JP2004051041A - 部材の分離装置 - Google Patents

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【課題】破片や爆薬残渣が飛散せず、分離すべき部材を小さな衝撃で確実に分離することができ、さらに任意の形状に分離することができる分離装置を提供する。
【解決手段】部材の分離装置1は、分離すべき部材11a・11bの分離端10a・10b同士を跨ぐ接続板13が、分離端10a・10bに添う脆弱部12を有しており、分離端10a・10b同士を跨ぎ接続板13へ向いた填込溝19が設けられている留具14aと、別な留具14bとが夫々、分離すべき部材11a・11bに、接続板13を介してねじ留めされており、起爆装置20へ繋がっている導爆線16を挿入して圧し潰された金属管17が、填込溝19に填め込まれている。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロケットや人工衛星等の分離すべき部材に取付けられる分離装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多段に連結された宇宙用ロケットを切り離す際や、ロケットまたは人工衛星に搭載された機器を覆っている分離可能な外殻カプセルが切り離されるフェアリング分離の際には、爆破線を用いた分離装置が汎用されている。
【0003】
従来の分離装置は、図3に示すように、分離すべき部材31aおよび31bの分離端を跨いで繋ぎ留めている連結部材33上に、強い爆轟を生じる爆薬をV字形に成型した爆破線36が、配置されたものである。爆破線36の起爆で生じた爆轟によるジェット噴流を直接、連結部材33へ当て、連結部材33を破断すると、部材31aと31bとが分離する。
【0004】
この分離装置を用いると、爆破線36の爆轟の威力が強いため連結部材33が確実に破断されるが、爆轟の衝撃が大きすぎたり、連結部材33の破片や爆破線36の残渣が飛散したりする結果、搭載機器が破損してしまうという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、破片や爆薬残渣が飛散せず、分離すべき部材を小さな衝撃で確実に分離することができ、さらに任意の形状に分離することができる分離装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するためになされた本発明の部材の分離装置1は、実施例に対応する図1を参照して説明すると、分離すべき部材11a・11bの分離端10a・10b同士を跨ぐ接続板13が、分離端10a・10bに添う脆弱部12を有しており、分離端10a・10b同士を跨ぎ接続板13へ向いた填込溝19が設けられている防爆性留具14aと、別な留具14bとが夫々、分離すべき部材11a・11bに、接続板13を介してねじ留めされており、起爆装置20へ繋がっている導爆線16を挿入して圧し潰された金属管17が、填込溝19に填め込まれている。
【0007】
金属管17が、導爆線16の爆轟によって押し拡げられて脆弱部12に亀裂を生じさせる結果、部材11a・11bが分離する。
【0008】
導爆線16の爆轟は、金属製の接続板13を直接、破断するほどの強い威力は必要なく、圧し潰された金属管17を押し拡げる程度の比較的弱い威力があれば十分である。このような導爆線16は、MDC(Mild Detonating Cord)と呼ばれるものである。導爆線16は、例えば伝爆速度が速く比較的穏やかな爆轟を生じる可撓性のひも状火工品が用いられる。より具体的には、トリメチレントリニトロアミン(RDX)やヘキサニトロスチルベン(HNS)が鉛製の薄い細管に充填されたものが挙げられる。このような導爆線16は、柔軟であるので、分離すべき部材の分離端の形状や、接続板の長さ等に合わせて、適宜、任意の形状や長さに調整できる。
【0009】
金属管17は、切込18が填込溝の奥へ向いているシーム管であってもよい。シーム管であると、切込18が設けられており、爆轟によりシーム管17が押し拡げられ易くなるので、導爆線16の装薬量を抑制して衝撃を小さくすることができる。
【0010】
脆弱部12は接続板13の外側面に付された溝、例えばU字形溝またはV字形溝であることが好ましい。金属管17は接続板13の内側面に当接されていることが好ましい。金属管17の押し拡がりによって、接続板13が反り、応力が集中的に溝12にかかるので、溝12に一層亀裂が生じ易くなる。
【0011】
この分離装置1を用いると、分離の際に、接続板13の破片や導爆線16の残渣が飛散しない。また、分離すべき部材で内包されている搭載機器21が損壊しない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の部材の分離装置の実施例を詳細に説明する。
【0013】
図1に記載の部材の分離装置を装着した宇宙用ロケットの一部切り欠き側面図が、図2に示されている。ロケット22の弾頭には、金属製外殻カプセルが取付けられている。このカプセルは、釣鐘状で長さ約1mであり、対照な半身の分離可能な部材11aおよび11bからなっている。この分離部材11aおよび11bは、ロケットに搭載された測定機器のようなペイロード21を覆って保護している。
【0014】
その弾頭近傍のA−Aの一部断面図である図1(a)に示すように、部材11aおよび11bは、夫々その分離端10aおよび10bで突き合わされている。部材11a・11bの内側で対照に(図2参照)、アルミニウム合金製の厚さ3mmの帯状の接続板13が、分離端10a・10bを跨いでいる。分離端10a・10bに添って、接続板13の外側面に、脆弱部である半径1mmの半円のU字形の溝12が付されている。
【0015】
接続板13の内側面に、このU字形の溝12にちょうど沿っている填込溝19を有する防爆性留具14aが、接している。直径3/16インチのステンレス製の金属管であるシーム管17が、圧し潰されて、填込溝19に填め込まれ、接続板13に当接している。このシーム管17は、填込溝19の奥へ向いて押し付けられている切込18が、設けられている。シーム管17には、トリメチレントリニトロアミンを1.8g/mの量で充填されている鉛製細管である導爆線16が、挿入されている。
【0016】
導爆線16の一端が起爆装置20に繋がっている。
【0017】
分離すべき部材11aと、接続板13と、防爆性留具14aとが、螺子15aで螺子留めされている。他方の分離すべき部材11bと、接続板13と、留具14bとが、螺子15bで螺子留めされている。防爆性留具14aと留具14bとが、一部噛み合っている。なお、螺子15a・15bに代えてリベットで鋲留めしてもよい。
【0018】
分離装置1は、以下のように動作する。
【0019】
部材11aと11bとを分離する際、分離開始指示回路(不図示)から出た信号により起爆装置20が、導爆線16の一端を起爆する。導爆線16は、極めて速い爆速のため短時間で他端にまで伝爆し、爆轟を生じる。圧し潰されたシーム管17の内側面に、導爆線16の爆轟により発生した爆轟波が直接当たる。
【0020】
すると、同図(b)に示すように、シーム管17の切込18が広げられる。シーム管17は、防爆性留具14aの填込溝19いっぱいに押し拡げられ、断面が馬蹄形となり、遂には一部が填込溝19からはみ出る。はみ出ると接続板13を反らせ、遂には脆弱な溝12に亀裂を生じさせる結果、接続板13は二つに割れる。割れた接続板13a・13bは、外側へ押し出される。それに伴い、留具14bが、噛み合っている防爆性留具14aを外側へ押し出す。
【0021】
その結果、同図(c)に示すように、部材11aと11bとは、破片が飛散することなく、分離する。
【0022】
このとき、馬蹄形に広がったシーム管17は、その中に導爆線16の残渣が残存しており、填込溝19いっぱいに拡がるため、填込溝19から抜け落ちない。
【0023】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明の分離装置は、多段式ロケットの分離、ロケットまたは人工衛星に搭載された機器を覆っている外殻カプセルを切り離すフェアリング分離、その他の部材同士を分離する際に使用される。部材を分離する動作時に、破片や爆薬の残渣が飛散せず、衝撃が小さいので、搭載機器等の損壊を防止することができる。分離にかかる時間は極めて短いので、緊急用切離装置にも用いることができる。金属管に切込が設けられていると、導爆線の量を少なくして、衝撃を小さくしつつ効果的に分離させることができる。可撓的な導爆線を用いることにより、分離すべき部材の分離端の形状や、接続板の長さ等に合わせて、簡便かつ確実に部材を分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する部材の分離装置の実施途中を示す要部断面図である。
【図2】本発明を適用する部材の分離装置を有する宇宙用ロケットの一部切欠き側面図である。
【図3】本発明を適用外の部材の分離装置の要部断面図である。
【符号の説明】
1は部材の分離装置、11a・11bは分離すべき部材、12は脆弱部、13・13a・13bは接続板、14aは防爆性留具、14bは留具、15a・15bは螺子、16は導爆線、17は金属管、18は切込、19は填込溝、20は起爆装置、21は搭載機器、22は宇宙用ロケット、31a・31bは分離すべき部材、33は連結部材、36はV字形成型爆破線である。

Claims (3)

  1. 分離すべき部材の分離端同士を跨ぐ接続板が、該分離端に添う脆弱部を有しており、該分離端同士を跨ぎ該接続板へ向いた填込溝が設けられている防爆性留具と、別な留具とが夫々、該分離すべき部材に、該接続板を介してねじ留めされており、起爆装置へ繋がっている導爆線を挿入して圧し潰された金属管が、該填込溝に填め込まれていることを特徴とする部材の分離装置。
  2. 該金属管は、切込が該填込溝の奥へ向いているシーム管であることを特徴とする請求項1に記載の部材の分離装置。
  3. 該脆弱部は該接続板の外側面に付された溝であり、該金属管は接続板の内側面に当接されていることを特徴とする請求項1に記載の部材の分離装置。
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