JP2004052655A - 一軸偏心ねじポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】雌ねじ形ステータ4内に雄ねじ形ロータ5を回転可能に嵌挿して駆動装置によりカップリングロッド10および又は自在継手9を介して偏心回転させることにより、液体を移送するように構成されている一軸偏心ねじポンプ1において、
前記ロータ5を、ロータ本体5aとこのロータ本体5aの外周面上に交換可能に被装される中空のロータカバー5bとから構成している。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として摩耗性のある液体(汚泥、脱水ケーキ、シルトなど)を移送したり、また温度の異なる被移送液を移送したりするのに好適な一軸偏心ねじポンプに関するもので、詳しくはその雄ねじ形ロータに特徴をもつ一軸偏心ねじポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の一軸偏心ねじポンプ31は、図4に示すように、ポンプケーシング32の後壁面に設けられた駆動モータ(図示せず)に減速装置を介して接続された駆動軸33にカップリングロッド34を介して連結した雄ねじ形ロータ35(単にロータともいう)を、雌ねじ形ステータ36内に回転可能に嵌挿して偏心回転させることにより、被移送物を移送するように構成されている。上記ロータ35は、通常、中実(無垢)あるいは中空の金属材から形成されている。上記ロータ35の金属材にはアルミ合金やステンレス鋼が用いられる一方、上記ステータ36は、硬質ゴムなどの弾性体から形成されるのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のロータ、具体的には中実ロータあるいは中空ロータを備えた一軸偏心ねじポンプを用いて汚泥や脱水ケーキなどの摩耗性を有する液体を移送する場合、次のような不都合が生じる可能性がある。すなわち、
▲1▼中実ロータの場合:摩耗性を有する液体を移送するなどして中実ロータの外周面が摩耗すると、ステータとのシメシロがなくなって隙間が生じ、移送効率および移送能力が低下したり、移送できなくなったりする。
【0004】
▲2▼中空ロータの場合:とくに摩耗性の高い液体の移送について一定期間使用すると、ロータの表面に孔が開いたり、被移送液がその孔からロータ内に浸入したり、開いた孔が徐々に大きくなったりして、最終的に移送ができなくなる。
【0005】
▲3▼いずれのロータの場合、摩耗性を有する液体を移送する際に、まずポンプの起動時にロータとステータとに被移送液が接触した状態で両者間の摩擦抵抗が非常に大きく、また移送状態で被移送液がステータの長円孔内で回転しながら長手方向に往復移動するロータに高圧下で接触して移送されるので、上記のようにロータ本体の表面が摩耗したり中空ロータに穴が開くような状態になると、ステータをロータから引き抜いた後、ロータを基端側の自在継手ごと取り外して交換する必要があり、この交換作業に時間がかかるうえに、交換コストもかなり高くなる。また、メンテナンス作業も同じように、ステータをロータから引き抜いてからロータを基端側の自在継手ごと取り外して行わねばならず、メンテナンスにも手間がかかっている。
【0006】
▲4▼また、被移送液が摩耗性を有しないか摩耗性が非常に低いかする場合でも、ユーザーの使用条件や移送時の状況などによって被移送液の温度が変わることがある。すなわち、高温(たとえば60℃)の液体を移送する場合には、温度の低い(たとえば20℃)液体の移送に比べて、ロータの外径を細くするのが望ましい。被移送液の温度が高くなると、通常、弾性体からなるステータはその外周を覆う外筒が一般に金属製の剛体であることから、内方へ(中心部へ向けて)膨張するために、ステータとロータとの間の接触力(締付)が強くなる。したがって、ロータの外径を変更しない場合には、弾性体のステータが短時間で摩耗してしまい、交換を余儀なくされる。しかし、従来のロータ構造では、ロータ自体を交換しなければならず、しかもロータのコストが高いために、ロータ外径の異なるものを何本も用意し、被移送液の温度に応じて選択し使用するには、取り替え作業に手間を要する。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、とくに摩耗性を有する液体と温度の異なる液体を移送するポンプについて、摩耗して移送効率が低下したり移送できなくなったり孔が開きやかったりするロータの交換を容易にするとともに、ロータの外径を簡単に変更できるようにし、そのうえで交換コストを低減し、またメンテナンス作業も従来のロータに比べて短時間で容易に行える一軸偏心ねじポンプを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明にかかる一軸偏心ねじポンプは、雌ねじ形ステータ内に雄ねじ形ロータを回転可能に嵌挿して駆動装置によりカップリングロッドおよび又は自在継手を介して偏心回転させることにより、液体の被移送物を移送するように構成されている一軸偏心ねじポンプにおいて、前記ロータを、ロータ本体とこのロータ本体の外周面上に交換可能に被装される中空のロータカバーとから構成したことを特徴としている。
【0009】
上記の構成を有する本発明の一軸偏心ねじポンプによれば、仮にロータ表面のロータカバーが摩耗して孔が開いても内側にロータ本体があり、そこには孔が開いていないので、ロータ本体内に被移送液が浸入しない。摩耗性の高い液体を移送する場合に、ロータカバーの表面が摩耗してステータとのシメシロがなくなって移送効率や移送能力が低下しても、ロータカバーを交換すれば済むので、交換が容易であり、しかもロータの本体部分は繰り返し使用できるので、交換コストが安く、廃棄上もロータカバーだけ廃棄すればよいので、廃棄物処理の上でも有利である。さらに、温度の異なる液体を移送する場合にも、たとえば低温の液体から高温の液体に移送する液体が変更になる場合には、簡単に外径が小さいロータカバー(内径は同じ)に交換して移送作業を行い得る。この結果、ステータが膨張してもロータの外径が小さくなることで、ロータとステータとの接触状態(接触力)はほとんど変化しないから、高温の液体を移送しても、ステータが従来のように短時間で摩耗したり損傷したりすることがない。
【0010】
さらに、摩耗性の高い液体を移送すると、一軸偏心ねじポンプの特性上、摩耗部分がロータの特定箇所に多く発生し易いが、このような場合には、ロータカバーに孔が開く前にロータカバーをロータ本体から取り外し、前後の向きを逆にしてロータ本体に取り付けることにより、摩耗した部分の位置が変わるから、同じロータカバーを再度使用できるようになり、ロータの寿命の延命化が図れる。
【0011】
以上のようにロータカバーだけを交換すればよいので、交換作業が従来のようにロータ全体を交換するのに比べて容易で、短時間で行えるとともに、交換コストも大幅に低減される。さらに、ロータの点検は主としてロータカバーだけをロータ本体から取り外して行えばよいので、メンテナンス作業も容易になる。
【0012】
請求項2に記載のように、請求項1記載の一軸偏心ねじポンプにおいて、前記ロータ本体を中実ロータとし、この中実ロータの外径を前記ステータのねじ孔径に比べてやや小さくし、ステータのネジ孔径に対応する外径をもつ中空ロータカバーを前記中実ロータの外周にロータカバーを嵌装するとともに、、中空ロータカバーの開口端に該カバー外径と同一の円盤状キャップを着脱可能にねじ止めすることができる。
【0013】
請求項2記載の一軸偏心ねじポンプによれば、中空ロータカバーの交換や点検に際してロータ本体である中実ロータの回転を阻止した状態で、先端側の円盤状キャップを止めねじを緩めて取り外した後、中空ロータカバーを特定の方向に(ロータの螺旋方向と反対方向に)回転させながら先端側に引き抜くことにより取り外すことができる。こうして引き抜いたロータカバーを新しいものに交換するか、あるいは点検して同じロータカバーを使用する際には、ロータカバーを前後逆向きにしたうえで引き抜き時と逆の方向に回転させながらロータ本体の基端側に押し込み嵌挿したのち、円盤状キャップをロータの先端に装着して止めねじを締め付ければよい。
【0014】
請求項3に記載のように、請求項1又は2記載の一軸偏心ねじポンプにおいて、前記ロータ本体と前記中空ロータカバーとで材質を異ならせることができる。
【0015】
請求項3記載の一軸偏心ねじポンプによれば、たとえばロータ本体(中実であろうと中空であろうと問わない)を鋼材(スチール)や合成樹脂材などで形成したうえ、中空ロータカバーを被移送液の種類に応じてステンレス鋼や超硬合金などで形成することができる。したがって、ロータ全体(つまり、ロータ本体を含めて)を被移送液に適合する材質で形成するのに比べて安価になる。
【0016】
請求項4に記載のように、請求項1〜3のいずれか記載の一軸偏心ねじポンプにおいて、被移送液の温度に応じて前記中空ロータカバーの外径を変更することができる。
【0017】
請求項4記載の一軸偏心ねじポンプは構造的に、被移送液の温度に応じてロータカバーをロータ本体に対し交換することにより、ロータの外径を簡単に変更できるので、低温の液体の移送時にはロータカバーの外径を太くすることによってステータのねじ孔とに隙間がなく、高効率で移送できるとともに、高温の液体の移送時にはロータカバーの外径を細くすることによって、ステータの膨張に対応させることができ、長時間移送してもステータが摩耗したり損傷したりせず、ロータおよびステータの寿命が延びる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる一軸偏心ねじポンプの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明の一軸偏心ねじポンプの実施例を示す正面視断面図である。この図1に示すように、本例の一軸偏心ねじポンプ1は上端に吸込口3aを設けたポンプケーシング3の一端開口3bにポンプ本体2を連接した構造からなり、ポンプ本体2は金属製外筒4a内にゴム製の雌ねじ形ステータ4を一体に備え、このステータ4の雌ねじ孔4e内に雄ねじ形ロータ5が回転可能に嵌挿されている。またステータ4の吐出口4bには、エンドスタッド7が一体に取り付けられている。また、ロータ5と電動モータ(図示せず)の駆動軸8との間は、カップリングロッド10が両端に自在継手9・9をそれぞれ介在させて接続されている。
【0020】
ロータ5は、図1に示すように、本例では中実の、やや外径を細くしたロータ本体5aと、このロータ本体5aの外周面に被装される両端を開口した円筒状のロータカバー5bとを備えている。本例の場合、ロータ本体5aは鋼材(スチール)からなり、ロータカバー5bはステンレス鋼からなる。ロータ本体5aは丸棒状の鋼材を旋盤により削りだして雄ねじ形のロータに機械加工される。この際に、基端の自在継手9の連結部分とともに、基端側にリング状の段差部6が一体に形成される。すなわち、ロータ本体5aは基端のリング状段差部6を残して外周面を切削し、ロータカバー5bを嵌挿できる外径に形成している。一方、ロータカバー5bは、たとえばロータ本体5aの外周面に嵌挿可能なステンレス製パイプ材を、金型で周囲から挟み込みプレスするとともに、一方へ引き抜くように加工することによって所定の螺旋形に加工される。
【0021】
こうして形成したロータカバー5bは、回転しないようにロータ本体5aを固定した状態で、ロータ本体5aの先端側からロータカバー5bの一端開口を嵌め込み、ロータカバー5bを一方向(ロータ本体5aの螺旋方向と同じ方向)へ回転させながらロータ本体5aの基端側へ押し込むことにより、ロータカバー5bはロータ本体5aの周囲に嵌挿される。この状態で、ロータカバー5bの先端側でロータ本体5a先端部周囲に円盤状のキャップ11を嵌め込み、キャップ11の中央部に穿設した貫通孔11aに止めねじ12を挿入する。そして、ロータ本体5aの先端面に穿設したねじ孔5cに止めねじ12の先端を螺合し、止めねじ12を回転してねじ込み締め付けることによりキャップ11とともに、ロータカバー5bを一体に取り付ける。
【0022】
キャップ11は、図2に示すように外周面基端部にロータカバー5bの厚みに相当する段差をもつフランジ11bを外周に一体に備え、中央部に外径を大きく縮小した円柱体11cを一体に形成した構造からなる。キャップ11は図1に示すように、ロータカバー5bの先端開口内に嵌め込まれ、フランジ11bをロータカバー5bの開口端に当接され、止めねじ12により固定される。
【0023】
上記のようにして本例の一軸偏心ねじポンプ1が構成されるが、このポンプ1は以下のように使用される。すなわち、
ポンプ1の吸込口に、たとえば脱水ケーキの貯留槽からのホースの一端を接続し、エンドスタッド7の吐出口に脱水ケーキ移送管の一端を接続する。この状態で駆動装置によりロータ5を回転させ、貯留槽の脱水ケーキを下水処理場の所定場所へ移送管を通して圧送することができる。そして、一定期間継続使用したのち、ロータ5の状態を点検する。この点検に際しては、脱水ケーキに代えて洗浄水や清水などをポンプ1内に通して脱水ケーキの付着物を除去した後、ホースおよび移送管を取り外す。それから、エンドスタッド7をステータ4の吐出口から取り外し、ステータ4をポンプ本体2に固定するためのステーボルトを引き抜く。ここで、ステータ4を外筒とともに一方へ回転させ、ロータ5から引き抜いて取り外す。この状態で、ロータ5が完全に露出するので、露出したロータ5の表面、つまりロータカバー5bの表面が摩耗又は表面に孔が開いているか否かを、目で確かめて点検する。
【0024】
もしも、ロータカバー5bが摩耗しているか又は孔が開いていれば寿命がきているので、止めねじ12を緩めてキャップ11を外せば、あとはロータ本体5aを回転しない状態に固定しておき、ロータカバー5bを特定方向に回転させながら引き抜けば、ロータカバー5bをロータ本体5aから取り外すことができる。ロータカバー5bだけを新しいものに交換し、後は逆の手順でロータカバー5bをロータ本体5aの周囲に装着すればよい。
【0025】
図2は本発明にかかる一軸偏心ねじポンプの他の実施例を示す正面視断面図、図3は図2のポンプ用の交換用ロータカバーとキャップで、2種類を示す一部を断面で表した正面図である。
【0026】
図2に示すように、本例の一軸偏心ねじポンプ1’は温度の異なる液体を移送するためのポンプで、図2は高温の液体移送用に外径が細いロータカバー5b2をロータ本体5aに装着した状態を示している。上記実施例と相違するところは、基端側のリング部6の外径も、ロータカバー5b2の外径に合わせて変更できるように着脱可能にしていることである。そのほか、外径の異なるロータカバー5b1をキャップ13とともに2種類準備し、被移送液の温度条件に応じてロータカバー5bの外径を変更できるようにしている。つまり、リング部6だけでなく、円盤状のキャップ11についても、キャップ11外周のフランジ11bの外径Dをロータカバー5bの外径Dに合わせて変更した、2種類のキャップ11をあらかじめ準備している。なお、図示は省略するが、本例の場合にも、エンドスタッド7には液体移送管が接続される。上記実施例のポンプ1と共通するその他の部材については、同一の符号を用いて図示し、説明を省略する。また、リング部6は別体にせず上記実施例と同様にロータ本体5aと一体に形成することもできる。
【0027】
以上のようにして構成される本例の一軸偏心ねじポンプ1’は、以下のように使用する。すなわち、
図2に示すように、高温の液体を移送する場合には、常温あるいは低温の液体を移送する場合に比べて、外径の細いロータカバー5bを選択し、リング部6およびキャップ11もロータカバー5bの外径に応じて小さいものを選択する。交換の仕方については上記実施例と共通しているので、説明は省略する。本例のポンプ1’にあっては、たとえば60〜70℃の高温の液体を移送すると、ステータ4が膨張するが、ロータ5の外径が細くなっているから、ロータ5とステータ4との接触状態が必要以上に強く(タイト)にならず、ロータ5が円滑に偏心回転して効率よく液体を移送する。このため、ステータ4にロータ5が強く接触してステータを短期に摩耗させたり損傷させたりすることがない。
【0028】
一方、低温(たとえば20℃)の液体を移送する場合には、ステータ4が収縮し、通常の外径のロータ5であれば、ロータ5とステータ4との間の接触力が弱まり、隙間ができて移送効率が低下するが、ロータカバー5bの外径の太いものを用意してロータ外径をやや太くなるようにしているために、液体の移送効率が低下することがない。
【0029】
以上に本発明の二つの実施例を示したが、本発明は次のように実施することができる。
【0030】
ロータ本体は、上記した金属製に限らず、たとえば合成樹脂製やセラミック製にすることができ、中空のロータカバーだけをステンレス鋼製や超硬合金製にすることができる。また、ロータ本体は中実ロータに限らず、中空ロータを用いることができ、この場合は先端部に止めねじを螺合して締め付けるための雌ねじ孔部を中空ロータ内に一体に設ける必要がある。
【0031】
ポンプ1は自在継手9を省いて、長尺のカップリングロッドを使用したものでもよく、一軸偏心ねじポンプであれば、ポンプの形式はとくに問わない。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明の一軸偏心ねじポンプには、次のような優れた効果がある。
【0033】
(1) 請求項1記載の発明は、仮にロータ表面のロータカバーが摩耗して孔が開いてもロータ本体には孔が開いていないので、ロータ本体内に被移送液が浸入しない。摩耗性の高い液体を移送する場合に、ロータカバーの表面が摩耗してステータとのシメシロがなくなって移送効率や移送能力が低下しても、ロータカバーを交換すれば済むので、交換が容易であり、しかもロータの本体部分は繰り返し使用できるので、交換コストが安く、廃棄上もロータカバーだけ廃棄すればよいので、廃棄物処理の上でも有利である。また、温度の異なる液体を移送する場合にも、たとえば低温の液体から高温の液体に移送する液体が変更になる場合には、外径が小さいロータカバーに交換して移送作業を行うことができるから、ステータが膨張してもロータの外径が小さくなることで、ロータとステータとの接触状態はほとんど変化しなくなり、高温の液体を長時間継続して移送しても、ステータが従来のように短時間で損傷することがない。さらに,一軸偏心ねじポンプの特性上、摩耗部分がロータの特定箇所に多く発生するが、このような場合には、ロータカバーに孔が開く前にロータカバーを取り外して前後の向きを逆にしてロータ本体に取り付けることにより、摩耗した部分の位置が変わるから、ロータ寿命の延命化が図れる。しかも、ロータカバーだけを交換すればよいので、交換作業が従来のようにロータ全体を交換するのに比べて容易で、短時間で行えるとともに、交換コストがかなり低減される。さらに、ロータの点検は主としてロータカバーをロータ本体から取り外して行えばよいので、メンテナンス作業も容易になる。
【0034】
(2) 請求項2記載の発明では、中空ロータカバーの交換や点検に際してロータ本体である中実ロータの回転を阻止した状態で、先端側の円盤状キャップ又は円環状キャップをねじを緩めて取り外した後、中空ロータカバーを特定の方向に回転させながら先端側に引き抜く。こうして引き抜いたロータカバーを新しいものに交換するかあるいは点検してから、今度は逆に、ロータカバーを引き抜き時と逆の方向に回転させながら基端側に押し込み、円盤状キャップをロータの先端に装着してねじを締め付ければよい。
【0035】
(3) 請求項3記載の発明では、たとえばロータ本体(中実であろうと中空であろうと問わない)を鋼材(スチール)や樹脂などで形成したうえ、中空ロータカバーを被移送液の種類に応じてステンレス鋼や超硬合金、セラミック、樹脂などで形成することができる。したがって、ロータ全体(つまり、ロータ本体を含めて)を被移送液に適合する材質で形成するのに比べて制作費が低減される。
【0036】
(4) 請求項4記載の発明は、構造的に、被移送液の温度に応じてロータカバーをロータ本体に対し交換することにより、ロータの外径を簡単に変更できるので、低温の液体の移送時にはロータカバーの外径を太くすることによってステータのねじ孔とに隙間がなく、高効率で移送できるとともに、高温の液体の移送時にはロータカバーの外径を細くすることによって、ステータの膨張に対応させることができ、長時間移送してもステータが損傷せず、ロータおよびステータの寿命が延びる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる一軸偏心ねじポンプの実施例を示す正面視断面図である。
【図2】本発明にかかる一軸偏心ねじポンプの他の実施例を示す正面視断面図である。
【図3】本発明にかかるポンプ用の交換用ロータカバーとキャップの実施例を示す正面図(一部断面図を含む)である。
【図4】従来の一般的な一軸偏心ねじポンプの一例を示す正面視断面図である。
【符号の説明】
1・1’ 一軸偏心ねじポンプ
4 雌ねじ形ステータ
5 雄ねじ形ロータ
5a ポンプ本体
5b ロータカバー
6 リング状段差部(リング部)
9 自在継手
10 カップリングロッド
11 キャップ
Claims (4)
- 雌ねじ形ステータ内に雄ねじ形ロータを回転可能に嵌挿して駆動装置によりカップリングロッドおよび又は自在継手を介して偏心回転させることにより、被移送液を移送するように構成されている一軸偏心ねじポンプにおいて、
前記ロータを、ロータ本体とこのロータ本体の外周面上に交換可能に被装される中空のロータカバーとから構成したことを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。 - 前記ロータ本体を中実ロータとし、この中実ロータの外径を前記ステータのねじ孔径に比べてやや小さくし、ステータのネジ孔径に対応する外径をもつ中空ロータカバーを前記中実ロータの外周にロータカバーを嵌装するとともに、中空ロータカバーの開口端に該カバー外径と同一の円盤状キャップを着脱可能にねじ止めした請求項1記載の一軸偏心ねじポンプ。
- 前記ロータ本体と前記中空ロータカバーとで、材質を異ならせた請求項1又は2記載の一軸偏心ねじポンプ。
- 被移送液の温度に応じて前記中空ロータカバーの外径を変更する請求項1〜3のいずれか記載の一軸偏心ねじポンプ。
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