JP2004052040A - 圧密化焼結体の製造方法および圧密化焼結体 - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性の高い、低空孔率の圧密化焼結体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の圧密化焼結体の製造方法は、主としてWで構成され、かつ、5〜40wt%のCuと、0.1〜5wt%のTM(ただし、TMはNi、Fe、Coから選択される少なくとも1種)とを含む組成からなる焼結体を製造する方法であって、原料粉末を含むコンパウンドを用いて成形体を得る成形工程と、前記成形体に脱脂処理を施す脱脂工程と、前記脱脂処理がなされた脱脂体を仮焼結して仮焼結体を得る仮焼結工程と、前記仮焼結体を加圧し圧密化する圧密化工程と、前記圧密化された仮焼結体を本焼結する本焼結工程とを有することを特徴とする。前記圧密化工程に供される前記仮焼結体の空孔率をC[vol%]、前記圧密化工程後の前記仮焼結体の空孔率をD[vol%]としたとき、2.5≦C/Dの関係を満足するのが好ましい。
【選択図】図5
【解決手段】本発明の圧密化焼結体の製造方法は、主としてWで構成され、かつ、5〜40wt%のCuと、0.1〜5wt%のTM(ただし、TMはNi、Fe、Coから選択される少なくとも1種)とを含む組成からなる焼結体を製造する方法であって、原料粉末を含むコンパウンドを用いて成形体を得る成形工程と、前記成形体に脱脂処理を施す脱脂工程と、前記脱脂処理がなされた脱脂体を仮焼結して仮焼結体を得る仮焼結工程と、前記仮焼結体を加圧し圧密化する圧密化工程と、前記圧密化された仮焼結体を本焼結する本焼結工程とを有することを特徴とする。前記圧密化工程に供される前記仮焼結体の空孔率をC[vol%]、前記圧密化工程後の前記仮焼結体の空孔率をD[vol%]としたとき、2.5≦C/Dの関係を満足するのが好ましい。
【選択図】図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧密化された焼結体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
CPU等に用いられる半導体チップは、その作動により発熱するため、その熱を効率よく放熱する目的で、ヒートシンクが接合されて使用される。
【0003】
このヒートシンクとしては、シリコン(Si)で構成される半導体チップとの温度差が生じても半導体チップが割れを生じないようにする必要があることから、タングステン(W)を基本とする熱膨張係数の小さい金属材料で構成されている。
【0004】
また、最近では、タングステンに熱伝導率の良い銅(Cu)を添加し、放熱性を向上したW−Cu合金の使用も検討されている。
【0005】
ところで、このような金属製品は、一般的な粉末冶金法である圧縮成形・焼結法により製造されているが、圧縮成形・焼結法では、複雑で微細な形状のものを精密な寸法で製造することが困難であり、放熱性の向上のために複雑な形状をなしているヒートシンクの製造には不適当である。
【0006】
そこで、圧縮成形・焼結法に代わる方法として、金属粉末と有機バインダーとの混練物を用いて射出成形する金属粉末射出成形法(Metal Injection Molding:以降「MIM」とよぶ)により成形された成形体を焼結炉で焼結してW−Cu合金による金属焼結体を製造する方法が提案されている。
【0007】
しかしながら、W−Cu合金による金属焼結体には、次のような欠点がある。
▲1▼空孔率が高いため、強度が弱く(脆く)、衝撃等により破損を生じ易い。
【0008】
▲2▼ヒートシンクの半導体チップとの接合面に、例えばAgメッキのようなメッキ処理を施した場合、そのメッキ層が変質(変色)し易く、ヒートシンクへのワイヤーボンディングを困難にさせる。
【0009】
また、メッキ密着性が低く、メッキ層の浮き上がりや剥離を生じることもある。メッキ密着性が低いのは、W−Cu合金自体の特性、メッキ層の変質によるものの他に、前記▲1▼で述べたように、空孔率が高いので、空孔中に多くのメッキ液が残存することが原因であると考えられる。
【0010】
▲3▼焼結温度を1350℃以下にすることができず、高温で長時間焼結を行うため、焼結炉や焼結治具への負担が大きく、消耗等によりその寿命が短い。
【0011】
また、このような高温で焼結するため、Cuの飛散が著しく生じ、飛散したCuが焼結炉内壁や成形体の支持台に付着し、その除去作業に多大な労力および費用を要するとともに、生産性の低下を招く。
【0012】
▲4▼焼結雰囲気として、水素ガスまたは水素ガスを含んだ不活性ガスを用いる必要があるため、危険性を伴う。
【0013】
従って、W−Cu合金の金属焼結体よりなるヒートシンクは、前記▲1▼および▲2▼の理由から、信頼性が低く、しかも、前記▲3▼および▲4▼の理由から、容易かつ安全に製造することができなかった。
【0014】
また、この他にも、W粉末を圧縮成形した成形体を焼結炉で焼結してWによる金属焼結体を製造し、その後、この焼結体の空孔内にCuを含浸させる方法も提案されている。しかしながら、このような方法では、焼結体中にCuを均一に含浸させるのが困難であり、各個体間、各部位での、特性(例えば、熱伝導率、熱膨張率等)のバラツキが大きくなるという問題点を有している。そして、このような問題は、複雑な形状をなしているヒートシンクに、特に顕著に現れる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、信頼性の高い、低空孔率の圧密化焼結体およびその製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(18)の本発明により達成される。
【0017】
(1) 主としてWで構成され、かつ、5〜40wt%のCuと、0.1〜5wt%のTM(ただし、TMはNi、Fe、Coから選択される少なくとも1種)とを含む組成からなる焼結体の製造方法であって、
原料粉末を含むコンパウンドを用いて成形体を得る成形工程と、
前記成形体に脱脂処理を施す脱脂工程と、
前記脱脂処理がなされた脱脂体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、
前記焼結体を加圧し圧密化する圧密化工程とを有することを特徴とする圧密化焼結体の製造方法。
【0018】
(2) 前記焼結工程は、1050〜1350℃で行う上記(1)に記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0019】
(3) 前記圧密化工程に供される前記焼結体は、空孔率が4〜8vol%である上記(1)または(2)に記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0020】
(4) 前記圧密化工程に供される前記焼結体の空孔率をA[vol%]、前記圧密化工程後に得られる前記圧密化焼結体の空孔率をB[vol%]としたとき、1.5≦A/Bの関係を満足する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0021】
(5) 主としてWで構成され、かつ、5〜40wt%のCuと、0.1〜5wt%のTM(ただし、TMはNi、Fe、Coから選択される少なくとも1種)とを含む組成からなる焼結体の製造方法であって、
原料粉末を含むコンパウンドを用いて成形体を得る成形工程と、
前記成形体に脱脂処理を施す脱脂工程と、
前記脱脂処理がなされた脱脂体を仮焼結して仮焼結体を得る仮焼結工程と、
前記仮焼結体を加圧し圧密化する圧密化工程と、
前記圧密化された仮焼結体を本焼結する本焼結工程とを有することを特徴とする圧密化焼結体の製造方法。
【0022】
(6) 前記仮焼結工程は、800〜1100℃で行う上記(5)に記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0023】
(7) 前記圧密化工程に供される前記仮焼結体は、空孔率が8〜15vol%である上記(5)または(6)に記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0024】
(8) 前記圧密化工程に供される前記仮焼結体の空孔率をC[vol%]、前記圧密化工程後の前記仮焼結体の空孔率をD[vol%]としたとき、2.5≦C/Dの関係を満足する上記(5)ないし(7)のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0025】
(9) 前記本焼結工程は、1050〜1300℃で行う上記(5)ないし(8)のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0026】
(10) 前記圧密化は、800〜1500気圧で行う上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0027】
(11) 前記圧密化は、750〜1050℃で行う上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0028】
(12) 前記圧密化は、等方的に行う上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0029】
(13) 前記成形体は、金属粉末射出成形により製造する上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0030】
(14) 前記成形体中における前記原料粉末の含有量が85〜98wt%である上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0031】
(15) 上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする圧密化焼結体。
【0032】
(16) 空孔率が3vol%以下である上記(15)に記載の圧密化焼結体。
【0033】
(17) 熱伝導率が75[W・m−1・K−1]以上である上記(15)または(16)に記載の圧密化焼結体。
【0034】
(18) 圧密化焼結体は、ヒートシンクである上記(15)ないし(17)のいずれかに記載の圧密化焼結体。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の圧密化焼結体およびその製造方法について、添付図面に示す好適な実施形態に基づき詳細に説明する。
【0036】
まず、本発明の圧密化焼結体について説明する。
本発明の圧密化焼結体は、後に詳述するように、主としてWで構成され、かつ、5〜40wt%のCuと、0.1〜5wt%のTM(ただし、TMはNi、Fe、Coから選択される少なくとも1種)とを含む組成からなるものである。
【0037】
本発明の圧密化焼結体は、上記のような組成を有するものであればいかなるものであってもよく、以下のような理由から、ヒートシンクに適用されるのが特に好ましい。
【0038】
ヒートシンクは、例えば、CPU用の半導体チップ等に接合して用いられるが、半導体チップはその作動により発熱するため、ヒートシンクには、その熱を効率よく放熱する性能が求められる。また、シリコン(Si)で構成される半導体チップとの温度差が生じても半導体チップに割れが生じるのをより確実に防止することができるように、ヒートシンクとしては、熱膨張係数が比較的小さいものであるのが好ましい。
【0039】
一方、本発明の圧密化焼結体は、後に詳述するように、熱膨張率が小さく、かつ熱伝導性にも優れており、本発明を適用したヒートシンクは、特に優れた性能(ヒートシンクとして求められる性能)を有するものとなる。
【0040】
以下、圧密化焼結体の一例として、ヒートシンクについて代表的に説明する。図1は、本発明を適用したヒートシンクを示す平面図、図2は、図1中のII−II線断面図、図3は、図2の部分拡大断面図である。
【0041】
これらの図に示すように、ヒートシンク(圧密化焼結体)1は、基板3と、基板3の放熱面側(図2中上側)に基板3と一体的に形成された複数の突起(凸部)4と、各突起4を囲むように基板3と一体的に形成されたモールド枠(壁部)5とで構成されている。各突起4は、円柱状または円錐台状をなしている。また、基板3の四隅には、円形のモールド孔(孔)6が形成されている。
【0042】
基板3の前記放熱面と反対側(図2中、下側)には、発熱体である半導体チップ(図示せず)と接合される接合面7が形成されている。
【0043】
また、ヒートシンク1の少なくとも一部には、例えば、表面処理が施されていてもよい。本実施形態では、接合面7にメッキ層(被覆層)9が形成されている。このメッキ層9は、半導体チップとの接着機能またはそれを補助する機能を得るための層である。
【0044】
メッキ層9としては、例えば、Agメッキ、またはAg−Pd合金メッキ等のAg系合金メッキ、AuメッキまたはAu系合金メッキ、PtメッキまたはPt系合金メッキ、NiメッキまたはNi系合金メッキ、CrメッキまたはCr系合金メッキ等が挙げられる。このなかでも、特に、Ag、Au、Ptまたはこれらを主とする合金メッキのような、貴金属メッキが好ましい。
【0045】
メッキ層9の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.5〜20μm程度、より好ましくは1〜10μm程度とされる。
【0046】
なお、メッキ層9の形成は、例えば、ヒートシンク1の全表面に対しなされても良い。また、メッキ層等の被覆層の形成目的は、前述したものに限らず、例えば、保護層の形成、防食等であってもよい。
【0047】
また、表面処理としては、前記メッキの他に、例えば、樹脂被覆層の形成、黒色塗装等の塗装が挙げられる。この場合、塗装箇所は、基板3の放熱面側とされる。
【0048】
次に、ヒートシンク1の構成材料について説明する。
ヒートシンク1は、主としてWで構成され、かつ、5〜40wt%のCuと、0.1〜5wt%のTM(ただし、TMはNi、Fe、Coから選択される少なくとも1種)とを含む組成からなるものであることを特徴とする。
【0049】
Wは、熱膨張係数が小さい金属材料であり、同様に熱膨張係数が小さいSiで構成される半導体チップを接合したときに、温度差が生じても半導体チップに割れを生じることが防止される。このような作用は、Wが55wt%以上の範囲で特に有効に発揮される。
【0050】
Cuは、熱伝導性の高い金属材料であり、従って、Cuの添加は、ヒートシンク1の熱伝導性を向上する。Cuの含有量は5〜40wt%とされる。Cuが5wt%未満であると、熱伝導性の向上が不十分となる。一方、Cuが40wt%を超えると、ヒートシンク(圧密化焼結体)1全体としての熱膨張係数が大きくなりSiの熱膨張係数と大きな差が生じてしまい、半導体チップの割れ等の問題が発生しやすくなる。
【0051】
TM(ただし、TMはNi、Fe、Coから選択される少なくとも1種)は、WとCuとの焼結性を向上させるのに有利な元素である。したがって、所定量のTMを含むことにより、ヒートシンク(圧密化焼結体)1の各部位での熱伝導率、熱膨張係数のバラツキを十分に小さくすることができる。また、TMは、焼結体の空孔率の低減、ヒートシンク1の表面に形成されたメッキ層9の密着性の向上、メッキ層9の変質(変色)の防止、焼結温度の低減等に寄与する。本発明では、TMの含有量は0.1〜5wt%とされる。TMが0.1wt%未満では、前記各効果の発現が不十分となる。一方、TMが5wt%を超えると、熱伝導性が低下し、ヒートシンクとしての特性が十分に発揮されなくなる。
【0052】
上述したように、本発明において、Cuの含有量は、5〜40wt%とされるが、5〜30wt%であるのが好ましく、5〜25wt%であるのがより好ましい。これにより、上述した効果は、より顕著なものとなる。
【0053】
同様に、本発明において、TMの含有量は、0.1〜5wt%とされるが、0.2〜4.5wt%であるのが好ましく、0.5〜4wt%であるのがより好ましい。これにより、上述した効果は、より顕著なものとなる。
【0054】
ヒートシンク1の構成材料中には、前記金属元素の他に、例えば、P、Sn、Pb、Cr、Pd、Zr、Al、Mo、Ag、Ti、Mn、Nb等のうちの少なくとも1種が含まれていてもよい。例えば、Pの添加は、後述する焼結温度を下げる効果がある。
【0055】
このようなヒートシンク(圧密化焼結体)1の空孔率は、3vol%以下であるのが好ましく、2vol%以下であるのがより好ましく、1vol%以下であるのがさらに好ましい。
【0056】
空孔率が高いと、機械的強度が低く(脆く)なり、衝撃等により破損し易くなるので、ヒートシンク1の信頼性が低下する。また、空孔率が高いと、熱伝導性が低下し、放熱性(放熱の効率)が低下する。また、空孔率が高いと、メッキ層9の密着性が低下する。このメッキ層9の密着性の低下は、メッキを施した際に、空孔中にメッキ液が残存し易くなることが1つの原因であると考えられる。
【0057】
また、ヒートシンク(圧密化焼結体)1の熱伝導率は、75[W・m−1・K−1]以上であるのが好ましく、85[W・m−1・K−1]以上であるのがより好ましい。熱伝導率がこのような値であると、ヒートシンク1は、放熱の効率が特に優れたものとなる。
【0058】
なお、ヒートシンクの形状、構造等は、図示のものに限定されず、例えば、ヒートシンク1の全体形状や、放熱用の突起(凸部)4の形状、配置等は、いかなるものでもよい。
【0059】
次に、上記のヒートシンク(圧密化焼結体)の製造方法について説明する。
図4は、本発明の圧密化焼結体の製造方法の第1実施形態を示す工程図である。
【0060】
[1A]成形体の製造
焼結に供される成形体は、好ましくはMIMにより製造される。
【0061】
一般に、MIMは、複雑で微細な形状の焼結体を高い寸法精度で製造することができる利点を有するが、成形体中に占める結合材(有機バインダー)の含有量が比較的多いため、得られる焼結体中の空孔率が高くなる傾向を示すという欠点も有している。
【0062】
一方、本発明では、後述する圧密化処理を行うため、成形体中に占める結合材(有機バインダー)の含有量が比較的多い(原料粉末の含有量が比較的少ない)場合であっても、最終的に得られる焼結体(圧密化焼結体)を、高密度、低空孔率のものとすることができる。すなわち、本発明によれば、目的とする焼結体(圧密化焼結体)が、複雑で微細な形状を有するものであっても、高密度、低空孔率のものとして、高い寸法精度で製造することができる。
【0063】
以下、MIMによる各工程を説明する。
まず、最終的に前述したような組成の圧密化焼結体(ヒートシンク1)が得られるような原料粉末(金属粉末)と結合材(有機バインダー)とを用意し、これらを混練機により混練し、混練物(コンパウンド)を得る。
【0064】
原料粉末としては、W−Cu−TM系合金粉末、あるいは、W粉末とCu−TM系合金粉末との混合粉末、W粉末とCu粉末とTM金属粉末(TM系合金粉末)との混合粉末、またはこれらのうちのいずれか2以上を組み合わせたもの等を用いることができる。
【0065】
上記粉末の製造方法は、特に限定されず、例えば、水またはガスアトマイズ法、還元法、カルボニル法、粉砕法により製造されたものを用いることができる。
【0066】
また、W、Cu、TM以外の金属元素を添加する場合には、それらの金属元素を合金粉末としてまたは混合粉末として添加することができる。
【0067】
このような原料粉末の平均粒径は、特に限定されないが、通常、0.2〜200μm程度が好ましく、1〜50μm程度がより好ましい。
【0068】
一方、結合材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、またはこれらの共重合体等の各種樹脂や、各種ワックス、パラフィン、高級脂肪酸(例:ステアリン酸)、高級アルコール、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0069】
また、さらに可塑剤が添加されていてもよい。この可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル(例:DOP、DEP、DBP)、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、セバシン酸エステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0070】
このような結合材の合計添加量は、2〜15wt%程度が好ましく、3〜10wt%程度がより好ましい。2wt%未満では、成形時における流動性が乏しくなり、射出成形が不能または困難となるか、あるいは成形物の組成が不均一となり、15wt%を超えると、射出成形により得られた成形体を焼成した際の収縮率が増大し、寸法精度が低下し、また、焼結体(圧密化焼結体)における空孔率や含有C量が増大する傾向を示す。
【0071】
なお、混練に際しては、前記原料粉末、結合材、可塑剤の他に、例えば、潤滑剤、酸化防止剤、脱脂促進剤、界面活性剤等の各種添加物を必要に応じ添加することができる。
【0072】
混練条件は、用いる原料粉末の粒径、結合材、添加剤の組成およびその配合量等の諸条件により異なるが、その一例を挙げれば、混練温度:60〜200℃程度、混練時間:20〜210分程度とすることができる。
【0073】
上記のようにして得られた混練物(または該混練物より造粒されたペレット)を用いて、射出成形機により射出成形し、所望のヒートシンク形状の成形体を製造する。この場合、成形金型の選択により、突起4のような複雑で微細な形状部分を有する成形体をも容易に製造することができる。
【0074】
射出成形の成形条件としては、用いる原料粉末の粒径、結合材の組成およびその配合量等の諸条件により異なるが、その一例を挙げれば、材料温度(金型温度)が好ましくは80〜200℃程度、射出圧力が好ましくは20〜150kgf/cm2程度とされる。
【0075】
なお、製造される成形体の形状寸法は、以後の脱脂および焼結による成形体の収縮分を見込んで決定される。
【0076】
[2A]成形体の脱脂
前記[1A]の工程で得られた成形体に脱脂処理(脱バインダー処理)を施し、脱脂体を得る。この脱脂処理としては、非酸化性雰囲気、例えば真空または減圧状態下(例えば1×10−1〜1×10−6Torr)、あるいは窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス中で、熱処理を行うことによりなされる。
【0077】
この場合、熱処理条件としては、好ましくは温度100〜750℃程度で0.5〜40時間程度、より好ましくは温度150〜600℃程度で1〜24時間程度とされる。
【0078】
また、このような熱処理による脱脂は、種々の目的(例えば脱脂時間の短縮の目的)で、複数の工程(段階)に分けて行われてもよい。この場合、例えば、前半を低温で、後半を高温で脱脂処理するような方法や、低温と高温を繰り返し行う方法とが挙げられる。
【0079】
また、前述の熱処理との組み合わせにより、脱脂における雰囲気の圧力を変化させてもよい。この場合、例えば、脱脂の前半を減圧(例えば、1×10−3Torr)状態下で、脱脂の後半を常圧で行う方法や、減圧と常圧を交互に繰り返し行う方法が挙げられる。
【0080】
このように、脱脂条件に変化を与えることにより、成形体に対しより効率的に脱脂処理を行うことができる。
【0081】
なお、この脱脂処理は、他の方法、例えば、結合材や添加剤中の特定成分を所定の溶媒(液体、気体)を用いて溶出させることにより行ってもよい。
【0082】
[3A]脱脂体の焼結
以上のようにして得られた脱脂体を炉で焼成して焼結し、焼結体を製造する。
【0083】
焼結により原料粉末が拡散、粒成長し、空隙は減少する。その結果、得られる焼結体中の空孔率は、脱脂体中の空孔率よりも低いものとなる。
【0084】
焼結における焼結温度は、例えば、好ましくは1050〜1350℃程度、より好ましくは1100〜1300℃程度とされる。
【0085】
焼結温度は、高いほど焼結時間の短縮にとって有利であるが、1350℃を超えると、焼結炉や焼結治具への負担が大きく、消耗等によりその寿命が短くなるとともに、焼結時に、脱脂体中に含まれるCuの飛散が著しく生じ、飛散したCuが焼結炉内壁や脱脂体の支持台に付着する。
【0086】
なお、焼結温度は、前述した範囲内または範囲外で、経時的に変動(上昇または下降)してもよい。
【0087】
焼結時間は、前述したような焼結温度の場合、好ましくは30〜360分程度、より好ましくは60〜240分程度とされる。
【0088】
また、焼結雰囲気は、特に限定されないが、減圧(真空)下または水素を含まない非酸化性雰囲気とされるのが好ましい。これにより、焼結時の安全性が向上するとともに、金属の酸化による特性劣化が防止され、また、焼結体の空孔率の低減に寄与する。
【0089】
好ましい焼結雰囲気としては、1Torr以下(より好ましくは1×10−2〜1×10−6Torr)の減圧(真空)下、または1〜760Torrの窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気であるのが好ましい。
【0090】
以上のような条件で焼結を行うことにより、焼結体の空孔率を低減することができる。得られた焼結体の空孔率は、4〜8vol%であるのが好ましい。
【0091】
焼結体の空孔率が8vol%を超えると、後述する圧密化処理を施しても、最終的に得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1中の空孔率を十分に低くするのが困難となる場合がある。
【0092】
また、焼結体中の空孔は、その大部分が、独立孔(それぞれが独立している空孔)となっているのが好ましい。これにより、後述する圧密化処理を効率良く行うことができ、最終的に得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の空孔率を、特に低いものとすることができる。その結果、ヒートシンク1は、機械的強度が特に優れたものになるとともに、熱伝導率のさらなる向上を図ることもできる。
【0093】
なお、焼結は、2段階またはそれ以上で行ってもよい。例えば、焼結条件(焼結温度、焼結時間、焼結雰囲気等のうちの少なくとも1つ)が異なる1次焼結と2次焼結を行うことができる。この場合、2次焼結の焼結温度を、1次焼結の焼結温度より高い温度とすることができる。これにより、焼結の効率がさらに向上し、空孔率のさらなる低減を図ることができる。
【0094】
[4A]焼結体の圧密化(圧密化処理)
以上のようにして得られた焼結体を加圧、圧密化する圧密化処理を施し、圧密化焼結体(ヒートシンク1)を製造する。
【0095】
この圧密化処理により、焼結体中の空孔がさらに減少し、全体として緻密な、すなわち高密度、低空孔率のヒートシンク(圧密化焼結体)1が得られる。
【0096】
圧密化処理時の圧力は、例えば、800〜1500気圧であるのが好ましく、1000〜1400気圧であるのがより好ましい。圧密化処理時の圧力が前記下限値未満であると、得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1中の空孔率を十分に低いものとするのが困難となる場合がある。一方、圧密化処理時の圧力が前記上限値を超えると、圧密化処理時の温度等によっては、得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の寸法精度が低下する可能性がある。
【0097】
圧密化処理時の温度は、例えば、750〜1050℃であるのが好ましく、800〜1000℃であるのがより好ましい。圧密化処理時の温度が前記下限値未満であると、圧密化処理時の圧力等によっては、得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1中の空孔率を十分に低いものとするのが困難となる場合がある。一方、圧密化処理時の温度が前記上限値を超えると、圧密化処理時の圧力等によっては、得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の寸法精度が低下する可能性がある。
【0098】
また、圧密化処理時の圧力、温度を上記のような範囲の値とした場合、圧密化処理の処理時間は、好ましくは30〜480分程度、より好ましくは60〜360分程度とされる。
【0099】
また、圧密化処理は、焼結体を等方的に加圧する条件で行うのが好ましい。これにより、最終的に得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の寸法精度がさらに向上する。また、ヒートシンク(圧密化焼結体)1は、各部位での空孔率、熱伝導率等のバラツキが特に小さいものとなる。
【0100】
このような方法を用いることにより、圧密化処理に供する焼結体が複雑な形状を有するものであっても、各部位を均等に圧密化することができる。したがって、得られるヒートシンク1は、寸法精度が特に優れたものとなる。
【0101】
また、上記のような方法を用いた場合、焼結体の全体にわたって(例えば、厚さ方向の異なる部位であっても)均等に圧密化できるので、各部位での空孔率のバラツキも小さくなる。このように空孔率が小さく、かつそのバラツキが小さいため、ヒートシンク1の機械的強度は特に優れたものとなる。ヒートシンクは、通常、温度変化の激しい環境で用いられるが、本発明を適用したヒートシンク1は、このような過酷な条件で使用しても、割れ等の発生が極めて生じ難いものとなる。
【0102】
このように、焼結体を等方的に加圧する条件で行う方法としては、例えば、CIP(Cold Isostatic Press)、HIP(Hot Isostatic Press)等が挙げられる。この中でも特に、HIPが好ましい。焼結体の加圧方法としてHIPを用いることにより、圧密化処理の効率が向上する。
【0103】
圧密化処理は、特に限定されないが、加圧された流体中で行うのが好ましい。これにより、比較的容易に焼結体を等方的に加圧することができる。焼結体を加圧する流体としては、例えば、気体、液体を用いることができる。前記気体としては、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス等の不活性ガス、空気等が挙げられる。また、前記液体としては、各種オイル等が挙げられる。なお、前記流体として液体を用いる場合、圧密化処理は、焼結体の表面を液体遮断性のある被膜で被覆した状態で行うのが好ましい。被膜の構成材料としては、例えば、シリコンゴム等が挙げられる。
【0104】
上記のような流体の中でも、気体、特に不活性ガスを用いるのが好ましい。これにより、圧密化処理の前後に行う前処理、後処理(例えば、被膜の被覆、除去等)を省略または簡略化することができる。
【0105】
なお、圧密化処理時における温度、圧力は、前述した範囲内または範囲外で、経時的に変動(上昇または下降)してもよい。
【0106】
以上のような圧密化処理により得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の空孔率は、3vol%以下が好ましく、2vol%以下がより好ましい。空孔率の低減は、ヒートシンク(圧密化焼結体)1の高密度化に寄与するとともに、高強度、高い寸法精度、良好な外観性が得られる。
【0107】
また、このような圧密化処理に供される焼結体の空孔率をA[vol%]、圧密化処理により得られる圧密化焼結体(ヒートシンク1)の空孔率をB[vol%]としたとき、1.5≦A/Bの関係を満足するのが好ましく、2≦A/Bの関係を満足するのがより好ましい。A/Bの値が前記下限値未満であると、最終的に得られるヒートシンク1の機械的強度および熱伝導率が低くなる傾向を示す。
【0108】
なお、圧密化処理は、2段階またはそれ以上で行ってもよい。例えば、圧密化条件(温度、圧力、時間等のうちの少なくとも1つ)が異なる1次圧密化処理と2次圧密化処理を行うことができる。これにより、空孔率のさらなる低減を図ることができる。
【0109】
なお、本発明においては、任意の目的で、工程[1A]の前工程、工程[1A]〜[4A]の間に存在する中間工程、または工程[4A]の後工程が存在していてもよい。
【0110】
中間工程として、例えば、バリ取り、面取り(例えば、接断面の縁部付近の面取り)、洗浄、研削、研磨等の表面処理や、切削、転写(圧転)、研削、ブラスト処理(例えば、ショットブラスト等)等の機械加工、化学エッチング等の化学処理、レーザー加工、放電加工等の各種加工、成形体、脱脂体等に対する圧密化処理等が挙げられる。
【0111】
また、後工程(後処理)としては、例えば、研削、研磨処理、メッキ処理(メッキ層9の形成)、樹脂被覆処理、塗装等が挙げられる。特に、メッキ処理を施す(メッキ層9を形成する)ことにより、例えば、半導体チップとの接着機能を向上させることができる。メッキ層9の形成方法としては、電気メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキや、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD等の気相メッキが挙げられる。
【0112】
次に、本発明の圧密化焼結体の製造方法の第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の圧密化焼結体の製造方法の第2実施形態を示す工程図である。
【0113】
図5に示すように、本実施形態の製造方法は、脱脂体に仮焼結処理(1次焼結処理)を施し、これにより得られた仮焼結体(1次焼結体)に圧密化処理を行い、その後本焼結(2次焼結)を行う以外は、前記第1実施形態と同様である。すなわち焼結処理を、仮焼結処理(1次焼結処理)と、本焼結処理(2次焼結処理)とに分け、その間に圧密化処理を施す以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0114】
[1B]成形体の製造
前記工程[1A]と同様である。
【0115】
[2B]成形体の脱脂処理
前記工程[2A]と同様である。
【0116】
[3B]脱脂体の仮焼結
以上のようにして得られた脱脂体を焼結炉で焼成して仮焼結(1次焼結)し、仮焼結体(1次焼結体)を製造する。
【0117】
仮焼結は、少なくとも原料粉末同士の接点が拡散結合する状態になるまで行なわれるのが好ましい。このような仮焼結を行うことにより、形状安定性が増し、以後の工程で、仮焼結体の崩壊、欠損、ひび割れ等の欠陥の発生をより確実に防止することができ、ハンドリング性が向上する。
【0118】
仮焼結における焼結温度は、例えば、800〜1100℃であるのが好ましく、850〜1100℃であるのがより好ましい。仮焼結における焼結温度を前記範囲内の値とすることにより、得られる仮焼結体の強度を十分に確保しつつ、後述する圧密化処理をより温和な条件で行うことが可能となる。
【0119】
なお、焼結温度は、前述した範囲内または範囲外で、経時的に変動(上昇または下降)してもよい。
【0120】
焼結時間は、前述したような焼結温度の場合、好ましくは30〜300分程度、より好ましくは60〜210分程度とされる。
【0121】
また、焼結雰囲気は、特に限定されないが、減圧(真空)下または水素を含まない非酸化性雰囲気とされるのが好ましい。これにより、仮焼結時の安全性が向上するとともに、金属の酸化による特性劣化が防止され、また、仮焼結体の空孔率の低減に寄与する。
【0122】
好ましい焼結雰囲気としては、1Torr以下(より好ましくは1×10−2〜1×10−6Torr)の減圧(真空)下、または1〜760Torrの窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気であるのが好ましい。
【0123】
以上のような条件で仮焼結を行うことにより、仮焼結体の空孔率を低減することができる。得られた仮焼結体の空孔率は、8〜15vol%であるのが好ましい。
【0124】
仮焼結体の空孔率が15vol%を超えると、後述する圧密化処理を施しても、最終的に得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1中の空孔率を十分に低くするのが困難となる場合がある。
【0125】
また、仮焼結体中の空孔は、その大部分が、独立孔(それぞれが独立している空孔)となっているのが好ましい。これにより、後述する圧密化処理を効率良く行うことができ、最終的に得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の空孔率を、特に低いものとすることができる。その結果、ヒートシンク1は、機械的強度が特に優れたものになるとともに、熱伝導率のさらなる向上を図ることもできる。
【0126】
[4B]仮焼結体の圧密化(圧密化処理)
以上のようにして得られた仮焼結体を加圧、圧密化する圧密化処理を施し、圧密化された仮焼結体を得る。この圧密化処理により、仮焼結体中の空孔が圧縮され、空孔率が減少する。
【0127】
このように、本実施形態では、圧密化処理を仮焼結体に対して施す。これにより、圧密化処理の条件を緩和することも可能となる。また、圧密化の度合いをさらに高めることが可能となり、結果として、より高密度のヒートシンク(圧密化焼結体)1を得ることができる。
【0128】
圧密化処理時の圧力は、例えば、800〜1500気圧であるのが好ましく、900〜1350気圧であるのがより好ましい。圧密化処理時の圧力が前記下限値未満であると、得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1中の空孔率を十分に低いものとするのが困難となる場合がある。一方、圧密化処理時の圧力が前記上限値を超えると、圧密化処理時の温度等によっては、得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の寸法精度が低下する可能性がある。
【0129】
圧密化処理時の温度は、例えば、750〜1050℃であるのが好ましく、750〜950℃であるのがより好ましい。圧密化処理時の温度が前記下限値未満であると、圧密化処理時の圧力等によっては、得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1中の空孔率を十分に低いものとするのが困難となる場合がある。一方、圧密化処理時の温度が前記上限値を超えると、圧密化処理時の圧力等によっては、得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の寸法精度が低下する可能性がある。
【0130】
また、圧密化処理時の圧力、温度を上記のような範囲の値とした場合、圧密化処理の処理時間は、好ましくは30〜480分程度、より好ましくは60〜360分程度とされる。
【0131】
また、圧密化処理は、仮焼結体を等方的に加圧する条件で行うのが好ましい。これにより、最終的に得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の寸法精度がさらに向上する。また、ヒートシンク(圧密化焼結体)1は、各部位での空孔率、熱伝導率等のバラツキが特に小さいものとなる。
【0132】
このような方法を用いることにより、圧密化処理に供する仮焼結体が複雑な形状を有するものであっても、各部位を均等に圧密化することができる。したがって、最終的に得られるヒートシンク1は、寸法精度が特に優れたものとなる。
【0133】
また、上記のような方法を用いた場合、仮焼結体の全体にわたって(例えば、厚さ方向の異なる部位であっても)均等に圧密化できるので、最終的に得られるヒートシンク1も各部位での空孔率のバラツキが小さいものとなる。このように空孔率が小さく、かつそのバラツキが小さいため、ヒートシンク1の機械的強度は特に優れたものとなる。ヒートシンクは、通常、温度変化の激しい環境で用いられるが、本発明を適用したヒートシンク1は、このような過酷な条件で使用しても、割れ等の発生が極めて生じ難いものとなる。
【0134】
このように、仮焼結体を等方的に加圧する条件で行う方法としては、例えば、CIP(Cold Isostatic Press)、HIP(Hot Isostatic Press)等が挙げられる。この中でも特に、HIPが好ましい。仮焼結体の加圧方法としてHIPを用いることにより、圧密化処理の効率が向上する。
【0135】
圧密化処理は、特に限定されないが、加圧された流体中で行うのが好ましい。これにより、比較的容易に焼結体を等方的に加圧することができる。仮焼結体を加圧する流体としては、例えば、気体、液体(前述)を用いることができる。前記気体としては、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス等の不活性ガス、空気等が挙げられる。また、前記液体としては、各種オイル等が挙げられる。なお、前記流体として液体を用いる場合、圧密化処理は、仮焼結体の表面を液体遮断性のある被膜で被覆した状態で行うのが好ましい。被膜の構成材料としては、例えば、シリコンゴム等が挙げられる。
【0136】
上記のような流体の中でも、気体、特に不活性ガスを用いるのが好ましい。これにより、圧密化処理の前後に行う前処理、後処理(例えば、被膜の被覆、除去等)を省略または簡略化することができる。
【0137】
なお、圧密化処理時における温度、圧力は、前述した範囲内または範囲外で、経時的に変動(上昇または下降)してもよい。
【0138】
また、このような圧密化処理に供される仮焼結体の空孔率をC[vol%]、圧密化処理後の仮焼結体の空孔率をD[vol%]としたとき、2.5≦C/Dの関係を満足するのが好ましく、4≦C/Dの関係を満足するのがより好ましい。C/Dの値が前記下限値未満であると、最終的に得られるヒートシンク1の機械的強度が低くなる傾向を示す。
【0139】
なお、圧密化処理は、2段階またはそれ以上で行ってもよい。例えば、圧密化条件(温度、圧力、時間等のうちの少なくとも1つ)が異なる1次圧密化処理と2次圧密化処理を行うことができる。これにより、空孔率のさらなる低減を図ることができる。
【0140】
[5B]仮焼結体の本焼結
上記の圧密化処理を施した仮焼結体を本焼結することにより、圧密化焼結体(本焼結体)を得る。
【0141】
この本焼結により、原料粉末が拡散、粒成長する。これにより、空隙は減少し、全体として緻密な、すなわち高密度、低空孔率の圧密化焼結体(ヒートシンク1)が得られる。特に、本実施形態では、本焼結に供する仮焼結体として、予め圧密化処理を施したものを用いるため、より低温度の処理で、高密度のヒートシンク1を得ることができる。
【0142】
本焼結における焼結温度は、例えば、好ましくは1050〜1300℃程度、より好ましくは1080〜1250℃程度とされる。
【0143】
焼結温度は、高いほど焼結時間の短縮にとって有利であるが、1300℃を超えると、焼結炉や焼結治具への負担が大きく、消耗等によりその寿命が短くなるとともに、本焼結時に、成形体中に含まれるCuの飛散が著しく生じ、飛散したCuが焼結炉内壁や成形体の支持台に付着する。
【0144】
なお、焼結温度は、前述した範囲内または範囲外で、経時的に変動(上昇または下降)してもよい。
【0145】
焼結時間は、前述したような焼結温度の場合、好ましくは30〜330分程度、より好ましくは60〜210分程度とされる。
【0146】
また、焼結雰囲気は、特に限定されないが、減圧(真空)下または水素を含まない非酸化性雰囲気とされるのが好ましい。これにより、本焼結時の安全性が向上するとともに、金属の酸化による特性劣化が防止され、また、ヒートシンク(圧密化焼結体)1の空孔率の低減に寄与する。
【0147】
好ましい焼結雰囲気としては、1Torr以下(より好ましくは1×10−2〜1×10−6Torr)の減圧(真空)下、または1〜760Torrの窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気であるのが好ましい。
【0148】
以上のようにして得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の空孔率は、3vol%以下が好ましく、2vol%以下がより好ましい。空孔率の低減は、ヒートシンク(圧密化焼結体)1の高密度化に寄与するとともに、高熱伝導率、高強度、高い寸法精度、良好な外観性が得られる。
【0149】
なお、本発明においては、任意の目的で、工程[1B]の前工程、工程[1B]〜[5B]の間に存在する中間工程、または工程[5B]の後工程が存在していてもよい。
【0150】
中間工程として、例えば、バリ取り、面取り(例えば、接断面の縁部付近の面取り)、洗浄、研削、研磨等の表面処理や、切削、転写(圧転)、研削、ブラスト処理(例えば、ショットブラスト等)等の機械加工、化学エッチング等の化学処理、レーザー加工、放電加工等の各種加工、成形体、脱脂体等に対する圧密化処理等が挙げられる。
【0151】
また、後工程(後処理)としては、例えば、研削、研磨処理、メッキ処理(メッキ層9の形成)、樹脂被覆処理、塗装等が挙げられる。特に、メッキ処理を施す(メッキ層9を形成する)ことにより、例えば、半導体チップとの接着機能を向上させることができる。メッキ層9の形成方法としては、電気メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキや、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD等の気相メッキが挙げられる。
【0152】
以上のように、本発明によれば、高品質、すなわち空孔率が低く、高強度、高熱伝導率で放熱性に優れ、形状が均一で寸法精度が高いヒートシンクを安全にかつ効率良く製造することができる。
【0153】
以上、本発明の圧密化焼結体の製造方法および圧密化焼結体の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0154】
例えば、前述した実施形態では、圧密化焼結体として、ヒートシンクについて説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、圧密化焼結体は、分銅、電極等であってもよい。
【0155】
特に、分銅は、高密度、高強度のものであるのが好ましいが、本発明によれば、主としてWで構成され、かつ低空孔率の圧密化焼結体が得られるので、分銅にも好適に適用することができる。また、本発明によれば、温度履歴を小さくすることができるので、その機械的強度は特に優れたものとなる。
【0156】
また、電極(特に、放電電極)は、耐摩耗性、導電性等が求められるが、本発明によれば、これらの条件を満足する圧密化焼結体が得られるので、電極にも好適に適用することができる。
【0157】
また、前述した実施形態では、脱脂工程を1回のみ行う方法について説明したが、脱脂工程は、2回以上に分けて行ってもよい。例えば、脱脂条件(脱脂温度、脱脂時間、脱脂雰囲気のうちの少なくとも1つ)が異なる1次脱脂と2次脱脂とを行うことができる。この場合、1次脱脂と2次脱脂との間に、前記機械加工等の中間処理を施してもよい。
【0158】
また、例えば、仮焼結と本焼結の間および仮焼結後にそれぞれ、圧密化処理を施してもよい。
【0159】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0160】
(実施例1)
まず、下記の5種の金属粉末を用意し、これらを表1に示す最終組成となるように混合し、原料粉末とした。
【0161】
W 粉末:還元粉、平均粒径3μm
Cu粉末:電解粉、平均粒径6μm
Ni粉末:カルボニル粉、平均粒径6μm
Fe粉末:カルボニル粉、平均粒径4μm
Co粉末:熱分解法による粉末、平均粒径1.5μm
【0162】
上記原料粉末に、ポリスチレン(PS):1.45wt%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA):1.2wt%およびパラフィンワックス:1.2wt%から構成される結合材と、ジブチルフタレート(可塑剤):0.7wt%とを混合し、これらを混練機(加圧ニーダ)にて110℃、1時間の条件で混練した。
【0163】
次に、この混練物を用い、射出成形機にて金属粉末射出成形し、焼結上がりで全体寸法=縦25mm×横25mm、突起寸法=外径φ1.25mm、長さ1mmとなるような図1および図2に示す形状のヒートシンク成形体を製造した。なお、成形体の形状寸法は、以後の脱脂および焼結による収縮分を見込んで決定した。
【0164】
また、射出成形時における成形条件は、金型温度30℃、射出圧力110kgf/cm2であった。
【0165】
次に、得られた成形体に対し、760Torrの窒素ガス雰囲気中で、450℃、1時間、脱脂処理を施し、脱脂体を得た。
【0166】
次に、得られた脱脂体(約4kg)を、1つの焼結炉で焼結して、焼結体を製造した。焼結条件は、760Torrのアルゴンガス雰囲気中、1200℃×180分とした。このようにして得られた焼結体の空孔率A(アルキメデス法により測定)は、4vol%であった。
【0167】
次に、得られた焼結体に対し、HIPによる圧密化処理を施すことにより、ヒートシンク(圧密化焼結体)を得た。圧密化処理は、1200気圧、900℃の条件で、180分間行った。また、脱脂体を加圧する流体としては、アルゴンガスを用いた。このようにして得られたヒートシンクの空孔率B(アルキメデス法により測定)は、0.2vol%であった。また、ヒートシンクの熱伝導率は、130W・m−1・K−1であった。
【0168】
(実施例2〜5)
前記実施例1で用意した5種の金属粉末のうちの所定の3種ないし5種を、表1に示す最終組成となるように混合したものを原料粉末として用い、焼結条件、圧密化条件を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてヒートシンク(圧密化焼結体)を製造した。
【0169】
(実施例6)
まず、前記実施例1と同様にして、脱脂体を製造した。
【0170】
次に、これらの脱脂体に仮焼結処理を施した。
次に、得られた脱脂体(約4kg)を、1つの焼結炉で仮焼結して、仮焼結体を製造した。焼結条件は、5Torrのアルゴンガス雰囲気中、1000℃×180分とした。このようにして得られた仮焼結体の空孔率C(アルキメデス法により測定)は、12vol%であった。
【0171】
次に、得られた仮焼結体に対し、HIPによる圧密化処理を施した。圧密化処理は、1200気圧、800℃の条件で、180分間行った。また、仮焼結体を加圧する流体としては、アルゴンガスを用いた。このようにして圧密化された仮焼結体の空孔率D(アルキメデス法により測定)は、3vol%であった。
【0172】
次に、圧密化された仮焼結体を、1つの焼結炉で本焼結して、ヒートシンク(圧密化焼結体)を得た。焼結条件は、5Torrのアルゴンガス雰囲気中、1100℃×120分とした。このようにして得られたヒートシンクの空孔率(アルキメデス法により測定)は、0.5vol%であった。
【0173】
(実施例7〜10)
前記実施例1で用意した5種の金属粉末のうちの所定の3種ないし5種を、表1に示す最終組成となるように混合したものを原料粉末として用い、仮焼結条件、圧密化条件、本焼結条件を表1に示すように変更した以外は、前記実施例6と同様にしてヒートシンク(圧密化焼結体)を製造した。
【0174】
(比較例1)
脱脂体に焼結処理を施したものをヒートシンクとした以外は、前記実施例1と同様にしてヒートシンクを製造した。すなわち、焼結処理により得られた焼結体に、圧密化処理を施さなかった以外は、前記実施例1と同様にしてヒートシンクを製造した。
【0175】
(比較例2)
前記実施例1で用いたW粉末と、Cu粉末とを用意し、これらを表1に示す最終組成となるように混合し、これを原料粉末として用いた以外は、前記実施例1と同様にしてヒートシンクを製造した。
【0176】
(比較例3)
前記実施例1で用意したW粉末を原料粉末として用い、この原料粉末に、ポリスチレン(PS):1.45wt%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA):1.2wt%およびパラフィンワックス:1.2wt%から構成される結合材と、ジブチルフタレート(可塑剤):0.7wt%とを混合し、これらを混練機(加圧ニーダ)にて110℃、1時間の条件で混練した。
【0177】
次に、この混練物を用い、射出成形機にて金属粉末射出成形し、焼結上がりで全体寸法=縦25mm×横25mm、突起寸法=外径φ1.25mm、長さ1mmとなるような図1および図2に示す形状のヒートシンク成形体を製造した。なお、成形体の形状寸法は、以後の脱脂および焼結による収縮分を見込んで決定した。
【0178】
また、射出成形時における成形条件は、金型温度30℃、射出圧力110kgf/cm2であった。
【0179】
次に、得られた成形体に対し、760Torrの窒素ガス雰囲気中で、450℃、1時間、脱脂処理を施し、脱脂体を得た。
【0180】
次に、得られた脱脂体(約4kg)を、1つの焼結炉で仮焼結して、仮焼結体を製造した。焼結条件は、5Torrのアルゴンガス雰囲気中、1400℃×180分とした。このようにして得られた仮焼結体の空孔率(アルキメデス法により測定)は、20vol%であった。
【0181】
次に、得られた仮焼結体の空孔にCuを含浸させた。Cuの含浸は、1×10−3Torrのアルゴンガス雰囲気中に1150℃×120分という条件で行った。
【0182】
このようにして得られた焼結体の空孔率B(アルキメデス法により測定)は、3vol%であった。また、ヒートシンクの熱伝導率は、120W・m−1・K−1であった。
ヒートシンクの製造条件を表1にまとめて示す。
【0183】
【表1】
【0184】
前記実施例1〜10、比較例1〜3で得られた各ヒートシンクについて、空孔率、機械的強度を調べた。また、各ヒートシンクについて、焼結時におけるCu等の飛散による焼結炉内面への付着の度合いを調べた。
なお、空孔率は、アルキメデス法により測定した密度比から求めた。
【0185】
また、機械的強度の測定は、ヒートシンク(各50個)を1mの高さからカシの木の板上に落下させ、最も破損し易い部分であるモールド孔6付近の破損の有無を調べ、破損が生じたものの個数から、破損率を求めることにより行った。破損率5%以上のものは、信頼性に欠け、不良品とみなすことができる。
【0186】
また、焼結炉内面へのCu等の付着の度合いは、大、中、小の3段階で評価した。
【0187】
次に、前記実施例1〜10、比較例1〜3で得られた各ヒートシンクの全表面に、電気メッキ法によりAgメッキを施した。メッキ層の乾燥膜厚は、1μmとした。さらに、半導体チップとの接合面以外の部分に、黒色塗装処理を施した。
【0188】
これらメッキ層を形成した各ヒートシンクについて、メッキ密着性およびメッキ層の変色の有無を調べた。
【0189】
なお、メッキ密着性は、メッキ層に1mm角のクロスカットを入れ、その上に粘着テープを貼着し、これを剥したときの1mm角小片の剥離枚数により、剥離枚数の少ないものから順に◎、○、△、×の4段階で評価した。
【0190】
また、メッキ層の変色の有無は、ヒートシンク(各50個)について、メッキ直後の色相(色調)と、メッキから24時間経過後の色相(色調)とを目視で観察し、色相または色調の変化が認められたものが2個以上あるものを「変色あり」、2個未満のものを「変色なし」とした。
これらの結果を表2に示す。
【0191】
【表2】
【0192】
表2に示すように、実施例1〜10では、いずれも、空孔率が1vol%以下と低く、機械的強度が高く(落下による破損率が小さく)、メッキ密着性に優れ、メッキ層の変色も生じていない。また、焼結炉内面へのCu等の付着の度合いも小さい。また、実施例1〜10の各ヒートシンクの形状は、均一であり、寸法精度も高いものであった。
【0193】
これに対し、比較例1〜3では、空孔率が高く、機械的強度にも劣っていた。また、比較例2、3では、メッキ密着性が劣り、メッキ層の変色も生じていた。
【0194】
また、比較例1では、メッキの密着性は、他の比較例に比べれば優れていたが、空孔率が大きく、各空孔の径も大きいため、メッキ層にピンホールを生じていた。
【0195】
さらに、比較例2では、焼結温度が高いため、焼結炉内面へのCu等の付着の度合いが大きい。
【0196】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、空孔率の低い焼結体が得られる。
【0197】
また、本発明によれば、高強度で破損しにくく、放熱性に優れ、形状が均一で寸法精度の高い圧密化焼結体が得られる。
【0198】
さらには、メッキ層等の密着性に優れ、メッキ層の変質(変色)が生じない圧密化焼結体が得られる。従って、本発明を適用したヒートシンクおよびそれを実装した装置は、その信頼性が大幅に向上する。
【0199】
さらに、上記特性を持つ圧密化焼結体(ヒートシンク)を容易かつ安全に、効率よく製造することができ、生産性の向上およびコストダウンが図れる。特に、焼結温度が低いこと、焼結時間が短いこと等から、焼結炉や焼結治具への負担が小さく、飛散物の除去作業の手間も軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したヒートシンクを示す平面図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】図2の部分拡大断面図である。
【図4】本発明の圧密化焼結体の製造方法の第1実施形態を示す工程図である。
【図5】本発明の圧密化焼結体の製造方法の第2実施形態を示す工程図である。
【符号の説明】
1…ヒートシンク(圧密化焼結体)、3…基板、4…突起、5…モールド枠、6…モールド孔、7…接合面、9…メッキ層、1A〜4A…工程、1B〜5B…工程
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧密化された焼結体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
CPU等に用いられる半導体チップは、その作動により発熱するため、その熱を効率よく放熱する目的で、ヒートシンクが接合されて使用される。
【0003】
このヒートシンクとしては、シリコン(Si)で構成される半導体チップとの温度差が生じても半導体チップが割れを生じないようにする必要があることから、タングステン(W)を基本とする熱膨張係数の小さい金属材料で構成されている。
【0004】
また、最近では、タングステンに熱伝導率の良い銅(Cu)を添加し、放熱性を向上したW−Cu合金の使用も検討されている。
【0005】
ところで、このような金属製品は、一般的な粉末冶金法である圧縮成形・焼結法により製造されているが、圧縮成形・焼結法では、複雑で微細な形状のものを精密な寸法で製造することが困難であり、放熱性の向上のために複雑な形状をなしているヒートシンクの製造には不適当である。
【0006】
そこで、圧縮成形・焼結法に代わる方法として、金属粉末と有機バインダーとの混練物を用いて射出成形する金属粉末射出成形法(Metal Injection Molding:以降「MIM」とよぶ)により成形された成形体を焼結炉で焼結してW−Cu合金による金属焼結体を製造する方法が提案されている。
【0007】
しかしながら、W−Cu合金による金属焼結体には、次のような欠点がある。
▲1▼空孔率が高いため、強度が弱く(脆く)、衝撃等により破損を生じ易い。
【0008】
▲2▼ヒートシンクの半導体チップとの接合面に、例えばAgメッキのようなメッキ処理を施した場合、そのメッキ層が変質(変色)し易く、ヒートシンクへのワイヤーボンディングを困難にさせる。
【0009】
また、メッキ密着性が低く、メッキ層の浮き上がりや剥離を生じることもある。メッキ密着性が低いのは、W−Cu合金自体の特性、メッキ層の変質によるものの他に、前記▲1▼で述べたように、空孔率が高いので、空孔中に多くのメッキ液が残存することが原因であると考えられる。
【0010】
▲3▼焼結温度を1350℃以下にすることができず、高温で長時間焼結を行うため、焼結炉や焼結治具への負担が大きく、消耗等によりその寿命が短い。
【0011】
また、このような高温で焼結するため、Cuの飛散が著しく生じ、飛散したCuが焼結炉内壁や成形体の支持台に付着し、その除去作業に多大な労力および費用を要するとともに、生産性の低下を招く。
【0012】
▲4▼焼結雰囲気として、水素ガスまたは水素ガスを含んだ不活性ガスを用いる必要があるため、危険性を伴う。
【0013】
従って、W−Cu合金の金属焼結体よりなるヒートシンクは、前記▲1▼および▲2▼の理由から、信頼性が低く、しかも、前記▲3▼および▲4▼の理由から、容易かつ安全に製造することができなかった。
【0014】
また、この他にも、W粉末を圧縮成形した成形体を焼結炉で焼結してWによる金属焼結体を製造し、その後、この焼結体の空孔内にCuを含浸させる方法も提案されている。しかしながら、このような方法では、焼結体中にCuを均一に含浸させるのが困難であり、各個体間、各部位での、特性(例えば、熱伝導率、熱膨張率等)のバラツキが大きくなるという問題点を有している。そして、このような問題は、複雑な形状をなしているヒートシンクに、特に顕著に現れる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、信頼性の高い、低空孔率の圧密化焼結体およびその製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(18)の本発明により達成される。
【0017】
(1) 主としてWで構成され、かつ、5〜40wt%のCuと、0.1〜5wt%のTM(ただし、TMはNi、Fe、Coから選択される少なくとも1種)とを含む組成からなる焼結体の製造方法であって、
原料粉末を含むコンパウンドを用いて成形体を得る成形工程と、
前記成形体に脱脂処理を施す脱脂工程と、
前記脱脂処理がなされた脱脂体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、
前記焼結体を加圧し圧密化する圧密化工程とを有することを特徴とする圧密化焼結体の製造方法。
【0018】
(2) 前記焼結工程は、1050〜1350℃で行う上記(1)に記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0019】
(3) 前記圧密化工程に供される前記焼結体は、空孔率が4〜8vol%である上記(1)または(2)に記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0020】
(4) 前記圧密化工程に供される前記焼結体の空孔率をA[vol%]、前記圧密化工程後に得られる前記圧密化焼結体の空孔率をB[vol%]としたとき、1.5≦A/Bの関係を満足する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0021】
(5) 主としてWで構成され、かつ、5〜40wt%のCuと、0.1〜5wt%のTM(ただし、TMはNi、Fe、Coから選択される少なくとも1種)とを含む組成からなる焼結体の製造方法であって、
原料粉末を含むコンパウンドを用いて成形体を得る成形工程と、
前記成形体に脱脂処理を施す脱脂工程と、
前記脱脂処理がなされた脱脂体を仮焼結して仮焼結体を得る仮焼結工程と、
前記仮焼結体を加圧し圧密化する圧密化工程と、
前記圧密化された仮焼結体を本焼結する本焼結工程とを有することを特徴とする圧密化焼結体の製造方法。
【0022】
(6) 前記仮焼結工程は、800〜1100℃で行う上記(5)に記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0023】
(7) 前記圧密化工程に供される前記仮焼結体は、空孔率が8〜15vol%である上記(5)または(6)に記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0024】
(8) 前記圧密化工程に供される前記仮焼結体の空孔率をC[vol%]、前記圧密化工程後の前記仮焼結体の空孔率をD[vol%]としたとき、2.5≦C/Dの関係を満足する上記(5)ないし(7)のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0025】
(9) 前記本焼結工程は、1050〜1300℃で行う上記(5)ないし(8)のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0026】
(10) 前記圧密化は、800〜1500気圧で行う上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0027】
(11) 前記圧密化は、750〜1050℃で行う上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0028】
(12) 前記圧密化は、等方的に行う上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0029】
(13) 前記成形体は、金属粉末射出成形により製造する上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0030】
(14) 前記成形体中における前記原料粉末の含有量が85〜98wt%である上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
【0031】
(15) 上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする圧密化焼結体。
【0032】
(16) 空孔率が3vol%以下である上記(15)に記載の圧密化焼結体。
【0033】
(17) 熱伝導率が75[W・m−1・K−1]以上である上記(15)または(16)に記載の圧密化焼結体。
【0034】
(18) 圧密化焼結体は、ヒートシンクである上記(15)ないし(17)のいずれかに記載の圧密化焼結体。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の圧密化焼結体およびその製造方法について、添付図面に示す好適な実施形態に基づき詳細に説明する。
【0036】
まず、本発明の圧密化焼結体について説明する。
本発明の圧密化焼結体は、後に詳述するように、主としてWで構成され、かつ、5〜40wt%のCuと、0.1〜5wt%のTM(ただし、TMはNi、Fe、Coから選択される少なくとも1種)とを含む組成からなるものである。
【0037】
本発明の圧密化焼結体は、上記のような組成を有するものであればいかなるものであってもよく、以下のような理由から、ヒートシンクに適用されるのが特に好ましい。
【0038】
ヒートシンクは、例えば、CPU用の半導体チップ等に接合して用いられるが、半導体チップはその作動により発熱するため、ヒートシンクには、その熱を効率よく放熱する性能が求められる。また、シリコン(Si)で構成される半導体チップとの温度差が生じても半導体チップに割れが生じるのをより確実に防止することができるように、ヒートシンクとしては、熱膨張係数が比較的小さいものであるのが好ましい。
【0039】
一方、本発明の圧密化焼結体は、後に詳述するように、熱膨張率が小さく、かつ熱伝導性にも優れており、本発明を適用したヒートシンクは、特に優れた性能(ヒートシンクとして求められる性能)を有するものとなる。
【0040】
以下、圧密化焼結体の一例として、ヒートシンクについて代表的に説明する。図1は、本発明を適用したヒートシンクを示す平面図、図2は、図1中のII−II線断面図、図3は、図2の部分拡大断面図である。
【0041】
これらの図に示すように、ヒートシンク(圧密化焼結体)1は、基板3と、基板3の放熱面側(図2中上側)に基板3と一体的に形成された複数の突起(凸部)4と、各突起4を囲むように基板3と一体的に形成されたモールド枠(壁部)5とで構成されている。各突起4は、円柱状または円錐台状をなしている。また、基板3の四隅には、円形のモールド孔(孔)6が形成されている。
【0042】
基板3の前記放熱面と反対側(図2中、下側)には、発熱体である半導体チップ(図示せず)と接合される接合面7が形成されている。
【0043】
また、ヒートシンク1の少なくとも一部には、例えば、表面処理が施されていてもよい。本実施形態では、接合面7にメッキ層(被覆層)9が形成されている。このメッキ層9は、半導体チップとの接着機能またはそれを補助する機能を得るための層である。
【0044】
メッキ層9としては、例えば、Agメッキ、またはAg−Pd合金メッキ等のAg系合金メッキ、AuメッキまたはAu系合金メッキ、PtメッキまたはPt系合金メッキ、NiメッキまたはNi系合金メッキ、CrメッキまたはCr系合金メッキ等が挙げられる。このなかでも、特に、Ag、Au、Ptまたはこれらを主とする合金メッキのような、貴金属メッキが好ましい。
【0045】
メッキ層9の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.5〜20μm程度、より好ましくは1〜10μm程度とされる。
【0046】
なお、メッキ層9の形成は、例えば、ヒートシンク1の全表面に対しなされても良い。また、メッキ層等の被覆層の形成目的は、前述したものに限らず、例えば、保護層の形成、防食等であってもよい。
【0047】
また、表面処理としては、前記メッキの他に、例えば、樹脂被覆層の形成、黒色塗装等の塗装が挙げられる。この場合、塗装箇所は、基板3の放熱面側とされる。
【0048】
次に、ヒートシンク1の構成材料について説明する。
ヒートシンク1は、主としてWで構成され、かつ、5〜40wt%のCuと、0.1〜5wt%のTM(ただし、TMはNi、Fe、Coから選択される少なくとも1種)とを含む組成からなるものであることを特徴とする。
【0049】
Wは、熱膨張係数が小さい金属材料であり、同様に熱膨張係数が小さいSiで構成される半導体チップを接合したときに、温度差が生じても半導体チップに割れを生じることが防止される。このような作用は、Wが55wt%以上の範囲で特に有効に発揮される。
【0050】
Cuは、熱伝導性の高い金属材料であり、従って、Cuの添加は、ヒートシンク1の熱伝導性を向上する。Cuの含有量は5〜40wt%とされる。Cuが5wt%未満であると、熱伝導性の向上が不十分となる。一方、Cuが40wt%を超えると、ヒートシンク(圧密化焼結体)1全体としての熱膨張係数が大きくなりSiの熱膨張係数と大きな差が生じてしまい、半導体チップの割れ等の問題が発生しやすくなる。
【0051】
TM(ただし、TMはNi、Fe、Coから選択される少なくとも1種)は、WとCuとの焼結性を向上させるのに有利な元素である。したがって、所定量のTMを含むことにより、ヒートシンク(圧密化焼結体)1の各部位での熱伝導率、熱膨張係数のバラツキを十分に小さくすることができる。また、TMは、焼結体の空孔率の低減、ヒートシンク1の表面に形成されたメッキ層9の密着性の向上、メッキ層9の変質(変色)の防止、焼結温度の低減等に寄与する。本発明では、TMの含有量は0.1〜5wt%とされる。TMが0.1wt%未満では、前記各効果の発現が不十分となる。一方、TMが5wt%を超えると、熱伝導性が低下し、ヒートシンクとしての特性が十分に発揮されなくなる。
【0052】
上述したように、本発明において、Cuの含有量は、5〜40wt%とされるが、5〜30wt%であるのが好ましく、5〜25wt%であるのがより好ましい。これにより、上述した効果は、より顕著なものとなる。
【0053】
同様に、本発明において、TMの含有量は、0.1〜5wt%とされるが、0.2〜4.5wt%であるのが好ましく、0.5〜4wt%であるのがより好ましい。これにより、上述した効果は、より顕著なものとなる。
【0054】
ヒートシンク1の構成材料中には、前記金属元素の他に、例えば、P、Sn、Pb、Cr、Pd、Zr、Al、Mo、Ag、Ti、Mn、Nb等のうちの少なくとも1種が含まれていてもよい。例えば、Pの添加は、後述する焼結温度を下げる効果がある。
【0055】
このようなヒートシンク(圧密化焼結体)1の空孔率は、3vol%以下であるのが好ましく、2vol%以下であるのがより好ましく、1vol%以下であるのがさらに好ましい。
【0056】
空孔率が高いと、機械的強度が低く(脆く)なり、衝撃等により破損し易くなるので、ヒートシンク1の信頼性が低下する。また、空孔率が高いと、熱伝導性が低下し、放熱性(放熱の効率)が低下する。また、空孔率が高いと、メッキ層9の密着性が低下する。このメッキ層9の密着性の低下は、メッキを施した際に、空孔中にメッキ液が残存し易くなることが1つの原因であると考えられる。
【0057】
また、ヒートシンク(圧密化焼結体)1の熱伝導率は、75[W・m−1・K−1]以上であるのが好ましく、85[W・m−1・K−1]以上であるのがより好ましい。熱伝導率がこのような値であると、ヒートシンク1は、放熱の効率が特に優れたものとなる。
【0058】
なお、ヒートシンクの形状、構造等は、図示のものに限定されず、例えば、ヒートシンク1の全体形状や、放熱用の突起(凸部)4の形状、配置等は、いかなるものでもよい。
【0059】
次に、上記のヒートシンク(圧密化焼結体)の製造方法について説明する。
図4は、本発明の圧密化焼結体の製造方法の第1実施形態を示す工程図である。
【0060】
[1A]成形体の製造
焼結に供される成形体は、好ましくはMIMにより製造される。
【0061】
一般に、MIMは、複雑で微細な形状の焼結体を高い寸法精度で製造することができる利点を有するが、成形体中に占める結合材(有機バインダー)の含有量が比較的多いため、得られる焼結体中の空孔率が高くなる傾向を示すという欠点も有している。
【0062】
一方、本発明では、後述する圧密化処理を行うため、成形体中に占める結合材(有機バインダー)の含有量が比較的多い(原料粉末の含有量が比較的少ない)場合であっても、最終的に得られる焼結体(圧密化焼結体)を、高密度、低空孔率のものとすることができる。すなわち、本発明によれば、目的とする焼結体(圧密化焼結体)が、複雑で微細な形状を有するものであっても、高密度、低空孔率のものとして、高い寸法精度で製造することができる。
【0063】
以下、MIMによる各工程を説明する。
まず、最終的に前述したような組成の圧密化焼結体(ヒートシンク1)が得られるような原料粉末(金属粉末)と結合材(有機バインダー)とを用意し、これらを混練機により混練し、混練物(コンパウンド)を得る。
【0064】
原料粉末としては、W−Cu−TM系合金粉末、あるいは、W粉末とCu−TM系合金粉末との混合粉末、W粉末とCu粉末とTM金属粉末(TM系合金粉末)との混合粉末、またはこれらのうちのいずれか2以上を組み合わせたもの等を用いることができる。
【0065】
上記粉末の製造方法は、特に限定されず、例えば、水またはガスアトマイズ法、還元法、カルボニル法、粉砕法により製造されたものを用いることができる。
【0066】
また、W、Cu、TM以外の金属元素を添加する場合には、それらの金属元素を合金粉末としてまたは混合粉末として添加することができる。
【0067】
このような原料粉末の平均粒径は、特に限定されないが、通常、0.2〜200μm程度が好ましく、1〜50μm程度がより好ましい。
【0068】
一方、結合材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、またはこれらの共重合体等の各種樹脂や、各種ワックス、パラフィン、高級脂肪酸(例:ステアリン酸)、高級アルコール、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0069】
また、さらに可塑剤が添加されていてもよい。この可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル(例:DOP、DEP、DBP)、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、セバシン酸エステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0070】
このような結合材の合計添加量は、2〜15wt%程度が好ましく、3〜10wt%程度がより好ましい。2wt%未満では、成形時における流動性が乏しくなり、射出成形が不能または困難となるか、あるいは成形物の組成が不均一となり、15wt%を超えると、射出成形により得られた成形体を焼成した際の収縮率が増大し、寸法精度が低下し、また、焼結体(圧密化焼結体)における空孔率や含有C量が増大する傾向を示す。
【0071】
なお、混練に際しては、前記原料粉末、結合材、可塑剤の他に、例えば、潤滑剤、酸化防止剤、脱脂促進剤、界面活性剤等の各種添加物を必要に応じ添加することができる。
【0072】
混練条件は、用いる原料粉末の粒径、結合材、添加剤の組成およびその配合量等の諸条件により異なるが、その一例を挙げれば、混練温度:60〜200℃程度、混練時間:20〜210分程度とすることができる。
【0073】
上記のようにして得られた混練物(または該混練物より造粒されたペレット)を用いて、射出成形機により射出成形し、所望のヒートシンク形状の成形体を製造する。この場合、成形金型の選択により、突起4のような複雑で微細な形状部分を有する成形体をも容易に製造することができる。
【0074】
射出成形の成形条件としては、用いる原料粉末の粒径、結合材の組成およびその配合量等の諸条件により異なるが、その一例を挙げれば、材料温度(金型温度)が好ましくは80〜200℃程度、射出圧力が好ましくは20〜150kgf/cm2程度とされる。
【0075】
なお、製造される成形体の形状寸法は、以後の脱脂および焼結による成形体の収縮分を見込んで決定される。
【0076】
[2A]成形体の脱脂
前記[1A]の工程で得られた成形体に脱脂処理(脱バインダー処理)を施し、脱脂体を得る。この脱脂処理としては、非酸化性雰囲気、例えば真空または減圧状態下(例えば1×10−1〜1×10−6Torr)、あるいは窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス中で、熱処理を行うことによりなされる。
【0077】
この場合、熱処理条件としては、好ましくは温度100〜750℃程度で0.5〜40時間程度、より好ましくは温度150〜600℃程度で1〜24時間程度とされる。
【0078】
また、このような熱処理による脱脂は、種々の目的(例えば脱脂時間の短縮の目的)で、複数の工程(段階)に分けて行われてもよい。この場合、例えば、前半を低温で、後半を高温で脱脂処理するような方法や、低温と高温を繰り返し行う方法とが挙げられる。
【0079】
また、前述の熱処理との組み合わせにより、脱脂における雰囲気の圧力を変化させてもよい。この場合、例えば、脱脂の前半を減圧(例えば、1×10−3Torr)状態下で、脱脂の後半を常圧で行う方法や、減圧と常圧を交互に繰り返し行う方法が挙げられる。
【0080】
このように、脱脂条件に変化を与えることにより、成形体に対しより効率的に脱脂処理を行うことができる。
【0081】
なお、この脱脂処理は、他の方法、例えば、結合材や添加剤中の特定成分を所定の溶媒(液体、気体)を用いて溶出させることにより行ってもよい。
【0082】
[3A]脱脂体の焼結
以上のようにして得られた脱脂体を炉で焼成して焼結し、焼結体を製造する。
【0083】
焼結により原料粉末が拡散、粒成長し、空隙は減少する。その結果、得られる焼結体中の空孔率は、脱脂体中の空孔率よりも低いものとなる。
【0084】
焼結における焼結温度は、例えば、好ましくは1050〜1350℃程度、より好ましくは1100〜1300℃程度とされる。
【0085】
焼結温度は、高いほど焼結時間の短縮にとって有利であるが、1350℃を超えると、焼結炉や焼結治具への負担が大きく、消耗等によりその寿命が短くなるとともに、焼結時に、脱脂体中に含まれるCuの飛散が著しく生じ、飛散したCuが焼結炉内壁や脱脂体の支持台に付着する。
【0086】
なお、焼結温度は、前述した範囲内または範囲外で、経時的に変動(上昇または下降)してもよい。
【0087】
焼結時間は、前述したような焼結温度の場合、好ましくは30〜360分程度、より好ましくは60〜240分程度とされる。
【0088】
また、焼結雰囲気は、特に限定されないが、減圧(真空)下または水素を含まない非酸化性雰囲気とされるのが好ましい。これにより、焼結時の安全性が向上するとともに、金属の酸化による特性劣化が防止され、また、焼結体の空孔率の低減に寄与する。
【0089】
好ましい焼結雰囲気としては、1Torr以下(より好ましくは1×10−2〜1×10−6Torr)の減圧(真空)下、または1〜760Torrの窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気であるのが好ましい。
【0090】
以上のような条件で焼結を行うことにより、焼結体の空孔率を低減することができる。得られた焼結体の空孔率は、4〜8vol%であるのが好ましい。
【0091】
焼結体の空孔率が8vol%を超えると、後述する圧密化処理を施しても、最終的に得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1中の空孔率を十分に低くするのが困難となる場合がある。
【0092】
また、焼結体中の空孔は、その大部分が、独立孔(それぞれが独立している空孔)となっているのが好ましい。これにより、後述する圧密化処理を効率良く行うことができ、最終的に得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の空孔率を、特に低いものとすることができる。その結果、ヒートシンク1は、機械的強度が特に優れたものになるとともに、熱伝導率のさらなる向上を図ることもできる。
【0093】
なお、焼結は、2段階またはそれ以上で行ってもよい。例えば、焼結条件(焼結温度、焼結時間、焼結雰囲気等のうちの少なくとも1つ)が異なる1次焼結と2次焼結を行うことができる。この場合、2次焼結の焼結温度を、1次焼結の焼結温度より高い温度とすることができる。これにより、焼結の効率がさらに向上し、空孔率のさらなる低減を図ることができる。
【0094】
[4A]焼結体の圧密化(圧密化処理)
以上のようにして得られた焼結体を加圧、圧密化する圧密化処理を施し、圧密化焼結体(ヒートシンク1)を製造する。
【0095】
この圧密化処理により、焼結体中の空孔がさらに減少し、全体として緻密な、すなわち高密度、低空孔率のヒートシンク(圧密化焼結体)1が得られる。
【0096】
圧密化処理時の圧力は、例えば、800〜1500気圧であるのが好ましく、1000〜1400気圧であるのがより好ましい。圧密化処理時の圧力が前記下限値未満であると、得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1中の空孔率を十分に低いものとするのが困難となる場合がある。一方、圧密化処理時の圧力が前記上限値を超えると、圧密化処理時の温度等によっては、得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の寸法精度が低下する可能性がある。
【0097】
圧密化処理時の温度は、例えば、750〜1050℃であるのが好ましく、800〜1000℃であるのがより好ましい。圧密化処理時の温度が前記下限値未満であると、圧密化処理時の圧力等によっては、得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1中の空孔率を十分に低いものとするのが困難となる場合がある。一方、圧密化処理時の温度が前記上限値を超えると、圧密化処理時の圧力等によっては、得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の寸法精度が低下する可能性がある。
【0098】
また、圧密化処理時の圧力、温度を上記のような範囲の値とした場合、圧密化処理の処理時間は、好ましくは30〜480分程度、より好ましくは60〜360分程度とされる。
【0099】
また、圧密化処理は、焼結体を等方的に加圧する条件で行うのが好ましい。これにより、最終的に得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の寸法精度がさらに向上する。また、ヒートシンク(圧密化焼結体)1は、各部位での空孔率、熱伝導率等のバラツキが特に小さいものとなる。
【0100】
このような方法を用いることにより、圧密化処理に供する焼結体が複雑な形状を有するものであっても、各部位を均等に圧密化することができる。したがって、得られるヒートシンク1は、寸法精度が特に優れたものとなる。
【0101】
また、上記のような方法を用いた場合、焼結体の全体にわたって(例えば、厚さ方向の異なる部位であっても)均等に圧密化できるので、各部位での空孔率のバラツキも小さくなる。このように空孔率が小さく、かつそのバラツキが小さいため、ヒートシンク1の機械的強度は特に優れたものとなる。ヒートシンクは、通常、温度変化の激しい環境で用いられるが、本発明を適用したヒートシンク1は、このような過酷な条件で使用しても、割れ等の発生が極めて生じ難いものとなる。
【0102】
このように、焼結体を等方的に加圧する条件で行う方法としては、例えば、CIP(Cold Isostatic Press)、HIP(Hot Isostatic Press)等が挙げられる。この中でも特に、HIPが好ましい。焼結体の加圧方法としてHIPを用いることにより、圧密化処理の効率が向上する。
【0103】
圧密化処理は、特に限定されないが、加圧された流体中で行うのが好ましい。これにより、比較的容易に焼結体を等方的に加圧することができる。焼結体を加圧する流体としては、例えば、気体、液体を用いることができる。前記気体としては、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス等の不活性ガス、空気等が挙げられる。また、前記液体としては、各種オイル等が挙げられる。なお、前記流体として液体を用いる場合、圧密化処理は、焼結体の表面を液体遮断性のある被膜で被覆した状態で行うのが好ましい。被膜の構成材料としては、例えば、シリコンゴム等が挙げられる。
【0104】
上記のような流体の中でも、気体、特に不活性ガスを用いるのが好ましい。これにより、圧密化処理の前後に行う前処理、後処理(例えば、被膜の被覆、除去等)を省略または簡略化することができる。
【0105】
なお、圧密化処理時における温度、圧力は、前述した範囲内または範囲外で、経時的に変動(上昇または下降)してもよい。
【0106】
以上のような圧密化処理により得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の空孔率は、3vol%以下が好ましく、2vol%以下がより好ましい。空孔率の低減は、ヒートシンク(圧密化焼結体)1の高密度化に寄与するとともに、高強度、高い寸法精度、良好な外観性が得られる。
【0107】
また、このような圧密化処理に供される焼結体の空孔率をA[vol%]、圧密化処理により得られる圧密化焼結体(ヒートシンク1)の空孔率をB[vol%]としたとき、1.5≦A/Bの関係を満足するのが好ましく、2≦A/Bの関係を満足するのがより好ましい。A/Bの値が前記下限値未満であると、最終的に得られるヒートシンク1の機械的強度および熱伝導率が低くなる傾向を示す。
【0108】
なお、圧密化処理は、2段階またはそれ以上で行ってもよい。例えば、圧密化条件(温度、圧力、時間等のうちの少なくとも1つ)が異なる1次圧密化処理と2次圧密化処理を行うことができる。これにより、空孔率のさらなる低減を図ることができる。
【0109】
なお、本発明においては、任意の目的で、工程[1A]の前工程、工程[1A]〜[4A]の間に存在する中間工程、または工程[4A]の後工程が存在していてもよい。
【0110】
中間工程として、例えば、バリ取り、面取り(例えば、接断面の縁部付近の面取り)、洗浄、研削、研磨等の表面処理や、切削、転写(圧転)、研削、ブラスト処理(例えば、ショットブラスト等)等の機械加工、化学エッチング等の化学処理、レーザー加工、放電加工等の各種加工、成形体、脱脂体等に対する圧密化処理等が挙げられる。
【0111】
また、後工程(後処理)としては、例えば、研削、研磨処理、メッキ処理(メッキ層9の形成)、樹脂被覆処理、塗装等が挙げられる。特に、メッキ処理を施す(メッキ層9を形成する)ことにより、例えば、半導体チップとの接着機能を向上させることができる。メッキ層9の形成方法としては、電気メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキや、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD等の気相メッキが挙げられる。
【0112】
次に、本発明の圧密化焼結体の製造方法の第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の圧密化焼結体の製造方法の第2実施形態を示す工程図である。
【0113】
図5に示すように、本実施形態の製造方法は、脱脂体に仮焼結処理(1次焼結処理)を施し、これにより得られた仮焼結体(1次焼結体)に圧密化処理を行い、その後本焼結(2次焼結)を行う以外は、前記第1実施形態と同様である。すなわち焼結処理を、仮焼結処理(1次焼結処理)と、本焼結処理(2次焼結処理)とに分け、その間に圧密化処理を施す以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0114】
[1B]成形体の製造
前記工程[1A]と同様である。
【0115】
[2B]成形体の脱脂処理
前記工程[2A]と同様である。
【0116】
[3B]脱脂体の仮焼結
以上のようにして得られた脱脂体を焼結炉で焼成して仮焼結(1次焼結)し、仮焼結体(1次焼結体)を製造する。
【0117】
仮焼結は、少なくとも原料粉末同士の接点が拡散結合する状態になるまで行なわれるのが好ましい。このような仮焼結を行うことにより、形状安定性が増し、以後の工程で、仮焼結体の崩壊、欠損、ひび割れ等の欠陥の発生をより確実に防止することができ、ハンドリング性が向上する。
【0118】
仮焼結における焼結温度は、例えば、800〜1100℃であるのが好ましく、850〜1100℃であるのがより好ましい。仮焼結における焼結温度を前記範囲内の値とすることにより、得られる仮焼結体の強度を十分に確保しつつ、後述する圧密化処理をより温和な条件で行うことが可能となる。
【0119】
なお、焼結温度は、前述した範囲内または範囲外で、経時的に変動(上昇または下降)してもよい。
【0120】
焼結時間は、前述したような焼結温度の場合、好ましくは30〜300分程度、より好ましくは60〜210分程度とされる。
【0121】
また、焼結雰囲気は、特に限定されないが、減圧(真空)下または水素を含まない非酸化性雰囲気とされるのが好ましい。これにより、仮焼結時の安全性が向上するとともに、金属の酸化による特性劣化が防止され、また、仮焼結体の空孔率の低減に寄与する。
【0122】
好ましい焼結雰囲気としては、1Torr以下(より好ましくは1×10−2〜1×10−6Torr)の減圧(真空)下、または1〜760Torrの窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気であるのが好ましい。
【0123】
以上のような条件で仮焼結を行うことにより、仮焼結体の空孔率を低減することができる。得られた仮焼結体の空孔率は、8〜15vol%であるのが好ましい。
【0124】
仮焼結体の空孔率が15vol%を超えると、後述する圧密化処理を施しても、最終的に得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1中の空孔率を十分に低くするのが困難となる場合がある。
【0125】
また、仮焼結体中の空孔は、その大部分が、独立孔(それぞれが独立している空孔)となっているのが好ましい。これにより、後述する圧密化処理を効率良く行うことができ、最終的に得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の空孔率を、特に低いものとすることができる。その結果、ヒートシンク1は、機械的強度が特に優れたものになるとともに、熱伝導率のさらなる向上を図ることもできる。
【0126】
[4B]仮焼結体の圧密化(圧密化処理)
以上のようにして得られた仮焼結体を加圧、圧密化する圧密化処理を施し、圧密化された仮焼結体を得る。この圧密化処理により、仮焼結体中の空孔が圧縮され、空孔率が減少する。
【0127】
このように、本実施形態では、圧密化処理を仮焼結体に対して施す。これにより、圧密化処理の条件を緩和することも可能となる。また、圧密化の度合いをさらに高めることが可能となり、結果として、より高密度のヒートシンク(圧密化焼結体)1を得ることができる。
【0128】
圧密化処理時の圧力は、例えば、800〜1500気圧であるのが好ましく、900〜1350気圧であるのがより好ましい。圧密化処理時の圧力が前記下限値未満であると、得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1中の空孔率を十分に低いものとするのが困難となる場合がある。一方、圧密化処理時の圧力が前記上限値を超えると、圧密化処理時の温度等によっては、得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の寸法精度が低下する可能性がある。
【0129】
圧密化処理時の温度は、例えば、750〜1050℃であるのが好ましく、750〜950℃であるのがより好ましい。圧密化処理時の温度が前記下限値未満であると、圧密化処理時の圧力等によっては、得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1中の空孔率を十分に低いものとするのが困難となる場合がある。一方、圧密化処理時の温度が前記上限値を超えると、圧密化処理時の圧力等によっては、得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の寸法精度が低下する可能性がある。
【0130】
また、圧密化処理時の圧力、温度を上記のような範囲の値とした場合、圧密化処理の処理時間は、好ましくは30〜480分程度、より好ましくは60〜360分程度とされる。
【0131】
また、圧密化処理は、仮焼結体を等方的に加圧する条件で行うのが好ましい。これにより、最終的に得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の寸法精度がさらに向上する。また、ヒートシンク(圧密化焼結体)1は、各部位での空孔率、熱伝導率等のバラツキが特に小さいものとなる。
【0132】
このような方法を用いることにより、圧密化処理に供する仮焼結体が複雑な形状を有するものであっても、各部位を均等に圧密化することができる。したがって、最終的に得られるヒートシンク1は、寸法精度が特に優れたものとなる。
【0133】
また、上記のような方法を用いた場合、仮焼結体の全体にわたって(例えば、厚さ方向の異なる部位であっても)均等に圧密化できるので、最終的に得られるヒートシンク1も各部位での空孔率のバラツキが小さいものとなる。このように空孔率が小さく、かつそのバラツキが小さいため、ヒートシンク1の機械的強度は特に優れたものとなる。ヒートシンクは、通常、温度変化の激しい環境で用いられるが、本発明を適用したヒートシンク1は、このような過酷な条件で使用しても、割れ等の発生が極めて生じ難いものとなる。
【0134】
このように、仮焼結体を等方的に加圧する条件で行う方法としては、例えば、CIP(Cold Isostatic Press)、HIP(Hot Isostatic Press)等が挙げられる。この中でも特に、HIPが好ましい。仮焼結体の加圧方法としてHIPを用いることにより、圧密化処理の効率が向上する。
【0135】
圧密化処理は、特に限定されないが、加圧された流体中で行うのが好ましい。これにより、比較的容易に焼結体を等方的に加圧することができる。仮焼結体を加圧する流体としては、例えば、気体、液体(前述)を用いることができる。前記気体としては、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス等の不活性ガス、空気等が挙げられる。また、前記液体としては、各種オイル等が挙げられる。なお、前記流体として液体を用いる場合、圧密化処理は、仮焼結体の表面を液体遮断性のある被膜で被覆した状態で行うのが好ましい。被膜の構成材料としては、例えば、シリコンゴム等が挙げられる。
【0136】
上記のような流体の中でも、気体、特に不活性ガスを用いるのが好ましい。これにより、圧密化処理の前後に行う前処理、後処理(例えば、被膜の被覆、除去等)を省略または簡略化することができる。
【0137】
なお、圧密化処理時における温度、圧力は、前述した範囲内または範囲外で、経時的に変動(上昇または下降)してもよい。
【0138】
また、このような圧密化処理に供される仮焼結体の空孔率をC[vol%]、圧密化処理後の仮焼結体の空孔率をD[vol%]としたとき、2.5≦C/Dの関係を満足するのが好ましく、4≦C/Dの関係を満足するのがより好ましい。C/Dの値が前記下限値未満であると、最終的に得られるヒートシンク1の機械的強度が低くなる傾向を示す。
【0139】
なお、圧密化処理は、2段階またはそれ以上で行ってもよい。例えば、圧密化条件(温度、圧力、時間等のうちの少なくとも1つ)が異なる1次圧密化処理と2次圧密化処理を行うことができる。これにより、空孔率のさらなる低減を図ることができる。
【0140】
[5B]仮焼結体の本焼結
上記の圧密化処理を施した仮焼結体を本焼結することにより、圧密化焼結体(本焼結体)を得る。
【0141】
この本焼結により、原料粉末が拡散、粒成長する。これにより、空隙は減少し、全体として緻密な、すなわち高密度、低空孔率の圧密化焼結体(ヒートシンク1)が得られる。特に、本実施形態では、本焼結に供する仮焼結体として、予め圧密化処理を施したものを用いるため、より低温度の処理で、高密度のヒートシンク1を得ることができる。
【0142】
本焼結における焼結温度は、例えば、好ましくは1050〜1300℃程度、より好ましくは1080〜1250℃程度とされる。
【0143】
焼結温度は、高いほど焼結時間の短縮にとって有利であるが、1300℃を超えると、焼結炉や焼結治具への負担が大きく、消耗等によりその寿命が短くなるとともに、本焼結時に、成形体中に含まれるCuの飛散が著しく生じ、飛散したCuが焼結炉内壁や成形体の支持台に付着する。
【0144】
なお、焼結温度は、前述した範囲内または範囲外で、経時的に変動(上昇または下降)してもよい。
【0145】
焼結時間は、前述したような焼結温度の場合、好ましくは30〜330分程度、より好ましくは60〜210分程度とされる。
【0146】
また、焼結雰囲気は、特に限定されないが、減圧(真空)下または水素を含まない非酸化性雰囲気とされるのが好ましい。これにより、本焼結時の安全性が向上するとともに、金属の酸化による特性劣化が防止され、また、ヒートシンク(圧密化焼結体)1の空孔率の低減に寄与する。
【0147】
好ましい焼結雰囲気としては、1Torr以下(より好ましくは1×10−2〜1×10−6Torr)の減圧(真空)下、または1〜760Torrの窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気であるのが好ましい。
【0148】
以上のようにして得られるヒートシンク(圧密化焼結体)1の空孔率は、3vol%以下が好ましく、2vol%以下がより好ましい。空孔率の低減は、ヒートシンク(圧密化焼結体)1の高密度化に寄与するとともに、高熱伝導率、高強度、高い寸法精度、良好な外観性が得られる。
【0149】
なお、本発明においては、任意の目的で、工程[1B]の前工程、工程[1B]〜[5B]の間に存在する中間工程、または工程[5B]の後工程が存在していてもよい。
【0150】
中間工程として、例えば、バリ取り、面取り(例えば、接断面の縁部付近の面取り)、洗浄、研削、研磨等の表面処理や、切削、転写(圧転)、研削、ブラスト処理(例えば、ショットブラスト等)等の機械加工、化学エッチング等の化学処理、レーザー加工、放電加工等の各種加工、成形体、脱脂体等に対する圧密化処理等が挙げられる。
【0151】
また、後工程(後処理)としては、例えば、研削、研磨処理、メッキ処理(メッキ層9の形成)、樹脂被覆処理、塗装等が挙げられる。特に、メッキ処理を施す(メッキ層9を形成する)ことにより、例えば、半導体チップとの接着機能を向上させることができる。メッキ層9の形成方法としては、電気メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキや、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD等の気相メッキが挙げられる。
【0152】
以上のように、本発明によれば、高品質、すなわち空孔率が低く、高強度、高熱伝導率で放熱性に優れ、形状が均一で寸法精度が高いヒートシンクを安全にかつ効率良く製造することができる。
【0153】
以上、本発明の圧密化焼結体の製造方法および圧密化焼結体の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0154】
例えば、前述した実施形態では、圧密化焼結体として、ヒートシンクについて説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、圧密化焼結体は、分銅、電極等であってもよい。
【0155】
特に、分銅は、高密度、高強度のものであるのが好ましいが、本発明によれば、主としてWで構成され、かつ低空孔率の圧密化焼結体が得られるので、分銅にも好適に適用することができる。また、本発明によれば、温度履歴を小さくすることができるので、その機械的強度は特に優れたものとなる。
【0156】
また、電極(特に、放電電極)は、耐摩耗性、導電性等が求められるが、本発明によれば、これらの条件を満足する圧密化焼結体が得られるので、電極にも好適に適用することができる。
【0157】
また、前述した実施形態では、脱脂工程を1回のみ行う方法について説明したが、脱脂工程は、2回以上に分けて行ってもよい。例えば、脱脂条件(脱脂温度、脱脂時間、脱脂雰囲気のうちの少なくとも1つ)が異なる1次脱脂と2次脱脂とを行うことができる。この場合、1次脱脂と2次脱脂との間に、前記機械加工等の中間処理を施してもよい。
【0158】
また、例えば、仮焼結と本焼結の間および仮焼結後にそれぞれ、圧密化処理を施してもよい。
【0159】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0160】
(実施例1)
まず、下記の5種の金属粉末を用意し、これらを表1に示す最終組成となるように混合し、原料粉末とした。
【0161】
W 粉末:還元粉、平均粒径3μm
Cu粉末:電解粉、平均粒径6μm
Ni粉末:カルボニル粉、平均粒径6μm
Fe粉末:カルボニル粉、平均粒径4μm
Co粉末:熱分解法による粉末、平均粒径1.5μm
【0162】
上記原料粉末に、ポリスチレン(PS):1.45wt%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA):1.2wt%およびパラフィンワックス:1.2wt%から構成される結合材と、ジブチルフタレート(可塑剤):0.7wt%とを混合し、これらを混練機(加圧ニーダ)にて110℃、1時間の条件で混練した。
【0163】
次に、この混練物を用い、射出成形機にて金属粉末射出成形し、焼結上がりで全体寸法=縦25mm×横25mm、突起寸法=外径φ1.25mm、長さ1mmとなるような図1および図2に示す形状のヒートシンク成形体を製造した。なお、成形体の形状寸法は、以後の脱脂および焼結による収縮分を見込んで決定した。
【0164】
また、射出成形時における成形条件は、金型温度30℃、射出圧力110kgf/cm2であった。
【0165】
次に、得られた成形体に対し、760Torrの窒素ガス雰囲気中で、450℃、1時間、脱脂処理を施し、脱脂体を得た。
【0166】
次に、得られた脱脂体(約4kg)を、1つの焼結炉で焼結して、焼結体を製造した。焼結条件は、760Torrのアルゴンガス雰囲気中、1200℃×180分とした。このようにして得られた焼結体の空孔率A(アルキメデス法により測定)は、4vol%であった。
【0167】
次に、得られた焼結体に対し、HIPによる圧密化処理を施すことにより、ヒートシンク(圧密化焼結体)を得た。圧密化処理は、1200気圧、900℃の条件で、180分間行った。また、脱脂体を加圧する流体としては、アルゴンガスを用いた。このようにして得られたヒートシンクの空孔率B(アルキメデス法により測定)は、0.2vol%であった。また、ヒートシンクの熱伝導率は、130W・m−1・K−1であった。
【0168】
(実施例2〜5)
前記実施例1で用意した5種の金属粉末のうちの所定の3種ないし5種を、表1に示す最終組成となるように混合したものを原料粉末として用い、焼結条件、圧密化条件を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてヒートシンク(圧密化焼結体)を製造した。
【0169】
(実施例6)
まず、前記実施例1と同様にして、脱脂体を製造した。
【0170】
次に、これらの脱脂体に仮焼結処理を施した。
次に、得られた脱脂体(約4kg)を、1つの焼結炉で仮焼結して、仮焼結体を製造した。焼結条件は、5Torrのアルゴンガス雰囲気中、1000℃×180分とした。このようにして得られた仮焼結体の空孔率C(アルキメデス法により測定)は、12vol%であった。
【0171】
次に、得られた仮焼結体に対し、HIPによる圧密化処理を施した。圧密化処理は、1200気圧、800℃の条件で、180分間行った。また、仮焼結体を加圧する流体としては、アルゴンガスを用いた。このようにして圧密化された仮焼結体の空孔率D(アルキメデス法により測定)は、3vol%であった。
【0172】
次に、圧密化された仮焼結体を、1つの焼結炉で本焼結して、ヒートシンク(圧密化焼結体)を得た。焼結条件は、5Torrのアルゴンガス雰囲気中、1100℃×120分とした。このようにして得られたヒートシンクの空孔率(アルキメデス法により測定)は、0.5vol%であった。
【0173】
(実施例7〜10)
前記実施例1で用意した5種の金属粉末のうちの所定の3種ないし5種を、表1に示す最終組成となるように混合したものを原料粉末として用い、仮焼結条件、圧密化条件、本焼結条件を表1に示すように変更した以外は、前記実施例6と同様にしてヒートシンク(圧密化焼結体)を製造した。
【0174】
(比較例1)
脱脂体に焼結処理を施したものをヒートシンクとした以外は、前記実施例1と同様にしてヒートシンクを製造した。すなわち、焼結処理により得られた焼結体に、圧密化処理を施さなかった以外は、前記実施例1と同様にしてヒートシンクを製造した。
【0175】
(比較例2)
前記実施例1で用いたW粉末と、Cu粉末とを用意し、これらを表1に示す最終組成となるように混合し、これを原料粉末として用いた以外は、前記実施例1と同様にしてヒートシンクを製造した。
【0176】
(比較例3)
前記実施例1で用意したW粉末を原料粉末として用い、この原料粉末に、ポリスチレン(PS):1.45wt%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA):1.2wt%およびパラフィンワックス:1.2wt%から構成される結合材と、ジブチルフタレート(可塑剤):0.7wt%とを混合し、これらを混練機(加圧ニーダ)にて110℃、1時間の条件で混練した。
【0177】
次に、この混練物を用い、射出成形機にて金属粉末射出成形し、焼結上がりで全体寸法=縦25mm×横25mm、突起寸法=外径φ1.25mm、長さ1mmとなるような図1および図2に示す形状のヒートシンク成形体を製造した。なお、成形体の形状寸法は、以後の脱脂および焼結による収縮分を見込んで決定した。
【0178】
また、射出成形時における成形条件は、金型温度30℃、射出圧力110kgf/cm2であった。
【0179】
次に、得られた成形体に対し、760Torrの窒素ガス雰囲気中で、450℃、1時間、脱脂処理を施し、脱脂体を得た。
【0180】
次に、得られた脱脂体(約4kg)を、1つの焼結炉で仮焼結して、仮焼結体を製造した。焼結条件は、5Torrのアルゴンガス雰囲気中、1400℃×180分とした。このようにして得られた仮焼結体の空孔率(アルキメデス法により測定)は、20vol%であった。
【0181】
次に、得られた仮焼結体の空孔にCuを含浸させた。Cuの含浸は、1×10−3Torrのアルゴンガス雰囲気中に1150℃×120分という条件で行った。
【0182】
このようにして得られた焼結体の空孔率B(アルキメデス法により測定)は、3vol%であった。また、ヒートシンクの熱伝導率は、120W・m−1・K−1であった。
ヒートシンクの製造条件を表1にまとめて示す。
【0183】
【表1】
【0184】
前記実施例1〜10、比較例1〜3で得られた各ヒートシンクについて、空孔率、機械的強度を調べた。また、各ヒートシンクについて、焼結時におけるCu等の飛散による焼結炉内面への付着の度合いを調べた。
なお、空孔率は、アルキメデス法により測定した密度比から求めた。
【0185】
また、機械的強度の測定は、ヒートシンク(各50個)を1mの高さからカシの木の板上に落下させ、最も破損し易い部分であるモールド孔6付近の破損の有無を調べ、破損が生じたものの個数から、破損率を求めることにより行った。破損率5%以上のものは、信頼性に欠け、不良品とみなすことができる。
【0186】
また、焼結炉内面へのCu等の付着の度合いは、大、中、小の3段階で評価した。
【0187】
次に、前記実施例1〜10、比較例1〜3で得られた各ヒートシンクの全表面に、電気メッキ法によりAgメッキを施した。メッキ層の乾燥膜厚は、1μmとした。さらに、半導体チップとの接合面以外の部分に、黒色塗装処理を施した。
【0188】
これらメッキ層を形成した各ヒートシンクについて、メッキ密着性およびメッキ層の変色の有無を調べた。
【0189】
なお、メッキ密着性は、メッキ層に1mm角のクロスカットを入れ、その上に粘着テープを貼着し、これを剥したときの1mm角小片の剥離枚数により、剥離枚数の少ないものから順に◎、○、△、×の4段階で評価した。
【0190】
また、メッキ層の変色の有無は、ヒートシンク(各50個)について、メッキ直後の色相(色調)と、メッキから24時間経過後の色相(色調)とを目視で観察し、色相または色調の変化が認められたものが2個以上あるものを「変色あり」、2個未満のものを「変色なし」とした。
これらの結果を表2に示す。
【0191】
【表2】
【0192】
表2に示すように、実施例1〜10では、いずれも、空孔率が1vol%以下と低く、機械的強度が高く(落下による破損率が小さく)、メッキ密着性に優れ、メッキ層の変色も生じていない。また、焼結炉内面へのCu等の付着の度合いも小さい。また、実施例1〜10の各ヒートシンクの形状は、均一であり、寸法精度も高いものであった。
【0193】
これに対し、比較例1〜3では、空孔率が高く、機械的強度にも劣っていた。また、比較例2、3では、メッキ密着性が劣り、メッキ層の変色も生じていた。
【0194】
また、比較例1では、メッキの密着性は、他の比較例に比べれば優れていたが、空孔率が大きく、各空孔の径も大きいため、メッキ層にピンホールを生じていた。
【0195】
さらに、比較例2では、焼結温度が高いため、焼結炉内面へのCu等の付着の度合いが大きい。
【0196】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、空孔率の低い焼結体が得られる。
【0197】
また、本発明によれば、高強度で破損しにくく、放熱性に優れ、形状が均一で寸法精度の高い圧密化焼結体が得られる。
【0198】
さらには、メッキ層等の密着性に優れ、メッキ層の変質(変色)が生じない圧密化焼結体が得られる。従って、本発明を適用したヒートシンクおよびそれを実装した装置は、その信頼性が大幅に向上する。
【0199】
さらに、上記特性を持つ圧密化焼結体(ヒートシンク)を容易かつ安全に、効率よく製造することができ、生産性の向上およびコストダウンが図れる。特に、焼結温度が低いこと、焼結時間が短いこと等から、焼結炉や焼結治具への負担が小さく、飛散物の除去作業の手間も軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したヒートシンクを示す平面図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】図2の部分拡大断面図である。
【図4】本発明の圧密化焼結体の製造方法の第1実施形態を示す工程図である。
【図5】本発明の圧密化焼結体の製造方法の第2実施形態を示す工程図である。
【符号の説明】
1…ヒートシンク(圧密化焼結体)、3…基板、4…突起、5…モールド枠、6…モールド孔、7…接合面、9…メッキ層、1A〜4A…工程、1B〜5B…工程
Claims (18)
- 主としてWで構成され、かつ、5〜40wt%のCuと、0.1〜5wt%のTM(ただし、TMはNi、Fe、Coから選択される少なくとも1種)とを含む組成からなる焼結体の製造方法であって、
原料粉末を含むコンパウンドを用いて成形体を得る成形工程と、
前記成形体に脱脂処理を施す脱脂工程と、
前記脱脂処理がなされた脱脂体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、
前記焼結体を加圧し圧密化する圧密化工程とを有することを特徴とする圧密化焼結体の製造方法。 - 前記焼結工程は、1050〜1350℃で行う請求項1に記載の圧密化焼結体の製造方法。
- 前記圧密化工程に供される前記焼結体は、空孔率が4〜8vol%である請求項1または2に記載の圧密化焼結体の製造方法。
- 前記圧密化工程に供される前記焼結体の空孔率をA[vol%]、前記圧密化工程後に得られる前記圧密化焼結体の空孔率をB[vol%]としたとき、1.5≦A/Bの関係を満足する請求項1ないし3のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
- 主としてWで構成され、かつ、5〜40wt%のCuと、0.1〜5wt%のTM(ただし、TMはNi、Fe、Coから選択される少なくとも1種)とを含む組成からなる焼結体の製造方法であって、
原料粉末を含むコンパウンドを用いて成形体を得る成形工程と、
前記成形体に脱脂処理を施す脱脂工程と、
前記脱脂処理がなされた脱脂体を仮焼結して仮焼結体を得る仮焼結工程と、
前記仮焼結体を加圧し圧密化する圧密化工程と、
前記圧密化された仮焼結体を本焼結する本焼結工程とを有することを特徴とする圧密化焼結体の製造方法。 - 前記仮焼結工程は、800〜1100℃で行う請求項5に記載の圧密化焼結体の製造方法。
- 前記圧密化工程に供される前記仮焼結体は、空孔率が8〜15vol%である請求項5または6に記載の圧密化焼結体の製造方法。
- 前記圧密化工程に供される前記仮焼結体の空孔率をC[vol%]、前記圧密化工程後の前記仮焼結体の空孔率をD[vol%]としたとき、2.5≦C/Dの関係を満足する請求項5ないし7のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
- 前記本焼結工程は、1050〜1300℃で行う請求項5ないし8のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
- 前記圧密化は、800〜1500気圧で行う請求項1ないし9のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
- 前記圧密化は、750〜1050℃で行う請求項1ないし10のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
- 前記圧密化は、等方的に行う請求項1ないし11のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
- 前記成形体は、金属粉末射出成形により製造する請求項1ないし12のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
- 前記成形体中における前記原料粉末の含有量が85〜98wt%である請求項1ないし13のいずれかに記載の圧密化焼結体の製造方法。
- 請求項1ないし14のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする圧密化焼結体。
- 空孔率が3vol%以下である請求項15に記載の圧密化焼結体。
- 熱伝導率が75[W・m−1・K−1]以上である請求項15または16に記載の圧密化焼結体。
- 圧密化焼結体は、ヒートシンクである請求項15ないし17のいずれかに記載の圧密化焼結体。
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JP2002210701A JP2004052040A (ja) | 2002-07-19 | 2002-07-19 | 圧密化焼結体の製造方法および圧密化焼結体 |
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Cited By (2)
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CN103978205A (zh) * | 2013-02-07 | 2014-08-13 | 上海六晶金属科技有限公司 | 一种烧结生坯钨金属板、钼金属板、钨合金板或钼合金板的方法 |
CN106148794A (zh) * | 2016-08-19 | 2016-11-23 | 北京尚华扬电子技术开发有限公司 | 一种掺杂纳米铁粉的铜钨合金及其制备方法 |
-
2002
- 2002-07-19 JP JP2002210701A patent/JP2004052040A/ja not_active Withdrawn
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