JP2004055658A - 電子部品実装装置及び画像認識方法の選択方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ノズル2に吸着された電子部品は、ノズル2を所定位置に配置した状態で撮像装置31により撮像される。撮像装置31で撮像された画像データを画像認識してノズル2に対する電子部品1の位置を検出する。この際に、画像認識速度が速い速度重視のアルゴリズムと、画像認識速度は遅いがエラーとなる確率の低い安定性重視のアルゴリズムとのうちの一方を電子部品1に対応して部品データメモリ53に記憶された部品データに基づいて選択する。そして、速度重視のアルゴリズムを用いて画像認識がエラーとなった場合に、安定性重視のアルゴリズムで再度画像認識を行う。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路基板に電子部品を実装する電子部品実装装置及びこの電子分実装装置で用いられる画像認識方法の選択方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品実装装置は、回路基板を所定位置に搬入して所定位置に固定し、次いで回路基板を搬出する基板搬送手段と、電子部品を吸着して保持するノズルを備えたヘッドユニットと、ヘッドユニットを電子部品が供給される部品供給位置から所定位置に固定された回路基板上の搭載位置まで移動させるXY移動機構とを備える。
また、ノズルは、電子部品の吸着及び搭載のときに下降するように、昇降可能にヘッドユニットに搭載されている。さらに、ノズルは、吸着した電子部品の角度を変更できるように、前記ノズルの鉛直方向に沿った軸回りに回転移動可能にヘッドユニットに搭載されている。
【0003】
そして、電子部品実装装置では、ノズルが吸着・保持した電子部品を、ヘッドユニットを移動させて搬送し、回路基板上に搭載する。ここで、ノズルが電子部品を吸着する際に、電子部品の所定位置を正確に吸着することは困難であり、例えば、ノズルが電子部品の中心位置を吸着する設定となっていても、実際には、水平方向(X方向、Y方向)にずれが生じるとともに、鉛直方向に沿った回転軸回りに電子部品が回転し、回転方向(θ方向)のずれが生じる。
【0004】
この状態で、そのまま電子部品を回路基板上に搭載した場合に、電子部品の端子と回路基板上の前記端子と接続されるランドとの間に位置ずれが生じてしまうので、電子部品実装装置には、電子部品の上述の位置ずれを認識し、認識した位置ずれに基づいて部品の搭載位置を補正する機能が設けられていた。
すなわち、電子部品のノズルに吸着された位置と中心位置とのX方向及びY方向のずれ量に基づいて、電子部品を搭載する際のノズルのXY座標位置を補正するとともに、θ方向のずれに応じてノズルをその軸回りに回転し、電子部品のθ方向のずれがなくなるようにしていた。
このような機能により、電子部品の端子と、回路基板上の端子が接続されるランドとが高精度で接触するように、回路基板上に電子部品を搭載することが可能となる。
【0005】
そして、上述の機能を実現するために、電子部品実装装置には、ノズルに吸着された電子部品を、例えば、下側から撮像する撮像手段と、撮像手段に撮像された画像データを画像認識して電子部品の上述の位置ずれを検出する画像認識手段とを備えていた。
【0006】
電子部品の位置ずれの認識は、ノズルを電子部品に吸着してから回路基板上に搭載するまでの間に行われる必要があり、認識に時間がかかると、回路基板上に多数の電子部品を搭載する際の個々の電子部品の搭載時間が長くなり、生産効率の低下を招くことになる。したがって、できるだけ短時間で認識が終了することが望まれていた。
【0007】
一方、電子部品の分類には、矩形状もしくは正方形状でかつ板状のパッケージの互いに平行な二つの側縁部にそれぞれ一列に端子が設けられたSOP(Small Outline Package)や、上述のパッケージの四つの側縁部にそれぞれ一列に端子が設けられたQFP(Quad Flat Package)や、パッケージの下面にマトリックス状に端子が設けられたBGA(Ball Grid Array)などがある。
【0008】
そして、上述のような各電子部品の分類毎に電子部品の特徴に応じて画像認識用のアルゴリズム、すなわち、画像認識処理方法が開発された。そして、電子部品実装装置では、複数のアルゴリズムに対応する処理が可能なプログラムが記憶装置に記憶され、電子部品の分類毎にアルゴリズムを切り替えることにより、端子の配置の仕方が異なる電子部品に対応するとともに、各電子部品の分類に好適なアルゴリズムを用いることにより、できるだけ速く画像認識が行えるようにしていた。
【0009】
なお、電子部品の位置ずれの認識を行う際には、まず、ノズルを予め決められた撮像手段上の所定位置に移動し、電子部品のパッケージの下面を撮像手段で撮像し、白黒の階調で表わされる画像データを取得する。次ぎに、この画像データにおいて、パッケージの下面や電子部品の背景に対して比較的大きな階調差がある金属製の端子の位置を認識し、認識された端子の位置に、予め記憶されている電子部品の端子の位置を合わせるようにすることで、記憶されている電子部品の中心位置を認識された端子の位置に対応して画像データ中の電子部品上に設定するとともに、認識された端子の配置における端子の並び方向等から電子部品の鉛直方向に沿った回転軸回りの傾きを求める。
【0010】
これにより、撮像の際のノズルの所定位置と、求められた電子部品の中心位置とのずれからX方向及びY方向の位置ずれ量を求めるとともに電子部品の傾きからθ方向のずれ角度量を求める。
また、上述のアルゴリズムは、電子部品の分類毎に決められるので、電子部品実装装置の処理においては、予め記憶装置に入力された部品データ中の部品分類に基づいて、記憶された複数のアルゴリズムに基づく処理から、一つの処理を選択して、部品の認識を行うことになる。
【0011】
また、回路基板に表面実装される電子部品には、上述の、SOP、QFP、BGAといった部品よりも端子数が少なく簡単な構造を有する電子部品があり、これらの簡単な構造の部品においては、撮像された画像データを用いずにもっと簡単な方法で短時間に位置ずれを認識するようになっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば、BGAの分類の電子部品においては、端子の配置のパターンに様々なものがあるとともに、パッケージの端子が設けられる背面に、端子と誤認識されたり、端子の認識を邪魔したりする配線パターンやマークなどが存在する場合があり、一つの認識アルゴリズムで全てのBGAの電子部品に対応するものとし、かつ、端子の位置の検出に失敗することなく、確実に端子の位置を認識しようとすると、認識に時間がかかるアルゴリズムを用いなければならなかった。
そこで、分類がBGAとなる電子部品においては、同じ分類に対して一つのアルゴリズムではなく、複数のアルゴリズムが用いられ、同じBGAの分類でも電子部品のタイプによって、複数の認識アルゴリズムから一つの認識アルゴリズム選んで用いていた。
【0013】
すなわち、端子の配列が複雑な電子部品、例えば、BGAにおいては、一つの電子部品の分類をさらにタイプわけし、各タイプに対応したアルゴリズムが存在することになる。なお、電子部品の上述のタイプは、電子部品の基本的なデータとして存在するわけではなく、各タイプ毎の基本的な定義に基づいて、電子部品の端子が設けられた底面の配線及び前記底面のマーク等の認識の際にノイズとなるものの有無や、電子部品の端子の配列パターン等により、部品の搭載を開始する前にユーザが搭載される電子部品の種類(同じ分類中の異なる種類)毎にタイプを判断して、電子部品実装装置に入力していた。
【0014】
しかし、電子部品の端子形状や配列パターンは、ますます多様化し、定型的なパターンに分類することが難しくなっている。
例えば、電子部品実装装置では、BGAに対して、端子の配置やパッケージの背面の配線及びマークに基づいて上述のようにいくつかのタイプ分けされたアルゴリズムを備えているが、ユーザは、扱う電子部品の端子の配列パターンや、配線やマークの有無等が前述のタイプ毎に決められた定義に明確に一致しない場合に、どのタイプを指定すれば良いのか判断することが難しく、正確な判断がくだせなかった。
【0015】
また、実際にどの認識アルゴリズムを採用するかは、電子部品の外観から確実に判断できるものではなく、実際にアルゴリズムを適用して認識処理を行ってみないと分からない場合も多かった。
例えば、電子部品の端子の配列パターンが見た目に複雑もしくは変則的だったり、電子部品のパッケージの背面にノイズとなりそうなマークがあるなどから、時間はかかるが汎用性があるアルゴリズムを設定して電子部品の実装を行っていたが、実は、同じ電子部品に認識速度は速いが汎用性のないアルゴリズムを適用してもほとんど認識エラーがでずに認識可能な場合がある。
【0016】
また、逆に、端子の配列パターンが簡単等の電子部品の外観から認識に時間はかからないが汎用性のないアルゴリズムで認識可能だと判断した場合に、実は、認識エラーで部品の搭載動作が停止するまでには至らなくても、多数の回路基板に電子部品を実装していった際に、電子部品の端子の位置を毎回確実に認識できず、認識処理のリトライを繰り返すうちにやっと認識に成功するようなことが多発し、電子部品の実装における生産効率が、時間はかかるが汎用性があるアルゴリズムを採用した場合より悪くなることがある。
すなわち、ユーザが、個々の電子部品に対して認識時間を最も短くすることが可能なアルゴリズムを選択する判断を行うことが困難であり、うまくアルゴリズムを使い分ければ、もっと生産効率を上げられる可能性があるにもかかわらず、生産効率が上がらないという問題があった。
【0017】
本発明の課題は、電子部品の位置検出のための認識処理を行う際に、電子部品の一つの分類に対応して複数のアルゴリズムがある場合に、ユーザのアルゴリズムの選択を容易にするとともに、できるだけ電子部品の実装の生産効率を上げることができる電子部品実装装置及び画像認識方法の選択方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、電子部品をノズルで吸着して回路基板上に実装する際に、前記ノズルに吸着された前記電子部品を撮像して画像認識することにより、前記電子部品を吸着している前記ノズルに対する前記電子部品の位置を検出する位置検出手段を備えた電子部品実装装置であって、複数の画像認識方法のデータを前記電子部品の分類に対応して記憶した認識方法記憶手段(ROM541)と、前記認識方法記憶手段に記憶された複数の前記画像認識方法から前記位置検出手段で用いる前記画像認識方法を前記電子部品の分類に対応して選択する認識方法選択手段(CPU54)と、前記回路基板に実装される電子部品の少なくとも一部の電子部品毎に、前記画像認識方法の選択に係わるパラメータを記憶した部品データ記憶手段(部品データ格納メモリ53)とを備え、前記認識方法記憶手段は、前記電子部品の少なくとも一つの分類に対応して、画像認識の速度が異なるとともに、画像認識の安定性及び画像認識の精度のうちの少なくとも一方とが異なる複数の画像認識方法のデータを記憶し、前記認識方法選択手段は、前記回路基板に搭載すべき前記電子部品の分類に対応して前記画像認識方法を選択する際に、前記分類に対応して複数の前記画像認識方法がある場合に、前記パラメータに基づいて複数の前記画像認識方法の中から前記画像認識方法を選択し、かつ、前記パラメータでは、選択される前記画像認識方法が確定されない場合に、画像認識の速度が最も速い前記画像認識方法を選択することを特徴とする。
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、電子部品の一つの分類に対応して、画像認識の速度が異なるとともに、画像認識の安定性及び画像認識の精度のうちの少なくとも一方とが異なる複数の画像認識方法があり、これらの画像認識方法のうちの一つの画像認識方法が部品データに含まれるパラメータに基づいて選択されることになる。
【0020】
ここで、前記パラメータにより画像認識方法が確定しない場合、例えば、電子部品に対して使用する画像認識方法を指定しているようなパラメータが存在しない場合に、優先的に画像認識速度が他の画像認識方法より速い画像認識方法を選択する。
これにより、認識速度が速い画像認識方法が選択された場合に、認識速度が他の画像認識方法より速いので、画像認識がエラーとならなければ、電子部品の実装に際して、電子部品を回路基板上の搭載位置に移動する間に画像認識が確実に終了し、電子部品の実装における生産効率を上げることができる。
【0021】
すなわち、特定の画像認識方法を使用することを指示するようなパラメータが存在しない場合に、認識速度が最も速い画像認識方法を用いるようにすることで、一つの基板に複数の電子部品を実装する際の実装時間を全体として短縮することができる。
【0022】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子部品実装装置において、前記分類に対応した複数の前記画像認識方法から前記認識方法選択手段により選択された前記画像認識方法を用いて行われた前記位置検出手段による画像認識がエラーとなり、かつ、所定の条件を充たした場合に前記位置検出手段が再度画像認識を行うように制御する再認識手段(CPU54)を備え、前記認識方法選択手段は、前記位置検出手段が再度画像認識を行う際に用いる前記画像認識方法として、前記分類に対応した複数の前記画像認識方法の中から画像認識の安定性が最も高い前記画像認識方法を選択することを特徴とする。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、例えば、他の画像認識方法に比較して、画像認識の安定性が低くかつ画像認識速度が速い画像認識方法を用いて、画像認識がエラーとなった場合には、他の画像認識方法より画像認識の安定性が高い画像認識方法により再度画像認識が行われるので、再度画像認識を行った際に、再びエラーとなる確率が低減する。
したがって、認識速度が速い画像認識方法を用いてエラーとなり、かつ、再認識を複数回行っても画像認識に成功しないような場合と比較して、短時間で画像認識を終了することができる。
さらに、画像認識の安定性が低くかつ画像認識速度の速い画像認識方法では、再認識を行うものとしても画像認識に成功せず、エラー処理として電子部品の実装を中断する必要がある場合でも、再認識において、安定性が高い画像認識方法、すなわち、同じ電子部品の分類中の多くの種類の電子部品に対して画像認識がエラーとなる確率が低く汎用性が高い画像認識方法を用いることにより、画像認識がエラーとなって電子部品の実装を中断する可能性が低くなり、最終的に電子部品の実装の生産効率を向上することができる。
【0024】
なお、認識速度が速い画像認識方法と、安定性が高い画像認識方法とを最初に選択する際には、認識速度の速い画像認識方法を優先的に選択することが好ましい。しかし、認識速度の速い画像認識方法を用いた際に、エラーとなる確率が極めて高い場合に、認識速度の速い画像認識方法を選択してしまうと、画像認識速度の速い画像認識方法で画像認識を行った後に再び安定性の高い画像認識方法で画像認識を行う確率が高く、最初から安定性の高い画像認識方法を用いて画像認識を行った方が生産効率が向上する。
【0025】
したがって、認識速度が速い画像認識方法を用いた場合にエラーとなる確率が極めて高い電子部品には、最初から安定性の高い画像認識方法を選択することが好ましい。すなわち、認識速度の速い画像認識方法では、エラーとなる確率が極めて高そうな電子部品、例えば、端子の配列パターンが不規則な電子部品や、ノイズとなりそうな配線やマークが多い電子部品については、安定性の高い画像認識方法を最初に選択するようにし、それ以外のものには、最初に認識速度の速い画像認識方法を選択することが好ましい。
【0026】
また、他の画像認識方法より認識精度の高い画像認識方法は、高い精度で画像認識を行うことで、認識速度の速い画像認識方法より画像認識がエラーとなる確率を減少させられる可能性があり、認識速度の速い画像認識方法で画像認識がエラーとなった場合に、認識精度の高い画像認識方法で、再度画像認識を行うことで、再度画像認識を行った際のエラーとなる確率を低減することができる。
すなわち、選択できる画像認識方法として、認識速度の速い画像認識方法と、認識精度の高い画像認識方法とがある場合に、最も安定性が高い画像認識方法として、認識精度の高い画像認識方法を用いることができる。
【0027】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の電子部品実装装置において、前記画像認識方法のデータには、前記電子部品の画像データを画像認識する処理として、前記画像データ中の輝度の階調変化の大きい部分を検索する際に用いられる輝度の階調変化量のしきい値のデータが含まれ、前記再認識手段が、前記位置検出手段に再度画像認識を行わせる際に、前記しきい値のデータを変更するしきい値変更手段(CPU54)を備えることを特徴とする。
【0028】
請求項3記載の発明によれば、例えば、画像認識に際して電子部品の端子を、端子と端子の周囲との境界部分(エッジ)における輝度の階調変化量が大きいことを利用して認識するものとし、かつ、同じ種類の電子部品でも電子部品によって端子の色や光の反射率が異なるような場合に、画像認識のために電子部品を撮像した際に、前記エッジにおける輝度の階調変化量が大きく異なる可能性がある。このような場合に、輝度の変化量のしきい値を設定しておき、前記しきい値と撮像された電子部品の画像データ中の階調変化量とを比較して、端子のエッジを検索して端子の位置を決めるものとすると、端子によってエッジにおける輝度の変化量が大きく異なることにより、正確にエッジを判断できず、画像認識がエラーとなる可能性がある。このような場合に、しきい値を変更して再度画像認識を行うようにすることで、再度画像認識した際に再びエラーとなるのを防止して生産効率を向上することができる。
【0029】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子部品実装装置おいて、前記部品データ記憶手段に記憶された前記パラメータが、前記電子部品の端子の配列パターンのデータと、画像認識の速度、画像認識の安定性、画像認識の精度のうちから選択された前記画像認識方法で重視される特性のデータとのうちの少なくとも一方のデータであることを特徴とする。
【0030】
請求項4に記載の発明によれば、認識速度の速い画像認識方法は、速度重視とされているため電子部品の端子の配列パターンによって画像認識が困難なものが存在する可能性が高い。したがって、予め、経験的もしくは実験的に認識速度の速い画像認識方法で画像認識が困難な端子の配列パターンを求めておき、部品データ記憶手段に記憶された電子部品の端子の配列パターンが、上述の画像認識が困難な配列パターンか否かを判断し、画像認識が困難な配列パターンならば、画像認識の安定性の高い画像認識方法もしくは認識精度の高い画像認識方法を選択し、それ以外は認識速度の速い画像認識方法を選択するようにすることができる。
【0031】
このようにすれば、上述のように認識速度の速い画像認識方法を用いた場合にエラーとなり、再度、画像認識の安定性の高い画像認識方法もしくは認識精度の高い画像認識方法を用いて画像認識を行う可能性が高い場合は、最初から画像認識の安定性が高い画像認識方法もしくは認識精度の高い画像認識方法が選択されるようになるので、生産効率の向上を図ることができる。また、認識速度の速い画像認識方法でエラーとなる確率が高くないものについては、認識速度の速い画像認識方法で画像認識が行われ、認識速度を速くして生産効率を向上できる。
また、基本的には、ユーザが画像認識方法を選択する必要がなく、配列パターンによりアルゴリズムが選択されるので、ユーザの手間を軽減することができる。
【0032】
また、電子部品に対して従来のように電子部品のタイプの定義と、電子部品の構成とを比較して、タイプ別のアルゴリズムを選ぶのではなく、速度重視か、安定性重視か、精度重視かを選択し、これを部品データに割り付けることで、アルゴリズムを選択できるようにすることができ、ユーザの手間を軽減することができる。なお、速度重視、安定性重視、精度重視をユーザが選択する際には、基本的には、例えば、端子の配列パターンが不規則、ノイズとなる配線やマーク多い等の場合に安定性重視を選択し、端子の間隔が狭い等の場合に精度重視を選択し、それ以外は速度重視を選択するといったことができる。
【0033】
また、パラメータが速度重視の場合に認識速度の速い画像認識方法が選択され、安定性重視の場合に画像認識の安定性が高い画像認識方法が選択され、精度重視の場合に認識精度の高い画像認識方法が選択されるものとすることができる。また、上述のパラメータとして重視する特性のデータを用いるとともに、再認識手段により再認識を行うか否かの条件としても重視する特性びデータを用いるものとした場合には、以下のようの選択方法も可能となる。
例えば、パラメータが速度重視の場合に、認識速度の速い画像認識方法を選択するとともに、画像認識がエラーとなっても再認識を行わずにエラー処理として電子部品の実装を中断する。
【0034】
また、パラメータが速度重視でも精度重視でも安定性重視でもない場合に、画像認識速度の速い画像認識方法を選択するとともに、それで画像認識がエラーとなった際に、画像認識の安定性が高い画像認識方法もしくは認識精度の高い画像認識方法で再度画像認識処理をするものとする。
また、パラメータが安定性重視の場合には、画像認識の安定性が高い画像認識方法を選択し、画像認識がエラーとなっても再認識を行わずにエラー処理として電子部品の実装を中断する。
また、パラメータが精度重視の場合には、認識精度の高い画像認識方法を選択し、画像認識がエラーとなっても再認識を行わずにエラー処理として電子部品の実装を中断する。
【0035】
請求項5記載の発明は、電子部品をノズルで吸着して回路基板上に実装する際に、前記ノズルに吸着された前記電子部品を撮像して画像認識することにより、前記電子部品を吸着している前記ノズルに対する前記電子部品の位置を検出する電子部品実装装置で用いられ、かつ、画像認識する際に用いられる画像認識方法を複数の前記画像認識方法から電子部品の分類に対応して選択する画像認識方法の選択方法であって、複数の前記画像認識方法から前記回路基板に搭載すべき前記電子部品の分類に基づいて前記画像認識方法を選択する選択工程を備え、前記選択工程には、前記分類に対応する画像認識方法として、画像認識の速度が異なるとともに、画像認識の安定性及び画像認識の精度のうちの少なくとも一方とが異なる複数の画像認識方法がある場合に、前記画像認識方法の選択に係わるパラメータに基づいて前記分類に対応する複数の前記画像認識方法の中から画像認識に用いられる前記画像認識方法を選択する第一選択工程と、前記第一選択工程で、前記パラメータでは、選択される前記画像認識方法が確定されない場合に、前記分類に対応する複数の前記画像認識方法の中から画像認識の速度が最も速い前記画像認識方法を選択する第二選択工程とを備えることを特徴とする。
請求項5記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0036】
請求項6記載の発明は、前記分類に対応する複数の前記画像認識方法から選択された前記画像認識方法を用いた画像認識がエラーとなり、かつ、所定の条件を充たした場合に、再度画像認識を行うものとし、再度画像認識を行う際に、複数の前記画像認識方法の中から画像認識の安定性が最も高い前記画像認識方法を選択する再選択工程を備えることを特徴とする。
請求項6記載の発明によれば、請求項2記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態例の電子部品実装措置及び画像認識アルゴリズムの選択方法を図面を参照して説明する。
この実施の形態例の電子部品実装装置は、図1に示す電子部品位置検出装置Aを備える電子部品実装装置であり、従来の電子部品実装装置と同様に、前記電子部品検出装置A以外に、ノズル2を備えた図示しないヘッドユニットと、該ヘッドユニットを水平なX軸方向とY軸方向とに移動させる図示しないXY移動機構と、回路基板(図示略)を搬入するとともに、回路基板を電子部品1の搭載位置に固定し、かつ、電子部品1の搭載が終了した回路基板を搬出する図示しない基板搬送手段と、複数の電子部品1を蓄えるとともに所定の供給位置に供給する複数の電子部品フィーダ(図示略)がセットされた図示しない電子部品供給部と、これらを制御する図示しない制御部とを備える。
【0038】
そして、電子部品位置検出装置Aは、ノズル2に吸着された電子部品1を下側から撮像する部品検出部3と、部品検出部3で撮像された画像データや、後述する画像認識処理部5で処理された画像データ等を表示するモニタ4と、部品検出部3で撮像された電子部品1の輝度の階調で表わされる画像データに基づいて電子部品1の位置と垂直な回転軸回りの回転による傾きとを求める画像認識処理部5とを備える。
【0039】
前記部品検出部3は、撮像装置31と、撮像装置31に取り付けられたレンズ32と、撮像装置31の上方に配置され、ノズル2に吸着された電子部品1を照らす照明装置33とを備える。
証明装置33は、撮像装置31により電子部品1の底面を撮像した場合に、電子部品1の端子と端子以外の部分(パッケージの底面もしくは電子部品1の背景)との境界部分でのコントラスト差が大きくなるようにするとともに、ほぼ一定になるように照明するものであり、上下が開口した四角筒状のカバー331と、カバー331の撮影用の開口を有する底部332に設けられ、電子部品1を下方から照らす光源333と、カバー331の上部内面に設けられ、電子部品1を側方から照らず光源334とを有する。
【0040】
画像認識処理部5は、撮像装置31から入力される電子部品1の画像データをアナログデータからデジタルデータに変換するA/Dコンバータ51と、A/Dコンバータ51でデジタル変換された画像データを記憶する画像メモリ52と、後述する画像処理時に使用される電子部品のデータが記憶される部品データ格納メモリ53と、後述する画像認識処理を行うCPU54と、CPU54で実行されるプログラム及びプログラムで用いるデータを記憶したROM541(書き換え可能なEEPROMやフラッシュメモリ等でも良い)を備える。
【0041】
なお、画像認識処理部5は、基本的に画像処理を行うためのコンピュータシステムであり、CPU54には、処理データ等を一時的に記憶する図示しないRAMが接続され、さらに、光学的もしくは磁気的にデータを記憶する記憶媒体を有する記憶装置が接続されていても良い。
また、外部からのデータの入力、電子部品実装装置本体の制御部からの制御信号(コマンド)やその他のデータの送受等を行うための図示しないデータ入出力用インターフェースを備えるとともに、このインターフェースには、キーボードやポインティングデバイスを接続可能となっている。
【0042】
部品データ格納メモリ53は、例えば、DRAMや、SRAMや、フラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリで構成され、電子部品実装装置の制御部から送信されら部品データを記憶する。また、部品データ格納メモリ53は、後述する重視特性と、端子検出処理及び端子計測処理において使用するアルゴリズムとを対応付けた特性−アルゴリズム対応テーブルを記憶している。
また、部品データ格納メモリ53に記憶される部品データには、回路基板に実装される各電子部品の端子の配列パターンや端子数や端子の形状(径、幅、面積等)を含む電子部品のサイズ等の形状のデータ、回路基板上の搭載位置、電子部品の分類、後述するように設定される画像認識の際に重視する特性を示す重視特性のデータ、後述するように画像認識に用いられるアルゴリズムが直接指定されている場合のアルゴリズムを示すアルゴリズム番号のデータ等が記憶されている。
【0043】
そして、CPU54は、ROM541に記憶され、画像認識処理を行うための画像認識プログラムに基づいて、画像メモリ52に格納された画像データを画像認識処理し、画像データ中の電子部品1の中心位置(必ずしも中心でなくても、同じ部品に対して予め決められた所定位置でも良く、回路基板上に部品を搭載する際に基準位置となる位置ならば良い、また、電子部品実装装置で設定されるXY座標で示される)と、電子部品1の垂直な回転軸回りの回転による左右への傾き(電子部品の基準となる角度との角度差で示される)とを求める処理を行う。
【0044】
前記画像認識処理においては、電子部品1の分類毎に異なるアルゴリズムを用いた処理が行われるようになっており、例えば、大きく分けて端子がボール状で、かつ、底面に縦横に配列されたBGA用のアルゴリズムを用いた処理と、端子が矩形薄板状のリードとされ、これらリードがパッケージの側縁部に沿って一列に並んで配置されたQFP及びSOP用のアルゴリズムとがある。
【0045】
そして、上述のように端子がリードとされた電子部品1用の後者のアルゴリズムは、さらに部品の分類毎に分けられ、例えば、QFP用のアルゴリズムとSOP用のアルゴリズムとに分けられる。
したがって、画像認識プログラム中には、複数のアルゴリズムに基づいた処理が含まれている。そして、画像認識プログラムには、複数のアルゴリズムから電子部品1に対応するアルゴリズムを選択する処理を行うアルゴリズム選択プログラムが含まれ、このアルゴリズム選択プログラムがROM541に記憶されている。
【0046】
また、アルゴリズム選択プログラムは、後述するように画像認識がエラーとなった場合に、再度画像認識を行うか否かを選択するとともに、再度画像認識を行う際のアルゴリズムを選択する処理を行う。
【0047】
BGAの電子部品1用の画像認識プログラム(アルゴリズムに基づいた画像認識方法)には、端子の位置を求める端子検出処理と、この端子検出処理の後に、位置が特定された端子の形状、例えば、径と面積とを求め、記憶されている端子の形状の許容範囲内に入っているか否かにより、位置が検出された端子が確実に端子か否かを判断するとともに、より正確に端子の位置を求める端子計測処理と、端子検出処理及び端子計測処理により求められた端子の配置に基づいて、電子部品1の中心位置及び電子部品1の上述の傾きを求める中心・傾き検出処理とからなる。
【0048】
そして、端子検出処理には、認識速度重視のアルゴリズムと、安定性重視アルゴリズムとがある。
認識速度重視のアルゴリズムは、周知のものであり、例えば、撮像された部品の画像データ(画素毎に輝度の階調データを有する)において、図2や図3に示すように、ボール状(半球状)の端子6が縦横に直交する複数の格子7,8(仮想の格子)の格子点9に配置されるとともに、格子7、8の方向と画像データ中のX方向及びY方向とが所定角度範囲内に収まっているものとした場合に、X方向に沿った各画素列毎に、各画素の階調データを足し合わせて前記X方向と直交するY方向に沿った一列の階調データを求める。また、逆に、Y方向に沿った各画素列毎に、各画素の階調データを足し合わせて前記Y方向と直交するX方向に沿った一列の階調データを求める。すなわち、X方向及びY方向にそれぞれ各画素のデータを投影したデータを求める。
【0049】
ここで、BGAの撮像される底面には、上述のようにボール状の端子6が部品の外形の辺に沿って縦横に配列されている。すなわち、互いに等間隔に配置された縦横の格子7,8が交差する複数の格子点9の少なくとも一部の格子点9上に端子6が配置されているので、上述のように投影したデータを取ると、同じ格子7,8上にある端子6の輝度が重ね合わされることになる。
なお、ボール状の端子6は金属光沢を有する反射率が高いものとなっているので、照明で照らすと、輝度が高くなる。すなわち、輝度の高い端子6に対応する画素のデータが重ね合わされて投影された部分に輝度のピークが形成され、端子6に対応しない画素のデータが重ね合わされて投影された部分は、端子6に対応する部分より低い輝度となり谷もしくは基底部分となる。したがって、投影された画素列においては、端子6の配置間隔に対応して、輝度のピークが並んだ状態となる。
【0050】
このようなピークを有するデータと対応付けられたX方向の画素列とY方向の画素列とがある場合に、直交する二つの列のデータが求められた後に、例えば、二つの列のピークの位置で、それぞれ電子部品1の外形の一方の互いに平行な対の辺11もしくは他方の互いに平行な対の辺12に沿った直線を引くことにより、これら直線同士の交点が、上述の格子点9とほぼ一致する状態となる。
そして、上述のように求められた各格子点9とほぼ一致する位置をボール状の端子6の仮中心として求める。
【0051】
なお、この速度重視のアルゴリズムは、図2に示すように、前述の縦横の格子7、8が交差する格子点9のうちの最も外周側で、かつ、角の格子点9aと、その角の格子点9aの隣の格子点9bとの二つとも端子6がない場合に、端子6の位置を認識する処理がエラーとなる確率が極めて高い。
また、図3に示すように、一つの格子8a上に全く端子が存在しない場合はエラーとなる。
【0052】
このように速度重視のアルゴリズムにおいては、電子部品1の端子6の配列パターンによって、端子6を認識して、電子部品1の中心位置を求められない場合がある。すなわち、速度重視のアルゴリズムにおいては、端子6を認識することがほとんど不可能な端子6の配列パターンがあり、このような端子6の配列パターンの場合は、安定性重視のアルゴリズムを使用する必要がある。
【0053】
BGAの安定性重視のアルゴリズムは、上述の速度重視のアルゴリズムのように投影されたデータから最初に各端子6の仮中心(格子点9)を求めるようなことはせずに、部品データにおける端子6の配列パターンのデータと、画像データ中の部品の外形等から、例えば、電子部品1の角にある端子6を輝度の変化をスキャンすることにより検索する。すなわち、画像データ中の電子部品1の外形と、部品データにおける端子6の配列パターンから端子6がある可能性が高い位置で輝度の変化の大きなエッジをスキャンし、エッジで囲まれる部分の内部に仮中心を設定する。
次ぎに、部品データ中の端子6の配列パターンと、既に検索された画像データ中の端子6の位置とに基づいて、まだ、検索されていない端子6の検索を行うとともに、上述のように端子6の仮中心を設定することを繰り返し行う。
【0054】
この安定性重視のアルゴリズムでは、上述の速度重視のアルゴリズムのように、最初に端子6が配置される可能性が高い格子点9を見つけ、各格子点9を端子6の仮中心として端子6の配置を確定する場合に対して、部品データ上の端子6の配列パターンに基づいて端子を順次検索していくことになるが、最初のうちは、検索された端子6の数が少なく、部品外形に基づいて広い範囲で端子6を探すことになり、処理に時間がかかる。しかし、安定性重視のアルゴリズムでは、投影されたデータから格子点9を見つける処理をしないので、端子6の配列パターンによっては格子点9を見つけることができないといったことがなく、汎用性の高いものとなる。
すなわち、安定性重視のアルゴリズムは、速度重視のアルゴリズムより汎用性があり、例えば、上述の格子点9からずれた位置に端子6があっても、端子6の位置を認識することが可能である。
【0055】
なお、安定性重視のアルゴリズムにおいては、画像データの所定範囲内で端子6のエッジを検出するためのフィルタ処理を行ったり、画像データの各画素の階調を配置順に見ていくことで、端子6のエッジとなる輝度が大きく変化する部分を検索したりすることになり、予め設定されたしきい値以上の輝度差が隣接する画素で有るか否かを判断し、端子6の周囲のエッジを見分けることになる。ここで、上述の照明装置33は、ボール6とその背景となる部分で適切なエッジ強度(輝度の階調の差)が得られるように調整されており、ボール6のエッジ部分でしきい値以上の輝度差が生じるようになっている。
【0056】
しかし、端子6の製造上の問題で同一照明下で明るく写る端子6と暗く写る端子6が電子部品の違いにより生じる場合があり、さらに、同じ電子部品1の同一生産ロッドでも同一照明下で端子6の明るさが異なる電子部品1が混在することがしばしば発生する。ここで、暗く写る端子6を基準にして、照明を明るくしてしまうと、しきい値に上限と下限と両方設定している場合に、明るい端子6のエッジがしきい値の上限を超える可能性があった。また、照明が明るすぎるとノイズとなる明るい部分と、端子6とをしきい値で分けることが困難になる可能性があった。また、照明を明るい端子6に合わせた場合に、暗い端子6のエッジがしきい値を下回り、端子6が検出できなくなる可能性があった。
【0057】
そこで、安定性重視アルゴリズムにおいては、しきい値を変更する処理を行うことが可能となっている。例えば、部品データにおける端子6の配列パターンに基づいて、端子6があるべき範囲内に端子6が見つからない場合に、しきい値を下げたり、部品データにおける端子6の配列パターンに基づいて端子6があるはずがない範囲に端子6が認識された場合にしきい値を上げたりできるようになっている。なお、後述する端子6がリードの場合の処理のように、認識された端子の数が部品データにおける端子6の数より少ない場合に、しきい値を下げ、認識された端子6の数が部品データにおける端子6の数より多い場合に、しきい値を上げるようにしても良い。
【0058】
また、端子検出処理の後に行われる端子計測処理には、標準処理と精度重視処理とがある。標準処理は、例えば、図4に示すように各仮中心13から放射状に、八方に向かって各画素の階調データを検索し、所定範囲内において、隣合う画素間に所定のしきい値以上の輝度差が有るエッジ14を求めるものである。なお、図4は後述するようなエラーが起きた際の例を示している。また、エッジ14を示す十字マークは、画像認識により得られたものを示しており、実際の端子6の外周6a(実際のエッジ)とは、多少ずれる場合が多い。
【0059】
そして、仮中心13からエッジ14までの距離に基づき、例えば、互いに逆方向に検索された一方のエッジ14から仮中心13を通って他方のエッジ14まで距離を測定し、これを仮直径とする。この際に、8方向に対し、一直線状に配置される正逆の二方向を一つとして四方向の仮直径を求める。そして、これらの仮直径を平均してボール状の端子6の直径とする。
【0060】
また、仮中心13を一つの頂点とし、前記八方向のうちの隣合う二方向上のエッジ14,14を残りの二つの頂点とした三角形を仮中心13の周囲に8つ求め、これら8つの三角形の面積の和を認識された端子6の面積とする。また、8つのエッジ14を端子6の周方向にほぼ沿って順番に直線でつないだ輪郭となる図形の重心位置を端子の中心とする。
【0061】
なお、図4においては、端子6の円形の外周6aの中に円形の暗い部分(中央部分6b)が存在するが、これは、照明のあて方によるものであり、端子6の側方から強い照明を当てると、照明の方向に対して端子6の中央部分6bがほぼ平行となり、照明が当たりにくくなる。したがって、端子6の中央部分6bがその周囲より暗くなり、端子6の中央部分6bとその周囲とで輝度差が大きいエッジが発生する。図4は、この端子6中に存在する中央部分6bのエッジを端子6の外周6aと誤認識することにより生じたエラーを示すものである。このようなエラーを起こすと認識された端子6の直径や面積が小さくなり、端子6と認識されない可能性が高くなる。また、端子6と認識されたとしても、エッジ14を繋いだ図形の中心位置が実際の端子6の中心と大きくずれ、精度が低下する。
【0062】
次いで、求められた端子6の直径と面積とが部品データ中の端子6の直径と面積と略一致するか否か、すなわち、所定の許容範囲内にあるか否かを判断し、求められた直径と面積とが許容範囲内に有る場合に、認識されたものが端子6があることが確定され、上述のように求められた中心が端子6の中心とされる。
なお、部品データの端子6の配列パターンと、認識された端子の配列パターンとにおいて、例えば、部品データに基づいて端子6があるべき位置に端子6が認識されない場合と、部品データに基づいて端子6がない位置に端子6が認識された場合にエラーとされる。
【0063】
また、端子検出処理のうちの精度重視処理は、上述のように求められた端子の仮中心位置から部品データ中の端子6の径よりも僅かに広い範囲のウインドウを設定する。
そして、図5に示すように、ウインドウ内の画像データにおける勾配ベクトル15とエッジを求めるためにSobelフィルタやPrewittフィルタ等の周知のフィルタを用いた処理を行う。なお、ここで、勾配ベクトルにおけるエッジ強さ(エッジ前後での輝度の変化量)が予め設定されたしきい値より小さい場合には0とし、エッジ強さが大きいボール状の端子6とその周囲との境界を示す勾配部ベクトル15を抽出する。
【0064】
なお、図5に示すように、端子6の外周6aのエッジの他に、上述のように中央部分6bとその周囲との間にもエッジが存在するような場合には、例えば、上記しきい値を端子の中央部分6bとその周囲とのエッジの強さより大きくしても良い。また、端子6の外周6aのエッジを示す勾配ベクトル15と、端子6の中央部分6bのエッジを示す勾配ベクトル16とは、ベクトルの方向が逆となるので、ベクトルの方向により端子6のエッジを示す勾配ベクトル15を中央部分6bのエッジを示す勾配ベクトル16と区別するものとしても良い。
【0065】
なお、後述するように最も可能性が高い中心を選択するので、多少、ノイズとなる勾配ベクトルがあっても良い。
ここで、前記エッジがボール状の端子6のエッジであれば、その勾配ベクトル15は、端子6の半径方向に略沿ったものとなる。そして、複数の勾配ベクトル15を求めることにより、勾配ベクトル15が示す方向から端子の中心が求められる。ここでは、各勾配ベクトル15に沿って、部品データに登録されている端子6の径に基づいて、エッジ(図5において、端子6の外周6aと勾配ベクトル15との交点)からの半径の距離の位置を中心とする。そして、各勾配ベクトル15に基づいて複数の画素が中心とされた場合に、最も多くの勾配ベクトル15が中心とした画素を仮中心とする。
【0066】
ここで求められた仮中心を上述のウインドウの中心となるようにウインドウを再設定する。
次ぎに、ウインドウの中心から四方に向かって画素のデータを検索し、ウインドウ内で最大のエッジを検索する。この場合に、端子6の中央部分6bのエッジより端子6の外周6aに対応するエッジの方が大きな強度となるので、外周のエッジが抽出される。なお、四方向を一度に検索せずに、一方向ずつ検索した場合に、最初に一つのエッジが見つかれば、残りの三方向に沿って、仮中心からエッジが見つかった距離に対して、所定距離だけ前後の範囲を検索することにより、迅速に最大エッジを見つけることができる。
【0067】
ここでまた、仮中心から四方向に延びる線とエッジとの四つの交点にもとづいて、仮の直径を求めるとともに、仮中心をさらに補正する。例えば、四つのエッジとの交点を線で繋いだ輪郭から重心位置を求め、これを新たな仮中心とする。次ぎに、再び、22.5度単位で放射状に輪郭エッジをスキャンする。これにより、16方向に放射状に延びた線と輪郭エッジとの16の交点を求めることができる。
ここでは、上述のように四つの交点から仮中心と直径とを求めた後に、仮中心を中心とし、前記直径を直径とする円を描き、円と重なる画素から半径方向に円の内外にそれぞれ二画素の範囲で、最大勾配ベクトルを有する画素(エッジと放射状に延びた線分との交点)を検出する。
次いで、最大勾配ベクトルの内外にそれぞれ3点、すなわち最大勾配ベクトルの画素を合わせて7画素において、サブピクセル演算を行い、前記16の交点のサブピクセル精度の座標値を得る。
【0068】
そして、上述の16の交点をつないで得られる輪郭となる図形の重心を中心とする。
そして、仮中心と上述の16の交点をつなく半径方向に沿った16本の線分を正逆で同じ方向の二本ずつの線分に統合し、前記16点のデータから8本の仮直径を求め、これら8個の仮直径の値の平均を直径とする。
次ぎに、前記中心を頂点とするとともに、前記16の交点のうちの隣合う2点を頂点とし、かつ、前記中心を囲む16個の三角形の面積を求めるとともに、これら面積の和を求め、これを端子6の面積とする。
【0069】
この面積は、あくまでも16個の頂点を有する多角形の面積なので、端子が円状の場合に、実際の面積の約97.4%との値となる。
なお、16個の頂点を有する多角形の面積を円の面積に補正するための補正係数は以下の式により求めることができる。
補正係数=(r×r×π)/(r×(sin(22.5)×r)/2×16)≒1.026
この補正係数を使って三角形の面積の和から求められた面積をさらに正確なものとしても良いが、三角形の面積の和をそのまま端子6の面積として用いても良い。
次いで、求められた端子の径と面積とが部品データ中の端子の半径と面積と略一致するか否か、すなわち、所定の許容範囲内にあるか否かを判断し、求められた径と面積とが許容範囲内に有る場合に、端子6の中心が確定される。
【0070】
次ぎに、上述のように求められた端子6の中心の配列パターンと部品データにおける端子6の配列パターンとを重ね合わせ、部品データ中の部品の中心位置に基づき認識された端子6の配列パターン上の中心位置を求めるとともに、認識された端子6の配列パターンから部品の傾きを求め、部品の位置検出処理が終了する。
【0071】
端子がリードの場合のアルゴリズムは、周知のものであり、例えば、部品検出部3の撮像装置31に撮像され、かつ、電子部品1を輝度(濃淡)の階調で示す画像データから、まず、電子部品1の外形を、電子部品1とその背景とでの輝度の違いから求め、電子部品1の外形に外接する矩形を求める。そして、電子部品1の一つの側縁部に沿って一列に設けられたリードが存在する範囲を囲むウインドウを外接矩形に基づいて設定する。すなわち、電子部品1は、画像データ中で傾いている可能性があるので、電子部品1の外形の辺に沿ってウインドウを設定すると斜めとなる。そこで、電子部品1の側縁ではなく、前記外接矩形の辺に沿ってウインドウを設定する。
この際に、QFPの場合には、外接矩形の四辺のそれぞれに対応してウインドウを設定する処理をするのに対して、SOPの場合には、互いに平行な二対の辺のうちの一対の辺にだけ対応してウインドウを設定する。
【0072】
そして、画像データ中の設定されたウインドウの範囲内において、隣接する画素で輝度の違いが大きい部分を強調する周知のフィルタ処理を行う。次いで、ウインドウが設定された電子部品の側縁部にほぼ沿うX方向もしくはY方向に沿って輝度を検索し、矩形状のリードの左右側縁部の輝度変化の大きなエッジを検索する。すなわち、連続する画素において、画素の階調が大きく変化する部分をエッジとする。例えば、隣接する画素の階調が、予め決められたしきい値の範囲内となる場合に、その隣接する画素の部分をエッジと判断する。なお、画像データ中において、光反射率が大きいリードと、リードの背景となる部分との境界部分、すなわちエッジでは、輝度の階調が大きく変化する。
【0073】
そして、上述の処理を行うことにより、リードの左右の側縁部のエッジがほぼ一定の間隔で検出され、これら左右側縁部の間を前述の検索方向と直交する方向に検索することで、リードの先端及び後端に対応するエッジが検出される。
【0074】
そして、このリードの先端のエッジの中央を、例えば、リード先端の仮中心とする。実際には、ノイズ等により実際のリードの画像以外の部分にも仮中心が設定される可能性がある。ここで、リードは一列に並んでいるので、各リードの先端の中心は、ほぼ一直線上に配置されることになる。そこで、検出されたリードの仮中心に基づいてより多くの仮中心が近接もしくは接触するような基準線を引き、この基準線より所定距離離れた仮中心をノイズとして除去する。
なお、部品データから端子数が分かるので、検出された端子数が部品データからわかる端子数と異なる場合にエラーとなる。
【0075】
そして、これらリードの先端縁の配置と、部品データとして登録された電子部品のリードの先端縁の配置から画像データ中における電子部品の中心位置を検出し、かつ、リードの鉛直方向を回転軸とする回転方向の傾きを検出する。なお、電子部品が傾いていれば、リードの先端縁を結ぶ線が、X方向もしくはY方向に対して傾いていることになる。
【0076】
以下に、上述の画像認識アルゴリズムを用いた画像認識方法により電子部品の位置検出処理を行う際の、画像認識アルゴリズムの選択方法を説明する。
まず、メイン処理は、図6に示すように、電子部品実装装置において、ノズル2に電子部品を吸着し、部品検出部3の撮像装置31上に移動させる。この際に、電子部品の位置検出を行えというコマンドが電子部品実装装置本体の制御部からCPU51に入力される(ステップA1)。この際には、コマンドとともに電子部品を示すコード等が入力され、部品データに登録された電子部品のうちのどの電子部品かを特定できるようになっている。
【0077】
そして、電子部品位置検出装置Aは、撮像装置31で電子部品1を撮像するとともに、撮像された電子部品1の画像データを解析して画像認識し、電子部品1の中心位置と上述の傾きを検出する処理を実行する(ステップA2)。
電子部品実装装置においては、電子部品位置検出装置で位置の検出が必要な電子部品を実装するたびに、上述のステップA1及びステップA2の処理が行われる。なお、上述のメイン処理は、電子部品位置検出装置Aの全ての処理に当てはまるものであり、ステップA2は、ステップA1におけるコマンドの違いにより、様々な処理が行われるものである。
【0078】
例えば、電子部品実装装置において、現状で電子部品1を実装していた回路基板に変えて、異なる基板に電子部品1を実装する場合には、前述の異なる基板の形状、部品の搭載位置、搭載される電子部品の部品データ等が新たに入力されるとともに、基板への電子部品の搭載順、電子部品供給部における各電子部品用の部品フィーダの配置等が設定される。
この際に、電子部品位置検出装置Aにより位置の検出が必要とされる電子部品については、部品データと、オペレータにより入力されたデータとに基づいて、アルゴリズムを選択するための詳細条件設定処理がステップA2として行われる。また、詳細条件設定処理は、上述の電子部品1のそれぞれについて行われる。
【0079】
なお、図6に示される詳細条件設定処理のフローチャートは、基本的、BGA用のものであり、BGA以外の電子部品1に対しては、この処理は、行われない。
例えば、QFP及びSOPについては、それぞれ、QFP用もしくはSOP用の予め決められた一つずつのアルゴリズムに基づく処理により処理が行われるものとし、各処理を行うプログラムが図示しないROM等の記憶手段に記憶されている。
そして、部品データを受信した段階で、部品データにおける部品の種類がQFPのものには、QFP用のアルゴリズムに基づく処理方法が選択され、選択された処理方法を示すデータが部品データに追加されて、部品データ格納メモリ53に記憶される。SOPの場合も、QFPの場合と同様に、SOP用のアルゴリズムに基づく処理方法が選択され、選択された処理方法を示すデータが部品データに追加されて、部品データ格納メモリ53に記憶される。
【0080】
なお、QFP及びSOPの画像認識においては、画像認識がエラーとなった場合に、パラメータとなる輝度の階調変化量のしきい値を変更して再度画像認識を行う場合と、行わない場合とがあり、二つの画像認識方法(画像認識アルゴリズム)があると考えることができる。そして、再度画像認識を行うか否かは、予め、オペレータが画像認識において重視する特性として安定性重視を選択するか否かによって決まる。すなわち、リトライを行わないものが速度重視のアルゴリズムとされ、リトライを行うものが安定性重視のアルゴリズムとなる。なお、端子がリードのQFP及びSOPの電子部品1において、安定性重視が選択されたか否かは、オペレータの入力に基づいて、QFP及びSOPの電子部品1毎に部品データに登録される。
【0081】
そして、BGAについては、予め複数のアルゴリズムのそれぞれに基づいて複数の処理方法に基づくプログラムが図示しないROM等の記憶手段に記憶されれている。また、詳細条件設定処理を行う前の段階でオペレータは、各部品毎にアルゴリズムを指定することができるとともに、画像認識処理において重視する特性(速度、安定性、精度)を指定することができる。なお、アルゴリズム及び画像認識処理における処理の特性の入力は、電子部品位置検出装置Aもしくは、電子部品位置検出装置Aを含む電子部品実装装置に接続されたキーボード等の図示しない入力装置から行うようになっている。
【0082】
また、入力に際しては、アルゴリズムの選択は、図7及び図8の図表に示すアルゴリズム番号の入力により行い、画像認識処理の特性の入力は、図8に示す図表の重視特性番号の入力により行う。
BGA用のアルゴリズムとしては、図7の図表に示すように、標準として、上述の認識速度重視のアルゴリズム(アルゴリズム番号0番)がある。なお、図7に示されるアルゴリズムは、上述の端子検出処理と端子計測処理とのうちの端子検出処理のアルゴリズムである。端子計測処理には、上述の標準処理と精度重視処理とがある。
【0083】
また、BGAの底面の上述の格子7、8のうちの最外周の格子7,8より外側にインデックスボールが存在する場合に適用されるアルゴリズムがあり、インデックスボールの種類や配置に基づいてアルゴリズム番号1番から4番までの四種類の処理が予めROM541等の記憶手段に記憶されている。
なお、インデックスボールとは、例えば、BGAの電子部品1の底面に形成されたマークであり、ボール状の端子6の画像認識処理を行った場合に、端子6と誤認識される可能性があるものである。
【0084】
アルゴリズム番号1番から4番のアルゴリズムは、基本的な処理が、上述の認識速度重視のアルゴリズムと同様の処理を行うものであるが、上述のように格子7,8より外側にボールと誤認識されるインデックスボールが存在するBGAに対応して、インデックスボールにあまり影響されずに端子6の認識を行うようになっている。
【0085】
また、BGAの電子部品1の底面の最外周の格子7、8の外側に帯状のものが存在する場合のアルゴリズム(アルゴリズム番号5番)があり、このアルゴリズムに対応した処理を行うプログラムがROM541等の記憶手段に記憶されている。なお、ここで帯状のものが存在するとは、BGAの電子部品1の底面を撮像した場合に、画像データ上でBGAの底面の外周部に帯状に輝度の高い部分が存在するということであり、例えば、白色等の輝度の高い色のインクでの印刷が存在する場合や、反射率が高い金属等が帯状に存在する場合である。なお、5番のアルゴリズムも基本的には、上述の速度重視のアルゴリズムにおいて、帯状の輝度の高い部分をノイズとし、端子6として誤認識しない処理を加えたものである。
【0086】
また、BGAの電子部品1の底面において、最外周の格子7,8の外側にインデックスボールやボール状の端子以外のもの(輝度の高い部分)が点在する場合で、輝度の高い部分に配線パターンが含まれる場合のアルゴリズム(アルゴリズム番号6番)があり、このアルゴリズムに対応した処理を行うプログラムがROM541等の記憶手段に記憶されている。
また、BGAの電子部品1の底面において、最外周の格子7,8の外側にインデックスボールやボール状の端子以外のもの(輝度の高い部分)が点在する場合で、輝度の高い部分に配線パターんが含まれない場合のアルゴリズム(アルゴリズム番号7番)があり、このアルゴリズムに対応した処理を行うプログラムがROM541等の記憶手段に記憶されている。
【0087】
また、BGAのボール状の端子6の全てを認識するのではなく、指定されたボール状の端子6だけを認識し、指定されていないボール状の端子6を電子部品1の位置の検出に用いないアルゴリズム(アルゴリズム番号8番)があり、このアルゴリズムに対応した処理を行うプログラムがROM541等の記憶手段に記憶されている。
なお、アルゴリズム番号6〜8番は、上述の安定性重視のアルゴリズムを改良したもので、6番及び7番は端子以外のものが点在し、これがノイズとなった場合に、このノイズを低減する処理を行うもので、8番のアルゴリズムは、指定された端子6だけを認識するようにしたものである。
【0088】
ここで、改良されていない安定性重視のアルゴリズムを直接指示するアルゴリズム番号はなく、今回は、後述するように特性として安定性重視を選択した場合と、アルゴリズム番号と重視特性番号との両方を指定せず、かつ、端子6の配列パターンが予め決められた条件となる場合に、に安定性重視アルゴリズムが選択されるようになっている。また、特性として、標準及び精度重視を選択した場合に、速度重視アルゴリズムを用い、エラーとなった場合に安定性重視アルゴリズムでリトライするようになっている。
【0089】
重視特性としては、標準(重視特性番号0番)と、速度重視(重視特性番号1番)と、安定性重視(重視特性番号3番)とがあるとともに、精度重視(重視特性番号2番)とがある。
標準は、端子検出処理において、アルゴリズム番号0番の速度重視アルゴリズムを用いるが、端子検出処理がエラーとなった場合に、安定性重視アルゴリズムを用いて再度画像認識(リトライ)を行う。また、端子計測処理において、上述の標準計測処理を用いる。但し、計測がエラーとなった端子がある場合に、エラーとなった端子についてのみ精度重視アルゴリズムで端子計測処理をリトライする。
【0090】
速度重視は、端子検出処理において、アルゴリズム番号0番の速度重視アルゴリズムを用い、エラーとなった場合に、リトライせずに、エラー処理を行って電子部品の搭載を中断するものである。また、端子計測処理は、標準計測アルゴリズムを用い、エラーとなってもリトライせずに、エラー処理を行って電子部品の搭載を中断する。
【0091】
精度重視は、端子検出処理において、標準の場合と同様に、速度重視アルゴリズムを用いるが、端子検出処理がエラーとなった場合に安定性重視アルゴリズムを用いてリトライする。また、端子計測処理において、最初から精度重視アルゴリズムを用いて処理する。
【0092】
安定性重視は、端子検出処理において、上述の安定性重視アルゴリズムを用い、端子検出処理において、リトライは行わない。また、端子計測処理において、上述の標準計測処理を用いる。但し、計測がエラーとなった端子がある場合に、エラーとなった端子についてのみ精度重視アルゴリズムで端子計測処理をリトライする。
【0093】
なお、全てのBGAの電子部品にアルゴリズム番号もしくは重視特性番号を設定する必要はなく、設定しないものとしても良い。
なお、明らかにインデックスボールがあるもの等のように、明らかに図に示す各アルゴリズム番号毎に指定されたBGAの特徴に一致する特徴を有するBGAについては、アルゴリズム番号を指定することが好ましい。また、BGAが、上述の特徴に明確に一致しない場合には、アルゴリズム番号を設定せず、重視特性を設定するか、もしくは何も設定しないことが好ましい。
【0094】
次ぎに、アルゴリズム番号を入力せずに、重視特性を入力する場合には、BGAが、例えば、端子配置が単純(例えば、上述の各格子点で端子がない部分が少ないもの)で、かつ、BGAの底面がほぼ一様な色で、ノイズになるようなものが少ない場合は、速度重視を選択することが好ましい。
また、BGAの端子配置が複雑、底面にノイズになるような輝度の変化が多い場合は、安定性重視を選択することが好ましい。
【0095】
また、端子間隔が狭い等の寸法上の精度が要求されるBGAには、精度重視を選択することが好ましい。
以上のような条件に当てはまらない場合は、標準特性を選択するか、何も選択しないことが好ましい。
そして、上述のようなアルゴリズム及び重視特性の設定が終わり、設定内容が部品データに追加されて部品データが更新された後で、かつ、変更された回路基板に電子部品を実装する前の段階において、BGAに関する詳細条件設定処理が行われる。
【0096】
まず、実装されるBGAの部品データが電子部品実装装置の制御部から送信され、電子部品位置検出装置で受信される(ステップA21)。
次ぎに、部品データにアルゴリズム番号が設定されているか否かが判断される(ステップA22)。アルゴリズム番号が設定されていれば、位置検出処理において、アルゴリズム番号で指定されたアルゴリズムに基づく処理を行うものとして、詳細条件設定を終了する。
【0097】
一方、アルゴリズム番号が設定されていない場合には、次ぎに重視特性が設定されているか否かが判断される(ステップA23)。
重視特性が設定されている場合には、特性−アルゴリズム対応テーブルを検索する(ステップA24)。
特性−アルゴリズム対応テーブルとは、標準特性の場合、端子検出処理に速度重視アルゴリズムが割り当てられ、端子計測処理に標準アルゴリズムが割り当てられ、速度重視特性の場合、端子検出処理に速度重視アルゴリズムが割り当てられ、端子計測処理に標準アルゴリズムが割り当てられ、精度重視特性の場合、端子検出処理に、速度重視アルゴリズムが割り当てられ、端子計測処理に、精度重視アルゴリズムが割り当てられ、安定性重視特性の場合、端子検出処理に安定性重視アルゴリズムが割り当てられ、端子計測処理に、標準処理が割り当てられるように重視特性とアルゴリズムとを対応させたものである。
そして、設定された重視特性に対応するアルゴリズムが特性−アルゴリズム対応テーブルから検索されて部品データに割り付けられた後に処理を終了する。
【0098】
重視特性が設定されていない場合には、部品データに含まれる電子部品1の端子配列パターンに基づいて、アルゴリズムが選択される(ステップA25)。
上述のように速度重視アルゴリズムにおいては、上述の格子点9のうちの外周の角の格子点9と、その隣の格子点9との両方に端子がないパターンの電子部品1と、全く端子が配置されない格子7,8があるパターンの電子部品1とがほぼ確実にエラーとなる。このような配列パターンの電子部品1には、速度重視アルゴリズムを割り付けても無駄になるので、部品データにおいて、安定性重視アルゴリズムを割り付ける。上述の二つの配列パターン以外の配列パターンの電子部品1には、速度重視アルゴリズムを割り付ける。
【0099】
すなわち、このステップA25においては、予め速度重視アルゴリズムでは、エラーとなる可能性が高い配列パターンの条件を、例えば、部品データ格納メモリ53等の記憶手段に記憶しておき、この記憶された配列パターンの条件と部品データの配列パターンと比較し、速度重視アルゴリズムではエラーとなる可能性が高い配列パターンの条件を充たすものについては、安定性重視アルゴリズムを適用し、そのほかのものには、速度重視アルゴリズムを適用する。なお、安定性重視のアルゴリズムを用いなければならない配列パターンの条件とは、上述の二つに限られるものではなく、速度重視アルゴリズムでエラーとなる確率が高い配列パターンがあれば、そのような配列パターンの条件をさらに加えても良い。
【0100】
そして、配列パターンに基づいてアルゴリズムが選択された後に詳細条件設定処理を終了する。
なお、詳細条件設定は、一枚の回路基板に搭載される異なるBGAの電子部品1に対して全て行われる。また、上述の処理を言い換えれば、各BGAの部品に画像認識方法を選択するためのパラメータとして、直接アルゴリズム(画像認識方法)を指定するアルゴリズム番号が設定されず、かつ、間接的にアルゴリズムを指定する重視特性番号が指定されていない場合は、基本的に、パラメータからアルゴリズムが決まらないことになるが、この場合には、速度重視アルゴリズムに基づく画像認識方法を選択するようになっている。しかし、速度重視アルゴリズムでは、上述の端子6の配列パターンによっては、エラーとなるのが確実な場合があるので、速度重視アルゴリズムでは、エラーとなる端子6の配列パターンの場合には、安定性重視アルゴリズムが選択される。すなわち、部品データにおけるパラメータとして、アルゴリズム番号、重視特性番号で、アルゴリズムが決まらず、かつ、パラメータとしての端子6の配列パターンから安定性重視アルゴリズムが選択されることもなかった電子部品に対して、速度重視アルゴリズムが選択されるようになっている。
【0101】
次ぎに、電子部品実装装置が作動し、電子部品位置検出装置で位置を検出する必要がある電子部品をノズルで吸着した場合は、上述の図6のフローチャートのステップA1及びステップA2に基づき電子部品の位置検出を行うコマンドが電子部品位置検出装置に入力され、位置検出のための端子検出処理が行われる。ここで、電子部品実装装置の制御部から送られる部品データの部品種類の項目に記憶されている部品種類がBGA、QFP、SOPであるかが判断される。
【0102】
そして、BGAの場合には、図9及び図10にフローチャートを示すボール認識処理が行われ、QFP及びSOPの場合には、図11及び図12にフローチャートを示すリード認識処理が行われる。なお、QFPとSOPとでは、上述のように僅かに異なる処理が行われるが、基本的なリードの検出方法はほぼ同じであり、ここでは説明を簡単にするために、QFPとSOPとにおけるリード認識を同じ図11及び図12のフローチャートで説明する。
【0103】
ここで、先にノズルに吸着された電子部品1がBGAであるものとして、BGAの電子部品1における端子検出処理、すなわち、BGAの端子6であるボールの認識処理について説明する。
図9のフローチャートに示すように、ボール認識処理では、まず、上述の詳細条件設定処理で、部品データに設定された端子検出処理におけるアルゴリズムに基づいて処理方法を選択する(ステップB1)。なお、アルゴリズム番号が選択された場合に、各番号毎に処理が僅かに異なるが、ここでは、大まかに速度重視のアルゴリズムを用いる速度重視端子検出処理(ステップB2)と、安定性重視端子検出処理(ステップB3)とに分けて説明する。
【0104】
すなわち、部品データに上述のアルゴリズム番号が設定されている場合に、そのアルゴリズム番号にしたがって、アルゴリズムを決定する処理を行う。ここで、選択アルゴリズムが0〜5の場合は、上述の端子検出処理に速度重視アルゴリズムが用いられる。なお、この際には、アルゴリズム番号0番の場合に、基本となる速度重視アルゴリズムに基づく処理が行われ、1〜5番では、上述のように基本の速度重視アルゴリズムを変更したアルゴリズムに基づく処理が行われる。また、アルゴリズム番号が6〜8番については、基本の安定性重視アルゴリズムを変更したものが、上述のようにそれぞれの番号に対応してい選択される。
【0105】
そして、重視特性が設定されているものについては、標準設定、速度重視設定、精度重視設定のものが速度重視端子検出処理のステップB2に移行し、安定性重視設定のものが安定性重視端子検出処理のステップB3に移行する。
アルゴリズム番号も重視特性も設定されていない場合は、基本的に速度重視端子検出処理のステップB2に移行するが、上述のように端子6の配列パターンから速度重視アルゴリズムではエラーとなる確率が高いと判断された電子部品1については、安定性重視端子検出処理のステップB3に移行する。
【0106】
ステップB2の速度重視端子検出処理においては、ROM541等に記憶され、かつ、上述の速度重視アルゴリズムに基づいた処理を行う画像認識プログラムにより端子6の仮中心を求める処理が行われる。
ステップB3の安定性重視端子検出処理においては、ROM541等に記憶され、かつ、上述の安定性重視アルゴリズムに基づいた処理を行う画像認識プログラムにより端子6の仮中心を求める処理が行われる。
【0107】
次ぎに、速度重視端子検出処理において、エラーとならずに端子検出処理が終了したか否かが判定され(ステップB4)、エラーでない場合には、引き続き端子計測処理を行うために図10に示すステップB7に進む。
一方、速度重視端子検出処理がエラーとなった場合には、アルゴリズムを安定性重視のアルゴリズムに切り替えてもう一度端子位置検出処理を行うかを判断する(ステップB6)。
【0108】
この際に、上述の速度重視端子検出処理を行う電子部品のうちのアルゴリズム番号が指定されたもの、すなわち、アルゴリズム番号0〜5番が指定されたも、重視特性として速度重視が指定されたものについては、切り替え不可とし、ステップB8のエラー処理として電子部品1の実装作業を中断する。
また、アルゴリズム番号が指定されておらず、かつ、重視特性として速度重視が指定されていないもの、すなわち、重視特性として、標準特性、精度重視特性のいずれかが設定されているものと、アルゴリズム番号と重視特性との両方とも設定されていないものが切り替え可能と判断され、再度画像認識を行うものとされ、安定性重視アルゴリズムを用いたステップB3の安定性重視端子検出処理を行う。
【0109】
なお、上述のアルゴリズムの切り替えが可能な設定の場合でも、例えば、ノズル2に部品が吸着されておらず、画像データの大部分が電子部品1の背景となるような輝度の場合には、安定性重視端子検出処理を行わずにそのままエラー処理とするものとしても良い。すなわち、認識処理上の問題でのエラーではなく、認識処理を繰り返してもエラーを解消できないことが画像データから明らかな場合(例えば、ノズル2に電子部品1が吸着されていないことが明らかな場合)は、アルゴリズムを切り替えてのリトライを行わないようにすることが生産効率上好ましい。
【0110】
そして、速度重視アルゴリズムで処理されてエラーになった電子部品1についても、最初から安定性重視端子検出処理が指定された場合と同様に安定性重視アルゴリズムで処理が行われる。
また、安定性重視端子検出処理においては、上述のようにボール状の端子の周囲のエッジを検索する際のしきい値を変更することが可能となっており、照明の照度や方向を一定としても、同一照明下で明るさの異なる端子に対応することができる。
【0111】
そして、安定性重視端子検出処理において、端子の位置検出ができないようなエラーが生じた場合には(ステップB5)、ステップB8のエラー処理を行い電子部品1の実装作業を中断する。なお、安定性重視の場合には、認識処理上の問題で、エラーになる確率は低く、例えば、電子部品1に端子の欠損がある場合や、ノズル2に電子部品が吸着できなかった場合など、認識処理以外の原因によるエラーの可能性が高く、実装作業を中断することが好ましい。
上述のようにアルゴリズム番号として6〜8番が指定されるか、重視特性として安定性重視が指定されるか、もしくは、端子6の配列パターンが速度重視アルゴリズムでエラーとなる可能性が高いものとされた場合以外は、基本的に速度重視アルゴリズムで端子検出処理が行われ、端子検出処理における速度を平均的に速くすることができる。
【0112】
一方、多くの電子部品に対して速度重視アルゴリズムを適用すると、画像認識がエラーとなる場合があるが、画像認識がエラーとなった場合に、重視特性が標準もしくは精度重視となっているか、アルゴリズム番号も重視特性も指定されていなければ、エラーとなる確率の低い安定性重視アルゴリズムを用いてリトライが行われるので、速度重視アルゴリズムを主に用いるものとしてもエラーで電子部品1の実装が中断する可能性が低く、確実に生産効率を向上することができる。また、速度重視アルゴリズムでリトライを繰り返すよりも、リトライにかかる時間が短くなる可能性が高い。
【0113】
安定性重視端子検出処理がエラーなしで終了した場合には、ステップB7に移行して端子計測処理を行う。
速度重視端子検出処理、安定性性重視端子検出処理を終了した後に、ステップB7において、重視特性の設定が精度重視とされているか否かが判定される。そして、重視特性が精度重視となっていない電子部品、すなわち、アルゴリズム番号が指定されている電子部品1、重視特性が、標準、速度重視、安定性重視となっている電子部品1、アルゴリズム番号も重視特性も設定されていない電子部品1については、端子計測処理におけるアルゴリズムが上述の標準アルゴリズムとされた端子標準計測処理を行う(ステップB9)。
【0114】
一方、重視特性が精度重視となっている場合には、端子計測処理におけるアルゴリズムが精度重視アルゴリズムとされた端子詳細計測処理を行う(ステップB10)。
なお、上述のように端子標準計測処理(標準アルゴリズム)は、端子検出処理で求められた仮中心から放射状に例えば8方向にエッジを検索して、端子の径と面積を求めるものなので、図4に示すように、照明等の問題で端子6の中央部分6bの周囲にエッジが生じるような場合などに、正確に端子6の径や面積が求められず、検出された端子6を最終的に端子6と確定できなかったり、端子6の仮中心をより正確な中心に補正できなかったりする場合がある。
【0115】
一方、端子詳細計測処理(精度重視アルゴリズム)では、端子6の中央部分6bに上述のようなノイズがあっても、確実に端子の径や面積を求め、さらに、仮中心をより正確な中心に補正することが可能である。すなわち、端子詳細計測は、端子標準計測に対して精度が高いだけではなく、エラーとなる確率も低くなっている。
そして、端子標準計測及び端子詳細計測のどちらかの端子計測処理を終了した際に、端子計測処理がエラーとなった端子6があるか否かが判断される(ステップB11)。そして、エラーとなった端子6がある場合に、再検査可能(リトライ可能)な設定となっているかが判断される(ステップB12)。ここで、再検査可能な設定とは、例えば、重視特性が安定性重視の場合である。
【0116】
なお、上述のステップB6のアルゴリズムが切り替え可能か否かの場合の判断と同様に、アルゴリズム番号が指定されたもの、重視特性として速度重視が指定されたものについては、再検査しない設定とし、アルゴリズム番号が指定されておらず、かつ、重視特性として、標準、精度重視、安定性重視のいずれかが設定されているものと、アルゴリズム番号と重視特性との両方とも設定されていないものについてステップB13で、精度重視アルゴリズムによりリトライするものとしても良い。
【0117】
そして、再検査可能と判断されたものについては、エラーとなった端子だけについて、精度重視アルゴリズムを用いた端子詳細計測により、端子の計測をリトライする(B13)。精度重視アルゴリズムは、標準アルゴリズムよりもノイズの影響を受けにくく安定性が高いので、標準アルゴリズムで端子計測処理をリトライする場合よりも、再度エラーとなる確率が低く、エラーにより電子部品の実装が中断する可能性を低下できる。
また、ステップB13の端子詳細計測処理では、エラーとなった端子6に対してだけ処理を行うので、標準アルゴリズムより時間がかかる精度重視アルゴリズムを用いてリトライするものとしても、処理時間が長くなるのを防止できる。
【0118】
一方、再検査不可能と判断された場合には、ステップB8においてエラー処理として電子部品1の実装を中断する。
また、端子詳細計測を行ってもエラーとなった場合にもステップB8のエラー処理として電子部品1の実装を中断する。
また、ステップB11もしくはステップB14において、エラーが無いと判断されたら、得られた電子部品1の各端子6の中心位置に基づいて、電子部品1の左右への傾きの角度を求めるとともに(ステップB15)、電子部品1の中心位置を算出する(ステップB16)。
これにより、電子部品1の位置検出処理と、その際の画像認識アルゴリズムの選択処理が終了し、電子部品実装装置の制御部に求められた電子部品の傾き角度と中心位置とが出力される。
【0119】
そして、電子部品実装装置の制御部は、求められた電子部品の傾きを修正するために、電子部品1を吸着したノズル2をその軸回りに回転させる。また、最終的に回路基板上で電子部品1を装着する際のノズル2の位置をノズル2に吸着された電子部品1の中心位置とノズル2の吸着位置との差に基づいて補正し、補正された位置にノズル2を配置した状態でノズル2を降下させ、電子部品1を回路基板に装着する。
【0120】
次ぎに、ノズル2に吸着された電子部品1がSOPもしくはQFPのように端子がリードである場合の端子検出処理を図10及び図11のフローチャートを参照して説明する。なお、基本的なリードの端子検出処理は、上述のリードの検出のアルゴリズムに基づいて行われる。
まず、上述のように電子部品1の外形を検索し、電子部品1が外接する外接矩形を生成する(ステップC1)。
次ぎに、外接矩形に基づいて、電子部品1のリードが一列に設けられた側縁部を囲む大きさの検出ウインドウを設定する(ステップC2)。
次ぎに、検出ウインドウ内の画像データの部分にエッジを検出するための周知のフィルタ処理を行う(ステップC3)。
【0121】
次いで、検出されたエッジにおいて、予め設定されたしきい値以上の階調の変化があるか否かが求められ、しきい値以上の階調の変化があるエッジがリートのエッジとして検出される(ステップC4)。また、エッジの形状からリードの先端の中央部がリードの先端の中心位置とされる。
次ぎに、ウインドウ内のリードの先端の中心位置に基づいて、統計的により多くの中心位置が近接もしくは接触する直線を生成する。
そして、前記直線から予め設定された所定距離以上離れた中心位置は、リードの中心位置ではないと判断し、前記直線上もしくは前記直線に近接する中心位置をリードの先端の中心位置と判断するリード検出が行われる(ステップC5)。なお、上述の処理では、検出ウインドウが複数設定され、各ウインドウ毎に検出ウインドウの設定、フィルタ演算、エッジ検出、リード検出が行われる。
【0122】
次ぎに、検出されたリードの数と、部品データ上のリードの数が比較され、リードの数が一致しない場合にエラーとされる(ステップC6)。
エラーとされなかった場合には、ステップC11に移行し、BGAの場合と同様に認識された端子の配置と部品データ中の端子の配置とに基づいて、電子部品1の傾及び電子部品の中心位置を求め(ステップC11、ステップC12)、これを電子部品実装装置本体の制御部に出力して処理を終了する。
【0123】
一方エラーの場合は、重視特性として安定性重視が設定されているか否かが判断され(ステップC7)、安定性重視とされていない場合には、エラー処理として、電子部品1の実装を中断する(ステップC10)。
設定が安定性重視の場合には、ステップC8のリトライ処理を行う。リトライ処理は、図12のフローチャートに示すように、まず、リートの検出がエラーとなった際に、部品データのリード数より認識されたリード数の方が少なかった否かが判断される(ステップC81)。
次ぎに、リトライ可能か否かが判断される(ステップC82)。この際には、先の検出処理で検出できたリード先端の濃度平均を求め、リトライを行う必要があるかどうかの判定を行う。
【0124】
上述の濃度平均が予め設定された所定値より低い場合、すなわち、通常の場合に比較して極めて低い場合には、撮像時に何らかの異常があり、リトライしてもエラーとなるものとして、リトライを行わずに、リトライ処理をエラーとして終了する。例えば、ノズル2に部品を吸着する際にエラーが生じ、ノイズを端子として認識したような場合には、上述の濃度平均が予め設定された所定値より低くなる。この場合に、認識すべき電子部品1自体が存在しないので、リトライしても無駄となる。したがって、エラーとしてステップC8のリトライ処理を終了する。
【0125】
上述の濃度平均が所定値以上ならば、リード認識におけるステップC1からC5までの処理をリトライする(ステップC83)。この場合には、認識されたリード数が本来のリード数より少ないので、現状の照明条件では、画像のコントラストが悪く、リードと背景との輝度差が少なく、リードのエッジにおける階調の変化がしきい値以下となる可能性があったと判断し、予め設定されたしきい値を、予め設定された値だけ低下させる。
すなわち、リード認識処理におけるパラメータとしてのしきい値を低下させてステップC1からC5までの処理を行う。なお、リトライ用のリード認識処理においては、ステップC1からC5までの処理を全ての検出ウインドウに対して行う必要はなく、エラーとなった検出ウインドウについてだけリトライ処理を行うものとしても良い。また、ステップC1〜C3までの処理のデータが記憶された状態ならば、しきい値を変更してステップC4及びC5だけを行うようにしても良い。
【0126】
そして、一回のリトライ後、エラーとなり、認識されたリード数が未だ部品データ上のリード数より少ない場合に、さらに、しきい値を所定値だけ下げて再びリトライ用のリード認識処理を行う。
そして、一回もしくは2回のリード認識処理により、認識されたリード数と部品データのリード数が一致した場合に、リトライ処理を成功したものとして終了する。
また、しきい値を順次下げて複数回(ここでは2回)リード認識処理を行ってもエラーとなる場合には、リトライ処理をエラーとして終了する。
【0127】
一方、ステップにおいて、認識されたリード数が部品データ上のリード数以上と判断された場合には、部品データ上のリード数より認識されたリード数が多いか否かを判断する(ステップC84)。
認識されたリード数が部品データ上のリード数より多くない場合には、照明としきい値との関係でエラーが生じたのではないものとして、リトライ処理をエラーとして終了する。
【0128】
また、認識されたリード数が部品データ上のリード数より多い場合は、雑音成分(ノイズ)のコントラストが予想以上に高い可能性があり、デフォルトのしきい値では、ノイズによる階調の変化がしきい値以上となり、ノイズにより階調が変化した部分がリードのエッジとして判断された可能性がる。したがって、しきい値を上げることにより、ノイズによる階調の変化がリードのエッジと判断されるのを防止することができる。
そこで、リート認識処理を行う際のパラメータであるしきい値の値を所定値だけ上げて、リード認識処理のリトライを行う(ステップC84)。この際には、上述のリード数が少なかった場合と同様に、リトライ用のリード認識処理を行う。
【0129】
そして、リトライを行うことにより、認識されたリード数と部品データのリード数とが一致した場合には、リード認識が成功したものとして、リトライ処理を終了する。
また、しきい値を上げてリード認識処理をリトライしても、認識されたリード数の方が部品データのリード数より多い場合に、さらに、しきい値を所定値だけ上げて再びリトライ用のリード認識処理を行う。
【0130】
そして、一回もしくは2回のリード認識処理により、認識されたリード数と部品データのリード数が一致した場合には、リード認識処理が成功したものとして、リトライ処理を終了する。。
また、しきい値を順次上げて複数回(ここでは2回)リード認識処理を行ってもエラーとなる場合には、リトライ処理をエラーとして終了する。
【0131】
以上のようなリード認識処理を行うことにより、回路基板に搭載される電子部品のリード及びパッケージの色や反射率等が異なり、同じ条件で照明した際に、暗く写るリードでは、エッジにおける階調の変化がしきい値に達しなかったり、明るく写るリードの反射や明るく写るパッケージ等により、リードのエッジ以外の部分でノイズとなる階調の変化がしきい値以上となったりするような場合に、上述のようにしきい値を変更することにより、撮影された際の電子部品のリード等の明るさが異なっていても、エラーとならずにリードを認識することができる。
【0132】
なお、異なる種類(品番)の電子部品において、撮像した際のリードの明るさ等が異なる場合には、電子部品の種類毎にしきい値を変えることも可能である。しかし、同じ種類の電子部品でも、ロッドによりリードの明るさが異なる場合があるとともに、同じロッド内の電子部品でもリードの明るさが異なる場合があり、このような場合には、同じ電子部品なので異なるしきい値を登録して対応することができず、エラーとなる確率が高くなる。しかし、上述のように一回エラーとなった後に、認識されたリードの数が実際のリードの数より少ない場合にしきい値を下げ、認識されたリードの数が実際のリードの数より多い場合にしきい値を上げることで、撮像されたリードの明るさが異なることにより、エラーで電子部品実装装置が停止するのを防止できる。
【0133】
なお、電子部品実装装置を停止して、照明装置の設定を変更するものとしても、撮影されたリードの明るさが再度変化すればエラーとなる確率が高くなるので、エラーとなった後にしきい値を変えて再びリードの認識を行うものとした方が、照明装置の設定を変更するより生産効率が向上する。
【0134】
以上のように、本実施の形態によれば、回路基板に実装される電子部品の分類に対して複数のアルゴリズムがある場合に、特にアルゴリズムをユーザが指定しなくとも、アルゴリズムが選択されとともに、優先的に速度重視のアルゴリズムが選択され、画像認識にかかる時間を短縮できる。また、状況に応じてエラー後のリトライ時に、エラーとなる確率が少ないアルゴリズムを選択し、エラーによる電子部品の実装が中断されるのを防止することができる。
【0135】
【発明の効果】
請求項1及び請求項5に記載の発明によれば、電子部品の一つの分類に対応して、画像認識の速度が異なるとともに、画像認識の安定性及び画像認識の精度のうちの少なくとも一方とが異なる複数の画像認識方法があり、これらの画像認識方法のうちの一つの画像認識方法を部品データに含まれるパラメータに基づいて選択することができる。
ここで、前記パラメータにより画像認識方法が確定しない場合、例えば、電子部品に対して使用する画像認識方法を指定しているようなパラメータが存在しない場合に、優先的に画像認識速度が他の画像認識方法より速い画像認識方法を選択する。
これにより、認識速度が速い画像認識方法が選択された場合に、認識速度が他の画像認識方法より速いので、画像認識がエラーとならなければ、電子部品の実装に際して、電子部品を回路基板上の搭載位置に移動する間に画像認識が確実に終了し、電子部品の実装における生産効率を上げることができる。
【0136】
すなわち、特定の画像認識方法を使用することを指示するようなパラメータが存在しない場合に、認識速度が最も速い画像認識方法を用いるようにすることで、一つの基板に複数の電子部品を実装する際の実装時間を短縮することができる。
【0137】
請求項2及び請求項6に記載の発明によれば、例えば、他の画像認識方法に比較して、画像認識の安定性が低くかつ画像認識速度が速い画像認識方法を用いて、画像認識がエラーとなった場合には、他の画像認識方法より画像認識の安定性が高い画像認識方法により再度画像認識が行われるので、再度画像認識を行った際に、再びエラーとなる確率が低減する。
したがって、認識速度が速い画像認識方法を用いてエラーとなり、かつ、再認識を複数回行っても画像認識に成功しないような場合と比較して、短時間で画像認識を終了することができる。
さらに、画像認識の安定性が低くかつ画像認識速度の速い画像認識方法では、再認識を行うものとしても画像認識に成功せず、エラー処理として電子部品の実装を中断する必要がある場合でも、再認識において、安定性が高い画像認識方法、すなわち、同じ電子部品の分類中の多くの種類の電子部品に対して画像認識がエラーとなる確率が低く汎用性が高い画像認識方法を用いることにより、画像認識がエラーとなって電子部品の実装を中断する可能性が低くなり、最終的に電子部品の実装の生産効率を向上することができる。
【0138】
請求項3記載の発明によれば、例えば、画像認識に際して電子部品の端子を、端子と端子の周囲との境界部分(エッジ)における輝度の階調変化量が大きいことを利用して認識するものとし、かつ、同じ種類の電子部品でも電子部品によって端子の色や光の反射率が異なるような場合に、画像認識のために電子部品を撮像した際に、前記エッジにおける輝度の階調変化量が大きく異なる可能性がある。このような場合に、輝度の変化量のしきい値を設定しておき、前記しきい値と撮像された電子部品の画像データ中の階調変化量とを比較して、端子のエッジを検索して端子の位置を決めるものとすると、端子によってエッジにおける輝度の変化量が大きく異なることにより、正確にエッジを判断できず、画像認識がエラーとなる可能性がある。このような場合に、しきい値を変更して再度画像認識を行うようにすることで、再度画像認識した際に再びエラーとなるのを防止して生産効率を向上することができる。
【0139】
請求項4に記載の発明によれば、第一の画像認識方法は、速度重視とされているため電子部品の端子の配列パターンによって画像認識が困難なものが存在する可能性が高い。したがって、予め、経験的もしくは実験的に第一の画像認識方法で画像認識が困難な端子の配列パターンを求めておき、部品データ記憶手段に記憶された電子部品の端子の配列パターンが、上述の画像認識が困難が配列パターンか否かを判断し、画像認識が困難な配列パターンならば、第二の画像認識方法もしくは第三の画像認識方法を選択し、それ以外は第一の画像認識方法を選択するようにすることができる。
【0140】
また、電子部品に対して従来のように電子部品のタイプの定義と、電子部品の構成とを比較して、タイプ別のアルゴリズムを選ぶのではなく、速度重視か、安定性重視か、精度重視かを選択し、これを部品データに割り付けることで、アルゴリズムを選択できるようにすることができ、ユーザの手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の電子部品実装装置に備えられた電子部品位置検出装置のブロック図である。
【図2】前記電子部品実装装置で実装されるBGAの電子部品のボール状の端子の配置を説明するための電子部品の底面図である。
【図3】前記電子部品実装装置で実装されるBGAの電子部品のボール状の端子の配置を説明するための電子部品の底面図である。
【図4】前記BGAの電子部品を画像認識する際の端子計測処理を説明するための図面である。
【図5】前記BGAの電子部品を画像認識する際の端子計測処理を説明するための図面である。
【図6】前記電子部品位置検出装置のメイン処理と、画像認識前に行われる詳細条件設定処理とを示すフローチャートである。
【図7】前記電子部品位置検出装置でアルゴリズムを選択する際に用いられるアルゴリズム番号と、各アルゴリズムを使用する際の条件と、各アルゴリズムの特性を示す図表である。
【図8】前記電子部品位置検出装置でアルゴリズムを選択する際に用いられるアルゴリズム番号と重視特性番号を示す図表である。
【図9】前記電子部品位置検出装置でアルゴリズムを選択してBGAの電子部品の画像認識を行う際の処理を示すフローチャートである。
【図10】前記電子部品位置検出装置でアルゴリズムを選択してBGAの電子部品の画像認識を行う際の処理を示すフローチャートである。
【図11】前記電子部品位置検出装置でアルゴリズムを選択してSOP及びQFPの電子部品の画像認識を行う際の処理を示すフローチャートである。
【図12】前記電子部品位置検出装置でアルゴリズムを選択してSOP及びQFPの電子部品の画像認識を行う際の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
A 電子部品位置検出装置
1 電子部品
2 ノズル
3 部品検出部
5 画像認識処理部
53 部品データ格納メモリ(部品データ記憶手段)
541 ROM(認識方法記憶手段)
54 CPU(位置検出手段、認識方法選択手段、再認識手段、しきい値変更手段)
Claims (6)
- 電子部品をノズルで吸着して回路基板上に実装する際に、前記ノズルに吸着された前記電子部品を撮像して画像認識することにより、前記電子部品を吸着している前記ノズルに対する前記電子部品の位置を検出する位置検出手段を備えた電子部品実装装置であって、
複数の画像認識方法のデータを前記電子部品の分類に対応して記憶した認識方法記憶手段と、
前記認識方法記憶手段に記憶された複数の前記画像認識方法から前記位置検出手段で用いる前記画像認識方法を前記電子部品の分類に対応して選択する認識方法選択手段と、
前記回路基板に実装される電子部品の少なくとも一部の電子部品毎に、前記画像認識方法の選択に係わるパラメータを記憶した部品データ記憶手段とを備え、前記認識方法記憶手段は、前記電子部品の少なくとも一つの分類に対応して、画像認識の速度が異なるとともに、画像認識の安定性及び画像認識の精度のうちの少なくとも一方とが異なる複数の画像認識方法のデータを記憶し、
前記認識方法選択手段は、前記回路基板に搭載すべき前記電子部品の分類に対応して前記画像認識方法を選択する際に、前記分類に対応して複数の前記画像認識方法がある場合に、前記パラメータに基づいて複数の前記画像認識方法の中から前記画像認識方法を選択し、
かつ、前記パラメータでは、選択される前記画像認識方法が確定されない場合に、画像認識の速度が最も速い前記画像認識方法を選択することを特徴とする電子部品実装装置。 - 前記分類に対応した複数の前記画像認識方法から前記認識方法選択手段により選択された前記画像認識方法を用いて行われた前記位置検出手段による画像認識がエラーとなり、かつ、所定の条件を充たした場合に前記位置検出手段が再度画像認識を行うように制御する再認識手段を備え、
前記認識方法選択手段は、前記位置検出手段が再度画像認識を行う際に用いる前記画像認識方法として、前記分類に対応した複数の前記画像認識方法の中から画像認識の安定性が最も高い前記画像認識方法を選択することを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装装置。 - 前記画像認識方法のデータには、前記電子部品の画像データを画像認識する処理として、前記画像データ中の輝度の階調変化の大きい部分を検索する際に用いられる輝度の階調変化量のしきい値のデータが含まれ、
前記再認識手段が、前記位置検出手段に再度画像認識を行わせる際に、前記しきい値のデータを変更するしきい値変更手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の電子部品実装装置。 - 前記部品データ記憶手段に記憶された前記パラメータが、
前記電子部品の端子の配列パターンのデータと、
画像認識の速度、画像認識の安定性、画像認識の精度のうちから選択された前記画像認識方法の特性のデータとのうちの少なくとも一方のデータであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子部品実装装置。 - 電子部品をノズルで吸着して回路基板上に実装する際に、前記ノズルに吸着された前記電子部品を撮像して画像認識することにより、前記電子部品を吸着している前記ノズルに対する前記電子部品の位置を検出する電子部品実装装置で用いられ、かつ、画像認識する際に用いられる画像認識方法を複数の前記画像認識方法から電子部品の分類に対応して選択する画像認識方法の選択方法であって、
複数の前記画像認識方法から前記回路基板に搭載すべき前記電子部品の分類に基づいて前記画像認識方法を選択する選択工程を備え、
前記選択工程には、前記分類に対応する画像認識方法として、画像認識の速度が異なるとともに、画像認識の安定性及び画像認識の精度のうちの少なくとも一方とが異なる複数の画像認識方法がある場合に、
前記画像認識方法の選択に係わるパラメータに基づいて前記分類に対応する複数の前記画像認識方法の中から画像認識に用いられる前記画像認識方法を選択する第一選択工程と、
前記第一選択工程で、前記パラメータでは、選択される前記画像認識方法が確定されない場合に、前記分類に対応する複数の前記画像認識方法の中から画像認識の速度が最も速い前記画像認識方法を選択する第二選択工程とを備えることを特徴とする画像認識方法の選択方法。 - 前記分類に対応する複数の前記画像認識方法から選択された前記画像認識方法を用いた画像認識がエラーとなり、かつ、所定の条件を充たした場合に、再度画像認識を行うものとし、
再度画像認識を行う際に、複数の前記画像認識方法の中から画像認識の安定性が最も高い前記画像認識方法を選択する再選択工程を備えることを特徴とする請求項5に記載の画像認識方法の選択方法。
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