JP2012078313A - 粒径分布測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】DMAで測定した電気移動度分布に基づいて粒径分布を計算する際に、その計算精度を高めて正確な粒径分布を求める。
【解決手段】制御部33の制御の下に直流電源21は指数関数的に変化する分級電圧を内筒部12に印加し、データ収集部30は異なる電気移動度を有して検出器22に到達する帯電エアロゾルに応じた検出信号を、2倍の電気移動度を等時間間隔で22段階に分割するようなタイミングでサンプリングを行う。これにより、1価の電気移動度の2倍の電気移動度だけでなく、それ以外の倍率の電気移動度においても計算上の電気移動度と実際にサンプリングされた測定点における電気移動度との誤差が小さくなる。その結果、ホッペルの手法により電気移動度分布から粒径分布を計算する際の精度が向上する。
【選択図】図1

Description

本発明は、気体中に浮遊する微粒子の電気移動度を利用して粒径分布を測定する粒径分布測定装置に関する。
一般に、気体中に浮遊する微小な液体又は固体の粒子をエアロゾルという。例えば自動車の排気ガスや工場から排出される煤煙中の汚染物質の多くもエアロゾルであり、エアロゾルの粒径の測定や粒径分布の測定は、環境測定・評価等の分野において非常に重要となっている。帯電した微粒子の電場内での移動速度(電気移動度)の相違を利用して微粒子を分級する微分型電気移動度測定装置(DMA=Differential Mobility Analyzer)の近年の技術的な進歩は、エアロゾルの粒径分布の測定に大きく貢献している(特許文献1、2など参照)。
DMAを利用してエアロゾルの粒径分布を求めるには、まずDMAで試料ガス中のエアロゾルの電気移動度分布、即ち電気移動度毎の粒子数、を測定する必要がある。DMAにおいてエアロゾルの電気移動度分布を測定するには、一般に、分級電場を形成するための分級電圧を指数関数的に走査しつつ、検出器に到達したエアロゾルによる測定信号を一定時間間隔でサンプリングする(非特許文献1など参照)。こうした等時間間隔のサンプリングは、電気移動度でみると等比級数的なサンプリングに相当する。上記のようなサンプリングで得られた電気移動度分布から計算によりエアロゾルの粒径分布が算出される。従来の粒径の分解能は粒子径の10倍の範囲を64段階又は32段階に分割した程度であり、これは、電気移動度でいうと10倍の範囲を32段階又は16段階に分割する程度の分解能である。
電気移動度分布から粒径分布を求める計算手法としては、非特許文献2及び該文献の引用元である非特許文献3に開示されたものがよく知られている。これら文献に開示された手法(ホッペルの手法)は、まず粒子の電気移動度に対して得られた測定値(粒子数データ)に対して、粒子の価数(帯電数)pを1であると仮定することで電気移動度を粒径に置き換え、既知である平衡帯電量分布を用いてあらゆる価数範囲に亘る粒子径別の粒子数を算出する。この粒子径別の粒子数には、価数pが2以上であって価数p=1の粒子と同じ電気移動度を有する粒子径の大きな多価粒子が含まれている。そのため、通常、先に求めた粒子数の見積もりは過大である。そこで次に、この多価粒子に相当する分を価数pを順に変えながら、p=1のときと同様に平衡帯電量分布により求め、価数p=1と仮定して求めた粒子数データから差し引く。この操作を繰り返し最終的に粒子径別の粒子数の値が収束すれば、それを求める粒径分布であるとする。
現在のところ、演算が比較的容易である等の理由から、上記のホッペルの手法は電気移動度分布から粒径分布への変換に広く利用されている。しかしながら、これは次のような問題を有している。即ち、同一径の微粒子が2以上のp価に帯電すると、1価に帯電した微粒子の電気移動度に比べてp倍の電気移動度をもつ。こうした価数の影響を除去するために、ホッペルの手法では、1価であると仮定して求めた粒子数分布から2価、3価等の多価粒子の電気移動度分布への寄与分を差し引く計算が行われる。その際に、離散的にサンプリングされた測定点における電気移動度(つまり測定上の電気移動度)が、1価の粒子の電気移動度の2倍や3倍(及びそれ以上)の電気移動度(つまり理論的な電気移動度)にちょうど一致していれば、離散的なサンプリングに伴う計算上の誤差は最小となる。
しかしながら、実際に取得された測定点における電気移動度が1価の粒子の電気移動度の2倍、3倍或いはそれ以上の電気移動度からずれている場合、つまりサンプリングに伴う電気移動度誤差が大きい場合には、粒径分布を計算する際の誤差も増加することになる。また、この粒径分布での誤差を軽減するには、離散的な測定点における電気移動度と、1価の粒子の電気移動度の2倍、3倍又はそれ以上の倍数の電気移動度との距離(ずれ量)を考慮した粒子数を、その前後の離散的な測定点(電気移動度)における粒子数から差し引くなどの煩雑な補正処理が必要となる。
図6は、1価の粒子の電気移動度の2倍、3倍の電気移動度の粒子数を、離散化された測定点における電気移動度に対する測定値の中で距離的に近いほうから差し引く計算を行った場合の、電気移動度と粒子数との関係の一例であり、(a)は4倍の電気移動度を15段階に分割したサンプリングを行う場合、(b)は2倍の電気移動度を8段階に分割したサンプリングを行う場合である。(a)と(b)とを比較すると、計算後の粒子数の上下変化に大きな差があることが明らかであり、電気移動度の離散化の仕方が計算結果に大きな影響を与えることが理解できる。
特開2006−84303号公報 特開2008−96169号公報
ワン(Wang S. C.)、フラガン(Flagan R. C.)、「スキャンニング・エレクトリカル・モビリティ・スペクトロメーター(Scanning Electrical Mobility Spectrometer)」、エアロゾル・サイエンス・アンド・テクノロジー(Aerosol Science and Technology、第13巻、第2号、1990年1月1日、p.230−240 福嶋、「静電気を利用した粒度分布測定におけるデータ処理」、エアロゾル研究、第12巻、第4号、1997年、p.288−294 ホッペル(W. A. Hoppel)、「デターミネイション・オブ・ジ・エアロゾル・サイズ・ディストリビューション・フロム・ザ・モビリティ・ディストリビューション・オブ・ザ・チャージド・フラクション・オブ・エアロゾルズ(Determination of the Aerosol Size Distribution from the Mobility Distribution of the Charged Fraction of Aerosols)」、ジャーナル・オブ・エアロゾル・サイエンス(Journal of Aerosol Science)、1978年、第9巻、p.41−54
上述したように、ホッペルの手法はDMAで求めた電気移動度分布から粒径分布を算出する際に有用な手法であるものの、電気移動度分布を測定する際のその測定の仕方によって粒径分布の誤差に大きな相違が生じる。換言すれば、ホッペルの手法に適したように電気移動度分布の測定を工夫することにより、帯電粒子の粒径分布の正確性を向上させることができる。しかしながら、従来の粒径分布測定装置ではこうしたことは考慮されておらず、これが粒径分布の正確性を損なう大きな要因となっている。
本発明はこうした点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、DMAの分級電圧を変化させながら電気移動度に応じて分級されたエアロゾルの粒子数を測定する際に、測定点における電気移動度が離散的であることによる粒径分布の計算誤差を小さくして精度の高い粒径分布を求めることができる粒径分布測定装置を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、供給された試料ガスを帯電して帯電エアロゾルを生成するエアロゾル供給部と、帯電エアロゾルを電気移動度に応じて分級するための電場を形成する電極及び該電極に分級電圧を印加する電圧印加部を含む分級部と、前記電圧印加部により分級電圧を指数関数的に変化させつつ、分級された帯電エアロゾルに対する測定値を一定時間間隔で取得することで離散的な電気移動度に対する測定値を求める測定部と、該測定部により得られる測定値に基づく電気移動度分布から粒径分布を計算する演算部と、を具備する粒径分布測定装置において、
前記測定部は、離散的な測定点における電気移動度が、nを12、17、19、22、24又は31のいずれかとした2(1/n)倍毎になるように、分級電圧の指数関数的な変化と測定値を取得する時間間隔との関係を定めるようにしたことを特徴としている。
上記のように電気移動度が2(1/n)倍になる毎に離散的な測定点を設定することは、電気移動度の2倍の範囲を均等(等比級数的)にn段階に分割するようなタイミングで測定値を取得することを意味する。例えば、到達した帯電エアロゾルにより流れる電流を連続的に計測する検出器を上記測定部として用いる場合には、その検出器によるアナログ検出信号をサンプリングすることにより測定値の取得が達成される。
なお、電気移動度分布から粒径分布を求める計算手法自体は従来知られている例えば非特許文献3に記載のホッペルの手法を用いればよい。
通常、エアロゾル供給部において帯電されたエアロゾルの中で10価を越えるような多価帯電のものはきわめて少なく、粒子数を計算する上で無視できる程度である。特に、多価に帯電したエアロゾルの中では、通常、2〜4価に帯電したものの割合が多いため、この価数範囲の帯電エアロゾルの電気移動度の誤差を小さくすることが重要である。本発明に係る粒径分布測定装置によれば、10価以下の、特に2〜4価の価数範囲の帯電エアロゾルのそれぞれの電気移動度と検出信号のサンプリングで決まる離散的な測定点における電気移動度との一致性を高くすることができる。それにより、帯電エアロゾルの電位移動度分布の測定結果に基づいて計算される粒径分布の精度を向上させることができる。
また、上述したように、理想的な電気移動度と実際の測定点における電気移動度との誤差が縮小するために、演算上でその誤差を減らすような煩雑な補正処理が不要になる。それによって、電気移動度分布を粒径分布に換算する演算処理に要する時間の短縮化、演算ハードウエアの負荷軽減などが達成される。
測定対象とする粒子径範囲によって、帯電エアロゾルの価数pの値がどの程度まで広がり得るかは相違し、一般に、粒子径が大きいほど大きな価数pを有する帯電エアロゾルの発生確率が高まる。多価の帯電エアロゾルにおける上述したような電気移動度の誤差の程度はnの値に依存する。そこで、本発明に係る粒径分布測定装置では、好ましくは、測定対象の粒子径範囲に応じてnの値を定めるようにするとよい。もちろん、nの値を変えると、例えば、サンプリング時間間隔や単位時間当たりに発生するデータ点数などが変わってくるから、ハードウエアの回路構成上の都合や処理時間上の制約なども、nの値を選定する上で考慮することが好ましい。
本発明の一実施例によるエアロゾル粒径分布測定装置の要部の構成図。 本実施例のエアロゾル粒径分布測定装置における電気移動度分布の測定点の決め方を説明するための概念図。 本実施例のエアロゾル粒径分布測定装置における電気移動度分布の測定点の決め方を説明するための計算結果を示す図。 本実施例のエアロゾル粒径分布測定装置における電気移動度分布の測定点の決め方を説明するための計算結果を示す図。 本実施例のエアロゾル粒径分布測定装置と従来の装置との電気移動度の誤差の比較結果を示す図。 4倍の電気移動度を15段階に分割する場合(a)と2倍の電気移動度を8段階に分割する場合(b)との電気移動度誤差に伴う粒径分布計算後の粒子数の相違の一例を示す図。
本発明の一実施例であるエアロゾル粒径分布測定装置について添付図面を参照して説明する。図1は本実施例のエアロゾル粒径分布測定装置の要部の構成図である。
帯電エアロゾルの電気移動度を測定するためのDMAは、導電性の外筒部11と同じく導電性の内筒部12との同軸二重円筒構造の分級部10を備える。外筒部11の底部に接続された排気管17に設けられたポンプ18が作動すると、外筒部11の上部に接続されたシースガス供給管13を通して、外筒部11と内筒部12との間に形成される空間に上から下向きに流れるようにシースガスが供給される。外筒部11は電気的に接地され、内筒部12には直流電源21から直流電圧が印加され、それによって外筒部11と内筒部12との間には直流の分級電場が形成される。分析対象である試料ガス中のエアロゾルは荷電部20において電荷を付与され、そうして帯電したエアロゾルがエアロゾル導入管14を通してシースガス流中に導入される。
帯電エアロゾルはシースガスの流れに乗って下向きに移動するが、分級電場の作用を受けて内筒部12側に引き寄せられる。内筒部12の下端にはガス流方向に狭いスリット16を介してエアロゾル導出管15が接続され、エアロゾル導出管15の末端は検出器22に接続されている。分級電場の作用によって帯電エアロゾルは内筒部12の方へ向かうが、分級電場の影響の度合いはエアロゾルの電気移動度に依存する。そのため、或る一定の強度の分級電場が与えられている場合、その電場強度に応じた特定の電気移動度を持つエアロゾルが選択的にスリット16の位置に到達し、スリット16を通過してエアロゾル導出管15に吸い込まれる。分級電場の強度を変えるように内筒部12に印加する電圧を変化させると、スリット16の位置に到達し得るエアロゾルの電気移動度が変化する。このため、内筒部12に印加する電圧を所定範囲で走査することにより、スリット16を通過する、つまりは検出器22に到達するエアロゾルの電気移動度を走査することができる。
検出器22は例えばファラデーカップ電流計であり、到達した帯電エアロゾルが持つ電荷により流れる電流を検出し、検出信号をデータ収集部30に与える。データ収集部30はA/D変換器を含み、制御部33から与えられる制御信号に基づいて、所定のタイミングでもって検出器22で得られる検出信号をサンプリングし測定値データを取得する。この測定値データは測定点に対する粒子数の元データであり、1つの測定点は1つの電気移動度に対応する。上述したように内筒部12への印加電圧を走査すると検出器22に到達するエアロゾルの電気移動度が変化するから、時間経過に伴って、異なる電気移動度を持つエアロゾル粒子由来の測定値データを順次取得することができる。この測定値データは電気移動度分布メモリ31に一旦格納される。
粒径分布演算部32は電気移動度分布メモリ31に格納された電気移動度分布を読み出し、所定のアルゴリズムに従って電気移動度分布を粒径分布に変換する演算処理を実施する。この演算のために例えば上述したホッペルの手法を利用することができる。算出された粒径分布などの測定結果は表示部34から出力される。制御部33はエアロゾル粒径分布測定を行うために各部を制御する。また操作部35はその制御に必要なパラメータ等の入力を行うためのものである。
本実施例のエアロゾル粒径分布測定装置において試料ガス中のエアロゾルの粒径分布を測定する際に、まず次のようにしてエアロゾルの電気移動度分布が実測される。即ち、制御部33は内筒部12に印加される分級電圧が指数関数的に変化するように直流電源21を制御する。上述したように検出器22に到達するエアロゾルの電気移動度は分級電場の強度に依存する。したがって、シースガス流速などの他の条件が一定である状態の下では、検出されるエアロゾルの電気移動度と分級電圧との関係は一義的に決まる。一方、データ収集部30は測定点における電気移動度が等比級数的になるように検出信号をサンプリングする必要がある。そこで、ここでは、分級電圧が指数関数2に従って変化するように走査し、データ収集部30では電気移動度が2倍になる範囲を均等にn段階(以下、nを分割段数という)に分割するように検出信号をサンプリングする。
分級電圧の変化とサンプリングタイミングとの関係を上述したように定めれば、1価の帯電エアロゾルの電気移動度を基準とした電気移動度倍率(帯電したエアロゾルの価数)が2(ただし、mは自然数)であるものについては、計算上の(理論的な)電気移動度とサンプリングされた測定点における電気移動度とを一致させることができる。これに対し、電気移動度倍率が2でない自然数、即ち、3、5、6、7、9、…であるときには、計算上の電気移動度とサンプリングされた測定点における電気移動度とを必ずしも一致させることができない。これを概念的に図示したのが図2である。
図2に示すように、上記分割段数nの値を変えたとき、電気移動度倍率が2である電気移動度ではサンプリングに伴う電気移動度の誤差は常にゼロであるが、電気移動度倍率が3、5、6、7、9、…である電気移動度ではサンプリングに伴う電気移動度の誤差が発生する。この誤差が大きいほど電気移動度分布から粒径分布を計算する際の計算誤差が大きくなり、粒径分布の精度が落ちることになる。そこで、本実施例のエアロゾル粒径分布測定装置では、この計算誤差が極力小さくなるように分割段数nの値を設定するようにしており、その値として「22」を用いている。即ち、電気移動度が2(1/22) 倍になる毎にサンプリングにより離散化された測定点が設定されるように、サンプリングのタイミングを決めている。
上記のように分割段数nの値を定めた理由を次に説明する。
まず、分割段数nの値を決める上で適切な価数(帯電数)範囲を定める。理論的には帯電エアロゾルの価数に上限はないが、一般的に、多価帯電の帯電率は価数の小さいものが支配的であり、せいぜい10価程度までを想定すればよく、特に重視すべきなのは2〜4価程度の範囲である。したがって、これら多価帯電の範囲での電気移動度の誤差を考慮すれば実用上十分である。また、考慮する価数範囲の全てで電気移動度の誤差がゼロになるのが理想的ではあるものの、実際上、複数の価数において誤差をゼロにすることは不可能である。そこで、考慮する価数範囲全体として電気移動度の誤差をできるだけ小さくするようにする。また、電気移動度は価数に比例して増加するが、電気移動度の誤差は電気移動度の比率(対数をとった数値)で評価することが重要である。さらにまた、分割段数nの値を大きくすればするほど電気移動度の誤差を小さくできる可能性は高まるものの、分割段数nの値を大きくするほど粒径分布算出のための演算が複雑になり演算時間が掛かるし、ハードウエアに高い処理性能が要求される。現在のところ、10倍の電気移動度を32段階程度に分割していることを考慮すると、これよりも大幅に測定点が増加することは避けることが好ましい。
上記のような考慮や条件の下に、分割段数nの値と2〜10価の多価帯電の電気移動度誤差(対数をとった数値)との関係を計算により求めた結果を図3に示す。上述したように、価数2、4(=2)、8(=2)では電気移動度誤差はゼロであり、それ以外の価数では誤差が発生している。図4は、価数pの範囲を、2〜4、2〜6、及び2〜10としたときの電気移動度誤差の最大値を抽出した結果、及びその誤差を1段階当たりに換算した結果を示す図である。また、図4には、ここで想定している電気移動度範囲全体をカバーするために必要な段数(測定点数)も併せて示している。なお、一般的に、この種のエアロゾル粒径分布測定装置では、2桁程度の粒子径範囲を電圧走査により測定するようにしている(例えば粒子径範囲5〜500nm、10〜1000nmなど)。この粒子径範囲を電気移動度範囲に換算すればおおよそ3桁+α程度の範囲に相当する。
図4に示した電気移動度誤差の小ささという観点でみると、分割段数n=12、17、19、22、24、31が、それ以外のnの値に比べて明らかに良好であることが分かる。その中でも、2〜6価、2〜10価の範囲での電気移動度誤差の小ささをみるとn=31が最良であるが、この場合、電気移動度範囲全体をカバーするために必要な段数がかなり多くなる。例えば、10倍の電気移動度を64段階に分割する場合に同じ電気移動度範囲全体をカバーするために必要な段数は、220程度であるのに対し、分割段数n=31とすると必要な段数は361となり1.6倍以上となってしまう。これに対し、分割段数n=22の場合、2〜6価、2〜10価の範囲での電気移動度誤差の小ささではn=31よりも若干劣るものの、電気移動度範囲全体をカバーするために必要な段数は256程度で済み、従来と大差はない。こうしたことから、上記考慮や条件の下では、分割段数n=22が最適であると結論付けることができる。
但し、測定対象の粒子径がより大きい場合には、より大きな価数pの帯電エアロゾルの影響が強くなるから、2〜10価の範囲での電気移動度誤差の小ささを重視して、例えば分割段数n=31を選択することも有益である。
図5は本実施例のエアロゾル粒径分布測定装置における測定データサンプリングと従来の方法との電気移動度誤差の比較を示すグラフである。横軸は、1価を基準(ゼロ)として、2価、3価、…の電気移動度PをLn(P)で示している。縦軸は、2倍、3倍、…ととった電気移動度について、離散化されている電気移動度のうちで最も近いものを選んだ場合の誤差の大きさQをLn(Q)で示している。多価帯電のうちでも特に帯電率の割合が大きな2〜4価の価数において、従来に比べて誤差がかなり小さくなっていることが分かる。このように電気移動度の誤差を縮小することにより、本実施例のエアロゾル粒径分布測定装置では、電気移動度分布から算出される粒径分布の精度を高めることができる。
なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
10…分級部
11…外筒部
12…内筒部
13…シースガス供給管
14…エアロゾル導入管
15…エアロゾル導出管
16…スリット
17…排気管
18…ポンプ
20…荷電部
21…直流電源
22…検出器
30…データ収集部
31…電気移動度分布メモリ
32…粒径分布演算部
33…制御部
34…表示部
35…操作部

Claims (2)

  1. 供給された試料ガスを帯電して帯電エアロゾルを生成するエアロゾル供給部と、帯電エアロゾルを電気移動度に応じて分級するための電場を形成する電極及び該電極に分級電圧を印加する電圧印加部を含む分級部と、前記電圧印加部により分級電圧を指数関数的に変化させつつ、分級された帯電エアロゾルに対する測定値を一定時間間隔で取得することで離散的な電気移動度に対する測定値を求める測定部と、該測定部により得られる測定値に基づく電気移動度分布から粒径分布を計算する演算部と、を具備する粒径分布測定装置において、
    前記測定部は、離散的な測定点における電気移動度が、nを12、17、19、22、24又は31のいずれかとした2(1/n)倍毎になるように、分級電圧の指数関数的な変化と測定値を取得する時間間隔との関係を定めるようにしたことを特徴とする粒径分布測定装置。
  2. 請求項1に記載の粒径分布測定装置であって、測定対象の粒子径範囲に応じてnの値を定めるようにしたことを特徴とする粒径分布測定装置。
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