JP2004053511A - イオン測定システムおよびその方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】大気中のイオンクラスタの広範囲な粒径分布を高精度に測定するイオン測定システム及びその測定方法を提供することを目的とする。
【解決手段】微分型電気移動度分級器(DMA)1によって分級されるイオンクラスタは、高圧発生装置2によって印加される電圧値と排気ポンプ3によって排気されるガスの流量によってそのサイズが決定され、その濃度分布は電流計10によって測定される。このときコントロールサーバコンピュータ7を用いて、印加電圧と流量の組み合わせを電流計10の測定値に応じた一定のパターンテーブルに基づいて自動的に演算し、最適な測定条件を生成する事により、大気中のイオンクラスタの広範囲な粒径分布を高精度に測定することができる。また、コントロールサーバコンピュータ7とクライアントコンピュータ8を無線LANユニット9で接続し、計測現場での測定者の活動による測定環境の微粒子による汚染を防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】微分型電気移動度分級器(DMA)1によって分級されるイオンクラスタは、高圧発生装置2によって印加される電圧値と排気ポンプ3によって排気されるガスの流量によってそのサイズが決定され、その濃度分布は電流計10によって測定される。このときコントロールサーバコンピュータ7を用いて、印加電圧と流量の組み合わせを電流計10の測定値に応じた一定のパターンテーブルに基づいて自動的に演算し、最適な測定条件を生成する事により、大気中のイオンクラスタの広範囲な粒径分布を高精度に測定することができる。また、コントロールサーバコンピュータ7とクライアントコンピュータ8を無線LANユニット9で接続し、計測現場での測定者の活動による測定環境の微粒子による汚染を防止する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大気中のイオンクラスタの広範囲な粒径・分布を高精度に測定するイオン測定システム及びその測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より微分型電気移動度分級器(DMA)によるイオンクラスタの電気移動度によるサイズの分級については、図2に示す原理のものが知られている。
【0003】
この微分型電気移動度分級器(DMA)を利用した従来の大気中クラスタ微粒子測定装置、例えば特開平10−288602号公報記載の測定装置においては、シースガスの流量を一定、もしくは手動で調節し固定した流量とし、印加電圧を連続的に掃引して、特定サイズの粒径の分布ピークを2次元グラフ等で表示していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
大気中のイオンクラスタは、移動度の大きい小イオン(移動度1.0〜2.0cm/S)から移動度の小さい大イオン(移動度0.0005〜0.001cm/S)まで広範囲に分布し、それぞれが人体に与える効果が異なると言われている。このためイオン測定器においては、微分型電気移動度分級器(DMA)によって、イオンクラスタを移動度による粒子サイズでの分級を行い、イオンサイズの粒径分布を求めることが効果的である。しかしながら、微分型電気移動度分級器(DMA)の外筒径・内筒径・スリット間距離等の機械的設定値は固定であることから、シースガス流量を一定とし、印加電圧のみ可変させて大気中クラスタ微粒子を測定する従来の測定方法では、大気中の広い範囲の粒径で分布するイオンの測定及び出力結果を得ることが困難であるという問題がある。
【0005】
また、測定環境の大気雰囲気が、測定者等の活動によって微粒子で汚染されると、大気中のイオンの存在寿命が短くなり、平均濃度も変化してしまうため、測定環境本来のイオン濃度が計測できないという問題点もある。
【0006】
本発明は、このような問題点を考慮してなされたものであり、大気中のイオンクラスタの広範囲な粒径・分布を高精度に測定するイオン測定システム及びその測定方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的は、大気中に存在するナノメータサイズの帯電したイオンクラスタ(いわゆるマイナスイオン及びプラスイオン)の測定において、イオンクラスタを粒径ごとに分級する微分型電気移動度分級器(DMA)と、微分型電気移動度分級器にガス(シースガス)を導入するための3相電源の排気ポンプと、前記排気ポンプに電源を供給する電源周波数を外部信号からの制御で変化することの出来る電源ユニットと、前記電源ユニットの電源周波数を制御するための信号を出力するコントロールサーバコンピュータとを備え、前記微分型電気移動度分級によって分級された粒径によるイオンクラスタの濃度分布分析を行うことによって達成される。
【0008】
また前記目的は、コントロールサーバコンピュータが電源ユニットの電源周波数・電源電圧・電流値を制御し、排気ポンプの回転数を変化させて排気ガス流量を精密にコントロールし、イオンクラスタの粒径濃度分布測定を高精度に行うことによって達成される。
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0009】
図2は、微分型電気移動度分級器(DMA)の動作原理を示す図である。この図をもとに微分型電気移動度分級器(DMA)の動作原理を説明する。
【0010】
微分型電気移動度分級器(DMA)は、イオンクラスタ(帯電した微粒子)を電気移動度の違いによりサイズのそろった粒子にふるいわける装置であり、2重の円筒から構成され、内側の円筒に電圧をかけることによって、外筒と内筒間に電界を生じさせている。色々なサイズのイオンクラスタを含んだエアロゾルは、2重円筒の外筒側のスリットから導入され、イオンクラスタは2重円筒内部を流れているシースガスの共に、外内円筒間の電界の影響受けながら、中心部方向へ放物線を描きながら移動する。ここで、特定の電気移動度を持ったイオンクラスタのみが、内筒のスリットを通り抜けて取り出される。
【0011】
内筒のスリットを通り抜けるイオンクラスタの電気移動度Zpは、以下の式によって求められる。
Zp=Q・ln(D2/D1)/(2π・V・L)・・・(1)
上式(1)においてQは微分型電気移動度分級器(DMA)に導入されるシースガスの流量、D2は外筒の直径、D1は内筒の直径、Lは外筒スリット〜内筒スリット間の距離、Vは印加電圧である。
【0012】
電気移動度Zpとイオンクラスタの粒径Dpとの間には次式(2)の関係がある。
Zp=p・e・Cc/(3π・μ・Dp)・・・(2)
【0013】
上式においてpは粒子の帯電数、eは素電荷(1.6×10−19クーロン)、Ccはカニンガムの滑り補正係数、μはシースガスの粘性係数である。
【0014】
以上、式(1)、式(2)より、イオンクラスタの粒径Dpがシースガスの流量Qおよび印加電圧Vにより求められる。
【0015】
図1は本発明によるイオン測定システム及びその方法の一実施形態を示す図である。1は大気中に存在するナノメータサイズの帯電した微粒子(イオンクラスタ)を引き込み、その微粒子を電気移動度に応じて分級して取り出す装置、微分型電気移動度分級器(DMA)である。微分型電気移動度分級器(DMA)1は、高圧電圧を発生する高圧発生装置2によって印加された電圧値と、排気ポンプ3によって導入されたシースガスの流量の組み合わせによって特定のサイズの微粒子を分級することが出来る。ここで、高圧発生装置2により印加される電圧は、プラス側高圧・マイナス側高圧の両極を発生することができるため、この印加電圧の極性を切り替えることで、マイナスに帯電したナノメータサイズの微粒子(イオンクラスタ:いわゆるマイナスイオン)・プラスに帯電したナノメータサイズの微粒子(イオンクラスタ:いわゆるプラスイオン)どちらでも微分型電気移動度分級器(DMA)1によって分級可能である。ここで、高圧発生装置2は、アナログもしくはデジタルデータによって、外部からその発生電圧をコントロールできる機能を具備している。
【0016】
電源装置4は排気ポンプ3を駆動するための電源を供給する手段であり、供給する電源の電圧値、電流値、交流周波数を可変する機能を有し、排気ポンプ3の回転数を変化させることで排気流量を変化させることが出来る。同時に電源装置4はガス流量をおよびそれらを外部からアナログ、もしくはデジタルデータによって設定出来るようにするためのデータ入力機能を具備している。マスフローメーター5は、排気ポンプ3によるシースガス供給量を読み取りとるための手段であり、読み取られた値をアナログ、もしくはデジタルデータで外部へ出力する機能を有している。
【0017】
電流計10は、微分型電気移動度分級器(DMA)1で分級され、内部で捕集されたイオンクラスタの帯電量を計測するための手段であり、計測値をアナログもしくはデジタルデータで外部へ出力する手段を具備している。この帯電量の大小によって大気中の特定サイズイオンクラスタの濃度分布が得られる。
【0018】
システムコントローラ6は、マスフローメーター5と電流計10から出力されたアナログもしくはデジタルデータをUSBやGP−IB等の一般的なコンピュータデータ入出力用フォーマットに変換し、外部に出力する機能を有している。同時にシステムコントローラ6は、入力されたUSBやGP−IB等の一般的なコンピュータ入出力用フォーマットのデータをアナログ、もしくはデジタルデータによって外部へ出力する機能を有している。システムコントローラ6から出力されるアナログ、もしくはデジタルデータは高圧発生装置2および電源装置4に入力される。ここで高圧発生装置2に入力されたデータは、高圧発生装置4から供給される発生電圧をコントロールするための手段となる。電源装置4に入力されたデータは、電源装置4から供給され排気ポンプ3を駆動し排気量を決定するための電源電圧値、電流値、電源周波数をコントロールするための手段となる。
【0019】
コントロールサーバコンピュータ7は、USBやGP−IB等の一般的なコンピュータデータ入出力インターフェース、およびクライアントコンピュータとLAN(ローカルエリアネットワーク)で接続できるインターフェース、およびクライアントからの測定実行処理要求に対応するためのソフトウェアを具備し、USBもしくはGP−IB等の一般的なコンピュータデータ入出力インターフェースでシステムコントローラ6と接続されている。また、前述のコントロールサーバコンピュータ7は、測定対象のイオンクラスタ粒径に対するデータベース構造の印加電圧とガス流量の組み合わせての、測定の一連のシーケンスを示すパターンテーブルを具備し、クライアントコンピュータからの特定範囲におけるイオンクラスタ粒径濃度分布測定要求に対して、パターンテーブルを参照し、このパターンに基づいた演算をする事で測定対象となる粒径に応じて最適な印加電圧とガス流量を設定することができる。
【0020】
以下、パターンテーブルによるイオンクラスタの濃度分布測定シーケンスの動作を示す。
【0021】
コントロールサーバコンピュータ7によって設定された測定条件データは、システムコントローラ6を経由して、高圧発生装置2、電源装置4へセットされ、測定が開始され、測定された結果は電流計10によって検出され、検出された値はアナログ、もしくはデジタルデータで出力され、システムコントローラ6へ入力される。システムコントローラ6は入力されたアナログ、もしくはデジタルデータを、USBもしくはGP−IB等の一般的なコンピュータデータに変換し、コントロールサーバコンピュータ7に出力する。コントロールサーバコンピュータ7は入力された値をもとに、イオンクラスタの濃度分布をプロットする。コントロールサーバコンピュータは、パターンテーブルの値に従い、次の測定条件を設定するが、プロットされた値を逐次判断することによって、場合によっては新たに別個のパターンテーブルを適用し、その値を測定条件として設定する。
【0022】
以上のように、コントロールサーバコンピュータ7は、電流計10の値を設定値にフィードバックさせながら、印加電圧とガス流量を総合的に制御することが出来るため、イオンクラスタが広範囲な粒径で分布している場合でも、適正なパターンテーブルにしたがって測定を行えば、精度良く濃度分布を求めることが出来る。また、パターンテーブルは、装置がデフォルトで有するテーブルを基に、測定者自身による編集で調整・保存することができるため、柔軟な運用が可能となる。
【0023】
また、コントロールサーバコンピュータ7は、無線LANユニット9によって、測定環境から離れた場所にあるクライアントコンピュータ8とオペレーションに関する通信を行うことが出来る。無線LANは、その性能にもよるが、見通しのない環境、例えば屋内における1階と2階間でも通信を行うことが出来る。これにより、測定者が測定環境にいる必要が無いため、測定者による測定環境の汚染等の阻害要因が低減され、より高精度にその環境を測定することが可能となる。また、コントロールサーバコンピュータ7のサーバソフトにWWWサーバ等を使用し、クライアントがWEBベースでの通信が行えるように構成すると、クライアントコンピュータは特殊なソフトウェアを必要とせず、WEBブラウザのみで装置の制御、結果の出力を得ることが出来るようになるので、システムの利便性が増すことになる。
【0024】
このように、本実施の形態をとることによって、広範囲な粒径で分布するイオンを効率的に検出するとともに、人的阻害要因を低減した環境で濃度分布測定を測定できるので、特定粒径のイオン濃度分布測定を高精度に行うことが出来る。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、大気中で広い範囲の粒径で分布するイオンクラスタの濃度分布測定を、容易かつ高精度に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるイオン測定システムの一実施の形態を示す図
【図2】微分型電気移動度分級器(DMA)によるイオンクラスタの分級方法を示す図
【符号の説明】
1 微分型電気移動度分級器(DMA)
2 高圧発生装置
3 排気ポンプ
4 電源装置
5 マスフローメータ
6 システムコントローラ
7 コントロールサーバコンピュータ
8 クライアントコンピュータ
9 無線LANユニット
10 電流計
【発明の属する技術分野】
本発明は、大気中のイオンクラスタの広範囲な粒径・分布を高精度に測定するイオン測定システム及びその測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より微分型電気移動度分級器(DMA)によるイオンクラスタの電気移動度によるサイズの分級については、図2に示す原理のものが知られている。
【0003】
この微分型電気移動度分級器(DMA)を利用した従来の大気中クラスタ微粒子測定装置、例えば特開平10−288602号公報記載の測定装置においては、シースガスの流量を一定、もしくは手動で調節し固定した流量とし、印加電圧を連続的に掃引して、特定サイズの粒径の分布ピークを2次元グラフ等で表示していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
大気中のイオンクラスタは、移動度の大きい小イオン(移動度1.0〜2.0cm/S)から移動度の小さい大イオン(移動度0.0005〜0.001cm/S)まで広範囲に分布し、それぞれが人体に与える効果が異なると言われている。このためイオン測定器においては、微分型電気移動度分級器(DMA)によって、イオンクラスタを移動度による粒子サイズでの分級を行い、イオンサイズの粒径分布を求めることが効果的である。しかしながら、微分型電気移動度分級器(DMA)の外筒径・内筒径・スリット間距離等の機械的設定値は固定であることから、シースガス流量を一定とし、印加電圧のみ可変させて大気中クラスタ微粒子を測定する従来の測定方法では、大気中の広い範囲の粒径で分布するイオンの測定及び出力結果を得ることが困難であるという問題がある。
【0005】
また、測定環境の大気雰囲気が、測定者等の活動によって微粒子で汚染されると、大気中のイオンの存在寿命が短くなり、平均濃度も変化してしまうため、測定環境本来のイオン濃度が計測できないという問題点もある。
【0006】
本発明は、このような問題点を考慮してなされたものであり、大気中のイオンクラスタの広範囲な粒径・分布を高精度に測定するイオン測定システム及びその測定方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的は、大気中に存在するナノメータサイズの帯電したイオンクラスタ(いわゆるマイナスイオン及びプラスイオン)の測定において、イオンクラスタを粒径ごとに分級する微分型電気移動度分級器(DMA)と、微分型電気移動度分級器にガス(シースガス)を導入するための3相電源の排気ポンプと、前記排気ポンプに電源を供給する電源周波数を外部信号からの制御で変化することの出来る電源ユニットと、前記電源ユニットの電源周波数を制御するための信号を出力するコントロールサーバコンピュータとを備え、前記微分型電気移動度分級によって分級された粒径によるイオンクラスタの濃度分布分析を行うことによって達成される。
【0008】
また前記目的は、コントロールサーバコンピュータが電源ユニットの電源周波数・電源電圧・電流値を制御し、排気ポンプの回転数を変化させて排気ガス流量を精密にコントロールし、イオンクラスタの粒径濃度分布測定を高精度に行うことによって達成される。
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0009】
図2は、微分型電気移動度分級器(DMA)の動作原理を示す図である。この図をもとに微分型電気移動度分級器(DMA)の動作原理を説明する。
【0010】
微分型電気移動度分級器(DMA)は、イオンクラスタ(帯電した微粒子)を電気移動度の違いによりサイズのそろった粒子にふるいわける装置であり、2重の円筒から構成され、内側の円筒に電圧をかけることによって、外筒と内筒間に電界を生じさせている。色々なサイズのイオンクラスタを含んだエアロゾルは、2重円筒の外筒側のスリットから導入され、イオンクラスタは2重円筒内部を流れているシースガスの共に、外内円筒間の電界の影響受けながら、中心部方向へ放物線を描きながら移動する。ここで、特定の電気移動度を持ったイオンクラスタのみが、内筒のスリットを通り抜けて取り出される。
【0011】
内筒のスリットを通り抜けるイオンクラスタの電気移動度Zpは、以下の式によって求められる。
Zp=Q・ln(D2/D1)/(2π・V・L)・・・(1)
上式(1)においてQは微分型電気移動度分級器(DMA)に導入されるシースガスの流量、D2は外筒の直径、D1は内筒の直径、Lは外筒スリット〜内筒スリット間の距離、Vは印加電圧である。
【0012】
電気移動度Zpとイオンクラスタの粒径Dpとの間には次式(2)の関係がある。
Zp=p・e・Cc/(3π・μ・Dp)・・・(2)
【0013】
上式においてpは粒子の帯電数、eは素電荷(1.6×10−19クーロン)、Ccはカニンガムの滑り補正係数、μはシースガスの粘性係数である。
【0014】
以上、式(1)、式(2)より、イオンクラスタの粒径Dpがシースガスの流量Qおよび印加電圧Vにより求められる。
【0015】
図1は本発明によるイオン測定システム及びその方法の一実施形態を示す図である。1は大気中に存在するナノメータサイズの帯電した微粒子(イオンクラスタ)を引き込み、その微粒子を電気移動度に応じて分級して取り出す装置、微分型電気移動度分級器(DMA)である。微分型電気移動度分級器(DMA)1は、高圧電圧を発生する高圧発生装置2によって印加された電圧値と、排気ポンプ3によって導入されたシースガスの流量の組み合わせによって特定のサイズの微粒子を分級することが出来る。ここで、高圧発生装置2により印加される電圧は、プラス側高圧・マイナス側高圧の両極を発生することができるため、この印加電圧の極性を切り替えることで、マイナスに帯電したナノメータサイズの微粒子(イオンクラスタ:いわゆるマイナスイオン)・プラスに帯電したナノメータサイズの微粒子(イオンクラスタ:いわゆるプラスイオン)どちらでも微分型電気移動度分級器(DMA)1によって分級可能である。ここで、高圧発生装置2は、アナログもしくはデジタルデータによって、外部からその発生電圧をコントロールできる機能を具備している。
【0016】
電源装置4は排気ポンプ3を駆動するための電源を供給する手段であり、供給する電源の電圧値、電流値、交流周波数を可変する機能を有し、排気ポンプ3の回転数を変化させることで排気流量を変化させることが出来る。同時に電源装置4はガス流量をおよびそれらを外部からアナログ、もしくはデジタルデータによって設定出来るようにするためのデータ入力機能を具備している。マスフローメーター5は、排気ポンプ3によるシースガス供給量を読み取りとるための手段であり、読み取られた値をアナログ、もしくはデジタルデータで外部へ出力する機能を有している。
【0017】
電流計10は、微分型電気移動度分級器(DMA)1で分級され、内部で捕集されたイオンクラスタの帯電量を計測するための手段であり、計測値をアナログもしくはデジタルデータで外部へ出力する手段を具備している。この帯電量の大小によって大気中の特定サイズイオンクラスタの濃度分布が得られる。
【0018】
システムコントローラ6は、マスフローメーター5と電流計10から出力されたアナログもしくはデジタルデータをUSBやGP−IB等の一般的なコンピュータデータ入出力用フォーマットに変換し、外部に出力する機能を有している。同時にシステムコントローラ6は、入力されたUSBやGP−IB等の一般的なコンピュータ入出力用フォーマットのデータをアナログ、もしくはデジタルデータによって外部へ出力する機能を有している。システムコントローラ6から出力されるアナログ、もしくはデジタルデータは高圧発生装置2および電源装置4に入力される。ここで高圧発生装置2に入力されたデータは、高圧発生装置4から供給される発生電圧をコントロールするための手段となる。電源装置4に入力されたデータは、電源装置4から供給され排気ポンプ3を駆動し排気量を決定するための電源電圧値、電流値、電源周波数をコントロールするための手段となる。
【0019】
コントロールサーバコンピュータ7は、USBやGP−IB等の一般的なコンピュータデータ入出力インターフェース、およびクライアントコンピュータとLAN(ローカルエリアネットワーク)で接続できるインターフェース、およびクライアントからの測定実行処理要求に対応するためのソフトウェアを具備し、USBもしくはGP−IB等の一般的なコンピュータデータ入出力インターフェースでシステムコントローラ6と接続されている。また、前述のコントロールサーバコンピュータ7は、測定対象のイオンクラスタ粒径に対するデータベース構造の印加電圧とガス流量の組み合わせての、測定の一連のシーケンスを示すパターンテーブルを具備し、クライアントコンピュータからの特定範囲におけるイオンクラスタ粒径濃度分布測定要求に対して、パターンテーブルを参照し、このパターンに基づいた演算をする事で測定対象となる粒径に応じて最適な印加電圧とガス流量を設定することができる。
【0020】
以下、パターンテーブルによるイオンクラスタの濃度分布測定シーケンスの動作を示す。
【0021】
コントロールサーバコンピュータ7によって設定された測定条件データは、システムコントローラ6を経由して、高圧発生装置2、電源装置4へセットされ、測定が開始され、測定された結果は電流計10によって検出され、検出された値はアナログ、もしくはデジタルデータで出力され、システムコントローラ6へ入力される。システムコントローラ6は入力されたアナログ、もしくはデジタルデータを、USBもしくはGP−IB等の一般的なコンピュータデータに変換し、コントロールサーバコンピュータ7に出力する。コントロールサーバコンピュータ7は入力された値をもとに、イオンクラスタの濃度分布をプロットする。コントロールサーバコンピュータは、パターンテーブルの値に従い、次の測定条件を設定するが、プロットされた値を逐次判断することによって、場合によっては新たに別個のパターンテーブルを適用し、その値を測定条件として設定する。
【0022】
以上のように、コントロールサーバコンピュータ7は、電流計10の値を設定値にフィードバックさせながら、印加電圧とガス流量を総合的に制御することが出来るため、イオンクラスタが広範囲な粒径で分布している場合でも、適正なパターンテーブルにしたがって測定を行えば、精度良く濃度分布を求めることが出来る。また、パターンテーブルは、装置がデフォルトで有するテーブルを基に、測定者自身による編集で調整・保存することができるため、柔軟な運用が可能となる。
【0023】
また、コントロールサーバコンピュータ7は、無線LANユニット9によって、測定環境から離れた場所にあるクライアントコンピュータ8とオペレーションに関する通信を行うことが出来る。無線LANは、その性能にもよるが、見通しのない環境、例えば屋内における1階と2階間でも通信を行うことが出来る。これにより、測定者が測定環境にいる必要が無いため、測定者による測定環境の汚染等の阻害要因が低減され、より高精度にその環境を測定することが可能となる。また、コントロールサーバコンピュータ7のサーバソフトにWWWサーバ等を使用し、クライアントがWEBベースでの通信が行えるように構成すると、クライアントコンピュータは特殊なソフトウェアを必要とせず、WEBブラウザのみで装置の制御、結果の出力を得ることが出来るようになるので、システムの利便性が増すことになる。
【0024】
このように、本実施の形態をとることによって、広範囲な粒径で分布するイオンを効率的に検出するとともに、人的阻害要因を低減した環境で濃度分布測定を測定できるので、特定粒径のイオン濃度分布測定を高精度に行うことが出来る。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、大気中で広い範囲の粒径で分布するイオンクラスタの濃度分布測定を、容易かつ高精度に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるイオン測定システムの一実施の形態を示す図
【図2】微分型電気移動度分級器(DMA)によるイオンクラスタの分級方法を示す図
【符号の説明】
1 微分型電気移動度分級器(DMA)
2 高圧発生装置
3 排気ポンプ
4 電源装置
5 マスフローメータ
6 システムコントローラ
7 コントロールサーバコンピュータ
8 クライアントコンピュータ
9 無線LANユニット
10 電流計
Claims (5)
- 大気中に存在するナノメータサイズの帯電したイオンクラスタ(いわゆるマイナスイオン及びプラスイオン)の測定において、イオンクラスタを粒径ごとに分級する微分型電気移動度分級器(DMA)と、微分型電気移動度分級器にガス(シースガス)を導入するための3相電源の排気ポンプと、前記排気ポンプに電源を供給する電源周波数を外部信号からの制御で変化することの出来る電源ユニットと、前記電源ユニットの電源周波数を制御するための信号を出力するコントロールサーバコンピュータとを備え、前記微分型電気移動度分級によって分級された粒径によるイオンクラスタの濃度分布分析を行うことを特徴とするイオン測定システム。
- 前項同様、大気中に存在するナノメータサイズの帯電したイオンクラスタ(いわゆるマイナスイオン及びプラスイオン)の測定において、イオンクラスタの濃度分布分析を行う計測ユニット部と、計測ユニット部を制御するコントロールユニット部と、前記計測ユニットとコントロールユニットを無線LANで接続する手段を具備することで、計測現場でのオペレータ操作による測定結果に対する人的阻害要因を軽減することが出来ることを特徴とするイオン測定システム。
- コントロールサーバコンピュータが電源ユニットの電源周波数を制御し、排気ポンプの回転数を変化させて排気ガス流量を精密にコントロールし、イオンクラスタの粒径濃度分布測定を高精度に行うことを特徴とするイオンクラスタ(マイナスイオン及びプラスイオン)測定方法。
- 排気ポンプの電源を供給する電源ユニットの電源電圧または電流を制御し、排気ポンプの回転数を変化させてガス流量を精密にコントロールし、イオンクラスタの粒径濃度分布を高精度に行うことを特徴とするイオンクラスタ(マイナスイオン及びプラスイオン)測定方法。
- コントロールサーバコンピュータによって、計測するイオンの粒径サイズに応じてガス流量と挿引電圧の組み合わせを自動的に演算し、組み合わせを選択する手段を有し、最適な測定条件を自動的に生成することによってイオンクラスタの粒径濃度分布を高精度に行えることを特徴とするイオンクラスタ(マイナスイオン及びプラスイオン)測定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002213732A JP2004053511A (ja) | 2002-07-23 | 2002-07-23 | イオン測定システムおよびその方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002213732A JP2004053511A (ja) | 2002-07-23 | 2002-07-23 | イオン測定システムおよびその方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004053511A true JP2004053511A (ja) | 2004-02-19 |
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ID=31936255
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002213732A Pending JP2004053511A (ja) | 2002-07-23 | 2002-07-23 | イオン測定システムおよびその方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004053511A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2515285A (en) * | 2013-06-17 | 2014-12-24 | Particle Measuring System Inc | A method for obtaining aerosol particle size distributions |
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2002
- 2002-07-23 JP JP2002213732A patent/JP2004053511A/ja active Pending
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