JP2004052864A - 流体漏洩防止容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】流体の圧力が高い場合でもシール効果を確保し易く、且つ、容器内への手の挿入を阻害し難くする。
【解決手段】流体収容空間と外部とを仕切る壁部の開口部2から外部に流体Gが漏洩するのを防止自在な流体漏洩防止容器本体5を設け、流体漏洩防止容器本体5に、壁部の開口部2に取付自在な密閉取付部5aと、流体漏洩防止容器本体5内に外部から手を出し入れ自在な作業用開口部5dとを設け、作業用開口部5dの内周縁部に、流体漏洩防止容器本体5に挿入した手との間を密閉する環状のシール部14を設けてある流体漏洩防止容器において、シール部14は、弾性変形自在に形成してあると共に、シール部14の外周側に相当するシール基端部L1を、シール部14の内周側に相当するシール先端部L2に比べて撓み難く形成してある。
【選択図】 図3
【解決手段】流体収容空間と外部とを仕切る壁部の開口部2から外部に流体Gが漏洩するのを防止自在な流体漏洩防止容器本体5を設け、流体漏洩防止容器本体5に、壁部の開口部2に取付自在な密閉取付部5aと、流体漏洩防止容器本体5内に外部から手を出し入れ自在な作業用開口部5dとを設け、作業用開口部5dの内周縁部に、流体漏洩防止容器本体5に挿入した手との間を密閉する環状のシール部14を設けてある流体漏洩防止容器において、シール部14は、弾性変形自在に形成してあると共に、シール部14の外周側に相当するシール基端部L1を、シール部14の内周側に相当するシール先端部L2に比べて撓み難く形成してある。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体収容空間と外部とを仕切る壁部の開口部から外部に流体が漏洩するのを防止自在な流体漏洩防止容器本体を設け、前記流体漏洩防止容器本体に、前記壁部の開口部に取付自在な密閉取付部と、前記流体漏洩防止容器本体内に外部から手を出し入れ自在な作業用開口部とを設け、前記作業用開口部の内周縁部に、前記流体漏洩防止容器本体に挿入した手との間を密閉する環状のシール部を設けてある流体漏洩防止容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、開口部に栓をしてある既設のガス配管(流体配管の一例)を対象として、前記栓を取ってその開口部に別の装着部材(例えば、新設管接続用のバルブ付き継手等)を装着するような場合、ガスを止めずに活管状態で作業を進めるには、開口部からのガスの漏れ出しを防止できる作業環境をつくる必要がある。
当該流体漏洩防止容器は、このような場合に、流体漏洩防止容器本体(以後、単に容器本体と言う)内に装着部材を収容した状態で、開口部に密閉取付部を介して容器本体を気密に接続して、前記作業用開口部から容器本体内に手を入れて、シール部によって容器本体内の密閉状態を維持した状態で前記栓と装着部材との交換を行う際に使用することができ、所謂「ノーブロー袋」や「ノーブローバッグ」と称されているものである。
従来、この種の流体漏洩防止容器としては、図10に示すように、容器本体30を、弾性変形自在な合成樹脂製の一体成形袋体で構成してあるものがあり、この容器本体30の一方に第一貫通孔31を備えた密閉取付部32を設け、容器本体30の他方に第二貫通孔33を備えた前記作業用開口部34を設けてあるものであった。
そして、前記第一貫通孔31の内径寸法は、取付対象のガス配管開口部2に備えた短筒部材2aの外径寸法より小さく形成してあり、前記短筒部材2aが第一貫通孔31を挿通するように容器本体30を被せた時に、第一貫通孔31周囲の弾性復元力で短筒部材2aを締め付けてシール効果を発揮するように構成されていた。また、第二貫通孔33に関しても同様に、腕の外径寸法より小さめに形成してあり、第二貫通孔33の内周縁部がシール部35として機能するように構成されていた。また、容器本体30は、どの部分もほぼ同じ厚み寸法に形成してあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の流体漏洩防止容器によれば、流体の圧力が低い流体配管やタンク等を取付対象としている場合には、シール部のシール効果を期待することができるものの、流体圧力が高いような場合にはその圧力で第二貫通孔周囲のシール部が容易に捲れ上がり、流体が漏れ易くシール部が剥がれると言う問題点があった。
そして、この問題点を解消するためにシール部の厚みを増やすと、手を挿入し難くなり、作業性が低下するといった新たな問題点が生まれる。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、流体の圧力が高い場合でもシール効果を確保し易く、且つ、容器内への手の挿入を阻害し難い流体漏洩防止容器を提供するところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の特徴構成は、流体収容空間と外部とを仕切る壁部の開口部から外部に流体が漏洩するのを防止自在な流体漏洩防止容器本体を設け、前記流体漏洩防止容器本体に、前記壁部の開口部に取付自在な密閉取付部と、前記流体漏洩防止容器本体内に外部から手を出し入れ自在な作業用開口部とを設け、前記作業用開口部の内周縁部に、前記流体漏洩防止容器本体に挿入した手との間を密閉する環状のシール部を設けてある流体漏洩防止容器において、前記シール部は、弾性変形自在に形成してあると共に、前記シール部の外周側に相当するシール基端部を、前記シール部の内周側に相当するシール先端部に比べて撓み難く形成してあるところにある。
【0006】
請求項1の発明の特徴構成によれば、前記シール部は、弾性変形自在に形成してあると共に、前記シール部の外周側に相当するシール基端部を、前記シール部の内周側に相当するシール先端部に比べて撓み難く形成してあるから、シール部全体とした撓み量を、前記シール基端部によって抑制しながら、直接的に手が触れるシール先端部においては、基端部に比べて撓み易いから手の動きにしなやかに追従することが可能となる。その結果、作業用開口部への手の抜き差しや、容器本体内での作業においてはシール先端部が手によく馴染んで柔軟に対応できると共に、容器本体内の流体に対するシール部全体とした耐圧性は、前記シール基端部の変形抑制作用で向上し、高圧にも耐え易くなる。即ち、流体の圧力が高い場合でもシール効果を確保し易く、且つ、容器本体内への手の抜き差しやを、容器本体内での作業を実施しやすくすることが可能となる。
【0007】
請求項2の発明の特徴構成は、前記シール部は、その厚み寸法を、前記シール先端部よりシール基端部の方が大きく設定してあるところにある。
【0008】
請求項2の発明の特徴構成によれば、請求項1の発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、シール基端部の厚み寸法をシ−ル先端部の厚み寸法より大きくしてあるから、例えば、容器本体とシール部とを別部材で構成する場合には、厚み寸法の大きなシール基端部を容器本体に取り付けることで、安定した取り付け状態を維持することが可能となる。
また、シール部の基端部と先端部との厚み寸法を異ならせる手法によって、シール部の撓み性を請求項1に記載のように再現する場合には、シール基端部をシール先端部に比べて撓み難くするにあたり、シール部を基端部も先端部も同一物性の材料によって形成することができ、生産管理を容易にすることができる。その結果、コストダウンを図ることも可能となる。
【0009】
請求項3の発明の特徴構成は、前記シール部は、その強度を、前記シール先端部よりシール基端部の方が大きく設定してあるところにある。
【0010】
請求項3の発明の特徴構成によれば、請求項1又は2の発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、容器本体に対するシール部の取付部分の強度が高いから、シール部の取付強度をも高くすることが可能となり、シール部が外れたり剥がれたりすると言ったことを防止し易くなる。
また、シール基端部の強度をシール先端部に比べて大きくする手法としては、例えば、
(1)シール基端部側の厚み寸法をシール先端部側より大きくする方法。
(2)シール基端部に補強繊維や他の補強部材を配置する方法。
(3)シール先端部よりシール基端部を強度の高い材料を使用する方法。
等が挙げられるが、前記(2)、(3)の各方法を採用する場合には、シール部の厚み寸法はシール先端部もシール基端部も同じ厚みに形成すると言ったことも可能となり、例えば、生産におけるシール部品の寸法精度を向上させやすくなったり、生産用金型の製作手間を軽減する等の効果を期待することができる。
【0011】
請求項4の発明の特徴構成は、前記シール部は、内径寸法の異なる複数のリングシール部材を厚み方向に重ねて構成してあるところにある。
【0012】
請求項4の発明の特徴構成によれば、請求項1〜3の何れかの発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、複数のリングシール部材そのものは、単純な形状のものを用いることができながら、それら内径寸法の異なるリングシール部材を、厚み方向に重ね合わせることによって、シール部材全体としてはシール基端部がシール先端部より撓み難いものを提供することが可能となり、製作コストの低減化を図ることが可能となる。
【0013】
請求項5の発明の特徴構成は、前記シール部には、前記シール先端部が、厚み方向に間隔をあけて複数設けてあるところにある。
【0014】
請求項5の発明の特徴構成によれば、請求項1〜4の何れかの発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、複数のシール先端部による多重シール効果によって、容器本体内空部の密閉性をより高く維持することが可能となる。
これは、単に、複数のシール先端部が設けてあることによる作用によることの他、厚み方向に間隔をあけて各シール先端部が設けてあることによって、隣接するシール先端部間には隙間が確保され、その隙間範囲で各別に弾性変形することが可能となるから、作業用開口部に挿入した手に各シール先端部が接当する際、個別に変形することが可能となり、各接当部分で、より好ましい状態にシール効果を発揮することができ、全体的なシール効果が向上するものである。
【0015】
請求項6の発明の特徴構成は、前記作業用開口部は、前記流体漏洩防止容器本体に対して着脱自在に形成してあるところにある。
【0016】
請求項6の発明の特徴構成によれば、請求項1〜5の何れかの発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、前記作業用開口部を、前記流体漏洩防止容器本体に対して着脱することが可能となる。従って、作業用開口部と流体漏洩防止容器本体との何れかの消耗が激しくなったり、それら何れかが破損したような場合でも、該当する方を別のものに取り替えることが簡単にできるようになる。一般的には、シール部を備えた作業用開口部の方が消耗が激しいが、流体漏洩防止容器本体は従来のものを使用しながら、前記作業用開口部のみを取り替えると言ったことが可能となり、部材コストのダウンを叶えることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
【0018】
図1〜5は、本発明の流体漏洩防止容器の一実施形態品(以後、単に防止容器Bと言う)を例示するもので、この防止容器Bは、例えば、設置されている金属製のガス導管(流体配管に相当)Pに後から分岐栓やメータ等の装着部材1を連通状態に取り付ける際に、ガス導管Pの管壁(壁部に相当)に設けられた取付対象部P1に当該防止容器Bを予め設置しておくことで、防止容器B内空部に手を入れて実施する取付作業を、周囲へのガス(流体に相当)Gの漏洩を防止した状態で実施することができるようにするメンテナンス補助具である。
【0019】
前記ガス導管Pの取付対象部P1には、開口部2と、その開口部2を閉塞しておく蓋部材3と、前記防止容器Bを着脱自在な容器取付部4が設けてある(図3参照)。
【0020】
前記開口部2は、様々な形態が考えられるが、当該実施形態では、ネジ切り加工を施した短筒部材2aを、ガス導管Pの貫通穴h周囲に固着状態に設けて構成してある。そして、短筒部材2aのネジ部分に前記蓋部材3を密閉状態に螺合取り付けしてある。この蓋部材3は前記短筒部材2aから取り外すことができ、蓋部材3に替えて前記装着部材1を装着することもできる。
前記容器取付部4は、図に示すように、平面視形状が環状で、前記短筒部材2aの外側に位置する状態に設けてあり、上面が平面に形成された設置面部4aと、前記防止容器Bを設置面部4a上に載置した状態で固定するアンカーボルト4bとを設けて構成してある。環状の前記設置面部4a上に、前記防止容器Bの密閉取付部5a(後述)が当接する状態に載置し、前記アンカーボルト4bにナットNを螺合させて密閉取付部5aを挟み込む状態で締め付けることで、前記容器取付部4に前記防止容器Bを密閉状態に取り付けることが可能となる。
【0021】
次に、前記防止容器Bについて説明すると、前記容器取付部4に取付自在な筒形状の流体漏洩防止容器本体(以後、単に防止容器本体という)5によって構成してある。
前記防止容器本体5は、図2に示すように、前記設置面部4aに載置してアンカーボルト4bで固定する金属製の環状密閉取付部5aと、その密閉取付部5a上に一体に取り付けられたアクリル樹脂(又は、ボリカーボネイトや塩化ビニル樹脂等)で透明に形成された筒本体部5bと、筒本体部5bの上縁部に一体的に設けられた金属製で鉢巻き形状の台座部5cと、台座部5cにバックル9を介して着脱自在な作業用開口部5dとを設けて構成してある。尚、前記作業用開口部5dを除く各部材は、一体に組み付けてある。
【0022】
前記密閉取付部5aは、上述の通り環状に形成してあり、その外周部には、径方向に突出する複数のボルト係入部6を一体に設けてある。このボルト係入部6は、図に示すように、平面視における形状が「U」字形状に形成してあり、「U」の凹部に、前記アンカーボルト4bが係入する状態に防止容器Bをセットするだけで、前記容器取付部4上の所定位置に防止容器Bを位置決め配置することが可能となる。そして、前記アンカーボルト4bにナットNを螺合させて締め付けることで、前記設置面部4a上に密接状態に固定することができる。
【0023】
前記筒本体部5bは、前記密閉取付部5a、及び、前記台座部5cそれぞれに螺合させて一体化してある。また、螺合部分には、シールを施してあり、繋ぎ目からガス漏れのないように構成してある。尚、筒本体部5bは、透明であるから、筒内空部に手を入れて作業する際に、外部から、その対象部分を目で見ながら作業を進めることができる。
【0024】
前記台座部5cは、前記密閉取付部5aと同様に環状に形成してある。また、この台座部5cの上面には、環状溝7を形成してあり、その環状溝7には、シール用のO(オー)リング8が嵌入してある。一方、台座部5cの外周部には、複数のバックル9を取り付けてある。このバックル9を、台座部5c上に載置した作業用開口部5dの被係止部10に係止させて締め付けることによって、前記Oリング8を介して作業用開口部5dを引き寄せて密接状態に取り付けることができる。また、バックル9を外す方向に操作すると、台座部5cから作業用開口部5dを取り外すことができる。
【0025】
前記作業用開口部5dは、前記台座部5cと同様に環状に形成してあり、その中央部が手を挿通自在な貫通孔11として形成してある。
また、作業用開口部5dの詳細は、図3〜5に示すように、金属製の外枠部材12と上枠部材13と、前記外枠部材12と上枠部材13との間に挟み固定されたゴム製のシール部14とを備えて構成してある。
前記外枠部材12は、外周部に前記台座部5cのバックル9が係合する被係止部10を周方向に間隔をあけて複数設けてある。また、外枠部材12の下面部分は、下枠となる部分で、この下枠部分12aと、前記上枠部材13とで前記シール部14を挟み込んでボルトで締めることで、前記シール部14を作業用開口部5dに取り付けてある。
【0026】
前記シール部14についてさらに詳しく説明すると、シール部14は、厚み方向に複数のリングシール部材14A,14Bを重ねて構成してある。
以後の説明においては、14Aのリングシール部材を第一シール部材と言い、14Bのリングシール部材を第二シール部材と言う。
第一シール部材14Aと第二シール部材14Bとは、共に同じ材質で形成してあり、外径寸法は同寸法に形成してあるが、内径寸法は、前記第一シール部材14Aの方が、第二シール部材14Bより小さく設定してある。また、厚み寸法は、第一シール部材14Aは、第二シール部材14Bより薄く形成してある。
そして、当該実施形態で説明しているシール部14においては、二つの第一シール部材14Aで、一つの第二シール部材14Bを挟む状態に配置して構成してある。
また、前記第一シール部材14Aの内径寸法は、挿入する手の外径寸法より若干小さく設定してあり、手が挿入できるけれども、シール先端部が手に密接してガス漏れを起こさない程度の寸法に設定してある。
一方、前記第二シール部材14Bの内径寸法は、前記外枠部材12、上枠部材13の内径寸法よりも小さく設定してある。
従って、図3に示すように、シール部14の幅の内、弾性変形してシール効果を発揮すると考えられる幅寸法をLとすると、図中のシール基端部L1側の部分は、二枚の第一シール部材14Aと一つの第二シール部材14Bとが重なった状態であり、図中のシール先端部L2側の部分は、厚み方向に間隔をあけて両第一シール部材14Aのみが存在する状態となる。即ち、シール基端部L1は、シール先端部L2に比べて厚み寸法が大きく、それに伴って厚み方向に撓み難く形成されている。その結果、前記貫通孔11に手を抜き差しする際には、前記二枚の第一シール部材14Aのみが接当する状態となり、それぞれの第一シール部材14Aがしなやかに弾性変形しながら手に沿った状態に馴染みやすい。そして、シール効果に関しては、撓み難い前記シール基端部L1によってシール先端部L2を弾性的にサポートしているから、前記シール先端部L2が過度に変形しすぎてシール効果が低下するという現象を前記シール基端部L1によって防止している。(図4参照)
その結果、手の出し入れは容易に実施できながら、手回りのシール効果の向上が図れるようになった。更には、シール先端部L2が過度な変形を生じ難くなることによって、裂けたり傷ついたりし難くなり、シール部の耐久性も向上するようになった。そして、仮に、シール部14の損耗が激しくなったとしても、シール部14全体を取り替える必要が無く、例えば、各リングシール部材の内、使用に耐えなくなった部材のみを交換すればよい。従って、維持管理上のコスト低減を果たすことも可能となる。尚、シール部14全体の形状は複雑であるが、構成している各リングシール部材そのものは、非常に単純な形状であり、製作コストの低減化を図れることを加味すると、当該シール部14全体としたコストダウンを叶えることが可能となる。
【0027】
次に、当該防止容器Bの使用の一例について説明する。この例は、予め、ガス導管Pに設置してある蓋部材3を、装着部材1に取り替えるもので、それらの取り替え作業を、ガス導管Pの活管状態で行うに当たり、前記防止容器Bをガス導管の開口部2に設置しておき、その内部に手を挿入した密閉環境下で作業を進めると言うものである。
[1] ガス導管Pの閉状態の開口部2に当該防止容器Bを設置する。具体例としては、予め、防止容器Bを、作業用開口部5dのみを取り外した状態に用意しておき、下端部の密閉取付部5aがガス導管Pの設置面部4a上に位置する状態にセットする。因みに、この状態では、アンカーボルト4bが、密閉取付部5aのボルト係入部6内に係入している。そして、ナットNで締め付け固定する。
[2] 防止容器Bの内空部に新しく取り替える装着部材1を入れておく。
[3] 防止容器Bの上に作業用開口部5dを取り付ける(図3参照)。具体的には、台座部5cのOリング8上に作業用開口部5dの外枠部材12を載置した状態でバックル9を係止操作して一体的に取り付ける。
[4] シール部14の中央部に開口した貫通孔11に作業者の手を挿入して、密閉された防止容器B内で蓋部材3を外した後、ガスGが漏れない状態に装着部材1を取り付ける(図4、図5参照)。
[5] 防止容器Bを取り外すと共に、蓋部材3を回収する。
【0028】
本実施形態の防止容器Bによれば、シール部14全体とした撓み量を、前記シール基端部L1によって抑制しながら、直接的に手が触れるシール先端部L2においては、基端部に比べて撓み易いから手の動きにしなやかに追従することが可能となる。その結果、ガスGの圧力が高い場合でもシール効果を確保し易く、且つ、防止容器本体5内への手の抜き差しやを、防止容器本体5内での作業を実施しやすくすることが可能となる。また、シール部14そのものは、簡単な形状のリング状のシール部材を複数組み合わせて構成してあるから、部品としての供給コストの削減を叶えることができると共に、傷みの激しいパーツだけを交換することが可能となり、維持管理上の材料コストをも低減させることが可能となる。
【0029】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0030】
〈1〉 当該流体漏洩防止容器の取付対象となる開口部は、先の実施形態で説明した形式のものに限らず、例えば、流体配管の端部そのものであったり、流体配管に取り付けられた分岐配管であってもよく、更には、その部分の構造も、先の実施形態でのもの以外に、様々な形態をとることができる。更には、流体配管に設けられた開口部に替えて、タンク等の流体容器に設けられた開口部であってもよく、要するに、流体収容空間と外部とを仕切る壁部の開口部を取付対象とすることができる。即ち、当該流体漏洩防止容器は、様々な形態の壁部の開口部に取り付けることが可能である。
従って、密閉取付部5aの形式も、それら様々な形態の開口部にあわせてそれぞれ対応する形態を採用することができる。
〈2〉 前記流体漏洩防止容器は、先の実施形態で説明した密閉取付部5a・筒本体部5b・台座部5cが一体となったものと、それとは別体の作業用開口部5dとからなる構成に限るものではなく、例えば、それら各構成が一体となったものであってもよい。更には、袋体から構成してあってもよい。また、使用目的は、流体配管に装着部材を取り付ける際に用いることに限らず、例えば、壁部に形成した孔周囲のバリ取り作業や、前記壁部で仕切られた流体収容空間内のダスト除去作業等にも用いることができる。
〈3〉 前記シール部14は、先の実施形態で説明したように上縁・下縁の二箇所にシール先端部L2を間隔をあけて配置してある構成に限るものではなく、例えば、図6、図7に示すように、一箇所のシール先端部L2を備えたものや、三箇所以上の複数箇所にシール先端部L2を配置したものであってもよい。そして、シール部14を構成するのに、複数のリングシール部材を厚み方向に重ねる構造に限るものではなく、例えば、一体品で構成するものであってもよい(図6、図8、図9に示す通りである。)。
また、シール部14は、先の実施形態で説明したように、シール基端部L1とシール先端部L2との厚み寸法が二段階に異なるものに限らず、例えば、図8に示すように、シール基端部L1からシール先端部L2にかけて徐々に薄く変化するように構成してあってもよい。
また、図6に示すように、厚み寸法はシール部14全体に同じ寸法に形成してある場合であっても、例えば、シール基端部L1側に補強繊維等の補強部材Sを埋め込んで、シール先端部L2より厚み方向に撓み難く形成してあるものや、材質そのものをシール基端部L1の方を、シール先端部L2に比べて撓み難いものを選択してあるものであってもよい。
要するに、前記シール部14は、弾性変形自在に形成してあると共に、前記シール部14の外周側に相当するシール基端部L1を、前記シール部14の内周側に相当するシール先端部L2に比べて撓み難く形成してあればよい。それらを総称して、シール部14と言う。
【0031】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の流体漏洩防止容器の取付状況を示す要部斜視図
【図2】実施形態の流体漏洩防止容器を示す分解斜視図
【図3】実施形態の流体漏洩防止容器を示す要部断面図
【図4】実施形態の流体漏洩防止容器を示す要部断面図
【図5】実施形態の流体漏洩防止容器を示す要部断面図
【図6】別実施形態のシール部を示す断面図
【図7】別実施形態のシール部を示す断面図
【図8】別実施形態のシール部を示す断面図
【図9】別実施形態のシール部を示す断面図
【図10】従来の流体漏洩防止容器の取付状況を示す要部説明図
【符号の説明】
2 開口部
5 流体漏洩防止容器本体
5a 密閉取付部
5d 作業用開口部
14 シール部
14A リングシール部材
14B リングシール部材
G 流体
L1 シール基端部
L2 シール先端部
P 流体配管
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体収容空間と外部とを仕切る壁部の開口部から外部に流体が漏洩するのを防止自在な流体漏洩防止容器本体を設け、前記流体漏洩防止容器本体に、前記壁部の開口部に取付自在な密閉取付部と、前記流体漏洩防止容器本体内に外部から手を出し入れ自在な作業用開口部とを設け、前記作業用開口部の内周縁部に、前記流体漏洩防止容器本体に挿入した手との間を密閉する環状のシール部を設けてある流体漏洩防止容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、開口部に栓をしてある既設のガス配管(流体配管の一例)を対象として、前記栓を取ってその開口部に別の装着部材(例えば、新設管接続用のバルブ付き継手等)を装着するような場合、ガスを止めずに活管状態で作業を進めるには、開口部からのガスの漏れ出しを防止できる作業環境をつくる必要がある。
当該流体漏洩防止容器は、このような場合に、流体漏洩防止容器本体(以後、単に容器本体と言う)内に装着部材を収容した状態で、開口部に密閉取付部を介して容器本体を気密に接続して、前記作業用開口部から容器本体内に手を入れて、シール部によって容器本体内の密閉状態を維持した状態で前記栓と装着部材との交換を行う際に使用することができ、所謂「ノーブロー袋」や「ノーブローバッグ」と称されているものである。
従来、この種の流体漏洩防止容器としては、図10に示すように、容器本体30を、弾性変形自在な合成樹脂製の一体成形袋体で構成してあるものがあり、この容器本体30の一方に第一貫通孔31を備えた密閉取付部32を設け、容器本体30の他方に第二貫通孔33を備えた前記作業用開口部34を設けてあるものであった。
そして、前記第一貫通孔31の内径寸法は、取付対象のガス配管開口部2に備えた短筒部材2aの外径寸法より小さく形成してあり、前記短筒部材2aが第一貫通孔31を挿通するように容器本体30を被せた時に、第一貫通孔31周囲の弾性復元力で短筒部材2aを締め付けてシール効果を発揮するように構成されていた。また、第二貫通孔33に関しても同様に、腕の外径寸法より小さめに形成してあり、第二貫通孔33の内周縁部がシール部35として機能するように構成されていた。また、容器本体30は、どの部分もほぼ同じ厚み寸法に形成してあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の流体漏洩防止容器によれば、流体の圧力が低い流体配管やタンク等を取付対象としている場合には、シール部のシール効果を期待することができるものの、流体圧力が高いような場合にはその圧力で第二貫通孔周囲のシール部が容易に捲れ上がり、流体が漏れ易くシール部が剥がれると言う問題点があった。
そして、この問題点を解消するためにシール部の厚みを増やすと、手を挿入し難くなり、作業性が低下するといった新たな問題点が生まれる。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、流体の圧力が高い場合でもシール効果を確保し易く、且つ、容器内への手の挿入を阻害し難い流体漏洩防止容器を提供するところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の特徴構成は、流体収容空間と外部とを仕切る壁部の開口部から外部に流体が漏洩するのを防止自在な流体漏洩防止容器本体を設け、前記流体漏洩防止容器本体に、前記壁部の開口部に取付自在な密閉取付部と、前記流体漏洩防止容器本体内に外部から手を出し入れ自在な作業用開口部とを設け、前記作業用開口部の内周縁部に、前記流体漏洩防止容器本体に挿入した手との間を密閉する環状のシール部を設けてある流体漏洩防止容器において、前記シール部は、弾性変形自在に形成してあると共に、前記シール部の外周側に相当するシール基端部を、前記シール部の内周側に相当するシール先端部に比べて撓み難く形成してあるところにある。
【0006】
請求項1の発明の特徴構成によれば、前記シール部は、弾性変形自在に形成してあると共に、前記シール部の外周側に相当するシール基端部を、前記シール部の内周側に相当するシール先端部に比べて撓み難く形成してあるから、シール部全体とした撓み量を、前記シール基端部によって抑制しながら、直接的に手が触れるシール先端部においては、基端部に比べて撓み易いから手の動きにしなやかに追従することが可能となる。その結果、作業用開口部への手の抜き差しや、容器本体内での作業においてはシール先端部が手によく馴染んで柔軟に対応できると共に、容器本体内の流体に対するシール部全体とした耐圧性は、前記シール基端部の変形抑制作用で向上し、高圧にも耐え易くなる。即ち、流体の圧力が高い場合でもシール効果を確保し易く、且つ、容器本体内への手の抜き差しやを、容器本体内での作業を実施しやすくすることが可能となる。
【0007】
請求項2の発明の特徴構成は、前記シール部は、その厚み寸法を、前記シール先端部よりシール基端部の方が大きく設定してあるところにある。
【0008】
請求項2の発明の特徴構成によれば、請求項1の発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、シール基端部の厚み寸法をシ−ル先端部の厚み寸法より大きくしてあるから、例えば、容器本体とシール部とを別部材で構成する場合には、厚み寸法の大きなシール基端部を容器本体に取り付けることで、安定した取り付け状態を維持することが可能となる。
また、シール部の基端部と先端部との厚み寸法を異ならせる手法によって、シール部の撓み性を請求項1に記載のように再現する場合には、シール基端部をシール先端部に比べて撓み難くするにあたり、シール部を基端部も先端部も同一物性の材料によって形成することができ、生産管理を容易にすることができる。その結果、コストダウンを図ることも可能となる。
【0009】
請求項3の発明の特徴構成は、前記シール部は、その強度を、前記シール先端部よりシール基端部の方が大きく設定してあるところにある。
【0010】
請求項3の発明の特徴構成によれば、請求項1又は2の発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、容器本体に対するシール部の取付部分の強度が高いから、シール部の取付強度をも高くすることが可能となり、シール部が外れたり剥がれたりすると言ったことを防止し易くなる。
また、シール基端部の強度をシール先端部に比べて大きくする手法としては、例えば、
(1)シール基端部側の厚み寸法をシール先端部側より大きくする方法。
(2)シール基端部に補強繊維や他の補強部材を配置する方法。
(3)シール先端部よりシール基端部を強度の高い材料を使用する方法。
等が挙げられるが、前記(2)、(3)の各方法を採用する場合には、シール部の厚み寸法はシール先端部もシール基端部も同じ厚みに形成すると言ったことも可能となり、例えば、生産におけるシール部品の寸法精度を向上させやすくなったり、生産用金型の製作手間を軽減する等の効果を期待することができる。
【0011】
請求項4の発明の特徴構成は、前記シール部は、内径寸法の異なる複数のリングシール部材を厚み方向に重ねて構成してあるところにある。
【0012】
請求項4の発明の特徴構成によれば、請求項1〜3の何れかの発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、複数のリングシール部材そのものは、単純な形状のものを用いることができながら、それら内径寸法の異なるリングシール部材を、厚み方向に重ね合わせることによって、シール部材全体としてはシール基端部がシール先端部より撓み難いものを提供することが可能となり、製作コストの低減化を図ることが可能となる。
【0013】
請求項5の発明の特徴構成は、前記シール部には、前記シール先端部が、厚み方向に間隔をあけて複数設けてあるところにある。
【0014】
請求項5の発明の特徴構成によれば、請求項1〜4の何れかの発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、複数のシール先端部による多重シール効果によって、容器本体内空部の密閉性をより高く維持することが可能となる。
これは、単に、複数のシール先端部が設けてあることによる作用によることの他、厚み方向に間隔をあけて各シール先端部が設けてあることによって、隣接するシール先端部間には隙間が確保され、その隙間範囲で各別に弾性変形することが可能となるから、作業用開口部に挿入した手に各シール先端部が接当する際、個別に変形することが可能となり、各接当部分で、より好ましい状態にシール効果を発揮することができ、全体的なシール効果が向上するものである。
【0015】
請求項6の発明の特徴構成は、前記作業用開口部は、前記流体漏洩防止容器本体に対して着脱自在に形成してあるところにある。
【0016】
請求項6の発明の特徴構成によれば、請求項1〜5の何れかの発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、前記作業用開口部を、前記流体漏洩防止容器本体に対して着脱することが可能となる。従って、作業用開口部と流体漏洩防止容器本体との何れかの消耗が激しくなったり、それら何れかが破損したような場合でも、該当する方を別のものに取り替えることが簡単にできるようになる。一般的には、シール部を備えた作業用開口部の方が消耗が激しいが、流体漏洩防止容器本体は従来のものを使用しながら、前記作業用開口部のみを取り替えると言ったことが可能となり、部材コストのダウンを叶えることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
【0018】
図1〜5は、本発明の流体漏洩防止容器の一実施形態品(以後、単に防止容器Bと言う)を例示するもので、この防止容器Bは、例えば、設置されている金属製のガス導管(流体配管に相当)Pに後から分岐栓やメータ等の装着部材1を連通状態に取り付ける際に、ガス導管Pの管壁(壁部に相当)に設けられた取付対象部P1に当該防止容器Bを予め設置しておくことで、防止容器B内空部に手を入れて実施する取付作業を、周囲へのガス(流体に相当)Gの漏洩を防止した状態で実施することができるようにするメンテナンス補助具である。
【0019】
前記ガス導管Pの取付対象部P1には、開口部2と、その開口部2を閉塞しておく蓋部材3と、前記防止容器Bを着脱自在な容器取付部4が設けてある(図3参照)。
【0020】
前記開口部2は、様々な形態が考えられるが、当該実施形態では、ネジ切り加工を施した短筒部材2aを、ガス導管Pの貫通穴h周囲に固着状態に設けて構成してある。そして、短筒部材2aのネジ部分に前記蓋部材3を密閉状態に螺合取り付けしてある。この蓋部材3は前記短筒部材2aから取り外すことができ、蓋部材3に替えて前記装着部材1を装着することもできる。
前記容器取付部4は、図に示すように、平面視形状が環状で、前記短筒部材2aの外側に位置する状態に設けてあり、上面が平面に形成された設置面部4aと、前記防止容器Bを設置面部4a上に載置した状態で固定するアンカーボルト4bとを設けて構成してある。環状の前記設置面部4a上に、前記防止容器Bの密閉取付部5a(後述)が当接する状態に載置し、前記アンカーボルト4bにナットNを螺合させて密閉取付部5aを挟み込む状態で締め付けることで、前記容器取付部4に前記防止容器Bを密閉状態に取り付けることが可能となる。
【0021】
次に、前記防止容器Bについて説明すると、前記容器取付部4に取付自在な筒形状の流体漏洩防止容器本体(以後、単に防止容器本体という)5によって構成してある。
前記防止容器本体5は、図2に示すように、前記設置面部4aに載置してアンカーボルト4bで固定する金属製の環状密閉取付部5aと、その密閉取付部5a上に一体に取り付けられたアクリル樹脂(又は、ボリカーボネイトや塩化ビニル樹脂等)で透明に形成された筒本体部5bと、筒本体部5bの上縁部に一体的に設けられた金属製で鉢巻き形状の台座部5cと、台座部5cにバックル9を介して着脱自在な作業用開口部5dとを設けて構成してある。尚、前記作業用開口部5dを除く各部材は、一体に組み付けてある。
【0022】
前記密閉取付部5aは、上述の通り環状に形成してあり、その外周部には、径方向に突出する複数のボルト係入部6を一体に設けてある。このボルト係入部6は、図に示すように、平面視における形状が「U」字形状に形成してあり、「U」の凹部に、前記アンカーボルト4bが係入する状態に防止容器Bをセットするだけで、前記容器取付部4上の所定位置に防止容器Bを位置決め配置することが可能となる。そして、前記アンカーボルト4bにナットNを螺合させて締め付けることで、前記設置面部4a上に密接状態に固定することができる。
【0023】
前記筒本体部5bは、前記密閉取付部5a、及び、前記台座部5cそれぞれに螺合させて一体化してある。また、螺合部分には、シールを施してあり、繋ぎ目からガス漏れのないように構成してある。尚、筒本体部5bは、透明であるから、筒内空部に手を入れて作業する際に、外部から、その対象部分を目で見ながら作業を進めることができる。
【0024】
前記台座部5cは、前記密閉取付部5aと同様に環状に形成してある。また、この台座部5cの上面には、環状溝7を形成してあり、その環状溝7には、シール用のO(オー)リング8が嵌入してある。一方、台座部5cの外周部には、複数のバックル9を取り付けてある。このバックル9を、台座部5c上に載置した作業用開口部5dの被係止部10に係止させて締め付けることによって、前記Oリング8を介して作業用開口部5dを引き寄せて密接状態に取り付けることができる。また、バックル9を外す方向に操作すると、台座部5cから作業用開口部5dを取り外すことができる。
【0025】
前記作業用開口部5dは、前記台座部5cと同様に環状に形成してあり、その中央部が手を挿通自在な貫通孔11として形成してある。
また、作業用開口部5dの詳細は、図3〜5に示すように、金属製の外枠部材12と上枠部材13と、前記外枠部材12と上枠部材13との間に挟み固定されたゴム製のシール部14とを備えて構成してある。
前記外枠部材12は、外周部に前記台座部5cのバックル9が係合する被係止部10を周方向に間隔をあけて複数設けてある。また、外枠部材12の下面部分は、下枠となる部分で、この下枠部分12aと、前記上枠部材13とで前記シール部14を挟み込んでボルトで締めることで、前記シール部14を作業用開口部5dに取り付けてある。
【0026】
前記シール部14についてさらに詳しく説明すると、シール部14は、厚み方向に複数のリングシール部材14A,14Bを重ねて構成してある。
以後の説明においては、14Aのリングシール部材を第一シール部材と言い、14Bのリングシール部材を第二シール部材と言う。
第一シール部材14Aと第二シール部材14Bとは、共に同じ材質で形成してあり、外径寸法は同寸法に形成してあるが、内径寸法は、前記第一シール部材14Aの方が、第二シール部材14Bより小さく設定してある。また、厚み寸法は、第一シール部材14Aは、第二シール部材14Bより薄く形成してある。
そして、当該実施形態で説明しているシール部14においては、二つの第一シール部材14Aで、一つの第二シール部材14Bを挟む状態に配置して構成してある。
また、前記第一シール部材14Aの内径寸法は、挿入する手の外径寸法より若干小さく設定してあり、手が挿入できるけれども、シール先端部が手に密接してガス漏れを起こさない程度の寸法に設定してある。
一方、前記第二シール部材14Bの内径寸法は、前記外枠部材12、上枠部材13の内径寸法よりも小さく設定してある。
従って、図3に示すように、シール部14の幅の内、弾性変形してシール効果を発揮すると考えられる幅寸法をLとすると、図中のシール基端部L1側の部分は、二枚の第一シール部材14Aと一つの第二シール部材14Bとが重なった状態であり、図中のシール先端部L2側の部分は、厚み方向に間隔をあけて両第一シール部材14Aのみが存在する状態となる。即ち、シール基端部L1は、シール先端部L2に比べて厚み寸法が大きく、それに伴って厚み方向に撓み難く形成されている。その結果、前記貫通孔11に手を抜き差しする際には、前記二枚の第一シール部材14Aのみが接当する状態となり、それぞれの第一シール部材14Aがしなやかに弾性変形しながら手に沿った状態に馴染みやすい。そして、シール効果に関しては、撓み難い前記シール基端部L1によってシール先端部L2を弾性的にサポートしているから、前記シール先端部L2が過度に変形しすぎてシール効果が低下するという現象を前記シール基端部L1によって防止している。(図4参照)
その結果、手の出し入れは容易に実施できながら、手回りのシール効果の向上が図れるようになった。更には、シール先端部L2が過度な変形を生じ難くなることによって、裂けたり傷ついたりし難くなり、シール部の耐久性も向上するようになった。そして、仮に、シール部14の損耗が激しくなったとしても、シール部14全体を取り替える必要が無く、例えば、各リングシール部材の内、使用に耐えなくなった部材のみを交換すればよい。従って、維持管理上のコスト低減を果たすことも可能となる。尚、シール部14全体の形状は複雑であるが、構成している各リングシール部材そのものは、非常に単純な形状であり、製作コストの低減化を図れることを加味すると、当該シール部14全体としたコストダウンを叶えることが可能となる。
【0027】
次に、当該防止容器Bの使用の一例について説明する。この例は、予め、ガス導管Pに設置してある蓋部材3を、装着部材1に取り替えるもので、それらの取り替え作業を、ガス導管Pの活管状態で行うに当たり、前記防止容器Bをガス導管の開口部2に設置しておき、その内部に手を挿入した密閉環境下で作業を進めると言うものである。
[1] ガス導管Pの閉状態の開口部2に当該防止容器Bを設置する。具体例としては、予め、防止容器Bを、作業用開口部5dのみを取り外した状態に用意しておき、下端部の密閉取付部5aがガス導管Pの設置面部4a上に位置する状態にセットする。因みに、この状態では、アンカーボルト4bが、密閉取付部5aのボルト係入部6内に係入している。そして、ナットNで締め付け固定する。
[2] 防止容器Bの内空部に新しく取り替える装着部材1を入れておく。
[3] 防止容器Bの上に作業用開口部5dを取り付ける(図3参照)。具体的には、台座部5cのOリング8上に作業用開口部5dの外枠部材12を載置した状態でバックル9を係止操作して一体的に取り付ける。
[4] シール部14の中央部に開口した貫通孔11に作業者の手を挿入して、密閉された防止容器B内で蓋部材3を外した後、ガスGが漏れない状態に装着部材1を取り付ける(図4、図5参照)。
[5] 防止容器Bを取り外すと共に、蓋部材3を回収する。
【0028】
本実施形態の防止容器Bによれば、シール部14全体とした撓み量を、前記シール基端部L1によって抑制しながら、直接的に手が触れるシール先端部L2においては、基端部に比べて撓み易いから手の動きにしなやかに追従することが可能となる。その結果、ガスGの圧力が高い場合でもシール効果を確保し易く、且つ、防止容器本体5内への手の抜き差しやを、防止容器本体5内での作業を実施しやすくすることが可能となる。また、シール部14そのものは、簡単な形状のリング状のシール部材を複数組み合わせて構成してあるから、部品としての供給コストの削減を叶えることができると共に、傷みの激しいパーツだけを交換することが可能となり、維持管理上の材料コストをも低減させることが可能となる。
【0029】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0030】
〈1〉 当該流体漏洩防止容器の取付対象となる開口部は、先の実施形態で説明した形式のものに限らず、例えば、流体配管の端部そのものであったり、流体配管に取り付けられた分岐配管であってもよく、更には、その部分の構造も、先の実施形態でのもの以外に、様々な形態をとることができる。更には、流体配管に設けられた開口部に替えて、タンク等の流体容器に設けられた開口部であってもよく、要するに、流体収容空間と外部とを仕切る壁部の開口部を取付対象とすることができる。即ち、当該流体漏洩防止容器は、様々な形態の壁部の開口部に取り付けることが可能である。
従って、密閉取付部5aの形式も、それら様々な形態の開口部にあわせてそれぞれ対応する形態を採用することができる。
〈2〉 前記流体漏洩防止容器は、先の実施形態で説明した密閉取付部5a・筒本体部5b・台座部5cが一体となったものと、それとは別体の作業用開口部5dとからなる構成に限るものではなく、例えば、それら各構成が一体となったものであってもよい。更には、袋体から構成してあってもよい。また、使用目的は、流体配管に装着部材を取り付ける際に用いることに限らず、例えば、壁部に形成した孔周囲のバリ取り作業や、前記壁部で仕切られた流体収容空間内のダスト除去作業等にも用いることができる。
〈3〉 前記シール部14は、先の実施形態で説明したように上縁・下縁の二箇所にシール先端部L2を間隔をあけて配置してある構成に限るものではなく、例えば、図6、図7に示すように、一箇所のシール先端部L2を備えたものや、三箇所以上の複数箇所にシール先端部L2を配置したものであってもよい。そして、シール部14を構成するのに、複数のリングシール部材を厚み方向に重ねる構造に限るものではなく、例えば、一体品で構成するものであってもよい(図6、図8、図9に示す通りである。)。
また、シール部14は、先の実施形態で説明したように、シール基端部L1とシール先端部L2との厚み寸法が二段階に異なるものに限らず、例えば、図8に示すように、シール基端部L1からシール先端部L2にかけて徐々に薄く変化するように構成してあってもよい。
また、図6に示すように、厚み寸法はシール部14全体に同じ寸法に形成してある場合であっても、例えば、シール基端部L1側に補強繊維等の補強部材Sを埋め込んで、シール先端部L2より厚み方向に撓み難く形成してあるものや、材質そのものをシール基端部L1の方を、シール先端部L2に比べて撓み難いものを選択してあるものであってもよい。
要するに、前記シール部14は、弾性変形自在に形成してあると共に、前記シール部14の外周側に相当するシール基端部L1を、前記シール部14の内周側に相当するシール先端部L2に比べて撓み難く形成してあればよい。それらを総称して、シール部14と言う。
【0031】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の流体漏洩防止容器の取付状況を示す要部斜視図
【図2】実施形態の流体漏洩防止容器を示す分解斜視図
【図3】実施形態の流体漏洩防止容器を示す要部断面図
【図4】実施形態の流体漏洩防止容器を示す要部断面図
【図5】実施形態の流体漏洩防止容器を示す要部断面図
【図6】別実施形態のシール部を示す断面図
【図7】別実施形態のシール部を示す断面図
【図8】別実施形態のシール部を示す断面図
【図9】別実施形態のシール部を示す断面図
【図10】従来の流体漏洩防止容器の取付状況を示す要部説明図
【符号の説明】
2 開口部
5 流体漏洩防止容器本体
5a 密閉取付部
5d 作業用開口部
14 シール部
14A リングシール部材
14B リングシール部材
G 流体
L1 シール基端部
L2 シール先端部
P 流体配管
Claims (6)
- 流体収容空間と外部とを仕切る壁部の開口部から外部に流体が漏洩するのを防止自在な流体漏洩防止容器本体を設け、前記流体漏洩防止容器本体に、前記壁部の開口部に取付自在な密閉取付部と、前記流体漏洩防止容器本体内に外部から手を出し入れ自在な作業用開口部とを設け、前記作業用開口部の内周縁部に、前記流体漏洩防止容器本体に挿入した手との間を密閉する環状のシール部を設けてある流体漏洩防止容器であって、
前記シール部は、弾性変形自在に形成してあると共に、前記シール部の外周側に相当するシール基端部を、前記シール部の内周側に相当するシール先端部に比べて撓み難く形成してある流体漏洩防止容器。 - 前記シール部は、その厚み寸法を、前記シール先端部よりシール基端部の方が大きく設定してある請求項1に記載の流体漏洩防止容器。
- 前記シール部は、その強度を、前記シール先端部よりシール基端部の方が大きく設定してある請求項1又は2に記載の流体漏洩防止容器。
- 前記シール部は、内径寸法の異なる複数のリングシール部材を厚み方向に重ねて構成してある請求項1〜3の何れか一項に記載の流体漏洩防止容器。
- 前記シール部には、前記シール先端部が、厚み方向に間隔をあけて複数設けてある請求項1〜4の何れか一項に記載の流体漏洩防止容器。
- 前記作業用開口部は、前記流体漏洩防止容器本体に対して着脱自在に形成してある請求項1〜5の何れか一項に記載の流体漏洩防止容器。
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