JP2004051581A - vero毒作用減弱用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】腸管出血性大腸菌によって産生されるvero毒の毒性を消去又は軽減する作用を有し、しかも人体に対して有害な副作用を生じさせない安全、かつ安定なvero毒作用減弱活性を有する物質を天然物から探索すると共に、当該物質を添加してvero毒減弱作用を付与した機能性食品を提供すること。
【解決手段】乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスの培養物から酢酸エチル又はブタノールで抽出することにより得られ、弱塩基性又は強塩基性陰イオン交換樹脂に吸着する性質があり、vero細胞に対する細胞毒性を減弱する作用を有することを特徴とするvero毒作用減弱用組成物並びに当該組成物を食品に添加してvero毒減弱作用を付与したことを特徴とする機能性食品。
【選択図】 なし
【解決手段】乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスの培養物から酢酸エチル又はブタノールで抽出することにより得られ、弱塩基性又は強塩基性陰イオン交換樹脂に吸着する性質があり、vero細胞に対する細胞毒性を減弱する作用を有することを特徴とするvero毒作用減弱用組成物並びに当該組成物を食品に添加してvero毒減弱作用を付与したことを特徴とする機能性食品。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、vero毒作用減弱用組成物及び当該組成物を配合した機能性食品に関し、詳しくは乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスの培養物から得られるvero毒作用減弱用組成物及び当該組成物を配合した機能性食品に関する。
本発明のvero毒作用減弱用組成物は、病原性大腸菌による食中毒を治療、軽減もしくは予防することができ、さらには該大腸菌の産生するvero毒素に起因する疾病の治療、軽減又は予防に有用である。そのため、当該組成物は医薬品や機能性食品に応用することができるものである。
【0002】
【従来の技術】
病原性大腸菌は、ヒトの腸管内に常在する一般の大腸菌とは生化学的な性質では区別できず、抗原的に区別されている。
病原性大腸菌は5種に分類されており、このうち腸管出血性大腸菌(vero毒素産生性大腸菌)には、血清型分類でO−157:H7(以下、O−157菌と略記することがある。)と言われる重要な食中毒菌が含まれている。
【0003】
O−157菌の産生する毒素は、アフリカミドリザルの腎臓由来細胞であるvero細胞に対して約109 分の1gという極微量で致命的な障害を与えることから、vero毒素(Shiga toxin 、Stx、VT)とも呼ばれている。
このvero毒素は、ヒトに対して出血性の大腸炎を起こし、腎臓その他に致死性の障害を与える他、ときには給食等を介して集団食中毒を起こす。
【0004】
vero毒素は、現在までに、生物細胞中の蛋白合成の場である28SリボソームRNAの特定部位(塩基配列で4324番目のアデニン)のN−グルコシド結合を加水分解し、1分子のアデニンを遊離させ、リボソームを不活性化することにより蛋白質合成を阻害する作用を有するグルコシダーゼであることが判明している。
しかし、vero毒素を産生する腸管出血性大腸菌に起因する食中毒の予防や治療法は確立されておらず、これらの早急な確立が待望されているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
また、vero毒作用を消去する、例えば毒素の中和、分解、包接、修飾失活、細胞への取りこみを不能にする等によってvero毒素を無毒化する物質を開発し、当該物質を食品に付加又は富化することにより、vero毒消去機能を有する食品の開発が待たれている。
【0006】
本発明の目的は、腸管出血性大腸菌によって産生されるvero毒素の毒性を消去又は軽減する作用を有し、しかも人体に対して有害な副作用を生じさせない安全、かつ安定なvero毒作用減弱作用を有する天然組成物を探索すること、並びに当該組成物を配合することによりvero毒作用減弱作用を付加した機能性食品を提供することである。
そこで、本発明者らはvero毒素がvero細胞の増殖を抑制するという系を用いて鋭意研究を重ねた結果、チーズ等の伝統的な発酵食品の製造に広く利用されている乳酸菌等の食品微生物の中に、本発明の目的とするvero毒作用減弱作用を有する組成物を産生する微生物が存在することを初めて見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスの培養物から酢酸エチル又はブタノールで抽出することにより得られ、弱塩基性または強塩基性陰イオン交換樹脂に吸着する性質があり、vero細胞に対する細胞毒性を減弱する作用を有することを特徴とするvero毒作用減弱用組成物である。
請求項2に記載の本発明は、vero毒作用減弱用組成物が、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスの培養物からの酢酸エチル又はブタノールによる抽出液から当該酢酸エチル又はブタノールを除去した後、水を加えて得た水溶液を合成吸着樹脂又は活性炭のカラムに通液したとき吸着され、有機溶媒水溶液で溶出される物質並びに乳酸を含むものである請求項1記載のvero毒作用減弱用組成物である。
請求項3に記載の本発明は、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスが、乳酸菌ラクトトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス菌 SWT3052株(FERM P−18635)である請求項1記載のvero毒作用減弱用組成物である。
請求項4に記載の本発明は、請求項1記載のvero毒作用減弱用組成物を食品に添加してvero毒減弱作用を付与したことを特徴とする機能性食品である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のvero毒作用減弱用組成物は、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスの培養物から酢酸エチル又はブタノールで抽出することにより得られ、弱塩基性または強塩基性陰イオン交換樹脂、例えばアンバーライト(AMBERLITE) IRA35、アンバーライトIRA400、アンバーライト IRA410 、DEAE− セファデックス(DEAE−Sephadex) などに吸着するという性質があり、vero細胞に対する細胞毒性を減弱する作用を有するものである。本発明者らの知見によると、当該組成物には、有効成分として乳酸及び乳酸とは異なる未知の物質が含まれている。
【0009】
vero毒作用減弱用組成物を産生する微生物として、チーズ、ヨーグルトなどの伝統食品の製造に使用されている安全な乳酸菌であるラクトバチルス(Lactobacilus)属やラクトコッカス(Lactococcus )属等の細菌を選定し、これら乳酸菌の中から目的とするvero毒作用を減弱し得る物質の産生能を有する菌株の検索を行った。
その結果、ラクトコッカス属に属するラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subspecies cremoris) が有用であることを見出した。中でも、チーズから分離したラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス SWT3052株は目的とする物質の産生能が高い。
当該菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所 特許微生物センターに寄託されており、その受託番号はFERM P−18635である。
【0010】
次に、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス SWT3052株(FERM P−18635)の培養物からvero毒作用減弱用組成物を取得する方法について説明する。
まず、当該菌株を種培養用培地、例えば下記組成のMRS液体培地もしくはglucose nutrient broth (Difco 社製) に接種し、22〜30℃、好ましくは25℃で2〜4日間、好ましくは2日間の種培養を行う。
【0011】
MRS液体培地組成(最終pH6.5):
Bacto proteose pepton (BBL社製) 10.0g
Bacto meat extract (Difco 社製) 10.0g
Bacto yeast extract 5.0g
Bacto dextrose 20.0g
Tween 80 1.0g
クエン酸アンモニウム 2.0g
酢酸ナトリウム 5.0g
硫酸マグネシウム 0.1g
硫酸マンガン 0.05g
リン酸カリウム 2.0g
蒸留水 1L
【0012】
Glucose nutrient broth (Difco 社製) 組成(最終pH6.8):
Meat extract (Difco 社製) 3.0g
Pepton (BBL 社製) 5.0g
Glucose 10.0g
蒸留水 1L
【0013】
種培養終了後、当該菌株にvero毒作用減弱用組成物を生産させるため、上記のGlucose nutrient brothを基本とするvero毒作用減弱用組成物生産用液体培地に、種培養液を0.5〜2%(v/v)、好ましくは0.5〜1.5%(v/v)となるように接種し、温度22〜30℃、好ましくは25℃で3〜14日間、好ましくは5〜10日間静置培養する。
【0014】
本発明者らの知見によると、培養開始から6〜8日目に、培養液中のvero毒作用減弱活性が最高になる。このため、この期間を含むように培養期間を設定することによって、効率良くvero毒作用減弱用組成物を得ることができる。また、培養期間を上限よりも長くした場合、培養液中のvero毒作用減弱活性がある一定以上には高くならないため、培養を続ける意味がない。一方、培養期間が下限よりも短い場合、培養液中のvero毒作用減弱活性が十分に高くなく、vero毒作用減弱用組成物が十分に生産されないため好ましくない。
【0015】
培養物からのvero毒作用減弱用組成物を取得するには、培養物を遠心分離などの固−液分離操作して得た培養液から酢酸エチルやブタノール等の水不混和性溶剤を用いて抽出する方法を行うことが好ましい。
溶剤を用いる抽出方法の1例としては、vero毒作用減弱用組成物を含む培養液に、上記溶剤を培養液に対して10〜100%、好ましくは50〜100%となるように加え、これをよく攪拌混合した後、水層と溶剤層を分離し、溶剤層を分取する。
抽出する際のpHについては2〜8で可能であるが、pH2付近で行うと抽出効率が高く、好ましい。培養液のpHを調整する場合は常法で行えばよく、例えばHCl等を用いて行うことができる。また、pH7付近の蒸留水を用いて抽出することもできる。抽出後、蒸留等の常法に従って、溶剤を除去することが好ましい。
【0016】
上記の抽出方法により、本発明のvero毒作用減弱用組成物を含む抽出物が得られるが、必要により、当該抽出物をさらに分画・精製することもでき、これにより当該組成物中の有効成分を得ることができる。
分画・精製方法としては、イオン交換樹脂や吸着クロマト用樹脂による吸着、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略記することがある。)、ゲル濾過等の通常用いられる操作を、単独あるいは適宜組み合わせて行うことができる。なお、HPLC等によって分画・精製する場合、vero毒作用減弱用組成物を含む培養液又はその濾液を直接適用することはできないため、上記の如く、本操作に適用可能な程度に抽出・精製したものを使用すべきである。
【0017】
以下に、有効成分の1つである乳酸の分画・精製方法の1例を示す。まず、上記した方法により得たvero毒作用減弱用組成物を含有する抽出物を少量のメタノール等のアルコールに溶解させ、これをHPLCにより精製する。
HPLCに用いるカラムとしては逆相シリカゲルを用いることができ、具体的には Capcell Pack C18 UG120 (資生堂社製)等が挙げられる。
【0018】
HPLCを行うにあたり、まず水をカラムに満たして平衡化(2分間)しておく。カラムを平衡化した後、溶媒としてメタノール/水(濃度勾配0/100〜50/50)、流速1.0mL/分の条件で1時間程度通液し、紫外部波長(波長225nm)の吸収を検出することにより、vero毒作用減弱用組成物を含む画分がピークとして得られる。
HPLCにより分取したピーク画分を常法により乾固させた物質に、vero毒作用減弱活性が認められる。この乾固物質を乳酸検出定量キット等により分析したところ、乳酸と特定された。乳酸のvero毒作用減弱活性を調べたところ、0.25〜1.0mg/mLで50%毒減弱活性度を示した。
【0019】
次に、乳酸とは異なる未知の物質の分画・精製方法の1例を示す。まず、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス SWT3052株(FERM P−18635)の培養物から、酢酸エチルなどの溶剤を用いて抽出することにより抽出物を得た後、蒸留器等により溶剤を除去した後、水を加えて水溶液とする。
当該水溶液について合成吸着樹脂、例えばダイヤイオン(DIAION)HP−20 (三菱化成社製)、セパビーズ(SEPABEAS) SP207 (三菱化成社製)や活性炭等のカラムを用いてカラム下流法を行うと、カラムを通過した通過液中に乳酸が検出される。
一方、カラム内に吸着した物質を、水と混和する有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、アセトン等)と水との混液、例えば50%アセトン水で溶出させた溶出液を蒸発濃縮して濃縮物質を得る。この物質について、ブタノール/酢酸/水(4/2/1)の展開溶媒を用いてシリカゲル薄層クロマトグラフィー(以下、TLCと略記することがある。)を行うと、燐モリブテンで呈色する乳酸とは異なるスポットを与える。このようにして得た乳酸とは異なる未知の物質を、PBS(−),リン酸緩衝液(pH6〜8)を用いて濃度1.0mg/mLとした希釈液は、15%毒減弱活性度を示し、vero毒作用減弱活性を有していることが確認された。
【0020】
vero毒作用減弱用組成物の有するvero毒減弱作用の測定法について説明する。本発明におけるvero毒減弱作用とは、vero毒に感受性の高いvero細胞にO−157菌体又は抽出精製されたvero毒素を投与して得られる細胞毒性を消去又は減弱する作用を意味し、その度合を活性として測定するものである。
まず、測定に必要なvero細胞懸濁液を調製する。Eagle MEM培地に濾過滅菌したL−グルタミン酸(最終濃度0.092g/L)及び補体を非動化した牛胎仔血清(以下、FCSと略記することがある。)10%を添加し、これを表面積が75cm2 程度の組織培養用フラスコに約10mL入れる。
【0021】
これに、vero細胞(国立感染症研究所より供与)の懸濁液を、5〜20%(v/v)、好ましくは10%(v/v)となるように接種し、5%炭酸ガス培養装置内で32〜40℃、好ましくは37℃で、1〜5日間、好ましくは3日間培養する。
培養終了後、常法によりトリプシン−EDTA溶液(0.5%トリプシン、5.3mM EDTA)10倍希釈液等を用いてトリプシン処理し、フラスコ壁から細胞を剥離し、均一なvero細胞懸濁液とする。
【0022】
このvero細胞懸濁液をPBS(−)溶液10mLで洗浄した後、vero毒素を切断する作用を有するトリプシンを除去するため、当該細胞懸濁液を10%FCSを添加したEagle MEM培地約5mLに懸濁し、1000〜3000rpm、好ましくは1500rpmで1〜5分間、好ましくは1分間の遠心分離処理を2回程度行い、沈殿したvero細胞を回収する。
さらに、回収したvero細胞からFCSを除去するため、PBS(−)溶液5mLに懸濁した後、1000〜3000rpm、好ましくは1500rpmで1〜5分間、好ましくは1分間の遠心分離を行い、沈殿したvero細胞を6%FCSを添加した2倍濃度のEagle MEM培地1〜5mL、好ましくは1mLに懸濁する。
このvero細胞懸濁液10μLと0.2%トリパンブルー/5倍濃度生理食塩水10μLを混合し、血球測定盤を用いて細胞数を計測する。これを基にして細胞数が1×105 細胞/mLとなるように、6%FCSを添加した2倍濃度のEagle MEM培地を用いて調整し、これをvero細胞液とする。
【0023】
一方、vero毒素(デンカ生研株式会社より供与)は、あらかじめ蛋白質分析試薬であるBCA(Rierce社製)を用いて、蛋白質濃度を測定しておく。測定に際して用いる検量線は、牛血清アルブミン(以下、BSAと略記することがある。)を標準蛋白質として用い、吸光度570nmにおける測定値をプロットしたものを用いる。
vero毒減弱作用の測定のための反応液の組成は、vero細胞液50μL(5×104 vero細胞/mL)にvero毒素5μL(2×10−10 g/mL)を加えたものとし、これにvero毒作用減弱用組成物、例えばラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス SWT3052株(FERM P−18635)の培養物を遠心分離して得られる培養液上清あるいは培養物からの抽出物を加えて、37℃で5%CO2 環境下の培養器中で48時間培養する。なお、vero毒素の反応液中の最終濃度は、1×10−11 g/mLである。
【0024】
培養終了後、反応液中に還元性色素であるアラマーブルー(alamarBlue)を指示薬として加え、さらに3時間培養した後の反応液の発色を、570nmでの吸光度を595nmを参照波長として測定し、下記の式により毒減弱活性度を算出する。
【0025】
【数1】
【0026】
上記式中、Aはvero細胞、vero毒素及びvero毒作用減弱用組成物を含む系の吸光度、Bはvero細胞及びvero毒素を含む系の吸光度、Cはvero細胞のみを含む系の吸光度をそれぞれ表す。
アラマーブルーは、生存しているvero細胞が産生するデヒドロゲナーゼによって還元され、ブルー色からピンク色に変化する。このため、反応液のピンク色が濃く吸光度が高い場合、反応液中のvero毒素が不活性化(減毒)されるか、又はvero毒素によるvero細胞の活性阻害作用が抑えられていることを示している。
【0027】
本発明に係るvero毒作用減弱用組成物は、vero細胞がvero毒素によって受ける細胞毒性を減弱する作用を有するものである。当該組成物に含まれる有効成分としては、前記したように、乳酸と未知の物質が挙げられる。これら2物質はそれぞれ単独でもvero毒を減弱する作用を有しているが、後述の実施例に示すとおり、両者を併用した場合には相乗的な効果が得られる。なお、vero毒減弱の態様としては、毒素の中和、分解、包接、修飾失活、細胞への取込み不能などによる無毒化等が考えられ、本発明に係るvero毒作用減弱用組成物は、これらの単独作用もしくは複数の作用によりvero毒作用を減弱するものと解される。
【0028】
また、このvero毒作用減弱用組成物は、pH2.0〜9.0という幅広い範囲において、60℃、30分間程度の加熱に耐えて失活せず、特にpH7.0付近では100℃、30分間の加熱に対しても耐熱性を有しており、優れた安定性を示す。
さらに、本発明に係るvero毒作用減弱用組成物は、古くから食されているチーズやヨーグルト等の製造に使用されている乳酸菌から分離されたものであるから、人体に対する有害な副作用はなく、安全性にも優れている。
【0029】
上記のような特色を有するvero毒作用減弱用組成物は、医薬品として食中毒や毒素による疾病の治療、軽減もしくは予防に資することができる。その他、食品に添加してvero毒を減弱する作用を付加又は富化し、この食品を摂取することにより、大腸菌O−157菌の産生するvero毒素の作用を減弱することができる。
本発明に係るvero毒作用減弱用組成物は、単独で用いる他、補助的成分、例えば賦形剤、膨張剤、増粘剤、保存料、pH調節剤、殺菌剤、甘味料、香料、色素等の製薬や食品製造上許容されるものを適宜配合して用いることもできる。医薬品としては、主に経口的に投与され、その形態は通常の製剤化方法によるカプセル剤、顆粒剤、錠剤、粉末などが考えられる。
また、食品に添加する添加する場合は、その使用目的などを考慮して適宜添加量を決めればよいが、目安としては食品1kgあたり0.1〜10g、好ましくは2〜4g程度が適当である。
【0030】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例1
(1)乳酸菌の培養
チーズやヨーグルトから分離した2種類の乳酸菌ラクトコッカス ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス SWT3052株(FERM P−18635)及び同 3080株を、MRS液体培地(組成は前記)に渦巻き白金耳を用いて接種し、25℃で2日間の一次種培養を行った。
【0031】
一次種培養終了後、Glucose nutrient broth(組成は前記)を基本とするvero毒作用減弱用組成物生産用液体培地10mLに、一次種培養液100μLを接種して温度25℃で2〜7日間静置培養し、二次種培養液を得た。
本培養は、500mL容三角フラスコにGlucose nutrient brothを500mL入れ、滅菌、冷却後、二次種培養液500μLを接種して温度25℃で5〜10日間静置培養した。
なお、すべての培地は0.1N塩酸及び炭酸ナトリウムで最終的にpH6.8±0.2に調整した後、121℃で15分間滅菌し、室温で冷却した。
培養終了後、培養液を6000rpmで20分間遠心分離を行い、培養液上清を得た。この培養液上清について、vero毒作用減弱活性の測定と耐熱性試験を行った。
【0032】
(2)vero毒作用減弱活性の測定
まず、測定に必要なvero細胞懸濁液を調製した。すなわち、Eagle MEM培地(Difco 社製)に濾過滅菌したL−グルタミン酸を最終濃度が0.092g/Lとなるように加え、さらに補体を非動化したFCSを10%添加した。この培地を、表面積が75cm2 の組織培養用フラスコに10mL入れた。
一方、vero細胞(国立感染症研究所より供与)を上記の組織培養用フラスコに入れた培地に10%(v/v)となるように接種し、5%炭酸ガス培養装置内で37℃で3日間培養した。
培養終了後、PBS(−)溶液10mLで洗浄した後、常法によりトリプシン−EDTA溶液(0.5%トリプシン、5.3mM EDTA)10倍希釈液を用いてトリプシン処理し、フラスコ壁から細胞を剥離し、均一なvero細胞懸濁液とした。
【0033】
vero毒素を失活する作用を有するトリプシンを除去するため、当該細胞懸濁液を10%FCSを添加したEagle MEM培地約5mLに懸濁し、1500rpmで1分間の遠心分離処理を2回行い、沈殿したvero細胞を回収した。
さらに、回収したvero細胞からFCSを除去するため、PBS(−)溶液5mLに懸濁した後、1500rpmで1分間の遠心分離を行い、沈殿したvero細胞を6%FCSを添加した2倍濃度のEagle MEM培地1mLに懸濁した。
このvero細胞の懸濁液10μLと0.2%トリパンブルー/5倍濃度生理食塩水10μLを混合し、血球測定盤を用いて細胞数を計測した。これを基にして細胞数が1×105 細胞/mLとなるように、6%FCSを添加した2倍濃度のEagle MEM培地を用いて調整し、これをvero細胞液として以下のvero毒作用減弱活性測定に用いた。
【0034】
一方、vero毒素(デンカ生研株式会社より供与)は、あらかじめ蛋白質分析試薬BCA(Rierce社製)を用いて蛋白質濃度を測定した。測定に用いる検量線は、BSAを標準蛋白質として用い、吸光度570nmにおける測定値をプロットしたものを用いた。
vero毒減弱作用の測定のための反応液の組成は、vero細胞液50μL(5×104 vero細胞/mL)にvero毒素5μL(2×10−10 g/mL)を加えたものとし、これに上記(1)で得たラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスの各培養液上清を45μL加えて、37℃で5%CO2 環境下の培養器中で48時間培養した。さらに、上記培養上清の代わりに、100℃で30分間加熱処理した各培養液上清を加えたものについても同様に実験を行った。なお、vero毒素の反応液中の最終濃度は、1×10−11 g/mLである。
【0035】
48時間培養した後、培養液中に還元性色素アラマーブルー(米国 トレク
デイアグノステック システム社製)を指示薬として加え、さらに3時間培養した後の反応液の発色を吸光度(O.D.)570nmにおける吸光度を595nmを参照波長として測定し、毒減弱活性度を算出した。
なお、乳酸菌を接種していない培地についても同様に実験を行い、これをコントロールとした。
また、vero毒作用減弱用組成物生産用液体培地での3〜10日間の培養期間中、培養液を毎日サンプリングした培養液についても同様の測定を行い、毒減弱活性度を算出した。図1は、2株のラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスについて、vero毒作用減弱活性の測定結果(培養開始から8日目)を示した図である。図中、左側はコントロール(培地のみ)、中央はSWT3052株、右側は3080株の結果を示す。図2は、培養期間におけるvero毒作用減弱活性の経時的な変化を示した図である。図中、●はSWT3052株、□は3080株、▲はコントロール(vero毒素なし)、△はコントロール(vero毒素あり)の結果を示す。
【0036】
図1に示すように、vero細胞にvero毒素を加えず、乳酸菌の培養液上清又はコントロールは、いずれの場合も、吸光度は0.15以上の値を示しており、vero細胞の増殖が十分に保持されていることが明らかとなった。これに対して、各培養液上清とvero細胞を含む系にvero毒素を加えた試験区については、吸光度の低下がコントロールに比べ抑えられ、vero毒素によるvero細胞の増殖の阻害が抑えられていることが明らかとなった。特に、乳酸菌3080株の培養液上清を用いた試験区は、vero細胞の増殖がかなり保持されていた。
【0037】
さらに、図2に示した通り、乳酸菌SWT3052株(FERM P−18635)の培養液上清は、3〜10日間の培養期間中、他の菌株の培養液上清よりも高い吸光度を示し、vero毒作用を低減する物質を効率良く生産していることが明らかとなった。
また、乳酸菌SWT3052株は、培養開始後3日目から急激にvero毒作用減弱用組成物の生成量が増加し、6日目に最高値を示し、10日目まで同程度の水準を維持していた。このことから、乳酸菌SWT3052株は活発にvero毒作用減弱用組成物を生産していることが明らかとなった。よって、乳酸菌SWT3052株を用いる場合は、vero毒作用減弱用組成物を効率良く生産するためには、培養期間を6〜10日間とすることが好ましい。
【0038】
実施例2
乳酸菌SWT3052株(FERM P−18635)を用いて、実施例1に記載した方法と同様に培養してvero毒作用減弱用組成物を含む培養液を得た後、塩酸でpH2.0又は8.0に調整した当該培養液200mLから、vero毒作用減弱用組成物の抽出を行った。
抽出の際には、水不混和性溶剤として酢酸エチルを等量(200mL)用いて攪拌混合した後、分液した水層と溶剤層を得た。この水層と溶剤層について、vero毒作用減弱活性を実施例1と同様に測定し、有効活性の転溶可能性について試験した。なお、対照として、培養液のみについても同様に試験した。
【0039】
その結果、図3に示したように、酢酸エチル層に培養液中のvero毒減弱活性が転溶したことが認められ、この溶剤によってvero毒減弱用組成物を抽出できることが分った。なお、抽出時のpHについては、pH2.0及びpH8.0のいずれにおいても抽出可能なことが見出され、幅広いpH条件において抽出可能であるけれども、pH2.0の方が好ましいことが判明した。
一方、酢酸エチルの代わりにブタノールで抽出した場合についても、上記と同様にしてvero毒作用減弱活性を測定した。結果を図4に示す。図から明らかなように、ブタノール層にvero毒作用減弱用組成物が転溶したことが認められた。なお、抽出時のpHは2.0の方が好ましいことが判明した。
【0040】
実施例3
乳酸菌SWT3052株(FERM P−18635)を用いて、実施例1に記載した方法と同様に培養してvero毒作用減弱用組成物を含む培養液を得た後、塩酸を用いてpHを2.0に調整した。当該培養液から溶剤として酢酸エチルを用いて、vero毒作用減弱用組成物の抽出を行い、vero毒作用減弱用組成物の抽出物を得た。
該抽出物を常法に従って低温減圧濃縮して得られた濃縮物について、弱塩基性陰イオン交換樹脂であるAMBERLITE IRA35 (ローム・アンド・ハース社製)を用いて、分画・精製を行った。
【0041】
AMBERLITE IRA35 樹脂5ccをカラム(1.5×10cm)に充填した後、0.2M HCl(50mL)により平衡化しておいた。
vero毒作用減弱用組成物を含む濃縮物を少量のメタノールに溶解し、上記のAMBERLITE IRA35 の充填されたカラムに40mLづつ通液し、vero毒作用減弱用組成物を樹脂に吸着させた。
【0042】
次に、vero毒作用減弱用組成物の吸着したカラムを蒸留水を用いて水洗した後、0.4〜1.0M 酢酸ナトリウムを0.2M毎に各40mLづつ通液し、溶出液を15mL毎に分取した。こうして得た溶出液について、実施例1と同様にvero毒作用減弱活性を測定した。
その結果、vero毒作用減弱活性は濃度0.4〜1.0Mの範囲にわたって広く分布して溶出されたことから、vero毒作用減弱用組成物はAMBERLITE IRA35 に吸着する性質を有することが明らかとなった。
【0043】
実施例4
実施例2においてpH2で抽出して得たvero毒作用減弱用組成物を含む酢酸エチル層を、常法に従って低温減圧濃縮し、濃縮物を得た。該濃縮物について、さらにHPLCによる精製を行った。
すなわち、分離用カラムとしてCapcell Pak C18 UG120 、20 x 250mm(資生堂)を用い、まずトリフルオロ酢酸0.1%を含む5%メタノール水で平衡化した後、同溶媒で20分間溶出、分画(15mL)し、その後90%メタノール水で溶出、分画(15mL)した。溶出液の吸光度を220nmで測定した。なお、HPLCは下記の条件で行った。
カラム:Capcell Pak C18 UG120 、20 x 250mm(資生堂)
溶媒:トリフルオロ酢酸0.1%を含む5%メタノール水及び90%メタノール水
流速:10mL/min
検出波長:220nm
【0044】
これらの分画について、実施例1と同様に、vero毒減弱作用を測定した。その結果、最初に検出された吸収帯中(A)及び90%メタノール水で溶出した際の、最初に検出された吸収帯(B)中にvero毒減弱作用が認められた。
当該A物質は純度の高い物質であると考えられたので、その物理化学的性質を調べた。
図5に示した1H NMR(400Mz 、重アセトニトリル中)、図6に示した13C NMR (100Mz、重アセトニトリル中)及び図7に示したマススペクトル(m/z 89、(M−1)− ) はAが乳酸であることを証明している。また、AをシリカゲルTLC(展開溶媒:ブタノール/メタノール/水=4/2/1)に付し、リンモリブデン酸で検出した結果、Aは標品乳酸と同じ位置に発色スポットを与えた。
【0045】
さらに、乳酸検出キット(JKインターナショナル)で解析した結果、定量的 に乳酸が検出され、生物学的にもAが乳酸であることが証明された。
Aのvero毒作用減弱活性について調べた結果、1mg/mLで50%減弱した(vero毒素濃度:10−11 g/L)。
【0046】
実施例5
実施例4に示したように、当該培養液中には乳酸以外にもvero毒減弱作用を有するB物質のような成分の存在が明らかとなった。そこで、さらに該成分の存在を明らかにすると共に、精製を行った。すなわち、実施例1において得られた培養液中の乳酸以外のvero毒作用減弱成分の有無を探索するため、吸着クロマト用樹脂であるDIAION HP−20(三菱化成社製)を用いて、該成分の分離・精製を行った。
まず、210ccのDIAION HP−20をカラム(5×50cm)に充填し、実施例1と同様に培養して得た乳酸菌SWT3052株(FERM P−18635)の培養液を毎分10mLの速度で通過させた。カラムの通過液について、乳酸検出定量キット(JKインターナショナル社製)を用いて解析し、乳酸が含まれていることを確認した。
次に、カラムを水洗した後、50%アセトン水で溶出し、実施例1と同様にvero毒作用減弱活性を測定した。
【0047】
その結果、カラム溶出液には、乳酸が含まれていないのにもかかわらず、vero毒減弱活性が認められた。そこで、この溶出液を常法によって蒸発濃縮して得た物質(B)について、同様にvero毒作用減弱活性を測定したところ、濃度1mg/mLで15%毒減弱活性度を有していることが分かった。
TLCによって、この物質(B)は乳酸とは異なるスポットを与えるvero毒減弱作用を有する物質を含有していることが明らかとなった。
【0048】
実施例6
実施例4で得られた物質(A)、すなわち乳酸、実施例5で得られた乳酸を含まない物質(B)及び標品乳酸について、vero毒作用減弱活性を実施例1と同様に測定した。
その結果、標品乳酸は、濃度10mM(0.9mg/mL)ではvero細胞にはほとんど阻害を与えず、15%毒減弱活性度を示した。また、乳酸を含む乾固物質(A)は、濃度1mg/mLで50%毒減弱活性度を示した。
【0049】
一方、乳酸を含まず、乳酸とは異なる物質(B)は、1.0mg/mLで標品乳酸と同等の15%毒減弱活性度を示した。また、物質(B)のvero細胞に対する細胞毒性を50%致死量(LD50)として推定すると8mg/mL以上と推定される。これを、上記の物質(B)の15%毒減弱活性度を示した1.0mg/mLと比較すると、8倍以上の差があり、vero細胞には毒性を示さない物質(B)の濃度でvero毒素の作用を減弱できると考えられる。
以上のことから、物質(A)及び物質(B)は、いずれもvero細胞に対する毒性は低く、これら物質を含有するvero毒減弱用組成物を動物あるいは人に投与することにより、vero毒の減弱作用が期待できることが示唆される。
【0050】
また、濃度1mg/mLの物質(A)と濃度10mg/mLの物質(B)を混合し、vero毒作用減弱活性を測定したところ、標品乳酸10mMのみのvero毒作用減弱活性の5倍の強度を示した。このことから、これらの物質を組み合わせて使用することによって、それぞれ単独では得られない相乗的な効果が得られることが明らかとなった。
【0051】
実施例7
実施例2において得たvero毒作用減弱用組成物を含む培養液について、各種pHにおける熱安定性試験を行った。すなわち、所定のpHに調整した培養液を温浴槽中で60℃で30分間加熱処理して熱安定性を調べた。
結果を図8に示す。図から明らかなように、vero毒作用減弱用組成物はpH2.0〜9.0という幅広いpH範囲において、60℃で30分間の加熱処理に対して安定性を有していることが明らかとなった。したがって、この組成物は、製造工程に加熱工程を含む食品の製造過程において添加することができる。
【0052】
【発明の効果】
本発明により、vero毒作用減弱用組成物並びに当該組成物を食品に添加してvero毒減弱作用を付与した機能性食品が提供される。
本発明に係るvero毒作用減弱用組成物は、大腸菌O−157菌等の腸管出血性大腸菌により産生される毒素に起因する疾病の治療や軽減に有効である。
また、当該組成物は、チーズ、ヨーグルト等の伝統食品の製造に使用されている乳酸菌によって生産される物質であるため、安全性の面で心配がない上に、性質の安定した製品を安価に、かつ多量に生産することができる。
さらに、vero毒減弱作用を付与した機能性食品を日常的に摂取することによって、食中毒やO−157毒素に起因する疾病を予防することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2株のラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスについて、vero毒作用減弱活性の測定結果を示した図である。
【図2】培養期間におけるvero毒作用減弱活性の経時的な変化を示した図である。
【図3】抽出溶剤として酢酸エチルを用いて得た抽出物についてのvero毒作用減弱活性の測定結果を示す図である。
【図4】抽出溶剤としてブタノールを用いて得た抽出物についてのvero毒作用減弱活性の測定結果を示した図である。
【図5】実施例4における1H NMR (400Mz,重アセトニトリル中) の結果を示した図である。
【図6】実施例4における13C NMR (100Mz, 重アセトニトリル中) の結果を示した図である。
【図7】実施例4におけるマススペクトル(m/z 89 、(M−1) − ) 結果を示した図である。
【図8】実施例7における熱安定性試験の結果を示した図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、vero毒作用減弱用組成物及び当該組成物を配合した機能性食品に関し、詳しくは乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスの培養物から得られるvero毒作用減弱用組成物及び当該組成物を配合した機能性食品に関する。
本発明のvero毒作用減弱用組成物は、病原性大腸菌による食中毒を治療、軽減もしくは予防することができ、さらには該大腸菌の産生するvero毒素に起因する疾病の治療、軽減又は予防に有用である。そのため、当該組成物は医薬品や機能性食品に応用することができるものである。
【0002】
【従来の技術】
病原性大腸菌は、ヒトの腸管内に常在する一般の大腸菌とは生化学的な性質では区別できず、抗原的に区別されている。
病原性大腸菌は5種に分類されており、このうち腸管出血性大腸菌(vero毒素産生性大腸菌)には、血清型分類でO−157:H7(以下、O−157菌と略記することがある。)と言われる重要な食中毒菌が含まれている。
【0003】
O−157菌の産生する毒素は、アフリカミドリザルの腎臓由来細胞であるvero細胞に対して約109 分の1gという極微量で致命的な障害を与えることから、vero毒素(Shiga toxin 、Stx、VT)とも呼ばれている。
このvero毒素は、ヒトに対して出血性の大腸炎を起こし、腎臓その他に致死性の障害を与える他、ときには給食等を介して集団食中毒を起こす。
【0004】
vero毒素は、現在までに、生物細胞中の蛋白合成の場である28SリボソームRNAの特定部位(塩基配列で4324番目のアデニン)のN−グルコシド結合を加水分解し、1分子のアデニンを遊離させ、リボソームを不活性化することにより蛋白質合成を阻害する作用を有するグルコシダーゼであることが判明している。
しかし、vero毒素を産生する腸管出血性大腸菌に起因する食中毒の予防や治療法は確立されておらず、これらの早急な確立が待望されているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
また、vero毒作用を消去する、例えば毒素の中和、分解、包接、修飾失活、細胞への取りこみを不能にする等によってvero毒素を無毒化する物質を開発し、当該物質を食品に付加又は富化することにより、vero毒消去機能を有する食品の開発が待たれている。
【0006】
本発明の目的は、腸管出血性大腸菌によって産生されるvero毒素の毒性を消去又は軽減する作用を有し、しかも人体に対して有害な副作用を生じさせない安全、かつ安定なvero毒作用減弱作用を有する天然組成物を探索すること、並びに当該組成物を配合することによりvero毒作用減弱作用を付加した機能性食品を提供することである。
そこで、本発明者らはvero毒素がvero細胞の増殖を抑制するという系を用いて鋭意研究を重ねた結果、チーズ等の伝統的な発酵食品の製造に広く利用されている乳酸菌等の食品微生物の中に、本発明の目的とするvero毒作用減弱作用を有する組成物を産生する微生物が存在することを初めて見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスの培養物から酢酸エチル又はブタノールで抽出することにより得られ、弱塩基性または強塩基性陰イオン交換樹脂に吸着する性質があり、vero細胞に対する細胞毒性を減弱する作用を有することを特徴とするvero毒作用減弱用組成物である。
請求項2に記載の本発明は、vero毒作用減弱用組成物が、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスの培養物からの酢酸エチル又はブタノールによる抽出液から当該酢酸エチル又はブタノールを除去した後、水を加えて得た水溶液を合成吸着樹脂又は活性炭のカラムに通液したとき吸着され、有機溶媒水溶液で溶出される物質並びに乳酸を含むものである請求項1記載のvero毒作用減弱用組成物である。
請求項3に記載の本発明は、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスが、乳酸菌ラクトトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス菌 SWT3052株(FERM P−18635)である請求項1記載のvero毒作用減弱用組成物である。
請求項4に記載の本発明は、請求項1記載のvero毒作用減弱用組成物を食品に添加してvero毒減弱作用を付与したことを特徴とする機能性食品である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のvero毒作用減弱用組成物は、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスの培養物から酢酸エチル又はブタノールで抽出することにより得られ、弱塩基性または強塩基性陰イオン交換樹脂、例えばアンバーライト(AMBERLITE) IRA35、アンバーライトIRA400、アンバーライト IRA410 、DEAE− セファデックス(DEAE−Sephadex) などに吸着するという性質があり、vero細胞に対する細胞毒性を減弱する作用を有するものである。本発明者らの知見によると、当該組成物には、有効成分として乳酸及び乳酸とは異なる未知の物質が含まれている。
【0009】
vero毒作用減弱用組成物を産生する微生物として、チーズ、ヨーグルトなどの伝統食品の製造に使用されている安全な乳酸菌であるラクトバチルス(Lactobacilus)属やラクトコッカス(Lactococcus )属等の細菌を選定し、これら乳酸菌の中から目的とするvero毒作用を減弱し得る物質の産生能を有する菌株の検索を行った。
その結果、ラクトコッカス属に属するラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subspecies cremoris) が有用であることを見出した。中でも、チーズから分離したラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス SWT3052株は目的とする物質の産生能が高い。
当該菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所 特許微生物センターに寄託されており、その受託番号はFERM P−18635である。
【0010】
次に、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス SWT3052株(FERM P−18635)の培養物からvero毒作用減弱用組成物を取得する方法について説明する。
まず、当該菌株を種培養用培地、例えば下記組成のMRS液体培地もしくはglucose nutrient broth (Difco 社製) に接種し、22〜30℃、好ましくは25℃で2〜4日間、好ましくは2日間の種培養を行う。
【0011】
MRS液体培地組成(最終pH6.5):
Bacto proteose pepton (BBL社製) 10.0g
Bacto meat extract (Difco 社製) 10.0g
Bacto yeast extract 5.0g
Bacto dextrose 20.0g
Tween 80 1.0g
クエン酸アンモニウム 2.0g
酢酸ナトリウム 5.0g
硫酸マグネシウム 0.1g
硫酸マンガン 0.05g
リン酸カリウム 2.0g
蒸留水 1L
【0012】
Glucose nutrient broth (Difco 社製) 組成(最終pH6.8):
Meat extract (Difco 社製) 3.0g
Pepton (BBL 社製) 5.0g
Glucose 10.0g
蒸留水 1L
【0013】
種培養終了後、当該菌株にvero毒作用減弱用組成物を生産させるため、上記のGlucose nutrient brothを基本とするvero毒作用減弱用組成物生産用液体培地に、種培養液を0.5〜2%(v/v)、好ましくは0.5〜1.5%(v/v)となるように接種し、温度22〜30℃、好ましくは25℃で3〜14日間、好ましくは5〜10日間静置培養する。
【0014】
本発明者らの知見によると、培養開始から6〜8日目に、培養液中のvero毒作用減弱活性が最高になる。このため、この期間を含むように培養期間を設定することによって、効率良くvero毒作用減弱用組成物を得ることができる。また、培養期間を上限よりも長くした場合、培養液中のvero毒作用減弱活性がある一定以上には高くならないため、培養を続ける意味がない。一方、培養期間が下限よりも短い場合、培養液中のvero毒作用減弱活性が十分に高くなく、vero毒作用減弱用組成物が十分に生産されないため好ましくない。
【0015】
培養物からのvero毒作用減弱用組成物を取得するには、培養物を遠心分離などの固−液分離操作して得た培養液から酢酸エチルやブタノール等の水不混和性溶剤を用いて抽出する方法を行うことが好ましい。
溶剤を用いる抽出方法の1例としては、vero毒作用減弱用組成物を含む培養液に、上記溶剤を培養液に対して10〜100%、好ましくは50〜100%となるように加え、これをよく攪拌混合した後、水層と溶剤層を分離し、溶剤層を分取する。
抽出する際のpHについては2〜8で可能であるが、pH2付近で行うと抽出効率が高く、好ましい。培養液のpHを調整する場合は常法で行えばよく、例えばHCl等を用いて行うことができる。また、pH7付近の蒸留水を用いて抽出することもできる。抽出後、蒸留等の常法に従って、溶剤を除去することが好ましい。
【0016】
上記の抽出方法により、本発明のvero毒作用減弱用組成物を含む抽出物が得られるが、必要により、当該抽出物をさらに分画・精製することもでき、これにより当該組成物中の有効成分を得ることができる。
分画・精製方法としては、イオン交換樹脂や吸着クロマト用樹脂による吸着、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略記することがある。)、ゲル濾過等の通常用いられる操作を、単独あるいは適宜組み合わせて行うことができる。なお、HPLC等によって分画・精製する場合、vero毒作用減弱用組成物を含む培養液又はその濾液を直接適用することはできないため、上記の如く、本操作に適用可能な程度に抽出・精製したものを使用すべきである。
【0017】
以下に、有効成分の1つである乳酸の分画・精製方法の1例を示す。まず、上記した方法により得たvero毒作用減弱用組成物を含有する抽出物を少量のメタノール等のアルコールに溶解させ、これをHPLCにより精製する。
HPLCに用いるカラムとしては逆相シリカゲルを用いることができ、具体的には Capcell Pack C18 UG120 (資生堂社製)等が挙げられる。
【0018】
HPLCを行うにあたり、まず水をカラムに満たして平衡化(2分間)しておく。カラムを平衡化した後、溶媒としてメタノール/水(濃度勾配0/100〜50/50)、流速1.0mL/分の条件で1時間程度通液し、紫外部波長(波長225nm)の吸収を検出することにより、vero毒作用減弱用組成物を含む画分がピークとして得られる。
HPLCにより分取したピーク画分を常法により乾固させた物質に、vero毒作用減弱活性が認められる。この乾固物質を乳酸検出定量キット等により分析したところ、乳酸と特定された。乳酸のvero毒作用減弱活性を調べたところ、0.25〜1.0mg/mLで50%毒減弱活性度を示した。
【0019】
次に、乳酸とは異なる未知の物質の分画・精製方法の1例を示す。まず、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス SWT3052株(FERM P−18635)の培養物から、酢酸エチルなどの溶剤を用いて抽出することにより抽出物を得た後、蒸留器等により溶剤を除去した後、水を加えて水溶液とする。
当該水溶液について合成吸着樹脂、例えばダイヤイオン(DIAION)HP−20 (三菱化成社製)、セパビーズ(SEPABEAS) SP207 (三菱化成社製)や活性炭等のカラムを用いてカラム下流法を行うと、カラムを通過した通過液中に乳酸が検出される。
一方、カラム内に吸着した物質を、水と混和する有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、アセトン等)と水との混液、例えば50%アセトン水で溶出させた溶出液を蒸発濃縮して濃縮物質を得る。この物質について、ブタノール/酢酸/水(4/2/1)の展開溶媒を用いてシリカゲル薄層クロマトグラフィー(以下、TLCと略記することがある。)を行うと、燐モリブテンで呈色する乳酸とは異なるスポットを与える。このようにして得た乳酸とは異なる未知の物質を、PBS(−),リン酸緩衝液(pH6〜8)を用いて濃度1.0mg/mLとした希釈液は、15%毒減弱活性度を示し、vero毒作用減弱活性を有していることが確認された。
【0020】
vero毒作用減弱用組成物の有するvero毒減弱作用の測定法について説明する。本発明におけるvero毒減弱作用とは、vero毒に感受性の高いvero細胞にO−157菌体又は抽出精製されたvero毒素を投与して得られる細胞毒性を消去又は減弱する作用を意味し、その度合を活性として測定するものである。
まず、測定に必要なvero細胞懸濁液を調製する。Eagle MEM培地に濾過滅菌したL−グルタミン酸(最終濃度0.092g/L)及び補体を非動化した牛胎仔血清(以下、FCSと略記することがある。)10%を添加し、これを表面積が75cm2 程度の組織培養用フラスコに約10mL入れる。
【0021】
これに、vero細胞(国立感染症研究所より供与)の懸濁液を、5〜20%(v/v)、好ましくは10%(v/v)となるように接種し、5%炭酸ガス培養装置内で32〜40℃、好ましくは37℃で、1〜5日間、好ましくは3日間培養する。
培養終了後、常法によりトリプシン−EDTA溶液(0.5%トリプシン、5.3mM EDTA)10倍希釈液等を用いてトリプシン処理し、フラスコ壁から細胞を剥離し、均一なvero細胞懸濁液とする。
【0022】
このvero細胞懸濁液をPBS(−)溶液10mLで洗浄した後、vero毒素を切断する作用を有するトリプシンを除去するため、当該細胞懸濁液を10%FCSを添加したEagle MEM培地約5mLに懸濁し、1000〜3000rpm、好ましくは1500rpmで1〜5分間、好ましくは1分間の遠心分離処理を2回程度行い、沈殿したvero細胞を回収する。
さらに、回収したvero細胞からFCSを除去するため、PBS(−)溶液5mLに懸濁した後、1000〜3000rpm、好ましくは1500rpmで1〜5分間、好ましくは1分間の遠心分離を行い、沈殿したvero細胞を6%FCSを添加した2倍濃度のEagle MEM培地1〜5mL、好ましくは1mLに懸濁する。
このvero細胞懸濁液10μLと0.2%トリパンブルー/5倍濃度生理食塩水10μLを混合し、血球測定盤を用いて細胞数を計測する。これを基にして細胞数が1×105 細胞/mLとなるように、6%FCSを添加した2倍濃度のEagle MEM培地を用いて調整し、これをvero細胞液とする。
【0023】
一方、vero毒素(デンカ生研株式会社より供与)は、あらかじめ蛋白質分析試薬であるBCA(Rierce社製)を用いて、蛋白質濃度を測定しておく。測定に際して用いる検量線は、牛血清アルブミン(以下、BSAと略記することがある。)を標準蛋白質として用い、吸光度570nmにおける測定値をプロットしたものを用いる。
vero毒減弱作用の測定のための反応液の組成は、vero細胞液50μL(5×104 vero細胞/mL)にvero毒素5μL(2×10−10 g/mL)を加えたものとし、これにvero毒作用減弱用組成物、例えばラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス SWT3052株(FERM P−18635)の培養物を遠心分離して得られる培養液上清あるいは培養物からの抽出物を加えて、37℃で5%CO2 環境下の培養器中で48時間培養する。なお、vero毒素の反応液中の最終濃度は、1×10−11 g/mLである。
【0024】
培養終了後、反応液中に還元性色素であるアラマーブルー(alamarBlue)を指示薬として加え、さらに3時間培養した後の反応液の発色を、570nmでの吸光度を595nmを参照波長として測定し、下記の式により毒減弱活性度を算出する。
【0025】
【数1】
【0026】
上記式中、Aはvero細胞、vero毒素及びvero毒作用減弱用組成物を含む系の吸光度、Bはvero細胞及びvero毒素を含む系の吸光度、Cはvero細胞のみを含む系の吸光度をそれぞれ表す。
アラマーブルーは、生存しているvero細胞が産生するデヒドロゲナーゼによって還元され、ブルー色からピンク色に変化する。このため、反応液のピンク色が濃く吸光度が高い場合、反応液中のvero毒素が不活性化(減毒)されるか、又はvero毒素によるvero細胞の活性阻害作用が抑えられていることを示している。
【0027】
本発明に係るvero毒作用減弱用組成物は、vero細胞がvero毒素によって受ける細胞毒性を減弱する作用を有するものである。当該組成物に含まれる有効成分としては、前記したように、乳酸と未知の物質が挙げられる。これら2物質はそれぞれ単独でもvero毒を減弱する作用を有しているが、後述の実施例に示すとおり、両者を併用した場合には相乗的な効果が得られる。なお、vero毒減弱の態様としては、毒素の中和、分解、包接、修飾失活、細胞への取込み不能などによる無毒化等が考えられ、本発明に係るvero毒作用減弱用組成物は、これらの単独作用もしくは複数の作用によりvero毒作用を減弱するものと解される。
【0028】
また、このvero毒作用減弱用組成物は、pH2.0〜9.0という幅広い範囲において、60℃、30分間程度の加熱に耐えて失活せず、特にpH7.0付近では100℃、30分間の加熱に対しても耐熱性を有しており、優れた安定性を示す。
さらに、本発明に係るvero毒作用減弱用組成物は、古くから食されているチーズやヨーグルト等の製造に使用されている乳酸菌から分離されたものであるから、人体に対する有害な副作用はなく、安全性にも優れている。
【0029】
上記のような特色を有するvero毒作用減弱用組成物は、医薬品として食中毒や毒素による疾病の治療、軽減もしくは予防に資することができる。その他、食品に添加してvero毒を減弱する作用を付加又は富化し、この食品を摂取することにより、大腸菌O−157菌の産生するvero毒素の作用を減弱することができる。
本発明に係るvero毒作用減弱用組成物は、単独で用いる他、補助的成分、例えば賦形剤、膨張剤、増粘剤、保存料、pH調節剤、殺菌剤、甘味料、香料、色素等の製薬や食品製造上許容されるものを適宜配合して用いることもできる。医薬品としては、主に経口的に投与され、その形態は通常の製剤化方法によるカプセル剤、顆粒剤、錠剤、粉末などが考えられる。
また、食品に添加する添加する場合は、その使用目的などを考慮して適宜添加量を決めればよいが、目安としては食品1kgあたり0.1〜10g、好ましくは2〜4g程度が適当である。
【0030】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例1
(1)乳酸菌の培養
チーズやヨーグルトから分離した2種類の乳酸菌ラクトコッカス ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス SWT3052株(FERM P−18635)及び同 3080株を、MRS液体培地(組成は前記)に渦巻き白金耳を用いて接種し、25℃で2日間の一次種培養を行った。
【0031】
一次種培養終了後、Glucose nutrient broth(組成は前記)を基本とするvero毒作用減弱用組成物生産用液体培地10mLに、一次種培養液100μLを接種して温度25℃で2〜7日間静置培養し、二次種培養液を得た。
本培養は、500mL容三角フラスコにGlucose nutrient brothを500mL入れ、滅菌、冷却後、二次種培養液500μLを接種して温度25℃で5〜10日間静置培養した。
なお、すべての培地は0.1N塩酸及び炭酸ナトリウムで最終的にpH6.8±0.2に調整した後、121℃で15分間滅菌し、室温で冷却した。
培養終了後、培養液を6000rpmで20分間遠心分離を行い、培養液上清を得た。この培養液上清について、vero毒作用減弱活性の測定と耐熱性試験を行った。
【0032】
(2)vero毒作用減弱活性の測定
まず、測定に必要なvero細胞懸濁液を調製した。すなわち、Eagle MEM培地(Difco 社製)に濾過滅菌したL−グルタミン酸を最終濃度が0.092g/Lとなるように加え、さらに補体を非動化したFCSを10%添加した。この培地を、表面積が75cm2 の組織培養用フラスコに10mL入れた。
一方、vero細胞(国立感染症研究所より供与)を上記の組織培養用フラスコに入れた培地に10%(v/v)となるように接種し、5%炭酸ガス培養装置内で37℃で3日間培養した。
培養終了後、PBS(−)溶液10mLで洗浄した後、常法によりトリプシン−EDTA溶液(0.5%トリプシン、5.3mM EDTA)10倍希釈液を用いてトリプシン処理し、フラスコ壁から細胞を剥離し、均一なvero細胞懸濁液とした。
【0033】
vero毒素を失活する作用を有するトリプシンを除去するため、当該細胞懸濁液を10%FCSを添加したEagle MEM培地約5mLに懸濁し、1500rpmで1分間の遠心分離処理を2回行い、沈殿したvero細胞を回収した。
さらに、回収したvero細胞からFCSを除去するため、PBS(−)溶液5mLに懸濁した後、1500rpmで1分間の遠心分離を行い、沈殿したvero細胞を6%FCSを添加した2倍濃度のEagle MEM培地1mLに懸濁した。
このvero細胞の懸濁液10μLと0.2%トリパンブルー/5倍濃度生理食塩水10μLを混合し、血球測定盤を用いて細胞数を計測した。これを基にして細胞数が1×105 細胞/mLとなるように、6%FCSを添加した2倍濃度のEagle MEM培地を用いて調整し、これをvero細胞液として以下のvero毒作用減弱活性測定に用いた。
【0034】
一方、vero毒素(デンカ生研株式会社より供与)は、あらかじめ蛋白質分析試薬BCA(Rierce社製)を用いて蛋白質濃度を測定した。測定に用いる検量線は、BSAを標準蛋白質として用い、吸光度570nmにおける測定値をプロットしたものを用いた。
vero毒減弱作用の測定のための反応液の組成は、vero細胞液50μL(5×104 vero細胞/mL)にvero毒素5μL(2×10−10 g/mL)を加えたものとし、これに上記(1)で得たラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスの各培養液上清を45μL加えて、37℃で5%CO2 環境下の培養器中で48時間培養した。さらに、上記培養上清の代わりに、100℃で30分間加熱処理した各培養液上清を加えたものについても同様に実験を行った。なお、vero毒素の反応液中の最終濃度は、1×10−11 g/mLである。
【0035】
48時間培養した後、培養液中に還元性色素アラマーブルー(米国 トレク
デイアグノステック システム社製)を指示薬として加え、さらに3時間培養した後の反応液の発色を吸光度(O.D.)570nmにおける吸光度を595nmを参照波長として測定し、毒減弱活性度を算出した。
なお、乳酸菌を接種していない培地についても同様に実験を行い、これをコントロールとした。
また、vero毒作用減弱用組成物生産用液体培地での3〜10日間の培養期間中、培養液を毎日サンプリングした培養液についても同様の測定を行い、毒減弱活性度を算出した。図1は、2株のラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスについて、vero毒作用減弱活性の測定結果(培養開始から8日目)を示した図である。図中、左側はコントロール(培地のみ)、中央はSWT3052株、右側は3080株の結果を示す。図2は、培養期間におけるvero毒作用減弱活性の経時的な変化を示した図である。図中、●はSWT3052株、□は3080株、▲はコントロール(vero毒素なし)、△はコントロール(vero毒素あり)の結果を示す。
【0036】
図1に示すように、vero細胞にvero毒素を加えず、乳酸菌の培養液上清又はコントロールは、いずれの場合も、吸光度は0.15以上の値を示しており、vero細胞の増殖が十分に保持されていることが明らかとなった。これに対して、各培養液上清とvero細胞を含む系にvero毒素を加えた試験区については、吸光度の低下がコントロールに比べ抑えられ、vero毒素によるvero細胞の増殖の阻害が抑えられていることが明らかとなった。特に、乳酸菌3080株の培養液上清を用いた試験区は、vero細胞の増殖がかなり保持されていた。
【0037】
さらに、図2に示した通り、乳酸菌SWT3052株(FERM P−18635)の培養液上清は、3〜10日間の培養期間中、他の菌株の培養液上清よりも高い吸光度を示し、vero毒作用を低減する物質を効率良く生産していることが明らかとなった。
また、乳酸菌SWT3052株は、培養開始後3日目から急激にvero毒作用減弱用組成物の生成量が増加し、6日目に最高値を示し、10日目まで同程度の水準を維持していた。このことから、乳酸菌SWT3052株は活発にvero毒作用減弱用組成物を生産していることが明らかとなった。よって、乳酸菌SWT3052株を用いる場合は、vero毒作用減弱用組成物を効率良く生産するためには、培養期間を6〜10日間とすることが好ましい。
【0038】
実施例2
乳酸菌SWT3052株(FERM P−18635)を用いて、実施例1に記載した方法と同様に培養してvero毒作用減弱用組成物を含む培養液を得た後、塩酸でpH2.0又は8.0に調整した当該培養液200mLから、vero毒作用減弱用組成物の抽出を行った。
抽出の際には、水不混和性溶剤として酢酸エチルを等量(200mL)用いて攪拌混合した後、分液した水層と溶剤層を得た。この水層と溶剤層について、vero毒作用減弱活性を実施例1と同様に測定し、有効活性の転溶可能性について試験した。なお、対照として、培養液のみについても同様に試験した。
【0039】
その結果、図3に示したように、酢酸エチル層に培養液中のvero毒減弱活性が転溶したことが認められ、この溶剤によってvero毒減弱用組成物を抽出できることが分った。なお、抽出時のpHについては、pH2.0及びpH8.0のいずれにおいても抽出可能なことが見出され、幅広いpH条件において抽出可能であるけれども、pH2.0の方が好ましいことが判明した。
一方、酢酸エチルの代わりにブタノールで抽出した場合についても、上記と同様にしてvero毒作用減弱活性を測定した。結果を図4に示す。図から明らかなように、ブタノール層にvero毒作用減弱用組成物が転溶したことが認められた。なお、抽出時のpHは2.0の方が好ましいことが判明した。
【0040】
実施例3
乳酸菌SWT3052株(FERM P−18635)を用いて、実施例1に記載した方法と同様に培養してvero毒作用減弱用組成物を含む培養液を得た後、塩酸を用いてpHを2.0に調整した。当該培養液から溶剤として酢酸エチルを用いて、vero毒作用減弱用組成物の抽出を行い、vero毒作用減弱用組成物の抽出物を得た。
該抽出物を常法に従って低温減圧濃縮して得られた濃縮物について、弱塩基性陰イオン交換樹脂であるAMBERLITE IRA35 (ローム・アンド・ハース社製)を用いて、分画・精製を行った。
【0041】
AMBERLITE IRA35 樹脂5ccをカラム(1.5×10cm)に充填した後、0.2M HCl(50mL)により平衡化しておいた。
vero毒作用減弱用組成物を含む濃縮物を少量のメタノールに溶解し、上記のAMBERLITE IRA35 の充填されたカラムに40mLづつ通液し、vero毒作用減弱用組成物を樹脂に吸着させた。
【0042】
次に、vero毒作用減弱用組成物の吸着したカラムを蒸留水を用いて水洗した後、0.4〜1.0M 酢酸ナトリウムを0.2M毎に各40mLづつ通液し、溶出液を15mL毎に分取した。こうして得た溶出液について、実施例1と同様にvero毒作用減弱活性を測定した。
その結果、vero毒作用減弱活性は濃度0.4〜1.0Mの範囲にわたって広く分布して溶出されたことから、vero毒作用減弱用組成物はAMBERLITE IRA35 に吸着する性質を有することが明らかとなった。
【0043】
実施例4
実施例2においてpH2で抽出して得たvero毒作用減弱用組成物を含む酢酸エチル層を、常法に従って低温減圧濃縮し、濃縮物を得た。該濃縮物について、さらにHPLCによる精製を行った。
すなわち、分離用カラムとしてCapcell Pak C18 UG120 、20 x 250mm(資生堂)を用い、まずトリフルオロ酢酸0.1%を含む5%メタノール水で平衡化した後、同溶媒で20分間溶出、分画(15mL)し、その後90%メタノール水で溶出、分画(15mL)した。溶出液の吸光度を220nmで測定した。なお、HPLCは下記の条件で行った。
カラム:Capcell Pak C18 UG120 、20 x 250mm(資生堂)
溶媒:トリフルオロ酢酸0.1%を含む5%メタノール水及び90%メタノール水
流速:10mL/min
検出波長:220nm
【0044】
これらの分画について、実施例1と同様に、vero毒減弱作用を測定した。その結果、最初に検出された吸収帯中(A)及び90%メタノール水で溶出した際の、最初に検出された吸収帯(B)中にvero毒減弱作用が認められた。
当該A物質は純度の高い物質であると考えられたので、その物理化学的性質を調べた。
図5に示した1H NMR(400Mz 、重アセトニトリル中)、図6に示した13C NMR (100Mz、重アセトニトリル中)及び図7に示したマススペクトル(m/z 89、(M−1)− ) はAが乳酸であることを証明している。また、AをシリカゲルTLC(展開溶媒:ブタノール/メタノール/水=4/2/1)に付し、リンモリブデン酸で検出した結果、Aは標品乳酸と同じ位置に発色スポットを与えた。
【0045】
さらに、乳酸検出キット(JKインターナショナル)で解析した結果、定量的 に乳酸が検出され、生物学的にもAが乳酸であることが証明された。
Aのvero毒作用減弱活性について調べた結果、1mg/mLで50%減弱した(vero毒素濃度:10−11 g/L)。
【0046】
実施例5
実施例4に示したように、当該培養液中には乳酸以外にもvero毒減弱作用を有するB物質のような成分の存在が明らかとなった。そこで、さらに該成分の存在を明らかにすると共に、精製を行った。すなわち、実施例1において得られた培養液中の乳酸以外のvero毒作用減弱成分の有無を探索するため、吸着クロマト用樹脂であるDIAION HP−20(三菱化成社製)を用いて、該成分の分離・精製を行った。
まず、210ccのDIAION HP−20をカラム(5×50cm)に充填し、実施例1と同様に培養して得た乳酸菌SWT3052株(FERM P−18635)の培養液を毎分10mLの速度で通過させた。カラムの通過液について、乳酸検出定量キット(JKインターナショナル社製)を用いて解析し、乳酸が含まれていることを確認した。
次に、カラムを水洗した後、50%アセトン水で溶出し、実施例1と同様にvero毒作用減弱活性を測定した。
【0047】
その結果、カラム溶出液には、乳酸が含まれていないのにもかかわらず、vero毒減弱活性が認められた。そこで、この溶出液を常法によって蒸発濃縮して得た物質(B)について、同様にvero毒作用減弱活性を測定したところ、濃度1mg/mLで15%毒減弱活性度を有していることが分かった。
TLCによって、この物質(B)は乳酸とは異なるスポットを与えるvero毒減弱作用を有する物質を含有していることが明らかとなった。
【0048】
実施例6
実施例4で得られた物質(A)、すなわち乳酸、実施例5で得られた乳酸を含まない物質(B)及び標品乳酸について、vero毒作用減弱活性を実施例1と同様に測定した。
その結果、標品乳酸は、濃度10mM(0.9mg/mL)ではvero細胞にはほとんど阻害を与えず、15%毒減弱活性度を示した。また、乳酸を含む乾固物質(A)は、濃度1mg/mLで50%毒減弱活性度を示した。
【0049】
一方、乳酸を含まず、乳酸とは異なる物質(B)は、1.0mg/mLで標品乳酸と同等の15%毒減弱活性度を示した。また、物質(B)のvero細胞に対する細胞毒性を50%致死量(LD50)として推定すると8mg/mL以上と推定される。これを、上記の物質(B)の15%毒減弱活性度を示した1.0mg/mLと比較すると、8倍以上の差があり、vero細胞には毒性を示さない物質(B)の濃度でvero毒素の作用を減弱できると考えられる。
以上のことから、物質(A)及び物質(B)は、いずれもvero細胞に対する毒性は低く、これら物質を含有するvero毒減弱用組成物を動物あるいは人に投与することにより、vero毒の減弱作用が期待できることが示唆される。
【0050】
また、濃度1mg/mLの物質(A)と濃度10mg/mLの物質(B)を混合し、vero毒作用減弱活性を測定したところ、標品乳酸10mMのみのvero毒作用減弱活性の5倍の強度を示した。このことから、これらの物質を組み合わせて使用することによって、それぞれ単独では得られない相乗的な効果が得られることが明らかとなった。
【0051】
実施例7
実施例2において得たvero毒作用減弱用組成物を含む培養液について、各種pHにおける熱安定性試験を行った。すなわち、所定のpHに調整した培養液を温浴槽中で60℃で30分間加熱処理して熱安定性を調べた。
結果を図8に示す。図から明らかなように、vero毒作用減弱用組成物はpH2.0〜9.0という幅広いpH範囲において、60℃で30分間の加熱処理に対して安定性を有していることが明らかとなった。したがって、この組成物は、製造工程に加熱工程を含む食品の製造過程において添加することができる。
【0052】
【発明の効果】
本発明により、vero毒作用減弱用組成物並びに当該組成物を食品に添加してvero毒減弱作用を付与した機能性食品が提供される。
本発明に係るvero毒作用減弱用組成物は、大腸菌O−157菌等の腸管出血性大腸菌により産生される毒素に起因する疾病の治療や軽減に有効である。
また、当該組成物は、チーズ、ヨーグルト等の伝統食品の製造に使用されている乳酸菌によって生産される物質であるため、安全性の面で心配がない上に、性質の安定した製品を安価に、かつ多量に生産することができる。
さらに、vero毒減弱作用を付与した機能性食品を日常的に摂取することによって、食中毒やO−157毒素に起因する疾病を予防することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2株のラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスについて、vero毒作用減弱活性の測定結果を示した図である。
【図2】培養期間におけるvero毒作用減弱活性の経時的な変化を示した図である。
【図3】抽出溶剤として酢酸エチルを用いて得た抽出物についてのvero毒作用減弱活性の測定結果を示す図である。
【図4】抽出溶剤としてブタノールを用いて得た抽出物についてのvero毒作用減弱活性の測定結果を示した図である。
【図5】実施例4における1H NMR (400Mz,重アセトニトリル中) の結果を示した図である。
【図6】実施例4における13C NMR (100Mz, 重アセトニトリル中) の結果を示した図である。
【図7】実施例4におけるマススペクトル(m/z 89 、(M−1) − ) 結果を示した図である。
【図8】実施例7における熱安定性試験の結果を示した図である。
Claims (4)
- 乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスの培養物から酢酸エチル又はブタノールで抽出することにより得られ、弱塩基性又は強塩基性陰イオン交換樹脂に吸着する性質があり、vero細胞に対する細胞毒性を減弱する作用を有することを特徴とするvero毒作用減弱用組成物。
- vero毒作用減弱用組成物が、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスの培養物からの酢酸エチル又はブタノールによる抽出液から当該酢酸エチル又はブタノールを除去した後、水を加えて得た水溶液を合成吸着樹脂又は活性炭のカラムに通液したとき吸着され、有機溶媒水溶液で溶出される物質並びに乳酸を含むものである請求項1記載のvero毒作用減弱用組成物。
- 乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリスが、乳酸菌ラクトトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス SWT3052株(FERM P−18635)である請求項1記載のvero毒作用減弱用組成物。
- 請求項1記載のvero毒作用減弱用組成物を食品に添加してvero毒減弱作用を付与したことを特徴とする機能性食品。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2007119693A1 (ja) * | 2006-04-13 | 2007-10-25 | Mizkan Group Corporation | 乳酸菌由来のppar依存的遺伝子転写活性化組成物 |
CN102463155A (zh) * | 2010-11-17 | 2012-05-23 | 核工业北京化工冶金研究院 | 一种大孔弱碱性阴离子交换树脂的制备方法 |
-
2002
- 2002-07-23 JP JP2002213302A patent/JP2004051581A/ja not_active Withdrawn
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CN102463155A (zh) * | 2010-11-17 | 2012-05-23 | 核工业北京化工冶金研究院 | 一种大孔弱碱性阴离子交换树脂的制备方法 |
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