JP2004053016A - 流体収容容器及び流体収容容器の金属の内表面に有機コーティングを形成する方法 - Google Patents

流体収容容器及び流体収容容器の金属の内表面に有機コーティングを形成する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】収容する反応性及び腐食性の流体を汚染しない化学的に耐久性のコーティングを備えた流体収容容器を提供すること。
【解決手段】金属酸化物の実質的に存在しない金属の内表面と、次の構造
【化1】
Figure 2004053016

(式中のm=0〜1.0、n=1.0−mであり、Ar、Ar、Ar及びArは個々に二価のアリーレン基である)
の繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを有する、上記金属の内表面を実質的に覆う有機コーティングとを含む流体収容容器とする。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的に言って流体収容容器に関する。より具体的に言えば、本発明は、化学的に耐久性のコーティングを有する流体収容容器と、それを製作及び使用するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液化ガス及び圧縮ガスの貯蔵及び輸送のための流体収容容器、別の呼び方では「ガスボンベ」と称されるものは、一般に、例えば鋼やその他の鉄合金などの金属から製作される。ここで使用する「流体」なる用語は、液体形態の物質はもちろん気体形態の物質も意味する。流体収容容器は、様々な産業向けの流体を供給及び貯蔵するために使用することができ、ここで言う産業には半導体及び電子製造産業が含まれるが、産業はそれらに限定はされない。これらの産業は、その製造製作工程において、高純度の腐食性化学物質、例えば塩酸(HCl)、六フッ化タングステン(WF)、塩素(Cl)、臭化水素(HBr)、三フッ化窒素(NF)、シラン類及び三塩化ホウ素(BCl)などを、貯蔵及び供給するのに流体収容容器を使用する必要がある。ところが、容器をこれらの目的のために使用する場合、容器は最終製品において不所望の金属汚染物質の主要な発生源となりかねない。
【0003】
反応性又は腐食性の化学物質を金属製容器中に貯蔵するのは、容器から金属元素が浸出して容器内に収容されている化学物質を汚染する原因になることがあるということはよく知られている。更に、一部の高純度ガスの安定性は、一部の金属表面との接触により低下することがある。半導体あるいはエレクトロニクス産業でよく用いられる解決策は、容器の内壁を有機又は無機のコーティングでライニングすることである。ところが、これらの解決策は、コーティングが均一性に欠けるため、密着性が乏しいため、あるいは下地の金属壁の一部を露出させるその他の欠陥のために、今までのところうまくいっていない。
【0004】
参考文献の米国特許第5928743号明細書(Bealky)には、加圧ガス容器の内壁をコーティングするために回転成形可能なフルオロポリマーを使用することが記載されている。これらのコーティングは、エチレン、クロロトリフルオロエチレン又はポリパーフルオロアルコキシエチレンの単一層かあるいは多層を含む。これらのフルオロポリマーは、付着促進添加剤を含有してもよく、あるいは付着を助けるためのフルオロプラスチック層の上に適用してもよい。参考文献の特開昭55−115694号公報には、ガスボンベの内表面をトリフルオロクロロエチレンでコーティングすることが記載されている。米国特許第5928743号明細書や特開昭55−115694号公報におけるコーティングと同じように、フルオロポリマー系のコーティングは密着性の問題にも、また欠陥のないコーティングを行うのが困難であることにも悩まされることがある、ということが分かった。
【0005】
参考文献の米国特許第5474846号明細書と同第5686141号明細書には、ガスボンベの内壁をポリアミドと、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンでコーティングすることが記載されている。しかし、高純度の腐食性又は反応性ガスはポリエチレン及びポリプロピレンのコーティングに浸透して下地の金属表面を攻撃し、それにより腐食を引き起こすことがあると考えられる。その場合、腐食性の生成物が逆戻りしてきて高純度ガスを汚染しかねない。
【0006】
参考文献の国際公開第99/43445号パンフレットには、ガスボンベの内壁を無機のケイ素層でコーティングすることが記載されている。この参考文献では、水素化ケイ素ガスを収容する容器を、ガスを分解してケイ素層を形成するのに十分な熱と圧力にさらしている。しかし、この参考文献に記載された方法は、比較的高い温度の360〜600℃で行われ、そしてそれは下地の容器の構造的完全性に不利な影響を及ぼしかねない。更に、この参考文献記載の方法は、健康上及び安全上の不安を引き起こしかねない比較的高い圧力にさらされる危険なガスを製造上の観点から必要とする。
【0007】
一部の有機及び無機コーティングに関連する問題を克服するために、純粋ニッケルの又はニッケルクラッド鋼のボンベといったような、非腐食性金属のガスボンベを提供している高純度ガス製造業者もある。ところが、純粋ニッケルのボンベは相対的に高価であり、重くて、鋼のボンベと比べると比較的低い圧力で使用することができるに過ぎない。参考文献のBOC Technology Magazine,発行番号6(1997年11月)には、鋼のボンベにとって典型的な圧力で使用することができるニッケルクラッドのボンベが記載されている。これらのボンベを製造するのに用いられるローラー圧着鍛造加工プロセスは複雑であり、費用がかかり、より大きな容器の製造にとっては非実用的である。
【0008】
ここで言及した全ての参考文献は、それらの全体が参照によりここに組み入れられる。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第5928743号明細書
【特許文献2】
特開昭55−115694号公報
【特許文献3】
米国特許第5474846号明細書
【特許文献4】
米国特許第5686141号明細書
【特許文献5】
国際公開第99/43445号パンフレット
【非特許文献1】
BOC Technology Magazine,発行番号6(1
997年11月)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、当該技術分野では、収容される反応性で且つ腐食性の高純度ガスを汚染することがない比較的費用のかからない流体収容容器が必要とされている。付着促進剤の必要なしに下地金属表面に密着する内側コーティングも、当該技術分野で必要とされている。更に、皮膜形成特性が良好であり、それにより均一な、欠陥のない内表面を提供する内側コーティングが、やはり当該技術分野で必要とされている。その上、化学的に耐久性のコーティングを備えた流体収容容器を製作するための、高温・高圧の危険なガスの使用を必要としない方法を提供することが、当該技術分野で必要とされている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、その一部において、流体収容容器とそれを製造及び使用するための方法に関するものである。本発明は、化学的に耐久性のコーティング、例えばポリ(アリーレン)エーテルなど、を有し、収容される流体の汚染を最小限にする、金属製の圧力容器を提供する。本発明の容器は、必ずしも付着促進剤あるいは付着促進層を必要とせずに、下地の金属基材に対し良好な密着性を示す化学的に耐久性のコーティングを有する。更に、このコーティングは、良好な皮膜形成特性を提供して、それにより均一な、欠陥のない内表面をもたらす。
【0012】
本発明の一つの態様においては、金属酸化物が実質的に存在しない金属の内表面と、この金属の内表面を実質的に覆う有機コーティングとを有する流体収容容器が提供される。この有機コーティングは、下式の構造
【0013】
【化6】
Figure 2004053016
【0014】
(式中のm=0〜1.0であり、n=1.0−mであり、Ar、Ar、Ar及びArは個々に二価のアリーレン基である)
の繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを含む。
【0015】
本発明の更に別の側面では、平均の表面粗さが約0.1〜約10μmの範囲である金属内表面であり、当該金属内表面を約0.5〜約15μmの厚さまで実質的に覆う有機コーティングを有する金属内表面が提供される。この有機コーティングは、下式の構造
【0016】
【化7】
Figure 2004053016
【0017】
(式中のm=0〜1.0であり、n=1.0−mであり、Ar、Ar、Ar及びArは個々に二価のアリーレン基であり、そしてポリマーの数平均分子量は約5,000〜約15,000の範囲内である)
の繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを含む。
【0018】
本発明の更に別の側面では、流体収容容器の金属の内表面に化学的に耐久性の有機コーティングを形成するための方法が提供される。この方法は、平均の表面粗さが約0.1〜約4μmの範囲の金属の内表面を有する流体収容容器を用意すること、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーと溶媒とを含む溶液を上記の内表面に塗布すること、上記容器の内側を不活性ガスの流れにさらして上記溶液から上記溶媒のうちの少なくとも一部を除去すること、そして上記有機コーティングを形成するのに十分な1又は2以上の温度に上記容器を加熱すること、を含む。
【0019】
本発明のこれら及びそのほかの特徴は、以下の詳しい説明から明らかになろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、一部において、流体収容容器とそれを製造及び使用する方法に関するものである。本発明は、収容される流体の汚染を最小限にするよう、化学的に耐久性のコーティング、例えばポリ(アリーレン)エーテルのポリマーコーティングのようなもの、を有する金属製圧力容器を提供する。本発明の容器は、付着促進剤あるいは付着促進層を必ずしも必要とせずに下地の金属基材への良好な密着性を示す化学的に耐久性のコーティングを有する。更に、このコーティングは良好な皮膜形成特性を提供し、それにより欠陥のない均一な内表面をもたらす。
【0021】
本発明の流体収容容器は、流体、特にガス類を、高い圧力下に収容することができる任意の容器を包含する。これに関連して、容器は好ましくは、貯蔵に必要とされる圧力に耐えるのに十分な壁の厚さ、強度、及び構造上の一体性を有する。容器内に収容される流体は、概して約0psig(約6.9kPa)より高い圧力にさらされるが、とは言え、流体によっては、より低い温度において部分真空、すなわち0psig(6.9kPa)未満の圧力にさらされることもあるものと考えられる。本発明の特定の好ましい態様では、容器は、例えば閉じた端部を持ち、反対側の端部に弁を受け入れるのに適したテーパー付きのねじ込みネックを持つ標準的な鋼製の工業用ボンベのような、任意の金属製容器でよい。とは言え、使用する圧力下の流体を収容するのに適していて本発明における有機コーティングとの相性のよいその他の形状の容器を使用してもよい。
【0022】
本発明の容器は、流体、好ましくは半導体又は電子デバイスの製造において用いられる高純度の腐食性ガスを、輸送、貯蔵又は供給するのに用いられる。ここで使用する「高純度」という用語は、ガス中の全不純物レベルがガスの約500質量ppm未満であることを指す。不純物レベルは、より好ましくはガスの5質量ppm未満、最も好ましくはガスの約1質量ppm未満である。代表的な高純度ガスには、塩酸(HCl)、六フッ化タングステン(WF)、塩素(Cl)、臭化水素(HBr)、三フッ化窒素(NF)、シラン類及び三塩化ホウ素(BCl)が含まれるが、高純度ガスはこれらに限定されない。半導体又は電子デバイスの製造において用いられる高純度の、あるいは99.999%純度の電子グレード(エレクトロニクスグレード)のHClガスは、COが2体積ppm未満、COが1体積ppm未満、メタンが1体積ppm未満、Nが2体積ppm未満、OとArが1体積ppm未満、水が1体積ppm未満、Feが0.5体積ppm未満、そしてその他の金属が1体積ppm未満のHClガスのことである。
【0023】
本発明の流体収容容器は、1種以上のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを含有する化学的に耐久性の有機コーティングで実質的に被覆された内表面を有する。適当なポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの例には、本件出願人に譲渡されそして参照によりそれらの全体がここに組み入れられる米国特許第5658994号明細書及び同第5874516号明細書に記載されたポリマーが含まれる。本発明の特定の好ましい態様では、有機コーティングは、下式の構造
【0024】
【化8】
Figure 2004053016
【0025】
(式中のm=0〜1.0、n=1.0−mである)
の繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを含有する。
【0026】
モノマーAr、Ar、Ar及び/又はArは、1以上の芳香環の構造体を表し、下記の構造体から選ぶことができる(重合前において、ArとArはジハロゲン化された形であり、あるいはArとArはジヒドロキシの形であり、それぞれ、ジハロゲン化された形については好ましくはジブロム化された形、ジヒドロキシの形については好ましくはカリウム、ナトリウム又はリチウム形であり、その場合において、モノマーの混合物は、ジハロゲン化されたモノマーのAr及び/又はAr、そしてジヒドロキシモノマーのAr及び/又はArがウルマン縮合で共エーテル化するために選ばれるようにされ、且つAr、Ar、Ar及びArは、結晶化の問題のため、化合物Iのジラジカルの9,9−ジフェニルフルオレンが存在しない限り、同時に異性同等物(isomeric equivalent)となることはできないが、全Ar構造体のうちの一部分は異性同等物となることができる)。
【0027】
【化9】
Figure 2004053016
【0028】
【化10】
Figure 2004053016
【0029】
本発明の有機コーティング中に含まれるポリマーは、単一の繰り返し単位、例えば前記のフェニレン又はビフェニルジラジカルのうちの一方と前記のIの構造のフルオレン誘導体との組み合わせなどの繰り返し単位、から本質的になるホモポリマーであることができ、あるいはポリマーは、本発明の構造の繰り返し単位を当該技術分野において知られているそのほかのポリオールやフェニルの繰り返し単位と一緒に含むコポリマーであることができる。例えば、本発明のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーは、フェニレンAを9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンでエーテル化したものと、ビフェニルジラジカルBを上述のフルオレン誘導体で同様にエーテル化したものとのコポリマーであることができる。化合物AからJまでの様々な組み合わせも、同一のモノマーを使用する場合それが異なる異性構造を持つ限りにおいて、可能である。
【0030】
繰り返し単位を別のタイプのポリマーの繰り返し単位と組み合わせたコポリマーにおいては、好ましくは、繰り返し単位のうちの少なくとも60モル%、より好ましくは少なくとも80モル%は、本発明のポリマーである。コポリマーは、交互コポリマー、ランダムコポリマー、又はブロックコポリマーでよい。
【0031】
ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーは、それらが不活性であり、そして容器内に収容された高純度ガスを汚染しかねない何らかの官能基を持たない点において、非機能性であると考えられる。それらには、水の吸着を促進する、例えばアミド、イミド、及びケトンなどのようなカルボニル部分がない。更に、それらには、金属堆積プロセスにおいて金属源と反応しかねないフッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲンがない。もっと正確に言うと、それらは、9,9−フルオレニリデン基における橋かけ炭素を除いて、本質的に芳香族炭素から構成され、そしてその橋かけ炭素は芳香族構造に近いために芳香族炭素の特性を多く有する。本発明の目的上、その炭素はパーフェニル化した炭素であると見なされる。
【0032】
有機コーティング中のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーは、約5,000〜約15,000、好ましくは約7,000〜約15,000、より好ましくは約10,000〜約15,000の範囲の数平均分子量を有する。ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを作るための合成手法は、例えば、米国特許第5658994号明細書及び同第5874516号明細書に記載されている。更に別の合成手法には、I. Colon et al., J. Poly. Sci., Part A, Poly. Chem., Vol. 28, pp367−383(1990)で報告されているニッケル触媒カップリング合成が含まれ、それは参照によりその全体がここに組み入れられる。
【0033】
有機コーティング中の一部の具体的なポリ(アリーレンエーテル)の構造には、下記のものが含まれる。
【0034】
【化11】
Figure 2004053016
【0035】
【化12】
Figure 2004053016
【0036】
本発明の特定の好ましい態様では、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーはPAE−IIを含む。とは言え、そのほかのポリ(アリーレンエーテル)ポリマー又はその混合物も、有機コーティングにおいて用いるのに好適であろう。
【0037】
1種又は2種以上のポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを含有する有機コーティングは、スプレー、スピンコーティング、回転成形、浸漬コーティング、粉体コーティング、あるいは流し込みを含めた、種々の手法により容器の内表面へ適用される。本発明の好ましい態様では、ポリマーは溶液の形で容器へ適用される。粉体又はペレット等の粒子状物質の形をしていてもよいポリ(アリーレンエーテル)ポリマーは、粉体を溶解することができる任意の溶媒と一緒にすることによりコーティング溶液にすることができる。代表的な溶媒には、2−エトキシエチルエーテル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、N−メチルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルイソブチルケトン、2−メトキシエチルエーテル、5−メチル−2−ヘキサノン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、及びそれらの混合物が含まれるが、溶媒はそれらに限定されない。ポリマーの溶媒への溶解は、好ましくは、連続撹拌下におよそ60℃からおよそ90℃までの範囲の1又は2以上の温度で行う。
【0038】
コーティング溶液の濃度は、約5〜約20質量%、好ましくは約10〜約15質量%固形分の範囲でよい。コーティング溶液の粘度は、ブルックフィールド回転電気機械式粘度計の3番スピンドルを使って室温で測定して約200cP(約0.2Pa・s)〜約800cP(約0.8Pa・s)の範囲にある。
【0039】
ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーのほかに、容器の内表面に適用される溶液は更に、特定の目的の特性を増強し又は付与するための添加剤を含むことができる。これらの添加剤には、安定剤、難燃剤、顔料、可塑剤、界面活性剤、等を含めることができる。相溶性又は不相溶性のポリマーを混ぜ合わせて所望の特性を得ることができる。
【0040】
溶液は、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーのしかるべき基材への密着性を高めるために付着促進剤を更に含むことができる。そのような付着促進剤の代表はヘキサメチルジシラザンであり、それを使用して、ヒドロキシル官能基を生じさせる湿分又は湿気に暴露された表面、例えば二酸化ケイ素の表面、に存在することがある利用可能なヒドロキシル官能基と相互作用させることができる。とは言え、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーは様々な基材に対し優れた密着性を示すので、好ましい態様では、コーティング溶液は付着促進剤を必要としない。例えば、本件出願人に譲渡された米国特許第5874516号明細書において、PAE−IIを含有しているコーティングのSiO基材への密着強さはSiO基材自体の凝集強さよりも強くなり得るということが実証されている。
【0041】
コーティング溶液を適用する基材、あるいは容器の内表面は、好ましくは、ミルスケール、錆などの金属酸化物、及び/又は異物を除いてきれいにされる。特定の好ましい態様では、内表面には錆などの金属酸化物は実質的にない。錆は、特開昭55−115694号公報に記載された酸洗浄法のような化学的前処理により、容器から除去してもよい。別法として、あるいはその上に、容器の内表面を機械的に研磨して金属酸化物、ミルスケール、及び/又は他の異物を除去し、表面粗さを低下させてもよい。
【0042】
基材上、あるいは容器の内表面上の、有機コーティングの厚さは、表面の平均表面粗さ(R)の影響を受けることがある。有機コーティングの厚さは、約2.5〜約15μm、より好ましくは約3〜約10μmの範囲である。単一のコーティング層の平均の厚さはおよそ3μmである。従って、9μmのコーティングは約3つのコーティング層から構成される。内表面のRは約0.01〜約10μm、好ましくは約0.01〜約4μmの範囲である。従って、Rが4μmより大きい表面は、欠陥のない均一な皮膜を提供するために、より厚い有機コーティングを必要とすることがあり、すなわち10μmより大きい厚さを必要とすることがある。
【0043】
本発明の好ましい態様では、有機コーティングは容器の内表面へ回転成形技術により適用される。有機コーティングを適用するのに適した回転成形技術の例は、例えば、米国特許第5474846号明細書及び同第5686141号明細書に見られる。コーティング溶液を調製し、周囲温度まで冷却する。次に溶液を容器内に注ぎ入れ、そしてボンベを水平位置にして、容器の内表面を確実に完全に濡らすのに十分な時間回転機により回転させる。本発明の態様によっては、ボンベを2以上の位置で、すなわち垂直に、又は45°で、又は他の角度の位置で、回転させて完全に濡らすのを確実にする。次いで、コーティング溶液を容器から流し出し、容器を逆さにして過剰分を排出させる。過剰の溶液は集めて、その後の工程で、好ましくは不純物を除去後に、再利用してもよい。
【0044】
表面をコーティングしたならば、容器を1又は2以上の温度に、化学的に耐久性の有機コーティングを形成するのに十分な時間加熱する。有機コーティングは、容器を加熱する温度範囲に応じて、熱可塑性(この場合含有されるポリマーは架橋されない)であってもよくあるいは熱硬化性(この場合含有されるポリマーのうちの少なくとも一部は架橋される)であってもよい。熱可塑性コーティングを形成するには、容器を約200〜約300℃、より好ましくは約250〜約275℃の範囲の温度にさらす。容器は約10〜約30分間、好ましくは約10〜約20分間加熱される。不活性ガス、例えば窒素又はヘリウムなどを、容器内へ約200〜約1,000ml/min、好ましくは約200〜約500ml/minで流入させて、コーティング溶液から溶媒のうちの少なくとも一部を除去する。
【0045】
有機コーティングは、容器の内壁に形成した皮膜をその後の熱処理及び/又はより高い温度での熱処理にかけることにより熱硬化皮膜にすることができる。皮膜を約350〜約500℃、好ましくは約350〜450℃の範囲の温度まで熱処理することで、ポリマーの少なくとも一部を架橋させて熱硬化皮膜を形成してもよい。この処理は、空気中でかあるいは不活性ガス雰囲気中で行うことができる。熱硬化コーティングは、コーティング溶液中に架橋剤を添加し、ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを既知の末端キャップ剤、例えばフェニルエチニル、ベンゾシクロブテン、エチニル及びニトリルなど、で末端キャップすることにより形成してもよい。熱硬化コーティングを形成するための熱処理は、各層を形成後に行ってもよく、あるいはコーティングを形成する層の全てが完成したら行ってもよい。
【0046】
おのおのの塗布及び加熱工程で、厚さが約1μmと約5μmの間、好ましくは約2〜4μmの範囲の層が得られる。有機コーティングは、塗布及び加熱工程を0〜5回、好ましくは2〜4回繰り返して有機コーティングを形成することにより作ることができる。塗布及び加熱工程を繰り返す回数は、容器内表面のRに左右されることもある。例えば、Rが約4μmより大きい表面は、10μmより大きいコーティング厚さを提供するのにより多くの層の適用を必要としよう。
【0047】
下記の例を参照して本発明をより詳しく説明するが、本発明がそれらに限定されるものと見なすべきでないことを理解すべきである。
【0048】
【実施例】
〔ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの内部ライニングを有する流体収容容器の作製〕
PAE−IIのポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを含有する有機コーティングを有する流体収容容器を次のようにして作製する。100g量のPAE−II粉末を温度60℃の1リットル量のシクロヘキサノンに窒素雰囲気下で連続撹拌しながら溶解させて、コーティング溶液を調製する。溶液を室温まで冷却させる。
【0049】
コーティング溶液を、R≦4μmという内壁の平滑さを有する清浄な鋼製ボンベに注ぎ入れる。ボンベにプラスチックプラグで蓋をし、Middleton& Co U.K.Limited製の回転機(rolling machine)にボンベの内面が完全に濡れるまであるいは約15分、ボンベを配置する。ボンベを回転機から取り出し、逆さにして過剰のコーティング溶液を流し出す。この過剰溶液はビーカーに集めて取っておく。ボンベを15分間逆さの液抜きの位置に据えておく。
【0050】
入口ガスの流れと取り出しを可能にする専用のガスアダプターをボンベの充填側の端部に取り付けた。次ぎに、約250℃の温度に予熱したオーブン内にボンベを直立にして入れた。ボンベを入口ガス源へ接続し、アダプターにベントを接続した。ボンベを通して200cc/minの窒素の連続流を30分間流して熱可塑性有機層を形成した。次ぎに、ボンベをオーブンから取り出して室温まで冷却させた。上述の工程を、所望のコーティング厚さに達するまで繰り返した。
【0051】
〔接触角、密着性及びコーティング厚さ〕
上で説明した方法に従って、内側のPAE−II有機コーティングを持つボンベを作製した。有機コーティングの接触角、密着性及びコーティング厚さを測定した。それらの結果を表Iに提示する。
【0052】
コーティングの接触角は、Kruess G40ゴニオメーターと3回蒸留した蒸留水を使って、切断したボンベの部分のコーティングした面での前進角と後退角の両方を測定して求めた。4回の測定値の平均を採用し、表Iに提示する。コーティングの接触角はコーティング表面の疎水性に関係する。接触角が大きくなればなるほど、表面はより疎水性になる。
【0053】
コーティングの密着性の測定は次のように行った。2つの直角な方向のおのおのにおよそ2mm離して3本の線を罫書きして、表面を覆う25の単位となるます目の配列を作った。これらの線は、各ボンベの切断部分のコーティングした表面の中央の比較的近くに引いた。次に、ボンベの曲がりに平行な方向と垂直な方向の両方で、3M社の898粘着テープを使ってクロスハッチ剥離試験を行った。45倍の光学顕微鏡を使って粘着テープとボンベの面を調べ、コーティングの破損を捜した。この試験の結果は表Iに提示される。表Iは引張試験の際に除去されたセルの数を提示している。除去されたセルの数が少なくなるほど、コーティングの基材への密着性は良好になる。
【0054】
厚さの測定については、ボンベの切断部を凸面側から薄くし、続いて液体窒素中に浸漬して、試験試料を作製した。次ぎに、これらの試料をハンマーを使って常温破壊して、コーティングした凹面側に走査型電子顕微鏡(SEM)で調べるのに適した亀裂を生じさせた。図1は、これらの試料のうちの一つのもののコーティング/基材界面を示すSEM写真である。試料の太い突起部分の結果は、研磨工程の際のコーティングの汚れのためにいろいろであった。コーティング厚さの結果は表Iに提示される。
【0055】
【表1】
Figure 2004053016
【0056】
〔電気化学インピーダンス分析(EIS)〕
内壁におよそ3μmのPAE−II有機コーティングを有するボンベを上述の方法に従って作製し、切り分けて試験クーポンにした。EISインピーダンス試験をこれらの試験クーポンについて行った。これらの試験の結果を表IIaに提示する。もっと厚いおよそ9μmのコーティングを有する試験片について行った同様の試験の結果を表IIbに提示する。
【0057】
EIS試験は、電気化学系へのいろいろな周波数の正弦波電圧を小さく変動させることを必要とする。電気化学系は、抵抗器とコンデンサーの網状組織の組み合わせと見なされ、この場合回路は並列にポリマー抵抗器と接続されるコーティングコンデンサからなり、ポリマー抵抗器は2重層コンデンサーと直列に接続され、この2重層コンデンサーは細孔抵抗器に並列に接続される。幾何学的及びソフトウェアの方法を使用するとは言え、抵抗器とコンデンサーとに実際のデータに近い類似のものを提供する適当な値を割り当てることができる。その結果得られた電流と位相シフトの応答が、ナイキスト又はボードプロットで表示される。
【0058】
EISモデルの2つの重要な測定値は、試料のコーティング抵抗(R)と電荷移動抵抗(Rct)である。Rはコーティング品質の尺度とそれが厚さ及び環境とともにどのように変化するかを提示する。Rctは、コーティングが下地の鋼に提供する保護の度合いの尺度を提示する。小さい電荷移動抵抗は、溶液がコーティングの細孔を通してむき出しの基材に近づくことを指示する。従って、腐食速度は電荷移動抵抗に逆比例する。
【0059】
試験クーポンを何日か0.01MのHCl溶液に浸漬した。これらの試験クーポンについてインピーダンス試験をAC電流下で、30000から0.01Hzまでの周波数範囲、20mVの最大振幅、及び0.01M HCl溶液への暴露表面積1cmの条件で行った。数日後にコーティング抵抗と電荷移動抵抗を測定した。結果は、およそ3μmとおよそ9μmのコーティングについてそれぞれ表IIaと表IIbに提示される。図2と図3には、コーティングの厚さがそれぞれおよそ3μmとおよそ9μmの3つの試験片についての電荷移動抵抗を浸漬時間に対しプロットしたものが提示される。図4と図5には、コーティングの厚さがそれぞれおよそ3μmとおよそ9μmの3つの試験片についてのコーティング抵抗を浸漬時間に対しプロットしたものが提示される。
【0060】
【表2】
Figure 2004053016
【0061】
【表3】
Figure 2004053016
【0062】
表IIaと表IIb、及び図2、3、4、5に示されたように、コーティングされたクーポンの全てが試験環境への最初の数時間の暴露以降は電荷移動抵抗とコーティング抵抗の両方の顕著な低下を示した。これは大抵のコーティング系に共通のことである。コーティング抵抗の低下は、水がポリマー中に浸透し、それに応じて皮膜の誘電率が上昇しそして皮膜の抵抗が低下するためであると考えられる。電荷移動抵抗の低下は、コーティングにミクロ細孔ができてこれらの細孔の底部における鋼基材が腐食されるためと思われる。腐食速度は電荷移動抵抗に逆比例する。
【0063】
全ての試料が、比較的大きなコーティング抵抗と電荷移動抵抗を示し、特に表IIaと図2、図4に見られるように試験片の間でいくらかの変動があった。3μmと9μmのコーティングを比較すると、コーティング厚さと基材の表面粗さとの間の重要な関係が示される。Rが比較的大きな表面はRがより小さい表面よりも厚いコーティングを必要とする。薄い方の3μmのコーティングについて言えば、コーティング抵抗と電荷移動抵抗は同じ試験時間以降でより厚いコーティングよりもはるかに小さくなる。図3、図5及び表IIbで、最高の結果の試験片である試料3は達成可能な最良の性能を示している。最低の結果の試験片である試料1は、コーティング中の何らかの欠陥あるいは細孔を示しているようである。コーティングを行う際の可能性のある欠陥を最小限にすることによりコーティング抵抗と電荷移動抵抗に改善をもたらすことができる。
【0064】
〔作製したPAE−IIでコーティングしたボンベの湿分分析〕
PAE−IIの内部コーティングを有する3つの鋼製ボンベをここに開示された方法に従って作製した。加熱ジャケットを使って一晩これらのボンベを70℃に加熱し、空気を抜いた。ボンベを室温まで冷却させ、次いで湿分の分析用に米国ペンシルバニア州AllentownのAir Products and Chemicals, Inc.社製BIP(商標)窒素を180psig(1.24MPa(ゲージ圧))の圧力まで充填した。
【0065】
試験ボンベをAmetek 2850湿分分析器に接続し、ボンベ加熱用ジャケットを使って90℃に加熱した。3つの試験ボンベからのガスを200cc/minの調節した流量で湿分分析器へ流入させた。試験ボンベ内のガス圧力をMKS社により供給される圧力変換器モデル852B33PCA2GAを使用して監視した。ボンベ内のガスの湿分含有量を、Iotech社製Iotech tempscan/multiscanデータロガーモデル1200を使って、ボンベ内の圧力が25psig(172kPa(ゲージ圧))に達するまで連続して監視し記録した。湿分の監視結果を表IIIbと図7に提示する。およそ800μmの変性ポリオレフィンでコーティングした比較ボンベについて行った同様の測定の結果を、表IIIaと図6に提示する。図6及び図7のデータは3つのボンベの平均値を示している。
【0066】
【表4】
Figure 2004053016
【0067】
【表5】
Figure 2004053016
【0068】
電子グレードのガスを収容するガスボンベの内側用のコーティングとしてポリマー材料を使用する際に遭遇する最大の問題の一つは、それらの湿分放出特性が高いことである。表IIIa及び図6の変性ポリオレフィンコーティングのような大抵のポリマー材料の場合、基材に対する腐食の保護は大きな厚さのときに、すなわち何百μmかの厚さで、達成可能であるに過ぎない。PAE−IIコーティングがそれより小さなオーダー、すなわち約15μm又はそれ未満の厚さを有するコーティングの場合に同様のあるいはもっと小さな湿分測定値を示すということは、驚くべき且つ予想外のことである。
【0069】
〔電子グレードのHClを充填したPAE−IIコーティングしたボンベの保存寿命の調査〕
本発明の方法によりPAE−IIの厚さおよそ9μmのコーティングを内壁に適用した3つのボンベと、内壁を研磨した2つの標準的なボンベに、電子グレードのHClを充填した。全部のボンベにHClと相性のよい弁を取り付けた。5つのボンベのおのおのの放出水素量を1年以上にわたり測定した。表IVは、調査期間での放出水素量を示しており、それらの結果を図8に示す。
【0070】
【表6】
Figure 2004053016
【0071】
HClはボンベの鋼の壁と反応してHを生成するものと考えられる。従って、ボンベ内のHレベルがより高いということは内壁面の腐食を示しているものと思われる。PAE−IIでコーティングしたHCl充填ボンベにおける水素の放出量について集めた1年間のデータは、表IIbのインピーダンスデータと一致しており、鋼製基材に対するコーティングの保護の可能性を確認するものである。PAE−IIでコーティングしたボンベでは1年にわたり放出された水素の量の増加が控えめなものであったのに対し、コーティングなしのボンベでは同じ期間にわたり放出された水素ははっきりと増加した。
【0072】
本発明を具体的な例を参照して詳しく説明したが、本発明の精神と範囲から逸脱することなしに本発明に様々な変更や改変を加えることができるということは当業者にとって明らかなことであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一態様のコーティングと基材の界面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】およそ3μmのコーティングを有する本発明の特定の態様の電荷移動抵抗の測定結果を示すグラフである。
【図3】およそ9μmのコーティングを有する本発明の特定の態様の電荷移動抵抗の測定結果を示すグラフである。
【図4】およそ3μmのコーティングを有する本発明の特定の態様のコーティング抵抗の測定結果を示すグラフである。
【図5】およそ9μmのコーティングを有する本発明の特定の態様のコーティング抵抗の測定結果を示すグラフである。
【図6】およそ800μmの変性ポリオレフィンポリマーコーティングを有する3つの比較試料についての湿分と圧力との関係を示すグラフである。
【図7】厚さがおよそ9μmのコーティングを有する本発明の3つの態様についての湿分と圧力との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の特定の態様とコーティングしていない流体収容容器とについての放出された水素のppmで測定した量を電子グレードのHClを充填後の日数と対比するグラフである。

Claims (21)

  1. 金属酸化物の実質的に存在しない金属の内表面と、次の構造
    Figure 2004053016
    (式中のm=0〜1.0、n=1.0−mであり、Ar、Ar、Ar及びArは個々に二価のアリーレン基である)
    の繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを有する、上記金属の内表面を実質的に覆う有機コーティングとを含む、流体収容容器。
  2. Ar、Ar、Ar及びArが個々に、
    Figure 2004053016
    からなる群より選ばれる二価のアリーレン基であり、但しジラジカルの9,9−ジフェニルフルオレン以外のAr、Ar、Ar及びArは異性同等物でない、請求項1記載の容器。
  3. 前記有機コーティングが下記の構造
    Figure 2004053016
    (式中のm=0〜1.0、n=1.0−mであり、ArとArは個々に、
    Figure 2004053016
    からなる群より選ばれる二価のアリーレン基である)
    の繰り返し単位を有する、請求項1記載の容器。
  4. 前記有機コーティングのm=0.5〜1.0である、請求項1記載の容器。
  5. 前記有機コーティングのm=1であり、Arがビフェニルである、請求項1記載の容器。
  6. 前記有機コーティングのm=1であり、Arがターフェニルである、請求項1記載の容器。
  7. 前記金属の内表面の平均の表面粗さが約0.01〜約4μmの範囲である、請求項1記載の容器。
  8. 前記有機コーティングの厚さが約2.5〜約10μmの範囲である、請求項7記載の容器。
  9. 前記金属の内表面の平均の表面粗さが約4μmよりも大きい、請求項1記載の容器。
  10. 前記有機コーティングの厚さが約10μmよりも大きい、請求項9記載の容器。
  11. 前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの数平均分子量が約5,000〜約15,000の範囲である、請求項1記載の容器。
  12. 前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの数平均分子量が約7,000〜約15,000の範囲である、請求項11記載の容器。
  13. 前記ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの数平均分子量が約10,000〜約15,000の範囲である、請求項11記載の容器。
  14. 平均表面粗さが約0.1〜約10μmの範囲の金属の内表面と、当該金属の内表面を約2.5〜約15μmの厚さまで実質的に覆う有機コーティングであって、次の構造
    Figure 2004053016
    (式中のm=0〜1.0、n=1.0−mであり、Ar、Ar、Ar及びArは個々に二価のアリーレン基である)
    の繰り返し単位を含むポリ(アリーレンエーテル)ポリマーを含み、当該ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの数平均分子量が約5,000〜約15,000の範囲である有機コーティングとを含む、流体収容容器。
  15. 前記金属の内表面に金属酸化物が実質的に存在しない、請求項14記載の流体収容容器。
  16. 流体収容容器の金属の内表面に有機コーティングを形成するための方法であって、
    平均表面粗さが約0.1〜約4μmの範囲の金属の内表面を有する流体収容容器を用意する工程、
    上記内表面にポリ(アリーレンエーテル)ポリマーと溶媒とを含む溶液を塗布する工程、
    上記容器の内部を不活性ガスの流れに暴露して上記溶液から上記溶媒のうちの少なくとも一部を除去する工程、及び
    有機コーティングを形成するのに充分な温度に上記容器を加熱する工程、
    を含む、流体収容容器の金属の内表面に有機コーティングを形成する方法。
  17. 前記容器を前記ポリマーを架橋させるのに充分な温度に加熱する工程を更に含む、請求項16記載の方法。
  18. 前記暴露工程と加熱工程を同時に行う、請求項16記載の方法。
  19. 前記不活性ガスの流れの流量が200〜1,000ml/minの範囲である、請求項16記載の方法。
  20. 前記塗布工程を、前記有機コーティングが約2.5〜約10μmの範囲の厚さに達するまで繰り返す、請求項16記載の方法。
  21. 前記溶液の粘度が約200〜約800cP(約0.2〜約0.8Pa・s)の範囲である、請求項16記載の方法。
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