JP2004050268A - Si含有鋼板の熱間圧延方法及び熱延鋼板の製造設備配置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Siを1質量%以上含有するSi含有鋼板の熱間圧延方法であって、粗圧延後仕上圧延前にトランスバース型の全幅誘導加熱装置4によって鋼板1の加熱を行い、その後仕上圧延前に水噴射によるスケール除去を行うことを特徴とするSi含有鋼板の熱間圧延方法。誘導加熱装置4による加熱後の鋼板表面の温度を1000℃以下とする。粗圧延装置2と、トランスバース型の全幅誘導加熱装置4と、水噴射による鋼板表面スケール除去装置8と、仕上圧延装置3とを、この順番に配置してなることを特徴とする熱延鋼板の製造設備配置。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Si含有鋼板の熱間圧延中におけるスケール除去方法、及び特にSi含有鋼板のスケール除去性能に優れた熱延鋼板の製造設備配置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼の熱間圧延に際しては、圧延に先立って鋼片を加熱炉に装入して1100〜1400℃の高温に加熱する。加熱炉内は酸化雰囲気なので、加熱中に鋼片の表面は酸化され、スケールが生成する。スケールは酸化鉄を主体とし、加熱炉から抽出された時点での鋼片表面のスケールの厚さは1〜2mmに達する。このスケールが鋼片表面に付着したままで圧延を行うと、圧延材の表面にスケールが食い込み、スケール疵として残存する。このスケール疵の発生を防止するため、従来から圧延前の鋼板表面に100〜150kg/cm2の圧力で水を噴射してスケールを除去する方法が知られている。
【0003】
しかし、スケールの剥離のしやすさは鋼の成分によっても異なり、特にSi含有量が多い鋼に生成するスケールは、非常に剥離しにくいことが知られている。Siを多く含む鋼材を加熱すると、加熱雰囲気中の酸素と反応して表面にFeO−Fe2SiO4の共晶化合物(ファイアライト)が生成し、スケールが鋼界面にくさび状に食い込み、通常の水圧によるデスケーリングを実施してもスケールがまだら状に残存し、Siスケール又は赤スケールと呼ばれるスケール模様欠陥となる。このSiスケールは酸洗によって除去されるが、酸洗前にスケールが残存していた部分と残存していなかった部分とで酸洗後の鋼板表面に凹凸を生じ、部材として使用する際に塗装ムラとなって自動車ホイール等の最終製品の美観を損なうこととなる。特に近年ではフルフェースホイール化が進展しており、鋼材表面の露出部は塗装後において良好な表面性状が要求されており、スケール模様欠陥の解決が必要であった。
【0004】
Si含有鋼の上記問題を解決するため、特開平4−238620号公報には、難剥離性スケール鋼種を熱間圧延するに際し、仕上圧延前に、単位散布面積当たりの衝突圧が20gf/mm2以上40gf/mm2以下(約0.2MPa以上0.4MPa以下)で、かつ流量が0.1リットル/min・mm2以上0.2リットル/min・mm2以下の高圧スプレーを鋼板表面に噴射する技術が開示されている。また、特開平7−144213号公報には、シリコン:0.15%以上を含むシリコン含有鋼板の熱延スケール疵防止方法において、P:0.012〜0.030%を含有させたスラブを1230℃超〜1300℃に加熱し、加熱後少なくとも仕上圧延前までに衝突圧2MPa以上の高圧水でデスケーリングを行う技術が開示されている。
【0005】
特開2000−254724公報には、Si含有量0.5重量%以上の高Si鋼の熱間圧延方法において、鋼材表面がFeOとFe2SiO4が共晶し融解する温度(1173℃)未満の状態で加熱することにより、鋼界面にくさび状に食い込むファイアライトの生成を防止し、噴流を独立した液滴に分離して噴流エネルギーを確実にスケール表面に伝達し、衝突流速V、衝突エネルギーEをそれぞれ所定の値以上に確保し、これによってデスケーリングを行う技術が開示されている。
【0006】
鋼板の熱間圧延において、粗圧延から仕上圧延にかけて鋼板の温度が低下するため、圧延前の鋼片加熱において粗圧延に最適な温度に加熱を行った場合、仕上圧延前において鋼板の温度が仕上圧延には不十分となる場合がある。特にSi含有鋼の熱間圧延においては、鋼片の加熱中に鋼片表面に生成したファイアライトが溶融するのを防止するため、加熱温度を1170℃以下の低温加熱としているので、このままでは仕上圧延前の鋼板温度が下がりすぎて仕上圧延がしづらくなる。このため、粗圧延と仕上圧延との間に鋼板の誘導加熱装置を設置し、仕上圧延前に鋼板を加熱して仕上圧延に最適な温度に確保することが行われる。誘導加熱装置としては、図4に示すように、鋼板1を取り囲むように誘導コイル32を配置するソレノイド型誘導加熱装置31が用いられる。ソレノイド型誘導加熱装置を用いることにより、鋼板の全幅を加熱することが可能になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
Si含有鋼板の熱間圧延において、仕上圧延前に鋼板の誘導加熱を行った場合には、たとえ従来知られているSi含有鋼板のスケール除去方法を採用したとしても、熱間圧延後の鋼板にはその表面にSiスケールの付着が見られた。
【0008】
本発明は、Si含有鋼板の熱間圧延において、仕上圧延前に誘導加熱を行いつつ、熱間圧延後の鋼板表面にSiスケールの付着しない熱間圧延方法、及び熱延鋼板の製造設備配置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
Si含有鋼、特にSi含有量が1質量%以上のSi含有鋼においては、鋼板表面温度が1000℃を超えると鋼板表面にファイアライトが発生する。Si含有鋼の熱間圧延において、仕上圧延前に行うスケール除去時の鋼板表面温度が1000℃を超えていると、スケール除去後に二次スケールが発生することとなり、結果として圧延後の鋼板表面にSiスケールが付着することとなる。
【0010】
図4に示すようなソレノイド型誘導加熱装置31によって鋼板1を加熱する場合の磁力線の分布を図3(b)に示す。鋼板付近における磁力線22は鋼板1に平行に分布する。このような磁力線分布になる結果として、鋼板中に発生する渦電流が鋼板の表面付近に集中し、鋼板表面が選択的に加熱されることとなる。鋼板中心部の昇温量に比較し、鋼板表面付近の昇温量は約2倍の高い昇温量となる。そのため、鋼板中心部の昇温後温度を仕上圧延からの要請に基づいて定めると、結果として鋼板表面の温度が1000℃を超える温度となってしまう。即ち、従来のSi含有鋼の熱間圧延において、スケール除去後に二次スケールが発生する原因がこの誘導加熱による鋼板表面温度の上昇にあることが明らかになった。このことから、仕上圧延前に行う鋼板の誘導加熱において、鋼板の表面温度の上昇代が少ない加熱を行えば、Si含有鋼の熱間圧延においてもスケール除去後の二次スケール生成を防止することができるということが明らかになった。
【0011】
本発明は上記知見に基づいてなされてものであり、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1)Siを1質量%以上含有するSi含有鋼板の熱間圧延方法であって、粗圧延後仕上圧延前にトランスバース型の全幅誘導加熱装置4によって鋼板1の加熱を行い、その後仕上圧延前に水噴射によるスケール除去を行うことを特徴とするSi含有鋼板の熱間圧延方法。
(2)鋼板はSiを1質量%以上含有することを特徴とする上記(1)に記載のSi含有鋼板の熱間圧延方法。
(3)前記誘導加熱装置4による加熱後の鋼板表面の温度を1000℃以下とすることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のSi含有鋼板の熱間圧延方法。
(4)前記水噴射によるスケール除去は、スケール除去ノズルからの吐出圧を45MPa以上とすることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のSi含有鋼板の熱間圧延方法。
【0012】
(5)粗圧延装置2と、トランスバース型の全幅誘導加熱装置4と、水噴射による鋼板表面スケール除去装置8と、仕上圧延装置3とを、この順番に配置してなることを特徴とする熱延鋼板の製造設備配置。
(6)前記水噴射によるスケール除去装置8は、スケール除去ノズルからの吐出圧が45MPa以上であることを特徴とする上記(5)に記載の熱延鋼板の製造設備配置。
【0013】
【発明の実施の形態】
熱間圧延中の粗圧延と仕上圧延との間で鋼板を加熱する手段としては、通常は図4に示すようなソレノイド型誘導加熱装置31が用いられる。ソレノイド型であれば、鋼板の全幅を容易に加熱することができるからである。一方、ソレノイド型誘導加熱装置で鋼板を加熱すると、前述のように渦電流が鋼板の表面付近に集中して流れるため、鋼板中心の昇温量に比較して鋼板表面の昇温量が高くなり、鋼板中心に比較して鋼板表面温度が高くなるという結果を呈する。
【0014】
Si含有鋼の熱間圧延において、加熱抽出温度を1170℃以下の低温抽出とした場合、粗圧延後の鋼板表面温度は950℃程度、中心温度は980℃程度まで低下する。適切な仕上圧延を行うためには、仕上圧延前の誘導加熱によって、鋼板中心温度を1010℃程度の温度に昇温することが必要である。すなわち、鋼板中心温度を30℃程度昇温する必要がある。従来のソレノイド型誘導加熱装置によって鋼板中心温度を30℃昇温しようとすると、鋼板表面温度の昇温量は中心の倍程度、すなわち60℃程度の昇温量となり、表面温度は950℃から1010℃まで上昇してしまう。この温度ではファイアライト生成温度領域に入るので、この後に高圧デスケーリング装置でスケール除去を行っても、二次スケールが発生してしまうこととなる。
【0015】
本発明においては、粗圧延装置2と仕上圧延装置3との間で鋼板を加熱する手段としてトランスバース型誘導加熱装置4を用いる。トランスバース型誘導加熱装置4における磁力線分布を図3(a)に示す。この図から明らかなように磁力線22が鋼板1を垂直に貫通するので、誘起される渦電流が鋼板の厚さ方向で均一に発生する。そのため、誘導加熱による昇温量が鋼板の厚さ方向で均一であり、鋼板中心と鋼板表面の昇温量をほぼ同一とすることができる。従って、加熱抽出温度を低温とする上記Si含有鋼の熱間圧延において、粗圧延後の鋼板中心温度を加熱によって980℃から1010℃に昇温するに際し、鋼板中心の昇温量と鋼板表面の昇温量をともに30℃とすることができるので、鋼板表面温度は950℃から980℃に昇温するに留まり、仕上圧延前の鋼板表面温度を1000℃以下に保持することができる。1000℃以下であれば、高圧デスケーリング装置によってスケール除去を行った後に二次スケールが発生することがないので、Si含有鋼の熱間圧延においてSiスケールの付着がない良好な熱間圧延鋼板を製造することが可能になる。
【0016】
熱間圧延中における鋼板の加熱装置として、トランスバース型誘導加熱装置は、鋼板エッジ部を加熱するエッジヒーターとしての活用は見られたものの、鋼板の全幅を加熱する加熱装置としては従来はソレノイド型誘導加熱装置31が用いられていた。トランスバース型誘導加熱装置は、加熱する鋼板のエッジ部が過加熱される恐れがあることや、インダクターの形状が複雑で大電流を流すことができないため、大容量の装置を作りにくいと行った課題がある。加熱効率については、通常の仕上圧延前鋼板の厚さ30〜50mmで比較すると、トランスバース方式が65%なのに対し、ソレノイド方式は75%とソレノイド方式の方が高い。設備投資額も、構造の単純なソレノイド方式の方が小さくて済む。以上のような理由で鋼板全幅を加熱する装置としては採用に困難性を有していたからである。本発明は、このような困難性を有するトランスバース型誘導加熱装置を鋼板全幅加熱装置として敢えて採用することにより、Si含有量が1%以上のSi含有鋼板の熱間圧延においてSiスケール除去を可能にしたところに最大の特徴がある。
【0017】
本発明において、熱間圧延を行うSi含有鋼板のSi含有量を1質量%以上とすると好ましい。このような高Si領域において、本発明の効果が十分に発揮されるからである。Si含有量1.1質量%以上であれば本発明の効果をより一層発揮することができる。Si含有量1.2質量%以上であれば本発明の効果をさらに発揮することができる。
【0018】
本発明において、トランスバース型誘導加熱装置による加熱後の鋼板表面の温度を1000℃以下とすることにより、その後仕上圧延前に水噴射によるスケール除去を行うに際して二次スケールの生成を防止することができ、Siスケールの付着していない良好なSi含有鋼板を製造することが可能になる。誘導加熱装置による加熱後の鋼板表面の温度は、950℃以下であればより好ましい。900℃以下であればさらに好ましい。
【0019】
本発明のSi含有鋼板の熱間圧延においては、圧延前の加熱抽出温度を1170℃以下とすると好ましい。加熱抽出温度が1170℃以下であれば、ファイアライトが溶融しない温度領域であるので、鋼界面にくさび状に食い込むファイアライトの生成を防止して、水噴射によるスケール除去でスケールが除去しやすくなるからである。また、本発明においては仕上圧延前に誘導加熱装置を有しているので、仕上圧延までに鋼板温度を仕上圧延適正温度に昇温することができる。従って、加熱抽出温度を低くして粗圧延後の鋼板温度が低下したとしても仕上圧延に支障を来すことがない。
【0020】
Si含有量が1質量%以上のSi含有鋼板の熱間圧延においては、水噴射によるスケール除去において高圧のスケール除去ノズルを用い、ノズルからの吐出圧を45MPa以上とすることにより、良好にスケール除去を行うことができる。Si含有鋼板の表面に生成するSiスケールは、このような高圧ノズルを用いることによってはじめて除去が可能になるからである。
【0021】
本発明のスケール除去のための噴流を発生するノズルとして、吐出流が熱延鋼板の幅方向に広がるフラットノズルを用いることができる。幅方向の広がり角度が大きいほど熱延鋼板の全幅をカバーするためのノズル個数を減らすことが可能になるが、一方で鋼片表面への衝突流速垂直成分を確保するためには広がり角度θを大きくすることは得策ではない。吐出流の広がり幅の両端における衝突流速垂直成分は、ノズル吐出流速のcos(θ/2)倍となる。ノズルの広がり角度θは40°以下が好ましい。吐出流の広がり幅の中央においては、鋼片表面への衝突流速はノズルからの吐出流速と同等の流速を得ることができる。
【0022】
特開2000−254724公報にも記載のとおり、高圧噴流の衝突によって十分な衝突エネルギーを生み出すためには、衝突時において噴流の液滴がお互いに独立して分離しており、かつ個々の液滴の大きさを適切な範囲に保つと好ましい。そのためには、噴流の衝突面において、噴流全体が占める断面積のうち、液滴が占める断面積の割合を無次元で表示した噴流液相化率αの値を、0.01以上0.1以下とすると良い。
【0023】
本発明において、水噴射によるスケール除去は仕上圧延の手前、即ち粗圧延の後で行う。そのため、粗圧延で生じるスケール中の亀裂がデスケ性向上に作用するので、スケール除去を良好に行うことができる。また、本発明のスケール除去を行う手前で、従来方法の低圧水噴射によるスケール除去を行ってもよい。低圧水噴射によって加熱炉で生成した付着スケールのうちの除去しやすい上層部を除去した後、本発明のノズルからの水噴射で最も除去しにくい鋼との境界部のSiスケールを除去することにより、より確実にスケール除去を完了することができる。
【0024】
本発明で用いるトランスバース型の全幅誘導加熱装置としては、図1に示すように、コア5として2個の垂直部11と1個の水平部12を有するコの字型のコア5とし、2個の垂直部11を鋼板1の表面に向け、コア5の幅が鋼板1の全幅をカバーする幅とし、該コの字型のコア(5a、5b)を鋼板1の上面側と下面側に対面して配置し、各垂直部(11a、11b)を取り巻くようにコイル6を配置する形式とすると好ましい。垂直部11を取り巻くコイル6によって磁界を発生させ、該磁界は対面する2個のコの字型コア中に形成されてループ磁界となる。各コアの垂直部11の端面が対面しているので両端面間に磁界が生成され、その両端面間に鋼板1が配置されるので鋼板表面に垂直に磁界が形成される。図3(a)に磁力線22として矢印で示すとおりである。コア5の幅が鋼板1の全幅をカバーする幅を有するので、鋼板1の全幅にわたって鋼板1に垂直な磁界が形成される。コア5を取り巻くコイル6に交流電流を流すことにより、鋼板1を貫通する磁界も交流磁界となり、鋼板中には誘導電流として渦電流が形成される。鋼板の厚さ方向において磁界の強さが均一なので、形成される渦電流も鋼板の厚さ方向で均一となり、渦電流によるジュール加熱に基づく鋼板の昇温量も鋼板の厚さ方向で一定となる。
【0025】
加熱する鋼板の幅とコア5の幅Wとの関係については、鋼板の幅がコア幅Wより広い方が好ましい。トランスバース型誘導加熱装置は、加熱する鋼板のエッジ部が過加熱される恐れがあるが、コア幅Wを鋼板幅より狭くすることでエッジ部の渦電流の発生が抑制され、エッジ部の過加熱を抑制できるからである。これにより、鋼板の全幅を均一に加熱することが可能になる。
【0026】
トランスバース型誘導加熱装置を複数台直列に配置し、全体として1組の全幅誘導加熱装置とすることができる。1台毎の誘導加熱装置は中容量とし、全体として必要な容量を確保することができる。従来、大容量の誘導加熱装置が作りにくいという課題があったが、中容量の加熱装置を複数配列することにより、この課題を解決することができる。熱間圧延においては鋼板の幅が広幅から狭幅まで多種類存在する。複数台直列に配置した各誘導加熱装置のコア幅を狭幅鋼板に最適なコア幅としておき、広幅鋼板の熱間圧延を行う際には個別の誘導加熱装置を鋼板幅方向の別方向にシフトすることにより、鋼板の全幅について加熱を行うようにすることもできる。
【0027】
トランスバース型誘導加熱装置の発信周波数については、300〜500Hz程度とすると好ましい。ソレノイド型誘導加熱装置では1500Hz程度の周波数が用いられていたが、加熱浸透深さを深くすること、および自己構成部材の局部発熱による故障を防止するため、トランスバース型誘導加熱装置においては上記のように300〜500Hz程度とすると好ましい。
【0028】
本発明の熱延鋼板の製造設備配置は、図2に示すように、粗圧延装置2と、トランスバース型の全幅誘導加熱装置4と、水噴射による鋼板表面スケール除去装置8と、仕上圧延装置3とを、この順番に配置する。これにより、Siを1質量%以上含有するSi含有鋼板の熱間圧延において、Siスケールの付着しない良好な表面性状の熱間圧延鋼板を製造することができる。全幅誘導加熱装置を有するので、加熱抽出温度を下げても仕上圧延温度として適正な温度を実現することができ、加熱抽出温度を1170℃以下としてSiスケールの除去を容易にすることができる。また、トランスバース型誘導加熱装置4を採用しているので、加熱後の鋼板表面温度を1000℃以下に保持することが可能であり、スケール除去装置8によるスケール除去後においてSi二次スケールの発生がない。さらに、スケール除去装置8のスケール除去ノズルからの吐出圧を45MPa以上とすることにより、Siスケールを良好に除去することができる。
【0029】
【実施例】
Si含有量1質量%以上のSi含有鋼を熱間圧延して熱間圧延鋼板とするに際し、本発明を適用した。使用した材料は、熱間圧延前の鋼片の幅は900mm、厚さは250mmであり、熱間圧延後の鋼板の幅は900mm、厚さは3mmである。粗圧延後の鋼板の厚さは35mmである。熱間圧延装置においては、粗圧延装置2と、全幅誘導加熱装置と、水噴射による鋼板表面スケール除去装置8と、仕上圧延装置3とを、この順番に配置した。全幅誘導加熱装置として、本発明例では図1に示すトランスバース型の誘導加熱装置4を用い、比較例では図4に示すソレノイド型の誘導加熱装置31を用いた。スケール除去装置8のスケール除去用のノズルにはフラットノズルを用いた。ノズル口径は1.9mm、ノズルの広がり角度θは20〜40°、1個のノズルによるスケール除去範囲は鋼板幅方向で80mmである。
【0030】
本発明例に用いたトランスバース型の誘導加熱装置4は、コの字型のコア(5a、5b)を鋼板の上面と下面とに対面して配置し、コア5の幅Wは800mm、長さLは600mm、コアの垂直部11の断面形状は200mm×800mmであり、各垂直部11に水冷チューブを用いたコイル6を配置している。鋼板中に発生する磁界強度は0.2〜0.4テスラ、周波数は300Hzとした。
【0031】
比較例に用いたソレノイド型の誘導加熱装置31は、鋼板1を取り巻くように巻いたソレノイドコイル32を有し、ソレノイドコイル32の巻き数は6回、コイル32の鋼板幅方向サイズは1800mm、鋼板長さ方向サイズは600mmである。ソレノイドコイル32の外側であってコイルの上面側及び下面側には、コイル外側の磁界を導くためのコア(33a、33b)が配置されている。発生する磁界は0.2〜0.4テスラ、周波数は1500Hzとした。
【0032】
表1に示す本発明例No.1〜5がトランスバース型誘導加熱装置4を用いた本発明例であり、比較例No.6〜10がソレノイド型誘導加熱装置31を用いた比較例である。各実施例のSi含有量、加熱抽出温度、加熱前後鋼板表面温度、デスケーリングノズルのノズル吐出圧は表1に示すとおりである。
【0033】
加熱前後鋼板温度について、表面温度は測定した実績温度であり、中心温度は予めラボでの熱電対埋め込みによる実測結果から内部温度分布形状を厚み方向に放物線に近似し、表面測温値から求めたものである。
【0034】
熱間圧延後の鋼板表面のSiスケール品質評価については、EPMA分析によって鋼板表面付近の断面を評価したとき、スケールと地金の界面にSiの濃化した部分が存在するか否かで判断した。鋼板表面にSi濃化層がない(目視でない)とき、Siスケール評価結果良好として表1に「○」と表示した。鋼板表層にSi濃化層が厚さ5μm以上存在する(目視で薄膜状にあり〜それ以上に明確)とき、Siスケール評価結果不良として表1に「×」で表示した。
【0035】
【表1】
【0036】
Si含有量は1.2〜1.6質量%であり、デスケーリングノズルのノズル吐出圧は、45MPa以上であってSi含有量が多くなるほど高い圧力に設定した。加熱抽出温度はいずれも1170℃以下であり、加熱中におけるファイアライトの溶融が起こらない温度範囲とし、スケールの除去を容易にした。
【0037】
本発明例、比較例ともに、加熱後の鋼板中心温度目標を1010℃として誘導加熱を行った。その結果、本発明例No.1〜5については、加熱後の鋼板表面温度がいずれも1000℃以下であってSi二次スケールの生成が行われない温度領域であり、Siスケール評価結果はいずれも○であって良好であった。それに対し、比較例No.6〜10においては、加熱後の鋼板表面温度がいずれも1000℃を超えており、ノズル吐出圧45MPa以上の高圧でデスケーリングを行ったにもかかわらず、デスケーリング後にSi二次スケールの発生があり、Siスケール評価結果はいずれも×であって不良であった。
【0038】
【発明の効果】
本発明により、スケール除去後におけるSi二次スケールの生成を防止しつつ加熱を行うことができ、Siスケールの付着していない良好な表面正常を有するSi含有鋼板を製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトランスバース型全幅誘導加熱装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の熱延鋼板の製造設備配置を示す図である。
【図3】本発明及び従来の誘導加熱装置の磁力線分布を示す断面図である。
【図4】従来のソレノイド型全幅誘導加熱装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2 粗圧延装置
3 仕上圧延装置
4 トランスバース型全幅誘導加熱装置
5 コア
6 コイル
7 加熱炉
8 スケール除去装置
9 巻取装置
11 垂直部
12 水平部
21 鋼板進行方向
22 磁力線
31 ソレノイド型全幅誘導加熱装置
32 コイル
33 コア
Claims (6)
- Si含有鋼板の熱間圧延方法であって、粗圧延後仕上圧延前にトランスバース型の全幅誘導加熱装置によって鋼板の加熱を行い、その後仕上圧延前に水噴射によるスケール除去を行うことを特徴とするSi含有鋼板の熱間圧延方法。
- 鋼板はSiを1質量%以上含有することを特徴とする請求項1に記載のSi含有鋼板の熱間圧延方法。
- 前記誘導加熱装置による加熱後の鋼板表面の温度を1000℃以下とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のSi含有鋼板の熱間圧延方法。
- 前記水噴射によるスケール除去は、スケール除去ノズルからの吐出圧を45MPa以上とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のSi含有鋼板の熱間圧延方法。
- 粗圧延装置と、トランスバース型の全幅誘導加熱装置と、水噴射による鋼板表面スケール除去装置と、仕上圧延装置とを、この順番に配置してなることを特徴とする熱延鋼板の製造設備配置。
- 前記水噴射によるスケール除去装置は、スケール除去ノズルからの吐出圧が45MPa以上であることを特徴とする請求項5に記載の熱延鋼板の製造設備配置。
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JP2005297008A (ja) * | 2004-04-13 | 2005-10-27 | Nippon Steel Corp | 表面性状の良好な高Si含有鋼板の熱間圧延方法 |
JP2007291451A (ja) * | 2006-04-25 | 2007-11-08 | Kobe Steel Ltd | 表面性状に優れた高Si含有鋼板およびその製造方法ならびにその製造用の素材の高Si含有鋼材 |
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