JP4298306B2 - 部材の分離装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠隔操作によって、ロケットや人工衛星から分離される部材に、取付けられる分離装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
宇宙用ロケットや人工衛星に搭載された測定機器等を覆っている分離可能な外殻カプセルが切り離されるフェアリング分離のために、爆破線を用いた分離装置が用いられる。
【0003】
このような分離装置として、以下のような特許文献がある。
【特許文献1】
特表2002−508502号公報
【0004】
この【特許文献1】には、外殻カプセル同士の分離端を跨ぐ二重の接続板でカプセルが繋ぎ留められ、導爆線が挿入されて押し潰されている金属管をこの二重の接続板の間に収納している装置が、開示されている。
【0005】
また、本出願人は、既に特願2002−214122号において、外殻カプセル同士が、その分離端を跨ぎ脆弱部を有する接続板で繋ぎ留められ、導爆線を挿入して押し潰された金属管が、接続板へ向く溝に、填め込まれている分離装置を、出願している。
【0006】
このような金属管への導爆線の挿入や、金属管の押し潰しの工程は面倒である。また、導爆線の爆轟で金属管を押し広げることにより接続板を破断するので爆轟の衝撃が大きすぎる。破片を飛散させず、さらに搭載機器を破損させないために、できるだけ爆轟の衝撃を小さくする必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、簡易に製造できるうえ、分離すべき部材を爆轟の小さな衝撃で確実に任意の形状に分離することができ、爆轟の衝撃や残渣の飛散で搭載機器を破損することがない、簡便な、部材の分離装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するためになされた本発明の部材の分離装置1は、実施例に対応する図1を参照して説明すると、分離すべき部材11a・11bの分離端10a・10b同士を跨ぐ接続板13が、分離端10a・10bに添う脆弱部12を有しており、分離端10a・10b同士を跨ぎ接続板13へ向いた溝19が設けられている留具14aと、別な留具14bとが夫々、分離すべき部材11a・11bに、該接続板13を介して結合されており、起爆装置20へ一端が繋がっている導爆線16が、弾性樹脂17により溝19に埋没しており、弾性樹脂17は、導爆線16の爆轟により膨張して溝19をはみ出てから破裂する。
【0009】
この弾性樹脂17は、シリコーン樹脂であることが好ましい。
【0010】
導爆線16を載置した溝19に、シリコーン樹脂17を充填して成型することにより、導爆線16の埋没がされていることが好ましい。
【0011】
導爆線16の爆轟によって、樹脂17の中に生じた空洞18が膨らみ、樹脂17が膨張する結果、樹脂17が溝19からはみ出し、脆弱部12に亀裂を生じさせ、部材11a・11bを分離させる。
【0012】
導爆線16の爆轟は、接続板13を直接、破断するほどの強い威力は必要なく、樹脂17を膨張させる程度の比較的弱い威力があれば十分である。このような導爆線16は、MDC(Mild Detonating Cord)と呼ばれるもので、例えば伝爆速度が速く比較的穏やかな爆轟を生じるひも状火工品が挙げられる。より具体的には、トリメチレントリニトロアミン(RDX)やヘキサニトロスチルベン(HNS)が鉛製の薄い細管に充填されたものが挙げられる。このような導爆線16は、可撓性があるので、分離すべき部材の分離端の形状や、接続板の長さ等に合わせて、適宜、任意の形状や長さに調整できる。
【0013】
樹脂17は、その弾性により、緩衝材として作用するので、爆轟の衝撃が測定機器のようなペイロード内包物に殆んど伝播しない。
【0014】
脆弱部12は、接続板13の外側面に付され、例えばU字形またはV字形の断面を有する切込溝であるノッチが好ましい。樹脂17は接続板13の内側面に当接されていることが好ましい。樹脂17の外形の膨張によって、接続板13が反り、応力が集中的に溝12にかかるので、脆弱部12に一層亀裂が生じ易くなる。
【0015】
この分離装置1を用いると、分離の際に、接続板13の破片や導爆線16の残渣が飛散しない。また、分離すべき部材で内包されている搭載機器が破損しない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の部材の分離装置1の実施例を詳細に説明する。
【0017】
図1に記載の部材の分離装置1を装着した宇宙用ロケットの一部切り欠き側面図が、図2に示されている。ロケット22の弾頭には、アルミニウム合金製の外殻カプセルが取付けられている。このカプセルは、釣鐘状で長さ約1mであり、対称な半身の分離可能な部材11aおよび11bからなっている。この分離部材11aおよび11bは、ロケットに搭載された測定機器21を覆って保護している。
【0018】
その弾頭近傍のA−Aの一部断面図である図1(a)に示すように、部材11aおよび11bは、夫々その分離端10aおよび10bで突き合わされている。部材11a・11bの内側で対称に(図2参照)、アルミニウム合金製の厚さ3mmの帯状の接続板13が、分離端10a・10bを跨いでいる。分離端10a・10bに添って、接続板13の外側面に、脆弱部である半径1mmの半円のU字形ノッチである脆弱部12が付されている。
【0019】
この脆弱部12に沿う溝19を有する留具14aが、接続板13の内側面に接している。トリメチレントリニトロアミンを1.8g/mの量で充填されている一端が起爆装置20に繋がっている導爆線16が、シリコーン樹脂により、この溝19に埋没している。
【0020】
この埋没は、溝19に導爆線16を載置し、シリコーン樹脂を流し込んで、その後に固化させることにより、なされる。
【0021】
分離すべき部材11aと、接続板13と、留具14aとが、螺子15aで螺子留めされている。他方の分離すべき部材11bと、接続板13と、留具14bとが、螺子15bで螺子留めされて結合している。留具14aと別な留具14bとが、一部噛み合っている。螺子15a・15bに代えてリベットで鋲留めしてもよい。
【0022】
分離装置1は、以下のように動作する。
【0023】
部材11aと11bとを分離する際、分離開始指示回路(不図示)から出た信号により起爆装置20が、導爆線16の一端を起爆する。導爆線16は、短時間で他端にまで伝爆し、爆轟を生じる。
【0024】
すると、同図(b)に示すように、シリコーン樹脂17中にあった導爆線16の部位で、爆轟波で生じた空洞18が大きくなる。それに伴い弾性のあるシリコーン樹脂17が膨張し、断面が馬蹄形となる。この樹脂17が、填込溝19からはみ出る。
【0025】
はみ出たシリコーン樹脂が接続板13を反らせ、脆弱部12に亀裂を生じさせ、接続板13は二つに割れる。
【0026】
さらに、同図(c)のように、矢印で示す爆轟波により、割れた接続板13a・13bは、遂には外側へ押し出される。部材11aと11bとは、起爆してから約5msec間という短時間で、分離する。
【0027】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明の分離装置は、ロケットまたは人工衛星に搭載された機器を覆っている外殻カプセルを切り離すフェアリング分離、多段式ロケットの分離、その他の部材同士を分離する際に使用される。
【0028】
部材を分離する際に、破片や爆薬の残渣が飛散せず、導爆線の量が少なくてすみさらに爆轟の衝撃が小さいので、搭載機器を破損しない。
【0029】
分離に要する時間は極めて短いので、緊急用切離装置にも用いることができる。
【0030】
導爆線が可撓的であるので分離すべき部材の分離端の形状や、接続板の長さ等に合わせて、簡便かつ確実に部材を分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する部材の分離装置の実施途中を示す要部断面図である。
【図2】本発明を適用する部材の分離装置を有する宇宙用ロケットの一部切欠き側面図である。
【符号の説明】
1は部材の分離装置、11a・11bは分離すべき部材、12は脆弱部、13・13a・13bは接続板、14a・14bは留具、15a・15bは螺子、16は導爆線、17はシリコーン樹脂、18は空洞、19は溝、20は起爆装置、21は搭載機器、22は宇宙用ロケットである。
Claims (3)
- 分離すべき部材の分離端同士を跨ぐ接続板が、該分離端に添う脆弱部を有しており、該分離端同士を跨ぎ該接続板へ向いた溝が設けられている留具と、別な留具とが夫々、該分離すべき部材に、該接続板を介して結合されており、起爆装置へ一端が繋がっている導爆線が、弾性樹脂により該溝に埋没しており、該弾性樹脂は、該導爆線の爆轟により膨張して該溝をはみ出てから破裂することを特徴とする部材の分離装置。
- 該弾性樹脂が、シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の部材の分離装置。
- 該導爆線を載置した該溝に、該シリコーン樹脂を充填して成型することにより、該埋没がされていることを特徴とする請求項2に記載の部材の分離装置。
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