JP3829405B2 - 回転式ポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、シリンダ室内でベーンが配設されたローターを回転させることにより、流体を圧縮して吐出させる回転式ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の回転式ポンプは、シリンダのシリンダ室内に、複数のベーンが設けられたローターが回転自在に設けられている。
【0003】
このローターは、シリンダ室のシリンダ中心軸とオフセットされたローター中心軸を中心として回転されるようになっており、又、複数のベーンは、ローターに放射状に配置され、各ベーンは、半径方向に沿って移動自在に設けられている。
【0004】
このローターを回転させることにより、各ベーンの先端がシリンダ室の内壁に沿って摺動し、シリンダ室の入口からシリンダ室に流体を吸入して圧縮した後、シリンダ室の出口から圧縮流体を外部に吐出するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のものにあっては、ベーンがシリンダ室内壁を繰り返して摺動することによって磨耗し、この磨耗が許容限界を越えると、ポンプとしての能力が低下してしまう。かかる場合には、シリンダ室内壁のみ磨耗しているにも拘わらず、ポンプ全体を交換しなければならず、経済的でなかった。
【0006】
そこで、この発明は、シリンダ室内壁が磨耗した場合でも、その磨耗した一部のみ交換すれば良く、全体を交換する必要がない回転式ポンプを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、シリンダのシリンダ室内にローターが配設され、該ローターは、前記シリンダ室のシリンダ中心軸に対してオフセットされた位置のローター中心軸を中心として回転自在に設定され、該ローターには、複数のベーンが放射状に配置され、該各ベーンが半径方向に沿って移動自在に設けられ、前記ローターを回転させることにより、前記各ベーンの先端が前記シリンダ室の内壁に沿って摺動し、前記シリンダ室の入口からシリンダ室に流体を吸入して圧縮した後、該シリンダ室の出口から圧縮流体を外部に吐出する回転式ポンプにおいて、前記シリンダは、シリンダ本体と、該シリンダ本体のシリンダ室内に配設されたシリンダライナーとを有し、前記シリンダ本体には、前記シリンダ室の入口となる本体側入口及び、前記シリンダ室の出口となる本体側出口が形成され、前記シリンダライナーには、前記本体側入口及び本体側出口と対応した位置に、ライナー側入口及びライナー側出口が形成され、前記シリンダ本体と前記シリンダライナーとを、前記本体側入口及び本体側出口と前記ライナー側入口及びライナー側出口とが一致する回転位置で固定する固定手段を有し、該固定手段は、前記シリンダ本体と前記シリンダライナーとの合わせ目に跨って、前記シリンダ本体と前記シリンダライナーの各々の開口端部側に軸方向に沿って形成された雌ねじ部と、該雌ねじ部に対して着脱自在に螺合される回止めビスとからなる第1固定手段を備え、前記回止めビスが前記雌ねじ部から外されることにより、前記シリンダライナーが前記シリンダ本体から外され、前記回止めビスが前記雌ねじ部に螺合されることにより、前記シリンダライナーが前記シリンダ本体に固定され、前記シリンダライナーが交換可能となるように構成された回転式ポンプとしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記固定手段は、前記シリンダライナーを前記シリンダ本体内に挿入して締りばめにより固定するようにした第2固定手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態について説明する。
【0010】
図1乃至図5には、この発明の実施の形態について説明する。
【0011】
まず構成を説明すると、図中符号1はシリンダで、このシリンダ1のシリンダ室1a内に、複数のベーン2が設けられたローター3が回転自在に配置されている。
【0012】
このシリンダ1は、シリンダ本体4と、シリンダライナー5とから構成されている。このシリンダ本体4は、鋳造により形成され、シリンダ室1aの周囲に冷却水ジャケット4aが形成されると共に、図1に示すように、空気をシリンダ室1aに吸引する吸引通路4b及び外部に圧縮空気を排出する排出通路4cが形成されている。この吸引通路4bのシリンダ室1a側に、シリンダ室1aの入口となる本体側入口が形成され、又、この排出通路4cのシリンダ室1a側に、シリンダ室1aの出口となる本体側出口が形成されている。
【0013】
また、前記シリンダライナー5には、前記本体側入口及び本体側出口と対応した位置に、ライナー側入口5a及びライナー側出口5bが形成されており、このシリンダライナー5は、いわゆる冷しばめにより、シリンダ本体4内の所定位置に固定されている。
【0014】
さらに、このシリンダライナー5とシリンダ本体4との間には、図3に示すように、雌ねじ部6が2ヶ所形成され、この雌ねじ部6に回止めビス7が螺合されている。
【0015】
これら回止めビス7や冷やしばめにより、シリンダライナー5が所定の回転位置で固定されて回り止めがなされる。
【0016】
これらシリンダ本体4とシリンダライナー5の材質としては、特に限られるわけではないが、シリンダ本体4が「FCー25」等を使用でき、シリンダライナー5が「FCD45」などが耐磨耗性向上のために適している。
【0017】
また、前記ローター3は、略円柱状を呈し、図1に示すように、シリンダ室1aのシリンダ中心軸01に対してオフセットされた位置のローター中心軸02を中心として回転されるようになっている。
【0018】
このローター3には、複数の配設溝3aが放射状に形成され、これら配設溝3aのそれぞれにベーン2が、半径方向に沿って移動自在に挿入されている。そして、このベーン2の先端が、ローター3を回転させることにより、シリンダ室1a内壁、つまり、シリンダライナー5内壁に沿って摺動するようになっており、シリンダ室1aに前記吸引通路4bを通して「流体」としての空気を吸入して圧縮した後、シリンダ室1aから排出通路4cを通して圧縮空気が外部に吐出されるようになっている。
【0019】
さらに、図2に示すように、このシリンダ1の両側には、エンドプレート8,9が固定されて、シリンダ室1aの両側が閉じられると共に、ローター3の軸3bを回転自在に支持するベアリング10等が設けられている。
【0020】
このような回転式ポンプは、ローター3が回転されることにより、ベーン2の先端がシリンダ室1a内壁、つまり、シリンダライナー5内壁を摺動することにより、空気が吸引通路4bを介してシリンダ室1a内に吸入されて圧縮され、この圧縮空気が排気通路4cを介して外部に排出されることとなる。この場合には、ベーン2からシリンダライナー5に回転方向の力が作用するが、このシリンダライナー5はいわゆる冷しばめによりシリンダ本体4に固定すると共に、このシリンダライナー5とシリンダ本体4との間に回止めビス7が螺合されて回り止めされていることと、圧縮熱によりシリンダライナー5は昇温され、シリンダ本体4は冷却水で冷却されるために、運転中は常に0.1mm以上の締まりばめを保つことから、このシリンダライナー5が回転することがない。従って、このシリンダライナー5のライナー側入口5a及びライナー側出口5bと、シリンダ本体4の本体側入口及び本体側出口との位置がズレるようなことがなく、正常運転を継続することができる。
【0021】
そして、このような使用を続けることにより、ベーン2の先端がシリンダライナー5内壁を摺動するため、このシリンダライナー5が磨耗し、能力が低下する虞がある。
【0022】
かかる場合には、シリンダライナー5を交換するだけで、従来のようにポンプ全体を交換する必要なく、その能力を維持することができる。
【0023】
このシリンダライナー5の交換は以下のように行う。すなわち、このシリンダライナー5の内面に係止部材(不図示)を例えば溶接により固定し、シリンダ本体4を暖めて膨張させた後、その係止部材を介してシリンダライナー5を引っ張ることにより、磨耗したシリンダライナー5をシリンダ本体4から外す。
【0024】
その後、今度は、新しいシリンダライナー5をシリンダ本体4に装着する。この新しいシリンダライナー5の外径は、シリンダ本体4のシリンダ室1a内壁の径より+0.1mmの基準で製作されている。また、このシリンダライナー5のライナー側入口5a及びライナー側出口5bは、転写紙にてマーキングされることにより、孔開けされる。
【0025】
そして、このシリンダライナー5をドライアイスにてマイナス70°まで冷却して収縮させた後、シリンダ本体4内に挿入する。その後、常温に戻った状態では、シリンダライナー5の締め代は、0.1mmの締りばめとなる。
【0026】
次いで、タッピングにより、シリンダ本体4とシリンダライナー5との間に雌ねじ部6を形成し、この雌ねじ部6に回止めビス7を螺合させる。
【0027】
このようにしてシリンダライナー5を交換することにより、従来のように装置全体を交換する必要なく、能力を維持できるため、極めて経済的である。
【0028】
なお、上記実施の形態では、シリンダライナー5は冷やしばめにより、シリンダ本体4に固定されているが、焼きばめでも良いことは勿論である。
【0029】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1に記載の発明によれば、ベーンの摺動により、シリンダ室内壁が磨耗した場合には、シリンダライナーを交換するだけで、従来のように装置全体を交換する必要がなく、極めて経済的である。
【0030】
また、このポンプは回転式であり、作動時には、シリンダライナーに回転方向の力が作用するが、このシリンダライナーは、固定手段により、回転方向の位置が規制されているため、シリンダ本体の本体側入口及び本体側出口と、シリンダライナーのライナー側入口及びライナー側出口との位置ズレが発生することがない。
【0031】
請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加え、締まりばめを用いて、シリンダライナーをシリンダ本体に固定しているため、シリンダライナーをシリンダ本体内に密着させて固定することができると共に、シリンダライナー交換時にはシリンダ本体を暖めたりすることにより、比較的簡単にシリンダライナーを外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示す回転式ポンプの断面図である。
【図2】同実施の形態に係る回転式ポンプの分解斜視図である。
【図3】同実施の形態に係るシリンダーのシリンダ室部分の断面図である。
【図4】同実施の形態に係るシリンダライナーの断面図である。
【図5】同実施の形態に係るシリンダライナーの展開図である。
【符号の説明】
1 シリンダー
1a シリンダ室
2 ベーン
3 ローター
4 シリンダ本体
5 シリンダライナー
5a ランナー側入口
5b ランナー側出口
O1 シリンダ中心軸
O2 ローター中心軸
Claims (2)
- シリンダのシリンダ室内にローターが配設され、該ローターは、前記シリンダ室のシリンダ中心軸に対してオフセットされた位置のローター中心軸を中心として回転自在に設定され、該ローターには、複数のベーンが放射状に配置され、該各ベーンが半径方向に沿って移動自在に設けられ、前記ローターを回転させることにより、前記各ベーンの先端が前記シリンダ室の内壁に沿って摺動し、前記シリンダ室の入口からシリンダ室に流体を吸入して圧縮した後、該シリンダ室の出口から圧縮流体を外部に吐出する回転式ポンプにおいて、
前記シリンダは、シリンダ本体と、該シリンダ本体のシリンダ室内に配設されたシリンダライナーとを有し、前記シリンダ本体には、前記シリンダ室の入口となる本体側入口及び、前記シリンダ室の出口となる本体側出口が形成され、前記シリンダライナーには、前記本体側入口及び本体側出口と対応した位置に、ライナー側入口及びライナー側出口が形成され、前記シリンダ本体と前記シリンダライナーとを、前記本体側入口及び本体側出口と前記ライナー側入口及びライナー側出口とが一致する回転位置で固定する固定手段を有し、
該固定手段は、前記シリンダ本体と前記シリンダライナーとの合わせ目に跨って、前記シリンダ本体と前記シリンダライナーの各々の開口端部側に軸方向に沿って形成された雌ねじ部と、該雌ねじ部に対して着脱自在に螺合される回止めビスとからなる第1固定手段を備え、
前記回止めビスが前記雌ねじ部から外されることにより、前記シリンダライナーが前記シリンダ本体から外され、前記回止めビスが前記雌ねじ部に螺合されることにより、前記シリンダライナーが前記シリンダ本体に固定され、前記シリンダライナーが交換可能となるように構成されたことを特徴とする回転式ポンプ。 - 前記固定手段は、前記シリンダライナーを前記シリンダ本体内に挿入して締りばめにより固定するようにした第2固定手段を備えたことを特徴とする回転式ポンプ。
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JPH10299678A JPH10299678A (ja) | 1998-11-10 |
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1997
- 1997-04-24 JP JP12160297A patent/JP3829405B2/ja not_active Expired - Fee Related
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