続され当該電力線を介して通信データを送受信する複数の電力線搬送通信装置とからなる電力線搬送通信システムにおいて、
上記電力線搬送通信装置は、
通信データを所定のベースバンド信号に変調して出力するとともに、外部から入力されるベースバンド信号を通信データに復調する変復調手段と、
上記変復調手段から出力される上記ベースバンド信号を上記電力線に注入して電力線搬送通信信号として送信するとともに、上記電力線から供給される上記電力線搬送通信信号から上記ベースバンド信号を抽出して上記変復調手段に入力する第1の信号変換手段と、
上記電力線から上記電力が供給されていないとき、上記第1の信号変換手段を迂回し、上記変復調手段から出力される上記ベースバンド信号を上記電力線に直接送信するとともに、当該電力線から供給される上記ベースバンド信号を上記変復調手段に直接入力する信号迂回手段と
を具え、
上記分電盤は、
上記電力供給源に接続されたメインブレーカと、
上記メインブレーカと上記複数の上記電力線の間にそれぞれ設けられた複数の系統ブレーカと、
複数の上記系統ブレーカにそれぞれ並列に設けられ、対応する上記系統ブレーカが開状態のとき、対応する上記電力系統の上記電力線から供給される上記ベースバンド信号を上記電力線搬送通信信号に変換して他の上記電力系統の電力線に送出するとともに、他の上記電力系統の電力線から供給される上記電力線搬送通信信号を上記ベースバンド信号に変換して上記対応する電力系統の上記電力線に送出する複数の第2の信号変換手段と
を具えることを特徴とする電力線搬送通信システム。 - 上記第2の信号変換手段は、上記メインブレーカから上記電力が供給されておらず、かつ対応する上記系統ブレーカが開状態のとき、対応する上記電力系統の上記電力線から供給される上記ベースバンド信号を他の上記電力系統の電力線に直接送出するとともに、他の上記電力系統の電力線から供給される上記ベースバンド信号を上記対応する電力系統の上記電力線に直接送出する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力線搬送通信システム。 - 通信データを所定のベースバンド信号に変調して出力するとともに、外部から入力されるベースバンド信号を通信データに復調する変復調手段と、
上記変復調手段から出力される上記ベースバンド信号を所定の電力線に注入して電力線搬送通信信号として送信するとともに、上記電力線から供給される上記電力線搬送通信信号から上記ベースバンド信号を抽出して上記変復調手段に入力する信号変換手段と、
上記電力線から上記電力が供給されていないとき、上記第1の信号変換手段を迂回し、上記変復調手段から出力される上記ベースバンド信号を上記電力線に直接送信するとともに、当該電力線から供給される上記ベースバンド信号を上記変復調手段に直接入力する信号迂回手段と
を具えることを特徴とする電力線搬送通信装置。
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